発光装置、発光装置の製造方法及び電子機器
【課題】膜厚が良好な均一性を有する発光機能層を備える発光装置、発光装置の製造方法及び電子機器を提供する。
【解決手段】発光装置10は、赤(R)、緑(G)、青(B)の3色に発光する3つの画素30R、30G、30Bを備える。1列おきに発光層45を形成する第1の工程と、第1の工程で形成されなかった列に発光層45を形成する第2の工程に分割して行うため、Gの発光層45Gの隔壁48に乗り上げた端は、Rの発光層45RとBの発光層45Bの隔壁48に乗り上げた端を覆うようにして、Rの発光層45RとBの発光層45Bの端に乗り上げて形成される。1列おきに発光層45を形成することにより、発光機能層の膜厚を良好に均一とすることができる。
【解決手段】発光装置10は、赤(R)、緑(G)、青(B)の3色に発光する3つの画素30R、30G、30Bを備える。1列おきに発光層45を形成する第1の工程と、第1の工程で形成されなかった列に発光層45を形成する第2の工程に分割して行うため、Gの発光層45Gの隔壁48に乗り上げた端は、Rの発光層45RとBの発光層45Bの隔壁48に乗り上げた端を覆うようにして、Rの発光層45RとBの発光層45Bの端に乗り上げて形成される。1列おきに発光層45を形成することにより、発光機能層の膜厚を良好に均一とすることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機EL(electroluminescence)素子を用いた発光装置、発光装置の製造方法及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶表示装置(LCD)に続く次世代の表示デバイスとして、有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、「有機EL素子」と略記する)等の自発光素子を2次元配列した発光素子型の表示パネルを備えた発光装置の研究開発が行われている。
【0003】
有機EL素子は、アノード電極と、カソード電極と、これらの一対の電極間に形成され、例えば発光層、正孔注入層、等を有する有機EL層(発光機能層)と、を備える。有機EL素子では、発光層において正孔と電子とが再結合することによって発生するエネルギーによって発光する。
【0004】
このような有機EL素子の発光層、正孔注入層等は、例えば、特許文献1に開示されているように、隔壁によって仕切られた空間に、溶液を塗布し、溶媒を乾燥させることによって形成される。溶液の塗布は、例えばノズルプリンティング方式、インクジェットプリント方式等によって行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−123083号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、有機EL素子では、発光機能層の膜厚が不均一であると、発光が不均一となるという問題がある。このため、発光機能層の膜厚を良好に制御し、良好な均一性を有する膜とすることが求められている。
【0007】
本発明は上述した実情に鑑みてなされたものであって、膜厚が良好な均一性を有する発光機能層を備える発光装置、発光装置の製造方法及び電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係る発光装置は、
複数の行及び複数の列に沿って配列された複数の発光素子を備え、前記各発光素子は、所定の発光色で発光する発光層を含む発光機能層を有し、
行方向に隣接して配列された前記各発光素子間に設けられた間隙領域を有し、
前記各発光素子の前記発光機能層は、前記発光層の形成領域と、前記間隙領域の一部とに跨って形成されており、
前記発光機能層が、行方向に隣接して配列された前記各発光素子の前記間隙領域の一部に形成された前記発光機能層を覆うように形成された前記発光素子を少なくとも一つ備えることを特徴とする。
【0009】
前記発光装置は、前記間隙領域に形成され、前記各発光素子の前記発光層の形成領域を画し、その上面は前記発光機能層の上面より高い隔壁を有し、
前記発光機能層は、前記間隙領域において、前記隔壁の一部に乗り上げて形成されていてもよい。
【0010】
前記複数の発光素子は、前記間隙領域の一部に形成された前記発光機能層の一部が、行方向に隣接する前記発光素子の前記発光機能層に覆われている第1の発光素子と、前記発光機能層が、行方向に隣接する前記発光素子の前記間隙領域の一部に形成された前記発光機能層の一部を覆っている第2の発光素子と、を有し、
前記第1の発光素子と前記第2の発光素子とは、行方向に交互に設けられていてもよい。
【0011】
前記複数の発光素子は、前記発光層として、第1の発光色を有する第1の発光層、前記第1の発光色と異なる第2の発光色を有する第2の発光層、前記第1及び第2の発光色と異なる第3の発光色を有する第3の発光層、の何れかを有し、
前記第1の発光層と前記第2の発光層と前記第3の発光層とは、前記第1の発光層、前記第2の発光層、前記第3の発光層の順に一組とされ、複数の組が行方向に繰り返し配置され、
奇数組の前記第1の発光層、奇数組の前記第3の発光層及び偶数組の前記第2の発光層はそれぞれ前記第1の発光素子の構成要素であり、偶数組の前記第1の発光層、偶数組の前記第3の発光層及び奇数組の前記第2の発光層はそれぞれ前記第2の発光素子の構成要素であってもよい。
【0012】
前記複数の発光素子は、前記発光層として、第1の発光色を有する第1の発光層、前記第1の発光色と異なる第2の発光色を有する第2の発光層、前記第1及び第2の発光色と異なる第3の発光色を有する第3の発光層、の何れかを有し、
前記第1の発光層と前記第2の発光層と前記第3の発光層とは、前記第1の発光層、前記第2の発光層、前記第3の発光層の順に一組とされ、複数の組が行方向に繰り返し配置され、
偶数組の前記第1の発光層、偶数組の前記第3の発光層及び奇数組の前記第2の発光層はそれぞれ前記第1の発光素子の構成要素であり、奇数組の前記第1の発光層、奇数組の前記第3の発光層及び偶数組の前記第2の発光層はそれぞれ前記第2の発光素子の構成要素であってもよい。
【0013】
前記発光機能層は、前記発光層に正孔を注入する正孔注入層、インターレイヤ層の少なくとも何れか1つを含んでもよい。
【0014】
上記目的を達成するため、本発明の第2の観点に係る発光装置の製造方法は、
所定の発光色で発光する発光層を有する複数の発光素子が、複数の行及び複数の列に沿って配列された発光装置の製造方法であって、
前記複数の発光素子の前記発光層の形成領域に、有機材料を含む溶液を塗布して、前記発光層を含む発光機能層を形成する発光機能層形成工程を備え、
前記発光機能層形成工程は、
1列おきに配列される前記各発光素子の前記発光層の形成領域に、前記溶液を列方向に塗布して、前記発光機能層を1列おきに形成する第1の工程と、
前記第1の工程の後、前記第1の工程で前記溶液が塗布されなかった列に配列される前記各発光素子の前記発光層の形成領域に、前記溶液を列方向に塗布して、前記発光機能層を形成する第2の工程と、を含むことを特徴とする。
【0015】
前記発光装置は、行方向に隣接して配列された前記各発光素子間に設けられた間隙領域を有し、
前記第1の工程及び前記第2の工程で形成される前記発光機能層は、前記間隙領域にも形成され、
前記第2の工程で前記間隙領域に形成される前記発光機能層は、行方向に隣接する前記各発光素子との間の前記間隙領域に前記第1の工程で前記間隙領域に形成された前記発光機能層の一部を覆うように形成されてもよい。
【0016】
前記複数の発光素子は、第1の発光色を有する第1の発光層、前記第1の発光色と異なる第2の発光色を有する第2の発光層、前記第1及び第2の発光色と異なる第3の発光色を有する第3の発光層、の何れかを有し、前記第1の発光層と前記第2の発光層と前記第3の発光層とは、前記第1の発光層、前記第2の発光層、前記第3の発光層の順に一組とされ、複数の組が行方向に繰り返し並んで配置され、
前記第1の工程では、奇数組の前記第1の発光層、奇数組の前記第3の発光層及び偶数組の前記第2の発光層を形成し、
前記第2の工程では、偶数組の前記第1の発光層、偶数組の前記第3の発光層及び奇数組の前記第2の発光層を形成してもよい。
【0017】
前記複数の発光素子は、第1の発光色を有する第1の発光層、前記第1の発光色と異なる第2の発光色を有する第2の発光層、前記第1及び第2の発光色と異なる第3の発光色を有する第3の発光層、の何れかを有し、前記第1の発光層と前記第2の発光層と前記第3の発光層とは、前記第1の発光層、前記第2の発光層、前記第3の発光層の順に一組とされ、複数の組が行方向に繰り返し並んで配置され、
前記第1の工程では、偶数組の前記第1の発光層、偶数組の前記第3の発光層及び奇数組の前記第2の発光層を形成し、
前記第2の工程では、奇数組の前記第1の発光層、奇数組の前記第3の発光層及び偶数組の前記第2の発光層を形成してもよい。
【0018】
前記発光機能層は、前記発光層に正孔を注入する正孔注入層、インターレイヤ層の少なくとも何れか1つを含んでもよい。
【0019】
前記第1の工程では、前記溶液の塗布量を第1の量に設定し、
前記第2の工程では、前記溶液の塗布量を前記第1の量より少ない第2の量に設定してもよい。
【0020】
上記目的を達成するため、本発明の第3の観点に係る電子機器は、
上記第1の観点に係る発光装置を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、1列おきに発光機能層を形成する第1の工程と、第1の工程で形成されなかった列に発光機能層を形成する第2の工程に分割することにより、膜厚が良好な均一性を有する発光機能層を備える発光装置、発光装置の製造方法及び電子機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】実施形態に係る発光装置の構成例を示す平面図である。
【図2】(a)及び(b)は、発光装置が用いられる電子機器を示す図である。
【図3】発光装置が用いられる電子機器を示す図である。
【図4】発光装置が用いられる電子機器を示す図である。
【図5】図1に示す発光装置の断面構成を示す図である。
【図6】画素の駆動回路の一例の等価回路図である。
【図7】画素の平面図である。
【図8】図7に示すVIII−VIII線断面図である。
【図9A】発光装置の製造方法を示す図である。
【図9B】発光装置の製造方法を示す図である。
【図9C】発光装置の製造方法を示す図である。
【図9D】発光装置の製造方法を示す図である。
【図9E】発光装置の製造方法を示す図である。
【図9F】発光装置の製造方法を示す図である。
【図9G】発光装置の製造方法を示す図である。
【図9H】発光装置の製造方法を示す図である。
【図9I】発光装置の製造方法を示す図である。
【図10A】ノズルプリンティング方式を説明するためのノズルプリンティング装置の概略構成を示す図である。
【図10B】ノズルプリンティング方式を説明するためのノズルプリンティング装置の概略構成を示す図である。
【図11】(a)は本実施形態における発光装置の断面構成を示す図であり、(b)は、本実施形態における各発光層の膜厚等高線を示す図である。
【図12】(a)は比較例における発光装置の断面構成を示す図であり、(b)は、比較例における各発光層の膜厚等高線を示す図である。
【図13A】発光装置の製造方法の変形例を示す図である。
【図13B】発光装置の製造方法の変形例を示す図である。
【図14】発光装置の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の実施形態に係る発光装置、発光装置の製造方法及び電子機器について図を用いて説明する。本実施形態では、有機EL素子により発生した光を有機EL素子が形成された基板を介して外部に出射するボトムエミッション型の有機EL(electroluminescence)素子を用いたアクティブ駆動方式の発光装置を例に挙げて説明する。また、本実施形態の発光装置は表示装置としても用いられる。
【0024】
図1は実施形態に係る発光装置の構成例を示す平面図である。図2乃至図4は、発光装置が用いられる電子機器を示す図である。図5は、図1に示す発光装置10の断面構成を示す図である。また、図6は画素30の駆動回路の一例の等価回路図である。図7は、画素30Gの平面図であり、図8は図7に示すVIII−VIII線断面図である。
【0025】
発光装置10がカラー表示を行うものである場合、基板31上には、図1に示すようにそれぞれ赤(R)、緑(G)、青(B)の3色の何れかの発光色で発光する発光素子を有する3つの画素30(30R、30G、30B)を一組として、この組が行方向(図1の左右方向)に繰り返し複数個、例えばm個配列されるとともに、列方向(図1の上下方向)に同一色の発光色の発光素子を有する画素が複数個、例えばn個配列されている。換言すれば、画素自体は行方向に3m個配列されており、RGBの各色を発光する画素はマトリクス状に、3m×n個配列される。
【0026】
