説明

発光装置

【課題】製造コストが安価で、視認性に優れ、光を見栄えよく見せることができ、かつ、動作の信頼性に優れた表示装置を提供する。
【解決手段】信号表示灯1は、基板7に実装された複数個の発光素子61,62,63と、発光素子61,62,63にそれぞれ光結合された複数個の導光軸部材10,20,30と、を含む。各導光軸部材10,20,30は、対応する発光素子61,62,63に光結合された入射部15,25,35を一端面11,21,31に有し、一端面11,21,31以外の表面91,92,93に放射部16,26,36を有する。各入射部15,25,35からの入射光は、対応する放射部16、26,36から周囲に放射される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、信号表示灯などの発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
信号表示灯として、工作機械に取り付けられる動作状態表示ランプや、道路標識に備えられるライトや、自動車のブレーキランプを挙げることができる(たとえば、特許文献1〜4参照)。信号表示灯は、LED(Light Emitting Diode)などの発光素子と、この発光素子が透過する透光性材料とを含む。
特許文献1の信号表示灯は、透光性材料からなる中空筒状の支柱を含む。支柱の下部および上部には、それぞれ、LEDが配置されている。これらのLEDからの光は、支柱内に形成された反射面で反射されることにより、支柱の側方に放射される。
【0003】
特許文献2の信号表示灯は、発光素子からの光が導かれる光導体と、光導体が接続された透明の光学ブロックとを含む。光学ブロックの内部には、開口が成形されている。光導体から出てきた光線は、光学ブロックの開口の反射面から放射される。
特許文献3の信号表示灯は、支柱と、支柱の上部に縦長に配置された基板と、この基板に実装された多数のLEDと、LEDおよび基板を取り囲む透明な円筒状のカバーと、を含む。基板は、カバーの周方向に複数並んでいる。各基板のLEDは、カバーと向かい合っており、カバーの円周方向および軸方向に沿って多数並んでいる。これらのLEDの光は、カバーを透過し信号表示灯の側方に向けて放射される。
【0004】
特許文献4の信号表示灯は、棒状の3つの光透過性長尺部材と、これらの各長尺部材の両端に配置されたLED発光部と、を含む。LEDの光は、各長尺部材の外周面から射出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−167508号公報([要約])
【特許文献2】特開平6−260006号公報([0009])
【特許文献3】意匠登録第1253623号公報
【特許文献4】特開2008−153020号公報([0069]−[0074]、図8)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
信号表示灯は、コスト安価であることが要求される。また、信号表示灯は、発光素子からの光を人に分かり易く認識させることのできる視認性が要求される。また、近年、信号表示灯は、必要な信号を与えることができるという本来の機能に加え、光をより美しく見せることができるようにすること(見栄え性)も要求される場合がある。さらに、信号表示灯は、振動などが発生する環境下でも確実に動作することのできる信頼性が要求される。
【0007】
しかしながら、特許文献1の構成では、支柱の内部に反射面を設けるという複雑な形状である。その上、支柱の両端にLED基板、およびLED基板への配線を設ける構成であることにより部品点数が多く、製造コストが高い。さらに、LED基板および支柱からなるユニットを複数段積み重ねて複数色の光を発するためには、発色光ごとにLED基板および支柱を設ける必要があり、さらに製造コストが高くなる。
【0008】
また、特許文献2の構成では、光学ブロックの内部に開口を設ける構成であるので、光学ブロックの形状が複雑となり、製造コストが高い。
また、特許文献3の構成では、複数の基板(LED基板)が必要である上に、信号表示灯の長手方向に沿って多数のLEDが必要であるので、部品点数が多く、製造コストが高い。また、LEDからの光がカバーを介して直接的に視認される構成であるので、多数のLEDからの光が、光の粒の集合として認識される。その上、信号表示灯の長手方向(上下方向)において所定の範囲毎に発光色が異なる構成の場合、多数のLEDからの粒状の光は、信号表示灯から遠い位置では混ざり合い、所望の光を視認できないおそれがあり、視認性がよくない。その上、LED基板を直立させた構成では、LED基板は、振動の影響を受け易い。このため、工作機械など、振動が生じる箇所に信号表示灯を取り付けたときの信頼性に不安が生じる。
【0009】
また、特許文献4の構成では、光透過性部材の両端にLED基板、およびLED基板への配線を設ける構成であることにより部品点数が多く、製造コストが高い。
この発明は、かかる背景のもとでなされたもので、製造コストが安価で、視認性に優れ、光を見栄えよく見せることができ、かつ、動作の信頼性に優れた表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するための請求項1記載の発明は、基板と、前記基板に実装された複数個の発光素子と、前記複数個の発光素子にそれぞれ光結合された複数個の導光軸部材とを含み、各導光軸部材は、対応する前記発光素子に光結合された入射部を一端面に有し、前記一端面以外の表面に放射部を有し、前記入射部からの入射光を軸方向に導光して、その導光された光を前記放射部から周囲に放射するように構成されている、発光装置である。
【0011】
この発明によれば、複数の発光素子からの光が、何れも、軸状の部材である導光軸部材を介して放射部から放射される。これにより、複数の導光軸部材から広い範囲に光を放射できる。このように、各導光軸部材は、対応する発光素子からの光を視認性よく放射できる。これにより、複数の導光軸部材を設けた場合でも、それぞれの導光軸部材からの光を明確に識別させることができる。したがって、発光素子からの光の視認性を高くできる。その上、導光軸部材から広い範囲に光を放射できるため、放射部から放射される光のムラを少なくできるので、発光素子からの光を美しく(見栄えよく)見せることができる。
【0012】
また、それぞれの導光軸部材において、軸方向の長い領域から、導光軸部材の周囲に向けて光を放射できる。これにより、多数の発光素子を軸方向に並べる必要がない。これにより、部品点数および製造コストをより低減できる。さらに、導光軸部材に光を入射させる入射部は、導光軸部材の一端面にさえ設ければよいので、導光軸部材の他端面に基板および発光素子を配置する必要がない。これにより、部品点数および製造コストをより低減できる。
【0013】
また、複数の発光素子を軸方向に並べる必要がないので、基板を軸方向に沿った姿勢(たとえば垂直姿勢)に配置する必要がなく、基板を軸方向に垂直な姿勢(たとえば水平姿勢)に配置できる。これにより、基板に接続される電源配線や信号線を軸方向に沿って発光装置内に這わす必要がないから、発光装置の構成を簡素化できる。よって、製造コストをより低減できる。また、基板を軸方向に沿う姿勢で支持する場合と比べて、導光軸部材の一端付近において、基板をケースなどで堅固に支持できる。その結果、基板の支持強度を十分に高くできるので、基板が振動の影響を受けることを少なくできる。これにより、発光装置の信頼性を向上できる。
【0014】
特に、発光装置を信号表示灯として用いる場合には、導光軸部材からの光を明確に識別できるようにすることで、信号表示灯を見た人に対して、光による信号を、より正確に認識させることができる。
前記導光軸部材は、中実の軸部材であってもよいし、中空の軸部材であってもよい。
また、前記放射部は、不規則パターンの凹凸を有する粗面加工部を含んでいてもよい。「粗面加工部」は、鏡面に形成された表面を事後的に粗して形成されてもよい。より具体的には、たとえば、導光軸部材の鏡面状の表面を、やすり状の工具で粗くして半透明にすることによって粗面加工部を形成してもよい。また、樹脂成型によって導光軸部材を作製する場合には、金型の表面に粗面加工部の反転パターンの凹凸を形成しておき、樹脂成型の段階で粗面加工部を導光軸部材の表面に形成してもよい。
【0015】
この構成によれば、導光軸部材の放射部を導光した光が、放射部から導光軸部材の周囲に向けて放射でき、この光は高輝度の面状の光として放射できる。したがって、発光素子からの光の視認性を高くできる。しかも、粗面加工部は、導光軸部材の側面の鏡面部分に粗面加工を施したり、樹脂成型によって形成したりすることができるので、製造工程での加工が容易であり、コスト安価である。
【0016】
また、前記放射部の粗面加工部は、前記導光軸部材の周方向の全域にわたって形成された前記凹凸を含んでいてもよい。
また、前記導光軸部材は、前記一端面から他端面に渡って一様な断面を有していてもよい。この構成によれば、一様な断面形状にすることで、光の視認性をより高くできる。
また、一様な断面を有する前記導光軸部材に前記粗面加工部を形成する場合には、一様な断面の導光軸部材の表面の鏡面部分に粗面加工を施したり、樹脂成型によって形成したりすることで放射部を形成できるので、製造工程での加工が容易であり、コスト安価である。
【0017】
請求項2記載の発明は、前記放射部が、前記一端面以外の表面の一部の領域に選択的に配置されている、請求項1に記載の発光装置である。この構成によれば、導光軸部材のうち、周囲に光を放射させたい箇所から光を放射できる。その結果、光の視認性をより高くできる。放射部は、一つの連続した領域であってもよいし、離散的に配置(たとえば導光軸部材の軸方向に間隔を開けて離散配置)された複数の領域を含んでいてもよい。換言すれば、離散配置された複数の放射部が導光軸部材の表面に配置されていてもよい。 また、前記放射部が、前記軸方向に関して区画された領域に選択的に配置されていれば、好ましい。この構成によれば、導光軸部材の軸方向に関して、表面のうち、周囲に光を放射させたい箇所から光を放射できる。その結果、光の視認性をより高くできる。放射部は、一つの連続した領域を有していてもよいし、軸方向に間隔を開けて離散的に配置された複数の領域を有していてもよい。換言すれば、軸方向に間隔を開けて離散配置された複数の放射部が導光軸部材の表面に配置されていてもよい。
【0018】
また、前記導光軸部材が、直線状の部材である場合がある。この構成によれば、導光軸部材の形状がシンプルであるので、導光軸部材の製造コストをより低減できる。たとえば、合成樹脂材料を押し出し成形することで、導光軸部材を容易に形成できる。また、直線状の部材の側面から光を放射させる構成であれば、光をより遠くまで放射できる。これにより、光の視認性をより高くできる。
【0019】
請求項3記載の発明は、前記放射部が凹部を含み、この凹部の配置密度が、前記軸方向に沿って前記入射部から遠いほど高くされている、請求項1または2に記載の発光装置である。この構成によれば、放射部の凹部の配置密度が高いほど、導光軸部材の周囲に放射される光の量を多くできる。そして、発光素子から遠いことにより発光素子からの光量が少なくなる箇所ほど、放射部の凹部の配置密度を高くしている。これにより、軸方向に関して、放射部から放射される光の強さの分布を、より均一にできる。その結果、発光素子からの光の視認性をより向上でき、かつ、この光の見栄えをよりよくできる。しかも、放射部の凹部の配置密度を軸方向に沿って変更するという簡易な構成でよいので、製造コストをより低減できる。
【0020】
前記放射部が粗面加工部を含む場合において、前記放射部が軸方向に間隔を開けて複数個設けられるときに、各放射部の粗面加工部における凹部の配置密度が互いに異なっていて、入射部から放射部までの前記軸方向に沿う距離が長いほど凹部の配置密度が高くされていることが好ましい。たとえば、このような凹部の配置密度は、複数の放射部から放射される光量がほぼ均一になるように設定されていることが好ましい。
【0021】
