説明

発光制御装置、発光装置および撮像装置

【課題】一般フラッシュ撮影モードかバウンスフラッシュモードかはユーザの選択に任されており、当該モードでの発光が適切な露光量とならないことがある。
【解決手段】複数の発光部240、260のうち少なくとも1つを上方に向けた状態において、上方に向けた発光部260を予備発光する駆動信号を出力する発光駆動部214と、予備発光に基づいて、複数の発光部240、260の少なくともいずれかのバウンス発光によって予め定められた露光量が得られるか否かを判断するバウンス可否判断部216とを備える発光制御装置200が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光制御装置、発光装置および撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般フラッシュ撮影モード用の発光部と、バウンスフラッシュモード用の発光部とを別個に設ける撮像装置がある(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1 特開2010−266604号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、一般フラッシュ撮影モードかバウンスフラッシュモードかはユーザの選択に任されており、当該モードでの発光が適切な露光量とならないことがある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第1の態様においては、複数の発光部のうち少なくとも1つを上方に向けた状態において、上方に向けた発光部を予備発光する駆動信号を出力する発光駆動部と、前記予備発光に基づいて、前記複数の発光部の少なくともいずれかのバウンス発光によって予め定められた露光量が得られるか否かを判断するバウンス可否判断部とを備える発光制御装置が提供される。
【0005】
本発明の第2の態様においては、上記発光制御装置と、前記複数の発光部とを備える発光装置が提供される。
【0006】
本発明の第3の態様においては、上記発光装置と、像光を撮像する撮像部とを備える撮像装置が提供される。
【0007】
本発明の第4の態様においては、上記発光制御装置と、像光を撮像する撮像部とを備える撮像装置が提供される。
【0008】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本実施形態にかかるカメラシステム10の概略斜視図である。
【図2】カメラ本体100の構成を示すブロック図である。
【図3】発光装置200の外観を示す斜視図である。
【図4】発光装置200の構成を示すブロック図である。
【図5】発光装置200の姿勢を示す側面図である。
【図6】発光装置200の他の姿勢を示す側面図である。
【図7】カメラシステム10の動作を示すフローチャートである。
【図8】他の実施形態にかかるカメラシステム12の概略を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0011】
図1は、本実施形態にかかるカメラシステム10の概略斜視図である。カメラシステム10は、被写界像を撮像するカメラ本体100と、当該カメラ本体100に着脱可能に取り付けられ、被写界に閃光を発光する発光装置200とを備える。カメラ本体100の一例は、被写界像から電気的な画像データを生成するデジタルカメラである。また、発光装置200の一例は、カメラ本体100の撮像のタイミングにあわせてキセノン管から閃光を発光するフラッシュである。
【0012】
図2は、カメラ本体100の構成を示すブロック図である。カメラ本体100は、メインCPU110、操作部114、電源120、表示部130、撮像部140、内蔵フラッシュ回路160およびモータ駆動部180、測光部296、AFセンサ298を備える。また、プログラムメモリ172、主記憶装置174および二次記憶媒体176も備える。
【0013】
メインCPU110は、プログラムメモリ172に格納されたファームウエアに従って、カメラ本体100の動作を制御すると共に、カメラ本体100に発光装置200およびレンズユニット292を加えたカメラシステム10全体を包括的に制御する。
【0014】
電源120は、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池等の二次電池を含み、カメラ本体100およびレンズユニット292で消費される電力を一括して供給する。このため、レンズユニット292を接続するレンズI/F152には、電源120とレンズユニット292を接続する電力供給端子が設けられる。
【0015】
