説明

発光素子

本発明は、基層20、第1の電極層30及び第2の電極層40を備えた基板の積層15を有する発光素子10であって、第1の電極層30と第2の電極層40との間に有機発光層50が挟持され、有機発光層50は人工光51を発する発光素子に関する。本発明は、基層20の少なくとも一部は遮蔽構造60により被覆され、遮蔽構造60は複数の薄板素子70、70'を有し、薄板素子70、70'は、発光素子10から出射される人工光51を該薄板素子70、70'が導くような態様で、積層15からシート状に延在することを開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基層、第1の電極層及び第2の電極層を備えた基板の積層を有する発光素子であって、前記第1の電極層と前記第2の電極層との間に有機発光層が挟持され、前記有機発光層は人工光を発する発光素子に関する。
【背景技術】
【0002】
部屋内の好適な雰囲気をつくり出すため、大面積照明素子が必要とされる。今日、部屋の大部分を照明する均一な光を生成するため、ガス放電ランプがしばしば利用される。不運にも、放電ランプは、コストが高く且つ極めて非効率的であることが知られている。この欠点を克服するため、有機発光ダイオード(OLED)が適切である。OLEDの利点は、潜在的に低いコスト及び高い効率を持つ均一な光源である点である。有機発光素子(物質及び構造)は、例えば国際特許出願公開WO2005/053053A1(開示内容は全ての目的について参照によりここで本明細書に組み込まれたものとする)に開示されるように、本分野では知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、OLEDは、光が全ての方向に均一に広がるランベルト特性を有している。このことは、大面積照明素子として利用されるときにOLEDが眩しくなるという欠点を持つ。OLEDは今日大きな光束に到達したため、発せられる人工光は、OLEDにより照明された部屋に入る人物の目を眩ませる。
【0004】
米国特許出願公開US2005/0259198A1には、バックライトを持つシステムにおける利用のためのコリメート装置及びトランスフレクタ(transflector)が開示されている。該コリメート装置は円錐状の断面を持ち、OLEDの基板を被覆する光学素子層に組み込まれる。該光学素子層の目的は、与えられた光の角度分布を減少させ、ピーク強度を増大させることである。しかしながら、示される微視的構造は、OLEDが大面積照明素子として利用される場合には、眩しさを防がない。
【0005】
本発明は、上述した欠点を除去することを目的とする。とりわけ、本発明の目的は、眩しくなることなく大きな面積を照明することが可能なOLEDを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の目的は、本発明の請求項1により教示される発光素子により達成される。該発光素子の有利な実施例は、下位請求項に定義される。
【0007】
本発明の目的を達成するため、前記基層の少なくとも一部は遮蔽構造により被覆され、前記遮蔽構造は複数の薄板素子を有し、前記薄板素子は、前記発光素子から出射される前記人工光を前記薄板素子が導くような態様で、前記積層からシート状に延在する。
【0008】
本発明の優れた洞察は、OLEDにより発せられた周囲光を分割し導くために、巨視的な薄板素子を利用することである。斯くして、LEDの光束は、スポット又は領域を照明するように導かれる。更に、遮蔽構造の巨視的なサイズのため、該照明装置を見る人物は、発光層に直接の視線を向けないこととなる。それ故、該薄板素子が、人工光が人物の目を眩ませることを防ぐこととなる。
【0009】
説明される発光素子の光源はOLEDである。この均一な大面積光源は、人工光を生成するための少なくとも3つの層を有する。更にOLEDは、キャリアとして働き、ガラス若しくは有機物質からできたものであっても良いし又は金属箔のような非透過性の物質でできたものであっても良い、基板層を有しても良い。該基板層には通常、透明なインジウムスズ酸化物(ITO)の薄層が塗布され、第1の電極層を形成する。更に、有機発光ダイオードは、約5乃至500nmの層厚の有機物質を持つ、少なくとも1つの薄層から成る。OLEDは、第2の電極層を形成する、アルミニウムのような金属の層により一様に被覆され、該金属層は約100nmの厚さを持ち、従ってITO層の厚さと同様である。斯かる厚さのアルミニウムはミラーとして働き、発せられた光は透明なITOの第1の電極層と透明な基層のみを通る。本発明においては、有機発光層なる語は、有機物質の単一の層のみならず、有機物質及び無機物質を有する幾つかの層から成る素子をも含む。
