説明

発光装置

【課題】支持基板上の配線を不必要に厚膜化することなく、電圧降下が抑制された発光装置を提供する。
【解決手段】支持基板11と、第1電極16、有機EL層17、および第2電極18がこの順で前記支持基板上に積層されて構成される複数の有機EL素子15と、前記支持基板と対向して配置される対向基板31と、前記支持基板から前記対向基板に向けて突起する突起部34と、前記第2電極から前記突起部上にまで延在して形成される接続電極35とを備え、前記対向基板の前記支持基板に臨む表面部には導電性を示す部材33が設けられており、前記突起部上に形成された接続電極が、前記対向基板に当接している、発光装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は発光装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
表示装置には、その構成や原理を異にする様々な種類の装置がある。そのひとつとして現在、画素の光源に有機EL(Electro Luminescence)素子を使用した表示装置が実用化されつつある。
【0003】
表示装置は画像情報を表示する表示領域を有しており、この表示領域に複数の有機EL素子が整列して配置されている。各有機EL素子には電力供給源から電力が供給されるが、途中の配線で生じる電圧降下のために、各有機EL素子に印加される電圧は低下する。
電圧降下は電力供給源と有機EL素子との距離が離れるほど大きくなるため、その大きさは有機EL素子の配置によって異なる。たとえば表示領域の中央部に配置される有機EL素子と、表示領域の周縁部に配置される有機EL素子とでは、電力を供給する際に生じる電圧降下の大きさが異なる。このように電圧降下の大きさは有機EL素子の配置によって異なるため、各有機EL素子に印加される電圧もその配置によって異なり、結果として表示領域内の発光強度にむらが生じる(たとえば特許文献1参照)。
【0004】
電圧降下を小さくするためには途中の配線の電気抵抗を小さくすればよく、そのためには配線の膜厚を厚くすればよい。しかしながら配線の膜厚を厚くするためにはその分だけ製造に要する時間が長くなる。特に有機EL素子が搭載される表示装置では、有機EL素子へ与えるダメージを抑制するために通常は成膜速度の遅い真空蒸着法によって配線を形成するため、配線の形成に要する時間がより長くなる。電圧降下に起因する発光強度のむらは表示領域が大きくなるほど顕著になるため、表示装置の大型化にともなって、配線の膜厚をより厚くする必要があり、配線の形成に要する時間もより長くなるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−70295号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って本発明の目的は、支持基板上の配線を不必要に厚膜化することなく、電圧降下が抑制された発光装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、支持基板と、
第1電極、有機EL層、および第2電極がこの順で前記支持基板上に積層されて構成される複数の有機EL素子と、
前記支持基板と対向して配置される対向基板と、
前記支持基板から前記対向基板に向けて突起する突起部と、
前記第2電極から前記突起部上にまで延在して形成される接続電極とを備え、
前記対向基板の前記支持基板に臨む表面部には導電性を示す部材が設けられており、
前記突起部上に形成された接続電極が、前記対向基板に当接している、発光装置に関する。
また本発明は、前記支持基板上に設けられ、前記複数の有機EL素子を区分けする隔壁をさらに有し、
前記突起部は前記隔壁上に設けられる、発光装置に関する。
また本発明は、前記対向基板が導電性部材から構成されている、発光装置に関する。
また本発明は、前記対向基板は、電気絶縁性を示す絶縁性基板と、この絶縁性基板上に設けられる導電性薄膜とから構成されている、発光装置に関する。
また本発明は、前記導電性薄膜はスパッタリング法によって絶縁性基板上に形成されている、発光装置に関する。
また本発明は、前記導電性薄膜は、Ag、Al、Au、Cr、Cu、In、Mg、Mo、Pt、Sn、Ta、W、およびZnからなる群から選ばれる1種以上の金属の薄膜によって構成される、発光装置に関する。
また本発明は、前記発光装置を製造する発光装置の製造方法であって、
前記突起部、前記有機EL素子および前記接続電極がその上に設けられた支持基板を用意する工程と、
導電性を示す部材が表面部に設けられた対向基板を用意する工程と、
前記支持基板と対向基板とを貼り合せる工程とを含む発光装置の製造方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、支持基板上の配線を不必要に厚膜化することなく、電圧降下が抑制された発光装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】発光装置の一部を拡大して模式的に示す平面図である。
【図2】発光装置において、1つの有機EL素子15が設けられた領域を拡大して模式的に示す断面図である。
【図3】発光装置を模式的に示す平面図である。
【図4】発光装置を模式的に示す平面図である。
