説明

発火を封止する洗濯物乾燥機

【課題】洗濯物乾燥機を改良して、万一洗濯物が発火しても、その被害を最小限に留め得るようにする。
【解決手段】内胴1aの熱風流入口(ヒータ2の熱風吐出口付近)に入口温度センサ9を設置するとともに、内胴1aの熱風流出口(ブロワ3の熱風吸入口付近)に出口温度センサ10を設置する。上記センサ類の検出信号を自動制御装置11に入力して比較演算し、
両者の温度差が所定の値に達すると、洗濯物が発火したものと推定して、入口ドア4、出口ドア5、ハッチ、及びダンパ3bを全閉して、当該洗濯物乾燥機を緊急停止させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脱水済みの洗濯物を熱風で乾燥する技術に係り、乾燥した洗濯物が万一発火しても、その被害を最小限に抑制し得るように改良した乾燥機に関するものであって、業務用乾燥機に適用すると好適である。
【背景技術】
【0002】
図5は業務用乾燥機の1例を示す外観正面図、図6は同じく外観側面である。
乾燥機本体1の中には多孔板製の内胴1aが設置されていて、駆動機構(図示省略)によって回転せしめられる。
洗濯物は入口ドア4から投入され、出口ドア5から排出され、コンベア6に乗せられて搬出される。
【0003】
上記の入口ドア4は覗き窓1b(図6参照)を備えており、図5に示した入口ドア駆動機構4aによって、矢印cdのように上下に開閉作動する。
出口ドア5は出口ドア駆動機構5a(図5参照)を備えていて、矢印abのように開閉作動する。
乾燥機本体1内の内胴1aに熱風を供給するためのヒータ2と、該熱風を流通させるためのブロワ3とが設けられている。
回転する内胴1a内の洗濯物(図示省略)は、水の沸騰温度よりも高温の熱風によって乾燥せしめられる。
【0004】
図7は、前掲の図5及び図6に示した乾燥機の断面模式図である。構造機能を理解し易いように模式化して描いてあるので、写実的な投影図ではない。
符号1を付して示したのは前記の乾燥機本体である。
符号4を付して示したのは前記入口ドア、4aは入口ドア駆動機構である。
符号5を付して示したのは前記の出口ドア5、5aは出口ドア駆動機構である。
符号2を付して示したのは前記のヒータであり、符号3を付して示したのは前記のブロワである。
【0005】
本例のヒータ2はバーナ2aを備えていて、ガス管2bから送られて来た燃料ガスを燃焼させて高温の燃焼ガスを発生させる方式である。図示を省略するが、これと異なる従来例として、液体燃料を燃焼させる方式のヒータも有り、過熱蒸気と熱交換させて空気流を加熱する方式のヒータも有る。
バーナ式のヒータにおける熱風温度は140〜220℃、
蒸気式のヒータにおける熱風温度は140〜180℃である。
【特許文献1】特開平11−164980全自動洗濯乾燥機
【特許文献2】特開平09−056996衣類乾燥機
【特許文献3】特開平07−308497衣類乾燥機
【特許文献4】特開平07−000689乾燥機
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
乾燥機で乾燥された洗濯物は極度に乾燥しているから発火する虞れが有る。
このため、衣類洗濯機に関して火災防止の発明が多く為されている。これら多数の発明は、それぞれ観点を異にしており、
例えば、特許文献1として挙げた特開平11−164980全自動洗濯乾燥機は、発火の危険を未然に防止する構成であり、
特許文献2として挙げた特開平09−056996衣類乾燥機は、燃焼の発生を感知して消化剤を散布する構成であり、
特許文献3として挙げた特開平07−308497衣類乾燥機は、静電火花の発生を防止する構成であり、
特許文献4として挙げた特開平07−000689乾燥機は引火性の溶剤に濡れている洗濯物の引火を防止する構成である。
【0007】
以上に例示した公知発明以外にも、洗濯物の発火,引火を防止する工夫は数多く為されているが、その危険性は未だ完全にゼロとは言い切れない。
