説明

発射システムにおける衝撃分離のためのシステムおよび方法

動的な衝撃分離または動的な衝撃遮断を有するミューニション(軍用発射物)発射システムを実現するシステムおよび方法において、一体的なスプリング構成を有するスプリング・プレート・スカートが、ミューニション・フレームとミューニション延長部の間に設けられ、また、そのスプリング・プレート・スカートは、放出されるロケット・ガスの連続的な流れを供給しそのミューニション・フレームに対する底部側のアクセスを実現する開口部、を画定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミサイルおよびミューニションの発射に使用される衝撃分離システムに関する。
【0002】
関連出願
本願は、2010年3月1日付け米国特許出願第12/715063号、発明の名称“発射システムにおける衝撃分離のためのシステムおよび方法(SYSTEM AND METHOD FOR SHOCK ISOLATION IN A LAUNCH SYSTEM)”の優先権を主張するものであり、その主題の内容の全体を参照により組み込む。
【背景技術】
【0003】
現代の軍艦は、その主要な攻撃および防衛兵器として、例えば米国海軍の垂直発射システム(VSL)のようなマルチセル・ミューニション(munitions:軍用発射物、武器弾薬、砲弾)ランチャ(発射装置)(MCL)を使用する。MCL関連の改変に関連する高いコストを低減するために、ミューニション発射システムは、ますます統合化(一体化)され再構成可能な(reconfigurable)ものになっている。例えば米国特許出願公開第2009/0126556号に記載されているような適応型発射システム(ALS)によって、既存のMCLは、広範囲の“オールアップラウンド(All Up Round)”(AUR)ミサイルおよびミューニションを受け入れるように迅速に再構成することができ、従って、高コストのMCLキャニスタ(canister:小型の容器、弾筒)の開発および組込み改良または変更(retrofitting)の必要性がなくなる。
【0004】
ALSの重要なコンポーネント(構成要素)は、ミューニション・アダプタ(補助器具)である。ミューニション・アダプタは、これらのシステムから発射可能な種々のミサイルおよびミューニション用のその主要な物理的な支持および衝撃分離構造体である。従って、アダプタ設計特性は、衝撃分離(ショック・アイソレーション、衝撃隔離、衝撃遮断)、高耐熱性、充分なガス管理特性、およびそれに取り付けられたミューニションの底部側へのアクセスを含んでいる。これらの要因の多くは、抑制された発射または燃焼の事象(例えば、モータ(動力装置)またはエンジンの点火にもかかわらず燃焼中のキャニスタから発射し損なうミサイルの障害または故障)が生じたときに、さらに重要になる。
【0005】
現在のミューニション・アダプタは、例えばコイル・バネおよび/またはチューブ(管)状の衝撃吸収材のような衝撃分離器を利用する複雑で高価なアセンブリ(組立体)を含んでいる。これらの配置構成は、ミューニションに対する減少された底部側アクセスを有する、空間的に制約された環境における限られた衝撃分離を提供する。また、これらの配置構成は、抑制された発射または燃焼の期間にロケットモータ・ガスの流れを妨害する傾向があり、それによって、ランチャおよびこれに関連するハードウェアへ損傷を与え、並びに発射失敗したミサイルにごく近接した物(アイテム)へ物理的損傷を与える重大なリスクが生じる。さらに、メンテナンス(保守)および修理の作業は、損害が発生したときにまたは使用中のミューニションのタイプ(種類)における変更の一部としてアセンブリを交換するのは困難であり時間がかかるという点で、妨害を受けまたは障害が生じる。
【0006】
ロケット・ガス流、動的衝撃分離、底部側アクセスおよび支持(サポート)の改良、並びに、コスト、複雑さおよび交換時間の大幅なまたは実質的な低減、を実現する設計が望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許出願公開第2009/0126556号
【発明の概要】
【0008】
本発明の一実施形態では、ミューニション・アダプタは、(ミューニション・フレームとミューニション延長部の)間に配置された衝撃分離器によってミューニション延長部に弾性的に取り付けられたミューニション・フレームを含んでいる。その衝撃分離器は、放出された各ロケットモータ・ガスの流通を許容するように構成された開口部を含んでいる。その衝撃分離器は、ミューニション延長部とミューニション・フレームの間に調整可能な弾性(バネ)応答と、ミューニション・フレームに対する底部側アクセスとを実現する。
【0009】
本発明の別の実施形態では、ミューニション・アダプタはスプリング・プレート(バネ板)スカート(skirt:囲い、覆い)構造によってミューニション延長部に弾性的に取り付けられたミューニション・フレームを含んでいる。スプリング・プレート・スカートは、一体的なスプリング(バネ)配置構成(arrangement:装置)を含み、放出されたロケットモータ・ガスの連続的(途切れない)流通用の開口部を画定または規定する。スプリング・プレート・スカートは、ミューニション延長部とミューニション・フレームの間に調整可能なバネ構造を形成し、その一方で、ミューニション・フレームに対する底部側アクセスを実現する。
【0010】
ミューニション発射システムに動的衝撃分離を形成するシステムおよび方法では、ミューニション・フレームとミューニション延長部の間に、一体的なスプリング(バネ)配置構成を有するスプリング・プレート・スカートが設けられる。そのスプリング・プレート・スカートは、放出されたロケット・ガスの連続的な(途切れない)流れ、およびミューニション・フレームに対する底部側アクセス、を実現する開口部を規定する。
【0011】
.