表示部130は、カメラ本体100の背面に配された液晶表示パネルを含み、カメラシステム10に対する設定値、撮像した画像等を外部に向かって表示する。また、表示部130には、カメラ本体100に、各種の設定値を入力する場合のメニューが表示される場合もある。
【0016】
撮像部140は、レンズユニット292が形成した被写体像を電気信号に変換する光電変換素子142を含む。光電変換素子としては、CCD(Charge Coupled Device)、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等が用いられる。
【0017】
撮像部140において電気信号に変換された被写体像は、更にデジタル変換される。デジタル信号にされた画像情報は、主記憶装置174上の作業領域で画像処理を受け、求めに応じて圧縮された上で、二次記憶媒体176に格納される。二次記憶媒体176の少なくとも一部は、カメラ本体100に対して着脱して交換できる。
【0018】
内蔵フラッシュ回路160は、撮像する場合に被写体を照明する閃光発生部を含む。ただし、カメラシステム10には、発光装置200が装着されているのでそちらが用いられる。
【0019】
モータ駆動部180は、メインCPU110の指示に従って、シャッタをチャージするモータを駆動する。また、レンズユニット292におけるフォーカシングレンズを移動させるモータを駆動する。このモータは、レンズユニット292に設けられる場合も、カメラ本体100に設けられる場合もある。
【0020】
レンズユニット292は、撮像部140の光電変換素子142に被写体像を形成する光学系294を有する。レンズユニット292は、レンズマウントおよびボディマウントの機械的係合により、カメラ本体100に対して固定される。また、レンズユニット292は、カメラ本体100に設けられたレンズI/F152を介して、カメラ本体100の内部と電気的にも結合される。
【0021】
測光部296は、光学系294を通った被写体像の輝度を測定する。AFセンサ298は、被写体空間に対して複数の測距点が設定された位相差センサであり、それぞれの測距点において被写体像のデフォーカス量を検出する。外部接続I/F154は、カメラ本体100と発光装置200との間の通信を仲介する。
【0022】
上記のようなカメラシステム10において、カメラ本体100のレリーズスイッチが半押しされると、撮影準備が開始される。次いで、レリーズスイッチが全押しされると、被写体像が撮像部140により取り込まれる。
【0023】
図3は、発光装置200の外観を示す斜視図である。発光装置200は、相互に連結された固定筐体310、主発光部240および副発光部260を備える。固定筐体310は、下端面に取り付け部320を、側面に電池を収容する電源部312、前面に補助光光源311およびリモート用レディライト313等を備える。
【0024】
取り付け部320は、カメラ本体100のホットシューに嵌合する取り付け脚322と、ホットシューにおいて信号を伝達する連動接点324とを有する。取り付け脚322をホットシューに嵌合させた場合、固定筐体310は、カメラボディに固定される。
【0025】
電源部312は、発光装置200を動作させる電力を供給する乾電池等を収容する。補助光光源311およびリモート用レディライト313は透明な共通カバー315に覆われて、動作モードに応じて発光する。即ち、補助光光源311は、暗い撮影環境においてオートフォーカスを動作させる場合に被写体を照明する。また、リモート用レディライト313は、発光装置200をカメラ本体100から離して動作させる場合に、充電完了をユーザに通知する。
【0026】
主発光部240は、前面に発光面242を有する。主発光部240は、その後端近傍において、水平回動部332および垂直回動部334を介して固定筐体310に結合される。即ち、水平回動部332の下端は、固定筐体310の上端面に結合される。また、水平回動部332の上端は、垂直回動部334を介して主発光部240に結合される。
【0027】
主発光部240は、後端が前面よりも幅の狭い、略L字の外形を有する。主発光部240の略L字の後端側の空間に、副発光部260が配される。
【0028】
副発光部260も、主発光部240と同様に、前面に発光面242を有する。また、副発光部260も、その後端近傍において、水平回動部332および垂直回動部334を介して固定筐体310に結合される。
【0029】
図4は、発光装置200の構成を示すブロック図である。発光装置200は、カメラ本体100に設けられた外部接続I/F154を介して、カメラ本体の内部回路に電気的に結合される。発光装置200は、MPU(Micro Processing Unit)210、記録部290、充電回路220、主発光部240、副発光部260、モータ250、280、メインコンデンサ230、270、受光部282および電源部312を備える。