【図5】発光装置を模式的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の発光装置は、支持基板と、第1電極、有機EL層、および第2電極がこの順で前記支持基板上に積層されて構成される複数の有機EL素子と、前記支持基板と対向して配置される対向基板と、前記支持基板から前記対向基板に向けて突起する突起部と、前記第2電極から前記突起部上にまで延在して形成される接続電極とを備え、前記対向基板の前記支持基板に臨む表面部には導電性を示す部材が設けられており、前記突起部上に形成された接続電極が、前記対向基板に当接している発光装置である。
【0011】
本発明の発光装置はたとえば表示装置として利用される。表示装置は主にアクティブマトリクス駆動型の装置と、パッシブマトリクス駆動型の装置とがある。本発明は両方の型の表示装置に適用可能であるが、本実施形態では一例としてアクティブマトリクス駆動型の表示装置に適用される発光装置について説明する。
【0012】
<発光装置の構成>
まず発光装置の構成について説明する。図1は発光装置の一部を拡大して模式的に示す平面図である。また図2は発光装置において、1つの有機EL素子15が設けられた領域を拡大して模式的に示す断面図である。なお図1では後述する隔壁12の設けられる領域にハッチングを施している。
【0013】
本実施形態の発光装置は主に、支持基板11と、この支持基板11上に整列して設けられる複数の有機EL素子15と、支持基板11に対向して配置される対向基板31とを含んで構成される。
【0014】
本実施形態では支持基板11上に隔壁12が設けられる。この隔壁12は支持基板11上に予め設定される区画を画定するために設けられる。なお複数の有機EL素子15は、この隔壁12によって画定される区画にそれぞれ設けられる。本実施形態における隔壁12は、第1隔壁部材13と第2隔壁部材14とが支持基板11側からこの順で積層されて構成される。以下において第1隔壁部材13および第2隔壁部材14を特に区別せずに説明する場合、第1隔壁部材13および第2隔壁部材14を総称して隔壁12という。
【0015】
本実施形態における隔壁12は、支持基板11の厚み方向Zの一方から見て(以下、「平面視で」ということがある。)格子状に設けられる。すなわち隔壁12は、行方向Xに延在する複数本の部材と、列方向Yに延在する複数本の部材とから構成される。行方向Xに延在する複数本の部材は、列方向Yに所定の間隔をあけて配置され、列方向Yに延在する複数本の部材は、行方向Xに所定の間隔をあけて配置される。そして行方向Xに延在する複数本の部材と、列方向Yに延在する部材とは、互いに直交し、一体的に形成されている。換言すると隔壁12は、平板状の絶縁性部材に複数の開口部19が形成された形状を有する。すなわち隔壁には行方向Xに所定の間隔をあけるとともに、列方向Yに所定の間隔をあけて配置される複数の開口部19が形成されている。なお本明細書において行方向Xと列方向Yとは、互いに垂直であって、かつそれぞれが支持基板11の厚み方向Zに垂直な方向を意味する。隔壁12を構成する上述の複数本の部材の幅は、発光装置の仕様や製造工程の簡易さなどによって決まるが、通常10μm〜100μm程度である。
【0016】
第1隔壁部材13および第2隔壁部材14は、平面視で、それぞれ上述のように格子状に設けられるが、平面視におけるその外縁が互いに異なる。第2隔壁部材14はその外縁が、第1隔壁部材13の外縁から、第1隔壁部材13上の内側に退避して形成されている。換言すると平面視で第1隔壁部材13はその外縁が第2隔壁部材14の外縁からはみ出すように形成されている。
【0017】
第1隔壁部材13の厚みは、発光装置の仕様や製造工程の簡易さなどによって決まるが、通常30nm〜500nm程度である。また第2隔壁部材14の厚みは、発光装置の仕様や製造工程の簡易さなどによって決まるが、通常0.5μm〜5μm程度である。
【0018】
支持基板11上には複数の有機EL素子15が設けられる。各有機EL素子15は、それぞれ隔壁12に囲まれる領域に設けられる。すなわち隔壁12に形成された複数の開口部19に各有機EL素子15がそれぞれ設けられる。本実施形態では格子状の隔壁12が設けられるので、複数の有機EL素子15はそれぞれマトリクス状に配置される。すなわち複数の有機EL素子15は、それぞれ行方向Xに所定の間隔をあけるとともに、列方向Yに所定の間隔をあけて配置される。有機EL素子15または開口部19のサイズは、発光装置の仕様や製造工程の簡易さなどによって決まるが、たとえば表示装置では有機EL素子15または開口部19の行方向Xおよび列方向Yの幅はそれぞれ30μm〜300μm程度である。
【0019】
発光装置は支持基板11から対向基板31に向けて突起する突起部34をさらに備える。本実施形態では突起部34は隔壁12とは別に設けられる。なお後述するように隔壁とは別に突起部を設けるのではなく、突起部としても機能する隔壁を設けてもよい。
【0020】
本実施形態では突起部34は隔壁12上に設けられる。突起部34は、隔壁12上において所定の方向に連続するように形成されていてもよく、また所定の間隔をあけて離散的に形成されていてもよい。図3は連続する突起部34を備える発光装置を模式的に示す平面図であり、図4は所定の間隔をあけて配置される突起部34を備える発光装置を模式的に示す平面図である。図3および図4では突起部の設けられる領域にハッチングを施している。