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、従来技術による例示的なALSの部分切欠き斜視図である。
【図2】図2は、従来技術によれるミューニション・アダプタの斜視図である。
【図3】図3は、図2のミューニション・アダプタにおいて使用される衝撃分離スカートの斜視図である。
【図4】図4は、本発明の実施形態によるミューニション・アダプタの斜視図である。
【図5】図5は、図4に示されたミューニション・アダプタにおいて使用されるスプリング・プレート・スカートの斜視図である。
【図6】図6は、本発明の実施形態による、スプリング・プレート・スカートの一部分の斜視図である。
【図7】図7は、例示的な一体的なスプリング配置構成を形成するに使用される複数のスロットを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、添付の図面に例が示された本発明の例示的な本実施形態を詳しく参照する。
【0014】
図1〜3を概略的に参照すると、従来技術の例示的なALS100が示されており、ここで説明される。ALS100は、シェル構造体102、ミューニション・アダプタ104、および発射制御電子機器106を含んでいる。シェル構造体102は、ミューニション・アダプタ104とこれに取り付けられたミューニション(munitions:軍用発射物、武器弾薬、砲弾)115(例えば、ミサイル、アクティブ・デコイ(decoys)、無人機(UAV))、およびミューニション115の発射を制御する発射制御電子回路106、用のハウジングまたは筐体として機能する。
【0015】
シェル構造体102は、さらにシール・バルクヘッドまたは密閉型隔壁(sealing bulkhead)108、ミューニション・コンパートメント(区画)110、および電子機器コンパートメント112を含んでいる。シール・バルクヘッド108は、シェル構造体102と協働して、ミューニション・コンパートメント110を、電子機器コンパートメント112と、シェル構造体102の外側の空間とから分離する。また、シール・バルクヘッド108は、ガス管理システムの一部として機能し、発射または燃焼するミューニションから放出される排気ガスが、電子機器112に流入するのを防止する。さらに、シール・バルクヘッド108は、ミューニション・アダプタ104を取り付け支持する取付面を形成する。
【0016】
ミューニション・アダプタ104は、ミューニション・コンパートメント110内に位置しており、ミューニション・フレーム114およびミューニション延長部116を含んでいる。ミューニション延長部116の基体(base、基部、基台)は、シール・バルクヘッド108の上に取り付けられる。ミューニション・アダプタ104によって、ALS100は、異なるタイプ(種類)のサイズのミューニション115を収容し、異なるタイプ(種類)のサイズのミューニション115に適合または対応することが可能になる。具体的には、ミューニション延長部116の長さおよび構成は、使用中のミューニション115の長さおよびタイプに基づいて変更され、単一サイズのシェル構造体102が種々のタイプのミューニションを収容または格納することを可能にする。同様に、ミューニション・フレーム114は、使用されるミューニション115のタイプに固有のものであってもよい。
【0017】
図2を概略的に参照すると、スカート120が、ミューニション延長部116に、例えばコイル・バネおよび/またはチューブまたは管状の藁状の束(shocks)のような垂直衝撃分離器(分離装置)122によって取り付けられている。ミューニション・フレーム114は、スカート120に強固に(rigidly)取り付けるように構成された基体部分(base portion)117を含んでいる。従って、スカート120および垂直衝撃分離器122は、ミューニション・フレーム114とミューニション延長部116の間に弾性的な結合を形成する。
【0018】
図3を参照すると、スカート120は、垂直衝撃分離器122によって、ミューニション延長部116の頂部分119に取り付けられている。垂直(方向)案内要素124が、スカート120の横方向の動きを制限するように設けられている。垂直衝撃分離器122は、ミューニション・フレーム114(図示せず)とミューニション延長部116の間に垂直方向(図示のY方向)の弾性コンプライアンス(resilient compliance)を与え、それがない場合に、発射または海軍のニアミスの爆発的衝撃環境の期間に、ALS100および下部の構造体を介して伝達され得る力を、減少させる。この弾性コンプライアンスは、誘発された衝撃事象に起因して大幅に(有意に)増大した力がスカート120に加わるような、特に衝撃環境において、例えば、ミサイル発射またはニアミス爆発的衝撃テストの期間において、重要である。