業務用の洗濯設備においては、洗濯機、脱水機、乾燥機、仕上げ機などがシリーズに配列されて自動運転されているので、脱水機内の洗濯物が発火した場合であっても、自動的に出口ドア5が開かれ、燃えている洗濯物の小山がコンベア6に乗せられて搬送されることになる。
大切な洗濯物を焼損することも重大であるが、さながら、燃え盛る洗濯物が工場内を練り歩くような事故は甚だ好ましくない。
本発明は以上に述べた事情に鑑みて為されたものであって、その目的は、万一の発火に備えて、その被害を最小限度に留めることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の基本的な原理について、その1実施形態に対応する図1を参照して説明すると次の通りである。この[課題を解決するための手段]の欄は、図面との対照が容易なように括弧書きで図面符号を付記してあるが、この括弧付き符号は本発明の構成を図面のとおりに限定するものではない。
ヒータ2の熱風吐出口、すなわち内胴1aの熱風入口に、入口温度センサ9を設置して、検出温度信号を自動制御装置11に送るとともに、
ブロワ3の熱風吸入口、すなわち内胴1aの熱風出口に出口温度センサ10を設置して、検出温度信号を自動制御装置11に送る。
厳密に言えば、内胴1aの熱風出口温度は、熱風入口温度よりも低い筈である。にも拘わらず熱風出口温度が熱風入口温度よりも低くなければ、内胴1a内で発熱が有ったものと推定し、
内胴1aを取り囲んでいる全てのドア、ハッチ、ダンパ類を閉じ、乾燥機を緊急停止させる。
【0009】
上述の原理に基づいて創作した請求項1の発明に係る発火を封止する洗濯物乾燥機の構成は(図1参照)、
脱水された洗濯物を入れて回転する内胴(1a)を備えた乾燥機本体(1)と、
上記の内胴内に熱風を供給するヒータ(2)及び内胴内の空気を排出するブロワ(3)と、乾燥機本体の内胴内へ洗濯物を投入するための入口ドア(4)及び洗濯物を排出するための出口ドア(5)とを具備していて、
前記ヒータの熱風吐出口にハッチ(2c)が設けられるとともに、前記ブロワの付近にダンパ(3b)が設けられており、
かつ、前記内胴の熱風流入口付近に入口温度センサ(9)が、熱風流出口付近に出口温度センサ(10)が、それぞれ配設されるとともに、
これら温度センサからの検出信号出力を入力される自動制御装置(11)が設けられていて、
上記の自動制御装置は、比較演算手段を備えていて、内胴から流出する空気の温度を表す出口温度センサの検出温度が、内胴に流入する空気の温度を表す入口温度センサの検出温度よりも高くなったとき、
前記ハッチ、ダンパ、入口ドア、及び出口ドアを閉鎖せしめるとともに、前記ヒータの作動、ブロワの回転、及び内胴の回転を停止せしめる機能を有するものであることを特徴とする。
【0010】
請求項2の発明に係る発火を封止する洗濯物乾燥機の構成は、
(図2参照)、脱水された洗濯物を入れて回転する内胴(1a)を備えた乾燥機本体(1)と、
上記の内胴内に熱風を供給するヒータ(2)、および、該内胴内の空気を排出するブロワ(3)と、
乾燥機本体の内胴内へ洗濯物を投入するための入口ドア(4)、及び内胴の中から洗濯物を排出するための吸出しダクト(7)と、を具備していて、
前記ヒータの熱風吐出口にハッチ(2c)が設けられるとともに、前記ブロワの付近にダンパ(3b)が設けられ、前記のダクトを閉塞・開放するダクトシャッタ(7a)が設けられており、
かつ、前記内胴の熱風流入口付近に入口温度センサ(9)が、熱風流出口付近に出口温度センサ(10)が、それぞれ配設されるとともに、
これら温度センサからの検出信号出力を入力される自動制御装置(11)が設けられていて、
上記の自動制御装置は、比較演算手段を備えていて、内胴から流出する空気の温度を表す出口温度センサの検出温度が、内胴に流入する空気の温度を表す入口温度センサの検出温度よりも高くなったとき、
