説明

発泡積層シートの製造方法

【課題】電子線照射によって発泡剤含有樹脂層の樹脂架橋による溶融張力の調整を行いつつ、加熱発泡処理による紙質基材の変色を低減できる発泡積層シートの製造方法を提供する。
【解決手段】以下の(1)〜(4)工程を順に含む、発泡積層シートの製造方法:(1)発泡剤含有樹脂層又は発泡剤含有樹脂層を有する積層体を形成する工程、(2)前記発泡剤含有樹脂層又は発泡剤含有樹脂層を有する積層体に対して電子線を照射する工程、(3)前記発泡剤含有樹脂層又は発泡剤含有樹脂層を有する積層体に紙質基材を積層する工程、及び(4)前記発泡剤含有樹脂層を加熱発泡させる工程。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発泡積層シートの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、発泡積層シート(発泡化粧シート)としては、紙質基材(例えば、裏打紙)に塩化ビニル樹脂の発泡樹脂層を形成したものが知られている。近年では、環境に配慮して、発泡樹脂層にはエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂(EVA)、アクリル樹脂、オレフィン系樹脂などの、ハロゲンを含有しない樹脂が用いられてきている。
【0003】
発泡積層シートは、一般に紙質基材上に発泡剤含有樹脂層を形成後、当該発泡剤含有樹脂層を加熱により発泡させることにより得られる。発泡剤含有樹脂層の形成方法には、カレンダー法やTダイを用いた押出し法、その他、樹脂エマルジョンを塗工する方法がある。
【0004】
ところで、発泡積層シートを製造する際に、前記発泡剤含有樹脂層の樹脂架橋による溶融張力の調整を行うことを目的として、前記発泡剤含有樹脂層を含む樹脂層に対して電子線照射を行う場合がある。例えば、特許文献1には、発泡壁紙の製造方法として、紙質基材上に発泡剤入りのポリオレフィン系樹脂を押出し製膜して発泡壁紙用原反を作製し、当該原反に対して電子線照射を行った後、前記オレフィン系樹脂層面に印刷柄による装飾層を設け、前記オレフィン系樹脂層を加熱発泡する方法が記載されている。また、特許文献2には、発泡壁紙の製造方法として、前記発泡剤含有樹脂層を含む樹脂層を押出し製膜して積層体を作製し、当該積層体を冷却した後、当該積層体が紙質基材の幅よりも小さくなるように積層体をスリットし、さらに加熱した紙質基材に前記積層体を積層(いわゆる熱ラミネート)して発泡壁紙用原反を作製した後、当該原反に対して電子線照射、装飾層の形成及び加熱発泡をする方法が記載されている。
【0005】
しかしながら、上記特許文献1及び特許文献2に記載された発泡壁紙の製造方法は、いずれも発泡剤含有樹脂層を含む樹脂層を紙質基材に積層してから電子線照射を行っているため、電子線の照射条件、樹脂層の配合等によっては電子線が紙質基材にまで到達する場合がある。この場合、紙質基材は電子線により照射されているため、加熱発泡処理によって紙質基材に含まれている有機物が変色しやすいという問題がある。上記変色(いわゆる、「焼け」)は、発泡積層シートの意匠に悪影響を及ぼし、また、電子線照射によって紙質基材が劣化するという問題がある。
【0006】
従って、電子線照射による加熱発泡処理後の紙質基材の変色を低減できる発泡積層シートの製造方法の開発が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許3923969号公報
【特許文献2】特許4006604号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、電子線照射よる加熱発泡処理後の紙質基材の変色を低減できる発泡積層シートの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、鋭意研究を重ねた結果、特定の製造工程を含む製造方法によって発泡積層シートを製造することにより、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
即ち、本発明は、下記の発泡積層シートの製造方法に関する。
1. 以下の(1)〜(4)工程を順に含む、発泡積層シートの製造方法:
(1)発泡剤含有樹脂層又は発泡剤含有樹脂層を有する積層体を形成する工程、
(2)前記発泡剤含有樹脂層又は発泡剤含有樹脂層を有する積層体に対して電子線を照射する工程、
(3)前記発泡剤含有樹脂層又は発泡剤含有樹脂層を有する積層体に紙質基材を積層する工程、及び
(4)前記発泡剤含有樹脂層を加熱発泡させる工程。
2. 前記(2)工程において、前記発泡剤含有樹脂層又は発泡剤含有樹脂層を有する積層体の端部を固定して電子線を照射する、上記項1に記載の発泡積層シートの製造方法。
3. 前記(1)工程において、非発泡樹脂層A、前記発泡剤含有樹脂層及び非発泡樹脂層Bからなる積層体を形成する、上記項1又は2に記載の発泡積層シートの製造方法。
4. 前記発泡剤含有樹脂層は、樹脂成分としてポリエチレン及びエチレン共重合体からなる群から選ばれた少なくとも1種を含有する、上記項1〜3のいずれかに記載の発泡積層シートの製造方法。
5. 前記(3)工程の前に、紙質基材を加熱する工程を含む、上記項1〜4のいずれかに記載の発泡積層シートの製造方法。
6. 前記(3)工程の後又は(4)工程の後において、前記発泡剤含有樹脂層上又は前記積層体上に装飾処理を施す工程を含む、上記項1〜5のいずれかに記載の発泡積層シートの製造方法。
