説明

発光駆動装置、照明装置、表示装置

【課題】温度変化や経時変化に依ることなく良好な色再現性を維持することが可能な発光駆動装置、並びに、これを用いた照明装置及び表示装置を提供する。
【解決手段】発光駆動装置100は、複数の光源200R、200G、200Bを順次時分割で発光駆動させるものであり、一の光源の発光量を設定するための発光量制御パラメータPWM(k+1)は、同光源の前回発光時に検出された発光量の実際値DET(k)、発光量の実際値DET(k)と対比される所定の設定値REF(k+1)、及び、同光源の前回発光時に設定されていた発光量制御パラメータPWM(k)に基づいて算出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の光源を順次時分割で発光駆動させる発光駆動装置、並びに、これを用いた照明装置及び表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、液晶ディスプレイの色再現性を向上させるため、バックライトの光源として異なる発光色(赤(R)、緑(G)、青(B)など)で発光する複数の光源を用い、その混色により白色を作る方法がある(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
図8は、表示装置の一従来例を示すブロック図であり、特許文献1に開示されたものと同様である。本従来例の表示装置では、温度変化や経時変化があっても、製品出荷時及びユーザ調整時に設定されたホワイトバランスが常に保たれるように、複数の光源の発光量を検出して、予め設定された発光量に保つようにフィードバック制御が行われていた。
【0004】
また、従来より、異なる発光色(赤(R)、緑(G)、青(B)など)で発光する複数の光源を順次時分割で発光させて、液晶表示素子に照射する方法も開示されている(例えば、特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−295689号公報
【特許文献2】特開2001−235729号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
確かに、特許文献1の従来技術であれば、周囲の温度環境の変化に依らず、良好な色再現性を維持する液晶表示装置を提供することが可能となる。
【0007】
しかしながら、特許文献1の従来技術では、複数の光源を同時に発光させて白色光が生成されていたので、各光源毎の発光量を検出するために、それぞれの発光色に対応したカラーセンサが必要である上、フィードバック制御に必要となる演算回路についても各光源毎に設けなければならず、装置の規模増大やコストアップが招かれていた。
【0008】
なお、特許文献2の従来技術では、複数の光源を順次時分割で発光させて白色光を生成する技術が開示されており、特に、低温での液晶動作が遅くなることに対して、光源の発光時間を周囲温度に対して制御する方法が開示されているが、光源自体の温度変化や経時変化に対するホワイトバランスの調整方法については、何ら開示されていなかった。
【0009】
本発明は、上記の問題点に鑑み、装置の規模増大やコストアップを抑えながら、温度変化や経時変化に依ることなく良好な色再現性を維持することが可能な発光駆動装置、並びに、これを用いた照明装置及び表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明に係る発光駆動装置は、複数の光源を順次時分割で発光駆動させる発光駆動装置であって、一の光源の発光量を設定するための発光量制御パラメータは、同光源の前回発光時に検出された発光量の実際値、前記発光量の実際値と対比される所定の設定値、及び、同光源の前回発光時に設定されていた前記発光量制御パラメータに基づいて算出される構成(第1の構成)とされている。
【0011】
なお、上記第1の構成から成る発光駆動装置において、一の光源の発光量は、次の光源の発光開始までに検出完了される構成(第2の構成)にするとよい。
【0012】
また、上記第1または第2の構成から成る発光駆動装置において、前記発光量制御パラメータは、各光源毎に流れる駆動電流の電流値及びPWM制御値の少なくとも一方である構成(第3の構成)にするとよい。
【0013】
