説明

発光装置

【課題】発光装置の発光効率を向上させ、さらにその寿命を向上させる。
【解決手段】第1の波長帯の光を反射する第1の反射層と、前記第1の波長帯の光を放出する第1の発光素子と、前記第1の波長帯の光に対する透過率が、前記第1の波長帯とは異なる第2の波長帯の光に対する透過率よりも高い第2の反射層と、前記第2の波長帯の光を放出する第2の発光素子と、がこの順に積層されたことを特徴とする発光装置が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、表示装置のバックライトや照明装置などに用いることができる薄型の発光源が注目されている。このような発光装置は、使用される態様や好みなどに応じて、所定の色温度や演色性あるいは色彩などに対する要求を満たす必要がある。このような要求に対して、発光色の異なる発光素子を積層する構造を採用することができる(例えば、特許文献1参照)。このような発光装置であれば、積層した各発光素子からの発光が混合するので、所定の演色性を有する白色光などを得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−155940号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、任意色をより効率よく容易に得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様によれば、第1の波長帯の光を反射する第1の反射層と、前記第1の波長帯の光を放出する第1の発光素子と、前記第1の波長帯の光に対する透過率が、前記第1の波長帯とは異なる第2の波長帯の光に対する透過率よりも高い第2の反射層と、前記第2の波長帯の光を放出する第2の発光素子と、がこの順に積層されたことを特徴とする発光装置が提供される。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、任意色をより効率よく容易に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】発光装置の要部模式図である。
【図2】発光装置の作用効果を説明する図である。
【図3】発光装置の要部模式図である。
【図4】発光装置の要部模式図である。
【図5】発光装置の要部模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。
【実施例1】
【0009】
図1は、発光装置の要部模式図である。図1(a)には、発光装置1の要部平面が示され、図1(b)には、図1(a)のX−Y断面が示されている。
発光装置1は、窓材である透明基板23と、透明基板23に対向する基板20と、透明基板23と基板20との間に積層された発光素子10G、10R、10Bと、積層された発光素子間に設けられた透明基板(光透過性基板)21、22と、それぞれの透明基板21、22の主面(上面もしくは下面)に形成されたダイクロイックミラー(反射層)40R、40Bと、を備えている。
発光素子としては、例えば、有機EL素子、無機EL素子等、あるいは半導体材料を主成分とする発光ダイオード等の各種発光素子を用いることができる。
以下に説明する実施の形態では、発光素子の一例として、有機EL素子を用いた形態を主に説明する。
【0010】
発光装置1は、平面型の発光装置であり、複数の発光素子の主面を互いに対向させ積層した構造を有する。平面の形状は、正方形でもよく、長方形でもよい。あるいは、それら以外の各種の形状を与えることもできる。
具体的には、発光装置1は、例えば、3個の発光素子10G、10R、10Bの主面が互いに対向し、それらが積層した構造を有する。発光素子10G、10R、10Bは、順に緑色用、赤色用、青色用である。発光素子10G、10R、10Bの厚みは、例えば、100nm〜500nmである。
【0011】
発光素子10Gは、発光素子10Gの主面の面積と同等あるいはそれよりも面積が大きい基板20の上面に設けられている。基板20は、単層構造でもよく、多層構造でもよい。また、基板20の直上には、反射膜(反射層)30が形成している。すなわち、発光素子10Gと、基板20との間には、この反射膜30が介在している。
【0012】
発光素子10Rは、発光素子10Rの主面の面積と同等あるいはそれよりも面積が大きい透明基板21の上面に設けられている。透明基板21は、単層構造でもよく、多層構造でもよい。透明基板21の下面側には、ダイクロイックミラー40Rが設けられている。