【0010】
本発明においては、「基層」なる語は、電極及び/又は有機層が付着される層としてOLEDの説明においてしばしば利用される「基板」なる語と、混同されるべきではない。本発明の意味における基層は、基板であっても良いし、基板である必要もない。例えば、人工光が基板を通って有機発光層から出射する底部発光OLEDが利用される場合には、基層と基板とは同一である。上部発光OLEDが利用される場合には、基層は、電極層の1つの上部における被覆シートでもあり得る。両方の場合において、基層は常に、有機発光層において生成された人工光がOLEDから出射する際に通過するOLEDの外層である。
【0011】
好適な実施例においては、基層に遮蔽構造が接続される。該構成は、2つの目的を果たす。一方では、人工光が薄板素子により導かれ、眩しさが生じないようにする。他方では、該遮蔽構造が冷却膜のように働き、OLEDから熱を消散させる。第2の目的を達するため、OLEDと該遮蔽構造との間の機構的な接触が確立される必要がある。該接続は、該遮蔽構造と基層との間の熱的接触であって、高い熱伝導性を有する熱的接触を達成する種々の方法によって実現され得る。例えば、該接続は、該遮蔽構造を基層へと接着又は溶接することにより実現されても良い。特に、レーザ溶接、抵抗溶接又は電子ビーム溶接が有利であることが分かっている。該結合の他に、該遮蔽構造は、イオンビーム蒸着、電子ビーム蒸着、化学蒸着及びガルバニック(galvanic)蒸着のような、薄膜蒸着手法により生成されても良い。
【0012】
他の実施例においては、該遮蔽構造と基層とが一体であっても良い。該実施例は、熱の流れを妨げる、基層と遮蔽構造との間の交差点がないという利点を持つ。基層は光に対して透明である必要があるため、ガラスでできたものであっても良い。遮蔽構造は、該ガラス層を粉砕したものであっても良い。基層に高分子物質が用いられる場合には、一体型の遮蔽構造/基層は、鋳造の間に作成されても良い。この種の製法は安価であり、大量の発光素子が生成される場合には好適である。鋳造の後、人工光の必要な反射を達成するため、遮蔽構造の薄板素子は金属表面により被覆されても良い。
【0013】
他の実施例においては、該遮蔽構造は装着手段を有し、薄板素子が該装着手段に接続される。該装着手段はフレーム状の構造であっても良く、前記接続は螺子、クリップ又はプラグにより実現されても良い。これら列挙された接続手段の全ては、薄板素子と装着手段との間の着脱可能な接続を可能とする。このことは、ユーザが、遮蔽構造全体を変更することなく、損傷した薄板素子を交換することを可能とする。更に、薄板素子の位置が、発光素子の用途に応じて変更されることもできる。
【0014】
該発光素子が天井の大部分をカバーする天井灯として利用される場合には、設計上の理由から、部屋の全長に亘って延在する各薄板部材が一体型で作成されることが好適であり得る。今日製造されるOLEDのサイズは50×50cmの範囲内であるため、他の好適な実施例においては、装着手段がフレーム状の支持構造を持ち、タイル状のOLEDが埋め込まれる。この種の装着手段の利用により、単一のOLEDの容易な交換が可能となる。更に、装着手段及び/又は遮蔽構造は、OLEDが装着される複数のコネクタを有しても良い。全てのコネクタはこのとき、単一のドライバ及び電力のための供給源に接続されても良い。このことは、全てのOLEDの電気的な接続を1つの電源へと単純化する。
【0015】
薄板素子の機能は、眩しさが回避されるように、発光素子から出る人工光を導くことである。この目的を達成するため、該薄板素子は、小さな幅を持ち高さよりも長いシート状構造を有する。最後に言及された幅は重要である。なぜなら、該薄板素子は、有機発光層から発せられる人工光を遮るからである。用途の種類に応じて、異なる大きさの薄板素子が、有利であることが分かっている。従って、該薄板素子は、0.5mmと50mmとの間の高さ、好適には10mmと30mmとの間の高さを有しても良い。部屋の側壁に平行に設置される場合には、20mm及び50mmの高さを持つ薄板素子が有利であることが分かっている。斯くして、天上の下に設置された発光素子を斜めに見る人物は、発光層に直接の視線を向けないこととなる。それ故、本発明の目的が達成される。一方で、発光素子がスポットライト(例えば机を照明するための)として利用される場合には、10mmと30mmとの間の高さを有する薄板素子が有利であることが分かっている。2つの薄板素子間の距離も減少させられる場合には、0.5mm及び10mmからの更なる薄板素子の高さの削減が適切である。斯くして、基層をカバーする微小なグリッドが、眩しさが生じないように確立される。(基層との