また、上記第1〜第3いずれかの構成から成る発光駆動装置は、各光源毎に、各々の前回発光時に光センサで検出された発光量の実際値を一時格納する第1レジスタと;前記所定の設定値を出力する発光量設定回路と;各光源毎に、各々の前回発光時に設定されていた前記発光量制御パラメータを一時格納する第2レジスタと;前記第1レジスタ、前記発光量設定回路、及び、前記第2レジスタの出力に基づいて、各光源毎の前記発光量制御パラメータを算出する演算回路と;前記演算回路で算出された各光源毎の前記発光量制御パラメータに基づいて、前記複数の光源を順次時分割で発光駆動させる複数の駆動回路と;を有する構成(第4の構成)にするとよい。
【0014】
また、上記第4の構成から成る発光駆動装置において、前記演算回路は、前記所定の設定値を前記発光量の実際値で除算することにより、補正係数値を算出する補正係数算出部と;前回発光時に設定されていた前記発光量制御パラメータに前記補正係数値を乗算することにより、新たな前記発光量制御パラメータを算出する乗算部と;を有する構成(第5の構成)にするとよい。
【0015】
また、上記第4または第5の構成から成る発光駆動装置は、全光源の消灯時に前記光センサで得られた暗電流値を一時格納する第3レジスタと;前記発光量の実際値から前記暗電流値を減ずる減算部と;を有し、前記演算回路は、各光源毎の前記発光量制御パラメータを算出する際、前記第1レジスタの出力に代えて前記減算部の出力を用いる構成(第6の構成)にするとよい。
【0016】
また、上記第4〜第6いずれかの構成から成る発光駆動装置は、前記光センサから入力される電気信号を積分してアナログ信号を生成する積分回路と;前記アナログ信号をデジタル信号に変換して前記第1レジスタに出力するアナログ/デジタル変換回路と;を有する構成(第7の構成)にするとよい。
【0017】
また、上記第7の構成から成る発光駆動装置において、前記積分回路は、各光源毎に、その出力ゲインが切り替えられる構成(第8の構成)にするとよい。
【0018】
また、本発明に係る照明装置は、複数の光源と;前記複数の光源から順次時分割で放射される光を電気信号に変換して出力する単一の光センサと;前記光センサから出力される電気信号の入力を受けて前記複数の光源を順次時分割で発光駆動させる上記第1〜第8いずれかの構成から成る発光駆動装置と;を有する構成(第9の構成)とされている。
【0019】
なお、上記第9の構成から成る照明装置において、前記複数の光源は、互いに異なる発光色を有する構成(第10の構成)にするとよい。
【0020】
また、上記第10の構成から成る照明装置において、前記複数の光源は、いずれも発光ダイオードである構成(第11の構成)にするとよい。
【0021】
また、上記第10の構成から成る照明装置において、前記複数の光源は、いずれも有機EL素子である構成(第12の構成)にするとよい。
【0022】
また、本発明に係る表示装置は、液晶表示パネルと;前記液晶表示パネルを照明する上記第9〜第12いずれかの構成から成る照明装置と;を有する構成(第13の構成)とされている。
【0023】
なお、上記第13の構成から成る表示装置において、前記液晶表示パネルは、フィールドシーケンシャル駆動される構成(第14の構成)にするとよい。
【0024】
また、上記第13または第14の構成から成る表示装置において、前記照明装置は、一のフレーム期間内に少なくとも一回の消灯期間を有するように疑似インパルス駆動される構成(第15の構成)にするとよい。
【発明の効果】
【0025】
本発明に係る発光駆動装置、並びに、これを用いた照明装置及び表示装置であれば、装置の規模増大やコストアップを抑えながら、温度変化や経時変化に依ることなく良好な色再現性を維持することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明に係る表示装置の一実施形態を示すブロック図である。
【図2】演算回路107の一構成例を示すブロック図である。
【図3】発光駆動装置100の第1動作例を示すタイミングチャートである。
【図4】発光駆動装置100の第2動作例を示すタイミングチャートである。
【図5】発光駆動装置100の一変形例を示すブロック図である。
【図6】積分回路101の一構成例を示す回路図である。
【図7】積分回路101の出力ゲイン可変動作を示すタイミングチャートである。
