発光装置、発光装置の製造方法及び電子機器
【課題】膜厚が良好な均一性を有する発光機能層を備える発光装置、発光装置の製造方法及び電子機器を提供する。
【解決手段】発光装置10は、一組の画素30G1、30R、30G2、30Bを備える。発光装置10では、一つの色の画素を2つに分割し、偶数個からなる画素組とした上で、一列おきに発光層45を形成する。このため、赤色の発光層45Rと青色の発光層45Bの、緑色の発光層45G1と45G2とに接する部分は、それぞれ緑色の発光層45G1と45G2の隔壁48に乗り上げた部分の一部を覆うように、その上に乗り上げて形成される。発光層の形成を2つの工程に分けることにより、後に形成される発光層の乾燥速度を比較的均一とすることができるため、発光層45を良好な均一性を備える膜とすることができる。
【解決手段】発光装置10は、一組の画素30G1、30R、30G2、30Bを備える。発光装置10では、一つの色の画素を2つに分割し、偶数個からなる画素組とした上で、一列おきに発光層45を形成する。このため、赤色の発光層45Rと青色の発光層45Bの、緑色の発光層45G1と45G2とに接する部分は、それぞれ緑色の発光層45G1と45G2の隔壁48に乗り上げた部分の一部を覆うように、その上に乗り上げて形成される。発光層の形成を2つの工程に分けることにより、後に形成される発光層の乾燥速度を比較的均一とすることができるため、発光層45を良好な均一性を備える膜とすることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機EL(electroluminescence)素子を用いた発光装置、発光装置の製造方法及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶表示装置(LCD)に続く次世代の表示デバイスとして、有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、「有機EL素子」と略記する)等の自発光素子を2次元配列した発光素子型の表示パネルを備えた発光装置の研究開発が行われている。
【0003】
有機EL素子は、アノード電極と、カソード電極と、これらの一対の電極間に形成され、例えば発光層、正孔注入層、等を有する有機EL層(発光機能層)と、を備える。有機EL素子では、発光層において正孔と電子とが再結合することによって発生するエネルギーによって発光する。
【0004】
このような有機EL素子の発光層、正孔注入層等は、例えば、特許文献1に開示されているように、隔壁によって仕切られた空間に、溶液を塗布し、溶媒を乾燥させることによって形成される。溶液の塗布は、例えばノズルプリンティング方式、インクジェットプリント方式等によって行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−123083号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、有機EL素子では、有機EL層の膜厚が不均一であると、発光が不均一となるという問題がある。このため、発光機能層の膜厚を良好に制御し、良好な均一性を有する膜とすることが求められている。
【0007】
本発明は上述した実情に鑑みてなされたものであって、膜厚が良好な均一性を有する発光機能層を備える発光装置、発光装置の製造方法及び電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係る発光装置は、
複数の行及び複数の列に沿って配列された複数の発光素子を備え、
前記各発光素子は、所定の発光色で発光する発光層を含む発光機能層を有し、
行方向に一定の順序で配列された偶数個の前記発光素子を有する複数の組が、行方向に一定の順序で繰り返し配列されており、
行方向に隣接して配列された前記各発光素子間に設けられた間隙領域を有し、
前記各発光素子の前記発光機能層は、前記発光層の形成領域と前記間隙領域の一部とに跨って形成されており、
前記発光機能層が、行方向に隣接して配列された前記各発光素子の前記間隙領域の一部に形成された前記発光機能層を覆うように形成された前記発光素子を少なくとも一つ備えることを特徴とする。
【0009】
前記偶数個の発光素子を有する組は、
第1の発光色の第1の発光層を有する第1の発光素子と、
前記第1の発光色と異なる第2の発光色の第2の発光層を有する第2の発光素子と、
前記第1及び前記第2の発光色と異なる第3の発光色の第3の発光層を有する第3の発光素子と、を有し、
前記第1の発光素子、前記第2の発光素子、前記第3の発光素子のうち、いずれか1つの特定の発光素子を2個含んでいてもよい。
【0010】
前記特定の発光素子は、当該特定の発光素子の発光色と異なる発光色の1つの前記発光素子を挟んで、行方向に配列されていてもよい。
【0011】
前記偶数個の発光素子を有する組は、
第1の発光色の第1の発光層を有する第1の発光素子と、
前記第1の発光色と異なる第2の発光色の第2の発光層を有する第2の発光素子と、
前記第1及び前記第2の発光色と異なる第3の発光色の第3の発光層を有する第3の発光素子と、
前記第1乃至前記第3の発光色と異なる第4の発光色の第4の発光層を有する第4の発光素子と、を備えてもよい。
【0012】
上記目的を達成するため、本発明の第2の観点に係る発光装置の製造方法は、
複数の行及び複数の列に沿って所定の発光色で発光する複数の発光素子が配列された発光装置の製造方法であって、
行方向に一定の順序で配列された偶数個の前記発光素子を有する複数の組を、行方向に一定の順序で繰り返し配列して形成する発光素子形成工程を備え、
前記発光素子形成工程は、
1列おきに配列される前記各発光素子の前記発光層の形成領域に、前記溶液を列方向に塗布して、前記発光機能層を1列おきに形成する第1の工程と、
前記第1の工程の後、前記第1の工程で前記溶液が塗布されなかった列に配列される前記各発光素子の前記発光層の形成領域に、前記溶液を列方向に塗布して、前記発光機能層を形成する第2の工程と、を含むことを特徴とする。
【0013】
前記発光装置は、行方向に隣接して配列された前記各発光素子間に設けられた間隙領域を有し、
前記第1の工程及び前記第2の工程で形成される前記発光機能層は、前記間隙領域にも形成され、
前記第2の工程で前記間隙領域に形成される前記発光機能層は、行方向に隣接する前記各発光素子との間の前記間隙領域に前記第1の工程で形成された前記発光機能層を覆うように形成されてもよい。
【0014】
前記発光素子形成工程は、第1の発光色の第1の発光層を有する第1の発光素子と、前記第1の発光色と異なる第2の発光色の第2の発光層を有する第2の発光素子と、前記第1及び前記第2の発光色と異なる第3の発光色の第3の発光層を有する第3の発光素子と、を有する前記組を形成する際、前記第1の発光素子、前記第2の発光素子、前記第3の発光素子のうち、いずれか1つの特定の発光素子を2個形成してもよい。
【0015】
前記発光素子形成工程は、前記特定の発光素子を、当該特定の発光素子の発光色と異なる発光色の1つの前記発光素子を挟んで、行方向に配列して形成してもよい。
【0016】
前記発光素子形成工程は、前記一組の発光素子として、第1の発光色の第1の発光層を有する第1の発光素子と、前記第1の発光色と異なる第2の発光色の第2の発光層を有する第2の発光素子と、前記第1及び前記第2の発光色と異なる第3の発光色の第3の発光層を有する第3の発光素子と、前記第1乃至前記第3の発光色と異なる第4の発光色の第4の発光層を有する第4の発光素子と、を形成してもよい。
【0017】
上記目的を達成するため、本発明の第3の観点に係る電子機器は、
上記第1の観点に係る発光装置を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、偶数個からなる画素組とした上で、一列おきに発光機能層を形成することにより膜厚が良好な均一性を有する発光機能層を備える発光装置、発光装置の製造方法及び電子機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】第1実施形態に係る発光装置の構成例を示す平面図である。
【図2】(a)及び(b)は、発光装置が用いられる電子機器を示す図である。
【図3】発光装置が用いられる電子機器を示す図である。
【図4】発光装置が用いられる電子機器を示す図である。
【図5】図1に示す発光装置の断面構成を示す図である。
【図6】画素の駆動回路の一例の等価回路図である。
【図7】画素の平面図である。
【図8】図7に示すVIII−VIII線断面図である。
【図9A】発光装置の製造方法を示す図である。
【図9B】発光装置の製造方法を示す図である。
【図9C】発光装置の製造方法を示す図である。
【図9D】発光装置の製造方法を示す図である。
【図9E】発光装置の製造方法を示す図である。
【図10A】ノズルプリンティング方式を説明するためのノズルプリンティング装置の概略構成を示す図である。
【図10B】ノズルプリンティング方式を説明するためのノズルプリンティング装置の概略構成を示す図である。
【図11】第1実施形態の各発光層の膜厚を示す図である。
【図12】比較例の各発光層の膜厚を示す図である。
【図13】第2実施形態に係る発光装置の構成例を示す図である。
【図14】図13に示す発光装置の断面構成を示す図である。
【図15】発光装置の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施形態に係る発光装置、発光装置の製造方法及び電子機器について図を用いて説明する。本実施形態では、有機EL(electroluminescence)素子により発生した光を有機EL素子が形成された基板を介して外部に出射するボトムエミッション型の有機EL素子を用いたアクティブ駆動方式の発光装置を例に挙げて説明する。また、本実施形態の発光装置は表示装置としても用いられる。
【0021】
(第1実施形態)
図1は第1実施形態に係る発光装置の構成例を示す平面図である。図2乃至図4は、発光装置が用いられる電子機器を示す図である。図5は、図1に示す発光装置10の断面構成を示す図である。また、図6は画素30の駆動回路の一例の等価回路図である。図7は、画素30Gの平面図であり、図8は図7に示すVIII−VIII線断面図である。
【0022】
発光装置10では、基板31上に、図1に示すようにそれぞれ赤色(R)、青色(B)、緑色(G)、の3色の何れかの発光色で発光する発光素子を有する4つの画素30(30G1、30R、30B、30G2)を一組として、この組が行方向(図1の左右方向)に繰り返し複数個、例えばm個配列されている。列方向(図1の上下方向)には、同一の発光色の発光素子を有する画素が複数個、例えばn個配列されている。換言すれば、画素自体は行方向に4m個配列されており、RGBの各色を発光する画素はマトリクス状に、4m×n個配列される。また、本実施形態では、画素30G1と画素30G2との2つの画素は同じ緑色の発光色の光を発光する。このため、本実施形態では、赤色の画素30R、青色の画素30B、緑色の画素30G1及び画素30G2とで、所望の色を表現する。
【0023】
なお、発光装置10では、偶数個の発光素子を一組として、画像を構成する要素として固定して用いる構成に限らず、1つの画素を複数の論理画素間で共有する構成を採ることも可能である。例えば、1つの画素は、6種類の論理画素を構成するのに用いられる。具体的には、1つの画素は、6種類の論理画素の中心の1つの論理画素として用いられ、当該画素の周辺にある画素は上記中心となる論理画素を囲む5種類の論理画素の一部として用いられ、このような処理を各画素に対して行う。この結果、1つの画像を形成するために1つの画素が複数回用いられることになる。このように1つの発光素子を複数回用いることにより、一組の画素を、画像を構成する要素として固定して発光させる構成以上に、解像度を高めることができる。
