説明

発光装置

【課題】例えば発光分布などの発光特性を向上させること。
【解決手段】発光装置は、基体1および発光素子3を含んでいる。基体1は、環状に配置された第1凹部111を有する上面と、第1凹部111の直下に設けられており環状に配置された第2凹部121を有する下面とを含んでいる。発光素子3は、基体1の上面における第1凹部111の内側領域に実装されている。発光装置は、基体1の上面における第1凹部111の外側領域に設けられた接続パッド2を含んでいる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば発光ダイオードなどの発光素子を有している発光装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば発光ダイオードなどの発光素子を有する発光装置の開発が進められている。発光素子は、基体に実装されている。発光装置は、例えば照明分野などにおいて、薄型化に関してさらなる改善が求められている。
【特許文献1】特開2007−266631号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
発光装置の薄型化のためには、発光素子が実装されている基体を薄くすることが求められる。基体を薄くすることにより、熱による基体の変形が懸念される。基体の変形が増大すると、例えば発光分布などの発光特性に影響が及ぼされる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一つの態様によれば、発光装置は、基体および発光素子を含んでいる。基体は、環状に配置された第1凹部を有する上面と、第1凹部の直下に設けられており環状に配置された第2凹部を有する下面とを含んでいる。発光素子は、基体の上面における第1凹部の内側領域に実装されている。
【発明の効果】
【0005】
本発明の一つの態様によれば、発光装置は、第1凹部および第2凹部を有する基体を含んでいる。発光装置は、第1凹部の内側領域に実装された発光素子を含んでいる。発光装置は、このような構成により、熱による基体の変形に関して改善されている。従って、発光装置は、例えば発光分布などの発光特性に関して改善されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明のいくつかの例示的な実施形態について図面を参照して説明する。
【0007】
本発明の一つの実施形態について、図1および図2を参照して説明する。本実施形態の発光装置は、基体1、複数の接続パッド2および発光素子3を含んでいる。発光装置は、複数のボンディングワイヤ4、封入部材5および波長変換部材6をさらに含んでいる。図1において、封入部材5および波長変換部材6は、発光装置の内部構造を示すことを目的に、透視した状態で示されている。封入部材5および波長変換部材6は、破線によって示されている。図1において、発光装置は、仮想のxyz空間におけるxy平面に実装されている。図1において、上方向とは、仮想のz軸の正方向のことをいう。
【0008】
基体1は、上面11および下面12を有している。上面11は、環状に配置された第1凹部111を有している。下面12は、環状に配置された第2凹部121を有している。“環状に配置された”とは、第1凹部111または第2凹部121が複数のサブ凹部を含んでいる場合に、複数のサブ凹部が全体的に環状に配置されているという意味を含むものである。第1凹部111および第2凹部121は、同じ深さを有している。例示的な基体1は、実質的に絶縁材料からなる。他の例示的な基体1は、実質的に金属材料からなる。基体1が実質的に金属材料からなる場合、基体1および接続パッド2の間に、絶縁層が存在する。
【0009】
複数の接続パッド2は、基体1の上面11における第1凹部111の外側領域112に設けられている。複数の接続パッド2は、実質的に導体材料からなる。
【0010】
発光素子3は、基体1の上面11における第1凹部111の内側領域113に実装されており、複数のボンディングワイヤ4によって複数の接続パッド2に電気的に接続されている。例示的な発光素子3は、実質的に半導体材料からなる発光ダイオードである。発光素子は、紫外領域に波長を有する第1次光を放射する。
【0011】
封入部材5は、発光素子3の上端および側面を囲んでおり、第1凹部111に入り込んでいる。封入部材5は、透光性を有している。“透光性”とは、発光素子3から放射された第1次光の少なくとも一部の波長が透過することをいう。例示的な封入部材5は、実質的にシリコーン樹脂からなる。封入部材5は、ドーム形状の上面を有している。
【0012】
波長変換部材6は、封入部材5を覆っており、第1凹部111の外側領域112において基体1の上面11に接着されている。波長変換部材6は、発光素子3から放射された第1次光に応じて第2次光を放射する。例示的な第2次光は、白色光である。波長変換部材6は、マトリクス部材および複数の蛍光粒子を含んでいる。例示的なマトリクス材料は、シリコーン樹脂である。複数の蛍光粒子は、発光素子3から放射された第1次光によって励起される。複数の蛍光粒子は、可視光を放射する。
【0013】
本実施形態の発光装置は、第1凹部111および第2凹部121を有していることにより、外側領域112への熱の伝導に関して低減されている。従って、発光装置は、熱による基体1の変形に関して低減されている。発光装置は、このような構成により、例えば発光分布などの発光特性に関して改善されている。