【図8】表示装置の一従来例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1は、本発明に係る表示装置の一実施形態を示すブロック図である。本実施形態の表示装置1は、発光駆動装置100と、バックライト200と、液晶表示パネル300と、光センサ400と、を有する。
【0028】
発光駆動装置100は、光センサ400から出力される電気信号の入力を受けて、バックライト200を形成する複数の光源を順次時分割で発光駆動させる半導体装置(いわゆるバックライト駆動IC)である。なお、発光駆動装置100の内部構成については、後ほど詳細に説明する。
【0029】
バックライト200は、液晶表示パネル300を背面側から照明する照明装置であり、互いに異なる発光色を有する複数の光源(本実施形態では、赤色光源200R、緑色光源200G、及び、青色光源200Bの3つ)を有する。これら3つの光源200R、200G、及び、200Bは、発光駆動回路100からの指示に応じて、順次時分割で発光駆動され、各発光色の混色によって白色光が生成される。なお、本実施形態では、上記3つの光源200R、200G、200Bとしていずれも発光ダイオードが用いられている。また、各光源の発光量(発光強度)を定める発光量制御パラメータとしては、各光源毎に流れる駆動電流の電流値、及び、PWM[Pulse Width Modulation]制御値(所定のPWM周期中に占めるオン期間の割合を定めるオンデューティ値)の少なくとも一方を用いることができる。ただし、以下では、説明を簡単とするために、各光源毎に流れる駆動電流の電流値を一定とし、PWM制御値のみを可変制御する構成を例に挙げて説明を行う。
【0030】
液晶表示パネル300は、映像信号に応じてその光透過率が変化する液晶素子を画素として用いた映像出力手段である。
【0031】
光センサ400は、バックライト200を形成する複数の光源200R、200G、200Bから順次時分割で放射される光を電気信号に変換して出力する単一の光電変換手段である。なお、光センサ400としては、フォトダイオードやフォトトランジスタを好適に用いることができる。また、光センサ400のピーク感度は、赤色光、緑色光、青色光のいずれかに指向性を持つのではなく、各色光をできるだけ均一に検出できるように設計しておくことが望ましい。
【0032】
本実施形態の表示装置1において、発光駆動装置100は、積分回路101と、アナログ/デジタル変換回路102と、セレクタ103と、第1レジスタ104(赤色発光量レジスタ104R、緑色発光量レジスタ104G、及び、青色発光量104B)と、セレクタ105と、発光量設定回路106と、演算回路107と、セレクタ108と、第2レジスタ109(赤色PWM値レジスタ109R、緑色PWM値レジスタ109G、及び、青色PWM値レジスタ109B)と、セレクタ110と、セレクタ111と、ドライバ112(赤色ドライバ112R、緑色ドライバ112G、及び、青色ドライバ112B)と、タイミング制御回路113と、を有する。
【0033】
積分回路101は、光センサ400から入力される電気信号を積分してアナログ信号を生成する。
【0034】
アナログ/デジタル変換回路102は、積分回路101から入力されるアナログ信号をデジタル信号に変換し、これをセレクタ103経由で第1レジスタ104に出力する。
【0035】
セレクタ103は、タイミング制御回路113からの切替指示に基づいて、アナログ/デジタル変換回路102の出力端と、赤色発光量レジスタ104R、緑色発光量レジスタ104G、及び、青色発光量レジスタ104Bの各入力端のいずれか一と、を順次時分割で接続する。
【0036】
第1レジスタ104は、赤色発光量レジスタ104Rと、緑色発光量レジスタ104Gと、青色発光量レジスタ104Bと、を有する。赤色発光量レジスタ104Rは、第kフレームにおける赤色光源200Rの発光時に光センサ400で検出された赤色発光量の実際値DET_R(k)を一時的に格納する。緑色発光量レジスタ104Gは、第kフレームにおける緑色光源200Gの発光時に光センサ400で検出された緑色発光量の実際値DET_G(k)を一時的に格納する。青色発光量レジスタ104Bは、第kフレームにおける青色光源200Bの発光時に光センサ400で検出された青色発光量の実際値DET_B(k)を一時的に格納する。
【0037】
