説明

発光分析装置

【課題】 欠陥箇所がクラックであるか否かを自動的に判定することにより、分析部で固体試料を分析する際に、分析部の電極等に水が付着することを防止することができる発光分析装置を提供する。
【解決手段】 固体試料6の分析面6a中における分析箇所と、分析箇所に対向配置された電極2aとの間で放電を行うことにより発生したスペクトルを分析する分析部2と、分析面6aを撮影することにより、分析面画像を取得する撮影部10と、固体試料6を保持しながら移送する搬送機構4と、分析部2で固体試料6を分析する前に、搬送機構4によって固体試料6を撮影部10へ移送することにより、分析面画像を取得する制御部20とを備える発光分析装置1であって、制御部20は、分析面画像に基づいて、分析面6a中における欠陥箇所42、43を抽出して、欠陥箇所42、43がクラックであるか否かを判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スパーク放電、アーク放電等の各種放電法やレーザ励起法等により、固体試料中の成分を定量する発光分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄鋼品種や非鉄品種の多様化や高品質化や製鋼加工技術の発展に伴い、鉄鋼(固体試料)や非鉄(固体試料)中に含まれる微量成分、特に窒素成分、酸素成分、硫黄成分、炭素成分等の量を厳密にコントロールすることが要求されてきており、鉄鋼材や非鉄金属材等の生産工場等での製鋼・精練工程において、鉄鋼や非鉄中に含まれる微量成分を定量することが重要になってきている。
このような製鋼・精練工程はオンライン操業であるため、定量結果が速やかに製鋼・精練工程にフィードバックされることが好ましい。
【0003】
そこで、近年、鉄鋼や非鉄中に含まれる多種類の微量成分の定量を迅速に行うことができる発光分光分析方法が広く利用されるようになってきている。
このような発光分光分析方法を利用するための発光分析装置では、溶鋼炉から採取した鉄鋼等の固体試料に前処理を実行した後、この固体試料の前処理実行面を分析面としてアーク放電したりスパーク放電したりすることにより発光させ、その発光光を分光器に導入して各元素に特有な波長を有するスペクトルを取り出して検出する。そして、そのスペクトルの強度から成分濃度(窒素成分、酸素成分、硫黄成分、炭素成分等の量)を算出している。
【0004】
ところで、溶鋼炉から採取した鉄鋼等の固体試料は、赤熱状態であり、その赤熱状態の固体試料において、ミリング、ベルダー、砥石等にて前処理を実行して、固体試料中における分析面を作製している。その後、冷却効率がよい水冷方式を用いて、赤熱状態の分析面の温度を、分析に適する常温まで冷却している。
このとき、固体試料には内部に空洞のような欠陥が存在することが多くあり、固体試料の分析面中における分析箇所に欠陥が存在すると、正常な発光が起こらず、その結果、正確な分析結果を得ることができない。よって、従来の発光分析装置では、分析部での分析前に撮影部でCCDカメラによって固体試料の分析面を撮影し、その分析面画像の各画素の輝度に基づいて、分析面中における欠陥の位置(欠陥箇所)を抽出することで、欠陥箇所を避けるように固体試料の分析面中における分析箇所を決定している(例えば、特許文献1参照)。
さらに、固体試料を正確に分析するため、通常、1個の固体試料の分析面中において複数(例えば、3個)の分析箇所で分析して、3個の分析箇所から得られた3個の分析結果を得ている。例えば、半径rの円形の分析面中における3個の分析箇所は、分析面の中心を中心とした半径r/2の円周上に、欠陥箇所を避けるように配列されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−069853号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、欠陥箇所がクラックであった場合には、水冷方式で使用した水がクラックの内部に付着したままとなり、分析部で固体試料を分析する際に、クラックの内部から分析部の電極に水が落下することがあり、その結果、分析部が故障することがあった。
なお、欠陥箇所が巣であった場合には、巣は通気性がよいため巣の内部から水が容易に蒸発するので、分析部で固体試料を分析する際まで、水冷方式で使用した水が巣の内部に付着したままとなることはほとんどない。