【0013】
このダイクロイックミラー40Rは、赤色の波長の光を反射し、発光素子10Gから放出される緑色の波長の光は透過する。すなわち、ダイクロイックミラー40Rは、赤色の波長の光に対する反射率が緑色の光に対する反射率よりも高く、緑色の波長の光に対する透過率が赤色の光に対する透過率よりも高い。このようなダイクロイックミラー40Rは、透明基板21の上面側に形成してもよい。
【0014】
発光素子10Bは、発光素子10Bの主面の面積と同等あるいはそれよりも面積が大きい透明基板22の上面に設けられている。透明基板22は、単層構造でもよく、多層構造でもよい。また、透明基板22の下面側には、ダイクロイックミラー40Bが設けられている。
このダイクロイックミラー40Bは、青色の波長の光を反射し、発光素子10Gから放出される緑色の光と発光素子10Rから放出される赤色の光は透過する。あるいは、ダイクロイックミラー40Bは、青色の波長以外の光を透過するものとしてもよい。このようなダイクロイックミラー40Bは、透明基板22の上面側に形成してもよい。
【0015】
また、発光素子10Bの上には、発光素子10Bの主面の面積と同等あるいはそれよりも面積が大きい透明基板23が設けられている。そして、透明基板23と透明基板22との間、ダイクロイックミラー40Bと透明基板21との間、およびダイクロイックミラー40Rと反射膜30との間には、光透過性且つ絶縁性を有する樹脂部材50が設けられている。樹脂部材50は、透明基板23と発光素子10Bとの間、ダイクロイックミラー40Bと発光素子10Rとの間、ダイクロイックミラー40Rと発光素子10Gとの間にも介在している。そして、透明基板23の上面が発光装置1の光取り出し面23sになる。
【0016】
なお、基板20の材質は、例えば、ガラス、透明樹脂、金属である。透明基板21、22、23の材質は、例えば、ガラス、透明樹脂である。基板20、透明基板21、22、23の厚みは、0.1mm〜1.0mmである。基板20、透明基板21、22、23は、光透過性を有する。
【0017】
反射膜30の材質は、例えば、銀(Ag)、アルミニウム(Al)である。
樹脂部材50の材質は、例えば、エポキシ系樹脂である。
また、ダイクロイックミラー40B、40Rは、例えば、透光性基板の上に誘電体(例えば、SiO、Al、TiO)等の多層膜を設けた積層構造を有する。具体的には、例えば、2種類の異なる誘電体層を交互に積層させ、これら誘電体層の屈折率と厚みを調整することにより、いわゆるDBR(Distributed Bragg Reflector)などのように、特定の反射・透過スペクトルを有するダイクロイックミラーを形成することができる。なお、基板20の材質がステンレス鋼、アルミニウム(Al)などの反射率の高いものである場合は、反射膜30は設けなくてもよい。
【0018】
それぞれの発光素子10G、10R、10Bは、例えば、陽極10aと、陰極10cとを有する。発光素子10G、10R、10Bは、光透過性を有する。また、発光素子10G、10R、10Bが有機EL素子である場合、それぞれの陽極10aと陰極10cとの間には、陽極10aから陰極10cに向かって、正孔輸送層/発光層/電子輸送層の順で構成された積層膜10gl、10rl、10blが設けられている。そして、陽極10aから正孔、陰極10cから電子が発光層に注入されると、正孔、電子の再結合によって光が発光する。
【0019】
陽極10aは、例えば、透明電極であり、その材質として、インジウム錫酸化物(ITO)、酸化錫(SnO)、アルミニウム含有酸化亜鉛(ZnO:Al)などである。
陰極10cは、光透過性電極であり、その材質としては、例えば、マグネシウム銀合金(MgAg)、マグネシウムインジウム合金(MgIn)、アルミニウム(Al)などの極薄金属材料である。陰極10cは、ITO層などの透明導電材料層で被覆してもよい。
【0020】
正孔輸送層は、有機物を含む層により構成されている。例えば、その材料としては、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン(TPD)、またはN,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(1−ナフチルフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン(α−NPD)、ビス(ジトリルアミノフェニル)シクロヘキサン(TPAC)が挙げられる。正孔輸送層のイオン化エネルギーは、陽極10aの仕事関数と発光層のイオン化エネルギーとの間にある。