接点において測定される)薄板素子の幅は、0.5mmと10mmとの間であっても良く、好適には1mmと5mmとの間である。前述したように、該薄板素子は、有機発光層の一部を遮る。それ故、一方では小さなベース領域が適切であるが、他方では十分な力学的な安定性が確立される必要がある。測定結果が示すように、上述した範囲内の幅が有利であることが分かっている。薄板の長さは、用途の種類により変わり得る。最も一般的には、薄板素子の長さは、5cmと200cmとの間となり、更に好適には10cmと100cmとの間であり、最も好適には20cmと50cmとの間である。このサイズの薄板素子は製造が容易であり、且つ必要とされる力学的な安定性を有する。
【0016】
OLEDの隣接する透過領域を通過して出射されるようにOLED光を反射させて戻すため、薄板のベース領域は反射性であっても良く、反射性物質により被覆されていても良いし、又は反射性物質(例えば金属)からできたものであっても良い。
【0017】
薄板素子は、一種の導光板として働き、該薄板素子に当たる光線を反射する。この理由のため、該薄板素子の外形は、人工光を導くために重要である。薄板素子により囲まれた発光素子の一領域がスポットライトとして働くべきである場合には、これら薄板素子の断面は、発光素子が領域照明のために利用される場合に利用される薄板素子の断面とは、異なるものである必要がある。斯くして、他の好適な実施例においては、薄板素子は、三角形、長方形、平行四辺形、円弧形、波形、多角形及び台形のうちの少なくとも1つの断面を有する。テストが示しているように、長方形の断面を持つ薄板素子は、構築及び装着手段における設置が容易である。それに対し、円弧形又は多角形の断面を持つ薄板素子は、人工光をフォーカスさせるために好適である。なぜなら、反射角が、薄板素子の高さによって変化するからである。
【0018】
他の好適な実施例においては、各薄板素子は、平面の又は波形の表面を有する。スペクトル反射が必要とされる場合には、薄板素子の表面は、光線の波伝搬が、該光線が該薄板素子の表面に当たる角度である入射角度にのみ依存するように、平面であるべきである。それ故、スポットライトを形成する発光素子については、平面の表面が主に利用される。薄板素子による人工光のフォーカスを低減させるためには、波形の表面が利用されても良い。この場合には、粗い又は粒状の表面に当たる光の反射が拡散される。この種の表面は、発光素子が部屋の壁全体を照明するウォールウォッシャ(wall washer)として利用される場合に、特に有利である。
【0019】
上述したように、薄板素子は熱輸送のために利用されることができる。それ故、薄板素子は、優れた熱伝導性を有するべきである。薄板素子のための好適な物質は銅、アルミニウム、スズ、鋼又はステンレスである。いずれの場合にも、薄板素子は50W/(m・K)よりも大きな、より好適には100W/(m・K)よりも大きな熱伝導率を有するべきである。銀、タングステン、モリブデン、クロム等のような金属及び遷移金属も適切である。このことは、これら金属の組み合わせ及び合金にも当てはまる。発光素子の熱が他の手段により拡散させられる場合には、薄板素子は高分子でできたものであっても良い。この種の物質は、軽量、安価であり、製造が容易であるという利点を持つ。それ故、遮蔽構造の重量が重要であるような全ての場合に、高分子の薄板素子が好適である。必要とされる光の反射及び導光を達成するため、高分子の薄板素子は、反射性の表面を生成する金属面により被覆されても良い。
【0020】
発光素子が部屋の天井に装着される場合には、均一な照明を生成するため、薄板素子は一様な態様で配置されても良い。それ故、基層をカバーする平行な線で薄板素子を配置することが適切となり得る。他の好適な実施例においては、薄板素子は、三角形、正方形、五角形及び八角形のうちの少なくとも1つの態様で基層に配置される。この配置の各々は、導光におけるそれぞれの利点を持つ。部屋の隅、曲線又はその他の構造も、列挙された態様のうちの1つでの薄板素子の設置を強いる場合がある。測定結果が示すように、薄板素子がハニカム構造を形成するように薄板素子が六角形で基層上に配置されると有利である。ハニカム構造を利用することにより、人工光がより導かれ得る。OLEDは人工光を全ての方向に拡散させるため、ハニカム構造が光をより鋭く導き、全ての方向において眩しさを防ぐ。ハニカム構造の薄板素子に三角形の形状を与えることにより、人工光が非常に効率的な態様で反射されることとなる。