セレクタ105は、タイミング制御回路113からの切替指示に基づいて、演算回路107の第1入力端と、赤色発光量レジスタ104R、緑色発光量レジスタ104G、及び青色発光量レジスタ104Bの各出力端のいずれか一と、を順次時分割で接続する。
【0038】
発光量設定回路106は、第(k+1)フレームにおける各光源毎の発光量を定めるための設定値REF_R(k+1)、REF_G(k+1)、及び、REF_B(k+1)を演算回路107の第2入力端に出力する。なお、発光量設定回路106には、上記した設定値REF_R(k+1)、REF_G(k+1)、及び、REF_B(k+1)として、ホワイトバランスが取れた状態(製品出荷時ないしユーザ調整時の状態)で予め検出しておいた各色発光量の目標値が不揮発的に格納されている。なお、バックライト200の輝度制御を行う場合には、その輝度値毎に各色発光量の目標値を格納しておけばよい。
【0039】
演算回路107は、第1レジスタ104の出力(第kフレームにおける各色発光量の実際値DET(k))、発光量設定回路106の出力(第(k+1)フレームにおける各色発光量を定めるための設定値REF(k+1))、及び、第2レジスタ109の出力(第kフレームにおいて設定されていた各光源毎の発光量制御パラメータPWM(k))に基づいて、第(k+1)フレームにおいて設定するべき各光源毎の発光量制御パラメータPWM(k+1)を算出する。なお、演算回路107の内部構成については、後ほど詳細に説明する。
【0040】
セレクタ108は、タイミング制御回路113からの切替指示に基づいて、演算回路107の第3入力端と、赤色PWM値レジスタ109R、緑色PWM値レジスタ109G、青色PWM値レジスタ109Bの各出力端のいずれか一と、を順次時分割で接続する。
【0041】
第2レジスタ109は、赤色PWM値レジスタ109Rと、緑色PWM値レジスタ109Gと、青色PWM値レジスタ109Bとを有する。赤色PWM値レジスタ109Rは、第kフレームにおける赤色光源200Rの発光時に設定されていた発光量制御パラメータPWM_R(k)を一時格納する。緑色PWM値レジスタ109Gは、第kフレームにおける緑色光源200Gの発光時に設定されていた発光量制御パラメータPWM_G(k)を一時格納する。青色PWM値レジスタ109Bは、第kフレームにおける青色光源200Bの発光時に設定されていた発光量制御パラメータPWM_B(k)を一時格納する。
【0042】
セレクタ110は、タイミング制御回路113からの切替指示に基づいて、演算回路107の出力端と、赤色PWM値レジスタ109R、緑色PWM値レジスタ109G、及び青色PWM値レジスタ109Bの各入力端のいずれか一と、を順次時分割で接続する。
【0043】
セレクタ111は、タイミング制御回路113からの切替指示に基づいて、演算回路107の出力端と、赤色ドライバ112R、緑色ドライバ112G、及び、青色ドライバ112Bの各入力端のいずれか一と、を順次時分割で接続する。
【0044】
ドライバ112は、赤色ドライバ112Rと、緑色ドライバ112Gと、青色ドライバ112Bとを有し、演算回路107で算出された各光源毎の発光量制御パラメータPWM(k+1)に基づいて、赤色光源200R、緑色光源200G、及び、青色光源200Bを順次時分割で発光駆動させる。
【0045】
タイミング制御回路113は、セレクタ103、105、108、110、及び、111における各光源毎の信号経路切替制御と、発光量設定回路106における各光源毎の設定値出力制御と、をそれぞれ同期させるためのタイミング制御信号を生成する。
【0046】
図2は、演算回路107の一構成例を示すブロック図である。本構成例の演算回路107は、補正係数算出部107aと、乗算部107bと、を有する。
【0047】
補正係数算出部107aは、発光量設定回路106の出力(第(k+1)フレームにおける各色発光量を定めるための設定値REF(k+1))を、第1レジスタ104の出力(第kフレームにおける各色発光量の実際値DET(k))で除算することにより、補正係数値α(k+1)を算出する。すなわち、発光量の実際値DET(k)が設定値REF(k+1)よりも大きければ、補正係数値α(k+1)は1よりも小さくなり、これとは逆に、発光量の実際値DET(k)が設定値REF(k+1)よりも小さければ、補正係数値α(k+1)は1よりも大きくなる。
【0048】
