説明

発泡ガラス成形体及び発泡ガラス成形体の製造方法

【課題】従来のコンクリート擬石の原料と全く異なる原料である発泡剤を含有するビーズ状ガラス原料を使用して成形され、軽量で取扱性や取付作業性等に優れると共に必要な強度も兼備し、更に、表面に凹凸模様や着色模様等を所望の態様で正確に付与して擬石状とすることも簡単で、かつ、その凹凸模様や着色模様等を長期にわたって良好に維持することができる発泡ガラス成形体及びかかる発泡ガラス成形体の製造方法の提供。
【解決手段】発泡ガラス成形体としての擬石パネル10は、型枠内にビーズ状発泡ガラス原料を充填し、ビーズ状ガラス原料を型枠内に充填したまま一体的に加熱することにより型枠内で発泡及び焼成して、型枠の成形空間に対応した形状に形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発泡ガラス成形体及び発泡ガラス成形体の製造方法に関し、特に、表面に凹凸や模様等を付与して擬石状に成形した発泡ガラス成形体及びかかる発泡ガラス成形体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建築物の外壁材や床材等の仕上材等に、擬石が使用されることがある。ここで、擬石とは、一般的な定義によれば、人造石(じんぞうせき)の一種であり、自然石を模倣して製造または成形した模造石をいい、大理石や花こう岩、安山岩等の砕石粒を種石とし、セメントに顔料を混ぜて硬練り成形したコンクリートやモルタルのブロックまたはパネルのことをいう。このうち、種石に大理石を用いたものをテラゾといい、それ以外の種石(花崗岩、安山岩等)を用いたものを擬石という場合が多い。かかる擬石は、小叩き、洗出し等の粗面仕上げ加工を施して仕上材として使用される。そして、このような従来の擬石に関する技術として、例えば、特許文献1に記載の技術がある。
【特許文献1】特開平6−143216号公報
【0003】
特許文献1には、表面側に天然石の細粒とモルタルとを混入させた擬石層を備え、裏面側に前記擬石層を一体的に保持する保持層を備えたパネルを製作するためのパネル製作方法が開示されている。このパネル製作方法は、前記パネル製作用の型枠を準備し、その型枠内に前記細粒と前記モルタルとを投入して前記擬石層を積層する第一積層工程を実施し、その第一積層工程で前記型枠内に積層された前記擬石層が未硬化の内に、更に繊維強化セメント流体を吹付けて積層させた後にその上部から脱泡ローラーをかける第二積層工程を、前記第一・第二積層工程の積層厚み合計が、所定厚みになるまで繰り返して実施して前記保持層を前記擬石層と一体的に形成し、前記第一・第二積層工程を通して、前記擬石層表面への前記天然石の細粒の露出度合が所定の値になるまで前記型枠に振動を与え続け、前記擬石層・保持層の硬化の後に前記型枠を脱型する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、特許文献1によれば、上記パネル製作方法の特徴手段により、モルタルに比べて高強度の繊維強化セメント流体を前記保持層の積層に用いるので、鉄筋を埋設させなくても高強度のパネルを製作することが可能となり、その結果、パネルを薄くて軽いものとすることができ、取り扱い易く、例えば建物等の構造体への取付効率を向上させることが可能となるとされている。しかし、特許文献1に記載の技術により製造されるパネルは、表面側の擬石層の材料として天然石の細粒とモルタルとを混入させたものを使用し、その裏面側の層の材料として繊維強化セメント流体を使用する。即ち、特許文献1のパネルは、従来のコンクリート製またはモルタル製の擬石(以下、「コンクリート擬石」という)と同様、比重の大きな天然石、モルタル乃至セメントを使用するため、従来のコンクリート擬石より薄くて軽いものとすることができるとしても、やはり、その軽量化及び薄型化には限界がある。特に、建築物の壁材等の垂直面に設置される仕上材としてコンクリート擬石を使用する場合、その重量により、壁下地材への取付時の取り扱いが容易ではない。また、コンクリート擬石は、その重量により、壁下地材へ接着により固定することが困難であり、固定のための掛止具等、特別な支持構造が必要となると共に、その固定時の作業も面倒となる。更に、コンクリート擬石は、壁に固定した後も、その重量による落下等を防止するため、その支持構造を強化する必要があり、全体の設置コストが増大する。一方、かかる不具合を防止するため、コンクリート擬石を薄型化することが考えられるが、原料としてコンクリートまたはモルタルを使用する以上、原料固有の物性により、薄型化には限界があり、最大限薄型化したとしても、重量の削減には限界があり、上記不具合を解消することはできない。更に、コンクリート擬石は、その表面に塗料等の着色剤で着色模様を形成してその意匠性を向上することがあるが、その場合、コンクリートやモルタルの表面の着色模様が、雨等の水で溶出して色落ちしたり、酸性雨等の酸により溶解して色落ちしたり、日光中の紫外線等により変色したり色落ちしたりしやすいという不具合もある。更にまた、コンクリート擬石は、冬季等において凍害を受けやすい。即ち、コンクリート擬石は、コンクリート中の自由水や吸水率が大きい骨材の水分が凍結融解作用を繰り返し受けることによって、クラックが生じたり表層部が剥離したりして、表層に近い部分から破壊されて次第に劣化しやすい。加えて、コンクリート擬石は、凍害や外力等により表層部が崩壊して、その見栄えを損なうこともある。
【0005】
そこで、本発明は、従来のコンクリート擬石の原料と全く異なる原料である発泡剤を含有するビーズ状ガラス原料を使用して成形され、軽量で取扱性や取付作業性等に優れると共に必要な強度も兼備し、更に、表面に凹凸模様や着色模様等を所望の態様で正確に付与して擬石状とすることも簡単で、かつ、耐凍害性及び表面強度にも優れ、その凹凸模様や着色模様等を長期にわたって良好に維持することができる発泡ガラス成形体及びかかる発泡ガラス成形体の製造方法の提供を課題とする。即ち、本発明者らは、従来、泡ガラスの原料として使用されているビーズ状ガラス原料より成形した成形体の軽量性に着目し、かかるビーズ状ガラス原料により擬石等のパネルを良好に成形するための技術について鋭意研究を重ねた結果、上記課題を解決する本発明に想到した。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る発泡ガラス成形体は、所定形状の成形空間を有すると共に底面を凹凸状の転写面とした型枠内に、発泡剤を含有するビーズ状ガラス原料を充填し、前記ビーズ状ガラス原料を前記型枠内に充填したまま一体的に加熱することにより、前記ビーズ状ガラス原料を前記型枠内で発泡及び焼成して、前記型枠の成形空間に対応した形状に形成されると共に、前記型枠の転写面と対向する表面に、前記転写面の凹凸形状と同一の凹凸からなる凹凸模様を付与して凹凸模様面としたものである。
【0007】
請求項2に係る発泡ガラス成形体は、所定形状の成形空間を有すると共に底面を凹凸状の転写面とした型枠内の前記転写面上に、着色剤を層状に配置し、前記型枠内に、前記層状の着色剤を覆うよう、発泡剤を含有するビーズ状ガラス原料を充填し、前記ビーズ状ガラス原料を前記型枠内に充填したまま一体的に加熱することにより、前記ビーズ状ガラス原料を前記型枠内で発泡及び焼成して、前記型枠の成形空間に対応した形状に形成されると共に、前記型枠の転写面と対向する表面に、前記転写面の凹凸形状と同一の凹凸からなる凹凸模様を付与して凹凸模様面とする一方、前記凹凸模様面において前記層状の着色剤と対面する部位に、前記着色剤により着色模様を付与したものである。
【0008】
請求項3に係る発泡ガラス成形体は、請求項1または2の構成において、比重を0.4〜0.6の範囲内とした。
【0009】
請求項4に係る発泡ガラス成形体の製造方法は、所定形状の成形空間を有する型枠内に、発泡剤を含有するビーズ状ガラス原料を充填する原料充填工程と、前記ビーズ状ガラス原料を前記型枠内に充填したまま加熱することにより、前記ビーズ状ガラス原料を前記型枠内で発泡及び焼成して、前記型枠の成形空間に対応した形状の発泡ガラス成形体を形成する焼成工程とを備える。
【0010】
請求項5に係る発泡ガラス成形体の製造方法は、所定形状の成形空間を有すると共に底面を凹凸状の転写面とした型枠内に、発泡剤を含有するビーズ状ガラス原料を充填する原料充填工程と、前記ビーズ状ガラス原料を前記型枠内に充填したまま一体的に加熱することにより、前記ビーズ状ガラス原料を前記型枠内で発泡及び焼成して、前記型枠の成形空間に対応した形状の発泡ガラス成形体を形成すると共に、前記発泡ガラス成形体において前記型枠の転写面と対向する表面に、前記転写面の凹凸形状と同一の凹凸からなる凹凸模様を付与する焼成工程とを備える。
【0011】
請求項6に係る発泡ガラス成形体の製造方法は、所定形状の成形空間を有すると共に底面を転写面とした型枠内の前記転写面上に、着色剤を層状に配置する着色剤配置工程と、前記型枠内に、前記層状の着色剤を覆うよう、発泡剤を含有するビーズ状ガラス原料を充填する原料充填工程と、前記ビーズ状ガラス原料を前記型枠内に充填したまま一体的に加熱することにより、前記ビーズ状ガラス原料を前記型枠内で発泡及び焼成して、前記型枠の成形空間に対応した形状の発泡ガラス成形体を形成すると共に、前記発泡ガラス成形体において前記層状の着色剤と対面する部位の表面に、前記着色剤により着色模様を付与する焼成工程とを備える。