また、放射部が軸方向に延びている場合において、放射部を構成する粗面加工部の各部における凹部の配置密度が、入射部からの距離が長いほど大きくなっていることが好ましい。これにより、軸方向に延びた放射部の各部からほぼ均一の光量を放射させることができる。換言すれば、軸方向に延びた放射部を構成する粗面加工部の凹部の配置密度が、軸方向に関する各位置で異なっていて、各部から放射される光量がほぼ均一になるように設定されていることが好ましい。
【0022】
また、前記放射部の前記凹部が前記導光軸部材の前記一端面と他端面との間の側面に形成された溝部を含む場合において、前記溝部が軸方向に間隔を開けて複数個設けられるときに、前記軸方向に関する前記溝部の配置密度が互いに異なっていて、入射部から放射部までの前記軸方向に沿う距離が長いほど前記溝部の配置密度が高くされていることが好ましい。たとえば、このような溝部の配置密度は、複数の放射部から放射される光量がほぼ均一になるように設定されていることが好ましい。
【0023】
また、前記発光素子が、発光色の異なる複数の発光素子を含むことが好ましい。この構成によれば、それぞれの発光素子からの光は、導光軸部材の放射部において、高い光量で周囲に向けて放射される。これにより、それぞれ発光素子の色を明瞭に識別させることができる。よって、発光色の異なる複数の発光素子を設けた場合でも、光の視認性をより向上できる。
【0024】
複数色の発光素子が一つの導光軸部材に光結合されていてもよい。この場合、各発光素子の単色光のほか、複数色の発光素子の混合色の光を放射部から放射させることができる。むろん、複数色の発光素子が複数の導光軸部材にそれぞれ対応するように光結合されていてもよい。すなわち、前記導光軸部材が、第1導光軸部材と、第2導光軸部材とを含み、前記発光素子が、前記第1導光軸部材に光結合され第1色の光を発生する第1発光素子と、前記第2導光軸部材に光結合され前記第1色とは異なる第2色の光を発生する第2発光素子とを含んでいてもよい。
【0025】
請求項4記載の発明は、前記複数個の導光軸部材が、外側導光軸部材と、この外側導光軸部材に前記軸方向に関する一部の領域が取り囲まれた内側導光軸部材とを含み、前記内側導光軸部材が、前記外側導光軸部材から前記軸方向に突出した突出部を含み、この突出部に前記内側導光軸部材の前記放射部が配置されている、請求項1〜3のいずれか一項に記載の発光装置である。
【0026】
この構成によれば、外側導光軸部材と、内側導光軸部材とで、放射部の位置を軸方向に異ならせることができる。これにより、内側導光軸部材からの光と、外側導光軸部材からの光とを、より明確に識別させることができるので、光の視認性をより高くできる。その上、内側導光軸部材から突出した突出部に外側導光軸部材の放射部が配置されている。これにより、内側軸導光軸部材の放射部の光を、外側の導光軸部材によって減衰されることなく、発光装置の周囲に向けて放射できる。その結果、発光素子からの光の視認性をより高くできる。
【0027】
請求項5記載の発明は、前記複数個の発光素子が、前記内側導光軸部材に光結合された内側発光素子と、前記外側導光軸部材に光結合された外側発光素子とを含む、請求項4に記載の発光装置である。この構成によれば、内側導光軸部材の放射部から放射される内側発光素子の光と、外側導光軸部材の放射部から放射される外側発光素子の光とを、明瞭に識別させることができるので、光の視認性をより高くできる。
【0028】
この場合において、前記内側発光素子と外側発光素子との発光色が、互いに異なっていれば、好ましい。この構成によれば、それぞれの発光色を明瞭に識別できるので、光の視認性が高い。
また、前記外側導光軸部材の放射部と、前記内側導光軸部材の放射部とが、前記軸方向に離隔して配置されており、前記軸方向に交差する方向から見たときに前記外側導光軸部材の放射部と前記内側導光軸部材の放射部との間に空間部が形成されていれば、好ましい。この構成によれば、外側導光軸部材の放射部と内側導光軸部材の放射部との間が空間部によって離隔されていることにより、これらの放射部からの光が互いに干渉することを抑制できる。その結果、光の視認性を高くできる。
【0029】
請求項6記載の発明は、前記複数個の導光軸部材が、前記軸方向を互いに平行にして配置されている、請求項1〜5のいずれか一項に記載の発光装置である。この構成によれば、複数の導光軸部材を平行に並べていることで、各導光軸部材の放射部から発光装置の周囲に放射される光の強さをより均等にできる。これにより、各導光軸部材の光の視認性を高くできる。
【0030】
請求項7記載の発明は、前記複数の導光軸部材のそれぞれの放射部が、前記軸方向の位置を互いに異ならせて配置されている、請求項1〜6のいずれか一項に記載の発光装置である。この構成によれば、各導光軸部材からの光を、その発光場所によって識別し易くできるので、光の視認性を高くできる。
この場合において、さらに、前記複数の発光素子の発光色が異なっていれば、好ましい。この構成によれば、各導光軸部材からの光を、その発光色によって識別することができるから、光の視認性を高めることができる。
【0031】
また、前記基板に取り付けられ、前記複数の導光軸部材を支持するホルダをさらに含むことが、好ましい。この構成によれば、複数の導光軸部材をホルダで一括して保持できる。各導光軸部材を別々に保持する構成と比べて、ホルダの部品点数を少なくできる。その結果、製造コストをより低減できる。また、各導光軸部材を、ホルダによって安定して保持できるので、導光軸部材が振動の影響を受けることを抑制できる。その結果、振動に起因する不具合の抑制を通じて発光装置の信頼性を向上できる。
【0032】
また、前記導光軸部材の前記軸方向に交差する断面が、円弧状部分と当該円弧状部分の両端を結ぶ線分とで区画された半円状に形成されており、前記放射部が、前記導光軸部材の前記表面のうち前記円弧状部分に対応する領域に配置されていれば、好ましい。この構成によれば、放射部を円弧状部分に配置する簡易な構成を採用することにより、製造コストを低減できる。また、放射部を円弧状部分に設けているので、放射部から光をより広い角度範囲に放射できる。その結果、発光素子からの光の視認性をより高くできる。
【0033】
請求項8記載の発明は、前記一端面以外の表面は、前記一端面と他端面との間の側面を含み、前記放射部は、前記側面に配置されており、前記側面のうち、前記放射部以外の領域を覆う遮光部材をさらに含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の発光装置である。この構成によれば、導光軸部材の側面のうち、放射部以外の部分から光が漏れることを抑制できる。これにより、より確実に意図した箇所(放射部)のみから光を放射できるので、発光素子からの光の視認性をより高くできる。
【0034】
請求項9記載の発明は、前記導光軸部材の他端面を覆う遮光部材をさらに含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の発光装置である。
この構成によれば、導光軸材を透過する光を、導光軸部材の他端面から漏れることを抑制できる。これにより、発光素子からの光のうち、放射部から放射される光の量をより多くできる。その結果、発光素子からの光の視認性をより高くできる。
【0035】
請求項10記載の発明は、前記放射部を覆い、前記放射部から放射された光を散乱させる光散乱部材をさらに含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載の発光装置である。この構成によれば、放射部から放射された光を、より広い範囲に放射できる。これにより、発光素子からの光の視認性をより高くできる。
この場合において、前記光散乱部材を収容するアウターカバーをさらに含むことが、好ましい。この構成によれば、アウターカバーによって、光散乱部材を保護することができる。
【0036】
この場合において、前記基板を収容し、前記アウターカバーを支持するケースをさらに含むことが、好ましい。この構成によれば、基板が露出しないようにケースで覆うことができるので、基板を保護することができる。また、ケースがアウターカバーを支持する機能を兼ねていることにより、発光装置をコンパクトにできる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】この発明の第1実施形態にかかる発光装置としての信号表示灯の一部を分解した斜視図である。
【図2】図1のII−II線に沿う断面図であって、信号表示灯の軸方向と平行で、かつ、信号表示灯の中心軸線を通る切断面を見た状態を示している。
【図3】発光装置の主要部の分解斜視図である。
【図4】(a)は、第1導光軸部材の側面を軸方向と平行な切断面で切断した拡大図であり、(b)は、第2導光軸部材の側面を軸方向と平行な切断面で切断した拡大図であり、(c)は、第3導光軸部材の側面を軸方向と平行な切断面で切断した拡大図である。
【図5】この発明の第2実施形態の信号表示灯を、軸方向と平行な切断面で切断した断面図である。
【図6】この発明の第3実施形態の信号表示灯を、軸方向と平行な切断面で切断した断面図である。
【図7】この発明の第4実施形態にかかる信号表示灯の主要部の斜視図である。
【図8】図7のVIII−VIII線に沿う断面図であり、信号表示灯を左右方向から見た状態を示している。
【図9】この発明の第5実施形態の信号表示灯を、軸方向と平行な切断面で切断した断面図である。
【図10】(a)は、この発明の第6実施形態の信号表示灯の斜視図であり、(b)は信号表示灯のケースの周辺の分解斜視図である。
【図11】信号表示灯の断面図であり、信号表示灯を正面からみたときの切断面を示している。
【図12】(a)は、各導光軸部材の放射部の凹凸の凹部の配置密度を一律に設定した比較例における光の強さの分布について説明するための図解的な平面図であり、(b)は、第6実施形態における各導光軸部材の光の強さの分布について説明するための図解的な平面図である。
【図13】この発明の第7実施形態にかかる信号表示灯の主要部の斜視図である。
【図14】この発明の第8実施形態の信号表示灯を、軸方向と平行な切断面で切断した断面図である。
【図15】この発明の第9実施形態の信号表示灯の一部を、軸方向と平行な切断面で切断した部分断面図である。
【図16】第1放射部の拡大図である。
【図17】この発明の第10実施形態の信号表示灯の一部を、軸方向と平行な切断面で切断した部分断面図である。
【図18】この発明の第11実施形態の信号表示灯の一部を、軸方向と平行な切断面で切断した部分断面図である。
【図19】(a)〜(e)は、図15の第1〜第5放射部の拡大図である。
【図20】この発明の第12実施形態にかかる信号表示灯の主要部の斜視図である。
【図21】この発明の第13実施形態にかかる信号表示灯の一部を軸方向と平行な断面で切断した部分断面図である。
【図22】この発明の第14実施形態の信号表示灯の一部を、軸方向と平行な切断面で切断した部分断面図である。
【図23】この発明の第15実施形態の信号表示灯の主要部の斜視図である。
【図24】この発明の第16実施形態の信号表示灯の正面図であり、一部を破断して示している。
【図25】導光軸部材の正面図である。
【図26】この発明の第17実施形態の信号表示灯1Sの正面図であり、一部を破断して示している。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下には、図面を参照して、この発明の実施形態について具体的に説明する。
(第1実施形態)
図1は、この発明の第1実施形態にかかる発光装置としての信号表示灯1の一部を分解した斜視図である。図2は、図1のII−II線に沿う断面図であって、信号表示灯1の軸方向X1と平行で、かつ、信号表示灯1の中心軸線を通る切断面を見た状態を示している。
【0039】
図1および図2に示すように、信号表示灯1は、所定の光信号を発生するために設けられている。信号表示灯1は、たとえば、工場に設置された工作機械のケーシングに取り付けられ、この工作機械の動作状態(異常の発生の有無など)を光信号によってオペレータに報知する用途に適用される。また、本発明の発光装置は、警告灯や、照明装置や、セグメント方式の表示装置など、他の発光装置に適用することもできる。以下では、信号表示灯1を例に、この発明の発光装置について説明する。
