発泡性樹脂
平均粒径0.001mmから10mmを有し、連続相および粒子分散相を含む樹脂ビーズが記載されている。連続相は弾性ポリマーを含み、分散相は、1以上の重合性アリールモノマーの重合から得られる反復単位を含むホモポリマーおよび/またはコポリマーを含む。未発泡ポリマー樹脂ビーズは、弾性ポリマーを含む有機相および1以上のモノマーを液滴に分散し、低せん断流パターンで有機液滴中のモノマーを重合させることにより調製できる。ビーズに発泡剤を含侵させることができ、発泡させ、成形品の調製に使用できる。ニトリルゴムを含む連続相、および1以上の重合性アリールモノマーの重合により得られる反復単位を含む1以上のポリマーを含む分散相を有する樹脂ビーズは、未発泡体において発泡剤の長期保持性を示す。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発泡性熱可塑性樹脂ビーズに関し、具体的には、優れた靱性およびクッション性を有する発泡性樹脂、優れた発泡剤保持性、ならびにこのような樹脂から製造して得られる発泡品に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、高い発泡率を有するポリスチレンビーズを得るのは容易である。このようなビーズから製造して得られる発泡品は、高い剛性および優れた保形性を有するが、もろく、耐薬品性、耐油性および耐熱性に劣るという不都合を有する。他方では、ポリプロピレン樹脂の発泡生成物は、ポリスチレン発泡体よりも優れた弾性、耐薬品性、耐油性および耐熱性を有する。ポリプロピレン樹脂ビーズ中に含侵させた発泡剤は急速に散逸する傾向があり、従って、発泡ビーズを得るためには調製後迅速に予備発泡するかまたはこれらの発泡性樹脂ビーズを容器中、加圧下で貯蔵する必要がある。従って、このような含侵させたポリプロピレン樹脂ビーズは、貯蔵および輸送中に不都合を生じ、高い発泡率を有するポリプロピレン発泡性ビーズを得ることは一般に困難である。
【0003】
ポリプロピレンとポリスチレンを単純に混合して、両方のポリマーの望ましい特性を有する樹脂を得ようとしても、均一な混合物を得ることはできない。このような混合物から調製される発泡性生成物は、相分離を起こし、外観が優れない。ビニル芳香族ポリマーが単に物理的にポリオレフィンと混合される場合、2つの樹脂は均一には混合されず、相分離を起こすため、多くの場合、混合されるポリオレフィンの量は少ない。結果として、発泡剤の含侵および発泡率は不均一となり、均一な発泡品は得られない。さらに、ポリオレフィン含有量が低いため、得られる発泡品の靱性および弾性を向上させることができない。
【0004】
ポリエチレン粒子内で、スチレンなどのビニル芳香族モノマーを重合させることが知られている。米国特許第3,959,189号は、水性媒体中にポリエチレン樹脂粒子を懸濁し、この懸濁液にスチレンモノマーおよびモノマーの重合開始剤を粒子の重量に対して30から100重量%加え、ポリエチレン樹脂粒子内でモノマーを重合させる、ポリエチレン樹脂粒子の製造方法を開示している。ついで、好ましくはスチレンモノマーの重合およびポリエチレン樹脂の架橋後に、発泡剤を含侵させることにより粒子を発泡性にすることができる。発泡剤は、一般に、ポリエチレン−ポリスチレン樹脂粒子の重量に対して5から20重量%の量の揮発性発泡剤、すなわちn−プロパン、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、イソペンタン、n−ヘキサンおよびネオペンタンなどの脂肪族炭化水素;またはシクロブタンおよびシクロペンタンなどの脂環式炭化水素;ならびに塩化メチル、塩化エチル、塩化メチレン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン、クロロジフルオロメタンおよびジクロロテトラフルオロエタンなどのハロゲン化炭化水素である。
【0005】
米国特許第4,782,098号は、ポリフェニレンエーテル樹脂および、重合触媒の存在下で重合させて共重合熱可塑性樹脂ビーズを形成させる重合ビニル芳香族モノマーを含む発泡性共重合体ビーズを開示している。揮発性発泡剤は熱可塑性樹脂ビーズ中に加圧下で添加される。
【0006】
米国特許第4,303,756号および第4,303,757号は、ビニル芳香族モノマーをポリプロピレンの主鎖に重合させ、熱可塑性樹脂ビーズに発泡剤を添加する、発泡性熱可塑性樹脂ビーズの製造方法を開示している。発泡剤は、米国特許第4,782,098号の教示するものと同じである。
【0007】
米国特許第4,429,059号は、発泡剤3から15重量部および発泡助剤0.5から5重量部の混合物をポリオレフィン粒子100重量部に加えることを含む発泡性ポリオレフィン粒子の製造方法を開示している。第2段、第63から66行は、発泡助剤が粒子の内部を塑性状態にさせ、粒子の発泡を促進することを教示している。流動化剤として用いられる代表的な発泡助剤は、ベンゼン、トルエン、キシレン、トリクレン、パークレン、シクロヘキサン、四塩化炭素などである。
【0008】
同様に、発泡させて発泡品を形成することができる、ポリオレフィンおよびビニル芳香族モノマーのポリマーの共重合体は米国特許第4,303,756号、第4,303,757号、第4,622,347号、第4,647,593号、第4,692,471号、第4,677,134号、および第4,666,946号ならびに米国出願公開第2004/0152795号に開示されている。
【0009】
ポリオレフィンおよびビニル芳香族モノマーのポリマーの共重合体を発泡させて、優れた靱性およびクッション性を有することを特性とする材料を形成することはできるが、このような材料のコストにより、この商業的有用性は限定されている。
【0010】
スチレン、アルファメチルスチレンおよび環置換スチレンなどのモノビニル芳香族化合物のゴム強化ポリマーは種々の用途に望ましいこともまた知られている。より具体的には、ポリブタジエンなどのゴムの離散粒子であって、スチレンポリマーマトリックス中に分散させたゴムの離散粒子をこの中に含むスチレンのゴム強化ポリマーを、冷蔵庫内張り、包装用途、家具、家電製品および玩具を含む種々の用途に使用できる。このようなゴム強化ポリマーは通常、「耐衝撃性ポリスチレン」または「HIPS」と呼ばれる。HIPSの物理的特性および機械的特性は、ゴム粒子の粒径および架橋量を含む多くの因子によって決まる。
【0011】
米国特許第4,777,210号は、耐衝撃性ポリスチレンを製造し、信頼性および再現性のある粒径を変える方法を提供する連続流れ方式を開示している。この方法によれば、スチレン、ポリスチレン、ゴム(ポリブタジエンなど)およびペルオキシド触媒の溶液を耐衝撃性ポリスチレン材料に変換するために予備反転反応器が使用される。
【0012】
米国特許第4,144,204号は、重合前にモノマー中に溶解されるゴムの量が、高衝撃性ポリマー中の軟成分(ゲル相)の含有量が耐衝撃性ポリマーの重量に対して少なくとも28重量%になるように選択される、ゴム変性モノビニル芳香族化合物を開示している。
【0013】
英国特許第2,153,370号は、表示分子量が少なくとも300,000であり、粘度が140cps超である高分子量ゴム材料を用いて製造されるHIPS材料を開示している。得られるHIPSはゴムを7から10重量%含み、アルファメチルスチレンダイマーまたは、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、ジフェニル1,3ブタジエン、もしくは種々の他の化合物またはこれらの混合物から選択される化合物の存在下で重合が行われる。また、この方法は、全成分の少なくとも7重量%に等しいシクロヘキサンおよびエチルベンゼンの存在下で行われる。さらに、ポリエチレンワックスからのステアラートのモノトリグリセリド添加剤もまた必要であった。
【0014】
米国特許第5,084,513号は、1以上の有機溶媒および1以上のビニル芳香族モノマーの混合物中にポリアルキレンポリマーを溶解し、ついで該混合物を重合させることによるポリアルキレンポリマーのゲルの調製方法を含む、安定な入れ子型ポリマーブレンドネットワークの製造方法を開示している。
【0015】
通常、HIPSタイプ材料は、ポリオレフィンおよびビニル芳香族モノマーのポリマーの共重合体よりも安価であり優れた耐衝撃性を有するが、もろくおよび/または靱性を欠く場合があり、発泡させて、ポリオレフィンおよびビニル芳香族モノマーのポリマーの共重合体により獲得される望ましい物理的特性を有する製品を得ることは一般にできない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
従って、発泡させて、ポリオレフィンおよびビニル芳香族モノマーのポリマーの共重合体を用いて得られる靱性およびクッション性と匹敵する靱性およびクッション性を有する製品を形成できる、弾性またはゴムタイプ材料およびモノビニル芳香族モノマーのポリマーを含む材料が当分野で求められている。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、平均粒径0.001mmから10mmを有し、連続相および粒子分散相を含む未発泡樹脂ビーズを提供する。連続相は1以上の弾性ポリマーを含む。分散相は、1以上の重合性アリールモノマーの重合により得られる反復単位を含む1以上のホモポリマーおよび/またはコポリマーを含む。
【0018】
本発明は、
I)静止状態または流れ状態であり得る水相中の有機液相の有機液滴分散液を形成するステップであって、前記有機相が、1以上の重合性アリールモノマーを含むモノマー溶液に溶解した1以上の弾性ポリマーを含む有機溶液を含み、前記分散有機液滴が平均直径約0.001mmから約10mmを有する前記分散液を形成するステップ、および
II)低せん断流パターンの分散有機液滴中のモノマーを重合させるステップ、
を含む、上記の樹脂ビーズの製造方法を提供する。
【0019】
本発明はさらに、上記の樹脂ビーズのいずれかを含む成形品を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
実施例中または他に記載されている場合を除き、明細書および特許請求の範囲中で使用される成分の量、反応条件などの関する全ての数または表現は、全ての場合で用語「約」により修飾されていると理解されるべきである。従って、特記しない限り、以下の明細書および添付の特許請求の範囲中で示される数値パラメーターは、本発明が得ようとする望ましい特性に基づいて変化しうる近似値である。最低限でも、および特許請求の範囲に対する均等論の適用の制限を意図するものではなく、各数値パラメーターは、少なくとも、報告された有効桁数を考慮し、普通の丸め法を適用して解釈されるべきである。
【0021】
広い本発明の範囲を示す数域および数値パラメーターが近似値であるが、具体例で示される数値はできるだけ正確に報告されている。しかしながら、いずれの数値も、本来、各試験測定において見いだされる標準偏差値に必然的に起因する特定の誤差を含む。
【0022】
同様に、本明細書に記載のいずれの数域も、ここに包含されるすべての部分範囲を含むものと解釈されなければならない。例えば、範囲「1から10」は、記載されている最小値1および記載されている最大値10の間のすべての部分範囲を含む(すなわち1以上の最小値および10以下の最大値を有する)ものとする。開示される数域は連続的であるため、最小値と最大値間のあらゆる数値を含む。特記しない限り、本出願に記載の種々の数域は近似値である。
【0023】
本明細書において、用語「(メタ)アクリリック」、「(メタ)アクリレート」および(メタ)アクリロニトリルは、アクリル酸およびメタアクリル酸誘導体(例えば対応するアルキルエステルはしばしばアクリレートおよび(メタ)アクリレートと呼ばれる)ならびにアクリロニトリルおよび(メタ)アクリロニトリルの両方を含むと解され、用語「(メタ)アクリレート」および「(メタ)アクリロニトリル」はそれぞれ、これらを包含すると解される。
【0024】
本明細書において、用語「ポリマー」は、限定するものではないが、ホモポリマー、コポリマー、グラフトコポリマー、ならびにこれらの混合物および組み合わせを含むと解される。
【0025】
特記しない限り、すべての分子量値は、適切なポリスチレン標準品を用い、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定される。特記しない限り、本明細書に記載の分子量値は重量平均分子量(Mw)である。
【0026】
本明細書において、用語「弾性ポリマー」は、力の影響を受けて変形を起こし、力が取り外されたとき元の形状を回復する能力を有する、天然または合成のポリマー、ゴム、またはルベロイド(rubberoid)材料を指す。
【0027】
本明細書において、用語「形態」は、連続相中の弾性ポリマーおよび分散相中のホモポリマーおよび/またはコポリマーならびに互いの相対的な空間配置により占められる、大きさ、形状、鎖配列およびドメインの特徴などの微細構造特性を指す。
【0028】
本明細書において、用語「架橋されたクモの巣状形態」は、連続相中の弾性ポリマーのドメインが、クモの巣状構造の平行、鉛直、円周、接線、および/または角の糸の三次元網状構造に配置されている微細構造ビーズ形態であって、網状構造の糸の大部分が、互いに架橋されているおよび/または編まれており、この少なくとも一部が網状構造中に分散されている離散粒子として存在する分散相の離散粒子ドメイン部位で(またはにより)架橋されている前記形態を指す。
【0029】
本明細書において、用語「クモの巣状構造」は、樹脂ビーズ中の骨組みを構成する任意の連結された一連の糸を指す。
【0030】
本明細書において、表現「場合により、局所的に形成された分岐および/または相互メッシュ構造体により少なくとも部分架橋および/または連結された、高いアスペクト比を有する糸を含む形態」は、連続相中の弾性ポリマーが、高いアスペクト比(限定するものではないが、例として100超)を有する各糸状ドメインとして存在する微細構造ビーズ形態であって、場合により、ドメインの一部(の大部分ではない)が互いに架橋されており、分散相が、連続相の糸状ドメイン中に分散および混じりあう離散粒子ドメインとして存在する前記形態を指す。この形態は、連続相の糸状ドメイン間の架橋および骨組み構造が実質的により少ないという点で架橋されたクモの巣状形態と区別される。
【0031】
本明細書において、用語「ビーズ」、「樹脂ビーズ」、「未発泡樹脂ビーズ」および「未発泡粒子」は、実質的に同じ大きさと形を有し、液滴中のモノマーの重合の直後に有機液滴から形成され、上記の形態のいずれかを有する、樹脂ビーズを指す。
【0032】
本明細書において、用語「発泡樹脂ビーズ」および「発泡粒子」は、発泡剤が含侵され、ついでこの少なくとも一部が、樹脂ビーズおよび/または粒子の容量が増加し、従ってこれらのかさ密度が減少する形で除去される(限定するものではないが、例として加熱発泡後にビーズから蒸発および拡散される)樹脂ビーズおよび/または粒子を指す。
【0033】
最も広い意味では、用語「低せん断流パターン」は、運動中に液滴が受けるせん断応力により、液滴の形状を実質的に変形または変化させることなく、水性連続相中の分散有機液滴の運動および流れを維持する方法を指す。特定の実施形態において、用語「低せん断流パターン」は、運動中に液滴が受けるせん断応力が、有機相中で転相が起こらないように十分低い、水性連続相中の分散有機液滴の運動および流れを維持する方法を指す。表現「有機相中で転相が起こらない」は、得られる樹脂ビーズが、1以上の弾性ポリマーを含む連続相ならびに、場合により1以上の非アリールモノマーを含む1以上のアリール重合性モノマーの重合から得られる反復単位を含む1以上のホモポリマーおよび/またはコポリマーを含む分散相を有することを意味する。
【0034】
本明細書において、用語「架橋ポリマー」は、互いに結合させた2以上のポリマー鎖(分子レベルで)を指す。本明細書において、ポリマー組成物中の低レベルの架橋(限定するものではないが、例として、5%未満)を分枝鎖ポリマーと呼ぶ。本明細書において、ポリマー組成物中の高レベルの架橋(限定するものではないが、例として25%より大きい)を網状構造と呼ぶ。
【0035】
本発明は連続相および粒子分散相を含む未発泡樹脂ビーズに関する。
【0036】
未発泡樹脂ビーズは任意の適切な形状を有することができ、限定するものではないが、例として、円形、卵形、楕円形、および/または円筒形の断面形状であり得る。本発明の一実施形態において、ビーズは実質的に形状が球形(断面が円形または楕円形)である。
【0037】
本発明の一実施形態において、未発泡樹脂ビーズのアスペクト比は10未満、場合によって7未満、他の場合において5未満である。
【0038】
未発泡樹脂ビーズは、少なくとも0.001mm、場合によって少なくとも0.01mm、他の場合において少なくとも0.05mm、場合によって少なくとも0.1mmの平均粒径を有する。さらにまた、未発泡ビーズの粒径は、最大10mm、場合によって最大9mm、他の場合において最大8mm、場合によって最大7mm、他の場合において最大6mm、場合によって最大4mmであり得る。未発泡樹脂ビーズ径は、未発泡ビーズを用いて製造する発泡品に望ましい特性ならびに加工条件に基づいても決定される。
【0039】
平均ビーズ径は、標準化された漸減する篩目を有する一連の篩にビーズ試料を通過させて、それぞれの篩目に対応する粒径を有する試料塊分画を決定する、篩い分けとして当業界に周知の通常の機械的分離方法により測定できる。
【0040】
代替法において、ビーズの所与の母集団から採取したビーズ試料を撮影し、画像中の各ビーズの直径の大きさを決めることができる、当分野で公知のソフトウェアを用いて写真画像を分析することにより、平均ビーズ径を測定できる。上記のいずれかの方法により得られる一連の直径を用いて、試料の平均直径、標準偏差値、および試料径分布を算出できる。未発泡樹脂ビーズの平均粒径は、上記の任意の値または上記の任意の値の範囲内であり得る。
【0041】
本樹脂ビーズは、1以上の弾性ポリマーを含む連続相を含む。任意の適切な弾性ポリマーを本発明に使用できる。適切な弾性ポリマーは、以下に記載する望ましい特性を得ることを可能にする弾性ポリマーである。
【0042】
本発明の一実施形態において、適切な弾性ポリマーは、ブタジエンまたはイソプレンのホモポリマー、共役ジエンとアリールモノマーおよび/または(メタ)アクリロニトリルとのランダム、ブロック、ABジブロック、またはABAトリブロックコポリマーならびにエチレンとビニルアセテートとのランダム、交互またはブロックコポリマー、およびこれらの組み合わせを含む。
【0043】
本明細書において、用語「共役ジエン」は、構造中に1つの単結合により分離された2つの二重結合を含むが2つの二重結合が芳香族基の一部ではない、4から32個の炭素原子および場合によりO、S、またはNから選択されるヘテロ原子を含む、直鎖、分枝鎖または環状炭化水素を指す。
【0044】
本発明の特定の実施形態において、弾性ポリマーは、スチレン−ブタジエン、スチレン−ブタジエン−スチレン、スチレン−イソプレン、スチレン−イソプレン−スチレン、部分的に水素化されたスチレン−イソプレン−スチレン、エチレン−ビニルアセテートおよびこれらの組み合わせのジブロックおよびトリブロックコポリマーから選択される1以上のブロックコポリマーを含む。
【0045】
本発明の他の特定の実施形態において、適切な弾性ポリマーは、限定するものではないがブタジエン、イソプレン(すなわち2−メチル−1,3−ブタジエン)、3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエンおよび1,3−ペンタジエンなどの共役ジエンの1以上と、アクリロニトリルまたはメタアクリロニトリルなどの適切な不飽和ニトリルの1以上と、場合により、アクリル酸、メタアクリル酸、イタコン酸およびマレイン酸などの極性モノマー、メチルアクリレートおよびブチルアクリレートなどの不飽和カルボン酸のアルキルエステル;メトキシアクリレート、エトキシエチルアクリレート、メトキシエチルアクリレート、アクリルアミド、メタアクリルアミドなどの不飽和カルボン酸のアルコキシアルキルエステル;N−メチロールアクリルアミド、N,N’−ジメチロールアクリルアミドおよびN−エトキシメチロールアクリルアミドなどのN−置換アクリルアミド;N−メチロールメタアクリルアミド、N,N’−ジメチロールメタアクリルアミド、N−エトキシメチルメタアクリルアミドおよび塩化ビニルなどのN−置換メタアクリルアミドとの1以上のコポリマーを含む。これらのコポリマーは、限定するものではないがスチレン、o−、m−、p−メチルスチレン、ジメチルスチレンおよびエチルスチレンなどのビニル芳香族モノマーの1以上の重合により得られる反復単位を含むこともできる。これらのタイプのコポリマーは、「アクリロニトリルブタジエンゴム」または「アクリロニトリルブタジエンスチレンゴム」として知られ、または当業者により「ニトリルゴム」と総称される。
【0046】
本発明のいくつかの実施形態において、好ましくは適切な水素化触媒を用い、水素の存在下でニトリルゴムを部分的に水素化することができる。適切な水素化触媒は当業界に周知であり、限定するものではないがロジウムおよびルテニウム触媒を含む。「部分的に水素化された」は、ニトリルゴムの炭素−炭素二重結合がニトリル基の炭素−窒素三重結合よりも優先的に水素化され、ニトリル基の炭素−窒素三重結合がほとんど変化を受けないように、水素化が選択的に行われることを意味する。表現「ほとんど変化を受けない」は、ニトリルゴム中に当初は存在していたニトリル基の10%未満、場合によっては5%未満、他の場合には2%未満が水素化されることを意味する。種々の程度の水素化のポリマーを得るために、ニトリルゴムの水素化を調節することができる。炭素−炭素二重結合の水素化の程度は、当業者に周知の方法である、IRまたはNMR分光法を用いて測定できる。
【0047】
本発明の実施形態において、本発明に記載の樹脂ビーズ中の連続相に「ニトリルゴム」を用いることにより、室温・室圧での発泡剤(限定するものではないが、例としてペンタン)の長期保持性がもたらされる。
【0048】
本発明の一実施形態において、弾性ポリマーの重量平均分子量は、少なくとも6,000であり、場合によっては少なくとも10,000であり、他の場合において少なくとも15,000であり、場合によっては少なくとも20,000であり、他の場合において少なくとも25,000である。同様に、弾性ポリマーの重量平均分子量は、最大500,000、場合によっては最大450,000、他の場合において最大400,000、場合によっては最大350,000、他の場合においては最大300,000、特定の場合においては最大250,000であり得る。使用される弾性ポリマーの重量平均分子量は、ビーズの望ましい物理的特性に基づいて決定される。弾性ポリマーの重量平均分子量は、上記の任意の値または上記の任意の値の範囲内であり得る。
【0049】
本発明の一実施形態において、未発泡樹脂ビーズ中の弾性ポリマーは架橋されていることができる。弾性ポリマーは、下記の1以上のアリールおよび/または非アリール重合性モノマーの単独重合または共重合中または後(前を除く)に架橋されていることができる。この実施形態において、弾性ポリマーは、望ましい物理的特性を得るために必要な程度まで架橋されている。一実施形態において、弾性ポリマーは低レベルの架橋を含む。
【0050】
本樹脂ビーズは、1以上の重合性アリールモノマーの重合により得られる反復単位を含む1以上のホモポリマーおよび/またはコポリマーを含む分散相を含む。
【0051】
本明細書において、用語「重合性アリールモノマー」または「アリールモノマー」は、2から12個の炭素原子を含む非芳香族不飽和炭化水素基および6から24個の炭素原子を含む芳香族化合物から水素原子を除いて得られる基を含む分子を指す。
【0052】
本発明の一実施形態において、アリールモノマーはスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、ジメチルスチレン、これらの核臭素化または核塩素化誘導体およびこれらの組み合わせの1以上を含む。
【0053】
本発明の他の実施形態において、分散相は、場合により1以上の非アリールモノマーを含むアリールモノマーのコポリマーを含む。任意の適切な非アリールモノマーを本発明に使用できる。適切な非アリールコモノマーは、限定するものではないが、無水マレイン酸、マレイン酸、マレイミド、フマル酸、マレイン酸のC1−C12直鎖、分枝鎖または環状アルキルエステル、フマル酸のC1−C12直鎖、分枝鎖または環状アルキルエステル、イタコン酸、イタコン酸のC1−C12直鎖、分枝鎖または環状アルキルエステル、無水イタコン酸、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブチレン、2−ブテン、ジイソブチレン、1−ペンテン、2−ペンテン、1−ヘキセン、2−ヘキセン、3−ヘキセン、ビニルアセテート、(メタ)アクリル酸のC1−C12直鎖、分枝鎖または環状アルキルエステル、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル、二官能性以上のモノマー(限定するものではないが、例としてジビニルベンゼンおよび共役ジエンなど)、およびこれらの組み合わせを含む。
【0054】
本発明の一実施形態において、未発泡樹脂ビーズ中のアリールモノマーのホモポリマーおよび/またはコポリマーは架橋され得る。この実施形態において、ホモポリマーおよび/またはコポリマーは望ましい物理的特性を得るために必要な程度まで架橋される。一実施形態において、ホモポリマーおよび/またはコポリマーポリマーは低レベルの架橋を含む。
【0055】
本発明の一実施形態において、分散相中のホモポリマーおよび/またはコポリマーの重量平均分子量は少なくとも10,000、場合によっては少なくとも15,000、他の場合において少なくとも20,000、例によっては少なくとも25,000、他の例では少なくとも30,000、環境によっては少なくとも35,000であり、最大1,000,000、場合によっては最大750,000、他の場合において最大600,000、例によっては最大500,000、他の例では最大250,000であり得る。分散相中のホモポリマーおよび/またはコポリマーの分子量は使用される重合条件および得られるビーズの望ましい物理的特性によって決まる。分散相中のホモポリマーおよび/またはコポリマーの分子量は、上記の任意の値または上記の任意の値の範囲内であり得る。
【0056】
一般に、「アリールモノマー」または「非アリールモノマー」(本明細書においては単に「モノマー」とも呼ぶ)は、分散相中で実質的に高度にホモポリマーおよび/またはコポリマーに変換される。この場合、樹脂ビーズ中の未反応モノマーの量は、樹脂ビーズの重量に対して、5重量%未満、場合によっては4重量%未満、他の場合において2.5重量%未満であり得る。
【0057】
本発明の一実施形態において、モノマーの少なくとも一部は、連続相中の弾性ポリマーの少なくとも一部にグラフトされる。
【0058】
本発明の他の実施形態において、アリールモノマーのホモポリマーおよび/またはコポリマーの一部は連続相中に存在する。本実施形態において、連続相中に存在するホモポリマーおよび/またはコポリマーの量は、樹脂ビーズ中に存在するアリールモノマーの全ホモポリマーおよび/またはコポリマーに対して、少なくとも0.01重量%、場合によっては少なくとも0.1重量%、他の場合において少なくとも1重量%であり、最大50重量%、場合によっては最大40重量%、他の場合において最大30重量%、例によっては最大20重量%、他の例では最大10重量%、特定の環境において最大5重量%であり得る。連続相中に存在するアリールモノマー中のホモポリマーおよび/またはコポリマーの量は、樹脂ビーズの調製に使用される工程のタイプによって決まる。樹脂ビーズの連続相中のアリールモノマーのホモポリマーおよび/またはコポリマーの量は、上記の任意の値または上記の任意の値の範囲内であり得る。
【0059】
本発明の一実施形態において、樹脂ビーズはこの外面の実質的に全部を被覆するスキン層を含むことができる。スキン層の厚みは、少なくとも0.1μm、場合によっては少なくとも0.25μm、他の場合において少なくとも0.5μm、例によっては少なくとも1μm、他の例では少なくとも1.5μm、環境によっては少なくとも2μmであり得る。さらに、スキン層の厚みは、最大7μm、場合によっては最大6μm、他の場合において最大5μmであり得る。スキン層の厚みは、下記のようにスキン層の容量により限定される。樹脂ビーズのスキン層の厚みは、上記の任意の値または上記の任意の値の範囲内であり得る。
【0060】
樹脂ビーズのスキン層は、樹脂ビーズの容量のごく一部を占める。この場合、スキン層は樹脂ビーズの少なくとも1容量パーセント、場合によっては少なくとも2.5容量パーセント、他の場合において少なくとも5容量パーセントを構成することができる。同様に、スキン層は樹脂ビーズの最大25容量パーセント、場合によっては最大20容量パーセント、他の場合において最大15容量パーセント、例によっては最大10容量パーセントを構成することができる。樹脂ビーズのスキン層を構成する樹脂ビーズの容量は、上記の任意の値または上記の任意の値の範囲内であり得る。
【0061】
本発明の一実施形態において、樹脂ビーズのスキン層は、前述のとおり、分散相のホモポリマーおよび/またはコポリマーを含む。
【0062】
本発明の一実施形態において、本樹脂ビーズは、225℃、場合によっては200°、他の場合において175℃の温度に10分間暴露されるとき溶融または分解しない。
【0063】
本発明の未発泡樹脂ビーズは、
A)1以上の重合性アリールモノマーを含むモノマー溶液に溶解した1以上の弾性ポリマーを含む、静止状態または流れ状態であり得る水相中の有機液相の有機液滴分散液を形成するステップ、
B)低せん断流パターンの分散有機液滴中のモノマーを重合させて未発泡ポリマービーズを形成するステップ、
により調製できる。
【0064】
本発明の一実施形態において、有機液滴分散液は、静止状態または流れ状態であり得る水相の自由表面下の有機相を圧力噴霧することにより形成される。
【0065】
本発明の他の実施形態において、静止状態または流れ状態であり得る水相中の有機液相の有機液滴分散液は、機械撹拌を加えることにより形成される。
【0066】
本明細書において用語「水相」は、分散液中の連続相が水を含むことが限定されまたは必要とされることを意味しない。本明細書においては、「水相」は、水および/または他の極性および/またはプロトン性溶媒(限定するものではないが、例としてアルコール、グリコール、およびグリセリン)を含むことができる、分散液中の非有機相を指す。
【0067】
有機相(すなわち有機液滴)は、水相の密度の±20%の密度を有することができる。
【0068】
さらにまた、有機相(すなわち有機液滴)は、前述のとおり、1以上の重合性アリールモノマーを含むモノマー溶液に溶解した1以上の上記弾性ポリマーを含む有機溶液を含むことができる。
【0069】
有機相の分散液滴は、有機液体および水性液の全容量の少なくとも0.01容量パーセント、場合によっては0.1容量パーセント、他の場合において少なくとも1容量パーセント、例によっては少なくとも5容量パーセントを構成することができる。さらに、分散有機相液滴は、有機液体および水性液の全容量の最大60容量パーセント、場合によっては最大55容量パーセント、他の場合において最大50容量パーセント、状況によっては最大45容量パーセント、他の状況において最大40容量パーセントの量で存在することができる。分散有機相液滴は上記の任意のレベルまたは上記の任意の値の範囲内であり得る。
