発泡具
【課題】 種々の不具合を抑制することの容易な発泡具を提供する。
【解決手段】 発泡具11は、外部加熱により発泡する発泡材料から形成される発泡部材12と、発泡部材12を被支持部に支持させる支持部材13とを備えている。発泡部材12は、第1発泡部材14と第2発泡部材15とを備えている。第1発泡部材14は第1発泡材料から形成される一方、第2発泡部材15は第2発泡材料から形成されている。この発泡具11は、構造部材の被固定部に支持部材13を介して支持される。こうした発泡具11では、外部加熱により、第1発泡部材14からは第1発泡体が形成され、第2発泡部材15からは第2発泡体が形成される。これら第1発泡体及び第2発泡体によって、構造部材の吸音性、遮音性、制振性等が高められる。
【解決手段】 発泡具11は、外部加熱により発泡する発泡材料から形成される発泡部材12と、発泡部材12を被支持部に支持させる支持部材13とを備えている。発泡部材12は、第1発泡部材14と第2発泡部材15とを備えている。第1発泡部材14は第1発泡材料から形成される一方、第2発泡部材15は第2発泡材料から形成されている。この発泡具11は、構造部材の被固定部に支持部材13を介して支持される。こうした発泡具11では、外部加熱により、第1発泡部材14からは第1発泡体が形成され、第2発泡部材15からは第2発泡体が形成される。これら第1発泡体及び第2発泡体によって、構造部材の吸音性、遮音性、制振性等が高められる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種構造部材等における被支持部に支持して使用される発泡具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両ピラー等に代表される構造部材は、構造部材の振動によって異音が発生することがあった。そこで、こうした異音の発生を抑制するために、構造部材に発泡体を取着することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。すなわち、その発泡体によって、構造部材の振動が低減されるため、構造部材から発生する異音は抑制されることになる。
【特許文献1】特開平1−170683号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、構造部材では、振動の伝達に起因した異音の発生に加えて、荷重が加わることに起因した変形等の不具合が生じることがある。従来の発泡具では、例えば異音の発生については一定の抑制効果が得られるものの、変形については一定の抑制効果は得られにくい。すなわち、従来の発泡具では、一の不具合については一定の抑制効果が得られるものの、それ以外の不具合については一定の抑制効果は得られにくいという実情があった。
【0004】
この発明は、こうした従来の実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、種々の不具合を抑制することの容易な発泡具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するために請求項1に記載の発明は、外部加熱により発泡する発泡材料から形成される発泡部材と、同発泡部材を被支持部に支持させる支持部材とを備える発泡具において、前記発泡部材は、第1発泡材料から形成される第1発泡部材と、前記第1発泡材料とは組成の異なる第2発泡材料から形成される第2発泡部材とを備えてなることを要旨とする。
【0006】
この構成によれば、第1発泡材料と第2発泡材料とは異なる組成であるため、第1発泡部材及び第2発泡部材を外部加熱により発泡させることによって、それぞれ異なる物性を有する発泡体が形成されるようになる。すなわち、第1発泡部材及び第2発泡部材から形成される各発泡体には、異なる機能を発揮させることができるようになる。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発泡具において、前記第1発泡部材と第2発泡部材とが積層されていることを要旨とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の発泡具において、前記第1発泡部材と第2発泡部材とが略同一平面上に配置されていることを要旨とする。
【0008】
このように、前記発泡具における発泡部材の配置態様として、例えば請求項2又は請求項3に記載の配置態様を採用することができる。
請求項4に記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の発泡具において、前記支持部材は、前記被支持部に係合される係合部を備えてなることを要旨とする。
【0009】
この構成によれば、被支持部に対する係合部の係合を利用して発泡具を支持させることができるようになる。
請求項5に記載の発明は、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の発泡具において、前記第1発泡部材及び第2発泡部材の少なくとも一方は、自己粘着性を有する粘着材料から形成される粘着部材を介して前記支持部材に配置されていることを要旨とする。
【0010】
請求項6に記載の発明は、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の発泡具において、前記第1発泡部材、第2発泡部材、及び支持部材の少なくとも一つには、係合突起が設けられ、前記第1発泡部材及び第2発泡部材の少なくとも一方は、前記係合突起を介して前記支持部材に配置されていることを要旨とする。
【0011】
請求項7に記載の発明は、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の発泡具において、前記第1発泡部材及び第2発泡部材の少なくとも一方と前記支持部材とは、射出成形により一体に形成されていることを要旨とする。
【0012】
このように、前記発泡部材の支持部材に支持させる支持態様として、例えば請求項5から請求項7のいずれか一項の支持態様を採用することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、種々の不具合を抑制することの容易な発泡具を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を具体化した実施形態を図1〜図3に基づいて詳細に説明する。