【0024】
基板31上には、行方向に配列され、図6に示す複数の画素回路DSに接続されたアノードラインLaと、行方向に配列された複数の画素回路DSにそれぞれ接続された複数のデータラインLdと、行方向に配列された複数の画素回路DSのトランジスタTr11を選択する走査ラインLsと、が形成されている。
【0025】
このような構成を採る発光装置10は、デジタルカメラ、パーソナルコンピュータ、携帯電話等の電子機器の表示部(ディスプレイ)として用いられる。具体的には、カメラ200は、例えば図2(a)及び(b)に示すように、レンズ部201と、操作部202と、表示部203と、ファインダー204と、を備える。この表示部203として、発光装置10が用いられる。同様に、パーソナルコンピュータ210は図3に示すように、表示部211と操作部212とを備え、発光装置10は、表示部211として用いられる。更に、携帯電話220は表示部221と操作部222と受話部223と送話部224とを備え、発光装置10は表示部221として用いられる。
【0026】
次に、図1に示す発光装置10の断面構成を図5に示す。図5では、説明の便宜のため、基板31、画素電極42、隔壁48、それぞれ緑色(G)、赤色(R)、青色(B)、緑色(G)の発光色を有する3色の発光層45G1,45R,45B,45G2(以下、発光層45R,45G,45Bを総称して発光層45とも記す)のみを図示し、その他の構成要素については図示を省略している。各発光層45G1,45R,45B,45G2は、それぞれ画素30G1,30R,30B,30G2の各々の発光素子を形成するものである。詳細に後述するように、本実施形態では、緑色の画素を、画素30G1と、画素30G2との、2つに分割する。画素30G1,G2の発光領域は、いずれも、赤色の画素30R及び青色の画素30Bの発光領域より狭い面積である。また、緑色の発光層45G1,45G2を形成した上で、赤色の発光層45R、青色の発光層45Bを形成する。このため、赤色の発光層45Rの、緑色の発光層45G1に接する部分と、45G2とに接する部分とは、それぞれ緑色の発光層45G1と45G2との隔壁48に乗り上げた部分の一部を覆うように、その上に乗り上げて形成される。青色の発光層45Bについても同様であり、青色の発光層45Bの緑色の発光層45G1と45G2とに接する部分は、それぞれ緑色の発光層45G1と45G2との隔壁48に乗り上げた部分の一部を覆うように、その上に乗り上げて形成される。
【0027】
次に、発光装置10を構成する画素30について、図6乃至8を用いて説明する。なお、本実施形態では、画素30G1、画素30G2と、緑の画素を2つに分割するため、画素30G1,G2の発光領域は、いずれも、赤の画素30R及び青の画素30Bの発光領域より狭い面積である点を除けば、画素30R,30B,30G1,30G2の構成はいずれも同じであるため、以下、赤の画素30Rを例に挙げて説明する。
【0028】
画素30は画素回路DSを有して構成されている。画素回路DSは、図6に示すように、選択トランジスタTr11、駆動トランジスタTr12、キャパシタCs、有機EL素子(発光素子)OEL、を備える。
【0029】
図6に示すように選択トランジスタTr11は、ゲート端子が走査ラインLsに、ドレイン端子がデータラインLdに、ソース端子が接点N11にそれぞれ接続されている。また、駆動トランジスタTr12は、ゲート端子が接点N11に接続されており、ドレイン端子がアノードラインLaに、ソース端子が接点N12にそれぞれ接続されている。キャパシタCsは、駆動トランジスタTr12のゲート端子及びソース端子に接続されている。なお、キャパシタCsは、駆動トランジスタTr12のゲート−ソース間に付加的に設けられた補助容量、もしくは駆動トランジスタTr12のゲート−ソース間の寄生容量と補助容量からなる容量成分である。また、有機EL素子OELは、アノード端子(画素電極42)が接点N12に接続され、カソード端子(対向電極46)には基準電圧Vssが印加されている。
【0030】
走査ラインLsは、画素基板の周縁部に配置された走査ドライバ(図示せず)に接続されている。走査ラインLsには、所定のタイミングで行方向に配列された複数の画素30を選択状態に設定するための選択電圧信号(走査信号)が印加される。また、データラインLdは、画素基板の周縁部に配置されたデータドライバ(図示せず)に接続されている。データラインLdには、上記画素30の選択状態に同期するタイミングで発光データに応じたデータ電圧(階調信号)が印加される。行方向に配列された複数の駆動トランジスタTr12が、当該駆動トランジスタTr12に接続された有機EL素子OELの、例えばアノード端子(画素電極42)に発光データに応じた駆動電流を流す状態に設定するように、アノードラインLa(供給電圧ライン)は、所定の高電位電源に直接又は間接的に接続されている。つまり、アノードラインLaは、有機EL素子OELの対向電極46に印加される基準電圧Vssより十分電位の高い所定の高電位(供給電圧Vdd)が印加される。また、対向電極46は、例えば、所定の低電位電源に直接又は間接的に接続され、基板31上にアレイ状に配列された全ての画素30に対して単一の電極層により形成されており、所定の低電圧(基準電圧Vss、例えば接地電位GND)が共通に印加されるように設定されている。
【0031】
また、アノードラインLaと走査ラインLsは、各トランジスタTr11、Tr12のソース電極、ドレイン電極を形成するソース−ドレイン導電層を用いてこれらソース電極、ドレイン電極とともに形成される。データラインLdは、各トランジスタTr11、Tr12のゲート電極となるゲート導電層を用いてゲート電極とともに形成される。データラインLdとドレイン電極Tr11dとの間の絶縁膜32には、図7に示すように、コンタクトホール61が形成され、データラインLdとドレイン電極Tr11dとはコンタクトホール61を介して導通している。走査ラインLsとゲート電極Tr11gの両端との間の絶縁膜32には、それぞれコンタクトホール62,63が形成されている。走査ラインLsとゲート電極Tr11gとはコンタクトホール62,63を介して導通している。ソース電極Tr11sとゲート電極Tr12gとの間の絶縁膜32には、コンタクトホール64が形成されている。ソース電極Tr11sとゲート電極Tr12gとはコンタクトホール64を介して導通している。なお、絶縁膜32は、絶縁性材料、例えばシリコン酸化膜、シリコン窒化膜等から形成され、データラインLd、ゲート電極Tr11g及びゲート電極Tr12gを覆うように基板31上に形成される。
【0032】
次に、有機EL素子OELは、図8に示すように、画素電極42と、発光層45と、対向電極46と、を備える。なお、図8では、説明の便宜上、発光に寄与する発光機能層として発光層45のみを備える構成を例に挙げているが、これに限られず、後述する図15に示すように、発光機能層は、正孔注入層43と発光層45とを備えていてもよく、更に、正孔注入層43とインターレイヤ層44と発光層45とを備えていてもよい。
【0033】
各画素の基板31上には、ゲート導電層をパターニングしてなる選択トランジスタTr11、駆動トランジスタTr12のゲート電極Tr11g,Tr12gが形成されている。各画素に隣接した基板31上には、ゲート導電層をパターニングしてなり、列方向に沿って延びるデータラインLdが形成されている。
【0034】
画素電極(アノード電極)42は、透光性を備える導電材料、例えばITO(Indium Tin Oxide)、ZnO等から構成される。各画素電極42は隣接する他の画素30の画素電極42と層間絶縁膜47によって絶縁されている。
【0035】
層間絶縁膜47は、絶縁性材料、例えばシリコン窒化膜から形成され、画素電極42間に形成され、トランジスタTr11,Tr12や走査ラインLs、アノードラインLaを絶縁保護する。層間絶縁膜47には略方形の開口部47aが形成されており、この開口部47aによって画素30の発光領域が画される。更に層間絶縁膜47上には隔壁48が形成されている。隔壁48には列方向(図7の上下方向)に延びる溝状の開口部48aが複数の画素30にわたって形成されている。ここで、層間絶縁膜47及びその上に形成される隔壁48は、行方向に隣接して配列される各画素30の発光領域間の間隙領域を形成している。
【0036】
隔壁48は、絶縁材料、例えばポリイミド等の感光性樹脂を硬化してなり、層間絶縁膜47上に形成される。隔壁48は、図7に示すように列方向に沿った複数の画素の画素電極42をまとめて開口するようにストライプ状に形成されている。なお、隔壁48の平面形状は、これに限られず各画素電極42毎に開口部をもった格子状であってもよい。また、図5に示すように、隔壁48の上面は、発光層45R,45G,45Bの中央部の平坦部の上面より高くなるように形成される。
【0037】
なお、隔壁48の表面、層間絶縁膜47の表面に撥液処理を施してもよい。ここで撥液とは、水系の溶媒、有機系溶媒のいずれをも弾く性質を示す。
【0038】
発光層45は、画素電極(アノード電極)42上に形成されている。発光層45は、アノード電極42とカソード電極46との間に電圧を印加することにより所定の発光色の光を発生する機能を有する。発光層45は、蛍光あるいは燐光を発光することが可能な公知の高分子発光材料、例えばポリパラフェニレンビニレン系やポリフルオレン系等の共役二重結合ポリマーを含む発光材料から構成される。また、これらの発光材料は、適宜水系溶媒あるいはテトラリン、テトラメチルベンゼン、メシチレン、キシレン等の有機溶媒に溶解(又は分散)した溶液(分散液)をノズルプリンティング方式やインクジェットプリント方式等により塗布し、溶媒を揮発させることによって形成する。
【0039】
本実施形態では、赤色の画素30Rに隣接する緑色の画素の発光層45G1,45G2を形成した上で、赤色の発光層45Rを形成する。このため、赤色の発光層45Rの、緑色の発光層45G1と45G2とに接する部分は、それぞれ緑色の発光層45G1と45G2との隔壁48に乗り上げた部分の一部を覆うように、その上に乗り上げて形成される。なお、青色の発光層45Bについても、赤色の発光層45Rと同様であり、緑色の発光層45G1と45G2とに接する部分は、それぞれ緑色の発光層45G1と45G2との隔壁48に乗り上げた部分の一部を覆うように、その上に乗り上げて形成される。
【0040】
ここで、発光機能層として、正孔注入層が設けられる場合、図15に示すように、正孔注入層43は、画素電極42と発光層45との間に設けられる。正孔注入層43は発光層45に正孔を供給する機能を有する。正孔注入層43は正孔(ホール)注入・輸送が可能な有機高分子系の材料、例えば導電性ポリマーであるポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)とドーパントであるポリスチレンスルホン酸(PSS)から構成される。
更に、発光機能層としてインターレイヤ層が設けられる場合、図15に示すように、インターレイヤ層44は正孔注入層43と発光層45との間に設けられる。インターレイヤ層44は、正孔注入層43の正孔注入性を抑制して発光層45内において電子と正孔とを再結合させやすくする機能を有し、発光層45の発光効率を高める。
【0041】
