説明

発泡イソシアネートベースのポリマー、その製造のための混合物及び方法

【課題】
発泡イソシアネートベースのポリマー、その製造のための混合物及び方法を提供すること。
【解決手段】
本発明は、イソシアネート、活性水素含有化合物、発泡剤及び、長さが異なる少なくとも2種のエステルで誘導体化された高度分岐ポリサッカリドを含む反応混合物由来の発泡イソシアネートベースのポリマーに関する。更に、本発明は、イソシアネートベースのポリマーを製造するための混合物及び方法に関する。発泡イソシアネートベースのポリマー製造のための混合物は、本発明の誘導体化されたポリサッカリドと活性水素含有化合物との混合物を含む。発泡イソシアネートベースのポリマーを製造するための方法は、反応混合物を形成するためにイソシアネート、活性水素含有化合物、本発明の高度分岐ポリサッカリド及び発泡剤を接触させる工程、及び発泡イソシアネートベースのポリマーを製造するために該反応混合物を発泡させる工程を含む。本発明の誘導体化された高度分岐ポリサッカリドは、15未満の活性水素官能価を有し、また平均10乃至100個のグルコース残基を有する不規則に結合したグルコピラノース単位からなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イソシアネート、活性水素含有化合物、発泡剤及び、長さが異なる少なくとも2種のエステルで誘導体化された高度分岐ポリサッカリドを含む反応混合物由来の発泡イソシアネートベースのポリマーに関する。誘導体化されたポリサッカリドは15未満の活性水素官能価を有する。さらに、本発明は、イソシアネートベースのポリマーを製造するための混合物及び方法に関する。
【0002】
発泡イソシアネートベースのポリマー製造のための混合物は、誘導体化されたポリサッカリドと活性水素含有化合物との混合物を含む。発泡イソシアネートベースのポリマーを製造するための方法は、イソシアネート、活性水素含有化合物、高度分岐ポリサッカリド及び発泡剤を接触させて反応混合物を形成する工程、及び該反応混合物を発泡させて発泡イソシアネートベースのポリマーを製造する工程を含む。本発明の高度分岐ポリサッカリドは平均10乃至100個のグルコース残基を有する、不規則に結合したグルコピラノース単位からなり、また誘導体化されたポリサッカリドは15未満の活性水素官能価を有する。
【背景技術】
【0003】
発泡イソシアネートベースのポリマーは、当該技術分野で既知であり、そして他のポリマー系と比較してイソシアネートベースのポリマーの長所の1つは、重合及び発泡がその場で起こり得ることである。これは、ポリマーが形成及び発泡する間にポリマーを成型することを可能にする。しかしながら、発泡体に対して新規な負荷ビルディング技術(load building techniques)の開発に対するニーズが高まっている。負荷ビルディング性質(load building properties)を与えるために、通常は比較的高額の材料が使用され、そして発泡体の他の性質もまた、通常使用される技術と比較して改善され得る。
【0004】
ポリウレタン発泡体を製造するための従来の方法の1つは、“ワンショット(one−shot)”技術として知られている。この技術において、イソシアネート、適したポリオール、触媒、水(反応性“発泡”剤として作用し、また所望により1種以上の物理的発泡剤が追加され得る)及び他の添加剤は、例えば衝突混合(例えば、高圧)を用いて一緒に混合される。一般に、ポリウレアが製造される場合、ポリオールが適したポリアミンと置き換えられる。ポリイソシアヌレートは、イソシアネート成分の環状三量化に由来し得る。ウレタン変性ポリウレア又はポリイソシアヌレートは、当該技術分野において既知である。どちらのシナリオにおいても、反応物は適した混合技術を用いて非常に早く密に混合されるだろう。
【0005】
発泡イソシアネートベースのポリマーを製造するための他の技術は、“プレポリマー”技術として既知である。この技術において、プレポリマーは、反応基(例えば、イソシアネート部分及び活性水素部分)で終端させた液体ポリマーを形成するために(ポリウレタンの場合)不活性雰囲気においてポリオールとイソシアネートを反応することによって製造される。典型的に、プレポリマーは、過剰のイソシアネート基を用いて製造され、それゆえ全ての活性水素基が反応する。発泡ポリマーを製造するために、プレポリマーは、必要に応じ、硬化剤及び他の添加剤の存在下で(ポリウレタンを製造する場合)より低分子量のポリオール又は(変性ポリウレアを製造する場合)ポリアミンとともに十分に混合される。
【0006】
使用される技術にかかわらず、反応混合物に充てん材を含むことが当該技術分野におい
て既知である。従来、充てん材は、液体イソシアネート及び液体活性水素含有化合物(すなわち、ポリウレタンの場合ポリオール、ポリウレアの場合ポリアミン等)の片方又は両方に充てん材を取り込むことによって発泡ポリマーに組み込まれる。一般に、充てん材の組み込みは結果として生じる発泡体生成物にいわゆる負荷ビルディング性質(load building properties)を与えるという目的に適う。
【0007】
反応混合物において使用される充てん材の性質及び相対量は、発泡ポリマー生成物の望ましい物理的性質、及び混合技術により強いられた制限、系の安定性、及び装置により強いられた制限(例えば、装置の狭い通路、穴などに合わない充てん材の粒径が原因で)に応じて、ある程度変わり得る。
【0008】
硬度性質を改善する目的のため、発泡体製品中に固体材を組み込む既知の技術の1つは、ポリオール固体分散体、特にポリマーポリオール形態のもの、すなわちグラフトコポリマーポリオールの使用を含む。当該技術分野で既知のように、グラフトコポリマーポリオール(コポリマーポリオール)は、他の有機ポリマーを含有するポリオール、好ましくはポリエーテルポリオールである。そのようなグラフトコポリマーポリオールは、有機ポリマーを組み込むことによって変性されていないポリオールの使用に比べて結果として生じるポリウレタンフォームに硬度(すなわち、負荷ビルディング(load building))を与えるために有用であることが知られている。グラフトコポリマーポリオールには、検討し得る2つの主要なカテゴリーがある:(i)連鎖成長コポリマーポリオール、及び(ii)ステップ成長コポリマーポリオール。
【0009】
連鎖成長コポリマーポリオールは、一般にポリオールキャリアにおいて分散させられるフリーラジカルポリマーを製造するためにポリオールキャリアにおけるモノマーのフリーラジカル重合によって製造される。従来、フリーラジカルポリマーは、アクリロニトリル又はスチレンアクリロニトリル(SAN)に基づくことができる。ポリオールの固体含有量は、組成物(すなわち、フリーラジカルポリマー及びポリオールキャリア)の総質量に基づき、典型的に約60質量%まで、通常約15質量%乃至約40質量%の範囲内である。一般に、それらの連鎖成長コポリマーポリオールは、約1,000乃至約8,000センチポイズの範囲内の粘度を有する。そのような連鎖成長コポリマーポリオールを製造する場合、フリーラジカルポリマーに対してポリオール鎖のグラフト化を誘発することが知られている。
【0010】
ステップ成長コポリマーポリオールは、一般に次のように特徴付けられる:(i)PHD(ポリハルンストッフディスペリオン(Polyharnstroff Disperion))ポリオール、(ii)PIPA(ポリイソシアネートポリ添加剤)ポリオール、及び(iii)エポキシ分散ポリオール。PHDポリオールは、慣用のポリオールにおけるポリウレア粒子の分散体であり、及び一般にポリエーテルポリオールの存在下でジアミン(例えば、ヒドラジン)とジイソシアネート(例えば、トルエンジイソシアネート)との反応によって形成される。PHDポリオールの固体含有量は、組成物(すなわち、ポリウレア粒子及びポリオールキャリア)の総質量に基づき、典型的に約50質量%まで、通常約15質量%乃至約40質量%の範囲である。一般に、PHDポリオールは、約2,000乃至約6,000センチポイズの範囲で粘度を有する。PIPAポリオールは、PHDポリオールと類似しているが、ポリウレア粒子の代わりにポリウレタン粒子を含有する。PIPA中のポリウレタン粒子は、イソシアネートとアルカノールアミン(例えば、トリエタノールアミン)の反応によってその場で形成される。PIPAポリオールの固体含有量は、組成物(すなわち、ポリウレタン粒子及びポリオールキャリア)の総質量に基づき、典型的に約80質量%まで、通常約15質量%乃至約70質量%の範囲である。一般に、PIPAポリオールは、約4,000乃至約50,000センチポイズの範囲で粘度を有する。例えば、特許文献1及び特許文献2参照。エポキシ分散ポリオールは、慣用
ベースのポリオールにおける硬化エポキシ樹脂の分散体に基づく。エポキシ粒子は、その称するところによれば改善した水素結合特性を有する高弾性率固体である。
【0011】
有用なグラフトコポリマーポリオールについての更なる情報は、例えば、へリントン及びホックによる“軟質ポリウレタンフォーム”の第2章(1997)及びその中の引用文献で見られ得る。
【0012】
未処理の炭水化物は、直接添加剤として、1)ポリオール成分に対する部分又は完全置換物として、及び2)未反応の添加剤又は充てん材として、の2つの方法でイソシアネートベースのポリマーフォームに組み込まれている。炭水化物は溶液として又は細かい固体として発泡体出発物質に組み込まれ得る。溶液として加える場合、炭水化物上のヒドロキシ基は、イソシアネート成分と反応し得、及びポリウレタンの構造に化学的に組み込まれる。炭水化物の例は、特定のでんぷん、トウモロコシシロップ、セルロース、特許文献3に記載されるようなペクチン、特許文献4、特許文献5、特許文献6、特許文献7に記載されるようなモノ−及びジサッカリド、特許文献8に記載されるようなオリゴサッカリド及び特許文献9に記載されるようなアルファでんぷん(pregelatinized starch)を含む。固体分散体として、炭水化物は、重合反応において不活性であり得るが、発泡体に物理的に組み込まれる。その有利な点は、低費用及び燃焼すると炭化する炭水化物の能力であり、特許文献10、特許文献11、特許文献12、特許文献13、特許文献14に記載されるように発泡体の更なる燃焼及び/又は滴下を防ぎ及び煙形成体を減らす。でんぷん及びセルロースは、この目的のために一般的に使用される。でんぷん及びセルロースはまた、アルコキシ化された水素化でんぷん加水分解物(HSH)から誘導されるポリエーテルポリオール組成物が使用されるという特許文献15及び特許文献16及び米国出願の特許文献17に記載されるように発泡体を構築する前に化学的に変性され得る。
【0013】
さらにイソシアネートベースの発泡体における樹枝状高分子の使用は、特許文献18、特許文献19並びに米国出願の特許文献20及び特許文献21に記載され、またイソシアネートベースの発泡体における高度官能価を有する高度分岐ポリサッカリドの使用は、米国出願の特許文献22及び特許文献23に記載される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】米国特許第4,374,209号明細書