【0070】
水性液または水相は、有機液体および水性液の全容量の少なくとも40容量パーセント、場合によっては45容量パーセント、他の場合において少なくとも50容量パーセント、例によっては少なくとも55容量パーセント、他の例では少なくとも60容量パーセントを構成することができる。さらに、水性液または水相は、有機液体および水性液の全容量の最大99.99容量パーセント、場合によっては最大99.9容量パーセント、他の場合において最大99容量パーセント、状況によっては最大95容量パーセントの量で存在することができる。水性液または水相は、上記の任意のレベルまたは上記の任意の値の範囲内であり得る。
【0071】
有機相は、有機相が分散液タンクまたは反応器中に供給されるように、貯蔵タンク、またはパイプもしくはループリアクター中に含まれ得る。
【0072】
本分散液中の分散有機液滴は、少なくとも0.001mm、場合によっては少なくとも0.01mm、他の場合において少なくとも0.1mm、他の例では少なくとも1mmの平均直径を有することができる。同様に、本分散液中の分散有機液滴は、最大10mm、場合によっては最大7.5mm、他の場合において最大5mmの平均直径を有することができる。分散有機液滴の粒径は、使用される装置、分散液を製造するために使用される特定の配合物および使用される撹拌の種類により決まる。望ましい最終ビーズ径は、分散有機液滴の望ましい粒径を特定するために使用される。液滴の粒径分布は、重合させたビーズの粒径分布を推定するための前述の方法の1つ、すなわち母集団から試料を採取し、液滴を撮影し、画像中の液滴の直径の大きさを決めることができる当分野で公知のソフトウェアを用いて写真画像を分析する方法を用いて測定できる。得られる一連の直径を用いて、試料の平均直径、標準偏差値、および試料径分布を算出できる。本明細書に記載の噴霧方法により分散液滴が得られる特定の場合において、液滴の粒径分布は、ビデオカメラで分散工程を記録し、噴霧工程中、異なる時間に分散液滴のそれぞれの記録画像を捕捉することにより推定することもできる。ついで、画像上に表示された液滴の直径を測定することができる当分野で公知のソフトウェアを用いて液滴の粒径に関して分析することができる。平均液滴径、標準偏差値および液滴径分布などの統計パラメーターを算出するために、一連の得られた液滴径が用いられる。本分散液中の分散有機液滴の粒径は、上記の任意の値または上記の任意の値の範囲内であり得る。
【0073】
本発明において、分散有機液滴は低せん断流パターンで重合される。すなわち、液滴が運動中に受けるせん断応力を最小にするために、分散液に最小限の撹拌エネルギーが加えられる。このようにして、液滴間の混合および液滴の形状の任意の変形または変化が最小にされる。本方法におけるこの工程の特徴により、連続相が弾性ポリマーを含み、分散相が1以上の重合性アリールモノマーのホモポリマーおよび/またはコポリマーを含む有機相の分散液滴が望ましい形態を有する樹脂ビーズをもたらすミニバルク反応器としてふるまうことが可能となる。
【0074】
逆に、スチレン/弾性有機相の重合中激しい混合を用いて高せん断および高乱流レベルを生じることにより、転相が促進され、前述の本発明による形態と反対の樹脂形態が得られることが当分野において知られている(例えば、Freeguard G.F.,J.of Applied Polymer Science,vol 15,No 7,1971,pg.1657−1663,Production of rubber modified polystyrene.II Significance of shear in phase inversion.; Keskkula H.,Plastics and Rubber.Materials and Applications.Vol.4,1979,pg.66−71 Factors influencing rubber phase morphology in polystyrene; Keskkula H.Plastics and Rubber.Materials and Applications.May,1979,pg.71−76,Phase separation in polybutadiene−polystyrene systems; Wagner E.R.,Robeson L.M.,Rubber Chemistry and Technology,vol.43,1970,pg.1129−1137,Impact polystyrene: factors controlling the rubber efficiency; Soto G.et al.J.of Applied Polymer Science,vol.92,No.3,May 5,2004,pg.1397−1412,Bulk Polymerization of Styrene in the Presence of Polybutadiene: Effect of Initiator Type and Prepolymerization Conditions on Particle Morphology; Molau G.E.,Keskkula H.,J.Polymer Science,vol.4 ,1966,pg.1595−1607,Heterogeneous polymer systems.IV.Mechanism of rubber particle formation in rubber modified vinyl polymers; Riess G.,Gaillard P.,Preparation of rubber−modified polystyrene: influence of the reaction conditions on phase inversion and morphology,Polymer reaction engineering: influence of reaction engineering on polymer properties,Edited by Reichert and Geisekler,Munich 1983; Eastmond G.C,Phillips D.G.,Colloid and polymer Science,vol262,No.8,1984,pg.627−634,On the Form and Formation of Rubber Particles in Impact Polystyrene and Their Relationship to Natural and Synthetic Materialsを参照のこと)。従って、高せん断および高乱流レベル下の重合は、1以上の重合性アリールモノマーのホモポリマーおよび/またはコポリマーを含む連続相中で弾性ポリマーが離散した吸蔵を形成する形態を生じうる。例えば、一般的な耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)樹脂ビーズは、連続スチレンポリマーマトリックス中に分散した弾性ポリマーの離散粒子を含む。HIPSの調製方法は、溶解弾性成分を含むスチレンの予備重合中の激しい撹拌方法を含み、ついでスチレンモノマーの分散およびさらなる重合を含む。得られたHIPS樹脂形態は、本発明が提供するものとまさに正反対である。
【0075】
さらに、弾性ポリマーを含む連続相および重合性アリールモノマーのホモポリマーおよび/またはコポリマーを含む分散相を含むバルク材料を得ることができるバルク重合方法(例えば、混合または撹拌を用いないインサイチュー重合方法)は存在するが、従来の方法は、このような形態を有する樹脂ビーズの製造を提供しない。
【0076】
驚くべきことに、本発明者らは、分散有機液滴が前述のとおり低せん断流パターンで重合されるとき、上記の形態を有する樹脂ビーズが形成される。すなわち、本発明の樹脂ビーズは、連続相が弾性ポリマーを含み、分散相が1以上の重合性アリールモノマーのホモポリマーおよび/またはコポリマーを含む形態を有する。形態の正確な性質は、低せん断流パターンを与えるために使用される方法により与えられる撹拌およびエネルギー入力のタイプにより影響を受けうる。
【0077】
一般に、重合中、大変低いせん断および/またはエネルギー入力条件下で架橋されたクモの巣状形態が存在する。より高いせん断および/またはエネルギー入力を提供する低せん断流パターン条件下で、局所的に形成された分岐および/または相互メッシュ構造体により場合により少なくとも部分架橋および/または連結された、高いアスペクト比を有する糸を含む形態が樹脂ビーズ中に存在する。
【0078】
本発明において、有機液相は、周囲温度および圧力で測定するとき、少なくとも0.1センチポアズ(cps)、場合によっては少なくとも10cps、他の場合において少なくとも50cps、状況によっては少なくとも100cpsのせん断粘度を有することができ、最大10,000cps、場合によっては最大8,000cps、他の例において最大6,000cps、場合によっては最大4,500cps、他の場合において最大2,500cpsのせん断粘度を有することができる。有機液相の粘度は、上記の任意の値または上記の任意の値の範囲内であり得る。
【0079】
有機相は、1以上の重合性アリールモノマーを含むモノマー溶液に溶解した弾性ポリマーを含む有機溶液を含む。この場合において、弾性ポリマーは有機溶液の少なくとも1重量%、場合によっては少なくとも5重量%、他の場合において少なくとも10重量%の量で有機溶液中に存在する。同様に、弾性ポリマーは有機溶液の最大50重量%、場合によっては最大40重量%、他の場合において最大30重量%存在することができる。使用される弾性ポリマーの正確な量は、これから製造して得られる樹脂ビーズおよび/または発泡樹脂ビーズに望ましい特性によって決まる。有機溶液中の弾性ポリマーの量は、上記の任意の量または上記の任意の量間の範囲内であり得る。
【0080】
さらに、モノマー溶液は、有機溶液の少なくとも50重量%、場合によっては少なくとも60重量%、他の場合において少なくとも70重量%の量で有機溶液中に存在することができる。同様に、弾性ポリマーは、有機溶液の最大99重量%、場合によっては最大95重量%、他の場合において最大90重量%存在することができる。使用されるモノマー溶液の正確な量および組成は、これから製造して得られる樹脂ビーズおよび/または発泡樹脂ビーズに望ましい特性によって決まる。有機溶液中のモノマー溶液の量は、上記の任意の量または上記の任意の量間の範囲内であり得る。
【0081】
本樹脂ビーズの分散相中にホモポリマーが望ましい場合、モノマー溶液はアリールモノマーの1種のみを含む。樹脂ビーズの分散相にコポリマーが望ましい場合、アリールモノマーは、モノマー溶液の少なくとも25重量%、場合によっては少なくとも35重量%、他の場合において少なくとも40重量%の量でモノマー溶液に含まれ得る。同様に、アリールモノマーはモノマー溶液の最大99重量%、場合によっては最大95重量%、他の場合において最大90重量%、例によっては最大80重量%、他の例において最大75重量%含まれ得る。モノマー溶液中に使用されるアリールモノマーの正確な量およびタイプは、これから製造して得られる樹脂ビーズおよび/または発泡樹脂ビーズに望ましい特性によって決まる。モノマー溶液中のアリールモノマーの量は、上記の任意の量または上記の任意の量間の範囲内であり得る。
【0082】
同様に、樹脂ビーズの分散相にコポリマーが望ましい場合、非アリールモノマーは、モノマー溶液の少なくとも1重量%、場合によっては少なくとも5重量%、他の場合において少なくとも10重量%、例によっては少なくとも20重量%、他の例において少なくとも25重量%の量でモノマー溶液中に含まれ得る。同様に、非アリールモノマーはモノマー溶液の最大75重量%、場合によっては最大65重量%、他の場合において最大55重量%含まれ得る。モノマー溶液中に使用される非アリールモノマーの正確な量およびタイプは、これから製造して得られる樹脂ビーズおよび/または発泡樹脂ビーズに望ましい特性によって決まる。モノマー溶液中の非アリールモノマーの量は、上記の任意の量または上記の任意の量間の範囲内であり得る。
【0083】
有機液相の均一な液滴の生成を促進するために水相(懸濁媒体)を選択することができる。水相の粘度は、少なくとも1cps、場合によっては少なくとも2cps、他の場合において少なくとも5cpsであることができ、最大400cps、場合によっては最大250cps、他の場合において最大100cpsであり得る。水相の粘度は、上記の任意の値または上記の任意の値の範囲内であり得る。
【0084】
さらに、水相は有機液相の密度とは十分に異なる密度を有することができる。本発明の一実施形態において、水相の密度は、分散有機液体の液滴の密度と比較して等しいかまたはこれより大きく、水相の密度は、分散有機液体の液滴の密度の約1.02から約1.2倍である。分散有機液体がさらに重合される場合、分散液滴または粒子の密度は変化しうるが、通常は増加する。もしくはまた、分散有機液体の液滴が懸濁媒体中を降下する場合、水相の密度は分散有機液体の液滴の密度の約0.98から約0.80倍でありうる。
【0085】
水相は適切には不活性であり、有機液相に不混和性である。本明細書において、用語「不混和性」は、有機液相の約1重量パーセント未満が懸濁液に混和性(または可溶性)である(すなわち、水相が有機液相を約1重量パーセントより大きく溶媒和しない)ことを意味する。本発明の一実施形態において、有機液相の約0.1重量パーセント未満が水相に混和性である。
【0086】
水相は水を含み、水と、メタノールまたはブタノールなどの低級アルキルアルコールなどの1以上の水混和性有機液体との混合物であり得る。有機液相に不混和性であり、水相に不混和性であってもなくてもよい有機液体、および塩の添加を、水相の密度を変える(増加させる)ために使用できる。
【0087】
本発明の一実施形態において、水相は1以上の界面活性剤または懸濁助剤を含む。しかしながら、有機液相に懸濁助剤を添加することも可能である。適切な懸濁助剤は、望ましい粒径の長球形液滴のモノマー相を形成させ、このように形成された液滴の融合または二次分散(破損)を妨げることを可能にする材料である。
【0088】
懸濁安定剤は当業界に周知であり、通常少なくとも70%、多くの場合最大95%、場合によっては98%以下加水分解され、約30,000から300,000(通常75,000から300,000)の重量平均分子量を有するポリ(ビニルアルコール)などの有機安定剤;通常、最大で重量平均分子量500,000を有するカルボキシメチルセルロース;ゼラチン;寒天;ポリビニルピロリジン;ポリアクリルアミド;限定するものではないが例としてジメチルジアリルアンモニウムクロリド、(メタ)アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド、ポリ(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムメチルスルファート、ならびにこれらの組み合わせのホモポリマーおよびコポリマーを含むカチオン性ポリマー;アルミナ、ベントナイト、ケイ酸マグネシウムなどの無機安定剤;ナトリウムドデシルベンゼンスルホナートなどの界面活性剤;または場合により上記の安定剤のいずれかと組み合わせた、リン酸三カルシウム、リン酸水素二ナトリウムなどのリン酸塩を含む。場合によっては、増量剤を用いて安定剤の効果を高めることができる。当業者は、特定の安定剤の有用性または安定剤および/または増量剤の組み合わせを容易に決定することができる。安定剤の量は、水相の重量に対し、有機液相の粘度に応じて、0から最大10重量%に変化させることができ、場合によっては0.01から10重量%、他の場合において0.1から8重量%、特定の場合0.1から5重量%に変化させることができる(例えばより高い粘度の液体はより多い安定剤を必要とする)。有機液相に懸濁助剤または安定剤が添加される場合、同量の安定剤を提供するのに十分な量で添加されることができる。
【0089】
懸濁安定剤は、周囲圧力および温度でASTM D−971に従って測定するとき、3ダイン/cm以上、場合によっては8ダイン/cm以上、他の場合において12ダイン/cm以上の界面張力を有する、水相と有機液相の液滴間の表面を形成させうるものであり得る。
【0090】
本発明の本実施形態にしたがって、開始剤、帯電防止剤もしくは添加剤、難燃剤、顔料(着色剤)もしくは染料、充填剤、安定剤(UVおよび/または熱および光)、コーティング剤、可塑剤、連鎖移動剤、架橋剤、核剤、および殺虫剤ならびに/または殺鼠剤から選択される1以上のメンバーを、有機液相の0から最大10重量%の量で、場合によっては0.1から10重量%、他の場合において0.05から8重量%、特定の場合において0.1から5重量%の量で、有機液相、水相のいずれかまたは両方に添加することができる。
【0091】
適切な開始剤は、限定するものではないが、ペルオキシド、ペルオキシカーボナートおよびペルエステルなどの、有機ペルオキシ化合物を含む。これらのペルオキシ化合物の典型的な例は、デカノイルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、オクタノイルペルオキシド、ステアリルペルオキシドなどのC6−20アシルペルオキシド、t−ブチルペルベンゾアート、t−ブチルペルアセタート、t−ブチルペルイソブチラート、t−ブチルペルオキシ2−エチルヘキシルカーボナート、カルボノペルオキシ酸、(1,1−ジメチルプロピル)(2−エチルヘキシル)エステルなどのペルエステル、ジイソプロピルベンゼンヒドロペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、ジクミルペルオキシドを含むC3−10ヒドロカルビル部分を含むジヒドロカルビルペルオキシドおよびヒドロペルオキシドならびにこれらの組み合わせである。
【0092】
例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリルなどのアジドのような、ペルオキシ化合物とは異なる他の開始剤もまた可能である。開始剤の量は、適切には、有機液相の量に基づいて0.01から1重量%である。
【0093】
水相または有機液相はまた、帯電防止(添加)剤;難燃剤;顔料(着色剤)もしくは染料;ホワイトオイルなどの充填材、可塑剤を含むことができる。水相または有機液相はまた、通常シリコーンを含むコーティング化合物;金属またはグリセロールカルボキシラート(適切なカルボキシラートはグリセロールモノ−、ジ−およびトリ−ステアラート、亜鉛ステアラート、カルシウムステアラート、およびマグネシウムステアラートを含む);およびこれらの混合物を含むことができる。このような組成物の例は、英国特許第1,409,285号および米国特許第4,781,983号に開示されている。コーティング組成物は、種々のタイプのバッチおよび連続混合装置で、乾式コーティングにより、または容易に気化する液体中のスラリーもしくは溶液により粒子に塗布できる。このコーティング助剤は、予備発泡段階中で得られた発泡セル粒子が凝集塊を形成するのを妨げるのに役立ち、従って、任意の得られた成形発泡品の質を改良するのに役立つ。
【0094】
水相または有機液相、またはこの両方は、連鎖移動剤などの種々の添加剤を含むことができる。適切な例は、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、t−ブチルメルカプタンおよびn−ブチルメルカプタンなどのC2−15アルキルメルカプタンならびにペンタフェニルエタンおよびα−メチルスチレンダイマーなどの他の薬剤を含む。有機液相または水相は、ブタジエンおよびジビニルベンゼンなどの架橋剤ならびにポリオレフィンワックスなどの核剤を含むことができる。ポリオレフィンワックスは、例としてポリエチレンワックスの場合、重量平均分子量500から5,000を有する。このワックスは、有機液相の量(重量)に基づいて、0.05から1.0重量%の量で使用できる。水相または有機液相は、タルク、有機臭化物含有化合物、ならびに例えばWO98/01489に記載されているようなアルキルスルホスクシナート、ソルビタール−C8−C20カルボキシラート、およびC8−C20アルキルキシレンスルホナートを含むことができる極性薬剤を0.1から0.5重量%含むこともできる。核剤を水相または有機液相、またはこの両方に混合することができる。核剤は、本発明が発泡性ポリマーを形成するために使用される場合、セルの形成を促進する傾向があるので特に有用である。
【0095】
適切な殺虫剤は、米国特許第6,153,307号および第6,080,796号に開示されている。これらは、ホウ素化合物(ボラートおよびホウ酸)を含む。有用な殺虫剤のいくつかは、1−[(6−クロロ−3−ピリジニル)メチル]−4,5−ジヒドロ−N−ニトロ−1H−イミダゾール−2−アミンおよび3−(2,2−ジクロロエテニル)−2,2−ジ−メチルシクロプロパンカルボン酸シアノ(3−フェノキシフェニル)−メチルエステル(シペルメトリン)(例えばZenecaにより販売されているDemon TC中の活性成分);3−(2,2−ジクロロエテニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボン酸(3−フェノキシフェニル)メチルエステル(ペルメトリン)(例えばZenecaにより販売されているDragnet FTおよびTorpedo中の活性成分);ならびに1−[(6−クロロ−3−ピリジニル)メチル]−4,5−ジヒドロ−N−ニトロ−1H−イミダゾール−2−アミン(イミダクロプリド)(例えば、Bayerにより販売されているPREMISE(登録商標)中の活性成分)からなる群より選択されることができる。
【0096】
一実施形態において、米国特許第6,176,439号において教示されているように、水を4から16%有するポリマー粒子を生成するために、有機液相は水を0から約40重量%、場合によっては3から20重量%、他の場合において8から15重量%含む。他の実施形態において、上記した米国特許第6,160,027号の第3段、19から26行に教示されているように、有機液相は水を1から20重量%、場合によっては3から15重量%含むことができる。これらの特許の内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0097】
本発明に従って有機相を分散させるために使用される方法の1つは、特に単一粒径の液滴が望ましい場合、圧力式噴霧器の使用することである。圧力式噴霧器は、通常、円形オリフィスであり、直径0.01から2mm、場合によっては0.1から1mm、他の場合において0.1から0.8mm、例によっては0.1から0.5mm、他の例において0.1から0.4mmを有し、約5mm未満の長さを有する。一般に、この噴霧器は約0.2から約10、場合によっては0.2から5の範囲の長さ対直径(L/D)比を有する。
【0098】
本発明の一実施形態において、噴霧器または噴霧器を含むヘッダープレート(例えば、この上部に多くの穴を有するプレート)を用いて、有機液相を水相に注入し、分散させて液滴にすることができる。ヘッダープレートに合わせることができる噴霧器の数は、プレートサイズおよび噴霧器のサイズおよび間隔によって決まる。ヘッダープレートは、これらの運転が互いに干渉しない限り多数の噴霧器を含むことができる。特に噴霧器噴出口の近傍において、噴霧流間の相互作用を最小にするように注意が必要である。隣接の噴霧器からの隣接流間の相互作用を最小にするように十分離して各噴霧器を配置することが求められる。隣接流間の過度の相互作用により、噴霧される液滴の直接の衝突によってこの変形を引き起こす可能性があり、または噴霧される液滴の広い粒径分布をもたらす流れの時期尚早の分散を引き起こす可能性がある。隣接流が噴霧される液滴の平均直径の少なくとも5倍、場合によっては10倍の距離離れている場合、有機液相の隣接流間の相互作用は顕著には現れない。
【0099】
ヘッダープレートの全表面をおおう正方形または他の形中に、噴霧器を均等に配置することができる。
【0100】
有機液相の粘度を低下させて噴霧の質を改良するために、本発明の一実施形態において、有機液相は、有機液相の貯蔵タンク、貯蔵タンクから噴霧器入口への輸送管、および噴霧器から選択される1以上の位置で加熱される。
【0101】
貯蔵タンクおよび/または輸送管中に含まれる有機液相は、周囲温度(20℃)から液体成分の分解点(例えば、噴霧される液体中のポリマーの分解点)より下の温度まで加熱できる。本発明の一実施形態において、例えば、噴霧される液体が約135℃までに重合される場合、温度は工程の設定温度であり得る。温度は、少なくとも約30℃、場合によっては少なくとも45℃、他の場合において少なくとも50℃であり得る。一般に、噴霧器入口の有機液体の温度約50℃から95℃は、所要の分散液に有用で十分である。
【0102】
噴霧器もまた同様な温度に加熱することができる。例えば、オリフィスプレートを含む噴霧器の流出部分は、水または他の熱伝達液などの循環液を用いて加熱でき、好ましくは電気ヒーターなどの他の手段で加熱できる。
【0103】
噴霧器につき0.05から15ml/秒、場合によっては0.1から12ml/秒、他の場合において0.5から10ml/秒の速度で水相に有機液相を添加することができる。水相の自由表面下に位置する噴霧器に液体を通過させ、水相内に液体流を生じさせ、水相中に液体飛沫として噴霧器噴出口から下流にこの流れを分散させる。噴霧される液滴の平均粒径は、噴霧器の外形、噴霧器からの、有機液体の出口速度および水相および有機液相の両方の特性によって決まる。より高い粘度の縣濁化剤および/または噴霧される有機相を、噴霧される有機液相のより大きい液滴の調製に使用できる。
【0104】
本発明の一実施形態において、液滴は、平均粒径約0.1から10mm、場合によっては0.1から5mm、他の場合において0.3から3mmを有することができる。比較的均一な噴霧される液滴に関して、粒径分布の標準偏差値は、噴霧される液体の平均液滴径の通常約10%未満であり、多くの場合8%未満である。限定するものではないが、例として、液滴径約0.3から5mmに関して、平均液滴径の標準偏差値は、約0.03から0.35mmであり得る(例えば平均液滴径の8%以下)。通常、平均液滴径は噴霧器の直径より実質的に大きい。
【0105】
有機液相は、加圧下で噴霧器を通過させられる。通常、圧力は100バール以下であり、3から100バール、場合によっては3から80バール、他の場合において5から60バールであり得る。噴霧される液体の圧力エネルギーは、噴霧器中で流れの運動エネルギーに変換される。流れが噴霧器オリフィス出口および周囲の水相と相互作用するとき、この運動エネルギーがさらに流れの砕解をもたらす。この相互作用により乱れが生じ、噴霧器噴出口で流れが砕かれて液滴になるかまたは、乱れが流れ内の下流に伝達され、噴霧器噴出口と少し離れた位置で流れが砕かれて液滴となる。本発明の一実施形態において、噴霧される液体の静圧の20%未満であり、場合によっては1から10%、他の場合において3から10%である、噴霧される流動有機液相の圧力が、噴霧器入口の上流で、連続的または断続的な脈動に加えられる。脈動の周波数は、パラメーターの中で特に、有機液相の粘度によって決まり、1から500Hzの範囲であることができ、場合によっては200Hz未満、他の場合において150Hz未満であり得る。加えられる圧力脈動により、液滴径分布に影響を与え、通常、液滴径分布がより均一になるように、流れ−噴霧器相互作用により生じる元の乱れが強化増幅される。加えられる圧力脈動の周波数および振幅を調整することにより、二重サイズまたはカスタマイズされた分布の噴霧される液滴を生成することができる。より粘性の高い非ニュートン液体の噴霧の場合、流れ破砕(液滴形成)の主要なメカニズム/源として圧力脈動を加えることができる。限定するものではないが、例として米国特許第6,747,107号を参照されたい。参照によりこの関連部分が本明細書に組み込まれる。
【0106】
本発明の一実施形態において、反応器の水相の自由表面下に噴霧を直接行う場合もあり、貯蔵タンクに噴霧を行い、ついで反応器に移す場合もある。液滴の凝集または二次的な破砕の確率を抑えるために、噴霧された液滴はせん断および乱流条件下に維持される必要があり、これにより液滴相互作用は最小になり、液滴に低い運動量移動が行われる。一般に、条件としては、低い、好ましくは比較的均一なせん断および低い、制御された乱流レベルを有する水相内の流れパターンが必要とされる。好都合には、低速羽根車が作り出すことができる局部層流域とは対照的に、水相を、水相容量を通して実質的に均一であり得る層流に付すことができる。
【0107】
ついで噴霧された液滴が重合され、工程中、初期粒径分布が維持されるか、または制御された仕方で改良、変性(低減)され、ビーズ生成物の所要の最終粒径分布がもたらされる場合、このような条件は特に重要である。
【0108】
重合中、分散された液体飛沫または固体粒子は、望ましくは、水相の自由表面下に沈んだままであり、液滴−液滴相互作用(例えば粒子または液滴の衝突)を最小にするばかりでなく例えば適切な熱伝達などの他の必要条件を満たすように、実質的に均一に水相に分散する必要がある。
【0109】
限定するものではないが、例として、米国特許第6,610,798号に開示されている重合方法を用い、前述の大変低いせん断条件が提供される。この関連部分は参照により本明細書に組み込まれる。この場合、低せん断流パターンは、機械撹拌を用いずに、最大15バールのゲージ圧で、反応器の選択された部分に、反応器内容物に対して不活性で反応器内容物に不混和性の1以上のガス流を連続的または周期的に注入することにより作り出される制御された低乱流パターンである。
【0110】
このような条件を維持する方法の1つは、容器内容物に不混和性、不活性であり反応器内容物よりも低い密度を有する流体流を容器の選択された部分に連続的または周期的に注入し、水相の自由表面上にこの流体を回収し、多くの場合これを容器中に再注入することを含む、容器に含まれる水相中で、機械撹拌を用いずに、制御された低乱流レベルを有する低せん断流パターンを作り出す工程である。本発明の一実施形態において、注入される流体は水相または有機液相に可溶性ではない不活性ガスである。
【0111】
工程中、初期液滴径分布が最大限保たれる必要がある場合、分散液滴は、水相の容量内に均一に分散され、低せん断に暴露され得、水相内の層流中に残存する。
【0112】
場合により、初期液滴径分布は改良されてより均一になる、および/または平均直径は少し低減される。本実施形態において、母集団中の最大液滴の一定の百分率(例えば最大液滴の15%まで)は、水相中の低乱流低せん断流パターンに暴露されることにより、制御された仕方で砕かれることができる。
【0113】
さらなる実施形態において、水相中の液滴の大部分(例えば少なくとも85%)に二次的な粉砕を加えることにより、全液滴径分布を低減することができる。
【0114】
本発明の一実施形態において、多くの場合、反応器または容器容量の底部を含む選択された位置に、水相および有機液相の分散液滴よりも実質的に低い密度を有し、反応器内容物に不活性、不混和性の1以上の流体流を注入することにより、所要の流れパターンを容器中に形成することができる。水相と有機液相の分散された液体飛沫との密度および容量の比に応じて、注入の周波数を調整して、流体を連続的または周期的に注入することができる(有機液相の分散液滴が反応器の底に沈む、または水相の自由表面に浮かび上がるのを防ぐために)。
