説明

発光幹細胞およびその使用

アポ発光タンパク質を発現することができ、細胞内カルシウム濃度変動に反応して基質として適した発色団の存在下で生物発光シグナルを生成することができる、安定な組換え幹細胞;特定の細胞系への幹細胞の分化を調節する作用物質を同定するための方法;特定の細胞系標的を刺激することができるリガンドを同定するための方法;特定の細胞系標的を刺激することが公知であるリガンドに対するアンタゴニストを同定するための方法;物質の毒性および/奇形学をin vitroで試験するための安定な組換え幹細胞の使用が記載される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アポ発光タンパク質(apophotoprotein)をコードする遺伝子を安定的にトランスフェクトした組換え幹細胞に関する。具体的には、本発明は、非ヒト全能性幹細胞、多能性胚性幹細胞、ヒトおよび非ヒト多能性腫瘍性細胞、多分化能成体幹細胞ならびにそれらの前駆体をいう。組換え発光タンパク質幹細胞系は、種々の目的のために、すなわち、特定の細胞系への分化を刺激または阻害する作用物質を同定するための未分化な状態におけるハイスループットスクリーニング、および内因性発現した標的遺伝子に関するスクリーニングを行うための分化状態におけるハイスループットスクリーニング等として、使用される。
【背景技術】
【0002】
幹細胞は、長期間、細胞分裂によって自身を再生することができる、未分化の細胞である(1)。さらに、ある生理学的または実験的条件下で、それらは、拍動する心筋細胞または膵臓のインスリン産生細胞等の、種々の細胞型に分化されうる(2、3)。
【0003】
幹細胞は、それらの潜在力に基づいて、細分および分類されうる。全能性幹細胞(totipotent stem cell)は、卵と精細胞との間の融合から生じる。受精卵細胞の最初のいくつかの分割によって生じた細胞もまた、全能性である。これらの細胞は、成長して任意の型の細胞になることができる。多能性幹細胞(pluripotent stem cell)は、全能性細胞の子孫であり、全能性幹細胞を除く任意の細胞型に分化することができる。多分化能幹細胞(multipotent stem cell)は、密接に関係した細胞のファミリーの細胞(例えば、赤血球、白血球および血小板等の血液細胞)のみ生じることができる。前駆(単能性と呼ばれることもある)細胞は、1つの細胞型しか生じることができないが、それらを非幹細胞と区別する、自己複製の特性を有する(3〜6)。
【0004】
幹細胞はまた、その起源に従って、成体または胚性のいずれかとして分類することができる。成体幹細胞は、特定の組織の分化細胞の間で見られる未分化細胞であり、大部分は多分化能があり、限られているが、いくつかの数の細胞型を生じることができる。それらはまた、新生児、臍帯、胎盤および羊水由来幹細胞を含む。それらはまた、体性幹細胞、または組織幹細胞とも呼ばれ、制御された様式でそれらが分化および/または分裂して、それらの由来する組織のすべての特殊化した細胞型を生じる、分化した組織において見られる(7〜9)。
【0005】
胚性幹細胞は、生殖細胞を含むすべての型の特殊化した細胞になる潜在性(多能性)を有する。それらは、分化なしでそれらの増殖を可能にする条件下で、培養物中で無限に増殖する能力を有する(3)。今までに、げっ歯動物およびヒトから、3つの型の多能性胚性幹細胞が発見されている(10):
着床前胚盤胞期胚の内部細胞塊由来である胚性幹細胞(ES)。それらは、正常な核型を有する。例えばマウスES TBV2、R1、D3細胞のような、いくつかの型のマウスおよびヒト胚性幹細胞が公知であり、樹立されている(11〜13、63)。
奇形癌腫に由来する胚性癌腫細胞(EC)。奇形癌腫は、3つの一次胚葉(内胚葉、中胚葉、および外胚葉)由来の多様な組織内に存在する多能性幹細胞を含む性腺腫瘍である。最もよく用いられているものは、マウスEC P19細胞系である。これらの細胞は、正常な核型を有さない(14〜18)。
胎児生殖隆起(PGC)の培養された始原生殖細胞に由来する胚性生殖細胞(EG)。それらは、正常な核型を有するが、異常な遺伝子刷り込みがある(19〜22)。
【0006】
ESおよびEG細胞をレシピエントマウスの胚盤胞にインジェクトして、キメラ動物を生じることができる。キメラマウスにおいて、これらの多能性細胞は、生殖系列を含むすべての細胞型に寄与しうる(20、21、23、24)。対照的に、胚に導入されたマウスEC細胞はほとんどの胚系列にコロニー形成するが、一般に、1つの実験的例外があるだけで、生殖系列にはコロニー形成しない(25〜27)。EC細胞が機能的配偶子を形成できないことは、それらの異常な核型を反映している可能性が最も高い(28)。幹細胞は、自己複製特性を維持しながらin vitroで長期間培養および拡大することができ、小型化を経ることができるので、ハイスループットスクリーニング(HTS)技術のための非常に強力な手段である。それらによって、純粋な集団ES細胞の調製のための、選択可能および誘導性のマーカーの使用が可能になる。遺伝子ターゲティング/相同組換えの技術によって、特定の遺伝子のノックアウト(KO)またはノックイン(KI)が可能になる。さらに、胚性幹細胞は、初代細胞に似た任意の細胞型に分化することができる(なぜならば、非腫瘍性細胞だからである)。このようにして、それらは、標的にとっての天然の環境を提供し、天然の様式で制御および発現される(多サブユニットイオンチャネルのような)複雑な標的を、扱うことができる。このことは、非常に重要な改良である、なぜならば、通常HTSスクリーニングにおいて、腫瘍性細胞系を用いて細胞ベースのアッセイが構成され、この腫瘍性環境によって生理学的な細胞条件を変化させうることが公知であるからである。
【0007】
多能性胚性幹細胞の使用により、製薬分野における基本的な役割が獲得された(29)。例えば標的評価について、創薬において遺伝子機能を理解することは成功のために基本的なことであるので、マウスES細胞は、KOマウスと比較して、より迅速でより安価な手段である。また、致死KOの場合、ES細胞の使用は、遺伝子機能評価のために非常に役立つ場合がある。
【0008】
幹細胞はまた、EVCAM試験(ヨーロッパ代替手法評価センター)によって肯定的に評価されている胚性幹細胞試験(EST)に使用されている。これは、3つの胚系列(内胚葉、中胚葉、および外胚葉)から生じる細胞分化および組織分化に関する薬物の毒性学および奇形学の試験である。幹細胞はまた、多能性幹細胞の分化によって得られた拍動している心筋細胞に対する変時性活性に対する薬物副次的効果の分析のために非常に重要である。この種の試験は、毒性学的試験のために使用される動物の数を減少させることができる。例えば、欧州連合において、現在市場に出ている30000までに化学物質は、今後10年間で再評価されなければならない。これは、約1000万匹の動物の使用を意味する。ESTのようなin vitroの試験の作成は、この意味で重大であり得、従来の動物全体での実験よりも短い時間で、より多くの化学物質の試験も可能になる(30、31、32)。
【0009】
生物発光は、種々の化学発光反応系によって、生物によって、またはそれら由来の物質によって、可視光が放射される現象である。生物発光反応は、3つの主要な成分を必要とする:ルシフェリン(基質)、ルシフェラーゼ(酵素)および分子状酸素。しかしながら、陽イオン(Ca++およびMg++)および補助因子(ATP、NAD(P)H)を含む、他の成分もまた、いくつかの反応において必要とされる場合がある。ルシフェラーゼは、基質であるルシフェリンの酸化を触媒し、不安定な中間体を生成する酵素である。不安定な中間体がその基底状態まで崩壊し、オキシルシフェリンを生じるときに、光が放射される。多くの異なる関係のないタイプのルシフェリンがあるが、少なくとも7つの門の多くの種は、セレンテラジンとして公知の、同じルシフェリンを使用する。いくつかの動物(例えばクラゲ)において、ルシフェリン/ルシフェラーゼ系は、カルシウム結合の際に発光する、安定な「発光タンパク質」の形態で抽出することができる。発光タンパク質は、それらはルシフェラーゼおよびルシフェリンの安定化された酸素化中間体複合体である点で、ルシフェラーゼとは異なる。発光タンパク質は、多くの海産腔腸動物中に存在し、これらの生物が繁殖、摂食および防御を含む種々の目的で発光するのを可能にする(33)。多くの発光生物がいるが、7つのみの発光タンパク質、すなわちサラシコリン(34、35)、エクオリン(36、37、38)、ミトロコミン(ハリスタウリンと同義)(39、40)、クリチン(フィアリジンと同義)(40、41)、オベリン(34、38、42、43)、ムネミオプシン(44、45)およびベロビン(44、45)が、今までのところ単離されている。これらのタンパク質はすべて、アポタンパク質、イミダゾピラジン発色団(すなわち、セレンテラジン)および酸素によって形成された複合体である。それらのアミノ酸配列は、特に3つのカルシウム結合部位(EF-ハンド構造)を含む領域において、高度に保存されている。用語「発光タンパク質」は、発光することができるセレンテラジン結合ポリペプチドを特定するが、「アポ発光タンパク質」は、セレンテラジンが存在しないタンパク質を示すよう使用される。
【0010】
最も研究されている発光タンパク質は、オワンクラゲ(Aequorea victoria)から単離されたエクオリン(46)およびオベリアロンギッシマ(Obelia longissima)から単離されたオベリン(47)である。発光タンパク質は、セレンテラジン、分子状酸素、EDTAおよび2-メルカプトエタノールまたはジチオスレイトールとのインキュベーションによって、アポ発光タンパク質から再生されうる。セレンテラジンは発光タンパク質エクオリン、ミトロコミン、クリチンおよびオベリンによって使用される共通の発光基質なので、発光反応は、これら4つの発光タンパク質において同じである可能性がある(48、49、50、51)。
【特許文献1】EP1413584
【特許文献2】特許出願EP05005390.9
【特許文献3】特許出願EP06000171
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
細胞イベントおよびそれらの制御の研究は、高感度で非侵襲性の分析方法を必要とする。発光タンパク質、および一般に生物発光の使用は、蛍光系と比較して視覚的にバックグラウンドがないので、優良なレポーター系である。
【0012】
発光タンパク質は、シグナル伝達および遺伝子発現に関連する細胞イベントをモニタリングするためのレポーター遺伝子として、細胞培養系において広く使用されている(33、34、46)。発光タンパク質を哺乳動物細胞中で発現させて、種々の刺激に反応したカルシウム変化をモニタリングする。細胞内カルシウム濃度は、アポ発光タンパク質を発現している哺乳動物細胞に補助因子セレンテラジンを加え、細胞内カルシウム濃度を示す光子放出を検出することによって、測定することができる。アポ発光タンパク質、および細胞内カルシウム濃度の調節に関与するレポーターの両方を発現する細胞の使用によって、化合物の、細胞内カルシウムの放出に対するそれらの効果についてのスクリーニングのための、妥当な系が提供される。
【0013】
ハイスループットスクリーニングアッセイは、しばしば、レポーター系として発光タンパク質を用いて設計される。系の感度ならびにその高いsignal to noise ratio(SN比)によって、小さいアッセイ体積の使用が可能になる。
【0014】
カルシウムフラックスアッセイ(calcium flux assay)は、一般に、多数の試料の一斉分析に適し、発光画像システムを備えた、光学的スクリーニング装置を利用したHTS形式で行われる。
【0015】
しかしながら、カルシウム濃度変動はまた、例えば、HTSアッセイにおいて最も使用されている装置の1つであるELIPR(登録商標)(蛍光定量的画像プレートリーダー、Molecular Devices Corporation、米国カリフォルニア州サニーベール)のような蛍光定量的装置を用いて、Fluo3、Fluo4、Fura2およびカルシウム色素(Molecular Devices and Molecular Probes)のような蛍光カルシウム色素を用いて検出することができる。この装置は、細胞単層上のシグナル単離を可能し、それによって細胞ベースのアッセイの感度を増強する、光学的検出装置を備えている。
【0016】
最新のFLIPR(登録商標)システムのバージョンは、CCDカメラベースの装置と比較して、より低い感度であっても、発光アッセイにも適するようになっている。このシステムの、より低い発光感度を克服するために、増強された発光を有する発光タンパク質が、非常に有利である。
【0017】
本発明の著者らは、適切なベクターによって発光タンパク質コード配列を安定的にトランスフェクトした幹細胞に基づいたシステムを開発した。トランスフェクトされた幹細胞は、種々のスクリーニング方法において直接使用される。
【課題を解決するための手段】
【0018】
アポ発光タンパク質を発現することができ、細胞内カルシウム濃度変動に反応して適した発色団基質の存在下で生物発光シグナルを生じることができる安定な組換え幹細胞が、本発明の目的である。幹細胞は、非ヒト全能性細胞および/もしくは多能性細胞;またはヒトもしくは非ヒト多能性腫瘍性細胞、もしくは多分化能細胞、またはそれらの前駆体を意図し、胚性、胎盤性もしくは羊水、または成体由来である。具体的には、好ましい幹細胞は、マウス胚性幹細胞、好ましくはES TBV2(63)細胞、および、マウス胚性癌腫細胞系、P19(26〜28、61)である。P19細胞系は、LIF(白血病抑制因子)および/または支持細胞層の必要なく未分化な状態で培養することができるので、いくらか有利な場合がある。
【0019】
アポ発光タンパク質は、天然または組換えもしくは合成の、任意のアポ発光タンパク質を意図する。アポ発光タンパク質は、天然でも、変異誘発した変異体でもよく、あるいは、改良された発光活性および/またはカルシウム感受性を有する変異体、および、2つの異なる天然のアポ発光タンパク質由来のキメラタンパク質、あるいは、光の放出およびカルシウム反応性の点で発光タンパク質の活性プロフィールが維持または増大されているように、1つまたは複数のアミノ酸残基の欠失、付加または置換によってさらに改変された変異体でもよい。アポ発光タンパク質配列はまた、哺乳動物コドン使用頻度のために最適化されうる、および/またはミトコンドリア標的配列に融合されうる(52、53、54)。増強された生物発光を有する発光タンパク質は、すでに従来技術、すなわちタンパク質オベリンとクリチンタンパク質の領域とのキメラ化によって得られた発光タンパク質Photina(登録商標)(EP1413584に記載されており、本明細書中で配列番号1として報告されている)において、開示されている。
