説明

発泡性ゴム組成物

【課題】発泡性ゴム組成物を提供する。
【解決手段】本発明は、エチレンおよびα−オレフィン由来の単位を含む弾性ポリマー、硬化パッケージならびに発泡剤を含むエラストマー組成物であって、発泡剤が結晶水を含有する化合物を含む組成物に関する。
本発明はまた、エラストマー組成物を調製する工程、このエラストマー組成物を成形する工程、発泡させる工程、および硬化させる工程を含む発泡物品の製造方法に関する。本発明はさらに発泡物品に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エチレンおよびα−オレフィン由来の単位を含む弾性ポリマー、硬化パッケージならびに発泡剤を含む発泡性エラストマー組成物に関する。
【0002】
本発明はまた、エラストマー組成物を発泡させる工程および硬化させる工程を含む発泡物品の製造方法に関する。本発明はさらに発泡物品に関する。
【背景技術】
【0003】
発泡剤を含有する発泡性エラストマー組成物は、(特許文献1)から公知である。記載されている発泡剤としては、アゾ発泡剤、N−ニトロソ発泡剤、フルオロアルカン発泡剤などの有機発泡剤が挙げられる。
【0004】
(特許文献1)に記載されているエラストマー組成物の欠点は、その中に含まれる有機発泡剤が発泡剤の貯蔵および取り扱いならびに組成物の貯蔵および取り扱い中に健康および環境リスクを示すことである。さらなる欠点は、発泡剤を起源とする分解生成物が、発泡プロセス中に発生する場合に健康および/または環境危険性を同様に示すことである。この危険性は、発泡物品の使用年数にわたって保持される。
【0005】
本発明の目的は、記載された健康および環境上の欠点を持たない発泡剤を含む新規の発泡性エラストマー組成物を提供することである。
【0006】
この目的は、発泡剤が結晶水を含有する化合物を含む発泡性エラストマー組成物によって達せられる。
【0007】
意外にも本発明による発泡剤を使って、記載された健康および環境上の欠点を持たない発泡性エラストマー組成物が得られる。
【0008】
さらに本発明のエラストマー組成物に含まれる発泡剤は自然界からまたは化学プロセスの副生物として容易に入手可能であり、その結果として上述の有機発泡剤に共通して実施されるような専用の化学合成を必要としない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】欧州特許第1 964 864号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、エチレンおよびα−オレフィン由来の単位を含む弾性ポリマー、硬化パッケージならびに発泡剤を含むエラストマー組成物であって、発泡剤が結晶水を含有する化合物を含むことを特徴とする組成物に関する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明において使用するための好ましい弾性ポリマーは、エチレンと1つ以上のC〜C23α−オレフィンとのコポリマーである。エチレンとプロピレンとのコポリマーが最も好ましい。コポリマーを形成するためのまたはエチレンおよびプロピレンと組み合わせて使用してターポリマーを形成するためのプロピレンの代わりに好適なその他のα−オレフィンとしては、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンおよびスチレン、4−メチルブテン−1、5−メチルペンテン−1および6−メチルヘプテン−1などの分岐鎖α−オレフィン;ならびにそれらの混合物が挙げられる。
【0012】
共重合体としばしば称される、より複雑な弾性ポリマーは、第3成分を使用して製造することができる。共重合体基材を製造するために一般に使用される第3成分は、非共役ジエンおよびトリエンから選択されるポリエンモノマーである。ジエンまたはトリエンモノマーの共重合は、不飽和結合の導入を可能にし、それによって硬化パッケージを用いて共重合体の架橋を増進する。
【0013】
非共役ジエンモノマーは好ましくは5〜14個の炭素原子を有する。好ましくは、ジエンモノマーは、その構造中のビニル基の存在によって特徴づけられ、環式および二環式化合物を含むことができる。代表的なジエンモノマーとしては、1,4−ヘキサジエン、1,4−シクロヘキサジエン、1,5−ヘキサジエン、1,6−ヘプタジエン、1,7−オクタジエン、ジシクロペンタジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−ビニリデン−2−ノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボルネン、1,5−ヘプタジエン、および1,6−オクタジエンが挙げられる。共重合体は、2つ以上のジエンモノマーの混合物を含んでもよい。ターポリマーまたは共重合体を製造するための好ましい非共役ジエンモノマーは、1,4−ヘキサジエン(HD)、ジシクロペンタジエン(DCPD)、5−エチリデン−2−ノルボルネン(ENB)および5−ビニリデン−2−ノルボルネン(VNB)である。
【0014】
トリエンモノマーは、少なくとも2つの非共役二重結合、および約30個以下の炭素原子を有するであろう。本発明の共重合体において有用な典型的なトリエンモノマーは、1−イソプロピリデン−3,4,7,7−テトラヒドロインデン、1−イソプロピリデンジシクロペンタジエン、ジヒドロ−イソジシクロペンタジエン、および2−(2−メチレン−4−メチル−3−ペンテニル)[2.2.1]ビシクロ−5−ヘプテンである。
【0015】
エチレン−プロピレンまたは高級α−オレフィンコポリマーは、約15〜80重量%のエチレンおよび約85〜20重量%のC〜C23α−オレフィンからなってもよく、好ましい重量比は、約35〜75重量%のエチレンおよび約65〜25重量%のC〜C23α−オレフィンであり、最も好ましい比は、45〜70重量%のエチレンおよび55〜30重量%のC〜C23α−オレフィンである。