【0115】
本発明の一実施形態において、注入に適した十分に低い密度の流体は気体である。気体は水相に溶けない不活性ガスである空気および窒素(多くの場合窒素)から選択できる。最大15バールのゲージ圧(限定するものではないが、例として0.001から15バールゲージ)で水相中に気体を注入することができる。本明細書においては、ゲージ圧は、気体注入ポートからの上流の絶対気体静圧と容器中の水相の静水圧および水相の自由表面上の絶対周囲静圧の和との差を指す。
【0116】
反応器に注入される流体として気体が選択される場合、2つの注入方式が可能である。例えば、米国特許第6,727,328号を参照のこと(この関連部分が参照により本明細書に組み込まれる)。
【0117】
第1の注入方式は、注入ポートを通して低圧(多くの場合3バールゲージ未満)で気体を注入する方式であり、これにより、注入される気体が、注入ポートの下流の水相中に、有機液相の分散液滴の平均直径よりも実質的に大きい平均気泡径(多くの場合少なくとも2倍、他の場合において少なくとも5倍)を有する気泡流を生じる。浮力、重力および抵抗力の釣り合いにより、気泡流は水相の自由表面に向かって上昇し、ここで気体を回収でき、多くの場合容器に再循環できる。気体の気泡流が自由表面に向かって流れるとき、気泡流は水相と相互作用し、この運動量により反応器中に流れパターンが作られ、水相に円形の低せん断、低乱流運動を起こさせ、反応器中に再循環域が作り出される。生じる域の速度勾配および外形は、気体注入ポートの外形(数、直径および位置)ならびに気体流速により調整できる。分散粒子または有機液相の液滴は、再循環域内を流れ、十分に低いせん断速度および乱流をうけることにより、これらは過度の相互作用することなく沈んだままであり、これらの運動量は十分に低く、これらが衝突する場合であっても、このような低衝撃衝突からもたらされる凝集または破砕の確率は大変に低いままである。有機液相の分散液滴と水相間の密度差は、通常、±20%の範囲内である(すなわち水相の密度に対する有機液相の分散液滴の密度の比は、0.8:1から1.2:1の範囲であり得る)という条件で、粒子のこの運動は水相より軽い粒子および水相より重い粒子に関して維持できる。
【0118】
本発明の一実施形態において、注入ポートは有機液相の分散液滴の平均直径より実質的に(例えば少なくとも2倍)大きい直径を有する。気体注入ポートの位置は、有機液相の分散液滴の濃度および分散液滴/粒子密度に基づいて選択される。一般に、注入ポートは、水相に含まれる有機液相の分散液滴の層の下の反応器中に位置する。従って、水相の密度よりも低い密度を有する有機液相の分散液滴/粒子を水中に沈め、これらの浮遊移動を妨げるために、注入ポートを浮遊粒子/液滴層の下部に配置することができ、反応器壁または底部に配置することができる。
【0119】
水相より重い粒子/液滴を持ち上げ、これらが容器底部に沈降するのを防ぐため、注入ポートの一部を反応器の底部に配置することができる。この場合、例えば、倒立円錐形または円錐台形にするなど、反応器底部の外形を改良することが望ましい場合がある。本発明の一実施形態において、反応器底部は、注入ポートの1つが円錐の先端に位置し、複数個の他のポートが円錐の高さに対応するレベルで円錐横断面に対して接線方向に配置される倒立円錐形である。
【0120】
例えば、有機液相の分散液滴中のモノマーの重合中などの工程中、有機液相の分散液滴/粒子の密度が変化する場合、両方のタイプのポート配置(すなわち反応器壁および底部における配置)の組み合わせを使用することができる。ポート位置の有用な一般配置は、主ポートを反応器底部を配置し、場合により、反応器壁の下部(例えば下半分、好ましくは下4分の1)にいくつかの補助ポートを配置するものである。
【0121】
気体注入速度により、反応器中に作り出される流れパターンの乱流レベルが決定される。気体注入速度は、有機液相と水相の分散液滴の容量比および密度比;水相の粘度;容器の外形;および分散有機液相の液滴/粒子の粒径;を含む多数の因子によって決まる。当業者は、反復実験により適切な気体注入速度を決めることができる。
【0122】
一般に、有機液相の分散液滴/粒子の初期粒径分布を最大限保つために反応器中の水性流れ相の乱流レベルは十分に低いので、反応器内容物の運動は層流である。
【0123】
必要に応じて、有機液相の初期粒子/液滴径分布もまた、気体流速を適切に調整することにより工程中にある程度変更することができる。液滴/粒子の凝集制御により平均液滴/粒径を増加させることはできないが、場合によっては、気体注入速度をあげて母集団中の最大液滴/粒子の破砕(例えば最大粒子の15%)をもたらすことにより、低減または改良してより均一な分布を得ることができる。破砕は、気泡により作り出される流れパターン内の乱流レベルの制御された上昇により引き起こされ、粒子または液滴相互作用(例えば衝突)によっては引き起こされない。
【0124】
本発明のさらなる実施形態において、分散有機液相の液滴の大部分(例えば少なくとも85%)の破砕を引き起こすことにより分散有機液相の平均液滴/粒径を実質的に低減することができる。本実施形態において、液滴を破砕するために、より高い気体注入速度を加えることにより、水相中に高せん断および乱流レベルを有する流れパターンが生ずる。
【0125】
分散し懸濁する有機液相の分散液滴/粒子が水相より低い密度を有し、本明細書に記載の本発明による処理を適用しないと、自由表面に向かって流れ、ここで凝集して層となる場合に、気体注入の第2の方式を工程に適用できる。この方式において、水相の容量内に分散される多数の大変小さい気泡を生じさせるために、高圧(通常5バール(ゲージ)以上)で気体が注入される。注入ポートは、有機液相の分散液滴/粒子の平均直径よりも少なくとも1桁、多くの場合数桁小さい直径を有する。水相の有効密度が分散有機液相の密度よりも低くなり、結果として、有機液相の分散液滴/粒子が沈み始めるようにするために、気泡の濃度を十分に高くする必要がある。この方式において、注入の間、粒子または液滴は沈み、ついでガス供給が止められて気泡が水相を通り過ぎて水相の自由表面を通過して出て行くとき、粒子は容器または反応器の底部から上昇し、自由表面の方向へ再度浮遊するため、周期的気体注入は、粒子または液滴の「振動」運動を引き起こすのに特に有用であり得る。分散有機液相の液滴/粒子が水相の自由表面に到達する前に次の気体注入を行う必要がある。小さな気泡径に関与する機構は、主にガス流の乱流である。気泡は、通常高い速度で自由表面に向かって上昇し、水相中のこの滞留時間は短いが、水相中に生じる流れパターンは、第1の注入方式よりもはるかに高い乱流レベルであり得る。従って必要ならば、浮遊粒子または液滴を砕かないように配慮する必要がある。この注入方式において、より高い粘度(通常10cps以上)の水相は、気泡を減速させ、水相中の滞留時間を増加させて容器中の総乱流レベルを低下させるため、有利である。
【0126】
本発明の他の実施形態において、機械撹拌を用いて適用されるまたは作り出される低せん断条件に付しながら、前述の分散液滴中のモノマーを重合させることができる。エネルギー入力が、任意の液滴−液滴相互作用を最小にするのに十分低く、十分に低い運動量しか与えず、液滴が衝突する場合であってもこのような低衝撃衝突からもたらされる凝集または破砕の確率が大変低いままであるかぎり、任意の適切な機械撹拌機を本発明に使用できる。
【0127】
本発明の特定の実施形態において、1つの羽根車、または場合によっては2以上の羽根車、1以上の磁気駆動撹拌機および/もしくは他の機械駆動撹拌機によって機械撹拌を提供できる。この実施形態に加えて、限定を意味せずに、2つの特定の低せん断シナリオを描くことができる。
【0128】
第1のシナリオにおいて、羽根車または機械駆動撹拌機を連続的に水相に相互作用させる。羽根車または撹拌機は、水相に円形の低せん断、低乱流運動を与えて反応器中に再循環域を作り出す、反応器中の流れパターンを生じる運動量を与える。生じた域の速度勾配および外形は、羽根車もしくは撹拌機の位置、回転方向、および/または外形により調整できる。羽根車および/または撹拌機の特定の位置および外形は、有機液相の分散液滴の濃度および分散液滴/粒子密度に基づいて選択される。作り出される流れパターンは半径方向または軸方向であることができ、反応器容量内に単数または複数の循環ループを含むことができる。再循環流れパターンにより、分散液滴の連続運動が保たれる。液滴密度が水相の密度より低い場合の反応器の自由表面への液滴凝集および/または液滴/粒子密度が連続水相の密度よりも高い場合の反応器底部への液滴/粒子沈降もまた流れパターンにより妨げられる。有機液相の分散粒子または液滴は、再循環域内を流れ、十分に低いせん断速度および乱流に付すことにより、これらは過度の相互作用をすることなく沈んだままであり、これらの運動量は十分に低く、これらが衝突する場合であっても、このような低衝撃衝突からもたらされる凝集または破砕の確率は大変低いままである。有機液相の分散液滴と水相間の密度差は通常±20%の範囲内である(すなわち水相の密度に対する分散有機液相の密度の比は0.8:1から1.2:1であり得る)という条件で、水相より軽い粒子および水相より重い粒子に関して、粒子のこの運動を維持できる。
【0129】
大抵の場合、反応器中に作り出される流れパターンの乱流レベルは、羽根車および/または撹拌機の回転速度および外形によって決まる。回転速度は、有機液相と水相の分散液滴の容量比および密度比;水相の粘度;容器の外形;および分散有機液相の液滴/粒子の粒径を含む多数の因子によって決まる。当業者は、反復実験により適切な回転速度を決めることができ、適用のための適切なタイプの羽根車および/または撹拌機を選択することができる。
【0130】
一般に、優れた粒径分布の有機液相の分散液滴/粒子を得、弾性ポリマーを含む連続相を有する樹脂ビーズの形成を確実にする(すなわち有機液滴の重合中に転相が起こらない)ために、反応器中の流れパターンの乱流レベルは均一で十分に低いので、反応器内容物の運動は層流または過渡的(層流および乱流の中間)である。反応器中で適切な混合を維持し、有機液滴を沈んだままに維持し、低せん断および低乱流パターンに保って凝集させないために、低速で回転する1または場合によっては複数の羽根車によって撹拌が行われる必要がある。タンク直径に対する羽根車直径の比、またはタンク直径とバッフル幅の和に対する羽根車直径の比は0.6から0.95である。場合によっては、タンク直径に対する羽根車直径の比、またはタンク直径とバッフル幅の和に対する羽根車直径の比は0.75から0.95である。羽根車の先端線速度v(v=πDN、ここでDは羽根車の直径であり、Nは1秒あたりの羽根車の回転数である)が、形状が類似する反応器中、同様な容量で、同じ有機相を充填して行われる、従来のスチレンモノマー重合工程に典型的な羽根車の先端速度を越えないように、比較的低速で羽根車を回転させる必要がある。多くの場合、本発明の羽根車の先端速度は、過渡的流れ条件(ここでRe<5000)または層流流れ条件(ここでRe<50)で撹拌が行われるように、従来のスチレン重合中に用いられる羽根車の先端速度よりも20から60%低い。羽根車のレイノルズ数であるReは、Re=ND2/v(式中、Nは1秒あたりの羽根車の回転数であり、Dは羽根車の直径であり、Vはタンク中で処理される液体の動粘度である)。反応器内のこの形態により、低い均一なせん断流れ条件が作られる。理論に束縛されるものではないが、これらの条件により、改良された液滴径分布および有機液滴凝集の確率が抑えられたより安定な懸濁液工程がもたらされる。
【0131】
必要に応じて、回転速度を適切に調整することにより、工程中にある程度有機液相の初期粒子/液滴径分布を変更することもできる。液滴/粒子の凝集制御により平均液滴/粒径を増加させることはできないが、羽根車および/または撹拌機の回転速度をあげて母集団中の最大液滴/粒子のみの破砕(例えば最大粒子の15%)をもたらすことにより、場合によっては、低減または改良してより均一な分布を得ることができる。破砕は、羽根車および/または撹拌機により作り出される流れパターン内の乱流レベルの制御された上昇により引き起こされ、粒子または液滴相互作用(例えば衝突)によっては引き起こされない。
【0132】
本発明のさらなる実施形態において、分散有機液相の液滴の大部分(例えば少なくとも85%)の破砕を引き起こすことにより分散有機液相の平均液滴/粒径を実質的に低減することができる。本実施形態において、液滴を破砕するために、より高い羽根車および/または撹拌機回転速度を加えることにより、水相中により高いせん断および乱流レベルを有する流れパターンが生じる。
【0133】
本発明の他の可能な機械撹拌シナリオにおいて、重合工程中、非連続的、周期的方法で機械撹拌が加えられる。この方式において、羽根車および/または撹拌機の周期的回転は、粒子または液滴の「振動」運動を引き起こすのに特に有用であることができ、連続水相の密度よりも低い密度または高い密度を有する粒子に加えられることができる。羽根車または撹拌機の運動により、液滴および/または粒子は水相の容量内に移動させられ、それぞれより軽い粒子は自由表面から下に引きおろされ、より重い粒子は容器または反応器の底部から持ち上げられる。分散有機液相の液滴/粒子は、この運動量を失い始める前に羽根車および/または撹拌機の次の回転が行われ、密度差に基づいてそれぞれ、自由表面に向かって浮遊するか、容器または反応器の底部に向かって下降する。水相中に生じる流れパターンは、第1の連続的(非周期的)混合方式におけるよりもより高い乱流レベルであり得る。従って必要ならば、流動粒子または液滴を砕かないように配慮する必要がある。
【0134】
本発明の他の実施形態において、有機液相は水相に加えられ、機械撹拌の適用により液滴に分散されるが、この撹拌は分散液滴中のモノマーの重合中に連続的に加えられる。本発明のこの実施形態を取り巻く原理は、撹拌槽反応器を用いる懸濁液重合工程において、当業者に周知である。しかしながら、従来の工程との重要な差異は、工程の初期段階においてせん断力により有機液相が分散されるように、本発明に記載の工程が羽根車および/または撹拌機の比較的低い回転速度で実施されることである。羽根車および/または撹拌機の低い回転速度およびこの結果得られる分散液に加えられる低せん断は、(公知のHIPS懸濁液重合方法とは対照的に)液滴に転相が引き起こされることを促進しない。
【0135】
このような撹拌パターンを作り出すために、低速で回転している1または場合によっては複数の羽根車を含む形態が用いられる。多くの場合、タンク直径に対する羽根車の直径の比またはタンク直径とバッフル幅の和に対する羽根車の直径の比は0.6から0.95であり、場合によっては0.75から0.95である。羽根車の先端線速度v(v=πDN、ここでDは羽根車の直径であり、Nは1秒あたりの羽根車の回転数である)が、形状が類似する反応器中、同様な容量で、同じ有機相を充填して行われる、従来のスチレンモノマー重合に典型的な羽根車の先端の速度を越えないように、比較的低速で羽根車を回転させる必要がある。本発明のいくつかの実施形態において、本発明の羽根車の先端速度は、過渡的流れ条件(ここでRe<5000)または層流流れ条件(ここでRe<50)で撹拌が行われるように、従来のスチレン重合中に用いられる羽根車の先端速度よりも20から60%低い。羽根車のレイノルズ数であるReは、Re=ND2/v(式中、Nは1秒あたりの羽根車の回転数であり、Dは羽根車の直径であり、vはタンク中で処理される液体の動粘度である)。反応器内のこの形態により、低い均一なせん断流れ条件が作られる。これらの条件により、改良された液滴径分布および有機液滴凝集の確率が抑えられたより安定な懸濁液工程がもたらされる。
【0136】
結果として、重合液滴の形態は、連続相中に維持される形態のゴムであり、重合するモノマーは連続相中に作られる網状構造に分散される小さな吸蔵を形成する。この形態は、モノマーの重合のいたるところおよび得られる樹脂ビーズ中に維持される。
【0137】
本発明のさらなる実施形態において、瞬間樹脂ビーズを得るために、前述の機械撹拌シナリオと組み合わせて前述の噴霧工程を使用できる。
【0138】
通常、有機液相の分散液滴中のモノマーの重合は、少なくとも90%、多くの場合少なくとも95%、他の場合において少なくとも99.5%またはそれ以上の変換を受ける。上記のように、工程中、最大135℃、多くの場合以下130℃の温度まで水相を加熱できる。
【0139】
得られた粒子は、発泡性樹脂、イオン交換樹脂または均一なまたはカスタマイズされた粒径分布を必要とする用途などの多くの用途に使用できる。
【0140】
しかしながら、本発明のさらなる実施形態において、分散有機液相におけるモノマーの重合は発泡剤の存在下で行われる。発泡剤は、水相または分散される有機液相中に含侵させることができる。水相中に発泡剤が存在する場合、分散有機液相の重量に対して2.5から7重量%の量で存在させることができる。分散される有機液相に発泡剤が導入される場合、対応する量で使用される。
【0141】
他の実施形態において、重合を完了し、結果として生じる樹脂ビーズを得、ついで発泡剤を含侵させることができる。樹脂ビーズまたは粒子は水などの液体媒体に再懸濁させることができ、この媒体はさらに発泡剤を重合分散有機液相(例えばポリマービーズ)に基づいて2.5から7重量%含むことができる。
【0142】
適切な発泡剤を用い、任意の慣用法で発泡性樹脂ビーズを含侵させることができる。発泡剤として、任意の気体材料または加熱により気体を発生する材料を使用することができる。通常の発泡剤は、選択されたポリマーの軟化点より下の温度で沸騰する、ブタン、ペンタン、ヘキサンなどの、分子中に4から6炭素原子を含む脂肪族炭化水素、ならびに例えばCFC’およびHCFC’などのハロゲン化炭化水素を含む。これらの脂肪族炭化水素発泡剤の混合物もまた使用できる。
【0143】
ビーズを含侵させるために、限定するものではないが、例として、液体n−ペンタンまたはイソペンタン、または液体n−ペンタンおよびイソペンタンの任意の混合物を使用することができる。ビーズ中に吸収される発泡剤の量は、含侵されていないビーズの初期重量の3%から25%、場合によっては約6%から15%の範囲で変化させることができる。
【0144】
もしくはまた、これらの脂肪族炭化水素発泡剤に水を混合することができ、また、米国特許第6,127,439号;第6,160,027号;および第6,242,540号(これらの特許において水を保持した薬剤が使用されている)に記載されているように、単一の発泡剤として水を使用することもできる。発泡剤として使用される水の重量パーセントは、1から20%の範囲にわたることができる。米国特許第6,127,439号、第6,160,027号および第6,242,540号の内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0145】
本発明の樹脂ビーズを上記の任意の発泡剤を用いて含侵させることができ、場合により将来の発泡のために貯蔵することができる。貯蔵中、発泡剤は徐々に樹脂から放出されるため、さらなるビーズ工程のために、この放出速度は重要な問題である。発泡剤の損失速度が大変高い場合(すなわち数日または数週間)、発泡剤の早期の損失を防ぐために含侵させたビーズを冷却しなければならない場合がある。
【0146】
本発明の特定の実施形態において、改良された発泡剤保持時間を有する樹脂ビーズは、
A−1)水相の自由表面下の有機液相を圧力噴霧することにより、静止状態または流れ状態であり得る有機液滴の分散液を形成するステップ;
A−2)機械撹拌を加えることにより、静止状態または流れ状態であり得る水相中の有機液相の有機液滴分散液を形成するステップ;
(ここで有機液相は「アクリロニトリル−ブタジエンゴム」または「アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンゴム」および1以上の重合性アリールモノマーを含む)、および
B)低せん断流パターンで分散有機液滴中のモノマーを重合させて未発泡ポリマービーズを形成すること;
により調製される。
【0147】
上記のように形成された樹脂ビーズは、アクリロニトリル−ブタジエン、またはアクリロニトリル−ブタジエン−スチレンゴムを含む連続相および1以上の重合性芳香族モノマーのホモポリマーまたはコポリマーを含む分散相を有し、さらに、冷却などの追加のビーズ処理なしに数ヶ月発泡剤を保持する能力を有する。このことは、ブタジエンゴム(すなわちアクリロニトリルまたはメタアクリロニトリルを用いないゴム)を含む連続相および1以上の重合性芳香族モノマーのホモポリマーまたはコポリマーを含む分散相を有するビーズと対照的である(通常これらは数週間以下しか発泡剤を保持しない)。
【0148】
樹脂ビーズは、場合により、少なくとも0.5lb/ft3、場合によっては少なくとも1.25lb/ft3、他の場合において少なくとも1.5lb/ft3、状況によっては少なくとも1.75lb/ft3、環境によっては少なくとも2lb/ft3、他の環境少なくとも3lb/ft3、特定の環境においては少なくとも3.25lb/ft3または3.5lb/ft3のかさ密度に膨張する。同様に、かさ密度は最大50lb/ft3、状況によっては40lb/ft3、例によっては最大30lb/ft3、他の例において最大20lb/ft3、特定の場合最大12lb/ft3、場合によっては最大10lb/ft3、他の場合において最大5lb/ft3であり得る。発泡樹脂ビーズのかさ密度は、上記の任意の値または上記の任意の値の範囲内であり得る。
【0149】
発泡段階は、通常、蒸気、熱空気、湯、または輻射熱などの任意の通常の熱媒体により含侵させた樹脂ビーズを加熱することにより実施される。含侵させた樹脂ビーズの予備発泡を実施するための一般に認められている方法の1つは、米国特許第3,023,175号に記載されている。
【0150】
樹脂ビーズは、難燃剤、顔料、染料、着色剤、可塑剤、離型剤、安定剤、紫外線吸収剤、カビ防止剤、抗酸化剤、殺鼠剤、虫よけ剤などの通常の成分および添加剤を含むことができる。典型的な顔料は、限定するものではないが、カーボンブラック、黒鉛、膨張黒鉛、酸化亜鉛、二酸化チタン、および酸化鉄などの無機色素ならびにキナクリドンレッド、キナクリドンバイオレット、銅フタロシアニンブルーおよび銅フタロシアニングリーンなどの有機色素を含む。
【0151】
発泡樹脂ビーズは、少なくとも0.3mm、環境によっては少なくとも0.5mm、場合によっては少なくとも0.75mm、他の場合において少なくとも0.9mm、例によっては少なくとも1mmの平均粒径を有することができ、最大15mm、場合によっては最大10mm、他の場合において最大6mm、場合によっては最大4mm、他の場合において最大3mm、例によっては最大2.5mmの平均粒径であり得る。発泡樹脂ビーズの平均粒径は、上記の任意の値または上記の任意の値の範囲内であり得る。発泡樹脂ビーズの平均粒径は、当業界に周知の、レーザー回折法または機械的分離方法を用いるメッシュサイズによる篩い分けにより測定することができる。
【0152】
発泡ビーズは、0.6から4.0pcfの範囲の任意の密度を有することができる。
【0153】
上記のように、発泡剤を含侵させるとき、アクリロニトリル−ブタジエン、またはアクリロニトリル−ブタジエン−スチレンゴムを含む連続相および1以上の重合性芳香族モノマーのホモポリマーまたはコポリマーを含む分散相を有する未発泡樹脂ビーズは他の材料と比較して大変優れた発泡剤保持性を示す。一例として、このような樹脂ビーズは、室温および室圧で1000時間、場合によっては1500時間貯蔵した後、最初の発泡剤重量%(すなわち含侵直後に得られるもの)の最大75重量%、場合によっては最大50重量%保持することができる。さらに、このようなビーズは、室温および室圧で1500時間超貯蔵した後に、原容量に発泡させることができる。一例として、12重量%の発泡剤を含侵させ、周囲条件でオープントレーに放置したビーズは、5ヶ月を超えてもなお原寸大(すなわち含侵直後に発泡させたビーズと同じ大きさ)に発泡され、6から8重量%の発泡剤を含侵させたビーズは3ヶ月後に原寸大に発泡される。「含侵直後」という表現は、ビーズに発泡剤を含侵させた後24時間以下しか経過していないことを意味する。
【0154】
本発明の一実施形態において、望ましい物理的特性を有する発泡樹脂ビーズを提供するために、発泡ポリマー粒子は最大発泡係数まで発泡されないが、これは、このような極端な発泡により、不要に薄いセル壁ならびに不十分な靱性および強度を有する粒子が得られるからである。この場合、樹脂ビーズはこの最大発泡係数の少なくとも5%、場合によっては少なくとも10%、、他の場合において少なくとも15%発泡させることができる。しかしながら、セル壁の厚みが薄くなりすぎないように、樹脂ビーズはこの最大発泡係数の最大80%、場合によっては最大75%、他の場合において最大70%、例によっては最大65%、他の例において最大60%、例によっては最大55%、他の例において最大50%発泡される。樹脂ビーズは、上記の任意の程度に発泡させることができ、発泡は上記の任意の値の範囲であり得る。
【0155】
本発明によって得られる発泡性樹脂ビーズは、ビーズを予備発泡させ、これを金型キャビティ中で発泡および成形させることにより望ましい形態の発泡成形品を形成させることができる。得られる発泡成形品は、弾性連続相による、優れた熱安定性、耐薬品性(例えば、耐油性)、靱性、および曲げ強さを有している。
【0156】
理論に束縛されることを望むものではないが、連続ゴム網状構造はビーズ発泡中引き伸ばされ、ポリスチレンマトリックスに強度および弾性を与えるため、連続弾性形態は発泡ビーズの特性を改良すると考えられる。本発明の発泡樹脂ビーズは、ゴム成分がポリスチレンマトリックス内に離散粒子として分散するという点で通常の発泡耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)と対照をなす。通常の発泡HIPSにおいて、弾性粒子は引き伸ばされておらず、ビーズ発泡工程においてわずかに関与するのみである。
【0157】
特に、本発泡品は、高温にさらされた場合、熱暴露により収縮または軟化しないために、包装材料、屋根材の下層または容器として使用でき、従って、断熱材、遮音材またはクッション材として広範囲の用途を有する。
【0158】
本発明は以下の実施例を参照してさらに詳しく説明される。以下の実施例は単に本発明を例示するものであって、限定するものではない。特記しない限り、すべての百分率は重量に基づく。
【0159】
(実施例)
【実施例1】
【0160】
本実施例により、本発明の樹脂ビーズの製造方法を明らかにする。スチレンモノマー90重量%に、Firestone Polymers(Akron Ohio)製のcis DIENE(登録商標)55AC10ポリブタジエンゴム材料10重量%を溶解して有機液相を調製した。ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド(PDAC,Sigma−Aldrich Corp.,St.Louis,MO製)2重量%およびポリビニルアルコール(GOSHENOL(商標)GH−23、Nippon Gohsei(UK)Limited,Kingston upon Hull,UK製)3重量%を溶解して水相を調製した。
【0161】
米国特許第6,610,798号の実施例1に記載されているようにして、装置中で重合を行った。反応器に水相約5リットルを加えた。ベンゾイルペルオキシド(スチレン100部に対して0.5部)を有機液相に加え、続いてこれを輸送により反応器に送り、ここで80℃に加熱した。加熱ラインの下流で、周波数45Hzで負荷される圧力脈動を有機相に加えた。流速約1.3ml/sで反応器の底部に位置する噴霧器に有機相の脈動流を入れた。水相中に単一粒径の液滴として有機相おおよそ1.5リットルを分散させた。反応器を通して窒素をバブリングして、液滴を分配し懸濁させる低せん断流パターンを引き起こした。反応器内容物を90℃に加熱し、この温度を6時間持続し、ついで得られた樹脂ビーズを回収した。
【0162】
樹脂ビーズ中のポリマーは、Mw約80,000であり、ビーズの重量に対して未反応スチレンモノマー量1.5重量%を有し、温度250℃に10分間暴露しても溶融または分解しなかった。ビーズ中の架橋量は、以下の2つの方法で測定するとき、約65%から83%であった。
【0163】
第1の方法は、60℃でテトラクロロエチレンに溶解し、450nmシリンジで濾過した可溶性分画の測定濃度に基づいて、試料中の架橋/不溶性分画の百分率を算出する。フーリエ変換赤外分光法(FTIR)を用いて濃度を決定する。
【0164】
第2の方法には、修正ASTMD2765−01:「架橋エチレンプラスチックのゲル含有量および膨潤度の測定のための標準試験方法」試験方法Aに従って、試料中の架橋/不溶性分画の百分率を推定する変更したキシレン抽出方法を用いた。用いた変更:試料1g(0.3gに代えて);キシレン還流6時間(12時間に代えて);試料を粉砕せず、篩にかけなかった。
【0165】
図1Aは、樹脂ビーズの架橋されたクモの巣状形態を示す透過型電子顕微鏡(TEM)像である。より明るい部分はポリスチレンの離散粒子ドメインであり、より暗い部分はゴムの三次元網状構造である。
【0166】
図1Bおよび1Cは樹脂ビーズの架橋されたクモの巣状形態を示す原子間力顕微鏡(AFM)像である。より明るい部分はポリスチレンの離散粒子ドメインであり、より暗い部分はゴムの三次元網状構造である。図1Cは、特に樹脂ビーズのおおよそ3μmの外部スキン層を示す。
【実施例2】
【0167】
実施例1のビーズ試料を、含侵させた樹脂ビーズの約16重量%を発泡剤が構成するように、発泡剤(n−ペンタン、イソペンタンならびにn−ペンタンおよびイソペンタンの50/50(w/w)混合物)で含侵させた。ついで、含侵させたビーズを95℃の蒸気を用いて1分から28分間発泡させた。ビーズは、さらに長い時間蒸気に暴露しても変形または容量の減少を起こさない、球形に発泡した粒子を形成した。ビーズは蒸熱時間に比較的影響を受けなかった。ビーズは、1分間の蒸気処理後に未発泡ビーズの直径の約5倍に発泡した。比較のために、蒸気処理を7分間続けても、発泡ビーズの直径はほんの少ししか大きくならなかった(最大約10%大きい直径)。長い蒸熱時間(すなわち7分)後にも、ビーズはなめらかな表面と優れたセル構造を保っていた。蒸気に長時間暴露されるとき、他の材料とは異なり、ビーズは収縮または「バーン(burn)」をおこさない。図2および3は、発泡剤としてイソペンタンおよびn−ペンタンの50/50(v/v)混合物を用いて8分間発泡させたビーズのそれぞれの20xおよび100x走査型電子顕微鏡(SEM)像を示す。
【実施例3】
【0168】
本実施例により、機械撹拌により生じる低せん断流パターンを用いる、本発明に記載の樹脂ビーズの製造方法を明らかにする。水中にPDAC2重量%およびポリビニルアルコール0.5重量%を含む水相を調製した。スチレンモノマー90重量%にDIENE(登録商標)55AC10ポリブタジエンゴム10重量%を溶解して有機液相を調製した。撹拌機を備えた反応器に水相おおよそ1リットルを加えた。有機液相約0.18リットルをベンゾイルペルオキシド(スチレン100部に対して0.5部)と混合し、この組み合わせを水相に加え、150rpmで撹拌を加え、離散有機液滴の分散液を形成した。分散液を90℃に加熱した。この温度を4時間維持し、ついで95℃に上昇させ、この温度で2時間維持した。ついで反応器から樹脂ビーズを回収した。