【0021】
他の好適な実施例においては、光が特定の方向に導かれるように、薄板素子は基層に対して特定の角度で配置される。本実施例においては、各薄板素子の角度は、照明されるべき物体の位置、及び照明装置の位置に依存する。光強度、低減された眩しさ及び照明される物体までの距離の間の適切な組み合わせは、20°と70°との間、より好適には30°と60°との間、最も好適には40°と50°との間の角度に導く。特に、最後に示した間隔は、発光素子が天井の下に装着される場合に、必要な壁からの発光素子の距離と共に、目の高さ内の物体の照明を保証する。
【0022】
他の好適な実施例においては、発光素子における薄板素子の位置に対する、該薄板素子の角度の徐々の変化があっても良い。例えば発光素子が壁の天井をカバーする場合には、天井の外縁の近くに配置された薄板素子が、机の上方又は部屋の中央に配置された薄板素子の角度とは異なる角度を有することが適切となり得る。従って、一方では遮蔽構造がスポットライトを形成して机を照明するようにされ、他方では他の薄板素子が壁全体を照明するように構成される。
【0023】
前述した発光素子、並びに請求される構成要素及び説明される実施例における本発明により利用されるべき構成要素は、サイズ、形状、物質選択に関するいずれの特別な限定に制約されるものではない。関連分野において知られた技術概念が、限定することなく適用され得る。本発明の目的の付加的な詳細、特徴及び利点は、本発明による発光素子の好適な実施例を示す、下位請求項及びそれぞれの図面の以下の説明(単に例としてのものである)において開示される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】発光素子の断面図を示す。
【図2】発光素子の積層及び複数の薄板素子の断面図を示す。
【図3】線状の遮蔽構造を持つ発光素子を示す。
【図4】正方形状の遮蔽構造を持つ発光素子を示す。
【図5】ハニカム構造を形成するように構成された薄板素子を持つ発光素子を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1には、発光素子10の断面図が示される。発光素子10は、基板の積層15を有する。図示される実施例においては、発光素子10の基礎は、ガラス又は高分子の基板である基層20により形成される。該基層20には、第1の電極層30が堆積させられる。該第1の電極層30の上には、有機発光層50と第2の電極層40とが、互いに重ねられる。基層20を除いて、これら3つの列挙された層30、40及び50のそれぞれは、500nmよりも小さなサイズ、好適には約50nmと200nmとの間の厚さを有する。第2の電極層40から第1の電極層30へと流れる電流を与えると、有機発光層50は、有機物質中の電子と正孔との再結合により人工光51を放射する。図示される実施例においては、第2の電極層40は、一種のミラーとして働くアルミニウムでできたものである。従って、人工光51は、単に透明な第1の電極層30及び基層20を通って放射される。
【0026】
図1に示された積層15は、底部発光型OLEDを形成する。斯かる種類の発光素子10は、大きなサイズで製造されることができ、照明される必要がある部屋の天井の下に設置されることができる。OLEDはランベルト特性を持つため、光51は全ての方向に一様に拡散する。このことは、発せられる人工光51の高い強度と合わせて、眩しさを生じることとなる。この眩しさを防ぐため、図示される発光素子10は、遮蔽構造60を有する。遮蔽構造60は、基層20の少なくとも一部をカバーし、複数の薄板素子70を有する。薄板素子70は、薄板素子70が発光素子10から発せられる人工光51を導光するような態様で、積層15からシート状に延在する。
【0027】
図1に示された発光素子10は、2つの異なるタイプの遮蔽構造60及び60'を有する。遮蔽構造60及び60'のそれぞれは、基層20の一部をカバーする。遮蔽構造60は、積層15から突出し、人工光51を導く、3つの薄板素子70を有する。人工光51は、基層20を通り、積層15から出射される。薄板素子70は、導光部を分割する一種のミラーとして機能する。人工光51の一部が薄板素子70の表面71に当たると、該光は反射され、それによってフォーカスされる。更に、横の位置から発光素子10を見る人物は、発光層50に直接の視線を向けないこととなる。従って、開示される遮蔽素子60は、眩しさを防ぐ。
【0028】