【0016】
本発明の好ましい実施形態においては、弾性ポリマーは、0.01〜20重量%、好ましくは0.05〜15重量%、またはより好ましくは0.1〜10重量%のポリエン由来の単位を含む。エラストマー組成物のその他の成分にかかわりなく、低含有率のポリエン由来の単位は、得られた発泡エラストマー組成物上に表面収縮を引き起こす可能性がある。逆に、高含有率のポリエン由来の単位は、発泡エラストマー組成物に亀裂を生じる可能性がある。また、本発明において使用するための好ましい弾性ポリマーは、シリコーンゴム、フッ素ゴム、アクリルゴム、ポリウレタンゴム、ポリアミドゴム、天然ゴム、ポリイソブチレンゴム、ポリイソプレンゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、ニトリルブチルゴム、スチレン−ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエン−スチレンゴム、スチレン−イソプレン−スチレンゴム、スチレン−エチレン−ブタジエンゴム、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンゴム、スチレン−イソプレン−プロピレン−スチレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴムまたはそれらの混合物である。
【0017】
本エラストマー組成物は、上に定義された弾性ポリマーの2つ以上のブレンドを含むことができる。
【0018】
弾性ポリマーは好ましくは、たとえば、10〜150MU、または好ましくは20〜80MUの範囲の、ムーニー(Mooney)粘度、ML(1+4)125℃を有する。
【0019】
本発明によるエラストマー組成物はまた、上記の弾性ポリマー以外のポリマーを含んでもよい。弾性ポリマー以外のこのようなポリマーとしては、ゴムおよび非ゴムポリマーが挙げられる。その他のゴムポリマーとしては、非共役二重結合を有する環式または非環式ポリエン(たとえば、1−ブテン−エチリデンノルボルネンなどの、α−オレフィン−ジシクロペンタジエン)の成分を含むゴムコポリマー、エチレン−プロピレンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、アクリルゴム、ポリウレタンゴム、ポリアミドゴム、天然ゴム、ポリイソブチレンゴム、ポリイソプレンゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、ニトリルブチルゴム、スチレン−ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエン−スチレンゴム、スチレン−イソプレン−スチレンゴム、スチレン−エチレン−ブタジエンゴム、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンゴム、スチレン−イソプレン−プロピレン−スチレンゴム、およびクロロスルホン化ポリエチレンゴムが挙げられる。
【0020】
非ゴムポリマーとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、アクリルポリマー(たとえばポリ(メタ)アクリル酸アルキルエステルなど)、ポリ塩化ビニル、エチレン−酢酸ビニルコポリマー、ポリ酢酸ビニル、ポリアミド、ポリエステル、塩素化ポリエチレン、ウレタンポリマー、スチレンポリマー、シリコーンポリマー、およびエポキシ樹脂が挙げられる。
【0021】
弾性ポリマー以外のこれらのポリマーは、単独でまたは2種以上の組み合わせで存在してもよい。
【0022】
弾性ポリマー以外のポリマー対弾性ポリマーの比は、1.0以下、好ましくは0.66以下であることができる。
【0023】
硬化パッケージは、硬化剤または架橋剤とも呼ばれる1つ以上の添加剤を含み、それらは熱の影響下にエラストマー組成物の架橋をもたらす。使用される架橋剤は、特定のものに何ら限定されない。好ましくは使用されてもよい硬化剤は、硫黄、硫黄化合物(たとえば4,4’−ジチオモルホリン)、有機過酸化物(たとえばクメンペルオキシド)、ニトロソ化合物(たとえばp−ジニトロソベンゼン)、樹脂(たとえばアルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド縮合物など)およびポリヒドロシランである。架橋剤は、活性化化合物と組み合わせられてもよく、単独でまたは2種以上の組み合わせで使用されてもよい。
【0024】
本発明の好ましい実施形態においては、エラストマー組成物は、過酸化物、硫黄および樹脂、特に有機過酸化物および硫黄からなる群から選択される架橋剤を含む硬化パッケージを含む。好ましくは本発明のエラストマー組成物は、アジド含有化合物を含有しない。
【0025】
本発明のエラストマー組成物において、1つの好ましい点は、硬化パッケージが有機過酸化物架橋剤を含むことである。有機過酸化物架橋剤は、過酸化物構造を有する有機化合物である。好ましくは、160℃超の1分半減期温度を有する有機過酸化物架橋剤、より好ましくは、200℃以下の1分半減期温度を有する有機過酸化物架橋剤、またはさらにより好ましくは、170℃〜190℃の範囲の1分半減期温度を有する有機過酸化物架橋剤が使用される。具体的には、使用されてもよい有機過酸化物架橋剤としては、ジクミルペルオキシド(1分半減期温度:175℃)、ジメチルジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン(1分半減期温度:180℃)、およびビス(t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン(1分半減期温度:175℃)が挙げられる。好ましくは、ジクミルペルオキシドが使用される。これらの有機過酸化物架橋剤は、単独でまたは2種以上の組み合わせで使用されてもよい。