【0019】
ミューニション延長部116の頂部分119は、概して、垂直衝撃分離器122を取り付けるのに適した板状の面を含んでいる。この配置構成は、点火または燃焼の期間に放出される排出ガスの途切れない流れと、ミューニション115(図1)に対する底部側または底面側アクセスとを防止する。放出された排気ガスは、3000度を超える温度に達し、その流れが乱流になるのに少なくとも2フィート(0.61m)を必要とする可能性があり、従って、周囲のコンポーネントに対して危険性が低くなる。従って、排気ガスが、発射するミューニションによってスカート120の中心を通って放出されると、排気ガスは、頂部分119に向けられ、その頂部分119と、衝撃分離器122および隣接のシェル構造体102を含む周囲のコンポーネントとを、しばしば、溶融させ、損傷させ、またはそうでなければ破壊する。
【0020】
上述の配置構成のさらなる欠点は、そのシステムの衝撃分離特性を変更するのに必要な時間集約的で複雑な修正を含んでいる。さらに、より大きい衝撃分離が必要となるに従って、より大きいコイル・バネおよび/またはダンパが必要となり得る。しかし、これらのコンポーネントのサイズは、シェル構造体102の相対的に狭いスペースの制約によって制限される。この結果として、理想的な衝撃分離よりも弱い分離が得られる。また、垂直案内要素124は、厳しい環境において動きにくくなりまたは固着しおよび腐食する傾向がある。
【0021】
本発明の一観点では、ミューニション・フレームに対する開放された底部側のアクセスと、放出された排気ガス用の開放された流路とを提供するALSにおいて用いられる簡単でコスト効率の良い衝撃分離システムが実現される。従って、本発明の実施形態では、上述のスカート、分離器、およびミューニション延長部が、より効率的な、交換可能なおよび調整可能な設計で、置き換えられる。
【0022】
図4を概略的に参照すると、本発明の実施形態によるミューニション・アダプタ204が示されており、ここで説明される。ミューニション・アダプタ204は、スプリング・プレート・スカート(spring plate skirt:バネ板スカート)220と、ミューニション・フレーム214と、スプリング・プレート・スカート220を支持する中空のミューニション延長部206とを含んでいる。スプリング・プレート・スカート220は、例えばボルトまたはその他の適したファスナ(締め付け具)のような通常の手段によって、ミューニション延長部206に強固に結合または接続されることが好ましい。スプリング・プレート・スカート220は、ミューニション・フレーム214を弾性的に支持するよう構成されており、従って、図1〜3に関して上述した従来技術のスカート、衝撃分離器および垂直案内要素を置換する。従来技術のミューニション・アダプタ104に関して上述したように、ミューニション・フレーム214およびミューニション延長部206は、使用されるミューニションのタイプに固有のものであってもよい。
【0023】
図5を参照すると、例示的なスプリング・プレート・スカート220が示されている。本発明の一実施形態では、スプリング・プレート・スカート220は、(支持要素の)間に開口部235を画定または規定するよう構成された複数の支持要素230(図では4つ)から成る多面構造体であり、放出されたロケット・ガスの途切れない流れを形成する。図6に関して以下詳細に説明するように、複数の支持要素230は、概してY方向に圧縮する動的弾性(バネ)応答を形成する。複数の支持要素230は、ミューニション・フレーム214を取り付けるための開孔部245(図6)を含んでいてもよく、また、例えば開孔部246(図6)を通して配置されるボルトのような通常の手段によってスプリング・プレート・スカート220を形成するように共に締め付けられまたは固定されてもよい。この配置の結果として、点火状態並びに静的状態(条件)の期間にミューニションおよびミューニション・フレーム214に必要な改善された横方向の支持を形成する剛構造体(rigid structure)が得られる。箱入りの(boxed)またはそうでなければ囲まれた(enclosed)配置の固有の安定性によって、例えば図3に示された従来技術の垂直案内要素124のような追加的な横方向の支持手段または案内手段の必要性がなくなり、さらに、コストおよび複雑さが低減する一方で、システム信頼性が向上する。4面スカートが示されているが、本発明の範囲から逸脱することなく、例えば円形状または三角形状の配列のような任意の形状、並びに、例えば単一の支持要素のような任意の数の支持要素を使用してもよい、と想定される。