【0011】
以下、本発明の発泡積層シートの製造方法について詳細に説明する。
【0012】
本発明の発泡積層シートの製造方法は、以下の(1)〜(4)工程:
(1)発泡剤含有樹脂層又は発泡剤含有樹脂層を有する積層体を形成する工程、
(2)前記発泡剤含有樹脂層又は発泡剤含有樹脂層を有する積層体に対して電子線を照射する工程、
(3)前記発泡剤含有樹脂層又は発泡剤含有樹脂層を有する積層体に紙質基材を積層する工程、及び
(4)前記発泡剤含有樹脂層を加熱発泡させる工程、
を順に含む。
【0013】
上記発泡積層シートの製造方法は、(2)工程において発泡剤含有樹脂層又は発泡剤含有樹脂層を有する積層体に電子線照射を行った後、(3)工程において紙質基材を積層するため、紙質基材が電子線によって照射されることはない。そのため、電子線照射によって発泡剤含有樹脂層の樹脂架橋による溶融張力の調整を行いつつ、加熱発泡処理による紙質基材の変色を低減できる。また、上記製造方法によれば、耐折度に優れた発泡積層シートを得ることができる。
【0014】
以下、本発明の製造方法について詳細に説明する。
【0015】
(1)工程
(1)工程では、発泡剤含有樹脂層又は発泡剤含有樹脂層を有する積層体を形成する。つまり、(1)工程では発泡剤含有樹脂層を単層で形成してもよく、あるいは発泡剤含有樹脂層を有する複数層からなる積層体(例えば、非発泡樹脂層A、前記発泡剤含有樹脂層及び非発泡樹脂層Bからなる前記積層体)を形成してもよい。以下の説明では、便宜的にこれらを「積層体」と総称し、積層体には発泡剤含有樹脂層単層の場合も含むものとして説明する。
【0016】
(i)発泡剤含有樹脂層
発泡剤含有樹脂層は、少なくとも樹脂成分、及び発泡剤を含む。
【0017】
本発明で用いる発泡剤としては熱分解型発泡剤が好ましく、この場合には発泡剤含有樹脂層は加熱により発泡して発泡樹脂層となる。
【0018】
本発明では、発泡剤含有樹脂層は、樹脂成分としてポリエチレン、及びエチレンとエチレン以外の成分とをモノマーとするエチレン共重合体(以下、「エチレン共重合体」と略記もする)からなる群から選ばれた少なくとも1種を含有することが好ましい。
【0019】
ポリエチレン及びエチレン共重合体は融点及びMFRの観点で押出し製膜に適している。エチレン共重合体としては、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−メチルメタクリレート共重合体(EMMA)、エチレン−エチルアクリレート共重合体(EEA)、エチレン−メチルアクリレート共重合体(EMA)、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン−αオレフィン共重合体等が挙げられる。これらのエチレン共重合体は単独又は2種以上を混合して使用できる。
【0020】
発泡剤含有樹脂層の樹脂成分として、特にエチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メチルメタクリレート共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、及びポリエチレンとエチレン−αオレフィン共重合体の混合物のいずれか1種を含有することが好ましい。樹脂成分としてポリエチレンとエチレン−αオレフィン共重合体の混合物を含有する場合、エチレン−αオレフィン共重合体の含有量は50重量%以上であることが好ましい。
【0021】
エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メチルメタクリレート共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、及びポリエチレンとエチレン−αオレフィン共重合体の混合物のいずれか1種と他の樹脂の1種以上とを併用する場合には、前記いずれかの1種の樹脂成分の含有量は、70重量%以上が好ましく、80重量%以上がより好ましい。
【0022】
ポリエチレン又はエチレン共重合体のMFRは9〜100g/10分が好ましく、9〜20g/10分がより好ましい。このようなMFRを採用することにより、押出し製膜性がより高まる。なお、本明細書のMFRは、JIS K 7210(熱可塑性プラスチックの流れ試験方法)記載の試験方法により測定した値である。試験条件は、JIS K 6760記載の「190℃、21.18N(2.16kgf)」を採用したものである。
【0023】
また、エチレン共重合体は、エチレン以外のモノマーの含有量としては、5〜30重量%が好ましく、9〜20重量%がより好ましい。このような共重合比率を採用することにより、押出し製膜性がより高まり、製品時の柔軟性が適切なものとなる。具体例としては、エチレン−酢酸ビニル共重合体は、酢酸ビニルの共重合比率(VA量)としては9〜25重量%が好ましく、9〜20重量%がより好ましい。また、エチレン−メチルメタクリレート共重合体は、メチルメタクリレートの共重合比率(MMA量)としては5〜25重量%が好ましく、5〜15重量%がより好ましい。
【0024】
