説明

発光素子ランプ及び照明器具

【課題】発光素子が配設された基板の温度上昇を反射体を利用して効果的に抑制できる発光素子ランプ及び照明器具を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、照射開口部を有し、この照射開口部に向けて拡開するように形成されるとともに、内面側に反射面2aが設けられ、外周面が外方に露出する熱伝導性の反射体2と、この反射体2にカバー部3を介して接続された口金4と、反射体2の内周面に設けられ、反射体2aと熱的に結合された熱伝導性の放熱部材8と、発光素子6が配設され、前記放熱部材8に基板面が面接触状態で熱的に結合されて取付けられた基板7と、前記カバー部3に収納され、発光素子6を点灯させる点灯回路9と、反射体2の照射開口部2cを覆う透光性カバー5とを備える発光素子ランプ1である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LED等の発光素子を光源として適用した発光素子ランプ及びこの発光素子ランプを用いた照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
LED等の発光素子は、その温度が上昇するに従い、光出力の低下とともに寿命にも影響を与える。このため、LEDやEL素子等の固体発光素子を光源とするランプでは、寿命、効率の諸特性を改善するために発光素子の温度上昇を抑制する必要がある。従来、この種、LEDランプにおいて、効率よく放熱するため、LEDを配置した基板と口金との間に円柱形状の放熱部を備え、この円柱形状の放熱部の周縁に基板を取付けるものが知られている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−286267号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1に示されたものは、放熱対策として特別に放熱部を設けたものであり、しかも、放熱部の周縁にのみ基板が接する形態であり、換言すれば、放熱部と基板とが線状的に接触しているに他ならず、十分な放熱効果が得にくいものとなっている。
【0004】
本発明は、上記課題に鑑みなされたもので、発光素子が配設された基板の温度上昇を反射体を利用して効果的に抑制できる発光素子ランプ及び照明器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発光素子ランプは、照射開口部を有し、この照射開口部に向けて拡開するように形成されるとともに、内面側に反射面が設けられ、外周面が外方に露出する熱伝導性の反射体と;この反射体にカバー部を介して接続された口金と;反射体の内周面に設けられ、反射体と熱的に結合された熱伝導性の放熱部材と;発光素子が配設され、前記放熱部材に基板面が面接触状態で熱的に結合されて取付けられた基板と;前記カバー部に収納され、発光素子を点灯させる点灯回路と;反射体の前記照射開口部を覆う透光性カバーと;を具備することを特徴とする。
【0006】
発光素子とは、LEDや有機EL等である。カバー部は、反射体と一体であっても、別体であってもよい。さらに、発光素子の配設は、チップ・オン・ボード方式や表面実装方式によって配設されたものが好ましいが、本発明の性質上、配設は特に限定されず、例えば、砲弾型のLEDを用いて基板に配設してもよい。また、発光素子の配設個数には特段制限はない。点灯回路は、カバー部に全体が収納されてもよいし、一部が収納され、残部が例えば、口金内に収納されるような形態でもよい。加えて、反射体の光の照射方向の拡開は、連続的に拡開する形態であっても、段階的に拡開、換言すれば、不連続的な形状をもって拡開する形態であってもよい。口金は、ねじが形成されたシェルを有するE型口金が最適であるが、ピンタイプの口金であってもよい。「放熱部材に基板面が面接触状態で熱的に結合」とは、基板面が放熱部材に直接的に接触するものの他、熱伝導性の部材を介して間接的に結合されたものを含む。
【0007】