【0026】
弾性ポリマーが酸素の存在下に有機過酸化物架橋剤で架橋されるとき、こうして得られた発泡材料の表面は、架橋が十分でないかまたは酸化される可能性があり、その結果それの表面は粘着性になる可能性がある。当業者は、このような粘着性が、酸素を含まない条件下に硬化/発泡プロセスを行うことによって、または硬化/発泡時にエラストマー組成物に商業的に入手可能な添加剤系を適用することによって回避できることを理解していよう。
【0027】
有機過酸化物架橋剤の好ましい量は、ゴム百部当たり0.05〜20(phr)の範囲に、好ましくは2〜6phrの範囲にある。
【0028】
架橋剤として過酸化物を含む硬化パッケージは、少なくとも1つの架橋助剤をさらに含んでもよい。使用されてもよい架橋助剤は、トリアリルシアヌレート(TAC)、トリアリルイソシアネート(TAIC)、トリメチルロールプロパントリメタクリレート(TRIM)、1,2−ビニルポリブタジエン、m−フェニレン−ビス−マレイミド(HVA−2)および亜鉛ジメタクリレート(ZDMA)である。
【0029】
好ましい実施形態においては、架橋剤として過酸化物を含む硬化パッケージは、0.05〜20phrの架橋助剤を含む。
【0030】
第2の好ましい点として、硬化パッケージは、たとえば、硫黄硬化エラストマー組成物によって生じる、耐久性などの、発泡物品の最終特性を高めるための架橋剤として硫黄を含有する。硬化効率は、使用される硬化添加剤のタイプに依存して変わるので、架橋剤の量は適切に選択することができる。たとえば、硫黄が架橋剤として使用されるとき、硫黄の好ましい量は、0.1〜10phr、または好ましくは0.5〜3phrの範囲にある。
【0031】
硬化パッケージは、チアゾール類、たとえばジベンゾチアジルジスルフィド、2−メルカプトベンゾチアゾール;チオ尿素類、たとえばジエチルチオ尿素、トリメチルチオ尿素、ジブチルチオ尿素;ジチオカルバミン酸類、たとえばジメチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛;グアニジン類、たとえばジフェニルグアニジン、ジ−o−トリルグアニジン;スルフェンアミド類、たとえばベンゾチアジル−2−ジエチルスルフェンアミド、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフォンアミド;チウラム類、たとえばテトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド;キサントゲン酸類、たとえばイソプロピルキサントゲン酸ナトリウム、イソプロピルキサントゲン酸亜鉛;アルデヒドアンモニア類、たとえばアセトアルデヒドアンモニア、ヘキサメチレンテトラミン;およびアルデヒドアミン類、たとえばn−ブチルアルデヒドアニリン、ブチルアルデヒドモノブチルアミンなどの架橋促進剤のような添加剤をさらに含んでもよい。好ましくは、チアゾール類およびチオ尿素類が使用される。
【0032】
これらの架橋促進剤は、単独でまたは好ましくは2種以上の組み合わせで使用されてもよい。好ましくは、チアゾール類およびチオ尿素類は組み合わせて使用される。これらの助剤を組み合わせて使用すると、得られる発泡エラストマー組成物の良好な泡形状および可撓性を保証できる。
【0033】
架橋促進剤の好ましい量は、0.01〜20phr、好ましくは0.02〜10phr、またはより好ましくは0.5〜4phrの範囲にある。具体的には、チアゾール類を使用する場合には、チアゾール類の量は、たとえば、0.01〜5phr、または好ましくは0.5〜3phrの範囲にある。チオ尿素類を使用する場合には、チオ尿素類の量は、0.01〜5phr、または好ましくは0.1〜1phrの範囲にある。
【0034】
さらに、チアゾール類およびチオ尿素類を組み合わせて使用する場合には、チオ尿素類対チアゾール類(チオ尿素類/チアゾール類)の重量比は、たとえば、0.1〜10、または好ましくは0.2〜1の範囲にある。
【0035】
本発明によれば、発泡剤は、結晶水を含有する化合物を含む。結晶水または水和水は、それが結晶特性の維持のために必要であるが、十分な熱によって除去することができる、結晶中に存在する水である。それは、一定の化学量論的な比で大抵は存在する。好ましくは、結晶水を含有する化合物は、金属イオンに直接結合していない水を含有する金属錯体を意味する。このような水含有化合物は、エラストマー組成物の典型的な混合温度以上の温度で、かなりの量で、その結晶水を放出し得る。他方で、このような温度が、発泡されるエラストマー組成物の完全性にとって有害であるほど水放出温度は高くなくてもよい。それ故、発泡されるエラストマー組成物を選ぶ(したがって、エラストマー組成物を加工できる温度の範囲を知っている)ときに適切な化合物を選択することができる。DTA(示差熱分析)、DSC(示差走査熱量測定法)およびTG(熱重量分析)のような分析機器を、意図される目的のための潜在的な化合物の適合性を決定するために用いることができる。結晶水の放出のための好ましい温度は、エラストマー組成物の膨張を可能にするのに十分な蒸気圧の水を放出するために110℃より上である。結晶水の放出のための好ましい最高温度は280℃であり、これは弾性ポリマーの分解が顕著になる温度である。
【0036】
好ましくは結晶水を含有する化合物は金属塩水和物である。より好ましくは金属塩水和物は1族または2族金属を含有する。最も好ましくは金属塩水和物は、Na、Mg、KおよびCaからなる群から選択される金属を含有する。
【0037】
