説明

発電微粒子及びその使用

本発明は、第1導電材料及び第2導電材料を含むガルバーニ微粒子であって、第1導電材料及び第2導電材料の両方が微粒子の表面上に露出されており、微粒子の粒径が約10ナノメートル〜約100マイクロメートルであり、第2導電材料が微粒子の総重量の約0.01重量%〜約10重量%を構成し、第1導電材料と第2導電材料との標準電位の差が少なくとも約0.2Vである、ガルバーニ微粒子を特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【開示の内容】
【0001】
〔発明の背景〕
イオン導入パッチ装置における電源としてガルバーニ対(galvanic couple)を使用することは当該技術分野において周知である。例えば、米国特許第5,147,297号、同第5,162,043号、同第5,298,017号、同第5,326,341号、同第5,405,317号、同第5,685,837号、同第6,584,349号、同第6,421,561号、及び同第6,653,014号、並びに米国特許出願第2004/0267237号、及び同第2004/0138712号を参照のこと。ガルバーニ対は、亜鉛ドナー電極及び塩化銀対電極のような、異なる金属から製造される。これらのガルバーニ対式イオン導入パッチ装置のいくつかは、体組織及び/又は体液がガルバーニ系とともに完全な回路を形成して、電気を発生させるとき、自動的に作動する。これらの装置は、しばしば、電気刺激、治癒の向上、又は抗微生物治療のような、意図する効果をもたらすために、人体に適用される。
【0002】
ドラッグ・デリバリー装置のような前述のガルバーニパッチは有用な治療用製品であるが、それらは使用が面倒であり、製造コストが高い場合がある。本発明の目的は、ガルバーニ粒子を提供することによりこれらの欠点を克服することである。
【0003】
〔発明の概要〕
1つの態様では、本発明は、第1導電材料及び第2導電材料を含むガルバーニ微粒子であって、第1導電材料及び第2導電材料の両方は微粒子の表面上に露出されており、微粒子の粒径が約10ナノメートル〜約100マイクロメートルであり、第2導電材料が微粒子の総重量の約0.01重量%〜約10重量%を構成し、第1導電材料と第2導電材料との標準電位の差が少なくとも約0.2Vである、ガルバーニ微粒子を特徴とする。
【0004】
別の態様では、本発明は第1導電材料の微粒子を、第2導電材料の塩を含む溶液と接触させることにより、本発明の微粒子を製造する方法を特徴とする。
【0005】
別の態様では、本発明は、本発明の微粒子と、生体吸収性ポリマーとを含有する摂取可能な組成物を特徴とする。
【0006】
別の態様では、本発明は、本発明の微粒子と、製薬上許容できる担体とを含む経口剤形を特徴とする。
【0007】
別の態様では、本発明は、本発明の微粒子を経口投与することにより、消化器疾患を治療する方法を特徴とする。
【0008】
本発明の他の特徴及び利点は、発明の詳細な説明及び特許請求の範囲から明らかとなろう。
【0009】
〔発明の詳細な説明〕
当業者であれば、本明細書の記載に基づいて本発明を最大限利用することができるものと考えられる。以下の具体的な実施形態は、単なる例示として解釈すべきであり、いかなることがあっても以下の開示を限定するものではない。
【0010】
特に定義しない限り、本明細書で用いられる技術的及び科学的用語は全て、発明が属する技術分野における当業者によって一般的に解釈されるのと同じ意味を有するものである。更に、本明細書において言及する刊行物、特許出願、特許、及び他の引用文献はすべて、参照により組み込まれるものである。特に指示しない限り、百分率は重量百分率(すなわち、%(W/W))を指す。
【0011】
定義
「製品」は、完成パッケージ化形態で、ガルバーニ微粒子(又はガルバーニ微粒子を含有する組成物)を収容している製品を意味する。1つの実施形態では、製品は、ユーザに、(例えば、皮膚の症状を治療するために)ガルバーニ微粒子又は組成物の摂取、局所的適用、又は他の方法での投与を指示する説明書を含む。このような説明書は、製品の外側上、ラベル挿入物、又は任意の追加包装上に印刷されてもよい。
【0012】
1つの態様では、本発明は、意図する用途のために本発明のガルバーニ微粒子又はガルバーニ微粒子を含有する組成物を販売促進(promoting)することを特徴とする。「販売促進」は、販売促進、宣伝、又はマーケティングを意味する。販売促進の例としては、製品上、若しくは販売店内、雑誌、新聞、ラジオ、テレビ、インターネット等における文書、視覚的、又は口頭のメッセージを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0013】
本明細書で使用するとき、「製薬上許容できる」は、この用語が説明する成分が、過度な毒性、不適合性、不安定性、炎症、アレルギー反応等なく、意図する用途に対して好適である(例えば、摂取、又は皮膚若しくは粘膜との接触に好適である)ことを意味する。
【0014】
本明細書で使用するとき、「安全で有効な量」は、所望の水準で所望の効果をもたらすのに十分であるが、重篤な副作用を避けるのに十分少ない、成分又は組成物の量を意味する。成分又は組成物の安全で有効な量は、治療する領域、エンドユーザの年齢、治療の期間及び性質、用いられる特定の成分又は組成物、利用される具体的な製薬上許容される担体、及び同様の因子によって異なる。
【0015】
本明細書で使用するとき、用語「治療する」又は「治療」は、症状(例えば、皮膚、粘膜、又は爪の症状)の治療(例えば、病徴の緩和若しくは排除、及び/又は回復)及び/又は予防若しくは抑制を意味する。1つの実施形態では、ガルバーニ微粒子は、このような治療の必要な被験体(例えば、ヒト)に局所的に又は全身的に投与される。1つの実施形態では、ガルバーニ微粒子を用いて、脊椎動物(ヒトを含む哺乳類、鳥類、魚類、爬虫類、及び両生類)、昆虫、植物、微生物(例えば、細菌、真菌、及びウイルス)を含む生物に、その効果を及ぼす(すなわち、治療する、健康を改善する、回復させる、排除する及び/又は量を低減する)。
【0016】
ガルバーニ微粒子
