説明

発光装置

【課題】発光層を塗布法によって形成するさいに不要な部位に塗布されたインキを除去する工程が不要な構造の照明装置を提供する。
【解決手段】互いに対向して配置される第1および第2支持基板と、前記第1および第2支持基板間に設けられ、直列接続される複数の有機EL素子とを備える発光装置であって、前記複数の有機EL素子は、所定の配列方向に沿って配置され、発光層は、前記複数の有機EL素子に跨って、前記所定の配列方向に沿って延在しており、前記一対の電極はそれぞれ、前記支持基板の厚み方向の一方から見て、前記支持基板の厚み方向および前記配列方向のいずれにも垂直な幅方向に、発光層から突出するように延在する延在部を有し、前記一対の電極のうちの一方の電極は、前記配列方向に隣り合う有機EL素子の他方の電極にまで前記延在部から前記配列方向に延在し、該他方の電極に接続される接続部をさらに有することを特徴とする発光装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は発光装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、「エレクトロルミネッセンス」を「EL」と記載することがある。)は、電圧を印加することによって発光する発光素子の一種であり、一対の電極と、この一対の電極間に配置される発光層とを備える。一対の電極に電圧を印加すると、陽極から正孔が注入されるとともに陰極から電子が注入される。これら正孔と電子とが発光層において結合することにより発光が生じる。
【0003】
現在このような有機EL素子を複数個直列接続した照明装置が検討されている(たとえば特許文献1参照)。以下、図10を参照して3個の有機EL素子が直列接続された照明装置(図10(5)参照)およびその製造方法について説明する。
【0004】
図10(5)では、第1支持基板3上と第2支持基板7と間に、直列接続された3個の有機EL素子1が設けられている。3個の有機EL素子1は所定の配列方向Xに沿って第1支持基板3上に配置され、直列接続される。各有機EL素子1は一対の電極4,5と、該電極間に設けられる発光層6とを備える。以下、一対の電極4,5のうちの第1支持基板3寄りに配置される一方の電極を第1電極4と記載し、第1電極4よりも第1支持基板3から離間して配置される他方の電極を第2電極5と記載する。これら第1および第2電極4,5のうちの一方の電極が陽極として機能し、他方の電極が陰極として機能する。なお素子特性および工程の簡易さなどを勘案して、第1および第2電極4,5間には発光層6に限らず、発光層6とは異なる所定の層が設けられることもある。
【0005】
各有機EL素子1の第1電極4は、互いに配列方向Xに所定の間隔を開けて離散的に配置されるため、相互に電気的には接続されていない。同様に各有機EL素子1の第2電極5は、互いに配列方向Xに所定の間隔を開けて配置されるため、相互に電気的には接続されていない。このように3個の有機EL素子1の第1電極4同士および第2電極5同士はそれぞれ互いに電気的には接続されていない。
【0006】
他方、配列方向Xに隣り合う有機EL素子1の第1電極4と、第2電極5とは物理的に接続されることにより、電気的に接続されている。これによって複数の有機EL素子1は直列接続を構成する。具体的には第1電極4は、配列方向Xの一方(以下、「配列方向Xの一方」を「左方」といい、「配列方向Xの他方」を右方ということがある。)の端部(以下、左端部ということがある。)が、左方に隣り合う有機EL素子1の第2電極5の右方の端部(以下、右端部ということがある。)に重なる位置まで延在するように形成され、左方に隣り合う有機EL素子1の第1電極4と電気的に接続されている。このように配列方向Xに隣り合う有機EL素子1の第1電極4と第2電極5とが電気的に接続されることにより、複数の有機EL素子1が直列接続を構成している。
【0007】
つぎに照明装置の製造方法について説明する。まず第1支持基板3上に第1電極4を形成する。具体的には第1支持基板3上に、配列方向Xに所定の間隔をあけて離散的に3つの第1電極4を形成する(図10(1)参照)。
【0008】
つぎに発光層6となる材料を含むインキを、所定の塗布法によって第1支持基板3上に塗布する(図10(2)参照)。一般に、塗布法は意図する部位にのみ選択的にインキをパターン塗布することがむずかしく、第1電極4間などの不要な部位にもインキが塗布される。そのためインキを塗布した後に、不要な部位に塗布されたインキを除去する工程が必要となる(図10(3)参照)。インキの除去は、たとえばインキが可溶な溶剤を含ませた布や綿棒などを使ってインキを拭き取る方法や、レーザーアブレーション法などによっておこなうことができる。
【0009】
つぎに第2支持基板7上に第2電極5を予めパターン形成する(図10(4)参照)。その後、第1支持基板7上の第1電極4の左端部と、第2支持基板7上の第2電極5の右端部とが重なるように位置合わせをして、第1支持基板3と第2支持基板7とを貼合する。これによって、直列接続された3個の有機EL素子を備える発光装置を作製することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特表2008−508673号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上述の従来の技術では、不要な部位に塗布されたインキを除去する工程が必要となるため、工程数が増加するという問題がある。さらに不要な部位に塗布されたインキを除去するさいに、発光層に異物が混入するおそれもある。
【0012】
したがって本発明の目的は、発光層を塗布法によって形成するさいに不要な部位に塗布されたインキを除去する工程が不要な構造の照明装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、互いに対向して配置される第1および第2支持基板と、
前記第1および第2支持基板間に設けられ、直列接続される複数の有機EL素子とを備える発光装置であって、
前記複数の有機EL素子は、所定の配列方向に沿って配置され、
各有機EL素子は、一対の電極と、前記一対の電極間に設けられる発光層とを備え、
前記発光層は、前記複数の有機EL素子に跨って、前記所定の配列方向に沿って延在しており、
前記一対の電極はそれぞれ、前記支持基板の厚み方向の一方から見て、前記支持基板の厚み方向および前記配列方向のいずれにも垂直な幅方向に、発光層から突出するように延在する延在部を有し、
前記一対の電極のうちの一方の電極は、前記配列方向に隣り合う有機EL素子の他方の電極にまで前記延在部から前記配列方向に延在し、該他方の電極に接続される接続部をさらに有することを特徴とする発光装置に関する。
【0014】
また本発明は、前記第1および第2支持基板のうちの少なくともいずれか一方が可撓性を示す基板であることを特徴とする発光装置に関する。
【0015】
また本発明は、前記可撓性を示す基板が、金属フィルムであることを特徴とする発光装置に関する。
【0016】
また本発明は、前記可撓性を示す基板が、樹脂材料からなる基板であることを特徴とする発光装置に関する。
【0017】
また本発明は、前記電極に接して設けられる補助電極をさらに有し、
該補助電極は、当該補助電極に接する電極よりもシート抵抗が低いことを特徴とする発光装置に関する。
【0018】
また本発明は、前記補助電極は、前記一対の電極のうちでシート抵抗が高い方の電極に接して設けられることを特徴とする1〜5のうちのいずれか1つに記載の発光装置に関する。
【0019】
また本発明は、前記一対の電極のうちでシート抵抗が低い方の電極のみが、前記接続部を有することを特徴とする発光装置に関する。
【0020】
また本発明は、前記延在部は、前記厚み方向の一方から見て、前記幅方向の一方に発光層から突出するように延在する第1延在部と、前記幅方向の他方に発光層から突出するように延在する第2延在部とを含むことを特徴とする発光装置に関する。
【0021】
また本発明は、互いに対向して配置される第1および第2支持基板と、