【0020】
増強された生物発光を有する発光タンパク質はまた、以下の位置、Gly142→Cysで変異誘発されたクリチン配列(GenBank受託番号Q08121);または以下の12個の位置:Gly58→Glu、Asp69→Val、Ala70→Cys、Lys76→Arg、Lys77→Gly、Ile78→Cys、Asp81→Glu、Val86→Ile、Glu87→Ala、Ala90→Gln、Val92→Leu、およびGlu97→Glnで変異誘発されたクリチン配列(GenBank受託番号Q08121)のように、変異誘発に由来しうる。
【0021】
レポーターアポ発光タンパク質コード配列は、遍在性、器官特異的、組織特異的、細胞特異的もしくは発生段階特異的または誘導性プロモーターの制御下でクローニングすることができる。
【0022】
安定な組換えは、これらに限定されないが、エレクトロポレーション、PEG Ca++沈殿、陽イオン性脂質法等の、当業者に公知の標準的なトランスフェクション方法で達成することができる。
【0023】
有利なことに、安定な組換え幹細胞は、特定の細胞系に分化させて、少なくとも1つの特定の細胞系標的、好ましくは心筋細胞系、あるいは、神経細胞系、あるいは間葉細胞系、あるいは内皮細胞系の発現を得ることができる。本発明は、有利なことに、多くの適用、例えば治療、診断適用のための、化合物の同定および/または試験のための方法を提供する。本発明の文脈において、化合物ライブラリーは、試験または同定される化合物の、合成または組換えのいずれかの集合体である。
【0024】
本発明の別の目的は、特定の細胞系への幹細胞の分化を刺激する作用物質を同定するための方法であって、
a)未分化の段階の、本発明の安定な組換え幹細胞を用意する段階;
b)前記細胞を、分化を誘導すると推定される作用物質を含む化合物ライブラリーに曝露して、少なくとも1つの特定の細胞系標的の発現を得る段階;
c)基質として適した発色団を細胞に添加する段階;
d)細胞内Ca++の変動が得られるように、リガンドによって前記特定の細胞系標的を刺激する段階;
e)発光タンパク質の生物発光を検出する段階
を含む方法である。
【0025】
好ましくは、特定の細胞系は、心筋細胞系または神経細胞系である。
【0026】
好ましい実施形態において、方法は、ハイスループットスクリーニングによって行われる。
【0027】
本発明の別の目的は、特定の細胞系への幹細胞の分化を阻害する作用物質を同定するための方法であって、
a)未分化の段階の、本発明の安定な組換え幹細胞を用意する段階;
b)前記細胞を、分化を阻害すると推定される作用物質を含む化合物ライブラリーに曝露する段階;
c)前記細胞を、公知の分化を誘導する作用物質に曝露して、少なくとも1つの特定の細胞系標的の発現を得る段階;
d)基質として適した発色団を細胞に添加する段階;
e)細胞内Ca++の変動が得られるように、リガンドによって前記特定の細胞系標的を刺激する段階;
f)発光タンパク質の生物発光を検出する段階
を含む方法である。
【0028】
好ましくは、特定の細胞系は、心筋細胞系または神経細胞系である。
【0029】
好ましい実施形態において、方法は、ハイスループットスクリーニングによって行われる。
【0030】
本発明の別の目的は、細胞内Ca++の変動が得られるように標的を刺激することができるリガンドを同定するための方法である。
【0031】
特定の細胞系に分化した幹細胞は、初代細胞に類似している。有利なことに、この方法によって、最も自然な細胞状況で細胞によって内因性発現される複雑な多サブユニットでできていることが多い標的受容体、トランスポーターおよびチャネルを研究および調節することが可能になる。
【0032】
HTSにおける幹細胞の使用によって、標的の、より正確で生理学的な評価が得られ、これはより再現性があり、したがって、創薬プロセスのためにより信頼性がある。
【0033】
この方法は、
a)本発明の安定な組換え幹細胞を用意する段階;
b)前記細胞を特定の細胞系に最終的に分化させて、標的の発現を得る段階;
c)基質として適した発色団を細胞に添加する段階;
d)細胞を、前記標的の推定のリガンドを含む化合物ライブラリーと接触させる段階;
e)発光タンパク質の生物発光を検出する段階
を含む。
【0034】
好ましくは、特定の細胞系は心筋細胞系または神経細胞系である。
【0035】
好ましい実施形態において、方法は、ハイスループットスクリーニングによって行われる。
【0036】
本発明の別の目的は、細胞内Ca++の変動が得られるように標的に対するアンタゴニストを同定するための方法であって、
a)本発明の安定な組換え幹細胞を用意する段階;
b)前記細胞を特定の細胞系に最終的に分化させて、前記特定の標的の発現を得る段階;
c)基質として適した発色団を細胞に添加する段階;
d)細胞を、前記標的の推定のアンタゴニストを含む化合物ライブラリーと接触させる段階;
e)細胞を、前記標的を刺激することができるリガンドと接触させる段階;
f)発光タンパク質の生物発光変動を検出する段階
を含む方法である。
【0037】
好ましくは、特定の細胞系は、心筋細胞系または神経細胞系である。
【0038】
好ましい実施形態において、方法は、ハイスループットスクリーニングによって行われる。
【0039】
本発明の別の目的は、物質の毒性および/奇形学のin vitro試験のための、未分化または分化のいずれかの、安定な組換え幹細胞の使用である。例えば、胚性幹細胞試験(EST)in vitro系によって、未分化なマウスES細胞および分化した3T3線維芽細胞に対する細胞障害性効果と比較した、胚葉体における拍動している心筋細胞に対する試験化学物質の毒性および/または奇形学的効果を試験することが可能になりうる(変化した心臓発生は、化学物質の胎児毒性可能性の妥当な指標である)。これらの方法はまた、HTS系において、適応および使用することができる(30〜32)。
【0040】
上述のように、本発明の方法は、好ましくは、ハイスループット形式、すなわち、ハイスループットおよび超ハイスループット適用のためのCCDカメラベースのルミノメーター検出器もしくは蛍光定量的画像プレートリーダー(FLIPR(登録商標))を有する発光画像システム等の多試料分析に適した光学的スクリーニング手段または装置を利用した、96、384または1536マイクロタイタープレート(MTP)において行われる。
【0041】
典型的には、幹細胞は、発光タンパク質コード配列を含む発現ベクターが安定的にトランスフェクトされる。陽性クローンが選択され、適した培地中で播種され、培養された細胞に、セレンテラジン基質が添加され、試験分子の添加または刺激によってアッセイが開始される。生じた発光は、CCDカメラベースのルミノメーターまたは他の発光測定装置の使用によって発光を検出することができる、HTSスクリーニングのために最適化された多くの適した検出システムによって読み取られる。発光タンパク質発現細胞は、マイクロプレートウェルに播種され、これは、試験分子の添加/刺激の後、シグナル記録装置で読み取られる。
【0042】
発光タンパク質ベースのレポーター系を用いたハイスループットスクリーニングアッセイは、蛍光ベースの系と比較して、向上した感度およびsignal-to-noise ratio(SN比)を示す。発光タンパク質を発現する、幹細胞または分化した誘導体は、カルシウム刺激に反応して強い生物発光を生じ、目的の内在性標的を研究するのに有用である。
【0043】
最も関連性があって正確な細胞内含有物における治療上活性のある分子についてのスクリーニングの方法は、新薬の開発のために有利である。
【0044】
細胞イベントおよびそれらの制御の研究は、高感度で非侵襲性の分析方法を必要とする。発光タンパク質、および一般に生物発光は、しばしば、効率的なレポーター系として使用される。
【0045】
発光性発光タンパク質アッセイの使用は、HTSスクリーニングに対する蛍光方法にまさる利点が多い:
1〜10μMの生理学的範囲の、発光タンパク質の高カルシウム感度によって、小さいカルシウム移動の場合であっても、検出が可能になる;
発光タンパク質は、より正確に内部貯蔵からのカルシウム放出を検出するために、ミトコンドリア等の特定の細胞区画に標的化される可能性を有する(52〜54);
発光タンパク質ベースのアッセイは、すべてのカルシウム感受性蛍光色素の高い蛍光バックグラウンドシグナルと比較した場合、実質的にバックグラウンドを有さない。これは、発光対蛍光反応の、より大きい線形ダイナミックレンジに反映されている;
発光タンパク質ベースのアッセイの使用は、蛍光ベースのアッセイにおいてしばしばより高い偽陽性ヒット率につながる、化合物自己蛍光の問題を避けるので、HTSにおいて好ましい;
発光タンパク質ベースの発光アッセイにおいて用いられる基質(セレンテラジン)は、細胞に対して毒性を有さず、流出の対象でないが、蛍光アッセイにおいて使用されるカルシウム感受性色素は、しばしば細胞障害性である;
懸濁液中の細胞を使用する可能性は、代替的なアッセイプロセスである;
分析前の細胞洗浄の必要性がなく、試験点ごとのコストが低い。
【0046】
発光タンパク質ベースのアッセイは、スクリーニング中において、化合物添加の直後に光シグナルが生じるので、古典的なルシフェラーゼベースのアッセイより優れた利点も有する。実際、発光タンパク質は、細胞系において構成的に発現され、化合物とすぐに反応することができるが、古典的なルシフェラーゼベースのアッセイにおいては、ルシフェラーゼ遺伝子の誘導合成に必要な時間のために、細胞との化合物のインキュベーション時間がより長い。
【0047】
本発明は、以下の図面を参照することによって、以下の実験部分において、より詳細に説明される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0048】
(材料および方法)
[発光タンパク質の説明]
[Photina(登録商標)]
キメラ発光タンパク質Photina(登録商標)は、特許EP1413584に記載されており、本明細書中で配列番号1として報告されている:
Met Ser Ser Lys Tyr Ala Val Lys Leu Lys Thr Asp Phe Asp
Asn Pro Arg Tro Ile Lys Arg His Lys His Met Phe Asp Phe
Leu Asp Ile Asn Gly Asn Gly Lys Ile Thr Leu Asp Glu Ile
Val Ser Lys Ala Ser Asp Asp Ile Cys Ala Lys Leu Gly Ala
Thr Pro Glu Gln Thr Lys Arg His Gln Asp Ala Val Glu Ala
Phe Phe Lys Lys Ile Gly Met Asp Tyr Gly Lys Glu Val Glu
Phe Pro Ala Phe Val Asp Gly Trp Lys Glu Leu Ala Thr Ser
Glu Leu Lys Lys Trp Ala Arg Asn Glu Pro Thr Leu Ile Arg
Glu Trp Gly Asp Ala Val Phe Asp Ile Phe Asp Lys Asp Gly
Ser Gly Thr Ile Thr Leu Asp Glu Trp Lys Ala Tyr Gly Lys
Ile Ser Gly Ile Ser Pro Ser Gln Glu Asp Cys Glu Ala Thr
Phe Arg His Cys Asp Leu Asp Asn Ser Gly Asp Leu Asp Val
Asp Glu Met Thr Arg Gln His Leu Gly Phe Trp Tyr Thr Leu
Asp Pro Glu Ala Asp Gly Leu Tyr Gly Asn Gly Val Pro
【0049】
[i-Photina(登録商標)]
i-Photina(登録商標)(特許出願EP05005390.9)は、クリチン発光タンパク質(GenBank受託番号Q08121)の変異誘発Gly142→Cysによって得られる。
【0050】
[c-Photina(登録商標)]
c-Photina(登録商標)(特許出願EP06000171)は、以下の12個の位置:Gly58→Glu、Asp69→Val、Ala70→Cys、Lys76→Arg、Lys77→Gly、Ile78→Cys、Asp81→Glu、Val86→Ile、Glu87→Ala、Ala90→Gln、Val92→Leu、およびGlu97→Glnでクリチン配列(GenBank受託番号Q08121)を変異させて得られる。
【0051】
[哺乳動物細胞における発現のための発光タンパク質最適化]
c-Photina(登録商標)およびi-Photina(登録商標)遺伝子のコドン使用頻度を、高度に発現している哺乳動物遺伝子のコドンバイアスに適応させた。また、非常に高い(>80%)または非常に低い(<30%)GC含有量の領域は、可能な場合避けた。
【0052】
効率的な翻訳開始のために、コザックコンセンサス配列を開始コドンの上流に導入した。2つの終止コドンを加えて、効率的な終止を確実にした。
【0053】
[クローニング手順]
ミトコンドリアタグ(mito)有りまたは無しで、pcDNA3.1+ベクター(Invitrogen)中に遺伝子をクローニングして、pcDNA3 mito c-Photina(登録商標)、pcDNA3 mito i-Photina(登録商標)、およびpcDNA3 i-Photina(登録商標)を得た。ミトコンドリア標的化のために(52〜54)、ヒトチトクロムc酸化酵素、サブユニットVIII、シグナル配列を用いた:
5'-ATGTCCGTCCTGACGCCGCTGCTGCTGCGGGGCTT
GACAGGCTCGGCCCGGCGGCTCCCAGTGCCGCGCGC
CAAGATCCATTCGTTGGGATCCGCCACC-3'(配列番号2)。
【0054】
得られた構築物を、全長ジデオキシ配列決定によって検証した。
【0055】
[ES細胞培養]
ES細胞は、標準的な方法を用いて培養した(55、56)。
【0056】
〈ES培地、播種およびインキュベーション〉
TBV2(129S2/SvPas)胚性幹細胞(63)を、15%ウシ胎仔血清、FBS(ES認定、Invitrogen、カタログ番号16141079)DMEMダルベッコ改良イーグル培地、高グルコース、ピルビン酸Naなし(Invitrogen、カタログ番号10313021)、100μMβ-メルカプトエタノール(Invitrogen、カタログ番号31350010)、2mMグルタミン(Invitrogen、カタログ番号25030024)、1000U/ml白血病抑制因子、LIF(Prodotti Gianni、カタログ番号ESG1107)とともに、37℃、5%CO2で培養する。