図1に示すように、発泡具11は発泡材料から形成される発泡部材12と、この発泡部材12を被支持部に支持させる支持部材13とを備えている。発泡部材12を形成する発泡材料は、外部加熱により発泡する材料であって、この発泡部材12はその外部加熱によって発泡することで発泡体を形成する部材である。この発泡部材12は、第1発泡材料から形成される第1発泡部材14と、第1発泡材料とは組成の異なる第2発泡材料から形成される第2発泡部材15とを備えている。第1発泡部材14及び第2発泡部材15は、そうした異なる組成の各発泡材料から形成されているため、第1発泡部材14が発泡して得られる第1発泡体と、第2発泡部材15が発泡して得られる第2発泡体とは、異なる物性を有することになる。つまり、各発泡材料の組成は、第1発泡体及び第2発泡体に要求される物性に応じて適宜設定される。なお、第1発泡材料及び第2発泡材料における異なる組成とは、配合されている成分が各発泡材料においてそれぞれ異なることのみならず、各発泡材料に配合されている成分が同一であっても、その成分の配合量が各発泡材料においてそれぞれ異なることも含む。
【0015】
詳述すると、各発泡材料の組成は、例えば各発泡体に対して要求される機能に応じて設定することができる。すなわち、こうした第1発泡部材14及び第2発泡部材15により、例えば補強機能を発揮する第1発泡体と、制振機能を発揮する第2発泡体とを得ることができるようになる。また、第1発泡部材14及び第2発泡部材15から得られる各発泡体に対し、同一の機能を発揮させる場合であっても、その機能の度合いに変化を持たせることができるようになる。なお、各発泡体に要求される機能としては、補強機能、制振機能の他、剛性を高める機能、遮音機能、吸音機能、衝撃吸収機能等が挙げられる。
【0016】
各発泡材料を構成する成分は特に限定されないが、具体的には、基材、発泡剤、及び架橋剤の他、充填剤、可塑剤等が挙げられる。基材としては合成樹脂、エラストマー、ゴム等が挙げられる。合成樹脂は熱硬化性樹脂及び熱可塑性樹脂に分類され、熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂等が挙げられ、熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン、EVA(エチレン/ビニルアセテートコポリマー)等が挙げられる。エラストマーとしてはSBS(スチレン/ブタジエン/スチレンブロックコポリマー)等、ゴムとしてはNR(天然ゴム)、ENR(エポキシ化天然ゴム)、EPM(エチレン/プロピレンゴム)等が挙げられる。発泡剤としてはアゾジカルボンアミド、ジニトロペンタメチレンテトラミン等、架橋剤としては周知のジメチルウレア、ジシアンジアミド、充填剤としては炭酸カルシウム、硫酸バリウム、フェライト、シリカ等が挙げられる。
【0017】
第1発泡部材14と第2発泡部材15とは四角板状をなし、これら第1発泡部材14と第2発泡部材15とが積層されることにより、発泡部材12が形成されている。そして、第1発泡部材14の一面は取付面14aとされ、その取付面14aには支持部材13が装着されている。なお、この発泡部材12では、第2発泡部材15は、第1発泡部材14の取付面14aに対して略垂直方向に積層される構成を採用している。
【0018】
支持部材13の材質は、発泡部材12が外部加熱により発泡して発泡体を形成する際においても、支持部材13としての支持機能が発揮される材質であればよい。すなわち、例えば発泡部材12が発泡する発泡温度や発泡材料が硬化する硬化温度に応じて、所定の軟化温度を有する材質を選択し、支持部材13を形成すればよい。特に、支持部材13を合成樹脂から形成する場合には、合成樹脂の体積膨張率は、発泡部材12を構成する発泡材料の体積膨張率よりも小さく設定されることが好ましい。支持部材13の材質の具体例としては、ポリアミド等の合成樹脂、各種金属材料等が挙げられる。
【0019】
本実施形態の支持部材13は、発泡部材12が支持される支持板13aとその支持板13aに連結された係合部13bとを備えている。支持板13aは平板状をなし、この支持板13aの一面(図1における支持板13aの上面)には、複数の係合突起13cが突設されている。一方、第1発泡部材14及び第2発泡部材15には、係合突起13cに対応して係合孔14b、15aが貫設されている。そして、図1及び図2に示すように、これらの係合突起13cは係合孔14b、15aに順次挿入されるとともに、係合突起13cの先端部が第2発泡部材15の上面に係止されている。こうした係合突起13cと係合孔14b、15aの関係により、第1発泡部材14及び第2発泡部材15が一体化されるとともに、発泡部材12が支持板13aに支持されている。なお、外部加熱によって発泡部材12(各発泡材料)が流動性を有した際には、係合孔14b、15aに貫通する係合突起13cは、第1発泡部材14及び第2発泡部材15(各発泡材料)の流動抵抗としても機能する。
【0020】
図1及び図2に示すように、第1発泡部材14の上面には、複数の連結突起14cが突設されている。一方、第2発泡部材15には、連結突起14cに対応して連結孔15bが貫設されている。そして、こうした連結孔15bに連結突起14cが嵌挿されることにより、第1発泡部材14と第2発泡部材15とが連結されるようになっている。なお、外部加熱によって発泡部材12(各発泡材料)が流動性を有した際には、こうした連結突起14cと連結孔15bとの関係は、第2発泡部材15(第2発泡材料)の流動抵抗としても機能する。
【0021】
第1発泡部材14及び第2発泡部材15は、例えば押出成形や射出成形等によって成形される。そして、これら第1発泡部材14及び第2発泡部材15を、射出成形等によって成形された支持部材13に支持させることにより、発泡具11は製造される。
【0022】
図3(a)に示すように、この発泡具11は、構造部材31の所定の部位に装着される。詳述すると、本実施形態の構造部材31は、例えば車両ピラーを構成する部材であって、鋼板から中空状に形成されている。この構造部材31の被支持部31aには、取付孔31bが貫設され、この取付孔31bには係合部13bが係合される。このようにして、構造部材31に装着された発泡具11では、支持部材13を介して発泡部材12が被支持部31aに支持されている。
【0023】
