説明

発券システム

【課題】発券端末装置から支援要望をコールセンタで受けたときに、対応するオペレータが支援方法を選択できるように、複数の支援方法を備えた発券システムを提供する。
【解決手段】業務データ用ネットワークN1を介して駅1の発券端末装置10とシステムセンタ2の発券統括制御装置21とコールセンタ3の予約・発券操作端末装置31が接続されると共に、音声・映像データ用ネットワークN2を介して発券端末装置10とシステムセンタ2の接続管理サーバ22とコールセンタ3の予約・発券操作端末装置31,利用者操作支援端末装置32が接続され、発券端末装置10の利用者がコールセンタ3を呼び出したとき、オペレータは、予約・発券操作端末装置31を使って全ての発券処理を代行する操作支援に加えて、音声によるガイドを行ったり、表示・操作パネルに支援表示を出して操作を指示したり、発券端末装置10を遠隔操作してたりできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駅などの発券場に設置される発券端末装置を利用者が操作するときに、発券端末装置を介して操作支援を行える発券システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、駅できっぷを購入する場合等、自動券売機の設置が進んでいるが、高齢者など、自動券売機の操作に不慣れな利用者にとっては、その使用に戸惑い、不自由な思いをすることもある。そのような場合、駅員等が利用者に寄り添って端末の使用方法を説明したり、操作を代行したりすることとなるため、駅員の負担が大きくなってきている。
【0003】
そこで、近来は、発券場に発券端末装置を設置し、この発券端末装置とネットワークを介してシステムセンタおよびコールセンタと接続することで、発券端末装置から利用者の支援要望をコールセンタで受けられるようにし、利用者が発券端末装置を操作する代わりにコールセンタのオペレータが予約・発券操作端末装置を操作して、システムセンタの発券統括制御装置へ発券内容を送り、これに基づいて発券統括制御装置から発券端末装置へ発券情報が送られ、利用者が入金すると、その発券端末装置から所望のきっぷが発行される発券システムが提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−50616号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されている発明のように、支援を要する利用者の要望を全てコールセンタのオペレータが受け付けて処理する発券システムでは、確保できるオペレータの数に限界があるため、利用者が支援を要望してから実際にオペレータと繋がるまでに長い時間を要するような場合もあり、利用者に不快な思いをさせると共に、発券端末装置の稼働率も落ちるという問題がある。
【0006】
また、発券端末装置を利用する利用者が支援を要望する場合、操作の一部が分からないためにその後の操作につまずいていることもあり、コールセンタに支援を要望した全ての利用者が発券操作の全行程を代行して欲しいと考えているわけではないのである。
【0007】
このことから、発券端末装置からの支援要望に対して、その利用者の端末操作習熟度に応じて、発券端末装置によるきっぷ購入操作をアシストするか、発券操作の全行程を代行するか、自由度の高い支援形態を実現できれば、支援要望の有った端末利用者一人当たりに要する支援時間を減らすことができ、同じ人数のオペレータで操作支援を行った場合、オペレータ一人当たりが対応可能な支援人数を増やすことに繋がり、コールセンタ全体の効率を高めることができる。更に、支援を受けずに発券場に設置された発券端末装置を利用者が操作することで券を発行する機能も前記支援機能と同時に使用できれば、利用者の判断により、操作方法を選択でき、端末の稼動率を高めることができる。
【0008】
そこで、本発明は、発券端末装置から支援要望をコールセンタで受けたときに、対応するオペレータが支援方法を選択できるように、複数の支援方法を備えた発券システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、請求項1に係る発明は、券売場に設置され、利用者が操作することにより、利用者の指定した券を発行する発券機能と、少なくともマイク、スピーカ、カメラを含む操作支援機能とを備えた発券端末装置と、前記発券場とは異なる場所であるシステムセンタに設けられ、前記発券端末装置とネットワークを介して接続され、所定の手続により特定された発券内容の券を前記発券端末装置から発