突起部34は支持基板11から離間するにつれて先細状に形成される。このように突起部34を先細状に形成することによって、互いに連続する接続電極35と第2電極18とを容易に形成することができる。
【0021】
連続する突起部を設ける場合、たとえば隔壁12と同様に格子状の突起部を形成してもよく(図3(1)参照)、また行方向Xまたは列方向Yに延在する複数本のストライプ状の突起部を形成してもよい(図3(2)参照)。このような連続する突起部は、たとえば断面形状が台形状に形成される。また離散的に突起部を配置する場合、たとえば格子状の隔壁の交差する部位に突起部を形成してもよく(図4(1)参照)、また行方向Xまたは列方向Yに隣り合う有機EL素子15の間に突起部を形成してもよい(図4(2)参照)。このような離散的に配置される突起部はたとえば、円錐台形状および角錐台形状などの錐台形状、などに形成される。
【0022】
なお支持基板11と対向基板31とを貼り合せる際に、たとえ意図しないパーティクルが支持基板11上に存在していたとしても、パーティクルは通常凹所に収容されるため、対向基板と突起部とがパーティクルを挟むようにして接続されることを防ぐことができる。このような観点からは突起部を離散的に配置することが好ましい。
【0023】
突起部34のサイズは、発光装置の仕様や製造工程の簡易さなどによって決まるが、たとえば表示装置では突起部34の高さは1μm〜10μm程度である。
【0024】
有機EL素子15は、陽極および陰極から構成される一対の電極と、該電極間に設けられる有機EL層17とから構成される。有機EL層17は1層のみから構成されていてもよいが、複数の層が積層されて構成されていてもよい。なお有機EL素子15は有機EL層として少なくとも1層の発光層を備える。
【0025】
以下では陽極および陰極から構成される一対の電極のうちの、支持基板寄りに配置される一方の電極を第1電極16といい、この第1電極16よりも支持基板11から離間して配置される他方の電極を第2電極18という。
【0026】
本実施形態ではアクティブマトリクス駆動型の基板が用いられる。そのため支持基板11には有機EL素子15と同数の第1電極16が設けられる。複数の第1電極16は、複数の有機EL素子15と同様にマトリクス状に配置される。すなわち複数の第1電極16は、それぞれ行方向Xに所定の間隔をあけるとともに、列方向Yに所定の間隔をあけて配置される。第1電極16は、薄膜状に形成され、平面視でたとえば略矩形状や略楕円形状などに形成される。第1電極16は平面視で主に第1隔壁部材13の設けられる領域を除く領域に形成されるが、本実施形態ではその周縁部が第1隔壁部材13に覆われている。
換言すると本実施形態における第1隔壁部材13は第1電極16の周縁部を覆うように形成されている。
【0027】
有機EL層17は、有機EL素子15のうちで、第1電極16および第2電極18に挟持される全ての層を意味する。有機EL層17としては、前述したように少なくとも発光層が設けられるが、この他に、正孔注入層、正孔輸送層、電子ブロック層、正孔ブロック層、電子輸送層および電子注入層などが必要に応じて設けられる。有機EL層17は、第1電極16上であって、かつ隔壁12に囲まれた領域に設けられる。すなわち有機EL層17は、第1電極16上であって、開口部19に設けられる。
【0028】
第2電極18は、本実施形態では複数の有機EL素子15に共通の電極として設けられる。すなわち第2電極18は、有機EL層17上のみならず、隔壁12および突起部34上にも延在して設けられ、複数の有機EL素子15にまたがって、連続して形成されている。
【0029】
このように本実施形態では第2電極から前記突起部34上にまで延在して導電性部材が形成される。この突起部上に形成される導電性部材を本明細書では接続電極35という。
【0030】
対向基板31は支持基板11と対向して配置される。対向基板は、前記支持基板に臨む表面部に導電性を示す部材が設けられている。対向基板31は少なくともその表面部に導電性を示す部材が設けられていればよいため、その全てが導電性を示す部材によって構成されていてもよいが、本実施形態では対向基板31は、電気絶縁性を示す絶縁性基板32と、この絶縁性基板32上に設けられる導電性薄膜33とから構成されている。
【0031】
対向基板31は、導電性薄膜33を支持基板11側に配して、支持基板11と貼り合わされる。このように対向基板31を配置することで、前記突起部34上に形成された接続電極35が、対向基板31に当接する。なお本実施形態では導電性薄膜33に接続電極35が当接している。
【0032】
<発光装置の製造方法>
次に発光装置の製造方法について説明する。
【0033】
(支持基板を用意する工程)
本工程では前記突起部、前記有機EL素子および前記接続電極がその上に設けられた支持基板を用意する。
【0034】
本実施形態ではアクティブマトリクス型の表示装置を実現するために、複数の有機EL素子を個別に駆動するための回路が予め形成された基板を支持基板11として使用することができる。たとえばTFT(Thin Film Transistor)およびキャパシタなどが予め形成された基板を支持基板11として使用することができる。
【0035】
次に支持基板11上に複数の第1電極16をマトリクス状に形成する。第1電極16は、たとえば支持基板11上の一面に透明導電性薄膜を形成し、これをフォトリソグラフィ法によってマトリクス状にパターニングし、不要な部分をエッチングにより除去することによって形成される。またたとえば所定の部位に開口が形成されたマスクを支持基板11上に配置し、このマスクを介して支持基板11上の所定の部位に透明導電性材料を選択的に堆積することにより第1電極16をパターン形成してもよい。第1電極16の材料については後述する。
