説明

発泡コアサンドイッチ板の製造方法

【課題】安価で性能の良い発泡コアサンドイッチ板を製造し得る発泡コアサンドイッチ板の製造方法を提供する。
【解決手段】発泡材とされる芯材2を表面材3、3で挟持した発泡コアサンドイッチ板1を製造する製造方法であって、発泡剤が分散されたフィルム状の樹脂2aを、表面材3、3を形成する板材の間に挟み込み、次いで、フィルム状の樹脂2aを発泡させ、同時に、発泡した樹脂2aと板材3とを接着させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、X線検査装置に用いる天板やX線撮影用のカセッテ部材などの医療用機器の分野、また、スキー板、スノーボード板、プレジャーボートなどのスポーツ・レジャー用具機器などの分野にて使用し得る発泡コアサンドイッチ板の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、医療機器分野では、X線検査装置に用いる天板やX線撮影用のカセッテ部材などを、X線透過率に優れ、軽量であり、また、剛性がある炭素繊維強化樹脂を使用して作製することが提案されている。
【0003】
特許文献1、2、3は、芯材としての樹脂発泡材の両面に、炭素繊維強化樹脂製の表皮材を接合したX線機器用の繊維強化樹脂製サンドイッチ板を開示している。
【0004】
従来、上記繊維強化樹脂製サンドイッチ板のように芯材に発泡材を有する発泡コアサンドイッチ板は、一般には、板状の発泡材の上下に炭素繊維強化樹脂製の表皮材のような板材を接着剤で接合したり(後接着)、板状の発泡材の上下に未硬化の繊維強化樹脂(プリプレグ)を積層して、オートクレーブやオーブン中で加熱硬化させたり、或いは、加熱プレス成形にて一体成形することが行われている。
【特許文献1】特開2002−291734号公報
【特許文献2】特開2005−313613号公報
【特許文献3】特開2006−194860号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の製造方法では、高価な発泡コア材を用いることや、粘着で付着しにくいために積層時の仮止めに手間が掛かるといった問題がある。
【0006】
又、プリプレグを使用して一体成形する場合には、発泡コア材との十分な接着を得るために、プリプレグと発泡コア材との間に新たな接着剤を用いるなどの手間が掛かり、安価に、高品質の製品を製造するのが困難であった。
【0007】
特に、3次元曲面のサンドイッチ板材を成型する時には、発泡コア材を3次元曲面に加工するのに多大の手間とコストが余儀なくされた。
【0008】
本発明の目的は、安価で性能の良い発泡コアサンドイッチ板を製造し得る発泡コアサンドイッチ板の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的は本発明に係る発泡コアサンドイッチ板の製造方法にて達成される。要約すれば、第1の本発明は、発泡材とされる芯材を表面材で挟持した発泡コアサンドイッチ板を製造する製造方法であって、
発泡剤が分散されたフィルム状の樹脂を、前記表面材を形成する板材の間に挟み込み、次いで、前記フィルム状の樹脂を発泡させ、同時に前記発泡した樹脂と前記板材とを接着させることを特徴とする発泡コアサンドイッチ板の製造方法である。
【0010】
本発明の一実施態様によると、前記フィルム状の樹脂は、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、ウレタン樹脂、尿素樹脂、又は、ウレアウレタン樹脂とされる。
【0011】
本発明の他の実施態様によると、前記表面材は、繊維強化樹脂、金属板、又は、ガラス板である。
【0012】
第2の本発明によると、発泡材とされる芯材を表面材で挟持した発泡コアサンドイッチ板を製造する製造方法であって、
発泡剤が分散されたフィルム状の樹脂を、前記表面材を形成するための強化繊維にマトリクス樹脂が含浸されたプリプレグの間に挟み込み、発泡コアサンドイッチ板基材を作製し、
次いで、前記発泡コアサンドイッチ板基材を、所定距離離間された成形型の間に配置した後に、前記成形型と共に加熱装置に装入し、
所定の温度及び時間加熱して、前記フィルム状の樹脂を発泡させ、前記プリプレグを前記成形型に押し付け、前記発泡した樹脂と前記プリプレグを接着させて硬化させる、