こうした発泡具11が適用される構造部材31は、車両ボディの一部を構成し、その車両ボディには、電着塗装、焼付塗装等の塗装が施される。発泡具11は、車両の製造工程において、車両ボディが乾燥炉内で加熱される際に、所定温度で所定時間加熱される。続いて、外部から所定の熱量が発泡部材12に移動すると、発泡部材12の発泡(膨張)が開始される。そして、発泡した発泡部材12が硬化することで、図3(b)に示すように発泡体21が形成される。すなわち、第1発泡部材14から第1発泡体22が形成されるとともに、第2発泡部材15から第2発泡体23が形成される。なお、本実施形態の発泡部材12は、第1発泡部材14と第2発泡部材15とが積層した構成を採用したため、第1発泡体22と第2発泡体23とが層構造をなす発泡体21が得られるようになる。こうして形成された発泡体21によって構造部材31の所定の部位が充填される。このとき、第1発泡体22及び第2発泡体23は、異なる組成の各発泡材料から形成された発泡体であるため、それぞれ異なる物性を有している。このため、発泡体21には、異なる機能を発揮させたり、同じ機能であっても、その機能の度合いに変化を持たせたりすることができるようになる。例えば、第1発泡体22に構造部材31を補強する機能を発揮させる一方で、第2発泡体23に構造部材31を制振する機能を発揮させることができるようになる。この場合、発泡具11を適用した構造部材31を補強することができるとともに、その構造部材31の制振性を高めることができる。
【0024】
また、こうした発泡体21の形成過程において、第1発泡材料及び第2発泡材料の流動は、図1に示す係合孔14b、15aに貫通する係合突起13cによって抑制される。このため、各発泡材料が自重の影響で垂れ下がる現象が抑制される。すなわち、被支持部31aに対する発泡材料の位置ずれが抑制されつつ、発泡材料の発泡(膨張)が行われるようになる。また、発泡体21の形成過程において、第2発泡材料の流動は、連結突起14cと連結孔15bの関係によっても抑制されるため、これら連結突起14c及び連結孔15bによっても、そうした発泡材料の位置ずれが抑制されるようになる。このように、発泡材料の位置ずれが抑制されるため、発泡体21は所定の位置に配置(充填)され易くなる結果、発泡体21の機能が十分に発揮されるようになる。
【0025】
本実施形態によって発揮される効果について、以下に記載する。
(1) 発泡部材12は、第1発泡部材14と第2発泡部材15とを備えており、第1発泡部材14を形成する第1発泡材料と、第2発泡部材15を形成する第2発泡材料とは、異なる組成である。このため、第1発泡部材14及び第2発泡部材15を外部加熱により発泡させることにより、それぞれ異なる物性を有する第1発泡体22及び第2発泡体23が形成されるようになる。すなわち、第1発泡部材14及び第2発泡部材15から形成される第1発泡体22及び第2発泡体23には、異なる機能を発揮させることができるようになる。従って、構造部材31における発泡体21の異なる機能により、構造部材31における種々の不具合を抑制することが容易となる。また、発泡体21では、同じ機能であっても、その機能の度合いに変化を持たせることができるため、構造部材31における不具合の状況に応じて、適切な機能を発現させることができるようになる。
【0026】
(2) 支持部材13は、係合部13bを備えているため、被支持部31aに対する係合部13bの係合を利用することにより、発泡具11を被支持部31aに支持させることが容易となる。
【0027】
(3) 支持板13aには、係合突起13cが設けられ、この係合突起13cを第1発泡部材14及び第2発泡部材15に係合させることにより、発泡部材12は支持板13aに支持されている。この場合、発泡部材12を、支持板13aに安定して支持させることができるようになる。
【0028】
なお、前記実施形態を次のように変更して構成してもよい。
・ 前記第1発泡部材14及び第2発泡部材15を積層せずに同一平面に配置させることもできる。例えば、図4及び図5に示すように発泡部材12を、枠状をなす第1発泡部材14と、第1発泡部材14の内側に収まる大きさの第2発泡部材15とを備えて構成する。そして、支持板13aの上面に第1発泡部材14を配置するとともに、同じく支持板13aの上面における第1発泡部材14の内側に第2発泡部材15を配置する。これらの第1発泡部材14及び第2発泡部材15は、支持板13aの上面を同一平面として配置されている。そして、図6(a)に示すように、この発泡具11は構造部材31の被支持部31aに支持部材13を介して支持される。この構造部材31が外部から加熱されると、図6(b)に示すように構造部材31の所定部位は発泡体21によって充填される。なお、この発泡体21は、第1発泡体22の内側に第2発泡体23を有して形成される。
【0029】
・ 前記第1発泡部材14及び第2発泡部材15が配置される箇所は、支持板13aの上面に限定されない。例えば、図7(a)及び図7(b)に示すように、支持板13aの外周縁部に第1発泡部材14を配置し、さらにその第1発泡部材14の外周面に第2発泡部材15を積層して配置してもよい。
【0030】
また例えば、図8(a)〜図8(d)に示すような発泡部材12の配置態様が挙げられる。図8(a)では、前記実施形態の支持板13aを支持部材本体13dとし、その支持部材本体13dの外周縁に支持板13eを立設した支持部材13を採用している。そして、支持板13eの外面に第1発泡部材14を配置するとともに、その第1発泡部材14に第2発泡部材15を積層して配置している。図8(b)では、その支持板13eを取り囲んで第1発泡部材14を配置している。
【0031】
図8(c)では、前記実施形態の支持板13aを支持部材本体13dとし、その支持部材本体13dの外周縁内側に上下一対の支持板13eを立設した支持部材13を採用している。そして、支持板13eの外面に上下一対の第1発泡部材14を配置し、それら第1発泡部材14にそれぞれ第2発泡部材15を積層している。図8(d)では、一対の支持板13eの外面にそれぞれ第1発泡部材14と第2発泡部材15とを配置している。
【0032】
・ 前記係合部13bを省略してもよい。例えば、支持板13aのみを支持部材13として、その支持部材13を粘着部材によって被支持部31aに貼着することもできる。
・ 前記支持部材13の形状は特に限定されない。すなわち、支持部材13をブロック状等の形状に変更してもよい。
【0033】
・ 前記係合突起13cを省略してもよい。この場合、例えば射出成形によって第1発泡部材14を支持板13aに一体に設けてもよい。その射出成形としては、金型内に支持部材13をインサートするインサート成形等が挙げられる。また例えば、第1発泡部材14を接着剤によって支持板13aに接着してもよいし、図9(a)及び図9(b)に示すように第1発泡部材14を粘着部材26を介して支持板13aに貼着することで、支持させてもよい。粘着部材26は、自己粘着性を有する粘着材料から形成される。粘着材料は、合成樹脂、エラストマー、ゴム等を基材とした材料であって、具体的にはゴム系粘着材料、アクリル系粘着材料、ウレタン系粘着材料、シリコーン系粘着材料等が挙げられる。例えばゴム系粘着材料の基材としては、BR(ブタジエンゴム)、IIR(イソブチレン/イソプレン共重合ゴム)、SBR(スチレン/ブタジエンゴム)等が挙げられる。この粘着材料の体積膨張率は、発泡材料の体積膨張率よりも小さく設定されることで、外部加熱によって第1発泡部材14が発泡する際において、第1発泡部材14を好適に保持するように構成されている。さらに例えば、自己粘着性を有する発泡材料を、第1発泡材料として採用することにより、第1発泡部材14を支持板13aに貼着してもよい。