基板31上には、行方向に配列され、図6に示す複数の画素回路DSに接続されたアノードラインLaと、行方向に配列された複数の画素回路DSにそれぞれ接続された複数のデータラインLdと、行方向に配列された複数の画素回路DSのトランジスタTr11を選択する走査ラインLsと、が形成されている。
【0027】
このような構成を採る発光装置10は、デジタルカメラ、パーソナルコンピュータ、携帯電話等の電子機器の表示部(ディスプレイ)として用いられる。具体的には、カメラ200は、例えば図2(a)及び(b)に示すように、レンズ部201と、操作部202と、表示部203と、ファインダー204と、を備える。この表示部203として、発光装置10が用いられる。同様に、パーソナルコンピュータ210は図3に示すように、表示部211と操作部212とを備え、発光装置10は、表示部211として用いられる。更に、携帯電話220は表示部221と操作部222と受話部223と送話部224とを備え、発光装置10は表示部221として用いられる。
【0028】
次に、図1に示す発光装置10の断面構成を図5に示す。図5では、説明の便宜のため、基板31、画素電極42、隔壁48、それぞれ赤(R)、緑(G)、青(B)の発光色を有する3色の発光層45R,45G,45B(以下、発光層45R,45G,45Bを総称して発光層45とも記す)のみを図示し、その他の構成要素については図示を省略している。3色の発光色の発光層45R,45G,45Bは、それぞれ3色の画素30R,30G,30Bの、各々の発光素子を形成するものである。詳細に後述するように、本実施形態では、第1の工程で発光層45を1列おきに形成した上で、第2の工程で第1の工程で形成しなかった列に発光層45を形成する。具体的には、例えば図5の左端から奇数番目の列の発光層45を形成した上で、偶数番目の列の発光層45を形成することを特徴とする。このため、R、G、Bの各色の発光層45R,45G,45Bは、R、G、Bの順では形成されない。例えば図5に示すように偶数列の画素30Gの発光層45Gは、両隣に存する奇数列の画素30Rの発光層45R及び画素30Bの発光層45Bが形成された後で形成される。図5に示すように、隔壁48の上面は、発光層45R,45G,45Bの中央の平坦部の上面より高くなっている。また、図5に示すように、発光層45R,45G,45Bの行方向の両端は、一部が隔壁48に乗り上げるように形成されている。これにより、図5では、画素30Gの発光層45Gの隔壁48に乗り上げた端は、画素30Rの発光層45Rと画素30Bの発光層45Bの隔壁48に乗り上げた端を覆うようにして、画素30Rの発光層45RとBの発光層45Bの端に乗り上げて形成される。
【0029】
次に、発光装置10を構成する画素30について、図6乃至8を用いて説明する。なお、本実施形態では奇数列の画素30の発光層45の隔壁48に乗リ上げた端が、隣接する画素30の隔壁48に乗り上げた端を覆うように形成されている以外は、R,G,Bの各画素30の構成は同一であるため、以下、Gの画素30Gを例に挙げて説明する。
【0030】
画素30は画素回路DSを有して構成されている。画素回路DSは、例えば図6に示すように、選択トランジスタTr11、駆動トランジスタTr12、キャパシタCs、有機EL素子(発光素子)OELと、を備える。
【0031】
図6に示すように、選択トランジスタTr11は、ゲート端子が走査ラインLsに、ドレイン端子がデータラインLdに、ソース端子が接点N11にそれぞれ接続される。また、駆動トランジスタTr12は、ゲート端子が接点N11に接続されており、ドレイン端子がアノードラインLaに、ソース端子が接点N12にそれぞれ接続されている。キャパシタCsは、駆動トランジスタTr12のゲート端子及びソース端子に接続されている。なお、キャパシタCsは、駆動トランジスタTr12のゲート−ソース間に付加的に設けられた補助容量、もしくは駆動トランジスタTr12のゲート−ソース間の寄生容量と補助容量からなる容量成分である。また、有機EL素子OELは、アノード端子(画素電極42)が接点N12に接続され、カソード端子(対向電極46)に基準電圧Vssが印加されている。
【0032】
走査ラインLsは、画素基板の周縁部に配置された走査ドライバ(図示せず)に接続されており、所定タイミングで行方向に配列された複数の画素30を選択状態に設定するための選択電圧信号(走査信号)が印加される。また、データラインLdは、画素基板の周縁部に配置されたデータドライバ(図示せず)に接続され、上記画素30の選択状態に同期するタイミングで発光データに応じたデータ電圧(階調信号)が印加される。行方向に配列された複数の駆動トランジスタTr12が、当該駆動トランジスタTr12に接続された有機EL素子OELの画素電極42(例えばアノード端子)に発光データに応じた駆動電流を流す状態に設定するように、アノードラインLa(供給電圧ライン)は、所定の高電位電源に直接又は間接的に接続されている。つまり、アノードラインLaは、有機EL素子OELの対向電極46に印加される基準電圧Vssより十分電位の高い所定の高電位(供給電圧Vdd)が印加される。また、対向電極46は、例えば、所定の低電位電源に直接又は間接的に接続され、基板31上にアレイ状に配列された全ての画素30に対して単一の電極層により形成されており、所定の低電圧(基準電圧Vss、例えば接地電位GND)が共通に印加されるように設定されている。
【0033】
また、アノードラインLaと走査ラインLsとは、各トランジスタTr11、Tr12のソース電極、ドレイン電極とを形成するソース−ドレイン導電層を用いてこれらソース電極、ドレイン電極とともに形成される。データラインLdは、各トランジスタTr11、Tr12のゲート電極となるゲート導電層を用いてゲート電極とともに形成される。データラインLdとドレイン電極Tr11dとの間の絶縁膜32には、図7に示すように、コンタクトホール61が形成され、データラインLdとドレイン電極Tr11dとはコンタクトホール61を介して導通している。走査ラインLsとゲート電極Tr11gの両端との間の絶縁膜32には、それぞれコンタクトホール62、63が形成され、走査ラインLsとゲート電極Tr11gとはコンタクトホール62、63を介して導通している。ソース電極Tr11sとゲート電極Tr12gとの間の絶縁膜32には、コンタクトホール64が形成され、ソース電極Tr11sとゲート電極Tr12gとはコンタクトホール64を介して導通している。なお、絶縁膜32は、絶縁性材料、例えばシリコン酸化膜、シリコン窒化膜等から形成され、データラインLd、ゲート電極Tr11g及びゲート電極Tr12gを覆うように基板31上に形成される。
【0034】
次に、有機EL素子OELは、図8に示すように、画素電極42と、発光層45と、対向電極46と、を備える。なお、図8では、説明の便宜上、発光に寄与する発光機能層として発光層45のみを備える構成を例に挙げているが、これに限られず、後述する図14に示すように、発光機能層は、正孔注入層43と発光層45とを備えていてもよく、更に、正孔注入層43とインターレイヤ層44と発光層45とを備えていてもよい。
【0035】
各画素の基板31上には、ゲート導電層をパターニングしてなる選択トランジスタTr11、駆動トランジスタTr12のゲート電極Tr11g、Tr12gが形成されている。各画素に隣接した基板31上には、ゲート導電層をパターニングしてなり、列方向に沿って延びるデータラインLdが形成されている。
【0036】
画素電極(アノード電極)42は、透光性を備える導電材料、例えばITO(Indium Tin Oxide)、ZnO等から構成される。各画素電極42は隣接する他の画素30の画素電極42と層間絶縁膜47によって絶縁されている。
【0037】
層間絶縁膜47は、絶縁性材料、例えばシリコン窒化膜から形成されている。層間絶縁膜47は、画素電極42間に形成され、トランジスタTr11、Tr12や走査ラインLs、アノードラインLaを絶縁保護する。層間絶縁膜47には略方形の開口部47aが形成されており、この開口部47aによって画素30の発光領域が画される。更に層間絶縁膜47上には隔壁48が形成されている。隔壁48には列方向(図7の上下方向)に延びる溝状の開口部48aが複数の画素30にわたって形成されている。ここで、層間絶縁膜47及びその上に形成される隔壁48は、行方向に隣接して配列される各画素30の発光領域間の間隙領域を形成している。
【0038】
隔壁48は、絶縁材料、例えばポリイミド等の感光性樹脂を硬化してなり、層間絶縁膜47上に形成される。隔壁48は、図7に示すように列方向に沿った複数の画素の画素電極42をまとめて開口するようにストライプ状に形成されている。なお、隔壁48の平面形状は、これに限られず各画素電極42毎に開口部をもった格子状であってもよい。また、隔壁48の上面は、発光層45R,45G,45Bの中央の平坦部の上面より高くなるように形成される。
【0039】
なお、隔壁48の表面、層間絶縁膜47の表面に撥液処理を施してもよい。ここで撥液とは、水系の溶媒、有機系溶媒のいずれをも弾く性質を示す。
【0040】
発光層45は、画素電極(アノード電極)42上に形成されている。発光層45は、アノード電極42とカソード電極46との間に電圧を印加することにより所定の発光色の光を発生する機能を有する。発光層45は、蛍光あるいは燐光を発光することが可能な公知の高分子発光材料、例えばポリパラフェニレンビニレン系やポリフルオレン系等の共役二重結合ポリマーを含む発光材料から構成される。また、これらの発光材料は、適宜水系溶媒あるいはテトラリン、テトラメチルベンゼン、メシチレン、キシレン等の有機溶媒に溶解(又は分散)した溶液(分散液)をノズルプリンティング方式やインクジェットプリント方式等により塗布し、溶媒を揮発させることによって形成する。
【0041】
本実施形態では、発光層45の形成工程を二つに分け、1列おきに一旦発光層45を間引いて形成した上で、間引かれた列の発光層45を形成する点に特徴がある。このため、R、G、Bの各色の発光層45は、R、G、Bの順で形成されない。従って、例えば図5に示すように偶数列の画素30Gの発光層45Gは、両隣に存する奇数列の画素30Rの発光層45R及び奇数列の画素30Bの発光層45Bを形成した後で形成される。これにより、図5では、画素30Gの発光層45Gの隔壁48に乗り上げた端は、画素30Rの発光層45Rと画素30Bの発光層45Bの隔壁48に乗り上げた端の一部を覆うようにして、画素30Rの発光層45Rと画素30Bの発光層45Bの隔壁48に乗り上げた端の一部に乗り上げて形成される。
【0042】
ここで、発光機能層として、正孔注入層が設けられる場合、図14に示すように、正孔注入層43は、画素電極42と発光層45との間に設けられる。正孔注入層43は発光層45に正孔を供給する機能を有する。正孔注入層43は正孔(ホール)注入・輸送が可能な有機高分子系の材料、例えば導電性ポリマーであるポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)とドーパントであるポリスチレンスルホン酸(PSS)から構成される。
更に、発光機能層としてインターレイヤ層が設けられる場合、図14に示すように、インターレイヤ層44は正孔注入層43と発光層45との間に設けられる。インターレイヤ層44は、正孔注入層43の正孔注入性を抑制して発光層45内において電子と正孔とを再結合させやすくする機能を有し、発光層45の発光効率を高める。
【0043】
また、対向電極(カソード電極)46は、ボトムエミッション型の場合、発光層45側に設けられ、導電材料、例えばLi、Mg、Ca、Ba等の仕事関数の低い材料からなる電子注入性の下層と、Al等の光反射性導電金属からなる上層を有する積層構造である。本実施形態では、対向電極46は複数の画素30に跨って形成される単一の電極層から構成され、例えば接地電位である基準電圧Vssが印加されている。なお、有機EL素子OELをトップエミッション型とする場合、対向電極46は、発光層45側に設けられ、10nm程度の膜厚の極薄い例えばLi、Mg、Ca、Ba等の仕事関数の低い材料からなる光透過性低仕事関数層と、100nm〜200nm程度の膜厚のITO等の光反射性導電層を有する透明積層構造とする。
【0044】
次に、本実施形態に係る発光装置の製造方法を、図9A〜図9I、図10A及び図10Bを用いて説明する。図10A及び図10Bは、ノズルプリンティング方式を説明するためのノズルプリンティング装置の概略構成を示す図である。ノズルプリンティング装置は、図10Aに示すように、概略、有機化合物含有液からなる溶液52を連続して吐出するノズルを有するノズルヘッド50を備え、ノズルヘッド50を基板31上の塗布領域に沿って移動させることによって、基板31上の塗布領域に溶液52を塗布するものである。また、図10Aはノズルヘッド50を1つだけ有する場合の構成を示し、図10Bはノズルヘッド50を2つ有する場合の構成を示す。なお、図10A及び図10Bにおける基板31は、図7の上下方向が図10A及び図10Bの左右方向となる向きに配置されている。ここで、図10Bにおいてはノズルプリンティング装置がノズルヘッド50を2つ有する場合について示したが、これに限らず、ノズルヘッド50を3つ以上の複数個有するものであってもよい。また、選択トランジスタTr11は駆動トランジスタTr12と同一工程によって形成されるので、選択トランジスタTr11の形成の説明を一部省略する。