前記第1および第2支持基板間に設けられ、直列接続される複数の有機EL素子とを備える発光装置であり、
前記複数の有機EL素子は、所定の配列方向に沿って配置され、
各有機EL素子は、一対の電極と、前記一対の電極間に設けられる発光層とを備え、
前記発光層は、前記複数の有機EL素子に跨って、前記所定の配列方向に沿って延在しており、
前記一対の電極はそれぞれ、前記支持基板の厚み方向の一方から見て、前記支持基板の厚み方向および前記配列方向のいずれにも垂直な幅方向に、発光層から突出するように延在する延在部を有し、
前記一対の電極のうちの一方の電極は、前記配列方向に隣り合う有機EL素子の他方の電極にまで前記延在部から前記配列方向に延在し、該他方の電極に接続される接続部をさらに有することを発光装置の製造方法であって、
前記発光層となる材料を含むインキを、前記複数の有機EL素子に跨って前記所定の配列方向に沿って連続的に塗布し、塗布した塗膜を固化することにより発光層を形成する工程を含むことを特徴とする発光装置の製造方法に関する。
【0022】
また本発明は、前記インキを塗布する方法が、キャップコート法、スリットコート法、スプレーコート法または印刷法であることを特徴とする発光装置の製造方法に関する。
【0023】
また本発明は、ロールツーロール法によって前記第1支持基板と第2支持基板とを貼合する貼合工程を含むことを特徴とする発光装置の製造方法に関する。
【0024】
また本発明は、前記有機EL素子の一部が形成された第1支持基板を用意する工程と、
前記有機EL素子のうちで、前記第1支持基板上に形成された一部を除く残部が形成された第2支持基板を用意する工程と、
前記第1支持基板と第2支持基板とを貼合することによって有機EL素子を形成する貼合工程とを含むことを特徴とする発光装置の製造方法に関する。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、発光層を塗布法によって形成するさいに不要な部位に塗布されたインキを除去する工程が不要な構造の照明装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の第1実施形態の発光装置11を示す平面図である。
【図2】発光装置11の製造工程を説明するための図である。
【図3】発光装置11の製造工程を説明するための図である。
【図4】発光装置11の製造工程を説明するための図である。
【図5】貼合装置を模式的に示す図である。
【図6】第2実施形態の発光装置31を模式的に示す図である。
【図7】第3実施形態の発光装置41を模式的に示す図である。
【図8】第4実施形態の発光装置51を模式的に示す図である。
【図9】第5実施形態の発光装置61を示す図である。
【図10】発光装置2の製造工程を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
1)発光装置の構成
以下図面を参照して発光装置の構成についてまず説明する。本実施形態の発光装置はたとえば照明装置、液晶表示装置およびスキャナなどの光源に用いられる。図1は本発明の第1実施形態の発光装置11を模式的に示す平面図である。発光装置11は、互いに対向して配置される第1および第2支持基板12,35と、第1および第2支持基板12,35間に設けられ、直列接続される複数の有機EL素子13とを備える。なお各有機EL素子13は、図1に示すように、その厚み方向Zの一方の端部および他方の端部がそれぞれ第1および第2支持基板12,35に接するように配置されていてもよいが、たとえば第1または第2支持基板12,35と各有機EL素子13との間には接着剤や封止剤が介在していてもよい。
【0028】
所定の配列方向Xは第1支持基板12の厚み方向Zに垂直な方向に設定される。すなわち配列方向Xは第1支持基板12の主面に平行に設定される。本実施形態では図1に示すように複数の有機EL素子13は所定の直線に沿って配列しているが、所定の曲線に沿って配列されていてもよい。なお所定の曲線に沿って複数の有機EL素子13が配列されている場合、配列方向Xは前記所定の曲線の接線方向に相当する。
【0029】
第1支持基板12上に設けられる有機EL素子13の個数は設計に応じて適宜設定される。以下第1実施形態では3個の有機EL素子13が設けられた発光装置11について説明する。
【0030】
各有機EL素子13はそれぞれ一対の電極14,15と、該電極14,15間に設けられる発光層16とを備える。一対の電極14,15のうちのいずれか一方の電極が有機EL素子13の陽極として機能し、いずれか他方の電極が有機EL素子13の陰極として機能する。以下一対の電極14,15のうちで第1支持基板12寄りに配置される電極を第1電極14と記載し、第2支持基板35寄りに配置される電極を第2電極15と記載する。
【0031】
第1および第2電極14,15間には1層以上の所定の層が設けられる。第1および第2電極14,15間には、この1層以上の所定の層として少なくとも発光層16が設けられる。
【0032】
発光層16は複数の有機EL素子13に跨って配列方向Xに沿って延在している。本実施形態では直列接続される複数の有機EL素子13において、配列方向Xの一端(図1では左端)に設けられる有機EL素子13の発光層16から、配列方向Xの他端(図1では右端)に設けられる有機EL素子13の発光層16まで、配列方向Xに沿って延在する発光層が連続して一体的に形成されている。発光層とは異なる所定の層が第1および第2電極14,15間に設けられる場合、この所定の層は、複数の有機EL素子13に跨って配列方向Xに沿って延在していてもよく、また有機EL素子13ごとに離間するように形成されていてもよい。なお発光層とは異なる所定の層が塗布法によって形成される場合には、この発光層とは異なる所定の層は、発光層と同様に、複数の有機EL素子13に跨って配列方向Xに沿って延在していることが好ましい。後述するように、不要な部位に形成された層を除去する工程が省略できるためである。
【0033】
第1および第2電極14,15(一対の電極)はそれぞれ延在部17,18を有する。この延在部17,18は、第1支持基板12の厚み方向Z一方から見て(以下、「平面視で」ということがある。)、前記支持基板の厚み方向Zおよび前記配列方向Xに垂直な幅方向Yに、発光層16から突出するように延在する。第1電極14の延在部17は第1電極14に一体的に形成されている。また第2電極15の延在部18は第2電極15に一体的に形成されている。各有機EL素子13を構成する第1電極14と第2電極15(一対の電極)とは、有機EL素子13ごとには互いに接触するようには構成されておらず、平面視で第1電極14の延在部17と第2電極15の延在部18とは重ならないように配置されている。本実施形態では第1電極14の延在部17は、第1電極14において、第2電極15と対向する部分の左方の端部(以下、左端部ということがある)から幅方向Yに延在する。第2電極15の延在部18は、第2電極15において、第1電極14との対向部の右方の端部(以下、右端部ということがある)から幅方向Yに延在している。そのため第1電極14の延在部17と第2電極15の延在部18とは平面視で重ならず、電気的に絶縁されている。
【0034】
第1および第2電極14,15(一対の電極)の一方の電極は接続部を有する。この接続部は、配列方向Xに隣り合う有機EL素子の他方の電極にまで延在部から配列方向Xに延在し、該他方の電極に接続される。なお接続部は、第1および第2電極14,15(一対の電極のうち)の一方の電極のみに限らず、第1および第2電極14,15(一対の電極のうち)の他方の電極も有していてもよい。すなわち第1および第2電極14,15(一対の電極のうち)の他方の電極も、配列方向Xに隣り合う有機EL素子の一方の電極にまで延在部から配列方向Xに延在し、該一方の電極に接続される接続部を有していてもよい。
【0035】
本実施形態では第1および第2電極14,15(一対の電極)の一方の電極に相当する第1電極14が接続部19を有する。すなわち第1電極14は、左方に配置される有機EL素子の第2電極15(他方の電極)の延在部18にまで、第1電極14の延在部17から左方に延在する接続部19を備える。このように第1電極14の接続部19は、左方に配置される有機EL素子の第2電極15(他方の電極)の延在部18と平面視で重なり、この重なる部分で直接的に第2電極15(他方の電極)と接続される。