そこで、本発明は、欠陥箇所がクラックであるか否かを自動的に判定することにより、分析部で固体試料を分析する際に、分析部の電極等に水が付着することを防止することができる発光分析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するためになされた本発明の発光分析装置は、固体試料の分析面中における分析箇所と、当該分析箇所に対向配置された電極との間で放電を行うことにより発生したスペクトルを分析する分析部と、前記分析面を撮影することにより、分析面画像を取得する撮影部と、前記固体試料を保持しながら移送する搬送機構と、前記分析部で固体試料を分析する前に、前記搬送機構によって固体試料を撮影部へ移送することにより、前記分析面画像を取得する制御部とを備える発光分析装置であって、前記制御部は、前記分析面画像の各画素の輝度に基づいて、前記分析面中における欠陥箇所を示す欠陥箇所画像を抽出して、前記分析面画像中の欠陥箇所画像の形状に基づいて、前記欠陥箇所がクラックであるか否かを判定するようにしている。
【0008】
ここで、「クラック」とは、分析面中における分析箇所のことをいい、内部に付着した水が容易に蒸発することがないもののことをいう。なお、「巣」とは、分析面中における分析箇所のことをいい、内部に付着した水が容易に蒸発するもののことをいう。
【発明の効果】
【0009】
以上のように、本発明の発光分析装置によれば、制御部は、欠陥箇所がクラックであるか否かを自動的に判定するので、分析部で固体試料を分析する際に、分析部の電極等に水が付着することを防止することができる。その結果、発光分析装置の故障を防止することができる。
【0010】
(他の課題を解決するための手段および効果)
また、上記の発明において、前記制御部は、前記欠陥箇所画像の形状を楕円形状又は長方形に近似して、楕円形状の長径と短径との比又は長方形の長辺と短辺との比を算出することで、前記欠陥箇所がクラックであるか否かを判定するようにしてもよい。
さらに、上記の発明において、前記制御部は、前記欠陥箇所がクラックであると判定したときには、前記分析部で固体試料を分析しない制御信号を搬送機構に出力し、一方、前記欠陥箇所がクラックでないと判定したときには、前記欠陥箇所を避けるように固体試料の分析面中における分析箇所を決定して、その後、前記分析部で固体試料を分析する制御信号を搬送機構に出力するようにしてもよい。
本発明の発光分析装置によれば、制御部は、発光分析装置の故障を防止しつつ、分析結果を自動的に取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施形態に係る発光分析装置の一例の概略構成図である。
【図2】判定アルゴリズムの一例について説明するための図である。
【図3】抽出アルゴリズムの一例について説明するための図である。
【図4】判定アルゴリズムの他の一例について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。なお、本発明は、以下に説明するような実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の態様が含まれることはいうまでもない。
【0013】
図1は、実施形態に係る発光分析装置の一例の概略構成図である。
発光分析装置1は、スペクトルを分析する分析部2と、固体試料6’の分析面6a’を撮影するCCDカメラ12を備えた撮影部10と、固体試料6を保持しながら移送するロボットアーム(搬送機構)4と、発光分析装置1全体の制御を行うコンピュータ20とにより構成される。
なお、固体試料6(6’)は、鉄鋼材や非鉄金属材等の生産工場等での製鋼・精練工程において、オンライン操業で採取され、前処理が実行されたものであり、その形状は、半径rの円形の上面と底面とを有する円柱形状である。そして、発光分析装置1の分析部2では、底面を分析面6aとして、スパーク放電することにより発光させ、その発光光を分光器2dに導入して各元素に特有な波長を有するスペクトルを取り出して検出する。
【0014】
ロボットアーム4は、固体試料6を保持しながら移送するものである。ロボットアーム4には、座標系が設定されており、コンピュータ20は、ロボットアーム4が固体試料6を保持したときには、ロボットアーム4に対する固体試料6の位置を正確に把握することができるようになっている。
また、ロボットアーム4は、固体試料6を保持したまま、コンピュータ20からの制御信号により動作可能となっている。コンピュータ20は、出力した制御信号に基づいて、発光分析装置1に対するロボットアーム4の位置を把握することができ、その結果、発光分析装置1に対する固体試料6の位置を把握することができるようになっている。