【0057】
初代マウス胎仔線維芽細胞(MEF)細胞を、10%ウシ胎仔血清、FBS(Celbio、カタログ番号CHA11152)DMEMダルベッコ改良イーグル培地、高グルコース(Invitrogen、カタログ番号10313021)、1mMピルビン酸ナトリウム(Invitrogen、カタログ番号11360039)非必須アミノ酸(Invitrogen、カタログ番号11140-035)、2mMグルタミン(Invitrogen、カタログ番号25030024)とともに、37℃、5% CO2で培養する。
【0058】
〈安定的トランスフェクション〉
エレクトロポレーション法を用いて、発光タンパク質に対応するDNA構築物をトランスフェクトした。7×106個のES細胞を用いて、BglII(New England Biolabs)で線状化された30〜40μgのmito c-Photina(登録商標)、mito i-Photina(登録商標)およびi-Photina(登録商標)DNAをトランスフェクトし(エレクトロポレーション条件:500μF、0.24kV、BioRadジーンパルサー)、氷上で10〜20分間インキュベートした。細胞懸濁液を、LIFを含むES細胞培地中で希釈し、ゼラチンで覆われた100mm直径のプレートに移した。およそ48時間後に、200μg/ml G148(ジェネテシン、SIGMA、カタログ番号G5013)を含むES培地を用いて、選択を開始した。
【0059】
コロニーは、一般に、エレクトロポレーションの8〜9日後に、いつでもピッキングできる状態になっていた。
【0060】
〈コロニー選択プロセス〉
1. 114個のES pcDNA3/mito c-Photina(登録商標)、130個のES pcDNA3/mito i-Photina(登録商標)および99個のES pcDNA3/i-Photina(登録商標)クローンをピッキングした。
2. 播種の24時間および48時間後に、トランスフェクト細胞を、LIFを含むES培地中、2×96MTP白色プレート中に播種した。
3. 培地を、50μl/ウェルのタイロード(130mM NaCl、5mM KCl、2mM CaCl2、1mM MgCl2、5mM NaHCO3および20mM HEPES、pH7.4、2mM Ca2+)およびセレンテラジン10μM(Pharma Tech International)で置換した。
4. 陽性クローンを、以下を評価して選択した:
- 100μMヒスタミン(Sigma、カタログ番号H7125-5G)に対する反応。CCDカメラベースのルミノメーター条件:高感度、読み取り時間60秒間。
- Triton X-100細胞溶解の後に測定された、残りのトータル発光タンパク質活性。CCDカメラベースのルミノメーター条件:低感度、読み取り時間5秒間。
各構築物についての12個のクローンを選択し、増殖させ、カウントした細胞数10000〜20000c/w(96MTP)および2500c/w(384MTP)で再試験した。
- 100μMヒスタミンに対する反応。CCDカメラベースのルミノメーター条件:高感度、60秒間。
- Triton X-100溶解の後に測定された、残りのトータル発光タンパク質活性。CCDカメラベースのルミノメーター条件:低感度、5秒間。
【0061】
[DNA抽出]
ゼラチンコートされたディッシュ上に播種されたES細胞由来のDNAを、標準的なプロテイナーゼK消化およびフェノール-クロロホルム-イソプロパノール抽出法で抽出した(59)。
【0062】
[定量的PCRによる挿入数の判定]
「Platinum(登録商標)SYBR Green(登録商標)QPCR SuperMix UDG」プロトコル(60、Invitrogen)を用いて、反応あたりおよそ3ngのDNAを使用して、ES/mito c-Photina(登録商標)細胞に関して、QPCR(定量的ポリメラーゼ連鎖反応)を行った。使用したプライマーについては、トランスフェクションにおいて使用されたプラスミドを検出するためのプライマーは、c-Photina(登録商標)(CPH)およびネオマイシン(neo)遺伝子に関してPrimer Express(登録商標)ソフトウェアv2.0(Applied Biosystems)を用いて設計して、そして、ゲノムDNAを検出するためのプライマーは、gusB遺伝子に特異的であった:
CPH-for:CACCAAGTGTGCGTGGAGG(配列番号3);
CPH-rev:GCGATCTCCTTGCCGTACTC(配列番号4);
neo-for:CACGTACTCGGATGGAAGCC(配列番号5);
neo-rev:CCCTGATGCTCTTCGTCCAG(配列番号6);
gusB-for:GGAGGTGATTCAGCCACAGC(配列番号7);
gusB-rev:TCGGCTTCTGATGCGTCTTA(配列番号8)。
【0063】
すべてのQPCR実験は、ABI Prism 7700配列検出器(Applied Biosystems)上で実行した。
【0064】
PCRプロトコルは、以下の通りであった:50℃で2分間保持、95℃で2分間保持、95℃で15秒間、60℃で1分間の40サイクル;95℃で15秒間。20分間の長さの60℃〜95℃の温度勾配(融解曲線工程)。
【0065】
ラン終了時に、ABI Prism 7700ユーザ用マニュアルに記載されているように、PCRの間に得られた蛍光データを処理した。
【0066】
「Dissociation Curves 1.0」ソフトウェア(Applied Biosystems)を用いて、PCR産物の融解温度プロフィール分析を行った。いずれのQPCR実験においても、プライマーダイマーは生成されなかった。
【0067】
二倍体ゲノムあたりの(すなわち、細胞あたり)ネオマイシンおよび/またはc-Photina(登録商標)遺伝子のコピーの数を計算するために、Ct(サイクル閾値)およびPCR効率を、以下の式に入力した。
【0068】
【数1】

【0069】
(式中:
PCR効率target=ネオマイシンまたはc-Photina(登録商標)遺伝子のPCR効率;
PCR効率gusB=gusB遺伝子のPCR効率;
Ct target=ネオマイシンまたはc-Photina(登録商標)遺伝子のCt;
Ct gusB=gusB遺伝子のCt。)
【0070】
式の右側の分数は、gusBコピーあたりの挿入DNAのコピーの数を示す。二倍体ゲノム中に2つのgusBコピーが存在するので、分数に2をかける。
【0071】
[サザンブロット]
10μgの、ES/mito c-Photina(登録商標)細胞のESゲノムDNAを、種々の制限酵素、HindIII、XbaI、BamHI、HindIII/XbaI(Biolabs)で消化し、0.8%アガロースゲル上に添加し、正に荷電したナイロン膜(Roche、カタログ番号1417240)に移した。プローブとして、[32P]dCTP標識c-Photina(登録商標)コード配列を用いた(59)。
【0072】
10μgの、ES/mito i-Photina(登録商標)およびES/i-Photina(登録商標)細胞のESゲノムDNAを、EcoRI制限酵素(Biolabs)で消化し、0.8%アガロースゲル上に添加し、正に荷電したナイロン膜(Roche、カタログ番号1417240)に移した。プローブとして、[32P]dCTP標識i-Photina(登録商標)コード配列を用いた(59)。
【0073】
[免疫蛍光アッセイ]
1. 培地を除去し、1×PBSでの3回の洗浄を行った。
2. 4%パラホルムアルデヒド(PFA、MERCK、米国ニュージャージー州ホワイトハウスステーション、カタログ番号1.04005.1000)溶液で、室温で20分間、ES細胞を固定した。
3. 固定溶液を除去し、1×PBSでの3回の洗浄を室温で行った。
4. 細胞を、1×PBS中の10%標準ヤギ血清(Chemicon、カタログ番号S26-100ml)/0.2% Triton X-100とともに室温で30分間インキュベートして、ブロッキングおよび透過手順を行った。
5. ブロッキング溶液を除去し、1×PBSでの2回の洗浄を室温で行った。
6. 以下の種々の抗体を、1×PBS中の10%標準ヤギ血清0.1% Triton X-100中で、室温で2時間インキュベートした。
- マウスモノクローナル抗体抗oct3/4(C-10)(Santa Cruz Biotechnology、カタログ番号SC-5279)を、1:100希釈で用いた。
- マウスモノクローナル抗体抗SSEA-1(Santa Cruz Biotechnology、カタログ番号SC21702)を、Triton X-100透過剤を含まないバッファー中の1:100希釈で用いた。
- ウサギポリクローナル抗体抗ミオシン重鎖(NHC)(H-300)(Santa Cruz Biotechnology、カタログ番号SC-20641)を1:50希釈で用いた。
- ウサギポリクローナル抗体抗GATA-4(H-112)(Santa Cruz Biotechnology、カタログ番号SC-9053)を1:50希釈で用いた。
- マウスモノクローナル抗体抗筋節α-アクチニン(EA-53)(SIGMA、カタログ番号A7811)を1:50希釈で用いた。
- ウサギポリクローナル抗体抗神経フィラメントH(NF-H)(Chemicon、カタログ番号AB1989)を1:100希釈で用いた。
- マウスモノクローナル抗体抗神経核(NeuN)(Chemicon、カタログ番号MAB377)を1:100希釈で用いた。
- 3つのウサギポリクローナル抗体抗グリア線維酸性タンパク質(Dako、カタログ番号Z0334)を1:100希釈で用いた。
- マウスモノクローナル抗体抗ネスチン(Rat-401)(Chemicon、カタログ番号MAB353)を1:100希釈で用いた。
7. 1×PBSでの3回の洗浄を室温で行った。
8. 1×PBS中の10%標準ヤギ血清/0.1% Triton X-100中、蛍光標識抗マウス、もしくは抗ウサギFITC二次抗体のみとともに、またはローダミン化抗マウス抗体(ヤギおよびマウスIgG/IgMローダミン。Chemicon、カタログ番号AP130R)との組合せで、二次抗体とのインキュベーションを、室温で1時間行った。抗体は、1:200希釈で用いた。
9. 1×PBSでの3回の洗浄を、室温で行った。
10. 細胞を、1×PBS中に4℃で放置した。
【0074】
[胚葉体(EB)形成工程での心筋細胞分化プロトコル]
参考文献に記載されているプロトコルを参照のこと。(57)
【0075】
[心筋細胞でのCCDカメラベースのルミノメーター測定]
- Accutase(商標)(Chemicon、カタログ番号SCR005)で、分化9日目にEBを解離させ、計数し、標準タイロードバッファー(GqPCRでの試験のため)中およびKClなしのタイロード(L型カルシウムチャネルに関する試験のため)中の10μMセレンテラジン中で、37℃で3時間インキュベート(96MTP中20000個の細胞/ウェル)した。
- 細胞播種の3時間後に試験を実行した。
- CCDカメラベースのルミノメーター(条件:高感度、読み取り時間60秒間)で、50nMエンドセリン-1、100μMノルエピネフリンに対する反応を測定した。
- 40mM KClで、電位開口型カルシウムチャネルを刺激した。5μMニフェジピン(特異的L型電位開口型カルシウムチャネル阻害剤)(SIGMA、カタログ番号N7634)とともに、測定の前に細胞を15分間インキュベートして、チャネルの特異性を調べた。
- CCDカメラベースのルミノメーター(条件:高感度、30秒間)で、Triton X-100細胞溶解の後に、残りのトータル発光タンパク質活性を測定した。
【0076】
[胚葉体(EB)形成工程でのニューロン分化プロトコル]
参考文献に記載されているプロトコルを参照のこと(64、65)。
【0077】
[ニューロンでの、CCDカメラベースのルミノメーター測定]
- レチノイン酸誘導された(RA。SIGMA、カタログ番号R-2625)EBを解離させ、ポリD-リシン(Sigma、カタログ番号G7121)コートされた384MTP中に6500個の細胞/ウェルで播種し、さらなる分化期間にわたって、94MTP形式で24000個の細胞/ウェルを播種した。
- 分化14日目に、それらを、6μMωコノトキシンGVIA(特異的N型電位開口型カルシウムチャネル阻害剤)(BACHEM、カタログ番号H6615.1000)との15分間のプレインキュベーション時間ありまたはなしで、標準タイロードバッファー(グルタミン酸反応についての試験のため)中およびKClなしのタイロード(電位開口型カルシウムチャネルについての試験のため)中の10μMセレンテラジン中で、37℃で3時間インキュベートした。
- CCDカメラベースのルミノメーター(96MTP中のグルタミン酸反応についての条件:低感度、読み取り時間60秒間、384MTP中の電位開口型カルシウムチャネル反応についての条件:高感度、読み取り時間60秒間)で反応を測定した。
【0078】
[分化ニューロンおよび未分化ES/mito c-Photina(登録商標)ES/29クローンに関する蛍光定量的画像プレートリーダー(FLIPR(登録商標))測定]
16日目に、分化した細胞(レチノイン酸誘導されたEB解離およびポリD-リシンコートされた384黒色壁透明底プレート上にMTP上の6500個の細胞/ウェルでの細胞播種の後に得られる)を測定した。
【0079】
未分化ES/mito c-Photina(登録商標)ES/29クローンを、10000個の細胞/ウェルで、試験の24時間前に、ゼラチンコートされた384黒色壁透明底プレート上に播種した。
【0080】
実験を実行する前に、培地を除去し、細胞を、タイロード中に可溶化した25μl/ウェル膜電位色素(Molecular Devices、カタログ番号R8034)中で、37℃で30分間インキュベートした。
【0081】
120mM KCl(3X)(15mM NaCl、120mM KCl、2mM CaCl2、5mM NaHCO3、20mM Hepes)を含む12.5μl/ウェルのタイロードをインジェクトし、250秒間蛍光シグナルを記録し、RFU(相対蛍光単位)として表した。
【0082】
〈FLIPR384設定〉
曝露時間:0.3秒間
インジェクト速度:20μl/秒
インジェクトの高さ:50μl
【0083】
[発光タンパク質トランスジェニックマウスに関する発光タンパク質組織分析]
〈第1の実験〉
