説明

発毛調節光照射装置

【課題】専門知識を有さない使用者であっても発光ユニットを安全に交換して使用することのできる発毛調節光照射装置を提供する。
【解決手段】本発明の発毛調節光照射装置は、装置本体1と、装置本体1に装着される発光ユニット2と、装置本体1に発光ユニット2を固定する固定手段3とから成る。上記装置本体1には、メインコンデンサ部9と、本体側コネクタ11と、電源スイッチ12と、解除スイッチ14とを設ける。上記発光ユニット2には、発光体17と、発光体側コネクタ21とを設ける。更に、電源スイッチ12を電源オフにしたときのみ解除スイッチ14による発光ユニット2の固定解除を可能にする解除規制手段30と、発光ユニット2が装置本体1から外されているときには電源スイッチ12による電源オンを不能にする電源オン規制手段41とを具備したものにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、体毛の成長を調節するための光を皮膚に対して照射する発毛調節光照射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、フラッシュランプ等の発光体が発した光を皮膚に当て、体毛の成長を抑制又は促進することで、脱毛又は育毛を図る発毛調節光照射装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。このような発毛調節光照射装置において、一定回数を超えて使用した後は、劣化した発光体だけを新品に交換して使用することが、コスト面や環境面において望ましい。
【0003】
ところで、発光体は、シェードやレンズ等の他の光学部品に対して適切な位置に固定する必要がある。このため、発光体と他の光学部品を組み合わせた発光ユニットを形成しておき、発光ユニットごと新品に交換する必要がある。
【0004】
また、発光ユニット内の発光体には高電圧を印加する構造になっている。したがって、発光ユニットを交換する際には、高電圧に対して十分な注意(接点の火花等)を払うことが必要である。そのため、発光ユニットの交換作業は予め訓練を受けたオペレータが行う必要があり、一般家庭の専門知識を有さない使用者が自ら交換することはできないという問題があった。
【特許文献1】特開2005−278724号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記問題点に鑑みて発明したものであって、専門知識を有さない使用者であっても発光ユニットを安全に交換して使用することのできる発毛調節光照射装置を提供することを、課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する本発明の発毛調節光照射装置は、装置本体1と、装置本体1に装着される発光ユニット2と、装置本体1に発光ユニット2を固定する固定手段3とから成る。上記装置本体1には、メインコンデンサ部9と、電源から供給される電圧を昇圧させてメインコンデンサ部9に供給する昇圧回路部10と、メインコンデンサ部9に接続される本体側コネクタ11と、電源供給のオンオフを切換える電源スイッチ12と、固定手段3による発光ユニット2の固定を解除する解除スイッチ14とを設ける。上記発光ユニット2には、体毛の成長を調節する光を皮膚に向けて照射させる発光体17と、装置本体1に発光ユニット2を固定した際に発光体17を本体側コネクタ11に接続させる発光体側コネクタ21とを設ける。そして、電源スイッチ12を電源オフにしたときにのみ解除スイッチ14による発光ユニット2の固定解除を可能にする解除規制手段30と、発光ユニット2が装置本体1から外されているときには電源スイッチ12による電源オンを不能にする電源オン規制手段41とを具備したものとする。
【0007】
上記構成の発毛調節光照射装置にあっては、電源スイッチ12を操作して電源オフを選択したうえでないと発光ユニット2を取り外すことができず、しかも、この発光ユニット2を取り外した状態のままでは電源スイッチ12を操作して電源オンを選択することができない。したがって、専門知識を有さない使用者が発光ユニット2を交換する場合であっても、接点の火花が生じる等の危険は確実に防止される。
【0008】
更に、上記構成の発毛調節光照射装置において、装置本体1のメインコンデンサ部9の電荷を放出する放電回路部15と、電源スイッチ12を電源オフにすることに連動して放電回路部15によるメインコンデンサ部9の電荷放出を行う放電制御手段50とを具備することも好適である。このようにすることで、更に安全性を確保することができる。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に係る発明は、電源スイッチを電源オフにしたときにのみ解除スイッチによる発光ユニットの固定解除を可能にする解除規制手段と、発光ユニットが装置本体から外されているときには電源スイッチによる電源オンを不能にする電源オン規制手段とを具備したことで、専門知識を有さない使用者が発光ユニットを交換する場合であっても、接点の火花が生じる等の危険は確実に防止されるという効果を奏する。