熱分解型発泡剤としては公知の発泡剤から選択することができる。例えば、アゾジカルボンアミド(ADCA)、アゾビスホルムアミド等のアゾ系;オキシベンゼンスルホニルヒドラジド(OBSH)、パラトルエンスルホニルヒドラジド等のヒドラジド系などが挙げられる。熱分解型発泡剤の含有量は、発泡剤の種類や発泡倍率に応じて設定する。なお、本発明では、発泡倍率は5倍以上、好ましくは6.5〜10倍程度とする。熱分解型発泡剤は、樹脂成分100重量部に対して、1〜10重量部程度とすることが好ましい。
【0025】
発泡剤含有樹脂層には、本発明の効果に影響を与えない範囲で添加剤を加えてもよい。例えば、顔料、発泡安定剤、酸化防止剤、発泡助剤(亜鉛化合物)、架橋剤、表面処理剤、蛍光増白剤、防カビ剤、滑剤等を添加剤として用いることができる。
【0026】
顔料については、例えば、酸化チタン、亜鉛華、カーボンブラック、黒色酸化鉄、黄色酸化鉄、黄鉛、モリブデートオレンジ、カドミウムイエロー、ニッケルチタンイエロー、クロムチタンイエロー、酸化鉄(弁柄)、カドミウムレッド、群青、紺青、コバルトブルー、酸化クロム、コバルトグリーン、アルミニウム粉、ブロンズ粉、雲母チタン、硫化亜鉛等の無機顔料;例えば、アニリンブラック、ペリレンブラック、アゾ系(アゾレーキ、不溶性アゾ、縮合アゾ)、多環式(イソインドリノン、イソインドリン、キノフタロン、ペリノン、フラバントロン、アントラピリミジン、アントラキノン、キナクリドン、ペリレン、ジケトピロロピロール、ジブロムアンザントロン、ジオキサジン、チオインジゴ、フタロシアニン、インダントロン、ハロゲン化フタロシアニン)等の有機顔料が挙げられる。顔料の含有量は、樹脂成分100重量部に対して10〜50重量部程度が好ましく、15〜40重量部程度がより好ましい。
【0027】
発泡安定剤としては、例えば、アルキルスルホン酸塩やアルキルベンゼンスルホン酸塩が挙げられる。具体的には、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム及びドデシルベンゼンスルホン酸カルシウムの少なくとも1種が好ましい。
【0028】
また、ステアリン酸亜鉛等の金属石鹸や界面活性剤を使用することもできる。これらの含有量は、樹脂成分100重量部に対して、0.3〜10重量部程度が好ましく、1〜5重量部程度がより好ましい。
【0029】
酸化防止剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤である2,6−ジ第三ブチル−p−クレゾール、テトラキス〔メチレン−3(3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシ−フェニル)プロピオネート〕メタン、リン系酸化防止剤であるトリス(2,4−ジ−ブチルフェニル)ホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト等が挙げられる。
【0030】
発泡助剤としては、例えば、亜鉛の酸化物、水酸化物、炭酸塩、塩基性炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩、亜燐酸塩、カルボン酸塩等が挙げられる。かかる亜鉛化合物は、発泡速度向上の観点から添加することが好ましい。上記カルボン酸塩としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、2−エチルヘキサン酸、ノナン酸、イソノナン酸、イソデカン酸、ネオデカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、リシノール酸、ベヘニン酸等の脂肪族酸や、安息香酸、p−第三ブチル安息香酸、トルイル酸、サリチル酸、ナフテン酸等の芳香族酸が挙げられる。これらのカルボン酸を用いた亜鉛のカルボン酸塩は正塩、酸性塩、塩基性塩のいずれの形態であってもよい。亜鉛のカルボン酸塩を構成するカルボン酸としては上記のものが使用できるが、VOCを低減する観点からは、炭素数12以上の脂肪酸を用いた常温で粉体であるもの、例えば、ステアリン酸亜鉛、ラウリン酸亜鉛等が好ましい。他のカルボン酸を用いた場合には、液状であったり、ハンドリング性を良くするために有機溶媒に溶かす作業が必要であったりする場合がある。
【0031】
亜鉛化合物の含有量は樹脂成分100重量部に対して、0.001〜20重量部程度が好ましく、0.001〜10重量部程度がより好ましい。
【0032】
発泡剤含有樹脂層の厚みは限定的ではないが、非発泡状態(発泡前)で40〜100μmが好ましい。発泡後は400〜700μmが好ましい。
【0033】
発泡剤含有樹脂層を発泡させる方法としては、後記の製造方法に記載された方法に従って実施すれば良い。
【0034】
(ii)非発泡樹脂層A
本発明の積層体には、発泡剤含有樹脂層のおもて面に、更に非発泡樹脂層(非発泡樹脂層A)を形成してもよい。
【0035】
非発泡樹脂層Aは、主として発泡剤含有樹脂層を保護するものである。
【0036】
非発泡樹脂層Aに含まれる樹脂成分は特に限定されず、例えばポリエチレン、エチレン共重合体、アイオノマー樹脂等を使用することができる。前記エチレン共重合体としては、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−メチルメタクリレート共重合体(EMMA)、エチレン−エチルアクリレート共重合体(EEA)、エチレン−メチルアクリレート共重合体(EMA)、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン−αオレフィン共重合体等が挙げられる。これらの樹脂成分は単独又は2種以上を混合して使用できる。