【0036】
次に隔壁12を支持基板11上に形成する。本実施形態ではまず第1隔壁部材13を形成する。第1隔壁部材13は有機物または無機物によって構成される。第1隔壁部材13を構成する有機物としてはアクリル樹脂、フェノール樹脂、およびポリイミド樹脂などの樹脂を挙げることができる。また第1隔壁部材13を構成する無機物としてはSiOやSiNなどを挙げることができる。
【0037】
有機物からなる第1隔壁部材13を形成する場合、まずたとえばポジ型またはネガ型の感光性樹脂を一面に塗布し、所定の部位を露光、現像する。さらにこれを硬化することによって、格子状の第1隔壁部材13が形成される。また無機物からなる第1隔壁部材13を形成する場合、無機物からなる薄膜をプラズマCVD法やスパッタ法などによって一面に形成し、次に所定の部位を除去することにより格子状の第1隔壁部材13が形成される。所定の部位の除去はたとえばフォトリソグラフィ法とエッチングによって行われる。
【0038】
次に格子状の第2隔壁部材14を形成する。第2隔壁部材14はたとえば第1隔壁部材13の材料として例示した材料を用いて、第1隔壁部材13を形成する方法と同様にして格子状に形成することができる。
【0039】
次に突起部34を形成する。突起部34は、たとえば第1隔壁部材13の材料として例示した材料を用いて、第1隔壁部材13を形成する方法と同様にして隔壁12上にパターン形成することができる。
隔壁12は有機EL層を形成する前に必要に応じて撥液化される。たとえば第2隔壁部材14が有機物から構成される場合、フッ化物を含有する雰囲気中でプラズマ処理を行うことにより、第2隔壁部材14の表面に撥液性を付与することができる。本処理ではフッ化物として、CF、CHF、CH、C、C、Cなどを用いることができる。このように第2隔壁部材14の表面に撥液性を付与することによって、隔壁12に囲まれる領域(開口部19)に供給されるインキを、開口部19内で保持することができる。
【0040】
次に有機EL素子を形成する。なお本実施形態では第1電極16が予め形成されているため、さらに有機EL層17、第2電極18を形成することによって有機EL素子15を作製する。
【0041】
有機EL層17はたとえば塗布法によって形成される。まず有機EL層17となる有機EL材料を含むインキを、隔壁12に囲まれる領域(開口部19)に選択的に供給する。
インキを選択的に供給する方法としては、インクジェットプリント法、凸版印刷法、凹版印刷法およびノズルコート法などの印刷法が挙げられる。次に供給されたインキを固化することによって有機EL層を形成する。
【0042】
なお全ての有機EL素子に共通する層を形成する場合、有機EL材料を含むインキを、隔壁12に囲まれる領域に選択的に供給する必要がないこともある。全ての有機EL素子に共通する層は、上述の方法と同様に、インキを選択的に供給することによって形成してもよいが、たとえばスピンコート法、キャピラリーコート法、ディップコート法などによって、全面にインキを塗布し、これを固化することによって形成してもよい。
【0043】
次に第2電極18を形成する。第2電極18は本実施形態では全面に形成する。すなわち有機EL層17上、隔壁12上および突起部34上に、全面に導電性薄膜を形成する。
これによって全ての有機EL素子15に連続して設けられる第2電極18が形成され、結果として接続電極35が突起部34上に形成される。第2電極18の材料については後述する。
【0044】
次に対向基板31を用意する。本実施形態では絶縁性基板32と、この絶縁性基板32上に設けられる導電性薄膜33とから構成される対向基板31を用意する。
【0045】
絶縁性基板32はたとえばガラス基板、石英ガラス基板によって構成される。
【0046】
導電性薄膜33はたとえばスパッタリング法、イオンプレーティング法によって絶縁性基板32上に形成される。第2電極18は成膜する際に有機EL素子に損傷を与えることがあるため、有機EL素子に与える損傷の少ない方法によって形成することが好ましく、成膜方法が限定されることがある。他方、導電性薄膜33を形成する方法は特に限定されないため、導電性薄膜33は、第2電極18よりも成膜速度の速い方法によって形成することが好ましく、たとえばスパッタリング法によって形成することが好ましい。
【0047】
導電性薄膜33はたとえば電気抵抗の低い材料によって構成することが好ましく、Ag、Al、Au、Cr、Cu、In、Mg、Mo、Pt、Sn、Ta、W、およびZnからなる群から選ばれる1種以上の金属の薄膜によって構成されることが好ましい。
【0048】
対向基板31はたとえば所定の接着部材によって支持基板11に貼り合わされる。たとえばまず対向基板31の周縁部に接着部材を配置し、次に支持基板11に対向基板31を貼り合せる。その後、接着部材を硬化することによって、対向基板31と支持基板11とを接着することができる。対向基板31を支持基板11に貼り合せる工程はたとえば不活性ガス雰囲気、または真空雰囲気において行うことが好ましい。接着部材にはたとえば熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂、フリットガラスが用いられる。
