説明

発光装置および看板用の照明装置

【課題】光の照射面積を広く確保することが可能で、耐候性に優れ、かつ製造の容易な発光装置および看板用の照明装置を提供する。
【解決手段】発光装置1は、LED52からの光を一方の面から入射し、その入射した光を出射する板状の導光体11を備え、導光体11を保持する保持部材31と、LED52を実装する回路板53と、を有し、導光体11は、LED52から発せられる光を入射する第1の導光部12と、第1の導光部12の周囲に配置され第1の導光部12によって反射された光を導光する第2の導光部13とを有し、導光体11は、光を出射する出射面とは反対側の面に設置される保持部材31によって保持され、LED52は、保持部材31に設けられた穴33と対向するように保持部材31に取り付けられ、回路板53と保持部材31との間には、LED52および穴33の周りを囲うように密封用部材(ゴムパッキン84)が配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置および看板用の照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
LED(Light Emitting Diode)を光源に用いた照明装置としては、以下のものが提案されている。 すなわち、LED素子によって発光する多数の発光ドットをマトリクス状に配列して形成した発光パネルを複数枚並べて筐体に取付け、発光パネルと筐体との取付面の間に、ゴムパッキンと、ポリウレタン系またはブチルゴム系のシール剤とを挟着した構成の発光表示器である(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−67002号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されている照明装置は、光の照射面積を広くするべく多数のLEDを用いる構造の複雑なものとなっているため、ゴムパッキンだけでは雨露から保護すべき部分を密封できない凹凸を有している。そのため、ゴムパッキンとポリウレタン系又はブチルゴム系のシール剤とを併用して、雨露から保護すべき部分の密封を実現している。このシール剤の使用は、照明装置の製造を困難にする。
【0005】
そこで、本発明の目的は、光の照射面積を広く確保することが可能で、耐候性に優れ、かつ製造の容易な発光装置および看板用の照明装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の発光装置は、発光部材からの光を入射し、その入射した光を一方の面から出射する板状の導光体を備える発光装置において、導光体を保持する保持部材と、発光部材を実装する回路板と、を有し、導光体は、発光部材から発せられる光を入射する第1の導光部と、第1の導光部の周囲に配置され第1の導光部によって反射された光を導光する第2の導光部とを有し、導光体は、光を出射する出射面とは反対側の面に設置される保持部材によって保持され、発光部材は、保持部材に設けられた穴と対向するように保持部材に取り付けられ、回路板と保持部材との間には、発光部材および穴の周りを囲うように密封用部材が配置されている。
【0007】
ここで、密封用部材はゴム製のパッキンとされ、回路板は、金属ベースのものであり、発光部材が実装されていない面には、表面が粗面化された金属からなる放熱部材が設けられていることが好ましい。
【0008】
また、第2の導光部と保持部材の間には、第2の導光部にて導光される光を反射して出射面から光を出射させる反射部材が配置されていることが好ましい。
【0009】
また、回路板の接点と接続し、発光部材へ電力を供給するためのバネ接点がパッキンで囲まれた内部に配置されていることが好ましい。
【0010】
また、穴を円形の穴とし、密封部材をリング状とし、回路板を円形とし、その表面に接点を配置し、保持部材にはバネ接点を配置し、発光部材の位置を中心とし、径方向に穴の外周、接点とバネ接点、密封部材を順に配置したことが好ましい。
【0011】
上記目的を達成するため、本発明の看板用の照明装置は、上述の発光装置を複数個並べている。
【0012】
また、上記目的を達成するため、本発明の看板用の照明装置は、上述の発光装置を1つの直流電源に対し複数個直列配置し、回路板に実装された回路部品とバネ接点と直流電源のプラス側に接続されプラス電位を有する接続線のバネ接点の近傍部分とが密封部材で囲まれた内部に配置され、直流電源のマイナス側に接続される直流電源に帰還する接続線が、密封部材で囲まれた部分の外側に配置される。
【発明の効果】
【0013】