【特許文献2】米国特許第5,292,778号明細書
【特許文献3】米国特許第4,520,139号明細書
【特許文献4】米国特許再発行第31,757号明細書
【特許文献5】米国特許第4,400,475号明細書
【特許文献6】米国特許第4,404,294号明細書
【特許文献7】米国特許第4,417,998号明細書
【特許文献8】米国特許第4,404,295号明細書
【特許文献9】米国特許第4,197,372号明細書
【特許文献10】米国特許第3,956,202号明細書
【特許文献11】米国特許第4,237,182号明細書
【特許文献12】米国特許第4,458,034号明細書
【特許文献13】米国特許第4,520,139号明細書
【特許文献14】米国特許第4,654,375号明細書
【特許文献15】米国特許第3,956,202号明細書
【特許文献16】米国特許第4,458,034号明細書
【特許文献17】米国特許出願公開第2004/0014829号明細書
【特許文献18】米国特許第5,418,301号明細書
【特許文献19】国際公開第02/10189号パンフレット
【特許文献20】米国特許出願公開第2003/0236315号明細書
【特許文献21】米国特許出願公開第2003/0236316号明細書
【特許文献22】米国特許出願公開第2006/0122286号明細書
【特許文献23】米国特許出願公開第2006/0241199号明細書
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】へリントン及びホック、“軟質ポリウレタンフォーム” 第2章(1997)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
当該技術分野における進歩にもかかわらず、新規な負荷ビルディング(load building)技術を発達させる必要性が引き続き存在する。特に、これまでに論じた先行技術の取り組みの多くは、市販のサイズの設備において活用するには複雑になるかもしれない相対的に高価な原料(例えば、上述のグラフトコポリマーポリオール)の使用を含む。このように、従来の負荷ビルディング技術に代わる方法としてイソシアネートベースの発泡体に都合よく適用し得る負荷ビルディング技術を有することが望ましいだろう。負荷ビルディング技術が相対的に安価であり、使用される負荷ビルディング化合物が反応混合物の他の部分と良好な相溶性があり、及び/又は発泡体の他の性質を改善し、及び/又は大きな困難なく既存の製造スキームに組み込まれ得るならば、さらに望ましいだろう。
【0017】
注目すべきは、本文で記載された生成物及び方法について、本文で引用される全ての文献(“本明細書中の引用文献”)並びに本明細書中の引用文献の各々に引用された文献又は参考文献、及び全ての製造業者の文献、仕様書、取扱説明書、製品データシート、材料データシートなどが、参照することによってここに明確に組み込まれることである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、イソシアネート、活性水素含有化合物、発泡剤及び高度分岐ポリサッカリドを含む反応混合物由来の発泡イソシアネートベースのポリマーに関する。高度分岐ポリサッカリドは、発明の発泡イソシアネートベースのポリマー中に使用される活性水素含有化合物と相溶性がある疎水性を与えるために誘導体化される。ポリサッカリドは、平均10乃至100個のグルコース残基を有する、不規則に結合したグルコピラノース単位からなり、及び誘導体化ポリサッカリドは15未満の活性水素官能価を有する。使用される高度分岐ポリサッカリドは、長さが異なる少なくとも2種のエステルで誘導体化される。
【0019】
本発明は、発泡イソシアネートベースのポリマーの製造のための混合物にも関する。該混合物は、ポリエーテルポリオール及び平均10乃至100個のグルコース残基を有する不規則に結合したグルコピラノース単位の高度分岐ポリサッカリドからなり、ここで前記ポリサッカリドは15未満の活性水素官能価を有する。該ポリサッカリドは、長さが異なる少なくとも2種のエステルで誘導体化される。
【0020】
発泡イソシアネートベースのポリマーを製造する方法もまた提供される。該方法は、反応混合物を形成するために、イソシアネート、活性水素含有化合物、発泡剤及び、平均10乃至100個のグルコース残基及び15未満の活性水素官能価を有する不規則に結合したグルコピラノース単位からなる高度分岐ポリサッカリドを接触させる工程を含む。反応混合物は、発泡イソシアネートベースのポリマーを製造するために発泡される。ポリサッカリドは、長さが異なる少なくとも2種のエステルで誘導体化される。
【0021】
本発明の一つの利点は、ポリサッカリドの高いOH置換度であって、それは本発明のイソシアネートベースの発泡体中の付加的な架橋結合を抑える。発泡体中の架橋結合はより硬い発泡体を作り出し、該発泡体は引張特性や引き裂き特性が乏しい。
【0022】
本発明において、活性水素含有化合物、例えばポリオールとの所望の溶解性及び/又は相溶性は、ポリサッカリド中の長鎖エステルの十分な量を含むことによって受け入れられる。高いOH置換度は活性水素の反応性を阻害するために短鎖脂肪酸エステルを含むことによって受け入れられる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明者らは、誘導体化された高度分岐ポリサッカリドのあるサブグループが高弾性(HR)フォーム系および従来のフォーム系で通常使用されるポリオールと特に相溶性があること、そして発泡体の引張強度、伸張や裂け目の望ましくない低下がなく且つ必要な65:25の割合(たわみ因子(sag factor))に加えて、負荷ビルディング性質(load building properties)を与えるのに有利であることを驚いたことに発見した。
【0024】
本発明者らは、単一の脂肪酸エステルのみを含んでいる発泡体では、脂肪酸エステルは発泡体を製造する傾向にあり、該発泡体はHRフォームを定義する所望の引張特性や引き裂き特性を実現しないことを発見した。本発明では、長鎖エステル成分は本発明の発泡体系で使用されるポリオール樹脂との所望の溶解性/相溶性を実現するのに十分な量で使用される。しかしながら、高いOH置換度を得るために、短鎖エステルはポリサッカリドの活性水素の反応性を阻害するために使用される。本発明のポリサッカリドの高いOH置換度は付加的な架橋結合を抑え、このことが引張特性や引き裂き特性が乏しいより硬い発泡体を作り出す。
【0025】
従って、本発明は、イソシアネートベースの発泡体に組み込まれる一群の誘導体化された高度分岐ポリサッカリドの使用を開示する。誘導体化された高度分岐ポリサッカリドは、イソシアネートベースのポリマーの発泡体マトリックスに重要な負荷ビルディング特性を与え、さらには、イソシアネートベースのポリマー発泡体に負荷ビルディング特性、例えばポリウレタン配合物における有利な負荷ビルディング特性のような特性、を与えるために使用される、現在では比較的高額な化学システムを部分的にもしくは全体的に置き換えるという目的のために使用され得る。
【0026】
また、本発明の高度分岐ポリサッカリドは比較例に記載された従来のスチレンアクリロニトリル共重合体や樹枝状ポリオールに対して、再生可能源を提供するものであって、それらはより濃厚な石油化学系成分である。
【0027】
本発明の発泡イソシアネートベースのポリマーは、イソシアネート、活性水素含有化合物、発泡剤及び高度分岐ポリサッカリドを含む反応混合物に由来する。該ポリマーは、平均10乃至100個のグルコース残基を有する不規則に結合したグルコピラノース単位からなる誘導体化された高度分岐ポリサッカリドを含む。ポリサッカリドのグルコシド結合は、アルファ又はベータであり得、及び可能な組み合せ、1,2乃至1,6;2,1乃至2,6等のいずれかからもなり得る。使用される誘導体化されたポリサッカリドは15未満、好ましくは3乃至12、より好ましくは4乃至10および最も好ましくは5乃至8の活性水素官能価を有する。該ポリサッカリドは、長さが異なる少なくとも2種のエステルで誘導体化され、典型的に該エステルの1種はC2−C4、より好ましくはC2−C3および最も好ましくはC2の短鎖エステルであり、そしてエステルのもう1種はC8−C12、より好ましくはC9−C11および最も好ましくはC10の長鎖エステルである。
【0028】
本発明の好ましい態様において、長鎖エステルと短鎖エステルとの割合は0.2乃至4、好ましくは0.3乃至3、及び0.3乃至1である。本発明のポリサッカリドの全体のヒドロキシ置換は、好ましくは70%を超えて、より好ましくは少なくとも75%又は最も好ましくは少なくとも80%である。本発明のポリサッカリドの80%ヒドロキシ置換において前記長鎖エステルと前記短鎖エステルとの割合は、60:20、40:40、30:50又は20:60でもよく、そして本発明のポリサッカリドの90%ヒドロキシ置換では50:40、35:55又は20:70でもよい。
【0029】
本発明の1つの好ましい態様において、誘導体化された高度分岐ポリサッカリドは、負荷ビルディング(load building)を与えるのに十分な量で前記発泡イソシアネートベースのポリマーに加えられる。
【0030】
さらに本発明は、ポリエーテルポリオールと平均10乃至100個のグルコース残基を有する、不規則に結合したグルコピラノース単位からなる高度分岐ポリサッカリドとの混合物を含むイソシアネートベースのポリマーを製造するための混合物に関する。該ポリサッカリドは15未満の活性水素官能価を有し、そして長さが異なる少なくとも2種のエステルで誘導体化される。該混合物は、さらに発泡剤、少なくとも1種の触媒及び少なくとも1種の界面活性剤を含んでいても良い。
【0031】
好ましい態様において、混合物1乃至50質量%、より好ましくは5乃至20質量%、最も好ましくは2乃至10質量%の誘導体化されたポリサッカリドを含む。
【0032】
一般的に適した混合物は、1種以上のポリエーテルポリオール、コポリマーポリオール、発泡剤、触媒、界面活性剤及び添加剤、例えば顔料又は充てん材、又は難燃性、さらなる耐久性等のような望ましい性質を得るために必要な成分を含み得る。例えば、ポリオール100当りの部で表記される以下の構成成分が混合物に加えられ得る:水(1乃至30)、触媒(1乃至10)、界面活性剤(1乃至25)、架橋剤(0乃至30)及び必要に応じて、補助発泡剤(0乃至100)。
【0033】
さらに発泡イソシアネートベースのポリマーを製造するための方法が提供される。該方法は、反応混合物を形成するために、イソシアネート、活性水素含有化合物、発泡剤及び高度分岐ポリサッカリドを接触させる工程;及び発泡イソシアネートベースのポリマーを製造するために該反応混合物を発泡させる工程を含む。該高度分岐ポリサッカリドは、不規則に結合したグルコピラノース単位、平均10乃至100個のグルコース残基及び15未満の活性水素官能価を有する。さらに該ポリサッカリドは長さが異なる少なくとも2種のエステルで誘導体化される。
