説明

発熱体収納装置用冷却システム

【課題】冷媒を用いたヒートポンプ式空調機を主冷却装置として、空気熱交換形冷却装置を補助冷却装置とする冷却システムにおいて、主冷却装置と補助冷却装置の動作の連動に関し、主冷却装置の故障時における補助冷却装置の冗長的な冷却動作を確実にさせ得ることを目的とする。
【解決手段】空気熱交換形空調機1に備えたコントロール基板13に発熱体収納装置101内外の温度を認識する温度判断手段18を設け、主冷却装置としてのヒートポンプ式空調機の室内機103からの駆動指令信号/停止指令信号に対して、温度判断手段18により判断した空気熱交換形空調機1の運転温度条件や停止運転条件とを運転指示手段20にて比較して、第1の送風ファン7および第2の送風ファン8の駆動/停止を行うことにより、主冷却装置の故障による誤った駆動指令信号/停止指令信号が送信された場合に空気熱交換形空調機1が発熱体収納装置101内の冷却を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発熱体が収納された発熱体収納装置を冷却するために、冷媒を用いたヒートポンプ式空調機を主冷却装置として、空気熱交換形空調機を補助冷却装置とする冷却システムにおいて、主冷却装置と補助冷却装置の動作の連動に関し、主冷却装置の故障時における補助冷却装置の動作を確実にさせ得るものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の発熱体収納装置用冷却システムとして、補助冷却装置が空気熱交換形空調機ではないが、発熱体収納装置壁面に設けた外気排気開口部の電動ダンパーと吸気ファンによる外気導入方式の補助冷却装置において、主冷却装置が発熱体収納装置内の室内温度と発熱体収納装置外の外気温度を加味して、補助冷却装置を連動させるという方法があり、図12に示したものなどが一般的であった。(先行文献として特許文献1を参照)。
【0003】
以下、その発熱体収納装置用冷却システムについて図12および図13を参照しながら説明する。
【0004】
図12に示すように、発熱体収納装置101内には、熱負荷を発生する通信機102と、主冷却装置としてのヒートポンプ式空調機の室内機103が設置され、この発熱体収納装置101外にコンプレッサーを備えたヒートポンプ式空調機の室外機104が設置されている。この室外機104と室内機103は冷媒配管105で接続され、前記発熱体収納装置101内の室内温度を検知する室温センサー106と温度を判断する制御装置107が前記室内機103内に備えられ、前記室外機104に備えた前記発熱体収納装置101外の外気温度を検知する外気温センサー108が前記冷媒配管105に沿って設けられた回路線109で前記制御装置107に接続されている。また、前記発熱体収納装置101の外壁に備えた外気導入用の吸気ファン110とこの導入された外気を排気する外気開口部に備えられた電動ダンパー111が前記制御装置107に信号線112で接続され、外気導入方式の補助冷却装置を構成している。信号線112には室内機103から吸気ファン110および電動ダンパー111を動作させるための駆動指令信号/停止指令信号からなる2値信号が送信されている。また、前記制御装置107には室内機103および室外機104を運転させる室内温度の運転閾値温度T1と停止させる室内温度の停止閾値温度T2が予め設定されている。さらに、室内機103および室外機104が停止して、且つ、外気温度が室内温度を下回った場合には、前記駆動指令信号が、室内機103および室外機104が運転する場合でも、前記停止指令信号が前記吸気ファン110および電動ダンパー111に送信されるようになっている。
【0005】
上記構成において、通信機102を運転させると、その発熱のため、発熱体収納装置101内の室内温度は徐々に上昇してくる。室温センサー106の検知した室温TINが運転閾値温度T1を超えない範囲で、且つ、外気温センサー108の検知した外気温度TOUTの温度差ΔTがTIN>TOUTの状態であると制御装置107で判断すると、室内機103から駆動指令信号が信号線112を通じて送信され、電動ダンパー111を開状態とし、吸気ファン110を駆動することにより室内温度より低い外気の導入をはかり、発熱体収納装置101内を冷却する。しかして、前記通信機102の発熱量が大きく外気導入による冷却能力が不足すると発熱体収納装置101の室内温度は上昇し、室温TINが運転閾値温度T1を超えたと制御装置107が判断すると室内機103および室外機104が運転を開始し、発熱体収納装置101内を冷却するとともに、前記停止指令信号が信号線112を通じて送信され、電動ダンパー111を閉状態とし、吸気ファン110を停止させ、主冷却装置により冷却して発熱体収納装置101の室内温度を下げる。主冷却装置の冷却により、あるいは、通信機102の発熱量の低下に伴い、室内温度TINが停止閾値温度T2以下になったと制御装置107が判断し、室内機103および室外機104を停止させ、同時に、外気温度TOUTの温度差ΔTがTIN>TOUTの状態であると前記制御装置107が判断した場合は、室内機103から駆動指令信号が信号線112を通じて送信され、電動ダンパー111を開状態とし、吸気ファン110を駆動することにより外気導入をはかり、発熱体収納装置101内を冷却する。そして、気象状況により外気温TOUTが上昇する、あるいは、通信機102の発熱量が大きく外気導入による冷却能力が不足すると発熱体収納装置101の室内温度は上昇をし、室温TINが運転閾値温度T1を超えたと制御装置107が判断すると室内機103および室外機104が運転を開始し、発熱体収納装置101内を冷却するとともに、前記停止指令信号が信号線112を通じて送信され、電動ダンパー111を閉状態とし、吸気ファン110を停止させることで外気導入による冷却を停止させる。
【0006】