【0045】
図9Aに示すように、まず、ガラス基板等からなる基板31を用意する。次に、この基板31上に、スパッタ法、真空蒸着法等により例えば、Mo膜、Cr膜、Al膜、Cr/Al積層膜、AlTi合金膜又はAlNdTi合金膜、AlNi合金膜、MoNb合金膜等からなるゲート導電膜を形成し、これを図9Aに示すように駆動トランジスタTr12のゲート電極Tr12gの形状にパターニングする。この際、図示はしていないが、選択トランジスタTr11のゲート電極Tr11g、及びデータラインLdも形成する。続いて、図9Bに示すように、CVD(Chemical Vapor Deposition)法等によりゲート電極Tr12g及びデータラインLd上に絶縁膜32を形成する。
【0046】
次に、絶縁膜32上に、CVD法等により、アモルファスシリコン等からなる半導体層を形成する。次に、半導体層上に、CVD法等により、例えばSiN等からなる絶縁膜を形成する。続いて、絶縁膜をフォトリソグラフィ等によりパターニングし、ストッパ膜115を形成する。更に、半導体層及びストッパ膜115上に、CVD法等により、n型不純物が含まれたアモルファスシリコン等からなる膜を形成し、この膜と半導体層とをフォトリソグラフィ等によりパターニングすることで、図9Bに示すように、半導体層114とオーミックコンタクト層116,117とを形成する。
【0047】
次に、スパッタ法、真空蒸着法等により絶縁膜32上に、ITO等の透明導電膜、或いは光反射性導電膜及びITO等の透明導電膜を被膜後、フォトリソグラフィによってパターニングして画素電極42を形成する。
【0048】
続いて、絶縁膜32に貫通孔であるコンタクトホール61〜64を形成してから、例えば、Mo膜、Cr膜、Al膜、Cr/Al積層膜、AlTi合金膜又はAlNdTi合金膜、AlNi合金膜、MoNb合金膜等からなるソース−ドレイン導電膜をスパッタ法、真空蒸着法等により被膜して、フォトリソグラフィによってパターニングして図9Bに示すようにドレイン電極Tr12d及びソース電極Tr12sを形成する。これと同時に、アノードラインLaを形成する。このとき、駆動トランジスタTr12のソース電極Tr12sはそれぞれ画素電極42の一部と重なるように形成される。
【0049】
続いて、図9Cに示すように、駆動トランジスタTr12等を覆うようにシリコン窒化膜からなる層間絶縁膜47をCVD法等により形成後、フォトリソグラフィにより、開口部47aを形成する。次に、感光性ポリイミドを、層間絶縁膜47を覆うように塗布し、隔壁48の形状に対応するマスクを介して露光、現像することによってパターニングし、図9Cに示すように開口部48aを有する隔壁48を形成する。
【0050】
続いて、発光機能層として正孔注入層を形成する場合は、正孔注入材料を含む有機化合物含有液を溶液52としてノズルヘッド50から連続して吐出する図10A又は図10Bに示すノズルプリンティング装置、あるいは個々に独立した複数の液滴として間欠的に吐出するインクジェット装置によって、開口部47aで囲まれた画素電極42上に選択的に塗布する。続いて、基板31を大気雰囲気下で加熱し有機化合物含有液の溶媒を揮発させて、正孔注入層43を形成する。有機化合物含有液は加熱雰囲気で塗布されてもよい。
【0051】
また、発光機能層としてインターレイヤ層を形成する場合は、インターレイヤ層44となる材料を含有する有機化合物含有液を溶液52として、ノズルヘッド50から連続して吐出する図10A又は図10Bに示すノズルプリンティング装置またはインクジェット装置を用いて、正孔注入層43上に塗布する。続いて、窒素雰囲気中の加熱乾燥、或いは真空中での加熱乾燥を行い、残留溶媒の除去を行ってインターレイヤ層44を形成する。有機化合物含有液は加熱雰囲気で塗布されてもよい。
【0052】
次に、発光機能層として発光層45を形成するために、発光ポリマー材料(R、G、B)を含有する有機化合物含有液を溶液52としてノズルヘッド50から連続して吐出する図10A又は図10Bに示すノズルプリンティング装置によるノズルプリンティング方式を用いて、隔壁48の間に設けられ、開口部47aで囲まれた画素電極42上に塗布する。塗布は、隔壁48の形成方向(図7及び図9D〜図9Iにおける上下方向)に沿って塗布する。
【0053】
ここで、本実施形態における発光層45の形成方法について詳しく説明する。
本実施形態における発光層45の形成は、1列おきに発光層45を形成する第1の工程と、第1の工程で形成されなかった列に発光層45を形成する第2の工程に分割して行う。各工程について、以下、図9D〜図9Iを用いて説明する。図9D〜図9Iでは、説明の便宜のため、発光層45を形成するための有機化合物含有液を塗布する列を濃色で示す。更に、発光層45の形成が終了している列は実線で、発光層45が形成されていない列は破線で示す。
【0054】
また、上述したように画素30は、R、G、Bの各色毎に列方向に(図1に示す縦方向)に並んでいる。図9Dに示すように、R、G、Bの各列を一組とし、各列を、R1、G1、B1、R2、G2、B2、R3、G3、B3、...、Rm−1、Gm−1、Bm−1、Rm、Gm、Bmと色と組の番号とを用いて表記する。ここで、本実施形態ではmが偶数である場合を例に挙げて説明しているが、mは奇数であってもよい。
【0055】
第1の工程では、まず、奇数番の組のR色の列に、発光ポリマー材料(R)を含有する有機化合物含有液(溶液52)を、溶液52を連続して吐出するノズルプリンティング装置によって塗布する。具体的には、図9Dに示すように、R1、R3の順にRm−1まで、5列おきに塗布する。この際、図10Aに示すように、溶液52はノズルヘッド50のノズルから吐出され、基板31上に塗布される。ノズルヘッド50は隔壁48間に溶液52を吐出しながら、隔壁48が形成された方向(図10Aでは左右方向)に沿って移動する。なお、各列への塗布を連続して行う場合は、図10Aに示すように、ノズルヘッド50が基板31外にある間に、基板31を隔壁48が形成された方向と直交する方向(図10Aでは上下方向)に、所定の距離だけ移動させる。これを繰り返すことで、溶液52が所定の列に塗布される。なお、ノズルヘッド50が基板31外にある間、溶液52は吐出させたままであってもよいし、吐出を一旦停止させてもよい。ここで、図10Aに示すように、ノズルプリンティング装置がノズルヘッド50を1つだけ有する場合には、R1、R3、・・・、Rm−1の1列毎に、ノズルヘッド50の移動方向を交互に変えて塗布する。また、図10Bに示すように、ノズルプリンティング装置がノズルヘッド50を2つ有する場合には、R1とR3、R5とR7、・・・、Rm−3とRm−1の2列毎に、ノズルヘッド50の移動方向を交互に変えて塗布する。以下においても同様の動作となる。なお、基板31を移動させる代わりに、ノズルヘッド50を隔壁48が形成された方向と直交する方向に所定の距離だけ移動させてもよい。
【0056】
次に、奇数組目のB色の列に、発光ポリマー材料(B)を含有する有機化合物含有液を、連続して吐出するノズルプリンティング装置によって塗布する。具体的には、図9Eに示すように、B1、B3の順に、Bm−1まで5列おきに塗布する。
【0057】
更に、偶数組目のG色の列に、発光ポリマー材料(G)を含有する有機化合物含有液を、連続して吐出するノズルプリンティング装置によって塗布する。具体的には、図9Fに示すように、G2、G4の順にGmまで5列おきに塗布する。
【0058】
このように、第1の工程では、奇数組のR色の列、奇数組のB色の列、偶数組のG色の列に有機化合物含有液が塗布される。すなわち、図9D〜図9Fに示すように、発光層の発光色によらず、左端から数えた列の番号でみると、第1の工程の奇数組のR色の列を塗布する工程では、第1列、第7列の順に発光層が形成され、奇数組のB色の列を塗布する工程では、第3列、第9列の順に発光層が形成され、偶数組のG色の列を塗布する工程では、第5列、第11列の順に発光層が形成されている。この結果、第1の工程を全体としてとらえると、第1列、第3列、第5列、第7列、第9列、…と、1列おきに、奇数列の発光層が形成されている。
【0059】
次に、第2の工程では、まず、奇数組のG色の列に、発光ポリマー材料(G)を含有する有機化合物含有液を、連続して吐出するノズルプリンティング装置によって塗布する。具体的には、図9Gに示すように、G1、G3の順に、5列おきにGm−1まで塗布する。
【0060】
続いて、偶数組目のR色の列に、発光ポリマー材料(R)を含有する有機化合物含有液を、連続して吐出するノズルプリンティング装置によって塗布する。具体的には、図9Hに示すように、R2、R4の順に、Rmまで塗布する。
【0061】
更に、偶数組目のB色の列に、発光ポリマー材料(B)を含有する有機化合物含有液を、連続して吐出するノズルプリンティング装置によって塗布する。具体的には、図9Iに示すように、B2、B4の順に、Bmまで塗布する。
【0062】
このように、第2の工程では、奇数組のG色の列、偶数組のR色の列、偶数組のB色の列に有機化合物含有液を塗布する。すなわち、図9G〜図9Iに示すように、発光層の発光色によらず、左から数えた列の番号でみると、第2の工程の奇数組のG色の列を塗布する工程では、第2列、第8列の順に発光層が形成され、偶数組のR色の列を塗布する工程では、第4列、第10列の順に発光層が形成され、偶数組のB色の列を塗布する工程では、第6列、第12列の順に発光層が形成される。つまり、第2の工程を全体としてとらえると、第2列、第4列、第6列、第8列、第10列、第12列、…と、第1の工程で発光層45が形成されなかった偶数列に発光層45が形成されている。
【0063】
なお、第1の工程で最後に塗布する色と、第2の工程の最初に塗布する色とを同じとすると、ノズルプリンティング装置のノズルを変更する必要がなく、効率的で好ましい。
【0064】
ここで、第1の工程で塗布された有機化合物含有液の一部は隔壁48上部に乗り上げた形で発光層45を形成するため、発光層45の厚みの分だけ、隔壁48の高さが高くなる。この場合、第2の工程での有機化合物含有液の吐出量を第1の工程での吐出量と同じとすると、隔壁48の高さが高くなっている分、第2の工程で塗布される有機化合物含有液は、第1の工程で塗布された有機化合物含有液に比べて隔壁48上部に乗り上げる量が少ない。この結果、第2の工程で塗布される有機化合物含有液は、第1の工程で塗布される有機化合物含有液に比べて隔壁48間に多く溜まり、第2の工程で形成される発光層の膜厚が、第1の工程で形成される発光層の膜厚より厚くなることがある。このため、第2の工程での有機化合物含有液の吐出量を、第1の工程での吐出量より減らすようにしてもよい。これにより、第1の工程で形成される発光層の膜厚と、第2の工程で形成される発光層の膜厚とを揃えることができる。
【0065】
続いて、図8に示すように、発光層45まで形成した基板31に真空蒸着やスパッタリングで、Li,Mg,Ca,Ba等の仕事関数の低い材料からなる層と、Al等の光反射性導電層からなる2層構造の対向電極46を形成する。
【0066】
次に、複数の画素30が形成された発光領域の外側において、基板31上に紫外線硬化樹脂、又は熱硬化樹脂からなる封止樹脂を塗布し、図示しない封止基板と基板31と貼り合わせる。次に紫外線もしくは熱によって封止樹脂を硬化させて、基板31と封止基板とを接合する。
以上から、発光装置10が製造される。
【0067】
上述したように、本実施形態では、発光機能層の発光層45を第1の工程で1列おきに形成した上で、第1の工程で形成しなかった列に第2の工程で発光層45を形成する。これにより、発光層45を良好な均一性を備える膜とすることができる。
【0068】
ここで、本発明の実施形態による効果について説明する。ノズルプリンティング方式は、ノズルヘッドより溶液を連続して吐出して、連続して液柱を形成して塗布する方式であるため、溶液を間欠的に吐出するインクジェットプリント方式より高速で印刷が可能である。一方、ノズルプリンティング方式によってRGBの発光層を形成する際は、混色を避けるため、隔壁内部に溶液が収まるように塗布する必要がある。更に、表示特性を良好にするためには、隔壁内部の発光機能層膜厚制御を良好に行う必要がある。このため、例えば、塗布前に隔壁上の疎水化処理を行い、有機化合物含有液が隔壁上に残らないようにすることが理想的である。しかし、画素密度が向上し、高精細化されたパネルの隔壁上にインクが残らないように塗布するにはノズルからの吐出量を絞り込む必要がある。ノズルからの吐出量を減らすと、吐出安定性が悪くなる。さらに、ノズル径を絞り込むと、配管が詰まりやすくなり、メンテナンス回数が増加し、生産性が落ちるデメリットがある。従って、実際には、溶液の塗布において溶液が隔壁上にも残存することは避けられない。そして、そのような場合であっても、良好な均一性を備える膜厚とすることが求められている。なお、これらはノズルプリント法に限られず、他の印刷法であっても同様に存在する問題である。
【0069】