前記ハッチ、ダンパ、入口ドア、及びダクトシャッタを閉鎖せしめるとともに、前記ヒータの作動、ブロワの回転、及び内胴の回転を停止せしめる機能を有するものであることを特徴とする。
【0011】
請求項3の発明に係る発火を封止する洗濯物乾燥機の構成は、前記請求項1の発明の簡略形に相当する。この発明は、本来的にヒータのハッチやブロワのダンパを備えていない型式の洗濯物乾燥機に対して適用すると好適である。その構成は(図3参照)、
脱水された洗濯物を入れて回転する内胴を備えた乾燥機本体と、
上記の内胴内に熱風を供給するヒータ及び内胴内の空気を排出するブロワと、乾燥機本体の内胴内へ洗濯打物を投入するための入口ドア及び洗濯物を排出するための出口ドアとを具備していて、
前記内胴の熱風流入口付近に入口温度センサが、熱風流出口付近に出口温度センサが、それぞれ配設されるとともに、
これら温度センサからの検出信号出力を入力される自動制御装置が設けられており、
上記の自動制御装置は、比較演算手段を備えていて、内胴から流出する空気の温度を表す出口温度センサの検出温度が、内胴に流入する空気の温度を表す入口温度センサの検出温度よりも高くなったとき、
前記入口ドア、及び出口ドアを閉鎖せしめるとともに、前記ヒータの作動、ブロワの回転、及び内胴の回転を停止せしめる機能を有するものであることを特徴とする。
【0012】
請求項4の発明に係る発火を封止する洗濯物乾燥機の構成は、前記請求項2の発明の簡略形に相当する。この発明は、本来的にヒータのハッチやブロワのダンパを備えていない型式の洗濯物乾燥機に対して適用すると好適である。その構成は(図4参照)、
脱水された洗濯物を入れて回転する内胴を備えた乾燥機本体と、
上記の内胴内に熱風を供給するヒータ、および、該内胴内の空気を排出するブロワと、
乾燥機本体の内胴内へ洗濯物を投入するための入口ドア、及び内胴の中から洗濯物を排出するための吸出しダクトと、を具備していて、
前記のダクトを閉塞・開放するダクトシャッタが設けられており、
かつ、前記内胴の熱風流入口付近に入口温度センサが、熱風流出口付近に出口温度センサが、それぞれ配設されるとともに、
これら温度センサからの検出信号出力を入力される自動制御装置が設けられていて、
上記の自動制御装置は、比較演算手段を備えていて、内胴から流出する空気の温度を表す出口温度センサの検出温度が、内胴に流入する空気の温度を表す入口温度センサの検出温度よりも高くなったとき、
前記入口ドア、及びダクトシャッタを閉鎖せしめるとともに、前記ヒータの作動、ブロワの回転、及び内胴の回転を停止せしめる機能を有するものであることを特徴とする。
【0013】
請求項5の発明に係る発火を封止する洗濯物乾燥機の構成は、前記請求項1または請求項2の発明の構成要件に加えて、
前記の自動制御装置が、ヒータのハッチ、ブロワのダンパ、入口ドア、及びダクトのシャッタを閉鎖せしめるとともに、前記ヒータの作動、ブロワの回転、及び内胴の回転を停止せしめるように制御するのは、
出口温度センサの検出温度が入口温度センサの検出温度に比して0度〜20度(摂氏)高くなったときであることを特徴とする。
【0014】
請求項6の発明に係る発火を封止する洗濯物乾燥機の構成は、前記請求項1または請求項2の発明の構成要件に加えて、
(図乾燥機本体1、図2参照)前記の自動制御装置(11)は警報器(12)を備えていて、
該自動制御装置が、ヒータのハッチ、ブロワのダンパ、入口ドア、及びダクトのシャッタを閉鎖せしめるとともに、前記ヒータの作動、ブロワの回転、及び内胴の回転を停止せしめるように制御する際、
該自動制御装置が前記の警報器を作動せしめて、音響信号,光線信号,及び電気信号の少なくとも何れか1つにより、排気温度の異常警報を発信する機能を併せ有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1の発明に係る発火を封止する洗濯物乾燥機は、乾燥済みの洗濯物を排出する手段として出口ドア5(図1参照)を備えた洗濯物乾燥機に適用され、