【0040】
信号表示灯1は、円柱状に形成されており、側方に向けて光信号を放射するようになっている。信号表示灯1は、複数の色(たとえば、3色)の光を放射可能である。
信号表示灯1は、ケース2と、基板ユニット5と、複数の導光軸部材としての第1導光軸部材10、第2導光軸部材20および第3導光軸部材30と、複数の側面遮光部材としての第1側面遮光部材41および第2側面遮光部材42と、複数の端部遮光部材としての第1端部遮光部材43、第2端部遮光部材44および第3端部遮光部材45と、を含んでいる。また、信号表示灯1は、複数の光散乱部材としての第1光散乱部材51、第2光散乱部材52および第3光散乱部材53と、カバー(アウターカバー)54と、を含んでいる。
【0041】
ケース2は、基板ユニット5を収容するために設けられている。ケース2は、合成樹脂や金属材料からなる。ケース2は、非透明な色(たとえば、黒色)に形成されており、遮光性を有している。ケース2は、円板状の底壁3と、底壁3の外周部から上方に延びる円筒状の周壁4と、を含んでいる。
底壁3は、たとえば、医療機器のケーシングの上面などの取付対象に設置される。底壁3と周壁4によって、基板ユニット5を収容する収容空間6が形成されている。
【0042】
基板ユニット5は、基板7と、基板7の上面8に実装された複数の発光素子としての第1発光素子61、第2発光素子62および第3発光素子63と、を含んでいる。基板7は、円板状に形成されており、周壁4に固定されている。基板7は、基板7の中心を挟んで少なくとも2箇所で周壁4に固定されており、両持ち支持されている。これにより、基板7は、底壁3と平行に配置されており、水平方向に延びている。基板7には、図示しない電源線や信号線が接続されている。
【0043】
第1発光素子61、第2発光素子62および第3発光素子63は、たとえば、LED(Light Emitting Diode)であり、基板7に供給された電力によって発光するように構成されている。第1発光素子61の発光色と、第2発光素子62の発光色と、第3発光素子63の発光色は、それぞれ、異なっている。たとえば、第1発光素子61は、緑色の光を発し、第2発光素子62は、黄色の光を発し、第3発光素子63は、赤色の光を発する。各発光素子61〜63は、基板7の上面8に配置されており、上方に向けて光を放射するように構成されている。
【0044】
図3は、信号表示灯1の主要部の分解斜視図である。第1発光素子61は、第1導光軸部材10に対応して設けられている。第1発光素子61は、基板7の上面8の中央に1つ配置されている。
第2発光素子62は、第2導光軸部材20に対応して設けられている。第2発光素子62は、基板7の上面8において、第1発光素子61の外周に複数(たとえば、4つ)設けられている。
【0045】
第3発光素子63は、第3導光軸部材30に対応して設けられている。第3発光素子63は、基板7の外周部に配置されている。第3発光素子63は、第2発光素子62と同じ数設けられている。
第1導光軸部材10、第2導光軸部材20、および第3導光軸部材30は、それぞれ、直線状に形成されている。
【0046】
導光軸部材10,20,30は、発光素子61,62,63からの光を信号表示灯1の周囲(導光軸部材10,20,30の側方)に放射するために設けられている。各導光軸部材10,20,30は、基板7の上方に配置されている。各導光軸部材10,20,30は、アクリルなどの合成樹脂製の部材であり、それぞれ、押し出し成形などによって一体成形されている。各導光軸部材10,20,30は、直線状に形成されている。また、本実施形態においては、各導光軸部材10,20,30は、一様な断面を有している。すなわち、各導光軸部材10,20,30は、軸方向X1と直交する断面形状が、軸方向X1のいずれの位置でも実質的に同一な形状とされている。
【0047】
図2に示すように、導光軸部材10,20,30は、それぞれ、表面91,92,93を含んでいる。表面91は、一端面11、他端面12および側面(外周面)13を含んでいる。表面92は、一端面21、他端面22および側面(外周面)23を含んでいる。表面93は、一端面31、他端面32および側面(外周面)33を含んでいる。
導光軸部材10,20,30の一端面11,21,31および他端面12,22,32は、それぞれ、軸方向X1と直交する平坦面に形成されている。導光軸部材10,20,30の表面は、それぞれ、後述する放射部16,26,36を除き、鏡面状に形成されており、透明である。
【0048】
第1導光軸部材10は、円柱状に形成されている。第2導光軸部材20および第3導光軸部材30は、それぞれ、円筒状に形成されている。軸方向X1に関して、第1導光軸部材10、第2導光軸部材20および第3導光軸部材30の順に全長が長い。
第1導光軸部材10のうち、軸方向X1に関する下端側の大部分は、第2導光軸部材20に取り囲まれており、第2導光軸部材20に嵌合されることで保持されている。第1導光軸部材10および第2導光軸部材20は、それぞれ、本発明の「内側導光軸部材」および「外側導光軸部材」の一例である。第1導光軸部材10の上端側の一部は、第2導光軸部材20から上方に突出しており、第1突出部14を形成している。
【0049】
内側導光軸部材としての第1導光軸部材10には、内側発光素子としての第1発光素子61が光結合されており、外側導光軸部材としての第2導光軸部材20には、外側発光素子としての第2発光素子62が光結合されている。
第2導光軸部材20のうち、軸方向X1に関する下端側の大部分は、第3導光軸部材30に取り囲まれており、第3導光軸部材30に嵌合されることで保持されている。第3導光軸部材30の下端部は、ケース2の周壁4の内周面に嵌合されることで保持されている。上記の構成により、各導光軸部材10,20,30は、ケース2に保持されている。第2導光軸部材20および第3導光軸部材30は、それぞれ、本発明の「内側導光軸部材」および「外側導光軸部材」の一例である。第2導光軸部材20の上端側の一部は、第3導光軸部材30から上方に突出しており、第2突出部24を形成している。
【0050】
内側導光軸部材としての第2導光軸部材20には、内側発光素子としての第2発光素子62が光結合されており、外側導光軸部材としての第3導光軸部材30には、外側発光素子としての第3発光素子63が光結合されている。
次に、第1〜第3導光軸部材10,20,30の、より具体的な構成について、個別に説明する。
【0051】
第1導光軸部材10は、第1発光素子61の上方において、第1発光素子61に隣接して配置されている。第1導光軸部材10の外周面としての側面13は、円筒面である。側面13は、第1導光軸部材10の一端面11と、第1導光軸部材10の他端面12との間に配置されている。一端面11は、第1入射部15を含んでいる。第1入射部15は、一端面11の全域に形成されている。第1入射部15は、第1発光素子61に光結合されており、第1発光素子61からの光が入射されるように構成されている。
【0052】
第1導光軸部材10の第1突出部14には、第1放射部16が形成されている(放射部は、直線と交差する斜線で図示)。すなわち、第1放射部16は、側面13の一部の領域に選択的に配置されている。また、第1放射部16は、軸方向X1に関して区画された領域(第1突出部14)に選択的に配置されている。
第1放射部16は、表面91のうち、一端面11以外に設けられている。第1放射部16は、第1導光軸部材10を透過する光を第1導光軸部材10の側面13から放射するために設けられている。第1放射部16は、第1突出部14における側面13の全域に形成されている。第1放射部16は、第1粗面加工部17を含む。本実施形態における第1粗面加工部17は、側面13のうち、第1放射部16が形成されていない第1透明部18と比べて表面粗さが粗くされており、透明であるが、第1透明部18と同一粗さの表面としてもよい。第1透明部18は、円筒状に形成されており、軸方向X1に関して起伏が設けられていない。
【0053】
図4(a)は、第1導光軸部材10の側面13を軸方向X1と平行な切断面で切断した拡大図である。第1粗面加工部17は、樹脂成型によって鏡面に形成された第1導光軸部材10の製造用中間体の側面を、事後的に粗して形成された部分をいう。この第1粗面加工部17は、上記製造用中間体の側面を、やすり状の工具で粗くするなどにより半透明にされている。なお、第1粗面加工部17は、金型の表面に粗面加工部の反転パターンの凹凸を形成しておき、樹脂成型の段階で粗面加工部17を第1導光軸部材10の側面13に形成してもよい。
【0054】
第1粗面加工部17は、たとえば、第1導光軸部材10の上記製造用中間体を、紙やすりで包んだ状態で、この紙やすりに対して回転させることにより形成される。
第1粗面加工部17は、不規則パターンの凹凸としての第1凹凸19を有している。第1凹凸19は、凹部と凸部を含む。この第1凹凸19は、導光軸部材10の周方向に延びており、この周方向の全域に亘って形成されている。また、この第1凹凸19の凹部の深さD1は、たとえば、数μm〜数十μm程度にすぎず、第1放射部16における側面13の断面形状と、第1透明部18における側面13の断面形状とは、実質的に同一である。
【0055】
第1凹凸19の凹部の配置密度は、軸方向X1に沿って第1入射部15から遠いほど高くされている。すなわち、軸方向X1に関する第1凹凸19の凹部の配置間隔は、第1入射部15から遠いほど短くされている。
図2を参照して、第2導光軸部材20は、第2発光素子62の上方において、第2発光素子62に隣接して配置されている。第2導光軸部材20の外周面としての側面23は、円筒面である。側面23は、第2導光軸部材20の一端面21と、第2導光軸部材20の他端面22との間に配置されている。一端面21は、第2入射部25を含んでいる。第2入射部25は、一端面21の全域に形成されている。第2入射部25は、各第2発光素子62に光結合されており、各第2発光素子62からの光が入射されるように構成されている。第2発光素子62が信号表示灯1の周方向に等間隔に複数設けられていることにより、この周方向に関して、第2入射部25に入射される光の量がより均等になるようにされている。
【0056】
第2導光軸部材20の第2突出部24には、第2放射部26が形成されている。すなわち、第2放射部26は、側面23の一部の領域に選択的に配置されている。また、第2放射部26は、軸方向X1に関して区画された領域(第2突出部24)に選択的に配置されている。
第2放射部26は、表面92のうち、一端面21以外に設けられている。第2放射部26は、第2導光軸部材20を透過する光を第2導光軸部材20の側面23から放射するために設けられている。第2放射部26は、第2突出部24における側面23の全域に形成されている。第2放射部26は、第2粗面加工部27を含む。本実施形態における第2粗面加工部27は、側面23のうち、第2放射部26が形成されていない第2透明部28と比べて表面粗さが粗くされているが、第2透明部28と同一粗さの表面としてもよい。第2透明部28は、円筒状に形成されており、軸方向X1に関して起伏が設けられていない。
【0057】
図4(b)は、第2導光軸部材20の側面23を軸方向X1と平行な切断面で切断した拡大図である。第2粗面加工部27は、第1粗面加工部17の形成方法と同様の方法によって形成されている。
第2粗面加工部27は、不規則パターンの凹凸としての第2凹凸29を有している。第2凹凸29は、凹部と凸部を含む。第2凹凸29の凹部の配置密度は、軸方向X1に沿って第2入射部25から遠いほど高くされている。すなわち、軸方向X1に関する第2凹凸29の凹部の配置間隔は、第2入射部25から遠いほど短くされている。
【0058】
第2凹凸29の凹部の配置密度は、上端側において最も高いけれども、第1放射部16の最も下端側における第1凹凸19の凹部の配置密度よりは低くされている。
上記以外の点は、第2凹凸29は、第1凹凸19と同様の構成を有している。