【0030】
MPU210は、発光装置200内部の制御を担うと共に、外部接続I/F154を通じてカメラ本体100のメインCPU110と通信する。MPU210は、モータ250、280に駆動信号を出力する回動駆動部212と、主発光部240および副発光部260に発光の駆動信号を出力する発光駆動部214と、バウンス発光の可否を判断するバウンス可否判断部216とを有する。
【0031】
充電回路220は、MPU210からの指示に基づいて、電源部312の電力でメインコンデンサ230、270を充電する。メインコンデンサ230とメインコンデンサ270とで別個の充電回路を有してもよい。
【0032】
メインコンデンサ230は容量の大きな蓄電素子であり、充電回路220により蓄積された電荷を短時間で放電して、大きな放電電流を主発光部240に供給する。例えば主発光部240の最大光量がガイドナンバー40であって、メインコンデンサ230は当該ガイドナンバーで発光するに足る容量を有する。
【0033】
メインコンデンサ270は、メインコンデンサ230より容量が小さな蓄電素子であり、充電回路220により蓄積された電荷を短時間で放電して、大きな放電電流を副発光部260に供給する。例えば副発光部260の最大光量がガイドナンバー10であって、メインコンデンサ270は当該ガイドナンバーで発光するに足る容量を有する。
【0034】
メインコンデンサ230、270としては、電解コンデンサの他、電気二重層コンデンサ、スーパキャパシタ等が用いられてもよい。なおメインコンデンサ270の容量をメインコンデンサ230の容量よりも小さくすることに変えて、容量を等しくまたはメインコンデンサ270の容量の方を多くして、充電回路220にてメインコンデンサ230に蓄積する電荷量をメインコンデンサ270に蓄積する電荷量よりも大きくしてもよい。
【0035】
主発光部240は、放電管、LED等により形成される。主発光部240は、発光駆動部214の駆動信号に基づいて、メインコンデンサ230から上記大電流の供給を受けて閃光を発生する。同様に、副発光部260は、放電管、LED等により形成され、発光駆動部214の駆動信号に基づいてメインコンデンサ270から供給された大電流により閃光を発生する。
【0036】
モータ250は、回動駆動部212からの駆動信号に基づいて、主発光部240を垂直回動部334の回動方向に回動駆動する。カメラシステム10の通常の使用状態、すなわち、カメラ本体100よりも発光装置200が鉛直上方に位置する姿勢において、モータ250は主発光部240の発光方向の仰角を変化させる。同様にモータ280は、回動駆動部212からの駆動信号に基づいて、副発光部260を垂直回動部334の回動方向に回動駆動する。なお、水平回動部332の回動方向について、主発光部240と副発光部260とは、ユーザの手動により一体的に回動される。
【0037】
受光部282は、外光の明るさを検出してMPU210に出力する。MPU210は、例えば主発光部240および副発光部260のいずれも発光してない状態で受光部282により検出される明るさと、副発光部260を予備発光させた状態で受光部282により検出される明るさとを比較して、カメラ本体100により本撮影されるときに十分な露出量となる光量を算出する。
【0038】
記録部290は、不揮発性記憶媒体または読出専用記憶媒体を含み、発光装置200のファームウエア、データ等を格納する。記録部290に格納されたデータは、MPU210により読み出され、カメラ本体のメインCPU110に転送できる。
【0039】
図5は、発光装置200の姿勢を示す側面図である。図5において、主発光部240は水平に向いており、副発光部260は垂直に向いている。よって、主発光部240の発光面242は前方を向いており、副発光部260の発光面262は上方を向いている。
【0040】
図6は、発光装置200の他の姿勢を示す側面図である。図6において、主発光部240は垂直に向いており、副発光部260は水平に向いている。よって、主発光部240の発光面242は上方を向いており、副発光部260の発光面262は前方を向いている。
【0041】
図5および図6に示すように、回動駆動部212は、主発光部240が水平を向いているときに副発光部260が垂直を向くようにモータ250、280に駆動信号を出力し、主発光部240が垂直を向いているときに副発光部260が水平を向くようにモータ250、280に駆動信号を出力する。なお、回動駆動部212は、主発光部240および副発光部260の向きをモータ250、280のエンコーダ等の出力により認識する。
【0042】