c-Photina(登録商標)導入遺伝子に対して1匹が陽性であり1匹が陰性である2匹のマウスを用いた。200μlの血液の試料を、両方のマウスの尾静脈から採血した。血液混入物を排除するために、それらを、生理溶液で灌流した。両方のマウスから、いくつかの組織を取り出し(脳、小脳、肝臓、脂肪、脾臓、骨格筋、坐骨神経、膵臓全体、肺、腎臓、血液、胃、精巣、心臓)、20mM Tris-HCl pH7.5、150mM NaCl、5mM DTT、1mM EDTA、0.1% BSA、20μMセレンテラジン+プロテアーゼ阻害剤混合物(Roche、カタログ番号1836145)を含む溶液とともに、室温で3時間インキュベートした。
【0084】
組織をより小さい部分に小さくするために、試料はすべて、外科用ハサミで切った。
【0085】
次いで、試料を、白色の96白色ウェル/プレートの3つのウェルに等分した。
【0086】
それらをすべて、Triton X-100および250mM CaCl2の溶液のインジェクトの後に、高感度で60秒間、0.6秒間の積分時間で、CCDカメラベースのルミノメーターで読み取った。
【0087】
時間中の種々の組織/器官中の発光タンパク質レポータータンパク質の存在および安定性を調べるために、6匹の動物(c-Photina(登録商標)導入遺伝子に対する3匹の陽性および3匹の陰性)を、異なる年齢でさらに屠殺した:2匹のマウスを生後3カ月で、2匹のマウスを生後6カ月で、および2匹のマウスを生後10カ月で。それらをすべて、血液混入物を排除するために、生理溶液で灌流した。脳、小脳、脾臓、肺、腎臓、胃、生殖腺、および心臓をマウスから取り出し、20mM Tris-HCl pH7.5、150mM NaCl、5mM DTT、1mM EDTA、0.1% BSA、20μMセレンテラジン+プロテアーゼ阻害剤混合物を含む溶液とともに、室温で3時間インキュベートした。
【0088】
組織をより小さい部分に小さくするために、試料はすべて、外科用ハサミで切り、次いで、白色の96白色ウェル/プレートに等分した。
【0089】
それらをすべて、Triton X-100および250mM CaCl2の溶液のインジェクトの後に、高感度で60秒間、0.6秒間の積分時間で、CCDカメラベースのルミノメーターで読み取った。
【0090】
〈第2の実験〉
2匹のマウス(c-Photina(登録商標)導入遺伝子に対して、1匹は陽性であり、1匹は陰性である)を用いた。2.8mgのセレンテラジン/マウスのkgを含む300μlのセレンテラジン溶液(生理溶液中の373μMセレンテラジン、3.3% DMSO、990nMグルタチオン)を、尾静脈を通して注射した。
【0091】
3時間後に、200μlの血液の試料を両方のマウス尾静脈から採取した。
【0092】
- Avertin(12.5μl/g体重)でマウスを麻酔した。肝管へのコラゲナーゼ(V型、1mg/ml)(Sigma Chemical、ミズーリ州セントルイス)注射によって、マウスから膵島単離を行った。次いで、腹部大静脈/大動脈の切断の後の失血によって、マウスを屠殺した。次いで、単離された膵臓を消化し、密度勾配(Histopaque-1077、Sigma)によってβ島を精製した。次いで、10%ウシ胎仔血清、100U/mlペニシリン、および100mμg/mlストレプトマイシンを補充されたM199培地(Invitrogen、カタログ番号22350-029)中、5% CO2を有する加湿雰囲気中で、島を37℃で一晩培養した。
【0093】
10個のMito c-Photina(登録商標)トランスジェニックマウス島/ウェルを、白色の96MTPに入れ、10μMセレンテラジンを含む標準タイロード溶液中で、37℃で4時間インキュベートした。島カルシウムカイネティクス反応を、グルコース刺激(11mM)または陰性対照としてのマンニトール(11mM)での刺激後、Luminoskan Ascent(Labsystems)ルミノメーターで、150秒間、0.5の積分時間で測定した。次いで、3mMでグルコース濃度を正規化し、次いで、CCDカメラベースのルミノメーター(高感度、60秒間)で、脱分極刺激(40mM KCl)で島を刺激した。Triton X-100ベースのバッファーでの細胞溶解の後に、島中のトータル発光タンパク質含有量を測定した(高感度、60秒間)。
【0094】
- 次いで、両方のマウス由来のいくつかの組織(脳、小脳、肝臓、脂肪、脾臓、心臓、坐骨神経、胃、肺、精巣、骨、骨格筋、腎臓、皮膚、胸腺)を取り出し、組織をより小さい部分に小さくするために、外科用ハサミで切った。すべての試料を2つのバッチに分割した。1つの部分を20mM Tris-HCl pH7.5、150mM NaCl、5mM DTT、1mM EDTA、0.1% BSA、+セレンテラジンなしのプロテアーゼ阻害剤混合物の溶液中に入れ、CCDカメラベースのルミノメーターで直ちに試験し、他方の部分は、代わりに、CCDカメラベースのルミノメーター試験の前に、20mM Tris-HCl pH7.5、150mM NaCl、5mM DTT、1mM EDTA、0.1% BSA、20μMセレンテラジン+プロテアーゼ阻害剤混合物を含む溶液とともに、室温で3時間インキュベートした。
【0095】
次いで、すべての試料を、96白色ウェル/プレートの2つのウェルに等分した。
【0096】
それらをすべて、Triton X-100および250mM CaCl2の溶液のインジェクトの後に、高感度で60秒間、0.6秒間の積分時間、CCDカメラベースのルミノメーターで読み取った。
【0097】
〈第3の実験〉
骨髄から単球(マクロファージ中でin vitroで分化した)を単離するために、1匹の他のc-Photina(登録商標)トランスジェニックマウスおよび1匹の陰性マウスを屠殺した(68)。
全細胞溶解活性を調べるために、各マウスについて、20000個の細胞/ウェルを96MTPプレート中に播種し、Triton X-100の溶液で細胞を溶解させた(高感度、60秒間、積分時間0.6秒間)。
【0098】
[P19細胞培養物]
〈P19培地、播種およびインキュベーション〉
10%ウシ胎仔血清、FBS(ES認定、Invitrogen、カタログ番号16141079)αMEM、GLUTAMAX(Invitrogen、カタログ番号32571028)を有する最小必須培地イーグル、1%ペニシリン/ストレプトマイシン(Invitrogen、カタログ番号15140122)とともに、P19胚性癌腫多能性幹細胞(ATCC、カタログ番号CRL-1825)を、5% CO2を有する加湿雰囲気中、37℃で培養する(61)。
【0099】
〈Mito c-Photina(登録商標)安定的トランスフェクション〉
好ましいプロトコルで置き換えることができる、エレクトロポレーション法を用いて、DNA構築物をトランスフェクトした。
【0100】
pcDNA3 DNA中の約10μgのmito c-Photina(登録商標)をBglII(New England Biolabs)で線状化し、エレクトロポレーションによって、2.5×106個の細胞にトランスフェクトした(エレクトロポレーション条件:500μF、0.24kV、BioRadジーンパルサー)。
【0101】
トランスフェクションから48時間後に、700μg/ml G418で選択を開始した。
【0102】
一般に、コロニーは、エレクトロポレーションの8〜9日後に、いつでもピッキングできる状態になっていた。
【0103】
〈クローン選択プロセス〉
1. P19 pcDNA3/mito c-Photina(登録商標)クローン。
2. 播種の24時間および48時間後に、10000および15000個の細胞/ウェルで、2x96MTP白色プレート中にトランスフェクト細胞を播種した。
3. 培地を、50μl/ウェルのタイロードで置換した(2mM Ca2+およびセレンテラジン10μM)。
4. 陽性クローンを、以下を評価して選択した。
- 100μMヒスタミンに対する反応。CCDカメラベースのルミノメーター条件:高感度、読み取り時間60秒間。
- Triton X-100細胞溶解の後に測定された、残りのトータル発光タンパク質活性。CCDカメラベースのルミノメーター条件:低感度、30秒間。
【0104】
[P19/mito c-Photina(登録商標)/1A1クローンin vitroニューロン分化]
参考文献に記載されているプロトコルを参照のこと(67)。
【0105】
[P19/mito c-Photina(登録商標)/1A1クローン由来のニューロンに関する、CCDカメラベースのルミノメーター測定]
ニューロン分化プロトコルの8日目および11日目に(それぞれポリD-リシンコートされた384MTP中の播種の4および7日後)、P19/mito c-Photina(登録商標)/1A1クローンから分化したニューロンを、25μl/ウェルの、標準タイロードバッファー中の10μMセレンテラジンとともに、37℃で4時間インキュベートした。
【0106】
CCDカメラベースのルミノメーターで、40mM KClのインジェクトによって誘導された脱分極刺激に対する反応を記録した(条件:高感度、読み取り時間60秒間)。
【0107】
[P19/mito c-Photina(登録商標)/1A1クローン由来のニューロンに関するFLIPR384測定]
ニューロン分化プロトコルの8日目に(ポリD-リシンコートされた384ウェルプレート中の播種の4日後)、25μl/ウェルのFluo-4 NW(登録商標)カルシウム感受性蛍光色素(Invitrogen、カタログ番号F36205)とともに、P19/mito c-Photina(登録商標)/1A1クローンから分化したニューロンを、暗黒中でインキュベートした。
【0108】
プレートを37℃で30分間インキュベートし、次いで、室温でさらに30分間インキュベートした。
【0109】
12.5μl/ウェルの120mM KCl(3X)溶液をインジェクトし、360秒間蛍光シグナルを記録し、RFU(相対蛍光単位)として表した。
【0110】
〈FLIPR384設定〉
曝露時間:0.3秒間
インジェクト速度:20μ/秒
インジェクトの高さ:50μl
【0111】
[未分化P19/mito c-Photina(登録商標)/1A1クローンおよびP19/mito c-Photina(登録商標)/1A1クローン由来のニューロンに関する、FLIPR(登録商標)測定]
未分化P19/mito c-Photina(登録商標)/1A1クローンに関して、3000個の細胞/ウェルを、ゼラチンコートされた384ウェルプレート中に播種した。播種した24時間後に、細胞を、25μl/ウェルのFluo-4 NW(登録商標)カルシウム感受性蛍光色素とともに、暗黒下でインキュベートした。
【0112】
P19/mito c-Photina(登録商標)/1A1クローンから分化したニューロンに関して、ニューロン分化プロトコルの8日目(ポリD-リシンコートされた384ウェルプレート中の播種の4日後)に、細胞を、25μl/ウェルのFluo-4 NW(登録商標)カルシウム感受性蛍光色素とともに、暗黒下でインキュベートした。
【0113】
両方のプレートを37℃で30分間インキュベートし、次いで、室温で30分間インキュベートした。
【0114】
12.5μl/ウェルの、以下のタイロードバッファー中の3X化合物をインジェクトし、蛍光シグナルを330秒間記録し、RFUとして表した。
3X化合物:300μMヒスタミン、および300μMグルタミン酸
【0115】
〈FLIPR384設定〉
曝露時間:0.3秒間
インジェクト速度:20μl/秒
インジェクトの高さ:50μl
【0116】
〈一過性トランスフェクション分析〉
1. トランスフェクションの24時間後に、培地を、50μl/ウェルのタイロード(2mM Ca2+およびセレンテラジン10μM)で置換し、37℃で4時間インキュベートした。
2. Luminoskan Ascent(Labsystems)を用いて、50μl/ウェルの200μMヒスタミン(2X)をインジェクトした。ルミノメーター条件:積分時間1秒間、読み取り時間60秒間。
- Microlumat LB 96P(EG&G Berthold)で、Triton X-100細胞溶解の後に、残りのトータル発光タンパク質活性を測定した。読み取り時間3秒間。
【0117】
〈Mito i-Photina(登録商標)およびmito Photina(登録商標)安定的トランスフェクション〉
好ましいプロトコルで置き換えることができるエレクトロポレーション法を用いて、DNA構築物をトランスフェクトした。
【0118】
約10μgのmito Photina(登録商標)およびDNAをBglII(New England Biolabs)で線状化し、2.5×106個の細胞で、エレクトロポレーションによってトランスフェクトした(エレクトロポレーション条件:500μF、0.24kV、BioRadジーンパルサー)。
【0119】
700μg/ml G418で、トランスフェクションの48時間後に選択を開始した。
【0120】
エレクトロポレーションの9日後に、コロニーを貯蔵および収集した。
- 50、100および150μMヒスタミンに対する反応。CCDカメラベースのルミノメーター条件:高感度、読み取り時間60秒間。
- Triton X-100細胞溶解の後に、残りのトータル発光タンパク質活性を測定した。CCDカメラベースのルミノメーター条件:低感度、30秒間。
【0121】
[蛍光定量的画像プレートリーダー(FLIPR(登録商標))測定]
384黒色壁透明底プレート(MATRIX、カタログ番号4332)中に20000個の細胞/ウェルを播種し(25μl/ウェル)、細胞播種の24時間後に試験を実行した。実験を実行する前に、培地を除去し、細胞を、50μl/ウェルカルシウム3アッセイキット0.5X(Molecular Devices、カタログ番号R8090)中、37℃で30分間インキュベートした。
【0122】
25μl/ウェルのヒスタミン300μM(3X)をインジェクトし、蛍光シグナルを60秒間記録し、RFU(相対蛍光単位)として表した。
【0123】
〈FLIPR384設定〉
曝露時間:0.2秒間
インジェクト速度:20μl/秒
インジェクトの高さ:50μl
【実施例】
【0124】
(1.発光タンパク質をトランスフェクトしたES細胞系の発生)
[1.1.1 Mito c-Photina(登録商標)ES TBV2クローン]
マウスES TBV2 mito c-Photina(登録商標)細胞系を、ES TBV2 p16細胞の、BglII制限酵素で線状化された、mito c-Photina(登録商標)発光タンパク質遺伝子を含むpcDNA3ベクター(材料および方法)でのエレクトロポレーションによって得た。トランスフェクションの48時間後に、細胞に、200μg/ml G418での選択を行った。8日間の選択の後に、152個の薬物耐性コロニーをピッキングした。形態学的分析の後、約114個のみを、それらがコンフルエンスに達するまで、96ウェル/プレートにおいて、以下の5つの複製で、MEF層上で培養した。