本発明では、光の照射面積を広く確保することが可能で、耐候性に優れ、かつ製造の容易な発光装置および看板用の照明装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施の形態に係る発光装置を出射面側から見た斜視図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る発光装置の図1に示す出射面とは反対側の面から見た斜視図に光源部の分解斜視図を併せて表示した図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る発光装置の図4における光源部が保持体に装着された状態の斜視図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る光源部の分解斜視図であり、保持部材と対向する側から見た図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る光源と保持体との固定の前後の板バネ状接点とランドの状態を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態に係る発光装置における光路の一例を示す図である。
【図8】本発明の実施の形態に係る照明装置における直流電源と発光装置との接続状態の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態に係る発光装置の構成について、図面を参照しながら説明する。
【0016】
(発光装置の構成)
図1は、本発明の実施の形態に係る発光装置1を出射面2側から見た斜視図、図2は、図1のA−A断面図である。図1および図2に示すように、発光装置1は、出射面2を有し外形が四角い板状の導光体11と、導光体11を保持する保持体31と、光源部51と、電気接続部材から主として構成されている。
【0017】
導光体11は、透明のポリメチルメタクリレート(以下、「PMMA」と略記する。)からなる樹脂成形体である。また、導光体11は、その中央部に配置される略円柱状の第1の導光部12と、その第1の導光部12の周囲に設けられ、外形が四角形状の第2の導光部13とが、2材成形により一体成形されたものである。なお、出射面2は、第1の導光部12の出射面2aと第2の導光部13の出射面2bとから形成されている。
【0018】
第1の導光部12は、図2に示すように断面が中央部に向かうに従って陥没する略円錐形状の凹部14を有している。そして、凹部14の裏側であって凹部14と対向する位置には、半球面状にえぐれた凹部15が形成されている。その凹部15の開口端16から第2の導光部13に向かっては、円錐台の側面状の斜面17となっている。その斜面17を取り囲むようにリング状の突起18が形成されている。凹部14,15、開口端16、斜面17およびリング状の突起18は、第1の導光部12に形成されている。
【0019】
光源部51から出射される光は、まずこの第1の導光部12に入射する。そして入射した光の殆どが凹部14の略円錐状の反射面で全反射して第2の導光部13に入っていく。すなわち、凹部14の面は、光源部51からの入射光を全反射するような面として設定されている。第1の導光部12に入射した光の一部は後述する光散乱粒子の働きで第1の導光部12を通り抜け、出射面2aから外部へ出射する。
【0020】
第2の導光部13は、第1の導光部12の凹部14の外側に延在する出射面2bを有している。そして、第2の導光部13は、第1の導光部12のリング状の突起18の外側に延在し、外側に向かうに従い出射面2bとの距離が近づく傾斜面20を有している。また、第2の導光部13は、傾斜面20よりも外周側に傾斜面20よりも傾斜角の大きい傾斜面21を有している。さらに、第2の導光部13は、傾斜面21よりも外側の端部に出射面2bと直角をなす端面22を有している。
【0021】
第1の導光部12および第2の導光部13には、光散乱粒子(図示省略)が含有されている。その含有密度は、第1の導光部12の方が第2の導光部13よりも高い。この光散乱粒子は、粒子径が2μmから9μmの球状かつ透光性のシリコーン粒子である。このシリコーン粒子は、体積的に一様な散乱能が与えられた導光体であり、散乱微粒子としての球形粒子を多数含んでいる。導光体11の内部に光が入射すると、その光はシリコーン粒子によって散乱することになる。
【0022】
図2に示すように、保持体31は、樹脂の一体成形物であり、外形が扁平な四角柱形状であって一方の面側が完全に開口する開口部32となり、他方の面側がその中央部に円形の穴33を有する略容器状の形状をしている。保持体31の開口部32側の底面34は、その中央から端部へと進むに従い出射面2に近づく傾斜面となっている。そして、底面34には、第2の導光部13に導光された光を出射面2の方向に反射する白色シート(図示省略)が貼付されている。