【0049】
以上説明したように本実施形態の発光装置には、接続電極35を介して第2電極18に電気的に接続される導電性薄膜33が対向基板31に設けられる。電力供給源から供給される電流は、第2電極18だけでなく、導電性薄膜33も通って流れるため、この導電性薄膜33を設けることによって、電力供給源から各有機EL素子に電力を供給する際に生じる電圧降下を小さくすることができる。これによって支持基板上の第2電極18を不必要に厚膜化することなく、電圧降下の抑制された発光装置を実現することができる。
【0050】
また上述したように導電性薄膜33の成膜方法には制限がないため、成膜速度の速い方法で導電性薄膜33を形成することができ、発光装置の製造に要する時間を短くすることができる。
【0051】
また導電性薄膜33を設けることによって、第2電極18の厚膜化を抑えることができるため、第2電極18を形成する際に有機EL素子に与えられるダメージを抑制することができる。
【0052】
なお突起部34を対向基板側に形成することも考えられなくはないが、この場合、対向基板と支持基板とを貼り合せる際に、両者の位置合わせを高精度に行う必要があるところ、本実施形態のように突起部34を支持基板側に形成することによって、位置合わせを高精度に行うことなく貼り合せを行うことができ、工程を簡易化することができる。
【0053】
また突起部34はスペーサとしても機能するため、対向基板31にかかる応力を分散し、対向基板31が撓むことを防ぐことができる。このように突起部34をスペーサとしても用いることによって、スペーサを別に形成する必要がなくなり、工程を簡略化することができる。
【0054】
上述の実施形態の発光装置では、対向基板31は、電気絶縁性を示す絶縁性基板32と、この絶縁性基板32上に設けられる導電性薄膜33とから構成されているとしたが、対向基板31は導電性部材から構成されていてもよい。たとえば対向基板はAg、Al、Au、Cr、Cu、In、Mg、Mo、Pt、Sn、Ta、W、およびZnからなる群から選ばれる1種以上の金属の薄板によって構成されていてもよい。
【0055】
また前述の実施形態の発光装置では突起部34が隔壁12とは別に設けられるとしたが、たとえば突起部と隔壁との両方の機能を発揮する突起部を設けてもよい。図5は突起部と隔壁との両方の機能を発揮する突起部を備える発光装置を模式的に示す平面図である。
このように突起部と隔壁との両方の機能を発揮する突起部を設ける場合、隔壁と別に突起部を形成する必要がなくなるので工程を簡略化することができる。
【0056】
また本実施形態における隔壁は第1隔壁部材13と第2隔壁部材14とが支持基板11側からこの順で積層されて構成されるとしたが、隔壁は、単層構造のものであってもよい。
【0057】
また本実施形態における隔壁は、第1隔壁部材13と第2隔壁部材14とがともに格子形状を有するとしたが、隔壁の形状は格子形状に限られない。たとえば格子形状の第1隔壁部材13上に、ストライプ状の第2隔壁部材を設けてもよく、また第1隔壁部材13と第2隔壁部材14とをともにストライプ形状に形成してもよい。
【0058】
<有機EL素子の構成>
前述したように有機EL素子は種々の層構成をとりうるが、以下では有機EL素子の層構造、各層の構成、および各層の形成方法についてさらに詳しく説明する。
【0059】
前述したように有機EL素子は、陽極および陰極からなる一対の電極と、該電極間に設けられる1または複数の有機EL層とを含んで構成され、1または複数の有機EL層として少なくとも1層の発光層を有する。なお有機EL素子は、無機物と有機物とを含む層、および無機層などを含んでいてもよい。有機層を構成する有機物としては、低分子化合物でも高分子化合物でもよく、また低分子化合物と高分子化合物との混合物でもよい。有機層は、高分子化合物を含むことが好ましく、ポリスチレン換算の数平均分子量が10〜10である高分子化合物を含むことが好ましい。
【0060】
陰極と発光層との間に設けられる有機EL層としては、電子注入層、電子輸送層、正孔ブロック層などを挙げることができる。陰極と発光層との間に電子注入層と電子輸送層との両方の層が設けられる場合、陰極に近い層を電子注入層といい、発光層に近い層を電子輸送層という。陽極と発光層との間に設けられる有機EL層としては、正孔注入層、正孔輸送層、電子ブロック層などを挙げることができる。正孔注入層と正孔輸送層との両方の層が設けられる場合、陽極に近い層を正孔注入層といい、発光層に近い層を正孔輸送層という。
【0061】
本実施の形態の有機EL素子のとりうる層構成の一例を以下に示す。
a)陽極/発光層/陰極
b)陽極/正孔注入層/発光層/陰極
c)陽極/正孔注入層/発光層/電子注入層/陰極
d)陽極/正孔注入層/発光層/電子輸送層/陰極
e)陽極/正孔注入層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
f)陽極/正孔輸送層/発光層/陰極
g)陽極/正孔輸送層/発光層/電子注入層/陰極
h)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
i)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
j)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/陰極