請求項2に記載の発光素子ランプは、請求項1に記載の発光素子ランプにおいて、放熱部材は、反射体の内周面と連続した面を形成するように構成されていることを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発光素子ランプは、請求項1又は請求項2に記載の発光素子ランプにおいて、前記放熱部材は、反射体と一体的に形成されていることを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の照明器具は、ソケットを有する器具本体と;この器具本体のソケットに装着される請求項1乃至請求項3のいずれか一に記載の発光素子ランプと;を具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明によれば、発光素子の点灯によって発生した基板の熱を照射開口部に向けて拡開した形状を有する反射体の比較的大きな面積の外周面を利用して効果的に放熱することができるので、発光素子ランプの温度上昇を効果的に抑制することができる。
【0011】
請求項2の発明によれば、請求項1の発明の効果に加え、放熱部材は、反射体の内周面と連続した面を形成しているので、接触面積が多くとれ、反射機能が損なわれることもない。
【0012】
請求項3の発明によれば、請求項1又は請求項2の発明の効果に加え、放熱部材は、反射体と一体的に形成されているので、熱伝導性が良好となる。
【0013】
請求項4の発明によれば、前記各請求項の発明の効果を奏する照明器具を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の発光素子ランプの第1の実施形態について図1乃至図3を参照して説明する。図1は、発光素子ランプを示す斜視図、図2は、発光素子ランプの一部を断面して示す正面図、図3は、発光素子ランプにおける透光性カバーを取外して示す概略上面図である。まず、本実施形態の発光素子ランプは、いわゆるビームランプと指称される既存の反射形白熱電球に置き換えて取り付けることが可能であり、かつその外観寸法もビームランプと略同等となる構成を有していることを前提としている。ビームランプは、店舗のスポットライト、ビルや看板等の投光照明、工事現場等の照明に適するランプである。
【0015】
図1及び図2において、発光素子ランプ1は、既存のビームランプと同様な外観形態をなしており、反射体2、カバー部3、口金4、透光性カバーとしての前面レンズ5とを備えている。反射体2は、例えば、アルミニウムの一体成形品からなり、内面側に反射面2aが設けられ、根元部2bから照射開口部2cにわたって拡開し、外周面が外方に露出するように椀状に形成されている。なお、反射体2の材料は、アルミニウムに限らず、熱伝導性の良好な金属材料又は樹脂材料等を用いることができる。
【0016】
カバー部3は、同様に例えば、アルミニウムの一体成形品からなり、ほぼ筒状に形成されている。カバー部3の一端側は、反射体2の根元部2bに固着され、他端側には、口金4が固着されている。口金4は、口金規格E26の口金であり、発光素子ランプ1を照明器具に装着する際に、照明器具のランプソケットにねじ込まれる部分である。前面レンズ5は、反射体2の開口部2cを気密に覆うようにパッキンを介して取付けられている。なお、前面レンズ5には、集光形や散光形があるが、用途に応じて選択できる。以上の構成部材(反射体2、カバー部3、口金4、前面レンズ5)は、既存のビームランプの構成部材を基本的にはそのまま用いている。
【0017】
続いて、反射体2内の根元部2bには、光源となる発光素子が設けられている。ここで発光素子は、LEDチップ6であり、このLEDチップ6は、チップ・オン・ボード方式でプリント基板7に実装されている。すなわち、LEDチップ6をプリント基板7の表面上に、縦10個×横10個=100個マトリクス状に配設し、その表面にコーティング材を塗布した構造をなしている。プリント基板7は、金属又は絶縁材のほぼ正方形の平板からなる(図3参照)。基板7を金属製とする場合は、アルミニウム等の熱伝導性が良好で放熱性に優れた材料を適用するのが好ましい。また、絶縁材とする場合には、放熱特性が比較的良好で、耐久性に優れたセラミック材料又は合成樹脂材料を適用できる。合成樹脂材料を用いる場合には、例えば、ガラスエポキシ樹脂等で形成できる。
【0018】