行させる機能を備えた発券統括制御装置と、前記発券場とは異なる場所であるコールセンタに設けられ、前記発券統括制御装置とネットワークを介して接続され、特定の発券端末装置で発行させる発券内容を発券統括制御装置へ指示可能な予約・発券操作端末装置と、前記予約・発券操作端末装置に対応してコールセンタに設けられ、前記発券場の発券端末装置とネットワークを介して接続され、利用者の操作支援を行う利用者操作支援端末装置と、を備える発券システムであって、前記発券場の発券端末装置から音声情報および映像情報を受けるコールセンタの利用者操作支援端末装置をコールセンタの支援者が操作することにより、少なくとも利用者操作支援端末装置を操作する支援者からの音声を前記発券端末装置より出力することで、利用者に対する操作支援を行うようにしたことを特徴とする。
【0010】
また、請求項2に係る発明は、前記請求項1に記載の発券システムにおいて、前記コールセンタの支援者の操作によって、予約・発券操作端末装置から利用者操作支援端末装置を経由して前記発券端末装置へ第1操作支援要求を行い、これを受けた発券端末装置において利用者が第1操作支援要求を受容することで、支援表示を前記発券端末装置の表示画面に表示させる第1操作支援状態となるようにしたことを特徴とする。
【0011】
また、請求項3に係る発明は、前記請求項2に記載の発券システムにおいて、前記第1操作支援状態にあるとき、前記コールセンタの支援者の操作によって、予約・発券操作端末装置から利用者操作支援端末装置を経由して前記発券端末装置へ第2操作支援要求を行い、これを受けた発券端末装置において利用者が第2操作支援要求を受容することで、利用者操作支援端末装置から発券端末装置の発券機能を直接操作できる第2操作支援状態となるようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る発券システムによれば、券売場に設置され、利用者が操作することにより、利用者の指定した券を発行する発券機能と、少なくともマイク、スピーカ、カメラを含む操作支援機能とを備えた発券端末装置と、前記発券場とは異なる場所であるシステムセンタに設けられ、前記発券端末装置とネットワークを介して接続され、所定の手続により特定された発券内容の券を前記発券端末装置から発行させる機能を備えた発券統括制御装置と、前記発券場とは異なる場所であるコールセンタに設けられ、前記発券統括制御装置とネットワークを介して接続され、特定の発券端末装置で発行させる発券内容を発券統括制御装置へ指示可能な予約・発券操作端末装置と、前記予約・発券操作端末装置に対応してコールセンタに設けられ、前記発券場の発券端末装置とネットワークを介して接続され、利用者の操作支援を行う利用者操作支援端末装置と、を備える発券システムであって、前記発券場の発券端末装置から音声情報および映像情報を受けるコールセンタの利用者操作支援端末装置をコールセンタの支援者が操作することにより、少なくとも利用者操作支援端末装置を操作する支援者からの音声を前記発券端末装置より出力することで、利用者に対する操作支援を行うようにしたので、操作の一部が分からないためにその後の操作につまずいている利用者に対して、音声による操作支援を行えば、利用者本人に発券端末装置を操作させて発券処理を進めることが可能となり、コールセンタの支援者が予約・発券操作端末装置を使って発券処理の全行程を代理する場合よりも負担が軽減される。また、支援に要する対応時間も減縮できることから発券端末装置の利用者に対して効率の良い支援を行うことができる。更に、支援を受けながら、利用者に操作を覚えていただくことが可能となり、次回以降利用者によるスムーズな操作が期待でき、発券端末装置自体の稼動率向上が見込める。
【0013】
また、請求項2に係る発券システムによれば、前記コールセンタの支援者の操作によって、予約・発券操作端末装置から利用者操作支援端末装置を経由して前記発券端末装置へ第1操作支援要求を行い、これを受けた発券端末装置において利用者が第1操作支援要求を受容することで、支援表示を前記発券端末装置の表示画面に表示させる第1操作支援状態となるようにしたので、コールセンタの支援者が、音声による操作支援が有効でないと判断した場合には、第1操作支援状態へ移行することで、発券端末装置の操作画面上にてカーソルを動かすなどの表示支援を行うことができ、音声による支援を可視的に補完して、一層効率の良い支援が可能となる。
【0014】