以上のように、主冷却装置から駆動指令信号/停止指令信号という簡単な2値信号の送信を使い補助冷却装置を連動動作させることにより、図13で示すところの主冷却装置と補助冷却装置の冷却動作温度領域を明確に区分して冷却動作する。これにより、発熱体収納装置101の室温TINはある一定の温度範囲を保持し、主冷却装置と補助冷却装置の冷却動作が重複することなく消費電力が抑制された省エネルギーな発熱体収納装置用冷却システムとなっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−121130号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このような従来の発熱体収納装置用冷却システムにおいては、補助冷却装置は主冷却装置の駆動指令信号/停止指令信号をもって運転することとなるので、主冷却装置の室温サーミスターの温度の誤検知あるいは主冷却装置自身の故障などにより正しい駆動指令信号/停止指令信号が送信されない場合は、補助冷却装置の正しい冷却動作とはならず、発熱体収納装置の内部温度が急激に上昇し、通信機などの発熱体装置を停止、最悪の場合は、発熱体装置の故障などの2次障害を招くことがあり、主冷却装置に異常が生じても、少しでも長く、できれば主冷却装置の故障メンテを行うまでに冗長的に補助冷却装置が発熱体収納装置の冷却を行うことが求められている。また、通信機などの発熱体装置は、精密機器である場合が多く、粉塵や埃あるいは湿気による回路短絡事故や誤動作が起こらないように粉塵や埃の多い外気を直接導入したり水分が浸入することのない冷却システムも求められている。また、主冷却装置の故障発報時に、正しく補助冷却装置が主冷却装置の故障を推測して動作をしていることが、発熱体収納装置を訪れるサービスマンや遠隔地の操作オペレーターに識別されることも求められている。さらには、主冷却装置と補助冷却装置の冷却動作が重複することなく消費電力が抑制された省エネルギーで、低コストな冷却システムを提供することも求められている。
【0009】
このような発熱体収納装置用冷却システムにおいて、補助冷却装置は防塵性や防湿性に優れた冷却装置であって、主冷却装置の故障時に、補助冷却装置が発熱体収納装置の冗長的な冷却動作を行うとともに発熱体収納装置や遠隔地でも補助冷却装置が冗長的な冷却動作状態であることを報知することができ、低コストな発熱体収納装置用冷却システムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そして、この目的を達成するめに本発明は、発熱体が収納された発熱体収納装置の内部を冷却する主冷却装置として冷媒を用いたヒートポンプ式空調機と、補助冷却装置として空気熱交換形空調機と、前記主冷却装置と前記補助冷却装置を信号線で接続し、前記主冷却装置より送信される補助冷却装置の駆動指令信号/停止指令信号により前記補助冷却装置を動作する冷却システムにおいて、前記補助冷却装置に備えた温度判断手段の判断も加味して、前記補助冷却装置を動作させることとしたものであり、これにより所期の目的を達成するものである。
【0011】
また、発熱体収納装置内の室内温度を検知する室内温度検知手段と、手段発熱体収納装置外の外気温度を検知する外気温度検知手段を補助冷却装置に備え、前記室内温度検知手段と前記外気温度検知手段による温度情報を、常時、温度判断手段に入力し、外気温度が室内温度より低いと前記温度判断手段が判断した場合は補助冷却装置の運転温度条件、外気温度が室内温度より高いと前記温度判断手段が判断した場合は補助冷却装置の停止温度条件、とこの温度判断手段が判断し、補助冷却装置に備えた送風手段に運転/停止指示を行う運転指示手段にこれら運転温度条件あるいは停止温度条件を送付することにより所期の目的を達成するものである。
【0012】
また、主冷却装置の動作する運転閾値温度より高い第1の閾値温度を予め温度判断手段に設定しておき、主冷却装置から停止指令信号が来ている場合に、前記温度判断手段が運転温度条件と判断した状態で、且つ、室内温度がこの第1の閾値温度を上回ったと前記温度判断手段が判断した場合に、補助冷却装置を動作させることにより、所期の目的を達成するものである。
【0013】
また、温度判断手段が運転温度条件と判断した状態で、主冷却装置からの駆動指令信号が停止指令信号に変わり補助冷却装置が停止した際の室内温度を初期室内温度として温度判断手段に保存し、同時に補助冷却装置に備えた計時手段の計時を開始し、この計時手段に予め設定した計測時間が経過したことを前記計時手段が前記温度判断手段に伝え、この温度判断手段で計測時間が経過した際の室内温度と初期室内温度の温度差を求め、前記温度判断手段に予め設定している温度差閾値より高いと温度判断手段が判断した場合に、補助冷却装置を動作させることにより、所期の目的を達成するものである。
【0014】
また、温度判断手段が運転温度条件と判断した状態で、主冷却装置からの駆動指令信号が停止指令信号に変わり補助冷却装置が停止した際の室内温度を初期室内温度として温度判断手段に保存し、同時に補助冷却装置に備えた計時手段の計時を開始し、前記温度判断手段が初期室内温度に対し、この温度判断手段に予め設定した設定計測温度差を越えたことを前記計時手段に伝え、この計時手段で設定計測温度差を越えた際の計測時間をこの計時手段に予め設定した設定時間と比較し、この計測時間が設定時間より短いと前記計測手段が判断した場合に、補助冷却装置を動作させることにより所期の目的を達成するものである。
【0015】
また、温度判断手段に主冷却装置の停止する停止閾値温度より低い第2の閾値温度を予め設定しておき、温度判断手段が運転温度条件と判断した状態で、主冷却装置からの駆動指令信号が来ない場合に、前記第2の閾値温度を室内温度が下回ったと前記温度判断手段が判断した場合、補助冷却装置を動作させることにより所期の目的を達成するものである。
【0016】
また、温度判断手段に主冷却装置の停止する停止閾値温度より高い第3の閾値温度を予め設定しておき、温度判断手段が停止温度条件と判断した状態で、主冷却装置から駆動指令信号が来た場合、前記第3の閾値温度を室外温度が上回った前記温度判断手段が判断した場合、補助冷却装置を停止させた状態とすることにより所期の目的を達成するものである。
【0017】
また、主冷却装置より送信される補助冷却装置の駆動指令信号/停止指令信号に対し、前記補助冷却装置の動作が異なる場合に、この補助冷却装置に備えた視覚報知手段を用いて発報することにより所期の目的を達成するものである。
【0018】