【0036】
平面視で発光層16から幅方向Yに延在する延在部18は、幅方向Yの一方または他方に設けられるが、幅方向Yの両方に設けられることが好ましい。すなわち延在部17,18は、平面視で、前記幅方向の一方に発光層から突出するように延在する第1延在部17a,18aと、幅方向Yの他方に発光層16から突出するように延在する第2延在部17b,18bとを含むことが好ましい。平面視で発光層16から幅方向Yの両方に延在する延在部17,18を備えることにより、隣り合う有機EL素子13の第1電極14と第2電極15とが幅方向Yの両方の端部で接続されることになる。
【0037】
さらに直列接続を構成する複数の有機EL素子13のうちで、最も左方に配置される有機EL素子13の第1電極14と、最も右方に配置される有機EL素子13の第2電極とは、電力供給部(不図示)に電気的につながる配線にそれぞれ接続される。これによって電力供給部から、直列接続を構成する複数の有機EL素子13に電力が供給され、各有機EL素子が発光する。
【0038】
各有機EL素子13は接続部から給電される。本実施形態では平面視で発光層16から幅方向Yの両方に延在する延在部17,18を備えることにより、各有機EL素子13は幅方向Yの両方の端部から給電される。有機EL素子13は、給電される部位から離間するほど、電圧降下のために輝度が低下する。本実施形態では延在部17,18から幅方向Yに離間するほど、すなわち幅方向Yの中央部ほど電圧低下のために輝度が低下するが、各有機EL素子13は幅方向Yの両方の端部から給電されるため、幅方向Yの一方の端部から給電される素子構成に比べると電圧降下の影響を抑制することができ、ひいては輝度ムラを抑制することができる。
【0039】
2)発光装置の製造方法
本実施形態の発光装置の製造方法は、互いに対向して配置される第1および第2支持基板と、前記第1および第2支持基板間に設けられ、直列接続される複数の有機EL素子とを備える発光装置であり、前記複数の有機EL素子は、所定の配列方向に沿って配置され、各有機EL素子は、一対の電極と、前記一対の電極間に設けられる発光層とを備え、前記発光層は、前記複数の有機EL素子に跨って、前記所定の配列方向に沿って延在しており、前記一対の電極はそれぞれ、前記支持基板の厚み方向の一方から見て、前記支持基板の厚み方向および前記配列方向のいずれにも垂直な幅方向に、発光層から突出するように延在する延在部を有し、前記一対の電極のうちの一方の電極は、前記配列方向に隣り合う有機EL素子の他方の電極にまで前記延在部から前記配列方向に延在し、該他方の電極に接続される接続部をさらに有することを発光装置の製造方法であって、前記発光層となる材料を含むインキを、前記複数の有機EL素子に跨って前記所定の配列方向に沿って連続的に塗布し、塗布した塗膜を固化することにより発光層を形成する工程を含む。
【0040】
以下図2〜図4を参照して発光装置を製造する方法を説明する。
まず第1支持基板12を用意する。本工程では有機EL素子13を駆動する駆動回路(不図示)が予め形成されている第1支持基板12を用意してもよい。
【0041】
つぎに第1支持基板12上に第1電極14をパターン形成する(図2参照)。たとえばスパッタリング法または蒸着法によって、後述する陽極または陰極となる材料からなる導電体膜を第1支持基板12上に成膜し、つぎにフォトリソグラフィによって導電体膜を所定の形状にパターニングすることによって、第1電極14をパターン形成する。なおフォトリソグラフィ工程を行うことなく、マスク蒸着法などによって所定の部位にのみ第1電極14をパターン形成してもよい。また第1電極14が予め形成された第1支持基板12を用意してもよい。
【0042】
つぎに第1支持基板12上に発光層16を形成する。たとえば発光層16となる材料を含むインキを、複数の有機EL素子13に跨って配列方向Xに沿って連続的に塗布し、塗布した塗膜を固化することにより発光層16を形成することができる。
【0043】
なお前述したように第1電極14上には発光層16とは異なる所定の層を設けることがある。発光層とは異なる所定の層を塗布法によって形成する場合には、発光層を形成する方法と同じ方法によって、発光層とは異なる所定の層を形成することが好ましい。すなわち発光層とは異なる所定の層となる材料を含むインキを、複数の有機EL素子13に跨って配列方向Xに沿って連続的に塗布し、塗布した塗膜を固化することにより発光層とは異なる所定の層を形成することが好ましい。なお発光層とは異なる所定の層を蒸着法などの乾式法で形成する場合には、発光層とは異なる所定の層を第1電極14上にのみ選択的に形成してもよい。
【0044】
インキを塗布する方法としては、キャップコート法、スリットコート法、スプレーコート法、印刷法、インクジェット法、ノズルプリンティング法などをあげることができ、これらのなかでも大面積を効率的に塗布することが可能なキャップコート法、スリットコート法、スプレーコート法および印刷法が好ましい。
【0045】
つぎに第2支持基板35を用意する。本工程では有機EL素子13を駆動する駆動回路(不図示)が予め形成されている第2支持基板35を用意してもよい。
【0046】
つぎに第2支持基板35上に第2電極35をパターン形成する(図4参照)。たとえばスパッタリング法または蒸着法によって、後述する陽極または陰極となる材料からなる導電体膜を第2支持基板35上に成膜し、つぎにフォトリソグラフィによって導電体膜を所定の形状にパターニングすることによって、第2電極35をパターン形成する。なおフォトリソグラフィ工程を行うことなく、マスク蒸着法などによって所定の部位にのみ第2電極35をパターン形成してもよい。また第2電極35が予め形成された第2支持基板35を用意してもよい。
【0047】
以上のように本実施形態では、第1支持基板上に、有機EL素子のうちで第2電極を除く部分を形成することにより、有機EL素子の一部が形成された第1支持基板を用意する工程をおこない、さらに、第2電極を第2支持基板上に形成することにより、有機EL素子のうちで、前記第1支持基板上に形成された一部を除く残部が形成された第2支持基板を用意する工程を行う。
【0048】
(貼合工程)
つぎに第1支持基板12と第2支持基板35とを貼合する。貼合するさいには、第1および第2電極14,15のいずれか一方の接続部と、いずれか他方の接続部とが重なるように位置あわせを行い、その後、第1支持基板12と第2支持基板35とを貼合する。貼合するさいに接触する部位を密着させるために、第1支持基板12または第2支持基板35を加熱してもよい。また第1支持基板12と第2支持基板35とを圧着するために、ローラーやプレス板などを用いて、両基板を貼合してもよい。また第1支持基板12と第2支持基板35との間の気体を排除するために、真空雰囲気中において第1支持基板12と第2支持基板35と貼合してもよく、さらに真空状態を保った状態で封止をおこなってもよい。封止は、第1支持基板12と第2支持基板35とを貼合する前に、平面視で、直列接続される複数の有機EL素子の周囲を囲むように、第1支持基板12または第2支持基板35上に封止剤を配置し、両基板を貼合した後に封止剤を硬化させることによりおこなってもよい。
【0049】
第1支持基板12と第2支持基板35とを貼合する工程は、とくに限定されないが、生産性の観点からはロールツーロール法によって行うことが好ましい。この場合、発光装置をロールに巻き回す必要があるため、第1支持基板12および第2支持基板35は、可撓性を示す基板である必要がある。
【0050】
(貼合装置の構成例)
ロールツーロール法を行う装置(貼合装置)について説明する。図5は貼合装置71の構成例を説明するための概略的な図である。同図中、矢印は基板の搬送方向を表す。貼合装置71は、第1送り出しロール73、第2送り出しロール74、第1貼り合わせロール76、第2貼り合わせロール77、および貼り合わされた発光装置を巻き取る巻き取りロール78とを備えている。