【0023】
図3は、発光装置1の図1に示す出射面2とは反対側から見た面の斜視図に光源部51の分解斜視図を併せて表示した図であり、図4は、その光源部51が保持体31に装着された状態の斜視図である。底面34とは反対側の面には、穴33の中心を中心とする小径の円形リブ35と大径の円形リブ36および穴33を中心として放射状に伸びる4本の直線リブ37および穴33を挟んで平行に伸びる4本の直線リブ38ならびに保持体31の外形に沿った四角形状の枠リブ39が形成されており、保持体31全体を補強している。この円形リブ35,36と直線リブ37,38との交点では、両者が一体化している。なお、円形リブ35は、円形リブ36に囲われており径が円形リブ36の径よりも小さい。
【0024】
平行に形成されている直線リブ38(38a),38(38b)に挟まれた範囲内の円形リブ35には6つの切り欠き部39a,39b,39c,39d,39e,39fが形成されている。切り欠き部39aと切り欠き部39dは穴33の中心を中心とした点対称位置に配置されており、切り欠き部39bと切り欠き部39eは、同じように点対称位置に配置されており、切り欠き部39cと切り欠き部39fも、同じように点対称位置に配置されている。
【0025】
また、直線リブ38a,38bに挟まれた範囲内の円形リブ36には4つの切り欠き部40a,40b,40c,40dが形成されている。切り欠き部40aと切り欠き部40cは、穴33の中心を中心とした点対称位置に配置されており、切り欠き部40bと切り欠き部40dは、同様に点対称位置に配置されている。
【0026】
そして、円形リブ35の内側には、穴33の中心を中心とした3つの円形溝が形成されている。すなわち、4つの区域に分けられた小径の円形溝41aと、その外周に沿って配置される完全なリング状となる中径の円形溝41bと同径となる2つの半円形溝41c,41dが円形リブ35の内側に形成されている。円形溝41aは、周方向約45度に渡る狭区域と、周方向に約135度に亘る広区域とが交互に計4つ形成され、1周を形成している。
【0027】
切り欠き部39cは、半円形溝41cに通じており、切り欠き部39aは、半円形溝41dに通じている。また、切り欠き部39bは、円形溝41bの下側に設けられた凹部を経由して円形溝41aの広区域に通じている。切り欠き部39dは、半円形溝41cに通じており、切り欠き部39fは、半円形溝41dに通じている。また、切り欠き部39eは、円形溝41bの下側に設けられた凹部を経由して円形溝41aのもう一つの広区域に通じている。
【0028】
円形溝41aと円形溝41bの間には、円形リブ41eが形成され、円形溝41bと半円形溝41c,41dの間には円形面42が形成されている。この円形面42にはねじ穴43が略等間隔に6つ形成され、さらに突起部44が2箇所形成されている。また、枠リブ39の4つの各辺には、それぞれねじ穴45が形成された取り付け用のタブ46が延在されている。
【0029】
また、直線リブ38a,38bに挟まれた範囲内の枠リブ39には、穴47aと、穴47aと対向する反対側の位置に穴47bが形成されている。
【0030】
図5は、光源部51の分解斜視図であり、保持部材31と対向する側から見た斜視図である。なお、保持部材31と対向する側とは逆側の光源部51の分解斜視図は、図3に示している。光源部51は、発光部材となるLED(Light Emitting Diode)52と、LED52が実装される回路板53と、LED52から発せられる熱を発散させる放熱部材61とから主に構成されている。
【0031】
LED52は、表面実装型のチップ型LEDである。回路板53は、円盤状の形状をなす銅ベースのもので、銅板の表面を絶縁膜で被覆し、その絶縁膜の表面に回路をパターニングしているものである。そのパターンの殆どはさらに絶縁膜によって被覆され、LED52の接続端子部分および入出力端子となる部分がランド(接点、図示省略)として表側(図5では右面側)に露出している。LED52は、回路板53の中央に実装配置されている。回路板53の端部(外周部)には、ねじ穴54がその外周に沿って等間隔に6箇所形成され、さらに上述の保持体31の2つの突起部44と嵌合するように穴55が2箇所形成されている。
【0032】