【0169】
図4Aおよび4Bは、樹脂ビーズの架橋されたクモの巣状形態を示すAFM像である。より明るい部分はポリスチレンの離散粒子ドメインであり、より暗い部分はゴムの三次元網状構造である。図4Bは、特に、樹脂ビーズのおおよそ3μmの外部スキン層を示す。
【実施例4】
【0170】
本実施例により、機械撹拌により生じる低せん断流パターンを用いる、本発明に記載の、長期(改良)発泡剤保持性を有する樹脂ビーズの製造方法を明らかにする。水中にPDAC2重量%およびポリビニルアルコール0.08重量%を含む水相を調製した。スチレンモノマーA)93重量%、B)90重量%およびC)85重量%のそれぞれに対し、アクリロニトリル−ブタジエンゴム3965F(Lanxess製)A)7重量%、B)10重量%およびC)15重量%を溶解して有機液相を調製した。撹拌機を備えた反応器に、水相およそ700gを加えた。有機液相約500gをベンゾイルペルオキシド(スチレン100部に対して0.5部)および、第2のペルオキシドとして用いるt−アミルペルオキシ2−エチルヘキシルカーボナートLuperox(TAEC)(スチレン100部に対して0.2部)を混合した。この組み合わせを水相に加え、185rpmで撹拌を加え、離散有機液滴の分散液を形成した。分散液を90℃に加熱し、この温度で4時間維持し、ついで93℃に上昇させてこの温度でさらに2時間維持した。ついで重合をさらに進行させ、ビーズ中の残存スチレン量を数百ppm(<1000ppm)に低下させるために、「仕上げの段階」を実施した。全反応器内容物(分散された有機相および水相)を120℃に加熱(この温度により第2のペルオキシドTAECが活性化される)し、4時間維持した。反応器を冷却し、ついで樹脂ビーズを回収した。
【0171】
図5A、5Bおよび5Cは、それぞれニトリルゴム7%、10%および15%で変性された樹脂ビーズの架橋されたクモの巣状形態を示すAFM像である。より明るい部分はポリスチレンの離散粒子ドメインであり、より暗い部分はゴムの三次元網状構造である。ポリスチレンドメインの大きさは、溶解ゴムのより高い濃度に伴って減少することを示している。
【0172】
周囲条件で液体発泡剤に60時間浸漬することにより、ニトリルゴム10%を含むビーズをさらに含侵させた。ビーズの一部をn−ペンタンに浸漬し、一方でビーズの一部をn−ペンタンおよびイソペンタンの50:50重量%混合物を含む混合物中に浸漬した。含侵後、ビーズ中の発泡剤の初期重量%を確定するために、発泡剤の取り込み量に関してビーズを分析した。ついで、ビーズを大気圧および大気温度でトレーに放置した。ビーズに残存する発泡剤の量を数ヶ月間モニターした。n−ペンタンならびに、n−ペンタンおよびイソペンタンの50/50混合物で含侵させたニトリルゴム変性ビーズ中の発泡剤保持性を示す結果を図6に示す。図6のデータは、ビーズが発泡剤を大変よく保持し、初めの1500から2000時間に発泡剤約50%を失ったことを示している。さらに、含侵直後(すなわち24時間後)に発泡(96℃の蒸気で)させたビーズに対して、>1500時間後に発泡させた樹脂ビーズの容量における明確な差異はない。いずれの場合にも、樹脂ビーズは原寸大に発泡でき、直径は未発泡ビーズに対して4から5倍超(使用される発泡剤に応じて)に増加する。これらの発泡は、未発泡ビーズの約64から125倍の容量増加に相当する。
【0173】
比較のために、PS/PE樹脂、ブタジエンゴム変性ポリスチレンおよび従来のHIPSなどの、他のいくつかのタイプの発泡性ポリスチレンビーズに関するペンタン保持性を示すデータもまた図6に示す。
【実施例5】
【0174】
本実施例により、ニトリルゴム10重量%を含むポリスチレンビーズの形態に関する、重合工程中に維持される流れパターン(特に、せん断速度および乱流レベル)の影響を明らかにする。機械撹拌機を備えたタンク中で、同じ配合および同じ一連の操作条件を用いて、3つの重合工程を実施した。しかしながら、それぞれの場合において、異なる撹拌機速度で重合を実施した。得られたビーズ形態を図7に示す。最初の2つの工程で重合させたビーズ(それぞれ、135rpmおよび280rpmで実施)は同様な形態(通常の小さな離散ポリスチレン吸蔵(より明るい部分)を伴うゴムの連続網状構造(より暗い部分)を含む形態)を有していた。しかしながら、第3のバッチにおいて、600rpmの最大撹拌速度(従って最大乱流およびせん断レベル)を用いて重合させたビーズは、バッチの全域で不均一な形態を有し、2つの異なるタイプの形態(形態#1を有するあるビーズは、連続ゴム網状構造を有するがポリスチレンの吸蔵は大変大きく不規則であり、他のビーズは明確なポリスチレン吸蔵を示さない形態#2を有し、ポリスチレンとゴムを区別するのは一般に困難である)を示した。重合工程中の乱流およびせん断応力レベルはビーズ形態に影響を与えることができ、同じバッチから各ビーズの種々の形態をもたらしうることを本実施例は示している。
【実施例6】
【0175】
先行技術
本実施例により、機械撹拌により生じる、従来の高せん断流パターンを用いる、従来のHIPS樹脂ビーズの形態を明らかにする。図8は認識された高せん断分散液重合工程を用いて調製したSTYROSUN(登録商標)(NOVA chemicals Inc.,Pittsburgh,PA)樹脂ビーズにおける典型的なHIPS形態を示すTEM像である。明るい部分はポリスチレンの連続相であり、より暗い部分(一般に球形の部分)はゴム粒子である。
【0176】
このデータは、公知のHIPS樹脂ビーズの形態と比較して、本樹脂ビーズが独特の形態を有することを明らかにしている。
【0177】
本発明の特定の実施形態の特定の詳細を参照して本発明を説明してきた。これらの詳細は、添付の特許請求の範囲に含まれる限りにおいて、本発明の範囲を制限するとみなされるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0178】
【図1A】本発明の樹脂ビーズの透過型電子顕微鏡(TEM)像である。
【図1B】本発明の樹脂ビーズの原子間力顕微鏡(AFM)像である。
【図1C】本発明の樹脂ビーズの原子間力顕微鏡(AFM)像である。
【図2】本発明によって調製された発泡ビーズの走査型電子顕微鏡(SEM)像である。
【図3】本発明によって調製された発泡ビーズの走査型電子顕微鏡(SEM)像である。
【図4A】本発明の樹脂ビーズのAFM像である。
【図4B】本発明の樹脂ビーズのAFM像である。
【図5A】本発明の未発泡樹脂ビーズのAFM像である。
【図5B】本発明の未発泡樹脂ビーズのAFM像である。
【図5C】本発明の未発泡樹脂ビーズのAFM像である。
【図6】本発明によって調製された、含侵させたビーズの発泡剤保持性を示す図である。
【図7】本発明により調製された、異なる撹拌機速度での重合で得られた未発泡樹脂ビーズのAFM像である。
【図8】先行技術によって調製されたHIPS樹脂ビーズのTEM像である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、発泡性熱可塑性樹脂ビーズに関し、具体的には、優れた靱性およびクッション性を有する発泡性樹脂、優れた発泡剤保持性、ならびにこのような樹脂から製造して得られる発泡品に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、高い発泡率を有するポリスチレンビーズを得るのは容易である。このようなビーズから製造して得られる発泡品は、高い剛性および優れた保形性を有するが、もろく、耐薬品性、耐油性および耐熱性に劣るという不都合を有する。他方では、ポリプロピレン樹脂の発泡生成物は、ポリスチレン発泡体よりも優れた弾性、耐薬品性、耐油性および耐熱性を有する。ポリプロピレン樹脂ビーズ中に含侵させた発泡剤は急速に散逸する傾向があり、従って、発泡ビーズを得るためには調製後迅速に予備発泡するかまたはこれらの発泡性樹脂ビーズを容器中、加圧下で貯蔵する必要がある。従って、このような含侵させたポリプロピレン樹脂ビーズは、貯蔵および輸送中に不都合を生じ、高い発泡率を有するポリプロピレン発泡性ビーズを得ることは一般に困難である。
【0003】
ポリプロピレンとポリスチレンを単純に混合して、両方のポリマーの望ましい特性を有する樹脂を得ようとしても、均一な混合物を得ることはできない。このような混合物から調製される発泡性生成物は、相分離を起こし、外観が優れない。ビニル芳香族ポリマーが単に物理的にポリオレフィンと混合される場合、2つの樹脂は均一には混合されず、相分離を起こすため、多くの場合、混合されるポリオレフィンの量は少ない。結果として、発泡剤の含侵および発泡率は不均一となり、均一な発泡品は得られない。さらに、ポリオレフィン含有量が低いため、得られる発泡品の靱性および弾性を向上させることができない。
【0004】
ポリエチレン粒子内で、スチレンなどのビニル芳香族モノマーを重合させることが知られている。米国特許第3,959,189号は、水性媒体中にポリエチレン樹脂粒子を懸濁し、この懸濁液にスチレンモノマーおよびモノマーの重合開始剤を粒子の重量に対して30から100重量%加え、ポリエチレン樹脂粒子内でモノマーを重合させる、ポリエチレン樹脂粒子の製造方法を開示している。ついで、好ましくはスチレンモノマーの重合およびポリエチレン樹脂の架橋後に、発泡剤を含侵させることにより粒子を発泡性にすることができる。発泡剤は、一般に、ポリエチレン−ポリスチレン樹脂粒子の重量に対して5から20重量%の量の揮発性発泡剤、すなわちn−プロパン、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、イソペンタン、n−ヘキサンおよびネオペンタンなどの脂肪族炭化水素;またはシクロブタンおよびシクロペンタンなどの脂環式炭化水素;ならびに塩化メチル、塩化エチル、塩化メチレン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン、クロロジフルオロメタンおよびジクロロテトラフルオロエタンなどのハロゲン化炭化水素である。
【0005】
米国特許第4,782,098号は、ポリフェニレンエーテル樹脂および、重合触媒の存在下で重合させて共重合熱可塑性樹脂ビーズを形成させる重合ビニル芳香族モノマーを含む発泡性共重合体ビーズを開示している。揮発性発泡剤は熱可塑性樹脂ビーズ中に加圧下で添加される。
【0006】
米国特許第4,303,756号および第4,303,757号は、ビニル芳香族モノマーをポリプロピレンの主鎖に重合させ、熱可塑性樹脂ビーズに発泡剤を添加する、発泡性熱可塑性樹脂ビーズの製造方法を開示している。発泡剤は、米国特許第4,782,098号の教示するものと同じである。
【0007】
米国特許第4,429,059号は、発泡剤3から15重量部および発泡助剤0.5から5重量部の混合物をポリオレフィン粒子100重量部に加えることを含む発泡性ポリオレフィン粒子の製造方法を開示している。第2段、第63から66行は、発泡助剤が粒子の内部を塑性状態にさせ、粒子の発泡を促進することを教示している。流動化剤として用いられる代表的な発泡助剤は、ベンゼン、トルエン、キシレン、トリクレン、パークレン、シクロヘキサン、四塩化炭素などである。
【0008】
同様に、発泡させて発泡品を形成することができる、ポリオレフィンおよびビニル芳香族モノマーのポリマーの共重合体は米国特許第4,303,756号、第4,303,757号、第4,622,347号、第4,647,593号、第4,692,471号、第4,677,134号、および第4,666,946号ならびに米国出願公開第2004/0152795号に開示されている。
【0009】
ポリオレフィンおよびビニル芳香族モノマーのポリマーの共重合体を発泡させて、優れた靱性およびクッション性を有することを特性とする材料を形成することはできるが、このような材料のコストにより、この商業的有用性は限定されている。
【0010】
スチレン、アルファメチルスチレンおよび環置換スチレンなどのモノビニル芳香族化合物のゴム強化ポリマーは種々の用途に望ましいこともまた知られている。より具体的には、ポリブタジエンなどのゴムの離散粒子であって、スチレンポリマーマトリックス中に分散させたゴムの離散粒子をこの中に含むスチレンのゴム強化ポリマーを、冷蔵庫内張り、包装用途、家具、家電製品および玩具を含む種々の用途に使用できる。このようなゴム強化ポリマーは通常、「耐衝撃性ポリスチレン」または「HIPS」と呼ばれる。HIPSの物理的特性および機械的特性は、ゴム粒子の粒径および架橋量を含む多くの因子によって決まる。
【0011】
米国特許第4,777,210号は、耐衝撃性ポリスチレンを製造し、信頼性および再現性のある粒径を変える方法を提供する連続流れ方式を開示している。この方法によれば、スチレン、ポリスチレン、ゴム(ポリブタジエンなど)およびペルオキシド触媒の溶液を耐衝撃性ポリスチレン材料に変換するために予備反転反応器が使用される。
【0012】
米国特許第4,144,204号は、重合前にモノマー中に溶解されるゴムの量が、高衝撃性ポリマー中の軟成分(ゲル相)の含有量が耐衝撃性ポリマーの重量に対して少なくとも28重量%になるように選択される、ゴム変性モノビニル芳香族化合物を開示している。
【0013】
英国特許第2,153,370号は、表示分子量が少なくとも300,000であり、粘度が140cps超である高分子量ゴム材料を用いて製造されるHIPS材料を開示している。得られるHIPSはゴムを7から10重量%含み、アルファメチルスチレンダイマーまたは、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、ジフェニル1,3ブタジエン、もしくは種々の他の化合物またはこれらの混合物から選択される化合物の存在下で重合が行われる。また、この方法は、全成分の少なくとも7重量%に等しいシクロヘキサンおよびエチルベンゼンの存在下で行われる。さらに、ポリエチレンワックスからのステアラートのモノトリグリセリド添加剤もまた必要であった。
【0014】
米国特許第5,084,513号は、1以上の有機溶媒および1以上のビニル芳香族モノマーの混合物中にポリアルキレンポリマーを溶解し、ついで該混合物を重合させることによるポリアルキレンポリマーのゲルの調製方法を含む、安定な入れ子型ポリマーブレンドネットワークの製造方法を開示している。
【0015】
通常、HIPSタイプ材料は、ポリオレフィンおよびビニル芳香族モノマーのポリマーの共重合体よりも安価であり優れた耐衝撃性を有するが、もろくおよび/または靱性を欠く場合があり、発泡させて、ポリオレフィンおよびビニル芳香族モノマーのポリマーの共重合体により獲得される望ましい物理的特性を有する製品を得ることは一般にできない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
従って、発泡させて、ポリオレフィンおよびビニル芳香族モノマーのポリマーの共重合体を用いて得られる靱性およびクッション性と匹敵する靱性およびクッション性を有する製品を形成できる、弾性またはゴムタイプ材料およびモノビニル芳香族モノマーのポリマーを含む材料が当分野で求められている。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、平均粒径0.001mmから10mmを有し、連続相および粒子分散相を含む未発泡樹脂ビーズを提供する。連続相は1以上の弾性ポリマーを含む。分散相は、1以上の重合性アリールモノマーの重合により得られる反復単位を含む1以上のホモポリマーおよび/またはコポリマーを含む。
【0018】
本発明は、
I)静止状態または流れ状態であり得る水相中の有機液相の有機液滴分散液を形成するステップであって、前記有機相が、1以上の重合性アリールモノマーを含むモノマー溶液に溶解した1以上の弾性ポリマーを含む有機溶液を含み、前記分散有機液滴が平均直径約0.001mmから約10mmを有する前記分散液を形成するステップ、および
II)低せん断流パターンの分散有機液滴中のモノマーを重合させるステップ、
を含む、上記の樹脂ビーズの製造方法を提供する。
【0019】
本発明はさらに、上記の樹脂ビーズのいずれかを含む成形品を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
実施例中または他に記載されている場合を除き、明細書および特許請求の範囲中で使用される成分の量、反応条件などの関する全ての数または表現は、全ての場合で用語「約」により修飾されていると理解されるべきである。従って、特記しない限り、以下の明細書および添付の特許請求の範囲中で示される数値パラメーターは、本発明が得ようとする望ましい特性に基づいて変化しうる近似値である。最低限でも、および特許請求の範囲に対する均等論の適用の制限を意図するものではなく、各数値パラメーターは、少なくとも、報告された有効桁数を考慮し、普通の丸め法を適用して解釈されるべきである。
【0021】
広い本発明の範囲を示す数域および数値パラメーターが近似値であるが、具体例で示される数値はできるだけ正確に報告されている。しかしながら、いずれの数値も、本来、各試験測定において見いだされる標準偏差値に必然的に起因する特定の誤差を含む。
【0022】
同様に、本明細書に記載のいずれの数域も、ここに包含されるすべての部分範囲を含むものと解釈されなければならない。例えば、範囲「1から10」は、記載されている最小値1および記載されている最大値10の間のすべての部分範囲を含む(すなわち1以上の最小値および10以下の最大値を有する)ものとする。開示される数域は連続的であるため、最小値と最大値間のあらゆる数値を含む。特記しない限り、本出願に記載の種々の数域は近似値である。
【0023】
本明細書において、用語「(メタ)アクリリック」、「(メタ)アクリレート」および(メタ)アクリロニトリルは、アクリル酸およびメタアクリル酸誘導体(例えば対応するアルキルエステルはしばしばアクリレートおよび(メタ)アクリレートと呼ばれる)ならびにアクリロニトリルおよび(メタ)アクリロニトリルの両方を含むと解され、用語「(メタ)アクリレート」および「(メタ)アクリロニトリル」はそれぞれ、これらを包含すると解される。
【0024】
本明細書において、用語「ポリマー」は、限定するものではないが、ホモポリマー、コポリマー、グラフトコポリマー、ならびにこれらの混合物および組み合わせを含むと解される。
【0025】
特記しない限り、すべての分子量値は、適切なポリスチレン標準品を用い、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定される。特記しない限り、本明細書に記載の分子量値は重量平均分子量(Mw)である。
【0026】
本明細書において、用語「弾性ポリマー」は、力の影響を受けて変形を起こし、力が取り外されたとき元の形状を回復する能力を有する、天然または合成のポリマー、ゴム、またはルベロイド(rubberoid)材料を指す。
【0027】
本明細書において、用語「形態」は、連続相中の弾性ポリマーおよび分散相中のホモポリマーおよび/またはコポリマーならびに互いの相対的な空間配置により占められる、大きさ、形状、鎖配列およびドメインの特徴などの微細構造特性を指す。
【0028】
本明細書において、用語「架橋されたクモの巣状形態」は、連続相中の弾性ポリマーのドメインが、クモの巣状構造の平行、鉛直、円周、接線、および/または角の糸の三次元網状構造に配置されている微細構造ビーズ形態であって、網状構造の糸の大部分が、互いに架橋されているおよび/または編まれており、この少なくとも一部が網状構造中に分散されている離散粒子として存在する分散相の離散粒子ドメイン部位で(またはにより)架橋されている前記形態を指す。
【0029】
本明細書において、用語「クモの巣状構造」は、樹脂ビーズ中の骨組みを構成する任意の連結された一連の糸を指す。
【0030】
本明細書において、表現「場合により、局所的に形成された分岐および/または相互メッシュ構造体により少なくとも部分架橋および/または連結された、高いアスペクト比を有する糸を含む形態」は、連続相中の弾性ポリマーが、高いアスペクト比(限定するものではないが、例として100超)を有する各糸状ドメインとして存在する微細構造ビーズ形態であって、場合により、ドメインの一部(の大部分ではない)が互いに架橋されており、分散相が、連続相の糸状ドメイン中に分散および混じりあう離散粒子ドメインとして存在する前記形態を指す。この形態は、連続相の糸状ドメイン間の架橋および骨組み構造が実質的により少ないという点で架橋されたクモの巣状形態と区別される。
【0031】
本明細書において、用語「ビーズ」、「樹脂ビーズ」、「未発泡樹脂ビーズ」および「未発泡粒子」は、実質的に同じ大きさと形を有し、液滴中のモノマーの重合の直後に有機液滴から形成され、上記の形態のいずれかを有する、樹脂ビーズを指す。
【0032】
本明細書において、用語「発泡樹脂ビーズ」および「発泡粒子」は、発泡剤が含侵され、ついでこの少なくとも一部が、樹脂ビーズおよび/または粒子の容量が増加し、従ってこれらのかさ密度が減少する形で除去される(限定するものではないが、例として加熱発泡後にビーズから蒸発および拡散される)樹脂ビーズおよび/または粒子を指す。
【0033】
最も広い意味では、用語「低せん断流パターン」は、運動中に液滴が受けるせん断応力により、液滴の形状を実質的に変形または変化させることなく、水性連続相中の分散有機液滴の運動および流れを維持する方法を指す。特定の実施形態において、用語「低せん断流パターン」は、運動中に液滴が受けるせん断応力が、有機相中で転相が起こらないように十分低い、水性連続相中の分散有機液滴の運動および流れを維持する方法を指す。表現「有機相中で転相が起こらない」は、得られる樹脂ビーズが、1以上の弾性ポリマーを含む連続相ならびに、場合により1以上の非アリールモノマーを含む1以上のアリール重合性モノマーの重合から得られる反復単位を含む1以上のホモポリマーおよび/またはコポリマーを含む分散相を有することを意味する。
【0034】
本明細書において、用語「架橋ポリマー」は、互いに結合させた2以上のポリマー鎖(分子レベルで)を指す。本明細書において、ポリマー組成物中の低レベルの架橋(限定するものではないが、例として、5%未満)を分枝鎖ポリマーと呼ぶ。本明細書において、ポリマー組成物中の高レベルの架橋(限定するものではないが、例として25%より大きい)を網状構造と呼ぶ。
【0035】
本発明は連続相および粒子分散相を含む未発泡樹脂ビーズに関する。
【0036】
未発泡樹脂ビーズは任意の適切な形状を有することができ、限定するものではないが、例として、円形、卵形、楕円形、および/または円筒形の断面形状であり得る。本発明の一実施形態において、ビーズは実質的に形状が球形(断面が円形または楕円形)である。
【0037】
本発明の一実施形態において、未発泡樹脂ビーズのアスペクト比は10未満、場合によって7未満、他の場合において5未満である。
【0038】
未発泡樹脂ビーズは、少なくとも0.001mm、場合によって少なくとも0.01mm、他の場合において少なくとも0.05mm、場合によって少なくとも0.1mmの平均粒径を有する。さらにまた、未発泡ビーズの粒径は、最大10mm、場合によって最大9mm、他の場合において最大8mm、場合によって最大7mm、他の場合において最大6mm、場合によって最大4mmであり得る。未発泡樹脂ビーズ径は、未発泡ビーズを用いて製造する発泡品に望ましい特性ならびに加工条件に基づいても決定される。
【0039】
平均ビーズ径は、標準化された漸減する篩目を有する一連の篩にビーズ試料を通過させて、それぞれの篩目に対応する粒径を有する試料塊分画を決定する、篩い分けとして当業界に周知の通常の機械的分離方法により測定できる。
【0040】
代替法において、ビーズの所与の母集団から採取したビーズ試料を撮影し、画像中の各ビーズの直径の大きさを決めることができる、当分野で公知のソフトウェアを用いて写真画像を分析することにより、平均ビーズ径を測定できる。上記のいずれかの方法により得られる一連の直径を用いて、試料の平均直径、標準偏差値、および試料径分布を算出できる。未発泡樹脂ビーズの平均粒径は、上記の任意の値または上記の任意の値の範囲内であり得る。
【0041】
本樹脂ビーズは、1以上の弾性ポリマーを含む連続相を含む。任意の適切な弾性ポリマーを本発明に使用できる。適切な弾性ポリマーは、以下に記載する望ましい特性を得ることを可能にする弾性ポリマーである。
【0042】
本発明の一実施形態において、適切な弾性ポリマーは、ブタジエンまたはイソプレンのホモポリマー、共役ジエンとアリールモノマーおよび/または(メタ)アクリロニトリルとのランダム、ブロック、ABジブロック、またはABAトリブロックコポリマーならびにエチレンとビニルアセテートとのランダム、交互またはブロックコポリマー、およびこれらの組み合わせを含む。
【0043】
本明細書において、用語「共役ジエン」は、構造中に1つの単結合により分離された2つの二重結合を含むが2つの二重結合が芳香族基の一部ではない、4から32個の炭素原子および場合によりO、S、またはNから選択されるヘテロ原子を含む、直鎖、分枝鎖または環状炭化水素を指す。
【0044】
本発明の特定の実施形態において、弾性ポリマーは、スチレン−ブタジエン、スチレン−ブタジエン−スチレン、スチレン−イソプレン、スチレン−イソプレン−スチレン、部分的に水素化されたスチレン−イソプレン−スチレン、エチレン−ビニルアセテートおよびこれらの組み合わせのジブロックおよびトリブロックコポリマーから選択される1以上のブロックコポリマーを含む。
【0045】
本発明の他の特定の実施形態において、適切な弾性ポリマーは、限定するものではないがブタジエン、イソプレン(すなわち2−メチル−1,3−ブタジエン)、3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエンおよび1,3−ペンタジエンなどの共役ジエンの1以上と、アクリロニトリルまたはメタアクリロニトリルなどの適切な不飽和ニトリルの1以上と、場合により、アクリル酸、メタアクリル酸、イタコン酸およびマレイン酸などの極性モノマー、メチルアクリレートおよびブチルアクリレートなどの不飽和カルボン酸のアルキルエステル;メトキシアクリレート、エトキシエチルアクリレート、メトキシエチルアクリレート、アクリルアミド、メタアクリルアミドなどの不飽和カルボン酸のアルコキシアルキルエステル;N−メチロールアクリルアミド、N,N’−ジメチロールアクリルアミドおよびN−エトキシメチロールアクリルアミドなどのN−置換アクリルアミド;N−メチロールメタアクリルアミド、N,N’−ジメチロールメタアクリルアミド、N−エトキシメチルメタアクリルアミドおよび塩化ビニルなどのN−置換メタアクリルアミドとの1以上のコポリマーを含む。これらのコポリマーは、限定するものではないがスチレン、o−、m−、p−メチルスチレン、ジメチルスチレンおよびエチルスチレンなどのビニル芳香族モノマーの1以上の重合により得られる反復単位を含むこともできる。これらのタイプのコポリマーは、「アクリロニトリルブタジエンゴム」または「アクリロニトリルブタジエンスチレンゴム」として知られ、または当業者により「ニトリルゴム」と総称される。
【0046】
本発明のいくつかの実施形態において、好ましくは適切な水素化触媒を用い、水素の存在下でニトリルゴムを部分的に水素化することができる。適切な水素化触媒は当業界に周知であり、限定するものではないがロジウムおよびルテニウム触媒を含む。「部分的に水素化された」は、ニトリルゴムの炭素−炭素二重結合がニトリル基の炭素−窒素三重結合よりも優先的に水素化され、ニトリル基の炭素−窒素三重結合がほとんど変化を受けないように、水素化が選択的に行われることを意味する。表現「ほとんど変化を受けない」は、ニトリルゴム中に当初は存在していたニトリル基の10%未満、場合によっては5%未満、他の場合には2%未満が水素化されることを意味する。種々の程度の水素化のポリマーを得るために、ニトリルゴムの水素化を調節することができる。炭素−炭素二重結合の水素化の程度は、当業者に周知の方法である、IRまたはNMR分光法を用いて測定できる。
【0047】
本発明の実施形態において、本発明に記載の樹脂ビーズ中の連続相に「ニトリルゴム」を用いることにより、室温・室圧での発泡剤(限定するものではないが、例としてペンタン)の長期保持性がもたらされる。
【0048】
本発明の一実施形態において、弾性ポリマーの重量平均分子量は、少なくとも6,000であり、場合によっては少なくとも10,000であり、他の場合において少なくとも15,000であり、場合によっては少なくとも20,000であり、他の場合において少なくとも25,000である。同様に、弾性ポリマーの重量平均分子量は、最大500,000、場合によっては最大450,000、他の場合において最大400,000、場合によっては最大350,000、他の場合においては最大300,000、特定の場合においては最大250,000であり得る。使用される弾性ポリマーの重量平均分子量は、ビーズの望ましい物理的特性に基づいて決定される。弾性ポリマーの重量平均分子量は、上記の任意の値または上記の任意の値の範囲内であり得る。
【0049】
本発明の一実施形態において、未発泡樹脂ビーズ中の弾性ポリマーは架橋されていることができる。弾性ポリマーは、下記の1以上のアリールおよび/または非アリール重合性モノマーの単独重合または共重合中または後(前を除く)に架橋されていることができる。この実施形態において、弾性ポリマーは、望ましい物理的特性を得るために必要な程度まで架橋されている。一実施形態において、弾性ポリマーは低レベルの架橋を含む。
【0050】
本樹脂ビーズは、1以上の重合性アリールモノマーの重合により得られる反復単位を含む1以上のホモポリマーおよび/またはコポリマーを含む分散相を含む。
【0051】
本明細書において、用語「重合性アリールモノマー」または「アリールモノマー」は、2から12個の炭素原子を含む非芳香族不飽和炭化水素基および6から24個の炭素原子を含む芳香族化合物から水素原子を除いて得られる基を含む分子を指す。
【0052】
本発明の一実施形態において、アリールモノマーはスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、ジメチルスチレン、これらの核臭素化または核塩素化誘導体およびこれらの組み合わせの1以上を含む。
【0053】
本発明の他の実施形態において、分散相は、場合により1以上の非アリールモノマーを含むアリールモノマーのコポリマーを含む。任意の適切な非アリールモノマーを本発明に使用できる。適切な非アリールコモノマーは、限定するものではないが、無水マレイン酸、マレイン酸、マレイミド、フマル酸、マレイン酸のC1−C12直鎖、分枝鎖または環状アルキルエステル、フマル酸のC1−C12直鎖、分枝鎖または環状アルキルエステル、イタコン酸、イタコン酸のC1−C12直鎖、分枝鎖または環状アルキルエステル、無水イタコン酸、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブチレン、2−ブテン、ジイソブチレン、1−ペンテン、2−ペンテン、1−ヘキセン、2−ヘキセン、3−ヘキセン、ビニルアセテート、(メタ)アクリル酸のC1−C12直鎖、分枝鎖または環状アルキルエステル、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル、二官能性以上のモノマー(限定するものではないが、例としてジビニルベンゼンおよび共役ジエンなど)、およびこれらの組み合わせを含む。