乗算部107bは、第2レジスタ109の出力(第kフレームにおいて設定されていた各光源毎の発光量制御パラメータPWM(k))に補正係数値α(k+1)を乗算することにより、第(k+1)フレームにおいて設定するべき各光源毎の発光量制御パラメータPWM(k+1)を算出する。
【0049】
図3は、発光駆動装置100の第1動作例を示すタイミングチャートであり、上から順に、液晶透過度、赤色オン信号RON、緑色オン信号GON、青色オン信号BON、赤色光源200Rの駆動電流、緑色光源200Gの駆動電流、青色光源200Bの駆動電流、及び、センサ出力(積分値)が描写されている。
【0050】
図3に示した第1動作例では、液晶表示パネル300がフィールドシーケンシャル駆動されており、一のフレーム期間は、赤色画像を出力するR期間、緑色画像を出力するG期間、及び、青色画像を出力するB期間の3つに等分割されている。以下では、赤色光源200Rの発光量制御を代表例に挙げて説明を行うが、緑色光源200G、及び、青色光源200Bについても、同様の発光量制御が行われることは言うまでもない。
【0051】
第kフレームのR期間において赤色オン信号RONがハイレベルに立ち上げられると、タイミング制御回路113は、赤色光源200Rの点灯に先立ち、第kフレームにおいて設定するべき赤色光源200Rの発光量制御パラメータPWM_R(k)を算出する。このとき、演算回路106では、第1レジスタ104の出力(第(k−1)フレームにおける赤色発光量の実際値DET_R(k−1))、発光量設定回路106の出力(第kフレームにおける赤色発光量を定めるための設定値REF_R(k))、及び、第2レジスタ109の出力(第(k−1)フレームにおいて設定されていた赤色光源200Rの発光量制御パラメータPWM(k−1))が参照される。
【0052】
また、装置の電源投入時には、第1レジスタ104及び第2レジスタ109の双方に対して、所定のデフォルト値DET_R(0)及びPWM_R(0)を書き込む構成とすればよい。このような構成とすることにより、演算回路107では、第1フレームの発光量制御パラメータPWM_R(1)を適切に算出することが可能となる。
【0053】
なお、演算回路106での具体的な算出動作については、先に述べた通りであるので、重複した説明は割愛する。
【0054】
発光量制御パラメータPWM_R(k)が算出されると、赤色ドライバ112Rは、赤色光源200Rを所定のオンデューティで点灯させる。赤色光源200Rが点灯されている間、光センサ400からは、赤色光源200Rの発光量に応じた電流信号が出力され、積分回路101の出力電圧値が上昇していく。なお、センサ出力の積分期間は、上記のR期間、または、赤色光源200RのPWMの1周期と等しい期間に設定しておけばよい。
【0055】
その後、赤色光源200Rの消灯時点で得られていた積分回路101の出力電圧値が第kフレームにおける赤色発光量の実際値DET_R(k)として、赤色発光量レジスタ104Rに一時格納される。このように、赤色光源200Rの発光量DET_R(k)を検出し、これを赤色発光量レジスタ104Rに一時格納するまでの一連の動作は、緑色光源200Gの発光開始までに完了される。また、赤色PWM値レジスタ109Rでは、先に算出された発光量制御パラメータPWM_R(k)が一時格納される。上記一連のフローにより、赤色光源200Rの発光サイクルが完了され、続いて緑色光源200G、及び、青色光源200Bの選択が待たれる。
【0056】
以後も上記と同様の動作が繰り返される。すなわち、第(k+1)フレームのR期間において赤色オン信号RONがハイレベルに立ち上げられると、タイミング制御回路113は、赤色光源200Rの点灯に先立ち、第(k+1)フレームにおいて設定するべき赤色光源200Rの発光量制御パラメータPWM_R(k+1)を算出する。このとき、演算回路106では、第1レジスタ104の出力(第kフレームにおける赤色発光量の実際値DET_R(k))、発光量設定回路106の出力(第(k+1)フレームにおける赤色発光量を定めるための設定値REF_R(k+1))、及び、第2レジスタ109の出力(第kフレームにおいて設定されていた赤色光源200Rの発光量制御パラメータPWM(k))が参照される。
【0057】
図4は、発光駆動装置100の第2動作例を示すタイミングチャートであり、上から順に、液晶透過度、バックライトオン信号ON、赤色光源200Rの駆動電流、緑色光源200Gの駆動電流、青色光源200Bの駆動電流、及び、センサ出力(積分値)が描写されている。