【0024】
図6を参照すると、スプリング・プレート・スカート220の動的弾性応答またはバネ応答が、支持要素230内に形成された一体化(統合)されたスプリング(バネ)配置構成240によって実現される。具体的には、複数の支持要素230はボイド(空間、空所)を特徴として有し(feature)、例えばそこに形成される複数のスロット241を特徴として有する。各スロット241は、例えば発射するミサイルまたは海軍のニアミスの爆発的衝撃環境によって形成される力のような、Y方向と同様または類似の方向に作用する負荷に応答して概してY方向に(図4〜7)圧縮して、各支持要素230がスプリング・プレート(バネ板)として作用するように、弾性ビームまたはバネ・ビームとして作用する。また、スロット241によって、排気ガスの流通が可能になり、さらにシェル構造体内に形成される潜在的圧力が緩和または軽減される。
【0025】
図7を概略的に参照すると、複数のスロット241の配置構成は複数の支持要素230のバネ特性を決定する。独創的な新規の技術の実施形態において、スロット241は、概して水平方向の行(列)R1、R2の形に形成され、幅Lおよび高さHを含んでいる。支持要素230の有効なバネ定数(スプリング・レート)は、スロット・パターンを変えることによって変更され、具体的には、スロット241の長さおよび幅、並びにそれらの互いの向き(方位)を修正することによって変更される。スロット・パターンの例示的な配置構成が示されているが、多数の構成で配置される種々様々な(異なる)ボイド(空隙、空隙率、孔隙)を用いて、本発明の範囲から逸脱することなく、特定の適用例(アプリケーション)用の目標の弾性的(バネ)効果を達成することができる、と想定される。上述の配置構成は、従来技術に使用されたコイル・バネに比べて所与の有効なバネ定数用の大幅に改善されたストローク対長さの比を提供するように、示されている。
【0026】
例示的な構成において、支持要素230は、厚さ約1インチ(2.54cm)、幅約25インチ(5.08cm)、高さ約12〜18インチ(30.48〜45.72cm)、圧縮範囲約3インチ〜4インチ(7.62cm〜10.16cm)、実効的バネ定数約2500〜3500インチ−ポンド(in−lbs)(2880〜4032gkf・cm)のものである。これらのパラメータは、力を最大30Gまでに制限するために、海軍のニアミスの爆発的衝撃環境シミュレーションにおいて有効であることが示された。これらの特性は、使用されるミューニションのタイプ(種類)並びに所望の性能基準に応じて、これらの範囲外に変更してもよい、と理解されるべきである。例えば、より大きい圧縮ストロークまたはより大きい量の弾性的(バネ)分離が必要な場合には、例えば高さおよび/またはスロット・パターンの変化のような種々の特性を有する交換用スカートを、従来技術の解決法の空間が結果的に低減されることなく、ミューニション・アダプタ中に簡単に置き換えることができる。
【0027】
支持要素230は、例えば、プレート・ストック(貯蔵、材料)を用いてウォータ・ジェットまたは機械加工によって複数のスロット241を形成することによって、経済的に製造することができる。このようにして、所望のスロット・パターンを、支持要素の迅速かつ正確な生産のためにウォータ・ジェットまたはCNC(コンピュータ数値制御)ミル(mill:工場設備)中にプログラムすることができる。同様に、各支持要素230は複数の層から形成されてもよい。例えば、厚さ2.5インチ(6.35cm)の板を、特定のスロット・パターンに加工し、互いに隣接するよう配置して、機械加工時間および原料コストを低減してもよい。支持要素230は、例えば、鉄鋼、アルミニウム、金属合金、複合材料、ゴム、または他のポリマー、のような任意の適切な材料で形成することができる。好ましい実施形態において、約80ksi(1平方インチ当りキロポンド)(5625kgf/cm)の降伏強度(yield strength)を有する鉄鋼を用いて、降伏前の充分な撓みが与えられる。ニッケル被覆(コーティング)を用いて、海軍作戦行動において一般的な塩水環境において耐食性(耐腐食性)を増大させてもよい。
【0028】