これにより、ロボットアーム4は、固体試料6を分析部2の設定位置へ移送することで、固体試料6の分析面6a中における各分析箇所で分析することができるようにしたり、さらに分析部2では、固体試料6の分析面6aに対向配置される対向電極2aの位置が変化するように固体試料6を移送することで、固体試料6の分析面6a中における第一の分析箇所から第二の分析箇所に変更したり、固体試料6を撮影部10の設定位置へ移送することで、固体試料6の分析面6a全面を撮影することができるようにしたりする。
【0015】
撮影部10は、撮影の妨害となる外光を避ける遮蔽カバー8を備え、遮蔽カバー8の内部に、横向きに設置されたCCDカメラ12と、上向きに設置された照明ランプ14と、撮影方向と同軸方向から分析面6aを照明ランプ14で照明するためのハーフミラー16とを備える。そして、遮蔽カバー8の下面には、ロボットアーム4を挿入するための開口部8aが形成されている。
これにより、遮蔽カバー8の開口部8aからロボットアーム4’によって固体試料6’の分析面6a’が垂直に起立した状態となるように挿入されて、撮影部10の設定位置に配置されると、固体試料6’の分析面6a’全面が、照明ランプ14で照明されて、CCDカメラ12で撮影されるようになっている。そして、CCDカメラ12で撮影された画像データ(分析面画像)がコンピュータ20に出力される。
【0016】
分析部2は、分光スタンド2bを備え、分光スタンド2bの内部に、上向きに設置された対向電極2aと、発光光が導入される分光器2dとを備える。そして、分光スタンド2bの上面には、対向電極2aと対向する位置に円形状の開孔2cが形成されている。
これにより、ロボットアーム4によって固体試料6’の分析面6a’の分析箇所が、分光スタンド2bの開孔2cを塞ぐように当接されて、分析箇所と対向電極2aとの間で放電を行うと、その発光光を分光器2dに導入して各元素に特有な波長を有するスペクトルを取り出して検出するようになっている。そして、分光器2dで得られた検出信号(分析結果)がコンピュータ20に出力される。
また、ロボットアーム4によって、分光スタンド2bの開孔2cに当接される固体試料6の分析面6aの位置を変化させることで、固体試料6の分析面6a中における分析箇所を順番に変更することができ、その結果、1個の固体試料6の分析面6a中において3個の分析箇所で分析すれば、3個の分析結果(第一の分析結果、第二の分析結果、第三の分析結果)がコンピュータ20に順番に出力される。
【0017】
コンピュータ20においては、CPU21やメモリ22を備え、さらにモニタ画面等を有する表示装置31と、キーボードやマウス等を有する入力装置30とが連結されている。
また、CPU(制御部)21が処理する機能をブロック化して説明すると、ロボットアーム4を制御する搬送制御部23と、撮影部10を制御する撮影制御部24と、分析部2を制御する分析制御部25と、分析面画像と判定アルゴリズム(後述する)とに基づいて固体試料6の分析面6a中における欠陥箇所を抽出して欠陥箇所がクラックであるか否かを判定する判定部73と、分析面画像と抽出アルゴリズム(後述する)とに基づいて欠陥箇所を回避するように固体試料6の分析面6a中における3個の分析箇所を抽出する分析箇所抽出処理部26とを有する。
さらに、メモリ22は、分析面画像を記憶するための画像データ記憶領域52と、判定アルゴリズムを記憶する判定情報記憶領域55と、抽出アルゴリズムを記憶する抽出情報記憶領域51と、固体試料6の分析面6a中における3個の分析箇所と分析順とを示す分析箇所データを記憶するための分析箇所データ記憶領域53と、分析結果を記憶するための分析結果記憶領域54とを有する。
【0018】
撮影制御部24は、ロボットアーム4’によって固体試料6’が撮影部10の設定位置に配置されると、固体試料6’の分析面6a’を照明ランプ14で照明して、CCDカメラ12で撮影するように、撮影部10を制御することにより、CCDカメラ12で撮影された分析面画像を読み込み、分析面画像を画像データ記憶領域52に記憶させる制御を行う。
【0019】
判定部73は、画像データ記憶領域52に記憶された分析面画像と、判定情報記憶領域55に記憶された判定アルゴリズムとに基づいて、固体試料6の分析面6a中における欠陥箇所を抽出して欠陥箇所がクラックであるか否かを判定する制御を行う。
ここで、固体試料6の分析面6a中における欠陥箇所を抽出して欠陥箇所がクラックであるか否かを判定するための判定アルゴリズムの一例について説明する。図2は、判定アルゴリズムの一例について説明するための図である。
判定部73による分析面6a中に欠陥箇所が存在するか否かの判定方法は、分析面画像中において各画素の輝度Iと輝度閾値Ithとを比較していき、さらに、輝度Iが輝度閾値Ith以下である画素が設定面積Dth以上で隣接したときには、欠陥箇所42、43であると判定するように実行される。
