説明

発芽ピーナツ含有の健康食品および健康飲料

【課題】植物性原料により調製された健康食品または健康飲料において、必須アミノ酸組成に不足がなく、非必須アミノ酸についても偏りが少なく、動物性コラーゲンにも代替できるように栄養バランスのとれた植物性の健康食品とすることであり、さらに好ましくは、健康飲料である場合に経時的に液中に沈殿物の生じにくい健康飲料とすることである。
【解決手段】スピルリナの乾燥粉末100重量部に対して、発芽ピーナツ搾汁液の乾燥粉末50〜200重量部を配合した混合粉末からなる発芽ピーナツ含有の健康食品とし、さらに内服用カプセルに封入し、または打錠成形してなるカプセル状または錠剤状の発芽ピーナツ含有の健康食品とする。またはスピルリナの乾燥粉末1重量部に対して、発芽ピーナツ搾汁濃縮液(可溶性固形分濃度Brix30)10〜25重量部を配合した混合物を含有する発芽ピーナツ含有の健康飲料とする。発芽ピーナツ窄汁液またはその乾燥粉末には、トリプトファンの含有量は比較的少ないが、ナイアシンを多く含有し、スピルリナの乾燥粉末中のアミノ酸組成の不足部分を実質的に補うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、発芽ピーナツを原料に用いた発芽ピーナツ含有の健康食品および健康飲料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、発芽直後の植物には発芽前の種子には含まれていなかった新生成分が含まれており、例えば大豆、小豆、緑豆などの豆類では、発芽前には含まれていなかったビタミンC(アスコルビン酸)を含むことなどが知られている。
【0003】
また、ピーナッツ(落花生)は、緑豆類のように簡単に発芽させることはできないが、発芽をできるだけ確実に行なわせるために、所定の必須成分含有の水溶液に浸漬処理して発芽抑制成分の効力を低下させ、次いで通常の培地で発芽育成して発芽ピーナッツ(落花生もやし、芽吹きピーナッツ)を製造することが知られている(特許文献1)。
【0004】
発芽したピーナッツは、カロリーが発芽前の1/7程度に低くなり、脂肪分は1/13程度になり、ビタミンB、ビタミンE、ナイアシン、アスパラギン酸、カルシウム、マグネシウムなどが豊富に含まれる食品になり、低カロリーで栄養価の高い食品になる。
【0005】
一方、多細胞性で青緑色を呈する藍藻類の一種であるスピルリナは、トリプトファン以外の19種類のアミノ酸からなる蛋白質が70%程度含まれ、豊富なビタミンAやカリウム、葉緑素、カロチノイド、フィコシアニンなどの植物性色素も含まれており、消化吸収性も良いので、バランスよく栄養を補給するための食品として適しており、また化粧料にも用いられている(特許文献2)。
【0006】
因みに、スピルリナに含まれる植物性色素のうち、フィコシアニンは、青色の水溶性色素であり、その抗酸化性はビタミンE誘導体の16倍、ビタミンCに比べると20倍もある。
【0007】
【特許文献1】特許第2698719号公報
【特許文献2】特開2005−263707号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述のようにスピルリナの乾燥粉末には、コラーゲンに類似の19種類のアミノ酸組成からなる蛋白質が含まれているが、必須アミノ酸のトリプトファンが含まれていない点でアミノ酸バランスが欠けているという問題点がある。
【0009】
また、発芽ピーナツの窄汁液を乾燥し、内服用カプセルに封入し、または打錠成形したものは、低カロリーであってしかも低脂肪であり、ビタミンB、ビタミンE、水溶性ビタミンのナイアシン、アスパラギン酸、カルシウム、マグネシウムなどは豊富に含まれているが、必須アミノ酸のトリプトファンの含有量は少ない。
【0010】
このように植物性原料だけで必須アミノ酸および、可及的に非必須アミノ酸も不足することなく、バランスの良い健康食品を調製することは容易ではなく、これにより動物性コラーゲン原料に代替可能な健康食品は得られないという問題点があった。
【0011】
また、発芽ピーナツを粉砕し、乾燥させたものを水に混ぜると、微細な粉が水に漂った状態に沈殿物が液中に分離して混和し難いという問題点もある。
【0012】
そこで、この発明の課題は、上記した問題点を解決して、植物性の原料で調製された健康食品または健康飲料において、必須アミノ酸組成に不足なく、非必須アミノ酸についても偏りが少なく、動物性コラーゲンに代替できるような栄養バランスのとれた植物性健康食品とすることであり、さらに好ましくは、経時的に液中に沈殿物の生じにくい健康飲料とすることである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の課題を解決するために、この発明においては、スピルリナの乾燥粉末100重量部に対し、発芽ピーナツ搾汁液の乾燥粉末50〜200重量部を配合した混合粉末からなる発芽ピーナツ含有の健康食品としたのである。
【0014】
上記したように構成されるこの発明の発芽ピーナツ入り健康食品は、スピルリナの乾燥粉末に含まれる蛋白質が、それが構成されるアミノ酸に全体として過不足は少ないものの、必須アミノ酸のトリプトファンは欠落している。
発芽ピーナツ窄汁液には若干量のトリプトファンが含まれており、これを含まないスピルリナ蛋白質の欠点を補なってトリプトファンを補充することはできるが、その補充量は不充分である。
【0015】