図7は、カメラシステム10の動作を示すフローチャートである。図7のフローチャートは、オートバウンスモードが設定されている場合であって、カメラ本体100のレリーズボタンが全押しされたときに開始する。オートバウンスモードはカメラ本体100または発光装置200へのユーザの入力により予め設定される。なお、オートバウンスモードに設定されていない場合には、通常の撮影動作を行う。
【0043】
まず、回動駆動部212は、主発光部240および副発光部260がオートバウンス位置にあるか否かを判断する(S112)。ここでオートバウンス位置は、図5に示すように、主発光部240が水平であってかつ副発光部260が垂直を向いている位置である。主発光部240および副発光部260の少なくともいずれかがオートバウンス位置にない場合に(S112:No)、回動駆動部212は対応するモータ250、280に駆動信号を出力し、モータ250、280が主発光部240および副発光部260をオートバウンス位置に復帰する(S114)。なお連写の場合など、既にバウンス発光が可能かどうかの判定がされている場合、発光量をロックする機能で発光ロック場合等には復帰動作を行わず、バウンス可能の情報、既に決定している発光量等の情報を用いて発光動作を行ってもよい。
【0044】
ステップS112の判断がYesまたはステップS114の後に、発光駆動部214は、垂直を向いた状態の副発光部260を予備発光する駆動信号を出力する(S116)。これにより、副発光部260が上方へ向けて予備発光する(同ステップ)。この場合に副発光部260は、最大発光量よりも小さい発光量、例えばガイドナンバー2で発光する。
【0045】
バウンス可否判断部216はステップS116での予備発光に基づいて、主発光部240のバウンス発光によって予め定められた露光量が得られるか否かを判断する(S118)。この場合に、予備発光中にカメラ本体100の光学系294を通った像光に基づいて判断するTTL(Through The Lens)判断と、カメラ本体100の光学系294を通さずに発光装置200の側の受光部282の受光量から判断する外部受光判断とのいずれを用いてもよい。いずれの判断を用いるかは、ユーザの発光装置200に対する操作によって予め設定されてもよいし、発光装置200とカメラ本体100との相互通信によってTTL判断が可能である場合にはTTL判断を用い、それ以外の場合に外部受光判断を用いてもよい。
【0046】
TTL判断の場合に、バウンス可否判断部216は、予備発光中におけるカメラ本体100の測光部296からの出力を取得する。バウンス可否判断部216は、測光部296からの出力と、副発光部260の予備発光の光量と主発光部240の最大光量との比から、主発光部240が最大光量までの範囲内でカメラ本体100の設定により決まる露光量を提供できるか否かを判断する。
【0047】
外部受光判断の場合に、バウンス可否判断部216は、予備発光中における受光部282からの出力を取得する。バウンス可否判断部216は、受光部282からの出力と、副発光部260の予備発光の光量と主発光部240の最大光量との比から、主発光部240が最大光量までの範囲内で予め定められた露光量を提供できるか否かを判断する。
【0048】
ステップS116においてバウンス発光が可能と判断された場合に、バウンス可否判断部216は、副発光部260の発光が設定されているか否かを判断する(S120)。副発光部260の発光は、例えば、主発光部240のバウンス発光において被写体の目に光を映り込ませるキャッチライト、または、主発光部240の発光量を補う補助光等に用いられる。副発光部260を用いるか否かは、ユーザの発光装置200に対する操作によって予め設定される。
【0049】
副発光部260の発光が設定されている場合に(S120:Yes)、発光駆動部214は、水平を向いている主発光部240を予備発光する駆動信号を出力する(S122)。これにより、主発光部240は前方へ向けて予備発光する(同ステップ)。この場合に主発光部240は、最大発光量よりも小さい発光量、例えばガイドナンバー2で発光する。
【0050】
バウンス可否判断部216は、主発光部240の予備発光中における受光部282または測光部296からの出力、および、上記ステップS118で得た受光部282または測光部296からの出力に基づいて、主発光部240および副発光部260のそれぞれの本発光時の光量を演算する(S124)。TTL判断を用いている場合には、バウンス可否判断部216は、被写界を複数の領域に分割し、領域ごとの反射光の強さ、オートフォーカスのポイント位置、被写体までの距離等から主要被写体の領域を推定し、その領域に対してISO、絞り値等を考慮して適切な光量を算出する。また、バウンス可否判断部216は、主発光部240が単独で上方に発光したと仮定したときの適切な光量、および、副発光部260が単独で前方に発光したと仮定したときの適切な光量をそれぞれ算出し、さらに主発光部240と副発光部260との発光比率を考慮してお互いの発光の影響を考慮した発光量の補正を行う。