【0051】
第1送り出しロール73と第2送り出しロール74とは、互いに離間するように配置されている。本実施形態では第1送り出しロール73には、有機EL素子の一部が形成された第1支持基板(本実施形態では、有機EL素子のうちの第2電極15を除く残余の部分が形成された第1支持基板12)が巻き回されている。また第2送り出しロール74には、有機EL素子のうちで、前記第1支持基板上に形成された一部を除く残部が形成された第2支持基板(本実施形態では第2電極が形成された第2支持基板)が巻き回されている。
【0052】
第1貼り合わせロール76と第2貼り合わせロール77とは所定の間隙をあけて配置される。また貼合装置71には、第1および第2支持基板12,35の輸送を補助したり、その輸送方向を変えたりする1以上の補助ロール79などが必要に応じて設けられる。
【0053】
第1送り出しロール73からは第1支持基板12が送り出される。第2送り出しロール74からは第2支持基板35が送り出される。これら送り出された第1支持基板12と第2支持基板35とは、貼り合わされた状態で第1貼り合わせロール76と第2貼り合わせロール77との間の間隙を通ることにより貼合され、さらに巻き取りロール78によって巻き取られる。これによって表示装置が作製される。また、第1支持基板12と第2支持基板35とを貼り合わしたのち、巻き取りロールによって巻き取らずに、貼合された第1支持基板12と第2支持基板35とを含む発光装置を断裁し、枚葉の状態として回収してもよい。
【0054】
以下第1支持基板12、第2支持基板35および有機EL素子13の構成についてさらに詳細に説明する。
【0055】
前述したように第1および第2電極14,15間には発光層16のみならず、発光層16とは異なる所定の層がさらに設けられることがある。陰極と発光層との間に設けられる層としては、電子注入層、電子輸送層、正孔ブロック層などを挙げることができる。陰極と発光層との間に電子注入層と電子輸送層との両方の層が設けられる場合、陰極に接する層を電子注入層といい、この電子注入層を除く層を電子輸送層という。
【0056】
電子注入層は陰極からの電子注入効率を改善する機能を有する。電子輸送層は陰極側の表面に接する層からの電子注入を改善する機能を有する。正孔ブロック層は正孔の輸送を堰き止める機能を有する。なお電子注入層及び/又は電子輸送層が正孔の輸送を堰き止める機能を有する場合には、これらの層が正孔ブロック層を兼ねることがある。
【0057】
陽極と発光層との間に設けられる層としては、正孔注入層、正孔輸送層、電子ブロック層などを挙げることができる。陽極と発光層との間に、正孔注入層と正孔輸送層との両方の層が設けられる場合、陽極に接する層を正孔注入層といい、この正孔注入層を除く層を正孔輸送層という。
【0058】
正孔注入層は陽極からの正孔注入効率を改善する機能を有する。正孔輸送層は陽極側の表面に接する層からの正孔注入を改善する機能を有する。電子ブロック層は電子の輸送を堰き止める機能を有する。なお正孔注入層及び/又は正孔輸送層が電子の輸送を堰き止める機能を有する場合には、これらの層が電子ブロック層を兼ねることがある。
【0059】
なお電子注入層および正孔注入層を総称して電荷注入層ということがあり、電子輸送層および正孔輸送層を総称して電荷輸送層ということがある。
【0060】
本実施形態の有機EL素子のとりうる層構成の一例を以下に示す。
a)陽極/発光層/陰極
b)陽極/正孔注入層/発光層/陰極
c)陽極/正孔注入層/発光層/電子注入層/陰極
d)陽極/正孔注入層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
e)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/陰極
f)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子注入層/陰極
g)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
h)陽極/発光層/電子注入層/陰極
i)陽極/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
(ここで、記号「/」は、記号「/」を挟む各層が隣接して積層されていることを示す。
以下同じ。)
本実施形態の有機EL素子は2層以上の発光層を有していてもよい。上記a)〜i)の層構成のうちのいずれか1つにおいて、陽極と陰極とに挟持された積層体を「構造単位A」とすると、2層の発光層を有する有機EL素子の構成として、以下のj)に示す層構成をあげることができる。なお2つある(構造単位A)の層構成は互いに同じでも、異なっていてもよい。
j)陽極/(構造単位A)/電荷発生層/(構造単位A)/陰極
ここで電荷発生層とは、電界を印加することにより、正孔と電子を発生する層である。
電荷発生層としては、たとえば酸化バナジウム、インジウムスズ酸化物(Indium Tin Oxide:略称ITO)、酸化モリブデンなどから成る薄膜をあげることができる。
【0061】
また「(構造単位A)/電荷発生層」を「構造単位B」とすると、3層以上の発光層を有する有機EL素子の構成として、以下のk)に示す層構成をあげることができる。
k)陽極/(構造単位B)x/(構造単位A)/陰極
なお記号「x」は、2以上の整数を表し、(構造単位B)xは、構造単位Bがx段積層された積層体を表す。また複数ある(構造単位B)の層構成は同じでも、異なっていてもよい。
【0062】
なお電荷発生層を設けずに、複数の発光層を直接積層させた有機EL素子を構成してもよい。
【0063】
有機EL素子から放射される光は、第1および第2支持基板12,35のうちの少なくともいずれか一方を通って外界に出射する。そのため、第1支持基板12および第1電極14、並びに第2支持基板35および第2電極15のうちの少なくともいずれか一方が光透過性を示す部材によって構成される。
【0064】
<支持基板>
第1支持基板および第2支持基板は、有機EL素子を製造する工程において変化しないものが好適に用いられ、たとえばガラス、プラスチック、高分子フィルム、およびシリコン板、並びにこれらを積層したものなどが用いられる。なお有機EL素子を駆動する駆動回路が予め形成されている駆動用基板を支持基板として用いてもよい。
【0065】
また、第1支持基板および第2支持基板のうちの一方に、有機EL素子を形成した後に、第1支持基板と第2支持基板とを貼合するのではなく、第1支持基板および第2支持基板に有機EL素子の一部をそれぞれ形成した後に、第1支持基板と第2支持基板とを貼合することによって有機EL素子を形成する、いわゆるラミネート法によって発光装置を形成する場合には、密着性の観点から、第1支持基板12および第2支持基板35のうちの少なくともいずれか一方が可撓性を示す基板であることが好ましい。
【0066】
さらにロールツーロール法によって前記第1支持基板と第2支持基板とを貼合する場合には、第1支持基板12および第2支持基板35のいずれもが、可撓性を示す基板であることが好ましい。なお本明細書では可撓性を示す基板とは、亀裂の生じる曲率半径が50mm以下の基板を意味する。可撓性を示す基板としては亀裂の生じる曲率半径が10mm以下の基板が好ましい。
【0067】
可撓性を示す基板としては、金属フィルムまたは樹脂材料からなる基板であることが好ましい。
【0068】
金属フィルムとしては、銅、アルミニウム、鉄やこれらを含む合金からなるフィルムがあげられる。なお金属フィルムは通常光を透過しないので、第1支持基板および第2支持基板のうちの一方の基板に金属フィルムを適用した場合には、他方の基板には、光透過性を示す基板が用いられる。
【0069】