また、主冷却装置より送信される補助冷却装置の駆動指令信号/停止指令信号に対し、前記補助冷却装置の動作が異なる場合に、この補助冷却装置に備えた遠隔地に動作状態を発報する発報送信手段としてのスイッチ手段をある一定期間の間にオン、オフ、オンという意図的な信号を発報することにより所期の目的を達成するものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、発熱体が収納された発熱体収納箱を冷却する主冷却装置として冷媒を用いたヒートポンプ式空調機と、補助冷却装置として空気熱交換式の冷却装置と、前記主冷却装置と前記補助冷却装置を信号線で接続し、前記主冷却装置より送信される補助冷却装置の駆動指令信号/停止指令信号により前記補助冷却装置を動作する冷却システムにおいて、前記補助冷却装置に備えた温度判断手段の判断も加味して、前記補助冷却装置を動作させるという構成にしたことにより、主冷却装置からの駆動指令信号/停止指令信号に関わらず発熱体収納箱内外の温度を認識することとなるので、主冷却装置が故障時などにより間違った駆動指令信号/停止指令信号を送信しても補助冷却装置自身の判断で発熱体収納装置の冷却を行うことができるという効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施の形態1の発熱体収納装置冷却システムの構成を示す図
【図2】同実施の形態1の制御装置の構成を示すブロック図
【図3】同実施の形態1の時間経過における室内温度変化の一例を表すグラフ
【図4】同実施の形態1の時間経過における室内温度変化の一例を表す別のグラフ
【図5】本発明の実施の形態2の制御装置の構成を示すブロック図
【図6】同実施の形態2の時間経過における室内温度変化の一例を表すグラフ
【図7】本発明の実施の形態3の制御装置の構成を示すブロック図
【図8】同実施の形態3の時間経過における室内温度変化の一例を表すグラフ
【図9】本発明の実施の形態4の制御装置の構成を示すブロック図
【図10】本発明の実施の形態5の発熱体収納装置冷却システムの構成を示す図
【図11】同実施の形態5の制御装置の構成を示すブロック図
【図12】従来の発熱体収納装置冷却システムの構成を示す図
【図13】同従来例の時間経過における室内温度変化の一例を表すグラフ
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の請求項1記載の発熱体収納装置用冷却システムは、発熱体が収納された発熱体収納装置の内部を冷却する主冷却装置として冷媒を用いたヒートポンプ式空調機と、補助冷却装置として空気熱交換形空調機と、前記主冷却装置と前記補助冷却装置を信号線で接続し、前記主冷却装置より送信される補助冷却装置の駆動指令信号/停止指令信号により前記補助冷却装置を動作する冷却システムにおいて、前記補助冷却装置に備えた温度判断手段の判断も加味して、前記補助冷却装置を動作させるという構成を有する。これにより、主冷却装置からの駆動指令信号/停止指令信号に関わらず発熱体収納装置内外の温度を認識することとなるので、主冷却装置が故障時などにより間違った駆動指令信号/停止指令信号を送信しても補助冷却装置自身の判断で発熱体収納装置の冷却を行うことができるという効果を奏する。
【0022】
また、発熱体収納装置内の室内温度を検知する室内温度検知手段と、発熱体収納装置外の外気温度を検知する外気温度検知手段を補助冷却装置に備え、前記室内温度検知手段と前記外気温度検知手段による温度情報を、常時、温度判断手段に入力し、外気温度が室内温度より低いと前記温度判断手段が判断した場合は補助冷却装置の運転温度条件、外気温度が室内温度より高いと前記温度判断手段が判断した場合は補助冷却装置の停止温度条件、とこの温度判断手段が判断し、補助冷却装置に備えた送風手段に運転/停止指示を行う運転指示手段にこれら運転温度条件あるいは停止温度条件を送付するという構成にしてもよい。これにより、発熱体収納装置の外気温度がこの発熱体収納装置の室内温度より低いという補助冷却装置の冷却動作条件を満足しているか否かを補助冷却装置自身で判断することとなるので、主冷却装置から送信される補助冷却装置への駆動指令信号/停止指令信号の妥当性を補助冷却装置自身で判断できるという効果を奏する。
【0023】
また、主冷却装置の動作する運転閾値温度より高い第1の閾値温度を予め温度判断手段に設定しておき、主冷却装置から停止指令信号が来ている場合に、前記温度判断手段が運転温度条件と判断した状態で、且つ、室内温度がこの第1の閾値温度を上回ったと前記温度判断手段が判断した場合に、補助冷却装置を動作させるという構成にしてもよい。これにより、発熱体収納装置の室温が主冷却装置により冷却されるであろう想定室温を越える室温の上昇であることを認識することとなるので、主冷却装置が故障したことを推定して、補助冷却装置自身の判断で冷却動作を行い発熱体収納装置の室温が上昇することを抑制できるという効果を奏する。
【0024】
また、温度判断手段が運転温度条件と判断した状態で、主冷却装置からの駆動指令信号が停止指令信号に変わり補助冷却装置が停止した際の室内温度を初期室内温度として温度判断手段に保存し、同時に補助冷却装置に備えた計時手段の計時を開始し、この計時手段に予め設定した計測時間が経過したことを前記計時手段が前記温度判断手段に伝え、この温度判断手段で計測時間が経過した際の室内温度と初期室内温度の温度差を求め、前記温度判断手段に予め設定している温度差閾値より高いと温度判断手段が判断した場合に、補助冷却装置を動作させるという構成にしてもよい。これにより、予め設定した時間内に予想を超える室温の上昇が起こっている、すなわち発熱体収納装置の室温が主冷却装置により冷却されるであろう想定室温を越える室温の急激な上昇であることを認識することとなるので、主冷却装置が故障して冷却能力が不足していることを推定して、補助冷却装置自身の判断で冷却動作を行い発熱体収納装置の室温が上昇することを抑制できるという効果を奏する。
【0025】
また、温度判断手段が運転温度条件と判断した状態で、主冷却装置からの駆動指令信号が停止指令信号に変わり補助冷却装置が停止した際の室内温度を初期室内温度として温度判断手段に保存し、同時に補助冷却装置に備えた計時手段の計時を開始し、前記温度判断手段が初期室内温度に対し、この温度判断手段に予め設定した設定計測温度差を越えたことを前記計時手段に伝え、この計時手段で設定計測温度差を越えた際の計測時間をこの計時手段に予め設定した設定時間と比較し、この計測時間が設定時間より短いと前記計測手段が判断した場合に、補助冷却装置を動作させるという構成にしてもよい。これにより、予め設定した室温の上昇が想定時間より早く室温の上昇が起こっている、すなわち発熱体収納装置の室温が主冷却装置により冷却されるであろう想定室温を越える室温の急激な上昇であることを認識することとなるので、主冷却装置が故障して冷却能力が不足していることを推定して、補助冷却装置自身の判断で冷却動作を行い発熱体収納装置の室温が上昇することを抑制できるという効果を奏する。