ことを特徴とする発泡コアサンドイッチ板の製造方法が提供される。
【0013】
第2の本発明の一実施態様によれば、前記フィルム状の樹脂は、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、ウレタン樹脂、尿素樹脂、又は、ウレアウレタン樹脂とされる。
【0014】
第2の本発明の他の実施態様によれば、前記プリプレグの前記マトリクス樹脂と前記フィルム状の樹脂とは、同種類の樹脂である。
【0015】
第2の本発明の他の実施態様によれば、前記プリプレグと前記フィルム状の樹脂との間に樹脂浸透防止部材を配置する。好ましくは、前記樹脂浸透防止部材は、ポリエステルフィルム、セロファンフィルム、ポリウレタンフィルム、アルミ箔、銅箔、不織布、又は、織布である。
【0016】
第2の本発明の他の実施態様によれば、前記プリプレグは、前記強化繊維を一方向に配向させた一方向繊維強化プリプレグ、強化繊維として織物を用いたクロスプリプレグ、又は、短く切った繊維をランダムに配向させた短繊維プリプレグである。
【0017】
第2の本発明の他の実施態様によれば、前記強化繊維は、無機繊維若しくは有機繊維、又は、これらの混合繊維のいずれかであり、前記マトリクス樹脂は、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、ウレタン樹脂、尿素樹脂、又は、ウレアウレタン樹脂である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、安価で性能の良い発泡コアサンドイッチ板を製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明に係る発泡コアサンドイッチ板の製造方法を図面に則して更に詳しく説明する。
【0020】
実施例1
図1(a)に、発泡コアサンドイッチ板1の一実施例における断面の概略構成を示す。
【0021】
本実施例にて、発泡コアサンドイッチ板1は、少なくとも、芯材を構成する発泡材2と、その両面に配置された薄肉の板材とされる表面材3、3とを有している。勿論、用途に応じて、芯材には発泡材2以外に更に他の層を含んでいてもよい。また、表面材3には、更に外層として保護材などを積層してもよい。
【0022】
発泡コアサンドイッチ板1が、例えば、X線撮影用のカセッテ部材(フロントパネル)として使用される場合には、発泡材2は厚み(t1)が500〜5000μm、表面材3は厚さ(t2)が50〜2000μm、全体の厚さ(T)は、600〜90000μmとされるが、使用される用途に応じて、これらの値は適当に選定されるであろう。
【0023】
発泡材2としては、種々の発泡可能の樹脂を使用することができ、表面材3としては、繊維強化樹脂、金属板、ガラス板、など、用途に応じて適当な板材を使用することができる。
【0024】
次に、本発明に係る発泡コアサンドイッチ板1の製造方法の一実施例について説明する。
【0025】
図1(a)を参照すると、本発明の製造方法の一実施例によれば、発泡剤が分散されたフィルム状の樹脂(以下、「発泡樹脂」という。)2aを、表面材3の間に挟み込み、発泡樹脂2aを加熱発泡、或いは、化学発泡により発泡させ、と同時に、樹脂を表面材3に接着させて、発泡コアのサンドイッチ板を成形する。
【0026】
ここで、加熱発泡とは、加熱発泡剤を使用し、発泡剤が有する熱分解温度に加熱することにより発泡体を成形することを意味し、化学発泡とは、化学反応によってCO2などのガスが発生して発泡体を成形することを意味する。
【0027】
また、本発明にて、特に、表面材3として、強化繊維にマトリクス樹脂が含浸された未硬(半硬化)の繊維強化樹脂(即ち、プリプレグ)3aを用いて、発泡樹脂2aの発泡と、プリプレグ3a(即ち、表面材3)との接着、硬化を一度で行う方法を採用した場合には、安価で性能のよい発泡コアサンドイッチ板1を成形することができる。
【0028】
発泡樹脂2aに用いる樹脂は、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、ウレタン樹脂、尿素樹脂、ウレアウレタン樹脂、などの熱硬化性樹脂が好適である。しかし、発泡剤を分散、混入して発泡材を形成できるものであれば、どのような樹脂でも用いることができる。