また、請求項3に係る発券システムによれば、前記第1操作支援状態にあるとき、前記コールセンタの支援者の操作によって、予約・発券操作端末装置から利用者操作支援端末装置を経由して前記発券端末装置へ第2操作支援要求を行い、これを受けた発券端末装置において利用者が第2操作支援要求を受容することで、利用者操作支援端末装置から発券端末装置の発券機能を直接操作できる第2操作支援状態となるようにしたので、コールセンタの支援者が、音声および支援表示による操作支援が有効でないと判断した場合には、第2操作支援状態へ移行することで、発券端末装置を遠隔操作して、発券操作に熟練した支援者が発券行程を進めて行くことが可能となる。更に、第2操作支援状態で遠隔操作による操作支援を行えば、利用者は発券端末装置で発券行程が進む様子を見て納得しながら発券処理が実行されてゆくので、コールセンタの支援者が予約・発券操作端末装置で発券行程を進めて最後に利用者へ提示した発券内容が利用者の要望と違っていたために、改めて発券行程をやり直さなければならないような非効率的な状況になることを未然に防ぐことができ、更に効率の良いものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る発券システムの概要を示すシステム構成図である。
【図2】本発明に係る発券システムを用いた利用者への支援による発券行程の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明に係る発券システムの実施形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
【0017】
図1に示すのは、発券システムの実施形態を示す概略構成で、業務データ用ネットワークN1と音声・映像データ用ネットワークN2を介して、発券場である駅1とシステムセンタ2とコールセンタ3が相互に接続されたものである。
【0018】
駅1には、利用者が操作することにより、利用者の指定した券を発行する発券機能と、少なくともマイク、スピーカ、カメラを含む操作支援機能とを備えた発券端末装置10が設置され、きっぷを購入したい利用者が操作できるものである。なお、本実施形態における発券端末装置10は、主たる発券機能を備えたメイン発券装置11と、操作支援機能を備えた音声・映像情報入出力装置12とに分けて、各々別の筐体に収めた構造としたが、両機能を一体に備えた単筐体の装置として構成しても構わない。また、各発券端末装置10には、それぞれの個体を識別できるようにユニークな識別番号が割り振られており、この識別番号を使うことで、発券システム内に含まれる全ての発券端末装置10を特定することが可能となる。
【0019】
メイン発券装置11には、タッチパネル式の表示・操作パネル、きっぷを排出する発券口、購入費用を入れる現金投入口、精算用のクレジットカード等を入れるカード挿排口などを備え、利用者は表示・操作パネルを見ながら操作することで、発券操作の各行程を順次行うことができる。発券に際しては、業務データ用ネットワークN1を介して接続されているシステムセンタ2と交信し、座席指定券の予約可否などの諸情報を受けると共に、決定した発券情報がシステムセンタ2へ送られる。
【0020】
上述したメイン発券装置11と接続されている音声・映像情報入出力装置12は、発券端末装置10を操作している利用者を映す接客カメラ、コールセンタ3のオペレータからの音声が出力されるスピーカ、利用者の声などをコールセンタへ送るためのマイク、提示された申込書や割引証等の紙面を写す書画カメラ、申込書や割引証を回収する申込書回収口などを備える。この音声・映像情報入出力装置12からの入力情報はメイン発券装置11を経由し、音声・映像データ用ネットワークN2を介してコールセンタ3へ供給され、その逆にコールセンタ3から供給された音声・映像情報を受け取ることで、コールセンタ3のオペレータからの音声が音声・映像情報入出力装置12のスピーカから出力されるのである。
【0021】
なお、コールセンタ3を呼び出すための機能として、音声・映像情報入出力装置12にオペレータ呼出ボタンを設けているが、本実施形態においては、メイン発券装置11に向かって諸々の操作を行っている利用者の利便性を考慮して、メイン発券装置11の表示・操作パネルのメニュー画面にオペレータ呼出ボタンを設けておき、操作に戸惑った利用者がオペレータ呼出ボタンを押下することでコールセンタ3と接続され、オペレータによる支援を受けられるようにした。
【0022】