内胴1a内の洗濯物の発火を、熱風の内胴出口温度の異常として検知し、自動制御装置が指令信号を発して入口ドア4、出口ドア5、ヒータのハッチ2c、及びブロワのダンパ3bを全閉させ、かつ、内胴1aの回転、ヒータ2の作動、及びブロワ3の作動を停止させて洗濯物乾燥機を緊急停止させるので、発火に伴う広義の被害を最小限に留めることができる。
【0016】
請求項2の発明に係る発火を封止する洗濯物乾燥機は、乾燥済みの洗濯物を排出する手段として吸出しダクト7(図2参照)を備えた洗濯物乾燥機に適用され、
内胴1a内の洗濯物の発火を、熱風の内胴出口温度の異常として検知し、自動制御装置が指令信号を発して入口ドア4、吸出しダクトのダクトシャッタ7a、ヒータのハッチ2c、及びブロワのダンパ3bを全閉させ、かつ、内胴1aの回転、ヒータ2の作動、及びブロワ3の作動を停止させて洗濯物乾燥機を緊急停止させるので、発火に伴う広義の被害を最小限に留めることができる。
【0017】
請求項3の発明に係る発火を封止する洗濯物乾燥機は、乾燥済みの洗濯物を排出する手段として出口ドア5(図3参照)を備えた洗濯物乾燥機に適用され、
内胴1a内の洗濯物の発火を、熱風の内胴出口温度の異常として検知し、自動制御装置が指令信号を発して入口ドア4、及び出口ドア5を全閉させ、かつ、内胴1aの回転、ヒータ2の作動、及びブロワ3の作動を停止させて洗濯物乾燥機を緊急停止させるので、発火に伴う広義の被害を最小限に留めることができる。
【0018】
請求項4の発明に係る発火を封止する洗濯物乾燥機は、乾燥済みの洗濯物を排出する手段として吸出しダクト7(図4参照)を備えた洗濯物乾燥機に適用され、
内胴1a内の洗濯物の発火を、熱風の内胴出口温度の異常として検知し、自動制御装置が指令信号を発して入口ドア4、及び吸出しダクトのダクトシャッタ7aを全閉させ、かつ、内胴1aの回転、ヒータ2の作動、及びブロワ3の作動を停止させて洗濯物乾燥機を緊急停止させるので、発火に伴う広義の被害を最小限に留めることができる。
【0019】
請求項5の発明によると、出口温度センサの検出温度が入口温度センサの検出温度に比して0度〜20度(摂氏)高くなったときにドア類の全閉を伴う緊急停止が行なわれるので、この非常措置が適正な時期に行なわれる。
すなわち、作動が早すぎる誤動作の虞れも無く、作動が遅すぎて被害を拡大させる虞れも無い。
【0020】
請求項6の発明を適用すると、内胴内の発火が検知されたとき、当該乾燥機を緊急停止させるとともに、自動的に発火警報が発せられるので、
作業員が直ちに駆けつけることができ、
かつ、関連機器(洗濯機、脱水機、仕上機等)の制御機構に対して非常事態を通告して適宜の対処を促すことができる。
必要に応じて守衛室や自衛消防組織に対して自動的に通報することもでき、万全の対処を可能ならしめる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
図1は本発明の1実施形態を示す模式図であって、請求項1に対応する。この図は、前掲の図7に示した従来例に本発明を適用して改良した例を描いてあり、図7と同様に模式化して描いてあるので、写実的な投影図ではない。
本図1(実施形態)について、図7(従来例)と異なる点を抽出して以下に説明する。
ヒータ2の熱風吐出口、すなわち内胴1aの熱風流入口付近に入口温度センサ9が設けられるとともに、
ブロワ3の熱風吸入口、すなわち内胴1aの熱風流出口付近に出口温度センサ10が設けられている。
【0022】
前記入口温度センサ9の検出信号出力、および出口温度センサ10の検出信号出力は、自動制御装置11に入力される。
本発明を実施する場合、発火封止専用の自動制御装置を設けても良いが、本来的に設置されている洗濯設備全体の自動制御装置を兼用することも可能である。