放熱部材61は、アルミニウムの円盤状の形状をなす成形物からなり、表面が粗面化している。放熱部材61が回路板53と直接接触する部分は、円形状の中央円形部62とリング状の外周円環部63である。中央円形部62と外周円環部63との間には、回路板53とは接触しないように背面側(図5では左側)に隆起している円環状の背面隆起部64が形成されている。背面隆起部64のうち、回路板53とは対向しない側は、中央円形部62および外周円環部63よりも、背面側に隆起している分だけ背面側の高さが高くなっている。外周円環部63には、保持体31のねじ穴45および回路板53のねじ穴54と対応する位置にねじ穴65が6箇所形成されている。
【0033】
電気接続部材は、電気線72,73と、この電気線72,73を接続し、保持体31の円形溝41aの広区域内に固定されるバネ性を有する2つの板バネ状接点74a,74b(バネ接点)と、電気線75と、から構成される。電気線72は、保持体31の穴47aから挿入され、切り欠き部40aおよび切り欠き部39bを通り、円形溝41bの下側の凹部を経由して円形溝41aの広区域に通じ、板バネ状接点74aにはんだ付けされている。電気線73は、保持体31の穴47bから挿入され、切り欠き部40dおよび切り欠き部39eを通り、円形溝41bの下側の凹部を経由して円形溝41aの他の広区域に通じ、板バネ状接点74bにはんだ付けされている。電気線75は、保持体31の穴47aから挿入され、切り欠き部40bおよび切り欠き部39cを通り、円形溝41cに沿って半円形状に配置され、切り欠き部39dから出て切り欠き部40cを通って穴47bの外側に飛び出ている。
【0034】
ここで、電気線72,73は、直流電源のプラス側に接続される線で電気線72,73のいずれか一方が他の発光装置1の同様な電気線72,73の一方と接続されたり、電気線72,73が両側に隣接する他の2つの発光装置1の電気線72,73のそれぞれ一方と接続されたりする。
【0035】
導光体11と保持体31の固定状態について図1および図2を参照しながら説明する。導光体11は、その出射面2bが保持体31の開口部32から露出するように保持体31に嵌め合わされている。その嵌合状態では、円形突起18の外周面と保持体31の穴33の内周面との間にゴム製のパッキン81(図2参照)が配置されている。そして、導光体11と保持体31とは、出射面2bの四隅から保持体31の四隅に通じる4本のねじ82(図1参照)によって固定されている。
【0036】
光源部51と保持体31の固定状態について図2および図3を参照しながら説明する。まず、回路板53のねじ穴54と円形面42のねじ穴43の位置合わせをするために、2箇所の突起部44をそれぞれ穴55に嵌合させる。そして、放熱部材61のねじ穴65と回路板53のねじ穴54との位置合わせをした状態で、各ねじ穴43,54,65を貫通する6本のねじ83にて光源部51と保持体31を固定する。なお、保持体31には電気接続部材や密封部材となるリング状のゴムパッキン84が事前に取り付けられている。ゴムパッキン84は円形溝41b内に入れられている。
【0037】
光源部51と保持体31を固定した状態では、図2に示すように、円形のゴムパッキン84(パッキン)がLED52を囲むように回路板53面と円形溝41bとの間で押圧されている。これにより、ゴムパッキン84で囲まれた内部を密閉状態としている。この密閉状態は、パッキン81によっても保障されている。また、光源部51と保持体31を固定した状態では、2つの板バネ状接点74a,74bと LED52の接続端子部分および入出力端子となるランドが電気接続する。ゴムパッキン84は、円形溝41aの下側の凹部を通過する電気線72,73を押圧し、電気線72,73の抜け止めも兼ねている。
【0038】
図6は、光源部51と保持体31との固定の前後の板バネ状接点74a,74bと、LED52の接続端子部分および入出力端子となるランド85の状態を示す図である。光源部51と保持体31が固定前の状態では、円形溝41aの広区域内の板バネ状接点74a,74bと回路板53のランド85が離れている。固定後では、板バネ状接点74a,74bが変形しランド85に押圧した状態で接触している。板バネ状接点74a,74bとランド85が接触していれば、電気線72,73,75を通じたLED52への電力の供給が可能となる。
【0039】