ここで、塗布した溶液が隔壁上にも残存するように塗布する構成において、R色の発光層45Rを全列塗布した後に、G色の発光層45Gを全列塗布し、次いでB色の発光層45Bを全列に塗布することによってRGBの発光層を形成する構成を比較例として、これと比較したときの本実施形態における効果を説明する。
【0070】
図11(a)は本実施形態における発光装置10の断面構成を示す図であり、図11(b)は本実施形態における各発光層45の膜厚等高線を示す図である。また、図12(a)は比較例における発光装置の断面構成を示す図であり、図12(b)は比較例における各発光層の膜厚等高線を示す図である。
【0071】
上記比較例の場合、図12(a)及び(b)に示すように、後から塗布するG色の発光層、B色の発光層の膜厚が均一となりにくい。これは、隔壁上より発光層上の方が発光層形成用の有機化合物含有液がなじみやすいことに起因している。すなわち、R色の発光層を全列塗布した後にG色の発光層を塗布すると、G色の発光層形成用の有機化合物含有液がR色の発光層側へと引っ張られやすくなる。これにより、G色の発光層中、特に図12(a)に示す左右方向で有機化合物含有液の乾燥速度が異なり、図12(b)に模式的に示すように、G色の発光層のR色側の膜厚が厚くなり、左右が非対称な膜厚となる。B色の発光層についても同様であり、先に形成されたG色の発光層側の膜厚が厚くなり、左右が非対称な膜厚となる。
【0072】
これに対し、本実施形態のように1列おきに発光層45を形成した後、間に残存する列に発光層45を形成すると、乾燥速度をより均一とすることができる。例えば、R色の発光層45Rと、B色の発光層45Bを予め形成した上で、G色の有機化合物含有液を塗布する。G色の有機化合物含有液は、R色の発光層45RとB色の発光層45Bとの上に塗布されても、いずれの発光層に対しても同じ程度なじみやすいため、図11(a)に示す左右方向で乾燥速度が異なることはない。従って、G色の発光層45Gは図11(b)に示すように、左右で膜厚が概ね均一なものとなる。また、予め1列おきに形成するR色の発光層45R、B色の発光層45Bについても、隔壁48上に発光層が形成されていない状態で形成されるため、左右での乾燥速度の不均衡は生じない。従って、R色の発光層45R、B色の発光層45Bについても、左右が概ね対称な膜厚とすることができる。
【0073】
なお、上述した実施形態では、第1の工程でRの奇数組、Bの奇数組、Gの偶数組の発光層45を順に形成し、第2の工程でGの奇数組、Rの偶数組、Bの偶数組の発光層45を順に形成する構成を例に挙げて説明したが、これに限られない。例えば、第1の工程でGの奇数組、Rの偶数組、Bの偶数組の発光層45を順に形成し、第2の工程でRの奇数組、Bの奇数組、Gの偶数組の発光層45を順に形成してもよい。要するに、第1の工程全体で1列おきに塗布されていればよい。
【0074】
また、第1の工程中でRの奇数組、Bの奇数組、Gの偶数組の発光層45を形成する順序についても、任意に変更可能である。同様に、第2の工程でGの奇数組、Rの偶数組、Bの偶数組の発光層45を形成する順序についても任意に変更可能である。
【0075】
本発明は上述した実施形態に限られず様々な変形及び応用が可能である。例えば、上述した実施形態では、発光装置10がカラー表示を行うものであって、3色の発光素子を備える構成を例に挙げて説明したが、発光装置10が単色表示を行うものである場合、1色の発光素子のみを備える。この場合、図13A及び図13Bに示すように、l列まである発光層のうち、第1の工程では奇数列、第2の工程では偶数列を塗布するようにしてもよい。あるいは、第1の工程で偶数列、第2の工程で奇数列を塗布するようにしてもよい。吐出量に関しても、上述した実施形態と同様であり、発光層の膜厚を均一にするために、第2の工程での吐出量を増やすようにしてもよい。
【0076】
また、上述した実施形態では、発光機能層は発光層のみを備える構成を例に挙げているが、これに限られず、正孔注入層、インターレイヤ層等を更に備えてもよい。また、図14に示すように、これらの正孔注入層43、インターレイヤ層44を形成する際に、本実施形態と同様に1列おきに塗布することもできる。正孔注入層43、インターレイヤ層44に本実施形態の製造方法を用いると、図14に示すように、正孔注入層43の端は、隣接する正孔注入層43の端を覆うように形成される。インターレイヤ層44についても同様に、隣接するインターレイヤ層44の端を覆うように形成される。
【0077】
なお、正孔注入層、インターレイヤ層に用いる場合は、複数色の発光層を備える場合であっても、共通した材料から形成することができる。従って、図13A及びBに示したように、第1の工程では奇数列、第2の工程では偶数列を塗布してもよいし、第1の工程で偶数列、第2の工程で奇数列を塗布してもよい。
【0078】
上述した実施形態では、画素回路DSは2つのトランジスタを備える構成を例に挙げているが、3つ以上のトランジスタを備えるものであってもよい。
【0079】
また、上述した実施形態ではボトムエミッション型の有機EL素子を中心に説明したが、これに限られず有機EL素子OELにより発生した光を、対向電極40を介して外部に出射するトップエミッション型の有機EL素子に用いることも可能である。
【0080】
上述した各実施形態では、発光装置を表示装置として利用する構成を例に挙げて説明しているが、プリンタの感光ドラムに光を照射するプリンタヘッド等の露光装置としても利用することができる。
【0081】
また、上述した実施形態では、R、G、Bの3色の発光素子を備える構成を例に挙げているが、3色より多くともよいし、2色であってもよい。
【符号の説明】
【0082】
10・・・発光装置、30,30R,30G,30B・・・画素、31・・・基板、32・・・絶縁膜、42・・・画素電極(アノード電極)、43・・・正孔注入層、44・・・インターレイヤ層、45R,45G,45B・・・発光層、46・・・対向電極(カソード電極)、47・・・層間絶縁膜、48・・・隔壁、50・・・ノズルヘッド、52・・・溶液、114・・・半導体層、115・・・ストッパ膜、116,117・・・オーミックコンタクト層、Tr11d,Tr12d・・・ドレイン電極、Tr11g,Tr12g・・・ゲート電極、Tr11s,Tr12s・・・ソース電極、La・・・アノードライン、Ls・・・走査ライン、Ld・・・データライン、Tr11・・・選択トランジスタ、Tr12・・・駆動トランジスタ
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機EL(electroluminescence)素子を用いた発光装置、発光装置の製造方法及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶表示装置(LCD)に続く次世代の表示デバイスとして、有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、「有機EL素子」と略記する)等の自発光素子を2次元配列した発光素子型の表示パネルを備えた発光装置の研究開発が行われている。
【0003】
有機EL素子は、アノード電極と、カソード電極と、これらの一対の電極間に形成され、例えば発光層、正孔注入層、等を有する有機EL層(発光機能層)と、を備える。有機EL素子では、発光層において正孔と電子とが再結合することによって発生するエネルギーによって発光する。
【0004】
このような有機EL素子の発光層、正孔注入層等は、例えば、特許文献1に開示されているように、隔壁によって仕切られた空間に、溶液を塗布し、溶媒を乾燥させることによって形成される。溶液の塗布は、例えばノズルプリンティング方式、インクジェットプリント方式等によって行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−123083号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、有機EL素子では、発光機能層の膜厚が不均一であると、発光が不均一となるという問題がある。このため、発光機能層の膜厚を良好に制御し、良好な均一性を有する膜とすることが求められている。
【0007】
本発明は上述した実情に鑑みてなされたものであって、膜厚が良好な均一性を有する発光機能層を備える発光装置、発光装置の製造方法及び電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係る発光装置は、
複数の行及び複数の列に沿って配列された複数の発光素子を備え、前記各発光素子は、所定の発光色で発光する発光層を含む発光機能層を有し、
行方向に隣接して配列された前記各発光素子間に設けられた間隙領域を有し、
前記各発光素子の前記発光機能層は、前記発光層の形成領域と、前記間隙領域の一部とに跨って形成されており、
前記発光機能層が、行方向に隣接して配列された前記各発光素子の前記間隙領域の一部に形成された前記発光機能層を覆うように形成された前記発光素子を少なくとも一つ備えることを特徴とする。
【0009】
前記発光装置は、前記間隙領域に形成され、前記各発光素子の前記発光層の形成領域を画し、その上面は前記発光機能層の上面より高い隔壁を有し、
前記発光機能層は、前記間隙領域において、前記隔壁の一部に乗り上げて形成されていてもよい。
【0010】
前記複数の発光素子は、前記間隙領域の一部に形成された前記発光機能層の一部が、行方向に隣接する前記発光素子の前記発光機能層に覆われている第1の発光素子と、前記発光機能層が、行方向に隣接する前記発光素子の前記間隙領域の一部に形成された前記発光機能層の一部を覆っている第2の発光素子と、を有し、
前記第1の発光素子と前記第2の発光素子とは、行方向に交互に設けられていてもよい。
【0011】
前記複数の発光素子は、前記発光層として、第1の発光色を有する第1の発光層、前記第1の発光色と異なる第2の発光色を有する第2の発光層、前記第1及び第2の発光色と異なる第3の発光色を有する第3の発光層、の何れかを有し、
前記第1の発光層と前記第2の発光層と前記第3の発光層とは、前記第1の発光層、前記第2の発光層、前記第3の発光層の順に一組とされ、複数の組が行方向に繰り返し配置され、
奇数組の前記第1の発光層、奇数組の前記第3の発光層及び偶数組の前記第2の発光層はそれぞれ前記第1の発光素子の構成要素であり、偶数組の前記第1の発光層、偶数組の前記第3の発光層及び奇数組の前記第2の発光層はそれぞれ前記第2の発光素子の構成要素であってもよい。
【0012】
前記複数の発光素子は、前記発光層として、第1の発光色を有する第1の発光層、前記第1の発光色と異なる第2の発光色を有する第2の発光層、前記第1及び第2の発光色と異なる第3の発光色を有する第3の発光層、の何れかを有し、
前記第1の発光層と前記第2の発光層と前記第3の発光層とは、前記第1の発光層、前記第2の発光層、前記第3の発光層の順に一組とされ、複数の組が行方向に繰り返し配置され、
偶数組の前記第1の発光層、偶数組の前記第3の発光層及び奇数組の前記第2の発光層はそれぞれ前記第1の発光素子の構成要素であり、奇数組の前記第1の発光層、奇数組の前記第3の発光層及び偶数組の前記第2の発光層はそれぞれ前記第2の発光素子の構成要素であってもよい。
【0013】
前記発光機能層は、前記発光層に正孔を注入する正孔注入層、インターレイヤ層の少なくとも何れか1つを含んでもよい。
【0014】
上記目的を達成するため、本発明の第2の観点に係る発光装置の製造方法は、
所定の発光色で発光する発光層を有する複数の発光素子が、複数の行及び複数の列に沿って配列された発光装置の製造方法であって、
前記複数の発光素子の前記発光層の形成領域に、有機材料を含む溶液を塗布して、前記発光層を含む発光機能層を形成する発光機能層形成工程を備え、
前記発光機能層形成工程は、
1列おきに配列される前記各発光素子の前記発光層の形成領域に、前記溶液を列方向に塗布して、前記発光機能層を1列おきに形成する第1の工程と、
前記第1の工程の後、前記第1の工程で前記溶液が塗布されなかった列に配列される前記各発光素子の前記発光層の形成領域に、前記溶液を列方向に塗布して、前記発光機能層を形成する第2の工程と、を含むことを特徴とする。
【0015】
前記発光装置は、行方向に隣接して配列された前記各発光素子間に設けられた間隙領域を有し、
前記第1の工程及び前記第2の工程で形成される前記発光機能層は、前記間隙領域にも形成され、
前記第2の工程で前記間隙領域に形成される前記発光機能層は、行方向に隣接する前記各発光素子との間の前記間隙領域に前記第1の工程で前記間隙領域に形成された前記発光機能層の一部を覆うように形成されてもよい。
【0016】
前記複数の発光素子は、第1の発光色を有する第1の発光層、前記第1の発光色と異なる第2の発光色を有する第2の発光層、前記第1及び第2の発光色と異なる第3の発光色を有する第3の発光層、の何れかを有し、前記第1の発光層と前記第2の発光層と前記第3の発光層とは、前記第1の発光層、前記第2の発光層、前記第3の発光層の順に一組とされ、複数の組が行方向に繰り返し並んで配置され、
