説明

発泡した柔軟な熱可塑性エラストマー層を有するベルト

この発泡層(1,3,6,17,23)が未発泡状態において最大85のショアA硬さを有する熱可塑性エラストマーの発泡体を含むことを特徴とする、発泡層(1,3,6,17,23)からなるベルト。熱可塑性エラストマーは、特に、相溶性のある熱可塑性物質、ポリウレタン系熱可塑性エラストマーのような熱可塑性エラストマーブロック共重合体、熱可塑性物質とエラストマーのブレンド、熱可塑性物質とエラストマーのアロイ、熱可塑性エラストマーアイオノマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマーと別の熱可塑性エラストマーのブレンド、またはポリウレタン系熱可塑性エラストマーとエラストマーのブレンドと任意に混合された、ほぼランダムなエチレン/C〜C12のα−オレフィン共重合体である。ベルトは、特に、コンベアベルト、輸送ベルト、トレッドミルベルト、または印刷ブランケットである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発泡層を有するベルトに関するものである。
【背景技術】
【0002】
柔軟なベルトは、習慣的に、フタル酸エステル類のような可塑剤を含むポリ塩化ビニルで作成されている。このことは、ポリ塩化ビニルからの可塑剤の浸出およびその潜在的な毒性の問題を引き起こす。その一方で、柔軟なベルトはゴムにより作成されてきた。これらは、良好な物理的な特性を有しているが、相対的に高コストであるという不利な点を有している。
【0003】
WO2008/113195は、中間層や最上層を備えるトレッドミルベルトを開示する。この中間層や最上層は、熱可塑性樹脂発泡体からなっている。
【0004】
US5332080は、窓ガラスの搬送装置を開示する。この装置は、窓ガラスの支持面を有する無端状の搬送要素を備えている。そして、この無端状の搬送要素は、ショアA硬さ15〜50、望ましくは30〜40のプラスチックまたはエラストマーからなっていており、発泡後、約40のショアA硬さを有する発泡ポリウレタンである。
【0005】
EP1717169Aは、1つの引張部材の内側または外側のいずれかに配置された伸縮自在の布と、伸縮自在の布と引張部材の間に配置され、85のショアA硬さを有する非発泡の熱可塑性ポリウレタンエラストマー層とを有するベルトを開示する。該ベルトは、40mmと15mmのプーリを有する試験装置でテストされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2008/113195号
【特許文献2】米国特許第5332080号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開第1717169号明細書
【発明の概要】
【0007】
本発明は、改良された柔軟なベルトを提供することを課題とする。
【0008】
この課題は、発泡層が非発泡状態において最大85のショアA硬さを有する熱可塑性エラストマーの発泡体を含むことを特徴とする、発泡層を備えるベルトによる本発明によって解決される。本発明の望ましい実施形態は、従属請求項によって明らかになるだろう。
【0009】
本発明の文脈では、“ベルト”という用語は、特に、コンベアベルト、輸送ベルト、トレッドミルベルト、あるいは印刷ブランケットであると理解される。
【0010】
本発明に有用な熱可塑性エラストマーは、発泡前、最大85のショアA硬さを有する。望ましくは、それらは、約40〜70のショアA硬さを有し、さらに望ましくは、約50〜60のショアA硬さを有する。
【0011】
本発明の文脈では、これらのショアA硬さの境界値や範囲値は、混合されることが予定される充填剤や添加剤を含む、非発泡状態における熱可塑性エラストマー材料の硬さとして理解される。そのため、分析されるベルトの層の試料は、ベルトから分離される。層が既に発泡しているならば、発泡体の気泡およびガスを除去するために再び溶融される。そして、この溶融物は、最小6.4mmである適切な厚さの固体の非発泡層を成形するために再び凝固させられる。そして、もし必要ならば、非発泡層に平面を形成するために研磨される。硬さは、直径0.79mmの先端が切り取られた35°の円錐を有する直径1.1mmの硬化鋼のロッドを用いて、15秒間、0.822kg(8.064ニュートン)の圧力を加えて測定される。
【0012】
前記ショアA硬さを有する例となる熱可塑性エラストマーは、いくつかのクラスに分けることができる。

1)ほぼランダムなエチレン/C〜C12のα−オレフィン共重合体
α−オレフィン類の例は、1−プロペン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、および1−オクテンであり、最も望ましいのは1−オクテンである。これらの共重合体は、共触媒としてポリマーのメチルアルミノキサン[MAO,-(Me-Al-O)n-]と組み合わせていわゆる“シングルサイト”触媒によって製造される。該触媒の望ましい例は、INSITE(商標)という名で知られるダウケミカル社製の“シングルサイト”触媒、およびEXXPOL(登録商標)という名で知られるエクソンモービルケミカル社製の“シングルサイト”触媒である。熱可塑性エラストマーのエチレン/α−オレフィン共重合体の例は、Affinity(商標)、Engage(登録商標)、およびVersify(商標)の共重合体群(ダウ)、またはExact(商標)共重合体群(デックスプラストマーズ)である。1つ以上のこれらのランダム共重合体は、相溶性のある熱可塑性ポリアミド(TPA)または熱可塑性ポリウレタン(TPU)と、かつ/または相溶性のある熱可塑性ポリオレフィン(TPO、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン)と任意に混合してもよい。