【0012】
請求項7に係る発泡ガラス成形体の製造方法は、所定形状の成形空間を有すると共に底面を凹凸状の転写面とした型枠内の前記転写面上に、着色剤を層状に配置する着色剤配置工程と、前記型枠内に、前記層状の着色剤を覆うよう、発泡剤を含有するビーズ状ガラス原料を充填する原料充填工程と、前記ビーズ状ガラス原料を前記型枠内に充填したまま一体的に加熱することにより、前記ビーズ状ガラス原料を前記型枠内で発泡及び焼成して、前記型枠の成形空間に対応した形状の発泡ガラス成形体を形成すると共に、前記発泡ガラス成形体において前記型枠の転写面と対向する表面に、前記転写面の凹凸形状と同一の凹凸からなる凹凸模様を付与する一方、前記発泡ガラス成形体の前記凹凸模様を付与した表面において前記層状の着色剤と対面する部位に、前記着色剤により着色模様を付与する焼成工程とを備える。
【0013】
請求項8に係る発泡ガラス成形体の製造方法は、請求項6または7の構成において、前記着色剤配置工程が、前記着色剤により所定の模様を描画した転写紙を前記型枠の転写面上に密着させることにより、前記型枠の転写面上に前記着色剤を層状に配置するものである。
【0014】
請求項9に係る発泡ガラス成形体の製造方法は、請求項8の構成において、前記転写紙として、台紙と、前記台紙の表面に印刷等により積層形成され、前記台紙から剥離自在で、かつ、前記焼成工程の加熱により蒸散して消失する材質からなる剥離コート層と、前記剥離コート層の表面に所定の態様で印刷された着色剤からなり、前記焼成工程で前記発泡ガラス成形体の表面に前記着色模様を形成する着色層と、前記着色層の表面全体を被覆する透明樹脂材料からなり、前記焼成工程の加熱により蒸散して消失する被覆層とからなる積層構造をなす乾式転写紙を使用し、前記着色剤配置工程で、前記乾式転写紙を前記剥離コート層を介して前記台紙から剥離し、前記型枠の内面の少なくとも模様転写面に粘着して貼着することにより、前記型枠内の前記転写面上に前記着色剤を層状に配置する。
【0015】
請求項10に係る発泡ガラス成形体の製造方法は、請求項8または9の構成において、前記着色剤配置工程は、更に、前記型枠の転写面上にガラス粉を均一に散布してガラス粉層を形成し、前記ガラス粉層を介して前記転写紙を前記型枠の転写面上に密着配置させることにより、前記型枠の転写面上に前記着色剤を層状に配置するものである。
【0016】
請求項11に係る発泡ガラス成形体の製造方法は、請求項6または7の構成において、前記着色剤配置工程が、前記着色剤としての顔料粉を前記型枠の転写面上に均一厚みで層状に散布することにより、前記型枠の転写面上に前記着色剤を層状に配置するものである。
【0017】
請求項12に係る発泡ガラス成形体の製造方法は、請求項6または7の構成において、前記着色剤配置工程は、前記着色剤としての顔料粉にガラス粉を混合して前記型枠の転写面上に均一厚みで層状に散布することにより、前記型枠の転写面上に前記着色剤を層状に配置するものである。
【0018】
請求項13に係る発泡ガラス成形体の製造方法は、請求項4乃至12のいずれかの構成において、前記型枠が、無機材料または金属材料を前記成形空間を有する型枠状に一体形成してなる。なお、前記型枠としては、例えば、土鍋素地を前記成形空間を有する型枠状に一体的に焼成成形してなる陶板を使用することができる。
【0019】
請求項14に係る発泡ガラス成形体の製造方法は、請求項4乃至12のいずれかの構成において、前記型枠が、無機材料または金属材料を前記成形空間を有する型枠状に組立及び分解自在に形成してなる。
【発明の効果】
【0020】
請求項1に係る発泡ガラス成形体は、上記のように構成したため、従来のコンクリート擬石の原料と全く異なる原料であるビーズ状ガラス原料を使用して成形され、軽量で取扱性や取付作業性等に優れると共に必要な強度も兼備し、更に、表面に凹凸模様等を所望の態様で正確に付与して擬石状とすることも簡単で、かつ、その凹凸模様等を長期にわたって良好に維持することができるという特有の効果を発揮する。
【0021】
請求項2に係る発泡ガラス成形体は、上記のように構成したため、従来のコンクリート擬石の原料と全く異なる原料であるビーズ状ガラス原料を使用して成形され、軽量で取扱性や取付作業性等に優れると共に必要な強度も兼備し、更に、表面に凹凸模様や着色模様等を所望の態様で正確に付与して擬石状とすることも簡単で、かつ、その凹凸模様や着色模様等を長期にわたって良好に維持することができる。
【0022】
請求項3に係る発泡ガラス成形体は、上記のように構成したため、請求項1または2と同様の作用及び効果に加え、更に、十分な軽量性を確保する一方で、壁材等として要求される必要強度を十分に確保することができる。
【0023】
請求項4に係る発泡ガラス成形体の製造方法は、上記のように構成したため、従来のコンクリート擬石の原料と全く異なる原料であるビーズ状ガラス原料を使用して成形され、軽量で取扱性や取付作業性等に優れると共に必要な強度も兼備し、更に、型枠の成形空間を所望形状とすることにより、表面等に凹凸模様や着色模様等を所望の態様で正確に付与して擬石状とすることも簡単で、かつ、その凹凸模様等を長期にわたって良好に維持することができるという特有の効果を発揮する。
【0024】
請求項5に係る発泡ガラス成形体の製造方法は、上記のように構成したため、従来のコンクリート擬石の原料と全く異なる原料であるビーズ状ガラス原料を使用して成形され、軽量で取扱性や取付作業性等に優れると共に必要な強度も兼備し、更に、表面に凹凸模様等を所望の態様で正確に付与して擬石状とすることも簡単で、かつ、その凹凸模様等を長期にわたって良好に維持することができるという特有の効果を発揮する。
【0025】
請求項6に係る発泡ガラス成形体の製造方法は、上記のように構成したため、従来のコンクリート擬石の原料と全く異なる原料であるビーズ状ガラス原料を使用して成形され、軽量で取扱性や取付作業性等に優れると共に必要な強度も兼備し、更に、表面に着色模様等を所望の態様で正確に付与して擬石状とすることも簡単で、かつ、その着色模様等を長期にわたって良好に維持することができるという特有の効果を発揮する。
【0026】
請求項7に係る発泡ガラス成形体の製造方法は、上記のように構成したため、従来のコンクリート擬石の原料と全く異なる原料であるビーズ状ガラス原料を使用して成形され、軽量で取扱性や取付作業性等に優れると共に必要な強度も兼備し、更に、表面に凹凸模様や着色模様等を所望の態様で正確に付与して擬石状とすることも簡単で、かつ、その凹凸模様や着色模様等を長期にわたって良好に維持することができる。
【0027】
請求項8に係る発泡ガラス成形体の製造方法は、請求項6または7と同様の作用及び効果に加え、発泡ガラス成形体への着色模様の形成のためには型枠の底面に転写紙を密接配置するだけでよく、型枠の底面に密接配置した転写紙の所定の着色模様を、焼成工程で発泡ガラス成形体の表面に正確かつ確実に転写して固定することができ、意匠性を向上し、高級感を呈して美装性に富む発泡ガラス成形体とすることができる。また、かかる方法で発泡ガラス成形体に設けた着色模様は、色落ち等しにくく、本来の意匠性を長期にわたって保持することができる。
【0028】
請求項9に係る発泡ガラス成形体の製造方法は、請求項8と同様の作用及び効果に加え、転写紙として乾式転写紙を使用するため、型枠の転写面への配置が簡単で、作業性を向上することができる。
【0029】
請求項10に係る発泡ガラス成形体の製造方法は、請求項8または9と同様の作用及び効果に加え、焼成工程で、型枠内に充填したビーズ状ガラス原料が発泡焼成されて発泡ガラス成形体となると共に、型枠内の転写面と充填ビーズ状ガラス原料との間に介在する転写紙の着色剤が、発泡ガラス成形体の表面に転写されて所定の模様からなる着色剤層を描画形成し、更に、型枠の転写面と転写紙との間に介在するガラス粉層が溶融して、発泡ガラス成形体表面の着色剤層上に透明または半透明なガラス質の均一厚みの保護層(表面膜)を形成する。即ち、発泡ガラス成形体の表面への着色乃至模様付与と同時に、ガラス粉が溶融して膜状の表面層を形成する。その結果、発泡ガラス成形体の表面(凹凸表面)に転写紙に固有の模様(着色模様層)を正確かつ強固に転写することができると共に、かかる着色模様層をガラス質の釉薬状の保護層により保護して、発泡ガラス成形体の模様表面の表面強度を増大することができる。
【0030】
請求項11に係る発泡ガラス成形体の製造方法は、請求項6または7と同様の作用及び効果に加え、型枠の底面に散布配置した顔料粉による所定の着色模様を、焼成工程で発泡ガラス成形体の表面に正確かつ確実に転写して固定することができ、その意匠性を向上し、高級感を呈して美装性に富む発泡ガラス成形体とすることができる。また、かかる方法で発泡ガラス成形体に設けた着色模様は、色落ち等しにくく、本来の意匠性を長期にわたって保持することができる。
【0031】