【0058】
図4に示した第2動作例では、第1動作例とは異なり、液晶表示パネル300はフィールドシーケンシャル駆動されておらず、赤色光源200R、緑色光源200G、及び、青色光源200Bは、バックライトオン信号ONがハイレベルに立ち上げられると、一のフレーム期間内で設定された所定の発光期間に集中して、順次時分割で発光駆動される。言い換えれば、バックライト200は、一のフレーム期間内に少なくとも一回の消灯期間を有するように疑似インパルス駆動される構成であると言える。このような構成とすることにより、人間の網膜残像効果を解消して、動画の表示性能を向上することが可能となる。
【0059】
図5は、発光駆動装置100の一変形例(特に、第1レジスタ104周辺)を示すブロック図である。本変形例の発光駆動装置100は、全光源の消灯時に光センサ400で得られた暗電流値DET_Dを一時格納する第3レジスタ114と、第1レジスタ104に一時格納されている発光量の実際値DET(k)から上記の暗電流値DET_Dを減じて補正済み発光量DET(k)’を生成する減算部115と、を有し、演算回路107は、各光源毎の発光量制御パラメータPWM(k+1)を算出する際、第1レジスタの出力DET(k)に代えて減算部115の出力DET(k)’を用いる構成とされている。このような構成とすることにより、光センサ400で不可避的に生じる暗電流の影響を受けることなく、バックライト200のホワイトバランス制御をより正確に行うことができる。
【0060】
図6は、積分回路101の一構成例を示す回路図である。本構成例の積分回路101はオペアンプAMPと、コンデンサC1及びC2と、スイッチSWa〜SWeと、直流電圧源E1と、を有する。
【0061】
オペアンプAMPの非反転入力端(+)は、直流電圧源E1の正極端とスイッチSWaの第1端に各々接続されている。直流電圧源E1の負極端は、所定の電位端に接続されている。オペアンプAMPの反転入力端(−)は、コンデンサC1及びC2の各第1端と、スイッチSWb及びSWcの各第1端に接続されている。スイッチSWa及びSWbの各第2端は、いずれも光センサ400を形成するフォトダイオードのカソードに接続されている。フォトダイオードのアノードは、前記所定の電位端に接続されている。コンデンサC1及びC2の各第2端は、それぞれ、スイッチSWd及びSWeの各第1端に接続されている。スイッチSWc〜SWeの各第2端は、いずれもオペアンプAMPの出力端に接続されている。オペアンプAMPの出力端は、積分回路101の出力端としてアナログ/デジタル変換回路102の入力端にも接続されている。
【0062】
図7は、積分回路101の出力ゲイン可変動作を示すタイミングチャートであり、上から順に、LED電流(光源の駆動電流)、積分回路出力、スイッチSWa〜SWeの各オン/オフ状態が描写されている。なお、図7では、コンデンサC1が選択される場合の様子が描写されている。
【0063】
LED電流の測定期間が開始されるまで、スイッチSWa及びSWc〜eがオンされ、スイッチSWbがオフされる。これにより、光センサ400を形成するフォトダイオード400の蓄積電荷、並びに、コンデンサC1及びC2の電荷がいずれも放電されて、積分回路101の出力がゼロ値にリセットされる。
【0064】
LED電流の測定期間には、スイッチSWa、SWc、及び、SWeがオフされ、スイッチSWb及びSWdがオンされる。これにより、オペアンプAMPの負帰還経路には、コンデンサC1のみが接続された状態となる。
【0065】
続くアナログ/デジタル変換期間には、スイッチSWa及びSWdがオンされ、スイッチSWb〜SWdがオフされる。これにより、コンデンサC1への電流経路が切断されて電圧が保持されるとともに、スイッチSWaを介して光センサ400を形成するフォトダイオード400の蓄積電荷が放電される。
【0066】
なお、図7では、コンデンサC1を選択する場合の様子しか描写されていないが、コンデンサC2を選択する場合には、LED電流の測定期間、及び、アナログ/デジタル変換期間において、スイッチSWdではなくスイッチSWeをオンすればよい。また、コンデンサC1とC2を両方とも選択する場合には、LED電流の測定期間、及び、アナログ/デジタル変換期間において、スイッチSWd及びSWeを共にオンすればよい。
【0067】