本発明のガルバーニ微粒子は、第1導電材料及び第2導電材料を含み、第1導電材料及び第2導電材料の両方が微粒子の表面上に露出している。1つの実施形態では、微粒子は、第1導電材料を含み、微粒子の表面は第2導電材料で部分的にコーティングされる。
【0017】
1つの実施形態では、ガルバーニ微粒子は、第2導電材料の重量%が、微粒子の総重量の約0.001重量%〜約20重量%、例えば、微粒子の総重量の約0.01重量%〜約10重量%であるコーティング方法により生成される。1つの実施形態では、第2導電材料のコーティング厚さは、1原子から数百マイクロメートルまで変化してもよい。更に別の実施形態では、ガルバーニ微粒子の表面は、約0.001%〜約99.99%、例えば、約0.1〜約99.9%の第2導電材料を含む。
【0018】
1つの実施形態では、ガルバーニ微粒子は、非コーティング方法により(例えば、第1及び第2導電材料をともに焼結、印刷、又は機械的加工して、ガルバーニ微粒子を形成することにより)生成され、第2導電材料は、微粒子の総重量の約0.1重量%〜約99.9重量%、例えば、微粒子の総重量の約10%〜約90%を構成する。
【0019】
1つの実施形態では、ガルバーニ微粒子は、保存中半固体組成物に懸濁することができるのに十分な程細かい。更なる実施形態では、それらは扁平及び/又は細長い形状である。ガルバーニ微粒子の扁平及び細長い形状の利点としては、見かけ密度が低く、それ故、局所用組成物における流動/懸濁能がより良好になり、並びに生物組織をより良好に被覆し、生物組織(例えば、皮膚又は粘膜)を通過するガルバーニ電流の範囲をより広く及び/又はより深くすることが挙げられる。1つの実施形態では、ガルバーニ微粒子の最長寸法は、このような微粒子の最短寸法の少なくとも2倍(例えば、少なくとも5倍)である。
【0020】
ガルバーニ微粒子は、球形若しくは非球形、又は細長い若しくは扁平な形状(例えば、円筒形、繊維又はフレーク)が挙げられるが、これらに限定されない任意の形状であってもよい。1つの実施形態では、ガルバーニ微粒子の平均粒径は、約10ナノメートル〜約500マイクロメートル、例えば、約100ナノメートル〜約100マイクロメートルである。粒径は、少なくとも1方向における最長寸法を意味する。
【0021】
1つの実施形態では、ガルバーニ微粒子は、ガルバーニ微粒子の生成にコーティング方法が用いられるとき、少なくとも90重量%、例えば、少なくとも95重量%又は少なくとも99重量%の導電材料(例えば、第1導電材料及び第2導電材料)を含む。
【0022】
第1導電材料/第2導電材料の組み合わせの例としては(「/」の記号は酸化されているが、本質的に非可溶性形である金属を表す)、亜鉛−銅、亜鉛−銅/銅ハロゲン化物、亜鉛−銅/酸化銅、マグネシウム−銅、マグネシウム−銅/銅ハロゲン化物、亜鉛−銀、亜鉛−銀/酸化銀、亜鉛−銀/銀ハロゲン化物、亜鉛−銀/塩化銀、亜鉛−銀/臭化銀、亜鉛−銀/ヨウ化銀、亜鉛−銀/フッ化銀、亜鉛−金、亜鉛−炭素、マグネシウム−金、マグネシウム−銀、マグネシウム−銀/酸化銀、マグネシウム−銀/銀ハロゲン化物、マグネシウム−銀/塩化銀、マグネシウム−銀/臭化銀、マグネシウム−銀/ヨウ化銀、マグネシウム−銀/フッ化銀、マグネシウム−炭素、アルミニウム−銅、アルミニウム−金、アルミニウム−銀、アルミニウム−銀/酸化銀、アルミニウム−銀/銀ハロゲン化物、アルミニウム−銀/塩化銀、アルミニウム−銀/臭化銀、アルミニウム−銀/ヨウ化銀、アルミニウム−銀/フッ化銀、アルミニウム−炭素、銅−銀/銀ハロゲン化物、銅−銀/塩化銀、銅−銀/臭化銀、銅−銀/ヨウ化銀、銅−銀/フッ化銀、鉄−銅、鉄−銅/酸化銅、銅−炭素 鉄−銅/銅ハロゲン化物、鉄−銀、鉄−銀/酸化銀、鉄−銀/銀ハロゲン化物、鉄−銀/塩化銀、鉄−銀/臭化銀、鉄−銀/ヨウ化銀、鉄−銀/フッ化銀、鉄−金、鉄−導電性炭素、亜鉛−導電性炭素、銅−導電性炭素、マグネシウム−導電性炭素、及びアルミニウム−炭素が挙げられるが、これらに限定されない。
【0023】
第1導電材料又は第2導電材料、特に第1導電材料はまた、合金であってもよい。合金の非限定的な例としては、第1導電材料として亜鉛、鉄、アルミニウム、マグネシウム、銅、及びマンガンの合金、第2導電材料として銀、銅、ステンレス鋼及び金の合金が挙げられる。
【0024】
1つの実施形態では、第1導電材料から作製される微粒子は、第2及び第3導電材料のような数種の導電材料で部分的にコーティングされる。更なる実施形態では、微粒子は少なくとも95重量%の第1導電材料、第2導電材料、及び第3導電材料を含む。1つの実施形態では、第1導電材料は亜鉛であり、第2導電材料は銅であり、第3導電材料は銀である。
【0025】
1つの実施形態では、第1導電材料と第2導電材料の標準電極電位(又は簡単に標準電位)の差は、少なくとも約0.1ボルト、例えば、少なくとも0.2ボルトである。1つの実施形態では、ガルバーニ対を構成する材料は、約3ボルト以下の標準電極電位を有する。例えば、金属亜鉛及び銅を含むガルバーニ対では、亜鉛の標準電位は−0.763V(Zn/Zn2)であり、銅の標準電位は+0.337(Cu/Cu2)であり、したがって、標準電位の差は亜鉛−銅ガルバーニ対で1.100Vである。同様に、マグネシウム−銅ガルバーニ対では、マグネシウムの標準電位(Mg/Mg2)は−2.363Vであり、したがって、標準電位の差は2.700Vである。ガルバーニ対に好適ないくつかの材料の標準電位値の追加例は、Ag/Ag:+0.799V、Ag/AgCl/Cl:0.222V、及びPt/H/H:0.000Vである。Ptはまた、炭素又は別の導電材料に置き換えられてもよい。例えば、物理化学(Physical Chemistry)、ゴードン(Gordon)M.バロー(Barrow)、第4版、マグローヒル・ブック・カンパニー(McGraw-Hill Book Company)、1979年、626ページを参照のこと。
【0026】
ガルバーニ微粒子の製造