請求項12に係る発泡ガラス成形体の製造方法は、請求項6または7と同様の作用及び効果に加え、焼成工程で、型枠内に充填したビーズ状ガラス原料が発泡焼成されて発泡ガラス成形体となると共に、型枠内の転写面と充填されたビーズ状ガラス原料との間に介在する着色剤としての顔料粉が、発泡ガラス成形体の表面に転写されて所定の模様からなる着色剤層を描画形成し、更に、顔料粉に混合されたガラス粉層が溶融して、発泡ガラス成形体表面の着色剤層上に透明または半透明なガラス質の均一厚みの保護層(表面膜)を形成する。即ち、発泡ガラス成形体の表面への着色乃至模様付与と同時に、ガラス粉が溶融して膜状の表面層を形成する。その結果、発泡ガラス成形体の表面(凹凸表面)に顔料粉に固有の模様(着色模様層)を正確かつ強固に転写することができると共に、かかる着色模様層をガラス質の釉薬状の保護層により保護して、発泡ガラス成形体の模様表面の表面強度を増大することができる。
【0032】
請求項13に係る発泡ガラス成形体の製造方法は、請求項4乃至11いずれかと同様の作用及び効果に加え、型枠が無機材料または金属材料から一体形成されるため、十分な耐熱性及び形状保持性を有して、繰り返しの使用に耐える。また、型枠は、内部で発泡成形される発泡ガラス成形体自体の加熱及び冷却に伴う膨張及び収縮に対応して、発泡ガラス成形体のクラック等の発生を確実に防止することができる。なお、型枠として、例えば、土鍋素地を前記成形空間を有する型枠状に一体的に焼成成形してなる陶板を使用した場合、十分な耐熱性及び形状保持性及び加熱時の低膨張率を有して、繰り返しの使用に耐えると共に、内部で発泡成形される発泡ガラス成形体自体の加熱及び冷却に伴う膨張及び収縮に対応して、発泡ガラス成形体のクラック等の発生を確実に防止することができる。
【0033】
請求項14に係る発泡ガラス成形体の製造方法は、請求項4乃至11いずれかと同様の作用及び効果に加え、型枠が無機材料または金属材料から形成されるため、十分な耐熱性及び形状保持性を有して、繰り返しの使用に耐える。また、型枠は、組立及び分解自在に形成されるため、例えば、模様転写面に対応する型枠の底壁部分のみを無機材料(陶土等)製の陶板とし、型枠の側壁部分を金属製の板材により構成して、底壁部分を交換することができる。これにより、異なる凹凸模様の発泡ガラス成形体を製造するために、対応した数の異なる凹凸模様面の型枠を用意することなく、かかる凹凸模様に対応した凹凸模様面を有する型枠の底壁部分のみを用意し、(同一構成の)側壁と組み合わせて組み立てることにより、各種所望の凹凸模様面を有する型枠を簡単かつ迅速に作成することができる。また、側壁または底壁のいずれかが損傷等した場合に、その部分のみを交換して、経済性を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、本発明を実施するための最良の形態(以下、実施の形態という)を説明する。なお、各実施の形態を通じ、同一の部材、部分、要素等には同一の参照符号を付してその説明を省略する。
【0035】
実施の形態1
図1は本発明の実施の形態1に係る発泡ガラス成形体を示す斜視図である。図2は図1のA−A線断面図である。
【0036】
図1及び図2に示すように、本実施の形態に係る発泡ガラス成形体は平板状の擬石パネル10に具体化される。擬石パネル10は、表面全体に凹凸模様を一体形成して凹凸模様面11とした矩形平板状をなしている。なお、擬石パネル10の四方の側端面12は平坦面となっている。また、擬石パネル10の凹凸模様面と反対側は平坦面である底面13となっている。更に、擬石パネル10の凹凸模様面11には、御影調等の所定の着色模様(図示略)が一体的に付与されている。擬石パネル10は、使用する建築物等の敷設対象乃至敷設場所等に対応して、所望の縦横寸法及び厚みとすることができ、例えば、縦寸法195mm、横寸法395mm、厚み約15〜35mm(凹凸の最小厚みが約15mmで最大厚みが35mm)とした横長長方形平板状とすることができる。詳細には、擬石パネル10は、後に詳述するように、矩形平板状の成形空間を有すると共に底面を凹凸状の転写面とした型枠内の前記転写面の全面上に、着色剤を層状に配置し、前記型枠内に、前記層状の着色剤の全面を覆うよう、発泡剤を含有するビーズ状ガラス原料、例えば、ガラスビーズに発泡剤を一体に含有してなるビーズ状発泡ガラス原料を充填し、前記ビーズ状発泡ガラス原料を前記型枠内に充填したまま一体的に加熱することにより、前記ビーズ状発泡ガラス原料を前記型枠内で発泡及び焼成して、前記型枠の成形空間に対応した矩形平板状に形成されると共に、前記型枠の転写面と対向する表面全体に、前記転写面の凹凸形状と同一の凹凸からなる凹凸模様を付与して凹凸模様面11とする一方、前記凹凸模様面11において前記層状の着色剤と対面する部位、即ち、その全面に、前記着色剤により着色模様を付与したものである。
【0037】
擬石パネル10は、原料として発泡性のビーズ状発泡ガラス原料を使用したため、焼成による発泡成形後には、内部に多数の気孔(連続気泡または独立気泡)を有している。ところで、本発明に係る発泡ガラス成形体の形状は、本実施の形態のように矩形平板状のパネル状とする以外に、その他の平板状、例えば、矩形以外の四角形(台形、ひし形等)、四角形以外の多角形、円形、楕円形、角丸多角形等、任意の形状の平板上とすることができる。或いは、本発明に係る発泡ガラス成形体の形状は、パネル状以外にも、タイル状としたり、ブロック状としたりする等、任意の形状とすることができる。
【0038】
擬石パネル10の原料としては、無機材料等の発泡剤を一体に含有するビーズ状発泡ガラス原料を用いることができる。擬石パネル10の原料としては、好ましくは、ガラス質と発泡剤とを一体化した粒径200〜800μmの略球状をなすビーズ状発泡ガラス原料を使用する。このように、発泡ガラス原料のビーズ寸法(ビーズ径)を揃えることにより、発泡ガラス原料を加熱して発泡焼成したときに、得られる発泡ガラス成形体における比重安定性を向上することができる。また、ビーズ状発泡ガラス原料のガラス質の素材としては、ソーダ石灰系ガラス質、あるいはアルミノ珪酸系ガラス質、ほう珪酸アルカリ系ガラス質等が採用できる。かかるビーズ状のガラス原料を擬石パネル10の原料として使用した場合、擬石パネル10の形成時に発生する気孔の不均一を抑制し、擬石パネル10内の閉気孔の大きさを均一化した発泡ガラス成形体を安定して得ることができる。
【0039】
ここで、「ビーズ状」とは、従来のガラス原料のような粉状または不定形粒状ではなく、一定の略球状(略真球状、略楕円球状等、実質的に球状と)をなす定形粒状のものをいう。このように、擬石パネル10の原料をビーズ状とすると、製造時にビーズ状発泡ガラス原料を型枠内に充填した場合に、充填したビーズ状発泡ガラス原料の内部に、ビーズ状発泡ガラス原料の球形状及び粒径に応じた一定の間隙が多数形成され、加熱焼成時に、充填したビーズ状ガラス減量の内部に熱を効率よく均等に伝えることで、ビーズ状発泡ガラス原料の均一な発泡及び焼成を促すことができ、擬石パネル10内の閉気孔の大きさを均一化することができ、擬石パネル10の比重安定性等を向上することができる。即ち、上記のように、ビーズ径の揃った発泡ガラス原料を使用することとあいまって、発泡ガラス成形体の内部の気孔が均一径となって均一分布するため、発布ガラス成形体の部位による比重の相違を解消することができる。また、型枠の内表面(成形空間を構成する底面、側面等)と充填したビーズ状発泡ガラス原料の外表面との間の境界面にも、前記球形状及び粒径に応じた一定の間隙が多数形成され、加熱焼成時に、型枠の内表面とビーズ状発泡ガラス原料の外表面との間の境界面に熱が効率よく進入し、擬石パネル10の境界面部分(底面13及び側端面12)の均一な焼成及び発泡を促すことができ、擬石パネル10の境界面部分の平滑度等を向上することができる。
【0040】
上記のように、ビーズ状発泡ガラス原料、特に、粒径200〜800μmの略球状をなすビーズ状発泡ガラス原料を使用して、後述するように、ビーズ上発泡ガラス原料を型枠内に充填した一体の型枠充填体とした条件で製造した場合、擬石パネル10は、以下のような優れた特性乃至物性を備えることになる。例えば、比重(見かけ比重)が約0.4〜0.55の好適範囲となり、重量が約8kg/m2となって、同板厚の場合、従来のコンクリート擬石や天然石に比べて約1/3〜1/5の重量となる。よって、かかる超軽量の擬石パネル10は、外壁等への取付時の取り扱いが容易で施工性に優れ、また、接着剤による壁面への固定でも壁面から落下することがなく、接着剤張工法が可能となるため、取付等の工期を大幅に短縮することができる。なお、本発明の発泡ガラス成形体は、比重が約0.2〜0.7の範囲であれば成形が可能であり、成形後に軽量性を損なうことなく、かつ、最低限必要な強度を有する。しかし、軽量性を損なうことなく十分な強度を付与するためには、好ましくは、比重を約0.4〜0.7の範囲とし、好ましくは上記約0.4〜0.55の好適範囲とする。この場合、軽量性の要請と強度の要請を共に最も好ましいバランスで満足することができる。このように、上記軽量性を備える擬石パネル10は、また、内部の閉気孔等の存在により、熱伝導率が約0.15W/m・Kとなり、従来のコンクリート擬石の約1.6W/m・Kに比して断熱性が大幅に向上する。特に、擬石パネル10は、発泡焼成時に発生する気孔の不均一を抑制し、高い断熱性を備えることができる。また、擬石パネル10は、ガラス質という無機質の焼成品であるため、耐久性、耐候性、安定性、耐火性等にも優れ、火災持の有毒ガスの発生の心配もない。更に、擬石パネル10は、ガラス質乃至無機質の高温焼成品であるため、コンクリート擬石等のセメント製品に見られる白華現象(白い綿状の吹出物または斑点を生じる現象)や着色模様の色落ちが殆どない。更にまた、擬石パネル10は、凍結融解試験(JIS A1435)を300サイクルクリアする耐凍害性をも兼備している。加えて、擬石パネル10は、廃ガラスからなるガラス原料を主原料に使用したため、エコ商品としての利点をも備えている。