そして、基板7は、放熱部材8に接着剤により取付けられている。この接着剤には、シリコーン樹脂系の接着剤に金属酸化物等を混合した熱伝導性が良好な材料を用いるのが好ましい。放熱部材8は、アルミニウムの一体成形品であり、ほぼ円形皿状に形成されている。基板7が取付けられる取付面8aは平坦面をなし、この取付面8aから外周方向に鍔部8bが形成されている。基板7の放熱部材8への取付けにあたっては、まず、放熱部材8の取付面8aに接着剤を塗布し、その上から基板7裏面を配置し、放熱部材8と面接触するように取付ける。
【0019】
放熱部材8の鍔部8bは、反射体2の内面側、すなわち、反射面2aに沿う形状に形成されて、反射体2と密着状態で面接触して取付けられている。この取付けにおいても、前記と同様に熱伝導性が良好な接着剤を用いるのが好ましい。したがって、放熱部材8は、反射体2の反射面2aと連続した面を形成するように構成されている。
【0020】
次に、カバー部3内には点灯回路9が収納されている。点灯回路9は、LEDチップ6を点灯させるものであり、回路基板には、コンデンサやスイッチング素子としてのトランジスタ等の部品を実装して構成されている。また、この点灯回路9からは、リード線が導出されており、プリント基板7及び口金4と電気的に接続されている(図示しない)。さらに、点灯回路9の周囲には点灯回路9を電気的に絶縁する絶縁保護筒10が配設されている。なお、点灯回路9は、カバー部3内に全体が収納されてもよいし、一部が収納され、残部が口金4内に収納されるような形態でもよい。
【0021】
以上のように構成された発光素子ランプ1の作用について説明する。口金4を照明器具のソケットに装着して通電が行われると、点灯回路9が動作して基板7に電力が供給され、LEDチップ6が発光する。LEDチップ6から出射された光の多くは直接前面レンズ5を通過して前方に照射され、一部の光は反射体2の反射面2aに反射されて前面レンズ5を通過して前方に照射される。一方、これに伴いLEDチップ6から発生する熱は、主として、基板7裏面のほぼ全面から接着剤を介して放熱部材8へ伝わり、さらに放熱部材8の鍔部8bを経由して、鍔部8bと面接触する放熱面積の大きい反射体2へと伝導され、放熱される。このように各部材は、熱的に結合されており、前記熱伝導経路と放熱で基板7の温度上昇を抑制することができる。
【0022】
よって、本実施形態によれば、LEDチップ6が配設された基板7の温度上昇を反射体2を利用して効果的に抑制できる。基板7は、放熱部材8に面接触状態となっているので熱伝導が良好である。また、放熱部材8も反射体2に面接触状態となっているので熱伝導がよく、結果的に放熱性を促進できる。さらに、反射体2は、光の照射方向に拡開しているので、放熱作用を奏する外周面の面積が大きく、また、他の発熱源であり、熱的保護を必要とする点灯回路9から離反する側に設けられているので、この反射体2を放熱要素として活用することは基板2の温度上昇の抑制に有効となる。さらにまた、放熱部材8、特にその鍔部8bは、反射面2aに沿う形状であり、反射体2の反射面2aと連続した面を形成するように構成されているので、反射面2aの反射効果の障害となる可能性が少ない。加えて、既存のいわゆるビームランプの構成部材を用いることができるので、部品を共通化でき、安価な発光素子ランプを提供することが可能となる。
【0023】
次に、本発明の発光素子ランプの第2の実施形態について図4を参照して説明する。図4は、発光素子ランプにおける透光性カバーを取外して示す概略上面図であり、第1の実施形態の図3に相当する。なお、第1の実施形態と同一又は相当部分には同一符号を付し、重複した説明は省略する。プリント基板7−2を円形の平板で構成したものである。そして、この円形上に規則的にLEDチップ6が配設されている。また、この円形のプリント基板7−2は、図示のように放熱部材8、反射体2とほぼ同心円をなして配置されている。
【0024】
本実施形態によれば、第1の実施形態の効果に加え、プリント基板7−2の円形の外周と反射体2との熱伝導の距離が均一となっているので、ほぼ均一にプリント基板7−2の温度上昇を抑制することが期待できる。
【0025】
次に、本発明の発光素子ランプの第3乃至第5の実施形態について図5乃至図7を参照して説明する。なお、第1の実施形態と同一又は相当部分には同一符号を付し、重複した説明は省略する。第1の実施形態と異なるのは、放熱部材8の構成である。
【0026】