【0034】
他に指示されない限り、本明細書及び特許請求の範囲において使用される用語は下記の意味を有するものとする;
【0035】
用語“高度分岐”は、本発明のポリサッカリドを記載するために使用される場合、少なくともいくつかの二重又は三重に分岐した単位を有するポリサッカリドを言及する。3つの結合を有するグルコピラノース単位は2重に分岐した単位であり、及び4つの結合を有する単位は3重に分岐した単位である。ポリサッカリドの連鎖分析において2重及び/又は3重分岐の面積(%)は、好ましくは0.5乃至10%、より好ましくは1乃至7%および最も好ましくは2乃至5%である。そのような高度分岐ポリサッカリドの具体例は、ポリデキストロース及びピロコンバージョン(pyroconversion)として知られている熱処理方法においてでんぷんから生成されるポリサッカリドを含む。
【0036】
高度分岐ポリサッカリド及びその誘導体の用語“官能価”は、グルコース残基の平均数
に左右され、及び1分子当たりの活性ヒドロキシ基数を言及する。“官能価”の目的のために、ポリサッカリド分子は、低モノマーポリサッカリドとして定義される。通常、厳密に言うと、官能価は配合物のポリオール側における分子上のイソシアネート活性水素の数を言及する。
【0037】
ここで用いられる用語“ポリデキストロース”は、高度分岐ポリサッカリドの1つの例を言及する。それは、グルコース、マルトース、グルコースのオリゴマー又はでんぷんの加水分解物から調製されるグルコースのポリマー生成物を含み、それらは酸、例えばルイス酸、モノカルボン酸、ジカルボン酸及びポリカルボン酸を含む無機又は有機酸の存在下、重縮合反応における熱処理によって重合され、例えば下記の米国特許に記載される方法によって調製した生成物などであるが、それらに限らない:米国特許第2,436,967号明細書、米国特許第2,719,179号明細書、米国特許第4,965,354号明細書、米国特許3,766,165号明細書、米国特許5,051,500号明細書、米国特許5,424,418号明細書、米国特許第5,378,491号明細書、米国特許5,645,647号明細書、米国特許第5,773,604号明細書又は米国特許第6,475,552号明細書、それら全ての内容は参照することによりここに組み込まれる。
【0038】
用語ポリデキストロースは、米国特許第3,766,165号明細書に記載される反応におけるような、糖アルコール、例えばポリオールの存在下で、上述のグルコース、マルトース、グルコースのオリゴマー又はでんぷんの加水分解物の重縮合によって調製されるグルコースのポリマー生成物も含む。さらに、用語ポリデキストロースは、下記のありとあらゆるものを含むが、これに限定されない先行技術において記載される技術によって精製されるグルコースポリマーを含む。(a)その内容が参照することによりここに組み込まれる米国特許第5,667,593号明細書及び米国特許第5,645,647号明細書において記載されるように、それとともに関連するいずれかの塩の、該塩への塩基添加によるか、又はポリデキストロースの濃縮水性溶液を吸着樹脂、弱塩基性イオン交換樹脂、II型強塩基性イオン交換樹脂、塩基性イオン交換樹脂を含む混床樹脂、又はカチオン交換樹脂に通すことによる中和;又は(b)ポリデキストロースを活性炭素又は木炭と接触させることによる、スラリー化することによる、もしくは溶液を固体吸着剤の吸着床に通すことによる、又は塩化ナトリウム、過酸化水素などで漂白することによる脱色;(c)UF、RO(逆浸透)、サイズ排除などのような分子ふるい分け方法;(d)又は酵素的に処理されたポリデキストロース又は(e)当該技術分野において知られているその他の認められた技術。当該技術分野において使用される精製方法のうち、下記が特に記載される:漂白、例えば米国特許第4,622,233号明細書において記載されるような過酸化水素を用いたもの;米国特許第4,956,458号明細書において記載されるような膜技術;イオン交換、例えば米国特許第5,645,647号明細書において記載されるようなクエン酸の除去又は米国特許第5,091,015号明細書において記載されるような色/苦味の除去;国際公開第92/12179号パンフレットに記載されるような強カチオン交換体でのクロマトグラフィ分離;米国特許第5,601,863号明細書、米国特許第5,573,794号明細書において記載されるようなイオン交換との、又は米国特許第5,424,418号明細書において記載されるようなイオン交換とクロマトグラフィ分離との組み合せでの水素化;又は米国特許4,948,596号明細書、欧州特許第289461号明細書において記載されるような溶媒抽出、前記特許の内容は参照することにより組み込まれる。
【0039】
さらに、用語ポリデキストロースは、ここで使用されるような、当業者に知られている技術によって調製される水素化又は還元ポリグルコース生成物を含む水素化ポリデキストロースを含む。いくつかの技術は、米国特許第5,601,863号明細書、米国特許第5,620,871号明細書及び米国特許第5,424,418号明細書において記載さ
れ、それらの内容は参照することにより組み込まれる。用語ポリデキストロースは、従来既知の原料であり、及び例えば参照することにより組み込まれる米国特許第5,424,418号明細書及び米国特許第4,948,596号明細書に開示される方法によって製造され得る分画ポリデキストロースもまた包含する。
【0040】
ポリデキストロースは、ダニスコスィートナーズ、ステイリー及びシンドンバンのような会社から商業上入手可能である。精製形態のポリデキストロースは、リテッセ(Litesse)[登録商標]又はリテッセ(Litesse)[登録商標]IIの名の下でダニスコスィートナーズによって、及びスタリテ(Stalite)IIIの名の下でステイリーによって市販される。還元された、すなわち、水素化形態のリテッセ(Litesse)[登録商標]は、リテッセ(Litesse)[登録商標]ウルトラと呼ばれている。リテッセ(Litesse)[登録商標]ポリデキストロース製品の仕様書はダニスコスィートナーズから入手可能である。
【0041】
更なる高度分岐ポリサッカリドは、でんぷんからのピロコンバージョンによって誘導される。でんぷんは、α−(1,6)結合を用いたいくつかの分岐とともにα−(1,4)結合によって結合するグルコース分子から作られる。分岐度は、でんぷんの供給源に左右される。ポリサッカリドは、ピロコンバージョンとして知られる熱処理方法においてでんぷんから製造される。ピロデキストリンは、でんぷん単独を使用するか又は微量の酸触媒を用いて乾燥ばい焼方法において得られるでんぷん加水分解生成物である。この反応において形成される最初の生成物は可溶性でんぷんであり、該でんぷんは次に加水分解してさらにデキストリンを形成する。最終生成物の分子量は、加熱温度及び継続時間に左右される。トランスグルコシド化は、デキストリン化プロセス中に起こり得、該プロセスにおいてはα−(1,4)グルコシド結合の破壊のすぐに後に結果として生じた断片と隣接したヒドロキシ基との化合が続き、新しい結合及び枝分かれした構造を生成する。このように、グルコシド結合部の一部は争奪される。商業上入手可能なピロコンバージョンされたでんぷんは、ファイバーソル[登録商標]−2(Fibersol−2)と呼ばれ、及びマツタニ アメリカ社から入手可能である。
【0042】
本明細書を通して使用したように、用語“相溶性”は、誘導体化された高度分岐ポリサッカリドの溶解特性に関連して使用する場合、誘導体化された高度分岐ポリサッカリドとポリエーテルポリオールの混合によって形成される液体が沈殿を生じず、それ故に均一及び安定であることを意味することを意図している。さらに形成された液体は、混合物製造後、少なくとも2時間、好ましくは少なくとも30日間、より好ましくは何ヶ月間も実質的に一定の光透過率(1つの極値で透明及び他の極値で不透明)を有する。異なる態様において、安定した液体は、長い間そのままであろう透明で、均質な液体(例えば、溶液)の形態にあるか、又は長い間そのままであろう、すなわちポリサッカリドが長い間沈殿しないポリオールにおいて誘導体化された高度分岐ポリサッカリドのエマルション形態にあるだろう。極性は、更に溶解パラメーター(δ)として知られる用語によって示され得、非常に極性のある水の値が23.4であり、及び溶解パラメーターが7.4であるメチルt−ブチルエーテルのような非常に非極性な溶剤に近づくにつれ減少する。溶剤と同じような溶解パラメーターを有するポリマーは、その中において溶解する。溶解パラメーターにおいて劇的な違いを有する成分、例えば水と油は溶解しないだろう。
【0043】
用語“短鎖エステル”は、2乃至4個の炭素原子、好ましくは2乃至3個のおよび最も好ましくは2個の炭素を有するエステルに言及する。本発明のエステルは少量の不純物、例えば長さが異なるエステルを含んでいてもよい。それ故に用語・短鎖エステルは使用されるエステルに言及するものであって、該エステルは(上に定義したような)特定の長さのエステルから本質的に成る使用されたエステルに言及する。エステルは分岐状のものでもよい。
【0044】
用語“長鎖エステル”は、8乃至12個の炭素原子、好ましくは9乃至11個のおよび最も好ましくは10個の炭素を有するエステルに言及する。本発明のエステルは少量の不純物、例えば長さが異なるエステルを含んでいてもよい。それ故に用語・長鎖エステルは(上に定義したような)特定の長さのエステルから本質的に成る使用されたエステルに言及する。エステルは分岐状のものでもよい。
【0045】
本明細書を通して使われるように用語“負荷ビルディング(load building)”は、イソシアネートベース発泡体マトリックスにおいて堅さを生み出すための誘導体化された高度分岐ポリサッカリドの能力を示す。典型的に発泡体の堅さは、ASTM D3574に準じて測定される押込み力たわみ(Indentation Force Deflection)(IFD)(昔の押込み負荷たわみ(Indentation Load Deflection)、ILD)又は圧縮力たわみ(Compressive Force Deflection)(CFD)(昔の圧縮負荷たわみ(Compressive Load Deflection)、CLD)を使用して記載される。IFD数は、その元の厚さの特定のパーセンテージにより発泡体試料を押込むために要求される力のポンドを示す。CFD値は、毎平方インチ当たりのポンド(psi)で与えられる。試料を圧縮するために必要とされるポンドにおける力は記録され、及びその結果は該力を試料の表面積で割ることによりpsiで報告される。軟質発泡体の弾力の1つの目安は、2つの圧縮深さ(compression depts)で測定された押込みたわみ又は圧縮たわみの割合である。典型的にこれは発泡体厚さの25%及び65%で得られ、また25%における値によって割られた65%における値の割合として表わされる(65:25の割合)。2.4より大きい65:25の割合は、発泡体は高弾力の発泡体として分類され得ることを示す。2.4以下の65:25の割合は、従来の高荷重性発泡体を示す。65:25の割合は、たわみ因子(sag factor)又は圧縮係数としても言及され得る。高弾力軟質発泡体に対する最小ASTM D 3770仕様は、25%たわみでのIFDが<15psi;密度−1.5pcf min;たわみ因子(sag factor)−2.4min;引張−7psi min;伸張−100% min;引き裂き−1pi minである。