1つの実施形態では、導電金属インクの(例えば、ポリマー結合剤との)化学的、電気化学的、物理的、又は機械的加工(無電解めっき、電気めっき、真空蒸着、アーク噴霧、焼結、圧縮、加圧成形、押出成形、印刷、及び造粒のような)、及び「Asmハンドブック第7巻:粉末金属技術及び応用(Asm Handbook Volume 7: Powder Metal Technologies and Applications)」(Asm国際ハンドブック委員会(Asm International Handbook Committee)、ピーターW.リー(Peter W.Lee)編、1998年、31〜109ページ、311〜320ページ)の書籍に記載されている方法のような、粉末冶金、電子工学、及び医療機器の製造プロセスにおいて一般的に用いられる他の既知の金属コーティング及び粉末加工方法により、導電電極を組み合わせる(例えば、第2導電電極を第1導電電極に堆積させる)。別の実施形態では、全ての導電電極は、還元剤の存在下で、順次又は同時に、化学還元プロセス(例えば、無電解めっき)により製造される。還元剤の例としては、リン含有還元剤(例えば、米国特許第4,167,416号及び同第5,304,403号に記載のような次亜リン酸塩)、ホウ素含有還元剤、及び四ヒドリドホウ酸ナトリウム(NaBH4)(例えば、米国特許出願公開第20050175649号に記載のような)のようなアルデヒド又はケトン含有還元剤が挙げられる。
【0027】
1つの実施形態では、第2導電電極は、スプレーコーティング、プラズマコーティング、導電インクコーティング、スクリーン印刷、ディップコーティング、金属接着、高圧−高温下での衝撃微粒子、流動床加工、又は真空蒸着のような、物理的堆積により第1導電電極上に堆積又はコーティングされる。
1つの実施形態では、コーティング方法は、置換化学反応、つまり第1導電材料の微粒子(例えば、金属亜鉛粒子)を、第2導電材料の溶解塩(例えば、酢酸銅、乳酸銅、グルコン酸銅、又は硝酸銀)を含有する溶液と接触させることに基づいている。更なる実施形態では、方法は、第1導電材料(例えば、亜鉛粉末)の微粒子上を、又は第1導電材料の充填粉末を通して溶液を流すこと、を含む。1つの実施形態では、塩溶液は水溶液である。別の実施形態では、溶液は、アルコール、グリコール、グリセリン、又は薬剤生産において一般的に用いられる他の溶媒のような有機溶媒を含有して、第1微粒子の表面上への第2導電材料の堆積速度を調節し、それにより生成されるガルバーニ微粒子の活性を制御する。
【0028】
別の実施形態では、本発明のガルバーニ微粒子を、他の材料でコーティングして、保存中にガルバーニ材料が分解するのを防ぐ(例えば、酸素及び水分からの酸化分解)、又は電気化学的反応を調節し、使用中の電流発生を制御することもできる。ガルバーニ材料に対する代表的なコーティング材料は、無機又は有機ポリマー、天然又は合成ポリマー、生分解性又は生体吸収性ポリマー、シリカ、ガラス、種々の金属酸化物(例えば、亜鉛、アルミニウム、マグネシウム(magnisum)、又はチタンの酸化物)、及び他の低可溶性無機塩類(例えば、リン酸亜鉛)である。コーティング方法は、米国特許出願公開第5,964,936号、米国特許第5,993,526号、同第7,172812号、同第20060042509(A1)号、及び同第20070172438号に記載のような、金属粉末加工及び金属顔料生産の技術分野において既知である。
【0029】
1つの実施形態では、ガルバーニ微粒子は、無水形で、例えば、乾燥粉末として、又は結合剤で布地に固定されて、又は本質的に無水非導電有機溶媒組成物(例えば、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、液体シリコーン、及び/又はアルコールに溶解した)として保存される。別の実施形態では、ガルバーニ微粒子は、無水担体に埋め込まれる(例えば、ポリマーの内側)又は基材上にコーティングされる(例えば、コーティングとして、又は創傷包帯若しくはデンタルフロスのようなヘルスケア製品のコーティング層で)。更に別の実施形態では、ガルバーニ微粒子は、貯蔵寿命(self-life)の安定性を達成する、ガルバーニ微粒子の活性化を遅延させる、又はガルバーニ微粒子の作用を延長するために、マイクロカプセル、リポソーム、ミセルの組成物にカプセル化される、又は乳化系の水中油型(O/W)又は油中水型(W/O)タイプの親油性相(例えば、W/Oローション、 W/O軟膏、又はO/Wクリーム)、並びに自己乳化組成物に埋め込まれる。
【0030】
ガルバーニ微粒子はまた、錠剤に圧縮される、錠剤コーティングフィルム中のポリマー組成物に組み込まれる、硬質若しくは軟質ゼラチンカプセルに組み込まれる、又はろう状材料(例えば、坐剤で用いられるとき)若しくはポリマー(インプラント製品で用いられるとき、生体吸収性ポリマーに、又は歯科用ブレスレット(dental bracelet)及び歯ブラシで用いられるとき生体適合性ポリマーに)に組み込まれることもできる。マイクロカプセルで用いられるコーティング(シェル)材料は、腸溶性(enteric property)を有する(例えば、酸性条件で不溶性であり、中性pH付近又はそれに等しいpH値で媒質に曝露されたときのみ可溶性である)、又は水及び溶質分子並びにイオンに対してpH感受性透過性を有する、又は生分解性若しくは生体吸収性であることができる。
【0031】
組成物及び製品
ガルバーニ微粒子は非常に多用途性であり、摂取可能な組成物(錠剤及び溶液のような)、局所用組成物(クリーム、ローション、ゲル、シャンプー、洗剤、粉末パッチ、包帯、及び皮膚又は粘膜に適用するためのマスクのような)、衣類(肌着、下着、ブラジャー、ショーツ、パンツ、ストッキング、靴下、ヘッドキャップ、顔用マスク、手袋、及びミトンのような)、リネン(タオル、枕カバー又はケース、及びベッド用シーツのような)、並びにパーソナル及び医療製品(家庭用及び臨床応用消毒製品、植物用殺微生物剤(microcide)のような)、及び装置(歯ブラシ、デンタルフロス、歯周インプラント又は挿入物、歯列矯正用ブレース、関節ラップ/サポート、口内パッチ、コンタクトレンズのような眼球挿入物又はインプラント、鼻用インプラント又は挿入物、及びコンタクトレンズ洗浄製品、創傷包帯、おむつ、生理用ナプキン、及び拭き取り用品、タンポン、直腸及び膣坐剤、並びに医療機器のガルバーニ微粒子コーティング又はガルバーニ微粒子の埋め込まれた表面、並びに抗微生物又は他の有益な効果が望ましい場合他の表面)のようなヒト及び動物用の多くの消費者製品及び医薬品で用いることができる。このような組成物及び製品の多くについては以下で更に論じる。
【0032】