【0029】
発泡樹脂2aに分散させる発泡剤は、一般的なものを用いることができる。例えば、炭酸水素ナトリウム、アゾ化合物、ニトロソ化合物、ヒドラジン誘導体、などを用いることができる。また、ウレタンと水のウレタン発泡なども用いることができる。
【0030】
上述のように、表面材3を形成するためにプリプレグ3aを使用する場合、プリプレグ3aとしては、強化繊維を一方向に配向させた一方向繊維強化プリプレグ、強化繊維として織物を用いたクロスプリプレグ、短く切った繊維をランダムに配向させた短繊維プリプレグ、などのいずれをも使用することができる。強化繊維としては、無機繊維若しくは有機繊維、又は、これらの混合繊維のいずれかであってもよく、また、合成繊維と天然繊維であってもよい。具体的には、炭素繊維、アラミド繊維、ポリアミド繊維、レーヨン繊維、などとされる。
【0031】
プリプレグ3aに用いる樹脂(マトリクス樹脂)は、使用する発泡樹脂2aと同種類の樹脂であることが好ましい。それは、硬化時の表面材と発泡材(芯材)との接着性が良好であるといった理由からである。従って、マトリクス樹脂としては、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、ウレタン樹脂、尿素樹脂、ウレアウレタン樹脂、などの熱硬化性樹脂が好適である。しかし、これらの樹脂に限定されるものではない。
【0032】
プリプレグ3a中の繊維含有率は、30〜80重量%(目付け20〜1000g/cm2)、好ましくは、25〜60重量%(目付け50〜500g/cm2)とされる。
【0033】
また、プリプレグ3aと発泡樹脂2aを用いて、発泡樹脂2aの発泡と、プリプレグ3a(即ち、表面材3)との接着、硬化とを1段で行う場合は、図1(b)に示すように、樹脂浸透性(透過性)がないか、或いは、樹脂浸透性(透過性)が少ない、薄肉のシート状の樹脂浸透防止部材、即ち、樹脂浸透防止シート4を各プリプレグ3aと発泡樹脂2aとの間にそれぞれ配置することが望ましい。
【0034】
これは、樹脂浸透防止シート4を配置しないと、発泡樹脂2a中の発泡剤が発泡する前に、発泡樹脂2a中の樹脂成分のみがプリプレグ3a中に吸収されてしまい、両プリプレグ3a、3aの間の中間部分に発泡剤成分のみが残り、発泡コア材から成る芯材2が形成されない場合があるからである。
【0035】
樹脂浸透防止シート4は、プリプレグ3aと発泡樹脂2aとの間の樹脂の浸透(透過)を防ぐことができ、かつ、プリプレグ3a及び発泡樹脂2aとの接着性のよいものであればどのようなものでも用いることができる。例えば、ポリエステルフィルム、セロファンフィルム、ポリウレタンフィルム、などの有機物フィルム、アルミ箔、銅箔、などの金属フィルムを好適に使用することができる。厚さ(t3)は、薄い方が好ましく、例えば5〜100μmとされる。また、樹脂浸透防止シート4は、樹脂浸透を全く遮断ができなくても、発泡コア材2が形成される程度に樹脂透過を低減させればよいので、不織布、織布なども用いることができる。
【0036】
次に、上記本実施例の発泡コアサンドイッチ板1の製造方法の具体例を説明する。
【0037】
(具体例1)
エポキシ樹脂を用いて発泡樹脂2aを作製した。樹脂組成は以下の通りである。
・低分子量ビスフェノールA系エポキシ樹脂(商品名「エポートYD−128」:東都化成株式会社製) :40phr
・高分子量ビスフェノールA系エポキシ樹脂(商品名「エポートYD−011」:東都化成株式会社製) :55phr
・フェノキシ樹脂(商品名「フェノトートYD−70」:東都化成株式会社製)
:5phr
・ジシアンジアミド(硬化剤) :4phr
・ジクロルジメチルウレア(DCMU)(硬化助剤) :4phr
・炭酸水素ナトリウム発泡剤(商品名「セルボンFE−507」:永和化成工業株式会社製) :20phr
【0038】
先ず、上記成分中、硬化剤、硬化助剤及び発泡剤を除いたものを150℃に加熱して、均一に溶解した後、70℃まで冷却する。これに、硬化剤、硬化助剤及び発泡剤を添加して、均一になるまで混合する。
【0039】
このようにして得られた発泡樹脂2aを、100℃のホットプレート上に溶解して、バーコータにて約0.5mm厚みの樹脂フィルム2aを離型紙上に形成した。