まず、図5は、第3の実施形態の発光素子ランプの一部を断面して示す正面図である。放熱部材8−2はキャップ状をなし、反射体2内の根元部2bに外周面8−2bが密着状態で面接触して接着剤により取付けられている。
【0027】
本実施形態によれば、第1の実施形態と同様に、LEDチップ6から発生する熱は、基板7裏面のほぼ全面から接着剤を介して放熱部材8−2へ伝わり、さらに放熱部材8−2の外周面8−2bを経て、外周面8−2bと面接触する放熱面積の大きい反射体2へと伝導され、放熱され、基板7の温度上昇を抑制することができる。また、放熱部材8−2は、反射体2の反射面2aに突出することなく連続した面を形成するように構成されているので、反射面2aの反射効果の障害となることがない。
【0028】
図6は、第4の実施形態の発光素子ランプの一部を断面して示す正面図である。放熱部材8−3は、反射体2とほぼ相似形に形成され、反射体2の照射開口部2cの縁を内側から外側へ包むように面接触状態で取付けられている。この形態においてもLEDチップ6から発生する熱は、基板7裏面のほぼ全面から接着剤を介して放熱部材8−3へ伝わり、さらに放熱部材8−3の開口縁8−3bを経て、開口縁8−3bと面接触する反射体2の照射開口部2cの縁へ伝わり、放熱面積の大きい反射体2の外周面へと伝導され、効果的に放熱されることで基板7の温度上昇を抑制することができる。
【0029】
図7は、第5の実施形態の発光素子ランプの一部を断面して示す正面図である。放熱部材8−4を反射体2の根元部2bに一体的に形成したものである。本実施形態によれば、LEDチップ6から発生する熱は、基板7裏面のほぼ全面から接着剤を介して放熱部材8−4へ伝わり、さらに直接的に放熱面積の大きい反射体2へと伝わり、放熱され、基板7の温度上昇を抑制することができる。また、放熱部材8−4は、反射体2の反射面2aと一体的であり、反射面2aに突出することなく連続した面を形成するように構成されているので、反射面2aの反射効果の障害となることがない。
【0030】
次に、本発明の第6の実施形態に係る発光素子ランプについて図8乃至図11を参照して説明する。図8は、発光素子ランプ(実施例1)を示す断面図、図9は、同第1の反射体を取外して示す平面図、図10は、第2の反射体を示す斜視図、図11は、発光素子ランプ(実施例2)を示す断面図である。本実施形態の発光素子ランプは、第1の実施形態と同様に、いわゆるビームランプと指称されるランプである。また、第5の実施形態と同様に、放熱部材を反射体に一体的に形成したものである。
【0031】
(実施例1)図8において、発光素子ランプ1は、既存のビームランプと同様な外観形態をなしており、屋外での使用に適するように防水機能を有し、熱伝導性の第1の反射体2、光源部3、第2の反射体3a、発光素子4、熱伝導性のカバー5、絶縁性のカバー6、口金7及び透光性カバーとしての前面レンズ8とを備えている。第1の反射体2は、例えば、アルミニウムの一体成形品からなり、白色のアクリル焼付け塗装がなされており、根元部2aから照射開口部2bにわたって拡開し、外周面が外方に露出するように有底椀状に形成されている。内周面の底壁は、平坦面をなし、放熱部材2cが一体的に形成されている。一方、外周面の底壁周縁は、後述する熱伝導性のカバー5と接続する環状の接続部2dをなしている。また、底壁には、ねじ貫通孔が約120度の間隔を空けて3箇所に形成されている。第1の反射体2の材料は、アルミニウムに限らず、熱伝導性の良好な金属材料又は樹脂材料等を用いることができる。さらに、第1の反射体2の内周面は、アルマイト処理することが好ましい。アルマイト処理することにより、第1の反射体2の放熱効果を高めることが可能となる。アルマイト処理すると、この第1の反射体2の内周面は、反射効果が低下するが、別途後述する第2の反射体3aを設けているので、この反射効果の低下は、性能上支障がない。一方、第1の反射体2の反射効果を高めるには内周面を鏡面加工等によって形成すればよい。
【0032】