本発明による結晶水を含有する化合物は、異なる温度で放出される結晶水を有してもよい。この差は、水が結晶構造中に組み込まれている位置に由来する。典型的な例は、その75%が最後の25%より低い温度で放出される、CaSO単位当たり2モルのHOを全体で含有する硫酸カルシウム二水和物(CaSO・2HO)である。
【0038】
結晶水を含有する化合物の使用のさらなる特徴は、結晶水の放出が吸熱プロセスであることである。大部分の化学発泡剤の発熱分解と対照的に、結晶水を含有する化合物は、それらが自己加速分解メカニズムにさらされないので、取り扱うのに本質的に安全である。
【0039】
結晶水の吸熱放出はさらに、発泡プロセス中に発泡性エラストマー組成物の改善された応答をもたらす。開始された化学発泡プロセスは、発熱プロセスによって自立し、激しく進行するであろう。対照的に本発明による化合物での発泡プロセスは、外部温度調節に容易に応答するであろう。
【0040】
結晶水を含む発泡剤の使用は、熱硬化性エラストマー組成物に特に有益である。熱硬化性エラストマー組成物は、熱可塑性エラストマー組成物と対照的に、高温でポリマー相を架橋するおよび「硬化させる」温度誘発硬化プロセスで特徴づけられる。このような硬化プロセスは、発泡プロセス前に、発泡プロセス中におよび/または発泡プロセス後にスタートすることができる。硬化および発泡プロセスの両方が幅広い温度範囲にわたって起こるので、ほとんど同時の発泡および硬化プロセスをもたらす重なりが存在するであろう。当業者は、発泡体密度、外観、圧縮永久歪み、引張強度などを考慮して発泡プロセスを最適化するためにこれらの範囲を有利に使用するであろう。硬化プロセスの高温下に、放出された結晶水は、良好な発泡効率を与える高い蒸気圧を有する。発泡エラストマー組成物の冷却は、高い硬化状態で行われるだけである。冷却時に、結晶水は凝縮し、発泡気泡中の圧力を実質的に低下させる。ポリマー相は膨張した状態下に硬化したので、潜在的な変形は、発泡エラストマー組成物中への周囲ガスの拡散によって相殺される。
【0041】
本発明の好ましい実施形態においては、結晶水を含有する化合物は、硫酸ナトリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸銅、硫酸水素ナトリウム、塩化カルシウム、酢酸ナトリウム、酒石酸カリウムナトリウム、塩化アルミニウム、硫酸鉄、硫酸亜鉛、炭酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、塩化第一スズ(II)およびクエン酸またはその塩の水和物からなる群から選択される。
【0042】
結晶水対化合物の高い重量比の結晶水含有化合物が好ましい。このような化合物は、基本単位当たり高い数の水分子(たとえばNaSO・10HO、NaPO・12HOなど)でおよび/または化合物の無水部分の低い分子量(CHCONa・3HO)で特徴づけられる。
【0043】
無水形態が吸湿挙動を示す結晶水を含有する化合物(たとえばCaCl、SnClなど)は、発泡エラストマー組成物の吸湿挙動が用途に有害な影響をまったく及ぼさない場合を別として、あまり好ましくない。
【0044】
結晶水を含有する最も好ましい化合物は、とりわけ上述の特性に基づいて、特性の賢明な選択にかけられる。当業者は、分解温度、放出される水の量、結晶水を含有する化合物のモルフォロジ、その他の組成物原料との相溶性、発泡物品の用途との適合性、結晶水を含有する化合物のコストおよび入手可能性など考慮しなければならない。本出願人は、一般に石膏と命名される、CaSO・2HOを、本明細書に含まれる実施例向けの好適な発泡剤であるとして結晶水を含有する化合物と特定した。この選択は本発明の範囲を決して限定しない。当業者は、結晶水を含有する多くのその他の化合物が本発明のおよびまたはその他のエラストマー組成物のために同様のまたは改善された特性をもたらし得ることを認識するだろう。
【0045】
結晶水を含有する化合物を含む発泡剤の好ましい量は、0.1〜40phr、好ましくは0.5〜20phr、またはより好ましくは1〜10phrの範囲にある。具体的には、硫酸カルシウムを使用する場合には、硫酸カルシウムの混合比は、たとえば、0.2〜10phr、または好ましくは0.5〜5phrの範囲にある。
【0046】
結晶水を含有する金属塩は、ある種の熱可塑性樹脂の、特にアジド架橋ポリプロピレン用の発泡剤として英国特許出願公開第A−1080619号明細書から既に知られている。
【0047】
本発明の好ましい実施形態において、エラストマー組成物は、加工助剤、充填剤、軟化剤および安定剤またはそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの化合物を含む。
【0048】
使用されてもよい加工助剤としては、たとえば、酸化亜鉛、ならびにステアリン酸およびその誘導体が挙げられる。これらの加工助剤は、単独でまたは2種以上の組み合わせで使用されてもよい。加工助剤の量は、たとえば、0.1〜20phr、または好ましくは1〜10phrの範囲にある。
【0049】
使用されてもよい充填剤としては、たとえば、カーボンブラック、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、ケイ酸およびそれの塩、粘土、タルク、雲母粉末、ベントナイト、シリカ、アルミナ、ケイ酸アルミニウム、アセチレンブラック、ならびにアルミニウム粉末などの、無機充填剤;コルク、セルロースおよびその他の公知の充填剤などの、有機充填剤が挙げられる。これらの充填剤は、単独でまたは2種以上の組み合わせで使用されてもよい。充填剤の量は、10〜300phr、好ましくは50〜200phr、またはより好ましくは100〜200phrの範囲にある。
【0050】