【0041】
製造方法
次に、本実施の形態に係る発泡ガラス成形体の製造方法について説明する。図3は本発明の実施の形態1に係る発泡ガラス成形体の製造方法で使用する型枠を示す斜視図である。図4は図3のB−B線断面図である。図5は本発明の実施の形態1に係る発泡ガラス成形体の製造方法の原料充填工程完了後の状態を示す断面図であり、一部を拡大して示す。図6は本発明の実施の形態1に係る発泡ガラス成形体の製造方法の焼成工程で使用する発泡ガラス成形体連続焼成装置を側面から見て示す説明図である。図7は本発明の実施の形態1に係る発泡ガラス成形体の製造方法の焼成工程後の膨出部除去工程を示す斜視図である。図8は本発明の実施の形態1に係る発泡ガラス成形体の製造方法の焼成工程後の発泡ガラス成形体のバリ除去工程を示す断面図である。
【0042】
図3及び図4に示すように、本実施の形態に係る擬石パネル10の製造に使用する型枠20は、所定形状の成形空間、即ち、上記擬石パネル10の外形に対応する成形空間20aを有するトレー状に形成されている。また、型枠20は、成形空間20aの上端全体を開口している。具体的には、型枠20は、矩形平板状の底壁21と、底壁21の四方の側端(四辺)に立設して一体形成した側壁22とを有している。そして、型枠20は、前記底壁21の内面(型枠20の内部の底面)を擬石パネル10の凹凸模様面11に対応する形状、即ち、同一の凹凸形状を有する転写面としての模様転写面21aとすると共に、前記側壁22の内面(型枠20の内部の側面)を擬石パネル10の四方の側端面12に対応する形状、即ち、同一の平坦面形状を有する側面22aとしている。これにより、型枠20の内部の模様転写面21aと側面22aとにより前記成形空間20aが形成され、この成形空間が、凹凸模様面11及び側端面12を有する擬石パネル10と同一形状の空間となる。なお、型枠20の側壁22の上端面22bは同一高さ乃至面一の平坦面となっている。ここで、型枠20としては、好ましくは土鍋素地、より好ましくは、ペタライト系土鍋素地を、前記成形空間を有する型枠状に一体的に焼成成形してなる一体型の陶板を使用する。しかし、型枠20として一体型の陶板を使用する以外にも、前記底壁21に相当する部分を陶器製の底壁とし、前記側壁22に相当する部分を金属製の側壁として、前記金属製の側壁を陶器製の底壁の四辺に立設して組み付けるタイプの分離型のものを使用することもできる。
【0043】
即ち、本実施の形態に係る発泡ガラス成形体の製造方法では、型枠は、無機材料または金属材料を前記成形空間を有する型枠状に一体形成することができる。この場合、型枠が無機材料または金属材料から一体形成されるため、十分な耐熱性及び形状保持性を有して、繰り返しの使用に耐える。また、型枠は、内部で発泡成形される発泡ガラス成形体自体の加熱及び冷却に伴う膨張及び収縮に対応して、発泡ガラス成形体のクラック等の発生を確実に防止することができる。なお、型枠として、例えば、土鍋素地を前記成形空間を有する型枠状に一体的に焼成成形してなる陶板を使用した場合、十分な耐熱性及び形状保持性及び加熱時の低膨張率を有して、繰り返しの使用に耐えると共に、内部で発泡成形される発泡ガラス成形体自体の加熱及び冷却に伴う膨張及び収縮に対応して、発泡ガラス成形体のクラック等の発生を確実に防止することができる。或いは、本実施の形態に係る発泡ガラス成形体の製造方法では、型枠は、無機材料または金属材料により前記成形空間を有する型枠状に組立及び分解自在に形成することもできる。
【0044】
図9は本発明の実施の形態1に係る発泡ガラス成形体の製造方法で使用する型枠の別例を示す平面図である。図9に示すように、別例としての型枠120は、前記型枠20と同様、擬石パネル10の外形に対応する成形空間を有するトレー状に形成され、成形空間の上端全体を開口している。具体的には、型枠120は、矩形平板状の底壁121と、底壁121の四方の端縁(四辺)に立設して組み付けてなる4個の側壁122とを有している。そして、型枠120は、前記底壁121の内面を擬石パネル10の凹凸模様面11に対応する凹凸形状を有する模様転写面121aとすると共に、前記4個の側壁122の内面(型枠120の内部の側面)を擬石パネル10の四方の側端面12に対応する平坦面形状を有する側面としている。これにより、型枠120の内部の模様転写面121aと側面とにより前記成形空間が形成され、この成形空間が、凹凸模様面11及び側端面12を有する擬石パネル10と同一形状の空間となる。なお、型枠120の側壁122の上端面は同一高さ乃至面一の平坦面となっている。ここで、4個の側壁122の下端を底壁121の四方の端縁にそれぞれ密接配置した状態で、側壁122の四方のコーナー部に対応するアングル形状(L字形状)の連結具を密接して締結固定することにより、底壁121に側壁122を組み付けて、型枠120を組み立てるようになっている。また、連結具123を取り外すことにより、底壁121から側壁122を取り外して、型枠120を分解することができるようになっている。このように、型枠120は、組立及び分解自在に形成されるため、例えば、模様転写面121aを形成する型枠120の底壁121のみを無機材料(陶土等)製の陶板とし、型枠120の側壁122を金属製の板材により構成して、底壁121を交換することができる。これにより、異なる凹凸模様の発泡ガラス成形体を製造するために、対応した数の異なる凹凸模様面の型枠を用意することなく、かかる凹凸模様に対応した凹凸模様面を有する型枠120の底壁121のみを用意し、(同一構成の)側壁122と組み合わせて組み立てることにより、各種所望の凹凸模様面を有する型枠を簡単かつ迅速に作成することができる。また、側壁122または底壁121のいずれかが損傷等した場合に、その部分のみを交換して、経済性を向上することができる。
【0045】
図5に示すように、本実施の形態に係る擬石パネル10の製造方法は、まず、型枠準備工程において、型枠20を準備すると共に、型枠20が前回使用されたものである場合、型枠20の内表面(模様転写面21a及び側面22a)を掃除して異物を除去する。次に、着色剤配置工程で、型枠20内の少なくとも模様転写面21aの全面に、着色剤を均一に層状に配置して着色剤層3を設ける。このとき、型枠20の内表面(模様転写面21a及び側面22a)の全面に着色剤層3を設けてもよい。次に、原料充填工程において、型枠20の内部空間、即ち、成形空間20aにビーズ状発泡ガラス原料を充填して発泡ガラス原料層3を設ける。即ち、型枠20内に、前記層状の着色剤からなる着色剤層3を覆うよう、発泡剤を含有するビーズ状発泡ガラス原料を充填して発泡ガラス原料層3を設け、型枠20及び発泡ガラス原料層3により、型枠充填体25を構成する。このとき、図5に示すように、型枠20の側壁21の上端面21bと面一となるレベルまでビーズ状発泡ガラス原料を充填し、発泡ガラス原料層3の上面が型枠20の側壁21の上端面21bと面一の平坦面となるようにする。ここで、ビーズ状発泡ガラス原料は、例えば、原料調製工程において、上記ビーズ状ガラス原料の製造で述べたような方法で、ガラスと発泡剤とを一体化して粒径200〜800μmの略球状とすることにより、調製することができる。
【0046】
また、前記着色剤配置工程は、着色剤により所定の模様を描画した転写紙を型枠20の少なくとも模様転写面21a上に密着させることにより、型枠20の模様転写面21a上に前記着色剤を層状に配置するようにする。即ち、本実施の形態では、型枠20内に層状に配置する前記着色剤層2を転写紙により構成する。詳細には、本実施の形態で使用する転写紙は、一般的な陶磁器の絵付けに使用される湿式転写紙(湿潤状態で陶磁器に張り付けるタイプのもの)とは異なり、乾式タイプ(乾燥状態で陶磁器等に張り付け自在なもの)の乾式転写紙である。即ち、一般的な陶磁器の絵付けに使用される湿式転写紙は、吸水性の台紙にでんぷん等の水溶性の糊を印刷して糊層を形成し、無機顔料とガラス粉またはセラミック粉等の釉薬成分とを混合して溶剤に溶解したインクを糊層上に印刷して着色層を形成し、着色層上にアクリル樹脂からなる被覆層を印刷したものである。この湿式転写紙は、必要な絵柄部分を台紙ごと切断し、水に浸漬して、台紙に吸水して糊層の糊を溶解し、被覆層と着色層とを台紙から剥離状態とする。そして、切断して湿潤した湿式転写紙を、台紙ごと陶磁器の絵付け場所に張り付け、台紙を横に滑らすようにしながら抜き取ることにより、着色層と被覆層のみが陶磁器の表面に残留した後、被覆層を押さえて気泡や水分を押し出すと共に皺にならないように伸ばしながら水分を完全に外部に排出することにより、陶磁器の表面に保持する。そして、所定時間自然乾燥した後、焼成することにより、陶磁器表面の被覆層が蒸散して消失すると共に、着色層の釉薬成分が軟化融解し、陶磁器表面に融着して顔料が陶磁器表面に定着及び発色することにより、陶磁器表面に絵付けが行われる。
【0047】