k)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子注入層/陰極
l)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
m)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
n)陽極/発光層/電子注入層/陰極
o)陽極/発光層/電子輸送層/陰極
p)陽極/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
(ここで、記号「/」は、記号「/」を挟む各層が隣接して積層されていることを示す。
以下同じ。)
本実施の形態の有機EL素子は2層以上の発光層を有していてもよい。上記a)〜p)の層構成のうちのいずれか1つにおいて、陽極と陰極とに挟持された積層体を「構造単位A」とすると、2層の発光層を有する有機EL素子の構成として、下記q)に示す層構成を挙げることができる。なお2つある(構造単位A)の層構成は互いに同じでも、異なっていてもよい。
q)陽極/(構造単位A)/電荷発生層/(構造単位A)/陰極
また「(構造単位A)/電荷発生層」を「構造単位B」とすると、3層以上の発光層を有する有機EL素子の構成として、下記r)に示す層構成を挙げることができる。
r)陽極/(構造単位B)x/(構造単位A)/陰極
なお記号「x」は、2以上の整数を表し、(構造単位B)xは、構造単位Bがx段積層された積層体を表す。また複数ある(構造単位B)の層構成は同じでも、異なっていてもよい。
【0062】
ここで、電荷発生層とは電界を印加することにより正孔と電子を発生する層である。電荷発生層としては、たとえば酸化バナジウム、インジウムスズ酸化物(Indium Tin Oxide:略称ITO)、酸化モリブデンなどから成る薄膜を挙げることができる。
【0063】
有機EL素子は、陽極および陰極から構成される一対の電極のうちの陽極を陰極よりも支持基板寄りに配置して、支持基板に設けてもよく、また陰極を陽極よりも支持基板寄りに配置して、支持基板に設けてもよい。たとえば上記a)〜r)において、右側から順に各層を支持基板上に積層して有機EL素子を構成してもよく、また左側から順に各層を支持基板上に積層して有機EL素子を構成してもよい。
【0064】
積層する層の順序、層数、および各層の厚さについては、発光効率や素子寿命を勘案して適宜設定することができる。
【0065】
次に、有機EL素子を構成する各層の材料および形成方法についてより具体的に説明する。
【0066】
<陽極>
発光層から放たれる光が陽極を通って素子外に出射する構成の有機EL素子の場合、陽極には光透過性を示す電極が用いられる。光透過性を示す電極としては、金属酸化物、金属硫化物および金属などの薄膜を用いることができ、電気伝導度および光透過率の高いものが好適に用いられる。具体的には酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ITO、インジウム亜鉛酸化物(Indium Zinc Oxide:略称IZO)、金、白金、銀、および銅などから成る薄膜が用いられ、これらの中でもITO、IZO、または酸化スズから成る薄膜が好適に用いられる。
【0067】
陽極の作製方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、メッキ法などを挙げることができる。また陽極として、ポリアニリンもしくはその誘導体、ポリチオフェンもしくはその誘導体などの有機の透明導電膜を用いてもよい。
【0068】
陽極の膜厚は、求められる特性や成膜工程の簡易さなどを考慮して適宜設定され、たとえば10nm〜10μmであり、好ましくは20nm〜1μmであり、さらに好ましくは50nm〜500nmである。
【0069】
<陰極>
陰極の材料としては、仕事関数が小さく、発光層への電子注入が容易で、電気伝導度の高い材料が好ましい。また陽極側から光を取出す構成の有機EL素子では、発光層から放たれる光を陰極で陽極側に反射するために、陰極の材料としては可視光に対する反射率の高い材料が好ましい。陰極には、たとえばアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属および周期表の13族金属などを用いることができる。陰極の材料としては、たとえばリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、アルミニウム、スカンジウム、バナジウム、亜鉛、イットリウム、インジウム、セリウム、サマリウム、ユーロピウム、テルビウム、イッテルビウムなどの金属、前記金属のうちの2種以上の合金、前記金属のうちの1種以上と、金、銀、白金、銅、マンガン、チタン、コバルト、ニッケル、タングステン、錫のうちの1種以上との合金、またはグラファイト若しくはグラファイト層間化合物などが用いられる。合金の例としては、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、マグネシウム−アルミニウム合金、インジウム−銀合金、リチウム−アルミニウム合金、リチウム−マグネシウム合金、リチウム−インジウム合金、カルシウム−アルミニウム合金などを挙げることができる。また陰極としては導電性金属酸化物および導電性有機物などから成る透明導電性電極を用いることができる。具体的には、導電性金属酸化物として酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ITO、およびIZOを挙げることができ、導電性有機物としてポリアニリンもしくはその誘導体、ポリチオフェンもしくはその誘導体などを挙げることができる。なお陰極は、2層以上を積層した積層体で構成されていてもよい。なお電子注入層が陰極として用いられることもある。