【0037】
また、特に優れた耐スクラッチ性、耐摩耗性を得るためには、前記樹脂成分として、アクリル酸(CH=CHCOOH)及びメタクリル酸(CH=C(CH)COOH)の少なくとも1種のモノマーとエチレンとの組み合わせにより得られる共重合体を樹脂成分として好適に用いることができる。より具体的には、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体及びアイオノマー樹脂の少なくとも1種を用いることが望ましい。アイオノマー樹脂としては、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体の分子間をナトリウム、亜鉛等の金属のイオンで分子間結合した構造を有する樹脂が使用できる。このような樹脂成分を用いる場合には、特に樹脂中の水素結合等に起因する強固な層を形成することができる。なお、これらは、公知又は市販のものを使用することができる。
【0038】
前記共重合体におけるアクリル酸又はメタクリル酸の含有量は限定的ではないが、15重量%以下が好ましく、4〜15重量%程度がより好ましい。このような樹脂も市販品を使用することができる。前記樹脂組成物には、公知の添加剤を配合することもできる。
【0039】
非発泡樹脂層Aの厚みは限定的ではないが、3〜50μm程度が好ましく、特に5〜20μm程度がより好ましい。
【0040】
前記樹脂成分のメルトフローレート値は、用いる樹脂成分の種類等によるが、一般に10g/10分以上の範囲内で適宜設定すれば良い。通常は10〜100g/10分、特に10〜95g/10分、さらに20〜80g/10分の範囲にあることが好ましい。このような数値範囲のものを使用することにより、より優れた耐スクラッチ性、耐摩耗性等を得ることができる。
【0041】
また、樹脂組成物中の前記樹脂成分の含有量は限定的ではないが、通常70〜100重量%の範囲内で適宜設定することが好ましい。
【0042】
(iii)非発泡樹脂層B
本発明の積層体には、必要に応じて発泡剤含有樹脂層の裏面(非発泡樹脂層Aと接する面とは逆側の面)に、更に非発泡樹脂層(非発泡樹脂層B)が形成されていてもよい。特に、非発泡樹脂層Bが、発泡剤含有樹脂層と後述する紙質基材とを接着させるための接着剤層として形成される場合は、優れた密着性を得ることができる。非発泡樹脂層Bとしては、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体等を好適に用いることができる。
【0043】
非発泡樹脂層Bは樹脂成分以外に公知の添加剤を含んでもよいが、樹脂成分の含有量が70〜100重量%となるように配合することが好ましい。
【0044】
非発泡樹脂層Bの厚みは限定的ではないが、3〜50μm程度が好ましく、特に5〜15μm程度がより好ましい。
【0045】
(iv)各層の積層
積層体を形成する方法としては、特に限定されず、例えば、Tダイ押出し機による単層押出し、多層同時押出し等が挙げられる。特に、本発明においては、複数種の溶融樹脂を同時に押出すことにより複数層の同時成膜が可能なフィードブロックタイプやマルチマニホールドタイプのTダイを使用することができるが、各層の流動性に違いがある場合は、マルチマニホールドタイプが好適に使用できる。
【0046】
具体的には、発泡剤含有樹脂層及び非発泡樹脂層Aを溶融押し出しすることにより積層体を形成する場合は、非発泡樹脂層Aを形成するための組成物、及び発泡剤含有樹脂層を形成するための組成物を各々別個のシリンダー中に入れて、2種2層を同時に押出し成膜すればよい。
【0047】
さらに非発泡樹脂層Bを形成する場合は、非発泡樹脂層Aを形成するための組成物、発泡剤含有樹脂層を形成するための組成物、及び非発泡樹脂層Bを形成するための組成物を各々別個のシリンダー中に入れて、3種3層を同時に押出し成膜すればよい。
【0048】
同時押出し時の溶融樹脂温度は、特に限定されず、用いる樹脂、発泡剤等に応じて適宜設定すればよい。
【0049】
なお、発泡剤含有樹脂層を1層で押出し成膜する場合、当該層に炭酸カルシウム等の無機充填剤(フィラー)が含まれる場合には、押出し成形機の押出し口(いわゆるダイス)に無機充填剤の残渣(いわゆる目やに)が付着し易く、これがシート表面の異物となり易い。その場合には、非発泡樹脂層A及び非発泡樹脂層Bを、無機充填剤を含まない層として、発泡剤含有樹脂層とともに同時押出し成形することが好ましい。同時押出し成形は、例えば、マルチマニホールドタイプのTダイを用いることにより行える。このように発泡剤含有樹脂層を非発泡樹脂層によって挟み込んだ態様で同時押出し成形することにより、前記目やにの発生を抑制することができる。
【0050】
(2)工程
(2)工程では、前記積層体に対して電子線を照射する。前記積層体に対して電子線照射することにより、発泡剤含有樹脂層を樹脂架橋させることができる。なお、(1)工程の後であって(2)工程前に、後述する電離放射線硬化型樹脂を含む表面保護層を積層する場合は、電子線照射によって発泡剤含有樹脂層及び表面保護層を同時に樹脂架橋させることができる。
【0051】
また、1)テンタークリップで積層体の両端部を掴む、2)ロール上で別のロールを積層体の端部に押しあてる、等によって前記積層体を固定した状態で電子線を照射することにより、樹脂架橋に起因する収縮を抑えることができる。そのため、前記積層体の巾(幅)収縮、厚みのばらつき、皺の発生等を抑制することができる。