2)熱可塑性エラストマーのブロック共重合体
これらのうち、第1のサブグループは、スチレンのオリゴマーと他のオレフィンモノマーのオリゴマーのブロック共重合体であり、スチレンブロック共重合体(SBC’s)と呼ばれる。例は、スチレンブタジエンスチレン(SBS)、スチレンイソプレンスチレン(SIS)、スチレンエチレン/ブチレンスチレン(SEBS)、およびスチレンエチレン/プロピレンスチレン(SEPS)のブロック共重合体である。これらの特徴的な例は、Styroflex(登録商標)の共重合体群(BASF)、Kraton(登録商標)の共重合体群(クラトン)、およびMegol(登録商標)の共重合体群(Api S.p.A.)である。第2のサブグループは、硬質ブロックの中密度のポリエチレンと軟質ブロックのエチレン/α−オレフィン共重合体、特に、エチレン/1−オクテン共重合体との共重合体であり、後者は、上の1)で説明されている。例は、Infuse(登録商標)群の共重合体(ダウ)である。第3のサブグループは、ポリウレタン系熱可塑性エラストマーである。それらは、例えば、ジイソシアネートを有するポリエステルジオールやポリエーテルジオールの共重合体、またはポリカーボネートをベースとしたポリウレタン系熱可塑性エラストマーである。ポリエステルジオールは、アジピン酸やブタンジオールから形成してもよい。ポリエーテルジオールは、例えばエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドの重付加物であってもよい。そして、ジイソシアネートは、特に4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートであってもよい。ポリウレタン系熱可塑性エラストマーの特徴的な例は、Onflex(商標)U群(GLSコーポレーション)である。ポリエステルジオールとジイソシアネートの共重合体の形でのポリウレタン系熱可塑性エラストマーのさらに特徴的な例は、Laripur群、特に“シリーズ25”亜群(Coim S.p.A)である。ポリウレタン系熱可塑性エラストマーは、ポリカーボネートをベースにしたポリウレタン系熱可塑性エラストマーであってもよい。ここでの例は、Pellethane(登録商標)の共重合体群(ダウケミカル)である。第4のサブグループは、Arnitel(登録商標)(DSM)およびHytrel(登録商標)(デュポン)の共重合体群のようなポリエステル系熱可塑性エラストマーである。第5のサブグループは、アミド系熱可塑性エラストマーである。これら全ては、下の3)で説明されるものから選択された相溶性のある熱可塑性物質と任意に混合してもよい。

3)熱可塑性物質と、溶解された状態において、熱可塑性物質と混和可能であるか、またはその中で分散可能である、真の(架橋された、または加硫された)エラストマーのブレンド
これらのブレンドにおける熱可塑性物質の例は、次に示すものを含むがこれらに限定はされない。それらは、ポリアミド6、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド66、ポリアミド69、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミド6T、ポリアミド6−3−T、ポリアミドMXD6のような熱可塑性のPA(ポリアミド系)、例えばポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレートのようなPE(ポリエステル系)、柔軟な発泡材料を製造するのに有用なTPU(熱可塑性ポリウレタン)である。熱可塑性物質のさらなる例は、例えば、ポリエチレンやポリプロピレンのようなTPO(オレフィン系熱可塑性エラストマー)である。そして、ポリ塩化ビニル、および塩化ビニル/エチレン/酢酸ビニル共重合体(VCEVAC)のような塩化ビニルのホモ重合体または共重合体である。これらのブレンドのエラストマーは、熱可塑性物質と混合される前に、適合する共単量体を用いて既に架橋されているか、または加硫されている。これらのブレンドの、架橋された、または加硫されたエラストマーの例は、天然ゴム、ポリイソプレン、ポリブタジエン、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ニトリルブタジエンゴム(NBR)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、およびアクリル酸ゴムを包含するが、これらに限定されない。このブレンドの特徴的な例は、PVC/NBRやVCEVAC/NBRのような塩化ビニルのホモ重合体または共重合体とエラストマーとのブレンド(これらの中でポリ塩化ビニルのホモ重合体の化学成分は、非発泡のブレンド(軟化したPVC/NBRブレンドの例はApi S.p.A.のApilon 33である。)に対して必要なショアA硬さを得るために、適切な軟化剤(例えば、ジオクチルフタレートや脂肪族のジカルボン酸エステルのようなフタル酸エステル類)によって任意に軟化される。)、ポリエチレンやポリプロピレンとEPDMとのブレンド、特にポリプロピレンのブレンドに基づいて約35〜45重量%の質量分率を有するポリプロピレン/EPDMブレンド、およびPA6/EPDM、PA6/SBR、PA66/EPDM、PA66/SBR、PA11/EPDM,PA11/SBR、PA12/EPDM、およびPA12/SBRのような熱可塑性ポリアミドとエラストマーのブレンド(これらの中のポリアミドの化学成分は、非発泡のブレンドに対して必要なショアA硬さを得るために、適当な軟化剤(例えば、芳香族のスルホン酸アミド、例えばN−ブチルベンゼンスルホン酸アミド)により任意に軟化される。)である。