【0021】
発光層は、有機物を含む層であり、ホスト材料とドーパントとを有する。ホスト材料としては、例えば、トリス(8−ヒドロキシキノリナート)アルミニウム(Alq)等が挙げられる。ドーパントとしては、青、赤、緑色は発する各種材料(クマリン、キナクリドン、スチリルアミン、ペルリン等)が用いられる。
【0022】
発光層は、これらの材料に限られるものではなく、例えば、Be−ベンゾキノリノール(BeBq)、ベンゾチアゾール系、ベンゾイミダゾール系、ベンゾオキサゾール系等の蛍光増白剤、金属キレート化オキソニウム化合物、スチリルベンゼン系化合物、ジスチルピラジン誘導体、芳香族ジメチリディン系化合物、ナフタルイミド誘導体、ペリレン誘導体、オキサジアゾール誘導体、アルダジン誘導体、シクロペンタジエン誘導体、スチリルアミン誘導体や、クマリン系誘導体、芳香族ジメチリディン誘導体等が用いられる。
発光層は、低分子有機材料のほか、高分子有機材料が用いられる。さらに、BtpIr(acac)、Ir(ppy)、FIrpic等の燐光材料を発光材料に用いてもよい。
【0023】
電子輸送層は、有機物を含む層により構成されている。例えば、その材料としては、Alq、オキサジアゾール誘導体(tBu−PBD)、1,3,4−オキサゾール誘導体(OXD)、が挙げられる。電子輸送層の電子親和力は、発光層の電子親和力と陰極10cの仕事関数との間にある。
【0024】
発光装置1内の発光素子10G、10R、10Bは、電源60G、60R、60Bにより、それぞれ独立に制御することができる。あるいは、ひとつの電源から調整回路を適宜介してこれら発光素子10G、10R、10Bをそれぞれ発光制御してもよい。それぞれの発光素子10G、10R、10Bの駆動電圧を調整することにより、発光装置1から任意の色を提供することができる。
【0025】
なお、発光素子として、無機EL素子を用いる場合は、上述した発光層が薄膜絶縁層(下層)/発光層/薄膜絶縁層(上層)の積層膜に置き換えられる。この場合、電源60G、60R、60Bは交流電源になる。薄膜絶縁層は、例えば、Y、Ta、Alや、Si、BaTiO、SrTiO等の透明誘電体が該当する。発光層は、ZnS:Mn等の蛍光体薄膜が該当する。
【0026】
また、発光素子が半導体材で構成された発光ダイオードの場合は、その材質は、例えば、シリコン(Si)、ガリウム砒素(GaAs)、窒化ガリウム(GaN)、インジウム窒化ガリウム(InGaN)等を主成分としている。
【0027】
次に、発光装置1の作用効果について説明する。
図2は、発光装置の作用効果を説明するための図である。図2(a)には、本実施の形態に係る発光装置1が示され、図2(b)には、比較例の発光装置100が示されている。発光装置100は、発光装置1から、ダイクロイックミラー40B、40Rを除いた構造を有する。発光装置100の平面サイズは、発光装置1と同じである。
【0028】
最初に、発光装置1の作用効果を説明する。
電源60Gを用い、発光装置1の最下層に位置する発光素子10Gを駆動させる。発光素子10Gからは、その上下方向に緑色の光70gが発光する。ここで、基板20上には、反射膜30が設けられている。従って、発光素子10Gから下方に向かう光70gは、反射膜30により反射される。これにより、発光素子10Gから発せられる光70gは、基板20よりも上方側に放出される。
この光70gは、ダイクロイックミラー40Rにまで到達する。しかしながら、ダイクロイックミラー40Rは、赤色以外の光を透過する。これにより、光70gは、ダイクロイックミラー40R、さらには透明基板21を透過して、発光素子10Rの位置にまで到達する。
【0029】
この光70gは、ダイクロイックミラー40Bにまで到達する。しかしながら、ダイクロイックミラー40Bは、青色以外の光を透過する。これにより、光70gは、ダイクロイックミラー40B、さらには透明基板22を透過し、発光素子10Bの位置にまで到達する。そして、この光70gは、透明基板23を透過して、光取り出し面23sから放出される。
【0030】