【0052】
電子線は、積層体のおもて面側から裏面側に向けて照射してもよく、また裏面側からおもて面側に向けて照射してもよい。なお、本明細書において、おもて面側とは積層体側をいい、裏面側とは紙質基材側をいう。後述する図1では、上側がおもて面側であり、下側が裏面側である。
【0053】
電子線照射の条件としては、150〜220kV程度、20〜60KGy程度である。
【0054】
また、本発明では、(1)工程の後であって(2)工程前に、前記積層体を冷却することができる。冷却温度は、積層体の表面が60℃以下、特に30〜40℃となるよう冷却することが好ましい。冷却手段としては限定的ではなく、公知の手段を適宜採用すればよい。特に前記積層体を、冷却水を通した金属ロール(チルロール)に抱かせることにより好適に前記積層体を冷却することができる。
【0055】
さらに、本発明では、(2)工程の後であって(3)工程前に、前記積層体をスリットすることができる。上記スリットをすることによって、前記積層体の幅を、後述する紙質基材の幅より小さくすることができる。そのため、後工程で発泡剤を加熱し発泡させた際、発泡体の端部から、樹脂層を構成する樹脂がはみ出し、その結果、発泡炉内部を汚してしまう等の問題を回避することができる。
【0056】
特に、(1)工程において積層体を成形した直後は、両端部の厚みが中央部と比較して厚くなっているため、スリットをせずにロール状に巻き上げると、積層体に皺が発生しやすい。また、(2)工程において電子線を照射する前にスリットを行うと、スリット後の電子線照射による樹脂架橋によって積層体が収縮し、寸法や厚みにばらつきが生じる可能性がある。そのため、本発明では、(2)工程の後であって(3)工程前に、前記積層体に対して冷却を行い、さらにスリットを行うことが好ましい。
【0057】
スリットする方法は、特に限定されず、公知の手段を採用すればよい。例えば、レーザーカット方式、シャーカット方式、スコアーカット方式等が挙げられる。
【0058】
(3)工程
(3)工程では、前記積層体に紙質基材を積層する。例えば、前記積層体が前記のような発泡剤含有樹脂層及び非発泡樹脂層Aを溶融押し出しにより積層したものである場合、前記積層体の発泡剤含有樹脂層側に紙質基材を積層する。また、前記積層体が非発泡樹脂層B、発泡剤含有樹脂層、及び非発泡樹脂層Aの順となるように溶融押し出しにより積層したものである場合、前記積層体の非発泡樹脂層B側に紙質基材を積層する。なお、本発明において、少なくとも積層体を、紙質基材に積層したものを発泡積層シート用原反という。
【0059】
本発明は、(2)工程において、積層体に電子線照射を行った後、(3)工程において紙質基材を積層するため、紙質基材が電子線によって照射されることはない。そのため、電子線照射による、加熱発泡処理時の紙質基材の変色を低減できる。
【0060】
紙質基材の材質は、積層シート基材として適した機械強度、耐熱性等を有する限り特に限定されず、繊維質シート(例えば、紙、不織布等。単に繊維質ともいう。)が一般に使用できる。繊維質シートとしては限定されず、公知の壁紙基材(裏打紙)などが利用できる。
【0061】
具体的には、繊維質シートの中でも、壁紙用一般紙(パルプ主体のシートを既知のサイズ剤でサイズ処理したもの);難燃紙(パルプ主体のシートをスルファミン酸グアニジン、リン酸グアジニン等の難燃剤で処理したもの);水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の無機添加剤を含む無機質紙;上質紙;薄用紙などが挙げられる。
【0062】
紙質基材の坪量は限定的ではないが、40〜300g/m程度が好ましく、50〜80g/m程度がより好ましい。
【0063】
前記積層体に紙質基材を積層する方法としては限定的ではない。例えば、前記積層体と紙質基材とを加圧・積層するのが好ましい。特に、加圧・積層する前に、紙質基材表面に加熱を行うことが好ましい。加熱温度は限定的ではないが、80〜160℃が好ましい。加熱時間は、加熱温度等に応じて適宜設定すればよい。
【0064】
(4)工程
(4)工程では、発泡剤含有樹脂層を加熱することにより発泡樹脂層を形成する。なお、本発明では、加熱に先立って電子線照射により発泡剤含有樹脂層を樹脂架橋させているため、発泡剤含有樹脂層の溶融張力が調整され、所望の発泡倍率を得られ易い。
【0065】
加熱条件は、熱分解型発泡剤の分解により発泡樹脂層が形成される条件ならば限定されない。加熱温度は210〜250℃程度が好ましく220〜240℃程度がより好ましい。加熱時間は15〜50秒程度が好ましく、20〜45秒程度がより好ましい。
【0066】
その他の工程(装飾処理)
発泡剤含有樹脂層の表面(又は非発泡樹脂層Aの表面)には、必要に応じて後述する絵柄模様層を形成してもよい。そして、絵柄模様層の表面には艶調整及び/又は絵柄模様層の保護を目的として表面保護層を更に設けることができる。非発泡樹脂層に対して絵柄模様層又は表面保護層が密着し難い場合や、絵柄模様層に対して表面保護層が密着し難い場合には、必要に応じて、層と層の間にプライマー層を介してもよい。さらに、本発明では表面(おもて面)にエンボス模様を付することもできる。なお、絵柄模様層の形成、表面保護層の形成およびエンボス模様の付与は、いずれも(3)工程後又は(4)工程後に行えばよい。