【0070】
陰極の膜厚は、求められる特性や成膜工程の簡易さなどを考慮して適宜設定され、たとえば10nm〜10μmであり、好ましくは20nm〜1μmであり、さらに好ましくは50nm〜500nmである。
【0071】
陰極の作製方法としては、真空蒸着法、イオンプレーティング法などを挙げることができる。
【0072】
<正孔注入層>
正孔注入層を構成する正孔注入材料としては、酸化バナジウム、酸化モリブデン、酸化ルテニウム、および酸化アルミニウムなどの酸化物や、フェニルアミン系化合物、スターバースト型アミン系化合物、フタロシアニン系化合物、アモルファスカーボン、ポリアニリン、およびポリチオフェン誘導体などを挙げることができる。
【0073】
正孔注入層の膜厚は、求められる特性および成膜工程の簡易さなどを考慮して適宜設定され、たとえば1nm〜1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは5nm〜200nmである。
【0074】
<正孔輸送層>
正孔輸送層を構成する正孔輸送材料としては、ポリビニルカルバゾール若しくはその誘導体、ポリシラン若しくはその誘導体、側鎖若しくは主鎖に芳香族アミンを有するポリシロキサン誘導体、ピラゾリン誘導体、アリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体、ポリアニリン若しくはその誘導体、ポリチオフェン若しくはその誘導体、ポリアリールアミン若しくはその誘導体、ポリピロール若しくはその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)若しくはその誘導体、又はポリ(2,5−チエニレンビニレン)若しくはその誘導体などを挙げることができる。
【0075】
正孔輸送層の膜厚は、求められる特性および成膜工程の簡易さなどを考慮して設定され、たとえば1nm〜1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは5nm〜200nmである。
【0076】
<発光層>
発光層は、通常、主として蛍光及び/又はりん光を発光する有機物、または該有機物とこれを補助するドーパントとから形成される。ドーパントは、たとえば発光効率の向上や、発光波長を変化させるために加えられる。なお発光層を構成する有機物は、低分子化合物でも高分子化合物でもよく、塗布法によって発光層を形成する場合には、発光層は高分子化合物を含むことが好ましい。発光層を構成する高分子化合物のポリスチレン換算の数平均分子量はたとえば10〜10程度である。発光層を構成する発光材料としては、たとえば以下の色素系材料、金属錯体系材料、高分子系材料、ドーパント材料を挙げることができる。
【0077】
(色素系材料)
色素系材料としては、たとえば、シクロペンダミン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体化合物、トリフェニルアミン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ピラゾロキノリン誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、ジスチリルアリーレン誘導体、ピロール誘導体、チオフェン環化合物、ピリジン環化合物、ペリノン誘導体、ペリレン誘導体、オリゴチオフェン誘導体、オキサジアゾールダイマー、ピラゾリンダイマー、キナクリドン誘導体、クマリン誘導体などを挙げることができる。
【0078】
(金属錯体系材料)
金属錯体系材料としては、たとえばTb、Eu、Dyなどの希土類金属、またはAl、Zn、Be、Ir、Ptなどを中心金属に有し、オキサジアゾール、チアジアゾール、フェニルピリジン、フェニルベンゾイミダゾール、キノリン構造などを配位子に有する金属錯体を挙げることができ、たとえばイリジウム錯体、白金錯体などの三重項励起状態からの発光を有する金属錯体、アルミニウムキノリノール錯体、ベンゾキノリノールベリリウム錯体、ベンゾオキサゾリル亜鉛錯体、ベンゾチアゾール亜鉛錯体、アゾメチル亜鉛錯体、ポルフィリン亜鉛錯体、フェナントロリンユーロピウム錯体などを挙げることができる。
【0079】
(高分子系材料)
高分子系材料としては、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリシラン誘導体、ポリアセチレン誘導体、ポリフルオレン誘導体、ポリビニルカルバゾール誘導体、上記色素系材料や金属錯体系発光材料を高分子化したものなどを挙げることができる。
【0080】
発光層の厚さは、通常約2nm〜200nmである。
【0081】
<電子輸送層>
電子輸送層を構成する電子輸送材料としては、公知のものを使用でき、オキサジアゾール誘導体、アントラキノジメタン若しくはその誘導体、ベンゾキノン若しくはその誘導体、ナフトキノン若しくはその誘導体、アントラキノン若しくはその誘導体、テトラシアノアントラキノジメタン若しくはその誘導体、フルオレノン誘導体、ジフェニルジシアノエチレン若しくはその誘導体、ジフェノキノン誘導体、又は8−ヒドロキシキノリン若しくはその誘導体の金属錯体、ポリキノリン若しくはその誘導体、ポリキノキサリン若しくはその誘導体、ポリフルオレン若しくはその誘導体などを挙げることができる。