前記第1の工程では、奇数組の前記第1の発光層、奇数組の前記第3の発光層及び偶数組の前記第2の発光層を形成し、
前記第2の工程では、偶数組の前記第1の発光層、偶数組の前記第3の発光層及び奇数組の前記第2の発光層を形成してもよい。
【0017】
前記複数の発光素子は、第1の発光色を有する第1の発光層、前記第1の発光色と異なる第2の発光色を有する第2の発光層、前記第1及び第2の発光色と異なる第3の発光色を有する第3の発光層、の何れかを有し、前記第1の発光層と前記第2の発光層と前記第3の発光層とは、前記第1の発光層、前記第2の発光層、前記第3の発光層の順に一組とされ、複数の組が行方向に繰り返し並んで配置され、
前記第1の工程では、偶数組の前記第1の発光層、偶数組の前記第3の発光層及び奇数組の前記第2の発光層を形成し、
前記第2の工程では、奇数組の前記第1の発光層、奇数組の前記第3の発光層及び偶数組の前記第2の発光層を形成してもよい。
【0018】
前記発光機能層は、前記発光層に正孔を注入する正孔注入層、インターレイヤ層の少なくとも何れか1つを含んでもよい。
【0019】
前記第1の工程では、前記溶液の塗布量を第1の量に設定し、
前記第2の工程では、前記溶液の塗布量を前記第1の量より少ない第2の量に設定してもよい。
【0020】
上記目的を達成するため、本発明の第3の観点に係る電子機器は、
上記第1の観点に係る発光装置を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、1列おきに発光機能層を形成する第1の工程と、第1の工程で形成されなかった列に発光機能層を形成する第2の工程に分割することにより、膜厚が良好な均一性を有する発光機能層を備える発光装置、発光装置の製造方法及び電子機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】実施形態に係る発光装置の構成例を示す平面図である。
【図2】(a)及び(b)は、発光装置が用いられる電子機器を示す図である。
【図3】発光装置が用いられる電子機器を示す図である。
【図4】発光装置が用いられる電子機器を示す図である。
【図5】図1に示す発光装置の断面構成を示す図である。
【図6】画素の駆動回路の一例の等価回路図である。
【図7】画素の平面図である。
【図8】図7に示すVIII−VIII線断面図である。
【図9A】発光装置の製造方法を示す図である。
【図9B】発光装置の製造方法を示す図である。
【図9C】発光装置の製造方法を示す図である。
【図9D】発光装置の製造方法を示す図である。
【図9E】発光装置の製造方法を示す図である。
【図9F】発光装置の製造方法を示す図である。
【図9G】発光装置の製造方法を示す図である。
【図9H】発光装置の製造方法を示す図である。
【図9I】発光装置の製造方法を示す図である。
【図10A】ノズルプリンティング方式を説明するためのノズルプリンティング装置の概略構成を示す図である。
【図10B】ノズルプリンティング方式を説明するためのノズルプリンティング装置の概略構成を示す図である。
【図11】(a)は本実施形態における発光装置の断面構成を示す図であり、(b)は、本実施形態における各発光層の膜厚等高線を示す図である。
【図12】(a)は比較例における発光装置の断面構成を示す図であり、(b)は、比較例における各発光層の膜厚等高線を示す図である。
【図13A】発光装置の製造方法の変形例を示す図である。
【図13B】発光装置の製造方法の変形例を示す図である。
【図14】発光装置の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の実施形態に係る発光装置、発光装置の製造方法及び電子機器について図を用いて説明する。本実施形態では、有機EL素子により発生した光を有機EL素子が形成された基板を介して外部に出射するボトムエミッション型の有機EL(electroluminescence)素子を用いたアクティブ駆動方式の発光装置を例に挙げて説明する。また、本実施形態の発光装置は表示装置としても用いられる。
【0024】
図1は実施形態に係る発光装置の構成例を示す平面図である。図2乃至図4は、発光装置が用いられる電子機器を示す図である。図5は、図1に示す発光装置10の断面構成を示す図である。また、図6は画素30の駆動回路の一例の等価回路図である。図7は、画素30Gの平面図であり、図8は図7に示すVIII−VIII線断面図である。
【0025】
発光装置10がカラー表示を行うものである場合、基板31上には、図1に示すようにそれぞれ赤(R)、緑(G)、青(B)の3色の何れかの発光色で発光する発光素子を有する3つの画素30(30R、30G、30B)を一組として、この組が行方向(図1の左右方向)に繰り返し複数個、例えばm個配列されるとともに、列方向(図1の上下方向)に同一色の発光色の発光素子を有する画素が複数個、例えばn個配列されている。換言すれば、画素自体は行方向に3m個配列されており、RGBの各色を発光する画素はマトリクス状に、3m×n個配列される。
【0026】
基板31上には、行方向に配列され、図6に示す複数の画素回路DSに接続されたアノードラインLaと、行方向に配列された複数の画素回路DSにそれぞれ接続された複数のデータラインLdと、行方向に配列された複数の画素回路DSのトランジスタTr11を選択する走査ラインLsと、が形成されている。
【0027】
このような構成を採る発光装置10は、デジタルカメラ、パーソナルコンピュータ、携帯電話等の電子機器の表示部(ディスプレイ)として用いられる。具体的には、カメラ200は、例えば図2(a)及び(b)に示すように、レンズ部201と、操作部202と、表示部203と、ファインダー204と、を備える。この表示部203として、発光装置10が用いられる。同様に、パーソナルコンピュータ210は図3に示すように、表示部211と操作部212とを備え、発光装置10は、表示部211として用いられる。更に、携帯電話220は表示部221と操作部222と受話部223と送話部224とを備え、発光装置10は表示部221として用いられる。
【0028】
次に、図1に示す発光装置10の断面構成を図5に示す。図5では、説明の便宜のため、基板31、画素電極42、隔壁48、それぞれ赤(R)、緑(G)、青(B)の発光色を有する3色の発光層45R,45G,45B(以下、発光層45R,45G,45Bを総称して発光層45とも記す)のみを図示し、その他の構成要素については図示を省略している。3色の発光色の発光層45R,45G,45Bは、それぞれ3色の画素30R,30G,30Bの、各々の発光素子を形成するものである。詳細に後述するように、本実施形態では、第1の工程で発光層45を1列おきに形成した上で、第2の工程で第1の工程で形成しなかった列に発光層45を形成する。具体的には、例えば図5の左端から奇数番目の列の発光層45を形成した上で、偶数番目の列の発光層45を形成することを特徴とする。このため、R、G、Bの各色の発光層45R,45G,45Bは、R、G、Bの順では形成されない。例えば図5に示すように偶数列の画素30Gの発光層45Gは、両隣に存する奇数列の画素30Rの発光層45R及び画素30Bの発光層45Bが形成された後で形成される。図5に示すように、隔壁48の上面は、発光層45R,45G,45Bの中央の平坦部の上面より高くなっている。また、図5に示すように、発光層45R,45G,45Bの行方向の両端は、一部が隔壁48に乗り上げるように形成されている。これにより、図5では、画素30Gの発光層45Gの隔壁48に乗り上げた端は、画素30Rの発光層45Rと画素30Bの発光層45Bの隔壁48に乗り上げた端を覆うようにして、画素30Rの発光層45RとBの発光層45Bの端に乗り上げて形成される。
【0029】
次に、発光装置10を構成する画素30について、図6乃至8を用いて説明する。なお、本実施形態では奇数列の画素30の発光層45の隔壁48に乗リ上げた端が、隣接する画素30の隔壁48に乗り上げた端を覆うように形成されている以外は、R,G,Bの各画素30の構成は同一であるため、以下、Gの画素30Gを例に挙げて説明する。
【0030】
画素30は画素回路DSを有して構成されている。画素回路DSは、例えば図6に示すように、選択トランジスタTr11、駆動トランジスタTr12、キャパシタCs、有機EL素子(発光素子)OELと、を備える。
【0031】
図6に示すように、選択トランジスタTr11は、ゲート端子が走査ラインLsに、ドレイン端子がデータラインLdに、ソース端子が接点N11にそれぞれ接続される。また、駆動トランジスタTr12は、ゲート端子が接点N11に接続されており、ドレイン端子がアノードラインLaに、ソース端子が接点N12にそれぞれ接続されている。キャパシタCsは、駆動トランジスタTr12のゲート端子及びソース端子に接続されている。なお、キャパシタCsは、駆動トランジスタTr12のゲート−ソース間に付加的に設けられた補助容量、もしくは駆動トランジスタTr12のゲート−ソース間の寄生容量と補助容量からなる容量成分である。また、有機EL素子OELは、アノード端子(画素電極42)が接点N12に接続され、カソード端子(対向電極46)に基準電圧Vssが印加されている。
【0032】
走査ラインLsは、画素基板の周縁部に配置された走査ドライバ(図示せず)に接続されており、所定タイミングで行方向に配列された複数の画素30を選択状態に設定するための選択電圧信号(走査信号)が印加される。また、データラインLdは、画素基板の周縁部に配置されたデータドライバ(図示せず)に接続され、上記画素30の選択状態に同期するタイミングで発光データに応じたデータ電圧(階調信号)が印加される。行方向に配列された複数の駆動トランジスタTr12が、当該駆動トランジスタTr12に接続された有機EL素子OELの画素電極42(例えばアノード端子)に発光データに応じた駆動電流を流す状態に設定するように、アノードラインLa(供給電圧ライン)は、所定の高電位電源に直接又は間接的に接続されている。つまり、アノードラインLaは、有機EL素子OELの対向電極46に印加される基準電圧Vssより十分電位の高い所定の高電位(供給電圧Vdd)が印加される。また、対向電極46は、例えば、所定の低電位電源に直接又は間接的に接続され、基板31上にアレイ状に配列された全ての画素30に対して単一の電極層により形成されており、所定の低電圧(基準電圧Vss、例えば接地電位GND)が共通に印加されるように設定されている。
【0033】
また、アノードラインLaと走査ラインLsとは、各トランジスタTr11、Tr12のソース電極、ドレイン電極とを形成するソース−ドレイン導電層を用いてこれらソース電極、ドレイン電極とともに形成される。データラインLdは、各トランジスタTr11、Tr12のゲート電極となるゲート導電層を用いてゲート電極とともに形成される。データラインLdとドレイン電極Tr11dとの間の絶縁膜32には、図7に示すように、コンタクトホール61が形成され、データラインLdとドレイン電極Tr11dとはコンタクトホール61を介して導通している。走査ラインLsとゲート電極Tr11gの両端との間の絶縁膜32には、それぞれコンタクトホール62、63が形成され、走査ラインLsとゲート電極Tr11gとはコンタクトホール62、63を介して導通している。ソース電極Tr11sとゲート電極Tr12gとの間の絶縁膜32には、コンタクトホール64が形成され、ソース電極Tr11sとゲート電極Tr12gとはコンタクトホール64を介して導通している。なお、絶縁膜32は、絶縁性材料、例えばシリコン酸化膜、シリコン窒化膜等から形成され、データラインLd、ゲート電極Tr11g及びゲート電極Tr12gを覆うように基板31上に形成される。
【0034】
次に、有機EL素子OELは、図8に示すように、画素電極42と、発光層45と、対向電極46と、を備える。なお、図8では、説明の便宜上、発光に寄与する発光機能層として発光層45のみを備える構成を例に挙げているが、これに限られず、後述する図14に示すように、発光機能層は、正孔注入層43と発光層45とを備えていてもよく、更に、正孔注入層43とインターレイヤ層44と発光層45とを備えていてもよい。
【0035】
各画素の基板31上には、ゲート導電層をパターニングしてなる選択トランジスタTr11、駆動トランジスタTr12のゲート電極Tr11g、Tr12gが形成されている。各画素に隣接した基板31上には、ゲート導電層をパターニングしてなり、列方向に沿って延びるデータラインLdが形成されている。
【0036】
画素電極(アノード電極)42は、透光性を備える導電材料、例えばITO(Indium Tin Oxide)、ZnO等から構成される。各画素電極42は隣接する他の画素30の画素電極42と層間絶縁膜47によって絶縁されている。
【0037】
層間絶縁膜47は、絶縁性材料、例えばシリコン窒化膜から形成されている。層間絶縁膜47は、画素電極42間に形成され、トランジスタTr11、Tr12や走査ラインLs、アノードラインLaを絶縁保護する。層間絶縁膜47には略方形の開口部47aが形成されており、この開口部47aによって画素30の発光領域が画される。更に層間絶縁膜47上には隔壁48が形成されている。隔壁48には列方向(図7の上下方向)に延びる溝状の開口部48aが複数の画素30にわたって形成されている。ここで、層間絶縁膜47及びその上に形成される隔壁48は、行方向に隣接して配列される各画素30の発光領域間の間隙領域を形成している。