【0026】
また、温度判断手段に主冷却装置の停止する停止閾値温度より低い第2の閾値温度を予め設定しておき、温度判断手段が運転温度条件と判断した状態で、主冷却装置からの駆動指令信号が来ない場合に、前記第2の閾値温度を室内温度が下回ったと前記温度判断手段が判断した場合、補助冷却装置を動作させるという構成にしてもよい。これにより、補助冷却装置の運転温度条件であるにも関わらず主冷却装置により駆動指令信号が送信されていないということを認識することとなるので、主冷却装置が故障時などにより間違った停止指令信号が送信されても補助冷却装置自身の判断で冷却動作を行い発熱体収納装置内の適切な冷却動作を行うことができるという効果を奏する。
【0027】
また、温度判断手段に主冷却装置の停止する停止閾値温度より高い第3の閾値温度を予め設定しておき、温度判断手段が停止温度条件と判断した状態で、主冷却装置から駆動指令信号が来た場合、前記第3の閾値温度を室外温度が上回った前記温度判断手段が判断した場合、補助冷却装置を停止させた状態とするという構成にしてもよい。これにより、補助冷却装置の停止温度条件であるにも関わらず主冷却装置により駆動指令信号が送信されているということを認識することとなるので、主冷却装置が故障時などにより間違った駆動指令信号が送信されても補助冷却装置自身の判断で動作を停止し、発熱体収納装置内の室温の不用意な上昇を抑制することができるという効果を奏する。
【0028】
また、主冷却装置より送信される補助冷却装置の駆動指令信号/停止指令信号に対し、前記補助冷却装置の動作が異なる場合に、この補助冷却装置に備えた視覚報知手段を用いて発報するという構成にしてもよい。これにより、視覚的に発報手段を有することとなるので、主冷却装置からの駆動指令信号/停止指令信号に対し、補助冷却装置の動作が指令と異なる動作を行っていることが外部から識別できるという効果を奏する。
【0029】
また、主冷却装置より送信される補助冷却装置の駆動指令信号/停止指令信号に対し、前記補助冷却装置の動作が異なる場合に、この補助冷却装置に備えた遠隔地に動作状態を発報する発報送信手段としてのスイッチ手段をある一定期間の間にオン、オフ、オンという意図的な信号を発報することという構成にしてもよい。これにより、遠隔地に発報する手段を有することとなるので、主冷却装置からの駆動指令信号/停止指令信号に対し、補助冷却装置の動作が指令と異なる動作を行っていることを遠隔地で知ることができるという効果を奏する。
【0030】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0031】
(実施の形態1)
図1および図2に示すように、発熱体収納装置101内には、熱負荷を発生する通信機102と、主冷却装置としてのヒートポンプ式空調機の室内機103が設置され、この発熱体収納装置101外にコンプレッサーを備えたヒートポンプ式空調機の室外機104が設置されている。この室外機104と前記室内機103は冷媒配管105で接続され、前記発熱体収納装置101内の室内温度を検知する室温センサー106と温度を判断する制御装置107が前記室内機103内に備えられ、前記室外機104に備えた前記発熱体収納装置101外の外気温度を検知する外気温センサー108が前記冷媒配管105に沿って設けられた回路線109で前記制御装置107に接続されている。前記発熱体収納装置101の外壁に補助冷却装置としての空気熱交換形空調機1が備えられ、この空気熱交換形空調機1は、外気(第1環境)用の第1吸気口2と第1吐出口3および発熱体収納装置101内(第2環境)用の第2吸気口4と第2吐出口5を有する本体ケース6と、この本体ケース6内に設けられた外気(第1環境)用の第1の送風ファン7および発熱体収納装置101内(第2環境)用の第2の送風ファン8と、前記本体ケース6内において外気(第1環境)の空気と発熱体収納装置101内(第2環境)の空気を直接入り交じること無く熱交換を行う熱交換器9とを備え、第1の送風ファン7と第2の送風ファン8を制御する補助冷却制御装置10を備え、発熱体収納装置101内の室温を計測するべく第2吸気口4内に補助冷却室温センサー11と発熱体収納装置101外の外気温度を計測するべく第1吸気口2内に補助冷却外気温センサー12を備えて、前記補助冷却室温センサー11と前記補助冷却外気温センサー12がそれぞれ補助冷却制御装置10に接続されるとともに、前記制御装置107と補助冷却制御装置10が信号線112で接続され、駆動指令信号/停止指令信号からなる2値信号が送信されている。また、前記制御装置107には室内機103および室外機104を運転させる室内温度の運転閾値温度T1と前記室内機103および前記室外機104を停止させる室内温度の停止閾値温度T2が予め設定され、これら室内機103および室外機104が停止して、且つ、外気温度が室内温度を下回ったと前記制御装置107が判断した場合には、前記駆動指令信号が、室内機103とおよび室外機104が運転する場合には、前記停止信号が補助冷却制御装置10に送信されるようになっている。さらに、この補助冷却制御装置10には前記運転閾値温度T1より若干高い第1の閾値温度T3と前記停止閾値温度T2より若干低い第2の閾値温度T4と前記停止閾値温度T2より若干高い第3の閾値温度T5が予め設定されている。
【0032】
また、この補助冷却制御装置10には、図2に示すように、補助冷却制御装置10内でコントロール基板13と前記第1の送風ファン7と第2の送風ファン8を駆動制御する第1のインバーター14および第2のインバーター15に接続され、前記補助冷却室温センサー11および補助冷却外気温センサー12は前記コントロール基板13に備えた室内温度検知手段16および外気温度検知手段17に接続されている。このコントロール基板13には、室内温度検知手段16と外気温度検知手段17が接続された温度判断手段18を備え、室内機103からの駆動指令信号/停止指令信号を受信する受信装置19と前記温度判断手段18からの信号を入力し、前記第1のインバーター14および第2のインバーター15に運転指示を行う運転指示手段20が接続されている。