1つの実施形態では、ガルバーニ微粒子は、隔膜症状の治療を促進する特定の所望の生物学的反応を誘発する(例えば、皮膚、腸、若しくは粘膜を通じた電流通過、及び/又は活性剤の送達の強化により誘発される)。1つの実施形態では、ガルバーニ微粒子は、イオン導入及び/又は電気浸透による活性剤の送達を強化するため、並びに接触した組織を治療するため(例えば、血行を増大させる又は他の効果のため)の電気刺激を提供するためのような、症状を治療するための複数の作用機序を提供する。
【0033】
「活性剤」は、治療用薬物又は美容剤のような、隔膜及びその周りの組織に対して美容又は治療的効果を有する化合物(例えば、合成化合物又は天然原料から単離された化合物)(例えば、人体に生物学的作用を及ぼすことのできる物質)を意味する。このような治療用薬物の例としては、小分子、ペプチド、タンパク質、核酸物質、及びミネラルのような栄養素、及び抽出物が挙げられる。担体中の活性剤の量は、活性剤及び/又は組成物若しくは製品の意図する用途に応じて決定される。1つの実施形態では、ガルバーニ微粒子を含有する組成物は、安全で有効な量の活性剤、例えば、組成物の約0.001重量%〜約20重量%、例えば、約0.01重量%〜約10重量%を更に含有する。
【0034】
ガルバーニ微粒子を活性剤(抗微生物剤、抗炎症剤、及び鎮痛剤のような)と組み合わせて、その活性剤の生物学的又は治療的効果を高める又は増強することができる。別の実施形態では、ガルバーニ微粒子はまた、他の物質と組み合わせて、ガルバーニ微粒子の活性を高める又は増強することもできる。ガルバーニ微粒子の活性を高める又は増強することができる物質としては、有機溶媒(アルコール、グリコール、グリセリン、ポリエチレングリコール、及びポリプロピレングリコールのような)、表面活性剤(非イオン性界面活性剤、双極性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、及びポリマー界面活性剤)、並びに水溶性ポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。例えば、本発明のガルバーニ微粒子は、タンパク質、多糖類、種々の分子量のヒアルロン酸、ヒアルロン酸類似体、ポリペプチド、及びポリエチレングリコールが挙げられるが、これらに限定されない合成又は天然ポリマーと、コンジュゲート又は複合体を形成することができる。
【0035】
1つの実施形態では、組成物はキレート剤又はキレート化剤を含有する。キレート剤の例としては、グリシンのようなアミノ酸、ラクトフェリン、エデト酸塩、クエン酸塩、ペンテト酸塩、トロメタミン、ソルビン酸塩、アスコルビン酸塩、デフェロキサミン、これらの誘導体、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。有用なキレート剤の他の例は、米国特許第5,487,884号及び国際公開第91/16035号及び同第91/16034号に開示されている。
【0036】
ガルバーニ微粒子の使用方法
1つの実施形態では、ガルバーニ微粒子を用いて、軟組織(例えば、皮膚、粘膜、上皮、創傷、眼及びその周りの組織、軟骨、及び靱帯、腱、又は半月のような他の軟質筋骨格組織)、硬組織(例えば、骨、歯、爪床、又は毛包)、及び軟組織−硬組織結合体(例えば、歯に含まれる歯周領域、骨、又は関節の軟組織の周りの通道組織(conductive tissue))を含む、このような療法的治療を必要とする体の標的箇所に直接(例えば、局所的に又は体の内側のいずれかに)ガルバーニ微粒子を適用することにより、意図する療法的電気刺激効果を提供する。
【0037】
このような療法的効果としては、抗微生物効果(例えば、抗細菌、抗真菌、抗ウイルス、及び抗寄生虫効果)、表面組織又は深部組織における効果を含む抗炎症効果(例えば、軟組織の浮腫若しくは発赤を低減又は除去する)、疼痛、かゆみ、若しくは他の感覚的不快感(例えば、頭痛、針痛、又はうずくようなしびれ)の除去又は低減、軟組織及び硬組織の両方の再生又は治癒の強化、幹細胞の分化の調節、又は組織成長の調節(例えば、爪の成長速度を高める、又は脱毛症による抜け毛を再成長させる)若しくは軟組織の体積の増加(例えば、皮膚又は唇におけるコラーゲン又はエラスチンの増加)のような組織発達、脂肪細胞(adipocyte)代謝の増加又は体の外観の向上(例えば、体の輪郭又は形状に対する効果)、並びに血液又はリンパ球の循環の増加が挙げられるが、これらに限定されない。
【0038】
当業者は、好適な、既知の及び一般に認められた細胞及び/又は動物モデルを使用したインビボ並びにインビトロの両方における試験により、成分、組成物、又は製品の、所定の症状を治療又は予防する能力を予測できることを認識するであろう。当業者は更に、健康な患者及び/又は所定の症状若しくは障害に罹患している患者におけるファースト・イン・ヒューマン(first-in-human)試験、用量設定試験、及び有効性試験を含むヒト臨床試験が、臨床及び医療分野で周知の方法に従って完了し得ることを認識するであろう。
【0039】
摂取可能な組成物
本発明で有用な摂取可能な組成物は、このような治療を必要とするヒトのような哺乳類による摂取に好適な組成物を含む。1つの実施形態では、組成物は安全で有効な量の(i)ガルバーニ微粒子と、(ii)製薬上許容できる担体とを含有する。
【0040】
1つの実施形態では、摂取可能な組成物は、本明細書では、投薬量単位あたり(例えば、錠剤、カプセル、粉剤、注射、茶さじ一杯等)、上記のような有効用量を送達するのに必要なガルバーニ微粒子及び/又は活性剤の量を含有する。1つの実施形態では、摂取可能な組成物を、本明細書では、単位投薬量単位あたり、約1mg〜約5g、例えば、約50mg〜約500mgのガルバーニ微粒子及び/又は活性剤を含有し、約1mg/kg/日〜約1g/kg/日、例えば、約50〜約500mg/kg/日の投薬量で投与してもよい。しかしながら、投薬量は、患者の要求量、治療されている症状の重症度、及び使用されるガルバーニ微粒子に応じて変動し得る。連日投与又は周期後投与のいずれを用いてもよい。1つの実施形態では、これらの組成物は、錠剤、丸薬、カプセル、粉剤、顆粒、溶液又は懸濁液、及びドロップのような単位剤形である。
【0041】