しかしながら、発芽ピーナツ窄汁液を乾燥させた粉末には、58.8mg/100gという高濃度のナイアシンが含まれている。
ナイアシンは、ニコチン酸とニコチン酸アミドを総称する水溶性ビタミンの一種であり、体内ではトリプトファン60mgから1mgのナイアシンが生成される。このようにナイアシンは、血液循環を良くして皮膚や粘膜を健全化し、消化器系の調子を整えて丈夫にする作用があるが生成反応の生体内の効率は低いものである。
【0016】
このように発芽ピーナツ窄汁液の乾燥粉末にトリプトファンの含有量は比較的少ないが、それを補うことができるナイアシンを多く含有する。それによってスピルリナの乾燥粉末中のアミノ酸組成の不足部分を実質的に補うことができる。
【0017】
このようにしてスピルリナの乾燥粉末と、発芽ピーナツ搾汁液の乾燥粉末とを配合した粉末状健康食品は、必須アミノ酸組成に不足がなく、非必須アミノ酸についても偏りが少ないものとなり、これを内服用カプセルに封入し、または打錠成形してカプセル状または錠剤状の発芽ピーナツ入り健康食品とすれば、扱いやすく、食しやすい健康食品になる。
【0018】
このような健康食品は液状の飲料であってもよく、スピルリナの乾燥粉末1重量部に対して、可溶性固形分濃度Brix30(%)の発芽ピーナツの搾汁濃縮液を10〜25重量部配合した混合物を含有する発芽ピーナツ含有の健康飲料とすることもできる。
【0019】
このように調整した健康飲料であれば前記同様の問題点は解決され、かつ発芽ピーナッツ成分がよく混和されていて経時的に沈殿を生じにくい健康飲料となる。このような飲料には、水および香味成分を適量に添加し、嗜好性の高められた発芽ピーナツ含有の健康飲料とすることができる。
【発明の効果】
【0020】
この発明は、所定量のスピルリナの乾燥粉末に対して、適量の発芽ピーナツ搾汁液の乾燥粉末を配合した混合粉末からなる発芽ピーナツ含有の健康食品としたので、植物性原料により調製された健康食品または健康飲料において、必須アミノ酸組成に不足がなく、非必須アミノ酸についても偏りが少なく、動物性コラーゲンにも代替の可能な栄養バランスのとれた植物性の健康食品または液状の健康飲料となる利点がある。
また、所定配合組成の健康飲料は、経時的に沈殿物の生じにくい健康飲料となる利点もある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
この発明で用いるスピルリナ(Spirulina)は、藍藻類ネンジュモ目ユレモ科のスピルリナ属、オルソスピラ属またはハロスピルリナ属の微細な藻類である。
【0022】
オルソスピラ属には、例えば、Arthrospira PCC8005、Arthrospira maxima、Arthrospira fushiformis、Arthrospira FACHB438、Arthrospira FACHB439、Arthrospira plantensis(Spirulina plantensis)、Arthrospira OUQDS6、Arthrospira sp.などの他、各地に生息する未同定の種のものが含まれる。
【0023】
スピルリナ属には、例えば、Spirulina MPIS4、Spirulina strainCCC、Spirulina subsalaなどが含まれる。
【0024】
ハロスピルリナ属には、例えばHalospirulina CCC、Halospirulina MPI、Halospirulina tapeticolaなどが含まれる。
【0025】
スピルリナは、例えば、水中で培養された生のスピルリナを遠心分離、濾過等の方法により収穫して原料とする。このような生のスピルリナは、培養池から収穫後、水もしくは生理食塩水で洗浄し、殺菌・洗浄処理したものをペースト状またはケーキ状にしたものを用いると取り扱いやすい。
【0026】
乾燥スピルリナは、例えば前記処理された生のスピルリナを精製し、凍結乾燥処理やスプレー乾燥処理したものである。生のスピルリナを超音波照射処理や、ホモゲナイズ等の機械処理等の方法により得られるスピルリナ処理物を用いて、その後に乾燥処理を施しても良い。
【0027】
精製処理としては、脱クロロフィルおよび蛋白加水分解処理を施すことが好ましい。
脱クロロフィル処理としては、一般的な色素の除去方法を採用すればよく、例えば遠心分離、濾過、溶媒抽出(エタノール濾過等による)、活性炭等による吸着処理などの分離精製手段を用いることができる。濾過処理は、例えば、濾紙、濾布、メンブレンフィルターなどを用いて行うことができる。
【0028】
蛋白加水分解処理は、例えば酸、アルカリ、酵素等を作用させて行なえばよく、酸としては、塩酸、リン酸、硫酸、硝酸などの無機酸のほか、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸などの有機酸などが挙げられる。処理剤の使用量は、濃度や種類によって異なるが、例えば酸は1〜60重量%程度で使用され、量、濃度、種類を適宜選択することにより、加水分解処理物の平均分子量を調整することができる。
加水分解された乾燥スピルリナは、平均分子量100〜20000のペプチド(アミノ酸であるものを含む)を含有するものになる。
【0029】
乾燥粉となったスピルリナ(オルソスピラを優占種とする藍藻類)の植物性蛋白質の加水分解物のアミノ酸組成と、これと比較するための動物由来のコラーゲン(ゼラチン、鱗)またはケラチン(羊毛)のアミノ酸組成とを下記の表1に示す。
【0030】
【表1】