図7は、発光装置1における光路の一例を示す図で、光路L1,L2について説明する図である。LED52から発せられる光の一部は、凹部15から第1の導光部12に入射し、凹部14の出射面2aで全反射して第2の導光部13へと導光し、出射面2bにて全反射して傾斜面20へと到達する。ここで、傾斜面20は、出射面2bから全反射された光の照射角度が小さくなるように傾斜しているため、傾斜面20へは全反射臨界角以下の角度で光が照射する部分が生じる(光路L1)。その場合、その光は傾斜面20を通過して保持体31の底面34に貼付されている白色シート(図示省略)によって反射され、第2の導光部13を通過して出射面2bから出射する。また、傾斜面20への入射角が全反射臨界角を超えた入射角度の場合(光路L2)、傾斜面20で全反射して出射面2bへ向かい、出射面2bを通り抜けていく。また、第2の導光部13は光散乱粒子を含有しているため、光が光散乱作用によって散乱しながら出射面2bを通過して出射される光もある。すなわち、第2の導光部13にも光散乱粒子が入れられているので、光路L1,L2とは異なる光路を取り散乱しながら出射面2bを通過して出射される光も存在する。
【0040】
光路L3について説明する。LED52から発せられる光の一部は、凹部15から第1の導光部12に入射し、斜面17にて全反射し、そのまま凹部14の面を通過して出射面2aから出射される。また、第1の導光部12は、光散乱粒子を含有しているため、凹部15に入射した光が光散乱作用によって散乱して凹部14の面である出射面2aを通過して出射される光もある。以上のように、発光装置1は、第1の導光部12および第2の導光部13の略全体から略均等に光を出射する。
【0041】
(本発明の実施の形態によって得られる主な効果)
本発明の実施の形態に係る発光装置1は、第1の導光部12および第2の導光部13の略全体から略均等に光を出射するため、光の照射面積を広く確保することができ均一な光源とすることができる。また、ゴムパッキン84によって、LED52を保持体31と回路板53の間を密封している。そのため、LED52を保護でき、耐候性に優れる発光装置1を得ることができる。また、ゴム製のパッキン81およびゴムパッキン84の配置位置には凹凸が無く補助のシール剤等が不要であり、製造の容易な発光装置1を得ることができる。さらに、ゴム製のパッキン81によって、導光体11と保持体31の間を密封しているため、LED52は、導光体11と保持体31と回路板53とで囲まれる空間に密封されるのでより耐候性に優れる発光装置1を得ることができる。
【0042】
また、発光装置1は、銅ベースの回路板53と接触する放熱部材61が配置されている。そのため、LED52が発する熱を放熱できる。そして、放熱部材61は、粗面化されているため、比表面積が大きくなり、より放熱効率が高いものとなっている。また、放熱部材61の中央円形部62が、LED52の実装場所である回路板53の中央に直接接触しているため、発熱源であるLED52の熱を効率良く吸熱している。その吸熱した熱は、回路板53とは接触していないため比較的温度の低い円環状の背面隆起部64に移動し、中央円形部62の温度を下げ易くする。このようにして、放熱部材61は、回路板53のうち局部的に高温となる中央部の熱を特に対象として放熱している。また、発光装置1の背面側に背面隆起部54を形成するなどして凹凸面とすることによって、たとえば看板に取り付けるとき、看板側に取り付けられたビスの頭を避けて配置できるような利点がある。
【0043】
また、発光装置1は、第2の導光部13と保持部材31の間であって、保持部材31の底面34には、第2の導光部13にて導光される光を反射して出射面2bから光を出射させる反射部材が配置されている。このような構成を採用することによって、第2の導光部13の傾斜面20にプリズムを細かく形成して光の方向転換をさせる必要がなくなる。細かいプリズムの形成は、成形金型の構造が非常に複雑になる等、導光体11の製造を困難にさせるが、発光装置1は、その困難さを回避できている。
【0044】
また、発光装置1は、上述のようにゴムパッキン84によって、LED52を保持体31と回路板53の間に密封し、且つゴム製のパッキン81によって、導光体11と保持体31の間を密封している。その密封空間には、LED52ばかりでなく板バネ状接点74a,74bとランド85のような雨露に曝されると劣化しやすい部材が配置されているため、それらの部材を保護でき、耐候性に優れる発光装置1を得ることができる。
【0045】
また、導光体11には、入射する光を多重散乱させる光散乱粒子が含有されている。そのため、第1の導光部12の凹部14の出射面2aおよび第2の導光部13の出射面2bから出射される光を均一に近づけることができる。このように出射光を均一にするには、光拡散シートを用いる等で実現可能だが、その場合には光量が低下してしまう。その点、光を多重散乱させる光散乱粒子は、そのような光量の低下を伴わずに出射光を均一にできるため、有利である。
【0046】
