説明

発光装置及び照明装置

【課題】信頼性の高い発光装置又は照明装置を提供する。また、製造歩留まりの高い発光装置又は照明装置を提供する。
【解決手段】逆テーパー型に代表される、上部輪郭よりも底部輪郭が内側に存在するような形状の分離層を用い、発光層材料成膜時の回り込み量と、上部電極材料成膜時の回りこみ量との差を利用したコンタクト構造を有する発光装置を提供する。また、当該コンタクト部を形成する分離層の輪郭に凹凸形状を設けることによって当該コンタクトの長さを増やし、コンタクト抵抗を低減することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一対の電極間に有機化合物を含む発光層を有するEL素子を用いた発光装置又は照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、一対の電極間に有機化合物を含む発光層(以下EL層とも称する)を有する発光素子(エレクトロルミネッセンス素子:EL素子ともいう)の開発が盛んに行われている。その用途として注目されている分野のひとつが照明分野である。この理由として、EL素子を用いた照明装置は薄型軽量に作製できること、面での発光が可能であること等、他の照明器具にはない特徴を備えることが挙げられる。
【0003】
また、EL素子は電力の光への変換効率が高く、省エネルギー性能でも高いポテンシャルを秘めている点でも注目されている。また、基板の選択によっては可撓性を有する照明装置や物理的な破壊に強い耐衝撃性を有する照明装置、非常に軽量な照明装置を提供できる点も特徴的である。
【0004】
特許文献1には、有機EL素子を用いた照明器具が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−130132号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
1枚の基板上に、複数の発光領域を有するEL素子もしくは複数のEL素子を形成する場合、少なくとも一方の電極を所望の形状にパターニングする必要がある。一対の電極のうち、当該基板側に位置する電極をパターニングするには、フォトリソグラフィ技術を使用することができるが、他方の電極をパターニングする場合は、有機化合物を含む発光層を形成してから行うため、溶剤を使用するフォトリソグラフィ技術の適用は困難を極める。
【0007】
そのため、このような場合には、通常メタルマスク(シャドーマスク)を用いたパターニングが行われる。これは、基板と材料源との間にメタルマスクを設け、当該メタルマスクの開口部を介して基板に成膜し、パターニングを行う方法である。
【0008】
しかし、このメタルマスクは、フォトリソグラフィ工程において用いられるフォトマスクに比べて、アライメント精度、パターン加工精度ともに大きく劣るため、部分選択的に成膜を行うには、成膜領域周辺に十分な余裕が必要とされる。すなわち、メタルマスクを用いたパターニングではフォトリソグラフィ工程を経て行われるパターニングに比べ、圧倒的に面積ロスが大きい。そのため、メタルマスクを用いて作製した照明装置は、当該面積ロス分、発光領域が小さくなってしまう。発光領域が小さい照明装置において所望の輝度を得るためには、発光領域の大きい照明装置より大きな電流を流さなくてはいけないが、大きな電流を流すことによって劣化が促進されてしまうため、寿命に悪影響を及ぼす恐れがある。
【0009】
さらに、メタルマスクは基板との距離が短いほど精密なパターンを形成することができるが、メタルマスクを基板に近づけすぎると、基板表面に接触し、すでに形成してある発光層などに傷をつけてしまう場合がある。また、メタルマスクに付着したゴミなどが基板に付着してしまう場合もある。発光層に傷がつくことや、ゴミが付着することなどによって、ショートや非発光領域の形成などの不良が引き起こされ、信頼性や製造歩留まりの低下につながる。
【0010】
そこで、本発明では、信頼性の高い発光装置又は照明装置を提供することを課題とする。また、製造歩留まりの高い発光装置又は照明装置を提供する。
【0011】
また、照明装置として使用するためには、消費電力が小さいことが大きなメリットとなりうる。
そこで、本発明では、上記課題の少なくとも1を解決しつつ、コンタクト抵抗を低下させ、消費電力のより小さい発光装置又は照明装置を提供することを課題とする。
【0012】
本発明では、上記課題の少なくとも1を解決すればよい。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を鑑み、本発明者らは、逆テーパー型に代表される、上部輪郭よりも底部輪郭が内側に存在するような形状の分離層を用い、上部輪郭内への発光層材料成膜時の回り込み量と、上部電極材料成膜時の回りこみ量との差を利用したコンタクト構造を有する発光装置を見出した。また、当該コンタクト構造を形成する分離層の輪郭に凹凸形状を設けることによってコンタクト可能部分の長さが長くなり、コンタクト抵抗を低下できることを見出した。
【0014】
すなわち、本発明の構成の一は絶縁表面上に形成された発光素子を有し、発光素子は、絶縁表面により近い第1の電極と、第1の電極に対向する第2の電極と、第1の電極と第2の電極との間に設けられた発光物質を含む有機化合物層とを有し、第1の電極と有機化合物層と第2の電極とが接して重なっている部分に発光領域が形成され、発光領域の一辺に沿って底部よりも上部が外側に突き出した突出部を有する分離層を有し、分離層の下に第1の電極と電気的に分離した導電層を有し、発光領域の有機化合物層と第2の電極とが、分離層の突出部の軒下部分まで延在すると共に、第2の電極が有機化合物層よりも突出部の輪郭の内側に延在することにより、第2の電極は、導電層と電気的に接続され、分離層の突出部における発光領域に面する輪郭の長さの和が、発光領域における分離層に面する辺の長さの和よりも長いことを特徴とする発光装置である。
【0015】
また、本発明の他の構成は、絶縁表面上に形成された発光素子を有し、発光素子は、絶縁表面により近い第1の電極と、第1の電極に対向する第2の電極と、第1の電極と第2の電極との間に設けられた発光物質を含む有機化合物層とを有し、第1の電極と有機化合物層と第2の電極とが接して重なっている部分に発光領域が形成され、発光領域の一辺に沿って底部よりも上部が外側に突き出した突出部を有する分離層を複数有し、分離層の下に第1の電極と電気的に分離した導電層を有し、発光領域の有機化合物層と第2の電極とが、分離層の突出部の軒下部分まで延在すると共に、第2の電極が有機化合物層よりも突出部の輪郭の内側に延在することにより、第2の電極は、導電層と電気的に接続され、複数の分離層の突出部における輪郭の長さの和が、発光領域における分離層に面する辺の長さの和よりも長いことを特徴とする発光装置である。
【0016】
以上のような構成を有する本発明の発光装置は、メタルマスクを用いずとも第2の電極をパターニングすることができることから、信頼性の高い発光装置である。また、同様の理由により、製造歩留まりの高い発光装置とすることができる。また、第1の電極と電気的に分離された導電層は、第2の電極と接触していることから、第2の電極に対する補助配線として機能する。これにより、第2の電極の電圧降下を抑制することができ、品質の高い発光装置を提供することができる。また、第2の電極と導電層の接触する長さが長いことから、コンタクト抵抗のより小さい、消費電力の小さい発光装置とすることができる。なお、分離層の輪郭の長さに対応してコンタクト部が形成されることから、当該分離層が複数の島状に分割されている場合は、それら複数の分離層の輪郭の長さの和が、当該発光領域における分離層に面する辺の長さの和より長ければ、その分コンタクト抵抗が低減されることとなる。
【0017】
また、本発明の他の構成は、絶縁表面上に形成されたEL素子を有し、EL素子は絶縁表面により近い第1の電極と、第1の電極に対向する第2の電極と、第1の電極と第2の電極との間に設けられた発光物質を含む有機化合物層と、を有し、第1の電極と有機化合物層と第2の電極とが接して重なっている部分に発光領域が形成され、発光領域に挟まれる領域に分離層を有し、分離層は絶縁表面に垂直な方向から見た輪郭よりも内側に脚部が形成されており、分離層の下には、第1の電極と電気的に分離された導電層を有し、第2の電極と導電層は、分離層における絶縁表面に垂直な方向から見た輪郭より内側において接触しており、輪郭の長さが、絶縁表面に垂直な方向から見て、分離層を覆うことができる最小の四角形を想定した場合、四角形における辺の長さの和より長いことを特徴とする発光装置である。
【0018】
また、本発明の他の構成は、絶縁表面上に形成されたEL素子を有し、EL素子は絶縁表面により近い第1の電極と、第1の電極に対向する第2の電極と、第1の電極と第2の電極との間に設けられた発光物質を含む有機化合物層と、を有し、第1の電極と有機化合物層と第2の電極とが接して重なっている部分に発光領域が形成され、発光領域に挟まれる領域に、分離層を複数有し、複数の分離層は絶縁表面に垂直な方向から見た輪郭よりも内側に脚部が形成されており、分離層の下には、第1の電極と電気的に分離された導電層を有し、第2の電極と導電層は、分離層における絶縁表面に垂直な方向から見た輪郭より内側において接触しており、複数の分離層の輪郭の長さの和が、絶縁表面に垂直な方向から見て、複数の分離層を覆うことができる最小の四角形を想定した場合、四角形における辺の長さの和より長いことを特徴とする発光装置である。
【0019】
以上のような構成を有する本発明の発光装置は、メタルマスクを用いずとも第2の電極をパターニングすることができることから、信頼性の高い発光装置である。また、同様の理由により、製造歩留まりの高い発光装置とすることができる。また、第1の電極と電気的に分離された導電層は、第2の電極と接触していることから、第2の電極に対する補助配線として機能する。これにより、第2の電極の電圧降下を抑制することができ、品質の高い発光装置を提供することができる。また、第2の電極と導電層の接触する長さが長いことから、コンタクト抵抗のより小さい、消費電力の小さい発光装置とすることができる。なお、分離層の輪郭の長さに対応してコンタクト部が形成されることから、当該分離層が複数の島状に分割されている場合は、それら複数の分離層の輪郭の長さの和が、当該複数の分離層を覆うことができる最小の四角形の辺の長さの和より長ければ、その分コンタクト抵抗が低減されることとなる。
【0020】
また、本発明の他の構成は、上記構成において、第2の電極が透光性を有する材料により形成されていることを特徴とする発光装置である。
【0021】
このような構成を有する本発明の発光装置は、トップエミッション型の発光装置とすることができる。トップエミッション型の発光装置とすることによって、ボトムエミッション型の発光装置と比較して、放熱を容易に行うことができるため、信頼性の高い発光装置とすることができる。また、透光性を有する材料は一般に電気伝導率が小さく、電極の厚さ、形状によっては電圧降下によって、発光領域内に輝度むらが発生する恐れがあるが、導電層を補助電極として用いることによって、当該輝度むらの発生を抑制することが可能となる。
【0022】
また、本発明の他の構成は、上記構成において、導電層が第1の電極と同じ材料で形成されていることを特徴とする発光装置である。
【0023】
上記構成を有する本発明の発光装置は、導電層を第1の電極と同時に形成することができ、簡便に上記構成を実現することができる。
【0024】
また、本発明の他の構成は、絶縁表面上に形成された第1の発光素子と第2の発光素子を有し、第1の発光素子は絶縁表面側に位置する第1の電極と、第1の電極に対向する第2の電極と、第1の電極と第2の電極との間に設けられた発光物質を含む有機化合物層とを有し、第2の発光素子は絶縁表面側に位置する第3の電極と、第3の電極に対向する第4の電極と、第3の電極と第4の電極との間に設けられた発光物質を含む有機化合物層とを有し、第1の発光素子と第2の発光素子に挟まれる領域に分離層を有し、分離層の下には、第3の電極に電気的に接続する配線が形成され、分離層は底部よりも上部が外側に突き出した突出部を有し、第1の発光素子の有機化合物層と第2の電極とが、分離層の突出部の軒下部分まで延在すると共に、第2の電極が有機化合物層よりも突出部の輪郭の内側に延在することにより、第2の電極は、配線と接触し、第2の電極が配線と接触する長さが、第1の発光素子における分離層に面する辺の長さよりも長いことを特徴とする発光装置である。
【0025】
上記構成を有する発光装置は、第1の発光素子と第2の発光素子が直列に接続する構造を有する。さらに、当該直列接続するためのコンタクト部は、発光層形成後のフォトリソグラフィ工程や、メタルマスクを用いずに形成できることから、信頼性の高い発光装置とすることができる。また、製造歩留まりの高い発光装置とすることができる。また、直列接続するためのコンタクト部の長さが第1の発光素子における分離層に面する辺の長さよりも長いことによって、コンタクト抵抗を低減することができ、消費電力の小さい発光装置とすることができる。
【0026】