樹脂材料からなる基板の樹脂としては、たとえばポリエーテルスルホン(PES);ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル系樹脂;ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、環状ポリオレフィン等のポリオレフィン系樹脂;ポリアミド系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;ポリスチレン系樹脂;ポリビニルアルコール系樹脂;エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物;ポリアクリロニトリル系樹脂;アセタール系樹脂;ポリイミド系樹脂;エポキシ樹脂があげられる。またこれらの樹脂は1種を単独で用いてもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。第1支持基板および第2支持基板のうちの少なくとも一方は、光を透過する基板を用いる必要があるため、樹脂材料からなる基板は、光透過性を示す基板であることが好ましい。
【0070】
第1支持基板および第2支持基板の厚みは、本発明の照明装置を製造するさいの安定性を考慮して適宜に設定することができる。第1支持基板および第2支持基板の厚みとしては、ロール状に巻き取り可能であるという観点からは、5〜500μmの範囲であることが好ましい。
【0071】
第1支持基板または第2支持基板に無色透明な樹脂材料を用いる場合、第1支持基板または第2支持基板上には、珪素、炭素、アルミニウム、ジルコニアのいずれかを含有するガスバリア層が形成されていることが好ましい。また、ガスバリア層は酸素、窒素を含有してもよい。ガスバリア層の形成方法としては例えばプラズマCVD法を用いることができる。
【0072】
<陽極>
発光層から放射される光が陽極を通って外に出射する構成の有機EL素子の場合、陽極には光透過性を示す電極が用いられる。光透過性を示す電極としては、金属酸化物、金属硫化物および金属などの薄膜を用いることができ、電気伝導度および光透過率の高いものが好適に用いられる。具体的には酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ITO、インジウム亜鉛酸化物(Indium Zinc Oxide:略称IZO)、金、白金、銀、および銅などから成る薄膜が用いられ、これらの中でもITO、IZO、または酸化スズから成る薄膜が好適に用いられる。陽極の作製方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、メッキ法などを挙げることができる。また該陽極として、ポリアニリンもしくはその誘導体、ポリチオフェンもしくはその誘導体などの有機の透明導電膜を用いてもよい。
【0073】
陽極の膜厚は、要求される特性および工程の簡易さなどを考慮して適宜設定され、例えば10nm〜10μmであり、好ましくは20nm〜1μmであり、さらに好ましくは50nm〜500nmである。
【0074】
<正孔注入層>
正孔注入層を構成する正孔注入材料としては、酸化バナジウム、酸化モリブデン、酸化ルテニウムおよび酸化アルミニウムなどの金属酸化物や、フェニルアミン系化合物、スターバースト型アミン系化合物、フタロシアニン系、アモルファスカーボン、ポリアニリンおよびポリチオフェン誘導体などを挙げることができる。
【0075】
正孔注入層の成膜方法としては、例えば正孔注入材料を含む溶液からの成膜を挙げることができる。たとえば所定の塗布法によって正孔注入材料を含む溶液を塗布成膜し、さらにこれを固化することによって正孔注入層を形成することができる。
【0076】
溶液からの成膜に用いられる溶媒としては、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタンなどの塩素系溶媒、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセルソルブアセテートなどのエステル系溶媒、および水を挙げることができる。
【0077】
正孔注入層の膜厚は、求められる特性および工程の簡易さなどを考慮して適宜設定され、例えば1nm〜1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは5nm〜200nmである。
【0078】
<正孔輸送層>
正孔輸送層を構成する正孔輸送材料としては、ポリビニルカルバゾール若しくはその誘導体、ポリシラン若しくはその誘導体、側鎖若しくは主鎖に芳香族アミンを有するポリシロキサン誘導体、ピラゾリン誘導体、アリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体、ポリアニリン若しくはその誘導体、ポリチオフェン若しくはその誘導体、ポリアリールアミン若しくはその誘導体、ポリピロール若しくはその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)若しくはその誘導体、又はポリ(2,5−チエニレンビニレン)若しくはその誘導体などを挙げることができる。
【0079】
これらの中で正孔輸送材料としては、ポリビニルカルバゾール若しくはその誘導体、ポリシラン若しくはその誘導体、側鎖若しくは主鎖に芳香族アミン化合物基を有するポリシロキサン誘導体、ポリアニリン若しくはその誘導体、ポリチオフェン若しくはその誘導体、ポリアリールアミン若しくはその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)若しくはその誘導体、又はポリ(2,5−チエニレンビニレン)若しくはその誘導体などの高分子正孔輸送材料が好ましく、さらに好ましくはポリビニルカルバゾール若しくはその誘導体、ポリシラン若しくはその誘導体、側鎖若しくは主鎖に芳香族アミンを有するポリシロキサン誘導体である。低分子の正孔輸送材料の場合には、高分子バインダーに分散させて用いることが好ましい。
【0080】
正孔輸送層の成膜方法としては、例えば正孔輸送材料を含む溶液からの成膜を挙げることができる。例えば所定の塗布法によって正孔輸送材料を含む溶液を塗布成膜し、さらにこれを固化することによって正孔輸送層を形成することができる。低分子の正孔輸送材料では、高分子バインダーをさらに混合した溶液を用いて成膜してもよい。
【0081】
溶液からの成膜に用いられる溶媒としては、例えばクロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタンなどの塩素系溶媒、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセルソルブアセテートなどのエステル系溶媒などを挙げることができる。
【0082】
混合する高分子バインダーとしては、電荷輸送を極度に阻害しないものが好ましく、また可視光に対する吸収の弱いものが好適に用いられ、例えばポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリシロキサンなどを挙げることができる。
【0083】
正孔輸送層の膜厚は、要求される特性および工程の簡易さなどを考慮して適宜設定され、例えば1nm〜1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは5nm〜200nmである。
【0084】
<発光層>
発光層は、通常、主として蛍光及び/又はりん光を発光する有機物、または該有機物とこれを補助するドーパントとから形成される。例えば発光効率の向上や、発光波長を変化させるためにドーパントは加えられる。なお発光層に含まれる有機物は、低分子化合物でも高分子化合物でもよい。低分子化合物よりも溶媒への溶解性が一般的に高い高分子化合物は塗布法に好適に用いられるため、発光層は高分子化合物を含むことが好ましく、高分子化合物としてポリスチレン換算の数平均分子量が10〜10の化合物を含むことが好ましい。発光層を構成する発光材料としては、例えば以下の色素系材料、金属錯体系材料、高分子系材料、ドーパント材料を挙げることができる。
【0085】
(色素系材料)