4)熱可塑性エラストマーのアロイ
これらは、溶融熱可塑性物質と混合する間、また、エラストマーと熱可塑性物質の間の化学結合が生じる間、エラストマーがそのままで架橋することを除いて、上述した3)で例示されたブレンドに類似している。これらの第1サブグループは熱可塑性加硫物(TPV’s)である。ここでは、架橋可能なエラストマーは、オレフィンの不飽和を含む硫化可能なエラストマーである。これの例は、天然ゴム、ポリイソプレン、ポリブタジエン、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ニトリルブタジエンゴム(NBR)、およびエチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)である。加硫は、熱可塑性物質と混合する間、硫黄、硫黄化合物、または過酸化物のような適合した硬化剤を用いてなされてもよい。熱可塑性加硫物に対する熱可塑性物質の化学成分は、望ましくはポリエチレンやポリプロピレンのような飽和したポリオレフィンである。例は、Santoprene(登録商標)、Geolast(登録商標)(モンサント)、Alcryn(登録商標)(デュポン)、およびVersalloy(商標)(GLSコーポレーション)のアロイである。

5)熱可塑性エラストマーのアイオノマー
これらは、望ましくは、任意に飽和したC〜Cのカルボン酸(特に酢酸ビニル)のビニルエステル、および飽和したC〜Cのアルキルビニルエーテル(特にエチルビニルエーテル)から選択される共重合した軟化オレフィンモノマーを有する、オレフィンモノマー(特にエチレン)と、α,β−エチレン性不飽和のC〜Cのカルボン酸との共重合体とである。この共重合体は、アイオノマーのカルボキシレートは、少なくとも部分的には、(特に塩からの)アルカリ金属、亜鉛、およびアルミニウム由来の金属イオンによって中和されてきた。例は、ポリ(エチレン−コ−メタクリレート)であり、例は、Surlyn(登録商標)の共重合体群(デュポン)である。

6)別の熱可塑性エラストマーやエラストマーとポリウレタン系熱可塑性エラストマーのブレンド
ポリウレタン系熱可塑性エラストマーと熱可塑性エラストマーのブレンドの望ましいサブグループは、ポリウレタン系熱可塑性エラストマーとスチレンブロック共重合体、特にSEBSのブレンドである。後者の特徴的な例は、Onflex(商標)U 5300群(GLSコーポレーション)である。ポリウレタン系熱可塑性エラストマーとエラストマーのブレンドの例は、Desmoflex(登録商標)群(ベイヤー)およびVersollan(商標)群(GLSコーポレーション)である。
【0013】
望ましくは、熱可塑性エラストマーがポリウレタン系熱可塑性エラストマーであるならば、その後、相溶性のある熱可塑性物質、別の熱可塑性エラストマー、あるいはエラストマーと混合される。
【0014】
発泡層、特に発泡したカバー層は、それぞれ、上で例示したような熱可塑性エラストマーの層をベースとして、望ましくは少なくとも50重量%、さらに望ましくは少なくとも75重量%、もっとさらに望ましくは少なくとも90重量%、これよりもっとさらに望ましくは少なくとも95重量%の発泡した熱可塑性エラストマーを含む。そして、層の残りは、発泡剤、ガス、および付加的な別の添加物からなる残留分画である。該添加物は、例えば、次に示すものである。

a)例えば、UVおよび熱の安定剤、難燃剤、着色剤、抗菌すなわちカビを殺滅する添加物のような製品の特性を改善する助剤

b)可塑性樹脂を節約し、それによってコストをより低くする、かつ/または、電気伝導性および寸法安定性を変更する、かつ/または、熱膨張を減らす増量剤としての充填剤
特に、細長い、または、ファイバー状の添加物は強度を向上させる。
【0015】
本発明のベルトは、望ましくは、1つ以上のトラクション(牽引)層を含んでいてもよい。望ましくは、ちょうど2つのトラクション層を含む。望ましくは、それぞれは、プラスチックに埋め込まれケースに入れられた織布を含むか、または織布のみからなっている。この織布は、織物またはニット織物(例えば、例えばループを描いた編布、またはループを形成した編布)のいずれかである。それに代わる物として、例えば、ファイバー状の不織布ウェブまたは貼り込み済みのスクリムのような不織布であってもよい。布は、望ましくは織物である。いくつかのより望ましい形態は、モノフィラメントによるか、またはマルチフィラメント横糸を有するマルチフィラメント縦糸からなる織布、あるいはモノフィラメントによるステープル縦糸やマルチフィラメント横糸を有するか、またはステープル横糸を有するステープル縦糸からなる布である。最も望ましい形態は、ステープルまたはモノフィラメント横糸があるマルチフィラメント縦糸である。全てのタイプに対する繊維の望ましい材料は、ポリエステルである。
【0016】