使用されてもよい軟化剤としては、石油、たとえば、パラフィン油などのパラフィンベースのプロセス油、ナフテンベースのプロセス油、乾性油または動物および植物油、たとえばアマニ油など、芳香族プロセス油など、アスファルト、低分子量ポリマー、有機酸エステル、たとえばフタル酸エステル、たとえばフタル酸ジ−2−オクチル(DOP)、フタル酸ジブチル(DBP)、ホスフェート、高級脂肪酸エステル、アルキルスルホン酸エステルなど、ならびに増粘剤が挙げられる。好ましくは石油またはより好ましくはパラフィンベースのプロセス油が使用される。これらの軟化剤は、単独でまたは2種以上の組み合わせで使用されてもよい。軟化剤の量は、10〜100phr、または好ましくは20〜50phrの範囲にある。
【0051】
使用されてもよい安定剤としては、難燃剤、老化防止剤、熱安定剤、酸化防止剤およびオゾン劣化防止剤が挙げられる。これらの安定剤は、単独でまたは2種以上の組み合わせで使用されてもよい。安定剤の量は、0.5〜20phr、または好ましくは2〜5phrの範囲にある。
【0052】
さらに、目的および用途に依存して、エラストマー組成物は、得られる発泡材料の優れた効果に影響を及ぼさない範囲内で粘着付与剤、乾燥剤、接着剤および着色剤などの、添加剤を含有することができる。
【0053】
本発明の一実施形態は、少なくとも1つのさらなる発泡剤を含むエラストマー組成物に関する。
【0054】
使用されてもよいさらなる発泡剤としては、有機発泡剤および無機発泡剤が挙げられる。
【0055】
使用されてもよい有機発泡剤としては、アゾジカーボンアミド(ADC)、アゾジカルボン酸バリウム、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、アゾシクロヘキシルニトリル、およびアゾジアミノベンゼンなどの、アゾ発泡剤;N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン(DTP)、N,N’−ジメチル−N,N’−ジニトロソテレフタルアミド、およびトリニトロソトリメチレントリアミンなどの、N−ニトロソ発泡剤;4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)(OBSH)、パラトルエンスルホニルヒドラジド、ジフェニルスルホン−3,3’−ジスルファニルヒドラジド、2,4−トルエンジスルホニルヒドラジド(TSH)、p,p−ビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)エーテル、ベンゼン−1,3−ジスルホニルヒドラジド、およびアリルビス(スルホニルヒドラジド)などの、ヒドラジド発泡剤;p−トルイレンスルホニルセミカルバジドおよび4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルセミカルバジド)などの、セミカルバジド発泡剤;トリクロロモノフルオロメタンおよびジクロロモノフルオロメタンなどの、フルオロアルカン発泡剤;5−モルホリル−1,2,3,4−チアトリアゾールなどの、トリアゾール発泡剤;ならびにその他の公知の有機発泡剤が挙げられる。有機発泡剤としてはまた、その中に熱膨張性材料がカプセル化されている熱膨張性微粒子含有マイクロカプセルが挙げられる。しかし、好ましくは本発明の組成物は、いかなる有機発泡剤も含有しない。
【0056】
無機発泡剤としては、たとえば、炭酸水素ナトリウムおよび炭酸水素アンモニウムなどの、炭酸水素塩;炭酸ナトリウムおよび炭酸アンモニウムなどの、炭酸塩;亜硝酸ナトリウムおよび亜硝酸アンモニウムなどの、亜硝酸塩;水素化ホウ素ナトリウムなどの、水素化ホウ素塩;アジド;ならびにその他の公知の無機発泡剤が挙げられる。
【0057】
これらの追加の発泡剤は、単独でもしくは2種以上の組み合わせで存在してもよいし、または存在しなくてもよい。
【0058】
追加の発泡剤の量は、0〜20phrの範囲にある。
【0059】
さらなる発泡剤の利点は、発泡物品の製造プロセスおよび物理的特性要件を満足させるための組成物設計における柔軟性の増加であろう。本発明の一実施形態は、エラストマー組成物の調製、成形、発泡および硬化の工程を含む発泡物品の製造方法に関する。
【0060】
結晶水を含有する化合物を含むエラストマー組成物は、上述の成分を適切に混合し、混合物を混練することによって混和剤の形態で調製することができる。好ましい実施形態においては、混合プロセスは、混練機で、押出機でまたはミルで行われる。
【0061】
混練中に、混合物はまた適切に加熱されてもよい。好ましくは、混合は、たとえば、架橋剤、発泡剤、架橋促進剤、および発泡促進剤などの、少量添加されるべき添加剤成分以外の成分を先ず混練し、次にこれらの添加剤成分を混練混合物に添加することによって行われる。添加剤成分の添加は同じ混合装置で行うことができるが、プレミックスの冷却および添加剤成分の添加は、2ロールミルなどの第2混合装置で容易に行われる。第2混合装置のこのような使用は、添加剤成分が多くの場合に熱に弱く、こうしてより低い温度で混合して組成物にすることができることを考えると有利である。
【0062】
本発明に従って調製されたエラストマー組成物は、バルクでまたはシート、スラップもしくはペレットの形態に成形されて混合プロセスから回収することができる。エラストマー組成物の成形は、硬化/発泡プロセスの前にまたは硬化/発泡プロセス中に、個別の成形工程として、混合後に行うことができる。
【0063】
エラストマー組成物の成形はまた、後の段階で、たとえば発泡および硬化した物品に関して行うこともできる。
【0064】
好ましい実施形態においては、エラストマー組成物の成形は、押出、圧延、圧縮成形または射出成形によって行われる。
【0065】