【0034】
・ 前記係合突起13cを第2発泡部材15に係合させずに、第1発泡部材14のみと係合するように構成してもよい。
・ 前記連結突起14c及び連結孔15bを省略してもよい。この場合、接着剤による接着や射出成形を利用した接着によって、第1発泡部材14に第2発泡部材15を積層することができる。さらに、自己粘着性を有する発泡材料を、第1発泡材料及び第2発泡材料の少なくとも一方として採用することにより、第1発泡部材14に第2発泡部材15を貼着して積層してもよい。
【0035】
・ 支持部材には、発泡部材が発泡(膨張)する方向を規制する規制部材を設けることもできる。例えば、図9(a)〜図9(c)に示す支持部材25は、支持板25aとその支持板25aの両側部から立設される規制部材としての規制板25bと、係合部(図示省略)とを備えている。このように規制板25bを備えた支持部材25によれば、発泡部材12が発泡する方向が規制板25bによって規制されることで、所定の部位に発泡体21が充填され易くなる。なお、図9(a)には、第1発泡部材14と第2発泡部材15とが積層された状態で支持板25aに配置された一例を示している。また、図9(b)には第1発泡部材14と第2発泡部材15とが隣接して積層され、かつ第1発泡部材14と第2発泡部材15とが同一平面に配置された一例を示している。さらに、図9(c)には第1発泡部材14の内側に第2発泡部材15が積層され、かつ第1発泡部材14及び第2発泡部材15が同一平面に配置された一例を示している。
【0036】
・ 支持部材に規制部材を設ける場合、その規制部材は、図9(a)に示す規制板25bに限定されない。すなわち、例えば図10に示すように支持板13aの上面に、規制部材としての規制突部13fを設けることもできる。こうした支持板13aの上面には、第1発泡部材14及び第2発泡部材15がこの規制突部13fを取り囲むように配置されている。こうした発泡具11は、図11(a)に示すように構造部材31に支持され、この構造部材31が外部から加熱されると、図11(b)に示すように発泡部材12が発泡する方向が規制突部13fによって規制されることで、所定の部位に発泡体21が充填され易くなる。なお、図11(a)に示す一例では、発泡部材12が支持板13aの中央方向へ発泡することが規制突部13fによって規制されることになる。このため、支持板13aの外側へ向かう発泡が促進される結果、発泡体21を構造部材31の内周面に速やかに密着させることができるようになる。
【0037】
・ 前記第1発泡部材14及び第2発泡部材15の形状は、特に限定されない。すなわち、発泡部材12の形状は、構造部材31の形状、発泡体21に要求される性能等に応じて適宜変更される。
【0038】
・ 前記第1発泡部材14及び第2発泡部材15の少なくとも一方は、複数の部材から構成してもよい。例えば、図9(b)に示す発泡部材12は、第2発泡部材15を複数設けた一例である。
【0039】
・ 第1発泡部材14及び第2発泡部材15に加えて、第3発泡材料から形成された第3発泡部材を備えて発泡具11を構成してもよい。すなわち、この第3発泡材料は、第1発泡材料及び第2発泡材料のいずれとも異なる組成である。
【0040】
・ 前記発泡具11が固定される部材としては、特に限定されず、カバー、ドアパネル等の構造部材の他、ピラー、ロッカーパネル、ドアの内部等の中空構造部材、建造物における各種中空パネル、エアコン室外機を構成するパネル等が挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】実施形態における発泡具を示す分解斜視図。
【図2】発泡具を示す斜視図。
【図3】(a)は発泡具が構造部材に支持された状態を示す断面図、(b)は発泡体が充填された構造部材を示す断面図。
【図4】別の発泡具を示す分解斜視図。
【図5】別の発泡具を示す斜視図。
【図6】(a)は別の発泡具が構造部材に支持された状態を示す断面図、(b)は発泡体が充填された構造部材を示す断面図。
【図7】(a)は別の発泡具を示す斜視図、(b)は(a)のA−A線端面図。
【図8】(a)〜(d)はそれぞれ別の発泡具の端面図。
【図9】(a)〜(c)はそれぞれ別の発泡具を示す分解斜視図。
【図10】別の発泡具を示す分解斜視図。
【図11】(a)は別の発泡具が構造部材に支持された状態を示す断面図、(b)は発泡体が充填された構造部材を示す断面図。
【符号の説明】
【0042】
11…発泡具、12…発泡部材、13、25…支持部材、13a、13e、25a…支持板、13b…係合部、13c…係合突起、13d…支持部材本体、13f…規制突部、14…第1発泡部材、14a…取付面、14b…係合孔、14c…連結突起、15…第2発泡部材、15a…係合孔、15b…連結孔、21…発泡体、22…第1発泡体、23…第2発泡体、25b…規制板、26…粘着部材、31…構造部材、31a…被支持部、31b…取付孔。
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種構造部材等における被支持部に支持して使用される発泡具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両ピラー等に代表される構造部材は、構造部材の振動によって異音が発生することがあった。そこで、こうした異音の発生を抑制するために、構造部材に発泡体を取着することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。すなわち、その発泡体によって、構造部材の振動が低減されるため、構造部材から発生する異音は抑制されることになる。
【特許文献1】特開平1−170683号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、構造部材では、振動の伝達に起因した異音の発生に加えて、荷重が加わることに起因した変形等の不具合が生じることがある。従来の発泡具では、例えば異音の発生については一定の抑制効果が得られるものの、変形については一定の抑制効果は得られにくい。すなわち、従来の発泡具では、一の不具合については一定の抑制効果が得られるものの、それ以外の不具合については一定の抑制効果は得られにくいという実情があった。
【0004】