一方、望ましくは、発泡した熱可塑性エラストマー層は、本発明にかかるベルトのカバー層を形成する。カバー層は、より望ましくは、トラクション層の上に置かれている、すなわち、もし2つ以上のトラクション層が設けられるならば、上方のトラクション層(2つのトラクション層が設けられるとき)や最上層のトラクション層(2つ以上のトラクション層が設けられるとき)の上に置かれている。この発泡したカバー層は、急傾斜して動くベルトに対して有用なベルトを作成するために、その上面に凹凸を任意に設けてもよい。これらの凹凸は、例えば、エンボス加工によって形成することができる。この最上層(トップ層またはカバー層)は、付加的に、帯電防止の特性を有してもよい。後者は、その技術分野の慣習として、トラクション層の織布の中に導電繊維やフィラメントを含ませることによって、かつ/または、粉末の、ファイバー状の、または、ファイバー状に形成された導電性材料(例えば、グラファイト、アルミニウム、銀、銅、ニッケル、またはポリピロール)を最上層のような他の層の1つの材料に混ぜることによって実現できる。
【0017】
一方、望ましくは、本発明にかかるベルトは、2つのトラクション層(下側のトラクション層および上側のトラクション層)を備えており、発泡した熱可塑性エラストマーの層はこれらの間の中間層を形成する。
【0018】
さらに望ましくは、本発明にかかるベルトは、2つのトラクション層(下側のトラクション層および上側のトラクション層)、および2つの熱可塑性エラストマーの層を備えている。これらの一方は、カバー層を形成し、他方は中間層を形成する。熱可塑性エラストマーの2つの層のうちの少なくとも一方は発泡している。望ましくは、熱可塑性エラストマーの2つの層のうちの両方が発泡している。
【0019】
本発明にかかるベルトの層は、上面に配置されている。このことは、本発明の文脈において、層が、例えば、熱と圧力によるか、または普通の接着剤を併用して、直接いずれかと結合するということを意味する。発泡した熱可塑性エラストマーからなるカバー層が、接着層を用いずに、発泡、非発泡のいずれであっても、ホットメルト接着剤のようにカバー層、および/または下部の熱可塑性物質あるいは熱可塑性エラストマー層の材料を用いて下部のトラクション層に接着されることが望ましい。熱可塑性物質からなっているか、あるいはエラストマーであり、かつ発泡または非発泡の熱可塑性物質からなる2つのトラクション層の間の中間層は、2つのトラクション層に中間層を接着するホットメルト接着剤として使用される。
【0020】
トラクション層とトラクション層の最上面に横たわるか、あるいはトラクション層の間に配置された他の層との間の直接的な結合を(すなわち追加の接着層なしに)達成するために、隣接する層の材料のペアが適切に選択されることが望ましい。特に望ましい材料のペアは、トラクション層の布の糸として、ポリエステル、特に紡いだポリエステルを使用し、ほぼランダムなエチレン/C〜C12のα−オレフィン共重合体(特にC〜C12のα−オレフィン共重合体は1−オクテンである)と、熱可塑性ポリアミド(TPA)または熱可塑性ポリウレタン(TPU)のブレンドを使用することである。このブレンドには、さらに任意に、相溶性のある熱可塑性ポリオレフィン(例えばポリエチレンまたはポリプロピレン)を混合してもよい。
【0021】
発泡した熱可塑性エラストマーを含む層の厚さは、望ましくは、0.4〜1.5mmの範囲である。前記発泡したカバー層に対しては、厚さは、望ましくは、0.4〜0.8mmの範囲である。そして、前記発泡した中間層に対しては、厚さは、望ましくは、0.7〜1.5mmの範囲である。本発明にかかるベルトの全体の厚さは、望ましくは、2.5〜5.5mmの範囲であり、さらに望ましくは、3.0〜4.5mmの範囲である。
【0022】
本発明にかかるベルトの個々の層の厚さは、ベルトそのものの上か、または個々の層に分離した後(層の切開、引き延ばし、または脱離)のいずれかに決定することができる。しかしながら、層の1つが幾何学的に十分にはっきりした形状を有していないことが生じるかもしれない。この場合には、幾何学的な厚さのかわりに、厚さhを、層の単位面積当たりの重さG(kg/m)、および層の全ての材料の質量を平均した密度ρ(kg/m)の商として決定することができる。
【0023】
【数1】

【0024】
は、層のi番目の材料の量(kg)であり、その和は、その層に存在するN個全ての材料にわたるものである。
【0025】
発泡層としては、特にそれがカバー層であるならば、これらのそれぞれが約5〜60%、望ましくは10〜40%の範囲の発泡度を有する熱可塑性エラストマー発泡体からなっていることが望ましい。本発明の文脈では、“発泡度”は、気泡が熱可塑性エラストマー発泡体の全体の体積に寄与する体積分率を規定する。発泡度は、発泡状態と非発泡状態の密度を測定することによって決定するのが極めて容易である。
【0026】
【数2】

【0027】
この公式において、rは発泡度(%)である。ρuは、例えば、染料のような全ての任意の添加物を有する均質な混合物のような非発泡の熱可塑性エラストマーの密度である。ρgは、発泡した発泡体の形での同じ熱可塑性エラストマー混合物と等しい量の密度である。
【0028】
本発明にかかるベルトの全ての発泡層は、熱可塑性エラストマー材料を発泡させることによって製造することができる。
【0029】