一方、電源60Rを用い、発光装置1の中間に位置する発光素子10Rを駆動させる。発光素子10Rからは、その上下方向に赤色の光70rが発光する。ここで、透明基板21の下側には、ダイクロイックミラー40Rが設けられている。ダイクロイックミラー40Rは、赤色の光を選択的に反射する。従って、発光素子10Rから下方に向かう光70rは、ダイクロイックミラー40Rにより反射される。これにより、発光素子10Rから発せられる光70rは、ダイクロイックミラー40Rより上方側に放出される。
【0031】
この光70rは、ダイクロイックミラー40Bにまで到達する。しかしながら、ダイクロイックミラー40Bは、青色以外の光を透過する。これにより、光70rは、ダイクロイックミラー40B、さらには透明基板22を透過して、発光素子10Bの位置にまで到達する。そして、この光70rは、透明基板23を透過し、光取り出し面23sから放出される。
【0032】
また、電源60Bを用い、発光装置1の最上層に位置する発光素子10Bを駆動させる。発光素子10Bからは、その上下方向に青色の光70bが発光する。ここで、透明基板22の下側には、ダイクロイックミラー40Bが設けられている。ダイクロイックミラー40Bは、青色の光を選択的に反射する。従って、発光素子10Bから下方に向かう光70bは、ダイクロイックミラー40Bにより反射される。これにより、発光素子10Bから発せられる光70bは、ダイクロイックミラー40Bより上方側に放出される。そして、光70bは、透明基板23を透過し、光取り出し面23sから放出される。
【0033】
このように、発光装置1は、複数の発光素子が積層された基板20と、それぞれの発光素子の間に設けられた、それぞれのダイクロイックミラー(反射層)と、を備える。そして、それぞれのダイクロイックミラーは、基板20と反対側に最も近接する発光素子から発せられる光を反射し、それよりも下方の発光素子から放出された光を透過させる。
例えば、ダイクロイックミラー40R、40Bが透明基板(窓材)23側に隣接する発光素子から発せられる光を反射し、この光以外の光を透過させる。これにより、緑色、赤色、青色の全ての光が効率よく光取り出し面23sから放出される。また、それぞれの緑色、赤色、青色の強度は、独立して調節可能である。
【0034】
これに対して、図2(b)に示す発光装置100では、ダイクロイックミラー40B、40Rが設けられていない。
このような発光装置100では、発光素子10Bから放出される青色の光70bは、発光素子10Bの下地である透明基板22を透過し、発光素子10Rの位置にまで到達してしまう。さらに、この光70bは、発光素子10Rの下地である透明基板21を透過し、発光素子10Gの位置にまで到達する場合もある。
【0035】
透明基板22を透過した光70bは、発光装置100内部で吸収されたり、発光装置100内部の層界面で散乱したりする。あるいは、光70bは、特定の層内で多重反射をする場合もある。このような現象は、発光素子10Rから放出される赤色の光70rについても発生し得る。
【0036】
すなわち、発光装置100においては、光70bは、発光素子10Bの上方だけでなく、下方にも拡散してしまう。同様に、光70rについても、発光素子10Rの上方だけでなく、下方にも拡散してしまう。これにより、光70b、70rの下方に拡散した成分において損失が発生する。その結果として、発光装置100は、発光装置1よりも光取り出し効率あるいは発光効率(光取り出し面23sから取り出すことができる光量)が低下する。
【0037】
これに対して、発光装置1では、発光素子10B、10Rの下面側に、それぞれダイクロイックミラー40B、40Rを設けている。このような構造であれば、光70b、70rの下方への拡散を抑制できる。これにより、発光装置1の光取り出し効率あるいは発光効率は、発光装置100に比べ大きくなる。
【0038】
また、発光効率が向上すると、発光装置1においては、発光装置100の発光素子10B、10Rに投入する電力よりも低い電力で発光装置100と同等の青色強度および赤色強度を得る。これにより、発光装置1の寿命は、発光装置100の寿命に比べて長くなる。
【0039】
さらに、発光装置1では、透明基板21、22の主面にダイクロイックミラー40R、40Bを付加している。これにより、発光素子10B、10Rの下地の体積が熱的に増加し、発光素子10B、10Rの放熱効果が促進する。すなわち、熱源となる発光素子どうしを離間させることにより、温度の上昇を抑制できる。その結果として、発光素子10B、10Rの寿命は、さらに長くなる。