一方、本実施の形態で使用する乾式転写紙は、台紙と、台紙の表面に印刷等により積層形成され、前記台紙から剥離自在で、かつ、前記焼成工程の加熱により蒸散して消失する材質(例えば粘着質樹脂材料)からなる剥離コート層と、前記剥離コート層の表面に所定の態様(着色、着色模様、繰り返しのパターン等)で印刷された着色剤乃至インク(例えば、無機顔料とガラス粉またはセラミック粉等の釉薬成分とを混合して溶剤に溶解したもの)からなり、前記焼成工程で前記発泡ガラス成形体の表面に前記着色模様を形成する着色層と、前記着色層の表面全体を被覆するアクリル樹脂コート等の透明樹脂材料からなり、前記焼成工程の加熱により蒸散して消失する被覆層とからなる積層構造をなす。なお、前記着色層と被覆層との間に、水ガラス等により薄いガラス層を介装して設けてもよい。この乾式転写紙は、使用時に、前記剥離コート層を介して台紙から剥離し、絵付け対象または張り付け対象、本実施例の場合は、型枠20の内面の少なくとも模様転写面21aに粘着して貼着されるものである。前記転写紙において、前記着色層は、例えば、スクリーン印刷等により剥離コート層上に必要な色数で所望の模様を描画したものである。この着色層は、例えば、所望の画像を撮像装置により撮像し、その撮像した画像を前記基材層に印刷することにより、前記所望の画像として簡単に描画することもでき、焼成工程で、発泡ガラス成形体の凹凸模様面上にその所望の画像を正確に転写することができる。
【0048】
そして、本実施の形態では、着色剤配置工程で、型枠20の模様転写面21aの凹凸形状に合わせて前記乾式転写紙の剥離コート層側をスポンジ等により押し付けて、剥離コート層の粘着力により型枠20の模様転写面21aの凹凸に正確に対応して貼着して密着させる。その後、乾式転写紙を型枠20の内面の側面21bにも同様にして密着させる。更に、型枠20の上面21bにも余った乾式転写紙の外周縁部を載置するが、この場合、密着させる必要はない。これにより、型枠20の内面全体(模様転写面21a及び側面22a)に隙間無く乾式転写紙の着色剤を層状に配置して、前記着色剤層3を設けることができる。なお、擬石パネル10の意匠面は凹凸模様面11であるため、乾式転写紙は、型枠20の内面の少なくとも模様転写面21aに密着配置すればよく、これにより、前記擬石パネル10の凹凸模様面11に所望の模様を転写して固定することができる。しかし、型枠20の模様転写面21aを超える隣接部である側面22aにも乾式転写紙を密着配置するようにすると、模様転写面21aの凹凸形状の全面を、その外周縁まで余すところなく完全に乾式転写紙の着色層により覆うことができ、また、その作業も簡単になる。更に、型枠20の上端面22bまで乾式転写紙を延設して覆うようにすると、ビーズ状発泡ガラス原料の型枠20内への充填時に、乾式転写紙の外周縁が型枠20内へ引きずられて位置ずれ等することを確実に防止することができる。
【0049】
ここで、前記着色剤配置工程では、更に、型枠20の模様転写面21a上にガラス粉を均一に散布してガラス粉層を形成し、ガラス粉層を介して乾式転写紙(着色剤層)3を型枠20の模様転写面21a上に密着配置させることにより、型枠20の模様転写面21a上に乾式転写紙3に描画した着色剤(着色模様)を層状に配置するようにしてもよい。
【0050】
或いは、本実施の形態では、前記着色剤配置工程は、前記着色剤として所望の発色をする顔料粉を型枠20の模様転写面21a上に均一厚みで層状に散布することにより、型枠20の模様転写面21a上に前記着色剤を層状に配置して、前記着色剤層3を型枠20の模様転写面21a上に設けるようにしてもよい。しかし、乾式転写紙を型枠20の模様転写面21aに密着させて着色剤層を配置するようにした場合、単に粉末状乃至粉粒状の着色剤を型枠20の模様転写面21aに散布して配置する場合と比較して、作業性が格段に向上すると共に、繊細な模様や柄、或いは、所望の画像(撮影写真等)の絵付けが可能になる。また、乾式転写紙は、従来の湿式転写紙のように水に濡らして貼り付ける必要もなく、作業が簡単である。なお、湿式転写紙では、上記のように、水で濡らした台紙ごと張り付け対象に張り付けて台紙を抜き取る等の精細な作業が必要になり、かかる作業を型枠20の凹凸形状の模様転写面21上で正確に行うことは困難である。
【0051】
この場合、着色剤配置工程では、前記着色剤としての顔料粉にガラス粉を混合して型枠20の模様転写面21a上に均一厚みで層状に散布することにより、型枠20の模様転写面21a上に前記着色剤を層状に配置するようにしてもよい。
【0052】
次に、焼成工程において、ビーズ状発泡ガラス原料を型枠20内に充填したまま一体的に加熱することにより、即ち、前記型枠充填体25を一体的に加熱することにより、発泡ガラス原料層1のビーズ状発泡ガラス原料を型枠20内で発泡及び焼成して、型枠20の成形空間20aに対応した形状の一次発泡ガラス成形体を形成する。このとき、同時に、前記一次発泡ガラス成形体において型枠20の模様転写面21aと対向する表面、即ち、擬石パネル10の凹凸模様面11となる一次発泡ガラス成形体の表面全体に、模様転写面21aの凹凸形状と同一の凹凸からなる凹凸模様が付与される。また、このとき、同時に、一次発泡ガラス成形体の前記凹凸模様を付与した表面において前記層状の着色剤と対面する部位、即ち、擬石パネル10の凹凸模様面11となる一次発泡ガラス成形体の凹凸表面(型枠20の模様転写面21aと対向する表面)全体に、着色剤層3の着色剤により着色模様が付与される。詳細には、この焼成工程で、型枠20内に充填したビーズ状ガラス原料(発泡ガラス原料層)1が発泡焼成されて発泡ガラス成形体となると共に、型枠20内の模様転写面21aと充填されたビーズ状ガラス原料(発泡ガラス原料層)1との間に介在する乾式転写紙(着色剤層)3の着色剤が、発泡ガラス成形体の表面に転写されて所定の模様からなる着色剤層3を描画形成する。なお、型枠20の模様転写面21aと乾式転写紙(着色剤層)との間にガラス粉層を介装した場合、このときに、型枠20の模様転写面21aと乾式転写紙(着色剤層)との間に介在するガラス粉層が溶融して、発泡ガラス成形体表面の着色剤層上に透明または半透明なガラス質の均一厚みの保護層(表面膜)を形成する。即ち、発泡ガラス成形体の表面への着色乃至模様付与と同時に、ガラス粉が溶融して膜状の表面層を形成する。その結果、発泡ガラス成形体の表面(凹凸表面)に乾式転写紙(着色剤層)3に固有の模様(着色模様層)を正確かつ強固に転写することができると共に、かかる着色模様層をガラス質の釉薬状の保護層により保護して、発泡ガラス成形体の模様表面の表面強度を増大することができる。
【0053】
より詳細には、本実施の形態に係る発泡ガラス成形体の製造方法は、焼成工程で、図6に示す発泡ガラス成形体を連続的に製造する連続的製造装置30を使用する。この連続的製造装置30は、両端に配置したコンベア駆動ローラー34a、34bによって鋼製の無端ベルト33を所定速度で長さ方向に移動し、無端ベルト33の上面に載置した多数の前記型枠充填体25を移送方向(図6中左方)へと移送するようになっている。なお、無端ベルト33としては、ステンレス鋼等からなる十分な耐熱性を有する金属繊維材をメッシュ状とすることにより、可撓性を有するコンベアベルト状に形成したものを好適に使用することができる。無端ベルト33の上流側の所定長部分は、型枠充填体25を載置するために開放されると共に、無端ベルト33の下流側には、加熱炉31及び徐冷室32が連続して配置されている。加熱炉31は、前記無端ベルト33並びに無端ベルト33上を移送される型枠充填体25を収容するよう配置されている。加熱炉31は、無端ベルト33により移送される型枠充填体25を加熱して焼成する。更に、加熱炉31の下流側に配置した徐冷室32は、型枠充填体25の発泡ガラス原料層3が焼成された型枠充填体25を収容して徐冷するようになっている。
【0054】
上記連続製造装置30を使用して前記焼成工程を行うには、コンベア駆動ローラー34a,34bにより無端ベルト33を一定速度で走行させながら、上記原料充填工程で用意した多数の型枠充填体25(型枠20の内部に発泡ガラス原料層1を充填したもの)を無端ベルト33の上面に所定間隔乃至所定の配置態様で順次載置する。すると、無端ベルト33に移動に伴い、無端ベルト33上の型枠充填体25が、順次、加熱炉31内に前記一定速度で進入する。即ち、焼成工程で、型枠充填体25の型枠20内に充填した発泡ガラス原料層1が、加熱炉31内で所定温度で型枠20と一体的に加熱され、発泡ガラス原料層1のビーズ状発泡ガラス原料が、発泡及び焼成されて擬石パネル10を形成する。
【0055】
これにより、焼成工程では、型枠充填体25内の発泡ガラス原料層1のビーズ状発泡ガラス原料の発泡が十分に進むと共に焼成が完了して前記擬石パネル10の元となる一次発泡ガラス成形体が形成される。これと同時に、型枠充填体25の型枠20内の模様転写面21aに配置した着色剤層3、即ち、乾式転写紙の被覆層が加熱炉内で蒸散して焼失し、着色層が露出して、一次発泡ガラス成形体の凹凸模様面となる凹凸表面部分に転写される。即ち、加熱炉31内で加熱された型枠充填体25の型枠20内の発泡ガラス原料層1が所定温度で発泡して一次発泡ガラス成形体へと焼成成形されると共に、一次発泡ガラス成形体の成形過程の途中から終了までに、乾式転写紙の軟化または溶融状態の着色層が、かかる成形過程にある凹凸表面(着色層と接触する軟化または溶融状態にある凹凸表面)と接触し、加熱による焼成工程の進行に伴い、一次発泡ガラス成形体の凹凸表面に確実かつ正確に転写されて定着すると共に、加熱により所定色に発色して所定の模様を形成する。なお、このとき、型枠20内の側面22aに配置された乾式転写紙部分の着色層により、一次発泡ガラス成形体の側端面部分にも同様にして模様の形成が行われる。一方、着色剤層として乾式転写紙ではなく顔料を散布する構成を採用した場合、型枠20の模様転写面21a上の顔料が、加熱炉31内での加熱により一次発泡ガラス成形体の凹凸表面に転写されて定着し、同様に所定の模様を形成する。また、上記のように、型枠20の模様転写面21aにガラス粉を散布して乾式転写紙3を配置した場合、或いは、顔料粉にガラス粉を混合した場合、加熱炉31内での加熱により、ガラス粉が溶融して一次発泡ガラス成形体の着色剤層の上に保護膜(ガラス質の表面膜)を形成する。