発泡は、熱可塑性エラストマー材料に発泡剤を直接混ぜることによってまず第1に実行することができる。発泡剤は、物理発泡剤であってもよい。物理発泡剤の例は、例えばフリゲン、カルトロン、フレオン、フリゲン、R11およびR12のようなクロロフルオロカーボン、例えばHFA134またはHFA227のようなハイドロフルオロアルカン、および、例えばCのハイドロカーボン(例えばn−ペンタン、イソペンタン、ネオペンタン、シクロペンタン);Cのハイドロカーボン(例えばn−ヘキサン、イソヘキサン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン);Cのハイドロカーボン(例えばn−ヘプタン、イソヘプタン、メチルシクロヘキサン、シクロヘプタン);およびCのハイドロカーボン(例えばオクタン、シクロオクタン、イソオクタン、1,2−,1,3−,または1,4−ジメチルシクロヘキサン)のような直鎖状の脂肪族の、枝分かれした、または、環状の、C〜Cのハイドロカーボンである。これらのハイドロカーボンは、純粋な形で、または、適切に区切られた沸点範囲のハイドロカーボンの留分として使用できる。その沸点範囲では、それぞれのハイドロカーボンは、多かれ少なかれ優位に生じる(石油エーテルの留分)。さらなる例は、室温、すなわち約25℃で気体である発泡剤、例えば、窒素、二酸化炭素、メタンまたはアルゴン;水;例えばジクロロメタン、パークロロエチレン、および1,1,1−トリクロロエタンのようなハロゲン化したハイドロカーボン;および、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、および、タートブタノールのような低沸点(すわなち、沸点の範囲が約60〜100℃)のアルコールである。一方、発泡剤は、化学発泡剤であってもよい。化学発泡剤は、加熱によって、発泡ガス、特に窒素または二酸化炭素を放出するのみである。有用な化学発泡剤の例は、例えばアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)のようなアゾ化合物、例えばベンゼンスルフォニルヒドラジンのヒドラジン誘導体、N−ニトロソ化合物、および例えばβ−ケトカルボン酸のような容易に脱カルボキシル化できるカルボン酸である。本発明によれば、物理発泡剤が望ましい。発泡剤は、望ましくは、発泡する熱可塑性エラストマー材料と極めて敏速に混合するように選択する。このことは、無極性の熱可塑性エラストマー材料、例えば、上述した気体の発泡剤の1つ、または上述したハイドロカーボンまたはクロロフルオロカーボンの1つのような無極性の発泡剤を使用することを意味する。一方、水または上述したアルコールの1つは、さらに極性のある、すなわち、親水性の熱可塑性エラストマーのための発泡剤として使用することができる。発泡剤の量は、主として所望の発泡度によって決定される。その量は、望ましくは、発泡する熱可塑性エラストマーの全体量に基づいて約1〜10重量%の範囲にある。
【0030】
第2に、発泡は、熱可塑性エラストマー材料に、いわゆる“膨張性マイクロスフェア(expandable microspheres)”を混合することによって実行してもよい。膨張性マイクロスフェアは、長い間、知られている。膨張性マイクロスフェアは、例えば、アクリレート/メタクリレートと塩化ビニルの共重合体からなるポリマーのケーシングを用いた水のエマルジョンのポリマー化によって、上で例示した、望ましくは物理発泡剤(特に、例えば上述したハイドロカーボン、ハイドロフルオロアルカン、または、クロロフルオロカーボンのような室温で液体である水に不溶な発泡剤)の1つを包囲することにより形成される。そのプロセスでは、発泡剤は、前記マイクロスフェアを形成するために、ポリマーの膜の中でカプセル化する。
【0031】
一方、発泡に対しては、いずれかの発泡剤が自由な形で熱可塑性エラストマーに加えられ、発泡が押出被覆を使用して、1つのトラクション層のような支持層に同時に起こる塗布によって実行することが望ましい。他方では、押出機の中で独立して発泡を行うことが望ましい。その場合には、発泡剤は、望ましくは、上述した膨張性マイクロスフェアの形で加えられ、このようにして得られた発泡した第1層は、カレンダー加工(calendering)によって、支持層に対する第2操作の中で順番に塗布される。
【0032】
発泡層とトラクション層の結合は、カレンダー加工、押出被覆、または、ラミネートによってなされる。これらの方法は、それ自体、当業者に全て公知である。
【0033】
(上のセクション3のブレンドで例示されたような)混合された熱可塑性のPVCを少なくとも約50%含む発泡した熱可塑性エラストマー層を有する本発明のベルトを製造する代替プロセスでは、上述したようなタイプの発泡剤を、上述したような量だけ含有する、可塑剤の中でのPVC/エラストマーブレンドの分散が準備されている。有用な可塑剤は、例えば、フタレート可塑剤(例えば、ジオクチルフタレート、ジイソヘプチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ジイソオクチルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート、ベンジルブチルフタレート、またはC〜C11のアルカノールとのフタル酸の混合ジエステル、そのアルカノールは、第一級、または、第二級のいずれであってもよい。)、リン酸エステル(例えば、トリ−2−エチルヘキシルホスフェイト、トリヘプチルホスフェイト、またはトリ−2−エチルペンチルホスフェイト)、またはC〜Cのジカルボン酸(例えば、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、スベリン酸、セバシン酸)と、C〜Cのアルカンジオール(例えば、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール)とから得られる低粘性(すなわち、望ましくは室温で1000ミリパスカル秒以下)のポリエステルを含んでいる。前記分散は、付加的に存在する発泡剤は別として、プラスチゾルとして、その技術分野において公知の分散と比較できる。この予め準備された分散の場合には、可塑剤の量とタイプを、分散においてペースト状の堅さを有するように選択する。この分散は、例えば、ドクターブレード、またはコーティングロールによって、ベルトのトラクション層すなわち中間の化合物のような支持層の上面に均一に塗布し、塗布された層を、加熱によって所望の発泡度まで発泡する。