第1の反射体2の底壁には、光源部3が設けられている。光源部3は、基板9とこの基板9に実装された発光素子4とを備えている。ここで発光素子4は、LEDチップであり、このLEDチップは、チップ・オン・ボード方式で基板9に実装されている。すなわち、LEDチップを基板9の表面上に、複数個マトリクス状に配設し、その表面にコーティング材を塗布した構造をなしている。基板9は、金属製、例えば、アルミニウム等の熱伝導性が良好で放熱性に優れた材料で形成され略円形の平板からなる。基板9を絶縁材とする場合には、放熱特性が比較的良好で、耐久性に優れたセラミック材料又は合成樹脂材料を適用できる。合成樹脂材料を用いる場合には、例えば、ガラスエポキシ樹脂等で形成できる。
【0033】
そして、基板9は、第1の反射体2の底壁に形成された放熱部材2cに面接触して密着するように取付けられている。この取付に際しては、接着剤を用いてもよく、接着材を用いる場合には、シリコーン樹脂系の接着剤に金属酸化物等を混合した熱伝導性が良好な材料を用いるのが好ましい。なお、この基板9と放熱部材2cとの面接触は、全面的な接触ではなく、部分的な接触であってもよい。
【0034】
基板9の表面側には、白色のポリカーボネートやASA樹脂等によって形成された第2の反射体3aが配設されている。第2の反射体3aは、LEDチップから放射される光をLEDチップごとに配光制御し、効率的に照射する機能をなしている。第2の反射体3aは、円板状をなし、稜線部によって区画されて複数の入射開口3bが形成されている。この第2の反射体3aの入射開口3bは、基板9の各LEDチップと対向配置されるようになっており、したがって、第2の反射体3aには、入射開口3bごとに、入射開口3bから照射方向、すなわち、稜線部に向かって拡開した略椀状の反射面3cが形成されている。また、第2の反射体3aの外周部には、ねじが挿通係止する切欠き3dが約120度の間隔を空けて3箇所に形成されている。
【0035】
次に、熱伝導性のカバー5は、アルミダイカスト製であり、白色のアクリル焼付け塗装がなされており、前記第1の反射体2の外周面と連続して先細りの略筒状に形成されている。なお、このカバー5の長さ寸法や厚さ寸法は、放熱効果等を考慮し適宜決定すればよい。カバー5の前記第1の反射体2との接続部5aは、所定の幅を有して環状をなしている(図2参照)。したがって、前記第1の反射体2の接続部2dは、当該接続部5aと対向して形成されており、面接触状態で熱的に結合されて接続される。接続部5aには、環状の溝が形成されており、この溝には、合成ゴム等からなるOリング10が嵌入されており、このOリング10の内側には、3つのねじ穴11が約120度の間隔を空けて形成されている。
【0036】
熱伝導性のカバー5の内側には、この熱伝導性のカバー5の形状に沿って、PBT樹脂によって成形された絶縁性のカバー6が設けられている。したがって、この絶縁性のカバー6は、一端側を熱伝導性のカバー5に接続し、他端側を熱伝導性のカバー5から突出させており、この突出部分6aには、口金7が固着されている。口金7は、口金規格E26の口金であり、発光素子ランプ1を照明器具に装着する際に、照明器具のランプソケットにねじ込まれる部分である。なお、突出部分6aには、空気孔6bが形成されている。空気孔6bは、絶縁性のカバー6内の内圧が高まった場合に、減圧する作用をなす小孔である。
【0037】
次に、絶縁性のカバー6内には点灯回路12が収納されている。点灯回路12は、LEDチップを点灯制御するものであり、コンデンサやスイッチング素子としてのトランジスタ等の部品から構成されている。点灯回路12は、回路基板に実装されており、この回路基板は、略T字状をなして、絶縁性のカバー6内に縦方向に収納されている。これにより、狭隘な空間を有効的に利用して回路基板を配設することが可能となる。また、この点灯回路12からは、リード線12aが導出されており、このリード線12aは、放熱部材2cに形成されたリード線挿通孔12bを介して光源部3の基板9と電気的に接続されている。さらに、点灯回路12は、口金7と電気的に接続されている(図示を省略)。なお、点灯回路12は、絶縁性のカバー6に全てが収納されてもよいし、一部が収納され、残部が口金7内に収納されるような形態でもよい。
【0038】
絶縁性のカバー6内は、点灯回路12を含めて覆うように充填材13が充填されている。充填材13は、シリコーン樹脂製であり、弾性、絶縁性及び熱伝導性を有している。充填材13の充填にあたっては、まず、液状の充填材13を絶縁性のカバー6の上方から注入する。充填材13を絶縁性のカバー6の上端部レベルまで注入し、以後、高温雰囲気内で充填材13を硬化、安定させる。