図2を参照して、第3導光軸部材30は、第3発光素子63の上方において、第3発光素子63に隣接して配置されている。第3導光軸部材30の外周面としての側面33は、円筒面である。側面33は、第3導光軸部材30の一端面31と、第3導光軸部材30の他端面32との間に配置されている。一端面31は、第3入射部35を含んでいる。第3入射部35は、一端面31の全域に形成されている。第3入射部35は、各第3発光素子63に光結合されており、各第3発光素子63からの光が入射されるように構成されている。第3発光素子63が信号表示灯1の周方向に等間隔に複数設けられていることにより、この周方向に関して、第3入射部35に入射される光の量がより均等になるようにされている。
【0059】
第3導光軸部材30のうち、軸方向X1に関する一部は、ケース2の周壁4から上方に突出しており、第3突出部34を形成している。この第3突出部34には、第3放射部36が形成されている。すなわち、第3放射部36は、側面33の一部の領域に選択的に配置されている。また、第3放射部36は、軸方向X1に関して区画された領域(第3突出部34)に選択的に配置されている。
【0060】
第3放射部36は、表面93のうち、一端面31以外に設けられている。第3放射部36は、第3導光軸部材30を透過する光を第3導光軸部材30の側面33から放射するために設けられている。第3放射部36は、第3突出部34における側面33の全域に形成されている。第3放射部36は、第3粗面加工部37を含む。本実施形態における第3粗面加工部37は、側面33のうち、第3放射部36が形成されていない第3透明部38と比べて表面粗さが粗くされているが、第3透明部38と同一粗さの表面としてもよい。第3透明部38は、円筒状に形成されており、軸方向X1に関して起伏が設けられていない。
【0061】
図4(c)は、第3導光軸部材30の側面33を軸方向X1と平行な切断面で切断した拡大図である。第3粗面加工部37は、第1粗面加工部17の形成方法と同様の方法によって形成されている。
第3粗面加工部37は、不規則パターンの凹凸としての第3凹凸39を有している。第3凹凸19は、凹部と凸部を含む。第3凹凸39の凹部の配置密度は、軸方向X1に沿って第3入射部35から遠いほど高くされている。すなわち、軸方向X1に関する第3凹凸39の凹部の配置間隔は、第3入射部35から遠いほど短くされている。
【0062】
第3凹凸39の凹部の配置密度は、上端側において最も高いけれども、第2放射部26の最も基端側における第2凹凸29の凹部の配置密度よりは低くされている。
上記以外の点は、第3凹凸39は、第1凹凸19および第2凹凸29と同様の構成を有している。また、第1凹凸19,第2凹凸29および第3凹凸39は、それぞれ、凹凸の配置密度や、配置間隔が異ならされており、このような構成は、軸方向X1に関して均一な強さの光を発するために採用されている。
【0063】
図2を参照して、第1側面遮光部材41は、第1導光軸部材10の側面13のうち、第1放射部16以外の領域から光が隣接する導光軸部材20,30に漏れることを抑制するために設けられており、この領域の全域を覆っている。第1側面遮光部材41は、円筒状に形成されており、第1導光軸部材10と、第2導光軸部材20との間に挟まれている。第1側面遮光部材41は、たとえば、黒色の厚紙などの、遮光性を有する材料を用いて形成されている。
【0064】
第1側面遮光部材41の下端部は、基板7の上面8に接触しており、第1発光素子61の周囲を取り囲んでいる。これにより、第1発光素子61からの光が第2入射部25および第3入射部35に入射されることを抑制している。
第2側面遮光部材42は、第2導光軸部材20の側面23のうち、第2放射部26以外の領域から光が隣接する導光軸部材30に漏れることを抑制するために設けられており、この領域の全域を覆っている。第2側面遮光部材42は、円筒状に形成されており、第2導光軸部材20と、第3導光軸部材30との間に挟まれている。第2側面遮光部材42は、第1側面遮光部材41と同様の材料を用いて形成されている。
【0065】
第2側面遮光部材42の下端部は、基板7の上面8に接触しており、第2発光素子62を取り囲んでいる。第1および第2側面遮光部材41,42の協働により、第2発光素子62からの光が第1入射部15および第3入射部35に入射されることを抑制している。
また、第2側面遮光部材42は、第3発光素子63からの光が第1および第2入射部15,25に入射されることを抑制している。
【0066】
第1端部遮光部材43は、第1導光軸部材10の他端面12から光が漏れることを抑制するために設けられている。第1端部遮光部材43は、第1側面遮光部材41と同様の材料を用いて形成されている。第1端部遮光部材43は、円板状に形成されており、第1導光軸部材10の他端面12に接触している。第1端部遮光部材43の直径は、カバー54の内径と同じとされており、他端面12を上方から覆っている。
【0067】
第2端部遮光部材44は、第2導光軸部材20の他端面22から光が漏れることを抑制するために設けられている。第2端部遮光部材44は、第1端部遮光部材43と同様の材料を用いて形成されている。第2端部遮光部材44は、円環状に形成されており、他端面22に接触している。第2端部遮光部材44の直径は、カバー54の内径と同じとされており、他端面22を上方から覆っている。第2端部遮光部材44は、側面13と全周に亘って接触している。
【0068】
第3端部遮光部材45は、第3導光軸部材30の他端面32から光が漏れることを抑制するために設けられている。第3端部遮光部材45は、第1端部遮光部材43と同様の材料を用いて形成されている。第3端部遮光部材45は、円環状に形成されており、他端面32に接触している。第2端部遮光部材44の直径は、カバー54の内径と同じとされており、第3導光軸部材30の他端面32を上方から覆っている。第3端部遮光部材45は、第2導光軸部材20の側面23と全周に亘って接触している。
【0069】
なお、各端部遮光部材43,44,45は、対応する他端面12,22,32からの出射光を遮光するのみならず、対応する一端面11,21,31側に反射させてもよい。この場合、各端部遮光部材43,44,45の一側面(下面)には、鏡面部が形成される。
ケース2の周壁4は、側面33のうち、第3放射部36以外の領域を覆っている。
上記の構成により、第1導光軸部材10、第1端部遮光部材43、および第2端部遮光部材44で区切られた円筒状の第1空間部71が形成されている。また、第2導光軸部材20、第2端部遮光部材44、および第3端部遮光部材45で区切られた円筒状の第2空間部72が形成されている。さらに、第3導光軸部材30、第3端部遮光部材45、およびケース2の周壁4の上部で区切られた円筒状の第3空間部73が形成されている。第1〜第3空間部71〜73は、それぞれ、第1〜第3光散乱部材51〜53を収容している。
【0070】
第1光散乱部材51、第2光散乱部材52および第3光散乱部材53は、それぞれ、光を拡散するために設けられている。各光散乱部材51〜53は、たとえば、乳白色で、かつ、透光性を有する材料を用いて形成されている。各光散乱部材51〜53が乳白色に形成されていることにより、各光散乱部材51〜53から放射される光を柔らかな光にすることができる。
【0071】
第1光散乱部材51は、第1放射部16から放射された光を散乱させるために設けられている。第1光散乱部材51は、円筒状に形成されて、第1放射部16に嵌合されており、第1放射部16の全域を覆っている。
第2光散乱部材52は、第2放射部26から放射された光を散乱させるために設けられている。第2光散乱部材52は、円筒状に形成されて、第2放射部26に嵌合されており、第2放射部26の全域を覆っている。
【0072】
第3光散乱部材53は、第3放射部36から放射された光を散乱させるために設けられている。第3光散乱部材53は、円筒状に形成されて、第3放射部36に嵌合されており、第3放射部36の全域を覆っている。
カバー54は、下端が開放された円筒状に形成された無色透明の部材である。カバー54は、上壁56と、囲い部57と、を含んでいる。上壁56は、第1端部遮光部材43に受けられている。囲い部57は、軸方向X1に延びている。囲い部57の下端部は、ケース2の周壁4の外周に形成された保持溝58に嵌め込まれている。これにより、カバー54は、ケース2に保持されている。カバー54は、各導光軸部材10,20,30、および各光散乱部材51〜53を収容している。
【0073】
上記の構成により、第1発光素子61からの光は、第1入射部15から第1導光軸部材10に軸方向X1に導光される。この導光された光は、第1放射部16から第1放射部16の周囲に放射される。この放射された光は、第1光散乱部材51で散乱され、カバー54を通して信号表示灯1の周囲に放射される。
また、第2発光素子62からの光は、第2入射部25から第2導光軸部材20に軸方向X1に導光される。この導光された光は、第2放射部26から第2放射部26の周囲に放射される。この放射された光は、第2光散乱部材52で散乱され、カバー54を通して信号表示灯1の周囲に放射される。
【0074】
また、第3発光素子63からの光は、第3入射部35から第3導光軸部材30に軸方向X1に導光される。この導光された光は、第3放射部36から第3放射部36の周囲に放射される。この放射された光は、第3光散乱部材53で散乱され、カバー54を通して信号表示灯1の周囲に放射される。
以上説明したように、この実施形態によれば、各放射部16,26,36は、導光軸部材10,20,30の側面13,23,33に形成された粗面加工部17,27,37を含む。これにより、導光軸部材10,20,30を導光した光が、放射部16,26,36から導光軸部材10,20,30の周囲に向けて放射でき、この光は高輝度の面状の光として放射できる。また、複数の発光素子61,62,63からの光が、何れも、軸状の部材である導光軸部材10,20,30を介して放射部16,26,36から放射される。これにより、複数の導光軸部材10,20,30から広い範囲に光を放射できる。このように、各導光軸部材10,20,30は、対応する発光素子61,62,63からの光を視認性よく放射できる。これにより、複数の導光軸部材10,20,30を設けた場合でも、それぞれの導光軸部材10,20,30からの光を明確に識別させることができる。
【0075】
したがって、発光素子61,62,63からの光の視認性を高くできる。その上、導光軸部材10,20,30から広範囲に光を放射できるため、放射部16,26,36から放射される光のムラを少なくできるので、発光素子61,62,63からの光を美しく(見栄えよく)見せることができる。しかも、粗面加工部17,27,37は、前述のとおり、導光軸部材10,20,30の側面13,23,33の鏡面部分に粗面加工を施したり、樹脂成型によって形成したりすることができるので、製造工程での加工が容易であり、コスト安価である。
【0076】
また、導光軸部材10,20,30のそれぞれについて、軸方向X1の長い領域から、導光軸部材10,20,30の周囲に向けて光を放射できる。その結果、多数の発光素子を軸方向X1に並べる必要がない。これにより、部品点数および製造コストをより低減できる。さらに、導光軸部材10,20,30に光を入射させる入射部15,25,35は、導光軸部材10,20,30の一端面11,21,31にさえ設けられていればよいので、他端面12,22,32に基板および発光素子を配置する必要がない。これにより部品点数および製造コストをより低減できる。
【0077】
また、複数の発光素子を軸方向X1に並べる必要がないので、基板7を軸方向X1に沿った姿勢(たとえば垂直姿勢)に配置する必要がなく、基板7を軸方向に垂直な姿勢(たとえば水平姿勢)に配置できる。これにより、基板7に接続される電源配線や信号線を軸方向X1に沿って信号表示灯1内に這わす必要がないから、信号表示灯1の構成を簡素化できる。よって、製造コストをより低減できる。
【0078】
また、基板7を軸方向X1に沿う姿勢で支持する場合と比べて、導光軸部材10,20,30の下端付近において、基板7をケース2などで堅固に支持できる。その結果、基板7の支持強度を十分に高くできるので、基板7が振動の影響を受けることを少なくできる。これにより、信号表示灯1の信頼性を向上できる。