こうして調製されたエラストマー組成物は、硬化および/または発泡プロセスが起こる温度に加熱され、その結果発泡および架橋したエラストマー組成物が得られる。使用される硬化パッケージおよび発泡剤に依存して、硬化プロセスは、発泡プロセスの前に、それと同時におよび/またはその後に起こることができる。硬化および発泡プロセスの両方ともそれら自体の特有の温度範囲にわたって起こるので、同時の発泡および硬化プロセスを好ましくはもたらす温度範囲の重なりが存在する可能性がある。
【0066】
任意選択的に、発泡および硬化プロセスにわたっての温度勾配の適用は、当業者が発泡物品の最終特性に影響を与えることを可能にする。
【0067】
発泡および硬化のための温度は、たとえば、架橋剤の架橋開始温度、または発泡剤の発泡温度に依存して、適切に選択される。たとえば、加熱温度は、350℃以下、好ましくは150〜250℃である。
【0068】
好ましい実施形態においてはエラストマー組成物の発泡および硬化は、スチーム、赤外線加熱、マイクロ波、熱風、塩浴、流動床またはそれらのあらゆる組み合わせによって行われる。
【0069】
最も好ましくはエラストマー組成物の発泡および硬化の少なくとも一部は、120〜250℃の温度で行われる。
【0070】
硬化および発泡プロセスは、エラストマー組成物の硬化および/または発泡用として公知であり好適である任意の装置で行うことができる。これは、静的プロセス、ならびに動的プロセスのどちらかで行うことができる。最初の場合には、加熱された鋳型を用いた、あらかじめ定められた形状での発泡および硬化、または熱成形に言及することができる。
【0071】
好ましくは、動的プロセスは、成形されるエラストマー組成物を硬化および発泡セクション(たとえば熱風トンネル)に連続的に供給する成形セクション(たとえばおよび押出機)を含む。押出機がエラストマー組成物の成形のために用いられるとき、温度は、押出機ダイを出る前の水の時期尚早の放出および揮発を防ぐために注意深く制御されるべきである。混合物は次に、結晶水を含有する化合物から水が放出され、そしてエラストマー組成物が膨張して発泡物品になる条件に加熱される。さらなる好適な硬化および発泡装置はまた、塩浴、マイクロ波オーブン、赤外線オーブン、スチームオーブンまたはそれらのあらゆる組み合わせであることができる。
【0072】
エラストマー組成物の硬化および発泡方法は、上記のプロセスに特に限定されない。あるいは組成物は、カレンダーなどを用いてシートに成形し、次にスチームオートクレーブ中で発泡させるおよび硬化させることができる。あるいは、エラストマー組成物は、射出成形、プレス成形、またはその他の成形方法によって成形して平らでない形状などの、複雑な形状にし、次に発泡させるおよび硬化させることができる。
【0073】
こうして得られる発泡エラストマー組成物の発泡前後の密度比として測定される発泡比は、たとえば、1.1以上、または好ましくは2以上、そして通常は30以下である。
【0074】
本発明による発泡物品の製造方法における結晶水を含有する化合物の使用は、当業者が制御された発泡プロセスを行うことを可能にする。
【0075】
結晶水を含有する化合物から放出される水の量は、発泡プロセスにおける温度、圧力および滞留時間の関数である。そういう訳で発泡体密度は容易に制御することができ;同じ組成物を使用して異なる密度のポリマー発泡体を製造することができる。エラストマー組成物中の結晶水を含有する化合物の良好な分散系を調製するように配慮されるので、結晶水を含有する化合物は、発泡剤源として働くのみならず、非常に微細な、一様な気泡構造を与える核剤としても働く。
【0076】
結晶水を含有する化合物の良好な分散を達成するために、結晶水を含有する化合物は、中空でない形態で混合物に加えられるとき、好ましくは、微細な、小さい、分散性の粒子の形態にある。一般に、粒径は0.01〜100μmの範囲にあり、より好ましくは結晶水を含有する化合物は50μmより下の粒径を有する。これは、エラストマー組成物内に多数の十分に分散された核形成サイトをもたらす。
【0077】
任意選択的に、結晶水を含有する化合物は、キャリア中の分散系または溶液として混合物に加えることができる。このようなキャリアは固体または液体であることができる。固体キャリアはポリマーまたは充填剤であることができる。液体キャリアは、周囲圧力で室温より上の沸点およびゴム組成物の混合温度より下の融点を有するすべてのキャリアであると理解される。任意選択的に液体キャリアは、混合または硬化条件下に完全にまたは部分的に蒸発し、結晶水を含有する細かく分散された化合物をもたらすことができる。典型的なキャリアは、鉱油、ワックス、炭化水素溶媒、アルコール、エーテルおよびその他のものである。
【0078】
本発明による方法において使用される結晶水を含有する化合物の量は、製造されるべき発泡エラストマー組成物の密度に、しかしもちろんまた結晶水を含有する化合物の単位重量当たり放出され得るおよび放出される水の量に依存する。結晶水を含有する化合物の単位重量当たり放出される水が多ければ多いほど、結晶水を含有するより少ない化合物が所与の発泡体密度について必要とされる。他方で、結晶水を含有する化合物は、その結晶水の一部を放出するだけでよい。
【0079】
本発明の発泡および硬化プロセスはまた、中空でない部品との発泡部品の共押出のために、または、引裂強度および低摩擦係数を向上させた、固体ポリマー皮膜での発泡異形材のコーティングのために用いることができる。
【0080】
発泡体構造は、一様(すなわちバルク発泡)であるか、または同様に泡勾配、または発泡領域(圧力によって制約されるかもしくは集中エネルギーによって局所的に発泡する)を適用することによって選択的にすることができる。
【0081】
本発明はまた、本発明による方法によって製造された、発泡物品に関する。発泡物品は、それが、硬化および発泡前のエラストマー配合物の密度より低い密度を有することで特徴づけられる。結晶水を含有する化合物、その化合物の水放出温度、硬化パッケージ、発泡および硬化装置における発泡および硬化温度ならびに滞留時間の賢明な選択によって、発泡体密度を制御することができる、たとえば標的密度を達成することができる。