また、対向電極(カソード電極)46は、ボトムエミッション型の場合、発光層45側に設けられ、導電材料、例えばLi、Mg、Ca、Ba等の仕事関数の低い材料からなる電子注入性の下層と、Al等の光反射性導電金属からなる上層を有する積層構造である。本実施形態では、対向電極46は複数の画素30に跨って形成される単一の電極層から構成され、例えば接地電位である基準電圧Vssが印加されている。なお、有機EL素子OELをトップエミッション型とする場合、対向電極46は、発光層45側に設けられ、10nm程度の膜厚の極薄い例えばLi、Mg、Ca、Ba等の仕事関数の低い材料からなる光透過性低仕事関数層と、100nm〜200nm程度の膜厚のITO等の光反射性導電層を有する透明積層構造とする。
【0042】
次に、本実施形態に係る発光装置の製造方法を、図9A〜図9E、図10A及び図10Bを用いて説明する。また、図10A及び図10Bは、ノズルプリンティング方式を説明するためのノズルプリンティング装置の概略構成を示す図である。ノズルプリンティング装置は、図10A及び図10Bに示すように、概略、有機化合物含有液からなる溶液52を連続して吐出するノズルを有するノズルヘッド50を備え、ノズルヘッド50を基板31上の塗布領域に沿って移動させることによって、基板31上の塗布領域に溶液52を塗布するものである。また、図10Aはノズルヘッド50を1つだけ有する場合の構成を示し、図10Bはノズルヘッド50を2つ有する場合の構成を示す。なお、図10A及び図10Bにおける基板31は、図7の上下方向が図10の左右方向となる向きに配置されている。ここで、図10Bにおいてはノズルプリンティング装置がノズルヘッド50を2つ有する場合について示したが、これに限らず、ノズルヘッド50を3つ以上の複数個有するものであってもよい。また、選択トランジスタTr11は駆動トランジスタTr12と同一工程によって形成されるので、選択トランジスタTr11の形成の説明を一部省略する。
【0043】
図9Aに示すように、まず、ガラス基板等からなる基板31を用意する。次に、この基板31上に、スパッタ法、真空蒸着法等により例えば、Mo膜、Cr膜、Al膜、Cr/Al積層膜、AlTi合金膜又はAlNdTi合金膜、MoNb合金膜等からなるゲート導電膜を形成し、これを図9Aに示すように駆動トランジスタTr12のゲート電極Tr12gの形状にパターニングする。この際、図示はしていないが、選択トランジスタTr11のゲート電極Tr11g、及びデータラインLdも形成する。続いて、図9Bに示すように、CVD(Chemical Vapor Deposition)法等によりゲート電極Tr12g及びデータラインLd上に絶縁膜32を形成する。
【0044】
次に、絶縁膜32上に、CVD法等により、アモルファスシリコン等からなる半導体層を形成する。次に、半導体層上に、CVD法等により、例えばSiN等からなる絶縁膜を形成する。続いて、絶縁膜をフォトリソグラフィ等によりパターニングし、ストッパ膜115を形成する。更に、半導体層及びストッパ膜115上に、CVD法等により、n型不純物が含まれたアモルファスシリコン等からなる膜を形成し、この膜と半導体層とをフォトリソグラフィ等によりパターニングすることで、図9Bに示すように、半導体層114とオーミックコンタクト層116,117とを形成する。
【0045】
次に、スパッタ法、真空蒸着法等により絶縁膜32上に、ITO等の透明導電膜、或いは光反射性導電膜及びITO等の透明導電膜を被膜後、この膜をフォトリソグラフィによってパターニングして画素電極42を形成する。
【0046】
続いて、絶縁膜32に貫通孔であるコンタクトホール61〜64を形成してから、例えば、Mo膜、Cr膜、Al膜、Cr/Al積層膜、AlTi合金膜又はAlNdTi合金膜、MoNb合金膜等からなるソース−ドレイン導電膜をスパッタ法、真空蒸着法等により被膜する。この膜をフォトリソグラフィによってパターニングして図9Bに示すようにドレイン電極Tr12d及びソース電極Tr12sを形成する。これと同時に、アノードラインLaを形成する。このとき、駆動トランジスタTr12のソース電極Tr12sはそれぞれ画素電極42の一部と重なるように形成される。
【0047】
続いて、図9Cに示すように、駆動トランジスタTr12等を覆うようにシリコン窒化膜からなる層間絶縁膜47をCVD法等により形成後、フォトリソグラフィにより、開口部47aを形成する。次に、感光性ポリイミドを、層間絶縁膜47を覆うように塗布し、隔壁48の形状に対応するマスクを介して露光、現像することによってパターニングし、図9Cに示すように開口部48aを有する隔壁48を形成する。
【0048】
次に、図10Aに示すように、ノズルヘッド50のノズルから溶液52を連続して流すノズルプリンティング装置を用いて、溶液52として発光ポリマー材料(R,G,B)を含有する有機化合物含有液を、隔壁48の間に設けられ、開口部47aで囲まれた画素電極42上に塗布する。塗布は、隔壁48の形成方向(図7に示す上下方向)に沿って塗布する。なお、ノズルプリンティング装置を用いた塗布においては、図10Aに示すように、有機化合物含有液はノズルヘッド50のノズルから吐出され、基板31上に塗布される。ノズルヘッド50は隔壁48間に有機化合物含有液を吐出しながら、隔壁48が形成された方向(図10Aでは左右方向)に沿って移動する。なお、複数各列への塗布を連続して行う場合は、図10Aに示すように、ノズルヘッド50が基板31外にある間に、基板31を隔壁48が形成された方向と直交する方向(図10Aでは上下方向)に、所定の距離だけ移動させる。これを繰り返すことで、溶液52が所定の列に塗布される。または、基板31を移動させる代わりに、ノズルヘッド50を隔壁48が形成された方向と直交する方向に所定の距離だけ移動させてもよい。なお、ノズルヘッド50が基板31外にある間、溶液52は吐出させたままであってもよいし、吐出を一旦停止させてもよい。ここで、図10Aに示すように、ノズルプリンティング装置がノズルヘッド50を1つだけ有する場合には、1列毎にノズルヘッド50の移動方向を交互に変えて塗布する。また、図10Bに示すように、ノズルプリンティング装置がノズルヘッド50を2つ有する場合には、2列毎にノズルヘッド50の移動方向を交互に変えて塗布する。
【0049】
本実施形態では、図9Dに示すように、まずノズルプリンティング装置を用い、緑色の発光層45G1、45G2を形成する。次に、図9Eに示すように、赤色の発光層45R及び青色の発光層45Bを、ノズルプリンティング装置を用いて形成する。
【0050】
このように、1列おきに発光層を形成すると、赤色の発光層45Rを形成する際には、赤色の発光層45Rに隣接する隔壁48上には、予め緑色の発光層45G1、45G2が隔壁48上に形成されている。従って、赤色の発光層45Rは、いずれの発光層に対しても同じ程度なじみやすいため、乾燥速度が異なることが抑制される。従って、赤色の発光層45Rは左右で膜厚が均一なものとなる。青色の発光層45Bについても同様である。また、予め1列おきに形成される緑色の発光層45G1,45G2については、隔壁48上に発光層が形成されていない状態で形成されるため、左右での乾燥速度の不均衡は生じない。従って、緑色の発光層45G1,45G2についても、左右が対称な膜厚とすることができる。
【0051】
なお、発光機能層として正孔注入層43を形成する場合は、発光層45を形成する前に、正孔注入材料を含む有機化合物含有液を溶液52として、溶液52を連続して吐出する図10Aに示すノズルプリンティング装置あるいは個々に独立した複数の液滴として間欠的に吐出するインクジェット装置によって、開口部47aで囲まれた画素電極42上に選択的に塗布する。続いて、基板31を大気雰囲気下で加熱し有機化合物含有液の溶媒を揮発させて、正孔注入層43を形成する。有機化合物含有液は加熱雰囲気で塗布されてもよい。
【0052】
また、発光機能層として更にインターレイヤ層44を形成する場合は、インターレイヤ層44となる材料を含有する有機化合物含有液を溶液52として、溶液52をノズルから連続して吐出する図10Aに示すノズルプリンティング装置またはインクジェット装置を用いて正孔注入層43上に塗布する。窒素雰囲気中の加熱乾燥、或いは真空中での加熱乾燥を行い、残留溶媒の除去を行ってインターレイヤ層44を形成する。有機化合物含有液は加熱雰囲気で塗布されてもよい。
【0053】
続いて、発光層45まで形成した基板31に、真空蒸着やスパッタリングで、Li,Mg,Ca,Ba等の仕事関数の低い材料からなる層と、Al等の光反射性導電層からなる2層構造の対向電極46を形成する。
【0054】
次に、複数の画素30が形成された発光領域の外側において、基板31上に紫外線硬化樹脂、又は熱硬化樹脂からなる封止樹脂を塗布し、図示しない封止基板と基板31と貼り合わせる。次に紫外線もしくは熱によって封止樹脂を硬化させて、基板31と封止基板とを接合する。
以上から、発光装置10が製造される。
【0055】
このように、本実施形態の発光装置の製造方法では、一つの発光色の画素を2つに分割し、偶数個からなる画素の組とした上で、一列おきに発光層を形成する。これにより、後に形成される発光層の乾燥速度を比較的均一とすることができるため、各色の発光層45を良好な均一性を備える膜とすることができる。
【0056】
ここで、赤色の発光層45Rを全列塗布した上で、緑色の発光層45Gを全列塗布し、青色の発光層45Bを全列に塗布することによって各色の発光層を形成する構成を比較例として、これと比較したときの本実施形態における効果を説明する。
【0057】
図11は、本実施形態における発光装置の断面構造及び各発光層の膜厚分布を示す図であり、図12は、比較例における発光装置の断面構造及び各発光層の膜厚分布を示す図である。
【0058】
上記比較例の場合、図12に示すように、後から塗布する発光層45G、発光層45Bの膜厚が均一となりにくい。これは、隔壁上より発光層上の方が発光層形成用の有機化合物含有液がなじみやすいことに起因している。すなわち、赤色の発光層を全列塗布した後に緑色の発光層を塗布すると、緑色の発光層形成用の有機化合物含有液が赤色の発光層側へと引っ張られやすくなる。これにより、G色の発光層中、特に図12に示す左右方向で有機化合物含有液の乾燥速度が異なり、図12に模式的に示すように、赤色側の膜厚が厚くなり、左右が非対称な膜厚となる。青色の発光層についても同様であり、先に形成された緑色の発光層側の膜厚が厚くなり、左右の膜厚が非対称となる。
【0059】
これに対し、本実施形態のように緑の画素を二つに分け、4つの画素を1組とし、更に緑の発光層45G1,45G2を先に形成した上で、赤色の発光層45R、青色の発光層45Bを形成すると、乾燥速度をより均一とすることができる。例えば、緑色の発光層45G1,45G2を予め形成した上で、赤色の発光層45Rの有機化合物含有液を塗布する。赤色の有機化合物含有液は、緑色の発光層45G1,45G2との上に塗布されても、いずれの発光層に対しても同じ程度なじみやすいため、図11に示す左右方向で乾燥速度が異なることはない。従って、赤色の発光層45Rは図11に示すように、左右で膜厚が均一なものとなる。青色の発光層45Bについても同様である。また、予め1列おきに形成される緑色の発光層45G1,45G2については、隔壁上に発光層が形成されていない状態で形成されるため、左右での乾燥速度の不均衡は生じない。従って、緑色の発光層45G1,45G2についても、左右の膜厚を対称にすることができる。
【0060】
なお、上述した実施形態では、緑色の発光層45G1,45G2を形成した上で、赤色の発光層45R、青色の発光層45Bを形成する構成を例に挙げて説明しているが、これに限られない。要するに1列おきに発光層を塗布すればよいため、例えば、赤色の発光層45R、青色の発光層45Bを形成した後で、緑色の発光層45G1,45G2を形成するようにしてもよい。