また、本発明の他の構成は、絶縁表面上に形成された第1の発光素子と第2の発光素子を有し、第1の発光素子は絶縁表面側に位置する第1の電極と、第1の電極に対向する第2の電極と、第1の電極と第2の電極との間に設けられた発光物質を含む有機化合物層とを有し、第2の発光素子は絶縁表面側に位置する第3の電極と、第3の電極に対向する第4の電極と、第3の電極と第4の電極との間に設けられた発光物質を含む有機化合物層とを有し、第1の発光素子と第2の発光素子に挟まれる領域に複数の分離層を有し、分離層の下には、第3の電極に電気的に接続する配線が形成され、複数の分離層は底部よりも上部が外側に突き出した突出部を有し、第1の発光素子の有機化合物層と第2の電極とが、複数の分離層の突出部の軒下部分まで延在すると共に、第2の電極が有機化合物層よりも突出部の輪郭の内側に延在することにより、第2の電極は、配線と接触し、第2の電極が配線と接触する長さが、第1の発光素子における複数の分離層に面する辺の長さよりも長いことを特徴とする発光装置である。
【0027】
上記構成を有する発光装置は、第1の発光素子と第2の発光素子が直列に接続する構造を有する。さらに、当該直列接続するためのコンタクト部は、発光層形成後のフォトリソグラフィ工程や、メタルマスクを用いずに形成できることから、信頼性の高い発光装置とすることができる。また、製造歩留まりの高い発光装置とすることができる。また、直列接続するためのコンタクト部の長さが分離層を覆うことができる最小の四角形辺の長さより長いことによって、コンタクト抵抗を低減することができ、消費電力の小さい発光装置とすることができる。なお、分離層の輪郭の長さに対応してコンタクト部が形成されることから、当該分離層が複数の島状に分割されている場合は、それら複数の分離層の輪郭の長さの和が、第1の発光素子における分離層に面する辺の長さよりも長ければ、その分コンタクト抵抗が低減されることとなる。
【0028】
また、本発明の他の構成は、絶縁表面上に形成された第1の発光素子と第2の発光素子を有し、第1の発光素子は絶縁表面側に位置する第1の電極と、第1の電極に対向する第2の電極と、第1の電極と第2の電極との間に設けられた発光物質を含む有機化合物層と、を有し、第2の発光素子は絶縁表面側に位置する第3の電極と、第3の電極に対向する第4の電極と、第3の電極と第4の電極との間に設けられた発光物質を含む有機化合物層と、を有し、第1の発光素子と第2の発光素子に挟まれる領域に分離層を有し、分離層は絶縁表面に垂直な方向から見た輪郭よりも内側に脚部が形成されており、分離層の下には第3の電極に電気的に接続する配線が形成され、輪郭における第2の発光素子に面した部分及びその内側の一部に重なり、且つ配線上に形成された絶縁層を有し、第2の電極と配線は、輪郭より内側において、絶縁層が存在しない部分で接触しており、輪郭のうち、輪郭と絶縁層が重なっていない部分の長さが、絶縁表面に垂直な方向から見て、分離層を覆うことができる最小の四角形を想定した場合、四角形の辺のうち、辺と絶縁層が重なっていない部分の長さより長いことを特徴とする発光装置である。
【0029】
上記構成を有する発光装置は、第1の発光素子と第2の発光素子が直列に接続する構造を有する。さらに、当該直列接続するためのコンタクト部は、発光層形成後のフォトリソグラフィ工程や、メタルマスクを用いずに形成できることから、信頼性の高い発光装置とすることができる。また、製造歩留まりの高い発光装置とすることができる。また、直列接続するためのコンタクト部の長さが分離層を覆うことができる最小の四角形のコンタクト部に対応する辺の長さより長いことによって、コンタクト抵抗を低減することができ、消費電力の小さい発光装置とすることができる。
【0030】
また、本発明の他の構成は、絶縁表面上に形成された第1の発光素子と第2の発光素子を有し、第1の発光素子は絶縁表面側に位置する第1の電極と、第1の電極に対向する第2の電極と、第1の電極と第2の電極との間に設けられた発光物質を含む有機化合物層と、を有し、第2の発光素子は絶縁表面側に位置する第3の電極と、第3の電極に対向する第4の電極と、第3の電極と第4の電極との間に設けられた発光物質を含む有機化合物層とを有し、第1の発光素子と第2の発光素子に挟まれる領域に、分離層を複数有し、複数の分離層は絶縁表面に垂直な方向から見た輪郭よりも内側に脚部が形成されており、複数の分離層の下には第3の電極に電気的に接続する配線が形成され、複数の分離層における輪郭のうち、第2の発光素子に面した部分及びその内側の一部に重なり、且つ配線上に形成された絶縁層を有し、第2の電極と配線は、複数の分離層における輪郭より内側において、絶縁層が存在しない部分で接触しており、複数の分離層における輪郭のうち、絶縁層と重なっていない部分の長さの和が、絶縁表面に垂直な方向から見て、複数の分離層を覆うことができる最小の四角形を想定した場合、四角形の辺のうち、辺と絶縁層が重なっていない部分の長さより長いことを特徴とする発光装置である。
【0031】
上記構成を有する発光装置は、第1の発光素子と第2の発光素子が直列に接続する構造を有する。さらに、当該直列接続するためのコンタクト部は、発光層形成後のフォトリソグラフィ工程や、メタルマスクを用いずに形成できることから、信頼性の高い発光装置とすることができる。また、製造歩留まりの高い発光装置とすることができる。また、直列接続するためのコンタクト部の長さが分離層を覆うことができる最小の四角形の辺の長さより長いことによって、コンタクト抵抗を低減することができ、消費電力の小さい発光装置とすることができる。なお、分離層の輪郭の長さに対応してコンタクト部が形成されることから、当該分離層が複数の島状に分割されている場合は、それら複数の分離層の輪郭の長さの和が、当該複数の分離層を覆うことができる最小の四角形の辺の長さの和より長ければ、その分コンタクト抵抗が低減されることとなる。
【0032】
また、本発明の他の構成は、上記構成において、第2の電極及び第4の電極は透光性を有する材料で形成されていることを特徴とする発光装置である。
【0033】
このような構成を有する本発明の発光装置は、トップエミッション型の発光装置とすることができる。トップエミッション型の発光装置とすることによって、ボトムエミッション型の発光装置と比較して、放熱を容易に行うことができるため、信頼性の高い発光装置とすることができる。また、透光性を有する材料は一般に電気伝導率が小さく、電極の厚さ、形状によっては電圧降下によって、発光領域内に輝度むらが発生する恐れがあるが、導電層を補助電極として用いることによって、当該輝度むらの発生を抑制することが可能となる。
【0034】
また、本発明の他の構成は、上記構成において、配線は第3の電極と連続して形成されていることを特徴とする発光装置である。
【0035】
上記構成を有する本発明の発光装置は、導電層を第1の電極と同時に形成することができ、簡便に上記構成を実現することができる。
また、本発明の他の構成は、上記構成において、輪郭が凹凸形状を有していることを特徴とする発光装置である。
【0036】
また、本発明の他の構成は、上記構成において、複数の分離層のうち少なくとも一つの分離層の輪郭が、凹凸を有することを特徴とする発光装置である。
【0037】
また、本発明の他の構成は、上記構成において、凹凸の形状は、四角、三角、半円及び波型のいずれか一もしくは複数組み合わされた形状であることを特徴とする発光装置である。また、本発明の他の構成は、上記構成において、複数の分離層の少なくとも一つの輪郭が円形、楕円形、四角形、三角形及び六角形のいずれかの形状を有することを特徴とする発光装置である。
【0038】
また、本発明の他の構成は上記構成を有する発光装置を用いた照明装置である。
【発明の効果】
【0039】
本発明の発光装置は、信頼性の高い発光装置である。また、製造歩留まりの高い発光装置である。また、本発明の発光装置は、信頼性が高く、且つ消費電力の小さい発光装置である。また、本発明の発光装置は、製造歩留まりが高く、且つ消費電力の小さい発光装置である。また、本発明の発光装置は、信頼性及び製造歩留まりが高く、且つ消費電力の小さい発光装置である。
【0040】
本発明の照明装置は、信頼性の高い照明装置である。また、製造歩留まりの高い照明装置である。また、本発明の照明装置は、信頼性が高く、且つ消費電力の小さい照明装置である。また、本発明の照明装置は、製造歩留まりが高く、且つ消費電力の小さい照明装置である。また、本発明の照明装置は、信頼性及び製造歩留まりが高く、且つ消費電力の小さい照明装置である。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の一態様である発光装置の構成を表す図。
【図2】本発明の一態様である発光装置の構成を表す図。
【図3】本発明の一態様である発光装置の構成を表す図。
【図4】本発明の一態様である発光装置の構成を表す図。
【図5】本発明の一態様である発光装置の構成を表す図。
【図6】本発明の一態様である発光装置の構成を表す図。
【図7】本発明の一態様である発光装置の構成を表す図。
【図8】EL素子の構成を説明する図。
【図9】本発明の一態様である発光装置を表す図。
【図10】本発明の一態様である照明装置を表す図。
【図11】本発明の一態様である照明装置を表す図。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。但し、本発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0043】
なお、説明に用いる図はわかりやすさを優先し、各要素における拡大、縮小率は一定ではない。そのため、図における各要素の厚さ、長さ、大きさの比率がそのまま本発明の一態様である発光装置の厚さ、長さ、大きさの比率を表すわけではないことに留意されたい。また、数値が同一であり、アルファベットの符号のみが異なる符合については、同一のグループとして扱う場合があり、上述のような符号に関して数値のみ示された場合は、アルファベットの異なる符号をすべて含めたグループを指すものとする。
【0044】
また、本明細書中において、「輪郭」とは、特に説明(場所の特定)が無い限り、対象を絶縁表面に垂直な方向から見た場合の最も外側の輪郭のことをいう。すなわち、最も突出した突出部の輪郭であるとする。
【0045】
また、本明細書中においては当該発光領域が複数設けられている場合は、電極の電位が同じ電位となるように形成されている発光領域については、発光領域が分断されていたとしても同一のEL素子とみなす。
【0046】
(実施の形態1)
図1は本発明の一態様である発光装置の断面の模式図である。なお、ここでは、本発明の発光装置の一部を抜き出して図示している。図1(A)は、EL素子を有する発光装置200の断面概略図である。発光装置200は、絶縁表面を有する基板101上に、当該基板に近いほうから第1の電極203、EL層205、第2の電極207が設けられ、これらが接して形成されている部分が発光領域220となるEL素子を有している。
【0047】
なお、本明細書中においては当該発光領域が複数設けられている場合は、電極の電位が同じ電位となるように形成されている発光領域については、発光領域が分断されていたとしても同一のEL素子とみなすと先に述べたが、逆に、複数の発光領域に対して第1の電極203同士、第2の電極207同士の電位を比較した際、有意に違いがある場合には異なるEL素子であるとみなす。そのため、図1(A)の断面図に示した発光領域220aと発光領域220bは、発光領域220aの第1の電極203aと発光領域220bの第2の電極207bが直列に接続しており、発光させた際、第1の電極203aと第1の電極203b、第2の電極207aと第2の電極207bの電位がそれぞれ異なる構造となっているため、異なるEL素子の発光領域として扱う。以下、本実施の形態においては、発光領域220aを有するEL素子をEL素子a、発光領域220bを有するEL素子をEL素子bとして記載する。
【0048】
発光装置200は、第2の電極207に電気的に接続される配線213と、配線213上にそれぞれ設けられた分離層211と、配線213上に形成された絶縁層209とを有する。また、EL素子は、第1の電極203及び第2の電極207に電圧を印加し、これらに挟持されたEL層205に電流を流すことにより発光を得るものである。
【0049】
ここでEL素子は、発光を取り出す側の電極層にEL素子からの発光に対する透光性を有する材料を設ける。例えば上面発光型であれば第2の電極207に、下面発光型であれば第1の電極203に、また両面発光型であれば、両方の電極層に透光性を有する導電性材料を用いる。
【0050】
分離層211は配線213上に設けられ、その底部の輪郭が、分離層211の輪郭の内側に位置するような形状、すなわち、底部よりも上部が外側に突き出した突出部を有する形状を有する。例えば、いわゆる逆テーパーといわれる形や、図1(A)の分離層211のような、細い脚部211aと太い台部211bから構成される形状などがこれにあたる。分離層211の輪郭から底部の輪郭に至る形状は特に問わないが、直線よりは、段差や曲率を有しているほうがより確実に第2の電極207を分離することができるため好ましい。また、同様の理由により、分離層211の輪郭と底部の輪郭との差はより大きいほうが好ましい。
【0051】