この発明は、こうした従来の実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、種々の不具合を抑制することの容易な発泡具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するために請求項1に記載の発明は、外部加熱により発泡する発泡材料から形成される発泡部材と、同発泡部材を被支持部に支持させる支持部材とを備える発泡具において、前記発泡部材は、第1発泡材料から形成される第1発泡部材と、前記第1発泡材料とは組成の異なる第2発泡材料から形成される第2発泡部材とを備えてなることを要旨とする。
【0006】
この構成によれば、第1発泡材料と第2発泡材料とは異なる組成であるため、第1発泡部材及び第2発泡部材を外部加熱により発泡させることによって、それぞれ異なる物性を有する発泡体が形成されるようになる。すなわち、第1発泡部材及び第2発泡部材から形成される各発泡体には、異なる機能を発揮させることができるようになる。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発泡具において、前記第1発泡部材と第2発泡部材とが積層されていることを要旨とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の発泡具において、前記第1発泡部材と第2発泡部材とが略同一平面上に配置されていることを要旨とする。
【0008】
このように、前記発泡具における発泡部材の配置態様として、例えば請求項2又は請求項3に記載の配置態様を採用することができる。
請求項4に記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の発泡具において、前記支持部材は、前記被支持部に係合される係合部を備えてなることを要旨とする。
【0009】
この構成によれば、被支持部に対する係合部の係合を利用して発泡具を支持させることができるようになる。
請求項5に記載の発明は、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の発泡具において、前記第1発泡部材及び第2発泡部材の少なくとも一方は、自己粘着性を有する粘着材料から形成される粘着部材を介して前記支持部材に配置されていることを要旨とする。
【0010】
請求項6に記載の発明は、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の発泡具において、前記第1発泡部材、第2発泡部材、及び支持部材の少なくとも一つには、係合突起が設けられ、前記第1発泡部材及び第2発泡部材の少なくとも一方は、前記係合突起を介して前記支持部材に配置されていることを要旨とする。
【0011】
請求項7に記載の発明は、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の発泡具において、前記第1発泡部材及び第2発泡部材の少なくとも一方と前記支持部材とは、射出成形により一体に形成されていることを要旨とする。
【0012】
このように、前記発泡部材の支持部材に支持させる支持態様として、例えば請求項5から請求項7のいずれか一項の支持態様を採用することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、種々の不具合を抑制することの容易な発泡具を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を具体化した実施形態を図1〜図3に基づいて詳細に説明する。
図1に示すように、発泡具11は発泡材料から形成される発泡部材12と、この発泡部材12を被支持部に支持させる支持部材13とを備えている。発泡部材12を形成する発泡材料は、外部加熱により発泡する材料であって、この発泡部材12はその外部加熱によって発泡することで発泡体を形成する部材である。この発泡部材12は、第1発泡材料から形成される第1発泡部材14と、第1発泡材料とは組成の異なる第2発泡材料から形成される第2発泡部材15とを備えている。第1発泡部材14及び第2発泡部材15は、そうした異なる組成の各発泡材料から形成されているため、第1発泡部材14が発泡して得られる第1発泡体と、第2発泡部材15が発泡して得られる第2発泡体とは、異なる物性を有することになる。つまり、各発泡材料の組成は、第1発泡体及び第2発泡体に要求される物性に応じて適宜設定される。なお、第1発泡材料及び第2発泡材料における異なる組成とは、配合されている成分が各発泡材料においてそれぞれ異なることのみならず、各発泡材料に配合されている成分が同一であっても、その成分の配合量が各発泡材料においてそれぞれ異なることも含む。
【0015】
詳述すると、各発泡材料の組成は、例えば各発泡体に対して要求される機能に応じて設定することができる。すなわち、こうした第1発泡部材14及び第2発泡部材15により、例えば補強機能を発揮する第1発泡体と、制振機能を発揮する第2発泡体とを得ることができるようになる。また、第1発泡部材14及び第2発泡部材15から得られる各発泡体に対し、同一の機能を発揮させる場合であっても、その機能の度合いに変化を持たせることができるようになる。なお、各発泡体に要求される機能としては、補強機能、制振機能の他、剛性を高める機能、遮音機能、吸音機能、衝撃吸収機能等が挙げられる。
【0016】
各発泡材料を構成する成分は特に限定されないが、具体的には、基材、発泡剤、及び架橋剤の他、充填剤、可塑剤等が挙げられる。基材としては合成樹脂、エラストマー、ゴム等が挙げられる。合成樹脂は熱硬化性樹脂及び熱可塑性樹脂に分類され、熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂等が挙げられ、熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン、EVA(エチレン/ビニルアセテートコポリマー)等が挙げられる。エラストマーとしてはSBS(スチレン/ブタジエン/スチレンブロックコポリマー)等、ゴムとしてはNR(天然ゴム)、ENR(エポキシ化天然ゴム)、EPM(エチレン/プロピレンゴム)等が挙げられる。発泡剤としてはアゾジカルボンアミド、ジニトロペンタメチレンテトラミン等、架橋剤としては周知のジメチルウレア、ジシアンジアミド、充填剤としては炭酸カルシウム、硫酸バリウム、フェライト、シリカ等が挙げられる。
【0017】
第1発泡部材14と第2発泡部材15とは四角板状をなし、これら第1発泡部材14と第2発泡部材15とが積層されることにより、発泡部材12が形成されている。そして、第1発泡部材14の一面は取付面14aとされ、その取付面14aには支持部材13が装着されている。なお、この発泡部材12では、第2発泡部材15は、第1発泡部材14の取付面14aに対して略垂直方向に積層される構成を採用している。