【0046】
用語“指標”は、イソシアネートのイソシアネート基とポリオール組成物のヒドロキシ基の割合[NCO/OH]を言及する。
【0047】
用語“イソシアネートベースのポリマー”は、とりわけ、ポリウレタン、ポリウレア及びポリイソシアネートを意味することを意図している。
【0048】
好ましい態様において、本発明の誘導体化された高度分岐ポリサッカリドは、高弾性(HR)成形柔軟性ポリウレタン発泡体用途においてコポリマーポリオールの部分的又は全てに代わるものとして使用される。高弾性発泡体は、例えば家庭用品及び自動車における緩衝材料として使用される。本発明の誘導体化された高度分岐ポリサッカリド又は混合物は、カーペットの下敷き及び梱包発泡体用途においてコポリマーポリオールの部分的又は全てに代わるものとしても使用される。本発明の発泡体が使用される他の分野は、スポーツ用品、医学、例えば人工皮膚、インプラント等と同様に産業界におけるあらゆる種類の保護装置である。発泡体は平板にされ、そしてその後粉砕及び/又は切断され、又は成形される。
【0049】
好ましくは、イソシアネートベースのポリマーは、ポリウレタン、ポリウレア、ポリイソシアヌレート、尿素変性ポリウレタン、ウレタン変性ポリウレア、ウレタン変性ポリイソシアヌレート及び尿素変性ポリイソシアヌレートからなる群から選ばれる。当該技術分野で知られるように、用語“変性”は、ポリウレタン、ポリウレア又はポリイソシアヌレ
ートとともに使用される場合、連鎖を形成するポリマー主鎖の50%までが置換されていることを意味する。イソシアネートベースのポリマーは、イソシアネート反応性水素を含有する混合物と、簡単に入手可能なイソシアネート芳香族化合物の類から選ばれるイソシアネートの間の反応によって形成され得る。
【0050】
本発明の高度分岐ポリサッカリドの疎水特性を強めるための多くの方法がある。例えば、オクテニルスクシニル化は、米国特許4,035,235号明細書;米国特許5,672,699号明細書;又は米国特許第6,037,466号明細書に記載されるように行われ得る。しかしながら、好ましいやり方は、好ましくは6乃至12個の炭素原子を有する脂肪酸とのエステル化である。でんぷんのような類似の構造をエステル化する方法は、米国特許第2,461,139号明細書;米国特許第4,720,544号明細書;米国特許第5,360,845号明細書;米国特許第6,455,512号明細書及び米国特許第6,495,679号明細書に記載される。他のポリサッカリドをエステル化するための方法は、米国特許第4,517,360号明細書;米国特許4,518,772号明細書;米国特許第5,589,577号明細書;米国特許第5,840,883号明細書;米国特許第5,977,348号明細書、米国特許第6,706,877号明細書及び米国特許出願第60/619,109号明細書に記載される。
【0051】
先行技術に記載されるいくつかの異なる合成手段がある。溶剤ででんぷんを変性することは、米国特許第5,589,577号明細書、米国特許5,681,948号明細書、米国特許第5,840,883号明細書及び米国特許第6,495,679号明細書に記載される。反応が溶剤を必要とせず、及び溶融状態において真空下で行われるスクロースのアルキルエステル誘導体を製造する方法は、米国特許第4,517,360号明細書、米国特許第4,518,772号明細書、米国特許第5,585,506号明細書、米国特許5,681、948号明細書、米国特許5,767,257号明細書、米国特許第5,945,519号明細書、米国特許6,080,853号明細書、米国特許6,121,440号明細書、米国特許第6,303,777号明細書、米国特許第6,620,952号明細書及び米国特許第6,706,877号明細書に記載される。米国特許第4,011,389号明細書、米国特許第4,223,129号明細書、米国特許第4,720,544号明細書、米国特許第4,950,743号明細書、米国特許第5,886,161号明細書、米国特許第6,100,391号明細書及び米国特許第6,204,369号明細書に記載される他の誘導体化の方法は、長鎖アルコールとグルコシド構造を生成するポリサッカリドとの直接的な反応の範囲をカバーしている。同数のヒドロキシ基が最終生成物に残っており及び塩基存在下で長鎖αオレフィンエポキシドモノマーが望ましい疎水性を導入するためにポリオールに加えられる方法は、米国特許第3,932,532号明細書及び米国特許第4,011,389号明細書に記載される。水が存在する方法は、米国特許第2,461,139号明細書、米国特許第3,318,868号明細書、米国特許4,720,544号明細書、米国特許5,360,845号明細書、米国特許第6,011,092号明細書、米国特許第6,455,512号明細書及び米国特許第6,605,715号明細書に記載される。ルイス酸触媒の存在下及び中和後に長鎖アルコールと反応させるエピクロロヒドリンを利用する炭水化物を変性させ、及びその生成物がアルコキシドに転換されているポリグルセロールに加えられる方法は、米国特許第4,086,279号明細書に記載される。さらに、DMF又はDMSOのような高沸点溶剤が超臨界CO2により置き換わるでんぷんのエステル化のための方法は、米国特許第5,
977,348号明細書に記載される。
【0052】
ポリサッカリドを誘導体化させる特に簡単な方法は、高度分岐ポリサッカリドと適したエーテル又はテトラヒドロフラン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、キシレン又はトルエンのような芳香族炭化水素溶剤とを混合する工程;NaOH又はKOHのような塩基を加える工程、そして次にカルボン酸を加える工程からなる。反応は、熱を加え及び
同時に水を除去しながら完了に至らせる。
【0053】
もう1つの方法として、疎水性を与えるカルボン酸部分は、ポリサッカリド調製反応の間又は完了間際で加えられ得る。
【0054】
上述されるように本発明のイソシアネートベースのポリマー及び混合物を調製するための方法において利用される好ましいポリサッカリド組成物は、平均10乃至100個のグルコース残基を有する不規則に結合したグルコピラノース単位からなる誘導体化された高度分岐ポリサッカリドを含む。
【0055】
本発明では、2種以上の長さが異なるエステル基がポリサッカリドに導入されると、好ましい態様では、ポリサッカリド誘導体の溶解パラメーターは、非誘導体化されかつより少なく置換されたポリサッカリドと比較して低くなる。溶解パラメーターが16以下、好ましくは14以下およびより好ましくは12以下であるとき、変性ポリサッカリドは、非誘導体化されかつより少なく置換されたポリサッカリドが不溶である溶剤に溶解する。親水性が減少し、そしてそれ故、より低い極性溶剤においてポリサッカリド誘導体の溶解性は置換度が増えるにつれて増加する。
【0056】
本発明の好ましい態様では、ASTM D3547に準じて測定されるとき、イソシアネートベースのポリマーは押込み力たわみ損失を有し、その損失は負荷ビルダー(load builder)なしに従来の発泡体のポリマーより少ないか又は大体同じである。ASTM D3574に準じて測定されるとき、発泡イソシアネートベースのポリマーとその基準の発泡体は実質的に同じ密度及び圧縮力たわみを有する。
【0057】
他の好ましい態様では、ASTM D3547に準じて測定されるとき、本発明の好ましい発泡イソシアネートベースのポリマーは厚み損失を有し、その損失は負荷ビルダー(load builder)なしに従来の発泡体のポリマーより少ないか又は大体同じである。ASTM D3574に準じて測定されるとき、発泡イソシアネートベースのポリマーとその基準の発泡体は実質的に同じ密度及び圧縮力たわみを有する。
【0058】
本発明の好ましい態様では、イソシアネートは2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート及びメチレンジフェニルジイソシアネート並びにその組み合せから選ばれ、活性水素含有化合物はポリエーテルポリオールを含有するポリプロピレン・オキサイドであり、発泡剤は水であり、そして前記誘導体化されたポリサッカリドはポリデキストロースである。ポリデキストロースは15未満の活性水素官能価を有し、そしてC2及びC10エステルで80%のヒドロキシ置換へ誘導体化される。
【0059】
ポリサッカリドが2種の長さが異なるエステル基で誘導体化される好ましい態様では、誘導体化されたポリサッカリド中のエステル残基の質量は、誘導体化された高度分岐ポリサッカリドの質量に基づいて、40乃至80%、より好ましくは45乃至70%、最も好ましくは45乃至60%である。
【0060】
本発明の1つの態様において、ポリサッカリドは、全てのタイプのグリコシド結合を有する不規則に架橋結合したグルコース単位からなり、少量の結合糖アルコール及び酸を含有し、及び約1,500及び18,000の間の平均分子量を有する。ポリサッカリドは、主に1,6−グリコシド結合を有し、及び酸、好ましくはカルボン酸の存在下におけるグルコース、マルトース又は他の単糖又は加水分解でんぷん及び糖アルコールのようなグルコース含有物質の重縮合生成物である。
【0061】
適した酸の例は、ギ酸、酢酸、安息香酸、マロン酸、フマル酸、コハク酸、アジピン酸
、イタコン酸、クエン酸などのようなモノ、ジ、もしくはトリカルボン酸又はそれらのなりうる無水物、及び/又は塩酸、硫酸、亜硫酸、チオ硫酸、ジチオン酸、ピロ硫酸、セレン酸、亜セレン酸、亜リン酸、次亜リン酸、ピロリン酸、ポリ燐酸、次リン酸、ホウ酸、過塩素酸、次亜塩素酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸及びケイ酸のような鉱酸;重硫酸ナトリウム及び亜硫酸水素ナトリウムのような上記酸の酸性アルカリ金属又はアルカリ土類金属塩;それら酸(及び/又は酸性アルカリ又はアルカリ土類金属塩)と約0.001乃至3%でのリン酸などとの混合物を含むがそれらに限定されない。このように製造されたポリサッカリドは、少量の未反応糖アルコール及び/又は酸及びアンヒドログルコースの混合物(反応中間体)を含有するだろう。
【0062】
好ましい態様において、糖アルコールは、典型的に5乃至20質量%、好ましくは5乃至15質量%、より好ましくは8乃至12質量%のレベルで、ソルビトール、グリセロール、エリトリトール、キシリトール、マンニトール、ガラクチトール又はそれらの混合物からなる群から選ばれる。
【0063】