【0061】
また、上述した実施形態では、緑色の画素を2つに分割する構成を例に挙げて説明しているが、これに限られない。例えば、赤色の画素、青色の画素のいずれかを2つに分割するようにしてもよい。
【0062】
(第2実施形態)
第2実施形態に係る発光装置20について、図を用いて説明する。本実施形態の発光装置が、上述した第1実施形態に係る発光装置10と異なるのは、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)に加えて白色(W)の画素30Wを更に備える点にある。第1実施形態と共通する部分については、詳細な説明を省略する。
【0063】
図13は第2実施形態に係る発光装置20の構成例を示す平面図である。図14は、図13に示す発光装置20の断面構成を示す図である。
【0064】
発光装置20では、基板31上に、図13に示すようにそれぞれ赤色(R)、青色(B)、緑色(G)、白色(W)の4色に発光する4つの画素30R、30B、30G、30Wを一組として、この組が行方向(図13の左右方向)に繰り返し複数個、例えばx個配列されている。列方向(図13の上下方向)には、同一の発光色の発光素子を有する画素が複数個、例えばy個配列されている。換言すれば、画素自体は行方向に4x個配列されており、RGBWの各色を発光する画素はマトリクス状に、4x×y個配列される。
【0065】
次に、図13に示す発光装置20の断面構成を図14に示す。図14では、説明の便宜のため、基板31、画素電極42、隔壁48、それぞれ赤色(R)、緑色(G)、青色(B)、白色(W)の発光色を有する4色の発光層45(45R,45G,45B,45W)のみを図示し、その他の構成要素については図示を省略している。本実施形態では、4色の画素30R,30G,30B,30Wを備え、各発光層45R,45G,45B,45Wは、それぞれ画素30R,30G,30B,30Wの各々の発光素子を形成するものである。また、特に本実施の形態では、赤色の発光層45R、青色の発光層45Bを形成した上で、緑色の発光層45G、白色の発光層45Wを形成する。このため、緑色の発光層45Gの、赤色の発光層45Rと青色の発光層45Bとに接する部分は、それぞれ赤色の発光層45Rと青色の発光層45Bとの隔壁48に乗り上げた部分の一部を覆うように、その上に乗り上げて形成される。白色の発光層45Wについても同様であり、青色の発光層45Bと赤色の発光層45Rとに接する部分は、それぞれ青色の発光層45Bと赤色の発光層45Rとの隔壁48に乗り上げた部分の一部を覆うように、その上に乗り上げて形成される。
【0066】
本実施形態でも、1列おきに発光層を形成するため、緑色の発光層45Gを形成する際には、緑色の発光層45Gに隣接する隔壁48上には、予め赤色の発光層45Rと、青色の発光層45Bが隔壁48上に形成されている。緑色の発光層45Gは、いずれの発光層に対しても同じ程度なじみやすいため、乾燥速度が異なることが抑制される。従って、緑色の発光層45Gは左右で膜厚が均一なものとなる。白色の発光層45Wについても同様である。また、予め1列おきに形成される赤色の発光層45R、青色の発光層45Bについては、隔壁48上に発光層が形成されていない状態で形成されるため、左右での乾燥速度の不均衡は生じない。従って、赤色の発光層45R、青色の発光層45Bについても、左右が対称な膜厚とすることができる。
【0067】
なお、本実施形態では、赤色の発光層45R、青色の発光層45Bを先に形成する構成を例に挙げて説明しているが、緑色の発光層45G、白色の発光層45Wを先に形成し、後から赤色の発光層45R、青色の発光層45Bを形成してもよい。なお、1列おきに発光層を形成すれば、本実施形態の効果を得られるため、発光層の色の順番や、発光層の塗布の順番は適宜変更可能である。
【0068】
また、発光素子の個数を偶数個とすればよく、例えば、第1実施形態と第2実施形態とを組み合わせ、1色を2分割にした上で、複数色を備える構成、例えば第2実施形態のように偶数個の色、具体的に4色としてもよい。
【0069】
本発明は上述した実施形態に限られず様々な変形及び応用が可能である。
また、上述した実施形態では、発光機能層が発光層のみを備える構成を例に挙げているが、これに限られず、図15に示すように、正孔注入層43、インターレイヤ層44等を更に備えてもよい。正孔注入層43、インターレイヤ層44は、複数色の発光層を備える場合であっても、共通した材料から形成することができる。従って、これらの正孔注入層43、インターレイヤ層44を形成する際は、1列おきにこれらの材料を含有する有機化合物含有液を塗布すると、これらの膜厚を比較的均一とすることができ好ましい。1列おきに塗布した場合、図15に示すように、正孔注入層43の端は、隣接する正孔注入層43の端を覆うように形成される。インターレイヤ層44についても同様に、隣接するインターレイヤ層44の端を覆うように形成される。
【0070】
なお、正孔注入層43を形成する場合、例えば導電性ポリマーであるポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)とドーパントであるポリスチレンスルホン酸(PSS)を水系溶媒に分散させた分散液であるPEDOT/PSS水溶液を用いる。
【0071】
上述した実施形態では、画素回路DSは2つのトランジスタを備える構成を例に挙げているが、3つ以上のトランジスタを備えるものであってもよい。
【0072】
また、上述した実施形態ではボトムエミッション型の有機EL素子を中心に説明したが、これに限られず有機EL素子OELにより発生した光を、対向電極46を介して外部に出射するトップエミッション型の有機EL素子に用いることも可能である。この場合、画素電極42は透光性を有しない材料から形成してもよく、対向電極46は、10nm程度の膜厚の極薄い例えばLi、Mg、Ca、Ba等の仕事関数の低い材料からなる光透過性低仕事関数層と、100nm〜200nm程度の膜厚のITO等の光反射性導電層を有する透明積層構造とする。
【0073】
上述した各実施形態では、発光装置を表示装置として利用する構成を例に挙げて説明しているが、プリンタの感光ドラムに光を照射するプリンタヘッド等の露光装置としても利用することができる。
【符号の説明】
【0074】
10,20・・・発光装置、30,30R,30G,30G1,30G2,30B,30W・・・画素、31・・・基板、32・・・絶縁膜、42・・・画素電極(アノード電極)、43・・・正孔注入層、44・・・インターレイヤ層、45,45R,45G1,45G2,45B,45W・・・発光層、46・・・対向電極(カソード電極)、47・・・層間絶縁膜、48・・・隔壁、50・・・ノズルヘッド、52・・・溶液、114・・・半導体層、115・・・ストッパ膜、116,117・・・オーミックコンタクト層、Tr11d,Tr12d・・・ドレイン電極、Tr11g,Tr12g・・・ゲート電極、Tr11s,Tr12s・・・ソース電極、La・・・アノードライン、Ls・・・走査ライン、Ld・・・データライン、Tr11・・・選択トランジスタ、Tr12・・・駆動トランジスタ
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機EL(electroluminescence)素子を用いた発光装置、発光装置の製造方法及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶表示装置(LCD)に続く次世代の表示デバイスとして、有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、「有機EL素子」と略記する)等の自発光素子を2次元配列した発光素子型の表示パネルを備えた発光装置の研究開発が行われている。
【0003】
有機EL素子は、アノード電極と、カソード電極と、これらの一対の電極間に形成され、例えば発光層、正孔注入層、等を有する有機EL層(発光機能層)と、を備える。有機EL素子では、発光層において正孔と電子とが再結合することによって発生するエネルギーによって発光する。
【0004】
このような有機EL素子の発光層、正孔注入層等は、例えば、特許文献1に開示されているように、隔壁によって仕切られた空間に、溶液を塗布し、溶媒を乾燥させることによって形成される。溶液の塗布は、例えばノズルプリンティング方式、インクジェットプリント方式等によって行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−123083号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、有機EL素子では、有機EL層の膜厚が不均一であると、発光が不均一となるという問題がある。このため、発光機能層の膜厚を良好に制御し、良好な均一性を有する膜とすることが求められている。
【0007】
本発明は上述した実情に鑑みてなされたものであって、膜厚が良好な均一性を有する発光機能層を備える発光装置、発光装置の製造方法及び電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係る発光装置は、
複数の行及び複数の列に沿って配列された複数の発光素子を備え、
前記各発光素子は、所定の発光色で発光する発光層を含む発光機能層を有し、
行方向に一定の順序で配列された偶数個の前記発光素子を有する複数の組が、行方向に一定の順序で繰り返し配列されており、
行方向に隣接して配列された前記各発光素子間に設けられた間隙領域を有し、
前記各発光素子の前記発光機能層は、前記発光層の形成領域と前記間隙領域の一部とに跨って形成されており、
前記発光機能層が、行方向に隣接して配列された前記各発光素子の前記間隙領域の一部に形成された前記発光機能層を覆うように形成された前記発光素子を少なくとも一つ備えることを特徴とする。
【0009】
前記偶数個の発光素子を有する組は、
第1の発光色の第1の発光層を有する第1の発光素子と、
前記第1の発光色と異なる第2の発光色の第2の発光層を有する第2の発光素子と、
前記第1及び前記第2の発光色と異なる第3の発光色の第3の発光層を有する第3の発光素子と、を有し、
前記第1の発光素子、前記第2の発光素子、前記第3の発光素子のうち、いずれか1つの特定の発光素子を2個含んでいてもよい。
【0010】
前記特定の発光素子は、当該特定の発光素子の発光色と異なる発光色の1つの前記発光素子を挟んで、行方向に配列されていてもよい。
【0011】
前記偶数個の発光素子を有する組は、
第1の発光色の第1の発光層を有する第1の発光素子と、
前記第1の発光色と異なる第2の発光色の第2の発光層を有する第2の発光素子と、
前記第1及び前記第2の発光色と異なる第3の発光色の第3の発光層を有する第3の発光素子と、
前記第1乃至前記第3の発光色と異なる第4の発光色の第4の発光層を有する第4の発光素子と、を備えてもよい。
【0012】
上記目的を達成するため、本発明の第2の観点に係る発光装置の製造方法は、
複数の行及び複数の列に沿って所定の発光色で発光する複数の発光素子が配列された発光装置の製造方法であって、
行方向に一定の順序で配列された偶数個の前記発光素子を有する複数の組を、行方向に一定の順序で繰り返し配列して形成する発光素子形成工程を備え、
前記発光素子形成工程は、
1列おきに配列される前記各発光素子の前記発光層の形成領域に、前記溶液を列方向に塗布して、前記発光機能層を1列おきに形成する第1の工程と、
前記第1の工程の後、前記第1の工程で前記溶液が塗布されなかった列に配列される前記各発光素子の前記発光層の形成領域に、前記溶液を列方向に塗布して、前記発光機能層を形成する第2の工程と、を含むことを特徴とする。