【0040】
次に、表面材3として0.5mmのアルミ板を用い、このアルミ板に、離型紙を除去して上記樹脂フィルム2aを積層し、更に、アルミ板3を積層して、発泡コアサンドイッチ板基材1aを作製した。
【0041】
次いで、上記発泡コアサンドイッチ板基材1aを成形型100(100A、100B)の間に装入する。本具体例では、成形型100は、所定距離、本具体例では3mmのスペーサで隙間調整した2枚の鋼板100A、100Bとした。この鋼板100A、100Bの間に発泡コアサンドイッチ板基材1aを挿入した後に、成形型100と共に(即ち、鋼板100A、100Bに挟持したまま)加熱装置であるオーブ中に装入し、160℃で2時間加熱して、発泡樹脂2aを発泡させ、発泡材2を形成した。と同時に、発泡材2をアルミ板3と接着させた。その後、発泡材2を硬化させた。
【0042】
つまり、加熱によって発泡剤を含んだエポキシ樹脂が発泡し、樹脂フィルム2aを膨らませてアルミ板3を鋼板100A、100Bに押し付ける。このとき、発泡コアサンドイッチ板基材1aは、鋼板100A、100Bにより拘束されており、従って、発泡は抑制され、厚み制御された厚みまで膨張して、発泡樹脂2aは、この状態で硬化する。つまり、1段成形で発泡エポキシコア材のサンドイッチ板1を成形することができる。
【0043】
その結果、発泡コア材2の厚さ(t1)が2mm、トータル厚さ(T)3mmのアルミ板サンドイッチ板、即ち、発泡コアサンドイッチ材1が成形できた。
【0044】
得られた発泡コアサンドイッチ材1は、芯材2の見かけ密度が0.15〜0.30g/cm3であり、また、表面材3である両アルミ板と芯材2との間の接着強度も満足し得るものであった。
【0045】
(具体例2)
発泡樹脂2aは、具体例1で用いた約0.5mm厚みの発泡剤入り樹脂フィルム2aを用いた。
【0046】
具体例2では、表面材3は、プリプレグ3aを使用して作製した。つまり、使用したプリプレグ3aは、強化繊維として炭素繊維を一方向に配向して作製した一方向繊維強化プリプレグ(三菱レイヨン株式会社製:商品名「パイロフィルCSテープTR380G250SM4MQWS」)を、0/90°に積層した。プリプレグ3aの厚さは、0.4mmとした。また、プリプレグ3aのマトリクス樹脂は、エポキシ樹脂であり、繊維含有率は、67重量%(目付け250g/cm2)であった。
【0047】
図1(b)に示すように、上記プリプレグ3aの上に、更に、樹脂浸透防止部材4としてアルミホイル(厚さ20μm)を積層した。その上に、発泡剤入り樹脂フィルム2aを積層し、更に、その上に、アルミホイル(厚さ20μm)4を積層した後、上記と同じ一方向繊維強化プリプレグ(三菱レイヨン株式会社製:商品名「パイロフィルCSテープTR380G250SM4MQWS)3aを、90/0°に積層した。
【0048】
このようにして作製した発泡コアサンドイッチ板基材1aの両面に更に、離型フィルムとしてテドラフィルムTMR10SM3(商品名:米国デュポン社製)(図示せず)をセットした後、上記発泡コアサンドイッチ板基材1aを、3mmのスペーサで隙間調整した成形型100としての鋼板100A、100Bの間に挿入した。次いで、160℃のオーブン中に装入し、2時間加熱して、発泡、接着し、そして、硬化させた。
【0049】
上記離型フィルムは、製品のできあがりの表面光沢調整のためのものである。更に、成形型100とプリプレグ3aとの間に表面が平滑な金属板を表面材(図示せず)として配置することにより、発泡樹脂(コア層)が発泡した際に、プリプレグ表面が鋼板(成形型)に押しつけられた場合の表面平滑性を更に良好に確保することができる。
【0050】
上記製造方法により、発泡コア材2の厚さ(t1)が2mm、トータル厚さ(T)が2.8mmの炭素繊維強化樹脂のサンドイッチ板、即ち、発泡コアサンドイッチ材1が成形できた。
【0051】
得られた発泡コアサンドイッチ材1は、芯材2の見かけ密度が0.25〜0.35g/cm3であり、また、表面材3である両炭素繊維強化樹脂と芯材2との間の接着強度も満足し得るものであった。
【0052】
また、このようにして作製した発泡コアサンドイッチ板1を加工してX線カセッテ用フロントパネルを作製したが、良好な性能を得ることができた。
【0053】
(具体例3)