形成されたポリサッカリドは、単一又は組み合せで使用される様々な化学的及び物理的方法によってさらに精製又は変性され得る。それらは、化学的分別、有機溶媒での抽出、適した塩基での中和、クロマトグラフィ(イオン交換又はサイズ排除のような)による精製、膜又は分子ろ過、更なる酵素処理、炭素処理及び特定の還元方法である水素化を含むがこれらに制限されない。
【0064】
本発明の最も好ましい態様において、ポリサッカリドはグルコース、ソルビトール及びクエン酸の重縮合生成物である。水溶性ポリサッカリドは、クエン酸(0.01乃至1質量%)の存在下、無水溶融状態及び減圧下でグルコースとソルビトール(8乃至12質量%)とを反応させることによって製造される。ポリサッカリドは、酸性度が0.004meq/gm未満である形態を生成するためにイオン交換によって精製され得;低酸性度ポリオールとして言及される。又は、それはイオン交換と水素化の組み合せによって精製され得;水素化ポリオールとして言及される。水素化後還元型サッカリドは、典型的には総炭水化物含有量の0.3%未満である。又は、酸性度及び単量体反応副生成物の濃度を低減するために、それはアニオン交換及び分子ろ過によってさらに精製され得;低モノマーポリオールとして言及され得る。処理において使用される水の一部は、望ましい含水量を得るために除去され得る。低酸性度及び水素化形態において、該ポリサッカリドは、総炭水化物含有量の約90%を構成する:残部はグルコース、ソルビトール及びアンヒドログルコースからなる。低モノマー形態において、該ポリサッカリドは、総炭水化物含有量の99+%を構成する。この最も好ましい態様における高度分岐ポリサッカリドはポリデキストロースである。上述のすべての場合における含水量は、粗い又は細かい粉末として製粉できるように調整もされ得る。
【0065】
本発明の他の態様において、ポリサッカリドは、主にベータ−1,4結合及び、デキストリンを形成するためにでんぷんから加水分解され、そして次に枝分かれ構造を形成するために結合される様々な数のグルコース残基を有する。この態様において、ポリサッカリドは好ましくはピロコンバートされたでんぷんである。
【0066】
本発明の活性水素含有化合物は、ポリオール、ポリアミン、ポリアミド、ポリイミン及びポリオールアミンを含む群から選ばれる。好ましい態様において、活性水素含有化合物はポリオールを含む。ポリオールは、ポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリジエン及びポリカプロラクトンを含む群から選ばれたもののヒドロキシ基末端骨格を含む。ポリオールは、ヒドロキシ基末端ポリハイドロカーボン、ヒドロキシ基末端ポリホルマル(polyformal)、脂肪酸トリグリセリド、ヒドロキシ基末端ポリエステル、ヒドロキシメチル基末端ポリエステル、ヒドロキシメチル基末端ペルフルオロメチレ
ン、ポリアルキレンエーテルグリコール、ポリアルキレンアリーレンエーテルグリコール、ポリアルキレンエーテルトリオール及びそれらの混合物並びにアジピン酸エチレングリコールポリエステル、ポリ(ブチレングリコール)、ポリ(プロピレングリコール)及びヒドロキシ基末端ポリブタジエンを含む群から選ばれ得る。
【0067】
より好ましい態様において、ポリオールはポリエーテルポリオールを含み、ポリエーテルポリオールは、ポリオール鎖の骨格にランダムに分布された又は末端にブロックとしてポリプロピレン・オキサイド及びポリエチレン・オキサイドを含有し得る。さらに、該ポリエーテルポリオールは、好ましくは少なくとも2の官能価を有する。該ポリエーテルポリオールの分子量は、約200乃至約12,000、好ましくは2,000乃至約7,000、より好ましくは2,000乃至6,000の範囲である。さらに、反応混合物のポリエーテルポリオールは、相溶性を示す混合物のポリエーテルポリオールと同一又は異なり得る。
【0068】
好ましい態様において、本発明の発泡イソシアネートベースのポリマーは軟質ポリウレタンフォームである。
【0069】
活性水素含有化合物はまた、ポリアミン及びポリアルカノールアミンを含む群から選ばれ得、好ましくはポリアミンは、第一級及び第二級アミン末端ポリエーテルを含む群から選ばれる。好ましい態様において、これらのポリエーテルは少なくとも約230の分子量及び約2乃至約6の官能価を有する。他の好ましい態様において、ポリエーテルは少なくとも約230の分子量及び約1乃至3の官能価を有する。
【0070】
好ましい態様において、本発明の発泡体又は混合物は、活性水素含有化合物及びポリサッカリドに加えて、少なくとも1種の触媒及び少なくとも1種の界面活性剤を含み、又はこれらはイソシアネートベースのポリマーを製造する方法において使用され得る。当該技術分野において知られているあらゆる適した触媒及び界面活性剤は望ましい特性を得るために使用され得る。反応混合物において使用される該触媒は、重合反応に触媒作用を及ぼす能力のある化合物である。本発明の好ましい態様において、該触媒は第三級アミン及び金属塩又はそれらの混合物からなる群から選択され得る。アミン触媒は、メチルモルホリン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリエチレンジアミン及びペンタメチルジエチレントリアミンを含むがこれらに限定されない。金属塩は、スズ塩又はオクタン酸カリウム及び酢酸カリウムのようなカリウム塩を含むがこれらに限定されない。触媒の混合物が好ましい(例えば、全てエアプロダクツ社製−ポリキャット(Polycat)[登録商標]5,33LV,BL11;ハンツマン社製−ジェフキャット(Jeffcat)[登録商標]ZF10、又はモメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製−ナイアックス(Niax)[登録商標]A−1)。さらに、米国特許第4,296,213号明細書及び米国特許第4,518,778号明細書は、適した触媒化合物を記載する。本発明の好ましい態様において、界面活性剤は、寸法安定性及び均一なセル形成を助けるために使用されるシリコーン界面活性剤であり得る。適したシリコーン界面活性剤は、全てエアプロダクツ社製ダブコ(Dabco)[登録商標]シリーズDC5890、DC5598、DC5043、DC5357、DC5164及びモメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製ナイアックス(Niax)[登録商標]L3184である。
【0071】
本発明の発泡体、混合物又は方法は、水、非水性発泡剤、液体二酸化炭素及びそれらの組み合せから選ばれる少なくとも1種の発泡剤をさらに含み得る。好ましくは、発泡剤は水を含む。非水性発泡剤は、好ましくはアセトン、メチル、ホルメート、ギ酸、ペンタン、イソペンタン、n−ペンタン又はシクロペンタンのような低沸点有機液体、HCFC141、HFC245、HFC365、HFC134、HFC227又はそれらの混合物である。当該技術分野において知られているように、水は発泡イソシアネートベースのポリ
マーの製造において間接的な又は反応性発泡剤として使用され得る。特に、水は最終発泡ポリマー生成物において効果的な発泡剤として作用する二酸化炭素を形成するイソシアネートと反応する。もう1つの方法として、該二酸化炭素は、二酸化炭素を生じる不安定な化合物(例えば、カルバメートなど)のような他の方法によって製造され得る。所望により、直接有機発泡剤は、そのような発泡剤の使用は一般的に環境への配慮から抑制されるが、水とともに使用され得る。本発明の発泡イソシアネートベースのポリマーの製造で使用する好ましい発泡剤は水を含む。
【0072】
発泡イソシアネートベースのポリマーの調製において間接的な発泡剤として使用される水の量は、従来、反応混合物における100質量部の活性水素含有化合物の総含有量に基づき、約0.5乃至約40の上限に近い質量部以上、好ましくは約1.0乃至約10質量部であることが当該技術分野で知られている。当該技術分野で既知であるように、発泡イソシアネートベースのポリマーの製造において使用される水の量は、典型的に発泡ポリマーにおいて期待される一定の性質及び発泡体が自らの構造形成に向かって、どこまで拡大していくのかの許容範囲によって制限される。従って、水の量はまた、イソシアネートの必要性を定義し得る。より多くの水が存在する場合、必要とされるイソシアネートの量は増加する。他方で、大量のイソシアネートの使用は、硬質でかつ堅い感触を有し得、すなわち“板のような(boardy)”イソシアネートベースのポリマー発泡体をもたらし得る。
【0073】
さらに、架橋剤、顔料又は充てん材のような添加剤及び他の更なる成分は、本発明の発泡体、イソシアネートベースのポリマーのための混合物中に又は発泡イソシアネートベースのポリマーを製造する方法において加えられ得る。誘導体化された高度分岐ポリサッカリドは主にイソシアネートと反応するが、本発明のいくつかの態様において、それは充てん材として役立つ。架橋剤は、トリエタノールアミン、グリセリン及びトリメチロールプロパンからなる群から選ばれ得る。本発明の好ましい態様において、混合物の質量による1乃至2質量%のジエタノールアミンが混合物に加えられる。
【0074】
充てん材、難燃剤、架橋剤及び耐久性を強化する薬剤のような特別な添加剤が含まれ得る。そのような添加剤は、好ましくは当該技術分野において一般的及び当業者に良く知られているような量で加えられる。そのような限定されない添加剤の例は、界面活性剤(例えば、ユニオンカーバイド社製商標名L−540のもと入手可能な有機シリコーン化合物)、セルオープナー(cell opener)(例えば、シリコーン油)、エキステンダー(例えば、セレクラー(Cereclor)S45として商業上入手可能なハロゲン化パラフィン)、架橋剤(例えば、低分子量反応性水素含有組成物)、顔料/染料、難燃剤(例えば、ハロゲン化有機リン酸化合物)、阻害剤(例えば、弱酸)、核剤(例えば、ジアゾ化合物)、酸化防止剤、及び可塑剤/安定剤(例えば、スルホン化芳香族化合物)を含む。しかしながら、本発明の特別な充てん材は、本発明の発泡体、混合物又は反応混合物に含まれる誘導体化された高度分岐ポリサッカリドを含む。
【0075】
本発明に使用されるイソシアネートは、容易に入手可能なイソシアネート芳香族化合物の類からもたらされ得る。望ましい性質に応じて、好ましい芳香族イソシアネートの例は、トルエンのニトロ化その後に続く水素化によって製造されるトルエンジアミンのホスゲン化によって調製されるもののような2,4及び2,6トルエンジイソシアネート(TDI)を含む。TDIは、2,4異性体と2,6異性体の混合物であり得、80:20又は65:35の比、より好ましくは80:20(例えば、バイエル社、ダウ社、パーストープ社製TDI80)である。他の好ましいイソシアネートは、アニリンとホルムアルデヒドとの縮合、それに続くホスゲン化によって調製されるようなメチレンジフェニルイソシアネート(MDI)である。該MDIは、2,4’及び4,4’メチレンジフェニルジイソシアネートとの混合物、並びに2,4及び4,4異性体と2個以上の芳香族環を有する