【0031】
表1の結果からも明らかなように、動物由来の一般的なコラーゲン(ゼラチン、鱗)は、アミノ酸として分子量の小さいグリシンやアラニンを豊富に含有しており、保湿性の高いヒドロキシプロリンやプロリンも多く含んでいる。ケラチン(羊毛)のアミノ酸組成を調べると、それらの含有量は低く、吸着性の高いシステインの含有量の多いことがわかる。
【0032】
これらに比較して植物のスピルリナ由来のアミノ酸組成は、グリシンやアラニンなどの低分子量アミノ酸量が低く、アスパラギン酸とグルタミン酸のような酸性ペプチド、またはアルギニン、ヒスチジン、リジンのような塩基性アミノ酸を多量に含んでいる。さらに、フェニルアラニン、チロシン、イソロイシン、ロイシンのような疎水性アミノ酸も豊富に含み、動物性のコラーゲンとケラチンの両方の特徴を兼備したアミノ酸組成である。なお、トリプトファンはいずれのアミノ酸組成にも含まれていない。
【0033】
次に、この発明に用いる発芽ピーナツ搾汁液の乾燥粉末は、発芽したピーナッツを破砕し、加圧して固液分離することにより搾汁された液を減圧濃縮および噴霧乾燥などにより、乾燥させて得られる。
【0034】
詳述すると、「発芽ピーナツ」は、「落花生もやし」または「芽吹きピーナッツ」とも称される発芽した種子からなる野菜であり、発芽抑制成分の効力を低下させ、下胚軸の長さを10cm程度に発芽育成する方法(特許文献1(特許第2698719号)などによって周知)を採用すれば確実に栽培することができるものである。
因みに、ピーナッツは、マメ科ラッカセイ属一年生草本の植物であるアラキス・ヒポゲア(Arachis hypogaea)およびその近縁種の種子(可食部)である。
【0035】
発芽ピーナツは落花生をクエン酸に鉄,マンガン,亜鉛,銅およびコバルトの各2価の硫酸塩または硝酸塩と、モリブデン酸アンモニウムまたはモリブデン酸ナトリウムと、ホウ酸を加えて熱水中で攪拌して得られた生物必須金属含有水溶液中に浸漬して前処理したのち、培地に播種し、下胚軸の長さを10センチ程度に発芽育成することによって得られる。このようにして製造されたスプラウツインターナショナル社製造:発芽ピーナッツ・エンジェル(商品名)を購入することもできる。
【0036】
発芽ピーナツの搾汁液は、上記のピーナッツの生または冷凍品をカッターミキサーなどで破砕し、加圧して搾汁された液状物を濾過などで分取する。これを濃縮し(例えばブリックスBrix=可溶性固形分濃度30(%)を目安に濃縮する。)、さらに噴霧乾燥などによって乾燥させると、発芽ピーナツ搾汁液の乾燥粉が得られる。
【0037】
参考のため、生の発芽ピーナツ100g中の栄養成分を、緑豆モヤシとアスパラガスと比較して以下の表2に示す。
【0038】
【表2】