【0067】
(i)絵柄模様層の形成
絵柄模様層は、発泡積層シートに意匠性を付与する。絵柄模様としては、例えば木目模様、石目模様、砂目模様、タイル貼模様、煉瓦積模様、布目模様、皮絞模様、幾何学図形、文字、記号、抽象模様等が挙げられる。絵柄模様は、発泡積層シートの種類に応じて選択できる。
【0068】
絵柄模様層は、例えば、非発泡樹脂層Aのおもて面に絵柄模様を印刷することで形成できる。なお、絵柄模様層を形成する際には、必要に応じてあらかじめプライマー層を形成したり、非発泡樹脂層Aの表面にコロナ放電処理を施しても良い。コロナ放電処理は、公知の方法に従って実施することができる。
【0069】
印刷手法としては、例えば、グラビア印刷、フレキソ印刷、シルクスクリーン印刷、オフセット印刷等が挙げられる。印刷インキとしては、着色剤、結着材樹脂、溶剤(又は分散媒)を含む印刷インキが使用できる。これらのインキは公知又は市販のものを使用しても良い。
【0070】
着色剤としては、例えば、前記の発泡剤含有樹脂層で使用されるような顔料を適宜使用することができる。
【0071】
結着材樹脂は、例えば、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、塩素化ポリオレフィン系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体系樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、アルキド系樹脂、石油系樹脂、ケトン樹脂、エポキシ系樹脂、メラミン系樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、繊維素誘導体、ゴム系樹脂等が挙げられる。
【0072】
溶剤(又は分散媒)としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の石油系有機溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸−2−メトキシエチル、酢酸−2−エトキシエチル等のエステル系有機溶剤;メチルアルコール、エチルアルコール、ノルマルプロピルアルコール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール系有機溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系有機溶剤;ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル系有機溶剤、;ジクロロメタン、四塩化炭素、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン等の塩素系有機溶剤;水などが挙げられる。
【0073】
絵柄模様層の厚みは、絵柄模様の種類より異なるが、一般には0.1〜10μm程度とすることが好ましい。
【0074】
(ii)表面保護層の形成
表面保護層の種類は限定的ではないが、アクリル系樹脂やウレタン系樹脂など絵柄模様層と同等な結着剤樹脂や溶剤を使用した1液硬化型または2液硬化型樹脂などが使用できる。また、電離放射線硬化型樹脂を用いて形成した樹脂層を電子線照射によって硬化させてなる表面保護層は、発泡積層シートの表面強度、耐汚染性等をより一層向上させることができるので、好ましい。
【0075】
電離放射線硬化型樹脂としては特に限定されず、電子線の照射により重合架橋反応可能なラジカル重合性二重結合を分子中に含むプレポリマー(オリゴマーを含む)及び/又はモノマーを主成分とする透明性樹脂を使用できる。これらのプレポリマー又はモノマーは、単体又は複数を混合して使用できる。硬化反応は、通常、架橋硬化反応である。
【0076】
具体的には、前記プレポリマー又はモノマーとしては、分子中に(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基等のラジカル重合性不飽和基、エポキシ基等のカチオン重合性官能基等を有する化合物が挙げられる。また、ポリエンとポリチオールとの組み合わせによるポリエン/チオール系のプレポリマーも好ましい。ここで、(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基又はメタクリロイル基の意味である。
【0077】
また、艶調整のためには、シリカなどの既知フィラーを含有する表面保護層の形成が望ましい。また、滑り性や汚れの拭取り易さを付与するために、シリコーンなどの添加剤も加えることができる。なお、必要に応じて、消臭剤や抗菌剤などの機能性材料を添加しても良い。表面保護層の形成方法としては、グラビア印刷などの公知の方法が採用できる。
【0078】
表面保護層の厚みは絵柄模様の種類より異なるが、0.1〜15μm程度が好ましい。
【0079】
(iii)エンボス処理
本発明では、適宜エンボス模様を付してもよい。エンボス加工は、エンボス版の押圧等、公知の手段により実施することができる。例えば、絵柄模様層(又は表面保護層)を加熱軟化後、エンボス版を押圧することにより所望のエンボス模様を賦型できる。エンボス模様としては、例えば木目板導管溝、石板表面凹凸、布表面テクスチャア、梨地、砂目、ヘアライン、万線条溝等がある。
【0080】
本発明の発泡積層シートは、発泡壁紙、ラミネート化粧板用表皮材、クッション性床材、断熱化粧材等を用途として使用することができる。