一方、駅1とは異なる場所であるシステムセンタ2には、業務データ用ネットワークN1を介して発券端末装置10やコールセンタ3と接続される発券統括制御装置21が設置され、複数の発券端末装置10から多数の予約要求を受けても、きっぷの指定予約が重複することのないように統括的な発券制御を行う。また、この発券統括制御装置21は、後述するコールセンタ3の予約・発券操作端末装置31で行われた所定の手続により特定された発券内容の券を、指定された発券端末装置10から発行させる機能を備えるものである。
【0023】
さらに、このシステムセンタ2には、音声・映像データ用ネットワークN2を介して駅1およびコールセンタ3と接続される接続管理サーバ22を設置してあり、後述するコールセンタ3の予約・発券操作端末装置31および利用者操作支援端末装置32と各駅1の発券端末装置10と接続される。そして、操作支援を必要とする利用者からの求めにより発券端末装置10とコールセンタ3の利用者操作支援端末装置32とを繋ぐと共に、その支援中は、両者の接続状況を監視し、回線の不具合等で接続が切断された場合には、回線接続が維持されている側の回線を切断する等の接続管理を行うものである。また、駅1の発券端末装置10とコールセンタ3の利用者操作支援端末装置32との相互接続による支援を行って発券した券片の情報や支援履歴等を接続管理サーバ22にて管理・蓄積できる。
【0024】
駅1とは異なる場所であるコールセンタ3には、発券統括制御装置21と業務データ用ネットワークN1を介して接続され、特定の発券端末装置10で発行させる発券内容を発券統括制御装置21へ指示可能な予約・発券操作端末装置31と、駅1の発券端末装置10と音声・映像データ用ネットワークN2を介して接続され、発券端末装置10を使っている利用者の操作支援を行う利用者操作支援端末装置32とを設ける。また、予約・発券操作端末装置31も、音声・映像データ用ネットワークN2を介して接続管理サーバ22と接続される。
【0025】
なお、これら予約・発券操作端末装置31と利用者操作支援端末装置32は、一組のセットとして一人のオペレータが使用するものであり、各予約・発券操作端末装置31と利用者操作支援端末装置32を特定できるユニークコード(個体識別番号など)が割り振ってあり、前述した駅1の発券端末装置10がコールセンタ2において接続された利用者操作支援端末装置32(および、これに対応して使用される予約・発券操作端末装置31)を特定することができるので、操作支援を要求した発券端末装置10とこれに対応中の利用者操作支援端末装置32との組み合わせを発券システム内で管理・履歴蓄積することも可能となる。
【0026】
次に、上述した本実施形態の発券システムにおいて、駅1に設置された発券端末装置10の利用者を、遠隔地のコールセンタ2にてオペレータが支援するとき、4つの支援方法を採ることができる。以下、この具体的な支援方法について、図2に基づき詳述する。
【0027】
図2(a)に示すのは、オペレータが発券の全行程を代行して行う支援方法である。すなわち、発券端末装置10でオペレータ呼出ボタンが操作され、音声・映像データ用ネットワークN2を介してコールセンタ3の利用者操作支援端末装置32と繋がった後、オペレータと利用者とのやりとりで、発券端末装置10の操作を利用者自身が行うことが非常に困難と判断された場合に、コールセンタ3のオペレータが申込書の内容や利用者からの聞き取りによって予約・発券操作端末装置31を操作し、システムセンタ2の発券統括制御装置21との予約照会などを行い、発券内容が確定すると、システムセンタ2の発券統括制御装置21から駅1の発券端末装置10へ発券指示が行われ、利用者の金銭投入により、発券端末装置10からきっぷが印字されて出てくるのである。
【0028】
このように、コールセンタ3のオペレータが発券の全行程を代行して行う支援方法によれば、不慣れな利用者が発券端末装置10を操作する必要が殆どないので、手慣れたオペレータが発券の各行程を手早く行うことで、その利用者が発券端末装置10で発券されたきっぷを受け取るまでの時間を短縮することができる反面、コールセンタ3のオペレータは適正に切符が発行されるまで利用者の対応に拘束された状態となり、多くの利用者からコールセンタの呼出が行われて全てのオペレータの手が塞がっていた場合には、後続の利用者を長時間待たせることになってしまう。そこで、本実施形態の発券システムにおいては、第2の支援方法として、図2(b)に示すように、予約・発券操作端末装置31を用いて発券操作の全行程を代行せずに、利用者操作支援端末装置32による利用者の熟練度に応じた支援だけを行えるようにしてある。
【0029】