【0054】
本発明の一実施形態において、未発泡樹脂ビーズ中のアリールモノマーのホモポリマーおよび/またはコポリマーは架橋され得る。この実施形態において、ホモポリマーおよび/またはコポリマーは望ましい物理的特性を得るために必要な程度まで架橋される。一実施形態において、ホモポリマーおよび/またはコポリマーポリマーは低レベルの架橋を含む。
【0055】
本発明の一実施形態において、分散相中のホモポリマーおよび/またはコポリマーの重量平均分子量は少なくとも10,000、場合によっては少なくとも15,000、他の場合において少なくとも20,000、例によっては少なくとも25,000、他の例では少なくとも30,000、環境によっては少なくとも35,000であり、最大1,000,000、場合によっては最大750,000、他の場合において最大600,000、例によっては最大500,000、他の例では最大250,000であり得る。分散相中のホモポリマーおよび/またはコポリマーの分子量は使用される重合条件および得られるビーズの望ましい物理的特性によって決まる。分散相中のホモポリマーおよび/またはコポリマーの分子量は、上記の任意の値または上記の任意の値の範囲内であり得る。
【0056】
一般に、「アリールモノマー」または「非アリールモノマー」(本明細書においては単に「モノマー」とも呼ぶ)は、分散相中で実質的に高度にホモポリマーおよび/またはコポリマーに変換される。この場合、樹脂ビーズ中の未反応モノマーの量は、樹脂ビーズの重量に対して、5重量%未満、場合によっては4重量%未満、他の場合において2.5重量%未満であり得る。
【0057】
本発明の一実施形態において、モノマーの少なくとも一部は、連続相中の弾性ポリマーの少なくとも一部にグラフトされる。
【0058】
本発明の他の実施形態において、アリールモノマーのホモポリマーおよび/またはコポリマーの一部は連続相中に存在する。本実施形態において、連続相中に存在するホモポリマーおよび/またはコポリマーの量は、樹脂ビーズ中に存在するアリールモノマーの全ホモポリマーおよび/またはコポリマーに対して、少なくとも0.01重量%、場合によっては少なくとも0.1重量%、他の場合において少なくとも1重量%であり、最大50重量%、場合によっては最大40重量%、他の場合において最大30重量%、例によっては最大20重量%、他の例では最大10重量%、特定の環境において最大5重量%であり得る。連続相中に存在するアリールモノマー中のホモポリマーおよび/またはコポリマーの量は、樹脂ビーズの調製に使用される工程のタイプによって決まる。樹脂ビーズの連続相中のアリールモノマーのホモポリマーおよび/またはコポリマーの量は、上記の任意の値または上記の任意の値の範囲内であり得る。
【0059】
本発明の一実施形態において、樹脂ビーズはこの外面の実質的に全部を被覆するスキン層を含むことができる。スキン層の厚みは、少なくとも0.1μm、場合によっては少なくとも0.25μm、他の場合において少なくとも0.5μm、例によっては少なくとも1μm、他の例では少なくとも1.5μm、環境によっては少なくとも2μmであり得る。さらに、スキン層の厚みは、最大7μm、場合によっては最大6μm、他の場合において最大5μmであり得る。スキン層の厚みは、下記のようにスキン層の容量により限定される。樹脂ビーズのスキン層の厚みは、上記の任意の値または上記の任意の値の範囲内であり得る。
【0060】
樹脂ビーズのスキン層は、樹脂ビーズの容量のごく一部を占める。この場合、スキン層は樹脂ビーズの少なくとも1容量パーセント、場合によっては少なくとも2.5容量パーセント、他の場合において少なくとも5容量パーセントを構成することができる。同様に、スキン層は樹脂ビーズの最大25容量パーセント、場合によっては最大20容量パーセント、他の場合において最大15容量パーセント、例によっては最大10容量パーセントを構成することができる。樹脂ビーズのスキン層を構成する樹脂ビーズの容量は、上記の任意の値または上記の任意の値の範囲内であり得る。
【0061】
本発明の一実施形態において、樹脂ビーズのスキン層は、前述のとおり、分散相のホモポリマーおよび/またはコポリマーを含む。
【0062】
本発明の一実施形態において、本樹脂ビーズは、225℃、場合によっては200°、他の場合において175℃の温度に10分間暴露されるとき溶融または分解しない。
【0063】
本発明の未発泡樹脂ビーズは、
A)1以上の重合性アリールモノマーを含むモノマー溶液に溶解した1以上の弾性ポリマーを含む、静止状態または流れ状態であり得る水相中の有機液相の有機液滴分散液を形成するステップ、
B)低せん断流パターンの分散有機液滴中のモノマーを重合させて未発泡ポリマービーズを形成するステップ、
により調製できる。
【0064】
本発明の一実施形態において、有機液滴分散液は、静止状態または流れ状態であり得る水相の自由表面下の有機相を圧力噴霧することにより形成される。
【0065】
本発明の他の実施形態において、静止状態または流れ状態であり得る水相中の有機液相の有機液滴分散液は、機械撹拌を加えることにより形成される。
【0066】
本明細書において用語「水相」は、分散液中の連続相が水を含むことが限定されまたは必要とされることを意味しない。本明細書においては、「水相」は、水および/または他の極性および/またはプロトン性溶媒(限定するものではないが、例としてアルコール、グリコール、およびグリセリン)を含むことができる、分散液中の非有機相を指す。
【0067】
有機相(すなわち有機液滴)は、水相の密度の±20%の密度を有することができる。
【0068】
さらにまた、有機相(すなわち有機液滴)は、前述のとおり、1以上の重合性アリールモノマーを含むモノマー溶液に溶解した1以上の上記弾性ポリマーを含む有機溶液を含むことができる。
【0069】
有機相の分散液滴は、有機液体および水性液の全容量の少なくとも0.01容量パーセント、場合によっては0.1容量パーセント、他の場合において少なくとも1容量パーセント、例によっては少なくとも5容量パーセントを構成することができる。さらに、分散有機相液滴は、有機液体および水性液の全容量の最大60容量パーセント、場合によっては最大55容量パーセント、他の場合において最大50容量パーセント、状況によっては最大45容量パーセント、他の状況において最大40容量パーセントの量で存在することができる。分散有機相液滴は上記の任意のレベルまたは上記の任意の値の範囲内であり得る。
【0070】
水性液または水相は、有機液体および水性液の全容量の少なくとも40容量パーセント、場合によっては45容量パーセント、他の場合において少なくとも50容量パーセント、例によっては少なくとも55容量パーセント、他の例では少なくとも60容量パーセントを構成することができる。さらに、水性液または水相は、有機液体および水性液の全容量の最大99.99容量パーセント、場合によっては最大99.9容量パーセント、他の場合において最大99容量パーセント、状況によっては最大95容量パーセントの量で存在することができる。水性液または水相は、上記の任意のレベルまたは上記の任意の値の範囲内であり得る。
【0071】
有機相は、有機相が分散液タンクまたは反応器中に供給されるように、貯蔵タンク、またはパイプもしくはループリアクター中に含まれ得る。
【0072】
本分散液中の分散有機液滴は、少なくとも0.001mm、場合によっては少なくとも0.01mm、他の場合において少なくとも0.1mm、他の例では少なくとも1mmの平均直径を有することができる。同様に、本分散液中の分散有機液滴は、最大10mm、場合によっては最大7.5mm、他の場合において最大5mmの平均直径を有することができる。分散有機液滴の粒径は、使用される装置、分散液を製造するために使用される特定の配合物および使用される撹拌の種類により決まる。望ましい最終ビーズ径は、分散有機液滴の望ましい粒径を特定するために使用される。液滴の粒径分布は、重合させたビーズの粒径分布を推定するための前述の方法の1つ、すなわち母集団から試料を採取し、液滴を撮影し、画像中の液滴の直径の大きさを決めることができる当分野で公知のソフトウェアを用いて写真画像を分析する方法を用いて測定できる。得られる一連の直径を用いて、試料の平均直径、標準偏差値、および試料径分布を算出できる。本明細書に記載の噴霧方法により分散液滴が得られる特定の場合において、液滴の粒径分布は、ビデオカメラで分散工程を記録し、噴霧工程中、異なる時間に分散液滴のそれぞれの記録画像を捕捉することにより推定することもできる。ついで、画像上に表示された液滴の直径を測定することができる当分野で公知のソフトウェアを用いて液滴の粒径に関して分析することができる。平均液滴径、標準偏差値および液滴径分布などの統計パラメーターを算出するために、一連の得られた液滴径が用いられる。本分散液中の分散有機液滴の粒径は、上記の任意の値または上記の任意の値の範囲内であり得る。
【0073】
本発明において、分散有機液滴は低せん断流パターンで重合される。すなわち、液滴が運動中に受けるせん断応力を最小にするために、分散液に最小限の撹拌エネルギーが加えられる。このようにして、液滴間の混合および液滴の形状の任意の変形または変化が最小にされる。本方法におけるこの工程の特徴により、連続相が弾性ポリマーを含み、分散相が1以上の重合性アリールモノマーのホモポリマーおよび/またはコポリマーを含む有機相の分散液滴が望ましい形態を有する樹脂ビーズをもたらすミニバルク反応器としてふるまうことが可能となる。
【0074】
逆に、スチレン/弾性有機相の重合中激しい混合を用いて高せん断および高乱流レベルを生じることにより、転相が促進され、前述の本発明による形態と反対の樹脂形態が得られることが当分野において知られている(例えば、Freeguard G.F.,J.of Applied Polymer Science,vol 15,No 7,1971,pg.1657−1663,Production of rubber modified polystyrene.II Significance of shear in phase inversion.; Keskkula H.,Plastics and Rubber.Materials and Applications.Vol.4,1979,pg.66−71 Factors influencing rubber phase morphology in polystyrene; Keskkula H.Plastics and Rubber.Materials and Applications.May,1979,pg.71−76,Phase separation in polybutadiene−polystyrene systems; Wagner E.R.,Robeson L.M.,Rubber Chemistry and Technology,vol.43,1970,pg.1129−1137,Impact polystyrene: factors controlling the rubber efficiency; Soto G.et al.J.of Applied Polymer Science,vol.92,No.3,May 5,2004,pg.1397−1412,Bulk Polymerization of Styrene in the Presence of Polybutadiene: Effect of Initiator Type and Prepolymerization Conditions on Particle Morphology; Molau G.E.,Keskkula H.,J.Polymer Science,vol.4 ,1966,pg.1595−1607,Heterogeneous polymer systems.IV.Mechanism of rubber particle formation in rubber modified vinyl polymers; Riess G.,Gaillard P.,Preparation of rubber−modified polystyrene: influence of the reaction conditions on phase inversion and morphology,Polymer reaction engineering: influence of reaction engineering on polymer properties,Edited by Reichert and Geisekler,Munich 1983; Eastmond G.C,Phillips D.G.,Colloid and polymer Science,vol262,No.8,1984,pg.627−634,On the Form and Formation of Rubber Particles in Impact Polystyrene and Their Relationship to Natural and Synthetic Materialsを参照のこと)。従って、高せん断および高乱流レベル下の重合は、1以上の重合性アリールモノマーのホモポリマーおよび/またはコポリマーを含む連続相中で弾性ポリマーが離散した吸蔵を形成する形態を生じうる。例えば、一般的な耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)樹脂ビーズは、連続スチレンポリマーマトリックス中に分散した弾性ポリマーの離散粒子を含む。HIPSの調製方法は、溶解弾性成分を含むスチレンの予備重合中の激しい撹拌方法を含み、ついでスチレンモノマーの分散およびさらなる重合を含む。得られたHIPS樹脂形態は、本発明が提供するものとまさに正反対である。
【0075】
さらに、弾性ポリマーを含む連続相および重合性アリールモノマーのホモポリマーおよび/またはコポリマーを含む分散相を含むバルク材料を得ることができるバルク重合方法(例えば、混合または撹拌を用いないインサイチュー重合方法)は存在するが、従来の方法は、このような形態を有する樹脂ビーズの製造を提供しない。
【0076】
驚くべきことに、本発明者らは、分散有機液滴が前述のとおり低せん断流パターンで重合されるとき、上記の形態を有する樹脂ビーズが形成される。すなわち、本発明の樹脂ビーズは、連続相が弾性ポリマーを含み、分散相が1以上の重合性アリールモノマーのホモポリマーおよび/またはコポリマーを含む形態を有する。形態の正確な性質は、低せん断流パターンを与えるために使用される方法により与えられる撹拌およびエネルギー入力のタイプにより影響を受けうる。
【0077】
一般に、重合中、大変低いせん断および/またはエネルギー入力条件下で架橋されたクモの巣状形態が存在する。より高いせん断および/またはエネルギー入力を提供する低せん断流パターン条件下で、局所的に形成された分岐および/または相互メッシュ構造体により場合により少なくとも部分架橋および/または連結された、高いアスペクト比を有する糸を含む形態が樹脂ビーズ中に存在する。
【0078】
本発明において、有機液相は、周囲温度および圧力で測定するとき、少なくとも0.1センチポアズ(cps)、場合によっては少なくとも10cps、他の場合において少なくとも50cps、状況によっては少なくとも100cpsのせん断粘度を有することができ、最大10,000cps、場合によっては最大8,000cps、他の例において最大6,000cps、場合によっては最大4,500cps、他の場合において最大2,500cpsのせん断粘度を有することができる。有機液相の粘度は、上記の任意の値または上記の任意の値の範囲内であり得る。
【0079】
有機相は、1以上の重合性アリールモノマーを含むモノマー溶液に溶解した弾性ポリマーを含む有機溶液を含む。この場合において、弾性ポリマーは有機溶液の少なくとも1重量%、場合によっては少なくとも5重量%、他の場合において少なくとも10重量%の量で有機溶液中に存在する。同様に、弾性ポリマーは有機溶液の最大50重量%、場合によっては最大40重量%、他の場合において最大30重量%存在することができる。使用される弾性ポリマーの正確な量は、これから製造して得られる樹脂ビーズおよび/または発泡樹脂ビーズに望ましい特性によって決まる。有機溶液中の弾性ポリマーの量は、上記の任意の量または上記の任意の量間の範囲内であり得る。
【0080】
さらに、モノマー溶液は、有機溶液の少なくとも50重量%、場合によっては少なくとも60重量%、他の場合において少なくとも70重量%の量で有機溶液中に存在することができる。同様に、弾性ポリマーは、有機溶液の最大99重量%、場合によっては最大95重量%、他の場合において最大90重量%存在することができる。使用されるモノマー溶液の正確な量および組成は、これから製造して得られる樹脂ビーズおよび/または発泡樹脂ビーズに望ましい特性によって決まる。有機溶液中のモノマー溶液の量は、上記の任意の量または上記の任意の量間の範囲内であり得る。
【0081】
本樹脂ビーズの分散相中にホモポリマーが望ましい場合、モノマー溶液はアリールモノマーの1種のみを含む。樹脂ビーズの分散相にコポリマーが望ましい場合、アリールモノマーは、モノマー溶液の少なくとも25重量%、場合によっては少なくとも35重量%、他の場合において少なくとも40重量%の量でモノマー溶液に含まれ得る。同様に、アリールモノマーはモノマー溶液の最大99重量%、場合によっては最大95重量%、他の場合において最大90重量%、例によっては最大80重量%、他の例において最大75重量%含まれ得る。モノマー溶液中に使用されるアリールモノマーの正確な量およびタイプは、これから製造して得られる樹脂ビーズおよび/または発泡樹脂ビーズに望ましい特性によって決まる。モノマー溶液中のアリールモノマーの量は、上記の任意の量または上記の任意の量間の範囲内であり得る。
【0082】
同様に、樹脂ビーズの分散相にコポリマーが望ましい場合、非アリールモノマーは、モノマー溶液の少なくとも1重量%、場合によっては少なくとも5重量%、他の場合において少なくとも10重量%、例によっては少なくとも20重量%、他の例において少なくとも25重量%の量でモノマー溶液中に含まれ得る。同様に、非アリールモノマーはモノマー溶液の最大75重量%、場合によっては最大65重量%、他の場合において最大55重量%含まれ得る。モノマー溶液中に使用される非アリールモノマーの正確な量およびタイプは、これから製造して得られる樹脂ビーズおよび/または発泡樹脂ビーズに望ましい特性によって決まる。モノマー溶液中の非アリールモノマーの量は、上記の任意の量または上記の任意の量間の範囲内であり得る。
【0083】
有機液相の均一な液滴の生成を促進するために水相(懸濁媒体)を選択することができる。水相の粘度は、少なくとも1cps、場合によっては少なくとも2cps、他の場合において少なくとも5cpsであることができ、最大400cps、場合によっては最大250cps、他の場合において最大100cpsであり得る。水相の粘度は、上記の任意の値または上記の任意の値の範囲内であり得る。
【0084】
さらに、水相は有機液相の密度とは十分に異なる密度を有することができる。本発明の一実施形態において、水相の密度は、分散有機液体の液滴の密度と比較して等しいかまたはこれより大きく、水相の密度は、分散有機液体の液滴の密度の約1.02から約1.2倍である。分散有機液体がさらに重合される場合、分散液滴または粒子の密度は変化しうるが、通常は増加する。もしくはまた、分散有機液体の液滴が懸濁媒体中を降下する場合、水相の密度は分散有機液体の液滴の密度の約0.98から約0.80倍でありうる。
【0085】
水相は適切には不活性であり、有機液相に不混和性である。本明細書において、用語「不混和性」は、有機液相の約1重量パーセント未満が懸濁液に混和性(または可溶性)である(すなわち、水相が有機液相を約1重量パーセントより大きく溶媒和しない)ことを意味する。本発明の一実施形態において、有機液相の約0.1重量パーセント未満が水相に混和性である。
【0086】
水相は水を含み、水と、メタノールまたはブタノールなどの低級アルキルアルコールなどの1以上の水混和性有機液体との混合物であり得る。有機液相に不混和性であり、水相に不混和性であってもなくてもよい有機液体、および塩の添加を、水相の密度を変える(増加させる)ために使用できる。
【0087】
本発明の一実施形態において、水相は1以上の界面活性剤または懸濁助剤を含む。しかしながら、有機液相に懸濁助剤を添加することも可能である。適切な懸濁助剤は、望ましい粒径の長球形液滴のモノマー相を形成させ、このように形成された液滴の融合または二次分散(破損)を妨げることを可能にする材料である。
【0088】
懸濁安定剤は当業界に周知であり、通常少なくとも70%、多くの場合最大95%、場合によっては98%以下加水分解され、約30,000から300,000(通常75,000から300,000)の重量平均分子量を有するポリ(ビニルアルコール)などの有機安定剤;通常、最大で重量平均分子量500,000を有するカルボキシメチルセルロース;ゼラチン;寒天;ポリビニルピロリジン;ポリアクリルアミド;限定するものではないが例としてジメチルジアリルアンモニウムクロリド、(メタ)アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド、ポリ(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムメチルスルファート、ならびにこれらの組み合わせのホモポリマーおよびコポリマーを含むカチオン性ポリマー;アルミナ、ベントナイト、ケイ酸マグネシウムなどの無機安定剤;ナトリウムドデシルベンゼンスルホナートなどの界面活性剤;または場合により上記の安定剤のいずれかと組み合わせた、リン酸三カルシウム、リン酸水素二ナトリウムなどのリン酸塩を含む。場合によっては、増量剤を用いて安定剤の効果を高めることができる。当業者は、特定の安定剤の有用性または安定剤および/または増量剤の組み合わせを容易に決定することができる。安定剤の量は、水相の重量に対し、有機液相の粘度に応じて、0から最大10重量%に変化させることができ、場合によっては0.01から10重量%、他の場合において0.1から8重量%、特定の場合0.1から5重量%に変化させることができる(例えばより高い粘度の液体はより多い安定剤を必要とする)。有機液相に懸濁助剤または安定剤が添加される場合、同量の安定剤を提供するのに十分な量で添加されることができる。
【0089】
懸濁安定剤は、周囲圧力および温度でASTM D−971に従って測定するとき、3ダイン/cm以上、場合によっては8ダイン/cm以上、他の場合において12ダイン/cm以上の界面張力を有する、水相と有機液相の液滴間の表面を形成させうるものであり得る。
【0090】
本発明の本実施形態にしたがって、開始剤、帯電防止剤もしくは添加剤、難燃剤、顔料(着色剤)もしくは染料、充填剤、安定剤(UVおよび/または熱および光)、コーティング剤、可塑剤、連鎖移動剤、架橋剤、核剤、および殺虫剤ならびに/または殺鼠剤から選択される1以上のメンバーを、有機液相の0から最大10重量%の量で、場合によっては0.1から10重量%、他の場合において0.05から8重量%、特定の場合において0.1から5重量%の量で、有機液相、水相のいずれかまたは両方に添加することができる。
【0091】
適切な開始剤は、限定するものではないが、ペルオキシド、ペルオキシカーボナートおよびペルエステルなどの、有機ペルオキシ化合物を含む。これらのペルオキシ化合物の典型的な例は、デカノイルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、オクタノイルペルオキシド、ステアリルペルオキシドなどのC6−20アシルペルオキシド、t−ブチルペルベンゾアート、t−ブチルペルアセタート、t−ブチルペルイソブチラート、t−ブチルペルオキシ2−エチルヘキシルカーボナート、カルボノペルオキシ酸、(1,1−ジメチルプロピル)(2−エチルヘキシル)エステルなどのペルエステル、ジイソプロピルベンゼンヒドロペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、ジクミルペルオキシドを含むC3−10ヒドロカルビル部分を含むジヒドロカルビルペルオキシドおよびヒドロペルオキシドならびにこれらの組み合わせである。
【0092】
例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリルなどのアジドのような、ペルオキシ化合物とは異なる他の開始剤もまた可能である。開始剤の量は、適切には、有機液相の量に基づいて0.01から1重量%である。
【0093】
水相または有機液相はまた、帯電防止(添加)剤;難燃剤;顔料(着色剤)もしくは染料;ホワイトオイルなどの充填材、可塑剤を含むことができる。水相または有機液相はまた、通常シリコーンを含むコーティング化合物;金属またはグリセロールカルボキシラート(適切なカルボキシラートはグリセロールモノ−、ジ−およびトリ−ステアラート、亜鉛ステアラート、カルシウムステアラート、およびマグネシウムステアラートを含む);およびこれらの混合物を含むことができる。このような組成物の例は、英国特許第1,409,285号および米国特許第4,781,983号に開示されている。コーティング組成物は、種々のタイプのバッチおよび連続混合装置で、乾式コーティングにより、または容易に気化する液体中のスラリーもしくは溶液により粒子に塗布できる。このコーティング助剤は、予備発泡段階中で得られた発泡セル粒子が凝集塊を形成するのを妨げるのに役立ち、従って、任意の得られた成形発泡品の質を改良するのに役立つ。
【0094】
水相または有機液相、またはこの両方は、連鎖移動剤などの種々の添加剤を含むことができる。適切な例は、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、t−ブチルメルカプタンおよびn−ブチルメルカプタンなどのC2−15アルキルメルカプタンならびにペンタフェニルエタンおよびα−メチルスチレンダイマーなどの他の薬剤を含む。有機液相または水相は、ブタジエンおよびジビニルベンゼンなどの架橋剤ならびにポリオレフィンワックスなどの核剤を含むことができる。ポリオレフィンワックスは、例としてポリエチレンワックスの場合、重量平均分子量500から5,000を有する。このワックスは、有機液相の量(重量)に基づいて、0.05から1.0重量%の量で使用できる。水相または有機液相は、タルク、有機臭化物含有化合物、ならびに例えばWO98/01489に記載されているようなアルキルスルホスクシナート、ソルビタール−C8−C20カルボキシラート、およびC8−C20アルキルキシレンスルホナートを含むことができる極性薬剤を0.1から0.5重量%含むこともできる。核剤を水相または有機液相、またはこの両方に混合することができる。核剤は、本発明が発泡性ポリマーを形成するために使用される場合、セルの形成を促進する傾向があるので特に有用である。
【0095】
適切な殺虫剤は、米国特許第6,153,307号および第6,080,796号に開示されている。これらは、ホウ素化合物(ボラートおよびホウ酸)を含む。有用な殺虫剤のいくつかは、1−[(6−クロロ−3−ピリジニル)メチル]−4,5−ジヒドロ−N−ニトロ−1H−イミダゾール−2−アミンおよび3−(2,2−ジクロロエテニル)−2,2−ジ−メチルシクロプロパンカルボン酸シアノ(3−フェノキシフェニル)−メチルエステル(シペルメトリン)(例えばZenecaにより販売されているDemon TC中の活性成分);3−(2,2−ジクロロエテニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボン酸(3−フェノキシフェニル)メチルエステル(ペルメトリン)(例えばZenecaにより販売されているDragnet FTおよびTorpedo中の活性成分);ならびに1−[(6−クロロ−3−ピリジニル)メチル]−4,5−ジヒドロ−N−ニトロ−1H−イミダゾール−2−アミン(イミダクロプリド)(例えば、Bayerにより販売されているPREMISE(登録商標)中の活性成分)からなる群より選択されることができる。
【0096】
一実施形態において、米国特許第6,176,439号において教示されているように、水を4から16%有するポリマー粒子を生成するために、有機液相は水を0から約40重量%、場合によっては3から20重量%、他の場合において8から15重量%含む。他の実施形態において、上記した米国特許第6,160,027号の第3段、19から26行に教示されているように、有機液相は水を1から20重量%、場合によっては3から15重量%含むことができる。これらの特許の内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0097】
本発明に従って有機相を分散させるために使用される方法の1つは、特に単一粒径の液滴が望ましい場合、圧力式噴霧器の使用することである。圧力式噴霧器は、通常、円形オリフィスであり、直径0.01から2mm、場合によっては0.1から1mm、他の場合において0.1から0.8mm、例によっては0.1から0.5mm、他の例において0.1から0.4mmを有し、約5mm未満の長さを有する。一般に、この噴霧器は約0.2から約10、場合によっては0.2から5の範囲の長さ対直径(L/D)比を有する。
【0098】
本発明の一実施形態において、噴霧器または噴霧器を含むヘッダープレート(例えば、この上部に多くの穴を有するプレート)を用いて、有機液相を水相に注入し、分散させて液滴にすることができる。ヘッダープレートに合わせることができる噴霧器の数は、プレートサイズおよび噴霧器のサイズおよび間隔によって決まる。ヘッダープレートは、これらの運転が互いに干渉しない限り多数の噴霧器を含むことができる。特に噴霧器噴出口の近傍において、噴霧流間の相互作用を最小にするように注意が必要である。隣接の噴霧器からの隣接流間の相互作用を最小にするように十分離して各噴霧器を配置することが求められる。隣接流間の過度の相互作用により、噴霧される液滴の直接の衝突によってこの変形を引き起こす可能性があり、または噴霧される液滴の広い粒径分布をもたらす流れの時期尚早の分散を引き起こす可能性がある。隣接流が噴霧される液滴の平均直径の少なくとも5倍、場合によっては10倍の距離離れている場合、有機液相の隣接流間の相互作用は顕著には現れない。
【0099】
ヘッダープレートの全表面をおおう正方形または他の形中に、噴霧器を均等に配置することができる。
【0100】
有機液相の粘度を低下させて噴霧の質を改良するために、本発明の一実施形態において、有機液相は、有機液相の貯蔵タンク、貯蔵タンクから噴霧器入口への輸送管、および噴霧器から選択される1以上の位置で加熱される。
【0101】
貯蔵タンクおよび/または輸送管中に含まれる有機液相は、周囲温度(20℃)から液体成分の分解点(例えば、噴霧される液体中のポリマーの分解点)より下の温度まで加熱できる。本発明の一実施形態において、例えば、噴霧される液体が約135℃までに重合される場合、温度は工程の設定温度であり得る。温度は、少なくとも約30℃、場合によっては少なくとも45℃、他の場合において少なくとも50℃であり得る。一般に、噴霧器入口の有機液体の温度約50℃から95℃は、所要の分散液に有用で十分である。
【0102】
噴霧器もまた同様な温度に加熱することができる。例えば、オリフィスプレートを含む噴霧器の流出部分は、水または他の熱伝達液などの循環液を用いて加熱でき、好ましくは電気ヒーターなどの他の手段で加熱できる。