【0039】
前面レンズ8は、第1の反射体2の照射開口部2bを気密に覆うようにシリコーン樹脂のパッキンを介して取付けられている。なお、前面レンズ8には、集光形や散光形があるが、用途に応じて適宜選択できる。
【0040】
次に、熱伝導性の第1の反射体2と熱伝導性のカバー5との接続状態について説明する。熱伝導性のカバー5の接続部5aに、第1の反射体2の接続部2dを対向配置する。そして、第1の反射体2の放熱部材2cに基板9を配置し、その上に第2の反射体3aを重ね合わせる。続いて、ねじ14を第2の反射体3aの切欠き3d、第1の反射体2のねじ貫通孔を介して、熱伝導性のカバー5のねじ穴11にねじ込む。これにより、熱伝導性の第1の反射体2は、熱伝導性のカバー5に固定されるとともに、第2の反射体3aの下端が基板9の表面側を押圧し、第2の反射体3a及び基板9が共に第1の反射体2の底壁に固定される。このような状態では、Oリング10は、接続部5aと接続部2dとの間で弾性変形し、これらの間を気密状態とし、すなわち、Oリング10の内側が気密状態に保持される。したがって、点灯回路12とLEDチップが実装された基板9とのリード線12aによる電気的接続等の配線処理は、Oリング10の内側でなされるようになっている。
【0041】
以上のように構成された発光素子ランプ1の作用について説明する。口金7を照明器具のソケットに装着して通電が行われると、点灯回路12が動作して基板9に電力が供給され、LEDチップが発光する。LEDチップから出射された光は、LEDチップごとに第2の反射体3aの反射面3cによって配光制御され、また、第1の反射体2によって反射され、前面レンズ8を通過して前方に照射される。これに伴いLEDチップから発生する熱は、基板9裏面の略全面から放熱部材2cへ伝わり、さらに、放熱面積の大きい第1の反射体2へと伝導される。さらにまた、第1の反射体2の接続部2dから熱伝導性のカバー5の接続部5aへ熱伝導され、熱伝導性のカバー5全体へ伝導される。このように各部材は、熱的に結合されており、前記熱伝導経路と放熱で基板9の温度上昇を抑制することができる。一方、点灯回路12から発生する熱は、充填材13を介して第1の反射体2へ伝わり、放熱され、また、口金7へ伝わり、口金7から照明器具のランプソケット等に伝導され放熱される。
【0042】
さらに、本実施例の発光素子ランプ1においては、前面レンズ8は、第1の反射体2の照射開口部2bにパッキンを介して取付けられており、第1の反射体2の接続部2dと熱伝導性のカバー5の接続部5aとの間には、Oリング10が設けられており、加えて、点灯回路12は充填材13によって覆われているので、電気絶縁性が保たれ、耐候性、防雨性の機能を有し、屋外での使用に適する構成となっている。また、このため、密閉構造を採っているが、点灯回路部品に異常を来たし、仮に、コンデンサが破損、破裂し、絶縁性のカバー6の内圧が上昇すると、二次的な破損を誘引する可能性があるが、空気孔6bによって絶縁性のカバー6の内の上昇した圧力を排気することができる。
【0043】
以上のように本実施例によれば、発光素子4が実装された基板9の温度上昇を熱伝導性の第1の反射体2及びカバー5を利用して効果的に抑制できる。さらに、第1の反射体2は、照射開口部2bに向けて拡開しているので、放熱作用を奏する外周面の面積が大きく、放熱効果に有効である。しかも、熱伝導性の第1の反射体2と伝導性のカバー5とは、面接触状態となっているので熱伝導が良好となる。また、LEDチップごとに第2の反射体3aの反射面3cによって配光制御でき、所望の光学的処理を行うことができる。さらに、第1の反射体2の接続部2dと熱伝導性のカバー5の接続部5aとの間にOリング10を設けて密閉性を保つようにしたので、簡単な構成により防水機能を維持しつつ、光源部3への給電経路を確保することができる。加えて、既存のいわゆるビームランプの構成部材を用いることができるので、部品を共通化でき、安価な発光素子ランプを提供することが可能となる。
【0044】
(実施例2)図11において、本実施例では、前記第1の実施例における第2の反射体を備えていない形態を示している。なお、第1の実施例と同一部分には同一符号を付し重複した説明は省略する。本実施例によっても、第1の実施例と同様に、LEDチップから発生する熱は、基板9裏面の略全面から放熱部材2cへ伝わり、さらに、放熱面積の大きい第1の反射体2へと伝導される。したがって、効果的な放熱を行うことができる。