化合物−ポリマー状MDI又はPMDI(例えば、BASF社製ルプラネート(Lupranate)[登録商標]M20S、ダウ社製パピ(PAPI)[登録商標]27及びバイエル社製モンデュー(Mondur)[登録商標]MR)との混合物であり得る。
【0076】
反応混合物における使用に適したイソシアネートは、特に制限されず、及びそれらの選択は当業者の活動範囲内にある。一般に、使用に適したイソシアネート化合物は、一般式:
Q(NCO)i
(式中、iは2以上の整数であり、及びQはi価を有する有機基である。)によって表され得る。Qは、置換された又は未置換の炭化水素基(例えば、アルキレン基又はアリーレン基)であり得る。さらに、Qは一般式:
1−Z−Q1
(式中、Q1は、アルキレン基又はアリーレン基を表し、及びZは、−O−、−O―Q1―、−CO−、−S−、−S−Q1−S−及び−SO2−を含む群から選ばれる。)によって表され得る。この定義の範囲に含まれるイソシアネート化合物の例は、ヘキサメチレンジイソシアネート、1,8−ジイソシアナート−p−メタン、キシリルジイソシアネート、(OCNCH2CH2CH2CH2O)2、1−メチル−2,4−ジイソシアネートシ−シク
ロへキサン、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、クロロフェニレンジイソシアネート、4,4’−メチレンジフェニルジイソシアネート、ナフタレン−1,5−ジイソシアネート、トリフェニルメタン−4,4’,4”−トリイソシアネート及びイソプロピルベンゼン−アルファ−4−ジイソシアネートを含む。
【0077】
他の態様において、Qは、またi価を有するポリウレタン基を表す。この場合、Q(NCO)iは、通常プレポリマーとして当該技術分野において言及される化合物である。一
般に、プレポリマーは、化学量論上過剰のイソシアネート化合物(上記で定義されるような)と活性水素含有化合物(以下で定義されるような)、好ましくはポリヒドロキシ基含有物質又は以下に記載されるポリオールを反応させることによって調製され得る。この態様において、ポリイソシアネートは、例えば、ポリオールにおけるヒドロキシ基の割合に対して約30パーセント乃至約200パーセントの化学量論上過剰の割合で使用され得る。本発明の方法がポリウレア発泡体に関し得るので、この態様において、プレポリマーがポリウレタン変性ポリウレアを調製するために使用され得ることが十分理解されるだろう。
【0078】
他の態様において、本発明の方法における使用に適したイソシアネート化合物は、イソシアネート及びジイソシアネートの二量体及び三量体から、及び一般式:
[Q”(NCO)ij
(式中、i及びjの両方は2以上の値を有する整数であり、及びQ”は多官能有機基を表す。)を有するポリマー状ジイソシアネートから、及び/又は、反応混合物における追加の成分として、一般式:
L(NCO)i
(式中、iは1以上の値を有する整数であり、及びLは単官能もしくは多官能原子又は基を表す。)を有する化合物から選択され得る。この定義の範囲に含まれるイソシアネート化合物の例は、エチルホスホン酸ジイソシアネート、フェニルホスホン酸ジイソシアネート、=Si−NCO基を含有する化合物、スルホンアミド(QSO2NCO)由来のイソ
シアネート化合物、シアン酸及びチオシアン酸を含む。
【0079】
また例えば、適したイソシアネートの検討のための英国特許第1,453,258号明細書を参照。適したイソシアネートの例は、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,4−ブチレンジイソシアネート、フルフリリデンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、2,4’−メチレンジフェニ
ルジイソシアネート、4,4’−メチレンジフェニルジイソシアネート、4,4’−ジフェニルプロパンジイソシアネート、4,4’−ジフェニル−3,3’−ジメチルメタンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、1−メチル−2,4−ジイソシアネート−5−クロロベンゼン、2,4−ジイソシアナート−s−トリアジン、1−メチル−2,4−ジイソシアナートシクロへキサン、p−フェニレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、1,4−ナフタレンジイソシアネート、ジアニシジンジイソシアネート、ビトリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、ビス−(4−イソシアナートフェニル)メタン、ビス−(3−メチル−4−イソシアナートフェニル)メタン−、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート及びその混合物を含む。より好ましいイソシアネートは、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート及びその混合物、例えば、約75乃至約85質量パーセントの2,4−トルエンジイソシアネートと約15乃至約25質量%の2,6−トルエンジイソシアネートを含む混合物を含む群から選ばれる。他のより好ましいイソシアネートは、2,4’−メチレンジフェニルジイソシアネート、4,4’−メチレンジフェニルジイソシアネート及びそれらの混合物を含む群から選ばれる。最も好ましいイソシアネートは、約15乃至約25質量パーセントの2,4’−メチレンジフェニルイソシアネート及び約75乃至約85質量パーセントの4,4’−メチレンジフェニルジイソシアネートを含む混合物である。本発明の好ましい態様において該イソシアネートは本質的に(i)2,4’−メチレンジフェニルジイソシアネート、4,4’−メチレンジフェニルジイソシアネート及びその混合物;及び(ii)(i)と2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート及びその混合物を含む群から選ばれるイソシアネートとの混合物からなる群から選ばれる。
【0080】
イソシアネートのイソシアネート基とポリオールのヒドロキシ基の割合は、1.2:1乃至1:1.2、好ましくは1.1:1乃至1:1.1である。
【実施例】
【0081】
下記の実施例は、本発明をさらに説明するために与えられ、そして該発明範囲を制限することを目的としない。上記の記載に基づき、当業者は、広い範囲の定義された性質を有する誘導体化されたポリサッカリドのイソシアネートベースのポリマーを提供するための多くの方法で本発明を変えることができるだろう。
【0082】
実施例1−20
本発明のポリデキストロースエステル、実施例1−7及び比較例8−9
表1における原料を次のように調製した。ジメチルホルムアミド(DMF;900mL、但し、実施例9ではDMFは300mL)、ピリジン及びポリデキストロース(PDX;60−80℃で一晩真空乾燥した)をトップ機械攪拌器、還流冷却器及び付加的な漏斗を備える3000mLの四つ口フラスコに入れた。この混合物を40℃まで加熱し、透明な溶液を得た。次に第二の酸塩化物を示すデカノイルクロライドの混合物を冷やしながら約45分かけて滴下して加えた。酸塩化物の添加を終了後、温度を90℃まで上げそしてその後容器を1時間攪拌した。得られた温かい生成物を、洗浄水がpH試験紙に対して中性になるまで、水及び/又は1%乃至2%の重炭酸ナトリウム水の組み合わせで数回洗浄した。洗浄水をデカントしそして生成物をその後予め秤量した(pre−weighed)フラスコに置き、そして残留水をロータリーエバポレーター中で加熱及び真空にして揮発した。含水量をカール・フィッシャー滴定よって決定した。ヒドロキシ数をASTM D4274Bによって決定した。
【0083】
【表1】

【0084】
比較の負荷ビルダー(load builder)、実施例10乃至11
実施例10の負荷ビルダー(load builder)はハイパーライト(Hyperlite)E850であって、43%固形分コポリマー(SAN)ポリオールであり、バイエル社から商業上入手可能である。実施例11の負荷ビルダー(load builder)はボルトーン(Boltorn)[登録商標]H311であって、パーストープ(Perstorp)から入手可能であり、〜10wt%の水を含んでいる樹枝状ポリオールである。それは、典型的には5000g/モルの分子量と23の官能基を有する260mg KOH/gのOH数である。
【0085】
実施例12乃至20のポリデキストロースエステル
実施例12乃至17のポリデキストロースエステルは、表2に定義した試薬の割合を使用して実施例1乃至7に記載した一般的な方法によって調製した。実施例18乃至20のポリデキストロースエステルは、実施例2のポリデキストロースエステルとして調製した。
【0086】
【表2】

【0087】
実施例1乃至20のポリウレタン発泡体
実施例1乃至11の発泡体において、特に注記がなければ、以下の原料を使用した:
E863、ベースのポリオール、バイエル社(Bayer)から商業上入手可能
PDX、以下のように製造されたポリデキストロース誘導体;
DEAO LF、ジエタノールアミン、エアープロダクツ社(Air Products)から商業上入手可能な架橋剤;
水;間接発泡剤
ダブコ(Dabco)33LV、ゲル化触媒、エアープロダクツ社(Air Products)から商業上入手可能;
ニアクス(Niax)A−1、発泡触媒、ウイトコ社(Witco)から商業上入手可能ダブコ(Dabco)BL−11;BL19、エアープロダクツ社(Air Products)から商業上入手可能な発泡触媒
ニアクス(Niax)L−3184、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製(Momentive Perfromance Materials)シリコン界面活性剤
ダブコ(Dabco)5164、エアープロダクツ社製(Air Products)シリコン界面活性剤
ダブコ(Dabco)5043、エアープロダクツ社製(Air Products)シリコン界面活性剤
ルプラネート(Lupranate)T80、イソシアネート(トルエンジイソシアネート−TDI)、BASF社から商業上入手可能
【0088】
実施例1乃至11は、典型的なイソシアネートベースの高弾性(HR)ベースの発泡体における、ポリデキストロース誘導体(実施例1乃至9)又はコポリマーポリオール(実施例10乃至11)の使用を説明する。質量ベースで10%及び20%の両方において下
記の発泡体配合物に記載された濃度で使用したとき、実施例1乃至7のポリデキストロースエステルはベースのポリオール中に完全に混合可能であった。20%濃度は多量においても本発明のポリデキストロースエステルの良好な相溶性を示した。
【0089】