【0103】
噴霧器につき0.05から15ml/秒、場合によっては0.1から12ml/秒、他の場合において0.5から10ml/秒の速度で水相に有機液相を添加することができる。水相の自由表面下に位置する噴霧器に液体を通過させ、水相内に液体流を生じさせ、水相中に液体飛沫として噴霧器噴出口から下流にこの流れを分散させる。噴霧される液滴の平均粒径は、噴霧器の外形、噴霧器からの、有機液体の出口速度および水相および有機液相の両方の特性によって決まる。より高い粘度の縣濁化剤および/または噴霧される有機相を、噴霧される有機液相のより大きい液滴の調製に使用できる。
【0104】
本発明の一実施形態において、液滴は、平均粒径約0.1から10mm、場合によっては0.1から5mm、他の場合において0.3から3mmを有することができる。比較的均一な噴霧される液滴に関して、粒径分布の標準偏差値は、噴霧される液体の平均液滴径の通常約10%未満であり、多くの場合8%未満である。限定するものではないが、例として、液滴径約0.3から5mmに関して、平均液滴径の標準偏差値は、約0.03から0.35mmであり得る(例えば平均液滴径の8%以下)。通常、平均液滴径は噴霧器の直径より実質的に大きい。
【0105】
有機液相は、加圧下で噴霧器を通過させられる。通常、圧力は100バール以下であり、3から100バール、場合によっては3から80バール、他の場合において5から60バールであり得る。噴霧される液体の圧力エネルギーは、噴霧器中で流れの運動エネルギーに変換される。流れが噴霧器オリフィス出口および周囲の水相と相互作用するとき、この運動エネルギーがさらに流れの砕解をもたらす。この相互作用により乱れが生じ、噴霧器噴出口で流れが砕かれて液滴になるかまたは、乱れが流れ内の下流に伝達され、噴霧器噴出口と少し離れた位置で流れが砕かれて液滴となる。本発明の一実施形態において、噴霧される液体の静圧の20%未満であり、場合によっては1から10%、他の場合において3から10%である、噴霧される流動有機液相の圧力が、噴霧器入口の上流で、連続的または断続的な脈動に加えられる。脈動の周波数は、パラメーターの中で特に、有機液相の粘度によって決まり、1から500Hzの範囲であることができ、場合によっては200Hz未満、他の場合において150Hz未満であり得る。加えられる圧力脈動により、液滴径分布に影響を与え、通常、液滴径分布がより均一になるように、流れ−噴霧器相互作用により生じる元の乱れが強化増幅される。加えられる圧力脈動の周波数および振幅を調整することにより、二重サイズまたはカスタマイズされた分布の噴霧される液滴を生成することができる。より粘性の高い非ニュートン液体の噴霧の場合、流れ破砕(液滴形成)の主要なメカニズム/源として圧力脈動を加えることができる。限定するものではないが、例として米国特許第6,747,107号を参照されたい。参照によりこの関連部分が本明細書に組み込まれる。
【0106】
本発明の一実施形態において、反応器の水相の自由表面下に噴霧を直接行う場合もあり、貯蔵タンクに噴霧を行い、ついで反応器に移す場合もある。液滴の凝集または二次的な破砕の確率を抑えるために、噴霧された液滴はせん断および乱流条件下に維持される必要があり、これにより液滴相互作用は最小になり、液滴に低い運動量移動が行われる。一般に、条件としては、低い、好ましくは比較的均一なせん断および低い、制御された乱流レベルを有する水相内の流れパターンが必要とされる。好都合には、低速羽根車が作り出すことができる局部層流域とは対照的に、水相を、水相容量を通して実質的に均一であり得る層流に付すことができる。
【0107】
ついで噴霧された液滴が重合され、工程中、初期粒径分布が維持されるか、または制御された仕方で改良、変性(低減)され、ビーズ生成物の所要の最終粒径分布がもたらされる場合、このような条件は特に重要である。
【0108】
重合中、分散された液体飛沫または固体粒子は、望ましくは、水相の自由表面下に沈んだままであり、液滴−液滴相互作用(例えば粒子または液滴の衝突)を最小にするばかりでなく例えば適切な熱伝達などの他の必要条件を満たすように、実質的に均一に水相に分散する必要がある。
【0109】
限定するものではないが、例として、米国特許第6,610,798号に開示されている重合方法を用い、前述の大変低いせん断条件が提供される。この関連部分は参照により本明細書に組み込まれる。この場合、低せん断流パターンは、機械撹拌を用いずに、最大15バールのゲージ圧で、反応器の選択された部分に、反応器内容物に対して不活性で反応器内容物に不混和性の1以上のガス流を連続的または周期的に注入することにより作り出される制御された低乱流パターンである。
【0110】
このような条件を維持する方法の1つは、容器内容物に不混和性、不活性であり反応器内容物よりも低い密度を有する流体流を容器の選択された部分に連続的または周期的に注入し、水相の自由表面上にこの流体を回収し、多くの場合これを容器中に再注入することを含む、容器に含まれる水相中で、機械撹拌を用いずに、制御された低乱流レベルを有する低せん断流パターンを作り出す工程である。本発明の一実施形態において、注入される流体は水相または有機液相に可溶性ではない不活性ガスである。
【0111】
工程中、初期液滴径分布が最大限保たれる必要がある場合、分散液滴は、水相の容量内に均一に分散され、低せん断に暴露され得、水相内の層流中に残存する。
【0112】
場合により、初期液滴径分布は改良されてより均一になる、および/または平均直径は少し低減される。本実施形態において、母集団中の最大液滴の一定の百分率(例えば最大液滴の15%まで)は、水相中の低乱流低せん断流パターンに暴露されることにより、制御された仕方で砕かれることができる。
【0113】
さらなる実施形態において、水相中の液滴の大部分(例えば少なくとも85%)に二次的な粉砕を加えることにより、全液滴径分布を低減することができる。
【0114】
本発明の一実施形態において、多くの場合、反応器または容器容量の底部を含む選択された位置に、水相および有機液相の分散液滴よりも実質的に低い密度を有し、反応器内容物に不活性、不混和性の1以上の流体流を注入することにより、所要の流れパターンを容器中に形成することができる。水相と有機液相の分散された液体飛沫との密度および容量の比に応じて、注入の周波数を調整して、流体を連続的または周期的に注入することができる(有機液相の分散液滴が反応器の底に沈む、または水相の自由表面に浮かび上がるのを防ぐために)。
【0115】
本発明の一実施形態において、注入に適した十分に低い密度の流体は気体である。気体は水相に溶けない不活性ガスである空気および窒素(多くの場合窒素)から選択できる。最大15バールのゲージ圧(限定するものではないが、例として0.001から15バールゲージ)で水相中に気体を注入することができる。本明細書においては、ゲージ圧は、気体注入ポートからの上流の絶対気体静圧と容器中の水相の静水圧および水相の自由表面上の絶対周囲静圧の和との差を指す。
【0116】
反応器に注入される流体として気体が選択される場合、2つの注入方式が可能である。例えば、米国特許第6,727,328号を参照のこと(この関連部分が参照により本明細書に組み込まれる)。
【0117】
第1の注入方式は、注入ポートを通して低圧(多くの場合3バールゲージ未満)で気体を注入する方式であり、これにより、注入される気体が、注入ポートの下流の水相中に、有機液相の分散液滴の平均直径よりも実質的に大きい平均気泡径(多くの場合少なくとも2倍、他の場合において少なくとも5倍)を有する気泡流を生じる。浮力、重力および抵抗力の釣り合いにより、気泡流は水相の自由表面に向かって上昇し、ここで気体を回収でき、多くの場合容器に再循環できる。気体の気泡流が自由表面に向かって流れるとき、気泡流は水相と相互作用し、この運動量により反応器中に流れパターンが作られ、水相に円形の低せん断、低乱流運動を起こさせ、反応器中に再循環域が作り出される。生じる域の速度勾配および外形は、気体注入ポートの外形(数、直径および位置)ならびに気体流速により調整できる。分散粒子または有機液相の液滴は、再循環域内を流れ、十分に低いせん断速度および乱流をうけることにより、これらは過度の相互作用することなく沈んだままであり、これらの運動量は十分に低く、これらが衝突する場合であっても、このような低衝撃衝突からもたらされる凝集または破砕の確率は大変に低いままである。有機液相の分散液滴と水相間の密度差は、通常、±20%の範囲内である(すなわち水相の密度に対する有機液相の分散液滴の密度の比は、0.8:1から1.2:1の範囲であり得る)という条件で、粒子のこの運動は水相より軽い粒子および水相より重い粒子に関して維持できる。
【0118】
本発明の一実施形態において、注入ポートは有機液相の分散液滴の平均直径より実質的に(例えば少なくとも2倍)大きい直径を有する。気体注入ポートの位置は、有機液相の分散液滴の濃度および分散液滴/粒子密度に基づいて選択される。一般に、注入ポートは、水相に含まれる有機液相の分散液滴の層の下の反応器中に位置する。従って、水相の密度よりも低い密度を有する有機液相の分散液滴/粒子を水中に沈め、これらの浮遊移動を妨げるために、注入ポートを浮遊粒子/液滴層の下部に配置することができ、反応器壁または底部に配置することができる。
【0119】
水相より重い粒子/液滴を持ち上げ、これらが容器底部に沈降するのを防ぐため、注入ポートの一部を反応器の底部に配置することができる。この場合、例えば、倒立円錐形または円錐台形にするなど、反応器底部の外形を改良することが望ましい場合がある。本発明の一実施形態において、反応器底部は、注入ポートの1つが円錐の先端に位置し、複数個の他のポートが円錐の高さに対応するレベルで円錐横断面に対して接線方向に配置される倒立円錐形である。
【0120】
例えば、有機液相の分散液滴中のモノマーの重合中などの工程中、有機液相の分散液滴/粒子の密度が変化する場合、両方のタイプのポート配置(すなわち反応器壁および底部における配置)の組み合わせを使用することができる。ポート位置の有用な一般配置は、主ポートを反応器底部を配置し、場合により、反応器壁の下部(例えば下半分、好ましくは下4分の1)にいくつかの補助ポートを配置するものである。
【0121】
気体注入速度により、反応器中に作り出される流れパターンの乱流レベルが決定される。気体注入速度は、有機液相と水相の分散液滴の容量比および密度比;水相の粘度;容器の外形;および分散有機液相の液滴/粒子の粒径;を含む多数の因子によって決まる。当業者は、反復実験により適切な気体注入速度を決めることができる。
【0122】
一般に、有機液相の分散液滴/粒子の初期粒径分布を最大限保つために反応器中の水性流れ相の乱流レベルは十分に低いので、反応器内容物の運動は層流である。
【0123】
必要に応じて、有機液相の初期粒子/液滴径分布もまた、気体流速を適切に調整することにより工程中にある程度変更することができる。液滴/粒子の凝集制御により平均液滴/粒径を増加させることはできないが、場合によっては、気体注入速度をあげて母集団中の最大液滴/粒子の破砕(例えば最大粒子の15%)をもたらすことにより、低減または改良してより均一な分布を得ることができる。破砕は、気泡により作り出される流れパターン内の乱流レベルの制御された上昇により引き起こされ、粒子または液滴相互作用(例えば衝突)によっては引き起こされない。
【0124】
本発明のさらなる実施形態において、分散有機液相の液滴の大部分(例えば少なくとも85%)の破砕を引き起こすことにより分散有機液相の平均液滴/粒径を実質的に低減することができる。本実施形態において、液滴を破砕するために、より高い気体注入速度を加えることにより、水相中に高せん断および乱流レベルを有する流れパターンが生ずる。
【0125】
分散し懸濁する有機液相の分散液滴/粒子が水相より低い密度を有し、本明細書に記載の本発明による処理を適用しないと、自由表面に向かって流れ、ここで凝集して層となる場合に、気体注入の第2の方式を工程に適用できる。この方式において、水相の容量内に分散される多数の大変小さい気泡を生じさせるために、高圧(通常5バール(ゲージ)以上)で気体が注入される。注入ポートは、有機液相の分散液滴/粒子の平均直径よりも少なくとも1桁、多くの場合数桁小さい直径を有する。水相の有効密度が分散有機液相の密度よりも低くなり、結果として、有機液相の分散液滴/粒子が沈み始めるようにするために、気泡の濃度を十分に高くする必要がある。この方式において、注入の間、粒子または液滴は沈み、ついでガス供給が止められて気泡が水相を通り過ぎて水相の自由表面を通過して出て行くとき、粒子は容器または反応器の底部から上昇し、自由表面の方向へ再度浮遊するため、周期的気体注入は、粒子または液滴の「振動」運動を引き起こすのに特に有用であり得る。分散有機液相の液滴/粒子が水相の自由表面に到達する前に次の気体注入を行う必要がある。小さな気泡径に関与する機構は、主にガス流の乱流である。気泡は、通常高い速度で自由表面に向かって上昇し、水相中のこの滞留時間は短いが、水相中に生じる流れパターンは、第1の注入方式よりもはるかに高い乱流レベルであり得る。従って必要ならば、浮遊粒子または液滴を砕かないように配慮する必要がある。この注入方式において、より高い粘度(通常10cps以上)の水相は、気泡を減速させ、水相中の滞留時間を増加させて容器中の総乱流レベルを低下させるため、有利である。
【0126】
本発明の他の実施形態において、機械撹拌を用いて適用されるまたは作り出される低せん断条件に付しながら、前述の分散液滴中のモノマーを重合させることができる。エネルギー入力が、任意の液滴−液滴相互作用を最小にするのに十分低く、十分に低い運動量しか与えず、液滴が衝突する場合であってもこのような低衝撃衝突からもたらされる凝集または破砕の確率が大変低いままであるかぎり、任意の適切な機械撹拌機を本発明に使用できる。
【0127】
本発明の特定の実施形態において、1つの羽根車、または場合によっては2以上の羽根車、1以上の磁気駆動撹拌機および/もしくは他の機械駆動撹拌機によって機械撹拌を提供できる。この実施形態に加えて、限定を意味せずに、2つの特定の低せん断シナリオを描くことができる。
【0128】
第1のシナリオにおいて、羽根車または機械駆動撹拌機を連続的に水相に相互作用させる。羽根車または撹拌機は、水相に円形の低せん断、低乱流運動を与えて反応器中に再循環域を作り出す、反応器中の流れパターンを生じる運動量を与える。生じた域の速度勾配および外形は、羽根車もしくは撹拌機の位置、回転方向、および/または外形により調整できる。羽根車および/または撹拌機の特定の位置および外形は、有機液相の分散液滴の濃度および分散液滴/粒子密度に基づいて選択される。作り出される流れパターンは半径方向または軸方向であることができ、反応器容量内に単数または複数の循環ループを含むことができる。再循環流れパターンにより、分散液滴の連続運動が保たれる。液滴密度が水相の密度より低い場合の反応器の自由表面への液滴凝集および/または液滴/粒子密度が連続水相の密度よりも高い場合の反応器底部への液滴/粒子沈降もまた流れパターンにより妨げられる。有機液相の分散粒子または液滴は、再循環域内を流れ、十分に低いせん断速度および乱流に付すことにより、これらは過度の相互作用をすることなく沈んだままであり、これらの運動量は十分に低く、これらが衝突する場合であっても、このような低衝撃衝突からもたらされる凝集または破砕の確率は大変低いままである。有機液相の分散液滴と水相間の密度差は通常±20%の範囲内である(すなわち水相の密度に対する分散有機液相の密度の比は0.8:1から1.2:1であり得る)という条件で、水相より軽い粒子および水相より重い粒子に関して、粒子のこの運動を維持できる。
【0129】
大抵の場合、反応器中に作り出される流れパターンの乱流レベルは、羽根車および/または撹拌機の回転速度および外形によって決まる。回転速度は、有機液相と水相の分散液滴の容量比および密度比;水相の粘度;容器の外形;および分散有機液相の液滴/粒子の粒径を含む多数の因子によって決まる。当業者は、反復実験により適切な回転速度を決めることができ、適用のための適切なタイプの羽根車および/または撹拌機を選択することができる。
【0130】
一般に、優れた粒径分布の有機液相の分散液滴/粒子を得、弾性ポリマーを含む連続相を有する樹脂ビーズの形成を確実にする(すなわち有機液滴の重合中に転相が起こらない)ために、反応器中の流れパターンの乱流レベルは均一で十分に低いので、反応器内容物の運動は層流または過渡的(層流および乱流の中間)である。反応器中で適切な混合を維持し、有機液滴を沈んだままに維持し、低せん断および低乱流パターンに保って凝集させないために、低速で回転する1または場合によっては複数の羽根車によって撹拌が行われる必要がある。タンク直径に対する羽根車直径の比、またはタンク直径とバッフル幅の和に対する羽根車直径の比は0.6から0.95である。場合によっては、タンク直径に対する羽根車直径の比、またはタンク直径とバッフル幅の和に対する羽根車直径の比は0.75から0.95である。羽根車の先端線速度v(v=πDN、ここでDは羽根車の直径であり、Nは1秒あたりの羽根車の回転数である)が、形状が類似する反応器中、同様な容量で、同じ有機相を充填して行われる、従来のスチレンモノマー重合工程に典型的な羽根車の先端速度を越えないように、比較的低速で羽根車を回転させる必要がある。多くの場合、本発明の羽根車の先端速度は、過渡的流れ条件(ここでRe<5000)または層流流れ条件(ここでRe<50)で撹拌が行われるように、従来のスチレン重合中に用いられる羽根車の先端速度よりも20から60%低い。羽根車のレイノルズ数であるReは、Re=ND2/v(式中、Nは1秒あたりの羽根車の回転数であり、Dは羽根車の直径であり、Vはタンク中で処理される液体の動粘度である)。反応器内のこの形態により、低い均一なせん断流れ条件が作られる。理論に束縛されるものではないが、これらの条件により、改良された液滴径分布および有機液滴凝集の確率が抑えられたより安定な懸濁液工程がもたらされる。
【0131】
必要に応じて、回転速度を適切に調整することにより、工程中にある程度有機液相の初期粒子/液滴径分布を変更することもできる。液滴/粒子の凝集制御により平均液滴/粒径を増加させることはできないが、羽根車および/または撹拌機の回転速度をあげて母集団中の最大液滴/粒子のみの破砕(例えば最大粒子の15%)をもたらすことにより、場合によっては、低減または改良してより均一な分布を得ることができる。破砕は、羽根車および/または撹拌機により作り出される流れパターン内の乱流レベルの制御された上昇により引き起こされ、粒子または液滴相互作用(例えば衝突)によっては引き起こされない。
【0132】
本発明のさらなる実施形態において、分散有機液相の液滴の大部分(例えば少なくとも85%)の破砕を引き起こすことにより分散有機液相の平均液滴/粒径を実質的に低減することができる。本実施形態において、液滴を破砕するために、より高い羽根車および/または撹拌機回転速度を加えることにより、水相中により高いせん断および乱流レベルを有する流れパターンが生じる。
【0133】
本発明の他の可能な機械撹拌シナリオにおいて、重合工程中、非連続的、周期的方法で機械撹拌が加えられる。この方式において、羽根車および/または撹拌機の周期的回転は、粒子または液滴の「振動」運動を引き起こすのに特に有用であることができ、連続水相の密度よりも低い密度または高い密度を有する粒子に加えられることができる。羽根車または撹拌機の運動により、液滴および/または粒子は水相の容量内に移動させられ、それぞれより軽い粒子は自由表面から下に引きおろされ、より重い粒子は容器または反応器の底部から持ち上げられる。分散有機液相の液滴/粒子は、この運動量を失い始める前に羽根車および/または撹拌機の次の回転が行われ、密度差に基づいてそれぞれ、自由表面に向かって浮遊するか、容器または反応器の底部に向かって下降する。水相中に生じる流れパターンは、第1の連続的(非周期的)混合方式におけるよりもより高い乱流レベルであり得る。従って必要ならば、流動粒子または液滴を砕かないように配慮する必要がある。
【0134】
本発明の他の実施形態において、有機液相は水相に加えられ、機械撹拌の適用により液滴に分散されるが、この撹拌は分散液滴中のモノマーの重合中に連続的に加えられる。本発明のこの実施形態を取り巻く原理は、撹拌槽反応器を用いる懸濁液重合工程において、当業者に周知である。しかしながら、従来の工程との重要な差異は、工程の初期段階においてせん断力により有機液相が分散されるように、本発明に記載の工程が羽根車および/または撹拌機の比較的低い回転速度で実施されることである。羽根車および/または撹拌機の低い回転速度およびこの結果得られる分散液に加えられる低せん断は、(公知のHIPS懸濁液重合方法とは対照的に)液滴に転相が引き起こされることを促進しない。
【0135】
このような撹拌パターンを作り出すために、低速で回転している1または場合によっては複数の羽根車を含む形態が用いられる。多くの場合、タンク直径に対する羽根車の直径の比またはタンク直径とバッフル幅の和に対する羽根車の直径の比は0.6から0.95であり、場合によっては0.75から0.95である。羽根車の先端線速度v(v=πDN、ここでDは羽根車の直径であり、Nは1秒あたりの羽根車の回転数である)が、形状が類似する反応器中、同様な容量で、同じ有機相を充填して行われる、従来のスチレンモノマー重合に典型的な羽根車の先端の速度を越えないように、比較的低速で羽根車を回転させる必要がある。本発明のいくつかの実施形態において、本発明の羽根車の先端速度は、過渡的流れ条件(ここでRe<5000)または層流流れ条件(ここでRe<50)で撹拌が行われるように、従来のスチレン重合中に用いられる羽根車の先端速度よりも20から60%低い。羽根車のレイノルズ数であるReは、Re=ND2/v(式中、Nは1秒あたりの羽根車の回転数であり、Dは羽根車の直径であり、vはタンク中で処理される液体の動粘度である)。反応器内のこの形態により、低い均一なせん断流れ条件が作られる。これらの条件により、改良された液滴径分布および有機液滴凝集の確率が抑えられたより安定な懸濁液工程がもたらされる。
【0136】
結果として、重合液滴の形態は、連続相中に維持される形態のゴムであり、重合するモノマーは連続相中に作られる網状構造に分散される小さな吸蔵を形成する。この形態は、モノマーの重合のいたるところおよび得られる樹脂ビーズ中に維持される。
【0137】
本発明のさらなる実施形態において、瞬間樹脂ビーズを得るために、前述の機械撹拌シナリオと組み合わせて前述の噴霧工程を使用できる。
【0138】
通常、有機液相の分散液滴中のモノマーの重合は、少なくとも90%、多くの場合少なくとも95%、他の場合において少なくとも99.5%またはそれ以上の変換を受ける。上記のように、工程中、最大135℃、多くの場合以下130℃の温度まで水相を加熱できる。
【0139】
得られた粒子は、発泡性樹脂、イオン交換樹脂または均一なまたはカスタマイズされた粒径分布を必要とする用途などの多くの用途に使用できる。
【0140】
しかしながら、本発明のさらなる実施形態において、分散有機液相におけるモノマーの重合は発泡剤の存在下で行われる。発泡剤は、水相または分散される有機液相中に含侵させることができる。水相中に発泡剤が存在する場合、分散有機液相の重量に対して2.5から7重量%の量で存在させることができる。分散される有機液相に発泡剤が導入される場合、対応する量で使用される。
【0141】
他の実施形態において、重合を完了し、結果として生じる樹脂ビーズを得、ついで発泡剤を含侵させることができる。樹脂ビーズまたは粒子は水などの液体媒体に再懸濁させることができ、この媒体はさらに発泡剤を重合分散有機液相(例えばポリマービーズ)に基づいて2.5から7重量%含むことができる。
【0142】
適切な発泡剤を用い、任意の慣用法で発泡性樹脂ビーズを含侵させることができる。発泡剤として、任意の気体材料または加熱により気体を発生する材料を使用することができる。通常の発泡剤は、選択されたポリマーの軟化点より下の温度で沸騰する、ブタン、ペンタン、ヘキサンなどの、分子中に4から6炭素原子を含む脂肪族炭化水素、ならびに例えばCFC’およびHCFC’などのハロゲン化炭化水素を含む。これらの脂肪族炭化水素発泡剤の混合物もまた使用できる。
【0143】
ビーズを含侵させるために、限定するものではないが、例として、液体n−ペンタンまたはイソペンタン、または液体n−ペンタンおよびイソペンタンの任意の混合物を使用することができる。ビーズ中に吸収される発泡剤の量は、含侵されていないビーズの初期重量の3%から25%、場合によっては約6%から15%の範囲で変化させることができる。
【0144】
もしくはまた、これらの脂肪族炭化水素発泡剤に水を混合することができ、また、米国特許第6,127,439号;第6,160,027号;および第6,242,540号(これらの特許において水を保持した薬剤が使用されている)に記載されているように、単一の発泡剤として水を使用することもできる。発泡剤として使用される水の重量パーセントは、1から20%の範囲にわたることができる。米国特許第6,127,439号、第6,160,027号および第6,242,540号の内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0145】
本発明の樹脂ビーズを上記の任意の発泡剤を用いて含侵させることができ、場合により将来の発泡のために貯蔵することができる。貯蔵中、発泡剤は徐々に樹脂から放出されるため、さらなるビーズ工程のために、この放出速度は重要な問題である。発泡剤の損失速度が大変高い場合(すなわち数日または数週間)、発泡剤の早期の損失を防ぐために含侵させたビーズを冷却しなければならない場合がある。
【0146】
本発明の特定の実施形態において、改良された発泡剤保持時間を有する樹脂ビーズは、
A−1)水相の自由表面下の有機液相を圧力噴霧することにより、静止状態または流れ状態であり得る有機液滴の分散液を形成するステップ;
A−2)機械撹拌を加えることにより、静止状態または流れ状態であり得る水相中の有機液相の有機液滴分散液を形成するステップ;
(ここで有機液相は「アクリロニトリル−ブタジエンゴム」または「アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンゴム」および1以上の重合性アリールモノマーを含む)、および
B)低せん断流パターンで分散有機液滴中のモノマーを重合させて未発泡ポリマービーズを形成すること;
により調製される。
【0147】
上記のように形成された樹脂ビーズは、アクリロニトリル−ブタジエン、またはアクリロニトリル−ブタジエン−スチレンゴムを含む連続相および1以上の重合性芳香族モノマーのホモポリマーまたはコポリマーを含む分散相を有し、さらに、冷却などの追加のビーズ処理なしに数ヶ月発泡剤を保持する能力を有する。このことは、ブタジエンゴム(すなわちアクリロニトリルまたはメタアクリロニトリルを用いないゴム)を含む連続相および1以上の重合性芳香族モノマーのホモポリマーまたはコポリマーを含む分散相を有するビーズと対照的である(通常これらは数週間以下しか発泡剤を保持しない)。
【0148】
樹脂ビーズは、場合により、少なくとも0.5lb/ft3、場合によっては少なくとも1.25lb/ft3、他の場合において少なくとも1.5lb/ft3、状況によっては少なくとも1.75lb/ft3、環境によっては少なくとも2lb/ft3、他の環境少なくとも3lb/ft3、特定の環境においては少なくとも3.25lb/ft3または3.5lb/ft3のかさ密度に膨張する。同様に、かさ密度は最大50lb/ft3、状況によっては40lb/ft3、例によっては最大30lb/ft3、他の例において最大20lb/ft3、特定の場合最大12lb/ft3、場合によっては最大10lb/ft3、他の場合において最大5lb/ft3であり得る。発泡樹脂ビーズのかさ密度は、上記の任意の値または上記の任意の値の範囲内であり得る。
【0149】
発泡段階は、通常、蒸気、熱空気、湯、または輻射熱などの任意の通常の熱媒体により含侵させた樹脂ビーズを加熱することにより実施される。含侵させた樹脂ビーズの予備発泡を実施するための一般に認められている方法の1つは、米国特許第3,023,175号に記載されている。
【0150】
樹脂ビーズは、難燃剤、顔料、染料、着色剤、可塑剤、離型剤、安定剤、紫外線吸収剤、カビ防止剤、抗酸化剤、殺鼠剤、虫よけ剤などの通常の成分および添加剤を含むことができる。典型的な顔料は、限定するものではないが、カーボンブラック、黒鉛、膨張黒鉛、酸化亜鉛、二酸化チタン、および酸化鉄などの無機色素ならびにキナクリドンレッド、キナクリドンバイオレット、銅フタロシアニンブルーおよび銅フタロシアニングリーンなどの有機色素を含む。
【0151】
発泡樹脂ビーズは、少なくとも0.3mm、環境によっては少なくとも0.5mm、場合によっては少なくとも0.75mm、他の場合において少なくとも0.9mm、例によっては少なくとも1mmの平均粒径を有することができ、最大15mm、場合によっては最大10mm、他の場合において最大6mm、場合によっては最大4mm、他の場合において最大3mm、例によっては最大2.5mmの平均粒径であり得る。発泡樹脂ビーズの平均粒径は、上記の任意の値または上記の任意の値の範囲内であり得る。発泡樹脂ビーズの平均粒径は、当業界に周知の、レーザー回折法または機械的分離方法を用いるメッシュサイズによる篩い分けにより測定することができる。
【0152】
発泡ビーズは、0.6から4.0pcfの範囲の任意の密度を有することができる。
【0153】
上記のように、発泡剤を含侵させるとき、アクリロニトリル−ブタジエン、またはアクリロニトリル−ブタジエン−スチレンゴムを含む連続相および1以上の重合性芳香族モノマーのホモポリマーまたはコポリマーを含む分散相を有する未発泡樹脂ビーズは他の材料と比較して大変優れた発泡剤保持性を示す。一例として、このような樹脂ビーズは、室温および室圧で1000時間、場合によっては1500時間貯蔵した後、最初の発泡剤重量%(すなわち含侵直後に得られるもの)の最大75重量%、場合によっては最大50重量%保持することができる。さらに、このようなビーズは、室温および室圧で1500時間超貯蔵した後に、原容量に発泡させることができる。一例として、12重量%の発泡剤を含侵させ、周囲条件でオープントレーに放置したビーズは、5ヶ月を超えてもなお原寸大(すなわち含侵直後に発泡させたビーズと同じ大きさ)に発泡され、6から8重量%の発泡剤を含侵させたビーズは3ヶ月後に原寸大に発泡される。「含侵直後」という表現は、ビーズに発泡剤を含侵させた後24時間以下しか経過していないことを意味する。
【0154】
本発明の一実施形態において、望ましい物理的特性を有する発泡樹脂ビーズを提供するために、発泡ポリマー粒子は最大発泡係数まで発泡されないが、これは、このような極端な発泡により、不要に薄いセル壁ならびに不十分な靱性および強度を有する粒子が得られるからである。この場合、樹脂ビーズはこの最大発泡係数の少なくとも5%、場合によっては少なくとも10%、、他の場合において少なくとも15%発泡させることができる。しかしながら、セル壁の厚みが薄くなりすぎないように、樹脂ビーズはこの最大発泡係数の最大80%、場合によっては最大75%、他の場合において最大70%、例によっては最大65%、他の例において最大60%、例によっては最大55%、他の例において最大50%発泡される。樹脂ビーズは、上記の任意の程度に発泡させることができ、発泡は上記の任意の値の範囲であり得る。