色素系材料としては、例えば、シクロペンダミン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体化合物、トリフェニルアミン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ピラゾロキノリン誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、ジスチリルアリーレン誘導体、ピロール誘導体、チオフェン環化合物、ピリジン環化合物、ペリノン誘導体、ペリレン誘導体、オリゴチオフェン誘導体、オキサジアゾールダイマー、ピラゾリンダイマー、キナクリドン誘導体、クマリン誘導体などを挙げることができる。
【0086】
(金属錯体系材料)
金属錯体系材料としては、例えばTb、Eu、Dyなどの希土類金属、またはAl、Zn、Be、Ir、Ptなどを中心金属に有し、オキサジアゾール、チアジアゾール、フェニルピリジン、フェニルベンゾイミダゾール、キノリン構造などを配位子に有する金属錯体を挙げることができ、例えばイリジウム錯体、白金錯体などの三重項励起状態からの発光を有する金属錯体、アルミニウムキノリノール錯体、ベンゾキノリノールベリリウム錯体、ベンゾオキサゾリル亜鉛錯体、ベンゾチアゾール亜鉛錯体、アゾメチル亜鉛錯体、ポルフィリン亜鉛錯体、フェナントロリンユーロピウム錯体などを挙げることができる。
【0087】
(高分子系材料)
高分子系材料としては、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリシラン誘導体、ポリアセチレン誘導体、ポリフルオレン誘導体、ポリビニルカルバゾール誘導体、上記色素系材料や金属錯体系発光材料を高分子化したものなどを挙げることができる。
【0088】
上記発光性材料のうち、青色に発光する材料としては、ジスチリルアリーレン誘導体、オキサジアゾール誘導体、およびそれらの重合体、ポリビニルカルバゾール誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体などを挙げることができる。なかでも高分子材料のポリビニルカルバゾール誘導体、ポリパラフェニレン誘導体やポリフルオレン誘導体などが好ましい。
【0089】
また、緑色に発光する材料としては、キナクリドン誘導体、クマリン誘導体、およびそれらの重合体、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体などを挙げることができる。なかでも高分子材料のポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体などが好ましい。
【0090】
また、赤色に発光する材料としては、クマリン誘導体、チオフェン環化合物、およびそれらの重合体、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリフルオレン誘導体などを挙げることができる。なかでも高分子材料のポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリフルオレン誘導体などが好ましい。
(ドーパント材料)
ドーパント材料としては、例えばペリレン誘導体、クマリン誘導体、ルブレン誘導体、キナクリドン誘導体、スクアリウム誘導体、ポルフィリン誘導体、スチリル系色素、テトラセン誘導体、ピラゾロン誘導体、デカシクレン、フェノキサゾンなどを挙げることができる。なお、このような発光層の厚さは、通常約2nm〜200nmである。
【0091】
発光層は、例えば溶液からの成膜によって形成される。例えば発光材料を含む溶液を所定の塗布法によって塗布し、さらにこれを固化することによって発光層は形成される。溶液からの成膜に用いる溶媒としては、前述の溶液から正孔注入層を成膜する際に用いられる溶媒と同様の溶媒を挙げることができる。
【0092】
<電子輸送層>
電子輸送層を構成する電子輸送材料としては、オキサジアゾール誘導体、アントラキノジメタン若しくはその誘導体、ベンゾキノン若しくはその誘導体、ナフトキノン若しくはその誘導体、アントラキノン若しくはその誘導体、テトラシアノアンスラキノジメタン若しくはその誘導体、フルオレノン誘導体、ジフェニルジシアノエチレン若しくはその誘導体、ジフェノキノン誘導体、又は8−ヒドロキシキノリン若しくはその誘導体の金属錯体、ポリキノリン若しくはその誘導体、ポリキノキサリン若しくはその誘導体、ポリフルオレン若しくはその誘導体などを挙げることができる。
【0093】
電子輸送層の成膜法としては、例えば蒸着法および溶液からの成膜法などをあげることができる。なお溶液から成膜する場合には高分子バインダーを併用してもよい。
【0094】
電子輸送層の膜厚は、要求される特性および工程の簡易さなどを考慮して適宜設定され、例えば1nm〜1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは5nm〜200nmである。
【0095】
<電子注入層>
電子注入層を構成する材料としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アルカリ金属およびアルカリ土類金属のうちの1種類以上を含む合金、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の酸化物、ハロゲン化物、炭酸塩、またはこれらの物質の混合物などを挙げることができる。アルカリ金属、アルカリ金属の酸化物、ハロゲン化物、および炭酸塩の例としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、酸化リチウム、フッ化リチウム、酸化ナトリウム、フッ化ナトリウム、酸化カリウム、フッ化カリウム、酸化ルビジウム、フッ化ルビジウム、酸化セシウム、フッ化セシウム、炭酸リチウムなどを挙げることができる。また、アルカリ土類金属、アルカリ土類金属の酸化物、ハロゲン化物、炭酸塩の例としては、マグネシウム、カルシウム、バリウム、ストロンチウム、酸化マグネシウム、フッ化マグネシウム、酸化カルシウム、フッ化カルシウム、酸化バリウム、フッ化バリウム、酸化ストロンチウム、フッ化ストロンチウム、炭酸マグネシウムなどを挙げることができる。電子注入層は、2層以上を積層した積層体で構成されてもよく、例えばLiF/Caなどを挙げることができる。電子注入層は、蒸着法、スパッタリング法、印刷法などにより形成される。電子注入層の膜厚としては、1nm〜1μm程度が好ましい。
【0096】
<陰極>
陰極の材料としては、仕事関数が小さく、発光層への電子注入が容易で、電気伝導度の高い材料が好ましい。また陽極側から光を取出す構成の有機EL素子では、発光層からの光を陰極で陽極側に反射するために、陰極の材料としては可視光反射率の高い材料が好ましい。陰極には、例えばアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属および周期表の13族金属などを用いることができる。陰極の材料としては、例えばリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、アルミニウム、スカンジウム、バナジウム、亜鉛、イットリウム、インジウム、セリウム、サマリウム、ユーロピウム、テルビウム、イッテルビウムなどの金属、前記金属のうちの2種以上の合金、前記金属のうちの1種以上と、金、銀、白金、銅、マンガン、チタン、コバルト、ニッケル、タングステン、錫のうちの1種以上との合金、またはグラファイト若しくはグラファイト層間化合物などが用いられる。合金の例としては、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、マグネシウム−アルミニウム合金、インジウム−銀合金、リチウム−アルミニウム合金、リチウム−マグネシウム合金、リチウム−インジウム合金、カルシウム−アルミニウム合金などを挙げることができる。また、陰極としては導電性金属酸化物および導電性有機物などから成る透明導電性電極を用いることができる。具体的には、導電性金属酸化物として酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ITO、およびIZOを挙げることができ、導電性有機物としてポリアニリンもしくはその誘導体、ポリチオフェンもしくはその誘導体などを挙げることができる。なお陰極は、2層以上を積層した積層体で構成されていてもよい。なお電子注入層が陰極として用いられる場合もある。