それぞれの実施例において、表3及び4に示される配合物に基づくイソシアネートベース発泡体を、ポリオール、コポリマーポリオール(使用の場合)、触媒、水及び界面活性剤を含む全ての樹脂成分、並びに関心がもたれる、誘導体化された高度分岐ポリサッカリド(使用の場合)との予備ブレンドによって調製した。該イソシアネートを、前記混合物から除いた。樹脂ブレンド及びイソシアネートをカップ中、表3及び4において示される指標で組み合わせ、高速分離機を使用して混合し、そしてその後フリーライズボックスモールド(free rise box mold)(実施例1−9に対しては、およそ12”×12”×4”、また実施例10乃至12に対しては、およそ24”×17”×6”)に直ちに注いだ。発泡体を室温で自由に上昇させ、70℃で30分間硬化し、そしてその後粉砕した。
【0090】
実施例1乃至9において、HRポリオール ハイパーライト E863(ベースのポリマー)において高度分岐ポリサッカリドの10%又は20%溶液を2つのうち1つの方法で調製した。高度分岐ポリサッカリドの20グラムをアセトン180gに溶解し、そしてこの溶液にハイパーライト E863を加えた。ポリオール中の高度分岐ポリサッカリドの10%又は20%溶液を残して、アセトンをロータリーエバポレーターで取り除いた。発泡評価するために、追加のハイパーライト E863を加えることによって、これらの溶液をさらに5%溶液に希釈した。あるいは該高度分岐ポリサッカリドを正確にベースのポリマーの既知量に秤量し、そして溶解に影響を及ぼすように加熱した。
【0091】
特に明記しない限り、実施例1乃至11で報告された全ての部は質量部である。
【0092】
それぞれの発泡体に対する物理的性質の結果は、密度並びに実施例1乃至9においてはASTM D3574試験Cに準じて測定された、25%及び65%たわみでの圧縮力たわみ(CFD)、並びに実施例10乃至11の発泡体においては押込み力たわみ(IFD)である。CFD値及びIFD値は、1平方インチ当たりのポンドで与えられた(psi)。試料を圧縮するために必要とされるポンドにおける力を記録し、及びその結果は該力を試料の表面積で割ることによりpsiで報告した。引張強度、伸張及び裂け目それぞれを、ASTM D3574方法D、E、Fによって測定した。
【0093】
【表3】

【0094】
【表4】

【0095】
実施例12乃至20のポリウレタン発泡体
実施例12乃至20において、HRポリオール ハイパーライト E863(ベースのポリオール)において高度分岐ポリサッカリドの10%又は20%溶液を2つのうちの1つの方法で調製した。高度分岐ポリサッカリドの20グラムをアセトン180gに溶解し、そしてこの溶液にハイパーライト E863を加えた。ポリオール中の高度分岐ポリサッカリドの10%又は20%溶液を残して、アセトンをロータリーエバポレーターで取り除いた。発泡評価するために、追加のハイパーライト E863を加えることによって、これらの溶液をさらに5%溶液に希釈した。あるいは高度分岐ポリサッカリドを正確にベースのポリオールの既知量に秤量し、そして溶解に影響を及ぼすように加熱した。
【0096】
特に明記しない限り、実施例1乃至11で報告された全ての部は質量部である。
【0097】
【表5】

【0098】
実施例1乃至7及び13乃至21と比較して、比較例8及び9を見ても分かるように、高いヒドロキシ置換度と長さが異なる少なくとも2種のエステルとが、本発明の発泡体を
得るために必要とされる。実施例8におけるより低いヒドロキシ置換度、例えば60%は、基準(最小値100%)を満たす伸張をもたらさなかった。実施例8の発泡体はより硬く、そして伸びなかった。また単一のエステルを有する高いヒドロキシ置換度、例えばC10エステルの80%は、高弾力軟質発泡体をもたらさなかった。高弾力軟質発泡体に対する最小ASTM D 3770仕様、例えば最低値2.4の65:25の割合は実現しなかった。実施例9のたわみ因子は1.8であった。
【0099】
実施例10乃至11の比較の負荷ビルダーと比較して、実施例1乃至9の本発明の発泡体は、より良好な伸張結果であった。
【0100】
あらゆる可能な用途に対して、商業的な面から魅力あるものであるために、高弾力軟質発泡体に対し、全てのASTM基準は満たされなければならない。しかしながら、実際には、特定の用途に対するイソシアネート系発泡体は、あらゆるASTM基準を満たす必要はない。1つの特性がある特定の用途のための他の特性よりもより重要であることがあり得る。
【0101】
実施例21乃至22 安定性試験
表6における誘導体化されたポリデキストロースエステルを、表6に定義した試薬の割合を使用して実施例1乃至7(DMFの量が300mLであることを除く)に記載した一般的な方法によって調製した。
【0102】
【表6】

【0103】
両方の変性ポリデキストロース生成物の安定性を表7に表わされた溶剤において確認した。安定性試験では、ポリデキストロース誘導体 約1/2gを溶剤5gでかき混ぜ、試料を室温で混ぜた。
【0104】
【表7】

【0105】
表7から分かるように、本発明の発泡体に使用されたポリデキストロースエステルは、非常に極性のある溶剤(メタノール)に溶解し、またメチルt−ブチルエーテル(MTBE)のような非極性な溶剤にも溶解した。
【0106】
この発明は説明に役立つ態様と実施例に準拠して記載されてきているが、その記載は制限された意味で解釈されることを意図しない。従って、説明に役立つ態様の様々な変更、並びに本発明の他の態様は、この記述を参照することで当業者に明白であろう。それ故に、添付の請求項はあらゆるそのような変更又は態様を包含すると期待される。
【0107】
ここに参照された全ての公報、特許及び特許出願は、個々の公報、特許又は特許出願が各々その全体において参照することにより具体的及び個々に組み込まれると意図されるのと同一程度に、それらの全体において参照することにより組み込まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
イソシアネート、活性水素含有化合物、発泡剤、及び平均10乃至100個のグルコース残基を有する不規則に結合したグルコピラノース単位からなる高度分岐ポリサッカリドを含む反応混合物由来の発泡イソシアネートベースのポリマーであって、
該ポリサッカリドは、長さが異なる少なくとも2種のエステルで誘導体化され、そして
該誘導体化されたポリサッカリドは15未満の活性水素官能価を有する発泡イソシアネートベースのポリマー。
【請求項2】
前記エステルの1種がC2−C4の短鎖エステルである、請求項1に記載のイソシアネートベースのポリマー。
【請求項3】
前記短鎖エステルがC2−C3である、請求項1に記載のイソシアネートベースのポリマー。
【請求項4】
前記短鎖エステルがC2である、請求項1に記載のイソシアネートベースのポリマー。
【請求項5】
前記エステルの1種がC8−C12の長鎖エステルである、請求項1に記載のイソシアネートベースのポリマー。
【請求項6】
前記長鎖エステルがC9−C11である、請求項1に記載のイソシアネートベースのポリマー。
【請求項7】
前記長鎖エステルがC10である、請求項1に記載のイソシアネートベースのポリマー。
【請求項8】
前記誘導体化されたポリサッカリドのヒドロキシ置換が70%を超える、請求項1に記載のイソシアネートベースのポリマー。
【請求項9】
前記誘導体化されたポリサッカリドのヒドロキシ置換が少なくとも75%である、請求項1に記載のイソシアネートベースのポリマー。
【請求項10】
前記誘導体化されたポリサッカリドのヒドロキシ置換が少なくとも80%である、請求項1に記載のイソシアネートベースのポリマー。
【請求項11】
前記長鎖エステルと前記短鎖エステルとのヒドロキシ置換の割合が0.2乃至4である、請求項1に記載のイソシアネートベースのポリマー。
【請求項12】
前記長鎖エステルと前記短鎖エステルとのヒドロキシ置換の割合が0.3乃至3である、請求項1に記載のイソシアネートベースのポリマー。
【請求項13】
前記長鎖エステルと前記短鎖エステルとのヒドロキシ置換の割合が0.3乃至1である、請求項1に記載のイソシアネートベースのポリマー。
【請求項14】
80%ヒドロキシ置換における前記長鎖エステルと前記短鎖エステルとの割合が60:20、40:40、30:50又は20:60である、請求項1に記載のイソシアネートベースのポリマー。
【請求項15】
90%ヒドロキシ置換における前記長鎖エステルと前記短鎖エステルとの割合が50:40、35:55又は20:70である、請求項1に記載のイソシアネートベースのポリ
マー。
【請求項16】
前記誘導体化された高度分岐ポリサッカリドが3乃至12の活性水素官能価を有する、請求項1に記載のイソシアネートベースのポリマー。
【請求項17】
前記誘導体化された高度分岐ポリサッカリドが4乃至10の活性水素官能価を有する、請求項6に記載のイソシアネートベースのポリマー。
【請求項18】
前記誘導体化された高度分岐ポリサッカリドが5乃至8の活性水素官能価を有する、請求項6に記載のイソシアネートベースのポリマー。
【請求項19】
前記誘導体化された高度分岐ポリサッカリドが16以下の溶解パラメーターを有する、請求項1に記載のイソシアネートベースのポリマー。
【請求項20】
前記誘導体化された高度分岐ポリサッカリドが12以下の溶解パラメーターを有する、請求項1に記載のイソシアネートベースのポリマー。
【請求項21】
前記活性水素含有化合物がポリオール、ポリアミン、ポリアミド、ポリイミン及びポリオールアミンを含む群から選ばれる、請求項1に記載のイソシアネートベースのポリマー。
【請求項22】
前記活性水素含有化合物がポリオールを含む、請求項21に記載のイソシアネートベースのポリマー。
【請求項23】
前記ポリオールがポリエーテルポリオールである、請求項22に記載のイソシアネートベースのポリマー。
【請求項24】
前記発泡イソシアネートベースのポリマーが軟質ポリウレタンフォームである、請求項1に記載のイソシアネートベースのポリマー。
【請求項25】
前記イソシアネートのイソシアネート基と前記ポリオールのヒドロキシ基との割合が約1.2:1乃至1:1.2である、請求項22に記載のイソシアネートベースのポリマー。
【請求項26】
前記イソシアネートのイソシアネート基と前記ポリオールのヒドロキシ基との割合が約1.1:1乃至1:1.1である、請求項25に記載のイソシアネートベースのポリマー。
【請求項27】
前記発泡剤が水、非水性発泡剤、液体二酸化炭素及びそれらの組み合せから選ばれる、請求項1に記載のイソシアネートベースのポリマー。
【請求項28】
前記非水性発泡剤が低沸点有機液体である、請求項27に記載のイソシアネートベースのポリマー。
【請求項29】
前記発泡剤が水を含む、請求項1に記載のイソシアネートベースのポリマー。
【請求項30】
前記反応混合物がさらに少なくとも1種の触媒及び少なくとも1種の界面活性剤を含む、請求項1に記載のイソシアネートベースのポリマー。
【請求項31】
前記触媒が第三級アミン及び金属塩又はそれらの混合物からなる群から選ばれる、請求
項30に記載のイソシアネートベースのポリマー。
【請求項32】
前記界面活性剤がシリコーン界面活性剤からなる群から選ばれる、請求項30に記載のイソシアネートベースのポリマー。
【請求項33】
前記反応混合物がさらに架橋剤及び添加剤を含む、請求項1に記載のイソシアネートベースのポリマー。
【請求項34】