1つの実施形態では、組成物は、治療される患者への投薬量を症状的に調節するために、1、5、10、25、50、100、150、200、250、500及び/又は1000ミリグラムのガルバーニ微粒子及び/又は活性剤を含有するもののような、錠剤の形態で提供される。組成物は、1日当たり1〜4回の投薬計画で投与されてもよい。有利なことに、組成物は、1回に一日投薬量を投与してもよく、又は全一日投薬量を一日2回、3回若しくは4回に分割して投与してもよい。
【0042】
投与する最適投薬量は、当業者が容易に決定することができ、そして使用する具体的なガルバーニ微粒子及び/又は活性剤、投与方法、製剤の強度、及び治療される疾患/症状の進行に応じて変動する。更に、患者の年齢、体重、食事及び投与時間を含む、治療する具体的な患者と関連する因子が、投薬量を調整する必要性をもたらす。
【0043】
本明細書に記載の本発明のガルバーニ微粒子を1種以上含有する摂取可能な組成物を、従来の薬剤調剤技術に従って、ガルバーニ微粒子を製薬上許容できる担体と密接に混合することにより調製できる。担体は、製剤の種類に応じて広範な形態をとることができる。したがって、懸濁液、エリキシル剤、及び溶液のような液体調製物では、好適な担体及び添加剤としては、水、グリコール、アルコール、シリコーン、ろう、着香剤、緩衝剤(クエン酸緩衝剤、リン酸緩衝剤、乳酸緩衝剤、グルコン酸緩衝剤のような)、保存剤、安定剤、着色剤等が挙げられるが、これらに限定されず、粉剤、カプセル、及び錠剤のような固体調製物では、好適な担体及び添加剤としては、デンプン、糖類、希釈剤、造粒剤、潤滑剤、結合剤、崩壊剤などが挙げられる。固体経口調製物はまた、糖類、可溶性ポリマーフィルム、不溶性であるが溶質浸透性であるポリマーフィルムのような物質でコーティングされてもよい。経口調製物はまた、腸溶性コーティングでコーティングされてもよく、これは酸性胃環境で不溶性であるが、ガルバーニ微粒子作用の主要部位を調節するためにpHが中性になるとき腸で溶解する。製品の保存及び安定性については、ガルバーニ微粒子は、好ましくは無水又は比較的非導電性相又は区画に保持されるべきである。
【0044】
錠剤のような固形組成物を調製するために、ガルバーニ微粒子を製薬上許容できる担体、例えば、コーンスターチ、ラクトース、ショ糖、ソルビトール、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、リン酸ニカルシウム又はガムのような通常の錠剤成形成分、及び他の製薬上許容できる希釈剤と混合して、ガルバーニ微粒子の均質な混合物を含有する固形予調剤(preformulation)組成物を形成する。これらの予調剤組成物を均質と称するとき、これは、ガルバーニ微粒子が組成物全体にむらなく分散し、その結果、組成物は同等に有効な、錠剤、丸剤及びカプセル剤のような剤形に容易に分割できることを意味する。この固体予調剤組成物を、次いで、上記種類の単位剤形に更に分割してもよい。新規な組成物の錠剤又は丸剤は、長期間作用するという利点を付与する剤形を提供するためにコーティングすることができる、又は別の方法で配合することができる。例えば、錠剤又は丸剤は、内側投薬成分及び外側投薬成分を含むことができ、後者は前者の外被の形態である。2つの成分は、胃での崩壊を阻止し、また内側成分を無傷で十二指腸内まで通過させる、又は放出を遅延させることができる腸溶性の層により分離されてもよい。このような腸溶性層又はコーティング用には様々な材料を使用することができ、そのような材料としては、セラック、セチルアルコール及び酢酸セルロースのような材料を伴う多数のポリマー酸が挙げられる。
【0045】
(a)胃腸疾患治療用の摂取可能な組成物
1つの実施形態では、ガルバーニ微粒子を含有する摂取可能な組成物は、潰瘍、下痢、及び胃腸痛のような胃腸疾患の治療に用いられる。
【0046】
1つの実施形態では、ガルバーニ微粒子を、ビスマス(次サリチル酸ビスマスのような)、ロペラミド、シメチコン、ニタゾキサニド、シプロフロキサシン、及びリファキシミン、これらの塩類及びプロドラッグ(エステルのような)が挙げられるが、これらに限定されない、下痢を治療することが知られている活性剤と組み合わせてもよい。
【0047】
1つの実施形態では、ガルバーニ微粒子を、ランソプラゾール、ナプロキセン、エソメプラゾール、ファモチジン、ニザチジン、ラニチジン、及びオメプラゾール、並びにこれらの塩類及びプロドラッグが挙げられるが、これらに限定されない、胃潰瘍を治療することが知られている活性剤と組み合わせてもよい。
【0048】
1つの実施形態では、ガルバーニ微粒子を、モキシフロキサシン、シプロフロキサシン、セフタジジム、ゲンタマイシン、エルタペネム、セフェピム、セフォキシチン、シラスタチン、イミペネム、セフトリアキソン、クラブラン酸、及びチカルシリン、並びにこれらの塩類及びプロドラッグが挙げられるが、これらに限定されない、腹腔内感染を治療することが知られている活性剤と組み合わせてもよい。
【0049】
(b)疼痛治療用の摂取可能な組成物
1つの実施形態では、ガルバーニ微粒子を含有する摂取可能な組成物は、疼痛(咽喉痛のような)の治療に用いられる。経口剤形は、これらに限定されないが、トローチ剤又は液体の形態であってもよい。ガルバーニ微粒子を、アセトアミノフェン、デキストロメトルファン、偽エフェドリン、クロルフェニラミン、偽エフェドリン、グアイフェネシン、ドキシルアミン、亜鉛、及びイブプロフェン、並びにこれらの塩類及びプロドラッグが挙げられるが、これらに限定されない、咽頭痛を治療することが知られている活性剤と組み合わせてもよい。
【0050】
(c)経口栄養補助食品用の摂取可能な組成物