【0045】
次に、発光素子ランプを光源とした照明器具の実施形態について図12を参照して説明する。この照明器具20は、ガーデンライトを示している。照明器具20は、器具本体21とこの器具本体21が取付けられるベース22とを備えている。器具本体21内にはソケット23が設けられており、このソケット23に発光素子ランプ1の口金4がねじ込まれて装着されている。なお、照明器具20の設置は、ベース22を地面等に固定して行われ、また、器具本体21は、ベース22に対して向きが変更可能であり、光の照射方向を任意に変えることができる。このような照明器具20によれば、基板の温度上昇を反射体を利用して効果的に抑制できる照明器具を提供できる。
【0046】
以上の各実施形態においては、既存のビームランプの構成部材を適用して構成することを前提として説明したが、本発明は、既存のランプの構成部材を用いることは必須ではない。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の発光素子ランプの第1の実施形態を示す斜視図である。
【図2】同一部を断面して示す正面図である。
【図3】同概略上面図である。
【図4】本発明の発光素子ランプの第2の実施形態を示す概略上面図である。
【図5】同第3の実施形態の一部を断面して示す正面図である。
【図6】同第4の実施形態の一部を断面して示す正面図である。
【図7】同第5の実施形態の一部を断面して示す正面図である。
【図8】同第6の実施形態(実施例1)を示す断面図である。
【図9】同第1の反射体を取外して示す平面図である。
【図10】同第2の反射体を示す斜視図である。
【図11】同第6の実施形態(実施例2)を示す断面図である。
【図12】本発明の発光素子ランプを照明器具に用いた実施形態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0048】
1・・・発光素子ランプ、2・・・反射体、2a・・・反射面、
3・・・カバー部、4・・・口金、5・・・透光性カバー(前面レンズ)、
6・・・発光素子(LEDチップ)、7・・・基板、8・・・放熱部材、
9・・・点灯回路、20・・・照明器具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
照射開口部を有し、この照射開口部に向けて拡開するように形成されるとともに、内面側に反射面が設けられ、外周面が外方に露出する熱伝導性の反射体と;
この反射体にカバー部を介して接続された口金と;
反射体の内周面に設けられ、反射体と熱的に結合された熱伝導性の放熱部材と;
発光素子が配設され、前記放熱部材に基板面が面接触状態で熱的に結合されて取付けられた基板と;
前記カバー部に収納され、発光素子を点灯させる点灯回路と;
反射体の前記照射開口部を覆う透光性カバーと;
を具備することを特徴とする発光素子ランプ。
【請求項2】
前記放熱部材は、反射体の内周面と連続した面を形成するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の発光素子ランプ。
【請求項3】
前記放熱部材は、反射体と一体的に形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の発光素子ランプ。
【請求項4】
ソケットを有する器具本体と;
この器具本体のソケットに装着される請求項1乃至請求項3のいずれか一に記載の発光素子ランプと;
を具備することを特徴とする照明器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−117342(P2009−117342A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−198625(P2008−198625)
【出願日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【出願人】(000003757)東芝ライテック株式会社 (2,710)
【Fターム(参考)】