【0155】
本発明によって得られる発泡性樹脂ビーズは、ビーズを予備発泡させ、これを金型キャビティ中で発泡および成形させることにより望ましい形態の発泡成形品を形成させることができる。得られる発泡成形品は、弾性連続相による、優れた熱安定性、耐薬品性(例えば、耐油性)、靱性、および曲げ強さを有している。
【0156】
理論に束縛されることを望むものではないが、連続ゴム網状構造はビーズ発泡中引き伸ばされ、ポリスチレンマトリックスに強度および弾性を与えるため、連続弾性形態は発泡ビーズの特性を改良すると考えられる。本発明の発泡樹脂ビーズは、ゴム成分がポリスチレンマトリックス内に離散粒子として分散するという点で通常の発泡耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)と対照をなす。通常の発泡HIPSにおいて、弾性粒子は引き伸ばされておらず、ビーズ発泡工程においてわずかに関与するのみである。
【0157】
特に、本発泡品は、高温にさらされた場合、熱暴露により収縮または軟化しないために、包装材料、屋根材の下層または容器として使用でき、従って、断熱材、遮音材またはクッション材として広範囲の用途を有する。
【0158】
本発明は以下の実施例を参照してさらに詳しく説明される。以下の実施例は単に本発明を例示するものであって、限定するものではない。特記しない限り、すべての百分率は重量に基づく。
【0159】
(実施例)
【実施例1】
【0160】
本実施例により、本発明の樹脂ビーズの製造方法を明らかにする。スチレンモノマー90重量%に、Firestone Polymers(Akron Ohio)製のcis DIENE(登録商標)55AC10ポリブタジエンゴム材料10重量%を溶解して有機液相を調製した。ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド(PDAC,Sigma−Aldrich Corp.,St.Louis,MO製)2重量%およびポリビニルアルコール(GOSHENOL(商標)GH−23、Nippon Gohsei(UK)Limited,Kingston upon Hull,UK製)3重量%を溶解して水相を調製した。
【0161】
米国特許第6,610,798号の実施例1に記載されているようにして、装置中で重合を行った。反応器に水相約5リットルを加えた。ベンゾイルペルオキシド(スチレン100部に対して0.5部)を有機液相に加え、続いてこれを輸送により反応器に送り、ここで80℃に加熱した。加熱ラインの下流で、周波数45Hzで負荷される圧力脈動を有機相に加えた。流速約1.3ml/sで反応器の底部に位置する噴霧器に有機相の脈動流を入れた。水相中に単一粒径の液滴として有機相おおよそ1.5リットルを分散させた。反応器を通して窒素をバブリングして、液滴を分配し懸濁させる低せん断流パターンを引き起こした。反応器内容物を90℃に加熱し、この温度を6時間持続し、ついで得られた樹脂ビーズを回収した。
【0162】
樹脂ビーズ中のポリマーは、Mw約80,000であり、ビーズの重量に対して未反応スチレンモノマー量1.5重量%を有し、温度250℃に10分間暴露しても溶融または分解しなかった。ビーズ中の架橋量は、以下の2つの方法で測定するとき、約65%から83%であった。
【0163】
第1の方法は、60℃でテトラクロロエチレンに溶解し、450nmシリンジで濾過した可溶性分画の測定濃度に基づいて、試料中の架橋/不溶性分画の百分率を算出する。フーリエ変換赤外分光法(FTIR)を用いて濃度を決定する。
【0164】
第2の方法には、修正ASTMD2765−01:「架橋エチレンプラスチックのゲル含有量および膨潤度の測定のための標準試験方法」試験方法Aに従って、試料中の架橋/不溶性分画の百分率を推定する変更したキシレン抽出方法を用いた。用いた変更:試料1g(0.3gに代えて);キシレン還流6時間(12時間に代えて);試料を粉砕せず、篩にかけなかった。
【0165】
図1Aは、樹脂ビーズの架橋されたクモの巣状形態を示す透過型電子顕微鏡(TEM)像である。より明るい部分はポリスチレンの離散粒子ドメインであり、より暗い部分はゴムの三次元網状構造である。
【0166】
図1Bおよび1Cは樹脂ビーズの架橋されたクモの巣状形態を示す原子間力顕微鏡(AFM)像である。より明るい部分はポリスチレンの離散粒子ドメインであり、より暗い部分はゴムの三次元網状構造である。図1Cは、特に樹脂ビーズのおおよそ3μmの外部スキン層を示す。
【実施例2】
【0167】
実施例1のビーズ試料を、含侵させた樹脂ビーズの約16重量%を発泡剤が構成するように、発泡剤(n−ペンタン、イソペンタンならびにn−ペンタンおよびイソペンタンの50/50(w/w)混合物)で含侵させた。ついで、含侵させたビーズを95℃の蒸気を用いて1分から28分間発泡させた。ビーズは、さらに長い時間蒸気に暴露しても変形または容量の減少を起こさない、球形に発泡した粒子を形成した。ビーズは蒸熱時間に比較的影響を受けなかった。ビーズは、1分間の蒸気処理後に未発泡ビーズの直径の約5倍に発泡した。比較のために、蒸気処理を7分間続けても、発泡ビーズの直径はほんの少ししか大きくならなかった(最大約10%大きい直径)。長い蒸熱時間(すなわち7分)後にも、ビーズはなめらかな表面と優れたセル構造を保っていた。蒸気に長時間暴露されるとき、他の材料とは異なり、ビーズは収縮または「バーン(burn)」をおこさない。図2および3は、発泡剤としてイソペンタンおよびn−ペンタンの50/50(v/v)混合物を用いて8分間発泡させたビーズのそれぞれの20xおよび100x走査型電子顕微鏡(SEM)像を示す。
【実施例3】
【0168】
本実施例により、機械撹拌により生じる低せん断流パターンを用いる、本発明に記載の樹脂ビーズの製造方法を明らかにする。水中にPDAC2重量%およびポリビニルアルコール0.5重量%を含む水相を調製した。スチレンモノマー90重量%にDIENE(登録商標)55AC10ポリブタジエンゴム10重量%を溶解して有機液相を調製した。撹拌機を備えた反応器に水相おおよそ1リットルを加えた。有機液相約0.18リットルをベンゾイルペルオキシド(スチレン100部に対して0.5部)と混合し、この組み合わせを水相に加え、150rpmで撹拌を加え、離散有機液滴の分散液を形成した。分散液を90℃に加熱した。この温度を4時間維持し、ついで95℃に上昇させ、この温度で2時間維持した。ついで反応器から樹脂ビーズを回収した。
【0169】
図4Aおよび4Bは、樹脂ビーズの架橋されたクモの巣状形態を示すAFM像である。より明るい部分はポリスチレンの離散粒子ドメインであり、より暗い部分はゴムの三次元網状構造である。図4Bは、特に、樹脂ビーズのおおよそ3μmの外部スキン層を示す。
【実施例4】
【0170】
本実施例により、機械撹拌により生じる低せん断流パターンを用いる、本発明に記載の、長期(改良)発泡剤保持性を有する樹脂ビーズの製造方法を明らかにする。水中にPDAC2重量%およびポリビニルアルコール0.08重量%を含む水相を調製した。スチレンモノマーA)93重量%、B)90重量%およびC)85重量%のそれぞれに対し、アクリロニトリル−ブタジエンゴム3965F(Lanxess製)A)7重量%、B)10重量%およびC)15重量%を溶解して有機液相を調製した。撹拌機を備えた反応器に、水相およそ700gを加えた。有機液相約500gをベンゾイルペルオキシド(スチレン100部に対して0.5部)および、第2のペルオキシドとして用いるt−アミルペルオキシ2−エチルヘキシルカーボナートLuperox(TAEC)(スチレン100部に対して0.2部)を混合した。この組み合わせを水相に加え、185rpmで撹拌を加え、離散有機液滴の分散液を形成した。分散液を90℃に加熱し、この温度で4時間維持し、ついで93℃に上昇させてこの温度でさらに2時間維持した。ついで重合をさらに進行させ、ビーズ中の残存スチレン量を数百ppm(<1000ppm)に低下させるために、「仕上げの段階」を実施した。全反応器内容物(分散された有機相および水相)を120℃に加熱(この温度により第2のペルオキシドTAECが活性化される)し、4時間維持した。反応器を冷却し、ついで樹脂ビーズを回収した。
【0171】
図5A、5Bおよび5Cは、それぞれニトリルゴム7%、10%および15%で変性された樹脂ビーズの架橋されたクモの巣状形態を示すAFM像である。より明るい部分はポリスチレンの離散粒子ドメインであり、より暗い部分はゴムの三次元網状構造である。ポリスチレンドメインの大きさは、溶解ゴムのより高い濃度に伴って減少することを示している。
【0172】
周囲条件で液体発泡剤に60時間浸漬することにより、ニトリルゴム10%を含むビーズをさらに含侵させた。ビーズの一部をn−ペンタンに浸漬し、一方でビーズの一部をn−ペンタンおよびイソペンタンの50:50重量%混合物を含む混合物中に浸漬した。含侵後、ビーズ中の発泡剤の初期重量%を確定するために、発泡剤の取り込み量に関してビーズを分析した。ついで、ビーズを大気圧および大気温度でトレーに放置した。ビーズに残存する発泡剤の量を数ヶ月間モニターした。n−ペンタンならびに、n−ペンタンおよびイソペンタンの50/50混合物で含侵させたニトリルゴム変性ビーズ中の発泡剤保持性を示す結果を図6に示す。図6のデータは、ビーズが発泡剤を大変よく保持し、初めの1500から2000時間に発泡剤約50%を失ったことを示している。さらに、含侵直後(すなわち24時間後)に発泡(96℃の蒸気で)させたビーズに対して、>1500時間後に発泡させた樹脂ビーズの容量における明確な差異はない。いずれの場合にも、樹脂ビーズは原寸大に発泡でき、直径は未発泡ビーズに対して4から5倍超(使用される発泡剤に応じて)に増加する。これらの発泡は、未発泡ビーズの約64から125倍の容量増加に相当する。
【0173】
比較のために、PS/PE樹脂、ブタジエンゴム変性ポリスチレンおよび従来のHIPSなどの、他のいくつかのタイプの発泡性ポリスチレンビーズに関するペンタン保持性を示すデータもまた図6に示す。
【実施例5】
【0174】
本実施例により、ニトリルゴム10重量%を含むポリスチレンビーズの形態に関する、重合工程中に維持される流れパターン(特に、せん断速度および乱流レベル)の影響を明らかにする。機械撹拌機を備えたタンク中で、同じ配合および同じ一連の操作条件を用いて、3つの重合工程を実施した。しかしながら、それぞれの場合において、異なる撹拌機速度で重合を実施した。得られたビーズ形態を図7に示す。最初の2つの工程で重合させたビーズ(それぞれ、135rpmおよび280rpmで実施)は同様な形態(通常の小さな離散ポリスチレン吸蔵(より明るい部分)を伴うゴムの連続網状構造(より暗い部分)を含む形態)を有していた。しかしながら、第3のバッチにおいて、600rpmの最大撹拌速度(従って最大乱流およびせん断レベル)を用いて重合させたビーズは、バッチの全域で不均一な形態を有し、2つの異なるタイプの形態(形態#1を有するあるビーズは、連続ゴム網状構造を有するがポリスチレンの吸蔵は大変大きく不規則であり、他のビーズは明確なポリスチレン吸蔵を示さない形態#2を有し、ポリスチレンとゴムを区別するのは一般に困難である)を示した。重合工程中の乱流およびせん断応力レベルはビーズ形態に影響を与えることができ、同じバッチから各ビーズの種々の形態をもたらしうることを本実施例は示している。
【実施例6】
【0175】
先行技術
本実施例により、機械撹拌により生じる、従来の高せん断流パターンを用いる、従来のHIPS樹脂ビーズの形態を明らかにする。図8は認識された高せん断分散液重合工程を用いて調製したSTYROSUN(登録商標)(NOVA chemicals Inc.,Pittsburgh,PA)樹脂ビーズにおける典型的なHIPS形態を示すTEM像である。明るい部分はポリスチレンの連続相であり、より暗い部分(一般に球形の部分)はゴム粒子である。
【0176】
このデータは、公知のHIPS樹脂ビーズの形態と比較して、本樹脂ビーズが独特の形態を有することを明らかにしている。
【0177】
本発明の特定の実施形態の特定の詳細を参照して本発明を説明してきた。これらの詳細は、添付の特許請求の範囲に含まれる限りにおいて、本発明の範囲を制限するとみなされるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0178】
【図1A】本発明の樹脂ビーズの透過型電子顕微鏡(TEM)像である。
【図1B】本発明の樹脂ビーズの原子間力顕微鏡(AFM)像である。
【図1C】本発明の樹脂ビーズの原子間力顕微鏡(AFM)像である。
【図2】本発明によって調製された発泡ビーズの走査型電子顕微鏡(SEM)像である。
【図3】本発明によって調製された発泡ビーズの走査型電子顕微鏡(SEM)像である。
【図4A】本発明の樹脂ビーズのAFM像である。
【図4B】本発明の樹脂ビーズのAFM像である。
【図5A】本発明の未発泡樹脂ビーズのAFM像である。
【図5B】本発明の未発泡樹脂ビーズのAFM像である。
【図5C】本発明の未発泡樹脂ビーズのAFM像である。
【図6】本発明によって調製された、含侵させたビーズの発泡剤保持性を示す図である。
【図7】本発明により調製された、異なる撹拌機速度での重合で得られた未発泡樹脂ビーズのAFM像である。
【図8】先行技術によって調製されたHIPS樹脂ビーズのTEM像である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平均粒径0.001mmから10mmを有し、連続相および粒子分散相を含む未発泡樹脂ビーズであって、
前記連続相が1以上の弾性ポリマーを含み、
前記分散相が、1以上の重合性アリールモノマーの重合により得られる反復単位を含む1以上のホモポリマーおよび/またはコポリマーを含む、前記樹脂ビーズ。
【請求項2】
粒子分散相が、アスペクト比が1から10である粒子を含む、請求項1に記載の樹脂ビーズ。
【請求項3】
粒子分散相が、円形、卵形または楕円形の断面形状を有する粒子を含む、請求項1に記載の樹脂ビーズ。
【請求項4】
連続相が、架橋されたクモの巣状形態を有する、請求項1に記載の樹脂ビーズ。
【請求項5】
局所的に形成された分岐および/または相互メッシュ構造体により、場合により、少なくとも部分架橋および/または連結された、高いアスペクト比を有する糸を含む形態を連続相が有する、請求項1に記載の樹脂ビーズ。
【請求項6】
弾性ポリマーが、ブタジエンまたはイソプレンのホモポリマー、共役ジエンとアリールモノマーおよび/または(メタ)アクリロニトリルとのランダム、ブロック、ABジブロック、またはABAトリブロックコポリマーならびにエチレンとビニルアセテートとのランダム、交互またはブロックコポリマーからなる群より選択される、請求項1に記載の樹脂ビーズ。
【請求項7】
弾性ポリマーが、スチレン−ブタジエン、スチレン−ブタジエン−スチレン、スチレン−イソプレン、スチレン−イソプレン−スチレン、エチレン−ビニルアセテート、部分的に水素化されたスチレン−イソプレン−スチレンおよびこれらの組み合わせのジブロックおよびトリブロックコポリマーからなる群より選択される1以上のブロックコポリマーを含む、請求項1に記載の樹脂ビーズ。
【請求項8】
弾性ポリマーが、1以上の共役ジエンと、アクリロニトリルおよびメタアクリロニトリルからなる群より選択される少なくとも1つの不飽和ニトリルとの重合から得られる反復単位を含むコポリマーである、請求項1に記載の樹脂ビーズ。
【請求項9】
弾性ポリマーが、スチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、第三ブチルスチレンおよびジメチルスチレンからなる群より選択される1以上のアリールモノマーの重合から得られる反復単位をさらに含むコポリマーである、請求項8に記載の樹脂ビーズ。
【請求項10】
弾性ポリマーが部分的に水素化されている、請求項8に記載の樹脂ビーズ。
【請求項11】
弾性ポリマーが部分的に水素化されている、請求項9に記載の樹脂ビーズ。
【請求項12】
弾性ポリマーの重量平均分子量が約6,000から約500,000である、請求項1に記載の樹脂ビーズ。
【請求項13】
弾性ポリマーが架橋されている、請求項1に記載の樹脂ビーズ。
【請求項14】
弾性ポリマーの約5%から約95%が架橋されている、請求項13に記載の樹脂ビーズ。
【請求項15】
アリールモノマーが、スチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、第三ブチルスチレン、ジメチルスチレン、これらの核臭素化または核塩素化誘導体およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1に記載の樹脂ビーズ。
【請求項16】
分散相中のコポリマーが、1以上の重合性アリールモノマーと、無水マレイン酸、マレイン酸、マレイミド、フマル酸、マレイン酸のC1−C12直鎖、分枝鎖または環状アルキルエステル、フマル酸のC1−C12直鎖、分枝鎖または環状アルキルエステル、イタコン酸、イタコン酸のC1−C12直鎖、分枝鎖または環状アルキルエステル、無水イタコン酸、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブチレン、2−ブテン、ジイソブチレン、1−ペンテン、2−ペンテン、1−ヘキセン、2−ヘキセン、3−ヘキセン、ビニルアセテート、(メタ)アクリル酸のC1−C12直鎖、分枝鎖または環状アルキルエステル、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される1以上のモノマーとの重合から得られる反復単位を含む、請求項1に記載の樹脂ビーズ。
【請求項17】
1以上の重合性アリールモノマーの重合により得られる反復単位を含むホモポリマーおよび/またはコポリマーの重量平均分子量が約10,000から約1,000,000である、請求項1に記載の樹脂ビーズ。
【請求項18】
樹脂ビーズの5重量%未満の程度で未反応モノマーを含む、請求項1に記載の樹脂ビーズ。
【請求項19】
分散相中のモノマーの少なくとも一部が、連続相中の弾性ポリマーの少なくとも一部にグラフトされている、請求項1に記載の樹脂ビーズ。
【請求項20】
発泡剤をさらに含む、請求項1に記載の樹脂ビーズ。
【請求項21】
発泡剤が、窒素、六フッ化硫黄(SF6)、アルゴン、二酸化炭素、1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC−134a)、1,1,2,2−テトラフルオロエタン(HFC−134)、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン、ジフルオロメタン(HFC−32)、1,1−ジフルオロエタン(HFC−152a)、ペンタフルオロエタン(HFC−125)、フルオロエタン(HFC−161)および1,1,1−トリフルオロエタン(HFC−143a)、メタン、エタン、プロパン、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、イソペンタン、シクロペンタン、ネオペンタン、ヘキサン、アゾジカルボンアミド、アゾジイソブチロニトリル、ベンゼンスルホニルヒドラジド、4,4−オキシベンゼンスルホニルセミカルバジド、p−トルエンスルホニルセミカルバジド、アゾジカルボン酸バリウム、N,N’−ジメチル−N,N’−ジニトロソテレフタルアミド、トリヒドラジノトリアジン、クエン酸と炭酸水素ナトリウムの混合物、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項20に記載の樹脂ビーズ。
【請求項22】
未発泡樹脂ビーズの元の容量の約1.01から約500倍に発泡させて発泡樹脂ビーズを形成する、請求項20に記載の樹脂ビーズ。
【請求項23】
発泡樹脂ビーズが密度約10から約50g/lを有する、請求項22に記載の樹脂ビーズ。
【請求項24】
アスペクト比が10未満である、請求項1に記載の樹脂ビーズ。
【請求項25】
樹脂ビーズの外面を実質的に被覆するスキン層をさらに含む、請求項1に記載の樹脂ビーズ。
【請求項26】
スキン層の厚みが0.1から7μmである、請求項25に記載の樹脂ビーズ。
【請求項27】
スキン層が分散相のホモポリマーおよび/またはコポリマーを含む、請求項25に記載の樹脂ビーズ。
【請求項28】
静止状態または流れ状態であり得る水相中の有機液相の有機液滴分散液を形成するステップであって、前記有機相が、1以上の重合性アリールモノマーを含むモノマー溶液に溶解した1以上の弾性ポリマーを含む有機溶液を含み、ならびに前記分散有機液滴が平均直径約0.001mmから約10mmを有する、前記分散液を形成するステップ;および
低せん断流パターンの分散有機液滴中のモノマーを重合させて未発泡ポリマービーズを形成するステップ;
を含む、未発泡樹脂ビーズの製造方法。
【請求項29】
有機液滴分散液が、静止状態または流れ状態であり得る水相の自由表面下で有機液相を圧力噴霧することにより形成される、請求項28に記載の未発泡樹脂ビーズの製造方法。
【請求項30】
静止状態または流れ状態であり得る水相中の有機液相の有機液滴分散液が、機械撹拌を加えることにより形成される、請求項28に記載の未発泡樹脂ビーズの製造方法。
【請求項31】
有機相が、貯蔵タンク、またはパイプもしくはループリアクター中に含まれる、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
有機液相の圧力噴霧が少なくとも5バールの圧力で行われる、請求項29に記載の方法。
【請求項33】
有機相が水相の密度の±20%の密度を有する、請求項29に記載の方法。
【請求項34】
分散有機液滴が、有機液体および水性液の全容量の0.01から60容量パーセントを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項35】
開口径が0.01mmから2mmでありL/D比が0.2から10である少なくとも1つの噴霧器を通して、噴霧器につき流速0.05から15ml/秒、ゲージ圧3から100バールで有機相を通過させて噴霧する、請求項29に記載の方法。
【請求項36】
噴霧器のオリフィス径が0.1から0.8mmであり、噴霧器を通過する流速が0.1から10ml/sであり、有機混合物の静圧が3から80バールである、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
分散有機液滴中のモノマーを重合させるための低せん断流パターンが、機械撹拌を用いずに、最大15バールのゲージ圧で、反応器の選択された部分に、反応器内容物に対して不活性で反応器内容物に不混和性の1以上のガス流を連続的または周期的に注入することにより作り出される制御された低乱流パターンである、請求項29に記載の方法。
【請求項38】
3バール未満のゲージ圧でガスを水相に注入し、噴霧される有機液滴の平均粒径より実質的に大きい直径を有する1以上の気泡流を生じさせる、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
反応器の底部および場合により反応器壁に位置する注入ポートを通して、最大15バールのゲージ圧で反応器中にガスが注入される、請求項37に記載の方法。
【請求項40】
空気および窒素からなる群よりガスが選択される、請求項37に記載の方法。
【請求項41】
未発泡樹脂ビーズが連続相および分散相を含み、および前記連続相が架橋されたクモの巣状形態の弾性ポリマーを含む、請求項37に記載の方法。
【請求項42】
噴霧された有機液滴中のモノマーを重合させることにより形成されるポリマーを含み、アスペクト比が1から10である粒子を未発泡ビーズ中の分散相が含む、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
未発泡樹脂ビーズが連続相および分散相を含み、および前記連続相が弾性ポリマーを含み、前記分散相が、1以上の重合性アリールモノマーの重合により得られる反復単位を含むホモポリマーおよび/またはコポリマーを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項44】
分散有機液滴中のモノマーを重合させるための低せん断流パターンが機械撹拌により作り出される、請求項29に記載の方法。
【請求項45】
未発泡樹脂ビーズが連続相および分散相を含み、および局所的に形成された分岐および/または相互メッシュ構造体により、場合により、少なくとも部分架橋および/または連結された、高いアスペクト比を有する糸を含む形態を有する弾性ポリマーを前記連続相が含む、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
噴霧される有機液滴中のモノマーを重合させることにより形成されるポリマーを含み、アスペクト比が1から10である粒子を分散相が含む、請求項44に記載の方法。
【請求項47】
25℃で測定するとき、反応器中の連続水相が最大250cpsの粘度を有する液体である、請求項29に記載の方法。
【請求項48】
連続水相がさらに、1以上の懸濁安定剤を、連続水相の重量に対して0.1から10重量%含む、請求項29に記載の方法。
【請求項49】
カルボキシメチルセルロース;ゼラチン;寒天;ポリビニルピロリジン;ポリアクリルアミド;ポリ(ビニルアルコール);ジメチルジアリルアンモニウムクロリド、(メタ)アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド、ポリ(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムメチルスルファートのホモポリマーまたはコポリマー、およびこれらの組み合わせ;アルミナ、ベントナイト、ケイ酸マグネシウム;界面活性剤、およびこれらの組み合わせからなる群より懸濁安定剤が選択される、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
重合開始剤、帯電防止剤、難燃剤、顔料、染料、充填剤、UV安定剤、熱および光安定剤、コーティング剤可塑剤、連鎖移動剤、架橋剤、核剤、殺虫剤ならびに殺鼠剤からなる群より選択される1以上の成分を有機相が含む、請求項29に記載の方法。
【請求項51】
噴霧器噴出口の上流で、流動液の静圧の20%未満のステップ型振幅を用い、および最大200Hzの周波数で、流動有機液体に圧力脈動が負荷されることにより、噴霧される有機液体の流れが調整される、請求項29に記載の方法。
【請求項52】
有機相が、有機相の重量に対して、1以上の弾性ポリマー約5から約50重量%および1以上の重合性アリールモノマーを含むモノマー溶液約95から約50重量%を含み、ここで弾性ポリマーがモノマー溶液に可溶性である、請求項29に記載の方法。
【請求項53】
非置換またはC1−4直鎖および分枝鎖アルキル基からなる群より選択される最大2の置換基により置換されているC8−16ビニル芳香族モノマーからなる群より選択される1以上のモノマーをモノマー溶液が含む、請求項29に記載の方法。
【請求項54】
無水マレイン酸、マレイン酸、マレイミド、フマル酸、マレイン酸のC1−C12直鎖、分枝鎖または環状アルキルエステル、フマル酸のC1−C12直鎖、分枝鎖または環状アルキルエステル、イタコン酸、イタコン酸のC1−C12直鎖、分枝鎖または環状アルキルエステル、無水イタコン酸、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブチレン、2−ブテン、ジイソブチレン、1−ペンテン、2−ペンテン、1−ヘキセン、2−ヘキセン、3−ヘキセン、ビニルアセテート、(メタ)アクリル酸のC1−C12直鎖、分枝鎖または環状アルキルエステル、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される1以上のモノマーをモノマー溶液がさらに含む、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
有機相が粘度1cPから10,000cPを有する、請求項29に記載の方法。
【請求項56】
噴霧された有機液滴が液滴径0.3から8mmを有し、および平均液滴径からの標準偏差値0.03から0.35mmを有する、請求項29に記載の方法。
【請求項57】
請求項29に記載の方法に従って調製される、平均粒径0.001mmから10mmを有する未発泡樹脂ビーズ。
【請求項58】
発泡剤をさらに含み、および未発泡樹脂ビーズの元の容量の約1.01から約500倍に発泡させて発泡樹脂ビーズを形成する、請求項57に記載の樹脂ビーズ。
【請求項59】
大気温度および大気圧力で樹脂ビーズを1500時間より長く貯蔵したとき、最初の発泡剤重量%(含侵直後に得られたもの)の最大50%の量で保持される発泡剤をさらに含み、ここで弾性ポリマーが、1以上の共役ジエン、アクリロニトリルおよびメタアクリロニトリルからなる群より選択される1以上の不飽和ニトリル、ならびに場合によりスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、第三ブチルスチレンおよびジメチルスチレンからなる群より選択される1以上のアリールモノマーの重合から得られる反復単位を含むコポリマーである、請求項57に記載の樹脂ビーズ。
【請求項60】
弾性ポリマーが連続相を形成する、請求項59に記載の樹脂ビーズ。
【請求項61】
樹脂ビーズを未発泡樹脂ビーズの元の容量の約1.01から約500倍超に発泡させて発泡樹脂ビーズを形成する、請求項59に記載の樹脂ビーズ。
【請求項62】
請求項58に記載の樹脂ビーズを含む、成形品。
【請求項63】
請求項61に記載の樹脂ビーズを含む、成形品。
【請求項64】
樹脂ビーズの外面を実質的に被覆するスキン層をさらに含む、請求項57に記載の樹脂ビーズ。
【請求項65】
スキン層の厚みが0.1から40μmである、請求項64に記載の樹脂ビーズ。
【請求項66】
スキン層が、分散相のホモポリマーおよび/またはコポリマーを含む、請求項65に記載の樹脂ビーズ。
【請求項67】
樹脂ビーズの外面を実質的に被覆するスキン層をさらに含む、請求項59に記載の樹脂ビーズ。
【請求項68】
スキン層の厚みが0.1から40μmである、請求項67に記載の樹脂ビーズ。
【請求項69】
スキン層が、分散相のホモポリマーおよび/またはコポリマーを含む、請求項68に記載の樹脂ビーズ。
【請求項70】
1500時間超貯蔵した樹脂ビーズを、含侵直後に発泡させた樹脂ビーズと同様な容量に発泡させることができる、請求項59に記載の樹脂ビーズ。
【請求項71】
樹脂ビーズを未発泡樹脂ビーズの元の容量の約1.01から約500倍超に発泡させて発泡樹脂ビーズを形成する、請求項70に記載の樹脂ビーズ。
【請求項72】
請求項71に記載の樹脂ビーズを含む、成形品。
【請求項73】
有機相が、水相の密度の±20%の密度を有する、請求項30に記載の方法。
【請求項74】
分散有機液滴が、有機液体および水性液の全容量の0.01から60容量パーセントを含む、請求項30に記載の方法。
【請求項75】
未発泡樹脂ビーズが連続相および分散相を含み、および前記連続相が架橋されたクモの巣状形態の弾性ポリマーを含む、請求項30に記載の方法。
【請求項76】
噴霧された有機液滴中のモノマーを重合させることにより形成されるポリマーを含み、アスペクト比が1から10である粒子を未発泡ビーズ中の分散相が含む、請求項75に記載の方法。
【請求項77】
未発泡樹脂ビーズが連続相および分散相を含み、および前記連続相が弾性ポリマーを含み、および前記分散相が、1以上の重合性アリールモノマーの重合により得られる反復単位を含むホモポリマーおよび/またはコポリマーを含む、請求項30に記載の方法。