【0018】
支持部材13の材質は、発泡部材12が外部加熱により発泡して発泡体を形成する際においても、支持部材13としての支持機能が発揮される材質であればよい。すなわち、例えば発泡部材12が発泡する発泡温度や発泡材料が硬化する硬化温度に応じて、所定の軟化温度を有する材質を選択し、支持部材13を形成すればよい。特に、支持部材13を合成樹脂から形成する場合には、合成樹脂の体積膨張率は、発泡部材12を構成する発泡材料の体積膨張率よりも小さく設定されることが好ましい。支持部材13の材質の具体例としては、ポリアミド等の合成樹脂、各種金属材料等が挙げられる。
【0019】
本実施形態の支持部材13は、発泡部材12が支持される支持板13aとその支持板13aに連結された係合部13bとを備えている。支持板13aは平板状をなし、この支持板13aの一面(図1における支持板13aの上面)には、複数の係合突起13cが突設されている。一方、第1発泡部材14及び第2発泡部材15には、係合突起13cに対応して係合孔14b、15aが貫設されている。そして、図1及び図2に示すように、これらの係合突起13cは係合孔14b、15aに順次挿入されるとともに、係合突起13cの先端部が第2発泡部材15の上面に係止されている。こうした係合突起13cと係合孔14b、15aの関係により、第1発泡部材14及び第2発泡部材15が一体化されるとともに、発泡部材12が支持板13aに支持されている。なお、外部加熱によって発泡部材12(各発泡材料)が流動性を有した際には、係合孔14b、15aに貫通する係合突起13cは、第1発泡部材14及び第2発泡部材15(各発泡材料)の流動抵抗としても機能する。
【0020】
図1及び図2に示すように、第1発泡部材14の上面には、複数の連結突起14cが突設されている。一方、第2発泡部材15には、連結突起14cに対応して連結孔15bが貫設されている。そして、こうした連結孔15bに連結突起14cが嵌挿されることにより、第1発泡部材14と第2発泡部材15とが連結されるようになっている。なお、外部加熱によって発泡部材12(各発泡材料)が流動性を有した際には、こうした連結突起14cと連結孔15bとの関係は、第2発泡部材15(第2発泡材料)の流動抵抗としても機能する。
【0021】
第1発泡部材14及び第2発泡部材15は、例えば押出成形や射出成形等によって成形される。そして、これら第1発泡部材14及び第2発泡部材15を、射出成形等によって成形された支持部材13に支持させることにより、発泡具11は製造される。
【0022】
図3(a)に示すように、この発泡具11は、構造部材31の所定の部位に装着される。詳述すると、本実施形態の構造部材31は、例えば車両ピラーを構成する部材であって、鋼板から中空状に形成されている。この構造部材31の被支持部31aには、取付孔31bが貫設され、この取付孔31bには係合部13bが係合される。このようにして、構造部材31に装着された発泡具11では、支持部材13を介して発泡部材12が被支持部31aに支持されている。
【0023】
こうした発泡具11が適用される構造部材31は、車両ボディの一部を構成し、その車両ボディには、電着塗装、焼付塗装等の塗装が施される。発泡具11は、車両の製造工程において、車両ボディが乾燥炉内で加熱される際に、所定温度で所定時間加熱される。続いて、外部から所定の熱量が発泡部材12に移動すると、発泡部材12の発泡(膨張)が開始される。そして、発泡した発泡部材12が硬化することで、図3(b)に示すように発泡体21が形成される。すなわち、第1発泡部材14から第1発泡体22が形成されるとともに、第2発泡部材15から第2発泡体23が形成される。なお、本実施形態の発泡部材12は、第1発泡部材14と第2発泡部材15とが積層した構成を採用したため、第1発泡体22と第2発泡体23とが層構造をなす発泡体21が得られるようになる。こうして形成された発泡体21によって構造部材31の所定の部位が充填される。このとき、第1発泡体22及び第2発泡体23は、異なる組成の各発泡材料から形成された発泡体であるため、それぞれ異なる物性を有している。このため、発泡体21には、異なる機能を発揮させたり、同じ機能であっても、その機能の度合いに変化を持たせたりすることができるようになる。例えば、第1発泡体22に構造部材31を補強する機能を発揮させる一方で、第2発泡体23に構造部材31を制振する機能を発揮させることができるようになる。この場合、発泡具11を適用した構造部材31を補強することができるとともに、その構造部材31の制振性を高めることができる。
【0024】
また、こうした発泡体21の形成過程において、第1発泡材料及び第2発泡材料の流動は、図1に示す係合孔14b、15aに貫通する係合突起13cによって抑制される。このため、各発泡材料が自重の影響で垂れ下がる現象が抑制される。すなわち、被支持部31aに対する発泡材料の位置ずれが抑制されつつ、発泡材料の発泡(膨張)が行われるようになる。また、発泡体21の形成過程において、第2発泡材料の流動は、連結突起14cと連結孔15bの関係によっても抑制されるため、これら連結突起14c及び連結孔15bによっても、そうした発泡材料の位置ずれが抑制されるようになる。このように、発泡材料の位置ずれが抑制されるため、発泡体21は所定の位置に配置(充填)され易くなる結果、発泡体21の機能が十分に発揮されるようになる。
【0025】
本実施形態によって発揮される効果について、以下に記載する。
(1) 発泡部材12は、第1発泡部材14と第2発泡部材15とを備えており、第1発泡部材14を形成する第1発泡材料と、第2発泡部材15を形成する第2発泡材料とは、異なる組成である。このため、第1発泡部材14及び第2発泡部材15を外部加熱により発泡させることにより、それぞれ異なる物性を有する第1発泡体22及び第2発泡体23が形成されるようになる。すなわち、第1発泡部材14及び第2発泡部材15から形成される第1発泡体22及び第2発泡体23には、異なる機能を発揮させることができるようになる。従って、構造部材31における発泡体21の異なる機能により、構造部材31における種々の不具合を抑制することが容易となる。また、発泡体21では、同じ機能であっても、その機能の度合いに変化を持たせることができるため、構造部材31における不具合の状況に応じて、適切な機能を発現させることができるようになる。
【0026】
(2) 支持部材13は、係合部13bを備えているため、被支持部31aに対する係合部13bの係合を利用することにより、発泡具11を被支持部31aに支持させることが容易となる。
【0027】