【0010】
また請求項2に係る発明は、装置本体のメインコンデンサ部の電荷を放出する放電回路部と、電源スイッチを電源オフにすることに連動して放電回路部によるメインコンデンサ部の電荷放出を行う放電制御手段とを具備したことで、請求項1に係る発明の効果に加えて、更に安全性を確保することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基づいて説明する。図1〜図3には、本発明の実施形態における一例の発毛調節光照射装置の全体を示している。
【0012】
本例の発毛調節光照射装置は、使用者が片手で把持可能な装置本体1と、装置本体1に着脱自在に装着される発光ユニット2と、装置本体1に対して発光ユニット2を固定する固定手段3とで主体を成す。なお、以下の本文中に用いる上下、左右、前後等の各方向は、装置本体1に対して発光ユニット2が位置する方向を上方向とし、後述の電源スイッチ12を配した側を前側としたときを基準とする。
【0013】
図1に示すように、上記固定手段3は、発光ユニット2から下方に延設される左右一対の被係止部4と、各被係止部4を係止するために装置本体1内に設置した左右一対の係止部5と、被係止部4と係止部5の係止状態を維持するための圧縮バネである付勢部材6とから成る。被係止部4は、その下端部分を左右方向の外方に屈折させたフック状のものである。また、係止部5は、その上端部分を左右方向の内方に屈折させたフック状のものであって、装置本体1に対して前後軸回りにシーソー状に回動自在となっている。係止部5の上端部分には、左右方向の外方から付勢部材6を押し当てることで、係止部5の上端部分を被係止部4側に押し付ける付勢力を与えている。
【0014】
上記固定手段3にあっては、被係止部4のL字状に屈折した下端部分が、係止部5のL字状に屈折した上端部分に係合することで、発光ユニット2は装置本体1に固定される。この固定を解除するための手段については後述する。
【0015】
上記装置本体1の外殻を成す本体ケース7には、電池から成る電源部8と、メインコンデンサ部9と、電源部8から供給される電圧を昇圧させてメインコンデンサ部9に供給する昇圧回路部10と、メインコンデンサ部9に接続される本体側コネクタ11とを収納している(図3参照)。本体側コネクタ11は、本体ケース7の上端面に露出させてある。
【0016】
本体ケース7の前面には、上下スライド自在であってそのスライド位置により電源供給のオンオフを切換える電源スイッチ12と、光照射のオンオフを切換える照射スイッチ13とを露出させて設けている。電源スイッチ12は、上側のスライド位置(電源オン位置)にあるときにメインコンデンサ部9への電源供給をオンにし、下側のスライド位置(電源オフ位置)にあるときにメインコンデンサ部9への電源供給をオフにする。
【0017】
本体ケース7の左右両側面には、上記固定手段3による発光ユニット2の固定を解除するための左右一対の解除スイッチ14を、突没自在に設けている。解除スイッチ14の底部は、本体ケース7内にて、係止部5の付勢部材6が当たる端部とは回動軸を挟んで逆側の端部に当接させている。
【0018】
また、図3に示すように、装置本体1に内蔵してある制御部25は、上記昇圧回路部10と上記メインコンデンサ部9に加えて、メインコンデンサ部9に蓄積した電荷を一旦放出してゼロにするための放電回路部15を有している。制御部25に対しては、電源スイッチ12や照射スイッチ13の操作信号が入力され、各操作信号に基づいて発光ユニット2からの光照射を制御する。
【0019】
上記発光ユニット2の外殻を成すユニットケース16内には、キセノンランプから成るフラッシュライトである発光体17と、発光体17が発する光を図中上方である光照射方向Aに向けて反射するシェード18とを固定している。発光体17が発する光は、体毛の成長を調節する機能(本例では体毛の成長を抑制する機能)を有する。ユニットケース16の上端面であって発光体17の光照射方向Aに位置する部分には、光照射口19を開口させている。光照射口19には透明の照射窓20を設けており、発光体17の発光は照射窓20を通じて外部に照射される。
【0020】
ユニットケース16の下端面からは、発光体側コネクタ21を露出させている。発光体側コネクタ21は、発光体17に接続させて設けたものであり、装置本体1に発光ユニット2を固定した際には、装置本体1の本体側コネクタ11に接続されるようになっている。つまり、装置本体1に発光ユニット2を固定した状態においては、本体側コネクタ11および発光体側コネクタ21を介して、発光ユニット2内の発光体17が装置本体1内のメインコンデンサ部9に接続される。