このように、導光軸部材10,20,30からの光を明確に識別できるようにすることで、光による信号を、より正確に認識させることができる。
【0079】
また、各導光軸部材10,20,30を一様な断面形状にすることで、光の視認性をより高くできる。さらに、一様な断面の各導光軸部材10,20,30の表面91,92,93の鏡面部分に粗面加工を施したり、樹脂成型によって形成したりすることができるので、製造工程での加工が容易であり、コスト安価である。
また、放射部16,26,36を、対応する側面13,23,33の一部の領域に選択的に配置している。これにより、導光軸部材10,20,30のうち、周囲に光を放射させたい箇所から光を放射できる。その結果、光の視認性をより高くできる。また、導光軸部材10,20,30の側面13,23,33全てに粗面加工を施す必要がない結果、製造コストをより低減できる。
【0080】
さらに、放射部16,26,36を、軸方向X1に関して区画された領域に選択的に配置している。これにより、軸方向X1に関して、各側面13,23,33のうち、周囲に光を放射させたい箇所から光を放射できる。その結果、光の視認性をより高くできる。軸方向X1に関して複数箇所に放射部16,26,36が設けられ、かつ、それぞれの放射部16,26,36からの光を明確に識別できるように構成されている結果、光の視認性をより高くできる。
【0081】
また、導光軸部材10,20,30を直線状に形成するというシンプルな構成であるので、導光軸部材10,20,30の製造コストをより低減できる。しかも、合成樹脂材料を押し出し成形することで、導光軸部材10,20,30を容易に形成できる。また、直線状の部材の側面13,23,33から光を放射させる構成であるので、光をより遠くまで放射できる。これにより、光の視認性をより高くできる。
【0082】
さらに、放射部16,26,36のそれぞれにおいて、凹凸19,29,39の凹部の配置密度が、軸方向X1に沿って入射部15,25,35から遠いほど高くされている。凹凸19,29,39の凹部の配置密度が高いほど、凹凸19,29,39での屈折により導光軸部材10,20,30の周囲に放射される光の量を多くできる。
そして、発光素子61,62,63から遠いことにより発光素子61,62,63からの光量が少なくなる箇所ほど、凹凸19,29,39の凹部の配置密度を高くしている。これにより、軸方向X1に関して、放射部16,26,36から放射される光の強さの分布を、より均一にできる。その結果、発光素子61,62,63からの光の視認性をより向上でき、かつ、この光の見栄えをよりよくできる。しかも、凹凸19,29,39の凹部の配置密度を軸方向X1に沿って変更するという簡易な構成でよいので、製造コストをより低減できる。
【0083】
また、それぞれの発光素子61,62,63からの光は、導光軸部材10,20,30の放射部16,26,36において、均等に、かつ高い光量で放射される。これにより、それぞれ発光素子61,62,63の色を明瞭に識別させることができる。よって、発光色の異なる複数の発光素子61,62,63を設けた場合において、光の視認性をより向上できる。
【0084】
さらに、各放射部16,26,36の位置を軸方向X1に異ならせている。これにより、各導光軸部材10,20,30からの光を、より明確に識別させることができるので、光の視認性をより高くできる。その上、第1および第2突出部14,24に放射部16,26が配置されている。これにより、第1および第2放射部16,26の光を、第2導光軸部材20や第3導光軸部材30によって減衰されることなく、信号表示灯1の周囲に向けて放射できる。その結果、発光素子61,62からの光の視認性をより高くできる。
【0085】
このようにして、各発光素子61,62,63から放射される光を明瞭に識別させることができるので、光の視認性をより高くできる。
さらに、第1および第2側面遮光部材41,42によって、導光軸部材10,20,30の側面13,23,33のうち、放射部16,26,36以外の部分から光が漏れることを抑制できる。これにより、より確実に意図した箇所(放射部16,26,36)のみから光を放射できる。その結果、発光素子61,62,63からの光の視認性をより高くできる。
【0086】
また、第1〜第3端部遮光部材43〜45を設けているので、導光軸部材10,20,30を透過する光を、導光軸部材10,20,30の他端面12,22,32から漏れることを抑制できる。これにより、発光素子61,62,63からの光のうち、放射部16,26,36から放射される光の量をより多くできる。その結果、発光素子61,62,63からの光の視認性をより高くできる。
【0087】
また、第1〜第3光散乱部材51〜53を設けていることにより、放射部16,26,36から放射された光を、より広い範囲に放射できる。これにより、発光素子61,62,63からの光の視認性をより高くできる。
その上、カバー54によって、第1〜第3光散乱部材51〜53を保護することができる。
【0088】
また、基板7が露出しないようにケース2で覆うことができるので、基板7を保護することができる。また、ケース2がカバー54を支持する機能を兼ねていることにより、信号表示灯1をコンパクトにできる。
なお、第1実施形態において、各導光軸部材10,20,30の他側面12,22,32に、放射部16,26,36と同様の放射部を設けてもよい。要は、各導光軸部材10,20,30の表面91,92,93のうち、一端面11,21,31以外の箇所であれば、放射部の配置箇所は限定されない。
(第2実施形態)
図5は、この発明の第2実施形態の信号表示灯1Bを、軸方向X1と平行な切断面で切断した断面図である。信号表示灯1Bが信号表示灯1と異なっているのは、光散乱部材51〜53が省略されている点にある。その他の構成については、信号表示灯1と同様の構成であるので、説明を省略する。
(第3実施形態)
図6は、この発明の第3実施形態の信号表示灯1Cを、軸方向X1と平行な切断面で切断した断面図である。信号表示灯1Cが信号表示灯1と異なっているのは、第2発光素子62、および第2導光軸部材20が省略されている点にある。また、第2光散乱部材52に代えて、第2空間部72に透明部材75が設けられている。その他の構成については、信号表示灯1と同様の構成であるので、説明を省略する。
【0089】
この実施形態では、内側導光軸部材としての第1導光軸部材10の第1放射部16と、外側導光軸部材としての第3導光軸部材30の第3放射部36とは、軸方向X1に離隔して配置されている。軸方向X1に交差する方向(たとえば、軸方向X1と直交する方向)から見たとき、第1放射部16と第3放射部36との間に第2空間部72が形成されている。
【0090】
この実施形態によれば、第1放射部16と第3放射部36とが第2空間部72によって軸方向X1に離隔されている。これにより、これらの放射部16,36からの光が互いに干渉することを抑制できる。その結果、光の視認性を高くすることができる。
(第4実施形態)
図7は、この発明の第4実施形態にかかる信号表示灯1Dの主要部の斜視図である。図8は、図7のVIII−VIII線に沿う断面図であり、信号表示灯1Dを左右方向RLから見た状態を示している。
【0091】
信号表示灯1Dは、第3実施形態の信号表示灯1C(図6参照)を、信号表示灯1Cの中心軸線を含む切断面で平面視半月形状に切断し、その背部に壁を設けた構成に相当する。なお、この実施形態では、第3実施形態と異なる点について説明し、同様の構成には図に同一の符号を付してその説明を省略する。
信号表示灯1Dのケース2Dは、平面視で半月形状の周壁4Dを有し、さらに、矩形板状の後壁76を有している。また、基板7Dは、半月形状に形成されており、周壁4Dに支持されている。
【0092】
第1導光軸部材10Dは、平面視で半月形状をなす直線棒状とされており、後壁76の前方に配置されている。第1導光軸部材10Dは、軸方向X1と直交する断面が、円弧状部分と、当該円弧状部分の両端を結ぶ線分とで区画された半円状に形成されている。これにより、第1導光軸部材10Dの側面13Dは、円弧状部77と、平面部78とを含んでいる。第1放射部16Dは、第1導光軸部材10Dの上端側において、円弧状部77に配置されている。
【0093】
また、第3導光軸部材30Dは、平面視で半円形状をなし、かつ、軸方向X1に真っ直ぐに延びる形状に形成されており、第1導光軸部材10Dを取り囲んでいる。第3導光軸部材30Dの側面33Dは、円弧状部79を含んでいる。第3放射部36Dは、第3導光軸部材30Dの上端側において、円弧状部79に配置されている。
第1導光軸部材10Dおよび第3導光軸部材30Dの各入射部15D,35Dは、対応する一端面11,31を上方に窪ませることにより形成されている。
【0094】
カバー54Dの上壁56Dは、平面視で半月形状に形成されており、後壁76に受けられている。カバー54Dの囲い部57Dは、平面視で半円形形状に形成されており、周方向の両端部が後壁76に接触しており、かつ下部がケース2Dの周壁4Dに受けられている。
第1側面遮光部材41Dは、第1導光軸部材10Dの側面13Dのうち、第1放射部16D以外の領域から光が導光軸部材30Dに漏れることを抑制するために設けられており、この領域の全域を覆っている。第1側面遮光部材41Dは、平面視で半円の円弧状に形成されており、第1導光軸部材10Dと、第3導光軸部材30Dとの間に挟まれている。
【0095】
第1側面遮光部材41Dは、第1導光軸部材10Dの側面13Dに接触している。第1側面遮光部材41Dの下端部は、基板7Dの上面8Dに接触しており、第1発光素子61の周囲を取り囲んでいる。これにより、第1発光素子61からの光が第3入射部35Dに入射されることを抑制している。この第1側面遮光部材41Dの上方に第2端部遮光部材44Dが配置されている。
【0096】
第2端部遮光部材44Dは、円弧状に形成されており、第1放射部16Dの下部において、第1導光軸部材10Dおよび後壁76と、カバー54Dの囲い部57Dとの間を覆っている。第2端部遮光部材44Dの上方に形成された第1空間部71Dに、第1光散乱部材51Dが配置されている。
第3端部遮光部材45Dは、円弧状に形成されており、カバー54Dの囲い部57Dの内周面と、第3導光軸部材30Dの他端面32の径方向内端81との間を覆っている。第2および第3端部遮光部材44D,45D間には、第2空間部72Dが形成されている。第2空間部72Dには、透明部材75Dが配置されている。第3端部遮光部材45Dの下方には、円弧状の第3光散乱部材53Dが配置されている。
【0097】
以上説明したように、この実施形態によれば、放射部16D,36Dを円弧状部分に配置する簡易な構成を採用することにより、製造コストを低減できる。また、放射部16D,36Dを円弧状部77,79に設けているので、放射部16D,36Dから光をより広い角度範囲に放射できる。その結果、各発光素子61,63からの光の視認性をより高くできる。
(第5実施形態)
図9は、この発明の第5実施形態の信号表示灯1Eを、軸方向X1と平行な切断面で切断した断面図である。信号表示灯1Eが信号表示灯1と異なっているのは、第1導光軸部材10Eの他端面12に第1放射部15が配置されている点にある。端部遮光部材43は、省略されている。
【0098】
また、各導光軸部材10E,20E,30Eの一端面11,21,31の第1入射部15E,25E,35Eは、上方に向けて窪んだ形状に形成されている。これにより、各発光素子61,62,63からの光を、より多く一端面11,21,31に入射することができる。この実施形態において、他の構成は、第1実施形態と同様であるので、図に同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
(第6実施形態)
図10(a)は、この発明の第6実施形態の信号表示灯1Fの斜視図であり、図10(b)は信号表示灯1Fのケース2Fの周辺の分解斜視図である。図11は、信号表示灯1Fの断面図であり、信号表示灯1Fを正面からみたときの切断面を示している。