このように、本構成例の積分回路101は、各光源毎に、その出力ゲインが切り替えられる構成とされている。このような構成とすることにより、各光源毎に、光センサ400で得られる電流量に差違があった場合でも、アナログ/デジタル変換回路102に入力されるアナログ信号のダイナミックレンジをできるだけ同一範囲に収めることができ、延いては、アナログ/デジタル変換回路102の小型化を実現することが可能となる。
【0068】
以上で説明したように、本実施形態の発光駆動装置100は、複数の光源200R、200G、200Bを順次時分割で発光駆動させるものであり、一の光源の発光量を設定するための発光量制御パラメータPWM(k+1)は、同光源の前回発光時に検出された発光量の実際値DET(k)、発光量の実際値DET(k)と対比される所定の設定値REF(k+1)、及び、同光源の前回発光時に設定されていた発光量制御パラメータPWM(k)に基づいて算出される構成とされている。
【0069】
このような構成とすることにより、複数の光源200R、200G、200Bが同時に発光されないので、各光源の発光量の分離をカラーセンサで行う必要がなく、光センサ400として、比較的価格の安い照度センサを1つだけ用いれば足りる。従って、装置規模の増大やコストアップを極力抑えながら、温度変化や経時変化に依ることなく良好な色再現性を維持することが可能となる。
【0070】
また、光源の発光が常時発光ではないため、液晶表示パネル300をフィールドシーケンシャル駆動する際にも好適に用いることができるほか、液晶ディスプレイの動画特性向上させるために、バックライト200を疑似インパルス駆動させる際にも好適に用いることができる。
【0071】
また、本実施形態の発光駆動装置100であれば、各光源の発光周期毎に各々の発光量を検出する方式が採用されているので、バックライト200の輝度制御に際して、その応答速度を高めることが可能となり、例えば、液晶表示パネル300の表示コントラスト比を向上させる技術として注目されているバックライト200の局所輝度制御にも、十分に対応することが可能となる。
【0072】
なお、上記の実施形態では、液晶表示装置のバックライトを発光駆動させる発光駆動装置に本発明を適用した構成を例に挙げて説明を行ったが、本発明の適用対象はこれに限定されるものではなく、その他の用途に供される様々な光源(例えば、有機EL素子)を発光駆動させる発光駆動装置全般に広く適用することが可能である。
【0073】
また、本発明の構成は、上記実施形態のほか、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。すなわち、上記実施形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきであり、本発明の技術的範囲は、上記実施形態の説明ではなく、特許請求の範囲によって示されるものであり、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内に属する全ての変更が含まれると理解されるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明は、液晶ディスプレイのバックライトや、LED[Light Emitting Diode]或いは有機EL素子(OLED[Organic LED])を用いた照明装置などに好適に利用することが可能な技術である。
【符号の説明】
【0075】
1 表示装置
100 発光駆動装置
101 積分回路
102 アナログ/デジタル変換回路
103 セレクタ
104R、104G、104B 第1レジスタ
105 セレクタ
106 発光量設定回路
107 演算回路
107a 補正係数算出部
107b 乗算部
108 セレクタ
109R、109G、109B 第2レジスタ
110 セレクタ
111 セレクタ
112R、112G、112B ドライバ
113 タイミング制御回路
114 第3レジスタ
115 減算部
200 バックライト
200R 赤色光源(赤色LED)
200G 緑色光源(緑色LED)
200B 青色光源(青色LED)
300 液晶表示パネル
400 光センサ
C1、C2 コンデンサ
AMP オペアンプ
E1 直流電圧源
SWa〜SWe スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の光源を順次時分割で発光駆動させる発光駆動装置であって、