【0034】
本発明にかかるベルトは、望ましくは無端状に作成される。ベルトは、例えば、直接融着によるか、または任意に追加する接着剤、例えば追加のホットメルト接着剤を一緒に使用してもよい場合、結合するためのホットメルト接着剤のように発泡層の材料を使用することによって無端状に作成することができる。追加の接着剤を一緒に使用することなく融着または接着することが望ましい。これらの2つの望ましい場合には、2つの端部が結合するように形成されたジョイントは熱可塑性エラストマー発泡体と同じ材料からなっている。この無端状のベルトを得るために、(上述したような)全ての必要とされる層を既に含む層になった複合材料は、もし必要ならば、最初に適当な長さに切断される。このようにして得られた端部は、その後、コンベアベルトの分野で知られるいくつのエンドジョイントを使用してエンド結合される。エンドジョイントの例は、フィンガージョイント、ウェッジジョイント、オーバーラップジョイント、およびステップジョイントである。
【0035】
発泡によって、熱可塑性エラストマーの明らかな柔軟性は、発泡による単なる密度の減少によって予期される以上にさらに減少される。この密度減少は、上述した発泡度の計算で使用される。これにより、本発明のベルトの長手方向の剛性、エネルギーの要求および単位厚さ当たりの重さが減少する。そして、同時に熱可塑性エラストマーの相対的に高いコストを相殺する。クッション効果、または2つのトラクション層の間の発泡した中間層の包含を提供するカバー層のようなベルト面に発泡した熱可塑性エラストマー層を付けることは、折り曲げの間、中間層を圧縮できるようにし、これによって、カバー層(発泡または非発泡)への応力を減少させ、本発明のベルトの長手方向の柔軟性を増加させる。これにより、ベルトを駆動するエネルギー消費を減少させることにつながる。発泡した熱可塑性エラストマーのカバー層および中間層の両方を組み込むことで、両方の特徴を組み合わせたものを付与することができる。長手方向の柔軟性の度合いは、相対的に厚いベルトの厚さを考慮すると驚くべきことである。本発明のベルトは、層の亀裂や分離がなく、14mm下がるプーリ/ノーズバーのようなノーズバーの利用であっても耐えることができる。このことは、従来のポリ塩化ビニルや十分に柔軟でない同様の厚さのゴムベルト構造ではあり得ない。低密度と組み合わせた例外的な縦方向の柔軟性により、ベルトの厚さを相対的に厚くすることができ、これにより、横の剛性を高くする。これにより、ベルトをとても安定的に動かすことができる。このことは、小さな直径に折り合いをつけることが可能なより厚いベルトを作成することが可能であることを暗示する。これらのベルトは、従来技術の“柔軟な”ベルトに見られるような“薄っぺら”には見えない。本発明のベルトにおいて、発泡体に使用される熱可塑性エラストマーは可塑剤を有していないことが可能であり望ましい。
【0036】
以下では、本発明にかかるベルトおよびその製造を、添付図を参照し実施形態によって、より詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明にかかるベルトの2つのバージョンを示す図。
【図2】本発明にかかるベルトの2つのバージョンを示す図。
【図3】熱可塑性エラストマー発泡体の製造に有用な押出機の概略図。
【図4】発泡した熱可塑性エラストマーの中間層と下方のトラクション層からのカレンダー加工による本発明のベルトの製造、およびその後に続くカレンダー加工による上方のトラクション層の付加を概略的に示す図。
【図5】トラクション層に発泡した被覆層を被覆する押出被覆による本発明のベルトの製造を示す概略的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0038】
図1のベルトは、発泡前にショアA硬さ55を有する発泡した熱可塑性エラストマー(エラストマーと熱可塑性ポリウレタンのブレンド、Versollan(商標)RU 2204X-1)のカバー層1を備えている。その発泡度は約20%であり、発泡は物理発泡剤(フレオン)によって引き起こされている。エンボス加工の前、カバー層1の厚さは、約0.6mmである。カバー層1は、接着剤を使用することなしにトラクション層2の上に押出被覆によって配置され、その後、凹凸面11を付与するために、エンボス加工されている。トラクション層2は、綾織りを有するポリエステルの織物からなっている。その織物は、縦糸が、約1100デシテックスのマルチフィラメントであり、横糸は、直径0.25mmのモノフィラメントである。トラクション層2の厚さは、約0.6mmである。
【0039】