【0099】
図10(a)および図11に示すように、信号表示灯1Fは、全体として半円柱状に形成されている。信号表示灯1Fは、複数の色(たとえば、5色)の光を放射可能である。
信号表示灯1Fは、ケース2Fと、基板ユニット5Fと、複数の導光軸部材としての第1〜第5導光軸部材110,120,130,140,150と、複数の光散乱部材としての第1〜第5光散乱部材161,162,163,164,165と、上蓋166と、ホルダ167と、を含んでいる。
【0100】
図10(b)に示すように、ケース2Fは、基板ユニット5Fを収容するために設けられている。ケース2Fは、合成樹脂製の一体成形品である。ケース2Fは、非透明な色(たとえば、黒色)に形成されている。ケース2Fは、半月板状の底壁3Fと、底壁3Fの外周部から上方に延びる円筒状の周壁4Fと、を含んでいる。
底壁3Fと周壁4Fによって、基板ユニット5Fを収容する収容空間6Fが形成されている。
【0101】
基板ユニット5Fは、基板7Fと、基板7Fの上面8Fに実装された複数の発光素子としての第1〜第5発光素子171,172,173,174,175と、を含んでいる。基板7Fは、左右方向RLに延びる横長の矩形板状に形成されており、底壁3Fから上方に延びる複数の支柱176に固定されている。基板7Fは、底壁3Fと平行に配置されており、水平方向に延びている。基板7Fには、図示しない電源線や信号線が接続されている。
【0102】
第1〜第5発光素子171〜175は、たとえば、LEDである。第1〜第5発光素子171〜175は、それぞれ、1つ設けられている。第1〜第5発光素子171〜175のそれぞれの発光色は、異なっている。
各発光素子171〜175は、基板7Fの上面8Fに配置されており、上方に向けて光を放射するように構成されている。
【0103】
第1〜第5発光素子171〜175は、それぞれ、第1〜第5導光軸部材110,120,130,140,150に対応して設けられている。
導光軸部材110,120,130,140,150は、それぞれ、直線状に形成された円柱部材であり、等しい全長を有している。導光軸部材110,120,130,140,150は、信号表示灯1Fの左右方向RLに所定の間隔を隔てて横並びに配置されており、互いに平行である。
【0104】
各導光軸部材110,120,130,140,150は、対応する発光素子171〜175からの光を信号表示灯1Fの周囲(各導光軸部材110,120,130,140,150の側方)に放射するために設けられている。各導光軸部材110,120,130,140,150は、基板7Fの上方に配置されている。各導光軸部材110,120,130,140,150は、第1導光軸部材10(図2参照)と同様の構成を有している。したがって、以下では、各導光軸部材110,120,130,140,150について、第1導光軸部材10と異なる構成について説明し、同様の構成についての説明を省略する。
【0105】
各導光軸部材110,120,130,140,150の一端面111,121,131,141,151の入射部115,125,135,145,155は、それぞれ、第1〜第5発光素子171,172,173,174,175に光結合されている。
図11を参照して、第1〜第5導光軸部材110,120,130,140,150は、それぞれ、第1〜第5放射部116,126,136,146,156を有している。各導光軸部材110,120,130,140,150において、軸方向X1に関する第1〜第5放射部116,126,136,146,156の長さは、それぞれ、導光軸部材110の全長の1/5とされており、軸方向X1に関して区画された領域に選択的に配置されている。各放射部116,126,136,146,156において、凹凸の配置密度は、軸方向X1に沿って対応する入射部115,125,135,145,155から遠いほど高い。
【0106】
各放射部116,126,136,146,156は、軸方向X1の位置を互いに異ならされている。具体的には、軸方向X1に沿って、基板7F側から順に第3放射部136,第4放射部146、第2放射部126、第5放射部156および第1放射部116が配置されている。そして、第1放射部116の下端における凹凸の凹部の配置密度は、第5放射部156の上端における凹凸の凹部の配置密度よりも高い。また、第5放射部156の下端における凹凸の凹部の配置密度は、第2放射部126の上端における凹凸の凹部の配置密度よりも高い。また、第2放射部126の下端における凹凸の凹部の配置密度は、第4放射部146の上端における凹凸の凹部の配置密度よりも高い。また、第4放射部146の下端における凹凸の凹部の配置密度は、第3放射部136の上端における凹凸の凹部の配置密度よりも高い。
【0107】
図10(a)および図11を参照して、図示していないけれども、各導光軸部材110,120,130,140,150の側面(外周面)には、それぞれ、円筒状の側面遮光部材が巻かれている。各側面遮光部材は、対応する導光軸部材110,120,130,140,150の側面(外周面)のうち、放射部116,126,136,146,156以外の領域から光が別の導光軸部材に漏れることを抑制するために設けられており、上記領域の全域を覆っている。
【0108】
第1〜第5光散乱部材161,162,163,164,165は、それぞれ、第1光散乱部材51(図2参照)と同様の材料で形成されており、平面視で半月形状とされている。光散乱部材161〜165は、軸方向X1に沿って積み上げられている。第1光散乱部材161は、ケース2F上に配置されている。各光散乱部材161〜165は、それぞれ、導光軸部材110,120,130,140,150が挿通される複数の挿通孔177を有している。また、軸方向X1に関して、光散乱部材161〜165の長さは、それぞれ、各放射部116,126,136,146,156の長さと同じである。
【0109】
上蓋166は、非透明な色(たとえば、黒色)に形成されており、遮光性を有している。上蓋166は、各光散乱部材161〜165と同様な形状(半月形状)に形成されており、第5光散乱部材165の上面に固定されている。これにより、上蓋166は、各導光軸部材110,120,130,140,150の他端面112,122,132,142,152を覆っている。
【0110】
ホルダ167は、各導光軸部材110,120,130,140,150を保持するために設けられている。ホルダ167は、下部材178および上部材179を含んでいる。
図10(b)を参照して、下部材178は、信号表示灯1Fの左右方向RLに延びている。下部材178には、導光軸部材110,120,130,140,150の数に対応する数の第1挿通孔181が形成されている。各第1挿通孔181は、対応する発光素子171〜175の光を通過させるために設けられている。各第1挿通孔181の周縁部は、対応する導光軸部材110,120,130,140,150の一端面111,121,131,141,151の外周部を受けている。下部材178の左右両端部には、下方に延びる第1爪部182が設けられている。各第1爪部182は、基板7Fに形成された第1係合孔183に係合している。これにより、下部材178は、各導光軸部材110,120,130,140,150の自重を受けつつ、基板7Fに支持されている。
【0111】
上部材179は、信号表示灯1Fの左右方向RLに延びている。上部材179には、導光軸部材110,120,130,140,150の数に対応する数の第2挿通孔184が形成されている。各第2挿通孔184は、対応する導光軸部材110,120,130,140,150に挿通されており、これらの導光軸部材110,120,130,140,150を取り囲んでいる。上部材179の左右両端部には、下方に延びる第2爪部185が設けられている。各第2爪部185は、基板7Fに形成された第2係合孔186に係合している。
【0112】
上記の構成により、発光素子171〜175からの光は、それぞれ、入射部115,125,135,145,155から導光軸部材110,120,130,140,150内を透過し、各放射部116,126,136,146,156から、信号表示灯1Fの周囲に放射される。
以上説明したように、この実施形態によれば、複数の導光軸部材110,120,130,140,150を平行に並べていることで、放射部116,126,136,146,156から信号表示灯1Fの周囲に放射される光の強さをより均等にできる。これにより、各導光軸部材110,120,130,140,150の光の視認性を高くできる。
【0113】
また、放射部116,126,136,146,156の位置を軸方向X1に異ならせているので、各導光軸部材110,120,130,140,150からの光を、その発光場所によって識別し易くでき、その結果、光の視認性を高くできる。
さらに、各発光素子171〜175の発光色を異ならせていることにより、各導光軸部材110,120,130,140,150からの光を、その発光色によって識別することができるから、光の視認性を高めることができる。
【0114】
また、各導光軸部材110,120,130,140,150をホルダ167で一括して保持できる。このため、導光軸部材110,120,130,140,150を別々に保持する構成と比べて、ホルダ167の部品点数を少なくできる。その結果、製造コストをより低減できる。また、各導光軸部材110,120,130,140,150を、ホルダ167によって安定して保持できるので、導光軸部材110,120,130,140,150が振動の影響を受けることを抑制できる。その結果、振動に起因する不具合の抑制を通じて信号表示灯1Fの信頼性を向上できる。
【0115】
さらに、軸方向X1に関して、発光素子171〜175から遠いほど、放射部116,126,136,146,156の凹凸の配置密度を高くしている。これにより、導光軸部材110,120,130,140,150間で周囲に放射される光の強さをより均一にできる。
たとえば、各放射部における凹凸の凹部の配置密度を同一にした場合、図12(a)の比較例に示すように、導光軸部材110’,120’,130’,140’,150’では、放射部が上方にあるほど、周囲にむけて放射される光の量が少なく、導光軸部材110’,120’,130’,140’,150’間で放射される光の明るさにばらつきが生じてしまう。
【0116】
これに対し、この実施形態によれば、軸方向X1に関して、発光素子171〜175から遠いほど、放射部116,126,136,146,156の凹凸の凹部の配置密度を高くしている。これにより、図12(b)に示すように、導光軸部材110,120,130,140,150では、各放射部から放射される光の量を均等にできるので、導光軸部材110,120,130,140,150から放射される光の明るさのばらつきを抑制できる。
【0117】
なお、この実施形態において、導光軸部材110,120,130,140,150の側面のうち、放射部116,126,136,146,156以外の部分を遮光部材で覆ってもよい。また、光散乱部材161〜165に代えて、透明部材を設けてもよい。
(第7実施形態)
図13は、この発明の第7実施形態にかかる信号表示灯1Gの主要部の斜視図である。信号表示灯1Gは、導光軸部材110G,120G,130G,140G,150Gを有している。導光軸部材110G,120G,130G,140G,150Gでは、対応する放射部116,126,136,146,156よりも上方の部分が省略されている。その他の構成については、第6実施形態の信号表示灯1Fと同様であるので、説明を省略する。
(第8実施形態)
図14は、この発明の第8実施形態の信号表示灯1Hを、軸方向X1と平行な切断面で切断した断面図である。信号表示灯1Hが信号表示灯1(図2参照)と異なっているのは、導光軸部材10H,20H,30Hのそれぞれにおいて、放射部16H,26H,36Hが形成されている部分を先細り形状としている点にある。
【0118】