該自動制御装置11は、入口ドア駆動機構4a、出口ドア駆動機構5a、ハッチ駆動機構2d、ダンパ駆動機構3c、及びブロワモータ3d、並びに、ヒータのバーナ2aを総合的に制御している。
符号12を付して示したのは警報器である。警報機としては、警告灯やサイレンを用いることもできるが、ITシステムに対して自動的に警報信号を出力する機器を用いれば、一層効果的である。
【0023】
前記自動制御装置11は比較演算手段を備えていて、入口温度センサ9の信号出力と出口温度センサ10信号出力とを比較する。
予め、発火認定温度差が定められていて、入口温度センサ9の信号出力が表す温度に比して、出口温度センサ10信号出力が表す温度が上記発火認定温度差に達すると、
入口ドア駆動機構4aに指令信号を与えて入口ドア4を閉じさせ、
出口ドア駆動機構5aに指令信号を与えて出口ドア5を閉じさせ、
ヒータのハッチ駆動機構2dに指令信号を与えてハッチ2cを閉じさせ、
ブロワのダンパ駆動機構3cに指令信号を与えてダンパ3bを閉じさせる。
これにより、内胴1aの周囲が全閉され、内胴の中の洗濯物が封止されて、外気から遮断される。
【0024】
上記の封止作動と同時に、前記自動制御装置11はバーナ2aの燃焼を停止させ、ブロワモータ3dの回転を停止させ、内胴1aの回転を停止させて、当該乾燥機を緊急停止させる。
出口ドア5が閉じられているとき、コンベア6は作動しないようになっているから、結果的にコンベア6も自動停止する。
自動制御装置11は、上述の諸作動と同時に警報器12に指令信号を与えて警報作動を行わせる。
警報作動は、例えば警告灯による光信号の発信であっても良く、警音器による音響信号の発信であっても良く、電気信号の発信であっても良い。
この警報によって、作業員が駆けつけることもでき、関連機器の制御機構に緊急事態連絡を送ることもできる。
【0025】
図2は前記(図1)と異なる実施形態を示す模式図であって請求項2に対応する。この実施形態は、前掲の図8に示した従来例に本発明を適用して改良した1例である。
以下に、本図2の実施形態が前記図1の実施形態に比して異なる事項を抽出して説明する。
図1が、出口ドア5を備えた従来例(図7)に対して本発明を適用した例であったのに比して、図2は吸出しダクト7を備えた従来例(図8)に対して本発明を適用した1例である。
【0026】
自動制御装置11は、入口ドア駆動機構4a、ハッチ駆動機構2d、ダンパ駆動機構3c、及びブロワモータ3d、並びに、ヒータのバーナ2aを制御するとともに、吸出しダクトのシャッタ駆動機構7bを制御している。
ヒータ2の熱風吐出口、すなわち内胴1aの熱風流入口付近に入口温度センサ9が設けられるとともに、ブロワ3の熱風吸入口、すなわち内胴1aの熱風流出口付近に出口温度センサ10が設けられていることは前掲の図1におけると同様である。
【0027】
比較演算手段を備えた自動制御装置11が設けられていて、該自動制御装置11は、入口ドア駆動機構4a、ハッチ駆動機構2d、ダンパ駆動機構3c、及びブロワモータ3d、並びに、ヒータのバーナ2aを総合的に制御するとともに、吸出しダクトのシャッタ駆動機構7bを制御している。
予め、発火認定温度差が定められていて、入口温度センサ9の信号出力が表す温度に比して、出口温度センサ10信号出力が表す温度が上記発火認定温度差に達すると、
入口ドア駆動機構4aに指令信号を与えて入口ドア4を閉じさせ、
ヒータのハッチ駆動機構2dに指令信号を与えてハッチ2cを閉じさせ、
ブロワのダンパ駆動機構3cに指令信号を与えてダンパ3bを閉じさせるとともに、
シャッタ駆動機構7bに指令信号を与えてダクトシャッタ7aを閉じさせる。
これにより、内胴1aの周囲が全閉され、内胴の中の洗濯物が封止されて、外気から遮断される。
【0028】
前記の発火認定温度差は、0℃〜+20℃の間で適宜に設定することができる。上記の設定温度について以下に説明する。