図2のベルトは、発泡前にショアA硬さ55を有する発泡した熱可塑性エラストマー(Versollan(商標)RU2204X-1)からなるカバー層3を備えている。その厚さは、約0.8mmであり、その発泡度は約20%である。その発泡は、膨張性マイクロスフェアによって引き起こされている。発泡したカバー層3は、縦糸が1100デシテックスのマルチフィラメントであり、横糸が直径0.25mmのモノフィラメントである無地のポリエステルの織物からなる上側のトラクション層4の上に配置されている。上側のトラクション層4の厚さは、約0.6mmである。ベルトは、上側のトラクション層4と同様の構造および厚さのポリエステルの織物からなる、第2の、下側のトラクション層5も備えている。2つのトラクション層4,5の間には、カバー層3と同様の構成を有する発泡体からなり、約1.0mmの厚さを有する中間層6が配置されている。上側のトラクション層4と中間層6とは上側の接着層7によって結合され、中間層6と下側のトラクション層5とは下側の接着層8によって結合されている。両方の接着層7,8は、熱硬化性のポリウレタンからなっている。上側のトラクション層4、接着層7、中間層6、接着層8、および下側のトラクション層5からなる層になった複合物は、カレンダー加工によって作られている。カバー層3は、最後の工程で再び押出被覆によって取り付けられ、その後、凹凸面31を形成するようにエンボス加工がなされる。
【0040】
図3〜5は、本発明にかかるベルト、または本発明にかかるベルトの中間物として有用な層になった複合材料の製造を概略的に示す。
【0041】
図3は、押出機10における熱可塑性エラストマー発泡体9そのものの製造を示す。粒状の、または細かくした、非発泡の熱可塑性エラストマー11は、押出機10の中で、例えば、染料、充填剤、火炎抑制剤のような任意に追加する添加剤12と混合される。発泡剤13を測定するのが容易であるとき、例えば、それが固体であるとき、添加物12の1つとして発泡剤を熱可塑性エラストマー11に加えてもよい。発泡剤13が気体または液体であるとき、発泡剤を供給ライン14によって直接または単独で押出機10の中へ導入することができる。この全ての成分からなる混合物は、発泡剤が既に溶けた混合物と混合するように十分に加熱され加圧される。いくつかの場合、特に発泡剤が二酸化炭素であるときには、混合は、発泡剤が超臨界状態に変化するように実行される。その結果として生じた熱可塑性エラストマー11、添加剤12、および発泡剤13の混合物は、押出機10の中で発泡し、押出機10から、例えば丸ダイスによって、発泡した熱可塑性エラストマーとして取り出される。スロットダイを使用すると、発泡体9を、発泡した熱可塑性エラストマー層として直接成形できる。
【0042】
図4は、本発明にかかるベルトの製造における中間物として有用な層になった複合材料のカレンダー加工による製造を示す。ここでは、層になった複合材料は、下側のトラクション層15と上側のトラクション層16を備えている。これらの間で、発泡した熱可塑性エラストマー層や従来型のゴムあるいは従来型の熱可塑性の発泡または非発泡の層である、中間層17がカレンダー加工される。最初に、下側のトラクション層15は、中間層17の下面18に、カレンダー加工される。もし、追加の接着剤によって中間層17と下側のトラクション層15とを結合させることを望むならば、下側のトラクション層15が一対のロールに入る前に、接着剤を粉末樹脂19の形で振りかけるか、溶媒の中に溶解した形で噴霧するか、または、ドクターブレード(doctor blade)によって下側のトラクション層の上面に塗布できる。その後、上側のトラクション層16は、中間層17の上面20にカレンダー加工される。ここでもまた、付加的な接着剤21を上側のトラクション層16の下面に任意に振りかけられるか、または噴霧することができる。太い破線の矢印は、層になった複合材料に、その後に、発泡した熱可塑性エラストマーのカバー層のような別の層を被覆することができるということを示している。その場合には、既に存在している層になった複合材料を、下側のトラクション層15のかわりに右側からカレンダーロール機に供給し、貼り付ける別の層を、上側のトラクション層16のかわりに左側から供給する。
【0043】
図5は、発泡した熱可塑性エラストマー23のカバー層を有し必要とされる層を既に備えた層になった複合材料の中間物22の押出被覆を概略的に示す。最初に、図3に対して上述したのと同様に、熱可塑性エラストマー発泡体は押出機24から押し出されて製造される。押し出しがスロットダイでなされる場合、発泡体は既に層になった形状を有していてもよいし、あるいは、層になった複合材料の中間物22にカバー層を接着する間、同時に、ロールが発泡体に層になった形状を付与することもできる場合、発泡体はでこぼこな形状をしていてもよい。
【0044】
例1:本発明にかかるベルトの摩耗テストおよび引裂テスト
【0045】
図2に示したものと同様の構造を有し、図の説明に記載されたような無端状のベルトは、発泡層3,6とトラクション層4,5の間の接着層7,8を含んでいないという例外で使用された。ベルトは、ベルトが180度曲げられて掛かる直径130mmのプーリ、およびベルトが約160度曲げられてそれぞれに掛かる3つの直径12mmのプーリからなるテストループ上で回転させた。前記3つのプーリによって、ベルトを横から見たときに、“W”状に曲げている。そして、3つのプーリによる正味の全体の曲げは、直径130mmのプーリとのループを閉塞するように、同様に180度である。ループの長さは、0.97mである。ベルトは、76Nの荷重を受け、秒速10mでテストループ上を回転した。500万回転(すなわち、3つの小さなプーリによる1500万回の曲げ)の後、ベルトには、目に見える摩耗や亀裂が現れなかった。このテストは、本発明の出願時に、3億回の曲げが達成されるか、あるいはベルトが破壊されるかのいずれかがより早く発生するまで目下継続中である。
【0046】
例2:比較のベルトと2つの本発明のベルトについてのいくつかのパラメータの測定
【0047】