一の光源の発光量を設定するための発光量制御パラメータは、同光源の前回発光時に検出された発光量の実際値、前記発光量の実際値と対比される所定の設定値、及び、同光源の前回発光時に設定されていた前記発光量制御パラメータに基づいて算出されることを特徴とする発光駆動装置。
【請求項2】
一の光源の発光量は、次の光源の発光開始までに検出完了されることを特徴とする請求項1に記載の発光駆動装置。
【請求項3】
前記発光量制御パラメータは、各光源毎に流れる駆動電流の電流値及びPWM制御値の少なくとも一方であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の発光駆動装置。
【請求項4】
各光源毎に、各々の前回発光時に光センサで検出された発光量の実際値を一時格納する第1レジスタと;
前記所定の設定値を出力する発光量設定回路と;
各光源毎に、各々の前回発光時に設定されていた前記発光量制御パラメータを一時格納する第2レジスタと;
前記第1レジスタ、前記発光量設定回路、及び、前記第2レジスタの出力に基づいて、各光源毎の前記発光量制御パラメータを算出する演算回路と;
前記演算回路で算出された各光源毎の前記発光量制御パラメータに基づいて、前記複数の光源を順次時分割で発光駆動させる複数の駆動回路と;
を有することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の発光駆動装置。
【請求項5】
前記演算回路は、
前記所定の設定値を前記発光量の実際値で除算することにより、補正係数値を算出する補正係数算出部と;
前回発光時に設定されていた前記発光量制御パラメータに前記補正係数値を乗算することにより、新たな前記発光量制御パラメータを算出する乗算部と;
を有することを特徴とする請求項4に記載の発光駆動装置。
【請求項6】
全光源の消灯時に前記光センサで得られた暗電流値を一時格納する第3レジスタと;
前記発光量の実際値から前記暗電流値を減ずる減算部と;
を有し、
前記演算回路は、各光源毎の前記発光量制御パラメータを算出する際、前記第1レジスタの出力に代えて前記減算部の出力を用いることを特徴とする請求項4または請求項5に記載の発光駆動装置。
【請求項7】
前記光センサから入力される電気信号を積分してアナログ信号を生成する積分回路と;
前記アナログ信号をデジタル信号に変換して前記第1レジスタに出力するアナログ/デジタル変換回路と;
を有することを特徴とする請求項4〜請求項6のいずれかに記載の発光駆動装置。
【請求項8】
前記積分回路は、各光源毎に、その出力ゲインが切り替えられることを特徴とする請求項7に記載の発光駆動装置。
【請求項9】
複数の光源と;
前記複数の光源から順次時分割で放射される光を電気信号に変換して出力する単一の光センサと;
前記光センサから出力される電気信号の入力を受けて前記複数の光源を順次時分割で発光駆動させる請求項1〜請求項8のいずれかに記載の発光駆動装置と;
を有することを特徴とする照明装置。
【請求項10】
前記複数の光源は、互いに異なる発光色を有することを特徴とする請求項9に記載の照明装置。
【請求項11】
前記複数の光源は、いずれも発光ダイオードであることを特徴とする請求項10に記載の照明装置。
【請求項12】
前記複数の光源は、いずれも有機EL素子であることを特徴とする請求項10に記載の照明装置。
【請求項13】
液晶表示パネルと;
前記液晶表示パネルを照明する請求項9〜請求項12のいずれかに記載の照明装置と;
を有することを特徴とする表示装置。
【請求項14】
前記液晶表示パネルは、フィールドシーケンシャル駆動されることを特徴とする請求項13に記載の表示装置。
【請求項15】
前記照明装置は、一のフレーム期間内に少なくとも一回の消灯期間を有するように疑似インパルス駆動されることを特徴とする請求項13または請求項14に記載の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−170219(P2011−170219A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−35631(P2010−35631)
【出願日】平成22年2月22日(2010.2.22)
【出願人】(000116024)ローム株式会社 (3,539)
【Fターム(参考)】