1- 2つを、播種後24および48時間でのCCDカメラベースのルミノメーターでの試験のために、ゼラチンコートされた96白色MTP上で置いた。
2- 1つを、DNA抽出のために、ゼラチンコートされた96白色MTP上に置いた。
3- 2つを、-80℃での凍結および保存のために、支持細胞層上に置いた。
【0125】
[1.1.2 Mito c-Photina(登録商標)ES TBV2クローン選択]
測定の4時間前に、活性のある発光タンパク質を再構成するために、陽性クローンの培地を、暗黒下、5% CO2を含む加湿雰囲気中37℃で、50μl/ウェルのタイロードバッファー2mM Ca2+および10μMセレンテラジンで置換した。
【0126】
発光測定のために、細胞を、まず、ヒスタミン(ヒスタミンは、ES内在性ヒスタミン-1受容体を刺激して(58)細胞質Ca2+濃度を上昇させることが公知である)に対して反応できるかどうか(発光シグナル)について分析した。CCDカメラベースのルミノメーターによって、最初の60秒間の間に100μMヒスタミンのインジェクトの後に発光した光子の数を測定した。得られた反応のカイネティクスを図1Aに示す。
【0127】
各実験の終わりに、細胞を溶解した(Triton X-100を含む溶液によって)。細胞中で発現された発光タンパク質のすべては遊離カルシウムと反応し、発光した光を測定した(図1B)。シグナルは、細胞内に含まれる発光タンパク質の総量の指標である。
【0128】
12個の最良のヒスタミン反応クローンを選択し、96MTP中で計数された細胞で再検査した(図2AおよびB)。
【0129】
種々のパラメータに基づいて、2つの最終的なクローンを選択した。ヒスタミンに反応できるかどうか(図3)および細胞溶解の後のトータル発光タンパク質含有量(データ示さず)は主な識別因子であったが、細胞形態学および増殖速度もまた、分析した。さらに、サザンブロット分析(59)および定量的PCR(60)を行った。サザンブロット分析は、1つのランダム挿入のみが起こることを確実にするのに重要である。これを調べるために、トランスフェクションに用いるベクター中で1回だけ切断する制限酵素(連鎖を探すため)、または発光タンパク質遺伝子を切り取ることができる2つの酵素(ともに単一の消化においても用いられる)での二重消化でゲノムDNAを消化して、結果の特異性を確実にした。アッセイに使用したプローブは、発光タンパク質遺伝子であった。遺伝子挿入の数を分析するために、定量的PCRもまた行った。
【0130】
最終的なクローンはまた、核型分析によっても特徴づけした(61)。クローンN.29および84を選択した。クローンN.29は、ゲノムに組み込まれた発光タンパク質遺伝子コピーを1つだけ有するが、クローンN.84は、ゲノムに1回だけ組み込まれた逆位の連鎖として、2つのコピーを有する。
【0131】
それらはまた、懸滴胚葉体形成標準方法の後に自発的に拍動する心筋細胞に、およびレチノイン酸存在下での胚葉体形成の後に神経細胞型に、分化させた(57、64、65)。
【0132】
[1.1.3.ES/mito c-Photina(登録商標)/29クローンの幹細胞性実証]
特異的細胞表面抗原(SSEA-1)(図4A)および転写因子oct3/4(図4B)のような未分化多能性マウス胚性幹細胞の特異的マーカーの存在を調べるために、ES/mito c-Photina(登録商標)/29クローンに関して、間接免疫蛍光アッセイを行った。結果は良好であり、図4Aおよび4Bに報告した。
これらの細胞によって示された別の幹細胞性特性は、ELF(登録商標)ホスファターゼ染色キット(ATCC、カタログ番号SCRR-3010)で測定されたアルカリホスファターゼ酵素活性の存在である(図5)。
【0133】
[1.1.4.ES/mito c-Photina(登録商標)/29クローンで行われたIn vitro分化アッセイ]
29個のクローン細胞の多能性はまた、これらの細胞がin vitroで心筋細胞およびニューロンのような異なる胚葉由来の細胞型に分化することができることによって実証した。
【0134】
分化実験は、胚葉体(EB)形成の工程を含む懸濁プロトコルおよび接着のプロトコルのような種々の手法を用いて行った(データ示さず)。
【0135】
具体的にはEB工程(材料および方法参照)を含むプロトコルを用いて、最適な結果を得た。
【0136】
〈心筋細胞〉
上述の手順を用いて、分化6日目から開始して、自然に拍動する心筋細胞の外観を観察した。拍動している領域を含むEBのパーセンテージは、約80%であった(図6)。このパーセンテージはまた、すなわちゼラチンコートされた24MTP、96MTP、384MTP、およびチャンバースライドのような、種々の支持体を用いて維持した(データ示さず)。
【0137】
成熟した心筋細胞の存在を検証するために、細胞骨格タンパク質α-アクチニン(図7A)、ミオシン重鎖(MHC)(図7B)、または転写因子GATA-4(図7C)のような特異的心筋細胞マーカーの存在を求める免疫蛍光アッセイを行った。
【0138】
Accutase(登録商標)バッファーでの胚葉体解離および10μMセレンテラジンタイロードバッファー中の再懸濁の後に、CCDカメラベースのルミノメーター装置で、予備の機能試験を行った。細胞を計数し、96MTP中20000c/wの細胞濃度で播種した。37℃で4時間後に、対照としての標準タイロードバッファー、50nMエンドセリン-1および100μMノルエピネフリン(それぞれ、ともに心筋細胞中に高濃度で存在するGqPCRエンドセリン受容体およびα1-アドレナリン作動性受容体のアゴニストである)で、細胞を刺激した(CCDカメラベースのルミノメーター条件:高感度、60秒間)。示された反応は強く(中でも、エンドセリン受容体については)、特異的であった(図8A)。心筋細胞中に高濃度で存在するL型電位開口型カルシウムチャネルを活性化するために、脱分極刺激である40mM KClで、同じ細胞を刺激した。特定のL型電位開口型カルシウムチャネル阻害剤である5μMニフェジピンとともに細胞を15分間プレインキュベートするか、またはしないで(KClインジェクトの前)、反応の特異性を調査した(図8B)。
【0139】
細胞溶解バッファーをインジェクトして、残りの発光タンパク質活性を調べた(CCDカメラベースのルミノメーター条件:高感度、30秒間)(図8C)。
【0140】
〈ニューロン〉
ニューロン分化のために、1μMの全トランスレチノイン酸の存在下で、胚葉体を形成させた。組織培養処理ディッシュ上への播種の2日後に、長さが経時的に増大する細胞延長の存在が可視により確認できた(図9)。
【0141】
レチノイン酸処理されたEBはまた、解離させて、異なるコーティング基質上に再播種し、血清の非存在下でニューロン特異的培地とともに培養することができる。これらの細胞において、免疫蛍光(2つの異なる蛍光色素での二重染色に関して本明細書中に報告されている神経フィラメントH、神経核抗原-図10AおよびB)、またはグリアマーカー(グリア線維酸性タンパク質、図10C)、または神経前駆細胞についてのマーカー(ネスチン、図10D)によって、特異的マーカーの存在を調査した。この種類の細胞集団は完全に分化したニューロンによって生じたのではないが、グリア細胞および神経前駆体も含むということに留意することは重要である。かかる集団の例が図10において報告されている(分化18日目)。
【0142】
CCDカメラベースのルミノメーターで、これらの細胞の機能性を調べた。分化14日目に、細胞を、10μMセレンテラジンを含むタイロード溶液とともに4時間インキュベートした。グルタミン酸受容体反応を調査するために、100μMグルタミン酸をインジェクトして、細胞を刺激するか(図11A)、または、N型電位開口型カルシウムチャネルを特異的阻害するために、6μMωコノトキシンGVIAの存在下もしくは非存在下で、40mM KClで脱分極した(15分間プレインキュベートした)(図11B)。
【0143】
これらの細胞の機能性はまた、FLIPR384で調査した。分化16日目に、培地を除去し、細胞を、標準タイロード中に可溶化された膜電位色素とともに37℃で30分間インキュベートした。40mM KClでの刺激の後に、蛍光シグナルを180秒間記録し、RFUとして記録した(図12、実線)。対照として、未分化ES/mito c-Photina(登録商標)/29クローンに関して同じ実験を行った(図12、破線)。
【0144】
[1.1.5.生殖系列伝達分析]
生殖系列伝達によって、発光タンパク質レポーター遺伝子を含むマウス胚性幹細胞(ES TBV2)を試験した。クローンN.29および84を、ともに妊娠中の宿主雌マウス(EMBL Monterotondo)の胚盤胞にインジェクトした。子孫は、高い程度のキメラ化(ほぼ100%)および雄表現型を示した。29由来の2つの最良のキメラ雄マウスを選択し、性的成熟に達したときに、BL6雌マウスと交雑させて、トランスジェニックES細胞の生殖系列伝達能力を調査した。生殖系列伝達は、マウス胚性幹細胞の全能性を実証するための、唯一の、論争の余地のない方法である。
【0145】
予想されるように、これらの交雑種から生まれたマウスの半分は、発光タンパク質遺伝子についてヘテロ接合性のトランスジェニックマウスである。
【0146】
ホモ接合性の集団を得るために、これらのヘテロ接合性トランスジェニックマウスをそれら自身と交雑させた。生まれたマウスの4分の1はホモ接合性であり、表現形的に正常であり、導入遺伝子が任意の重大な遺伝子を破壊しなかったことが実証された。
【0147】
これらのc-Photina(登録商標)トランスジェニックマウスは、成体幹細胞(例えば造血幹細胞または間葉系幹細胞)、関係する前駆体、および発光タンパク質を含む初代細胞としての、細胞の非常に重要な供給源である。
【0148】
発光タンパク質トランスジェニック動物由来の細胞は、「初代様」細胞(ES細胞からの分化の後に得られた)についての陽性対照として使用することができるが、それらはまた、HTSプロセス自体のための、発光タンパク質含有初代細胞の優良な供給源である。
【0149】
この理由のために、どの組織中で発光タンパク質が発現されているかを調査することを決定した。
【0150】
c-Photina(登録商標)導入遺伝子に対して1匹が陽性であり1匹が陰性である、2匹のマウスを屠殺した。両方のマウスからいくつかの組織を取り出し、20mM Tris-HCl pH7.5、150mM NaCl、5mM DTT、1mM EDTA、0.1% BSA、20μMセレンテラジン+プロテアーゼ阻害剤混合物を含む溶液とともにインキュベートした。不飽和カルシウム環境中で試料中に存在するすべての発光タンパク質を放出させるために、室温で3時間のインキュベーションの後に、250mM CaCl2と同時期にTriton X-100の溶液をインジェクトして、組織/器官を溶解させた(図13A)。上述の同じ手順でより多くの動物を同時に分析して、種々の年齢(生後3、6、10カ月)の動物において、時間中に、種々の組織中の発光タンパク質トランスジェニックの存在を調べた。測定されたシグナルは、試料の量が正規化されていないことを考慮して、時間中、安定なようである(図13B)。
【0151】
次いで、尾静脈による2.8mgのセレンテラジン/kgの静脈内全身注射の後に、セレンテラジンが種々の組織/器官に存在する発光タンパク質を拡散および充填することができるかどうかを調べた第2の実験を行った(66)。3時間後にマウスを屠殺し、いくつかの組織/器官を取り出した。細胞溶解およびカルシウム溶液のインジェクトの後に、CCDカメラベースのルミノメーターで物質の半分を直接試験した(高感度、60秒間、0.6積分時間)(図14A)。物質の他方の半分を別の96MTPに移し、20μMセレンテラジンを含む溶液とともに、さらに3時間インキュベートした。また、細胞溶解およびカルシウム溶液のインジェクトの後に、CCDカメラベースのルミノメーターで、この、他のプレートを試験した(高感度、60秒間、0.6積分時間)(図14B)。
【0152】
屠殺の前に、膵島単離および精製も行った(材料および方法参照)。島を37℃で一晩培養した。翌日、島を手作業で選別して、96MTPに入れた(10個の島/ウェル)。
【0153】
10μMセレンテラジンを含む標準タイロード中で、37℃で3時間、それらをインキュベートした。
【0154】
その後、カルシウム媒介性インスリン経路を活性化するために、それらを11mMグルコースで刺激した。対照として、別の糖(カルシウム媒介性インスリン反応を誘導することができない)、マンニトール(11mM終濃度で)でも島を刺激した。Luminoskanルミノメーターで、150秒間、積分時間0.5で、それらを測定した(図15A)。
【0155】
次いで、グルコース濃度を3mMで正規化し、脱分極剤(40mM KCl)で島をさらに刺激し、CCDカメラベースのルミノメーターで測定した(高感度、60秒間)(図15B)。細胞溶解バッファーをインジェクトして、残りの発光タンパク質活性を調べた(高感度、60秒間)(図15C)。
【0156】
トランスジェニック動物はまた、発光タンパク質を含む初代細胞の非常に重要な供給源である。この目的のために、初代細胞の例として、単球を、陽性マウスおよび対照としての陰性マウスの骨髄から単離した。次いで、マクロファージを得るために、これらの細胞をin vitroで分化させた(68)。細胞培養物の樹立の後に、Triton X-100の溶液で細胞を溶解させて、c-Photina(登録商標)導入遺伝子の存在を調べた(図16)。
【0157】
[1.2.1.Mito i-Photina(登録商標)ES TBV2クローン]
BglII制限酵素で線状化された、mito i-Photina(登録商標)発光タンパク質遺伝子を含むpcDNA3ベクター(材料および方法)でのES TBV2 p16細胞のエレクトロポレーションによって、マウスES TBV2 mito i-Photina(登録商標)細胞系を得た。トランスフェクションの48時間後に、200μg/ml G418で細胞に選択を行った。8日間の選択の後に、130個の薬物耐性コロニーをピッキングし、それらがコンフルエンスに達するまで、96ウェル/プレートにおいて、以下の5つの複製で、MEF層上で培養した。
- 2つを、播種の24および48時間後のCCDカメラベースのルミノメーターでの試験のために、ゼラチンコートされた96白色MTP上に置いた。
- 1つを、DNA抽出のために、ゼラチンコートされた96白色MTP上に置いた。
- 2つを、-80℃での凍結および保存のために、支持細胞層上に置いた。
【0158】
[1.2.2.Mito i-Photina(登録商標)ES TBV2クローン選択]
ES TBV2 mito c-Photina(登録商標)細胞系について上記で報告されているように、クローンを選択した。