【0014】
本実施形態の発光装置は、第1凹部111と第1凹部111に対応して配置された第2凹部121とを有していることにより、基体1の上面11および下面12における熱応力の差に関して低減されている。従って、発光装置は、熱による基体1の変形に関して低減されている。発光装置は、このような構成により、例えば発光分布などの発光特性に関して改善されている。
【0015】
本実施形態の発光装置は、同じ深さを有している第1凹部111および第2凹部121を有していることにより、基体1の上面11および下面12における熱応力の差に関して低減されている。従って、発光装置は、熱による基体1の変形に関して低減されている。発光装置は、このような構成により、例えば発光分布などの発光特性に関して改善されている。
【0016】
本実施形態の発光装置は、第1凹部111の外側領域112に設けられた接続パッド2を有している。従って、発光装置は、発光素子3の電気的な接続における信頼性に関して改善されている。さらに具体的には、接続パッド2が第1凹部111の外側領域112に設けられていることにより、発光装置は、接続パッド2の熱による劣化に関して低減されている。
【0017】
波長変換部材6は、第1凹部111の外側領域112において基体1に接着されている。従って、本実施形態の発光装置は、波長変換部材6の熱による劣化が低減されている。発光装置は、このような構成により、例えば発光分布などの発光特性に関して改善されている。
【0018】
以下、本発明の他の実施形態について、図3および図4を参照して説明する。本実施形態における発光装置は、基体1、複数の接続パッド2および発光素子3を含んでいる。発光装置は、複数のボンディングワイヤ4、封入部材5および波長変換部材6をさらに含んでいる。本実施形態の発光装置において、図1および図2に示された構成と異なる点は、第1凹部111内に設けられた第1埋設部材71と、第2凹部121内に設けられた第2埋設部材72とをさらに含んでいることである。その他の構成は、図1および図2に示された発光装置と同様である。“埋設”とは、第1凹部111または第2凹部121の内側に設けられていることをいう。
【0019】
第1埋設部材71および第2埋設部材72は、基体1より小さい熱伝導率を有している。例示的な第1埋設部材71および第2埋設部材72は、実質的に樹脂材料からなる。第1埋設部材71および第2埋設部材72は、第1凹部111および第2凹部121に対応して環状に設けられている。
【0020】
本実施形態における発光装置は、基体1より小さい熱伝導率を有する第1埋設部材71および第2埋設部材72を含んでいることにより、第1凹部111または第2凹部121の外側の領域に熱が伝導されにくくなっている。従って、発光装置は、熱による基体1の変形に関して低減されている。発光装置は、このような構成によって、例えば発光分布などの発光特性に関して改善されている。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一つの実施形態における発光装置を示している。
【図2】図1のII−IIにおける断面図を示している。
【図3】本発明の他の実施形態における発光装置を示している。
【図4】図3のIV−IVにおける断面図を示している。
【符号の説明】
【0022】
1 基体
111 第1凹部
121 第2凹部
2 接続パッド
3 発光素子
4 ボンディングワイヤ
5 封入部材
6 波長変換部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面および下面を有しており、前記上面が、環状に配置された第1凹部を有しており、前記下面が、前記第1凹部の直下に設けられているとともに環状に配置された第2凹部を有している、基体と、
前記基体の前記上面における前記第1凹部の内側領域に実装された発光素子と、
を備えた発光装置。
【請求項2】
前記発光素子の上端および側面を囲んでおり、前記第1凹部に入り込んでいる封入部材をさらに備えていることを特徴とする請求項1記載の発光装置。
【請求項3】
前記封入部材を覆っており、前記第1凹部の前記外側領域において前記基体の前記上面に接着された波長変換部材をさらに備えていることを特徴とする請求項2記載の発光装置。
【請求項4】
前記基体より小さい熱伝導率を有しており、前記第1凹部内に設けられた第1埋設部材と、
前記基体より小さい熱伝導率を有しており、前記第2凹部内に設けられた第2埋設部材と、
をさらに備えたことを特徴とする請求項1記載の発光装置。
【請求項5】
前記第1埋設部材および前記第2埋設部材の各々が樹脂材料を含んでいることを特徴とする請求項4記載の発光装置。
【請求項6】
前記第1凹部および前記第2凹部が同じ深さを有していることを特徴とする請求項1記載の発光装置。
【請求項7】
前記発光素子に電気的に接続されており、前記基体の前記上面における前記第1凹部の外側領域に設けられた接続パッドをさらに備えたことを特徴とする請求項1記載の発光装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−153596(P2010−153596A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−330307(P2008−330307)
【出願日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】