すなわち、発券端末装置10でオペレータ呼出ボタンが操作され、音声・映像データ用ネットワークN2を介してコールセンタ3の利用者操作支援端末装置32と繋がった後、オペレータと利用者とのやりとりで、発券端末装置10の操作を利用者自身が引き続き行えるとオペレータが判断した場合、利用者が行う発券端末装置10の表示・操作パネルの操作を音声によりアシストするものである。例えば、利用者が見ている発券端末装置10の表示・操作パネルと同じ映像が利用者操作支援端末装置32にも表示され、同じ操作パネルを見ながらオペレータが利用者に音声で操作を支援すると、これを聞いた利用者が自ら表示・操作パネルを操作して、発券行程を順次進めて行くことができるのである。
【0030】
このように、駅1の発券端末装置10から利用者の問い合わせ(音声情報)および接客カメラの映像や表示・操作パネルの操作画面等(映像情報)を受けるコールセンタ3の利用者操作支援端末装置32をオペレータ(コールセンタ3の支援者)が操作することにより、利用者操作支援端末装置32を操作するオペレータからの音声を発券端末装置10より出力することで、利用者に対する操作支援を行うようにすれば、操作の一部が分からないためにその後の操作につまずいている利用者に対して、音声による操作支援を行うだけで、利用者本人に発券端末装置10を操作させて発券処理を進めることが可能となり、コールセンタ3のオペレータが予約・発券操作端末装置31を使って発券処理の全行程を代理する場合よりも負担が軽減され、また、支援に要する対応時間も減縮できることから、発券端末装置10の利用者に対して効率の良い支援を行うことができる。
【0031】
上述した音声による操作支援が有効でないとオペレータが判断した場合、予約・発券操作端末装置31から利用者操作支援端末装置32を経由して発券端末装置10へ第1操作支援要求を行い、これを受けた発券端末装置10において第1操作支援要求を受容する(例えば、発券端末装置10の表示・操作パネル上に表示された表示支援開始ボタンを押下する)と、支援表示を発券端末装置10の表示・操作パネルに表示させることが可能な第1操作支援状態に移行できる。この第1操作支援状態においては、例えば、コールセンタ3の利用者操作支援端末装置32に表示されている発券端末装置10の操作画面において、オペレータが自由に操作できる支援表示(例えば、カーソルのようなポインタ表示)を、そのまま実際の発券端末装置10の表示・操作パネルの画面にも表示させることで、利用者に対する操作支援を行うのである。このように、第1操作支援状態に移行すると、第3の支援方法として、支援表示によって注目して欲しい箇所やボタンを指し示すことができるので、音声による支援が有効でなかった利用者に対して、可視的に操作を支援することができ、一層効率の良い利用者支援を実現できる。
【0032】
しかしながら、発券端末装置10を途中まで操作していた利用者からの支援要求に対して、音声や支援表示による操作支援が有効でないとオペレータが判断した場合には、上述したように、オペレータが予約・発券操作端末装置31を操作して、発券の全行程を代行する方法もあるが、発券端末装置10での操作がある程度進んでいたような場合には、これを活かして、この発券端末装置10で続きの発券行程へ進めた方が良い場合もある。そこで、本実施形態の発券システムにおける第4の支援方法は、既に第1操作支援状態となっていることを条件として、予約・発券操作端末装置31から利用者操作支援端末装置32を経由して発券端末装置10へ第2操作支援要求を行い、これを受けた発券端末装置において第2操作支援要求を受容する(例えば、発券端末装置10の表示・操作パネル上に表示された遠隔操作支援開始ボタンを押下する)と、利用者操作支援端末装置32から発券端末装置10の発券機能を直接操作できる第2操作支援状態に移行するのである。
【0033】
このように、利用者操作支援端末装置32からオペレータが発券端末装置10を直接操作できるようにすれば、熟練したオペレータが残りの行程を手早く行うことで、その利用者が発券端末装置10で発券されたきっぷを受け取るまでの時間を短縮することができる。しかも、利用者は発券端末装置10で発券行程が進む様子を見て納得しながら発券処理が実行されてゆくので、コールセンタ3のオペレータが予約・発券操作端末装置31で発券行程を進めて最後に利用者へ提示した発券内容が利用者の要望と違っていたために、改めて発券行程をやり直さなければならないような非効率的な状況になることを未然に防ぐことができ、更に効率の良いものとなる。
【0034】