厳密に言えば、内胴1aから流出する熱風の温度は、内胴1aへ流入する熱風の温度に比して、内胴や洗濯物によって吸熱されて僅かに低くなる。
従って、内胴1aに流入する熱風の温度が、内胴1aから流出する熱風の温度に等しい場合は、内胴1a内で発熱したものと考えられる。すなわち洗濯物が発火したものと推定される。
このような考えに立つ場合は、前記の発火認定温度差を0℃に設定する。
【0029】
しかしながら、ヒータ2から吐出される熱風の温度は、時間の経過に伴って僅かに変化することが少なくない。このような場合に、発火認定温度差が0℃に設定されていると、過敏反応して誤動作する虞れ無しとしない。また、各種センサ類や比較演算機能には僅少ながら誤差が有る。こうした配慮から、前記の発火認定温度差を僅少な+の値に設定することも有り得る。
本発明者の実験によれば、ヒータ2から吐出される熱風の温度変動や温度センサの計測誤差を最大に見積もっても、洗濯物が発火しないうちに、内胴から流出,流入する熱風の温度差が20℃を越えることは有り得ない。こうした知見に基づいて、前記の発火認定温度差を20℃以上に設定することは適当でない。
以上の考察を総括して、前記の発火認定温度差を、0℃〜+20℃の間に設定することが望ましい。
【0030】
図3は、前掲の図1に示した実施形態の簡略形に相当し、請求項3に対応する。
洗濯物乾燥機には種々の型式が有って、(図1参照)本来的にバーナのハッチ2cを備えているものの有り、備えていないものも有る。また、本来的にブロワのダンパ3bを備えているものの有り、備えていないものも有る。
このため、本来的にバーナのハッチ2cやブロワのダンパ3bを備えていない型式の洗濯物乾燥機に請求項1の発明(図1)を適用しようとすると、バーナのハッチ2cとブロワのダンパ3bとを新設しなければならない。
こうした洗濯物乾燥機の多様性に鑑みて、この図3の実施形態は、本来的にはバーナのハッチやブロワのダンパを備えていない型式の洗濯物乾燥機に対しても容易に適用できるように構成してある。
【0031】
(図1と図3とを併せて参照)図3の構成は、図1から次の構成部分を削除したものに相当する。
ハッチ2c、及びハッチ駆動機構2d、
並びにダンパ3b、及びダンパ駆動機構3c。
この実施形態においては、出口温度センサ10の検出温度信号と入口温度センサ9の検出温度信号とを自動制御装置11が比較演算して発火と認定したとき、該自動制御装置11は入口ドア駆動機構4aに指令信号を与えて入口ドア4を全閉するとともに、出口ドア駆動機構5aに指令指令を与えて出口ドア5を全閉し、
併せてバーナ2aの燃焼と、ブロワモータ3dの回転と、内胴1aの回転とを停止させて当該洗濯物乾燥機を緊急停止させる。
これにより、発火による損失を最小限に留めることができる。
自動制御装置11は、洗濯物乾燥機を緊急停止させるとともに警報器12を作動させて、作業員に対して発火を急報する。作業員は発火を知って駆けつけ、被害をいっそう軽くするための措置をとることができる。
【0032】
図4は、前掲の図2に示した実施形態の簡略形に相当し、請求項3に対応する。
洗濯物乾燥機には種々の型式が有って、(図2参照)本来的にバーナのハッチ2cを備えているものも有り、備えていないものも有る。また、本来的にブロワのダンパ3bを備えているものも有り、備えていないものも有る。
こうした多様性に鑑みて、この図4の実施形態は本来的にはバーナのハッチやブロワのダンパを備えていない型式の洗濯物乾燥機に対しても容易に適用できるように構成してある。
【0033】
(図2と図4とを併せて参照)図4の構成は、図2から次の構成部分を削除したものに相当する。
ハッチ2c、及びハッチ駆動機構2d、
並びにダンパ3b、及びダンパ駆動機構3c。
この実施形態においては、出口温度センサ10の検出温度信号と入口温度センサ9の検出温度信号とを自動制御装置11が比較演算して発火と認定したとき、該自動制御装置11は入口ドア駆動機構4aに指令信号を与えて入口ドア4を全閉するとともに、シャッタ駆動機構7bに指令指令を与えてダクトシャッタ7aを全閉し、