【0082】
本発明の好ましい実施形態においては、このような発泡物品は、50〜1100kg/mの嵩密度を有する。
【0083】
さらに好ましい実施形態においては、発泡物品は、500〜1000kg/mの嵩密度を有する。
【0084】
密度(エラストマー組成物の発泡の程度に依存する)は、約50kg/mの非常に低い密度から、中空でない、すなわち発泡していないエラストマー組成物の密度に近い密度まで変動することができる。
【0085】
低密度域においては、発泡エラストマー組成物は、たとえば断熱材として使用される。発泡物品のための良好な例は、セントラルヒーティングシステムの熱水輸送管を覆うための断熱ホースまたは自動車クーラントシステムの輸送ホースを覆うための断熱ホースである。
【0086】
高密度域における典型的な例は、いわゆる細孔性のウェザープロフィールである。このような異形材はたとえば、窓およびドアを密封するために、自動車および建物に使用される。エラストマー組成物はわずかに発泡され、その結果異形材は、重量が減少するが、依然として良好な機械的特性を示す。自動車の重量を低下させることが継続的に必要とされているので、減量は自動車向けにとりわけ好都合である。さらには、このようなわずかに発泡した組成物の物品は、より少ない弾性ポリマーを含むので、その結果コスト削減が得られる。
【0087】
平滑な表面を呈する発泡物品は、高密度域で得られる。
【0088】
さらなる利点は、本発明による発泡物品が良好な機械的特性、とりわけ良好な極限特性、たとえば引裂強度、および破断点伸びを示すことである。さらに、本エラストマー組成物は、良好な加工性、および圧縮永久歪みについての有利な値を示す。わずかに発泡した組成物について、機械的特性はほとんど、元の発泡していないエラストマー組成物のレベルにある。これは、たとえば、建物および建設市場ならびに自動車市場向けの押出異形材におけるエラストマー組成物の使用にとって重要である。
【0089】
低密度域においては、小さい直径の気泡の均一な構造を有する断熱材が得られる。
【実施例】
【0090】
小規模組成物
実施例1〜7の組成物は、互いにかみ合う回転翼を有する3リットル容量の内部ミキサー(Shaw K1 Mark IV Intermix)を用いて、25℃の開始温度で調製した。弾性ポリマーを先ずミキサーに導入し、カーボンブラック、ホワイト充填剤および/またはオイルを加える前に30秒間粉々に砕けさせた。混合を70℃のミックス温度が達成されるまで進行させ、その時残りの原料を加えた。混合を95℃のミックス温度が達成されるまで進行させ、その時バッチを、冷却、および高レベルの原料分散を達成するためのブレンディング用の2ロールミルに移した。CaSO・2HOを2ロールミル(Troester WNU 2)に加えた。組成物を、試験目的のための2mmシート(10分、180℃)および6mmシート(12分、180℃)に圧縮成形した。試験片を使用して表2に報告される物理的特性を測定した。
【0091】
別段述べられない場合、標準手順および試験条件を、硬度(ISO 7619−1:2004)、引張強度(亜鈴型2によるISO 37:2005)、熱風老化(ISO 188:2007)、圧縮永久歪み(ISO 815−1:2008)およびムーニー(ISO 289−1:2005)について用いた。
【0092】
硬化特性は、ISO 6502:1999に従って、ML、MH、ΔS(=MH−ML)、ts2およびt’c(90)で表す。
【0093】
【表1】

【0094】
【表2】

【0095】
大規模組成物
実施例8および比較実験の組成物は、接線式回転翼を有する、70リットル容量の内部ミキサー(Farrel Bridge 3D Banbury)を用いて、25℃の開始温度で調製した。弾性ポリマーを先ずミキサーに導入し、カーボンブラック、ホワイト充填剤およびオイルを加える前に30秒間粉々に砕けさせた。混合を70℃のミックス温度が達成されるまで進行させ、その時残りの原料を加えた。混合を95℃のミックス温度が達成されるまで進行させ、その時バッチを、冷却、および良好なレベルの原料分散を達成するためのブレンディング用の2ロールミルに移した。
【0096】
ムーニー測定は、Alpha Technologies MV2000Eを用いて実施した。
【0097】
【表3】

【0098】
押出、発泡および硬化
実施例8および比較実験Aの組成物を、ダイを備えた、50−60−70−80−90−100℃のバレル温度分布の90mm押出機に供給し、次にUHFライン(Berstorff、200℃ 15m/分)および熱風(Hot Air)トンネル(Gerlach、長さ9m、3パスで210℃)を通過させた。ムーニーおよびMDR用の試験片は、MDRレオロジー試験によって測定されるようなt90の2倍に等しい硬化時間を用いて180℃で硬化させることによって調製した。
【0099】
下に詳述される方法を、スポンジ特性のより具体的な評価のために用いた。
a)スポンジ密度
スポンジ密度は、次の方法を用いてkg/cmの単位で測定した。
1)スポンジ試料を秤量し、重量を記録した;
2)試料を水の目盛り付きシリンダー中に完全に浸漬し、体積の増加(スポンジ試料によって置き換えられた水の体積)を記録した;
3)スポンジ密度を次に次の関係から計算した:
スポンジ密度[kg/m]=重量/体積[mg/ml]
b)発泡比
スポンジ密度δおよび未発泡組成物密度δをa)下の手順に従って測定する。発泡比は、次の関係から計算する。
発泡比=δ/δ
c)スポンジ圧縮たわみ
【0100】