EL層205は分離層211が存在することによって成膜時に分断され、EL素子aのEL層205aとEL素子bのEL層205bに分割する。同様に第2の電極207も成膜時に分断され、EL素子aの第2の電極207aとEL素子bの第2の電極207bに分割するが、回り込みの大きい成膜方法によって成膜することによって、EL層205よりも、分離層211の輪郭の内側(分離層211の突出部の軒下部分)、に伸張して成膜される。これにより、EL素子bの第2の電極207bが分離層211の下部に形成された配線213に接触し、当該配線213がEL素子aの第1の電極203aと電気的に接続していることから、EL素子bの第2の電極207bとEL素子aの第1の電極203aを接続することができ、EL素子aとEL素子bを直列に接続することが可能となる。言い換えると、EL素子bの第2の電極207bと配線213とが、分離層211の輪郭の内側において接触している構造によりEL素子bとEL素子aとが直列に接続されている。
【0052】
EL層205及び第2の電極207は、基板101上に第1の電極203、配線213、絶縁層209、分離層211を形成した後、成膜を行うことにより形成される。EL層205は例えば真空蒸着法等の成膜方法を用いて形成でき、第2の電極207は、真空蒸着法、スパッタリング法などの成膜方法により形成できる。
【0053】
第2の電極207の成膜時に、膜の回りこみを大きくするには、例えばスパッタリングターゲット、又は蒸着源と基板101との距離を小さくして成膜する方法などが挙げられる。また、基板101に対し、斜め上方から成膜を行うことや、基板101を面内方向に動かしながら成膜する方法などが挙げられる。
【0054】
このように、本実施の形態における発光装置はメタルマスクを使用しなくとも、EL層205及び第2の電極207を分断することができ、直列接続構造を形成することができる構成を有している。そのため、本実施の形態における発光装置は信頼性の良好な発光装置とすることができる。また、製造歩留まりの高い発光装置とすることができる。
【0055】
また、分離層211の形成はEL層205の成膜前に行うことから、フォトリソグラフィ技術を採用することができる。そのため、メタルマスクを用いて作製する発光装置と比較して、面積ロスを小さくすることができ、発光装置における発光領域の割合を大きくすることができる。
【0056】
図1(A)ではEL素子bの第2の電極207bとEL素子aの第1の電極203aに接続する配線213が接触してEL素子aとEL素子bの直列構造を実現しているが、分離層211の輪郭のEL素子aに面する部分とその下の配線213との間には絶縁層209aが形成されることで、EL素子aの第2の電極207aと配線213との接触を防いでいる。すなわち、絶縁層209aは、分離層211の輪郭のうち、配線213と同電位の第1の電極を有するEL素子に面する部分の下部に形成される。
絶縁層209aは少なくとも第2の電極207aと配線213との接触を防ぐことができる程度に形成されていれば良いが、その分離層211側の端部が分離層211底部輪郭に接触するように形成されていることで、より確実にEL素子aの第2の電極207aと配線213との接触を抑制することができる。
【0057】
第1の電極203及び配線213のそれぞれの端部を覆うように形成された絶縁層209bは、EL層205b及び第2の電極207bが、第1の電極203bの段差により断線しないために設けられる。そのため、絶縁層209bは、その上面に形成される膜が途切れないよう、順テーパー形状を有していることが好ましい。順テーパー形状とは、断面において、ある層がその端部からなだらかに厚みを増して下地となる層に接する構成をいう。
【0058】
ここで図1(B)に配線213と第2の電極207とが接続する領域を拡大した断面概略図を示す。
【0059】
図1(B)中の破線で示す領域は、配線213と第2の電極207との接触部を示す。配線213と第2の電極207とは分離層211の輪郭の内側、すなわち分離層211の輪郭と分離層211底部の輪郭との間に存在する配線213の表面で接触し、これらが電気的に接続される。ここで、第2の電極207の配線213と接触する部分の厚さは、発光領域220(第1の電極203、EL層205、及び第2の電極207が接触して積層される領域)における第2の電極207の厚さに比べて薄く形成される。また、その接触部分の厚さは、分離層211の底部輪郭に近いほど薄くなる、所謂順テーパー形状を有していてもよい。このように接触部分の厚さが薄く形成されることにより、分離層211の側面と配線213との隙間が小さい場合であっても接触面を大きくすることが出来るため接触抵抗を小さくすることが出来る。
【0060】
発光装置の作製方法において、通常ではEL層205及び第2の電極207の形成時に、EL素子に重なる開口部を有するメタルマスクを用いて成膜を行う。しかし、分離層211をこのように設けることにより、当該メタルマスクを用いることなく発光装置200を作製することができる。したがって、メタルマスクを用いた場合におけるコストの増大や、当該メタルマスクと基板との接触による不具合を抑制することができる。
【0061】
なお、分離層211は、図1(A)では発光領域220aを有するEL素子と発光領域220bを有するEL素子とを分離すると同時に、一方の陰極と他方の陽極とを直列に接続するのにも用いているが、単に隣接するEL素子を分離するために分離層211を用いる場合は、分離層211を配線213上ではなく、絶縁層209aの上に設ければ良い。
【0062】
図2(A)〜(E)に本実施の形態における発光装置の上面概略図(基板に垂直な方向から見た概略図)の一部を示す。図1で説明したように、配線213はEL素子aの第1の電極203aに電気的に接続する配線であり、図2においてはその端部は一点鎖線で示した。配線213上には分離層211が形成されており、その輪郭は実線で示した。また、絶縁層209aは少なくとも分離層211のEL素子aに面した輪郭及びその内側に連続して設けられており、その端部は破線で示した。また、絶縁層209bは配線213端部及びEL素子bの第1の電極203b(図示せず)の端部を覆って形成されている。EL層205及び第2の電極207は見易さを優先し、省略してある。
【0063】
EL層205及び第2の電極207は分離層211によって分断される。そして、EL層205の回りこみ量と第2の電極207の回り込み量との差を利用して、分離層211の輪郭に沿って当該輪郭より内側で第2の電極207と配線213が接触する。この接触抵抗が高いと余分な電力を消費してしまい、消費電力が増大してしまうが、第2の電極207の回り込み量は成膜方法によって一定であるため、第2の電極207と配線213の接触面積を増やすには、分離層211の長さを長くする必要がある。
【0064】
EL素子の直列接続部を形成するための分離層211はEL素子における発光領域の一辺に沿って設けられる。そのため、分離層211を長くすることは、必然的に発光領域の当該辺の長さおよび対辺を拡大することになる。このとき、発光領域の他の辺およびその対辺を、当該直列接続部が形成される辺と同率程度に拡大した場合、発光させる際に必要な電流値も増大する。そのため、この電流経路に存在する直列接続領域は当該電流値に応じて低抵抗化される必要があるが、発光領域の拡大が縦、横の二次元になされるのに対し、直列接続部は縦方向(長さ方向)にしか伸ばすことができない。すなわち、この場合、直列接続部の接触抵抗による問題は相対的に悪化する方向にある。
次に発光領域の他の辺及びその対辺の長さを伸ばさず、直列接続部が形成される辺およびその対辺のみ拡大した場合を考える。この場合、直列接続部も発光領域も一次元のみの拡大であるので、直列接続部の接触抵抗による問題は悪化もしないが、改善もされない。
最後に、直列接続部が形成される辺およびその対辺を拡大し、その他の辺及びその対辺を縮小した場合、直列接続部の接触抵抗による問題は改善されるが、発光領域に対する、直列接続部(非発光領域)の形成領域が大幅に増加するため、開口率が低下してしまう。また、直列に接続するEL素子の段数が増えるため、駆動電圧が高くなるなどの問題がある。
【0065】
ここで、本発明者らは、コンタクト部の長さを長くするために、分離層211自体の長さを変えるのではなく、分離層211の輪郭の長さを長くすることによって、コンタクト面積が増加し、コンタクト抵抗を低減させることができることを見出した。
【0066】
すなわち、分離層211の輪郭に凹凸を設けることによって、もしくは、分離層211を複数の島で形成することによって分離層211の形成領域を大きくしなくても、当該輪郭に沿って分断される第2の電極207と配線213とが接触する長さを増やすことができることを見出した。
【0067】
図2(A)では分離層211の輪郭が櫛歯状の凹凸を有する場合の例を、(B)では山型の凹凸を有する例を、(C)では櫛歯の角が丸みを帯びている形状の凹凸を有する例を、(D)では波状の凹凸を有する例を示した。本実施の形態においては、直列接続構造を形成するための構成を示していることから、配線213と同電位になる第1の電極203を有するEL素子側の分離層211の輪郭における、少なくとも下部及びその内側に絶縁層209aが形成され、分離層211の絶縁層209a側の端部で分断された第2の電極207が配線213と接触してしまうことを防いでいる。そのため、直列接続部における接触抵抗低減の効果を奏する輪郭の長さは、少なくとも配線213との間に絶縁層が形成されていない輪郭部分の長さということになる。なお、第2の電極207と同様にEL層205も分離層にて分断されるため、多少の回り込みにより分離層211と配線213との間に存在する場合も考えられる。EL層205は基本的に絶縁性であるが、本発明は、第2の電極207とEL層205との回り込み量の差を利用して接続を得るものであり、分離層211と配線213との間にEL層205が存在していたとしても直列接続部の形成が可能であることから、EL層205に関しては上記絶縁層として含めないものとする。図2(E)では、当該分離層が島状に複数形成されている例を示した。この場合、複数の島状に形成されている分離層211の輪郭を足し合わせた長さが、図2(A)〜(D)における輪郭の長さに相当する。このように、分離層211の短い方向(幅方向)に深さを有する凹凸が輪郭に形成されていることによって、分離層211自体の形成領域を変えずに、第2の電極207と配線213との接触長さ、ひいては接触面積を増やすことができる。これにより、直列接続部の接触抵抗が低減し、消費電力の低減につながる。
なお、本実施の形態の発光装置における分離層211の輪郭の形状は上記のものに限られない。
【0068】
また、分離層211の輪郭に設けられる凹凸は、幅方向になるべく深いことが、より輪郭の長さを長くできるために好ましい構成である。また、同様に、その凹凸の形成密度はなるべく密であることが好ましい。
【0069】
なお、上記概念をもたない発光素子における分離層の発光領域に面する輪郭は凹凸形状を有さない。通常発光領域の辺の長さは凹凸を有さないことから、発光領域における分離層に面する辺の長さと、本実施の形態における分離層の輪郭の長さを比較して、分離層の長さが長ければ、コンタクト抵抗低減効果が得られているということができる。
【0070】
また、本発明の概念を持たない分離層の輪郭形状は一つの四角形であるということもできる。このことから少なくとも本実施の形態における分離層と同じ形成領域に形成された四角形の輪郭を有する分離層を想定して、当該四角形の分離層の輪郭より、本実施の形態の分離層の輪郭の長さが長ければ、接触抵抗の低減効果が得られる。ここで、実際にコンタクトを形成するのは、絶縁層が重なっていない部分の輪郭の下部であることから、上記輪郭の長さはどちらも絶縁層(EL層を除く)が重なっていない部分の輪郭の長さで比較するものとする。また、「本実施の形態における分離層と同じ形成領域に形成された四角形」とは、より具体的に、「本実施の形態における分離層を覆うことができる最小の四角形」と言い換えることもできる。
【0071】
直列接続部の上面図を表示領域を拡大して図3に示した。上述したように、本実施の形態における発光装置はEL素子の直列接続構造を有している。EL素子aとEL素子bの直列接続構造は、EL素子aにおける発光領域220aとEL素子bにおける発光領域220bとに挟まれる領域に設けられる。
【0072】
(実施の形態2)
図4は実施の形態1とは異なる本発明の一態様である発光装置の断面図である。なおここでは、本発明の発光装置の一部を抜き出して図示している。図4の発光装置は図1の発光装置と同様に、絶縁表面を有する基板101上に当該基板に近いほうから第1の電極303、EL層305、第2の電極307が設けられ、これらが接して形成されている部分が発光領域320となるEL素子を有している。EL素子は、発光を取り出す側の電極層にEL素子からの発光に対する透光性を有する材料を設ける。例えば上面発光型であれば第2の電極307に、下面発光型であれば第1の電極303に、また両面発光型であれば、両方の電極層に透光性を有する導電性材料を用いる。
【0073】
本明細書中においては当該発光領域が複数設けられている場合は、電極の電位が常に同じ電位となるように形成されている発光領域については、発光領域が分断されていたとしても同一のEL素子とみなす。図4においては図示されていないが、第1の電極303aと第1の電極303bは同電位であるとする。すなわち、発光領域320aと発光領域320bとは同じEL素子内の異なる発光領域ということができる。なお、発光領域320aと発光領域320bとは図4に示した断面以外の部分においてつながっていても良い。
【0074】