1つの実施形態では、ガルバーニ微粒子を含有する摂取可能な組成物は、経口栄養補助食品として、又は経口栄養補助食品の補完物として用いられる。経口剤形は、トローチ剤、錠剤、カプレット、粉剤、又は液体の形態であってもよいが、これらに限定されない。ガルバーニ微粒子を、二塩基性リン酸カルシウム、酸化マグネシウム、塩化カリウム、微結晶セルロース、アスコルビン酸(ビタミンC)、フマル酸第1鉄、炭酸カルシウム、dl−アルファ酢酸トコフェロール(ビタミンE)、アカシア、パルミチン酸アスコルビル、ベータカロチン、ビオチン、BHT、パントテン酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、塩化第2クロム、クエン酸、クロスポビドン、酸化第2銅、シアノコバラミン(ビタミンB12)、エルゴカルシフェロール(ビタミンD)、葉酸、ゼラチン、ヒプロメロース、ルテイン、リコピン、ホウ酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、硫酸マンガン、ナイアシンアミド、硫酸ニッケル、フィトナジオン(ビタミンK)、ヨウ化カリウム、塩酸ピリドキシン(ビタミンB)、リボフラビン(ビタミンB)、二酸化ケイ素、アルミノケイ酸ナトリウム、アスコルビン酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、メタバナジン酸ナトリウム、モリブデン酸ナトリウム、セレン酸ナトリウム、ソルビン酸、塩化スズ、スクロース、硝酸チアミン(ビタミンB)、二酸化チタン、三塩基リン酸カルシウム、ビタミンA酢酸塩(ビタミンA)、及び酸化亜鉛、並びにこれらの塩類及びプロドラッグが挙げられるが、これらに限定されない、ビタミン及びミネラルの経口栄養補助食品と組み合わせてもよい。
【0051】
それに加えて、1つの実施形態では、ガルバーニ微粒子の金属成分は、例えば、インサイチュで亜鉛イオンに変換される亜鉛金属のように、インサイチュで生成されるミネラル栄養補助食品として機能し得る。
【0052】
局所用皮膚組成物
1つの実施形態では、本発明で有用な局所用組成物は、ヒトの皮膚のような哺乳類の皮膚に投与するのに好適なガルバーニ微粒子を含有する組成物を含む。1つの実施形態では、組成物は、安全で有効な量の(i)ガルバーニ微粒子と、(ii)製薬上許容できる担体とを含有する。
【0053】
組成物から、リーブオン製品(ローション、クリーム、ゲル、スティック、スプレー、及び軟膏のような)、皮膚洗浄製品(液体洗浄液、固形石鹸、及び拭き取り用品のような)、毛髪用製品(シャンプー、コンディショナー、スプレー、及びムースのような)、ひげそり用クリーム、皮膜形成製品(マスクのような)、メークアップ(ファンデーション、アイライナー、及びアイシャドーのような)、防臭剤及び制汗剤組成物等が挙げられるが、これらに限定されない広範な製品を作製することができる。これらの製品の種類は、溶液、懸濁液、マイクロエマルション及びナノエマルションのようなエマルション、ゲル、及び固体担体形が挙げられるが、これらに限定されない製薬上許容できる担体形を数種含有してもよい。当業者は他の製品形態を配合することができる。
【0054】
1つの実施形態では、組成物又は製品は、皮膚症状の治療に用いられる。このような治療の例としては、にきび(例えば、黒にきび及び白にきび)、酒さ、結節嚢腫(nodule-cystic)、及び他の皮膚の微生物感染症の治療、皮膚の老化の目に見える兆候(例えば、しわ、たるみ、黄ばみ及び老年性斑点)の低減、皮膚の引き締め(firming)、皮膚の弾力性の強化、毛嚢炎及び偽鬚髯毛嚢炎、皮脂の調節(例えば、皮脂の減少又は脂性/光っている皮膚の外観の抑制又は制御)、色素沈着の調節(例えば、そばかす、黒皮症、光線性及び老人性ほくろ、しみ、炎症後メラニン増加症、ベッカー型痣、並びに顔の黒色症の低減、又は色白の皮膚における色素沈着の強化)、毛髪成長の遅延(例えば、足の皮膚)、又は毛髪の刺激(例えば、頭皮への)、並びに皮膚炎(例えば、アトピー性、接触性、又は脂漏性皮膚炎)、目の下のくま、伸展線、セルライト、多汗(例えば、発汗過多)、及び/又は乾癬の治療が挙げられるが、これらに限定されない。
【0055】
(a)局所用抗にきび/抗酒さ組成物
1つの実施形態では、組成物又は製品は抗にきび及び/又は抗酒さ活性剤を含有する。抗にきび及び抗酒さ剤の例としては、トレチノイン、イソトレチノイン、モトレチニド、アダパレン、タザロテン、アゼライン酸、及びレチノールのようなレチノイド、サリチル酸、過酸化ベンゾイル、レゾルシノール、イオウ、スルファセタミド、尿素、テトラサイクリン、クリンダマイシン、メトロニダゾール、及びエリスロマイシンのような抗生物質、コルチコステロイド(例えば、ヒドロコルチゾン)、イブプロフェン、ナプロキセン、及びヘトプロフェンのような抗炎症剤、並びにケトコナゾール及びエルビオールのようなイミダゾール、並びにこれらの塩類及びプロドラッグが挙げられるが、これらに限定されない。抗にきび活性剤の他の例としては、エッセンシャル・オイル、アルファ−ビサボロール、グリチルリチン酸二カリウム、樟脳、β−グルカン、アラントイン、ナツシロギク、ダイズイソフラボンのようなフラボノイド、ノコギリパルメット、EDTAのようなキレート化剤、銀及び銅イオンのようなリパーゼ抑制因子、加水分解された植物蛋白質、塩化物、ヨウ化物、フッ化物の無機イオン、並びにこれらの非イオン性誘導体の塩素、ヨウ素、フッ素、及びその他の原子価の物質、アルラシルク(Arlasilk)(商標)リン脂質CDM、SV、EFA、PLN、及びGLA(ユニケマ(Uniqema)、ICIグループ・オブ・カンパニーズ(ICI Group of Companies)、英国ウイルトン)のような合成リン脂質及び天然リン脂質が挙げられる。
【0056】
(b)局所用老化防止組成物
1つの実施形態では、組成物又は製品は老化防止剤を含有する。好適な老化防止剤の例としては、二酸化チタン及び酸化亜鉛のような無機日焼け止め剤、メトキシケイヒ酸オクチルのような有機日焼け止め剤、レチノイド、ジメチルアミノエタノール(DMAE)、銅含有ペプチド、ビタミンE、ビタミンA、ビタミンC、及びビタミンBのようなビタミン、並びにアスコルビン酸ジ−グルコシド及びビタミンE酢酸塩又はパルミチン酸のようなビタミンの塩類又は誘導体、グリコール酸、クエン酸、乳酸、リンゴ酸、マンデル酸、アスコルビン酸、アルファーヒドロキシ酪酸、アルファ−ヒドロキシイソ酪酸、アルファ−ヒドロキシイソカプロン酸、アトロラクチン酸(atrrolactic acid)、アルファ−ヒドロキシイソ吉草酸、ピルビン酸エチル、ガラクツロン酸、グルコヘプトン酸、グルコヘプトノ1,4−ラクトン、グルコン酸、グルコノラクトン、グルクロン酸、グルクロノラクトン、ピルビン酸イソプロピル、ピルビン酸メチル、粘液酸、ピルビン酸、糖酸、糖酸1,4−ラクトン、酒石酸、及びタルトロン酸のようなアルファ−ヒドロキシ酸並びにこれらの前駆体、ベータ−ヒドロキシ酪酸、ベータ−フェニル乳酸、及びベータ−フェニルピルビン酸のようなベータ−ヒドロキシ酸、テトラヒドロキシプロピルエチレン−ジアミン、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン(THPED)、並びに緑茶、ダイズ、オオアザミ、藻、アロエ、アンゼリカ、ダイダイ、コーヒー、オウレン、グレープフルーツ、ホウレン(hoellen)、セイヨウスイカズラ、ジュズダマ、リソスペルマム(lithospermum)、クワ、ボタン、プエラルア(puerarua)、ナイス(nice)、及びベニバナのような植物抽出物、並びにこれらの塩類及びプロドラッグが挙げられるが、これらに限定されない。