誘導体化された前記高度分岐ポリサッカリドが、前記発泡イソシアネートベースのポリマーに負荷ビルディング(load building)を与えるために十分な量で加えられる、請求項1に記載のイソシアネートベースのポリマー。
【請求項35】
前記発泡イソシアネートベースのポリマーが、ASTM D3574に準じて測定された場合、反応混合物において誘導体化された高度分岐ポリサッカリドの代わりにコポリマーポリオールを用いることによって製造された基準の発泡体のものよりも低い押込力たわみ損失(Indentation Force Deflection loss)を有し、該発泡イソシアネートベースのポリマー及び該基準の発泡体が、ASTM D3574に準じて測定された場合、実質上、同じ密度及び圧縮力たわみ(Compressive Force Deflection)を有する、請求項1に記載のイソシアネートベースのポリマー。
【請求項36】
前記発泡イソシアネートベースのポリマーが、ASTM D3574に準じて測定された場合、反応混合物において誘導体化された高度分岐ポリサッカリドの代わりにコポリマーポリオールを用いることによって製造された基準の発泡体のものよりも低い厚み損失(thickness loss)を有し、該発泡イソシアネートベースのポリマー及び該基準の発泡体が、ASTM D3574に準じて測定された場合、実質上、同じ密度及び圧縮力たわみ(Compressive Force Deflection)を有する、請求項1に記載のイソシアネートベースのポリマー。
【請求項37】
前記イソシアネートが2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート及びメチレンジフェニルジイソシアネート並びにそれらの組合せから選ばれ、前記活性水素含有化合物がポリプロピレンオキシド含有ポリエーテルポリオールであり、前記発泡剤が水であり、そして前記誘導体化されたポリサッカリドが80%のヒドロキシ置換までC2及びC10エステルで誘導体化された、15未満の活性水素官能価を有するポリデキストロースである、請求項1に記載のイソシアネートベースのポリマー。
【請求項38】
活性水素含有化合物と平均10乃至100個のグルコース残基を有する不規則に結合したグルコピラノース単位からなる高度分岐ポリサッカリドとの混合物を含む発泡イソシアネートベースのポリマーの製造のための混合物であって、
該ポリサッカリドは長さが異なる少なくとも2種のエステルで誘導体化され、そして
該誘導体化されたポリサッカリドは15未満の活性水素官能価を有するところの混合物。
【請求項39】
前記混合物が1乃至50質量%の前記誘導体化されたポリサッカリドを含む、請求項38に記載の混合物。
【請求項40】
前記混合物が2乃至20質量%の前記誘導体化されたポリサッカリドを含む、請求項38に記載の混合物。
【請求項41】
前記混合物が2乃至10質量%の前記誘導体化されたポリサッカリドを含む、請求項3
8に記載の混合物。
【請求項42】
前記エステルの1種がC2−C4の短鎖エステルである、請求項38に記載の混合物。
【請求項43】
前記短鎖エステルがC2−C3である、請求項42に記載の混合物。
【請求項44】
前記短鎖エステルがC2である、請求項43に記載の混合物。
【請求項45】
前記エステルの1種がC8−C12の長鎖エステルである、請求項38に記載の混合物。
【請求項46】
前記長鎖エステルがC9−C11である、請求項45に記載の混合物。
【請求項47】
前記長鎖エステルがC10である、請求項46に記載の混合物。
【請求項48】
前記ポリサッカリドのヒドロキシ置換が70%を超える、請求項38に記載の混合物。
【請求項49】
前記ポリサッカリドのヒドロキシ置換が少なくとも75%である、請求項38に記載の混合物。
【請求項50】
前記ポリサッカリドのヒドロキシ置換が少なくとも80%である、請求項38に記載の混合物。
【請求項51】
前記長鎖エステルと前記短鎖エステルとのヒドロキシ置換の割合が0.2乃至4である、請求項38に記載の混合物。
【請求項52】
前記誘導体化された高度分岐ポリサッカリドが3乃至12の活性水素官能価を有する、請求項38に記載の混合物。
【請求項53】
前記誘導体化された高度分岐ポリサッカリドが16以下の溶解パラメーターを有する、請求項38に記載の混合物。
【請求項54】
前記混合物がさらに水、非水性発泡剤、液体二酸化炭素及びそれらの組み合せからなる群から選ばれる少なくとも1種の発泡剤を含む、請求項38に記載の混合物。
【請求項55】
前記混合物がさらに少なくとも1種の触媒及び少なくとも1種の界面活性剤を含む、請求項38に記載の混合物。
【請求項56】
前記反応混合物がさらに架橋剤及び添加剤を含む、請求項38に記載の混合物。
【請求項57】
活性水素含有化合物と高度分岐ポリサッカリドとの前記混合物を含み、ここで誘導体化された前記ポリサッカリドが柔軟性のあるイソシアネートベースのポリマーに負荷ビルディング(load building)を与えるために十分な量で加えられる、請求項38に記載の混合物。
【請求項58】
発泡イソシアネートベースのポリマーの製造方法であって、反応混合物を形成するために、イソシアネート、活性水素含有化合物、発泡剤及び、平均10乃至100個のグルコース残基及び15未満の活性水素官能価を有する不規則に結合したグルコピラノース単位からなる高度分岐ポリサッカリドを接触させる工程;及び発泡イソシアネートベースのポリマーを製造するために該反応混合物を発泡させる工程を含み、前記ポリサッカリドは、
長さが異なる少なくとも2種のエステルで誘導体化されるところの発泡イソシアネートベースのポリマーの製造方法。
【請求項59】
前記方法が1乃至50質量%の前記誘導体化されたポリサッカリドを添加することを含む、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記方法が2乃至20質量%の前記誘導体化されたポリサッカリドを添加することを含む、請求項58に記載の方法。
【請求項61】
前記方法が2乃至10質量%の前記誘導体化されたポリサッカリドを添加することを含む、請求項58に記載の方法。
【請求項62】
前記エステルの1種がC2−C4の短鎖エステルである、請求項58に記載の方法。
【請求項63】
前記短鎖エステルがC2−C3である、請求項58に記載の方法。
【請求項64】
前記短鎖エステルがC2である、請求項58に記載の方法。
【請求項65】
前記エステルの1種がC8−C12の長鎖エステルである、請求項58に記載の方法。
【請求項66】
前記長鎖エステルがC9−C11である、請求項58に記載の方法。
【請求項67】
前記長鎖エステルがC10である、請求項58に記載の方法。
【請求項68】
前記ポリサッカリドのヒドロキシ置換が70%を超える、請求項58に記載の方法。
【請求項69】
前記ポリサッカリドのヒドロキシ置換が少なくとも75%である、請求項58に記載の方法。
【請求項70】
前記ポリサッカリドのヒドロキシ置換が少なくとも80%である、請求項58に記載の方法。
【請求項71】
前記長鎖エステルと前記短鎖エステルとのヒドロキシ置換の割合が0.2乃至4である、請求項58に記載の方法。
【請求項72】
前記誘導体化された高度分岐ポリサッカリドが3乃至12の活性水素官能価を有する、請求項58に記載の方法。
【請求項73】
前記誘導体化された高度分岐ポリサッカリドが16以下の溶解パラメーターを有する、請求項58に記載の方法。
【請求項74】
前記混合物がさらに水、非水性発泡剤、液体二酸化炭素及びそれらの組み合せからなる群から選ばれる少なくとも1種の発泡剤を含む、請求項58に記載の方法。
【請求項75】
前記混合物がさらに少なくとも1種の触媒及び少なくとも1種の界面活性剤を含む、請求項58に記載の方法。
【請求項76】
前記反応混合物がさらに架橋剤及び添加剤を含む、請求項58に記載の方法。
【請求項77】
請求項1に記載の発泡イソシアネートベースのポリマーを含む家庭用品及び自動車用ク
ッション材であって、
前記ポリマーはイソシアネート、活性水素含有化合物、発泡剤、並びに平均10乃至100個のグルコース残基及び15未満の活性水素官能価を有する不規則に結合したグルコピラノース単位からなる高度分岐ポリサッカリドを含む反応混合物から誘導体化され、前記ポリサッカリドは、長さが異なる少なくとも2種のエステルで誘導体化されるところの家庭用品及び自動車用クッション材。
【請求項78】
請求項1に記載の発泡イソシアネートベースのポリマーを含むカーペット下敷であって、
前記ポリマーはイソシアネート、活性水素含有化合物、発泡剤、並びに平均10乃至100個のグルコース残基及び15未満の活性水素官能価を有する不規則に結合したグルコピラノース単位からなる高度分岐ポリサッカリドを含む反応混合物から誘導体化され、前記ポリサッカリドは、長さが異なる少なくとも2種のエステルで誘導体化されるところのカーペット下敷。
【請求項79】
請求項1に記載の発泡イソシアネートベースのポリマーを含む梱包用途であって、
前記ポリマーはイソシアネート、活性水素含有化合物、発泡剤、並びに平均10乃至100個のグルコース残基及び15未満の活性水素官能価を有する不規則に結合したグルコピラノース単位からなる高度分岐ポリサッカリドを含む反応混合物から誘導体化され、前記ポリサッカリドは、長さが異なる少なくとも2種のエステルで誘導体化されるところの梱包用途。
【請求項80】
請求項1に記載の発泡イソシアネートベースのポリマーを利用する発泡イソシアネートベースのポリマーを成形する方法であって、
前記ポリマーはイソシアネート、活性水素含有化合物、発泡剤、並びに平均10乃至100個のグルコース残基及び15未満の活性水素官能価を有する不規則に結合したグルコピラノース単位からなる高度分岐ポリサッカリドを含む反応混合物から誘導体化され、前記ポリサッカリドは、長さが異なる少なくとも2種のエステルで誘導体化されるところの成形方法。
【請求項81】
請求項1に記載の発泡イソシアネートベースのポリマーを利用することを含む発泡イソシアネートベースのポリマーを二者択一的に粉砕する又は平板に切断する方法であって、
前記ポリマーはイソシアネート、活性水素含有化合物、発泡剤、並びに平均10乃至100個のグルコース残基及び15未満の活性水素官能価を有する不規則に結合したグルコピラノース単位からなる高度分岐ポリサッカリドを含む反応混合物から誘導体化され、前記ポリサッカリドは、長さが異なる少なくとも2種のエステルで誘導体化されるところの粉砕又は切断方法。

【公表番号】特表2012−514675(P2012−514675A)
【公表日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−544865(P2011−544865)
【出願日】平成22年1月8日(2010.1.8)
【国際出願番号】PCT/EP2010/050125
【国際公開番号】WO2010/079202
【国際公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【出願人】(504273748)
【Fターム(参考)】