【0159】
最終的なクローンは、70番および43番であった。70クローンは、最も高いヒスタミン反応を示した(図17A)が、クローン43もまた、優良なヒスタミン用量反応を示した(データ示さず)。細胞溶解の際のトータルの発光は、両方について優良であった(図17B)。
【0160】
それらはまた、リアルタイムPCRについてではなく、1つの組み込みしか示さないサザンブロットによって分析した。
【0161】
両方のクローンの核型は正しかった。
【0162】
[1.3.1.i-Photina(登録商標)ES TBV2クローン]
BglII制限酵素で線状化された、i-Photina(登録商標)発光タンパク質遺伝子を含むpcDNA3ベクター(材料および方法)でのES TBV2 p16細胞のエレクトロポレーションによって、マウスES TBV2 i-Photina(登録商標)細胞系を得た。
【0163】
トランスフェクションの48時間後に、細胞に、200μg/ml G418での選択を行った。8日間の選択の後に、99個の薬物耐性コロニーをピッキングし、それらがコンフルエンスに達するまで、96ウェル/プレートにおいて、以下の5つの複製で、MEF層上で培養した。
- 2つを、播種の24および48時間後のCCDカメラベースのルミノメーターでの試験のために、ゼラチンコートされた96白色MTP上に置いた。
- 1つを、DNA抽出のために、ゼラチンコートされた96白色MTP上に置いた。
- 2つを、-80℃での凍結および保存のために、支持細胞層上に置いた。
【0164】
[1.3.2.i-Photina(登録商標)ES TBV2クローン選択]
ES TBV2 mito c-Photina(登録商標)細胞系について上記で報告されているように、クローンを選択した。
【0165】
最終的なクローンは、113番および109番であった。113クローンは、最高のヒスタミン反応を示した(図18A)。細胞溶解の際のトータルの発光は、両方について優良であった(図18B)。
【0166】
リアルタイムPCRについてではなく、1つのみの組み込みを示すサザンブロットによっても、それらを分析した。
【0167】
両方のクローンについての核型は正しかった。
【0168】
(2.発光タンパク質をトランスフェクトしたP19細胞系の発生)
[2.1.1.Mito c-Photina(登録商標)P19クローン]
BglII制限酵素で線状化された、mito c-Photina(登録商標)発光タンパク質遺伝子を含むpcDNA3ベクター(材料および方法)でのP19細胞のエレクトロポレーションによって、P19 mito c-Photina(登録商標)細胞系を得た。
【0169】
トランスフェクションの48時間後に、細胞に、700μg/ml G418での選択を行った。約7〜8日間の選択の後に、薬物耐性コロニーをピッキングし、培養した。
【0170】
[2.1.2.Mito c-Photina(登録商標)P19選択]
測定の4時間前に、活性のある発光タンパク質を再構成するために、培地を、50μl/ウェルのタイロードバッファー2mM Ca2+および10μMセレンテラジンで、暗黒下、5% CO2を含む加湿雰囲気中、37℃で置換した。
【0171】
発光測定のために、細胞を、まず、ヒスタミン(ヒスタミンは、P19内在性ヒスタミン-1受容体を刺激すること(58)および細胞質Ca2+濃度を上昇させることが公知である)に反応できるかどうか(発光シグナル)について分析した。
【0172】
ヒスタミンに反応した発光タンパク質活性およびTriton X-100での細胞溶解の後に測定された発光タンパク質のトータルの含有量に基づいて、2つの最終的なクローンを選択した(図19)。心筋細胞発生のための誘導剤としての0.5〜1%DMSOの存在下または非存在下で、および、神経発生のための5〜1%レチノイン酸の存在下または非存在下で胚葉体形成を用いて得られた分化プロセスの後に、それらが自発的に拍動する心筋細胞およびニューロンに分化することができるかどうかもまた考慮した(61、62、64、67)。
【0173】
[2.1.3.神経細胞系へのP19/mito c-Photina(登録商標)/1A1クローンin vitro分化]
mito c-Photina(登録商標)細胞を発現している多能性胚性癌腫P19の1A1クローンは、in vitroで神経細胞型に分化することができることが示された。
【0174】
これらの細胞が神経フィラメントH(NF-H)および神経核(NeuN)のようなニューロンの特異的マーカー(図20Aおよび20B)または神経前駆細胞マーカー(ネスチン)(図20C)を発現することが、免疫蛍光によって実証された。
【0175】
これらの細胞の機能性はまた、CCDカメラベースのルミノメーターで調査した。分化8および11日目(胚葉体の解離および384MTP中のポリD-リシン上の播種の、それぞれ4および7日後)に、細胞を、10μMセレンテラジンを含むタイロード溶液とともに、4時間インキュベートした。40mM KCl、または最適な反応を示す対照としての標準タイロードのインジェクトで、電位開口型カルシウムチャネルを刺激した(図21)。
【0176】
分化8日目に、FLUO-4NW(登録商標)とともに細胞をインキュベートし、40mM KCl脱分極剤をインジェクトして、同じ細胞を、FLIPR384でも分析した。また、この場合においても、発光レポーターシステムで観察される最も悪いカイネティクス形状であっても、細胞中のカルシウムの侵入によるシグナルの顕著な増大がある(図22)。
【0177】
同じ発生段階のこれらの細胞(8日目)を、代謝型もしくはイオンチャネル型グルタミン酸受容体の存在(図23B、破線)またはヒスタミン-1受容体(GqPCR)(図23B、実線)についても、FLIPR384で分析した。未分化P19/mito c-Photina(登録商標)1A1クローンに関して、同じ実験を同時期に行った(384MTP中の3000個の細胞/ウェルの播種の24時間後、図23A)。顕著に、ヒスタミン刺激の後に記録されたシグナルは、未分化細胞において、より高く(その段階で高度に発現されるので、予想されるように)、分化の間に減少する。その反対の現象が、グルタミン酸刺激について示された(グルタミン酸刺激後のシグナルは、分化細胞において、未分化のものよりもずっと高かった)。グルタミン酸受容体の存在は、これらの細胞のニューロンへの傾斜の、さらなる実証である。
【0178】
(3.一過性導入)
P19細胞を、種々のミトコンドリアタグ発光タンパク質(材料および方法)でトランスフェクトして、これらの他の発光タンパク質が細胞内カルシウム放出を測定できるか、および発光タンパク質発現レベルに関する情報を得ることができるかどうかを評価した。
【0179】
測定の4時間前に、活性のある発光タンパク質を再構成するために、培地を、タイロードバッファーおよび10μMセレンテラジンで、暗黒下、5% CO2を含む加湿雰囲気中で、37℃で置換した。
【0180】
100μMヒスタミンインジェクトの後に、発光シグナルを60秒間記録した。
【0181】
次いで、トータルの光放出を検出するために、Triton X-100で細胞を溶解させた(図24)。
【0182】
(4.安定的トランスフェクション)
安定して組み込まれた様式での発光タンパク質発現のレベルを調査するため、およびP19細胞中で安定して発現された発光タンパク質のいずれも培養物中で長期間にわたって毒性でないことを検証するために、P19細胞中の種々のミトコンドリアタグ発光タンパク質の安定的トランスフェクション(材料および方法)を行った。
【0183】
測定の4時間前に、活性のある発光タンパク質を再構成するために、培地を、タイロードバッファーおよび10μMセレンテラジンで、暗黒下、5% CO2を含む加湿雰囲気中、37℃で置換した。
【0184】
50、100および150μMヒスタミンインジェクトの後に発光シグナルを記録し、60秒間測定した。
【0185】
次いで、トータルの光放出を検出するために、Triton X-100で細胞を溶解させた(図25)。
【0186】
(5.FLIPR384での細胞ベースの蛍光アッセイ)
発光の代わりに蛍光を使用する検出方法で、内在性ヒスタミン1受容体の活性化によって誘導されるカルシウム濃度変動を測定することによって、P19 mito c-Photina(登録商標)の最終的なクローン(1A1および1A2)を、FLIPR384でも試験した。
【0187】
細胞を、カルシウム3アッセイキット(Molecular Devices Corporation、米国カリフォルニア州サニーベール)とともにインキュベートした。
【0188】
これらの実験を行って、発光ベースのカルシウム検出の代わりに蛍光カルシウム検出方法を用いて得られた結果を比較して、蛍光よりも優れた発光の有利な点を評価した。得られた結果から、蛍光ベースの方法が、発光と比較して、より高いバックグラウンドを有することが示される。これは、蛍光の、より低いsignal to noise(SN比)バックグラウンドを反映している。対照的に、発光についてのsignal to noise(SN比)バックグラウンドはより高く、これは、蛍光と比較して、より広範なダイナミックレンジを反映している(図26)。
【0189】
[参考文献]







【図面の簡単な説明】
【0190】
【図1A】114個のネオマイシン耐性クローンのクローンプール分析を示す図である。CCDカメラベースのルミノメーターでヒスタミン反応カイネティクス(100μM)を測定し、RLU(相対発光単位)値として記録した。細胞播種の24時間後に、96MTP中で実験を行った。CCDカメラベースのルミノメーター条件:高感度、60秒間。
【図1B】114個のネオマイシン耐性クローンのクローンプール分析を示す図である。Triton X-100細胞溶解の後、トータルの発光タンパク質残効性を測定した。CCDカメラベースのルミノメーター条件:低感度、読み取り時間5秒間。
【図2A】12個のES/mito c-Photina(登録商標)の最良のクローンの分析を示す図である。12個の最良のmito c-Photina(登録商標)ESクローンのヒスタミン反応(100μM)を、20000個の細胞/ウェルを播種した24時間後に、96MTP中で測定した。CCDカメラベースのルミノメーター条件:高感度、読み取り時間60秒間。
【図2B】12個のES/mito c-Photina(登録商標)の最良のクローンの分析を示す図である。Triton X-100細胞溶解の後、12個の最良のmito c-Photina(登録商標)ESクローンのトータルの発光タンパク質残効性を測定した。CCDカメラベースのルミノメーター条件:低感度、読み取り時間5秒間。
【図3A】2つのES/mito c-Photina(登録商標)の最終的なクローンの分析を示す図である。10000個の細胞/ウェルを播種した24時間後に、96MTP中でヒスタミン反応(100μM)を測定した。CCDカメラベースのルミノメーター条件:高感度、読み取り時間60秒間。
【図3B】2つのES/mito c-Photina(登録商標)の最終的なクローンの分析を示す図である。20000個の細胞/ウェルを播種した24時間後に、96MTP中でヒスタミン反応(100μM)を測定した。CCDカメラベースのルミノメーター条件:高感度、読み取り時間60秒間。
【図4A】未分化なES/mito c-Photina(登録商標)/29クローンに関する免疫蛍光分析を示す図である。免疫蛍光アッセイは、マウス抗SSEA-1一次抗体+抗マウスFITC二次抗体を用いて行われた。
【図4B】未分化なES/mito c-Photina(登録商標)/29クローンに関する免疫蛍光分析を示す図である。免疫蛍光アッセイは、マウス抗oct3/4一次抗体+抗マウスFITC二次抗体を用いて行われた。
【図5】ELF(登録商標)ホスファターゼ染色キットで測定されたアルカリホスファターゼ活性を示す図である。
【図6A】ES/mito c-Photina(登録商標)/29クローンに関するin vitro心筋細胞分化アッセイを示す図である。分化2日目の懸濁液中の胚葉体。
【図6B】ES/mito c-Photina(登録商標)/29クローンに関するin vitro心筋細胞分化アッセイを示す図である。ゼラチンコートされたディッシュ上に播種する前の分化5日目の懸濁液中の胚葉体。
【図6C】ES/mito c-Photina(登録商標)/29クローンに関するin vitro心筋細胞分化アッセイを示す図である。形態学的分析によって評価された、拍動している領域を含む胚葉体のパーセンテージ。
【図7A】ES/mito c-Photina(登録商標)/29クローン由来のin vitro分化心筋細胞に関する免疫蛍光分析を示す図である。免疫蛍光アッセイは、マウス抗筋節α-アクチニン一次抗体+抗マウスFITC二次抗体を用いて行った。
【図7B】ES/mito c-Photina(登録商標)/29クローン由来のin vitro分化心筋細胞に関する免疫蛍光分析を示す図である。免疫蛍光アッセイは、ウサギ抗ミオシン重鎖(MHC)一次抗体+抗ウサギFITC二次抗体を用いて行った。
【図7C】ES/mito c-Photina(登録商標)/29クローン由来のin vitro分化心筋細胞に関する免疫蛍光分析を示す図である。免疫蛍光アッセイは、サギ抗GATA4一次抗体+抗ウサギFITC二次抗体を用いて行った。
【図8A】ES/mito c-Photina(登録商標)/29クローン由来のin vitro分化心筋細胞に関するCCDカメラベースの発光機能試験を示す図である。20000個の細胞/ウェルを播種した4時間後に、96MTP中で、タイロードバッファー、ノルエピネフリン(100μM)、およびエンドセリン-1(50nM)反応を測定した。CCDカメラベースのルミノメーター条件:高感度、読み取り時間60秒間。
【図8B】ES/mito c-Photina(登録商標)/29クローン由来のin vitro分化心筋細胞に関するCCDカメラベースの発光機能試験を示す図である。5μMニフェジピンの存在下または非存在下で測定された脱分極刺激(40mM KCl)。CCDカメラベースのルミノメーター条件:高感度、読み取り時間60秒間。
【図8C】ES/mito c-Photina(登録商標)/29クローン由来のin vitro分化心筋細胞に関するCCDカメラベースの発光機能試験を示す図である。Triton X-100細胞溶解の後に、トータルの発光タンパク質残効性を測定した。CCDカメラベースのルミノメーター条件:高感度、読み取り時間30秒間。
【図9A】ES/mito c-Photina(登録商標)/29クローンに関するin vitro神経分化アッセイの可視画像を示す図である。分化7日目の、ゼラチンコートされたディッシュ上に播種された胚葉体。