【0013】
前記発光装置は、行方向に隣接して配列された前記各発光素子間に設けられた間隙領域を有し、
前記第1の工程及び前記第2の工程で形成される前記発光機能層は、前記間隙領域にも形成され、
前記第2の工程で前記間隙領域に形成される前記発光機能層は、行方向に隣接する前記各発光素子との間の前記間隙領域に前記第1の工程で形成された前記発光機能層を覆うように形成されてもよい。
【0014】
前記発光素子形成工程は、第1の発光色の第1の発光層を有する第1の発光素子と、前記第1の発光色と異なる第2の発光色の第2の発光層を有する第2の発光素子と、前記第1及び前記第2の発光色と異なる第3の発光色の第3の発光層を有する第3の発光素子と、を有する前記組を形成する際、前記第1の発光素子、前記第2の発光素子、前記第3の発光素子のうち、いずれか1つの特定の発光素子を2個形成してもよい。
【0015】
前記発光素子形成工程は、前記特定の発光素子を、当該特定の発光素子の発光色と異なる発光色の1つの前記発光素子を挟んで、行方向に配列して形成してもよい。
【0016】
前記発光素子形成工程は、前記一組の発光素子として、第1の発光色の第1の発光層を有する第1の発光素子と、前記第1の発光色と異なる第2の発光色の第2の発光層を有する第2の発光素子と、前記第1及び前記第2の発光色と異なる第3の発光色の第3の発光層を有する第3の発光素子と、前記第1乃至前記第3の発光色と異なる第4の発光色の第4の発光層を有する第4の発光素子と、を形成してもよい。
【0017】
上記目的を達成するため、本発明の第3の観点に係る電子機器は、
上記第1の観点に係る発光装置を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、偶数個からなる画素組とした上で、一列おきに発光機能層を形成することにより膜厚が良好な均一性を有する発光機能層を備える発光装置、発光装置の製造方法及び電子機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】第1実施形態に係る発光装置の構成例を示す平面図である。
【図2】(a)及び(b)は、発光装置が用いられる電子機器を示す図である。
【図3】発光装置が用いられる電子機器を示す図である。
【図4】発光装置が用いられる電子機器を示す図である。
【図5】図1に示す発光装置の断面構成を示す図である。
【図6】画素の駆動回路の一例の等価回路図である。
【図7】画素の平面図である。
【図8】図7に示すVIII−VIII線断面図である。
【図9A】発光装置の製造方法を示す図である。
【図9B】発光装置の製造方法を示す図である。
【図9C】発光装置の製造方法を示す図である。
【図9D】発光装置の製造方法を示す図である。
【図9E】発光装置の製造方法を示す図である。
【図10A】ノズルプリンティング方式を説明するためのノズルプリンティング装置の概略構成を示す図である。
【図10B】ノズルプリンティング方式を説明するためのノズルプリンティング装置の概略構成を示す図である。
【図11】第1実施形態の各発光層の膜厚を示す図である。
【図12】比較例の各発光層の膜厚を示す図である。
【図13】第2実施形態に係る発光装置の構成例を示す図である。
【図14】図13に示す発光装置の断面構成を示す図である。
【図15】発光装置の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施形態に係る発光装置、発光装置の製造方法及び電子機器について図を用いて説明する。本実施形態では、有機EL(electroluminescence)素子により発生した光を有機EL素子が形成された基板を介して外部に出射するボトムエミッション型の有機EL素子を用いたアクティブ駆動方式の発光装置を例に挙げて説明する。また、本実施形態の発光装置は表示装置としても用いられる。
【0021】
(第1実施形態)
図1は第1実施形態に係る発光装置の構成例を示す平面図である。図2乃至図4は、発光装置が用いられる電子機器を示す図である。図5は、図1に示す発光装置10の断面構成を示す図である。また、図6は画素30の駆動回路の一例の等価回路図である。図7は、画素30Gの平面図であり、図8は図7に示すVIII−VIII線断面図である。
【0022】
発光装置10では、基板31上に、図1に示すようにそれぞれ赤色(R)、青色(B)、緑色(G)、の3色の何れかの発光色で発光する発光素子を有する4つの画素30(30G1、30R、30B、30G2)を一組として、この組が行方向(図1の左右方向)に繰り返し複数個、例えばm個配列されている。列方向(図1の上下方向)には、同一の発光色の発光素子を有する画素が複数個、例えばn個配列されている。換言すれば、画素自体は行方向に4m個配列されており、RGBの各色を発光する画素はマトリクス状に、4m×n個配列される。また、本実施形態では、画素30G1と画素30G2との2つの画素は同じ緑色の発光色の光を発光する。このため、本実施形態では、赤色の画素30R、青色の画素30B、緑色の画素30G1及び画素30G2とで、所望の色を表現する。
【0023】
なお、発光装置10では、偶数個の発光素子を一組として、画像を構成する要素として固定して用いる構成に限らず、1つの画素を複数の論理画素間で共有する構成を採ることも可能である。例えば、1つの画素は、6種類の論理画素を構成するのに用いられる。具体的には、1つの画素は、6種類の論理画素の中心の1つの論理画素として用いられ、当該画素の周辺にある画素は上記中心となる論理画素を囲む5種類の論理画素の一部として用いられ、このような処理を各画素に対して行う。この結果、1つの画像を形成するために1つの画素が複数回用いられることになる。このように1つの発光素子を複数回用いることにより、一組の画素を、画像を構成する要素として固定して発光させる構成以上に、解像度を高めることができる。
【0024】
基板31上には、行方向に配列され、図6に示す複数の画素回路DSに接続されたアノードラインLaと、行方向に配列された複数の画素回路DSにそれぞれ接続された複数のデータラインLdと、行方向に配列された複数の画素回路DSのトランジスタTr11を選択する走査ラインLsと、が形成されている。
【0025】
このような構成を採る発光装置10は、デジタルカメラ、パーソナルコンピュータ、携帯電話等の電子機器の表示部(ディスプレイ)として用いられる。具体的には、カメラ200は、例えば図2(a)及び(b)に示すように、レンズ部201と、操作部202と、表示部203と、ファインダー204と、を備える。この表示部203として、発光装置10が用いられる。同様に、パーソナルコンピュータ210は図3に示すように、表示部211と操作部212とを備え、発光装置10は、表示部211として用いられる。更に、携帯電話220は表示部221と操作部222と受話部223と送話部224とを備え、発光装置10は表示部221として用いられる。
【0026】
次に、図1に示す発光装置10の断面構成を図5に示す。図5では、説明の便宜のため、基板31、画素電極42、隔壁48、それぞれ緑色(G)、赤色(R)、青色(B)、緑色(G)の発光色を有する3色の発光層45G1,45R,45B,45G2(以下、発光層45R,45G,45Bを総称して発光層45とも記す)のみを図示し、その他の構成要素については図示を省略している。各発光層45G1,45R,45B,45G2は、それぞれ画素30G1,30R,30B,30G2の各々の発光素子を形成するものである。詳細に後述するように、本実施形態では、緑色の画素を、画素30G1と、画素30G2との、2つに分割する。画素30G1,G2の発光領域は、いずれも、赤色の画素30R及び青色の画素30Bの発光領域より狭い面積である。また、緑色の発光層45G1,45G2を形成した上で、赤色の発光層45R、青色の発光層45Bを形成する。このため、赤色の発光層45Rの、緑色の発光層45G1に接する部分と、45G2とに接する部分とは、それぞれ緑色の発光層45G1と45G2との隔壁48に乗り上げた部分の一部を覆うように、その上に乗り上げて形成される。青色の発光層45Bについても同様であり、青色の発光層45Bの緑色の発光層45G1と45G2とに接する部分は、それぞれ緑色の発光層45G1と45G2との隔壁48に乗り上げた部分の一部を覆うように、その上に乗り上げて形成される。
【0027】
次に、発光装置10を構成する画素30について、図6乃至8を用いて説明する。なお、本実施形態では、画素30G1、画素30G2と、緑の画素を2つに分割するため、画素30G1,G2の発光領域は、いずれも、赤の画素30R及び青の画素30Bの発光領域より狭い面積である点を除けば、画素30R,30B,30G1,30G2の構成はいずれも同じであるため、以下、赤の画素30Rを例に挙げて説明する。
【0028】
画素30は画素回路DSを有して構成されている。画素回路DSは、図6に示すように、選択トランジスタTr11、駆動トランジスタTr12、キャパシタCs、有機EL素子(発光素子)OEL、を備える。
【0029】
図6に示すように選択トランジスタTr11は、ゲート端子が走査ラインLsに、ドレイン端子がデータラインLdに、ソース端子が接点N11にそれぞれ接続されている。また、駆動トランジスタTr12は、ゲート端子が接点N11に接続されており、ドレイン端子がアノードラインLaに、ソース端子が接点N12にそれぞれ接続されている。キャパシタCsは、駆動トランジスタTr12のゲート端子及びソース端子に接続されている。なお、キャパシタCsは、駆動トランジスタTr12のゲート−ソース間に付加的に設けられた補助容量、もしくは駆動トランジスタTr12のゲート−ソース間の寄生容量と補助容量からなる容量成分である。また、有機EL素子OELは、アノード端子(画素電極42)が接点N12に接続され、カソード端子(対向電極46)には基準電圧Vssが印加されている。
【0030】
走査ラインLsは、画素基板の周縁部に配置された走査ドライバ(図示せず)に接続されている。走査ラインLsには、所定のタイミングで行方向に配列された複数の画素30を選択状態に設定するための選択電圧信号(走査信号)が印加される。また、データラインLdは、画素基板の周縁部に配置されたデータドライバ(図示せず)に接続されている。データラインLdには、上記画素30の選択状態に同期するタイミングで発光データに応じたデータ電圧(階調信号)が印加される。行方向に配列された複数の駆動トランジスタTr12が、当該駆動トランジスタTr12に接続された有機EL素子OELの、例えばアノード端子(画素電極42)に発光データに応じた駆動電流を流す状態に設定するように、アノードラインLa(供給電圧ライン)は、所定の高電位電源に直接又は間接的に接続されている。つまり、アノードラインLaは、有機EL素子OELの対向電極46に印加される基準電圧Vssより十分電位の高い所定の高電位(供給電圧Vdd)が印加される。また、対向電極46は、例えば、所定の低電位電源に直接又は間接的に接続され、基板31上にアレイ状に配列された全ての画素30に対して単一の電極層により形成されており、所定の低電圧(基準電圧Vss、例えば接地電位GND)が共通に印加されるように設定されている。
【0031】