【0051】
ステップS120において、副発光部260の発光が設定されていない場合に(S120:No)、バウンス可否判断部216は、副発光部260の予備発光中における受光部282または測光部296からの出力に基づいて、主発光部240の本発光時の光量を演算する(S124)。
【0052】
さらに、回動駆動部212は、主発光部240を水平方向から垂直方向に回動する駆動信号をモータ250に出力する(S128)。これによりモータ250は主発光部240を垂直に向ける(同ステップ)。さらに回動駆動部212は、副発光部260を垂直方向から水平方向に回動する駆動信号をモータ280に出力する。これによりモータ280は副発光部260を水平に向ける。この場合に図6に示す姿勢となる。なお、副発光部260を発光させない場合には、回動駆動部212は、副発光部260を垂直方向から水平方向に回動する駆動信号をモータ280に出力しなくてもよい。
【0053】
発光駆動部214は、ステップS124で算出された光量で本発光させる駆動信号を主発光部240に出力する(S130)。これにより主発光部240は、上記光量で上方に本発光する(同ステップ)。副発光部260の発光が設定されている場合には、発光駆動部214は、ステップS124で算出された光量で本発光させる駆動信号を副発光部260に出力し、副発光部260は上記光量で前方へ本発光する。
【0054】
一方、ステップS118においてバウンス発光が不可と判断された場合に(S118:No)、発光駆動部214は、水平を向いた状態の主発光部240を予備発光する駆動信号を出力する(S134)。これにより、主発光部240が前方へ向けて予備発光する(同ステップ)。
【0055】
バウンス可否判断部216は、主発光部240の予備発光中における受光部282または測光部296からの出力に基づいて、当該主発光部240の本発光時の光量を算出し(S132)、上記ステップS130に進む。これにより、主発光部240が前方へ向けて本発光する。以上により本フローチャートが終了する。
【0056】
以上、本実施形態によれば、副発光部260を垂直に向けた状態において予備発光し、当該予備発光に基づいて、主発光部240のバウンス発光によって予め定められた露光量が得られるか否かを判断するので、適切な発光条件で本発光をすることができる。特に、バウンス発光が可能と判断された場合に主発光部240が自動で垂直を向くので、シャッタチャンスを逃すことなくかつ主発光部240を回動し忘れることなく、バウンス発光をすることができる。また、バウンス発光が不可と判断された場合に主発光部240が水平を向いているので、シャッタチャンスを逃すことなくかつ主発光部240を回動し忘れることなく、通常の発光をすることができる。また、上記ステップS116においてバウンス発光の予備発光に副発光部260を用いるので、すなわちメインコンデンサ270の電荷を用いるので、当該予備発光で主発光部240のメインコンデンサ230を用いなくてよい。
【0057】
上記実施形態において、二つのモータ250、280を用いて主発光部240および副発光部260を回動しているが、回動方法はこれに限られない。他の例として、主発光部240と副発光部260とを機械的に連動させてもよい。この場合に、一つのモータおよび当該モータの回転方向を逆転するギアを用いて、モータの回転駆動力を正転のままで主発光部240および副発光部260の一方を回動し、モータの回転駆動力をギアによって逆転させて主発光部240および副発光部260の他方を回動してもよい。さらに他の例として、バネによるテンションを利用し、ソレノイドへの通電等でロックをはずすことにより、主発光部240を水平から垂直へ跳ね上げてもよい。
【0058】
また、上記実施形態において、回動駆動部212、発光駆動部214およびバウンス可否判断部216は発光装置200に設けられている。他の例として、回動駆動部212、発光駆動部214およびバウンス可否判断部216のいずれかまたは全部がカメラ本体100の側に設けられていてもよい。
【0059】
また、図7のステップS112およびS114において主発光部240を水平かつ副発光部260を垂直にしている。他の例として、ステップS112およびS114で主発光部240を垂直かつ副発光部260を水平の状態にして、ステップS116で主発光部240を用いて予備発光してもよい。この場合にはバウンス可否判断部216によりバウンス発光が可能とされた場合には主発光部240および副発光部260はそのまま回動せずに発光させる。一方、バウンス可否判断部216によりバウンス発光が不可とされた場合には主発光部240を水平にかつ副発光部260を垂直に回動させて発光させる。