このように、発光装置1の発光効率、寿命は、大きく向上する。
【0040】
なお、光の取り出し効率の観点からは、他の発光素子による光の吸収を考慮して発光素子の積層の順序を決定するとよい。例えば、発光素子10Bから放出される光70bが発光素子10Rを透過するときの吸収量(損失)と、発光素子10Rから放出される光70rの発光素子10Bを透過するときの吸収量(損失)と、を比較して、前者のほうが大きい場合には、図1及び図2に例示したように、発光素子10Bを発光素子10Rよりも上層に配置するとよい。つまり、発光素子10Rと発光素子10Bのうちで、発光素子10Bを光取り出し面23sにより近い側に配置するとよい。
これは、例えば、発光素子10Bと発光素子10Gとの上下関係や、発光素子10Rと発光素子10Gとの上下関係についても同様である。
【0041】
次に、発光装置の変形例について説明する。以下に例示する図では、発光装置1と同一の部材には、同一の符号を付し、同一の部材、同一の形態については適宜詳細な説明を省略する。なお、以下に例示する変形例においても、発光素子として、有機EL素子を一例に説明する。
【実施例2】
【0042】
図3は、発光装置の要部模式図である。図3(a)には、発光装置2の要部平面が示され、図3(b)には、図3(a)のX−Y断面が示されている。
発光装置2においては、上述した基板20に代えて透明基板24が用いられている。
【0043】
例えば、発光素子10Gは、発光素子10Gの主面の面積と同等あるいはそれよりも面積が大きい透明基板24の上面に設けられている。透明基板24は、単層構造でもよく、多層構造でもよい。発光装置2では、上述した反射膜30が設けられておらず、透明基板24の下面側に、ダイクロイックミラー40Gが設けられている。透明基板24の材質は、例えば、ガラス、透明樹脂である。ダイクロイックミラー40Gは、例えば、鏡面上に誘電体(例えば、SiO、Al、TiO)等の多層膜を設けた積層構造をしている。
【0044】
このダイクロイックミラー40Gは、緑色の波長の光を反射し、緑色の波長以外の光を透過する。このようなダイクロイックミラー40Gは、透明基板24の上面側に形成してもよい。そして、透明基板23の上面が発光装置2の光取り出し面23sになる。
【0045】
すなわち、発光装置2においては、ダイクロイックミラー40G/透明基板24/発光素子10Gを有するユニット80Gと、ダイクロイックミラー40R/透明基板21/発光素子10Rを有するユニット80Rと、ダイクロイックミラー40B/透明基板22/発光素子10Bを有するユニット80Bと、が積層した構造を有する。
【0046】
このような発光装置2であっても、発光素子10Gからは、その上下方向に緑色の光70gが発光する。ここで、透明基板24の下側には、ダイクロイックミラー40Gが設けられている。ダイクロイックミラー40Gは、緑色の光を選択的に反射する。従って、発光素子10Gから下方に向かう光70gは、ダイクロイックミラー40Gにより反射される。これにより、発光素子10Gから発せられる光70gは、ダイクロイックミラー40Rより上方側に放出される。すなわち、発光装置2においても、発光装置1と同様の効果が得られる。
【0047】
さらに、発光装置2では、発光素子10Gの下地として、透明な透明基板24と、緑色以外の光を透過するダイクロイックミラー40Gを用いている。これにより、ユニット80Gの下方に、別の発光ユニットを増設することができる。これにより、発光装置2では設計自由度が増加する。
特に、ユニット80Gの下方に、ユニット80Rおよびユニット80Bの少なくとも何れかを増設した場合、光70rもしくは光70bについてはより強く発光させることができる。
【実施例3】
【0048】
図4は、発光装置の要部模式図である。図4(a)には、発光装置3の要部平面が示され、図4(b)には、図4(a)のX−Y断面が示されている。図4(b)には、発光装置の組み立て前後の断面が示されている。
【0049】
発光装置3では、それぞれの発光素子10G、10R、10Bが対向する基板内に封止された構造を有する。例えば、反射膜30と透明基板25との間、透明基板21と透明基板26との間、透明基板22と透明基板23との間には、樹脂部材50が封入されている。また、樹脂部材50は、それぞれの発光素子と透明基板23、25、26との間にも充填され、発光素子10G、10R、10Bは、樹脂部材50により封止されている。透明基板25、26の材質は、例えば、ガラス、透明樹脂である。透明基板25、26は、光透過性を有する。