また、アノードラインLaと走査ラインLsは、各トランジスタTr11、Tr12のソース電極、ドレイン電極を形成するソース−ドレイン導電層を用いてこれらソース電極、ドレイン電極とともに形成される。データラインLdは、各トランジスタTr11、Tr12のゲート電極となるゲート導電層を用いてゲート電極とともに形成される。データラインLdとドレイン電極Tr11dとの間の絶縁膜32には、図7に示すように、コンタクトホール61が形成され、データラインLdとドレイン電極Tr11dとはコンタクトホール61を介して導通している。走査ラインLsとゲート電極Tr11gの両端との間の絶縁膜32には、それぞれコンタクトホール62,63が形成されている。走査ラインLsとゲート電極Tr11gとはコンタクトホール62,63を介して導通している。ソース電極Tr11sとゲート電極Tr12gとの間の絶縁膜32には、コンタクトホール64が形成されている。ソース電極Tr11sとゲート電極Tr12gとはコンタクトホール64を介して導通している。なお、絶縁膜32は、絶縁性材料、例えばシリコン酸化膜、シリコン窒化膜等から形成され、データラインLd、ゲート電極Tr11g及びゲート電極Tr12gを覆うように基板31上に形成される。
【0032】
次に、有機EL素子OELは、図8に示すように、画素電極42と、発光層45と、対向電極46と、を備える。なお、図8では、説明の便宜上、発光に寄与する発光機能層として発光層45のみを備える構成を例に挙げているが、これに限られず、後述する図15に示すように、発光機能層は、正孔注入層43と発光層45とを備えていてもよく、更に、正孔注入層43とインターレイヤ層44と発光層45とを備えていてもよい。
【0033】
各画素の基板31上には、ゲート導電層をパターニングしてなる選択トランジスタTr11、駆動トランジスタTr12のゲート電極Tr11g,Tr12gが形成されている。各画素に隣接した基板31上には、ゲート導電層をパターニングしてなり、列方向に沿って延びるデータラインLdが形成されている。
【0034】
画素電極(アノード電極)42は、透光性を備える導電材料、例えばITO(Indium Tin Oxide)、ZnO等から構成される。各画素電極42は隣接する他の画素30の画素電極42と層間絶縁膜47によって絶縁されている。
【0035】
層間絶縁膜47は、絶縁性材料、例えばシリコン窒化膜から形成され、画素電極42間に形成され、トランジスタTr11,Tr12や走査ラインLs、アノードラインLaを絶縁保護する。層間絶縁膜47には略方形の開口部47aが形成されており、この開口部47aによって画素30の発光領域が画される。更に層間絶縁膜47上には隔壁48が形成されている。隔壁48には列方向(図7の上下方向)に延びる溝状の開口部48aが複数の画素30にわたって形成されている。ここで、層間絶縁膜47及びその上に形成される隔壁48は、行方向に隣接して配列される各画素30の発光領域間の間隙領域を形成している。
【0036】
隔壁48は、絶縁材料、例えばポリイミド等の感光性樹脂を硬化してなり、層間絶縁膜47上に形成される。隔壁48は、図7に示すように列方向に沿った複数の画素の画素電極42をまとめて開口するようにストライプ状に形成されている。なお、隔壁48の平面形状は、これに限られず各画素電極42毎に開口部をもった格子状であってもよい。また、図5に示すように、隔壁48の上面は、発光層45R,45G,45Bの中央部の平坦部の上面より高くなるように形成される。
【0037】
なお、隔壁48の表面、層間絶縁膜47の表面に撥液処理を施してもよい。ここで撥液とは、水系の溶媒、有機系溶媒のいずれをも弾く性質を示す。
【0038】
発光層45は、画素電極(アノード電極)42上に形成されている。発光層45は、アノード電極42とカソード電極46との間に電圧を印加することにより所定の発光色の光を発生する機能を有する。発光層45は、蛍光あるいは燐光を発光することが可能な公知の高分子発光材料、例えばポリパラフェニレンビニレン系やポリフルオレン系等の共役二重結合ポリマーを含む発光材料から構成される。また、これらの発光材料は、適宜水系溶媒あるいはテトラリン、テトラメチルベンゼン、メシチレン、キシレン等の有機溶媒に溶解(又は分散)した溶液(分散液)をノズルプリンティング方式やインクジェットプリント方式等により塗布し、溶媒を揮発させることによって形成する。
【0039】
本実施形態では、赤色の画素30Rに隣接する緑色の画素の発光層45G1,45G2を形成した上で、赤色の発光層45Rを形成する。このため、赤色の発光層45Rの、緑色の発光層45G1と45G2とに接する部分は、それぞれ緑色の発光層45G1と45G2との隔壁48に乗り上げた部分の一部を覆うように、その上に乗り上げて形成される。なお、青色の発光層45Bについても、赤色の発光層45Rと同様であり、緑色の発光層45G1と45G2とに接する部分は、それぞれ緑色の発光層45G1と45G2との隔壁48に乗り上げた部分の一部を覆うように、その上に乗り上げて形成される。
【0040】
ここで、発光機能層として、正孔注入層が設けられる場合、図15に示すように、正孔注入層43は、画素電極42と発光層45との間に設けられる。正孔注入層43は発光層45に正孔を供給する機能を有する。正孔注入層43は正孔(ホール)注入・輸送が可能な有機高分子系の材料、例えば導電性ポリマーであるポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)とドーパントであるポリスチレンスルホン酸(PSS)から構成される。
更に、発光機能層としてインターレイヤ層が設けられる場合、図15に示すように、インターレイヤ層44は正孔注入層43と発光層45との間に設けられる。インターレイヤ層44は、正孔注入層43の正孔注入性を抑制して発光層45内において電子と正孔とを再結合させやすくする機能を有し、発光層45の発光効率を高める。
【0041】
また、対向電極(カソード電極)46は、ボトムエミッション型の場合、発光層45側に設けられ、導電材料、例えばLi、Mg、Ca、Ba等の仕事関数の低い材料からなる電子注入性の下層と、Al等の光反射性導電金属からなる上層を有する積層構造である。本実施形態では、対向電極46は複数の画素30に跨って形成される単一の電極層から構成され、例えば接地電位である基準電圧Vssが印加されている。なお、有機EL素子OELをトップエミッション型とする場合、対向電極46は、発光層45側に設けられ、10nm程度の膜厚の極薄い例えばLi、Mg、Ca、Ba等の仕事関数の低い材料からなる光透過性低仕事関数層と、100nm〜200nm程度の膜厚のITO等の光反射性導電層を有する透明積層構造とする。
【0042】
次に、本実施形態に係る発光装置の製造方法を、図9A〜図9E、図10A及び図10Bを用いて説明する。また、図10A及び図10Bは、ノズルプリンティング方式を説明するためのノズルプリンティング装置の概略構成を示す図である。ノズルプリンティング装置は、図10A及び図10Bに示すように、概略、有機化合物含有液からなる溶液52を連続して吐出するノズルを有するノズルヘッド50を備え、ノズルヘッド50を基板31上の塗布領域に沿って移動させることによって、基板31上の塗布領域に溶液52を塗布するものである。また、図10Aはノズルヘッド50を1つだけ有する場合の構成を示し、図10Bはノズルヘッド50を2つ有する場合の構成を示す。なお、図10A及び図10Bにおける基板31は、図7の上下方向が図10の左右方向となる向きに配置されている。ここで、図10Bにおいてはノズルプリンティング装置がノズルヘッド50を2つ有する場合について示したが、これに限らず、ノズルヘッド50を3つ以上の複数個有するものであってもよい。また、選択トランジスタTr11は駆動トランジスタTr12と同一工程によって形成されるので、選択トランジスタTr11の形成の説明を一部省略する。
【0043】
図9Aに示すように、まず、ガラス基板等からなる基板31を用意する。次に、この基板31上に、スパッタ法、真空蒸着法等により例えば、Mo膜、Cr膜、Al膜、Cr/Al積層膜、AlTi合金膜又はAlNdTi合金膜、MoNb合金膜等からなるゲート導電膜を形成し、これを図9Aに示すように駆動トランジスタTr12のゲート電極Tr12gの形状にパターニングする。この際、図示はしていないが、選択トランジスタTr11のゲート電極Tr11g、及びデータラインLdも形成する。続いて、図9Bに示すように、CVD(Chemical Vapor Deposition)法等によりゲート電極Tr12g及びデータラインLd上に絶縁膜32を形成する。
【0044】
次に、絶縁膜32上に、CVD法等により、アモルファスシリコン等からなる半導体層を形成する。次に、半導体層上に、CVD法等により、例えばSiN等からなる絶縁膜を形成する。続いて、絶縁膜をフォトリソグラフィ等によりパターニングし、ストッパ膜115を形成する。更に、半導体層及びストッパ膜115上に、CVD法等により、n型不純物が含まれたアモルファスシリコン等からなる膜を形成し、この膜と半導体層とをフォトリソグラフィ等によりパターニングすることで、図9Bに示すように、半導体層114とオーミックコンタクト層116,117とを形成する。
【0045】
次に、スパッタ法、真空蒸着法等により絶縁膜32上に、ITO等の透明導電膜、或いは光反射性導電膜及びITO等の透明導電膜を被膜後、この膜をフォトリソグラフィによってパターニングして画素電極42を形成する。
【0046】
続いて、絶縁膜32に貫通孔であるコンタクトホール61〜64を形成してから、例えば、Mo膜、Cr膜、Al膜、Cr/Al積層膜、AlTi合金膜又はAlNdTi合金膜、MoNb合金膜等からなるソース−ドレイン導電膜をスパッタ法、真空蒸着法等により被膜する。この膜をフォトリソグラフィによってパターニングして図9Bに示すようにドレイン電極Tr12d及びソース電極Tr12sを形成する。これと同時に、アノードラインLaを形成する。このとき、駆動トランジスタTr12のソース電極Tr12sはそれぞれ画素電極42の一部と重なるように形成される。
【0047】
続いて、図9Cに示すように、駆動トランジスタTr12等を覆うようにシリコン窒化膜からなる層間絶縁膜47をCVD法等により形成後、フォトリソグラフィにより、開口部47aを形成する。次に、感光性ポリイミドを、層間絶縁膜47を覆うように塗布し、隔壁48の形状に対応するマスクを介して露光、現像することによってパターニングし、図9Cに示すように開口部48aを有する隔壁48を形成する。
【0048】
次に、図10Aに示すように、ノズルヘッド50のノズルから溶液52を連続して流すノズルプリンティング装置を用いて、溶液52として発光ポリマー材料(R,G,B)を含有する有機化合物含有液を、隔壁48の間に設けられ、開口部47aで囲まれた画素電極42上に塗布する。塗布は、隔壁48の形成方向(図7に示す上下方向)に沿って塗布する。なお、ノズルプリンティング装置を用いた塗布においては、図10Aに示すように、有機化合物含有液はノズルヘッド50のノズルから吐出され、基板31上に塗布される。ノズルヘッド50は隔壁48間に有機化合物含有液を吐出しながら、隔壁48が形成された方向(図10Aでは左右方向)に沿って移動する。なお、複数各列への塗布を連続して行う場合は、図10Aに示すように、ノズルヘッド50が基板31外にある間に、基板31を隔壁48が形成された方向と直交する方向(図10Aでは上下方向)に、所定の距離だけ移動させる。これを繰り返すことで、溶液52が所定の列に塗布される。または、基板31を移動させる代わりに、ノズルヘッド50を隔壁48が形成された方向と直交する方向に所定の距離だけ移動させてもよい。なお、ノズルヘッド50が基板31外にある間、溶液52は吐出させたままであってもよいし、吐出を一旦停止させてもよい。ここで、図10Aに示すように、ノズルプリンティング装置がノズルヘッド50を1つだけ有する場合には、1列毎にノズルヘッド50の移動方向を交互に変えて塗布する。また、図10Bに示すように、ノズルプリンティング装置がノズルヘッド50を2つ有する場合には、2列毎にノズルヘッド50の移動方向を交互に変えて塗布する。