また、発光装置1は、回路板53が接点であるランド85を有し、保持部材31には板バネ状接点74a,74bが配置され、ランド85と板バネ状接点74a,74bとの接触によってLED52への電力供給が可能となっている。そのため、LED52への電力供給経路に接続箇所を無くすことができ、LED52の交換が容易になる。具体的には、LED52を交換するには、ネジ83を取り外して回路板53ごとLED52を除去し、LED52が実装された新しい回路板53を保持部材31にねじ83を用いて装着する。また、回路板53ごとLED52を除去するのではなく、回路板53を取り外した後、LED52や所定の電子部品のうち、不具合部品のみを交換し、回路板53を再度取り付けるようにしても良い。いずれの場合も、電力供給用の配線には全く手をつけず、LED52やそのまわりの電子回路部分の故障を簡単に直すことができる。さらに、ランド85と板バネ状接点74a,74bとの接触状態は、両者が押圧された状態になっているため、電気接続がより確実となる。
【0047】
また、発光装置1を複数個並べた看板用の照明装置は、個々の発光装置1の光出射面の面積が大きいため、並べる発光装置1の数を少なくすることができる。具体的には、図8に示すように、直流電源91を1つ設置し、この直流電源91のプラス側の線92に発光装置1の電気線72,73の一方を接続し、マイナス側の線93に電気線95を接続する。さらに、他の発光装置1の電気線72,73の他方に接続し、電気線75同士を接続する。このようにして、次々と接続することで、発光装置1は直流電源91に対して直列に複数個接続される。このように接続された発光装置1を看板用などの照明装置とする。
【0048】
(他の形態)
以上、本発明の実施の形態における発光装置1について説明したが、本発明の要旨を逸脱しない限り種々変更実施可能である。
【0049】
発光装置1は、LED52からの光を入射し、その入射した光を一方の面から出射する板状の導光体11を備え、導光体11を保持する保持部材31と、LED52を実装する回路板53と、を有し、導光体11は、LED52から発せられる光を入射する第1の導光部12と、第1の導光部12の周囲に配置され第1の導光部12によって反射された光を導光する第2の導光部13とを有し、導光体11は、光を出射する出射面とは反対側の面に設置される保持部材31によって保持され、LED52は、保持部材31に設けられた穴33と対向するように保持部材31に取り付けられ、回路板53と保持部材31との間には、LED52および穴33の周りを囲うように密封部材となるゴムパッキン84が配置されている。
【0050】
ここで、本発明の実施の形態に係る発光装置1は、穴33を導光体11の中央部に形成しているが、必ずしもそのような必要は無く導光体11の任意の位置に形成しても良い。また、穴33およびLED52は、第1の導光部12と対向しているが、必ずしもそのような必要は無く第2の導光部13と対向していても良い。さらに、密封部材としてのゴムパッキン84の材質はゴムであるが、他の樹脂製のもの、たとえばポリオレフィン系樹脂製のものを用いることができる。また、密封部材としては、円形溝41b内に注入する樹脂材や接着剤としても良い。
【0051】
また、回路板53は、銅ベースのものであり、LED52が実装されていない面には、表面が粗面化されたアルミニウムからなる放熱部材61が設けられている。しかし、放熱部材61は必須の構成要素ではないので省略することができる。また、回路板53および放熱部材61の材質、形状等は適宜変更できる。たとえば、放熱部材61のLED52が実装されていない面の表面は粗面化されている必要はない。また逆に、放熱部材61の両表面を粗面化しても良い。また、放熱部材61の背面隆起部64に相当する部分は設けずに、放熱部材61の全面が回路板53に接触しているものとすることができる。また、放熱部材61の材質はアルミニウムではなく、銅等の他の材料とすることができるが、アルミニウムは比重が軽いため、発光装置1の軽量化の点で有利である。さらに、回路板53は、銅ベースとしているが、アルミニウム等の他の材料をベースとすることができる。
【0052】
また、第2の導光部13と保持部材61の間には、第2の導光部13にて導光される光を反射して出射面から光を出射させる反射部材(光を反射する白色シート)が配置されている。しかし、この白色シートは必須の構成要素ではないため、省略することができる。また、白色シートに代えて、鏡面状のシート等とすることができる。また、発光装置1は、第2の導光部13の傾斜面20にプリズムを細かく形成し光を方向転換させることで、白色シートと同様の光の方向転換効果を得ることとしても良い。
【0053】
また、回路板53のランド85と接続する板バネ状接点74a,74bがゴムパッキン84で囲まれた内部に配置されている。しかし、このような構成は必須ではないため、このような構成を採用しないこととすることができる。たとえば、回路板53のランド85と接続する板バネ状接点74a,74bがゴムパッキン84で囲まれた領域の外側に配置されていても良い。