【0060】
上記実施形態において、予備発光時に副発光部260が垂直を向いており、バウンス発光可能な場合に主発光部240が垂直を向いている。これに代えて、予備発光時に副発光部260が斜め上方を向いており、バウンス発光可能な場合に主発光部240が斜め上方を向いていてもよい。この場合に、ユーザは発光装置200へのボタン操作等により、バウンス発光したいと考える角度に副発光部260を回動する。回動駆動部212は、当該角度を記憶しておき、バウンス可否判断部216によりバウンス発光が可能と判断された場合に、主発光部240を当該角度まで回動する駆動信号をモータ250に出力する。これにより、主発光部240は、予備発光時の副発光部260の角度と同一の角度まで会同してバウンス発光する。この場合に、副発光部260は上記実施形態と同様に水平まで回動していてもよい。
【0061】
図8は、他の実施形態にかかるカメラシステム12の概略を示す斜視図である。カメラシステム12は、カメラ本体100および当該カメラ本体100に取り付けられた発光装置202に加え、他の発光装置204、206をさらに有する。発光装置202、204、206は互いに無線または有線で通信する。
【0062】
発光装置202、204、206は、図1から図7に示す発光装置200と同一の構成を有していてもよいし、当該発光装置200における副発光部260、メインコンデンサ270およびモータ280を除いた構成であってもよい。以下、発光装置202、204、206は、当該発光装置200から副発光部260、メインコンデンサ270およびモータ280を除いた構成を有するものとし、主発光部240に対応する発光部350を有するものとして説明する。
【0063】
カメラ本体100のレリーズボタンが全押しされると、発光装置202が発光装置204、206と通信し、カメラシステム12に含まれる発光装置202、204、206の各発光部のうちのいずれかが水平に回動され、他のいずれかが垂直に回動される。図8の例において、カメラ本体100に装着された発光装置202の発光部350が水平に回動され、他の発光装置204、206の発光部が垂直に回動される。
【0064】
次に、垂直を向いている発光装置204、206の発光部により予備発光がされ、例えば発光装置202のバウンス可否判断部216がバウンス発光の可否を判断する。この場合に、バウンス可否判断部216は、水平を向いている発光装置202の発光部350もバウンス発光するとしたときの最大光量に基づいてバウンス発光の可否を判断する。
【0065】
バウンス発光が可能と判断された場合に、発光装置202の回動駆動部212が発光部350を垂直に回動する駆動信号を出力し、発光駆動部214が発光装置202の発光部350および他の発光装置204、206を本発光する駆動信号を出力する。これにより、発光装置202、204、206がバウンス発光する。
【0066】
一方、バウンス発光が可能と判断された場合に、発光装置202の発光駆動部214が発光装置202の発光部350を本発光する駆動信号を出力する。これにより、発光装置202が前方へ発光する。この場合に他の発光装置204、206は発光を控えてもよいし、補助光として上方へバウンス発光してもよいし、発光部を水平に回動して前方へ発光してもよい。これらのいずれを選択するかがカメラ本体100へのユーザの操作により予め設定されていてもよい。
【0067】
以上、本実施形態によれば、一の発光装置の発光部を垂直に向けた状態において予備発光し、当該予備発光に基づいて、複数の発光装置のバウンス発光によって予め定められた露光量が得られるか否かを判断するので、適切な発光条件で本発光をすることができる。特に、バウンス発光が可能と判断された場合に当該一の発光装置の発光部が自動で垂直を向くので、シャッタチャンスを逃すことなくかつ発光部を回動し忘れることなく、バウンス発光をすることができる。また、バウンス発光が不可と判断された場合に少なくとも当該一の発光装置の発光部は水平を向いているので、シャッタチャンスを逃すことなくかつ発光部を回動し忘れることなく、通常の発光をすることができる。
【0068】
上記実施形態はいずれもレリーズボタンが全押しされたことにより予備発光およびそれに続いた本発光が行われる。これに代えてまたはこれに加えて、カメラ本体100および発光装置200の少なくとも一方に、バウンス確認ボタンを設けて、当該バウンス確認ボタンが押された場合に、予備発光してバウンス発光の可否を判断してもよい。
【0069】
上記実施形態はいずれもカメラ本体100としてレンズユニット292が着脱できる一眼デジタルカメラを例にとって説明したが、カメラ本体100としてレンズが一体型のコンパクトデジタルカメラであってもよい。また、上記実施形態はいずれも発光装置200、202、204、206がカメラ本体100に対して着脱可能である例を用いて説明したが、発光装置200、202、204、206がカメラ本体100に一体的に取り付けられていてもよい。