(3) 支持板13aには、係合突起13cが設けられ、この係合突起13cを第1発泡部材14及び第2発泡部材15に係合させることにより、発泡部材12は支持板13aに支持されている。この場合、発泡部材12を、支持板13aに安定して支持させることができるようになる。
【0028】
なお、前記実施形態を次のように変更して構成してもよい。
・ 前記第1発泡部材14及び第2発泡部材15を積層せずに同一平面に配置させることもできる。例えば、図4及び図5に示すように発泡部材12を、枠状をなす第1発泡部材14と、第1発泡部材14の内側に収まる大きさの第2発泡部材15とを備えて構成する。そして、支持板13aの上面に第1発泡部材14を配置するとともに、同じく支持板13aの上面における第1発泡部材14の内側に第2発泡部材15を配置する。これらの第1発泡部材14及び第2発泡部材15は、支持板13aの上面を同一平面として配置されている。そして、図6(a)に示すように、この発泡具11は構造部材31の被支持部31aに支持部材13を介して支持される。この構造部材31が外部から加熱されると、図6(b)に示すように構造部材31の所定部位は発泡体21によって充填される。なお、この発泡体21は、第1発泡体22の内側に第2発泡体23を有して形成される。
【0029】
・ 前記第1発泡部材14及び第2発泡部材15が配置される箇所は、支持板13aの上面に限定されない。例えば、図7(a)及び図7(b)に示すように、支持板13aの外周縁部に第1発泡部材14を配置し、さらにその第1発泡部材14の外周面に第2発泡部材15を積層して配置してもよい。
【0030】
また例えば、図8(a)〜図8(d)に示すような発泡部材12の配置態様が挙げられる。図8(a)では、前記実施形態の支持板13aを支持部材本体13dとし、その支持部材本体13dの外周縁に支持板13eを立設した支持部材13を採用している。そして、支持板13eの外面に第1発泡部材14を配置するとともに、その第1発泡部材14に第2発泡部材15を積層して配置している。図8(b)では、その支持板13eを取り囲んで第1発泡部材14を配置している。
【0031】
図8(c)では、前記実施形態の支持板13aを支持部材本体13dとし、その支持部材本体13dの外周縁内側に上下一対の支持板13eを立設した支持部材13を採用している。そして、支持板13eの外面に上下一対の第1発泡部材14を配置し、それら第1発泡部材14にそれぞれ第2発泡部材15を積層している。図8(d)では、一対の支持板13eの外面にそれぞれ第1発泡部材14と第2発泡部材15とを配置している。
【0032】
・ 前記係合部13bを省略してもよい。例えば、支持板13aのみを支持部材13として、その支持部材13を粘着部材によって被支持部31aに貼着することもできる。
・ 前記支持部材13の形状は特に限定されない。すなわち、支持部材13をブロック状等の形状に変更してもよい。
【0033】
・ 前記係合突起13cを省略してもよい。この場合、例えば射出成形によって第1発泡部材14を支持板13aに一体に設けてもよい。その射出成形としては、金型内に支持部材13をインサートするインサート成形等が挙げられる。また例えば、第1発泡部材14を接着剤によって支持板13aに接着してもよいし、図9(a)及び図9(b)に示すように第1発泡部材14を粘着部材26を介して支持板13aに貼着することで、支持させてもよい。粘着部材26は、自己粘着性を有する粘着材料から形成される。粘着材料は、合成樹脂、エラストマー、ゴム等を基材とした材料であって、具体的にはゴム系粘着材料、アクリル系粘着材料、ウレタン系粘着材料、シリコーン系粘着材料等が挙げられる。例えばゴム系粘着材料の基材としては、BR(ブタジエンゴム)、IIR(イソブチレン/イソプレン共重合ゴム)、SBR(スチレン/ブタジエンゴム)等が挙げられる。この粘着材料の体積膨張率は、発泡材料の体積膨張率よりも小さく設定されることで、外部加熱によって第1発泡部材14が発泡する際において、第1発泡部材14を好適に保持するように構成されている。さらに例えば、自己粘着性を有する発泡材料を、第1発泡材料として採用することにより、第1発泡部材14を支持板13aに貼着してもよい。
【0034】
・ 前記係合突起13cを第2発泡部材15に係合させずに、第1発泡部材14のみと係合するように構成してもよい。
・ 前記連結突起14c及び連結孔15bを省略してもよい。この場合、接着剤による接着や射出成形を利用した接着によって、第1発泡部材14に第2発泡部材15を積層することができる。さらに、自己粘着性を有する発泡材料を、第1発泡材料及び第2発泡材料の少なくとも一方として採用することにより、第1発泡部材14に第2発泡部材15を貼着して積層してもよい。
【0035】
・ 支持部材には、発泡部材が発泡(膨張)する方向を規制する規制部材を設けることもできる。例えば、図9(a)〜図9(c)に示す支持部材25は、支持板25aとその支持板25aの両側部から立設される規制部材としての規制板25bと、係合部(図示省略)とを備えている。このように規制板25bを備えた支持部材25によれば、発泡部材12が発泡する方向が規制板25bによって規制されることで、所定の部位に発泡体21が充填され易くなる。なお、図9(a)には、第1発泡部材14と第2発泡部材15とが積層された状態で支持板25aに配置された一例を示している。また、図9(b)には第1発泡部材14と第2発泡部材15とが隣接して積層され、かつ第1発泡部材14と第2発泡部材15とが同一平面に配置された一例を示している。さらに、図9(c)には第1発泡部材14の内側に第2発泡部材15が積層され、かつ第1発泡部材14及び第2発泡部材15が同一平面に配置された一例を示している。
【0036】
・ 支持部材に規制部材を設ける場合、その規制部材は、図9(a)に示す規制板25bに限定されない。すなわち、例えば図10に示すように支持板13aの上面に、規制部材としての規制突部13fを設けることもできる。こうした支持板13aの上面には、第1発泡部材14及び第2発泡部材15がこの規制突部13fを取り囲むように配置されている。こうした発泡具11は、図11(a)に示すように構造部材31に支持され、この構造部材31が外部から加熱されると、図11(b)に示すように発泡部材12が発泡する方向が規制突部13fによって規制されることで、所定の部位に発泡体21が充填され易くなる。なお、図11(a)に示す一例では、発泡部材12が支持板13aの中央方向へ発泡することが規制突部13fによって規制されることになる。このため、支持板13aの外側へ向かう発泡が促進される結果、発泡体21を構造部材31の内周面に速やかに密着させることができるようになる。
【0037】