【0021】
上記構成の発毛調節光照射装置を用いて抑毛効果を得るには、まず、使用者は電源スイッチ12を上方にスライドさせて電源オンにし、メインコンデンサ部9に電荷を蓄積させる。次いで、発光ユニット2の光照射方向Aに、処理対象である人体の皮膚(図示せず)を位置させ、ユニットケース16の上端面を皮膚に押し当てる。ここで使用者が照射スイッチ13を押下して照射オンにすると、メインコンデンサ部9から本体側コネクタ11および発光体側コネクタ21を介して電力供給された発光体17は、パルス状に発光する。そして、シェード18に反射した発光体17の光が、光照射方向Aに向けて照射される。
【0022】
上記構成の発毛調節光照射装置の発光ユニット2を交換するには、使用者が左右両側の解除スイッチ14を左右方向の内方に向けて押し込んだうえで、発光ユニット2を上方に抜き取ればよい。解除スイッチ14を押し込んで本体ケース7内に没入させると、解除スイッチ14の底部によって下側部分が押し込まれた係止部5はシーソー状に回動し(図7参照)、被係止部4に係止していた係止部5の上側部分を、外方に退避させる。この退避動作により、被係止部4と係止部5の係止状態は解除され、発光ユニット2は装置本体1に対して着脱自在となる(図8参照)。
【0023】
そして、本例の発毛調節光照射装置にあっては特徴的な構成として、解除スイッチ14による発光ユニット2の固定解除を規制する解除規制手段30と、電源スイッチ12による電源オンを規制する電源オン規制手段40とを、共に具備している。
【0024】
上記解除規制手段30は、電源スイッチ12が下方の電源オフ位置にあるときにのみ、解除スイッチ14による発光ユニット2の固定解除を可能にするものである。具体的には、電源スイッチ12から左右両側方に延設されるL字状のアーム31と、電源スイッチ12が上方の電源オン位置にあるときはアーム31が当たって解除禁止位置にまで押し上げられるように前後方向にスライド自在に設置された解除規制部材32と、解除規制部材32に対して解除禁止位置から退避する方向への付勢力を付与する圧縮バネである付勢部材33とから成る、機械的な規制手段である(図4参照)。
【0025】
なお、ここでの解除禁止位置とは、係止部5の下側部分を挟んで解除スイッチ14とは逆側の位置である。解除規制部材32がこの解除禁止位置にあることで、解除スイッチ14を押し込んでも、係止部5が解除規制部材32に当たって回動しないようになっている。
【0026】
上記電源オン規制手段40は、発光ユニット2が装置本体1に固定されているときにのみ電源スイッチ12による電源オンを可能にし、発光ユニット2が装置本体1から外されているときには電源スイッチ12による電源オンを不能にするものである。具体的には、発光ユニット2が固定されているときは被係止部4の先端が押し当たって電源オン禁止位置から退避するように前後方向にスライド自在に設置された電源オン規制部材41と、電源オン規制部材41を電源オン禁止位置に位置させるための付勢力を付与する圧縮バネである付勢部材42とから成る、機械的な規制手段である(図4参照)。
【0027】
なお、ここでの電源オン禁止位置とは、電源オン規制部材41の下端突起部が、電源オフ位置にある電源スイッチ12の上方へのスライドを禁止する位置である。電源オン規制部材41が電源オン禁止位置にあることで、電源オフ位置にある電源スイッチ12を上方に押し上げても、電源オン規制部材41に当たってスライドしないようになっている。
【0028】
更に、本例の発毛調節光照射装置にあっては特徴的な構成として、電源スイッチ12がオフのときに放電回路部15によってメインコンデンサ部9の電荷放出を行う放電制御手段50を具備している(図3参照)。上記放電制御手段50は制御部25から成り、電源スイッチ12からの操作信号に基づいて電源をオフにするとともに、これに連動して、放電回路部15によるメインコンデンサ部9の電荷放出を実行するように設けている。
【0029】
上記構成の解除規制手段30と、電源オン規制手段40と、放電制御手段50を具備する発毛調節光照射装置にあっては、専門知識を有さない使用者が発光ユニット2を交換する場合であっても、接点の火花が生じる等の危険は確実に防止される。
【0030】
例えば、図5に示すように、発光ユニット2を装着して電源スイッチ12をオンにしていた状態から発光ユニット2を交換するには、以下の手順が必要となる。まず、図6に示すように、使用者は電源スイッチ12を下方の電源オフ位置にまでスライドさせて電源をオフにする。このとき、アーム31が離れることで、解除規制部材32は付勢部材33の付勢力により解除禁止位置から退避し、係止部5は回動可能な状態となる。