【0033】
このような構成によれば、通信機102を運転させると、その発熱のため、発熱体収納装置101内の室内温度は徐々に上昇してくる。室温センサー106の検知した室内温度TINが運転閾値温度T1(例えば28℃)を超えない範囲で、且つ、外気温センサー108の検知した外気温度TOUTの温度差ΔTがTIN>TOUTの状態であると制御装置107で判断すると、室内機103から駆動指令信号が信号線112を通じて送信され、受信装置19でこの駆動指令信号を受信し、運転指示手段20にこの駆動指令信号を送信する。る。一方、補助冷却室温センサー11を通じて発熱体収納装置101内の室温TINを室内温度検知手段16にて常時読み取り、温度判断手段18に伝えている。同様に、補助冷却外気温センサー12を通じて発熱体収納装置101外の外気温TOUTを外気温度検知手段17にて常時読み取り、温度判断手段18に伝えている。温度判断手段18では、TIN>TOUTであることと、TIN<T1であり(例えば、TINが20℃、TOUTが15℃で条件が成立する。)、空気熱交換形空調機1の運転温度条件であることを確認し、運転指示手段20に運転温度条件情報を送信する。運転指示手段20では、室内機103からの駆動指令信号と温度判断手段18からの運転温度条件情報を受けて、第1のインバーター14および第2のインバーター15に運転指示を行い、第1の送風ファン7および第2の送風ファン8を駆動させて、熱交換器9の伝熱作用により発熱体収納装置101内を外気側と室内側を遮蔽した状態で冷却する。そして、この空気熱交換形空調機1だけが運転している状態で、外気温TOUTが気象状況により上昇したり、通信機102の発熱量が増大すると必然と室温TINも上昇し、運転閾値温度T1を超えることなった場合に、制御装置107では主冷却装置を運転すべき状態と判断し室内機103および室外機104を運転させて、発熱体収納装置101内を冷却すると同時に、空気熱交換形空調機1に対して停止指令信号を送信する。受信装置19でこの停止指令信号を受信し、運転指示手段20にこの停止指令信号を送信する。一方、温度判断手段18に常時伝えられている室温TINと外気温TOUTより、温度判断手段18では、TIN>T1であり(例えば、TINが29℃で条件が成立する。)、空気熱交換形空調機1の停止温度条件であることを確認し、運転指示手段20に停止温度条件情報を送信する。運転指示手段20では、室内機103からの停止指令信号と温度判断手段18からの停止温度条件情報を受けて、第1のインバーター14および第2のインバーター15に停止指示を行い、第1の送風ファン7および第2の送風ファン8を停止させる。主冷却装置の冷却により、あるいは、通信機102の発熱量の低下に伴い、室内温度TINが停止閾値温度T2(例えば26℃)以下になったと制御装置107が判断し、室内機103および室外機104を停止させ、同時に、外気温度TOUTの温度差ΔTがTIN>TOUTの状態であると前記制御装置107が判断した場合は、室内機103から駆動指令信号が信号線112を通じて空気熱交換形空調機1に送信され、受信装置19でこの駆動指令信号を受信し、運転指示手段20にこの駆動指令信号を送信する。一方、温度判断手段18に常時伝えられている室温TINと外気温TOUTより、温度判断手段18では、TIN>TOUTであることと、TIN<T1であり(例えば、TINが20℃、TOUTが15℃で条件が成立する。)、空気熱交換形空調機1の運転温度条件であることを確認し、運転指示手段20に運転温度条件情報を送信する。運転指示手段20では、室内機103からの駆動指令信号と温度判断手段18からの運転温度条件情報を受けて、第1のインバーター14および第2のインバーター15に運転指示を行い、第1の送風ファン7および第2の送風ファン8を駆動させて、熱交換器9の伝熱作用により発熱体収納装置101内を外気側と室内側を遮蔽した状態で冷却する。
【0034】
以上の動作を繰り返しながら発熱体収納装置101内の室温TINはある一定の温度範囲を保持するようになっている。
【0035】
ここで、室内機103からの停止指令信号が空気熱交換形空調機1に送付され続けている状態で、室内温度検知手段16と外気温度検知手段17で検知される室温TINと外気温TOUTと予め設定された第1の閾値温度T3(例えば30℃)の関係が、TIN>TOUTであり、TIN>T3になった場合は、主冷却装置の故障停止状態と推測した空気熱交換形空調機1の運転温度条件と温度判断手段18が判断し、運転温度条件情報を運転指示手段20に送信する。運転指示手段20では、停止指令信号に対して、運転温度条件情報を入手したために、第1のインバーター14および第2のインバーター15に運転指示を行い、TIN<TOUTとなる停止温度条件が整うまで第1の送風ファン7よび第2の送風ファン8を運転し続け、図3に示すように、主冷却装置の故障により本来の冷却作用による室温TINの変化を示す破線ではなく、一点鎖線で示すような室温TINの急上昇となるところを防ぎ、実線で示す室温TINの緩やかな上昇となり通信機102の発熱量が少ない場合は、あわよくば室温TINの均衡を保つような動作を行う。
【0036】
また、室内機103からの停止指令信号が空気熱交換形空調機1に送信されている状態で、温度判断手段18に常時伝えられている室温TINと外気温TOUTと予め設定された第2の閾値温度T4(例えば25℃)の関係が、TIN>TOUTであり、TIN<T4になった場合は、空気熱交換形空調機1の運転温度条件であることを確認し、運転指示手段20に運転温度条件情報を送信する。運転指示手段20では、室内機103からの停止指令信号と温度判断手段18からの運転温度条件情報を受けて、第1のインバーター14および第2のインバーター15に運転指示を行い、第1の送風ファン7および第2の送風ファン8を駆動させて、発熱体収納装置101内を冷却する。すなわち、図4に示すように、室内機103からの駆動指令信号が来ないために空気熱交換形空調機1が駆動できない場合は一点鎖線で示すような室温の上昇となり、直ぐに室内機103と室外機104が運転する温度に到達してしまうのを防ぎ、実線で示すように空気熱交換形空調機1の動作により実線に示すような室温TINの温度変化で抑えることができる。