図2および図の説明に示したものと同様の構造を有する3つのベルトが使用された。ベルト2は、カバー層3と中間層6の材料で、かつ接着層7,8が存在していない点において図2のものと異なる。ベルト1,3は、カバー層3と中間層6の材料のみである点において図2のものと異なる。




【0048】
【表1】


















【符号の説明】
【0049】
1 カバー層
2 トラクション層
3 カバー層
4 上側のトラクション層
5 下側のトラクション層
6 中間層
7 上側の接着層
8 下側の接着層
9 熱可塑性エラストマー発泡体
10 押出機
11 凹凸面
12 添加剤
13 発泡剤
14 供給ライン
15 下側のトラクション層
16 上側のトラクション層
17 中間層
18 下面
19 粉末樹脂
20 上面
21 接着剤
23 発泡した熱可塑性エラストマー
22 層になった複合材料の中間物
24 押出機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発泡層(1,3,6,17,23)を有するベルトであって、
前記発泡層(1,3,6,17,23)が非発泡状態において最大85のショアA硬さを有する熱可塑性エラストマーの発泡体を含むことを特徴とするベルト。
【請求項2】
前記ショアA硬さは45〜70、望ましくは50〜60の範囲にあることを特徴とする請求項1に記載のベルト。
【請求項3】
前記熱可塑性エラストマーは、相溶性のある熱可塑性ポリアミドまたは熱可塑性ポリウレタン、および/または熱可塑性ポリオレフィン、熱可塑性エラストマーブロック共重合体、熱可塑性物質とエラストマーのブレンド、熱可塑性物質とエラストマーアロイ、熱可塑性エラストマーアイオノマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマーと別の熱可塑性エラストマーのブレンド、およびポリウレタン系熱可塑性エラストマーとエラストマーのブレンドと任意に混合された、ほぼランダムなエチレン/C〜C12のα−オレフィン共重合体からなるグループから選択されることを特徴とする請求項1または2に記載のベルト。
【請求項4】
前記熱可塑性エラストマーは、相溶性のある熱可塑性ポリウレタンと混合され、任意には、熱可塑性ポリオレフィン、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマーと別の熱可塑性エラストマーとのブレンド、またはポリウレタン系熱可塑性エラストマーとエラストマーとのブレンドと混合されたほぼランダムなエチレン/C〜C12のα−オレフィン共重合体であることを特徴とする請求項3に記載のベルト。
【請求項5】
織布を有するか、または該織布からなるトラクション層(2,4)を備え、
前記発泡層は、前記トラクション層(2,4)の上に配置されたカバー層(1,3,23)であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載のベルト。
【請求項6】
織布を有するか、または該織布からなる上側のトラクション層(4,16)、および織布を有するか、または該織布からなる下側のトラクション層(5,15)を備え、
前記発泡層は、前記上側のトラクション層(4)の上に配置されたカバー層(3)、および/または前記上側のトラクション層(4,16)と前記下側のトラクション層(5,15)の間の中間層(6,17)であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載のベルト。
【請求項7】
前記織布はポリエステルの繊維を含み、
前記発泡層(1,3,6,17,23)の前記熱可塑性エラストマーは、熱可塑性ポリオレフィン、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマーと別の熱可塑性エラストマーのブレンド、またはポリウレタン系熱可塑性エラストマーとエラストマーのブレンドと任意にさらに混合された、ほぼランダムなエチレン/C〜C12のα−オレフィン共重合体と熱可塑性ポリアミドまたは熱可塑性ポリウレタンとのブレンドであることを特徴とする請求項5または6に記載のベルト。
【請求項8】
前記C〜C12のα−オレフィンは1−オクテンであることを特徴とする請求項7に記載のベルト。
【請求項9】
前記発泡層が5〜60%、望ましくは10〜40%の範囲の発泡度を有することを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1項に記載のベルト。
【請求項10】
全体の厚さが2.5〜5.5mmである請求項1ないし9のいずれか1項に記載のベルト。
【請求項11】
コンベアベルト、輸送ベルト、トレッドミルベルト、または印刷ブランケットであることを特徴とする請求項1ないし10のいずれか1項に記載のベルト。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公表番号】特表2012−520216(P2012−520216A)
【公表日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−553465(P2011−553465)
【出願日】平成22年3月12日(2010.3.12)
【国際出願番号】PCT/EP2010/053169
【国際公開番号】WO2010/103096
【国際公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【出願人】(591270796)ハバシット アクチエンゲゼルシャフト (25)
【Fターム(参考)】