なお、輝度閾値Ithと設定面積Dthとは、予め判定アルゴリズムとして記憶されており、使用者が輝度閾値Ithと設定面積Dthとを記憶させる際には、任意の数値を設定することができるようになっている。
【0020】
ところで、欠陥箇所42、43がクラックであると、水冷方式で使用した水がクラックの内部に付着したままとなり、分析部2で固体試料6を分析する際に、クラックから分析部2の対向電極2aに水が落下することがあり、その結果、分析部2が故障することがあるので、判定部73では欠陥箇所42、43がクラックであるか否かを判定することになる。
判定部73による欠陥箇所がクラックであるか否かの判定方法は、図2に示すように分析面画像中の各欠陥箇所画像を楕円形Aでそれぞれ近似し、そして、(楕円形Aの長径/楕円形Aの短径)の比Lと、閾値比Lthとを比較することにより、比Lが閾値比Lth以上である欠陥箇所42は、クラックであり、一方、比Lが閾値比Lth未満である欠陥箇所43は、クラックでない(巣である)と判定するように実行される。
なお、閾値比Lthは、予め判定アルゴリズムとして記憶されており、使用者が閾値比Lthを記憶させる際には、任意の数値を設定することができるようになっている。
その結果、判定部73は、少なくとも1個の欠陥箇所42、43がクラックであると判定したときには、分析部2で固体試料6を分析しない制御信号を搬送制御部23に出力する。一方、欠陥箇所42、43が検出されなかったとき、若しくは、全ての欠陥箇所42、43がクラックでないと判定したときには、後述する分析箇所抽出処理部26によって分析面6a中における分析箇所を抽出する制御信号を搬送制御部23に出力する。
【0021】
分析箇所抽出処理部26は、画像データ記憶領域52に記憶された分析面画像と、抽出情報記憶領域51に記憶された抽出アルゴリズムとに基づいて、欠陥箇所43を回避するように固体試料6の分析面6a中における3個の分析箇所を抽出して、固体試料6の分析面6a中における3個の分析箇所と分析順とを示す分析箇所データを分析箇所データ記憶領域53に記憶させる制御を行う。
ここで、固体試料6の分析面6a中における3個の分析箇所を抽出するための抽出アルゴリズムの一例について説明する。図3は、抽出アルゴリズムの一例について説明するための図である。
分析面画像の中心を中心とした円周41上で適宜に決めた基準位置(これを角度0°とする)に半径rの円形の第一の分析箇所候補42aを設定し、その位置から所定方向に所定角度(例えば、反時計回り方向に90°)だけ離れた位置に、半径rの円形の第二の分析箇所候補42bを設定し、さらに第二の分析箇所候補42bから同様に所定角度だけ離れた位置に、半径rの円形の第三の分析箇所候補42cを設定する。ところで、分析箇所に欠陥が存在すると、正常な発光が起こらず、その結果、正確な分析結果を得ることができないので、図2(b)に示すように、第nの分析箇所候補の一部に欠陥箇所43が存在すると判定した場合には、第nの分析箇所候補を飛ばして次に所定角度だけ離れた位置に、新たな第nの分析箇所候補を設定する。
このように欠陥箇所を回避するように分析面画像中における3個の分析箇所候補42a、42b、42cを抽出したときには、固体試料6の分析面6a中における3個の分析箇所と分析順とを示す分析箇所データを分析箇所データ記憶領域53に記憶させる。
【0022】
分析制御部25は、ロボットアーム4によって固体試料6が分析部2の設定位置に配置されると、固体試料6の分析面6a中における第nの分析箇所と対向電極2aとの間で放電を行うことにより発生したスペクトルを分析するように、分析部2を制御することにより、第nの分析結果を分析結果記憶領域54に記憶させる制御を行う。
具体的には、発光分析装置1では、まず、ロボットアーム4によって分析箇所データに基づいて、固体試料6の分析面6a中における第一の分析箇所で分析するように、固体試料6が分析部2の設定位置に配置されると、固体試料6の分析面6a中における第一の分析箇所と対向電極2aとの間で放電を行うことにより発生したスペクトルを分析するように、分析部2を制御する。そして、分光器2dで得られた第一の分析結果を分析結果記憶領域54に記憶させる。
次に、ロボットアーム4によって分析箇所データに基づいて、固体試料6の分析面6a中における第二の分析箇所で分析するように、固体試料6が分析部2の設定位置に配置されると、固体試料6の分析面6a中における第二の分析箇所と対向電極2aとの間で放電を行うことにより発生したスペクトルを分析するように、分析部2を制御する。そして、分光器2dで得られた第二の分析結果を分析結果記憶領域54に記憶させる。