【0049】
本実施形態では、図9Dに示すように、まずノズルプリンティング装置を用い、緑色の発光層45G1、45G2を形成する。次に、図9Eに示すように、赤色の発光層45R及び青色の発光層45Bを、ノズルプリンティング装置を用いて形成する。
【0050】
このように、1列おきに発光層を形成すると、赤色の発光層45Rを形成する際には、赤色の発光層45Rに隣接する隔壁48上には、予め緑色の発光層45G1、45G2が隔壁48上に形成されている。従って、赤色の発光層45Rは、いずれの発光層に対しても同じ程度なじみやすいため、乾燥速度が異なることが抑制される。従って、赤色の発光層45Rは左右で膜厚が均一なものとなる。青色の発光層45Bについても同様である。また、予め1列おきに形成される緑色の発光層45G1,45G2については、隔壁48上に発光層が形成されていない状態で形成されるため、左右での乾燥速度の不均衡は生じない。従って、緑色の発光層45G1,45G2についても、左右が対称な膜厚とすることができる。
【0051】
なお、発光機能層として正孔注入層43を形成する場合は、発光層45を形成する前に、正孔注入材料を含む有機化合物含有液を溶液52として、溶液52を連続して吐出する図10Aに示すノズルプリンティング装置あるいは個々に独立した複数の液滴として間欠的に吐出するインクジェット装置によって、開口部47aで囲まれた画素電極42上に選択的に塗布する。続いて、基板31を大気雰囲気下で加熱し有機化合物含有液の溶媒を揮発させて、正孔注入層43を形成する。有機化合物含有液は加熱雰囲気で塗布されてもよい。
【0052】
また、発光機能層として更にインターレイヤ層44を形成する場合は、インターレイヤ層44となる材料を含有する有機化合物含有液を溶液52として、溶液52をノズルから連続して吐出する図10Aに示すノズルプリンティング装置またはインクジェット装置を用いて正孔注入層43上に塗布する。窒素雰囲気中の加熱乾燥、或いは真空中での加熱乾燥を行い、残留溶媒の除去を行ってインターレイヤ層44を形成する。有機化合物含有液は加熱雰囲気で塗布されてもよい。
【0053】
続いて、発光層45まで形成した基板31に、真空蒸着やスパッタリングで、Li,Mg,Ca,Ba等の仕事関数の低い材料からなる層と、Al等の光反射性導電層からなる2層構造の対向電極46を形成する。
【0054】
次に、複数の画素30が形成された発光領域の外側において、基板31上に紫外線硬化樹脂、又は熱硬化樹脂からなる封止樹脂を塗布し、図示しない封止基板と基板31と貼り合わせる。次に紫外線もしくは熱によって封止樹脂を硬化させて、基板31と封止基板とを接合する。
以上から、発光装置10が製造される。
【0055】
このように、本実施形態の発光装置の製造方法では、一つの発光色の画素を2つに分割し、偶数個からなる画素の組とした上で、一列おきに発光層を形成する。これにより、後に形成される発光層の乾燥速度を比較的均一とすることができるため、各色の発光層45を良好な均一性を備える膜とすることができる。
【0056】
ここで、赤色の発光層45Rを全列塗布した上で、緑色の発光層45Gを全列塗布し、青色の発光層45Bを全列に塗布することによって各色の発光層を形成する構成を比較例として、これと比較したときの本実施形態における効果を説明する。
【0057】
図11は、本実施形態における発光装置の断面構造及び各発光層の膜厚分布を示す図であり、図12は、比較例における発光装置の断面構造及び各発光層の膜厚分布を示す図である。
【0058】
上記比較例の場合、図12に示すように、後から塗布する発光層45G、発光層45Bの膜厚が均一となりにくい。これは、隔壁上より発光層上の方が発光層形成用の有機化合物含有液がなじみやすいことに起因している。すなわち、赤色の発光層を全列塗布した後に緑色の発光層を塗布すると、緑色の発光層形成用の有機化合物含有液が赤色の発光層側へと引っ張られやすくなる。これにより、G色の発光層中、特に図12に示す左右方向で有機化合物含有液の乾燥速度が異なり、図12に模式的に示すように、赤色側の膜厚が厚くなり、左右が非対称な膜厚となる。青色の発光層についても同様であり、先に形成された緑色の発光層側の膜厚が厚くなり、左右の膜厚が非対称となる。
【0059】
これに対し、本実施形態のように緑の画素を二つに分け、4つの画素を1組とし、更に緑の発光層45G1,45G2を先に形成した上で、赤色の発光層45R、青色の発光層45Bを形成すると、乾燥速度をより均一とすることができる。例えば、緑色の発光層45G1,45G2を予め形成した上で、赤色の発光層45Rの有機化合物含有液を塗布する。赤色の有機化合物含有液は、緑色の発光層45G1,45G2との上に塗布されても、いずれの発光層に対しても同じ程度なじみやすいため、図11に示す左右方向で乾燥速度が異なることはない。従って、赤色の発光層45Rは図11に示すように、左右で膜厚が均一なものとなる。青色の発光層45Bについても同様である。また、予め1列おきに形成される緑色の発光層45G1,45G2については、隔壁上に発光層が形成されていない状態で形成されるため、左右での乾燥速度の不均衡は生じない。従って、緑色の発光層45G1,45G2についても、左右の膜厚を対称にすることができる。
【0060】
なお、上述した実施形態では、緑色の発光層45G1,45G2を形成した上で、赤色の発光層45R、青色の発光層45Bを形成する構成を例に挙げて説明しているが、これに限られない。要するに1列おきに発光層を塗布すればよいため、例えば、赤色の発光層45R、青色の発光層45Bを形成した後で、緑色の発光層45G1,45G2を形成するようにしてもよい。
【0061】
また、上述した実施形態では、緑色の画素を2つに分割する構成を例に挙げて説明しているが、これに限られない。例えば、赤色の画素、青色の画素のいずれかを2つに分割するようにしてもよい。
【0062】
(第2実施形態)
第2実施形態に係る発光装置20について、図を用いて説明する。本実施形態の発光装置が、上述した第1実施形態に係る発光装置10と異なるのは、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)に加えて白色(W)の画素30Wを更に備える点にある。第1実施形態と共通する部分については、詳細な説明を省略する。
【0063】
図13は第2実施形態に係る発光装置20の構成例を示す平面図である。図14は、図13に示す発光装置20の断面構成を示す図である。
【0064】
発光装置20では、基板31上に、図13に示すようにそれぞれ赤色(R)、青色(B)、緑色(G)、白色(W)の4色に発光する4つの画素30R、30B、30G、30Wを一組として、この組が行方向(図13の左右方向)に繰り返し複数個、例えばx個配列されている。列方向(図13の上下方向)には、同一の発光色の発光素子を有する画素が複数個、例えばy個配列されている。換言すれば、画素自体は行方向に4x個配列されており、RGBWの各色を発光する画素はマトリクス状に、4x×y個配列される。
【0065】
次に、図13に示す発光装置20の断面構成を図14に示す。図14では、説明の便宜のため、基板31、画素電極42、隔壁48、それぞれ赤色(R)、緑色(G)、青色(B)、白色(W)の発光色を有する4色の発光層45(45R,45G,45B,45W)のみを図示し、その他の構成要素については図示を省略している。本実施形態では、4色の画素30R,30G,30B,30Wを備え、各発光層45R,45G,45B,45Wは、それぞれ画素30R,30G,30B,30Wの各々の発光素子を形成するものである。また、特に本実施の形態では、赤色の発光層45R、青色の発光層45Bを形成した上で、緑色の発光層45G、白色の発光層45Wを形成する。このため、緑色の発光層45Gの、赤色の発光層45Rと青色の発光層45Bとに接する部分は、それぞれ赤色の発光層45Rと青色の発光層45Bとの隔壁48に乗り上げた部分の一部を覆うように、その上に乗り上げて形成される。白色の発光層45Wについても同様であり、青色の発光層45Bと赤色の発光層45Rとに接する部分は、それぞれ青色の発光層45Bと赤色の発光層45Rとの隔壁48に乗り上げた部分の一部を覆うように、その上に乗り上げて形成される。
【0066】
本実施形態でも、1列おきに発光層を形成するため、緑色の発光層45Gを形成する際には、緑色の発光層45Gに隣接する隔壁48上には、予め赤色の発光層45Rと、青色の発光層45Bが隔壁48上に形成されている。緑色の発光層45Gは、いずれの発光層に対しても同じ程度なじみやすいため、乾燥速度が異なることが抑制される。従って、緑色の発光層45Gは左右で膜厚が均一なものとなる。白色の発光層45Wについても同様である。また、予め1列おきに形成される赤色の発光層45R、青色の発光層45Bについては、隔壁48上に発光層が形成されていない状態で形成されるため、左右での乾燥速度の不均衡は生じない。従って、赤色の発光層45R、青色の発光層45Bについても、左右が対称な膜厚とすることができる。
【0067】
なお、本実施形態では、赤色の発光層45R、青色の発光層45Bを先に形成する構成を例に挙げて説明しているが、緑色の発光層45G、白色の発光層45Wを先に形成し、後から赤色の発光層45R、青色の発光層45Bを形成してもよい。なお、1列おきに発光層を形成すれば、本実施形態の効果を得られるため、発光層の色の順番や、発光層の塗布の順番は適宜変更可能である。
【0068】
また、発光素子の個数を偶数個とすればよく、例えば、第1実施形態と第2実施形態とを組み合わせ、1色を2分割にした上で、複数色を備える構成、例えば第2実施形態のように偶数個の色、具体的に4色としてもよい。
【0069】
本発明は上述した実施形態に限られず様々な変形及び応用が可能である。
また、上述した実施形態では、発光機能層が発光層のみを備える構成を例に挙げているが、これに限られず、図15に示すように、正孔注入層43、インターレイヤ層44等を更に備えてもよい。正孔注入層43、インターレイヤ層44は、複数色の発光層を備える場合であっても、共通した材料から形成することができる。従って、これらの正孔注入層43、インターレイヤ層44を形成する際は、1列おきにこれらの材料を含有する有機化合物含有液を塗布すると、これらの膜厚を比較的均一とすることができ好ましい。1列おきに塗布した場合、図15に示すように、正孔注入層43の端は、隣接する正孔注入層43の端を覆うように形成される。インターレイヤ層44についても同様に、隣接するインターレイヤ層44の端を覆うように形成される。
【0070】
なお、正孔注入層43を形成する場合、例えば導電性ポリマーであるポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)とドーパントであるポリスチレンスルホン酸(PSS)を水系溶媒に分散させた分散液であるPEDOT/PSS水溶液を用いる。
【0071】
上述した実施形態では、画素回路DSは2つのトランジスタを備える構成を例に挙げているが、3つ以上のトランジスタを備えるものであってもよい。
【0072】
また、上述した実施形態ではボトムエミッション型の有機EL素子を中心に説明したが、これに限られず有機EL素子OELにより発生した光を、対向電極46を介して外部に出射するトップエミッション型の有機EL素子に用いることも可能である。この場合、画素電極42は透光性を有しない材料から形成してもよく、対向電極46は、10nm程度の膜厚の極薄い例えばLi、Mg、Ca、Ba等の仕事関数の低い材料からなる光透過性低仕事関数層と、100nm〜200nm程度の膜厚のITO等の光反射性導電層を有する透明積層構造とする。