【0050】
ここで、基板20/反射膜30/発光素子10G/透明基板25の順で積層したユニット80Gと、ダイクロイックミラー40R/透明基板21/発光素子10R/透明基板26の順で積層したユニット80Rと、ダイクロイックミラー40B/透明基板22/発光素子10B/透明基板23の順で積層したユニット80Bは、それぞれ独立して製造される(図4(b)左図参照)。そして、これらのユニット80G、80R、80Bは、矢印Aの方向に、透明な樹脂部材51を介して積層される(図4(b)右図参照)。樹脂部材51としては、例えば、粘着材、接着材等が適用される。樹脂部材51は、光透過性を有する。
このように、発光装置3では、互いに隣接するダイクロイックミラーと、発光素子と、を含むユニットが互いに分離可能である。このような発光装置3であっても、発光装置1と同様の効果が得られる。
【0051】
さらに、発光装置3では、ユニット80G、80R、80Bが独立して準備されるので、発光装置の用途に応じて、ユニットの組み合わせを容易に変更することができる。
また、樹脂部材51として粘着材を用いると、ユニット同士を容易に固着させたり、離したりすることができる。これにより、ユニット交換が容易になる。
【実施例4】
【0052】
図5は、発光装置の要部模式図である。図5(a)には、発光装置4の要部平面が示され、図5(b)には、図5(a)のX−Y断面が示されている。
発光装置4においては、上述した透明基板21、22を取り除いた構造を有する。
【0053】
発光装置4の発光素子10Gは、発光素子10Gの主面の面積と同等あるいはそれよりも面積が大きい基板20の上面に設けられている。また、基板20の直上には、反射膜30が形成している。すなわち、発光素子10Gと、基板20との間には、この反射膜30が介在している。発光素子10Gの上面と側面は、バッファ層52により被覆されている。バッファ層52上には、ダイクロイックミラー40Rが設けられている。ダイクロイックミラー40R上には、バッファ層53が設けられている。ダイクロイックミラー40Rは、バッファ層52およびバッファ層53により挟まれている。
【0054】
また、発光素子10Gの主面上のバッファ層53上には、発光素子10Rが設けられている。発光素子10Rの上面と側面は、バッファ層54により被覆されている。バッファ層54上には、ダイクロイックミラー40Bが設けられている。ダイクロイックミラー40B上には、バッファ層55が設けられている。ダイクロイックミラー40Bは、バッファ層54およびバッファ層55により挟まれている。
そして、透明基板23とバッファ層55との間には、樹脂部材50が設けられている。樹脂部材50は、透明基板23と発光素子10Bとの間にも介在している。
【0055】
バッファ層52、53、54、55の材質は、例えば、酸化ケイ素(SiO)、アルミナ(Al)等が適用される。バッファ層52、53、54、55は、光透過性を有する。バッファ層52、53、54、55をダイクロイックミラーと発光素子との間に設けることにより、ダイクロイックミラーからの発光素子への不純物拡散が抑制され、ダイクロイックミラーと発光素子との密着力向上がなされる。なお、必要に応じて、バッファ層52、53、54、55の少なくとも1つを取り除いてもよい。例えば、発光素子10R、10Bをそれぞれダイクロイックミラー40R、40Bの直上に設ける形態も本実施の形態に含まれる。
【0056】
このように、発光装置4では、透明基板21、22を取り除き、ダイクロイックミラー40R、40B上に発光素子10R、10Bが設けられている。
このような発光装置4においても、発光装置1と同様の効果が得られる。さらに、発光装置4においては、透明基板21、22を取り除いているので、光70b、70g、70rの吸収や散乱による損失がより低減される。これにより、発光効率がさらに向上する。
【0057】
以上、具体例を参照しつつ本発明の実施の形態について説明した。以上説明した発光装置であれば、使用される環境により色温度、演色性など、充分な特性が得られる。すなわち、本実施の形態の発光装置は、光源として十分な輝度を有し、長寿命を実現し得る。また、必要に応じて発光色を適宜調整することが可能になる。すなわち、本実施の形態の発光装置によれば、任意色をより効率よく容易に得ることができる。