各ロケット・ガスによって生成される高温に耐えることができる材料でスプリング・プレート・スカート220を形成して、そのスカートの構造的な完全性または整合性(integrity)を確保するようにし、従って、抑制された点火または燃焼の期間にそのスカートからミューニション・フレームおよびミューニションが分離するのを防止するその保持能力を確保することは、有利である。しかし、本発明の範囲から逸脱することなく、例えば望ましい衝撃分離特性を実現し得るゴムまたはその他のポリマーのようなその他の材料を使用できる、と想定される。
【0029】
例えば、本発明のより一般的な実施形態において、分離器中を貫通する開口部を画定する、例えばゴムまたはフォーム(発泡体)製アイソレータ(分離器)のような分離器を、スプリング・プレート・スカート220の代わりに用いてもよい。その分離器は、ミューニション延長部とミューニション・フレームの間に配置されて、両者間に所望の動的な弾性応答またはバネ応答が形成される。その分離器は、例えば鉄鋼の挿入物および/またはテザー(tether:繋ぎ綱)のような一体的な(不可欠な)支持構造体を含んでいていてもよく、抑制された点火または燃焼の事象において、ミューニション・フレームが分離器および/またはミューニション延長部から確実に分離するようにする。その分離器は、ミサイルおよびミューニションの点火または燃焼の期間において各放出ガスの流通を可能にするための開口部を、画定することが好ましいであろう。
【0030】
再び図4を参照すると、ミューニション延長部206は、同様に、ウォータ・ジェットまたは機械加工されたプレート(板)で形成されてもよく、通常の手段によって共に固定または締め付けられてもよい。利点として、ミューニション延長部206はその中に中空空間236を形成する。複数の支持要素230によって形成される中空空間236および開口部235(図5)は、そのミューニションの点火端部の下に単一または唯一の開口空洞(open cavity)を形成する。その結果として、従来技術の解決法とは違って、排気ガスは、下向きに放出されると、概して妨げがなく流通または通過し、従って、例えばミューニション延長部206またはスプリング・プレート・スカート220のような重要なコンポーネント(構成要素)と接触することなく、邪魔されない流れ特性を達成することができる。また、中空空間236および開口部235によって画定された開放(空き)領域によって、ミューニションおよびミューニション・フレーム214に対する底部側アクセスが実現され、従来技術の解決法での重要なアクセスの問題がなくなる。
【0031】
上述の任意の実施形態を参照すると、システムの固有の摩擦減衰(frictional damping)を超えて追加的な減衰が必要とされてもよい。従って、本発明の代替的な実施形態において、システムは、さらに、種々の形態の減衰(dampening)を含んでいてもよく、例えば、スプリング・スカートに取り付けられた油充填型の衝撃分離器、または支持要素に形成されまたはスプリング・プレート・アセンブリの表面上に形成された各ボイド内に配置された弾性材料を含んでいてもよい。支持要素のボイド内にフォーム(発泡体)またはその他の適切な材料を用いることは、アセンブリ内の重要な空間を占有することなく、追加的な減衰を実現することができるという点で、さらに有利である。
【0032】
上述の実施形態では、例示的なALSにおいて使用される本発明の分離器またはスプリング・プレート・スカートについて説明したが、本発明の実施形態は、ここで説明していない多数の代替的な適用例において組込み変更または設計してもよい、と想定される。例えば、本発明の実施形態は、上述のものに同様の利益を与えつつ、垂直衝撃分離を必要とする任意のタイプの発射または打上げシステムに適用することができる。
【0033】
以上の説明では例示的な実施形態および実現形態について記載したが、この分野の専門家には、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、本発明に種々の変更および変形を施すことができることが、明らかである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発射システムにおいて使用するための衝撃分離アセンブリであって、
発射体取付けフレームと、
基体部分と、
中を貫通する開口部を画定する衝撃分離器と、
を含み、
前記衝撃分離器は、前記発射体取付けフレームを前記基体部分に弾性的に取り付けるよう構成されているものである、衝撃分離アセンブリ。
【請求項2】
前記衝撃分離器は、少なくとも1つの弾性支持部材を含むものである、請求項1に記載の衝撃分離アセンブリ。
【請求項3】
前記少なくとも1つの弾性支持部材は一体的なスプリング配置構成を含むものである、請求項2に記載の衝撃分離アセンブリ。