【0057】
(c)局所用色素脱失組成物
1つの実施形態では、組成物又は製品は色素脱失剤を含有する。好適な色素脱失剤の例としては、ダイズ抽出物、ダイズイソフラボン、レチノールのようなレチノイド、コウジ酸、コウジ酸ジパルミテート(kojic dipalmitate)、ヒドロキノン、アルブチン、トラネキサム酸、ナイアシン及びビタミンCのようなビタミン、アゼライン酸、リノレン酸及びリノール酸、プラセルチア(placertia)、カンゾウ、並びにカモミール及び緑茶のような抽出物、並びにこれらの塩類及びプロドラッグが挙げられるが、これらに限定されない。
【0058】
(d)局所用抗乾癬組成物
1つの実施形態では、組成物又は製品は抗乾癬活性剤を含有する。抗乾癬活性剤(例えば、脂漏性皮膚炎治療のため)の例としては、コルチコステロイド(例えば、ジプロピオン酸ベタメタゾン、吉草酸ベタメタゾン、プロピオン酸クロベタゾール、酢酸ジフロラゾン、プロピオン酸ハロベタゾール、トリアムシノニド、デキサメタゾン、フルオシノニド、フルオシノロンアセトニド、ハルシノニド、酢酸トリアムシノロン、ヒドロコルチゾン、吉草酸ヒドロコルチゾン、酪酸ヒドロコルチゾン、ジプロピオン酸アルクロメタゾン(aclometasone dipropionte)、フルランドレノリド、フロ酸モメタゾン、酢酸メチルプレドニゾロン)、メトトレキサート、シクロスポリン、カルシポトリエン、アントラリン(anthraline)、シェール油及びその誘導体、エルビオール、ケトコナゾール、石炭タール、サリチル酸、ジンクピリチオン、硫化セレン、ヒドロコルチゾン、硫黄、メントール、及び塩酸プラモキシン、並びにこれらの塩類及びプロドラッグが挙げられるが、これらに限定されない。
【0059】
(e)他の成分
1つの実施形態では、組成物又は製品は活性剤として植物抽出物を含有する。植物抽出物の例としては、ナツシロギク、ダイズ、グリシン・ソヤ、オート麦、小麦、アロエ・ベラ、クランベリー、マンサク、ウサギギク、カワラヨモギ、細辛の根、カバノキ、キンセンカ、カモミール、シンジウム、ヒレハリソウ、ウイキョウ、ガラ・ロイス(galla rhois)、サンザシ、ドクダミ、オトギリソウ、ナツメ、キウイ、カンゾウ、モクレン、オリーブ、ペパーミント、フィロデンドロン、サルビア、クマザサ(sasa albo- marginata)、天然のイソフラボノイド、ダイズイソフラボン、及び天然のエッセンシャル・オイルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0060】
1つの実施形態では、組成物又は製品は、クエン酸緩衝剤、リン酸緩衝剤、乳酸緩衝剤、グルコン酸緩衝剤のような緩衝剤、又はゲル化剤、増粘剤、又はポリマーを含有する。
【0061】
1つの実施形態では、組成物又は製品は、ラベンダー及びカモミールのような、ストレス緩和、鎮静、及び/又は睡眠への影響に有効な芳香剤を含有する。
【0062】
局所用粘膜組成物
1つの実施形態では、本発明で有用な局所用組成物は、ヒトの口腔、直腸、及び膣粘膜のような粘膜に投与するのに好適なガルバーニ微粒子を含有する組成物を含む。1つの実施形態では、組成物は、安全で有効な量の(i)ガルバーニ微粒子と、(ii)製薬上許容できる担体とを含有する。
【0063】
組成物から、膣用クリーム、タンポン、坐剤、フロス、洗口剤、練り歯磨きが挙げられるが、これらに限定されない粘膜に適用するための広範な製品を作製できる。当業者は他の製品形態を配合することができる。
【0064】
1つの実施形態では、組成物又は製品は粘膜症状の治療に用いられる。このような治療の例としては、膣のカンジダ症及び膣疾患、生殖器及び口のヘルペス、口内炎、口腔衛生、歯周病、歯のホワイトニング、口臭、バイオフィルム付着予防、並びに他の粘膜の微生物感染症の治療が挙げられるが、これらに限定されない。
【0065】
ガルバーニ微粒子を、チオコナゾール、クロトリマゾール、及びナイスタチン等であるが、これらに限定されない活性物質とともに、カンジダ症の治療用組成物に組み込んでもよい。
【0066】
ガルバーニ微粒子を、塩酸クリンダマイシン及びメトロニダゾール等であるが、これらに限定されない活性物質とともに、細菌性膣炎の治療用組成物に組み込んでもよい。
【0067】
ガルバーニ微粒子を、ミノサイクリン等であるが、これらに限定されない活性物質とともに、歯周病の治療用組成物に組み込んでもよい。
【0068】
創傷及び瘢痕の治療用組成物
1つの実施形態では、ガルバーニ微粒子を、創傷包帯及び包帯に組み込んで、治癒強化及び瘢痕予防のための電気療法を提供する。1つの実施形態では、創傷滲出液及び/又は創傷洗浄溶液は、(i)創傷包帯/包帯の中に予め組み込まれている活性物質を送達させるために、並びに/又は、(ii)電気化学的に有益な金属イオンを発生させた後に、その有益な金属イオンを創傷に送達させるために、並びに/又は(iii)血液循環を増加させ、組織の免疫応答を刺激し、及び/若しくは組織の炎症を抑制することのできる、療法的電流により創傷を治療するために(これは、治癒の加速及び瘢痕の低減を導く可能性がある)、ガルバーニ微粒子を含む創傷包帯/包帯を活性化させるように機能する。
【0069】
1つの実施形態では、組成物又は製品は、局所用抗生物質、抗微生物剤、創傷治癒強化剤、局所用抗真菌薬、抗乾癬薬、及び抗炎症剤のような、局所用創傷及び瘢痕治療用として一般的に用いられる活性剤を含有する。