具体例3では、図3に示すように、3次元曲面の発泡コアサンドイッチ板1を作製した。
【0054】
発泡樹脂2aは、具体例1で用いた約0.5mm厚みの樹脂フィルム2aを用いた。また、表面材3を形成するためには、プリプレグ3aを使用した。使用したプリプレグ3aは、強化繊維として炭素繊維クロスを使用したクロスプリプレグ(三菱レイヨン株式会社製:商品名「クロスプリプレグTR3110 381GMP」)であった。
【0055】
このプリプレグ3aを、離型材101を塗布した半たまご型曲面のオス樹脂型100の上に切り張りによって2層積層した。プリプレグ3aの厚さ(t2)は、450μmとした。また、プリプレグ3aのマトリクス樹脂は、エポキシ樹脂であり、繊維含有率は、60重量%(目付け200g/cm2)であった。
【0056】
上記プリプレグ3aの上に、更に、樹脂浸透防止部材として伸縮性を有する厚さ(t4)が12μmのポリエステルフィルム(商品名「エスペットフィルムE5200」:東洋紡績株式会社製)4を形状に沿うように切り張りしながら張り付け、次いで、その上に、具体例1で用いた発泡樹脂(樹脂フィルム)2aを切り張りで積層した。
【0057】
更に、その上に、上記ウレタンフィルム4を積層した後、上記強化繊維として炭素繊維クロスを使用したクロスプリプレグ(三菱レイヨン株式会社製:商品名「クロスプリプレグTR3110 381GMP」)3aを、同様にして、切り張りによって2層積層した。プリプレグ3aの厚さ(t2)は、450μmとした。また、プリプレグ3aのマトリクス樹脂は、エポキシ樹脂であり、繊維含有率は、60重量%(目付け200g/cm2)であった。
【0058】
その後、オス樹脂型100を含めた全体をバキュームバッグ102で真空引きした。
【0059】
約30分間の真空引きの後に、真空引きした箇所をシーラントで密閉して、真空ポンプから切り離して、160℃のオーブン中に装入し、3時間放置して、発泡、接着及び硬化させた。
【0060】
その結果、発泡コア材2の厚み(t1)3.5〜4.5mm、トータル厚み(T)4.5〜5.5mmの半たまご型形状の炭素繊維強化樹脂のサンドイッチ板、即ち、発泡コアサンドイッチ板1が成形できた。
【0061】
得られた発泡コアサンドイッチ板1は、芯材2の見かけ密度が0.11〜0.15g/cm3であり、また、表面材3である両炭素繊維強化樹脂と芯材2との間の接着強度も十分満足し得るものであった。
【0062】
(比較例1)
具体例2と同様に、表面材3は、プリプレグ3aを使用して作製した。つまり、使用したプリプレグ3aは、強化繊維として炭素繊維を一方向に配向して作製した一方向繊維強化プリプレグ(三菱レイヨン株式会社製:商品名「パイロフィルCSテープTR380G250SM4MQWS」)を、0/90°に積層した。プリプレグ3aの厚さは、0.4mmとした。また、プリプレグ3aのマトリクス樹脂は、エポキシ樹脂であり、繊維含有率は、67重量%(目付け250g/cm2)であった。
【0063】
本比較例では、具体例2と異なり、プリプレグ3aの上には樹脂浸透防止部材4としてのアルミホイル(厚さ20μm)を積層することなく、発泡剤入り樹脂フィルム2aを直接積層し、更に、その上に、上記と同じ一方向繊維強化プリプレグ(三菱レイヨン株式会社製:商品名「パイロフィルCSテープTR380G250SM4MQWS)3aを、90/0°に積層した。
【0064】
このようにして作製した発泡コアサンドイッチ板基材1aの両面に更に、離型フィルムとしてテドラフィルムTMR10SM3(商品名:米国デュポン社製)(図示せず)をセットした後、上記発泡コアサンドイッチ板基材1aを、3mmのスペーサで隙間調整した成形型100としての鋼板100A、100Bの間に挿入した。次いで、160℃のオーブン中に装入し、2時間加熱して、発泡、接着し、そして、硬化させた。
【0065】
上記製造方法により、トータル厚さ(T)が2.7mmとなったが、発泡材が存在しない状態で、全体的に厚みの増した、膨れた炭素繊強化樹脂板となった。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】図1(a)は、発泡コアサンドイッチ板及びその製造方法の一実施例を説明するための図であり、図1(b)は、発泡コアサンドイッチ板及びその製造方法の他の実施例を説明するための図であり、図1(c)は、3次元曲面を有する発泡コアサンドイッチ板の製造方法の一実施例を説明するための図である。