【発明の効果】
【0081】
本発明の発泡積層シートの製造方法は、(2)工程において発泡剤含有樹脂層又は発泡剤含有樹脂層を有する積層体に電子線照射を行った後、(3)工程において紙質基材を積層するため、紙質基材が電子線によって照射されることはない。そのため、電子線照射によって発泡剤含有樹脂層の樹脂架橋による溶融張力の調整を行いつつ、加熱発泡処理による紙質基材の変色を低減できる。また、上記製造方法によれば、耐折度に優れた発泡積層シートを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明の実施例1によって得られた発泡積層シートの概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0083】
以下に実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明する。但し、本発明は実施例に限定されない。
【0084】
実施例1
3種3層マルチマニホールドTダイ押出し機を用いて、非発泡樹脂層A/発泡剤含有樹脂層/非発泡樹脂層Bの順に厚み10μm/70μm/10μmになるように押出し製膜した。これにより、非発泡樹脂層A/発泡剤含有樹脂層/非発泡樹脂層Bからなる積層体を得た。
【0085】
押出し条件は、非発泡樹脂層Aを形成するための樹脂を収容したシリンダー温度は140℃とし、発泡剤含有樹脂層を形成するための樹脂組成物を収容したシリンダー温度は120℃とし、非発泡樹脂層Bを形成するための樹脂を収容したシリンダー温度は100℃とした。また、ダイス温度はいずれも120℃とした。
【0086】
上記積層体の表面温度が60℃以下となるように、冷却水を通した金属ロール(チルロール)に上記積層体を抱かせることによって上記積層体を冷却した。
【0087】
次に、非発泡樹脂層Aの側から電子線(195kV,30KGy)を照射して、上記積層体を樹脂架橋させた。その後、後述する紙質基材よりも幅が10mm小さくなるように積層体をスリットした。
【0088】
次に、紙質基材(裏打紙)「CP−65PDK(中越パルプ工業(株)製)」を用意し、これを90℃に加熱した後、上記積層体を積層させることにより、非発泡樹脂層A/発泡剤含有樹脂層/非発泡樹脂層B/紙質基材からなる発泡積層シート用原反を得た。
【0089】
次に、非発泡樹脂層A上にコロナ放電処理を行った後、非発泡樹脂層A上に水性インキ「ハイドリック」(大日精化工業(株)製)を用いてグラビア印刷により布目絵柄を印刷した。
【0090】
次に、上記布目絵柄が印刷された発泡積層シート用原反をオーブンで加熱(220℃で35秒)し、発泡剤含有樹脂層を発泡させた。
【0091】
最後に、上記発泡体に対して、約110℃で布目パターンのエンボスを施して発泡積層シートを得た。
【0092】
各層は、それぞれ以下の成分を用いて形成した。
【0093】
非発泡樹脂層Aは、ポリエチレン樹脂「ペトロセン202、東ソー(株)製」により形成した。
【0094】
発泡剤含有樹脂層は、
ポリエチレン樹脂「ペトロセン208、東ソー(株)製」50重量部、
エチレン−αオレフィン共重合体「LUMITAC54−1、東ソー(株)製」50重量部、
発泡剤「ビニホールAC♯3、永和化成工業(株)製」4重量部、
炭酸カルシウム「ホワイトンH、平均粒径:22μm、白石工業(株)製」30重量部、
二酸化チタン「タイピュアR−108、デュポン(株)製」20重量部、
発泡助剤「アデカスタブOF−101、(株)ADEKA製」5重量部、
架橋助剤「オプスターJUA702、JSR(株)製」1重量部
により形成した。
【0095】
非発泡樹脂層Bは、EVA「ウルトラセン750(VA含有量:32重量%)、東ソー(株)製」により形成した。
【0096】
実施例2
電子線照射量を195kV、50KGyとする以外は実施例1と同様にして発泡積層シートを得た。
【0097】
実施例3
裏打紙を「CP−65PDK(中越パルプ工業(株)製)」に代えて「WK−665DO((株)興人製)」とする以外は実施例1と同様にして発泡積層シートを得た。
【0098】
実施例4
電子線照射量を195kV、50KGyとする以外は実施例3と同様にして発泡積層シートを得た。
【0099】
実施例5
非発泡樹脂層Aは、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体「ニュクレルN1560(MAA含有量:15重量%)、三井・デュポン ポリケミカル(株)製」により形成した。
発泡剤含有樹脂層は、
EVA「ウルトラセン633(VA含有量:20重量%)、東ソー(株)製」100重量部、
石油樹脂「アルコンP−100、荒川化学工業(株)製」5重量部、
発泡剤「ビニホールAC♯3 永和化成工業(株)製」4重量部、
炭酸カルシウム「ホワイトンH、平均粒径:22μm、白石工業(株)製」30重量部、
二酸化チタン「タイピュアR−108、デュポン(株)製」20重量部、
発泡助剤「アデカスタブOF−101、(株)ADEKA製」5重量部、
架橋助剤「オプスターJUA702、JSR(株)製」1重量部
により形成した。
裏打紙は、「WK−665DO((株)興人製)」を使用した。
上記以外の条件は実施例1と同様にして発泡積層シートを作製した。
【0100】
実施例6