【0037】
また、特に図示しないが、室内機103からの駆動指令信号が空気熱交換形空調機1に送付され、温度判断手段18に常時伝えられている外気温TOUTと予め設定された第3の閾値温度T5(例えば27℃)の関係が、TOUT>T5である場合は、空気熱交換形空調機1が動作をしても室温TINは外気温TOUT以下にはならない特性上、空気熱交換形空調機1の停止温度条件と温度判断手段18が判断し、停止温度条件情報を運転指示手段20に送信する。運転指示手段20では、駆動指令信号に対して、停止温度条件情報を入手したために、第1のインバーター14および第2のインバーター15を停止指示のままとして、第1の送風ファン7および第2の送風ファン8を停止のままとし、空気熱交換形空調機1の運転温度条件が整うまで続ける。
【0038】
以上のように、主冷却装置から駆動指令信号/停止指令信号という簡単な2値信号の送信を使い補助冷却装置としての空気熱交換形空調機1を連動動作させ、この空気熱交換形空調機1に備えた熱交換器9により発熱体収納装置101の内外空気を遮蔽することで防塵、防湿性能の優れた効果を発揮しながら、主冷却装置と補助冷却装置の冷却動作温度領域を明確に区分して、冷却動作が重複することなく消費電力が抑制された省エネルギーで低コストな発熱体収納装置用冷却システムを実現できる。また、空気熱交換形空調機1内に発熱体収納装置101内外の温度を認識する温度判断手段18を設けたことにより、主冷却装置としての室内機103からの駆動指令信号/停止指令信号に関わらず、主冷却装置が故障時などに間違った駆動指令信号/停止指令信号を送信しても発熱体収納装置101の冷却性能を維持するために空気熱交換形空調機1の判断により、補助冷却装置としての空気熱交換形空調機1が発熱体収納装置101内の冗長的な冷却動作を行うことができる。
【0039】
なお、補助冷却装置を空気式熱交換式空調機で説明しているが、防塵性能および防湿性能の優れたフィルターを用いた外気導入式冷却装置を用いても作用効果に差はなく、以下の実施の形態でも同じである。
【0040】
また、運転閾値温度T1と停止閾値温度T2に対して、第1の閾値温度T3、第2の閾値温度T4と第3の閾値温度T5に若干の温度差を設けているのは、設置場所の差や計測誤差による温度差を加味して設けたもので、温度差については、発熱体収納装置の大きさや主冷却装置や補助冷却装置の設置場所により一概には決めることはできず、本実施の形態ではあくまで参考例として記載しており、以下の実施の形態でも同じである。
【0041】
(実施の形態2)
さて、本実施の形態では、図5および図6に示すとおり、実施の形態1において、計時手段21をコントロール基板13に備え、受信装置19から運転指示手段20へ送信する信号をこの計時手段21および温度判断手段18に入力するようにして、前記計時手段21の出力信号を前記温度判断手段18に接続したものである。また、第1の閾値温度T3の代わりに、温度差閾値ΔTOを予め温度判断手段18に、前記計時手段21に計測時間tsを予め設定されている。なお、実施の形態1と同一構成部分については、同一符号を用いてその詳細な説明は省略する。
【0042】
これにより、室内機103からの駆動指令信号から停止指令信号が空気熱交換形空調機1に変化して送付された際に、計時手段21が計時を開始する一方、温度判断手段18でも、室内温度検知手段16により常時伝えられている室温TINをこの駆動指令信号から停止指令信号に変化した際の室温TAを記憶する。前記計時手段21では計時を開始してから予め設定した計測時間ts(例えば1分)が経過したことを前記温度判断手段18に伝え、この時の室温TBと先に記憶した室温TAの差分を直ちに計算(ΔT=TB−TA)し、予め設定されている温度差閾値ΔTO(例えば2℃)と比較し、ΔT>ΔTOとなった場合は、主冷却装置の故障停止状態と推測した空気熱交換形空調機1の運転温度条件と温度判断手段18が判断し、運転温度条件情報を運転指示手段20に送信する。運転指示手段20では、停止指令信号に対して、運転温度条件情報を入手したために、第1のインバーター14および第2のインバーター15に運転指示を行い、TIN<TOUTとなる停止温度条件が整うまで第1の送風ファン7よび第2の送風ファン8を運転し続け、図6に示すように、主冷却装置の故障により本来の冷却作用による室温TINの変化を示す破線ではなく、一点鎖線で示すような室温TINの急上昇となるところを防ぎ、実線で示す室温TINの緩やかな上昇となり通信機102の発熱量が少ない場合は、あわよくば室温TINの均衡を保つような動作を行う。
【0043】
以上のように、主冷却装置から駆動指令信号/停止指令信号という簡単な2値信号の送信を使い補助冷却装置としての空気熱交換形空調機1を連動動作させ、この空気熱交換形空調機1に備えた熱交換器9により発熱体収納装置101の内外空気を遮蔽することで防塵、防湿性能の優れた効果を発揮しながら、主冷却装置と補助冷却装置の冷却動作温度領域を明確に区分して、冷却動作が重複することなく消費電力が抑制された省エネルギーで低コストな発熱体収納装置用冷却システムを実現できる。また、空気熱交換形空調機1内に発熱体収納装置101内外の温度を認識する温度判断手段18と駆動指令信号から停止指令信号に変化した際から計時する計時手段21を設けたことにより、主冷却装置としての室内機103からの駆動指令信号/停止指令信号に関わらず、主冷却装置が故障時などに間違った駆動指令信号/停止指令信号を送信しても発熱体収納装置101の冷却性能を維持するために空気熱交換形空調機1の判断により、補助冷却装置としての空気熱交換形空調機1が発熱体収納装置101内の冗長的な冷却動作を行うことができる。
【0044】
(実施の形態3)
さて、本実施の形態では、図7および図8に示すとおり、実施の形態1において、計時手段21をコントロール基板13に備え、受信装置19から運転指示手段20へ送信する信号をこの計時手段21および温度判断手段18に入力するようにし、この温度判断手段18の出力を前記運転指示手段20と計時手段21に接続し、前記計時手段21の出力を前記運転指示手段20に接続したものである。また、第1の閾値温度T3の代わりに、設定計測温度差ΔTOを予め温度判断手段18に設定し、設定時間Δt0を予め計時手段21に設定されている。なお、実施の形態1と同一構成部分については、同一符号を用いてその詳細な説明は省略する。