【0039】
粉末状の健康食品の配合による組成は、スピルリナの乾燥粉末100重量部に対して、発芽ピーナツ搾汁液の乾燥粉末50〜200重量部を配合した混合粉末とすることが、アミノ酸組成の均等化と、バランスよく栄養を補給するために好ましい。
【0040】
また、発芽ピーナツ含有の健康飲料の配合割合としては、スピルリナの乾燥粉末1重量部に対して、可溶性固形分濃度であるBrix30%における発芽ピーナツ搾汁濃縮液を10〜25重量部を配合した混合物を含有する発芽ピーナツ含有の健康飲料とすることが好ましい。
【0041】
この発明における可溶性固形分とは、糖を初めとして、塩類、蛋白質、酸など水に溶ける物質全てであり、Brix(%)は、サンプル(水溶液)中に含まれる可溶性固形分全ての合算値のパーセント濃度を示している。Brix(%)は、周知の食品用濃度計測管理器具で計測することができる。
なお、前記の発芽ピーナツ含有の健康飲料の配合割合は、発芽ピーナツ搾汁濃縮液(Brix30)を基準にして数値限定したが、発芽ピーナツ搾汁濃縮液がBrix30と異なる濃度である場合には、Brix30を使用する場合に対応させて、その配合量を計算により増減調整すればよい。
【0042】
発芽ピーナッツの乾燥粉末または搾汁濃縮液の配合割合が上記所定の範囲未満では、発芽ピーナツ搾汁液中のトリプトファンの含有量が過少であり、それを補うためのナイアシンの配合量も不足して好ましくない。また、上記の配合割合を超えて多量に配合しても、ナイアシンが過剰な配合量となって、効率良く栄養バランスを改善することは困難と考えられる。
【0043】
このようにして配合された粉状または液状の健康食品(健康飲料)は、粉状の物はゼラチンなどからなる内服用カプセルに封入し、または必要に応じてデキストリンなどの結着剤を添加して打錠成形し、カプセル状または錠剤状の発芽ピーナツ含有の健康食品となる。
【0044】
発芽ピーナツ含有の健康飲料を製造するには、例えば70〜80℃の温水にスピルリナの乾燥粉末を乳化剤や分散安定剤(ガム系安定剤や発酵セルロース製剤等)と共に添加し、攪拌して混合しながら発芽ピーナツ搾汁濃縮液の所定量を配合し、混和物を冷却しつつ甘味料や香料を添加して攪拌し、さらに適当な糖度やpHになるように水分調整をすれば発芽ピーナツ含有の健康飲料が得られる。
【実施例1】
【0045】
[発芽ピーナツ搾汁液および乾燥粉末の調製]
落花生(アラキス・ヒポゲア(Arachis hypogaea))をクエン酸に鉄,マンガン,亜鉛,銅およびコバルトの各2価の硫酸塩または硝酸塩と、モリブデン酸アンモニウムと、ホウ酸を加えて熱水中で攪拌して得られた生物必須金属含有水溶液中に浸漬して前処理したのち、培地に播種し、下軸胚の長さが10cm程度に発芽したピーナッツを得た。
【0046】
この冷凍品200kgと、温水200kgとを混合しながらカッターミキサーで破砕し、クエン酸を添加して80〜90℃で加熱殺菌してから、搾汁機(スクリュー式等)で加圧搾汁し、減圧濃縮(90℃以下)によって発芽ピーナツ搾汁濃縮液(Brix.30)を40kg得た。さらに、これをスプレードライして6.9kgの乾燥粉末を得た。
得られた発芽ピーナツ搾汁液の乾燥粉末のアミノ酸組成および含有ビタミン類組成を下記の表3に示した。
【0047】
【表3】