図4の発光装置は、第1の電極303a及び第1の電極303bから電気的に独立した導電層313を備えており、導電層313上には分離層311が設けられている。分離層311はその底部の輪郭が、分離層311の輪郭の内側に位置するような形状、すなわち、底部よりも上部が外側に突出した突出部を有する。例えば、いわゆる逆テーパーといわれる形や、細い脚部311aと太い台部311bから構成される形状などがこれにあたる。分離層311の輪郭から底部の輪郭に至る形状は特に問わないが、直線よりは、段差や曲率を有しているほうがより確実に第2の電極307を分離することができるため好ましい。また、同様の理由により、分離層311の輪郭と底部の輪郭との差はより大きいほうが好ましい。
【0075】
EL層305は分離層311が存在することによって成膜時に分断される。同様に第2の電極307も成膜時に分断されるが、回り込みの大きい成膜方法によって成膜することによって、EL層305よりも、分離層311の輪郭の内側((分離層211の突出部の軒下部分))に伸張して成膜される。これにより、第2の電極307a、第2の電極307bが分離層311の下部に形成された導電層313に接触し、電気的にも接続する。この際、導電層313を、第2の電極307a及び307bよりも抵抗の低い構造体とすることで、導電層313は第2の電極307a、307bの補助電極として用いることができる。この構成は、第2の電極307a及び307bが導電率の比較的小さい透光性を有する電極である場合、すなわち、第2の電極307側から光を取り出す構成である場合に、特に有効である。
【0076】
導電層313と第2の電極307とは分離層311の輪郭の内側、すなわち分離層311の輪郭と分離層311底部の輪郭との間に存在する導電層313の表面で接触し、これらが電気的に接続される。ここで、第2の電極307の導電層313と接触する部分の厚さは、発光領域320における第2の電極307の厚さに比べて薄く形成される。また、その接触部分の厚さは、分離層311の底部輪郭に近いほど薄くなる、所謂順テーパー形状を有していてもよい。このように接触部分の厚さが薄く形成されることにより、分離層311の側面と導電層313との隙間が小さい場合であっても接触面を大きくすることが出来るため接触抵抗を小さくすることが出来る。
【0077】
EL層305及び第2の電極307は、基板101上に第1の電極303、導電層313、絶縁層309、分離層311を形成した後、成膜を行うことにより形成される。EL層305は例えば真空蒸着法等の成膜方法を用いて形成でき、第2の電極307は、真空蒸着法、スパッタリング法などの成膜方法により形成できる。
【0078】
第2の電極307の成膜時に、膜の回りこみを大きくするには、例えばスパッタリングターゲット、又は蒸着源と基板101との距離を小さくして成膜する方法などが挙げられる。また、基板101に対し、斜め上方から成膜を行うことや、基板101を面内方向に動かしながら成膜する方法などが挙げられる。
【0079】
このように、本実施の形態における発光装置はメタルマスクを使用しなくとも、EL層305及び第2の電極307を分断することができ、補助配線を形成することができる構成を有している。そのため、本実施の形態における発光装置は信頼性の良好な発光装置とすることができる。また、製造歩留まりの高い発光装置とすることができる。
【0080】
また、分離層311の形成はEL層305の成膜前に行うことから、フォトリソグラフィ技術を採用することができる。そのため、メタルマスクを用いて作製する発光装置と比較して、デザイン上、マスクのアライメントのために設けられるレイアウト面積を狭くすることができ、発光装置における発光領域の割合を大きくすることができる。
【0081】
第1の電極303及び導電層313のそれぞれの端部を覆うように形成された絶縁層309a、絶縁層309bは、EL層305及び第2の電極307が、第1の電極303及び導電層313の段差により断線しないために設けられる。そのため、絶縁層309a、309bは、その上面に形成される膜が途切れないよう、順テーパー形状を有していることが好ましい。順テーパー形状とは、断面において、ある層がその端部からなだらかに厚みを増して接する構成をいう。
【0082】
図5(A)〜(F)に本実施の形態における発光装置の上面概略図(基板に垂直な方向から見た概略図)の一部を示す。図4で説明したように、導電層313はEL素子の第1の電極303a、303bと電気的に独立している層であり、図5においてはその端部は一点鎖線で示した。導電層313上には分離層311が形成されており、その輪郭は太い実線で示した。また、絶縁層309a、309bは第1の電極303と導電層313の端部を覆って形成されている。EL層305及び第2の電極307は見易さを優先し、省略してある。EL層305及び第2の電極307が形成されることで、発光領域320a、320bが形成されるが、補助配線を構成する分離層311及び導電層313は当該発光領域320a及び320bの間に形成される。なお、上述したように、本実施の形態において、発光領域320aと320bは同一のEL素子における発光領域である。
【0083】
EL層305及び第2の電極307は分離層311によって分断され、EL層305の回りこみ量と第2の電極307の回り込み量との差を利用して、分離層311の輪郭に沿って当該輪郭より内側で第2の電極307と導電層313が接触する。この接触抵抗が高いと余分な電力を消費してしまい、消費電力が増大してしまうが、本実施の形態に示したように、分離層311の輪郭の長さを長くすることによって、コンタクト面積が増加し、接触抵抗を低減させることができる。
【0084】
すなわち、分離層311の輪郭に凹凸を設けることによって、又は、分離層311を複数の島で形成することによって分離層311の形成領域を大きくしなくても、当該輪郭に沿って分断される第2の電極307と導電層313とが接触する長さを増やすことができることを見出した。なお、分離層311自体の長さを長くすることなどとの優位性は、実施の形態1に記載したので、実施の形態1の説明を同時に参照されたい。
【0085】
図5(A)では、分離層311の輪郭が櫛歯状の凹凸を有する場合の例を、(B)では分離層311がミアンダ状に形成されている例を、(C)では複数の四角い島状に形成されている例を、(D)では複数の丸い島状に形成されている例を、(E)では山型の凹凸を有する場合の例を、(F)では波型の分離層と丸い島状の分離層とを組み合わせた例を示した。なお、本発明における分離層の形状はこれらに限られない。このように、分離層311の短い方向(幅方向)に深さを有する凹凸が輪郭に形成されていること、もしくは分離層311が複数、島状に分割されていることによって、分離層311自体の形成領域を変えずに、第2の電極307と導電層313との接触長さ、ひいては接触面積を増やすことが可能となる。これにより、補助配線となる導電層313と第2の電極307との接触抵抗が低減し、有効に第2の電極307の電圧降下を抑制することができる。
【0086】
また、分離層311の輪郭に設けられる凹凸は、幅方向(短軸方向)になるべく深いことが、より輪郭の長さを長くできるために好ましい構成である。また、同様に、その凹凸の形成密度はなるべく密であることが好ましい。
【0087】
なお、上記概念をもたない発光素子における分離層の発光領域に面する輪郭は凹凸形状を有さない。通常発光領域の辺の長さは凹凸を有さないことから、発光領域における分離層に面する辺の長さと、本実施の形態における分離層の輪郭の長さを比較して、分離層の長さが長ければ、コンタクト抵抗低減効果が得られているということができる。
【0088】
また、本発明の概念を持たない分離層の輪郭形状は一つの四角形であるということもできる。このことから少なくとも本実施の形態における分離層と同じ形成領域に形成された四角形の輪郭を有する分離層を想定して、当該四角形の分離層の輪郭より、本実施の形態の分離層の輪郭の長さが長ければ、接触抵抗の低減効果が得られることがわかる。また、「本実施の形態における分離層と同じ形成領域に形成された四角形」とは、より具体的に、「本実施の形態における分離層を覆うことができる最小の四角形」と言い換えることもできる。
【0089】
本実施の形態の構成は実施の形態1と組み合わせて用いることができる。
【0090】
(実施の形態3)
【0091】
図6に実施の形態1の構成と実施の形態2の構成を組み合わせた本発明の一態様の発光装置300の上面概略図を示す。
【0092】
発光装置300は、分離層311に囲まれた4つのEL素子(第1のEL素子a、第2のEL素子b、第3のEL素子c、及び第4のEL素子d)を有し、これら4つのEL素子が、直列接続部350a、直列接続部350b、直列接続部350c、直列接続部350dによって直列に接続された発光装置である。当該直列接続部の構成については実施の形態1に記載したため、その記載を省略する。実施の形態1を参照されたい。なお、図6におけるA−A’断面図が実施の形態1における図1(A)の断面図に相当する。
【0093】
なお、図6には明瞭化のためEL層305、第2の電極307などは明示していない。
【0094】
第1のEL素子aの第1の電極303は、コンタクト領域317aを介して配線315aと電気的に接続されている。また、第4のEL素子dの第2の電極307(図示しない)は、接続配線319及びコンタクト領域317bを介して配線315bと電気的に接続される。したがって、配線315aと配線315bとの間に電圧を印加することにより、直列に接続されたそれぞれの発光領域に電流を流すことができ、発光を取り出すことができる。
【0095】
また、それぞれの発光領域には、第2の電極307(図示しない)の導電性を補助するための補助配線となる導電層313が電流の流れる向きに沿って複数設けられ、当該補助配線となる導電層313上には分離層311が配置されている。実施の形態2で説明したように分離層311の輪郭の内側において、第2の電極307(図示しない)が導電層313と電気的に接続する。導電層313、その上に形成された分離層311及びそれらを用いた補助配線の構成については実施の形態2を参照されたい。なお、図6におけるC−C’断面図が図4の断面図に相当する。
【0096】
発光装置300の右下部分の拡大図を図7(A)に、等価回路を図7(B)に示す。図7(A)に示すように、導電層313および分離層311からなる補助配線370は一つのEL素子中の発光領域に挟まれた部分に形成される。例えば、図7(A)のEL素子dにおける発光領域320aと発光領域320bとの間には補助配線370が形成されているということができる。
【0097】
なお、導電層313は、当該導電層313が補助配線を構成するEL素子が他のEL素子と直列接続する図6のような構造において、当該他のEL素子の第1の電極とは電気的に接続する構造であっても良い。例えば、導電層313が補助電極として機能するEL素子xの第2の電極xが他のEL素子yの第1の電極yと接続して直列構造を形成するため、導電層313はEL素子yの第1の電極yと接続し、同電位となる構造であっても良い。
【0098】
図7(B)は図6における発光装置300の等価回路である。EL素子a乃至EL素子dが直列接続部350a乃至350dを介して接続しており、コンタクト領域317aを介して配線315aがEL素子aの陽極側に、コンタクト領域317bを介して配線315bがEL素子dの陰極側に接続する構成である。なお、陽極、陰極の関係は、この逆であってもかまわない。
【0099】
(実施の形態4)
本実施の形態では、実施の形態3で説明した発光装置300内の各構成に用いることのできる材料の一例と、その形成方法について説明する。
【0100】
[基板]
発光装置300が下面発光型、両面発光型の場合、基板101の材料としては、ガラス、石英、有機樹脂などの透光性を有する材料を用いることができる。また上面発光型の場合は、透光性を有していなくともよく、上記の材料に加え金属、半導体、セラミック、有色の有機樹脂などの材料を用いることができる。導電性の基板を用いる場合、その表面を酸化させる、または表面に絶縁膜を形成することにより絶縁性を持たせることが好ましい。
【0101】
基板101として有機樹脂を用いる場合、有機樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル樹脂、ポリアクリルニトリル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリエーテルスルフォン(PES)樹脂、ポリアミド樹脂、シクロオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミドイミド樹脂、またはポリ塩化ビニル樹脂などを用いることができる。また、ガラス繊維に有機樹脂を含浸した基板や、無機フィラーを有機樹脂に混ぜた基板を使用することもできる。
【0102】
特に、上面発光型の発光装置300の場合、基板には金属基板などの熱伝導性の高い基板を用いることが好ましい。EL素子を用いた大型の発光装置の場合、EL素子からの発熱が問題となる場合があるため、このような熱伝導性の高い基板を用いると放熱性が高まる。例えば、ステンレス基板のほかに、アルミニウム酸化物、ジュラルミンなどを用いると、軽量且つ放熱性を高めることができる。また、アルミニウムとアルミニウム酸化物との積層、ジュラルミンとアルミニウム酸化物との積層、ジュラルミンとマグネシウム酸化物との積層などを用いると、基板表面を絶縁性とすることができるため好ましい。