【0045】
これにより、室内機103からの駆動指令信号から停止指令信号が空気熱交換形空調機1に変化して送付された際に、計時手段21が計時を開始する一方、温度判断手段18でも、室内温度検知手段16により常時伝えられている室温TINをこの駆動指令信号から停止指令信号に変化した際の室温TAを記憶する。そして、この室温TAに対して予め温度判断手段18に設定した設定計測温度差ΔTO(例えば2℃)が加算された室温TIN(TIN=TA+ΔTO)になったことを前記計時手段21に伝え、この時の計時時間tが予め計時手段21に設定されている設定時間Δt0(例えば1分)と比較し、t<Δt0となった場合は、主冷却装置の故障停止状態と推測した空気熱交換形空調機1の運転温度条件と温度判断手段18が判断し、運転温度条件情報を運転指示手段20に送信する。運転指示手段20では、停止指令信号に対して、運転温度条件情報を入手したために、第1のインバーター14および第2のインバーター15に運転指示を行い、TIN<TOUTとなる停止温度条件が整うまで第1の送風ファン7よび第2の送風ファン8を運転し続け、図8に示すように、主冷却装置の故障により本来の冷却作用による室温TINの変化を示す破線ではなく、一点鎖線で示すような室温TINの急上昇となるところを防ぎ、実線で示す室温TINの緩やかな上昇となり通信機102の発熱量が少ない場合は、あわよくば室温TINの均衡を保つような動作を行う。
【0046】
以上のように、主冷却装置から駆動指令信号/停止指令信号という簡単な2値信号の送信を使い補助冷却装置としての空気熱交換形空調機1を連動動作させ、この空気熱交換形空調機1に備えた熱交換器9により発熱体収納装置101の内外空気を遮蔽することで防塵、防湿性能の優れた効果を発揮しながら、主冷却装置と補助冷却装置の冷却動作温度領域を明確に区分して、冷却動作が重複することなく消費電力が抑制された省エネルギーで低コストな発熱体収納装置用冷却システムを実現できる。また、空気熱交換形空調機1内に発熱体収納装置101内外の温度を認識する温度判断手段18と駆動指令信号から停止指令信号に変化した際から計時する計時手段21を設けたことにより、主冷却装置としての室内機103からの駆動指令信号/停止指令信号に関わらず、主冷却装置が故障時などに間違った駆動指令信号/停止指令信号を送信しても発熱体収納装置101の冷却性能を維持するために空気熱交換形空調機1の判断により、補助冷却装置としての空気熱交換形空調機1が発熱体収納装置101内の冗長的な冷却動作を行うことができる。
【0047】
(実施の形態4)
さて、本実施の形態では、図9に示すとおり、実施の形態1において、コントロール基板13に視覚報知手段22を備え、LED23を使って発光させるものである。なお、実施の形態1と同一構成部分については、同一符号を用いてその詳細な説明は省略する。
【0048】
これにより、室内機103から空気熱交換形空調機1に送付される駆動指令信号あるいは停止指令信号に対し、空気熱交換形空調機1がこれら指令信号と同一の動作をしている場合には、LED23は消灯させておき、室内機103から空気熱交換形空調機1に送付される駆動指令信号あるいは停止指令信号に対し、空気熱交換形空調機1がこれら指令信号と同一の動作をしている場合には、点灯させる。
【0049】
このように、空気熱交換形空調機1内のコントロール基板13上に視覚報知手段22であるLED23を備えたので、主冷却装置である室内機103からの駆動指令信号/停止指令信号に対し、補助冷却装置である空気熱交換形空調機1の動作がこれら指令と異なる動作を行っていることが外部から識別できる。
【0050】
なお、ここでは、室内機103から空気熱交換形空調機1に送付される駆動指令信号あるいは停止指令信号に対し、空気熱交換形空調機1がこれら指令信号と同一の動作をしている場合には消灯させ、同一でない動作の場合を点灯としたが、点灯と消灯、あるいは、点灯と点滅など、明らかな発光方法に違いが認められれば、作用効果に差はない。
【0051】
(実施の形態5)
さて、本実施の形態では、図10および図11に示すとおり、実施の形態1において、空気熱交換形空調機1に接続した発報通信線24に、コントロール基板13に発報送信手段25を備え、スイッチ手段として無電圧リレー接点26を用いるものである。なお、実施の形態1と同一構成部分については、同一符号を用いてその詳細な説明は省略する。
【0052】
これにより、室内機103から空気熱交換形空調機1に送付される駆動指令信号あるいは停止指令信号に対し、空気熱交換形空調機1がこれら指令信号と同一の動作をしている場合には、無電圧リレー接点26は開状態とさせておき、室内機103から空気熱交換形空調機1に送付される駆動指令信号あるいは停止指令信号に対し、空気熱交換形空調機1がこれら指令信号と同一の動作をしている場合には、無電圧リレー接点26は閉状態とさせておき、さらには、定期的に、例えば10秒毎に、無電圧リレー接点26を開状態、閉状態を繰り返して意図的に接点の開閉が繰り返すことを示す。これにより、一般の空気熱交換形空調機1の異常状態と示す無電圧リレー接点26の開状態と識別できるようにしておく。
【0053】
このように、空気熱交換形空調機1内のコントロール基板13上に発報送信手段25であるスイッチ手段の無電圧リレー接点26備え、空気熱交換形空調機1に発報通信線24を接続したので、主冷却装置である室内機103からの駆動指令信号/停止指令信号に対し、補助冷却装置である空気熱交換形空調機1の動作がこれら指令と異なる動作を行っていることを遠隔地で知ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明にかかる発熱体収納装置用冷却システムは、発熱体が収納された発熱体収納箱を冷却する主冷却装置として冷媒を用いたヒートポンプ式空調機と、補助冷却装置として空気熱交換式の冷却装置と、前記主冷却装置と前記補助冷却装置を信号線で接続し、前記主冷却装置より送信される補助冷却装置の駆動指令信号/停止指令信号により前記補助冷却装置を動作する冷却システムにおいて、前記補助冷却装置に備えた温度判断手段により、前記補助冷却装置を自主的に動作させるという構成を有する。これにより、主冷却装置からの駆動指令信号/停止指令信号に関わらず発熱体収納箱内外の温度を認識することとなるので、主冷却装置が故障時などの間違った駆動指令信号/停止指令信号を無視して補助冷却装置自身で発熱体収納箱の冷却を行うことができる。従って、例えば、通信機器の基地局や、その他屋外設置機器における冷却設備としてきわめて有用なものとなる。