図示される実施例においては、遮蔽構造60は、薄板素子70が接続される装着手段65を有する。更に、遮蔽構造60は基層に接続され、遮蔽構造60が冷却構造として働くことを可能とする。有機発光層15において生成される熱は、薄板素子70を通して消散させられる。好適には、薄板素子70が基層20に接着若しくは溶接されるか、又は遮蔽構造60と基層20とが一体のものである。これらいずれの実施例においても、積層15と遮蔽構造60との間の直接的な機構的接触が実現され、高い熱伝導率を有することとなる。
【0029】
図示された実施例における薄板素子70は、三角形の断面を有する。これに対し、同様に図1に示された薄板素子70'は、円弧状の断面を有する。このことは、反射の角度が、基層20からの距離に応じて徐々に変化するという利点を持つ。このことは、よりフォーカスされた光51に帰着し、発光素子10が机を照明するオフィス用照明として利用されるような場合においては特に便利である。
【0030】
発光素子10が天井の下に装着され、且つ側壁の1つを照明すべき場合には、図2に示されるように薄板素子が基層20に対して特定の角度75で配置されることが有利である。薄板素子70の傾けられた構成は、人工光51の横向きの導光に帰着する。薄板素子70の角度75は、一方では発光素子の位置に依存し、他方では照明されるべき物体の位置に依存する。それ故、部屋全体の天井をカバーする薄板素子70の角度が、側壁に対する距離に対して次第に変化することが適切となり得る。従って、部屋内に配置された薄板素子は垂直方向の構成を有しても良く、側壁の近くに配置された薄板素子は角度75で配置されても良い。図2においては、薄板素子は長方形の断面を有する。より拡散した人工光51を得るため、薄板素子は波形の断面を有しても良く、又は、長方形又は台形の断面が利用される場合には、表面自体が波状にされても良い。その結果、人工光はフォーカスされず、散乱させられることとなる。薄板素子の角度75は、スポット状の照明素子を得るために利用される場合には、20°と45°との間の値を有しても良い。照明素子が大面積の側壁を照明するために利用される場合には、45°と70°との間の範囲内の角度がより好適である。
【0031】
眩しさを防ぎ、同時に均一な熱放散を実現するためには、薄板素子が一様な態様で配置されることが有利である。斯かる種類の構成は、図3に示される。薄板素子70は、長さ73を有する線状な態様に配置され、該長さは基層20の長さに略等しい。今日、OLEDは、50×50cmのサイズで生成されることができる。それ故、薄板素子70は、1cmと100cmとの間、好適には5cmと50cmとの間の長さを有することが有利である。その巨視的なサイズのため、薄板素子70は基層の一部をカバーし、それ故発光層50により発せられる光51を遮蔽する。それ故、薄板素子70が、可能な限り小さな幅74を有することが適切である。測定結果は、0.5mmと10mmとの間、好適には1mmと5mmとの間の幅74が、最良の力学的安定性と、発光素子10の最大限の遮蔽とを両立することを示している。図1に示されるような薄板素子70の高さ72は、用途の種類に依存する。0.5mm乃至50mmの範囲内である種々の高さ72が有利であることが分かっている。薄板素子70の高さ72及び幅74は、2つの薄板素子70の間の距離に対応する。必要とされる人工光51の導光を達成し且つ眩しさを防ぐためには、高さ72が低減されると、発光素子10により多くの薄板素子が配置される必要がある。
【0032】
発光素子10の他の有利な実施例が、図4に示される。薄板素子70が正方形の態様で配置され、全ての方向において眩しさを防ぐ。遮蔽構造60は一体型のものとされても良いし、又は互いに留められ得る薄板素子70により構築されても良い。遮蔽構造60のサイズは、基層20のサイズに対して適合される。図示されるように、積層15は、天井又は壁に発光素子10を装着するために利用されるフレーム手段100に装着される。フレーム手段100はまた、電流及び電圧源、ドライバ、及びその他の発光素子10を駆動するための必要とされる電子回路を有しても良い。更に、フレーム手段100は、他の(図示されていない)フレーム手段100のプラグに合致するコネクタを有しても良く、それによりフレーム手段100又は発光素子10のアレイが互いに接続されても良い。図示された実施例の他に、薄板素子70は、三角形、五角形又は八角形の態様で配置されても良い。図5が示すように、六角形の態様での構成も可能である。
【0033】