【0103】
[封止膜・下地膜]
下面発光型、両面発光型の発光装置の場合、封止膜・下地膜は、透光性且つバリア性を有する材料を用いて形成することができる。上面発光型の発光装置では、必ずしも透光性を有していなくともよい。
【0104】
封止膜・下地膜としては、例えば、無機絶縁膜をスパッタリング法で形成することができる。例えば、窒化ケイ素膜、酸化アルミニウム膜、酸化ケイ素膜などを形成すればよい。また、光射出方向と反対側に設けられる封止膜、または下地膜は、金属膜と上記無機絶縁膜を積層したものを用いてもよい。
【0105】
封止膜は、例えば水分の透過率が10−6g/m・day以下程度のガスバリア性を備えるものが好ましい。また、封止膜の構成としては、例えば無機物を含む層を少なくとも一層、有機物を含む層の間に挟んで積層したものを用いることができる。有機物を含む層としては、例えばエポキシ系などの接着材層を一例として挙げることができ、無機物を含む層としては酸化珪素、窒化珪素などバリア性を有する膜を一例として挙げることができる。
【0106】
また、基板として有機樹脂を用いる場合には、下地膜として、25μm以上100μm以下の厚さのガラス層を用いてもよい。ガラス層の厚さは、代表的には、45μm以上80μm以下である。有機樹脂基板とガラス層とを組み合わせることで水分又は不純物等が発光装置の外部から侵入し、発光素子に含まれる有機化合物や金属材料に悪影響を及ぼすことを抑制することができ、かつ発光装置の軽量化を実現することができる。
【0107】
[分離層]
分離層は無機絶縁材料、有機絶縁材料を用いて形成することができる。例えば、ネガ型やポジ型の感光性を有する樹脂材料、非感光性の樹脂材料などを用いることができる。
【0108】
ここではネガ型の感光性を有する有機樹脂を用いて形成する例について説明する。
【0109】
まず、ネガ型の感光性を有する有機樹脂から成る有機樹脂膜を形成する。有機樹脂膜はスピンコート法などの塗布法、液滴吐出法(インクジェット法等)、スクリーン印刷、オフセット印刷などの印刷法等を用いて形成することができる。
【0110】
続いて、マスクを介して後に分離層が形成される領域の有機樹脂膜に露光光を照射する。ここで、露光光は、有機樹脂膜の厚さ方向に対して、基板101に近いほど露光強度が小さくなるように調整する。ネガ型の感光性を有する有機樹脂は、感光した領域が後の現像処理での溶解性が低下する性質を有するため、露光強度を膜表面が最も大きく、基板101に近いほど小さくなるよう、光を照射することにより、現像処理を経て形成される分離層の形状は、基板101に近い部分ほど輪郭が小さくなる。
【0111】
また、露光の際、露光の焦点をずらし、基板101に近い領域の露光強度を小さくなるようにしてもよい。
【0112】
続いて、現像処理を行い、露光光が照射されていない領域の有機樹脂膜を除去することにより、分離層が形成される。また、加熱処理を行い、分離層を硬化させてもよい。
【0113】
分離層は、上記のように単層で形成してもよいし、2層以上の多層としてもよく、絶縁性の有機材料、無機材料を組み合わせて形成してもよい。
【0114】
[配線]
配線の材料としては、銅(Cu)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)、ネオジム(Nd)、スカンジウム(Sc)、ニッケル(Ni)、から選ばれた材料又はこれらを主成分とする合金材料を用いて、単層で又は積層して形成する。また、配線の材料としてアルミニウムを用いることもできるが、その場合にはITOなどと直接接して設けると腐食する恐れがある。よって、配線を積層構造とし、ITOなどと接しない層にアルミニウムを用いればよい。また銅は抵抗が低いため、好適に用いることができる。配線の膜厚は、100nm以上35μm以下とすることが好ましい。
【0115】
ここで、発光素子や配線に用いる導電膜を形成する方法としては、スパッタリング法や真空蒸着法などの堆積方法を適宜用いることができる。また、可能であればスクリーン印刷法、インクジェット法などの液滴吐出法、めっき法などの形成方法も適用することが出来る。
【0116】
[隔壁]
隔壁の材料としては、例えば、ポリイミド、アクリル、ポリアミド、エポキシ等の有機樹脂、無機絶縁材料を用いることができる。
【0117】
隔壁の側壁面の角度としては、例えば10度以上85度以下、好ましくは60度以上80度以下を有する。
【0118】
特に感光性の樹脂材料を用いて開口部を形成し、その開口部の側壁が連続した曲率を持って形成される傾斜面となるように形成することが好ましい。具体的には、隔壁の断面が描いている曲線の曲半径が、0.2〜2μm程度であることが望ましい。
【0119】
隔壁の形成方法は、特に限定されないが、スパッタ法、蒸着法、塗布法、液滴吐出法(インクジェット法等)、印刷法(スクリーン印刷、オフセット印刷等)などを用いればよい。
【0120】
隔壁の膜厚としては、例えば、20nm以上20μm以下とすればよい。好ましくは、50nm以上3μm以下である。
【0121】
[平坦化膜]
平坦化膜を用いる場合は、無機絶縁材料又は有機絶縁材料を用いて形成することができる。なお、アクリル樹脂、ポリイミド、ベンゾシクロブテン系樹脂、ポリアミド、エポキシ樹脂等の、耐熱性を有する有機絶縁材料を用いると、平坦化絶縁膜として好適である。また上記有機絶縁材料の他に、低誘電率材料(low−k材料)、シロキサン系樹脂、PSG(リンガラス)、BPSG(リンボロンガラス)等を用いることができる。なお、これらの材料で形成される絶縁膜を複数積層させることで、平坦化膜を形成してもよい。
【0122】
平坦化膜の形成法は、特に限定されず、その材料に応じて、スパッタリング法、スピンコート法、ディッピング法、印刷法、インクジェット法等を用いることができる。
【0123】
本実施の形態は、本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することが出来る。
【0124】
続いて、EL素子について図8を用いて説明する。EL素子の第1の電極及び第2の電極からなる一対の電極は、その一方が陽極702として機能し、もう一方が陰極704として機能する。本実施の形態におけるEL素子は、基板101と反対側の方向に光を射出するトップエミッション型であっても、基板101の方向に光を射出するボトムエミッション型であってもよいが、特にトップエミッション型の発光装置に適する構造である。光を射出する方の電極は、少なくとも可視光領域において透光性を有する材料によって形成する。また、他方の電極はその電極の方向に向かって放出された光も有効に取り出せるように、反射率の高い材料で形成することが好ましい。
【0125】
陽極として機能する電極の材料としては、仕事関数が大きい(具体的には4.0eV以上)の材料を用いることが好ましい。このような材料としては、金(Au)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、チタン(Ti)または金属材料の窒化物(例えば、窒化チタン)等などが挙げられる。このほか、酸化インジウム(In)、インジウム錫酸化物(In−SnO:ITOともいう)、インジウム亜鉛酸化物(In−ZnO)、酸化亜鉛(ZnO)やガリウムを添加した酸化亜鉛などの透光性を有する導電性金属酸化物も用いることができる。これらの導電性金属酸化物膜は、通常スパッタにより成膜されるが、ゾル−ゲル法などを応用して作製しても構わない。
陽極側から光を取り出す場合には、前述の透光性を有する導電性金属酸化物を用いればよい。また、その他の材料を用いる場合には透光性を有する程度に薄く形成することによって透光性を有せしめることが可能である。なお、複数の材料による積層構造を有していても良い。
なお、EL層103の陽極と接する面に後述の複合材料を用いることによって、仕事関数の大小にかかわらず、電極材料を選択することができるようになる。
【0126】
陰極として機能する電極としては、仕事関数の小さい(具体的には3.8eV以下)材料を用いることが好ましい。このような材料としては、リチウム(Li)、セシウム(Cs)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)等、、元素周期表の1族または2族に属する金属およびこれらを含む合金(MgAg、AlLiなど)や、ユウロピウム(Eu)、イッテルビウム(Yb)等の希土類金属およびこれらを含む合金、アルミニウム(Al)およびその合金等を用いることができる。
陰極側から光を取り出す場合には、充分な透光性を有する程度にこれら材料を薄く形成することによって透明導電膜として用いることができる。また、これらの材料を透光性を有する程度に薄く形成したのち、上述の透光性を有する導電性金属酸化物と積層しても良い。
なお、EL層103の陰極に、アルカリ金属又はアルカリ土類金属又はそれらの化合物、又は電子輸送性物質に、当該電子輸送性物質に対して電子供与性を示す物質を添加した材料(以下ドナー準位を有する材料と称する)を用いることによって、仕事関数の大小にかかわらず電極材料を選択することができるようになる。すなわち、ITOに代表される酸化物透明導電膜を陰極の材料として用いることができる。また、複合材料からなる層とドナー準位を有する材料からなる層との積層体からなる電荷発生層を用いても同様の効果を得ることができる(但し、この場合は複合材料からなる層が陰極と接することとする)。
【0127】
また、透光性を有する導電性高分子も陽極として用いることが可能である。導電性高分子としては、例えば、ポリアニリン及びまたはその誘導体、ポリピロール及びまたはその誘導体、ポリチオフェン及びまたはその誘導体、これらの2種以上の共重合体など、π電子共役系導電性高分子を用いることができる。
【0128】
陽極702および陰極704はこれら用いられる材料に応じて、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、MBE(molecular beam epitaxy)法、CVD法(MOCVD(metal organic CVD)法やALD(atomic layer deposition)法)やゾル−ゲル法、スピンコート法、ディッピング法、スプレー法、コータ法、印刷法など公知の方法で作製することができる。
【0129】
EL層103の積層構造については特に限定されず、発光層、電子輸送性の高い物質を含む電子輸送層または正孔輸送性の高い物質を含む正孔輸送層、電子注入性の高い物質を含む電子注入層、正孔注入性の高い物質を含む正孔注入層、バイポーラ性(電子及び正孔の輸送性の高い物質)の物質を含むバイポーラ層など、各機能層を適宜組み合わせて構成すればよい。これら機能層は発光層以外は必須ではなく、また、上述以外の他の機能層を備えていても良い。なお、このような積層構造を発光ユニットと称することもある。
【0130】
本実施形態では、EL層103は、陽極702側から正孔注入層711、正孔輸送層712、発光層713、電子輸送層714、電子注入層715の積層構造を有する構成について説明する(図8(A)参照)。各層の構成及び材料について以下に具体的に示す。
【0131】
正孔注入層711は、陽極702に接して設けられ、正孔注入性の高い物質を含む層である。モリブデン酸化物やバナジウム酸化物、ルテニウム酸化物、タングステン酸化物、マンガン酸化物等を用いることができる。この他、フタロシアニン(略称:HPc)や銅フタロシアニン(CuPC)等のフタロシアニン系の化合物、4,4’−ビス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:DPAB)、N,N’−ビス[4−[ビス(3−メチルフェニル)アミノ]フェニル]−N,N’−ジフェニル−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン(略称:DNTPD)等の芳香族アミン化合物、或いはポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(スチレンスルホン酸)(PEDOT/PSS)等の高分子等によっても正孔注入層711を形成することができる。
【0132】
また、正孔注入層711として、正孔輸送性の高い物質に当該正孔輸送性の高い物質に対してアクセプター性を示す物質を含有させた複合材料を用いることもできる。なお、正孔輸送性の高い物質にアクセプター性物質を含有させた複合材料を陽極に接して形成することにより、仕事関数に依らず陽極を形成する材料を選ぶことができる。つまり、陽極を構成する材料として仕事関数の大きい材料だけでなく、仕事関数の小さい材料も用いることができる。アクセプター性物質としては、7,7,8,8−テトラシアノ−2,3,5,6−テトラフルオロキノジメタン(略称:F−TCNQ)、クロラニル等を挙げることができる。また、遷移金属酸化物を挙げることができる。また元素周期表における第4族乃至第8族に属する金属の酸化物を挙げることができる。具体的には、酸化バナジウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化クロム、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化マンガン、酸化レニウムは電子受容性が高いため好ましい。中でも特に、酸化モリブデンは大気中でも安定であり、吸湿性が低く、扱いやすいため好ましい。