【0097】
陰極の膜厚は、求められる特性および工程の簡易さなどを考慮して適宜設計され、例えば10nm〜10μmであり、好ましくは20nm〜1μmであり、さらに好ましくは50nm〜500nmである。
【0098】
陰極の作製方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、また金属薄膜を熱圧着するラミネート法などを挙げることができる。
【0099】
以上説明した発光装置11は、平面視で発光層16が形成される領域から幅方向Yに突出した領域において、隣り合う有機EL素子13の第1電極14と第2電極15とが接続されることにより隣り合う有機EL素子13が直列接続されるので、隣り合う有機EL素子13の第1電極14と第2電極15とを有機EL素子13間の領域において接続する必要がない。そのため隣り合う有機EL素子13間の領域に発光層などが形成されていてもよく、これによって塗布法で発光層を形成するさいに、隣り合う有機EL素子13間の領域に形成される発光層を除去する工程を省略することができる。従って微細なパターン塗布が比較的不得手なキャップコート法などの塗布法であっても、直列接続される複数の有機EL素子13を簡便に作製することができる。
【0100】
このように、塗布法で発光層を形成するさいに隣り合う有機EL素子13間の領域に形成される発光層を除去する工程を省略することができるため、塗布法やラミネート法を用いたロールツーロール法による連続生産を適用して発光装置を形成することができ、複数の有機EL素子を用いた発光装置の低コスト化が可能となる。
【0101】
以上では、有機EL素子の一部が形成された第1支持基板を用意し、前記第1支持基板上に形成された一部を除く部分が形成された第2支持基板を用意した後に、第1支持基板と第2支持基板を貼合する形態について説明したが、この形態に限らず、たとえば第1支持基板および第2支持基板のうちのいずれか一方の基板に、有機EL素子を全て形成し、その後、第1支持基板と第2支持基板とを貼合してもよい。
【0102】
また以上では、ロールツーロール法によって、貼合工程のみをおこなう形態について説明したが、発光層などを形成する工程もロールツーロール法を適用しておこなってもよい。たとえばロールツーロール法によって発光層などを形成したのち、一旦、第1支持基板および第2支持基板をそれぞれロールに巻き取り、これをさらに図5に示す貼合装置をもちいて貼合工程をおこなってもよく、また発光層などを形成したのちに第1支持基板および第2支持基板をそれぞれロールに巻き取ることなく、そのままこれら第1支持基板および第2支持基板を貼合してもよい。
【0103】
図6は本発明の第2実施形態の発光装置31を模式的に示す図である。本実施形態の発光装置31は前述の第1実施形態の発光装置11とは第1電極14および第2電極15の形状のみが異なるので、第1電極14および第2電極15についてのみ説明し、第1実施形態と対応する部分については同一の参照符号を付して、重複する説明を省略する。
【0104】
本実施形態では第1電極14に加えて、第2電極15も接続部32を有する。すなわち第2電極15は、配列方向Xに隣り合う有機EL素子の第1電極14にまで延在部から配列方向Xに延在し、該第1電極15に接続される接続部32を有する。
【0105】
従って配列方向Xに隣り合う一対の有機EL素子13において、右方に配置される有機EL素子13の第1電極14の延在部17から接続部19が左方に延在するとともに、左方に配置される有機EL素子13の第2電極15の延在部18から接続部32が右方に延在し、これら第1電極14の接続部19と、第2電極15の接続部32とが重なることによって隣り合う一対の有機EL素子13の第1電極14と第2電極15とが接続される。
【0106】
図7は本発明の第3実施形態の発光装置41を模式的に示す図である。本実施形態の発光装置41は前述の第1実施形態の発光装置11とは第1電極14および第2電極15の形状のみが異なるので、第1電極14および第2電極15についてのみ説明し、第1実施形態と対応する部分については同一の参照符号を付して、重複する説明を省略する。
【0107】
本実施形態では第1電極14が接続部19を有さず、逆に第2電極15が接続部42を有する。すなわち第2電極15は、配列方向Xに隣り合う有機EL素子の第1電極14にまで延在部から配列方向Xに延在し、該第1電極15に接続される接続部42を有する。
【0108】
図1に示す第1実施形態の発光装置11では、第1電極14のみが接続部19を有し、逆に図7に示す第3実施形態の発光装置41では、第2電極15のみが接続部42を有する。第1および第2電極14,15のうちのいずれか一方のみが接続部を有する場合、いずれの電極が接続部を有するかは設計に応じて適宜選択すればよいが、第1および第2電極14,15(一対の電極)のうちでシート抵抗が低い方の電極のみが接続部を有することが好ましい。すなわち第2電極15のシート抵抗よりも第1電極14のシート抵抗が低い場合、図1に示す第1実施形態の発光装置11のように第1電極14のみが接続部19を有することが好ましい。逆に第1電極14のシート抵抗よりも第2電極15のシート抵抗が低い場合、図7に示す第3実施形態の発光装置41のように第2電極15のみが接続部42を有することが好ましい。
【0109】
第1および第2電極14,15のうちのいずれか一方は、発光層16から放射される光を外に出射するために光透過性を示す部材によって構成される。光透過性を示す部材は一般的に、不透光性を示す導電性部材に比べてシート抵抗が高い。そのため第1および第2電極14,15のうちの光透過性を示す一方の電極の方が通常はシート抵抗が高い。従って光透過性を示す一方の電極ではない他方の電極のみが接続部を有することが通常は好ましい。
【0110】
発光装置を駆動する際には導電体によって構成される接続部にも電圧降下が発生するが、シート抵抗が低い部材によって構成される電極にのみ接続部を設けることによって、接続部で発生する電圧降下を抑制することができ、ひいては消費電力を低減することができる。
【0111】
図8は本発明の第4実施形態の発光装置51を模式的に示す図である。本実施形態の発光装置51は、電極に接して設けられる補助電極をさらに有する。本実施形態の発光装置51は前述の各実施形態の発光装置とは補助電極の有無のみが異なるので、補助電極についてのみ説明し、前述した各実施形態と対応する部分については同一の参照符号を付して、重複する説明を省略する。図8では補助電極を示す領域にハッチングを施している。
【0112】
補助電極は第1電極14および第2電極15(一対の電極)のうちの少なくとも一方の電極に接して設けられる。例えば第1電極14と第2電極15とに補助電極が接して設けられる場合には、第1電極14に接して設けられる補助電極と、第2電極に接して設けられる補助電極との2つの補助電極が設けられる。
【0113】
補助電極は、当該補助電極に接する電極よりもシート抵抗が低い部材によって構成される。補助電極52は、第1電極14および第2電極15(一対の電極)のうちでシート抵抗が高い方の電極に接して設けられることが好ましい。前述したように第1および第2電極14,15のうちのいずれか一方は、発光層16から放射される光を外に出射するために光透過性を示す部材によって構成される。そして光透過性を示す一方の電極の方が他方の電極よりも通常はシート抵抗が高い。そのため通常は第1および第2電極14,15のうちの光透過性を示す電極に補助電極52が接して設けられることが好ましい。図8に示す本実施の形態の発光装置51では、光透過性を示す電極として設けられる第1電極14に接して補助電極52が設けられる。
【0114】
補助電極52は当該補助電極52が接する電極よりもシート抵抗が低いため、通常は不透明である。光が透過する方の電極に不透明な補助電極52を接して設ける場合、この補助電極52が光を遮ることがある。そのため補助電極52は平面視で、発光層16が原理的に発光しない領域に設けられることが好ましい。