・ 前記第1発泡部材14及び第2発泡部材15の形状は、特に限定されない。すなわち、発泡部材12の形状は、構造部材31の形状、発泡体21に要求される性能等に応じて適宜変更される。
【0038】
・ 前記第1発泡部材14及び第2発泡部材15の少なくとも一方は、複数の部材から構成してもよい。例えば、図9(b)に示す発泡部材12は、第2発泡部材15を複数設けた一例である。
【0039】
・ 第1発泡部材14及び第2発泡部材15に加えて、第3発泡材料から形成された第3発泡部材を備えて発泡具11を構成してもよい。すなわち、この第3発泡材料は、第1発泡材料及び第2発泡材料のいずれとも異なる組成である。
【0040】
・ 前記発泡具11が固定される部材としては、特に限定されず、カバー、ドアパネル等の構造部材の他、ピラー、ロッカーパネル、ドアの内部等の中空構造部材、建造物における各種中空パネル、エアコン室外機を構成するパネル等が挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】実施形態における発泡具を示す分解斜視図。
【図2】発泡具を示す斜視図。
【図3】(a)は発泡具が構造部材に支持された状態を示す断面図、(b)は発泡体が充填された構造部材を示す断面図。
【図4】別の発泡具を示す分解斜視図。
【図5】別の発泡具を示す斜視図。
【図6】(a)は別の発泡具が構造部材に支持された状態を示す断面図、(b)は発泡体が充填された構造部材を示す断面図。
【図7】(a)は別の発泡具を示す斜視図、(b)は(a)のA−A線端面図。
【図8】(a)〜(d)はそれぞれ別の発泡具の端面図。
【図9】(a)〜(c)はそれぞれ別の発泡具を示す分解斜視図。
【図10】別の発泡具を示す分解斜視図。
【図11】(a)は別の発泡具が構造部材に支持された状態を示す断面図、(b)は発泡体が充填された構造部材を示す断面図。
【符号の説明】
【0042】
11…発泡具、12…発泡部材、13、25…支持部材、13a、13e、25a…支持板、13b…係合部、13c…係合突起、13d…支持部材本体、13f…規制突部、14…第1発泡部材、14a…取付面、14b…係合孔、14c…連結突起、15…第2発泡部材、15a…係合孔、15b…連結孔、21…発泡体、22…第1発泡体、23…第2発泡体、25b…規制板、26…粘着部材、31…構造部材、31a…被支持部、31b…取付孔。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部加熱により発泡する発泡材料から形成される発泡部材と、同発泡部材を被支持部に支持させる支持部材とを備える発泡具において、
前記発泡部材は、第1発泡材料から形成される第1発泡部材と、前記第1発泡材料とは組成の異なる第2発泡材料から形成される第2発泡部材とを備えてなることを特徴とする発泡具。
【請求項2】
前記第1発泡部材と第2発泡部材とが積層されている請求項1に記載の発泡具。
【請求項3】
前記第1発泡部材と第2発泡部材とが略同一平面上に配置されている請求項1又は請求項2に記載の発泡具。
【請求項4】
前記支持部材は、前記被支持部に係合される係合部を備えてなる請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の発泡具。
【請求項5】
前記第1発泡部材及び第2発泡部材の少なくとも一方は、自己粘着性を有する粘着材料から形成される粘着部材を介して前記支持部材に配置されている請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の発泡具。
【請求項6】
前記第1発泡部材、第2発泡部材、及び支持部材の少なくとも一つには、係合突起が設けられ、前記第1発泡部材及び第2発泡部材の少なくとも一方は、前記係合突起を介して前記支持部材に配置されている請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の発泡具。
【請求項7】
前記第1発泡部材及び第2発泡部材の少なくとも一方と前記支持部材とは、射出成形により一体に形成されている請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の発泡具。
【請求項1】
外部加熱により発泡する発泡材料から形成される発泡部材と、同発泡部材を被支持部に支持させる支持部材とを備える発泡具において、
前記発泡部材は、第1発泡材料から形成される第1発泡部材と、前記第1発泡材料とは組成の異なる第2発泡材料から形成される第2発泡部材とを備えてなることを特徴とする発泡具。
【請求項2】
前記第1発泡部材と第2発泡部材とが積層されている請求項1に記載の発泡具。
【請求項3】
前記第1発泡部材と第2発泡部材とが略同一平面上に配置されている請求項1又は請求項2に記載の発泡具。
【請求項4】
前記支持部材は、前記被支持部に係合される係合部を備えてなる請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の発泡具。
【請求項5】
前記第1発泡部材及び第2発泡部材の少なくとも一方は、自己粘着性を有する粘着材料から形成される粘着部材を介して前記支持部材に配置されている請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の発泡具。
【請求項6】
前記第1発泡部材、第2発泡部材、及び支持部材の少なくとも一つには、係合突起が設けられ、前記第1発泡部材及び第2発泡部材の少なくとも一方は、前記係合突起を介して前記支持部材に配置されている請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の発泡具。
【請求項7】
前記第1発泡部材及び第2発泡部材の少なくとも一方と前記支持部材とは、射出成形により一体に形成されている請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の発泡具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−334998(P2006−334998A)
【公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−164496(P2005−164496)
【出願日】平成17年6月3日(2005.6.3)
【出願人】(000101905)イイダ産業株式会社 (47)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年6月3日(2005.6.3)
【出願人】(000101905)イイダ産業株式会社 (47)
【Fターム(参考)】
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