【0038】
隔壁48は、絶縁材料、例えばポリイミド等の感光性樹脂を硬化してなり、層間絶縁膜47上に形成される。隔壁48は、図7に示すように列方向に沿った複数の画素の画素電極42をまとめて開口するようにストライプ状に形成されている。なお、隔壁48の平面形状は、これに限られず各画素電極42毎に開口部をもった格子状であってもよい。また、隔壁48の上面は、発光層45R,45G,45Bの中央の平坦部の上面より高くなるように形成される。
【0039】
なお、隔壁48の表面、層間絶縁膜47の表面に撥液処理を施してもよい。ここで撥液とは、水系の溶媒、有機系溶媒のいずれをも弾く性質を示す。
【0040】
発光層45は、画素電極(アノード電極)42上に形成されている。発光層45は、アノード電極42とカソード電極46との間に電圧を印加することにより所定の発光色の光を発生する機能を有する。発光層45は、蛍光あるいは燐光を発光することが可能な公知の高分子発光材料、例えばポリパラフェニレンビニレン系やポリフルオレン系等の共役二重結合ポリマーを含む発光材料から構成される。また、これらの発光材料は、適宜水系溶媒あるいはテトラリン、テトラメチルベンゼン、メシチレン、キシレン等の有機溶媒に溶解(又は分散)した溶液(分散液)をノズルプリンティング方式やインクジェットプリント方式等により塗布し、溶媒を揮発させることによって形成する。
【0041】
本実施形態では、発光層45の形成工程を二つに分け、1列おきに一旦発光層45を間引いて形成した上で、間引かれた列の発光層45を形成する点に特徴がある。このため、R、G、Bの各色の発光層45は、R、G、Bの順で形成されない。従って、例えば図5に示すように偶数列の画素30Gの発光層45Gは、両隣に存する奇数列の画素30Rの発光層45R及び奇数列の画素30Bの発光層45Bを形成した後で形成される。これにより、図5では、画素30Gの発光層45Gの隔壁48に乗り上げた端は、画素30Rの発光層45Rと画素30Bの発光層45Bの隔壁48に乗り上げた端の一部を覆うようにして、画素30Rの発光層45Rと画素30Bの発光層45Bの隔壁48に乗り上げた端の一部に乗り上げて形成される。
【0042】
ここで、発光機能層として、正孔注入層が設けられる場合、図14に示すように、正孔注入層43は、画素電極42と発光層45との間に設けられる。正孔注入層43は発光層45に正孔を供給する機能を有する。正孔注入層43は正孔(ホール)注入・輸送が可能な有機高分子系の材料、例えば導電性ポリマーであるポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)とドーパントであるポリスチレンスルホン酸(PSS)から構成される。
更に、発光機能層としてインターレイヤ層が設けられる場合、図14に示すように、インターレイヤ層44は正孔注入層43と発光層45との間に設けられる。インターレイヤ層44は、正孔注入層43の正孔注入性を抑制して発光層45内において電子と正孔とを再結合させやすくする機能を有し、発光層45の発光効率を高める。
【0043】
また、対向電極(カソード電極)46は、ボトムエミッション型の場合、発光層45側に設けられ、導電材料、例えばLi、Mg、Ca、Ba等の仕事関数の低い材料からなる電子注入性の下層と、Al等の光反射性導電金属からなる上層を有する積層構造である。本実施形態では、対向電極46は複数の画素30に跨って形成される単一の電極層から構成され、例えば接地電位である基準電圧Vssが印加されている。なお、有機EL素子OELをトップエミッション型とする場合、対向電極46は、発光層45側に設けられ、10nm程度の膜厚の極薄い例えばLi、Mg、Ca、Ba等の仕事関数の低い材料からなる光透過性低仕事関数層と、100nm〜200nm程度の膜厚のITO等の光反射性導電層を有する透明積層構造とする。
【0044】
次に、本実施形態に係る発光装置の製造方法を、図9A〜図9I、図10A及び図10Bを用いて説明する。図10A及び図10Bは、ノズルプリンティング方式を説明するためのノズルプリンティング装置の概略構成を示す図である。ノズルプリンティング装置は、図10Aに示すように、概略、有機化合物含有液からなる溶液52を連続して吐出するノズルを有するノズルヘッド50を備え、ノズルヘッド50を基板31上の塗布領域に沿って移動させることによって、基板31上の塗布領域に溶液52を塗布するものである。また、図10Aはノズルヘッド50を1つだけ有する場合の構成を示し、図10Bはノズルヘッド50を2つ有する場合の構成を示す。なお、図10A及び図10Bにおける基板31は、図7の上下方向が図10A及び図10Bの左右方向となる向きに配置されている。ここで、図10Bにおいてはノズルプリンティング装置がノズルヘッド50を2つ有する場合について示したが、これに限らず、ノズルヘッド50を3つ以上の複数個有するものであってもよい。また、選択トランジスタTr11は駆動トランジスタTr12と同一工程によって形成されるので、選択トランジスタTr11の形成の説明を一部省略する。
【0045】
図9Aに示すように、まず、ガラス基板等からなる基板31を用意する。次に、この基板31上に、スパッタ法、真空蒸着法等により例えば、Mo膜、Cr膜、Al膜、Cr/Al積層膜、AlTi合金膜又はAlNdTi合金膜、AlNi合金膜、MoNb合金膜等からなるゲート導電膜を形成し、これを図9Aに示すように駆動トランジスタTr12のゲート電極Tr12gの形状にパターニングする。この際、図示はしていないが、選択トランジスタTr11のゲート電極Tr11g、及びデータラインLdも形成する。続いて、図9Bに示すように、CVD(Chemical Vapor Deposition)法等によりゲート電極Tr12g及びデータラインLd上に絶縁膜32を形成する。
【0046】
次に、絶縁膜32上に、CVD法等により、アモルファスシリコン等からなる半導体層を形成する。次に、半導体層上に、CVD法等により、例えばSiN等からなる絶縁膜を形成する。続いて、絶縁膜をフォトリソグラフィ等によりパターニングし、ストッパ膜115を形成する。更に、半導体層及びストッパ膜115上に、CVD法等により、n型不純物が含まれたアモルファスシリコン等からなる膜を形成し、この膜と半導体層とをフォトリソグラフィ等によりパターニングすることで、図9Bに示すように、半導体層114とオーミックコンタクト層116,117とを形成する。
【0047】
次に、スパッタ法、真空蒸着法等により絶縁膜32上に、ITO等の透明導電膜、或いは光反射性導電膜及びITO等の透明導電膜を被膜後、フォトリソグラフィによってパターニングして画素電極42を形成する。
【0048】
続いて、絶縁膜32に貫通孔であるコンタクトホール61〜64を形成してから、例えば、Mo膜、Cr膜、Al膜、Cr/Al積層膜、AlTi合金膜又はAlNdTi合金膜、AlNi合金膜、MoNb合金膜等からなるソース−ドレイン導電膜をスパッタ法、真空蒸着法等により被膜して、フォトリソグラフィによってパターニングして図9Bに示すようにドレイン電極Tr12d及びソース電極Tr12sを形成する。これと同時に、アノードラインLaを形成する。このとき、駆動トランジスタTr12のソース電極Tr12sはそれぞれ画素電極42の一部と重なるように形成される。
【0049】
続いて、図9Cに示すように、駆動トランジスタTr12等を覆うようにシリコン窒化膜からなる層間絶縁膜47をCVD法等により形成後、フォトリソグラフィにより、開口部47aを形成する。次に、感光性ポリイミドを、層間絶縁膜47を覆うように塗布し、隔壁48の形状に対応するマスクを介して露光、現像することによってパターニングし、図9Cに示すように開口部48aを有する隔壁48を形成する。
【0050】
続いて、発光機能層として正孔注入層を形成する場合は、正孔注入材料を含む有機化合物含有液を溶液52としてノズルヘッド50から連続して吐出する図10A又は図10Bに示すノズルプリンティング装置、あるいは個々に独立した複数の液滴として間欠的に吐出するインクジェット装置によって、開口部47aで囲まれた画素電極42上に選択的に塗布する。続いて、基板31を大気雰囲気下で加熱し有機化合物含有液の溶媒を揮発させて、正孔注入層43を形成する。有機化合物含有液は加熱雰囲気で塗布されてもよい。
【0051】
また、発光機能層としてインターレイヤ層を形成する場合は、インターレイヤ層44となる材料を含有する有機化合物含有液を溶液52として、ノズルヘッド50から連続して吐出する図10A又は図10Bに示すノズルプリンティング装置またはインクジェット装置を用いて、正孔注入層43上に塗布する。続いて、窒素雰囲気中の加熱乾燥、或いは真空中での加熱乾燥を行い、残留溶媒の除去を行ってインターレイヤ層44を形成する。有機化合物含有液は加熱雰囲気で塗布されてもよい。
【0052】
次に、発光機能層として発光層45を形成するために、発光ポリマー材料(R、G、B)を含有する有機化合物含有液を溶液52としてノズルヘッド50から連続して吐出する図10A又は図10Bに示すノズルプリンティング装置によるノズルプリンティング方式を用いて、隔壁48の間に設けられ、開口部47aで囲まれた画素電極42上に塗布する。塗布は、隔壁48の形成方向(図7及び図9D〜図9Iにおける上下方向)に沿って塗布する。
【0053】
ここで、本実施形態における発光層45の形成方法について詳しく説明する。
本実施形態における発光層45の形成は、1列おきに発光層45を形成する第1の工程と、第1の工程で形成されなかった列に発光層45を形成する第2の工程に分割して行う。各工程について、以下、図9D〜図9Iを用いて説明する。図9D〜図9Iでは、説明の便宜のため、発光層45を形成するための有機化合物含有液を塗布する列を濃色で示す。更に、発光層45の形成が終了している列は実線で、発光層45が形成されていない列は破線で示す。
【0054】
また、上述したように画素30は、R、G、Bの各色毎に列方向に(図1に示す縦方向)に並んでいる。図9Dに示すように、R、G、Bの各列を一組とし、各列を、R1、G1、B1、R2、G2、B2、R3、G3、B3、...、Rm−1、Gm−1、Bm−1、Rm、Gm、Bmと色と組の番号とを用いて表記する。ここで、本実施形態ではmが偶数である場合を例に挙げて説明しているが、mは奇数であってもよい。
【0055】
第1の工程では、まず、奇数番の組のR色の列に、発光ポリマー材料(R)を含有する有機化合物含有液(溶液52)を、溶液52を連続して吐出するノズルプリンティング装置によって塗布する。具体的には、図9Dに示すように、R1、R3の順にRm−1まで、5列おきに塗布する。この際、図10Aに示すように、溶液52はノズルヘッド50のノズルから吐出され、基板31上に塗布される。ノズルヘッド50は隔壁48間に溶液52を吐出しながら、隔壁48が形成された方向(図10Aでは左右方向)に沿って移動する。なお、各列への塗布を連続して行う場合は、図10Aに示すように、ノズルヘッド50が基板31外にある間に、基板31を隔壁48が形成された方向と直交する方向(図10Aでは上下方向)に、所定の距離だけ移動させる。これを繰り返すことで、溶液52が所定の列に塗布される。なお、ノズルヘッド50が基板31外にある間、溶液52は吐出させたままであってもよいし、吐出を一旦停止させてもよい。ここで、図10Aに示すように、ノズルプリンティング装置がノズルヘッド50を1つだけ有する場合には、R1、R3、・・・、Rm−1の1列毎に、ノズルヘッド50の移動方向を交互に変えて塗布する。また、図10Bに示すように、ノズルプリンティング装置がノズルヘッド50を2つ有する場合には、R1とR3、R5とR7、・・・、Rm−3とRm−1の2列毎に、ノズルヘッド50の移動方向を交互に変えて塗布する。以下においても同様の動作となる。なお、基板31を移動させる代わりに、ノズルヘッド50を隔壁48が形成された方向と直交する方向に所定の距離だけ移動させてもよい。
【0056】
次に、奇数組目のB色の列に、発光ポリマー材料(B)を含有する有機化合物含有液を、連続して吐出するノズルプリンティング装置によって塗布する。具体的には、図9Eに示すように、B1、B3の順に、Bm−1まで5列おきに塗布する。
【0057】
更に、偶数組目のG色の列に、発光ポリマー材料(G)を含有する有機化合物含有液を、連続して吐出するノズルプリンティング装置によって塗布する。具体的には、図9Fに示すように、G2、G4の順にGmまで5列おきに塗布する。
【0058】
このように、第1の工程では、奇数組のR色の列、奇数組のB色の列、偶数組のG色の列に有機化合物含有液が塗布される。すなわち、図9D〜図9Fに示すように、発光層の発光色によらず、左端から数えた列の番号でみると、第1の工程の奇数組のR色の列を塗布する工程では、第1列、第7列の順に発光層が形成され、奇数組のB色の列を塗布する工程では、第3列、第9列の順に発光層が形成され、偶数組のG色の列を塗布する工程では、第5列、第11列の順に発光層が形成されている。この結果、第1の工程を全体としてとらえると、第1列、第3列、第5列、第7列、第9列、…と、1列おきに、奇数列の発光層が形成されている。