【0133】
複合材料に用いる正孔輸送性の高い物質としては、芳香族アミン化合物、カルバゾール誘導体、芳香族炭化水素、高分子化合物(オリゴマー、デンドリマー、ポリマー等)など、種々の化合物を用いることができる。なお、複合材料に用いる有機化合物としては、正孔輸送性の高い有機化合物であることが好ましい。具体的には、10−6cm/Vs以上の正孔移動度を有する物質であることが好ましい。但し、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものを用いてもよい。以下では、複合材料に用いることのできる有機化合物を具体的に列挙する。
【0134】
例えば、芳香族アミン化合物としては、N,N’−ジ(p−トリル)−N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン(略称:DTDPPA)、4,4’−ビス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:DPAB)、N,N’−ビス[4−[ビス(3−メチルフェニル)アミノ]フェニル]−N,N’−ジフェニル−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン(略称:DNTPD)、1,3,5−トリス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]ベンゼン(略称:DPA3B)等を挙げることができる。
【0135】
複合材料に用いることのできるカルバゾール誘導体としては、具体的には、3−[N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA1)、3,6−ビス[N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA2)、3−[N−(1−ナフチル)−N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)アミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCN1)等を挙げることができる。
【0136】
また、複合材料に用いることのできるカルバゾール誘導体としては、他に、4,4’−ジ(N−カルバゾリル)ビフェニル(略称:CBP)、1,3,5−トリス[4−(N−カルバゾリル)フェニル]ベンゼン(略称:TCPB)、9−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:CzPA)、1,4−ビス[4−(N−カルバゾリル)フェニル]−2,3,5,6−テトラフェニルベンゼン等を用いることができる。
【0137】
また、複合材料に用いることのできる芳香族炭化水素としては、例えば、2−tert−ブチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:t−BuDNA)、2−tert−ブチル−9,10−ジ(1−ナフチル)アントラセン、9,10−ビス(3,5−ジフェニルフェニル)アントラセン(略称:DPPA)、2−tert−ブチル−9,10−ビス(4−フェニルフェニル)アントラセン(略称:t−BuDBA)、9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:DNA)、9,10−ジフェニルアントラセン(略称:DPAnth)、2−tert−ブチルアントラセン(略称:t−BuAnth)、9,10−ビス(4−メチル−1−ナフチル)アントラセン(略称:DMNA)、2−tert−ブチル−9,10−ビス[2−(1−ナフチル)フェニル]アントラセン、9,10−ビス[2−(1−ナフチル)フェニル]アントラセン、2,3,6,7−テトラメチル−9,10−ジ(1−ナフチル)アントラセン、2,3,6,7−テトラメチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン、9,9’−ビアントリル、10,10’−ジフェニル−9,9’−ビアントリル、10,10’−ビス(2−フェニルフェニル)−9,9’−ビアントリル、10,10’−ビス[(2,3,4,5,6−ペンタフェニル)フェニル]−9,9’−ビアントリル、アントラセン、テトラセン、ルブレン、ペリレン、2,5,8,11−テトラ(tert−ブチル)ペリレン等が挙げられる。また、この他、ペンタセン、コロネン等も用いることができる。このように、1×10−6cm/Vs以上の正孔移動度を有し、炭素数14〜42である芳香族炭化水素を用いることがより好ましい。
【0138】
複合材料に用いることのできる芳香族炭化水素は、ビニル骨格を有していてもよい。ビニル基を有している芳香族炭化水素としては、例えば、4,4’−ビス(2,2−ジフェニルビニル)ビフェニル(略称:DPVBi)、9,10−ビス[4−(2,2−ジフェニルビニル)フェニル]アントラセン(略称:DPVPA)等が挙げられる。
【0139】
また、ポリ(N−ビニルカルバゾール)(略称:PVK)やポリ(4−ビニルトリフェニルアミン)(略称:PVTPA)、ポリ[N−(4−{N’−[4−(4−ジフェニルアミノ)フェニル]フェニル−N’−フェニルアミノ}フェニル)メタクリルアミド](略称:PTPDMA)、ポリ[N,N’−ビス(4−ブチルフェニル)−N,N’−ビス(フェニル)ベンジジン](略称:Poly−TPD)等の高分子化合物を用いることもできる。
【0140】
なお、このような複合材料からなる層は、その膜厚が厚くても薄くても駆動電圧の変化がほとんど無いことから、発光層から発する光の取り出し効率や指向性などを制御するための光学設計を行う際に非常に好適に用いることができる。
【0141】
正孔輸送層712は、正孔輸送性の高い物質を含む層である。正孔輸送性の高い物質としては、例えば、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPB)やN,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニル−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン(略称:TPD)、4,4’,4’’−トリス(N,N−ジフェニルアミノ)トリフェニルアミン(略称:TDATA)、4,4’,4’’−トリス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]トリフェニルアミン(略称:MTDATA)、4,4’−ビス[N−(スピロ−9,9’−ビフルオレン−2−イル)−N―フェニルアミノ]ビフェニル(略称:BSPB)などの芳香族アミン化合物等を用いることができる。ここに述べた物質は、主に10−6cm/Vs以上の正孔移動度を有する物質である。但し、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものを用いてもよい。なお、正孔輸送性の高い物質を含む層は、単層のものだけでなく、上記物質からなる層が二層以上積層したものとしてもよい。
【0142】
また、正孔輸送層712として、ポリ(N−ビニルカルバゾール)(略称:PVK)やポリ(4−ビニルトリフェニルアミン)(略称:PVTPA)等の高分子化合物を用いることもできる。
【0143】
発光層713は、発光性の物質を含む層である。発光層713の種類としては、発光中心物質を主成分とする単膜の発光層であっても、ホスト材料中に発光中心材料を分散するいわゆるホスト−ゲスト型の発光層であってもどちらでも構わない。
【0144】
用いられる発光中心材料に制限は無く、公知の蛍光又は燐光を発する材料を用いることができる。蛍光発光性材料としては、例えばN,N’−ビス[4−(9H−カルバゾール−9−イル)フェニル]−N,N’−ジフェニルスチルベン−4,4’−ジアミン(略称:YGA2S)、4−(9H−カルバゾール−9−イル)−4’−(10−フェニル−9−アントリル)トリフェニルアミン(略称:YGAPA)、等の他、発光波長が450nm以上の4−(9H−カルバゾール−9−イル)−4’−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)トリフェニルアミン(略称:2YGAPPA)、N,9−ジフェニル−N−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:PCAPA)、ペリレン、2,5,8,11−テトラ−tert−ブチルペリレン(略称:TBP)、4−(10−フェニル−9−アントリル)−4’−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)トリフェニルアミン(略称:PCBAPA)、N,N’’−(2−tert−ブチルアントラセン−9,10−ジイルジ−4,1−フェニレン)ビス[N,N’,N’−トリフェニル−1,4−フェニレンジアミン](略称:DPABPA)、N,9−ジフェニル−N−[4−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:2PCAPPA)、N−[4−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)フェニル]−N,N’,N’−トリフェニル−1,4−フェニレンジアミン(略称:2DPAPPA)、N,N,N’,N’,N’’,N’’,N’’’,N’’’−オクタフェニルジベンゾ[g,p]クリセン−2,7,10,15−テトラアミン(略称:DBC1)、クマリン30、N−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)−N,9−ジフェニル−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:2PCAPA)、N−[9,10−ビス(1,1’−ビフェニル−2−イル)−2−アントリル]−N,9−ジフェニル−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:2PCABPhA)、N−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)−N,N’,N’−トリフェニル−1,4−フェニレンジアミン(略称:2DPAPA)、N−[9,10−ビス(1,1’−ビフェニル−2−イル)−2−アントリル]−N,N’,N’−トリフェニル−1,4−フェニレンジアミン(略称:2DPABPhA)、9,10−ビス(1,1’−ビフェニル−2−イル)−N−[4−(9H−カルバゾール−9−イル)フェニル]−N−フェニルアントラセン−2−アミン(略称:2YGABPhA)、N,N,9−トリフェニルアントラセン−9−アミン(略称:DPhAPhA)、クマリン545T、N,N’−ジフェニルキナクリドン(略称:DPQd)、ルブレン、5,12−ビス(1,1’−ビフェニル−4−イル)−6,11−ジフェニルテトラセン(略称:BPT)、2−(2−{2−[4−(ジメチルアミノ)フェニル]エテニル}−6−メチル−4H−ピラン−4−イリデン)プロパンジニトリル(略称:DCM1)、2−{2−メチル−6−[2−(2,3,6,7−テトラヒドロ−1H,5H−ベンゾ[ij]キノリジン−9−イル)エテニル]−4H−ピラン−4−イリデン}プロパンジニトリル(略称:DCM2)、N,N,N’,N’−テトラキス(4−メチルフェニル)テトラセン−5,11−ジアミン(略称:p−mPhTD)、7,14−ジフェニル−N,N,N’,N’−テトラキス(4−メチルフェニル)アセナフト[1,2−a]フルオランテン−3,10−ジアミン(略称:p−mPhAFD)、2−{2−イソプロピル−6−[2−(1,1,7,7−テトラメチル−2,3,6,7−テトラヒドロ−1H,5H−ベンゾ[ij]キノリジン−9−イル)エテニル]−4H−ピラン−4−イリデン}プロパンジニトリル(略称:DCJTI)、2−{2−tert−ブチル−6−[2−(1,1,7,7−テトラメチル−2,3,6,7−テトラヒドロ−1H,5H−ベンゾ[ij]キノリジン−9−イル)エテニル]−4H−ピラン−4−イリデン}プロパンジニトリル(略称:DCJTB)、2−(2,6−ビス{2−[4−(ジメチルアミノ)フェニル]エテニル}−4H−ピラン−4−イリデン)プロパンジニトリル(略称:BisDCM)、2−{2,6−ビス[2−(8−メトキシ−1,1,7,7−テトラメチル−2,3,6,7−テトラヒドロ−1H,5H−ベンゾ[ij]キノリジン−9−イル)エテニル]−4H−ピラン−4−イリデン}プロパンジニトリル(略称:BisDCJTM)などが挙げられる。