【0056】
その後、焼成工程で焼成されて所定の成形形状となり、かつ、凹凸表面に着色模様が形成された一次発泡ガラス成形体を型枠20内に収容した状態の型枠充填体25は、徐冷工程において、次段の徐冷室32に無端ベルト33により移送されて所定時間徐冷された後、徐令室32から外部に搬出され、取り出される。ここで、前記焼成工程による発泡成形により、型枠20内の発泡ガラス原料1の外表面側、即ち、擬石パネル10の底面13となる表面側は、外部に膨出して膨出部14となっている。よって、本実施の形態では、図7に示すように、連続製造装置30の無端ベルト3上から取り出した型枠充填体25を、次の膨出部切除工程に搬送し、一次発泡ガラス成形体の膨出部14を切除して最終製品としての擬石パネル10を形成する。具体的には、かかる膨出切除工程は、図7に示す切除装置としての横型バンドソー40を使用する。この横型バンドソー40は、バンドソー(帯鋸)からなる刃部41を水平に配置したテーブル42の上面側の所定高さ位置に水平に配置している。刃部41は、その長さ方向に往復駆動され、刃部41の高さ位置で切断対象物を水平に切断するようになっている。また、横型バンドソー40は、テーブル42の上面の前端側に水平方向に延びる板状の係止部43を前後方向への水平駆動自在に配置している。そして、本実施の形態の膨出部切除工程では、まず、前記横型バンドソー40のテーブル42の上面(載置面)において、前記刃部41の手前に前記膨出部14を有する型枠充填体25を載置する。次に、刃部41の高さを前記型枠充填体25の膨出部14を完全に切除する高さ、即ち、型枠20の側壁22の上面22bの高さに設定する。そして、係止部43を型枠充填体25の型枠20の側壁の外側面(対向側面)に当接し、係止部43をテーブル42上で刃部41に向かって前方に向かって水平方向に駆動する。これにより、係止部43の前方への駆動に伴い、刃部41が、型枠充填体25の型枠20の側壁22の上面22bより上の部分、即ち、一次発泡ガラス成形体の膨出部14のみを切除する。
【0057】
図8は、型枠充填体25の一次発泡ガラス成形体の膨出部14を切除して擬石パネル10とし、取り出し工程において、擬石パネル10を型枠20から外部に取り出した状態を示す。
【0058】
このように、本実施の形態に係る発泡ガラス成形体の製造方法は、従来のコンクリート擬石の原料と全く異なる原料であるビーズ状発泡ガラス原料を使用して発泡ガラス成形体としての擬石パネル10を成形すると共に、ビーズ状発泡ガラス原料を(例えば、所定形状に積層した状態で)単体で焼成するのではなく、型枠20内に充填して一体の型枠充填体25とし、型枠20と共に加熱炉内で焼成して発泡成形する。したがって、型枠20の模様転写面21aの凹凸模様を、焼成工程で発泡成形されて軟化または溶融状態にある発泡ガラス原料層1(即ち、焼成過程にある一次発泡ガラス成形体)の対向部分(凹凸模様面11となる部分)に正確に転写することができ、転写部分の凹凸模様にひび割れ、意図しない凹凸や陥没部等が発生することを確実に防止することができる。その結果、最終製品としての擬石パネル10の凹凸模様面11が、意図したとおりの所定の凹凸形状、即ち、型枠20の模様転写面21aに正確に合致した設計どおりの凹凸模様面となる。また、型枠充填体25の型枠20の内部において、その模様転写面21aと発泡ガラス原料層1の凹凸表面部分との間に着色剤層3を介装して配置するため、発泡ガラス原料層1の発泡成形に伴い、着色剤層3を発泡成形過程にある一次発泡ガラス成形体の凹凸表面に正確に転写して定着させることができる。その結果、最終製品としての擬石パネル10の凹凸模様面11の凹凸形状に、意図したとおりの所定の着色模様、即ち、型枠20の模様転写面21aに配置した着色剤層2の着色模様に正確に合致した設計どおりの着色模様を付加することができる。更に、このとき、着色剤層2は型枠20内で模様転写面21aと発泡ガラス原料層1との境界面部分に介装して配置され、顔料に固有の所定色の着色模様を一次発泡ガラス成形体の凹凸表面に転写して定着させることができる。その結果、最終製品としての擬石パネル10の凹凸模様面11に付加した着色模様が、意図したとおりの所定の着色模様、即ち、型枠20の模様転写面21aに配置した着色剤層3の顔料の発色に正確に対応した設計どおりの着色模様となる。そして、軽量で取扱性や取付作業性等に優れると共に必要な強度も兼備し、更に、表面に凹凸模様や着色模様等を所望の態様で正確に付与して擬石状とすることも簡単で、かつ、その凹凸模様や着色模様等を長期にわたって良好に維持することができる擬石パネル10を確実に製造することができる。特に、本実施の形態の発泡ガラス成形体は、加熱成形時に着色剤からなる着色模様が、溶融状態のガラス表面に融合して強固に付着形成されると共に、ガラス質に固有の耐酸性を有することにより、表面の着色模様が、雨等の水で溶出して色落ちしたり、酸性雨等の酸により溶解して色落ちしたり、日光中の紫外線等により変色したり色落ちしたりすることを効果的に防止することができ、耐食性、耐候性等に優れたものとなる。
【0059】
実施の形態2
図10は本発明の実施の形態2に係る発泡ガラス成形体を外表面(意匠面)側から見て示す斜視図である。
【0060】
図10に示すように、実施の形態2に係る発泡ガラス成形体は、建築物の外壁のコーナー部に使用されるL字型の擬石パネル210に具体化される。擬石パネル210は、矩形平板状をなす第1の平板部211と、矩形平板状をなす第2の平板部212とを一体形成してなる。例えば、第1の平板部211は、長方形板状に形成されると共に、第2の平板部212は、第1の平板部211の長手方向一端の全体から直交して延設された短い長方形板状に形成される。また、擬石パネル210は、第1の平板部211及び第2の平板部212のそれぞれの外表面(意匠表面)となる全体に、実施の形態1の凹凸模様面11と同様の凹凸模様を一体形成して凹凸模様面211a,212aとしている。更に、擬石パネル210の凹凸模様面211aと凹凸模様面212aとの境界線は、凹凸模様に応じた凹凸状の境界線212bとなっている。更にまた、擬石パネル210の第1の平板部211の側端面212b及び212c、並びに、第2の平板部212の即端面212c及び212dは、それぞれ、平坦面となっている。そして、擬石パネル10の凹凸模様面211aと反対側の面及び凹凸模様面212aと反対側の面は、それぞれ、建築物の外壁等の敷設面への敷設時に接着面等の接合面となる平坦な裏面211dとなっている。ここで、擬石パネル210の凹凸模様面211a,212aには、実施の形態1と同様、御影調等の所定の着色模様(図示略)が一体的に付与されている。また、擬石パネル210は、使用する建築物等の敷設対象乃至敷設場所等に対応して、所望の縦横寸法及び厚みとすることができる。更に、擬石パネル210は、後述するように、対応するL字板状の成形空間を有すると共にL字状に屈曲する内底面を凹凸状の転写面としたコーナー用型枠内の前記転写面の全面上に着色剤を層状に配置し、層状の着色剤の全面を覆うようコーナー用型枠内にビーズ状発泡ガラス原料を充填し、ビーズ状発泡ガラス原料をコーナー用型枠内に充填したまま一体的に加熱することにより、ビーズ状発泡ガラス原料をコーナー用型枠内で発泡及び焼成して、コーナー用型枠の成形空間に対応したL字板状に形成されると共に、こー名用型枠の転写面と対向する外表面全体に、前記転写面の凹凸形状と同一の凹凸からなる凹凸模様を付与して凹凸模様面211a,212aとする一方、凹凸模様面211a,212aにおいて前記層状の着色剤と対面する全面に、前記着色剤により着色模様を付与したものである。
【0061】
図11は本発明の実施の形態2に係る発泡ガラス成形体の製造方法で使用するコーナー用型枠の型枠本体を示す斜視図である。図12は本発明の実施の形態2に係る発泡ガラス成形体の製造方法で使用するコーナー用型枠の組立状態を上面側から見て示す説明図である。
【0062】