【0054】
また、導光体11には、入射する光を多重散乱させる光散乱粒子が含有されている。しかし、この光散乱粒子は必須の構成要素ではないため、省略することができる。また、第1の導光部12は、第2の導光部13よりも高濃度に光散乱粒子が含有されているが、その必要もなく、第2の導光部13が、第1の導光部12よりも高濃度に光散乱粒子が含有されていてもよく、第1の導光部12と第2の導光部13の光散乱粒子の含有濃度が等しくても良い。また、光散乱粒子は、第1の導光部12または第2の導光部13のどちらか一方にのみ含有させることができる。
【0055】
また、光散乱粒子の材質、形状、粒径等の諸条件は適宜設定できる。たとえば、光散乱粒子は、その粒子径が2μmから9μmの球状かつ透光性のシリコーン粒子としている。しかし、光散乱粒子は、透光部材1内の光を多重散乱するものであれば、その材質、形状、粒子径等を問わず、種々のものを用いることができる。ただし、光散乱導光部5が入射光の前方散乱を適切な範囲で大きくするためには、粒子径が2μmから9μm、より好ましくは5μmから9μmの球状かつ透光性のシリコーン粒子を用いることが好ましい。
【0056】
また、回路板53はランド85を有し、保持部材31には板バネ状接点74a,74bが配置され、ランド85と板バネ状接点74a,74bとの押圧接触によってLED52への電力供給が可能となっている。しかし、このような構成は必須ではないため、このような構成を採用しないこととすることができる。たとえば、回路板53に板バネ状接点74a,74bを配置し、保持部材31にランド85を配置する構成としても良い。さらには、バネ接点は、板バネ状でなくコイルバネ状としても良いし、バネ性の乏しいものを用いることとしても良い。また、LED52への電力供給を可能とするための電気接続には、はんだ付け等の手法を用いることとしても良い。
【0057】
また、発光部材はLED52に限定されず、有機エレクトロルミネッセンス(Organic Electro-Luminescence、OEL、有機EL)、無機エレクトロルミネッセンス(Inorganic Electro-Luminescence、IEL、無機EL)、レーザー光等の他の発光部材を用いることができる。さらに、LED52にはチップ型のものを用いているが、レンズ付きのLEDを用いることができる。また、発光部材としては、光を直接第1の導光部12に入射させる光源でなく、光源の光を導く導光体や光源の光を反射する反射部材としても良い。
【0058】
また、導光体11には、PMMA製のものを用いているが、その他のアクリル酸エステルあるいはメタクリル酸エステルの重合体で、透明性の高い非晶質の合成樹脂であるアクリル樹脂、ポリスチレン、ポリカーボネート等の他の透光性樹脂やガラス等を材質としたものを用いることができる。
【0059】
また、導光体11の形状・構造等は、適宜変更することができる。たとえば、第1の導光部12と第2の導光部13とは2材成形で一体化されているが、単なる一体成形によって導光体11を形成しても良い。また、導光体11の外形は四角い板状とされているが、円い板状等の他の形状としても良い。また、凹部14および凹部15の形状は変更できる。また、斜面17、円形突起、および端面22は、必須の構成要素ではないため、省略できる。
【0060】
また、保持体31を構成する円形リブ35,36、直線リブ37,38、枠リブ39、切り欠き部39a,39b,39c,39d,39e,39f、切り欠き部40a,40b,40c,40d、円形溝41a,41bと2つの半円形溝41c,41d、ねじ穴43、突起部44、ねじ穴45、タブ46、穴47a,47bは、必須の構成要素ではないため、省略することができる。
【0061】
また、切り欠き部39bから円形溝41bの下側に設けられた凹部を通る経路と電気線72との隙間、および切り欠き部39eから円形溝41bの下側に設けられた凹部を通る経路と電気線73との隙間には、それらの隙間を封止するための樹脂等が設けられていても良い。この封止をすることによって、タブ46のねじ穴45を介して発光装置1が看板の固定部材に固定された場合等に、その隙間部分の密封状態が向上する。そのため、より耐候性に優れる発光装置1を得ることができる。また、切り欠き部39bおよび切り欠き部40aと電気線72とは、樹脂等によって固定されていても良い。また、切り欠き部39eおよび切り欠き部40dと電気線73とは、樹脂等によって固定されていても良い。さらに、切り欠き部39c,39dおよび切り欠き部40b,40cと電気線75とは、樹脂等によって固定されていても良い。それらの固定をすることによって、発光装置1の製造時の作業性および発光装置1の製造後の取り扱い性が良好になる。さらに、切り欠き部39a,39fが、樹脂等によって固定されていても良い。