【請求項4】
前記一体的なスプリング配置構成は、前記少なくとも1つの弾性支持部材に形成された少なくとも1つのボイドを含むものである、請求項3に記載の衝撃分離アセンブリ。
【請求項5】
前記少なくとも1つのボイドは少なくとも1つのスロットを含むものである、請求項4に記載の衝撃分離アセンブリ。
【請求項6】
前記少なくとも1つのボイドは、前記少なくとも1つの弾性支持部材に所定の周波数応答を与えるよう構成された複数のボイドを含むものである、請求項4に記載の衝撃分離アセンブリ。
【請求項7】
前記少なくとも1つの弾性支持部材は、少なくとも1つのプレートを含むものである、請求項6に記載の衝撃分離アセンブリ。
【請求項8】
前記少なくとも1つのプレートは、4面スカートを形成するように配置された4つのプレートを含むものである、請求項7に記載の衝撃分離アセンブリ。
【請求項9】
前記基体部分は、前記衝撃分離器によって画定された前記開口部に対応する中空空間を画定するものである、請求項1に記載の衝撃分離アセンブリ。
【請求項10】
前記衝撃分離器によって画定された前記開口部は、前記発射体取付けフレーム上に配置された発射体の点火端部と整列しているものである、請求項1に記載の衝撃分離アセンブリ。
【請求項11】
前記衝撃分離器によって画定された前記開口部と、前記基体部分によって画定された中空空間とは、連続的な空洞を形成するものである、請求項10に記載の衝撃分離アセンブリ。
【請求項12】
前記衝撃分離器は、前記発射体取付けフレームを取り付けるための少なくとも1つの開孔部を含むものである、請求項1に記載の衝撃分離アセンブリ。
【請求項13】
垂直発射システムにおいて使用するための衝撃分離部材であって、
中を貫通する開口部を画定する少なくとも1つの弾性支持要素を含み、
前記少なくとも1つの弾性支持要素は、発射体取付けフレームに取り付けられるよう構成された第1の端部と、基体部分に取り付けられるよう構成された第2の端部と、を有するものである、衝撃分離部材。
【請求項14】
前記少なくとも1つの弾性支持要素は一体的なスプリング配置構成を含むものである、請求項13に記載の衝撃分離部材。
【請求項15】
前記一体的なスプリング配置構成は、前記少なくとも1つの弾性支持要素に形成された少なくとも1つのボイドを含むものである、請求項14に記載の衝撃分離部材。
【請求項16】
前記少なくとも1つのボイドは、前記少なくとも1つの弾性支持部材に所定の周波数応答を与えるよう構成された複数のボイドを含むものである、請求項15に記載の衝撃分離部材。
【請求項17】
発射体発射システムにおいて衝撃を吸収する方法であって、
衝撃分離器によって画定された開口部を、発射体フレームに取り付けられた発射体の点火端部と整列させ、
前記発射体フレームを基体部分に前記衝撃分離器で弾性的に取り付け、
燃焼する発射体によって形成される力を前記衝撃分離器で吸収する
ことを含む、方法。
【請求項18】
さらに、所定の周波数応答を達成するために、前記衝撃分離器中に一体的なスプリング配置構成を形成するステップを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記一体的なスプリング配置構成を形成するステップは、さらに、前記衝撃分離器中に所定のパターンのボイドを形成することを含むものである、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
さらに、前記基体部分によって画定された開口部を、前記衝撃分離器によって画定された前記開口部と整列させるステップを含む、請求項17に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2013−521463(P2013−521463A)
【公表日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−556175(P2012−556175)
【出願日】平成23年3月1日(2011.3.1)
【国際出願番号】PCT/US2011/026699
【国際公開番号】WO2011/152903
【国際公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【出願人】(504019881)ロッキード マーティン コーポレイション (4)
【氏名又は名称原語表記】LOCKHEED MARTIN CORPORATION
【住所又は居所原語表記】6801 Rockledge Drive, Bethesda, MD 20817, U.S.A.
【Fターム(参考)】