スポンジ圧縮たわみは、指定の時間および温度で規定のたわみに試料をさらした後に弾性特性を保持するゴム組成物の能力を測定する。スポンジ圧縮永久歪みは、それらの間で試料が圧縮される2つの平行プレートからなる圧縮装置で以下の手順を用いて測定した。たわみは、上方プレートをスペーサーの高さまで下げることによって得られる。スポンジ異形材を、ホルダーの金属プレートの間に、高さ方向に挿入した。スペーサーを、規定の圧縮たわみを達成するために入れた。ホルダーのボルトを、プレートがスペーサー上にしっかりと静止するように締め付けた。試料を含有する圧縮装置をオーブンに入れ、70℃に22時間維持した。22時間の加熱期間後に、圧縮装置をオーブンから取り出し、試料を圧縮装置から直ちに取り出した。試料を30分間冷却し、次にそれらの高さを0.025mm位まで測定した。圧縮永久歪みは次のとおり計算する。
スポンジ圧縮永久歪み=(T−T)/(T−T)×100
ここで、
=元のスポンジ高さ
=最終スポンジ高さ
=使用された全スペーサーの厚さ
【0101】
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
エチレンおよびα−オレフィン由来の単位を含む弾性ポリマー、硬化パッケージならびに発泡剤を含むエラストマー組成物であって、前記発泡剤が結晶水を含有する化合物を含むことを特徴とする組成物。
【請求項2】
結晶水を含有する前記化合物が、硫酸ナトリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸銅、硫酸水素ナトリウム、塩化カルシウム、酢酸ナトリウム、酒石酸カリウムナトリウム、塩化アルミニウム、硫酸鉄、硫酸亜鉛、炭酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、塩化第一スズ(II)およびクエン酸またはその塩の水和物からなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載のエラストマー組成物。
【請求項3】
前記弾性ポリマーがエチレンおよびプロピレン由来の単位を含むことを特徴とする請求項1または2に記載のエラストマー組成物。
【請求項4】
前記弾性ポリマーが0.1〜10重量%のジエン由来の単位を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のエラストマー組成物。
【請求項5】
加工助剤、充填剤、軟化剤および安定剤またはそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの化合物を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のエラストマー組成物。
【請求項6】
前記弾性ポリマーが、シリコーンゴム、フッ素ゴム、アクリルゴム、ポリウレタンゴム、ポリアミドゴム、天然ゴム、ポリイソブチレンゴム、ポリイソプレンゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、ニトリルブチルゴム、スチレン−ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエン−スチレンゴム、スチレン−イソプレン−スチレンゴム、スチレン−エチレン−ブタジエンゴム、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンゴム、スチレン−イソプレン−プロピレン−スチレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴムまたはそれらの混合物を含むことを特徴とする請求項1または2に記載のエラストマー組成物。
【請求項7】
前記硬化パッケージが、過酸化物、樹脂および硫黄からなる群から選択される架橋剤を含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のエラストマー組成物。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載のエラストマー組成物を発泡させる工程および硬化させる工程を含む発泡物品の製造方法。
【請求項9】
前記エラストマー組成物が混練機、押出機またはミルで調製されることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記エラストマー組成物が押出、圧延、圧縮成形または射出成形によって成形されることを特徴とする請求項8または9に記載の方法。
【請求項11】
前記エラストマー組成物の前記発泡工程および硬化工程が、スチーム、赤外線加熱、マイクロ波、熱風、塩浴、流動床またはそれらのあらゆる組み合わせによって行われることを特徴とする請求項8〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記エラストマー組成物の前記発泡工程および硬化工程の少なくとも一部が120〜250℃の温度で行われることを特徴とする請求項8〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
請求項8〜12のいずれか一項に記載の方法によって得られる発泡物品。
【請求項14】
50〜1100kg/mの嵩比重を有することを特徴とする請求項13に記載の発泡物品。
【請求項15】
500〜1000kg/mの嵩比重を有することを特徴とする請求項13または14に記載の発泡物品。

【公開番号】特開2012−82420(P2012−82420A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−221832(P2011−221832)
【出願日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【出願人】(511242409)
【Fターム(参考)】