併せてバーナ2aの燃焼と、ブロワモータ3dの回転と、内胴1aの回転とを停止させて当該洗濯物乾燥機を緊急停止させる。
これにより、発火による損失を最小限に留めることができる。
この図4の実施形態においても、発火を認定した自動制御装置11は、洗濯物乾燥機を緊急停止させるとともに警報器12を作動させて、作業員及び関連部署に対して発火を急報する。作業員は発火を知って駆けつけ、被害をいっそう軽くするための措置をとることができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明に係る「発火を封止する洗濯物乾燥機」の1実施形態を示す模式的な断面図に制御,警報系統を付記した図である。
【図2】上記と異なる実施形態を示す模式的な断面図に制御,警報系統を付記した図である。
【図3】本発明に係る「発火を封止する洗濯物乾燥機」の、前記とさらに異なる1実施形態を示す模式的な断面図に制御,警報系統を付記した図である。
【図4】上記の何れとも異なる実施形態を示す模式的な断面図に制御,警報系統を付記した図である。
【図5】乾燥済みの洗濯物を排出する出口ドアを備えた従来例の洗濯物乾燥機を示す外観正面図である。
【図6】上記の出口ドアを備えた従来例の洗濯物乾燥機を描いた概要的な外観側面図である。
【図7】前掲の図5に示した従来例の洗濯物乾燥機の内部構造を模式的に描いた正面断面図である。
【図8】前掲の図7と異なる従来例の洗濯物乾燥機の内部構造を模式的に描いた正面断面図である。
【符号の説明】
【0035】
1…乾燥機本体
1a…内胴
1b…覗き窓
2…ヒータ
2a…バーナ
2b…ガス管
2c…ハッチ
2d…ハッチ駆動機構
3…ブロワ
3a…回転羽根
3b…ダンパ
3c…ダンパ駆動機構
3d…ブロワモータ
4…入口ドア
4a…入口ドア駆動機構
5…出口ドア
5a…出口ドア駆動機構
6…コンベア
7…吸出しダクト
7a…ダクトシャッタ
7b…シャッタ駆動機構
8…シャッタ
9…入口温度センサ
10…出口温度センサ
11…自動制御装置
12…警報器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
脱水された洗濯物を入れて回転する内胴を備えた乾燥機本体と、
上記の内胴内に熱風を供給するヒータ及び内胴内の空気を排出するブロワと、乾燥機本体の内胴内へ洗濯物を投入するための入口ドア及び洗濯物を排出するための出口ドアとを具備していて、
前記ヒータの熱風吐出口にハッチが設けられるとともに、前記ブロワの付近にダンパが設けられており、
かつ、前記内胴の熱風流入口付近に入口温度センサが、熱風流出口付近に出口温度センサが、それぞれ配設されるとともに、
これら温度センサからの検出信号出力を入力される自動制御装置が設けられていて、
上記の自動制御装置は、比較演算手段を備えていて、内胴から流出する空気の温度を表す出口温度センサの検出温度が、内胴に流入する空気の温度を表す入口温度センサの検出温度よりも高くなったとき、
前記ハッチ、ダンパ、入口ドア、及び出口ドアを閉鎖せしめるとともに、前記ヒータの作動、ブロワの回転、及び内胴の回転を停止せしめる機能を有するものであることを特徴とする、発火を封止する洗濯物乾燥機。
【請求項2】
脱水された洗濯物を入れて回転する内胴を備えた乾燥機本体と、
上記の内胴内に熱風を供給するヒータ、および、該内胴内の空気を排出するブロワと、
乾燥機本体の内胴内へ洗濯物を投入するための入口ドア、及び内胴の中から洗濯物を排出するための吸出しダクトと、を具備していて、
前記ヒータの熱風吐出口にハッチが設けられるとともに、前記ブロワの付近にダンパが設けられ、前記のダクトを閉塞・開放するダクトシャッタが設けられており、
かつ、前記内胴の熱風流入口付近に入口温度センサが、熱風流出口付近に出口温度センサが、それぞれ配設されるとともに、