図5における薄板素子70は、六角形の態様で配置され、ハニカム構造が形成される。該ハニカム構造は光51の正確な導光に帰着し、全ての方向において眩しさを防ぐ。1つのハニカムの直径は殆ど見えないサイズにまで小さくされても良い。数ミリメートルの範囲内の小さな高さ72及び幅74との組み合わせにより、達成される遮蔽構造60は、眩しさを防ぐ開示された効果と、殆ど見えない構造とを両立する。
【符号の説明】
【0034】
10 発光素子
15 積層
20 基層
30 第1の電極層
40 第2の電極層
50 有機発光層
51 人工光
60、60' 遮蔽構造
65 装着手段
70、70' 薄板素子
71 表面
72 高さ
73 長さ
74 幅
75 角度
100 フレーム手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基層、第1の電極層及び第2の電極層を備えた基板の積層を有する発光素子であって、
前記第1の電極層と前記第2の電極層との間に有機発光層が挟持され、
前記有機発光層は人工光を発する発光素子において、
前記基層の少なくとも一部は遮蔽構造により被覆され、
前記遮蔽構造は複数の薄板素子を有し、
前記薄板素子は、前記発光素子から出射される前記人工光を前記薄板素子が導くような態様で、前記積層からシート状に延在することを特徴とする、発光素子。
【請求項2】
前記遮蔽構造は前記基層に接続され、好適には前記遮蔽構造と前記基層とが一体となっていることを特徴とする、請求項1に記載の発光素子。
【請求項3】
前記遮蔽構造は前記基層に接着、スパッタリング、蒸着及び/又は溶接されていることを特徴とする、請求項2に記載の発光素子。
【請求項4】
前記遮蔽構造は装着手段を有し、前記薄板素子は前記装着手段に接続されていることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の発光素子。
【請求項5】
前記薄板素子は、三角形、長方形、平行四辺形、円弧形、波形、多角形及び台形のうちの少なくとも1つの断面を有することを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の発光素子。
【請求項6】
各前記薄板素子は、平面又は波形の表面を有することを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の発光素子。
【請求項7】
前記薄板素子は反射性の表面を持ち、好適には前記薄板素子は50W/(m・K)よりも大きな、より好適には100W/(m・K)よりも大きな熱伝導率を持つ物質を有することを特徴とする、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の発光素子。
【請求項8】
前記薄板素子が一様な態様で配置されることを特徴とする、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の発光素子。
【請求項9】
前記薄板素子は、三角形、正方形、五角形又は八角形のうち少なくとも1つの態様で前記基層に配置されることを特徴とする、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の発光素子。
【請求項10】
前記薄板素子は六角形の態様で前記基層に配置され、前記薄板素子がハニカム構造を形成することを特徴とする、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の発光素子。
【請求項11】
各前記薄板素子は、前記基層に対して特定の角度で配置され、好適には前記角度は20°と70°との間、より好適には30°と60°との間、最も好適には40°と50°との間の値を有することを特徴とする、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の発光素子。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公表番号】特表2010−524165(P2010−524165A)
【公表日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−501625(P2010−501625)
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【国際出願番号】PCT/IB2008/051185
【国際公開番号】WO2008/122907
【国際公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】