【符号の説明】
【0067】
1 発泡コアサンドイッチ板
1a 発泡コアサンドイッチ板基材
2 発泡材(芯材)
2a 樹脂フィルム(発泡樹脂)
3 板材(表面材)
3a プリプレグ(未硬化繊維強化樹脂)
4 樹脂浸透防止シート(樹脂浸透防止部材)
100 成形型
100A、100B 鋼板
102 離型剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発泡材とされる芯材を表面材で挟持した発泡コアサンドイッチ板を製造する製造方法であって、
発泡剤が分散されたフィルム状の樹脂を、前記表面材を形成する板材の間に挟み込み、次いで、前記フィルム状の樹脂を発泡させ、同時に前記発泡した樹脂と前記板材とを接着させることを特徴とする発泡コアサンドイッチ板の製造方法。
【請求項2】
前記フィルム状の樹脂は、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、ウレタン樹脂、尿素樹脂、又は、ウレアウレタン樹脂とされることを特徴とする請求項1に記載の発泡コアサンドイッチ板の製造方法。
【請求項3】
前記表面材は、繊維強化樹脂、金属板、又は、ガラス板であることを特徴とする請求項1又は2に記載の発泡コアサンドイッチ板の製造方法。
【請求項4】
発泡材とされる芯材を表面材で挟持した発泡コアサンドイッチ板を製造する製造方法であって、
発泡剤が分散されたフィルム状の樹脂を、前記表面材を形成するための強化繊維にマトリクス樹脂が含浸されたプリプレグの間に挟み込み、発泡コアサンドイッチ板基材を作製し、
次いで、前記発泡コアサンドイッチ板基材を、所定距離離間された成形型の間に配置した後に、前記成形型と共に加熱装置に装入し、
所定の温度及び時間加熱して、前記フィルム状の樹脂を発泡させ、前記プリプレグを前記成形型に押し付け、前記発泡した樹脂と前記プリプレグを接着させて硬化させる、
ことを特徴とする発泡コアサンドイッチ板の製造方法。
【請求項5】
前記フィルム状の樹脂は、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、ウレタン樹脂、尿素樹脂、又は、ウレアウレタン樹脂とされることを特徴とする請求項4に記載の発泡コアサンドイッチ板の製造方法。
【請求項6】
前記プリプレグの前記マトリクス樹脂と前記フィルム状の樹脂とは、同種類の樹脂であることを特徴とする請求項4又は5に記載の発泡コアサンドイッチ板の製造方法。
【請求項7】
前記プリプレグと前記フィルム状の樹脂との間に樹脂浸透防止部材を配置することを特徴とする請求項4〜6のいずれかの項に記載の発泡コアサンドイッチ板の製造方法。
【請求項8】
前記樹脂浸透防止部材は、ポリエステルフィルム、セロファンフィルム、ポリウレタンフィルム、アルミ箔、銅箔、不織布、又は、織布であることを特徴とする請求項7に記載の発泡コアサンドイッチ板の製造方法。
【請求項9】
前記プリプレグは、前記強化繊維を一方向に配向させた一方向繊維強化プリプレグ、強化繊維として織物を用いたクロスプリプレグ、又は、短く切った繊維をランダムに配向させた短繊維プリプレグであることを特徴とする請求項4〜8のいずれかの項に記載の発泡コアサンドイッチ板の製造方法。
【請求項10】
前記強化繊維は、無機繊維若しくは有機繊維、又は、これらの混合繊維のいずれかであり、前記マトリクス樹脂は、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、ウレタン樹脂、尿素樹脂、又は、ウレアウレタン樹脂であることを特徴とする請求項4〜9のいずれかの項に記載の発泡コアサンドイッチ板の製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2009−285957(P2009−285957A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−140204(P2008−140204)
【出願日】平成20年5月28日(2008.5.28)
【出願人】(599104369)日鉄コンポジット株式会社 (51)
【Fターム(参考)】