【符号の説明】
【0055】
1 空気熱交換形空調機
2 第1吸気口
3 第1吐出口
4 第2吸気口
5 第2吐出口
6 本体ケース
7 第1の送風ファン
8 第2の送風ファン
9 熱交換器
10 補助冷却制御装置
11 補助冷却室温センサー
12 補助冷却外気温センサー
13 コントロール基板
14 第1のインバーター
15 第2のインバーター
16 室内温度検知手段
17 外気温度検知手段
18 温度判断手段
19 受信装置
20 運転指示手段
21 計時手段
22 視覚報知手段
23 LED
24 発報通信線
25 発報送信手段
26 無電圧リレー接点
101 発熱体収納装置
102 通信機
103 室内機
104 室外機
105 冷媒配管
106 室温センサー
107 制御装置
108 外気温センサー
109 回路線
110 吸気ファン
111 電動ダンパー
112 信号線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発熱体が収納された発熱体収納装置の内部を冷却する主冷却装置として冷媒を用いたヒートポンプ式空調機と、補助冷却装置として空気熱交換形空調機と、前記主冷却装置と前記補助冷却装置を信号線で接続し、前記主冷却装置より送信される補助冷却装置の駆動指令信号/停止指令信号により前記補助冷却装置を動作する冷却システムにおいて、前記補助冷却装置に備えた温度判断手段の判断も加味して、前記補助冷却装置を動作させることを特徴とする発熱体収納装置用冷却システム。
【請求項2】
発熱体収納装置内の室内温度を検知する室内温度検知手段と、発熱体収納装置外の外気温度を検知する外気温度検知手段を補助冷却装置に備え、前記室内温度検知手段と前記外気温度検知手段による温度情報を、常時、温度判断手段に入力し、外気温度が室内温度より低いと前記温度判断手段が判断した場合は補助冷却装置の運転温度条件、外気温度が室内温度より高いと前記温度判断手段が判断した場合は補助冷却装置の停止温度条件、とこの温度判断手段が判断し、補助冷却装置に備えた送風手段に運転/停止指示を行う運転指示手段にこれら運転温度条件あるいは停止温度条件を送付することを特徴とする請求項1記載の発熱体収納装置用冷却システム。
【請求項3】
主冷却装置の動作する運転閾値温度より高い第1の閾値温度を予め温度判断手段に設定しておき、主冷却装置から停止指令信号が来ている場合に、前記温度判断手段が運転温度条件と判断した状態で、且つ、室内温度がこの第1の閾値温度を上回ったと前記温度判断手段が判断した場合に、補助冷却装置を動作させることを特徴とする請求項1乃至2記載の発熱体収納装置用冷却システム。
【請求項4】
温度判断手段が運転温度条件と判断した状態で、主冷却装置からの駆動指令信号が停止指令信号に変わり補助冷却装置が停止した際の室内温度を初期室内温度として温度判断手段に保存し、同時に補助冷却装置に備えた計時手段の計時を開始し、この計時手段に予め設定した計測時間が経過したことを前記計時手段が前記温度判断手段に伝え、この温度判断手段で計測時間が経過した際の室内温度と初期室内温度の温度差を求め、前記温度判断手段に予め設定している温度差閾値より高いと温度判断手段が判断した場合に、補助冷却装置を動作させることを特徴とする請求項1乃至2記載の発熱体収納装置用冷却システム。
【請求項5】
温度判断手段が運転温度条件と判断した状態で、主冷却装置からの駆動指令信号が停止指令信号に変わり補助冷却装置が停止した際の室内温度を初期室内温度として温度判断手段に保存し、同時に補助冷却装置に備えた計時手段の計時を開始し、前記温度判断手段が初期室内温度に対し、この温度判断手段に予め設定した設定計測温度差を越えたことを前記計時手段に伝え、この計時手段で設定計測温度差を越えた際の計測時間をこの計時手段に予め設定した設定時間と比較し、この計測時間が設定時間より短いと前記計測手段が判断した場合に、補助冷却装置を動作させることを特徴とする請求項1乃至2記載の発熱体収納装置用冷却システム。
【請求項6】
温度判断手段に主冷却装置の停止する停止閾値温度より低い第2の閾値温度を予め設定しておき、温度判断手段が運転温度条件と判断した状態で、主冷却装置からの駆動指令信号が来ない場合に、前記第2の閾値温度を室内温度が下回ったと前記温度判断手段が判断した場合、補助冷却装置を動作させることを特徴とする請求項1乃至5記載の発熱体収納装置用冷却システム。
【請求項7】
温度判断手段に主冷却装置の停止する停止閾値温度より高い第3の閾値温度を予め設定しておき、温度判断手段が停止温度条件と判断した状態で、主冷却装置から駆動指令信号が来た場合、前記第3の閾値温度を室外温度が上回った前記温度判断手段が判断した場合、補助冷却装置を停止させた状態とすることを特徴とする請求項1乃至6記載の発熱体収納装置用冷却システム。
【請求項8】
主冷却装置より送信される補助冷却装置の駆動指令信号/停止指令信号に対し、前記補助冷却装置の動作が異なる場合に、この補助冷却装置に備えた視覚報知手段を用いて発報することを特徴とする請求項1乃至7記載の発熱体収納装置用冷却システム。
【請求項9】
主冷却装置より送信される補助冷却装置の駆動指令信号/停止指令信号に対し、前記補助冷却装置の動作が異なる場合に、この補助冷却装置に備えた遠隔地に動作状態を発報する発報送信手段としてのスイッチ手段をある一定期間の間にオン、オフ、オンという意図的な信号を発報することを特徴とする請求項1乃至8記載の発熱体収納装置用冷却システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−42122(P2012−42122A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−183581(P2010−183581)
【出願日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】