【0059】
次に、第2の工程では、まず、奇数組のG色の列に、発光ポリマー材料(G)を含有する有機化合物含有液を、連続して吐出するノズルプリンティング装置によって塗布する。具体的には、図9Gに示すように、G1、G3の順に、5列おきにGm−1まで塗布する。
【0060】
続いて、偶数組目のR色の列に、発光ポリマー材料(R)を含有する有機化合物含有液を、連続して吐出するノズルプリンティング装置によって塗布する。具体的には、図9Hに示すように、R2、R4の順に、Rmまで塗布する。
【0061】
更に、偶数組目のB色の列に、発光ポリマー材料(B)を含有する有機化合物含有液を、連続して吐出するノズルプリンティング装置によって塗布する。具体的には、図9Iに示すように、B2、B4の順に、Bmまで塗布する。
【0062】
このように、第2の工程では、奇数組のG色の列、偶数組のR色の列、偶数組のB色の列に有機化合物含有液を塗布する。すなわち、図9G〜図9Iに示すように、発光層の発光色によらず、左から数えた列の番号でみると、第2の工程の奇数組のG色の列を塗布する工程では、第2列、第8列の順に発光層が形成され、偶数組のR色の列を塗布する工程では、第4列、第10列の順に発光層が形成され、偶数組のB色の列を塗布する工程では、第6列、第12列の順に発光層が形成される。つまり、第2の工程を全体としてとらえると、第2列、第4列、第6列、第8列、第10列、第12列、…と、第1の工程で発光層45が形成されなかった偶数列に発光層45が形成されている。
【0063】
なお、第1の工程で最後に塗布する色と、第2の工程の最初に塗布する色とを同じとすると、ノズルプリンティング装置のノズルを変更する必要がなく、効率的で好ましい。
【0064】
ここで、第1の工程で塗布された有機化合物含有液の一部は隔壁48上部に乗り上げた形で発光層45を形成するため、発光層45の厚みの分だけ、隔壁48の高さが高くなる。この場合、第2の工程での有機化合物含有液の吐出量を第1の工程での吐出量と同じとすると、隔壁48の高さが高くなっている分、第2の工程で塗布される有機化合物含有液は、第1の工程で塗布された有機化合物含有液に比べて隔壁48上部に乗り上げる量が少ない。この結果、第2の工程で塗布される有機化合物含有液は、第1の工程で塗布される有機化合物含有液に比べて隔壁48間に多く溜まり、第2の工程で形成される発光層の膜厚が、第1の工程で形成される発光層の膜厚より厚くなることがある。このため、第2の工程での有機化合物含有液の吐出量を、第1の工程での吐出量より減らすようにしてもよい。これにより、第1の工程で形成される発光層の膜厚と、第2の工程で形成される発光層の膜厚とを揃えることができる。
【0065】
続いて、図8に示すように、発光層45まで形成した基板31に真空蒸着やスパッタリングで、Li,Mg,Ca,Ba等の仕事関数の低い材料からなる層と、Al等の光反射性導電層からなる2層構造の対向電極46を形成する。
【0066】
次に、複数の画素30が形成された発光領域の外側において、基板31上に紫外線硬化樹脂、又は熱硬化樹脂からなる封止樹脂を塗布し、図示しない封止基板と基板31と貼り合わせる。次に紫外線もしくは熱によって封止樹脂を硬化させて、基板31と封止基板とを接合する。
以上から、発光装置10が製造される。
【0067】
上述したように、本実施形態では、発光機能層の発光層45を第1の工程で1列おきに形成した上で、第1の工程で形成しなかった列に第2の工程で発光層45を形成する。これにより、発光層45を良好な均一性を備える膜とすることができる。
【0068】
ここで、本発明の実施形態による効果について説明する。ノズルプリンティング方式は、ノズルヘッドより溶液を連続して吐出して、連続して液柱を形成して塗布する方式であるため、溶液を間欠的に吐出するインクジェットプリント方式より高速で印刷が可能である。一方、ノズルプリンティング方式によってRGBの発光層を形成する際は、混色を避けるため、隔壁内部に溶液が収まるように塗布する必要がある。更に、表示特性を良好にするためには、隔壁内部の発光機能層膜厚制御を良好に行う必要がある。このため、例えば、塗布前に隔壁上の疎水化処理を行い、有機化合物含有液が隔壁上に残らないようにすることが理想的である。しかし、画素密度が向上し、高精細化されたパネルの隔壁上にインクが残らないように塗布するにはノズルからの吐出量を絞り込む必要がある。ノズルからの吐出量を減らすと、吐出安定性が悪くなる。さらに、ノズル径を絞り込むと、配管が詰まりやすくなり、メンテナンス回数が増加し、生産性が落ちるデメリットがある。従って、実際には、溶液の塗布において溶液が隔壁上にも残存することは避けられない。そして、そのような場合であっても、良好な均一性を備える膜厚とすることが求められている。なお、これらはノズルプリント法に限られず、他の印刷法であっても同様に存在する問題である。
【0069】
ここで、塗布した溶液が隔壁上にも残存するように塗布する構成において、R色の発光層45Rを全列塗布した後に、G色の発光層45Gを全列塗布し、次いでB色の発光層45Bを全列に塗布することによってRGBの発光層を形成する構成を比較例として、これと比較したときの本実施形態における効果を説明する。
【0070】
図11(a)は本実施形態における発光装置10の断面構成を示す図であり、図11(b)は本実施形態における各発光層45の膜厚等高線を示す図である。また、図12(a)は比較例における発光装置の断面構成を示す図であり、図12(b)は比較例における各発光層の膜厚等高線を示す図である。
【0071】
上記比較例の場合、図12(a)及び(b)に示すように、後から塗布するG色の発光層、B色の発光層の膜厚が均一となりにくい。これは、隔壁上より発光層上の方が発光層形成用の有機化合物含有液がなじみやすいことに起因している。すなわち、R色の発光層を全列塗布した後にG色の発光層を塗布すると、G色の発光層形成用の有機化合物含有液がR色の発光層側へと引っ張られやすくなる。これにより、G色の発光層中、特に図12(a)に示す左右方向で有機化合物含有液の乾燥速度が異なり、図12(b)に模式的に示すように、G色の発光層のR色側の膜厚が厚くなり、左右が非対称な膜厚となる。B色の発光層についても同様であり、先に形成されたG色の発光層側の膜厚が厚くなり、左右が非対称な膜厚となる。
【0072】
これに対し、本実施形態のように1列おきに発光層45を形成した後、間に残存する列に発光層45を形成すると、乾燥速度をより均一とすることができる。例えば、R色の発光層45Rと、B色の発光層45Bを予め形成した上で、G色の有機化合物含有液を塗布する。G色の有機化合物含有液は、R色の発光層45RとB色の発光層45Bとの上に塗布されても、いずれの発光層に対しても同じ程度なじみやすいため、図11(a)に示す左右方向で乾燥速度が異なることはない。従って、G色の発光層45Gは図11(b)に示すように、左右で膜厚が概ね均一なものとなる。また、予め1列おきに形成するR色の発光層45R、B色の発光層45Bについても、隔壁48上に発光層が形成されていない状態で形成されるため、左右での乾燥速度の不均衡は生じない。従って、R色の発光層45R、B色の発光層45Bについても、左右が概ね対称な膜厚とすることができる。
【0073】
なお、上述した実施形態では、第1の工程でRの奇数組、Bの奇数組、Gの偶数組の発光層45を順に形成し、第2の工程でGの奇数組、Rの偶数組、Bの偶数組の発光層45を順に形成する構成を例に挙げて説明したが、これに限られない。例えば、第1の工程でGの奇数組、Rの偶数組、Bの偶数組の発光層45を順に形成し、第2の工程でRの奇数組、Bの奇数組、Gの偶数組の発光層45を順に形成してもよい。要するに、第1の工程全体で1列おきに塗布されていればよい。
【0074】
また、第1の工程中でRの奇数組、Bの奇数組、Gの偶数組の発光層45を形成する順序についても、任意に変更可能である。同様に、第2の工程でGの奇数組、Rの偶数組、Bの偶数組の発光層45を形成する順序についても任意に変更可能である。
【0075】
本発明は上述した実施形態に限られず様々な変形及び応用が可能である。例えば、上述した実施形態では、発光装置10がカラー表示を行うものであって、3色の発光素子を備える構成を例に挙げて説明したが、発光装置10が単色表示を行うものである場合、1色の発光素子のみを備える。この場合、図13A及び図13Bに示すように、l列まである発光層のうち、第1の工程では奇数列、第2の工程では偶数列を塗布するようにしてもよい。あるいは、第1の工程で偶数列、第2の工程で奇数列を塗布するようにしてもよい。吐出量に関しても、上述した実施形態と同様であり、発光層の膜厚を均一にするために、第2の工程での吐出量を増やすようにしてもよい。
【0076】
また、上述した実施形態では、発光機能層は発光層のみを備える構成を例に挙げているが、これに限られず、正孔注入層、インターレイヤ層等を更に備えてもよい。また、図14に示すように、これらの正孔注入層43、インターレイヤ層44を形成する際に、本実施形態と同様に1列おきに塗布することもできる。正孔注入層43、インターレイヤ層44に本実施形態の製造方法を用いると、図14に示すように、正孔注入層43の端は、隣接する正孔注入層43の端を覆うように形成される。インターレイヤ層44についても同様に、隣接するインターレイヤ層44の端を覆うように形成される。
【0077】
なお、正孔注入層、インターレイヤ層に用いる場合は、複数色の発光層を備える場合であっても、共通した材料から形成することができる。従って、図13A及びBに示したように、第1の工程では奇数列、第2の工程では偶数列を塗布してもよいし、第1の工程で偶数列、第2の工程で奇数列を塗布してもよい。
【0078】
上述した実施形態では、画素回路DSは2つのトランジスタを備える構成を例に挙げているが、3つ以上のトランジスタを備えるものであってもよい。
【0079】
また、上述した実施形態ではボトムエミッション型の有機EL素子を中心に説明したが、これに限られず有機EL素子OELにより発生した光を、対向電極40を介して外部に出射するトップエミッション型の有機EL素子に用いることも可能である。
【0080】
上述した各実施形態では、発光装置を表示装置として利用する構成を例に挙げて説明しているが、プリンタの感光ドラムに光を照射するプリンタヘッド等の露光装置としても利用することができる。
【0081】
また、上述した実施形態では、R、G、Bの3色の発光素子を備える構成を例に挙げているが、3色より多くともよいし、2色であってもよい。
【符号の説明】
【0082】
10・・・発光装置、30,30R,30G,30B・・・画素、31・・・基板、32・・・絶縁膜、42・・・画素電極(アノード電極)、43・・・正孔注入層、44・・・インターレイヤ層、45R,45G,45B・・・発光層、46・・・対向電極(カソード電極)、47・・・層間絶縁膜、48・・・隔壁、50・・・ノズルヘッド、52・・・溶液、114・・・半導体層、115・・・ストッパ膜、116,117・・・オーミックコンタクト層、Tr11d,Tr12d・・・ドレイン電極、Tr11g,Tr12g・・・ゲート電極、Tr11s,Tr12s・・・ソース電極、La・・・アノードライン、Ls・・・走査ライン、Ld・・・データライン、Tr11・・・選択トランジスタ、Tr12・・・駆動トランジスタ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の行及び複数の列に沿って配列された複数の発光素子を備え、前記各発光素子は、所定の発光色で発光する発光層を含む発光機能層を有し、
行方向に隣接して配列された前記各発光素子間に設けられた間隙領域を有し、
前記各発光素子の前記発光機能層は、前記発光層の形成領域と、前記間隙領域の一部とに跨って形成されており、
前記発光機能層が、行方向に隣接して配列された前記各発光素子の前記間隙領域の一部に形成された前記発光機能層を覆うように形成された前記発光素子を少なくとも一つ備えることを特徴とする発光装置。
【請求項2】
前記発光装置は、前記間隙領域に形成され、前記各発光素子の前記発光層の形成領域を画し、その上面は前記発光機能層の上面より高い隔壁を有し、
前記発光機能層は、前記間隙領域において、前記隔壁の一部に乗り上げて形成されていることを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記複数の発光素子は、前記間隙領域の一部に形成された前記発光機能層の一部が、行方向に隣接する前記発光素子の前記発光機能層に覆われている第1の発光素子と、前記発光機能層が、行方向に隣接する前記発光素子の前記間隙領域の一部に形成された前記発光機能層の一部を覆っている第2の発光素子と、を有し、
前記第1の発光素子と前記第2の発光素子とは、行方向に交互に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の発光装置。