【0062】
また、導光体11と保持体31の間を密封するゴム製のパッキン81は、発光装置1の必須の構成要素ではないため省略できる。また、回路板53には、LED52への逆方向の電圧の印加を防止し、LED52を保護するためのダイオードがLED52と共に実装されていても良い。さらに、照明装置としてのLED52を直列接続するのではなく並列接続としたものとしても良い。また、1つの発光装置1を照明装置として用いるようにしても良い。また、看板用以外に、道路灯、家屋内照明用など、他の用途の照明装置とすることができる。
【符号の説明】
【0063】
1 発光装置
2,2a,2b 出射面
11 導光体
12 第1の導光部
13 第2の導光部
19 出射面
20 傾斜面(出射面とは反対側の面)
31 保持部材
33 穴
52 LED(発光部材)
53 回路板
61 放熱部材
74a,74b 板バネ状接点(バネ接点)
84 ゴムパッキン(パッキン)
85 ランド(接点)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光部材からの光を入射し、その入射した光を一方の面から出射する板状の導光体を備える発光装置において、
上記導光体を保持する保持部材と、上記発光部材を実装する回路板と、を有し、
上記導光体は、上記発光部材から発せられる光を入射する第1の導光部と、上記第1の導光部の周囲に配置され上記第1の導光部によって反射された光を導光する第2の導光部とを有し、
上記導光体は、上記光を出射する出射面とは反対側の面に設置される上記保持部材によって保持され、
上記発光部材は、上記保持部材に設けられた穴と対向するように上記保持部材に取り付けられ、上記回路板と上記保持部材との間には、上記発光部材および上記穴の周りを囲うように密封用部材が配置されていることを特徴とする発光装置。
【請求項2】
請求項1記載の発光装置において、前記密封用部材は、ゴム製のパッキンとされ、前記回路板は、金属ベースのものであり、前記発光部材が実装されていない面には、表面が粗面化された金属からなる放熱部材が設けられていることを特徴とする発光装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の発光装置において、前記第2の導光部と前記保持部材の間には、前記第2の導光部にて導光される光を反射して前記出射面から光を出射させる反射部材が配置されていることを特徴とする発光装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の発光装置において、前記回路板の接点と接続し、前記発光部材へ電力を供給するためのバネ接点が前記密封部材で囲まれた内部に配置されていることを特徴とする発光装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の発光装置において、前記穴を円形の穴とし、前記密封部材をリング状とし、前記回路板を円形とし、その表面に接点を配置し、前記保持部材にはバネ接点を配置し、前記発光部材の位置を中心とし、径方向に上記穴の外周、上記接点と上記バネ接点、前記密封部材を順に配置したことを特徴とする発光装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の発光装置を複数個並べたことを特徴とする看板用の照明装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の発光装置を1つの直流電源に対し複数個直列配置し、前記回路板に実装された回路部品と前記バネ接点と上記直流電源のプラス側に接続されプラス電位を有する接続線の上記バネ接点の近傍部分とが前記密封部材で囲まれた内部に配置され、
上記直流電源のマイナス側に接続される上記直流電源に帰還する接続線が、前記密封部材で囲まれた部分の外側に配置されることを特徴とする看板用の照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−250974(P2010−250974A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−96271(P2009−96271)
【出願日】平成21年4月10日(2009.4.10)
【出願人】(000227364)日東光学株式会社 (151)
【Fターム(参考)】