以上のように、本実施形態の発券システムでは、従来から行われていた予約・発券操作端末装置31による発券操作の全行程を代理する支援方法に加えて、音声により利用者の操作を促す支援方法と、支援表示により利用者の操作を促す支援方法と、利用者が使っている発券端末装置10を利用者操作支援端末装置32から遠隔操作して残りの発券行程を代理して行う支援方法をオペレータの判断で選定することができるので、オペレータによる利用者の支援を効率的に行えるようになる。
【0035】
また、本実施形態においては、支援表示による支援を行う場合と、遠隔操作による支援を行う場合とで、第1支援操作要求と第2操作支援要求を別々に利用者に受諾して貰うような操作としたが、例えば、コールセンタ3から遠隔操作支援要求を行い、利用者が発券端末装置10にて当該要求を受容することで、利用者操作支援端末装置32からオペレータが発券端末装置10を直接操作できる遠隔操作可能状態となるシステムとしても良い。すなわち、遠隔操作可能状態になると、カーソル等による支援表示での支援を行うか、発券端末装置10を直接操作する事で支援を行うかを、オペレータの判断で使い分けることができるので、第1操作支援状態で可能な支援の制限が無くなり、必要なときは直接操作を行うことで、利用者に対する支援の自由度が高くなる。
【0036】
以上、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明したが、本発明は、これらの実施形態に限定されるものではなく、公知既存の等価な技術手段を転用することにより実施しても構わない。
【符号の説明】
【0037】
1 駅(発券場)
10 発券端末装置
11 メイン発券装置
12 音声・映像情報入出力装置
2 システムセンタ
21 発券統括制御装置
22 接続管理サーバ
3 コールセンタ
31 予約・発券操作端末装置
32 利用者操作支援端末装置
N1 業務データ用ネットワーク
N2 音声・映像データ用ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
券売場に設置され、利用者が操作することにより、利用者の指定した券を発行する発券機能と、少なくともマイク、スピーカ、カメラを含む操作支援機能とを備えた発券端末装置と、
前記発券場とは異なる場所であるシステムセンタに設けられ、前記発券端末装置とネットワークを介して接続され、所定の手続により特定された発券内容の券を前記発券端末装置から発行させる機能を備えた発券統括制御装置と、
前記発券場とは異なる場所であるコールセンタに設けられ、前記発券統括制御装置とネットワークを介して接続され、特定の発券端末装置で発行させる発券内容を発券統括制御装置へ指示可能な予約・発券操作端末装置と、
前記予約・発券操作端末装置に対応してコールセンタに設けられ、前記発券場の発券端末装置とネットワークを介して接続され、利用者の操作支援を行う利用者操作支援端末装置と、
を備える発券システムであって、
前記発券場の発券端末装置から音声情報および映像情報を受けるコールセンタの利用者操作支援端末装置をコールセンタの支援者が操作することにより、少なくとも利用者操作支援端末装置を操作する支援者からの音声を前記発券端末装置より出力することで、利用者に対する操作支援を行うようにしたことを特徴とする発券システム。
【請求項2】
前記コールセンタの支援者の操作によって、予約・発券操作端末装置から利用者操作支援端末装置を経由して前記発券端末装置へ第1操作支援要求を行い、これを受けた発券端末装置において利用者が第1操作支援要求を受容することで、支援表示を前記発券端末装置の表示画面に表示させる第1操作支援状態となるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の発券システム。
【請求項3】
前記第1操作支援状態にあるとき、前記コールセンタの支援者の操作によって、予約・発券操作端末装置から利用者操作支援端末装置を経由して前記発券端末装置へ第2操作支援要求を行い、これを受けた発券端末装置において利用者が第2操作支援要求を受容することで、利用者操作支援端末装置から発券端末装置の発券機能を直接操作できる第2操作支援状態となるようにしたことを特徴とする請求項2に記載の発券システム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−141675(P2012−141675A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−292409(P2010−292409)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(592048741)鉄道情報システム株式会社 (5)
【Fターム(参考)】