図11及び図12に示すように、実施の形態2に係る発泡ガラス成形体の製造方法に使用するコーナー用型枠は、型枠本体220と、仕切板231と、左右一対の固定治具232と、スペーサー235とを有する。擬石パネル210の製造に使用する型枠本体220は、擬石パネル210の外形に対応する成形空間220aを有するL字板状のトレー状に形成されている。また、型枠本体220は、成形空間220aの内側端全体を開口している。具体的には、型枠本体220は、発泡ガラス成形体210の第1の平板部211に対応する矩形平板状の底壁221と、底壁221の左右両端(図11中の前後両端)にそれぞれ立設して一体形成した側壁222と、底壁221の後端(図11中の右端)に立設して一体形成した後壁223とを有している。底壁221の内面は、発泡ガラス成形体210の第1の平板部211の凹凸模様面211aに対応する凹凸形状の模様転写面221aとされている。また、左右の側壁222の内面は、発泡ガラス成形体210の第1の平板部211の左右両端面211bに対応する平坦面形状の側面222aとされている。更に、型枠本体220は、後壁223の内面を傾斜面とすると共に、その内端(下端)を底壁221の模様転写面221aより下方に配置して、後壁223と底壁221の模様転写面221aの後端との間に、左右に延びる収容凹部223aを形成している。一方、型枠本体220は、底壁211の前端に立設して一体形成した前壁224を有している。前壁224の高さは、敷設場所や使用状況等に応じて決定される。前壁224の左右両端には、一対の側壁225が、前壁224から後方に突出するよう一体形成されている。側壁224の下端は前記側壁222の上端面に連続している。また、前壁224の内面(底面)は、発泡ガラス成形体210の第2の平板部212の凹凸模様面212aに対応する凹凸形状の模様転写面224aとされている。更に、底壁211の模様転写面211aと前壁224の模様転写面224aとの境界線は、前記発泡ガラス成形体210の境界線212bに対応する境界線224bとなっている。また、左右の側壁225の内面は、発泡ガラス成形体210の第2の平板部212の左右両端面212cに対応する平坦面形状の側面225aとされている。なお、型枠本体220は、底壁221の上端及び前壁224の後端の全体を開口している。
【0063】
仕切板231は、型枠本体220の幅と略同一長さで前壁224乃至側壁225の高さと同一幅の長板状をなし、型枠本体220の側壁225の側面225aと側壁222の上端面との間のコーナー部に掛け渡して載置されるようになっている。また、固定治具232は、型枠本体220の側壁225と側壁222との間のコーナー部に仕切板231を掛け渡して載置した状態で、前壁224の前面と仕切板231の後面とを挟持するチャンネル(凹形)ブロック状をなす。なお、左右一対の固定治具232は、同一形状としてもよく、左右対称形状としてもよい。型枠本体220の側壁225と側壁222との間のコーナー部に仕切板231を掛け渡して載置した状態で、左右一対の固定治具により仕切板231を前壁224及び側壁225に対して挟持することにより、前壁224の凹凸模様面224a、側壁225の側面及び仕切板231の内面(前面)との間に、発泡ガラス成形体210の第2の平板部212に対応する成形空間が形成される。また、スペーサー235は、型枠本体220の後壁223内側の収容凹部223aに対応する外形の長板状をなし、収容凹部223aに収容保持されて、その上端面が側壁222及び後壁223の上端面と面一となるようになっている。そして、スペーサー235を収容凹部223aに収容保持した状態で、底壁221の凹凸模様面221a、側壁222の側面222a及びスペーサー235の前面の間に、発泡ガラス成形体210の第1の平板部211に対応する成形空間が形成される。即ち、実施の形態2に係るコーナー用型枠では、型枠本体220の底壁221の模様転写面221aと側壁222の側面222aとスペーサー235の前面とにより、発泡ガラス成形体210の第1の平板部211に対応する成形空間が形成されると共に、前壁224の模様転写面224aと側壁225の側面225aと仕切板231の前面とにより、発泡ガラス成形体210の第2の平板部212に対応する成形空間が形成される。そして、これら2つの成形空間により前記L字板状の成形空間220aが形成され、この成形空間220aが、凹凸模様面211a,212a及び側端面211b,211c,212c,212dを有する擬石パネル210と同一形状の空間となる。なお、型枠本体220、仕切板231、固定治具232及びスペーサー235は、実施の形態1と同様の材料により形成することができる。
【0064】
実施の形態2に係る発泡ガラス成形体は、上記コーナー用型枠を使用して、実施の形態1の製造方法と同様にして製造することができる。その要部について概略的に説明すると、例えば、まず、着色剤配置工程で、型枠本体220の模様転写面221a,224aの全面に乾式転写紙を敷設して密着させる等して、着色剤層を層状に配置する。なお、このとき、乾式転写紙を使用する場合、乾式転写紙は、長さ方向一端を型枠本体220の収容凹部223a内にまで延設すると共に、長さ方向他端を前壁224の上端の上面にまで延設し、位置ずれ等しないようにする。次に、型枠本体220の収容凹部223aにスペーサー235を収容配置し、乾式転写紙の長さ方向一端部を上から押圧して保持し、位置ずれしないようにする。これと共に、型枠本体220の前壁224と側壁222との間のコーナー部に仕切板231を載置し、左右一対の固定治具232により仕切板231を固定する。なお、このとき、乾式転写紙の幅方向両端部を側壁225の側面225aまで延設していれば、仕切板231により乾式転写紙を保持し、位置ずれを防止することができる。これにより、型枠本体220、仕切板231及びスペーサー235により成形空間220aが形成される。そして、原料充填工程において、型枠本体220等により形成した成形空間220aにビーズ状発泡ガラス原料を充填して発泡ガラス原料層を設ける。即ち、型枠の成形空間220a内に、前記層状の着色剤からなる着色剤層(乾式転写紙等)を覆うよう、発泡剤を含有するビーズ状発泡ガラス原料を充填して発泡ガラス原料層を設け、型枠本体220等と発泡ガラス原料層とにより、型枠充填体を構成する。このとき、型枠本体220の底壁221側では、側壁222の上端面と面一となるレベルまでビーズ状発泡ガラス原料を充填すると共に、前壁224側では、前壁224の上端面と面一となるレベルまでビーズ状発泡ガラス原料を充填する。
【0065】
次に、焼成工程において、上記連続製造装置30等を使用して、前記型枠充填体を一体的に加熱することにより、発泡ガラス原料層のビーズ状発泡ガラス原料を型枠内で発泡及び焼成して、型枠の成形空間220aに対応した形状の一次発泡ガラス成形体を形成する。このとき、同時に、前記一次発泡ガラス成形体において型枠本体220の模様転写面221a,224aと対向する表面、即ち、擬石パネル210の凹凸模様面211a,212aとなる一次発泡ガラス成形体の表面全体に、模様転写面221a,224aの凹凸形状と同一の凹凸からなる凹凸模様が付与される。また、このとき、同時に、一次発泡ガラス成形体の前記凹凸模様を付与した表面において前記層状の着色剤と対面する部位、即ち、擬石パネル210の凹凸模様面211a,212aとなる一次発泡ガラス成形体の凹凸表面全体に、着色剤層の着色剤により着色模様が付与される。なお、本実施の形態においても、型枠220の模様転写面221a,224aと乾式転写紙等の着色剤層との間にガラス粉層を介装することが好ましい。このようにして焼成した一次発泡ガラス成形体は、実施の形態1と同様にして、徐冷後に、型枠本体220から固定治具232、仕切板231及びスペーサー235を取り外すことにより、型枠本体220の成形空間220aから外部に取り出し、その後、膨出部を切除したりして、完成品としての発泡ガラス成形体210となる。
【0066】
上記のように構成した実施の形態2に係る発泡ガラス成形体210及び発泡ガラス成形体210の製造方法によれば、実施の形態1と同様の作用及び効果を発揮することができる。また、発泡ガラス成形体210は、建築物の外壁のコーナー部等に継ぎ目なく敷設することができ、全体の外観品質を向上することができる。
【0067】
ところで、本発明に係る発泡ガラス成形体は、凹凸模様面のみを設け、凹凸模様面に着色模様を設けない場合に具体化してもよい。また、本発明に係る発泡ガラス成形体の製造方法は、ビーズ状ガラス原料を型枠内に充填して一体的に焼成することを主要な特徴とし、これにより、型枠内の成形空間の形状に正確に合致した形状の発泡ガラス成形体を確実に成形することができる。よって、本発明に係る発泡ガラス成形体の製造方法は、発泡ガラス成形体の表面に凹凸模様及び着色模様の両者を形成する場合以外にも、単に凹凸模様を形成する場合、及び、着色模様のみを形成する場合にも具体化することができる。或いは、以外にも具体化することができ、また、発泡ガラス成形体の表面に、凹凸模様のみを形成する場合、或いは、本発明に係る発泡ガラス成形体の製造方法は、ビーズ状ガラス原料を型枠内に充填して一体的に焼成する限りにおいて、凹凸模様も着色模様も有しない所定形状の発泡ガラス成形体に具体化することもできる。一方、本発明で使用する型枠の成形空間は、任意の形状とすることができ、上記実施の形態の形状以外にも、その他のパネル状、ブロック状、湾曲板状、凹板状(チャンネル板状)等の任意の形状とすることができ、これに応じて、製造される発泡ガラス成形他の形状も任意の形状とすることができる。また、型枠の内部空間(成形空間)の底面は、凹凸の模様転写面とする以外に、平坦面とし、例えば、平坦の転写面に着色剤層を設けて、その着色剤層を発泡ガラス成形体の平坦表面に転写して着色模様面とすることも可能である。また、着色剤層は、少なくとも、発泡ガラス成形体において着色模様を設けたい部分のみに設ければよく、例えば、模様転写面の一部にのみ設けることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明に係る発泡ガラス成形体は、建築物の外壁材の仕上材等、従来のコンクリート擬石パネルや天然石パネルに変わる素材として好適に利用することができ、また、軽量性、施工性、断熱性、耐久性、耐凍害性、環境対応性を必要とする素材として好適に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】図1は本発明の実施の形態1に係る発泡ガラス成形体を示す斜視図である。