これら温度センサからの検出信号出力を入力される自動制御装置が設けられていて、
上記の自動制御装置は、比較演算手段を備えていて、内胴から流出する空気の温度を表す出口温度センサの検出温度が、内胴に流入する空気の温度を表す入口温度センサの検出温度よりも高くなったとき、
前記ハッチ、ダンパ、入口ドア、及びダクトシャッタを閉鎖せしめるとともに、前記ヒータの作動、ブロワの回転、及び内胴の回転を停止せしめる機能を有するものであることを特徴とする、発火を封止する洗濯物乾燥機。
【請求項3】
脱水された洗濯物を入れて回転する内胴を備えた乾燥機本体と、
上記の内胴内に熱風を供給するヒータ及び内胴内の空気を排出するブロワと、乾燥機本体の内胴内へ洗濯物を投入するための入口ドア及び洗濯物を排出するための出口ドアとを具備していて、
前記内胴の熱風流入口付近に入口温度センサが、熱風流出口付近に出口温度センサが、それぞれ配設されるとともに、
これら温度センサからの検出信号出力を入力される自動制御装置が設けられており、
上記の自動制御装置は、比較演算手段を備えていて、内胴から流出する空気の温度を表す出口温度センサの検出温度が、内胴に流入する空気の温度を表す入口温度センサの検出温度よりも高くなったとき、
前記入口ドア、及び出口ドアを閉鎖せしめるとともに、前記ヒータの作動、ブロワの回転、及び内胴の回転を停止せしめる機能を有するものであることを特徴とする、発火を封止する洗濯物乾燥機。
【請求項4】
脱水された洗濯物を入れて回転する内胴を備えた乾燥機本体と、
上記の内胴内に熱風を供給するヒータ、および、該内胴内の空気を排出するブロワと、
乾燥機本体の内胴内へ洗濯物を投入するための入口ドア、及び内胴の中から洗濯物を排出するための吸出しダクトと、を具備していて、
前記のダクトを閉塞・開放するダクトシャッタが設けられており、
かつ、前記内胴の熱風流入口付近に入口温度センサが、熱風流出口付近に出口温度センサが、それぞれ配設されるとともに、
これら温度センサからの検出信号出力を入力される自動制御装置が設けられていて、
上記の自動制御装置は、比較演算手段を備えていて、内胴から流出する空気の温度を表す出口温度センサの検出温度が、内胴に流入する空気の温度を表す入口温度センサの検出温度よりも高くなったとき、
前記入口ドア、及びダクトシャッタを閉鎖せしめるとともに、前記ヒータの作動、ブロワの回転、及び内胴の回転を停止せしめる機能を有するものであることを特徴とする、発火を封止する洗濯物乾燥機。
【請求項5】
前記の自動制御装置が、内胴の熱風流出口温度信号と内胴の熱風入口温度信号とを比較演算して前記入口ドア、並びに、出口ドア又はダクトのシャッタ等を閉鎖せしめるとともに、前記ヒータの作動、ブロワの回転、及び内胴の回転を停止せしめるように制御するのは、
出口温度センサの検出温度が入口温度センサの検出温度に比して「0℃よりも大きく20℃よりも小さい所定温度」だけ高くなったときであることを特徴とする、請求項1ないし請求項4に記載の発火を封止する洗濯物乾燥機。
【請求項6】
前記の自動制御装置は警報器を備えていて、
該自動制御装置が、「内胴から流出する空気の温度を表す出口温度センサの検出温度が、内胴に流入する空気の温度を表す入口温度センサの検出温度よりも高くなったこと」を検知して、前記入口ドア、並びに出口ドア又はダクトのシャッタ等を閉鎖せしめるとともに、前記ヒータの作動、ブロワの回転、及び内胴の回転を停止せしめるように制御する際、
前記の警報器を作動せしめて、音響信号,光線信号,及び電気信号の少なくとも何れか1つにより、排気温度の異常警報を発信する機能を併せ有することを特徴とする、請求項1ないし請求項4に記載の発火を封止する洗濯物乾燥機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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