燐光発光性材料としては、例えば、ビス[2−(4’,6’−ジフルオロフェニル)ピリジナト−N,C2’]イリジウム(III)テトラキス(1−ピラゾリル)ボラート(略称:FIr6)、の他、発光波長が470nm〜500nmの範囲にある、ビス[2−(4’,6’−ジフルオロフェニル)ピリジナト−N,C2’]イリジウム(III)ピコリナート(略称:FIrpic)、ビス[2−(3’,5’−ビストリフルオロメチルフェニル)ピリジナト−N,C2’]イリジウム(III)ピコリナート(略称:Ir(CFppy)(pic))、ビス[2−(4’,6’−ジフルオロフェニル)ピリジナト−N,C2’]イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:FIracac)、発光波長が500nm(緑色発光)以上のトリス(2−フェニルピリジナト)イリジウム(III)(略称:Ir(ppy))、ビス(2−フェニルピリジナト)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(ppy)(acac))、トリス(アセチルアセトナト)(モノフェナントロリン)テルビウム(III)(略称:Tb(acac)(Phen))、ビス(ベンゾ[h]キノリナト)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(bzq)(acac))、ビス(2,4−ジフェニル−1,3−オキサゾラト−N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(dpo)(acac))、ビス[2−(4’−パーフルオロフェニルフェニル)ピリジナト]イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(p−PF−ph)(acac))、ビス(2−フェニルベンゾチアゾラト−N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(bt)(acac))、ビス[2−(2’−ベンゾ[4,5−α]チエニル)ピリジナト−N,C3’]イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(btp)(acac))、ビス(1−フェニルイソキノリナト−N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(piq)(acac))、(アセチルアセトナト)ビス[2,3−ビス(4−フルオロフェニル)キノキサリナト]イリジウム(III)(略称:Ir(Fdpq)(acac))、(アセチルアセトナト)ビス(2,3,5−トリフェニルピラジナト)イリジウム(III)(略称:Ir(tppr)(acac))、2,3,7,8,12,13,17,18−オクタエチル−21H,23H−ポルフィリン白金(II)(略称:PtOEP)、トリス(1,3−ジフェニル−1,3−プロパンジオナト)(モノフェナントロリン)ユーロピウム(III)(略称:Eu(DBM)(Phen))、トリス[1−(2−テノイル)−3,3,3−トリフルオロアセトナト](モノフェナントロリン)ユーロピウム(III)(略称:Eu(TTA)(Phen))等が挙げられる。以上のような材料又は他の公知の材料の中から、各々のEL素子における発光色を考慮し選択すれば良い。
【0145】
ホスト材料を用いる場合は、例えばトリス(8−キノリノラト)アルミニウム(III)(略称:Alq)、トリス(4−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(III)(略称:Almq)、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリナト)ベリリウム(II)(略称:BeBq)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(4−フェニルフェノラト)アルミニウム(III)(略称:BAlq)、ビス(8−キノリノラト)亜鉛(II)(略称:Znq)、ビス[2−(2−ベンゾオキサゾリル)フェノラト]亜鉛(II)(略称:ZnPBO)、ビス[2−(2−ベンゾチアゾリル)フェノラト]亜鉛(II)(略称:ZnBTZ)などの金属錯体、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(略称:PBD)、1,3−ビス[5−(p−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]ベンゼン(略称:OXD−7)、3−(4−ビフェニリル)−4−フェニル−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール(略称:TAZ)、2,2’,2’’−(1,3,5−ベンゼントリイル)−トリス(1−フェニル−1H−ベンゾイミダゾール)(略称:TPBI)、バソフェナントロリン(略称:BPhen)、バソキュプロイン(略称:BCP)、9−[4−(5−フェニル−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:CO11)などの複素環化合物、NPB(またはα−NPD)、TPD、BSPBなどの芳香族アミン化合物が挙げられる。また、アントラセン誘導体、フェナントレン誘導体、ピレン誘導体、クリセン誘導体、ジベンゾ[g,p]クリセン誘導体等の縮合多環芳香族化合物が挙げられ、具体的には、9,10−ジフェニルアントラセン(略称:DPAnth)、N,N−ジフェニル−9−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:CzA1PA)、4−(10−フェニル−9−アントリル)トリフェニルアミン(略称:DPhPA)、4−(9H−カルバゾール−9−イル)−4’−(10−フェニル−9−アントリル)トリフェニルアミン(略称:YGAPA)、N,9−ジフェニル−N−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:PCAPA)、N,9−ジフェニル−N−{4−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]フェニル}−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:PCAPBA)、N,9−ジフェニル−N−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:2PCAPA)、6,12−ジメトキシ−5,11−ジフェニルクリセン、N,N,N’,N’,N’’,N’’,N’’’,N’’’−オクタフェニルジベンゾ[g,p]クリセン−2,7,10,15−テトラアミン(略称:DBC1)、9−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:CzPA)、3,6−ジフェニル−9−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:DPCzPA)、9,10−ビス(3,5−ジフェニルフェニル)アントラセン(略称:DPPA)、9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:DNA)、2−tert−ブチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:t−BuDNA)、9,9’−ビアントリル(略称:BANT)、9,9’−(スチルベン−3,3’−ジイル)ジフェナントレン(略称:DPNS)、9,9’−(スチルベン−4,4’−ジイル)ジフェナントレン(略称:DPNS2)、3,3’,3’’−(ベンゼン−1,3,5−トリイル)トリピレン(略称:TPB3)などを挙げることができる。これら及び公知の物質の中から、各々が分散する発光中心物質のエネルギーギャップ(燐光発光の場合は三重項エネルギー)より大きなエネルギーギャップ(三重項エネルギー)を有する物質を有し、且つ各々の層が有すべき輸送性に合致した輸送性を示す物質を選択すればよい。
【0146】
電子輸送層714は、電子輸送性の高い物質を含む層である。例えば、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq)、トリス(4−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Almq)、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリナト)ベリリウム(略称:BeBq)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(4−フェニルフェノラト)アルミニウム(略称:BAlq)など、キノリン骨格またはベンゾキノリン骨格を有する金属錯体等からなる層である。また、この他ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンズオキサゾラト]亜鉛(略称:Zn(BOX))、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾチアゾラト]亜鉛(略称:Zn(BTZ))などのオキサゾール系、チアゾール系配位子を有する金属錯体なども用いることができる。さらに、金属錯体以外にも、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(略称:PBD)や、1,3−ビス[5−(p−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]ベンゼン(略称:OXD−7)、3−(4−ビフェニリル)−4−フェニル−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール(略称:TAZ)、バソフェナントロリン(略称:BPhen)、バソキュプロイン(略称:BCP)なども用いることができる。ここに述べた物質は、主に10−6cm/Vs以上の電子移動度を有する物質である。なお、正孔よりも電子の輸送性の高い物質であれば、上記以外の物質を電子輸送層714として用いても構わない。
【0147】
また、電子輸送層714は、単層のものだけでなく、上記物質からなる層が二層以上積層したものとしてもよい。
【0148】
また、電子輸送層714と発光層713との間に電子の移動を制御する層を設けても良い。これは上述したような電子輸送性の高い材料に、電子トラップ性の高い物質を少量添加した層であって、電子の移動を抑制することによって、キャリアバランスを調節することが可能となる。このような構成は、発光層713を電子が突き抜けてしまうことにより発生する問題(例えば素子寿命の低下)の抑制に大きな効果を発揮する。
【0149】
電子注入層715としては、フッ化リチウム(LiF)、フッ化セシウム(CsF)、フッ化カルシウム(CaF)等のようなアルカリ金属又はアルカリ土類金属又はこれらの化合物を用いることができる。または、電子輸送性を有する物質からなる層中に当該電子輸送性を有する物質に対して電子供与性を示す物質(代表的にはアルカリ金属又はアルカリ土類金属又はそれらの化合物)を含有させた材料(ドナー準位を有する材料)、例えばAlq中にマグネシウム(Mg)を含有させた材料等を電子注入層715として用いることができる。なお、電子注入層715として、ドナー準位を有する材料を用いた構成は、陰極704からの電子注入が効率良く行われるため、より好ましい構成である。
【0150】
なお、上述のEL層103は図8(B)のように陽極702と陰極704との間に発光ユニットが複数積層されている構造であっても良い。この場合、積層された第1の発光ユニット800と第2の発光ユニット801との間には、電荷発生層803を設けることが好ましい。電荷発生層803は上述の複合材料で形成することができる。また、電荷発生層803は複合材料からなる層と他の材料からなる層との積層構造でもよい。この場合、他の材料からなる層としては、電子供与性物質と電子輸送性の高い物質とを含む層や、透明導電膜からなる層などを用いることができる。このような構成を有するEL素子は、発光ユニット間におけるエネルギーの移動や消光などの問題が起こり難く、材料の選択の幅が広がることで高い発光効率と長い寿命とを併せ持つEL素子とすることが容易である。また、一方の発光ユニットで燐光発光、他方で蛍光発光を得ることも容易である。
図8(B)においては、二つの発光ユニット(第1の発光ユニット800及び第2の発光ユニット801)が積層されている構成を例示したが、3層以上の発光ユニットを積層することも可能である。この際も各発光ユニットの間には電荷発生層が設けられていることが好ましい。
【0151】
各発光ユニットは、図8(A)におけるEL層103と同様の構成をそれぞれ有しており、発光層、電子輸送性の高い物質を含む電子輸送層または正孔輸送性の高い物質を含む正孔輸送層、電子注入性の高い物質を含む電子注入層、正孔注入性の高い物質を含む正孔注入層、バイポーラ性(電子及び正孔の輸送性の高い物質)の物質を含むバイポーラ層など、図8(A)の説明の際にEL層の構成として説明した各機能層を適宜組み合わせて構成すればよい。なお、これら機能層は発光層以外は必須ではなく、また、上述以外の他の機能層を備えていても良い。
これらの層の詳しい説明は上述したとおりであるので繰り返しとなる説明を省略する。図8(A)におけるEL層103の説明を参照されたい。
【0152】
特に図8(B)の構成は白色の発光を得る場合に好ましく、照明用途として特に有効である。これによって高品質な発光装置を得ることができる。
【0153】
(実施の形態5)
本実施の形態では、上記実施の形態で例示した発光装置が適用された、上面発光型の照明装置の例について図9を用いて説明する。
【0154】
図9(A)に示す照明装置400は、第1の基板401a上に複数の発光装置403が形成されている。また第1の基板401aと、これと対向する透光性を有する第2の基板401bとは、発光装置403を覆うシール材405aと、端部に設けられるシール材405bによって貼り合わされた構成となっている。