【請求項78】
分散有機液滴中のモノマーを重合させるための低せん断流パターンが機械撹拌により作提供される、請求項30に記載の方法。
【請求項79】
未発泡樹脂ビーズが連続相および分散相を含み、および局所的に形成された分岐および/または相互メッシュ構造体により場合により少なくとも部分架橋および/または連結された、高いアスペクト比を有する糸を含む形態を有する弾性ポリマーを前記連続相が含む、請求項78に記載の方法。
【請求項80】
反応器中の連続水相が、25℃で測定して最大250cpsの粘度を有する液体である、請求項30に記載の方法。
【請求項81】
連続水相がさらに、1以上の懸濁安定剤を、連続水相の重量に対して0.1から10重量%含む、請求項30に記載の方法。
【請求項82】
カルボキシメチルセルロース;ゼラチン;寒天;ポリビニルピロリジン;ポリアクリルアミド;ポリ(ビニルアルコール);ジメチルジアリルアンモニウムクロリド、(メタ)アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド、ポリ(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムメチルスルファートのホモポリマーまたはコポリマー、およびこれらの組み合わせ;アルミナ、ベントナイト、ケイ酸マグネシウム;界面活性剤、およびこれらの組み合わせからなる群より懸濁安定剤が選択される、請求項81に記載の方法。
【請求項83】
重合開始剤、帯電防止剤、難燃剤、顔料、染料、充填剤、UV安定剤、熱および光安定剤、コーティング剤可塑剤、連鎖移動剤、架橋剤、核剤、殺虫剤ならびに殺鼠剤からなる群より選択される1以上の成分を有機相が含む、請求項30に記載の方法。
【請求項84】
有機相が、有機相の重量に対して、1以上の弾性ポリマー約5から約50重量%および1以上の重合性アリールモノマーを含むモノマー溶液約95から約50重量%を含み、ここで弾性ポリマーがモノマー溶液に可溶性である、請求項30に記載の方法。
【請求項85】
非置換またはC1−4直鎖および分枝鎖アルキル基からなる群より選択される最大2の置換基により置換されているC8−16ビニル芳香族モノマーからなる群より選択される1以上のモノマーをモノマー溶液が含む、請求項30に記載の方法。
【請求項86】
無水マレイン酸、マレイン酸、マレイミド、フマル酸、マレイン酸のC1−C12直鎖、分枝鎖または環状アルキルエステル、フマル酸のC1−C12直鎖、分枝鎖または環状アルキルエステル、イタコン酸、イタコン酸のC1−C12直鎖、分枝鎖または環状アルキルエステル、無水イタコン酸、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブチレン、2−ブテン、ジイソブチレン、1−ペンテン、2−ペンテン、1−ヘキセン、2−ヘキセン、3−ヘキセン、ビニルアセテート、(メタ)アクリル酸のC1−C12直鎖、分枝鎖または環状アルキルエステル、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される1以上のモノマーをモノマー溶液がさらに含む、請求項85に記載の方法。
【請求項87】
有機相が粘度1cPから10,000cPを有する、請求項30に記載の方法。
【請求項88】
請求項30に記載の方法に従って調製される、平均粒径0.001mmから10mmを有する、未発泡樹脂ビーズ。
【請求項89】
発泡剤をさらに含み、未発泡樹脂ビーズの元の容量の約1.01から約500倍に発泡させて発泡樹脂ビーズを形成する、請求項88に記載の樹脂ビーズ。
【請求項90】
大気温度および大気圧力で樹脂ビーズを1500時間以上貯蔵したとき、最初の発泡剤重量%(含侵直後に得られたもの)の最大50%の量で保持される発泡剤をさらに含み、ここで弾性ポリマーが、1以上の共役ジエン、アクリロニトリルおよびメタアクリロニトリルからなる群より選択される1以上の不飽和ニトリル、ならびに場合によりスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、第三ブチルスチレンおよびジメチルスチレンからなる群より選択される1以上のアリールモノマーの重合から得られる反復単位を含むコポリマーである、請求項88に記載の樹脂ビーズ。
【請求項91】
弾性ポリマーが連続相を形成する、請求項90に記載の樹脂ビーズ。
【請求項92】
樹脂ビーズを未発泡樹脂ビーズの元の容量の約1.01から約500倍超に発泡させて発泡樹脂ビーズを形成する、請求項90に記載の樹脂ビーズ。
【請求項93】
請求項89に記載の樹脂ビーズを含む、成形品。
【請求項94】
請求項92に記載の樹脂ビーズを含む、成形品。
【請求項95】
樹脂ビーズの外面を実質的に被覆するスキン層をさらに含む、請求項88に記載の樹脂ビーズ。
【請求項96】
スキン層の厚みが0.1から40μmである、請求項95に記載の樹脂ビーズ。
【請求項97】
スキン層が分散相のホモポリマーおよび/またはコポリマーを含む、請求項96に記載の樹脂ビーズ。
【請求項98】
樹脂ビーズの外面を実質的に被覆するスキン層をさらに含む、請求項90に記載の樹脂ビーズ。
【請求項99】
スキン層の厚みが0.1から40μmである、請求項98に記載の樹脂ビーズ。
【請求項100】
スキン層が分散相のホモポリマーおよび/またはコポリマーを含む、請求項99に記載の樹脂ビーズ。
【請求項101】
1500時間超貯蔵した樹脂ビーズを、含侵直後に発泡させた樹脂ビーズと同様な容量に発泡させることができる、請求項90に記載の樹脂ビーズ。
【請求項102】
樹脂ビーズを未発泡樹脂ビーズの元の容量の約1.01から約500倍以上に発泡させて発泡樹脂ビーズを形成する、請求項101に記載の樹脂ビーズ。
【請求項103】
請求項102に記載の樹脂ビーズを含む、成形品。
【請求項1】
平均粒径0.001mmから10mmを有し、連続相および粒子分散相を含む未発泡樹脂ビーズであって、
前記連続相が1以上の弾性ポリマーを含み、
前記分散相が、1以上の重合性アリールモノマーの重合により得られる反復単位を含む1以上のホモポリマーおよび/またはコポリマーを含む、前記樹脂ビーズ。
【請求項2】
粒子分散相が、アスペクト比が1から10である粒子を含む、請求項1に記載の樹脂ビーズ。
【請求項3】
粒子分散相が、円形、卵形または楕円形の断面形状を有する粒子を含む、請求項1に記載の樹脂ビーズ。
【請求項4】
連続相が、架橋されたクモの巣状形態を有する、請求項1に記載の樹脂ビーズ。
【請求項5】
局所的に形成された分岐および/または相互メッシュ構造体により、場合により、少なくとも部分架橋および/または連結された、高いアスペクト比を有する糸を含む形態を連続相が有する、請求項1に記載の樹脂ビーズ。
【請求項6】
弾性ポリマーが、ブタジエンまたはイソプレンのホモポリマー、共役ジエンとアリールモノマーおよび/または(メタ)アクリロニトリルとのランダム、ブロック、ABジブロック、またはABAトリブロックコポリマーならびにエチレンとビニルアセテートとのランダム、交互またはブロックコポリマーからなる群より選択される、請求項1に記載の樹脂ビーズ。
【請求項7】
弾性ポリマーが、スチレン−ブタジエン、スチレン−ブタジエン−スチレン、スチレン−イソプレン、スチレン−イソプレン−スチレン、エチレン−ビニルアセテート、部分的に水素化されたスチレン−イソプレン−スチレンおよびこれらの組み合わせのジブロックおよびトリブロックコポリマーからなる群より選択される1以上のブロックコポリマーを含む、請求項1に記載の樹脂ビーズ。
【請求項8】
弾性ポリマーが、1以上の共役ジエンと、アクリロニトリルおよびメタアクリロニトリルからなる群より選択される少なくとも1つの不飽和ニトリルとの重合から得られる反復単位を含むコポリマーである、請求項1に記載の樹脂ビーズ。
【請求項9】
弾性ポリマーが、スチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、第三ブチルスチレンおよびジメチルスチレンからなる群より選択される1以上のアリールモノマーの重合から得られる反復単位をさらに含むコポリマーである、請求項8に記載の樹脂ビーズ。
【請求項10】
弾性ポリマーが部分的に水素化されている、請求項8に記載の樹脂ビーズ。
【請求項11】
弾性ポリマーが部分的に水素化されている、請求項9に記載の樹脂ビーズ。
【請求項12】
弾性ポリマーの重量平均分子量が約6,000から約500,000である、請求項1に記載の樹脂ビーズ。
【請求項13】
弾性ポリマーが架橋されている、請求項1に記載の樹脂ビーズ。
【請求項14】
弾性ポリマーの約5%から約95%が架橋されている、請求項13に記載の樹脂ビーズ。
【請求項15】
アリールモノマーが、スチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、第三ブチルスチレン、ジメチルスチレン、これらの核臭素化または核塩素化誘導体およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1に記載の樹脂ビーズ。
【請求項16】
分散相中のコポリマーが、1以上の重合性アリールモノマーと、無水マレイン酸、マレイン酸、マレイミド、フマル酸、マレイン酸のC1−C12直鎖、分枝鎖または環状アルキルエステル、フマル酸のC1−C12直鎖、分枝鎖または環状アルキルエステル、イタコン酸、イタコン酸のC1−C12直鎖、分枝鎖または環状アルキルエステル、無水イタコン酸、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブチレン、2−ブテン、ジイソブチレン、1−ペンテン、2−ペンテン、1−ヘキセン、2−ヘキセン、3−ヘキセン、ビニルアセテート、(メタ)アクリル酸のC1−C12直鎖、分枝鎖または環状アルキルエステル、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される1以上のモノマーとの重合から得られる反復単位を含む、請求項1に記載の樹脂ビーズ。
【請求項17】
1以上の重合性アリールモノマーの重合により得られる反復単位を含むホモポリマーおよび/またはコポリマーの重量平均分子量が約10,000から約1,000,000である、請求項1に記載の樹脂ビーズ。
【請求項18】
樹脂ビーズの5重量%未満の程度で未反応モノマーを含む、請求項1に記載の樹脂ビーズ。
【請求項19】
分散相中のモノマーの少なくとも一部が、連続相中の弾性ポリマーの少なくとも一部にグラフトされている、請求項1に記載の樹脂ビーズ。
【請求項20】
発泡剤をさらに含む、請求項1に記載の樹脂ビーズ。
【請求項21】
発泡剤が、窒素、六フッ化硫黄(SF6)、アルゴン、二酸化炭素、1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC−134a)、1,1,2,2−テトラフルオロエタン(HFC−134)、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン、ジフルオロメタン(HFC−32)、1,1−ジフルオロエタン(HFC−152a)、ペンタフルオロエタン(HFC−125)、フルオロエタン(HFC−161)および1,1,1−トリフルオロエタン(HFC−143a)、メタン、エタン、プロパン、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、イソペンタン、シクロペンタン、ネオペンタン、ヘキサン、アゾジカルボンアミド、アゾジイソブチロニトリル、ベンゼンスルホニルヒドラジド、4,4−オキシベンゼンスルホニルセミカルバジド、p−トルエンスルホニルセミカルバジド、アゾジカルボン酸バリウム、N,N’−ジメチル−N,N’−ジニトロソテレフタルアミド、トリヒドラジノトリアジン、クエン酸と炭酸水素ナトリウムの混合物、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項20に記載の樹脂ビーズ。
【請求項22】
未発泡樹脂ビーズの元の容量の約1.01から約500倍に発泡させて発泡樹脂ビーズを形成する、請求項20に記載の樹脂ビーズ。
【請求項23】
発泡樹脂ビーズが密度約10から約50g/lを有する、請求項22に記載の樹脂ビーズ。
【請求項24】
アスペクト比が10未満である、請求項1に記載の樹脂ビーズ。
【請求項25】
樹脂ビーズの外面を実質的に被覆するスキン層をさらに含む、請求項1に記載の樹脂ビーズ。
【請求項26】
スキン層の厚みが0.1から7μmである、請求項25に記載の樹脂ビーズ。
【請求項27】
スキン層が分散相のホモポリマーおよび/またはコポリマーを含む、請求項25に記載の樹脂ビーズ。
【請求項28】
静止状態または流れ状態であり得る水相中の有機液相の有機液滴分散液を形成するステップであって、前記有機相が、1以上の重合性アリールモノマーを含むモノマー溶液に溶解した1以上の弾性ポリマーを含む有機溶液を含み、ならびに前記分散有機液滴が平均直径約0.001mmから約10mmを有する、前記分散液を形成するステップ;および
低せん断流パターンの分散有機液滴中のモノマーを重合させて未発泡ポリマービーズを形成するステップ;
を含む、未発泡樹脂ビーズの製造方法。
【請求項29】
有機液滴分散液が、静止状態または流れ状態であり得る水相の自由表面下で有機液相を圧力噴霧することにより形成される、請求項28に記載の未発泡樹脂ビーズの製造方法。
【請求項30】
静止状態または流れ状態であり得る水相中の有機液相の有機液滴分散液が、機械撹拌を加えることにより形成される、請求項28に記載の未発泡樹脂ビーズの製造方法。
【請求項31】
有機相が、貯蔵タンク、またはパイプもしくはループリアクター中に含まれる、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
有機液相の圧力噴霧が少なくとも5バールの圧力で行われる、請求項29に記載の方法。
【請求項33】
有機相が水相の密度の±20%の密度を有する、請求項29に記載の方法。
【請求項34】
分散有機液滴が、有機液体および水性液の全容量の0.01から60容量パーセントを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項35】
開口径が0.01mmから2mmでありL/D比が0.2から10である少なくとも1つの噴霧器を通して、噴霧器につき流速0.05から15ml/秒、ゲージ圧3から100バールで有機相を通過させて噴霧する、請求項29に記載の方法。
【請求項36】
噴霧器のオリフィス径が0.1から0.8mmであり、噴霧器を通過する流速が0.1から10ml/sであり、有機混合物の静圧が3から80バールである、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
分散有機液滴中のモノマーを重合させるための低せん断流パターンが、機械撹拌を用いずに、最大15バールのゲージ圧で、反応器の選択された部分に、反応器内容物に対して不活性で反応器内容物に不混和性の1以上のガス流を連続的または周期的に注入することにより作り出される制御された低乱流パターンである、請求項29に記載の方法。
【請求項38】
3バール未満のゲージ圧でガスを水相に注入し、噴霧される有機液滴の平均粒径より実質的に大きい直径を有する1以上の気泡流を生じさせる、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
反応器の底部および場合により反応器壁に位置する注入ポートを通して、最大15バールのゲージ圧で反応器中にガスが注入される、請求項37に記載の方法。
【請求項40】
空気および窒素からなる群よりガスが選択される、請求項37に記載の方法。
【請求項41】
未発泡樹脂ビーズが連続相および分散相を含み、および前記連続相が架橋されたクモの巣状形態の弾性ポリマーを含む、請求項37に記載の方法。
【請求項42】
噴霧された有機液滴中のモノマーを重合させることにより形成されるポリマーを含み、アスペクト比が1から10である粒子を未発泡ビーズ中の分散相が含む、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
未発泡樹脂ビーズが連続相および分散相を含み、および前記連続相が弾性ポリマーを含み、前記分散相が、1以上の重合性アリールモノマーの重合により得られる反復単位を含むホモポリマーおよび/またはコポリマーを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項44】
分散有機液滴中のモノマーを重合させるための低せん断流パターンが機械撹拌により作り出される、請求項29に記載の方法。
【請求項45】
未発泡樹脂ビーズが連続相および分散相を含み、および局所的に形成された分岐および/または相互メッシュ構造体により、場合により、少なくとも部分架橋および/または連結された、高いアスペクト比を有する糸を含む形態を有する弾性ポリマーを前記連続相が含む、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
噴霧される有機液滴中のモノマーを重合させることにより形成されるポリマーを含み、アスペクト比が1から10である粒子を分散相が含む、請求項44に記載の方法。
【請求項47】
25℃で測定するとき、反応器中の連続水相が最大250cpsの粘度を有する液体である、請求項29に記載の方法。
【請求項48】
連続水相がさらに、1以上の懸濁安定剤を、連続水相の重量に対して0.1から10重量%含む、請求項29に記載の方法。
【請求項49】
カルボキシメチルセルロース;ゼラチン;寒天;ポリビニルピロリジン;ポリアクリルアミド;ポリ(ビニルアルコール);ジメチルジアリルアンモニウムクロリド、(メタ)アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド、ポリ(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムメチルスルファートのホモポリマーまたはコポリマー、およびこれらの組み合わせ;アルミナ、ベントナイト、ケイ酸マグネシウム;界面活性剤、およびこれらの組み合わせからなる群より懸濁安定剤が選択される、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
重合開始剤、帯電防止剤、難燃剤、顔料、染料、充填剤、UV安定剤、熱および光安定剤、コーティング剤可塑剤、連鎖移動剤、架橋剤、核剤、殺虫剤ならびに殺鼠剤からなる群より選択される1以上の成分を有機相が含む、請求項29に記載の方法。
【請求項51】
噴霧器噴出口の上流で、流動液の静圧の20%未満のステップ型振幅を用い、および最大200Hzの周波数で、流動有機液体に圧力脈動が負荷されることにより、噴霧される有機液体の流れが調整される、請求項29に記載の方法。
【請求項52】
有機相が、有機相の重量に対して、1以上の弾性ポリマー約5から約50重量%および1以上の重合性アリールモノマーを含むモノマー溶液約95から約50重量%を含み、ここで弾性ポリマーがモノマー溶液に可溶性である、請求項29に記載の方法。
【請求項53】
非置換またはC1−4直鎖および分枝鎖アルキル基からなる群より選択される最大2の置換基により置換されているC8−16ビニル芳香族モノマーからなる群より選択される1以上のモノマーをモノマー溶液が含む、請求項29に記載の方法。
【請求項54】
無水マレイン酸、マレイン酸、マレイミド、フマル酸、マレイン酸のC1−C12直鎖、分枝鎖または環状アルキルエステル、フマル酸のC1−C12直鎖、分枝鎖または環状アルキルエステル、イタコン酸、イタコン酸のC1−C12直鎖、分枝鎖または環状アルキルエステル、無水イタコン酸、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブチレン、2−ブテン、ジイソブチレン、1−ペンテン、2−ペンテン、1−ヘキセン、2−ヘキセン、3−ヘキセン、ビニルアセテート、(メタ)アクリル酸のC1−C12直鎖、分枝鎖または環状アルキルエステル、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される1以上のモノマーをモノマー溶液がさらに含む、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
有機相が粘度1cPから10,000cPを有する、請求項29に記載の方法。
【請求項56】
噴霧された有機液滴が液滴径0.3から8mmを有し、および平均液滴径からの標準偏差値0.03から0.35mmを有する、請求項29に記載の方法。
【請求項57】
請求項29に記載の方法に従って調製される、平均粒径0.001mmから10mmを有する未発泡樹脂ビーズ。
【請求項58】
発泡剤をさらに含み、および未発泡樹脂ビーズの元の容量の約1.01から約500倍に発泡させて発泡樹脂ビーズを形成する、請求項57に記載の樹脂ビーズ。
【請求項59】
大気温度および大気圧力で樹脂ビーズを1500時間より長く貯蔵したとき、最初の発泡剤重量%(含侵直後に得られたもの)の最大50%の量で保持される発泡剤をさらに含み、ここで弾性ポリマーが、1以上の共役ジエン、アクリロニトリルおよびメタアクリロニトリルからなる群より選択される1以上の不飽和ニトリル、ならびに場合によりスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、第三ブチルスチレンおよびジメチルスチレンからなる群より選択される1以上のアリールモノマーの重合から得られる反復単位を含むコポリマーである、請求項57に記載の樹脂ビーズ。
【請求項60】
弾性ポリマーが連続相を形成する、請求項59に記載の樹脂ビーズ。
【請求項61】
樹脂ビーズを未発泡樹脂ビーズの元の容量の約1.01から約500倍超に発泡させて発泡樹脂ビーズを形成する、請求項59に記載の樹脂ビーズ。
【請求項62】
請求項58に記載の樹脂ビーズを含む、成形品。
【請求項63】
請求項61に記載の樹脂ビーズを含む、成形品。
【請求項64】
樹脂ビーズの外面を実質的に被覆するスキン層をさらに含む、請求項57に記載の樹脂ビーズ。
【請求項65】
スキン層の厚みが0.1から40μmである、請求項64に記載の樹脂ビーズ。
【請求項66】
スキン層が、分散相のホモポリマーおよび/またはコポリマーを含む、請求項65に記載の樹脂ビーズ。
【請求項67】
樹脂ビーズの外面を実質的に被覆するスキン層をさらに含む、請求項59に記載の樹脂ビーズ。
【請求項68】
スキン層の厚みが0.1から40μmである、請求項67に記載の樹脂ビーズ。
【請求項69】
スキン層が、分散相のホモポリマーおよび/またはコポリマーを含む、請求項68に記載の樹脂ビーズ。
【請求項70】
1500時間超貯蔵した樹脂ビーズを、含侵直後に発泡させた樹脂ビーズと同様な容量に発泡させることができる、請求項59に記載の樹脂ビーズ。
【請求項71】
樹脂ビーズを未発泡樹脂ビーズの元の容量の約1.01から約500倍超に発泡させて発泡樹脂ビーズを形成する、請求項70に記載の樹脂ビーズ。
【請求項72】
請求項71に記載の樹脂ビーズを含む、成形品。
【請求項73】
有機相が、水相の密度の±20%の密度を有する、請求項30に記載の方法。
【請求項74】
分散有機液滴が、有機液体および水性液の全容量の0.01から60容量パーセントを含む、請求項30に記載の方法。
【請求項75】
未発泡樹脂ビーズが連続相および分散相を含み、および前記連続相が架橋されたクモの巣状形態の弾性ポリマーを含む、請求項30に記載の方法。
【請求項76】
噴霧された有機液滴中のモノマーを重合させることにより形成されるポリマーを含み、アスペクト比が1から10である粒子を未発泡ビーズ中の分散相が含む、請求項75に記載の方法。
【請求項77】
未発泡樹脂ビーズが連続相および分散相を含み、および前記連続相が弾性ポリマーを含み、および前記分散相が、1以上の重合性アリールモノマーの重合により得られる反復単位を含むホモポリマーおよび/またはコポリマーを含む、請求項30に記載の方法。
【請求項78】
分散有機液滴中のモノマーを重合させるための低せん断流パターンが機械撹拌により作提供される、請求項30に記載の方法。
【請求項79】
未発泡樹脂ビーズが連続相および分散相を含み、および局所的に形成された分岐および/または相互メッシュ構造体により場合により少なくとも部分架橋および/または連結された、高いアスペクト比を有する糸を含む形態を有する弾性ポリマーを前記連続相が含む、請求項78に記載の方法。
【請求項80】
反応器中の連続水相が、25℃で測定して最大250cpsの粘度を有する液体である、請求項30に記載の方法。
【請求項81】
連続水相がさらに、1以上の懸濁安定剤を、連続水相の重量に対して0.1から10重量%含む、請求項30に記載の方法。
【請求項82】
カルボキシメチルセルロース;ゼラチン;寒天;ポリビニルピロリジン;ポリアクリルアミド;ポリ(ビニルアルコール);ジメチルジアリルアンモニウムクロリド、(メタ)アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド、ポリ(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムメチルスルファートのホモポリマーまたはコポリマー、およびこれらの組み合わせ;アルミナ、ベントナイト、ケイ酸マグネシウム;界面活性剤、およびこれらの組み合わせからなる群より懸濁安定剤が選択される、請求項81に記載の方法。
【請求項83】
重合開始剤、帯電防止剤、難燃剤、顔料、染料、充填剤、UV安定剤、熱および光安定剤、コーティング剤可塑剤、連鎖移動剤、架橋剤、核剤、殺虫剤ならびに殺鼠剤からなる群より選択される1以上の成分を有機相が含む、請求項30に記載の方法。
【請求項84】
有機相が、有機相の重量に対して、1以上の弾性ポリマー約5から約50重量%および1以上の重合性アリールモノマーを含むモノマー溶液約95から約50重量%を含み、ここで弾性ポリマーがモノマー溶液に可溶性である、請求項30に記載の方法。
【請求項85】
非置換またはC1−4直鎖および分枝鎖アルキル基からなる群より選択される最大2の置換基により置換されているC8−16ビニル芳香族モノマーからなる群より選択される1以上のモノマーをモノマー溶液が含む、請求項30に記載の方法。
【請求項86】
無水マレイン酸、マレイン酸、マレイミド、フマル酸、マレイン酸のC1−C12直鎖、分枝鎖または環状アルキルエステル、フマル酸のC1−C12直鎖、分枝鎖または環状アルキルエステル、イタコン酸、イタコン酸のC1−C12直鎖、分枝鎖または環状アルキルエステル、無水イタコン酸、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブチレン、2−ブテン、ジイソブチレン、1−ペンテン、2−ペンテン、1−ヘキセン、2−ヘキセン、3−ヘキセン、ビニルアセテート、(メタ)アクリル酸のC1−C12直鎖、分枝鎖または環状アルキルエステル、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される1以上のモノマーをモノマー溶液がさらに含む、請求項85に記載の方法。
【請求項87】
有機相が粘度1cPから10,000cPを有する、請求項30に記載の方法。
【請求項88】
請求項30に記載の方法に従って調製される、平均粒径0.001mmから10mmを有する、未発泡樹脂ビーズ。
【請求項89】
発泡剤をさらに含み、未発泡樹脂ビーズの元の容量の約1.01から約500倍に発泡させて発泡樹脂ビーズを形成する、請求項88に記載の樹脂ビーズ。
【請求項90】
大気温度および大気圧力で樹脂ビーズを1500時間以上貯蔵したとき、最初の発泡剤重量%(含侵直後に得られたもの)の最大50%の量で保持される発泡剤をさらに含み、ここで弾性ポリマーが、1以上の共役ジエン、アクリロニトリルおよびメタアクリロニトリルからなる群より選択される1以上の不飽和ニトリル、ならびに場合によりスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、第三ブチルスチレンおよびジメチルスチレンからなる群より選択される1以上のアリールモノマーの重合から得られる反復単位を含むコポリマーである、請求項88に記載の樹脂ビーズ。
【請求項91】
弾性ポリマーが連続相を形成する、請求項90に記載の樹脂ビーズ。
【請求項92】
樹脂ビーズを未発泡樹脂ビーズの元の容量の約1.01から約500倍超に発泡させて発泡樹脂ビーズを形成する、請求項90に記載の樹脂ビーズ。
【請求項93】
請求項89に記載の樹脂ビーズを含む、成形品。
【請求項94】
請求項92に記載の樹脂ビーズを含む、成形品。
【請求項95】
樹脂ビーズの外面を実質的に被覆するスキン層をさらに含む、請求項88に記載の樹脂ビーズ。
【請求項96】
スキン層の厚みが0.1から40μmである、請求項95に記載の樹脂ビーズ。
【請求項97】
スキン層が分散相のホモポリマーおよび/またはコポリマーを含む、請求項96に記載の樹脂ビーズ。
【請求項98】
樹脂ビーズの外面を実質的に被覆するスキン層をさらに含む、請求項90に記載の樹脂ビーズ。
【請求項99】
スキン層の厚みが0.1から40μmである、請求項98に記載の樹脂ビーズ。
【請求項100】
スキン層が分散相のホモポリマーおよび/またはコポリマーを含む、請求項99に記載の樹脂ビーズ。
【請求項101】
1500時間超貯蔵した樹脂ビーズを、含侵直後に発泡させた樹脂ビーズと同様な容量に発泡させることができる、請求項90に記載の樹脂ビーズ。
【請求項102】
樹脂ビーズを未発泡樹脂ビーズの元の容量の約1.01から約500倍以上に発泡させて発泡樹脂ビーズを形成する、請求項101に記載の樹脂ビーズ。
【請求項103】
請求項102に記載の樹脂ビーズを含む、成形品。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6】
【図7】
【図8】
【図1B】
【図1C】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6】
【図7】
【図8】
【公表番号】特表2008−540772(P2008−540772A)
【公表日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−511316(P2008−511316)
【出願日】平成18年5月10日(2006.5.10)
【国際出願番号】PCT/US2006/018075
【国際公開番号】WO2006/122185
【国際公開日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【出願人】(503200752)ノバ・ケミカルズ・インコーポレイテツド (19)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年5月10日(2006.5.10)
【国際出願番号】PCT/US2006/018075
【国際公開番号】WO2006/122185
【国際公開日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【出願人】(503200752)ノバ・ケミカルズ・インコーポレイテツド (19)
【Fターム(参考)】
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