最後に、ロボットアーム4によって分析箇所データに基づいて、固体試料6の分析面6a中における第三の分析箇所で分析するように、固体試料6が分析部2の設定位置に配置されると、固体試料6の分析面6a中における第三の分析箇所と対向電極2aとの間で放電を行うことにより発生したスペクトルを分析するように、分析部2を制御する。そして、分光器2dで得られた第三の分析結果を分析結果記憶領域54に記憶させる。
【0023】
以上のように、本発明の発光分析装置1によれば、コンピュータ20は、欠陥箇所42、43がクラックであるか否かを自動的に判定するので、分析部2で固体試料6を分析する際に、分析部2の対向電極2a等に水が付着することを防止することができる。その結果、発光分析装置1の故障を防止することができる。そして、分析結果を自動的に取得することができる。
【0024】
(他の実施形態)
(1)上述した実施形態では、CCDカメラ12で撮影する構成としたが、CMOSカメラで撮影するような構成としてもよい。
(2)上述した実施形態では、撮影部10において照明ランプ14とハーフミラー16とを備える構成としたが、分析面を照明ランプで照明することができればよく、例えば、CCDカメラを中心としたドーナツ状の照明ランプを備えたり、ドーム状の照明ランプを備えたりするような構成としてもよい。
【0025】
(3)上述した実施形態では、判定部73による欠陥箇所42、43がクラックであるか否かの判定方法は、分析面画像中の各欠陥箇所画像を楕円形Aでそれぞれ近似する構成としたが、図4に示すように分析面画像中の各欠陥箇所画像を長方形Bでそれぞれ近似し、そして、(長方形Bの長辺/長方形Bの短辺)の比Lと、閾値比Lthとを比較することにより、比Lが閾値比Lth以上である欠陥箇所142は、クラックであり、一方、比Lが閾値比Lth未満である欠陥箇所143は、クラックでないと判定するような構成としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明は、スパーク放電、アーク放電等の各種放電法やレーザ励起法等により、固体試料中の成分を定量する発光分析装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0027】
1 発光分析装置
2 分析部
2a 対向電極
4 ロボットアーム(搬送機構)
6 固体試料
6a 分析面
10 撮影部
20 CPU(制御部)
22 メモリ
31 表示装置
42、142 クラック
43、143 巣

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体試料の分析面中における分析箇所と、当該分析箇所に対向配置された電極との間で放電を行うことにより発生したスペクトルを分析する分析部と、
前記分析面を撮影することにより、分析面画像を取得する撮影部と、
前記固体試料を保持しながら移送する搬送機構と、
前記分析部で固体試料を分析する前に、前記搬送機構によって固体試料を撮影部へ移送することにより、前記分析面画像を取得する制御部とを備える発光分析装置であって、
前記制御部は、前記分析面画像の各画素の輝度に基づいて、前記分析面中における欠陥箇所を示す欠陥箇所画像を抽出して、
前記分析面画像中の欠陥箇所画像の形状に基づいて、前記欠陥箇所がクラックであるか否かを判定することを特徴とする発光分析装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記欠陥箇所画像の形状を楕円形状又は長方形に近似して、楕円形状の長径と短径との比又は長方形の長辺と短辺との比を算出することで、前記欠陥箇所がクラックであるか否かを判定することを特徴とする請求項1に記載の発光分析装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記欠陥箇所がクラックであると判定したときには、前記分析部で固体試料を分析しない制御信号を搬送機構に出力し、
一方、前記欠陥箇所がクラックでないと判定したときには、前記欠陥箇所を避けるように固体試料の分析面中における分析箇所を決定して、その後、前記分析部で固体試料を分析する制御信号を搬送機構に出力することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の発光分析装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−145242(P2011−145242A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−7851(P2010−7851)
【出願日】平成22年1月18日(2010.1.18)
【出願人】(000001993)株式会社島津製作所 (3,708)
【Fターム(参考)】