【0155】
発光装置403は、上記実施の形態で例示した発光装置を適宜用いることができる。
【0156】
第1の基板401aには、金属基板などの熱伝導性の高い基板を用いることが好ましい。EL素子を用いた大型の照明装置の場合、EL素子からの発熱が問題となる場合があるため、このような熱伝導性の高い基板を用いると放熱性が高まる。例えば、ステンレス基板のほかに、アルミニウム酸化物、ジュラルミンなどを用いると、軽量且つ放熱性を高めることができる。また、アルミニウムとアルミニウム酸化物との積層、ジュラルミンとアルミニウム酸化物との積層、ジュラルミンとマグネシウム酸化物との積層などを用いると、基板表面を絶縁性とすることができるため好ましい。
【0157】
第2の基板401bには透光性の基板を用いる。また、発光装置403の表面や、第2の基板401bの表裏面など、発光装置403からの発光と交差する面に凹凸形状を設け、全反射を抑制する構成としてもよい。例えば、半球レンズ、マイクロレンズアレイ、凹凸構造が施されたフィルム、光拡散フィルムなどを貼り付けてもよいし、直接凹凸形状を形成してもよい。
【0158】
シール材405a、405bとしては、対向する面同士を接着することができる材料を用いることができる。例えば熱硬化型の材料、紫外線硬化型の材料などからなる公知のシール材を用いることができる。特に、シール材405aには透光性を有する材料を用いることが好ましい。これらの材料は、できるだけ水分や酸素などの不純物を透過しない材料であることが望ましい。また、乾燥剤入りのシール材を用いることもできる。
【0159】
図9(B)に示す照明装置420は、第1のガラス層407a上に形成された複数の発光装置403が、第2のガラス層407bで封止されたものを、第1の基板401a及び第2の基板401bで囲う構成となっている。
【0160】
第1のガラス層407aと第2のガラス層407bとはシール材405aを用いて貼り合わされており、第1の基板401aと、第2の基板401bとはシール材405bで貼り合わされている。
【0161】
また、第1のガラス層407aと第2のガラス層407bとの間の空間は、充填材として不活性気体(窒素、アルゴン等)を充填してもよいし、透光性を有するシール材で充填していてもよい。
【0162】
照明装置420は、発光装置403が2枚の薄いガラス層で封止された構成となっているため、外部からの水分、酸素などの不純物の浸入を抑制でき、信頼性の高い照明装置とすることができる。
【0163】
また、照明装置400及び420には、第1の基板401a上に発光装置403と接続するコンバータ409が設けられている。コンバータ409は例えば家庭用電源の電源電圧から、照明駆動用の電源電圧に変換する。なお、コンバータ409はシール材405bよりも内側に形成されていてもよい。
【0164】
また、照明装置400及び420に用いる基板の材料として、プラスチックや有機樹脂フィルムや薄いガラス基板、金属薄膜などの可撓性を有する材料を用いることにより、軽量で可撓性を有する照明装置とすることができる。
【0165】
なお、本実施の形態では上面発光型の照明装置について説明したが、例えば下面発光型とする場合には、発光装置が設けられる側の基板に透光性の基板を用いればよい。
【0166】
本実施の形態は、本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
【0167】
(実施の形態6)
本実施の形態では、本発明の一態様により形成された発光装置を用いた照明装置について図10及び図11を用いて説明する。
【0168】
図10は照明装置(卓上照明装置)であり、照明部7501、傘7502、可変アーム7503、支柱7504、台7505、電源スイッチ7506を含む。なお、照明装置は、本発明の一態様により作製される発光装置を照明部7501に用いることにより作製される。なお、照明装置には、図10に示す卓上照明装置の他、天井固定型の照明装置(天井固定型照明装置)または壁掛け型の照明装置(壁掛け型照明装置)なども含まれる。
【0169】
なお、本発明の一態様を適用して形成される照明装置は、信頼性や製造歩留まりの高い照明装置であるため、照明装置(卓上照明装置3000)の照明部7501に用いることで、信頼性が高く、価格競争力の高い照明装置(卓上照明装置)を提供することができる。また、本発明の一態様を適用して形成される照明装置は消費電力の小さい照明装置とすることができる。
【0170】
図11は、本発明の一態様を適用して形成される発光装置を、室内照明装置として用いた例である。本発明の一態様の発光装置は信頼性や製造歩留まりの高い照明装置であるため、天井固定型照明装置3001に示すように大面積の照明装置として非常に好適に用いることができる。その他、壁掛け型照明装置3002として用いることもできる。また、本発明の一態様を適用して形成される照明装置は消費電力の小さい照明装置とすることができる。
【符号の説明】
【0171】
101 基板
103 EL層
200 発光装置
203 第1の電極
203a 第1の電極
203b 第1の電極
205 EL層
205a EL層
205b EL層
207 第2の電極
207a 第2の電極
207b 第2の電極
209 絶縁層
209a 絶縁層
209b 絶縁層
211 分離層
211a 脚部
211b 台部
213 配線
220 発光領域
220a 発光領域
220b 発光領域
300 発光装置
303 第1の電極
303a 第1の電極
303b 第1の電極
305 EL層
307 第2の電極
307a 第2の電極
307b 第2の電極
309 絶縁層
309a 絶縁層
309b 絶縁層
311 分離層
311a 脚部
311b 台部
313 導電層
315a 配線
315b 配線
317a コンタクト領域
317b コンタクト領域
319 接続配線
320 発光領域
320a 発光領域
320b 発光領域
350a 直列接続部
350b 直列接続部
350c 直列接続部
350d 直列接続部
370 補助配線
400 照明装置
401a 第1の基板
401b 第2の基板
403 発光装置
405a シール材
405b シール材
407a 第1のガラス層
407b 第2のガラス層
409 コンバータ
420 照明装置
702 陽極
704 陰極
711 正孔注入層
712 正孔輸送層
713 発光層
714 電子輸送層
715 電子注入層
800 発光ユニット
801 発光ユニット
803 電荷発生層
3000 照明装置
3001 天井固定型照明装置
3002 壁掛け型照明装置
7501 照明部
7502 傘
7503 可変アーム
7504 支柱
7505 台
7506 電源スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁表面上に形成された発光素子を有し、
前記発光素子は、前記絶縁表面により近い第1の電極と、前記第1の電極に対向する第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極との間に設けられた発光物質を含む有機化合物層とを有し、前記第1の電極と前記有機化合物層と前記第2の電極とが接して重なっている部分に発光領域が形成され、
前記発光領域の一辺に沿って底部よりも上部が外側に突き出した突出部を有する分離層を有し、
前記分離層の下に第1の電極と電気的に分離した導電層を有し、
前記発光領域の前記有機化合物層と前記第2の電極とが、前記分離層の突出部の軒下部分まで延在すると共に、前記第2の電極が前記有機化合物層よりも前記突出部の内側に延在することにより、前記第2の電極は、前記導電層と電気的に接続され、
前記分離層の前記突出部における前記発光領域に面する輪郭の長さの和が、前記発光領域における前記分離層に面する辺の長さの和よりも長いことを特徴とする発光装置。
【請求項2】
絶縁表面上に形成された発光素子を有し、
前記発光素子は、前記絶縁表面により近い第1の電極と、前記第1の電極に対向する第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極との間に設けられた発光物質を含む有機化合物層とを有し、前記第1の電極と前記有機化合物層と前記第2の電極とが接して重なっている部分に発光領域が形成され、
前記発光領域の一辺に沿って底部よりも上部が外側に突き出した突出部を有する分離層を複数有し、
前記分離層の下に第1の電極と電気的に分離した導電層を有し、
前記発光領域の前記有機化合物層と前記第2の電極とが、前記分離層の突出部の軒下部分まで延在すると共に、前記第2の電極が前記有機化合物層よりも前記突出部の内側に延在することにより、前記第2の電極は、前記導電層と電気的に接続され、
前記複数の分離層の前記突出部における輪郭部の長さの和が、前記発光領域における前記分離層に面する辺の長さの和よりも長いことを特徴とする発光装置。
【請求項3】
請求項1乃至請求項2のいずれか一項において、前記第2の電極は透光性を有する材料により形成されていることを特徴とする発光装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか一項において、前記導電層は前記第1の電極と同じ材料で形成されていることを特徴とする発光装置。
【請求項5】
絶縁表面上に形成された第1の発光素子と第2の発光素子を有し、
前記第1の発光素子は前記絶縁表面側に位置する第1の電極と、前記第1の電極に対向する第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極との間に設けられた発光物質を含む有機化合物層とを有し、
前記第2の発光素子は前記絶縁表面側に位置する第3の電極と、前記第3の電極に対向する第4の電極と、前記第3の電極と前記第4の電極との間に設けられた発光物質を含む有機化合物層とを有し、
前記第1の発光素子と前記第2の発光素子に挟まれる領域に分離層を有し、
前記分離層の下には、前記第3の電極に電気的に接続する配線が形成され、
前記分離層は底部よりも上部が外側に突き出した突出部を有し、
前記第1の発光素子の前記有機化合物層と前記第2の電極とが、前記分離層の突出部の軒下部分まで延在すると共に、前記第2の電極が前記有機化合物層よりも前記突出部の内側に延在することにより、前記第2の電極は、前記配線と接触し、
前記第2の電極が前記配線と接触する長さが、前記第1の発光素子における前記分離層に面する辺の長さよりも長いことを特徴とする発光装置。
【請求項6】
絶縁表面上に形成された第1の発光素子と第2の発光素子を有し、
前記第1の発光素子は前記絶縁表面側に位置する第1の電極と、前記第1の電極に対向する第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極との間に設けられた発光物質を含む有機化合物層とを有し、
前記第2の発光素子は前記絶縁表面側に位置する第3の電極と、前記第3の電極に対向する第4の電極と、前記第3の電極と第4の電極との間に設けられた発光物質を含む有機化合物層とを有し、
前記第1の発光素子と前記第2の発光素子に挟まれる領域に複数の分離層を有し、
前記分離層の下には、前記第3の電極に電気的に接続する配線が形成され、
前記複数の分離層は底部よりも上部が外側に突き出した突出部を有し、
前記第1の発光素子の前記有機化合物層と前記第2の電極とが、前記複数の分離層の突出部の軒下部分まで延在すると共に、前記第2の電極が前記有機化合物層よりも前記突出部の内側に延在することにより、前記第2の電極は、前記配線と接触し、
前記第2の電極が前記配線と接触する長さが、前記第1の発光素子における前記複数の分離層に面する辺の長さよりも長いことを特徴とする発光装置。
【請求項7】
請求項5又は請求項6において、前記第2の電極及び前記第4の電極は透光性を有する材料で形成されていることを特徴とする発光装置。
【請求項8】
請求項5乃至請求項7のいずれか一項において、前記配線は前記第3の電極と連続して形成されていることを特徴とする発光装置。
【請求項9】
請求項1乃至請求項8のいずれか一項において、前記輪郭は凹凸形状を有していることを特徴とする発光装置。
【請求項10】
請求項2又は請求項6において、前記複数の分離層のうち少なくとも一つの分離層の輪郭が、凹凸形状を有することを特徴とする発光装置。
【請求項11】
請求項9又は請求項10において、前記凹凸形状は、四角、三角、半円及び波型のいずれか一もしくは複数組み合わされた形状であることを特徴とする発光装置。
【請求項12】
請求項2又は請求項6において、前記複数の分離層の少なくとも一つの輪郭が円形、楕円形、四角形、三角形及び六角形のいずれかの形状を有することを特徴とする発光装置。
【請求項13】
請求項1乃至請求項12のいずれか一に記載の発光装置を用いた照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−195288(P2012−195288A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−41557(P2012−41557)
【出願日】平成24年2月28日(2012.2.28)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】