【図9B】ES/mito c-Photina(登録商標)/29クローンに関するin vitro神経分化アッセイの可視画像を示す図である。分化9日目の、ゼラチンコートされたディッシュ上に播種された胚葉体。
【図9C】ES/mito c-Photina(登録商標)/29クローンに関するin vitro神経分化アッセイの可視画像を示す図である。分化11日目の、ゼラチンコートされたディッシュ上に播種された胚葉体。
【図9D】ES/mito c-Photina(登録商標)/29クローンに関するin vitro神経分化アッセイの可視画像を示す図である。分化13日目の、ゼラチンコートされたディッシュ上に播種された胚葉体。
【図10A】96MTP上のES/mito c-Photina(登録商標)/29クローン由来のin vitro分化ニューロンに関する免疫蛍光分析を示す図である。免疫蛍光アッセイは、ウサギ抗神経フィラメントH(NF H)一次抗体+抗ウサギFITC二次抗体を用いて行った(Bと同じフィールド)。
【図10B】96MTP上のES/mito c-Photina(登録商標)/29クローン由来のin vitro分化ニューロンに関する免疫蛍光分析を示す図である。免疫蛍光アッセイは、マウス抗神経核(NeuN)一次抗体+抗マウスローダミン化二次抗体を用いて行った(Aと同じフィールド)。
【図10C】96MTP上のES/mito c-Photina(登録商標)/29クローン由来のin vitro分化ニューロンに関する免疫蛍光分析を示す図である。免疫蛍光アッセイは、ウサギ抗グリア線維酸性タンパク質(GFAP)一次抗体+抗ウサギFITC二次抗体を用いて行った。
【図10D】96MTP上のES/mito c-Photina(登録商標)/29クローン由来のin vitro分化ニューロンに関する免疫蛍光分析を示す図である。免疫蛍光アッセイは、マウス抗ネスチン一次抗体+抗マウスFITC二次抗体を用いて行った。
【図11A】ES/mito c-Photina(登録商標)/29クローン由来のin vitro分化ニューロンに関するCCDカメラベースの発光機能試験を示す図である。14日目に、96MTP中で標準タイロード、およびグルタミン酸(100μM)反応を測定した。CCDカメラベースのルミノメーター条件:低感度、読み取り時間60秒間。
【図11B】ES/mito c-Photina(登録商標)/29クローン由来のin vitro分化ニューロンに関するCCDカメラベースの発光機能試験を示す図である。14日目に、384MTP中、6μMωコノトキシンGVIAの存在下または非存在下で、標準タイロード、および40mM KCl反応を測定した。CCDカメラベースのルミノメーター条件:高感度、読み取り時間60秒間。
【図12】ES/mito c-Photina(登録商標)/29クローン由来のin vitro未分化および分化(16日目)ニューロンに関するFLIPR384機能試験を示す図である。FLIPR384分析のために、細胞を膜電位アッセイキットとともに37℃で30分間インキュベートし、次いでKClを40mMの終濃度で注入した。蛍光シグナルを250秒間記録し、RFUとして表した(FLIPR384設定:曝露時間:0.3秒間、インジェクト速度:20μl/秒、インジェクトの高さ:50μl、読み取り時間:360秒間)。
【図13A】トランスジェニックmito c-Photina(登録商標)マウスにおける発光タンパク質組織局在化を示す図である。14の異なる組織/器官を、陰性マウスおよびmito c-Photina(登録商標)を発現している陽性マウスから取り出し、20μMセレンテラジンとともに室温で3時間インキュベートした。250mM CaCl2およびTriton X-100の溶液をインジェクトして、各組織中の発光タンパク質含有量を測定した。CCDカメラベースのルミノメーター条件:高感度、読み取り時間60秒間。
【図13B】トランスジェニックmito c-Photina(登録商標)マウスにおける発光タンパク質組織局在化を示す図である。mito c-Photina(登録商標)を発現している異なる年齢(生後3、6、10カ月)の陰性および陽性マウスから取り出し、20μMのセレンテラジンとともに室温で3時間インキュベートされた、8つの組織/器官の比較。250mM CaCl2およびTriton X-100の溶液をインジェクトして、各組織中の発光タンパク質含有量を測定した。CCDカメラベースのルミノメーター条件:高感度、読み取り時間60秒間。
【図14A】異なる条件でセレンテラジンとともにインキュベートされた組織および器官を示す図である。陽性トランスジェニックmito c-Photina(登録商標)マウスおよび陰性対照における、2.8mg/kgセレンテラジンの全身内注射の後の異なる組織/器官のCCDカメラベースのルミノメーター分析。3時間後、16の異なる組織/器官を両方のマウスから取り出した。物質の半分を白色の96MTPに直接播種した。
【図14B】異なる条件でセレンテラジンとともにインキュベートされた組織および器官を示す図である。室温で3時間、20μMセレンテラジンとともにさらにインキュベートされた、残りの物質のCCDカメラベースのルミノメーター分析。250mM CaCl2およびTriton X-100溶液のインジェクトの後に発光した光を記録することによって、CCDカメラベースのルミノメーターですべての試料の発光タンパク質含有量を分析した。CCDカメラベースのルミノメーター条件:高感度、読み取り時間60秒間。
【図15A】トランスジェニックmito c-Photina(登録商標)マウスから単離された膵島に関して行われたCCDカメラベースのルミノメーター機能試験を示す図である。1匹の陽性トランスジェニックmito c-Photina(登録商標)および1匹の陰性マウスから、膵島を単離した。一晩の培養の後、10個の膵島/ウェルを白色の96MTPに入れた。それぞれ10個の島を含む2つの異なるウェルを、10μMセレンテラジンとともに3時間インキュベートし、それぞれ11mMグルコースまたは陰性対照としての11mMマンニトールで刺激した。Luminoskanルミノメーター。積分時間0.5秒間。読み取り時間150秒間。
【図15B】次いで、島を40mM KClで刺激した。以下の設定で、CCDカメラベースのルミノメーターで、発光した光を測定した:高感度、読み取り時間60秒間。
【図15C】Triton X-100を含む溶液での細胞溶解の後に発光した光を記録して、島のトータル発光タンパク質残効性を評価した。CCDカメラベースのルミノメーター条件:高感度、読み取り時間60秒間。
【図16】c-Photina(登録商標)トランスジェニックマウス由来のマクロファージの細胞溶解の際に測定されたトータルの光放出を示す図である。20000個の細胞/ウェルを96MTPプレート中に播種した。CCDカメラベースのルミノメーター条件:高感度、積分時間0.6秒間、読み取り時間60秒間。
【図17A】2つのES/mito i-Photina(登録商標)の最終的なクローンの分析を示す図である。10000個の細胞/ウェルを播種した24時間後に96MTP中で測定された、クローンN.70のヒスタミン用量反応。CCDカメラベースのルミノメーター条件:高感度、読み取り時間60秒間。
【図17B】2つのES/mito i-Photina(登録商標)の最終的なクローンの分析を示す図である。Triton X-100を含む溶液での細胞溶解の後に、2つの最良のES/mito i-Photina(登録商標)クローンのトータルの発光タンパク質残効性を測定した。CCDカメラベースのルミノメーター条件:低感度、読み取り時間5秒間。
【図18A】2つのES/i-Photina(登録商標)の最終的なクローンの分析を示す図である。10000個の細胞/ウェルを播種した24時間後に96MTP中で測定された、クローンN.113のヒスタミン用量反応。CCDカメラベースのルミノメーター条件:高感度、読み取り時間60秒間。
【図18B】2つのES/i-Photina(登録商標)の最終的なクローンの分析を示す図である。Triton X-100を含む溶液での細胞溶解の後に、2つの最良のES/i-Photina(登録商標)クローンのトータルの発光タンパク質残効性を測定した。CCDカメラベースのルミノメーター条件:低感度、読み取り時間5秒間。
【図19A】P19/mito c-Photina(登録商標)の2つの最終的なクローンの分析を示す図である。20000個の細胞/ウェルを播種した24時間後に、96MTP中でP19/mito c-Photina(登録商標)1A1クローンのヒスタミン反応を測定した。CCDカメラベースのルミノメーター条件:高感度、読み取り時間60秒間。
【図19B】P19/mito c-Photina(登録商標)の2つの最終的なクローンの分析を示す図である。20000個の細胞/ウェルを播種した24時間後に、96MTP中でP19/mito c-Photina(登録商標)1A2クローンのヒスタミン反応を測定した。CCDカメラベースのルミノメーター条件:高感度、読み取り時間60秒間。
【図19C】P19/mito c-Photina(登録商標)の2つの最終的なクローンの分析を示す図である。Triton X-100細胞溶解の後に、トータルの発光タンパク質残効性を測定した。CCDカメラベースのルミノメーター条件:低感度、読み取り時間30秒間。
【図20A】96MTP上でのP19/mito c-Photina(登録商標)/1A1クローン由来のin vitro分化ニューロンに関する免疫蛍光分析を示す図である。免疫蛍光アッセイを、ウサギ抗神経フィラメントH(NF H)一次抗体+抗ウサギFITC二次抗体を用いて行った。
【図20B】96MTP上でのP19/mito c-Photina(登録商標)/1A1クローン由来のin vitro分化ニューロンに関する免疫蛍光分析を示す図である。免疫蛍光アッセイを、蛍光および可視光顕微鏡で見られるような、マウス抗神経核一次抗体+抗マウスローダミン化二次抗体を用いて行った。
【図20C】96MTP上でのP19/mito c-Photina(登録商標)/1A1クローン由来のin vitro分化ニューロンに関する免疫蛍光分析を示す図である。蛍光および可視光顕微鏡で見られるように、免疫蛍光アッセイを、マウス抗ネスチン一次抗体+抗マウスFITC二次抗体を用いて行った。
【図21A】P19/mito c-Photina(登録商標)/1A1クローン由来のin vitro分化ニューロンに関するCCDカメラベースの機能試験を示す図である。8日目の分化ニューロンに関して、384MTP中でタイロード、および40mM KCl反応を測定した。CCDカメラベースのルミノメーター条件:高感度、読み取り時間60秒間。
【図21B】P19/mito c-Photina(登録商標)/1A1クローン由来のin vitro分化ニューロンに関するCCDカメラベースの機能試験を示す図である。11日目の分化ニューロンに関して、384MTP中でタイロード、40mM KCl反応を測定した。CCDカメラベースのルミノメーター条件:高感度、読み取り時間60秒間。
【図22】8日目のP19/mito c-Photina(登録商標)/1A1クローン由来のin vitro分化ニューロンに関するFLIPR384機能試験を示す図である。FLIPR384分析のために、培地をFluo-4NW(登録商標)カルシウム感受性蛍光色素で置換した。次いで、プレートを37℃で30分間、および室温で30分間インキュベートし、次いでKCl溶液(40mM終濃度)をインジェクトした。蛍光シグナルを360秒間記録し、RFUとして表した(FLIPR384設定:曝露時間:0.3秒間、インジェクト速度:20μ/秒、インジェクトの高さ:50μl、読み取り時間:360秒間)。
【図23A】未分化、およびP19/mito c-Photina(登録商標)/1A1クローン由来の8日目のin vitro分化ニューロンに関する、FLIPR384機能試験を示す図である。FLIPR384分析のために、培地を25μl/ウェルのFluo-4NW(登録商標)カルシウム感受性蛍光色素で置換した。次いで、プレートを1時間インキュベートし、次いでヒスタミンまたはグルタミン酸(100μM終濃度)をインジェクトした。蛍光シグナルを360秒間記録し、FRUとして表した(FLIPR384設定:曝露時間:0.3秒間、インジェクト速度:20μl/秒、インジェクトの高さ:50μl、読み取り時間:330秒間)。播種の24時間後に試験された、未分化P19/mito c-Photina(登録商標)/1A1クローン細胞3000個の細胞/ウェルのFLIPR384反応。
【図23B】未分化、およびP19/mito c-Photina(登録商標)/1A1クローン由来の8日目のin vitro分化ニューロンに関する、FLIPR384機能試験を示す図である。FLIPR384分析のために、培地を25μl/ウェルのFluo-4NW(登録商標)カルシウム感受性蛍光色素で置換した。次いで、プレートを1時間インキュベートし、次いでヒスタミンまたはグルタミン酸(100μM終濃度)をインジェクトした。蛍光シグナルを360秒間記録し、FRUとして表した(FLIPR384設定:曝露時間:0.3秒間、インジェクト速度:20μl/秒、インジェクトの高さ:50μl、読み取り時間:330秒間)。8日目のP19/mito c-Photina(登録商標)/1A1クローン由来の分化ニューロンのFLIPR384反応。
【図24A】P19細胞における、種々の発光タンパク質(mito Photina(登録商標)、mito c-Photina(登録商標)、mito i-Photina(登録商標))の一過性導入を示す図である。Luminoskanルミノメーターで、100μMヒスタミン反応を測定した。読み取り時間60秒間。
【図24B】P19細胞における、種々の発光タンパク質(mito Photina(登録商標)、mito c-Photina(登録商標)、mito i-Photina(登録商標))の一過性導入を示す図である。Bertholdルミノメーターで、Triton X-100での細胞溶解の後にトータルの発光を測定した。読み取り時間3秒間。
【図25A】mito i-Photina(登録商標)の安定的にトランスフェクトされたP19細胞のプールの分析を示す図である。10000個の細胞/ウェルの細胞播種の24時間後に、96MTP中で50、100および150μMヒスタミン用量反応を測定した。CCDカメラベースのルミノメーター条件:高感度、読み取り時間60秒間。
【図25B】mito Photina(登録商標)の安定的にトランスフェクトされたP19細胞のプールの分析を示す図である。10000個の細胞/ウェルの細胞播種の24時間後に、96MTP中で50、100および150μMヒスタミン用量反応を測定した。CCDカメラベースのルミノメーター条件:高感度、読み取り時間60秒間。