導光軸部材10Hのうち、放射部16Hが形成されている先端部分は、先端側に進むに従い、直径(外径)が小さくされている。放射部16Hにおける凹凸の凹部の配置密度は、導光軸部材10Hの先端側に進むに従い、高くされている。
導光軸部材20Hのうち、放射部26Hが形成されている先端部分は、先端側に進むに従い、直径(外径)が小さくされている。放射部26Hにおける凹凸の凹部の配置密度は、導光軸部材20Hの先端側に進むに従い、高くされている。
【0119】
導光軸部材30Hのうち、放射部36Hが形成されている先端部分は、先端側に進むに従い、直径(外径)が小さくされている。放射部36Hにおける凹凸の凹部の配置密度は、導光軸部材30Hの先端側に進むに従い、高くされている。
この実施形態によれば、各導光軸部材10H,20H,30Hのうち、放射部16H,26H,36Hが形成されている部分を先細り形状としている。これにより、発光素子61,62,63から遠い箇所ほど、光の通路を狭くし、光が集中するようにしている。その結果、軸方向X1に関する各放射部16H,26H,36Hの光の強さの分布をより均一にできる。
(第9実施形態)
図15は、この発明の第9実施形態の信号表示灯1Jの一部を、軸方向X1と平行な切断面で切断した部分断面図である。第9実施形態は、第1実施形態の信号表示灯1と異なる構成を説明し、同様の構成には図に同一の符号を付して説明を省略する。
【0120】
信号表示灯1Jが信号表示灯1と異なっているのは、各導光軸部材10J,20J,30Jのそれぞれにおいて、放射部16J,26J,36Jが凹部169J,269J,39Jを用いて構成されている点にある。
第1導光軸部材10Jの側面13Jに形成された第1放射部16Jは、複数の第1凹部169Jを含んでいる。第1放射部16Jは、第1突出部14に配置されている。なお、第1放射部16Jは、第2導光軸部材20Jに取り囲まれている箇所にも配置されていてよい。
【0121】
図16は、第1放射部16Jの拡大図である。第1放射部16Jの第1凹部169Jは、側面13Jに形成された、無端の円環状の溝であり、軸方向X1と直交する方向(この実施形態では、水平方向)を向いて開口している。この実施形態において、第1凹部169Jは、断面V字状に形成されており、一対の傾斜面46,47を有している。
傾斜面46,47は、側面視において、軸方向X1と直交する方向に延びる直交線L1に対して傾斜した平坦な面である。また、傾斜面46,47は、軸方向X1に対称な形状に形成されている。この実施形態において、傾斜面46,47のなす角度θは、約60度である。また、第1凹部169Jの深さL2は、約0.5mmである。第1凹部169Jは、たとえば、側面全体が単一の円筒面からなる第1導光軸部材の透明な製造用中間体に切削加工を施すことにより形成される。第1凹部169Jは、樹脂成型の際の金型のキャビティ面に突起を設けておくことにより、樹脂成型の際に形成されてもよい。
【0122】
図15を参照して、第2導光軸部材20Jの側面23Jに形成された第2放射部26Jは、複数の第2凹部269Jを含んでいる。第2放射部26Jは、第2突出部24に配置されている。第2放射部26Jの構成は、第1放射部16Jの構成と同様である。
第3導光軸部材30Jの側面33Jに形成された第3放射部36Jは、複数の第3凹部369Jを含んでいる。第3放射部36Jは、第3突出部34に配置されている。第3放射部36Jの構成は、第1放射部16Jの構成と同様である。
【0123】
第1〜第3放射部16J,26J,36Jは、それぞれ、側面13J,23J,33Jの一部の領域に選択的に配置されている。第1〜第3導光軸部材10J,20J,30Jのそれぞれにおいて、第1〜第3凹部169J,269J,369Jの配置密度は、軸方向X1に沿って入射部15,25,35から遠いほど高くされている。
なお、第1放射部16Jの第1凹部169Jの配置密度は、軸方向X1に沿った第1凹部169Jの底の配置間隔P1の逆数によって表される。同様に、第2凹部269Jの配置密度は、第2凹部269Jの底の配置間隔P2の逆数によって表され、第3凹部369Jの配置密度は、第3凹部369Jの底の配置間隔P3の逆数によって表される。
【0124】
第1放射部16Jの第1凹部169J配置間隔P1は、軸方向X1に沿って第1入射部15から遠ざかるにしたがい連続的に小さくなってもよいし、段階的に小さくなってもよい。この実施形態では、第1放射部16Jの第1凹部169Jの配置間隔P1は、段階的に小さくされており、配置間隔P11,P12(P11>P12)を有している。すなわち、第1凹部169Jの配置密度が段階的に高くなっている。
【0125】
第2放射部26Jの第2凹部269Jの配置密度(配置間隔P2)は、第1凹部169Jの配置密度と同様である。この実施形態では、第2放射部26Jの第2凹部269Jの配置間隔P2は、段階的に小さくされており、配置間隔P21,P22(P21>P22)を有している。
第3放射部36Jの第3凹部369Jの配置密度(配置間隔P3)は、第1凹部169Jの配置密度と同様である。この実施形態では、第3放射部36Jの第3凹部369Jの配置間隔P3は、段階的に小さくされており、配置間隔P31,P32(P31>P32)を有している。
【0126】
また、第1凹部169Jの配置密度は、第2凹部269Jの配置密度よりも高くされている。また、第2凹部269Jの配置密度は、第3凹部369Jの配置密度よりも高くされている。より具体的には、P1<P2<P3となっており、第1凹部169Jの配置間隔が短い。
上記の構成により、各発光素子61〜63からの光は、それぞれ、対応する入射部15,25,35を通って対応する導光軸部材10J,20J,30Jに入射し、さらに、対応する放射部16J,26J,36Jから発光装置1Jの側方に放射される。
【0127】
以上説明したように、この実施形態によれば、溝状の凹部169J,269J,369Jを設け、さらに、凹部169J,269J,369Jの配置密度を、入射部15,25,35から遠いほど高くしている。これにより、各放射部16J,26J,36Jから放射される光の強さを略均一にできる。
(第10実施形態)
図17は、この発明の第10実施形態の信号表示灯1Kの一部を、軸方向X1と平行な切断面で切断した部分断面図である。信号表示灯1Kが第4実施形態の信号表示灯1D(図7参照)と異なっているのは、凹部としての溝を用いて形成された第1放射部16Kおよび第3放射部36Kが設けられている点にある。その他の構成については、信号表示灯1Dと同様の構成であるので、説明を省略する。
【0128】
第1および第3放射部16K,36Kの複数の凹部169K,369Kは、それぞれ、平面視において半円に形成されている。これらの凹部放射部169K,369Kは、溝状に形成されている。第1および第3凹部169K,369Kのその他の構成は、第9実施形態の第1および第3凹部169J,369J(図15参照)と同様であるので、説明を省略する。
(第11実施形態)
図18は、この発明の第11実施形態の信号表示灯1Lの一部を、軸方向X1と平行な切断面で切断した部分断面図である。この実施形態では、第6実施形態の信号表示灯1F(図11参照)と異なる点について説明し、同様の構成には図に同一の符号を付して説明を省略する。
【0129】
信号表示灯1Lの第1〜第5導光軸部材110L,120L,130L,140L,150Lは、それぞれ、放射部116L,126L,136L,146L,156Lを有している。放射部116L,126L,136L,146L,156Lは、それぞれ、溝状の凹部118L,128L,138L,148L,158Lを有している。
凹部118L,128L,138L,148L,158Lは、それぞれ、対応する導光軸部材110L,120L,130L,140L,150Lに複数設けられている。
【0130】
放射部116Lは、第1導光軸部材116Lのうち、光散乱部材165に取り囲まれた領域に配置されている。放射部116Lの凹部118Lは、第9実施形態の放射部16Jの凹部169J(図15参照)と同様の構成を有している。すなわち、凹部118Lは、断面V字状に形成された、無端の円環状の溝であり、一対の傾斜面46,47を有している。
【0131】
放射部126L,136L,146L,156Lは、それぞれ、第3光散乱部材163、第1光散乱部材161、第2光散乱部材162および第4光散乱部材164に取り囲まれている。
放射部126L,136L,146L,156Lの凹部128L,138L,148L,158Lは、放射部116Lの凹部118Lと同様の構成を有しているので、詳細な説明は省略する。
【0132】
第1〜第5凹部118L,128L,138L,148L,158Lの配置密度は、それぞれ、軸方向X1に沿って入射部115,125,135,145,155から遠いほど高くされている。
図19(a)〜図19(e)は、図18の第1〜第5放射部116L〜156Lの拡大図である。
【0133】
各凹部118L,128L,138L,148L,158Lの配置密度は、軸方向X1に沿った配置間隔P1,P2,P3,P4,P5の逆数によって表される。
第1凹部118Lの配置間隔P1は、軸方向X1に沿って第1入射部115から遠ざかるにしたがい連続的に小さくなってもよいし、段階的に小さくなってもよい。
同様に、第2〜第5凹部128L,138L,148L,158Lの配置間隔P2,P3,P4,P5は、軸方向X1に沿って対応する入射部125,135,145,155から遠ざかるにしたがい連続的に小さくなってもよいし、段階的に小さくなってもよい。本実施形態では、配置間隔P1〜P5は、それぞれ、段階的に小さくなっており、配置間隔P11,P12,P21,P22,P31,P32,P41,P42,P51,P52を含む。
【0134】
図18および図19を参照して、第1凹部118Lの配置密度は、第5凹部158Lの配置密度よりも高くされている。また、第5凹部158Lの配置密度は、第2凹部128の配置密度よりも高くされている。また、第2凹部128Lの配置密度は、第4凹部148Lの配置密度よりも高くされている。また、第4凹部148Lの配置密度は、第3凹部138Lの配置密度よりも高くされている。より具体的には、P1<P5<P2<P4<P3とされており、第1凹部118Lの配置間隔P12が最も短くされている。
【0135】
以上説明したように、この実施形態によれば、溝状の凹部118L,128L,138L,148L,158Lを設け、さらに、凹部118L,128L,138L,148L,158Lの配置密度を、入射部115,125,135,145,155から遠いほど高くしている。これにより、各放射部116L,126L,136L,146L,156Lから放射される光の強さを略均一にできる。
(第12実施形態)
図20は、この発明の第12実施形態にかかる信号表示灯1Mの主要部の斜視図である。信号表示灯1Mは、導光軸部材110M,120M,130M,140M,150Mを有している。導光軸部材110M,120M,130M,140M,150Mでは、対応する放射部116M,126M,136M,146M,156Mよりも上方の部分が省略されている。その他の構成については、第11実施形態の信号表示灯1L(図18参照)と同様であるので、説明を省略する。
(第13実施形態)
図21は、この発明の第13実施形態にかかる信号表示灯1Nの一部を軸方向と平行な断面で切断した部分断面図である。信号表示灯1Nが図15に示す第9実施形態の信号表示灯1Jと異なっているのは、各導光軸部材10N,20N,30Nの他端側の一部が先細り形状(テーパ形状)となっている点にある。
【0136】
導光軸部材10Nの第1突出部14は、他端面12側に進むに従い、直径が小さくされている。この直径が小さくされた部分が第1テーパ状部91を形成している。放射部16Nは、第1テーパ状部91に形成されている。
導光軸部材20Nの第2突出部24は、他端面22側に進むに従い、直径が小さくされている。この直径が小さくされた部分が第2テーパ状部92を形成している。放射部26Nは、第2テーパ状部92に形成されている。
【0137】
導光軸部材30Nの第3突出部34は、他端面32側に進むに従い、直径が小さくされている。この直径が小さくされた部分が第3テーパ状部93を形成している。放射部36Nは、第3テーパ状部93に形成されている。