【0082】
電子輸送層の膜厚は、求められる特性や成膜工程の簡易さなどを考慮して適宜設定され、たとえば1nm〜1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは5nm〜200nmである。
【0083】
<電子注入層>
電子注入層を構成する材料としては、発光層の種類に応じて最適な材料が適宜選択され、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アルカリ金属およびアルカリ土類金属のうちの1種類以上を含む合金、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の酸化物、ハロゲン化物、炭酸塩、またはこれらの物質の混合物などを挙げることができる。アルカリ金属、アルカリ金属の酸化物、ハロゲン化物、および炭酸塩の例としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、酸化リチウム、フッ化リチウム、酸化ナトリウム、フッ化ナトリウム、酸化カリウム、フッ化カリウム、酸化ルビジウム、フッ化ルビジウム、酸化セシウム、フッ化セシウム、炭酸リチウムなどを挙げることができる。また、アルカリ土類金属、アルカリ土類金属の酸化物、ハロゲン化物、炭酸塩の例としては、マグネシウム、カルシウム、バリウム、ストロンチウム、酸化マグネシウム、フッ化マグネシウム、酸化カルシウム、フッ化カルシウム、酸化バリウム、フッ化バリウム、酸化ストロンチウム、フッ化ストロンチウム、炭酸マグネシウムなどを挙げることができる。電子注入層は、2層以上を積層した積層体で構成されてもよく、たとえばLiF/Caなどを挙げることができる。
【0084】
電子注入層の膜厚としては、1nm〜1μm程度が好ましい。
【0085】
上述の各有機EL層は、上述した塗布法、真空蒸着法、およびラミネート法などによって形成することができる。
【0086】
なお塗布法では、各有機EL層となる有機EL材料を含むインキを塗布成膜することによって有機EL層を形成するが、その際に使用されるインキの溶媒には、たとえばクロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタンなどの塩素系溶媒、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセルソルブアセテートなどのエステル系溶媒、および水などが用いられる。
【符号の説明】
【0087】
11 支持基板
12 隔壁
13 第1隔壁部材
14 第2隔壁部材
15 有機EL素子
16 第1電極
17 有機EL層
18 第2電極
19 開口部
31 対向基板
32 絶縁性基板
33 導電性薄膜
34 突起部
35 接続電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持基板と、
第1電極、有機EL層、および第2電極がこの順で前記支持基板上に積層されて構成される複数の有機EL素子と、
前記支持基板と対向して配置される対向基板と、
前記支持基板から前記対向基板に向けて突起する突起部と、
前記第2電極から前記突起部上にまで延在して形成される接続電極とを備え、
前記対向基板の前記支持基板に臨む表面部には導電性を示す部材が設けられており、
前記突起部上に形成された接続電極が、前記対向基板に当接している、発光装置。
【請求項2】
前記支持基板上に設けられ、前記複数の有機EL素子を区分けする隔壁をさらに有し、 前記突起部は前記隔壁上に設けられる、請求項1記載の発光装置。
【請求項3】
前記対向基板が導電性部材から構成されている、請求項1または2記載の発光装置。
【請求項4】
前記対向基板は、電気絶縁性を示す絶縁性基板と、この絶縁性基板上に設けられる導電性薄膜とから構成されている、請求項1〜3のいずれか1つに記載の発光装置。
【請求項5】
前記導電性薄膜はスパッタリング法によって絶縁性基板上に形成されている、請求項4記載の発光装置。
【請求項6】
前記導電性薄膜は、Ag、Al、Au、Cr、Cu、In、Mg、Mo、Pt、Sn、Ta、W、およびZnからなる群から選ばれる1種以上の金属の薄膜によって構成される、請求項4または5記載の発光装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1つに記載の発光装置を製造する発光装置の製造方法であって、
前記突起部、前記有機EL素子および前記接続電極がその上に設けられた支持基板を用意する工程と、
導電性を示す部材が表面部に設けられた対向基板を用意する工程と、
前記支持基板と対向基板とを貼り合せる工程とを含む発光装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−233512(P2011−233512A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−71895(P2011−71895)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】