【図25C】10000および20000個の細胞/ウェルを播種した24時間後、96MTP中で、Triton X-100での細胞溶解の後の、トータルの発光の測定結果を示す図である。CCDカメラベースのルミノメーター条件:低感度、読み取り時間30秒間。
【図26A】P19mito c-Photina(登録商標)の2つの最終的なクローンの、FLIPRおよびCCDカメラベースのルミノメーターでの比較を示す図である。20000個の細胞/ウェルを播種した24時間後に、384MTP中でP19/mito c-Photina(登録商標)1A1クローンのヒスタミン反応を測定した。CCDカメラベースのルミノメーター分析のために、読み取りの4時間前に、37℃で、培地を10μMセレンテラジン溶液で置換した(CCDカメラベースのルミノメーター条件:高感度、読み取り時間60秒間)。FLIPR(登録商標)分析のために、読み取りの30分前に、培地をカルシウム3アッセイキット0.5Xで置換した(FLIPR384設定:曝露時間:0.2秒間、インジェクト速度:20μl/秒、インジェクトの高さ:50μl、読み取り時間:60秒間)。両方の測定については、ヒスタミンの終濃度は100μMであった。signal-to-noise ratio(SN比)を計算し、ルミノメーター(RLU:相対発光単位で表される)および蛍光光度計(RFU:相対蛍光単位で表される)の両方について報告した。
【図26B】P19mito c-Photina(登録商標)の2つの最終的なクローンの、FLIPRおよびCCDカメラベースのルミノメーターでの比較を示す図である。20000個の細胞/ウェルを播種した24時間後に、384MTP中でPP19/mito c-Photina(登録商標)1A2クローンのヒスタミン反応を測定した。CCDカメラベースのルミノメーター分析のために、読み取りの4時間前に、37℃で、培地を10μMセレンテラジン溶液で置換した(CCDカメラベースのルミノメーター条件:高感度、読み取り時間60秒間)。FLIPR(登録商標)分析のために、読み取りの30分前に、培地をカルシウム3アッセイキット0.5Xで置換した(FLIPR384設定:曝露時間:0.2秒間、インジェクト速度:20μl/秒、インジェクトの高さ:50μl、読み取り時間:60秒間)。両方の測定については、ヒスタミンの終濃度は100μMであった。signal-to-noise ratio(SN比)を計算し、ルミノメーター(RLU:相対発光単位で表される)および蛍光光度計(RFU:相対蛍光単位で表される)の両方について報告した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アポ発光タンパク質を発現することができ、細胞内カルシウム濃度変動に反応して基質として適した発色団の存在下で生物発光シグナルを生じることができる、安定な組換え幹細胞。
【請求項2】
非ヒト全能性細胞もしくは多能性細胞;ヒトもしくは非ヒト多能性腫瘍性細胞、もしくは多分化能細胞、またはそれらの前駆細胞であり、胚性、胎盤性もしくは羊水、または成体由来である、請求項1に記載の安定な組換え幹細胞。
【請求項3】
アポ発光タンパク質遺伝子が、天然の、または組換えもしくは合成によるアポ発光タンパク質遺伝子である、請求項1または2に記載の安定な組換え幹細胞。
【請求項4】
アポ発光タンパク質が天然であり、または改良された発光活性および/またはカルシウム感受性を有する変異誘発された変異体である、請求項3に記載の安定な組換え幹細胞。
【請求項5】
アポ発光タンパク質遺伝子が、哺乳動物のコドン使用頻度について最適化された配列、および/またはミトコンドリア標的配列に融合する配列を有する、請求項3または4に記載の安定な組換え幹細胞。
【請求項6】
アポ発光タンパク質の配列が配列番号1である、請求項1から5のいずれか一項に記載の安定な組換え幹細胞。
【請求項7】
アポ発光タンパク質の配列が、以下の位置:Gly142→Cysで変異したクリチン配列(GenBank受託番号Q08121)である、請求項1から5のいずれか一項に記載の安定な組換え幹細胞。
【請求項8】
アポ発光タンパク質の配列が、以下の12個の位置:Gly58→Glu、Asp69→Val、Ala70→Cys、Lys76→Arg、Lys77→Gly、Ile78→Cys、Asp81→Glu、Val86→Ile、Glu87→Ala、Ala90→Gln、Val92→Leu、およびGlu97→Glnで変異したクリチン配列(GenBank受託番号Q08121)である、請求項1から5のいずれか一項に記載の安定な組換え幹細胞。
【請求項9】
特定の細胞系に分化して標的の発現が得られる、請求項1から8のいずれか一項に記載の安定な組換え幹細胞。
【請求項10】
特定の細胞系が心筋細胞系または神経細胞系または間葉細胞系である、請求項9に記載の安定な組換え幹細胞。
【請求項11】
アポ発光タンパク質遺伝子が、遍在性、器官特異的、組織特異的、細胞特異的もしくは発生段階特異的または誘導性プロモーターの制御下にある、請求項1から10のいずれか一項に記載の安定な組換え幹細胞。
【請求項12】
特定の細胞系への幹細胞の分化を刺激する作用物質を同定するための方法であって、
a)未分化の段階の、請求項1から8のいずれか一項に記載の安定な組換え幹細胞を用意する段階;
b)前記細胞を、分化を誘導すると推定される作用物質を含む化合物ライブラリーに曝露して、少なくとも1つの特定の細胞系標的の発現を得る段階;
c)基質として適した発色団を細胞に添加する段階;
d)細胞内Ca++の変動が得られるように、リガンドによって前記特定の細胞系標的を刺激する段階;
e)発光タンパク質の生物発光を検出する段階
を含む方法。
【請求項13】
特定の細胞系が心筋細胞系または神経細胞系である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
ハイスループットスクリーニングによって行われる、請求項12または13に記載の方法。
【請求項15】
特定の細胞系への幹細胞の分化を阻害する作用物質を同定するための方法であって、
a)未分化の段階の、請求項1から8のいずれか一項に記載の安定な組換え幹細胞を用意する段階;
b)前記細胞を、分化を阻害すると推定される作用物質を含む化合物ライブラリーに曝露する段階;
c)前記細胞を、公知の分化を誘導する作用物質に曝露して、少なくとも1つの特定の細胞系標的の発現を得る段階;
d)基質として適した発色団を細胞に添加する段階;
e)細胞内Ca++の変動が得られるように、リガンドによって前記特定の細胞系標的を刺激する段階;
f)発光タンパク質の生物発光を検出する段階
を含む方法。
【請求項16】
特定の細胞系が心筋細胞系または神経細胞系である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
ハイスループットスクリーニングによって行われる、請求項15または16に記載の方法。
【請求項18】
細胞内Ca++の変動が得られるように特定の標的を刺激することができるリガンドを同定するための方法であって、
a)請求項1から8のいずれか一項に記載の安定な組換え幹細胞を用意する段階;
b)前記細胞を特定の細胞系に最終的に分化させて、標的の発現を得る段階;
c)基質として適した発色団を細胞に添加する段階;
d)細胞を、前記標的の推定のリガンドを含む化合物ライブラリーと接触させる段階;
e)発光タンパク質の生物発光を検出する段階
を含む方法。
【請求項19】
特定の細胞系が心筋細胞系または神経細胞系である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
ハイスループットスクリーニングによって行われる、請求項18または19に記載の方法。
【請求項21】
細胞内Ca++の変動が得られるように標的に対するアンタゴニストを同定するための方法であって、
a)請求項1から8のいずれか一項に記載の安定な組換え幹細胞を用意する段階;
b)前記細胞を特定の細胞系に最終的に分化させて、前記標的の発現を得る段階;
c)基質として適した発色団を細胞に添加する段階;
d)細胞を、前記標的の推定のアンタゴニストを含む化合物ライブラリーと接触させる段階;
e)細胞を、前記標的を刺激することができるリガンドと接触させる段階;
f)発光タンパク質の生物発光変動を検出する段階
を含む方法。
【請求項22】
特定の細胞系が心筋細胞系または神経細胞系である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
ハイスループットスクリーニングによって行われる、請求項21または22に記載の方法。
【請求項24】
物質の毒性および/または奇形学のin vitro試験のための、請求項1から11のいずれか一項に記載の安定な組換え幹細胞の使用。

【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図9D】
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【図10AandB】
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【図10C】
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【図10D】
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【図11A】
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【図11B】
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【図12】
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【図13A】
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【図13B】
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【図14A】
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【図14B】
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【図15A】
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【図15B】
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【図15C】
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【図16】
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【図17A】
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【図17B】
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【図18A】
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【図18B】
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【図19A】
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【図19B】
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【図19C】
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【図20A】
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【図20B】
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【図20C】
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【図21A】
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【図21B】
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【図22】
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【図23A】
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【図23B】
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【図24A】
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【図24B】
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【図25A】
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【図25B】
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【図25C】
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【図26A】
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【図26B】
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【図1A】
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【公表番号】特表2009−523025(P2009−523025A)
【公表日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−549994(P2008−549994)
【出願日】平成19年1月10日(2007.1.10)
【国際出願番号】PCT/IT2007/000021
【国際公開番号】WO2007/080622
【国際公開日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【出願人】(508208557)
【Fターム(参考)】