【請求項4】
前記複数の発光素子は、前記発光層として、第1の発光色を有する第1の発光層、前記第1の発光色と異なる第2の発光色を有する第2の発光層、前記第1及び第2の発光色と異なる第3の発光色を有する第3の発光層、の何れかを有し、
前記第1の発光層と前記第2の発光層と前記第3の発光層とは、前記第1の発光層、前記第2の発光層、前記第3の発光層の順に一組とされ、複数の組が行方向に繰り返し配置され、
奇数組の前記第1の発光層、奇数組の前記第3の発光層及び偶数組の前記第2の発光層はそれぞれ前記第1の発光素子の構成要素であり、偶数組の前記第1の発光層、偶数組の前記第3の発光層及び奇数組の前記第2の発光層はそれぞれ前記第2の発光素子の構成要素である、ことを特徴とする請求項3に記載の発光装置。
【請求項5】
前記複数の発光素子は、前記発光層として、第1の発光色を有する第1の発光層、前記第1の発光色と異なる第2の発光色を有する第2の発光層、前記第1及び第2の発光色と異なる第3の発光色を有する第3の発光層、の何れかを有し、
前記第1の発光層と前記第2の発光層と前記第3の発光層とは、前記第1の発光層、前記第2の発光層、前記第3の発光層の順に一組とされ、複数の組が行方向に繰り返し配置され、
偶数組の前記第1の発光層、偶数組の前記第3の発光層及び奇数組の前記第2の発光層はそれぞれ前記第1の発光素子の構成要素であり、奇数組の前記第1の発光層、奇数組の前記第3の発光層及び偶数組の前記第2の発光層はそれぞれ前記第2の発光素子の構成要素である、ことを特徴とする請求項3に記載の発光装置。
【請求項6】
前記発光機能層は、前記発光層に正孔を注入する正孔注入層、インターレイヤ層の少なくとも何れか1つを含むことを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の発光装置。
【請求項7】
所定の発光色で発光する発光層を有する複数の発光素子が、複数の行及び複数の列に沿って配列された発光装置の製造方法であって、
前記複数の発光素子の前記発光層の形成領域に、有機材料を含む溶液を塗布して、前記発光層を含む発光機能層を形成する発光機能層形成工程を備え、
前記発光機能層形成工程は、
1列おきに配列される前記各発光素子の前記発光層の形成領域に、前記溶液を列方向に塗布して、前記発光機能層を1列おきに形成する第1の工程と、
前記第1の工程の後、前記第1の工程で前記溶液が塗布されなかった列に配列される前記各発光素子の前記発光層の形成領域に、前記溶液を列方向に塗布して、前記発光機能層を形成する第2の工程と、を含むことを特徴とする発光装置の製造方法。
【請求項8】
前記発光装置は、行方向に隣接して配列された前記各発光素子間に設けられた間隙領域を有し、
前記第1の工程及び前記第2の工程で形成される前記発光機能層は、前記間隙領域にも形成され、
前記第2の工程で前記間隙領域に形成される前記発光機能層は、行方向に隣接する前記各発光素子との間の前記間隙領域に前記第1の工程で前記間隙領域に形成された前記発光機能層の一部を覆うように形成されることを特徴とする請求項7に記載の発光装置の製造方法。
【請求項9】
前記複数の発光素子は、第1の発光色を有する第1の発光層、前記第1の発光色と異なる第2の発光色を有する第2の発光層、前記第1及び第2の発光色と異なる第3の発光色を有する第3の発光層、の何れかを有し、前記第1の発光層と前記第2の発光層と前記第3の発光層とは、前記第1の発光層、前記第2の発光層、前記第3の発光層の順に一組とされ、複数の組が行方向に繰り返し並んで配置され、
前記第1の工程では、奇数組の前記第1の発光層、奇数組の前記第3の発光層及び偶数組の前記第2の発光層を形成し、
前記第2の工程では、偶数組の前記第1の発光層、偶数組の前記第3の発光層及び奇数組の前記第2の発光層を形成する、ことを特徴とする請求項7又は8に記載の発光装置の製造方法。
【請求項10】
前記複数の発光素子は、第1の発光色を有する第1の発光層、前記第1の発光色と異なる第2の発光色を有する第2の発光層、前記第1及び第2の発光色と異なる第3の発光色を有する第3の発光層、の何れかを有し、前記第1の発光層と前記第2の発光層と前記第3の発光層とは、前記第1の発光層、前記第2の発光層、前記第3の発光層の順に一組とされ、複数の組が行方向に繰り返し並んで配置され、
前記第1の工程では、偶数組の前記第1の発光層、偶数組の前記第3の発光層及び奇数組の前記第2の発光層を形成し、
前記第2の工程では、奇数組の前記第1の発光層、奇数組の前記第3の発光層及び偶数組の前記第2の発光層を形成する、ことを特徴とする請求項7又は8に記載の発光装置の製造方法。
【請求項11】
前記発光機能層は、前記発光層に正孔を注入する正孔注入層、インターレイヤ層の少なくとも何れかを含むことを特徴とする7乃至10の何れか1項に記載の発光装置の製造方法。
【請求項12】
前記第1の工程では、前記溶液の塗布量を第1の量に設定し、
前記第2の工程では、前記溶液の塗布量を前記第1の量より少ない第2の量に設定することを特徴とする請求項7乃至11の何れか1項に記載の発光装置の製造方法。
【請求項13】
請求項1乃至6の何れか1項に記載の発光装置を備えることを特徴とする電子機器。
【請求項1】
複数の行及び複数の列に沿って配列された複数の発光素子を備え、前記各発光素子は、所定の発光色で発光する発光層を含む発光機能層を有し、
行方向に隣接して配列された前記各発光素子間に設けられた間隙領域を有し、
前記各発光素子の前記発光機能層は、前記発光層の形成領域と、前記間隙領域の一部とに跨って形成されており、
前記発光機能層が、行方向に隣接して配列された前記各発光素子の前記間隙領域の一部に形成された前記発光機能層を覆うように形成された前記発光素子を少なくとも一つ備えることを特徴とする発光装置。
【請求項2】
前記発光装置は、前記間隙領域に形成され、前記各発光素子の前記発光層の形成領域を画し、その上面は前記発光機能層の上面より高い隔壁を有し、
前記発光機能層は、前記間隙領域において、前記隔壁の一部に乗り上げて形成されていることを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記複数の発光素子は、前記間隙領域の一部に形成された前記発光機能層の一部が、行方向に隣接する前記発光素子の前記発光機能層に覆われている第1の発光素子と、前記発光機能層が、行方向に隣接する前記発光素子の前記間隙領域の一部に形成された前記発光機能層の一部を覆っている第2の発光素子と、を有し、
前記第1の発光素子と前記第2の発光素子とは、行方向に交互に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の発光装置。
【請求項4】
前記複数の発光素子は、前記発光層として、第1の発光色を有する第1の発光層、前記第1の発光色と異なる第2の発光色を有する第2の発光層、前記第1及び第2の発光色と異なる第3の発光色を有する第3の発光層、の何れかを有し、
前記第1の発光層と前記第2の発光層と前記第3の発光層とは、前記第1の発光層、前記第2の発光層、前記第3の発光層の順に一組とされ、複数の組が行方向に繰り返し配置され、
奇数組の前記第1の発光層、奇数組の前記第3の発光層及び偶数組の前記第2の発光層はそれぞれ前記第1の発光素子の構成要素であり、偶数組の前記第1の発光層、偶数組の前記第3の発光層及び奇数組の前記第2の発光層はそれぞれ前記第2の発光素子の構成要素である、ことを特徴とする請求項3に記載の発光装置。
【請求項5】
前記複数の発光素子は、前記発光層として、第1の発光色を有する第1の発光層、前記第1の発光色と異なる第2の発光色を有する第2の発光層、前記第1及び第2の発光色と異なる第3の発光色を有する第3の発光層、の何れかを有し、
前記第1の発光層と前記第2の発光層と前記第3の発光層とは、前記第1の発光層、前記第2の発光層、前記第3の発光層の順に一組とされ、複数の組が行方向に繰り返し配置され、
偶数組の前記第1の発光層、偶数組の前記第3の発光層及び奇数組の前記第2の発光層はそれぞれ前記第1の発光素子の構成要素であり、奇数組の前記第1の発光層、奇数組の前記第3の発光層及び偶数組の前記第2の発光層はそれぞれ前記第2の発光素子の構成要素である、ことを特徴とする請求項3に記載の発光装置。
【請求項6】
前記発光機能層は、前記発光層に正孔を注入する正孔注入層、インターレイヤ層の少なくとも何れか1つを含むことを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の発光装置。
【請求項7】
所定の発光色で発光する発光層を有する複数の発光素子が、複数の行及び複数の列に沿って配列された発光装置の製造方法であって、
前記複数の発光素子の前記発光層の形成領域に、有機材料を含む溶液を塗布して、前記発光層を含む発光機能層を形成する発光機能層形成工程を備え、
前記発光機能層形成工程は、
1列おきに配列される前記各発光素子の前記発光層の形成領域に、前記溶液を列方向に塗布して、前記発光機能層を1列おきに形成する第1の工程と、
前記第1の工程の後、前記第1の工程で前記溶液が塗布されなかった列に配列される前記各発光素子の前記発光層の形成領域に、前記溶液を列方向に塗布して、前記発光機能層を形成する第2の工程と、を含むことを特徴とする発光装置の製造方法。
【請求項8】
前記発光装置は、行方向に隣接して配列された前記各発光素子間に設けられた間隙領域を有し、
前記第1の工程及び前記第2の工程で形成される前記発光機能層は、前記間隙領域にも形成され、
前記第2の工程で前記間隙領域に形成される前記発光機能層は、行方向に隣接する前記各発光素子との間の前記間隙領域に前記第1の工程で前記間隙領域に形成された前記発光機能層の一部を覆うように形成されることを特徴とする請求項7に記載の発光装置の製造方法。
【請求項9】
前記複数の発光素子は、第1の発光色を有する第1の発光層、前記第1の発光色と異なる第2の発光色を有する第2の発光層、前記第1及び第2の発光色と異なる第3の発光色を有する第3の発光層、の何れかを有し、前記第1の発光層と前記第2の発光層と前記第3の発光層とは、前記第1の発光層、前記第2の発光層、前記第3の発光層の順に一組とされ、複数の組が行方向に繰り返し並んで配置され、
前記第1の工程では、奇数組の前記第1の発光層、奇数組の前記第3の発光層及び偶数組の前記第2の発光層を形成し、
前記第2の工程では、偶数組の前記第1の発光層、偶数組の前記第3の発光層及び奇数組の前記第2の発光層を形成する、ことを特徴とする請求項7又は8に記載の発光装置の製造方法。
【請求項10】
前記複数の発光素子は、第1の発光色を有する第1の発光層、前記第1の発光色と異なる第2の発光色を有する第2の発光層、前記第1及び第2の発光色と異なる第3の発光色を有する第3の発光層、の何れかを有し、前記第1の発光層と前記第2の発光層と前記第3の発光層とは、前記第1の発光層、前記第2の発光層、前記第3の発光層の順に一組とされ、複数の組が行方向に繰り返し並んで配置され、
前記第1の工程では、偶数組の前記第1の発光層、偶数組の前記第3の発光層及び奇数組の前記第2の発光層を形成し、
前記第2の工程では、奇数組の前記第1の発光層、奇数組の前記第3の発光層及び偶数組の前記第2の発光層を形成する、ことを特徴とする請求項7又は8に記載の発光装置の製造方法。
【請求項11】
前記発光機能層は、前記発光層に正孔を注入する正孔注入層、インターレイヤ層の少なくとも何れかを含むことを特徴とする7乃至10の何れか1項に記載の発光装置の製造方法。
【請求項12】
前記第1の工程では、前記溶液の塗布量を第1の量に設定し、
前記第2の工程では、前記溶液の塗布量を前記第1の量より少ない第2の量に設定することを特徴とする請求項7乃至11の何れか1項に記載の発光装置の製造方法。
【請求項13】
請求項1乃至6の何れか1項に記載の発光装置を備えることを特徴とする電子機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図9D】
【図9E】
【図9F】
【図9G】
【図9H】
【図9I】
【図10A】
【図10B】
【図11】
【図12】
【図13A】
【図13B】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図9D】
【図9E】
【図9F】
【図9G】
【図9H】
【図9I】
【図10A】
【図10B】
【図11】
【図12】
【図13A】
【図13B】
【図14】
【公開番号】特開2011−29542(P2011−29542A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−176337(P2009−176337)
【出願日】平成21年7月29日(2009.7.29)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年7月29日(2009.7.29)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】
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