【0115】
発光層16は、平面視で第1電極14と第2電極15とが対向する領域(以下、対向領域ということがある。)で原理的に発光可能である。そのため原理的に発光しない領域とは、平面視で第1電極14と第2電極15との対向領域を除く領域に相当する。したがって補助電極52は平面視で第1電極14と第2電極15との対向領域を除く領域に設けられることが好ましい。
【0116】
なお発光量および電圧降下などを勘案して、補助電極を平面視で第1電極14と第2電極15との対向領域に形成してもよく、例えば対向領域の周縁と、対向領域とに補助電極を形成してもよい。平面視で例えば対向領域に格子状またはストライプ状の線状に補助電極を形成し、対向領域に形成される補助電極と、対向領域の周縁に形成される補助電極とを接続してもよい。
【0117】
補助電極の材料としては、電気伝導率の高い材料が好適に用いられ、Al、Ag、Cu、Au、Wなどをあげることができる。また補助電極にはAl−Nd、Ag−Pd−Cuなどの合金を用いてもよい。補助電極の厚みは求められるシート抵抗などによって適宜設定され、例えば50nm〜2000nmである。補助電極は単層によって構成されていてもよく、また複数の層が積層された積層体であってもよい。例えば第1支持基板12(ガラス基板等)や第1電極14(ITO薄膜等)との密着性の向上させること、および金属表面を酸素や水分から保護することなどを目的として、所定の機能を発揮する層を、電気伝導率の高い材料からなる薄膜に積層してもよい。例えばMo、Mo−NbおよびCrなどから成る薄膜で、電気伝導率の高い材料からなる薄膜を挟持した構成の積層体を補助電極として用いることができる。
【0118】
なお前述した各実施形態では複数の有機EL素子によって1つの直列接続が構成された発光装置を示しているが、複数の有機EL素子によって複数の直列接続が構成された発光装置であっても本発明を好適に適用することができる。また直列接続と並列接続とを併用して構成された発光装置であっても本発明を好適に適用することができる。
【0119】
図9は本発明の第5実施形態の発光装置61を示す図である。本実施形態の発光装置61は、2列の直列接続を並列接続した構成の発光装置である。各直列接続は、3個の有機EL素子が直列接続されて構成される。2列の直列接続は、一端同士および他端同士が電気的に接続され、並列接続される。
【0120】
複数の有機EL素子によって1つの直列接続が構成された発光装置では、有機EL素子の数が増加するほど、素子を駆動する駆動源の電圧が高くなるが、並列接続を併用することによって、駆動源に要求される供給電圧を適度に抑制することができる。
【符号の説明】
【0121】
1 有機EL素子
2 発光装置
3 第1支持基板
7 第2支持基板
4 第1電極
5 第2電極
6 発光層
11 発光装置
12 第1支持基板
35 第2支持基板
13 有機EL素子
14 第1電極
15 第2電極
16 発光層
17,18 延在部
19 接続部
31 発光装置
32 接続部
41 発光装置
42 接続部
51 発光装置
52 補助電極
61 発光装置
71 貼合装置
73 第1送り出しロール
74 第2送り出しロール
76 第1貼り合わせロール
77 第2貼り合わせロール
78 巻き取りロール
79 補助ロール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向して配置される第1および第2支持基板と、
前記第1および第2支持基板間に設けられ、直列接続される複数の有機EL素子とを備える発光装置であって、
前記複数の有機EL素子は、所定の配列方向に沿って配置され、
各有機EL素子は、一対の電極と、前記一対の電極間に設けられる発光層とを備え、
前記発光層は、前記複数の有機EL素子に跨って、前記所定の配列方向に沿って延在しており、
前記一対の電極はそれぞれ、前記支持基板の厚み方向の一方から見て、前記支持基板の厚み方向および前記配列方向のいずれにも垂直な幅方向に、発光層から突出するように延在する延在部を有し、
前記一対の電極のうちの一方の電極は、前記配列方向に隣り合う有機EL素子の他方の電極にまで前記延在部から前記配列方向に延在し、該他方の電極に接続される接続部をさらに有することを特徴とする発光装置。
【請求項2】
前記第1および第2支持基板のうちの少なくともいずれか一方が可撓性を示す基板であることを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記可撓性を示す基板が、金属フィルムであることを特徴とする請求項2記載の発光装置。
【請求項4】
前記可撓性を示す基板が、樹脂材料からなる基板であるであることを特徴とする請求項2記載の発光装置。
【請求項5】
前記電極に接して設けられる補助電極をさらに有し、
該補助電極は、当該補助電極に接する電極よりもシート抵抗が低いことを特徴とする請求項1〜4のうちのいずれか1つに記載の発光装置。
【請求項6】
前記補助電極は、前記一対の電極のうちでシート抵抗が高い方の電極に接して設けられることを特徴とする1〜5のうちのいずれか1つに記載の発光装置。
【請求項7】
前記一対の電極のうちでシート抵抗が低い方の電極のみが、前記接続部を有することを特徴とする請求項1〜6のうちのいずれか1つに記載の発光装置。
【請求項8】
前記延在部は、前記厚み方向の一方から見て、前記幅方向の一方に発光層から突出するように延在する第1延在部と、前記幅方向の他方に発光層から突出するように延在する第2延在部とを含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載の発光装置。
【請求項9】
互いに対向して配置される第1および第2支持基板と、
前記第1および第2支持基板間に設けられ、直列接続される複数の有機EL素子とを備える発光装置であり、
前記複数の有機EL素子は、所定の配列方向に沿って配置され、
各有機EL素子は、一対の電極と、前記一対の電極間に設けられる発光層とを備え、
前記発光層は、前記複数の有機EL素子に跨って、前記所定の配列方向に沿って延在しており、
前記一対の電極はそれぞれ、前記支持基板の厚み方向の一方から見て、前記支持基板の厚み方向および前記配列方向のいずれにも垂直な幅方向に、発光層から突出するように延在する延在部を有し、
前記一対の電極のうちの一方の電極は、前記配列方向に隣り合う有機EL素子の他方の電極にまで前記延在部から前記配列方向に延在し、該他方の電極に接続される接続部をさらに有する発光装置の製造方法であって、
前記発光層となる材料を含むインキを、前記複数の有機EL素子に跨って前記所定の配列方向に沿って連続的に塗布し、塗布した塗膜を固化することにより発光層を形成する工程を含むことを特徴とする発光装置の製造方法。
【請求項10】
前記インキを塗布する方法が、キャップコート法、スリットコート法、スプレーコート法または印刷法であることを特徴とする請求項9に記載の発光装置の製造方法。
【請求項11】
ロールツーロール法によって前記第1支持基板と第2支持基板とを貼合する貼合工程を含むことを特徴とする請求項10記載の発光装置の製造方法。
【請求項12】
前記有機EL素子の一部が形成された第1支持基板を用意する工程と、
前記有機EL素子のうちで、前記第1支持基板上に形成された一部を除く残部が形成された第2支持基板を用意する工程と、
前記第1支持基板と第2支持基板とを貼合することによって有機EL素子を形成する貼合工程とを含むことを特徴とする請求項9〜11記載のいずれか1つに記載の発光装置の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2012−113916(P2012−113916A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−260922(P2010−260922)
【出願日】平成22年11月24日(2010.11.24)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】