【0073】
上述した各実施形態では、発光装置を表示装置として利用する構成を例に挙げて説明しているが、プリンタの感光ドラムに光を照射するプリンタヘッド等の露光装置としても利用することができる。
【符号の説明】
【0074】
10,20・・・発光装置、30,30R,30G,30G1,30G2,30B,30W・・・画素、31・・・基板、32・・・絶縁膜、42・・・画素電極(アノード電極)、43・・・正孔注入層、44・・・インターレイヤ層、45,45R,45G1,45G2,45B,45W・・・発光層、46・・・対向電極(カソード電極)、47・・・層間絶縁膜、48・・・隔壁、50・・・ノズルヘッド、52・・・溶液、114・・・半導体層、115・・・ストッパ膜、116,117・・・オーミックコンタクト層、Tr11d,Tr12d・・・ドレイン電極、Tr11g,Tr12g・・・ゲート電極、Tr11s,Tr12s・・・ソース電極、La・・・アノードライン、Ls・・・走査ライン、Ld・・・データライン、Tr11・・・選択トランジスタ、Tr12・・・駆動トランジスタ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の行及び複数の列に沿って配列された複数の発光素子を備え、
前記各発光素子は、所定の発光色で発光する発光層を含む発光機能層を有し、
行方向に一定の順序で配列された偶数個の前記発光素子を有する複数の組が、行方向に一定の順序で繰り返し配列されており、
行方向に隣接して配列された前記各発光素子間に設けられた間隙領域を有し、
前記各発光素子の前記発光機能層は、前記発光層の形成領域と前記間隙領域の一部とに跨って形成されており、
前記発光機能層が、行方向に隣接して配列された前記各発光素子の前記間隙領域の一部に形成された前記発光機能層を覆うように形成された前記発光素子を少なくとも一つ備えることを特徴とする発光装置。
【請求項2】
前記偶数個の発光素子を有する組は、
第1の発光色の第1の発光層を有する第1の発光素子と、
前記第1の発光色と異なる第2の発光色の第2の発光層を有する第2の発光素子と、
前記第1及び前記第2の発光色と異なる第3の発光色の第3の発光層を有する第3の発光素子と、を有し、
前記第1の発光素子、前記第2の発光素子、前記第3の発光素子のうち、いずれか1つの特定の発光素子を2個含むことを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記特定の発光素子は、当該特定の発光素子の発光色と異なる発光色の1つの前記発光素子を挟んで、行方向に配列されていることを特徴とする請求項2に記載の発光装置。
【請求項4】
前記偶数個の発光素子を有する組は、
第1の発光色の第1の発光層を有する第1の発光素子と、
前記第1の発光色と異なる第2の発光色の第2の発光層を有する第2の発光素子と、
前記第1及び前記第2の発光色と異なる第3の発光色の第3の発光層を有する第3の発光素子と、
前記第1乃至前記第3の発光色と異なる第4の発光色の第4の発光層を有する第4の発光素子と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
【請求項5】
複数の行及び複数の列に沿って所定の発光色で発光する複数の発光素子が配列された発光装置の製造方法であって、
行方向に一定の順序で配列された偶数個の前記発光素子を有する複数の組を、行方向に一定の順序で繰り返し配列して形成する発光素子形成工程を備え、
前記発光素子形成工程は、
1列おきに配列される前記各発光素子の前記発光層の形成領域に、前記溶液を列方向に塗布して、前記発光機能層を1列おきに形成する第1の工程と、
前記第1の工程の後、前記第1の工程で前記溶液が塗布されなかった列に配列される前記各発光素子の前記発光層の形成領域に、前記溶液を列方向に塗布して、前記発光機能層を形成する第2の工程と、を含むことを特徴とする発光装置の製造方法。
【請求項6】
前記発光装置は、行方向に隣接して配列された前記各発光素子間に設けられた間隙領域を有し、
前記第1の工程及び前記第2の工程で形成される前記発光機能層は、前記間隙領域にも形成され、
前記第2の工程で前記間隙領域に形成される前記発光機能層は、行方向に隣接する前記各発光素子との間の前記間隙領域に前記第1の工程で形成された前記発光機能層を覆うように形成されることを特徴とする請求項5に記載の発光装置の製造方法。
【請求項7】
前記発光素子形成工程は、第1の発光色の第1の発光層を有する第1の発光素子と、前記第1の発光色と異なる第2の発光色の第2の発光層を有する第2の発光素子と、前記第1及び前記第2の発光色と異なる第3の発光色の第3の発光層を有する第3の発光素子と、を有する前記組を形成する際、前記第1の発光素子、前記第2の発光素子、前記第3の発光素子のうち、いずれか1つの特定の発光素子を2個形成する、ことを特徴とする請求項5又は6に記載の発光装置の製造方法。
【請求項8】
前記発光素子形成工程は、前記特定の発光素子を、当該特定の発光素子の発光色と異なる発光色の1つの前記発光素子を挟んで、行方向に配列して形成することを特徴とする請求項7に記載の発光装置の製造方法。
【請求項9】
前記発光素子形成工程は、前記一組の発光素子として、第1の発光色の第1の発光層を有する第1の発光素子と、前記第1の発光色と異なる第2の発光色の第2の発光層を有する第2の発光素子と、前記第1及び前記第2の発光色と異なる第3の発光色の第3の発光層を有する第3の発光素子と、前記第1乃至前記第3の発光色と異なる第4の発光色の第4の発光層を有する第4の発光素子と、を形成することを特徴とする請求項5又は6に記載の発光装置の製造方法。
【請求項10】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の発光装置を備えることを特徴とする電子機器。
【請求項1】
複数の行及び複数の列に沿って配列された複数の発光素子を備え、
前記各発光素子は、所定の発光色で発光する発光層を含む発光機能層を有し、
行方向に一定の順序で配列された偶数個の前記発光素子を有する複数の組が、行方向に一定の順序で繰り返し配列されており、
行方向に隣接して配列された前記各発光素子間に設けられた間隙領域を有し、
前記各発光素子の前記発光機能層は、前記発光層の形成領域と前記間隙領域の一部とに跨って形成されており、
前記発光機能層が、行方向に隣接して配列された前記各発光素子の前記間隙領域の一部に形成された前記発光機能層を覆うように形成された前記発光素子を少なくとも一つ備えることを特徴とする発光装置。
【請求項2】
前記偶数個の発光素子を有する組は、
第1の発光色の第1の発光層を有する第1の発光素子と、
前記第1の発光色と異なる第2の発光色の第2の発光層を有する第2の発光素子と、
前記第1及び前記第2の発光色と異なる第3の発光色の第3の発光層を有する第3の発光素子と、を有し、
前記第1の発光素子、前記第2の発光素子、前記第3の発光素子のうち、いずれか1つの特定の発光素子を2個含むことを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記特定の発光素子は、当該特定の発光素子の発光色と異なる発光色の1つの前記発光素子を挟んで、行方向に配列されていることを特徴とする請求項2に記載の発光装置。
【請求項4】
前記偶数個の発光素子を有する組は、
第1の発光色の第1の発光層を有する第1の発光素子と、
前記第1の発光色と異なる第2の発光色の第2の発光層を有する第2の発光素子と、
前記第1及び前記第2の発光色と異なる第3の発光色の第3の発光層を有する第3の発光素子と、
前記第1乃至前記第3の発光色と異なる第4の発光色の第4の発光層を有する第4の発光素子と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
【請求項5】
複数の行及び複数の列に沿って所定の発光色で発光する複数の発光素子が配列された発光装置の製造方法であって、
行方向に一定の順序で配列された偶数個の前記発光素子を有する複数の組を、行方向に一定の順序で繰り返し配列して形成する発光素子形成工程を備え、
前記発光素子形成工程は、
1列おきに配列される前記各発光素子の前記発光層の形成領域に、前記溶液を列方向に塗布して、前記発光機能層を1列おきに形成する第1の工程と、
前記第1の工程の後、前記第1の工程で前記溶液が塗布されなかった列に配列される前記各発光素子の前記発光層の形成領域に、前記溶液を列方向に塗布して、前記発光機能層を形成する第2の工程と、を含むことを特徴とする発光装置の製造方法。
【請求項6】
前記発光装置は、行方向に隣接して配列された前記各発光素子間に設けられた間隙領域を有し、
前記第1の工程及び前記第2の工程で形成される前記発光機能層は、前記間隙領域にも形成され、
前記第2の工程で前記間隙領域に形成される前記発光機能層は、行方向に隣接する前記各発光素子との間の前記間隙領域に前記第1の工程で形成された前記発光機能層を覆うように形成されることを特徴とする請求項5に記載の発光装置の製造方法。
【請求項7】
前記発光素子形成工程は、第1の発光色の第1の発光層を有する第1の発光素子と、前記第1の発光色と異なる第2の発光色の第2の発光層を有する第2の発光素子と、前記第1及び前記第2の発光色と異なる第3の発光色の第3の発光層を有する第3の発光素子と、を有する前記組を形成する際、前記第1の発光素子、前記第2の発光素子、前記第3の発光素子のうち、いずれか1つの特定の発光素子を2個形成する、ことを特徴とする請求項5又は6に記載の発光装置の製造方法。
【請求項8】
前記発光素子形成工程は、前記特定の発光素子を、当該特定の発光素子の発光色と異なる発光色の1つの前記発光素子を挟んで、行方向に配列して形成することを特徴とする請求項7に記載の発光装置の製造方法。
【請求項9】
前記発光素子形成工程は、前記一組の発光素子として、第1の発光色の第1の発光層を有する第1の発光素子と、前記第1の発光色と異なる第2の発光色の第2の発光層を有する第2の発光素子と、前記第1及び前記第2の発光色と異なる第3の発光色の第3の発光層を有する第3の発光素子と、前記第1乃至前記第3の発光色と異なる第4の発光色の第4の発光層を有する第4の発光素子と、を形成することを特徴とする請求項5又は6に記載の発光装置の製造方法。
【請求項10】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の発光装置を備えることを特徴とする電子機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図9D】
【図9E】
【図10A】
【図10B】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図9D】
【図9E】
【図10A】
【図10B】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2011−35010(P2011−35010A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−177042(P2009−177042)
【出願日】平成21年7月29日(2009.7.29)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年7月29日(2009.7.29)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】
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