【0048】
[スピルリナの乾燥粉末の入手]
東南アジア淡水湖産スピルリナ(オルソスピラを優占種とする)を原料とする噴霧乾燥粉末(タイムリー社製:スピルリナ噴霧乾燥末、脱クロロフィルおよび蛋白加水分解処理品)を採用した。スピルリナの噴霧乾燥粉末(脱クロロフィルおよび蛋白加水分解処理品)のアミノ酸組成の分析結果を表4に示した。
【0049】
【表4】

【0050】
[混合粉末からなる発芽ピーナツ含有の健康食品の製造]
上記のスピルリナの乾燥粉末100重量部に対して、調製された発芽ピーナツ搾汁液の乾燥粉末150重量部を攪拌機に投入して均一に混合し、混合粉末からなる発芽ピーナツ含有の健康食品を得た。
【0051】
得られた粉末状健康食品をゼラチン製の内服用ハードカプセルに封入し、カプセル状の健康食品を得た。また、粉末状健康食品を別途、打錠成形して錠剤状の発芽ピーナツ含有の健康食品を得た。
【0052】
また、表3と表4のデータから、スピルリナの乾燥粉末1gと、発芽ピーナッツ凍結乾燥品1gを添加混合したもののアミノ酸組成およびビタミン類のナイアシンの含有量を示す図表を図1に示した。
【0053】
これにより、スピルリナの蛋白質と発芽ピーナッツの蛋白質は、そのアミノ酸組成において互いに不足、または欠乏するものを補い合い、効率の良い補完関係にあることがわかる。
【実施例2】
【0054】
実施例1の製造工程で得られた発芽ピーナツ搾汁濃縮液を利用して発芽ピーナツ含有の健康飲料を製造した。
【0055】
すなわち、70〜80℃の温水90リットルにスピルリナの噴霧乾燥粉末(タイムリー社製:スピルリナ噴霧乾燥末、脱クロロフィルおよび蛋白加水分解処理品)1kgを乳化剤や分散安定剤と共に添加し、30分間攪拌して混合しながら発芽ピーナツ搾汁濃縮液(Brix30)10kgを配合し、混和物を冷却しつつ甘味料や香料およびリンゴ濃縮(5倍)果汁1.5kgを添加して攪拌し、調整のために水1リットルを添加して攪拌混合し、発芽ピーナツ含有の健康飲料を得た。
【0056】
得られた発芽ピーナツ含有の健康飲料の栄養成分およびアミノ酸組成の分析結果を表5に示した。
【0057】
【表5】

【0058】
表5の結果からも明らかなように、健康飲料には発芽ピーナツ窄汁液由来のトリプトファンが含まれており、さらにその作用を補うことができる量のナイアシンを含有している。これによってスピルリナ由来のアミノ酸のトリプトファン不足部分は実質的に補なわれていることがわかる。
【0059】
このように実施例1、2の食品は、植物性原料のみで製造されたものであるにも拘わらず、動物性コラーゲン含有の食品に相等するように必須アミノ酸および非必須アミノ酸またはそれによる体内代謝生成物が不足することなく含まれており、栄養バランスに優れた植物質食品または飲料になる。
【0060】
これらは、特にナイアシンおよびアスパラギン酸の多く含まれていることから、疲労回復や皮膚健全化などの美容健康上にも有用な栄養バランスの良い健康食品または健康飲料となることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】スピルリナ乾燥粉末と発芽ピーナッツ凍結乾燥品混合物のアミノ酸組成およびナイアシン含量を示す図表

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スピルリナの乾燥粉末100重量部に対して、発芽ピーナツ搾汁液の乾燥粉末50〜200重量部を配合した混合粉末からなる発芽ピーナツ含有の健康食品。
【請求項2】
請求項1に記載の粉末状健康食品を内服用カプセルに封入し、または打錠成形してなるカプセル状または錠剤状の発芽ピーナツ含有の健康食品。
【請求項3】
スピルリナの乾燥粉末1重量部に対して、可溶性固形分濃度であるBrix30%における発芽ピーナツ搾汁濃縮液を10〜25重量部配合した混合物を含有する発芽ピーナツ含有の健康飲料。

【図1】
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【公開番号】特開2009−60865(P2009−60865A)
【公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−232557(P2007−232557)
【出願日】平成19年9月7日(2007.9.7)
【出願人】(504262638)株式会社スプラウツインターナショナル (1)
【Fターム(参考)】