電子線を、非発泡樹脂層Aの側からではなく非発泡樹脂層Bの側から照射する以外は実施例1と同様にして、発泡積層シートを作製した。
【0101】
実施例7
非発泡樹脂層Aを設けずに、2種2層マルチマニホールドTダイ押出し機を用いて発泡剤含有樹脂層/非発泡樹脂層Bの順に厚み80μm/10μmになるように押出し製膜し、発泡剤含有樹脂層/非発泡樹脂層Bからなる積層体を得る以外は実施例1と同様にして、発泡積層シートを作製した。
【0102】
実施例8
非発泡樹脂層A及びBを設けずに、Tダイ押出し機を用いて発泡剤含有樹脂層の厚みが90μmになるように押出し製膜する以外は実施例1と同様にして、発泡剤含有樹脂層を得た。次いで、実施例1と同様にして、発泡剤含有樹脂層の冷却、スリット及び電子線照射を行った。さらに、紙質基材(裏打紙)「CP−65PDK(中越パルプ工業(株)製)」を用意し、これを140℃に加熱した後、発泡剤含有樹脂層を積層させることにより、発泡剤含有樹脂層/紙質基材からなる発泡積層シート用原反を得た。上記以外の条件は実施例1と同様にして、発泡積層シートを作製した。
【0103】
実施例9
電子線を照射する際に、積層体の両端部をテンタークリップで固定し、電子線(195kV,50KGy)を照射する以外は実施例1と同様にして発泡積層シートを得た。
【0104】
比較例1
非発泡樹脂層A/発泡剤含有樹脂層/非発泡樹脂層Bの順に裏打紙に押出し製膜した後、非発泡樹脂層Aの側から電子線を照射する以外は実施例1と同様にして発泡積層シートを作製した。
【0105】
比較例2
非発泡樹脂層A/発泡剤含有樹脂層/非発泡樹脂層Bの順に裏打紙に押出し製膜した後、非発泡樹脂層Aの側から電子線を照射する以外は実施例2と同様にして発泡積層シートを作製した。
【0106】
比較例3
非発泡樹脂層A/発泡剤含有樹脂層/非発泡樹脂層Bの順に裏打紙に押出し製膜した後、非発泡樹脂層Aの側から電子線を照射する以外は実施例3と同様にして発泡積層シートを作製した。
【0107】
比較例4
非発泡樹脂層A/発泡剤含有樹脂層/非発泡樹脂層Bの順に裏打紙に押出し製膜した後、非発泡樹・BR>苑WAの側から電子線を照射する以外は実施例4と同様にして発泡積層シートを作製した。
【0108】
比較例5
非発泡樹脂層A/発泡剤含有樹脂層/非発泡樹脂層Bの順に裏打紙に押出し製膜した後、非発泡樹脂層Aの側から電子線を照射する以外は実施例5と同様にして発泡積層シートを作製した。
【0109】
試験例1
実施例1〜4、6〜9及び比較例1〜4で作製した発泡積層シートについて、発泡後の変色程度を評価した。その結果を下記表1に示す。
【0110】
変色評価の試験方法及び評価基準は次の通りである。
【0111】
加熱発泡の前後において発泡積層シートの樹脂層側から見た色差(ΔE)を調べた。△Eは、ミノルタ製色彩色差計(CR−300)を用いてL*,a*,b*を測定し、(1)式を用いて算出した。なお、L*,a*,b*は測定データ、L*,a*,b*は色差基準色である。
【0112】
ΔE=√{(L*−L*+(a*−a*+(b*−b*} (1)
結果を下記表1に示す。
【0113】
【表1】

【0114】
試験例2
実施例5及び比較例5で作製した発泡積層シートについて、耐折度を調べた。その結果を下記表2に示す。
【0115】
耐折度評価は、JIS P8115に規定された試験方法にて実施した。なお、上記試験では、紙面に亀裂が生じるまでの回数を評価した。
【0116】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の(1)〜(4)工程を順に含む、発泡積層シートの製造方法:
(1)発泡剤含有樹脂層又は発泡剤含有樹脂層を有する積層体を形成する工程、
(2)前記発泡剤含有樹脂層又は発泡剤含有樹脂層を有する積層体に対して電子線を照射する工程、
(3)前記発泡剤含有樹脂層又は発泡剤含有樹脂層を有する積層体に紙質基材を積層する工程、及び
(4)前記発泡剤含有樹脂層を加熱発泡させる工程。
【請求項2】
前記(2)工程において、前記発泡剤含有樹脂層又は発泡剤含有樹脂層を有する積層体の端部を固定して電子線を照射する、請求項1に記載の発泡積層シートの製造方法。
【請求項3】
前記(1)工程において、非発泡樹脂層A、前記発泡剤含有樹脂層及び非発泡樹脂層Bからなる積層体を形成する、請求項1又は2に記載の発泡積層シートの製造方法。
【請求項4】
前記発泡剤含有樹脂層は、樹脂成分としてポリエチレン及びエチレン共重合体からなる群から選ばれた少なくとも1種を含有する、請求項1〜3のいずれかに記載の発泡積層シートの製造方法。
【請求項5】
前記(3)工程の前に、紙質基材を加熱する工程を含む、請求項1〜4のいずれかに記載の発泡積層シートの製造方法。
【請求項6】
前記(3)工程の後又は(4)工程の後において、前記発泡剤含有樹脂層上又は前記積層体上に装飾処理を施す工程を含む、請求項1〜5のいずれかに記載の発泡積層シートの製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2012−206498(P2012−206498A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−172962(P2011−172962)
【出願日】平成23年8月8日(2011.8.8)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】