【0070】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0071】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0072】
10、12 カメラシステム、100 カメラ本体、110 メインCPU、290 記録部、114 操作部、120 電源、130 表示部、140 撮像部、142 光電変換素子、152 レンズI/F、154 外部接続I/F、160 内蔵フラッシュ回路、172 プログラムメモリ、174 主記憶装置、176 二次記憶媒体、180 モータ駆動部、200、202、204 発光装置、210 MPU、220 充電回路、230、270 メインコンデンサ、240 主発光部、242 発光面、250、280 モータ、260 副発光部、262 発光面、292 レンズユニット、294 光学系、296 測光部、298 AFセンサ、212 回動駆動部、214 発光駆動部、216 バウンス可否判断部、310 固定筐体、311 補助光光源、312 電源部、313 リモート用レディライト、315 共通カバー、320 取り付け部、322 取り付け脚、324 連動接点、350 発光部、332 水平回動部、334 垂直回動部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の発光部のうち少なくとも1つを上方に向けた状態において、上方に向けた発光部を予備発光する駆動信号を出力する発光駆動部と、
前記予備発光に基づいて、前記複数の発光部の少なくともいずれかのバウンス発光によって予め定められた露光量が得られるか否かを判断するバウンス可否判断部と
を備える発光制御装置。
【請求項2】
前記発光駆動部は、前記バウンス可否判断部によりバウンス発光が可能と判断された場合に、前記複数の発光部のうちのいずれかを上方に向けて発光する駆動信号を出力する請求項1に記載の発光制御装置。
【請求項3】
前記予備発光において前記複数の発光部のうち少なくとも1つは水平を向いた状態であって、
前記発光駆動部は、前記バウンス可否判断部によりバウンス発光が不可と判断された場合に、前記複数の発光部のうち、水平に向けた発光部を発光する駆動信号を出力する請求項2に記載の発光制御装置。
【請求項4】
前記複数の発光部は、主発光部、および、前記主発光部よりも発光量の上限が小さい副発光部を含み、
前記発光駆動部は、前記予備発光において前記副発光部を発光する駆動信号を出力するとともに、前記バウンス発光において前記主発光部を発光する駆動信号を出力する請求項2または3に記載の発光制御装置。
【請求項5】
前記主発光部を回動する駆動信号を出力する回動駆動部をさらに備え、
前記回動駆動部は、前記予備発光において前記主発光部を水平に回動する駆動信号を出力し、
前記回動駆動部は、前記バウンス可否判断部によりバウンス発光が可能と判断された場合に前記主発光部を上方に回動する駆動信号を出力し、前記バウンス可否判断部によりバウンス発光が不可と判断された場合に前記主発光部を上方に回動する駆動信号を出力しない請求項4に記載の発光制御装置。
【請求項6】
前記バウンス可否判断部によりバウンス発光が可能と判断された場合に、前記回動駆動部は前記副発光部を水平に回動する駆動信号をさらに出力するとともに、前記発光駆動部は前記副発光部を発光する駆動信号を出力する請求項5に記載の発光制御装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の発光制御装置と、
前記複数の発光部と、
を備える発光装置。
【請求項8】
前記複数の発光部のそれぞれに対応する複数の蓄電部をさらに備える請求項7に記載の発光装置。
【請求項9】
前記複数の発光部が互いに連動して回動する請求項7または8に記載の発光装置。
【請求項10】
請求項7から9のいずれか1項に記載の発光装置と、
像光を撮像する撮像部と
を備える撮像装置。
【請求項11】
請求項1から6のいずれか1項に記載の発光制御装置と、
像光を撮像する撮像部と
を備える撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−7867(P2013−7867A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−139926(P2011−139926)
【出願日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】