この実施形態によれば、軸方向X1に関して、各導光軸部材10N,20N,30Nから放射される光の分布を、より均一にできる。
(第14実施形態)
図22は、この発明の第14実施形態の信号表示灯1Pの一部を、軸方向X1と平行な切断面で切断した部分断面図である。信号表示灯1Pが第10実施形態の信号表示灯1K(図17参照)と異なっているのは、第1放射部16Pおよび第3放射部36Pが設けられている箇所において、対応する導光軸部材10P,30Pの一部が先細り形状とされている点にある。その他の構成については、信号表示灯1Kと同様の構成であるので、説明を省略する。
(第15実施形態)
図23は、この発明の第15実施形態の信号表示灯1Qの主要部の斜視図である。信号表示灯1Qは、導光軸部材110Q,120Q,130Q,140Q,150Qを有している。導光軸部材110Q,120Q,130Q,140Q,150Qでは、放射部116Q,126Q,136Q,146Q,156Qが設けられている箇所が先細り形状とされている。その他の構成については、第12実施形態の信号表示灯1M(図20参照)と同様であるので、説明を省略する。
(第16実施形態)
図24は、この発明の第16実施形態の信号表示灯1Rの正面図であり、一部を破断して示している。信号表示灯1Rは、導光軸部材110R,120R,130R,140R,150Rを有している。この実施形態では、図11に示す第6実施形態と異なる点について説明し、同様の構成には図に同一の符号を付して説明を省略する。
【0138】
図25は、導光軸部材110Rの正面図である。導光軸部材110Rの放射部116Rは、複数の凹部118Rを有している。凹部118Rは、一端面111の近傍から他端面112の近傍にかけて、多数配置されている。凹部118Rは、第9実施形態の第1放射部16Jの凹部169J(図15参照)と同様の構成を有している。すなわち、凹部118Rは、断面V字状の無端状に形成されており、一対の傾斜面46,47を有している。凹部118Rの配置密度は、軸方向X1に沿って一端面111側から他端面112側に進むに従い、段階的に高くされている。
【0139】
具体的には、凹部118Rのうち、最も一端面111に近い2つの凹部118R間の配置間隔P1が、P11とされている。その次の2つの配置間隔P12は、P11よりも小さい。さらに、その次の2つの配置間隔P13は、P12よりも小さい。そして、その次の4つの配置間隔P14は、P13よりも小さい。また、配置間隔P14よりも小さい配置間隔P15,P16で複数の凹部118Rが配置されている。
【0140】
図24を参照して、導光軸部材120R,130R,140R,150Rは、それぞれ、放射部126R,136R,146R,156Rを有している。各導光軸部材120R,130R,140R,150Rは、第1導光軸部材110Rと同様の構成を有しているので、詳細な説明は省略する。
この実施形態によれば、各導光軸部材110R,120R,130R,140R,150Rのそれぞれにおいて、対応する発光素子171〜175からの光を、軸方向X1に関してより均等な強さで発光装置1Rの周囲に放射できる。
(第17実施形態)
図26は、この発明の第17実施形態の信号表示灯1Sの正面図であり、一部を破断して示している。信号表示灯1Sは、導光軸部材110S,120S,130S,140S,150Sを含んでいる。この実施形態では、図24に示す第16実施形態の信号表示灯1Rと異なる点について説明し、同様の構成には図に同一の符号を付して説明を省略する。
【0141】
第1放射部116Sの先端側(端面112側)は、先細りのテーパ状に形成されている。第1導光軸部材110Sのうち、テーパ状の部分には、第1導光軸部材110Sにおいて最も短い配置間隔(最も高い配置密度)で凹部118Sが配置されている。
導光軸部材120S,130S,140S,150Sは、それぞれ、放射部126S,136S,146S,156Sを有している。各導光軸部材120S,130S,140S,150Sは、第1導光軸部材110Sと同様の構成を有しているので、詳細な説明は省略する。
【0142】
この実施形態によれば、各導光軸部材110S,120S,130S,140S,150Sのそれぞれにおいて、対応する発光素子171〜175からの光を、軸方向X1に関して、より均等な強さで発光装置1Sの周囲に放射できる。
この発明は、以上の実施形態の内容に限定されるものではなく、請求項記載の範囲内において種々の変更が可能である。
【0143】
各上記実施形態において、放射部は、一つの連続した領域であってもよいし、離散的に配置(たとえば軸方向X1に間隔を開けて離散配置)された複数の領域を含んでいてもよい。換言すれば、離散配置された複数の放射部が導光軸部材の側面に配置されていてもよい。
また、1つの導光軸部材において、放射部の粗面加工部が軸方向X1に間隔を開けて複数個設けられる場合に、各放射部の粗面加工部における凹凸の凹部の配置密度が互いに異なっていて、入射部から放射部までの軸方向X1に沿う距離が長いほど、凹凸の凹部の配置密度が高くされていてもよい。たとえば、このような凹凸の凹部の配置密度は、複数の放射部から放射される光量がほぼ均一になるように設定されていることが好ましい。
【0144】
また、放射部が軸方向に延びている場合において、放射部を構成する粗面加工部の各部における凹凸の凹部の配置密度が、入射部からの距離が長いほど大きくなっていることが好ましい。これにより、軸方向に延びた放射部の各部からほぼ均一の光量を放射させることができる。換言すれば、軸方向に延びた放射部を構成する粗面加工部の各部の凹凸の凹部の配置密度が、軸方向に関する各位置で異なっていて、各部から放射される光量がほぼ均一になるように設定されていることが好ましい。
【0145】
また、複数色の発光素子が一つの導光軸部材に光結合されていてもよい。この場合、各発光素子の単色光のほか、複数色の発光素子の混合色の光を放射部から放射させることができる。
また、凹部が溝部である放射部において、溝部は、軸方向X1と直交する方向に延びる構成に限らず、軸方向X1に対して傾斜した斜め方向に延びていてもよい。この場合において、各溝の傾斜角度は、均一でもよいし、少なくとも1つの溝が他の溝と異なっていてもよい。また、導光軸部材の側面を側面視で円形に窪ませることで放射部の凹部を形成してもよい。
【0146】
各上記実施形態において、遮光部材の表面に、光を反射する光反射部を設けてもよい。また、カバーを省略してもよい。また、導光軸部材は、直線状形状に限らず、湾曲部分を含んでいてもよい。
【符号の説明】
【0147】
1,1B,1C,1D,1E,1F,1G,1H,1J,1K,1L,1M,1N,1P,1Q,1R,1S 信号表示灯(発光装置)
7,7D,7F 基板
10,10D,10E,10J,10N,20,20J,20N,30,30D,30J,30N, 導光軸部材
11,21,31 (導光軸部材の)一端面
12,22,32 (導光軸部材の)他端面
13,23,33 (導光軸部材の)側面
14,24 突出部
15,15D,15E,25,35,35D 入射部
16,16D,16H,16J,16K,16N,16P,26,26H,26J,26N,36,36D,36H,36J,36K,36N,36P 放射部
41,41D,42 側面遮光部材(遮光部材)
43,44,44D,45,45D 端部遮光部材(遮光部材)
51,51E,52,53,53D 光散乱部材
61〜63 発光素子
91,92,93 (導光軸部材の)表面
110,120,130,140,150 導光軸部材
110G,120G,130G,140G,150G 導光軸部材
110L,120L,130L,140L,150L 導光軸部材
110M,120M,130M,140M,150M 導光軸部材
110Q,120Q,130Q,140Q,150Q 導光軸部材
110R,120R,130R,140R,150R 導光軸部材
110S,120S,130S,140S,150S 導光軸部材
111,121,131,141,151 (導光軸部材の)一端面
112,122,132,142,152 (導光軸部材の)他端面
115,125,135,145,155 入射部
116,126,136,146,156 放射部
116L,126L,136L,146L,156L 放射部
116M,126M,136M,146M,156M 放射部
116Q,126Q,136Q,146Q,156Q 放射部
116R,126R,136R,146R,156R 放射部
116S,126S,136S,146S,156S 放射部
118L,128L,138L,148L,158L 凹部
118R 凹部
118S 凹部
161〜165 光散乱部材
169J,269J,369J 凹部
169K,369K 凹部
171〜175 発光素子
X1 軸方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板に実装された複数個の発光素子と、
前記複数個の発光素子にそれぞれ光結合された複数個の導光軸部材とを含み、
各導光軸部材は、対応する前記発光素子に光結合された入射部を一端面に有し、前記一端面以外の表面に放射部を有し、前記入射部からの入射光を軸方向に導光して、その導光された光を前記放射部から周囲に放射するように構成されている、発光装置。
【請求項2】
前記放射部が、前記一端面以外の表面の一部の領域に選択的に配置されている、請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記放射部が凹部を含み、この凹部の配置密度が、前記軸方向に沿って前記入射部から遠いほど高くされている、請求項1または2に記載の発光装置。
【請求項4】
前記複数個の導光軸部材が、外側導光軸部材と、この外側導光軸部材に前記軸方向に関する一部の領域が取り囲まれた内側導光軸部材とを含み、
前記内側導光軸部材が、前記外側導光軸部材から前記軸方向に突出した突出部を含み、この突出部に前記内側導光軸部材の前記放射部が配置されている、請求項1〜3のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項5】
前記複数個の発光素子が、前記内側導光軸部材に光結合された内側発光素子と、前記外側導光軸部材に光結合された外側発光素子とを含む、請求項4に記載の発光装置。
【請求項6】
前記複数個の導光軸部材が、前記軸方向を互いに平行にして配置されている、請求項1〜5のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項7】
前記複数の導光軸部材のそれぞれの放射部が、前記軸方向の位置を互いに異ならせて配置されている、請求項1〜6のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項8】
前記一端面以外の表面は、前記一端面と他端面との間の側面を含み、
前記放射部は、前記側面に配置されており、
前記側面のうち、前記放射部以外の領域を覆う遮光部材をさらに含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項9】
前記導光軸部材の他端面を覆う遮光部材をさらに含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項10】
前記放射部を覆い、前記放射部から放射された光を散乱させる光散乱部材をさらに含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載の発光装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2012−212525(P2012−212525A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−76560(P2011−76560)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(312001937)株式会社パトライト (15)
【Fターム(参考)】