【図2】図2は図1のA−A線断面図である。
【図3】図3は本発明の実施の形態1に係る発泡ガラス成形体の製造方法で使用する型枠を示す斜視図である。
【図4】図4は図3のB−B線断面図である。
【図5】図5は本発明の実施の形態1に係る発泡ガラス成形体の製造方法の原料充填工程完了後の状態を示す断面図であり、一部を拡大して示す。
【図6】図6は本発明の実施の形態1に係る発泡ガラス成形体の製造方法の焼成工程で使用する発泡ガラス成形体連続焼成装置を側面から見て示す説明図である。
【図7】図7は本発明の実施の形態1に係る発泡ガラス成形体の製造方法の焼成工程後の膨出部除去工程を示す斜視図である。
【図8】図8は本発明の実施の形態1に係る発泡ガラス成形体の製造方法の焼成工程後の発泡ガラス成形体のバリ除去工程を示す断面図である。
【図9】図9は本発明の実施の形態1に係る発泡ガラス成形体の製造方法で使用する型枠の別例を示す平面図である。
【図10】図10は本発明の実施の形態2に係る発泡ガラス成形体を外表面(意匠面)側から見て示す斜視図である。
【図11】図11は本発明の実施の形態2に係る発泡ガラス成形体の製造方法で使用するコーナー用型枠の型枠本体を示す斜視図である。
【図12】図12は本発明の実施の形態2に係る発泡ガラス成形体の製造方法で使用するコーナー用型枠の組立状態を上面側から見て示す説明図である。
【符号の説明】
【0070】
1:発泡ガラス原料層(ビーズ状ガラス原料)、3:着色剤層(乾式転写紙)
10,210:擬石パネル(発泡ガラス成形体)
11,211a,212a:凹凸模様面、20,120:型枠
220:型枠本体(型枠)、231:仕切板(型枠)
232:固定治具(型枠)、234:スペーサー(型枠)
21a,121a,221a,224a:模様転写面(転写面)、25:型枠充填体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定形状の成形空間を有すると共に底面を凹凸状の転写面とした型枠内に、発泡剤を含有するビーズ状ガラス原料を充填し、前記ビーズ状ガラス原料を前記型枠内に充填したまま一体的に加熱することにより、前記ビーズ状ガラス原料を前記型枠内で発泡及び焼成して、前記型枠の成形空間に対応した形状に形成されると共に、前記型枠の転写面と対向する表面に、前記転写面の凹凸形状と同一の凹凸からなる凹凸模様を付与して凹凸模様面としたことを特徴とする発泡ガラス成形体。
【請求項2】
所定形状の成形空間を有すると共に底面を凹凸状の転写面とした型枠内の前記転写面上に、着色剤を層状に配置し、前記型枠内に、前記層状の着色剤を覆うよう、発泡剤を含有するビーズ状ガラス原料を充填し、前記ビーズ状ガラス原料を前記型枠内に充填したまま一体的に加熱することにより、前記ビーズ状ガラス原料を前記型枠内で発泡及び焼成して、前記型枠の成形空間に対応した形状に形成されると共に、前記型枠の転写面と対向する表面に、前記転写面の凹凸形状と同一の凹凸からなる凹凸模様を付与して凹凸模様面とする一方、前記凹凸模様面において前記層状の着色剤と対面する部位に、前記着色剤により着色模様を付与したことを特徴とする発泡ガラス成形体。
【請求項3】
比重を0.4〜0.6の範囲内としたことを特徴とする請求項1または2記載の発泡ガラス成形体。
【請求項4】
所定形状の成形空間を有する型枠内に、発泡剤を含有するビーズ状ガラス原料を充填する原料充填工程と、
前記ビーズ状ガラス原料を前記型枠内に充填したまま加熱することにより、前記ビーズ状ガラス原料を前記型枠内で発泡及び焼成して、前記型枠の成形空間に対応した形状の発泡ガラス成形体を形成する焼成工程と
を備えることを特徴とする発泡ガラス成形体の製造方法。
【請求項5】
所定形状の成形空間を有すると共に底面を凹凸状の転写面とした型枠内に、発泡剤を含有するビーズ状ガラス原料を充填する原料充填工程と、
前記ビーズ状ガラス原料を前記型枠内に充填したまま一体的に加熱することにより、前記ビーズ状ガラス原料を前記型枠内で発泡及び焼成して、前記型枠の成形空間に対応した形状の発泡ガラス成形体を形成すると共に、前記発泡ガラス成形体において前記型枠の転写面と対向する表面に、前記転写面の凹凸形状と同一の凹凸からなる凹凸模様を付与する焼成工程と
を備えることを特徴とする発泡ガラス成形体の製造方法。
【請求項6】
所定形状の成形空間を有すると共に底面を転写面とした型枠内の前記転写面上に、着色剤を層状に配置する着色剤配置工程と、
前記型枠内に、前記層状の着色剤を覆うよう、発泡剤を含有するビーズ状ガラス原料を充填する原料充填工程と、
前記ビーズ状ガラス原料を前記型枠内に充填したまま一体的に加熱することにより、前記ビーズ状ガラス原料を前記型枠内で発泡及び焼成して、前記型枠の成形空間に対応した形状の発泡ガラス成形体を形成すると共に、前記発泡ガラス成形体において前記層状の着色剤と対面する部位の表面に、前記着色剤により着色模様を付与する焼成工程と
を備えることを特徴とする発泡ガラス成形体の製造方法。
【請求項7】
所定形状の成形空間を有すると共に底面を凹凸状の転写面とした型枠内の前記転写面上に、着色剤を層状に配置する着色剤配置工程と、
前記型枠内に、前記層状の着色剤を覆うよう、発泡剤を含有するビーズ状ガラス原料を充填する原料充填工程と、
前記ビーズ状ガラス原料を前記型枠内に充填したまま一体的に加熱することにより、前記ビーズ状ガラス原料を前記型枠内で発泡及び焼成して、前記型枠の成形空間に対応した形状の発泡ガラス成形体を形成すると共に、前記発泡ガラス成形体において前記型枠の転写面と対向する表面に、前記転写面の凹凸形状と同一の凹凸からなる凹凸模様を付与する一方、前記発泡ガラス成形体の前記凹凸模様を付与した表面において前記層状の着色剤と対面する部位に、前記着色剤により着色模様を付与する焼成工程と
を備えることを特徴とする発泡ガラス成形体の製造方法。
【請求項8】
前記着色剤配置工程は、前記着色剤により所定の模様を描画した転写紙を前記型枠の転写面上に密着させることにより、前記型枠の転写面上に前記着色剤を層状に配置するものであることを特徴とする請求項6または7記載の発泡ガラス成形体の製造方法。
【請求項9】
前記転写紙として、台紙と、前記台紙の表面に印刷等により積層形成され、前記台紙から剥離自在で、かつ、前記焼成工程の加熱により蒸散して消失する材質からなる剥離コート層と、前記剥離コート層の表面に所定の態様で印刷された着色剤からなり、前記焼成工程で前記発泡ガラス成形体の表面に前記着色模様を形成する着色層と、前記着色層の表面全体を被覆する透明樹脂材料からなり、前記焼成工程の加熱により蒸散して消失する被覆層とからなる積層構造をなす乾式転写紙を使用し、前記着色剤配置工程で、前記乾式転写紙を前記剥離コート層を介して前記台紙から剥離し、前記型枠の内面の少なくとも模様転写面に粘着して貼着することにより、前記型枠内の前記転写面上に前記着色剤を層状に配置することを特徴とする請求項8記載の発泡ガラス成形体の製造方法。
【請求項10】
前記着色剤配置工程は、更に、前記型枠の転写面上にガラス粉を均一に散布してガラス粉層を形成し、前記ガラス粉層を介して前記転写紙を前記型枠の転写面上に密着配置させることにより、前記型枠の転写面上に前記着色剤を層状に配置するものであることを特徴とする請求項8または9記載の発泡ガラス成形体の製造方法。
【請求項11】
前記着色剤配置工程は、前記着色剤としての顔料粉を前記型枠の転写面上に均一厚みで層状に散布することにより、前記型枠の転写面上に前記着色剤を層状に配置するものであることを特徴とする請求項6または7記載の発泡ガラス成形体の製造方法。
【請求項12】
前記着色剤配置工程は、前記着色剤としての顔料粉にガラス粉を混合して前記型枠の転写面上に均一厚みで層状に散布することにより、前記型枠の転写面上に前記着色剤を層状に配置するものであることを特徴とする請求項6または7記載の発泡ガラス成形体の製造方法。
【請求項13】
前記型枠は、無機材料または金属材料を前記成形空間を有する型枠状に一体形成してなることを特徴とする請求項4乃至12のいずれか1項記載の発泡ガラス成形体の製造方法。
【請求項14】
前記型枠は、無機材料または金属材料を前記成形空間を有する型枠状に組立及び分解自在に形成してなることを特徴とする請求項4乃至12のいずれか1項記載の発泡ガラス成形体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−99566(P2007−99566A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−292064(P2005−292064)
【出願日】平成17年10月5日(2005.10.5)
【出願人】(500450613)大榮産業株式会社 (6)
【Fターム(参考)】