【0031】
ここで、図7に示すように解除スイッチ14を押し込むと、係止部5が付勢部材6の付勢力に抗して回動し、係止部5と被係止部4との係合を解除する。したがって、図8に示すように、使用者は解除スイッチ14の押し込みを維持したまま発光ユニット2を上方に引き抜くことで、発光ユニット2を取り外すことができる。
【0032】
ところで、電源スイッチ12をオンにしたままでは、解除規制部材32が退避しないので解除スイッチ14を押し込むことができない。つまり、電源をオンにしたまま発光ユニット2を取り外すことが、確実に防止されることになる。
【0033】
発光ユニット2を取り外した状態においては、発光ユニット2を固定しているときには被係止部4により押し込まれて退避位置にあった電源オン規制部材41が、付勢部材42の付勢力によって電源オン禁止位置にまでスライド移動する。つまり、本体側コネクタ11が露出した状態において電源がオンになることが、確実に防止されることになる。
【0034】
更に、電源スイッチ12をスライドさせて電源をオフにするたびに制御部25がメインコンデンサ部9の電荷を放出するようになっているので、接点の火花が生じる等の危険は更に確実に防止される。
【0035】
なお、制御部25は、解除スイッチ14がオンになることに連動してメインコンデンサ部9の電荷放出を行うものであってもよい。この場合には、解除スイッチ14の押し込みを検知する解除検知センサ(図示せず)を装置本体1内に設置しておき、解除検知センサの操作信号に基づいて、制御部25が放電回路部15によってメインコンデンサ部9の電荷放出を行うように設定する。
【0036】
本発明の発毛調節光照射装置において、発光体17はキセノンライトから成るフラッシュライトに限定されず、他の構成から成るフラッシュライトであってもよいし、或いはレーザダイオード等を用いてレーザ光を照射するものであってもよい。また、体毛の成長を促進して育毛効果を得るための光を照射するものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の実施形態における一例の発毛調節光照射装置の正面図である。
【図2】同上の発毛調節光照射装置の発光ユニットを取外した状態の正面図である。
【図3】同上の発毛調節光照射装置の概略ブロック図である。
【図4】同上の発毛調節光照射装置の解除規制手段および電源オン規制手段を示す要部説明図である。
【図5】同上の発毛調節光照射装置の電源オン時を示す要部説明図である。
【図6】同上の発毛調節光照射装置の電源オフ時を示す要部説明図である。
【図7】同上の発毛調節光照射装置の解除スイッチ押込み時を示す要部説明図である。
【図8】同上の発毛調節光照射装置の発光ユニット取外し時を示す要部説明図である。
【符号の説明】
【0038】
1 装置本体
2 発光ユニット
3 固定手段
9 メインコンデンサ部
10 昇圧回路部
11 本体側コネクタ
12 電源スイッチ
14 解除スイッチ
17 発光体
21 発光体側コネクタ
30 解除規制手段
40 電源オン規制手段
50 放電制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体と、装置本体に装着される発光ユニットと、装置本体に発光ユニットを固定する固定手段とから成り、上記装置本体には、メインコンデンサ部と、電源から供給される電圧を昇圧させてメインコンデンサ部に供給する昇圧回路部と、メインコンデンサ部に接続される本体側コネクタと、電源供給のオンオフを切換える電源スイッチと、固定手段による発光ユニットの固定を解除する解除スイッチとを設け、上記発光ユニットには、体毛の成長を調節する光を皮膚に向けて照射させる発光体と、装置本体に発光ユニットを固定した際に発光体を本体側コネクタに接続させる発光体側コネクタとを設けた発毛調節光照射装置であって、電源スイッチを電源オフにしたときにのみ解除スイッチによる発光ユニットの固定解除を可能にする解除規制手段と、発光ユニットが装置本体から外されているときには電源スイッチによる電源オンを不能にする電源オン規制手段とを具備することを特徴とする発毛調節光照射装置。
【請求項2】
装置本体のメインコンデンサ部の電荷を放出する放電回路部と、電源スイッチを電源オフにすることに連動して放電回路部によるメインコンデンサ部の電荷放出を行う放電制御手段とを具備することを特徴とする請求項1に記載の発毛調節光照射装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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