【0058】
また、本発明は上述した具体例に限定されるものではない。すなわち、これら具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、前述した各具体例が備える各要素およびその配置、材料、条件、形状、サイズなどは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
【0059】
例えば、発光素子の例では、その数は、発光素子10G、10R、10Bの3つに限られるものではない。また、図で例示した発光素子10G、10R、10Bが積層する順序は一例であり、この積層順序に限るものではない。例えば、図2(a)に示されるように、上層側の発光素子ほど、それよりも上層の発光素子や反射層による吸収が少なくなる(矢印の長さ参照)。このため、上層側の発光素子ほど、より低い電圧(あるいは電流)で駆動させることができ、寿命を延ばすことができる。従って、発光素子10G、10R、10Bの中で、相対的に寿命(定格条件で駆動させたときの寿命)が短い発光素子(例えば、青色系の発光素子)を上層側に配置する方が望ましい。
【0060】
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて複合させることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
その他、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。例えば、本発明においての発光装置は、発光素子を複数有する表示装置にも適用でき、その表示装置については本発明の範囲に含むものとする。
【符号の説明】
【0061】
1、2、3、4、100 発光装置
10B、10G、10R 発光素子
10a 陽極
10c 陰極
10gl 積層膜
20 基板
21、22、23、24、25 透明基板
23s 光取り出し面
30 反射膜
40B、40G、40R ダイクロイックミラー
50、51 樹脂部材
52、53、54、55 バッファ層
60B、60G、60R 電源
70b、70g、70r 光
80B、80G、80R ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の波長帯の光を反射する第1の反射層と、
前記第1の波長帯の光を放出する第1の発光素子と、
前記第1の波長帯の光に対する透過率が、前記第1の波長帯とは異なる第2の波長帯の光に対する透過率よりも高い第2の反射層と、
前記第2の波長帯の光を放出する第2の発光素子と、
がこの順に積層されたことを特徴とする発光装置。
【請求項2】
前記第1の発光素子から放出された前記第1の波長帯の光は、前記第2の反射層と前記第2の発光素子を透過して取り出されることを特徴とする請求項1記載の発光装置。
【請求項3】
前記第2の発光素子の前記第1の発光素子とは反対側に積層され、前記第1及び第2の波長帯とは異なる第3の波長帯の光を放出する第3の発光素子と、
前記第2の発光素子と前記第3の発光素子との間に介挿され、前記第1の波長帯の光及び前記第2の波長帯の光に対する透過率が前記第3の波長帯の光に対する透過率よりも高い第3の反射層と、
をさらに備えたことを特徴とする請求項1記載の発光装置。
【請求項4】
前記第1の発光素子から放出された前記第1の波長帯の光は、前記第2の反射層と前記第2の発光素子と前記第3の反射層と前記第3の発光素子を透過して取り出され、
前記第2の発光素子から放出された前記第2の波長帯の光は、前記第3の反射層と前記第3の発光素子を透過して取り出されることを特徴とする請求項3記載の発光装置。
【請求項5】
前記第3の波長帯の光が前記第2の発光素子を透過するときの吸収量は、前記第2の波長帯の光が前記第3の発光素子を透過するときの吸収量よりも大きいことを特徴とする請求項3または4に記載の発光装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−65927(P2011−65927A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−216892(P2009−216892)
【出願日】平成21年9月18日(2009.9.18)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】