【0070】
抗真菌薬の例としては、ミコナゾール、エコナゾール、ケトコナゾール、セルタコナゾール、イトラコナゾール、フルコナゾール、ボリコナゾール、クリオキノール、ビフォコナゾール(bifoconazole)、テルコナゾール、ブトコナゾール、チオコナゾール、オキシコナゾール、スルコナゾール、サペルコナゾール、クロトリマゾール、ウンデシレン酸、ハロプロジン、ブテナフィン、トルナフテート、ナイスタチン、シクロピロクスオラミン、テルビナフィン、アモロルフィン、ナフチフィン、エルビオール、グリセオフルビン、並びにこれらの製薬上許容できる塩類及びプロドラッグが挙げられるが、これらに限定されない。1つの実施形態では、抗真菌薬はアゾール、アリルアミン、又はこれらの混合物である。
【0071】
抗生物質(又は防腐剤)の例としては、ムピロシン、硫酸ネオマイシン、バシトラシン、ポリミキシンB、1−オフロキサシン、テトラサイクリン(塩酸クロルテトラサイクリン、塩酸オキシテトラサイクリン−10及び塩酸テトラサイクリン)、リン酸クリンダマイシン、硫酸ゲンタマイシン、メトロニダゾール、ヘキシルレゾルシノール、塩化メチルベンゼトニウム、フェノール、第四級アンモニウム化合物、ティー・ツリー油、並びにこれらの製薬上許容できる塩類及びプロドラッグが挙げられるが、これらに限定されない。
【0072】
抗微生物剤の例としては、ロドプロピニルブチルカルバメート、ジアゾリジニル尿素、二グルコン酸クロルヘキシデンジグルコネート、酢酸クロルヘキシデン、イセチオン酸クロルヘキシデン、及び塩酸クロルヘキシデンのような、クロルヘキシジンの塩類が挙げられるが、これらに限定されない。塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、トリクロカーボン(triclocarbon)、ポリヘキサメチレンビグアニド、塩化セチルピリジウム、塩化メチル及びベンゼトニウムのような、他のカチオン性抗微生物剤を用いてもよい。他の抗微生物剤としては、2,4,4’−トリクロロ−2−ヒドロキシジフェニルエーテル(トリクロサン)のような、ハロゲン化フェノール性化合物、パラクロロメタキシレノール(PCMX)、及びエタノール、プロパノール等のような、短鎖アルコールが挙げられるが、これらに限定されない。1つの実施形態では、アルコールは、隔膜の過度の乾燥を引き起こさないように低濃度(例えば、担体の約10重量%未満、例えば、担体の5重量%未満)である。
【0073】
ヘルペス及び肝炎のようなウイルス感染症のための抗ウイルス剤の例としては、イミキモド及びその誘導体、ポドフィロックス、ポドフィリン、インターフェロンアルファ、アシクロビル、ファムシクロビル(famcyclovir)、バラシクロビル(valcyclovir)、レチキュロス(reticulos)及びシドフォビル、並びにこれらの塩類及びプロドラッグが挙げられるが、これらに限定されない。
【0074】
抗炎症剤の例としては、ヒドロコルチゾン、ヒドロキシルトリアムシノロン、アルファメチルデキサメタゾン、リン酸デキサメタゾン、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、吉草酸クロベタゾール、デソニド、デオキシメタゾン、酢酸デソキシコルチコステロン、デキサメタゾン、ジクロリゾン、酢酸ジフロラゾン、吉草酸ジフルコルトロン、フルアドレノロン、フルクラロロンアセトニド(fluclarolone acetonide)、フルドロコルチゾン、ピバル酸フルメタゾン、フルオシノロンアセトニド、フルオシノニド、フルコルチンブチルエステル(flucortine butylester)、フルオコルトロン、酢酸フルプレドニデン(フルプレドニリデン)(fluprednidene (fluprednylidene) acetate)、フルランドレノロン、ハルシノニド、酢酸ヒドロコルチゾン、酪酸ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、トリアムシノロンアセトニド、コルチゾン、コルトドキソン、フルセトニド(flucetonide)、フルドロコルチゾン、酢酸ジフルオロゾン(difluorosone diacetate)、フルラドレナロンアセトニド(fluradrenalone acetonide)、メドリゾン、アムシアフェル(amciafel)、アムシナファイド(amcinafide)、ベタメタゾン、クロルプレドニゾン、酢酸クロルプレドニゾン、クロコルテロン(clocortelone)、クレスシノロン(clescinolone)、ジクロリゾン、ジフルプレドナート、フルクロロニド(flucloronide)、フルニソリド、フルオロメタロン(fluoromethalone)、フルペロロン、フルプレドニソロン、吉草酸ヒドロコルチゾン、シクロペンチルプロピオン酸ヒドロコルチゾン、ヒドロコルタメート、メプレドニゾン、パラメタゾン、プレドニゾロン、プレドニゾン、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、ジプロピオン酸ベタメタゾン、トリアムシノロンのようなコルチコステロイド、並びにこれらの塩類及びプロドラッグのような好適なステロイド抗炎症剤が挙げられるが、これらに限定されない。1つの実施形態では、本発明で用いるためのステロイド性抗炎症剤はヒドロコルチゾンである。本発明の組成物で有用な抗炎症剤の第2の部類としては、非ステロイド性抗炎症剤が挙げられる。
【0075】
創傷治癒強化剤の例としては、組換えヒト血小板由来成長因子(PDGF)及び他の成長因子、ケタンセリン、イロプロスト、プロスタグランジンE及びヒアルロン酸、マンノース−6−リン酸のような瘢痕低減剤、鎮痛剤、麻酔剤、ミノキシジルのような毛髪成長促進剤、塩酸エフロルニチンのような毛髪成長遅延剤、抗高血圧薬、冠動脈病を治療するための薬物、抗癌剤、エンドクリン及び代謝薬、神経薬、化学薬品添加の停止のための薬物、酔い止め薬(motion sickness)、タンパク質及びペプチドの薬物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0076】
体の微生物感染の治療
1つの実施形態では、他の抗真菌活性剤の有り無しで、ガルバーニ微粒子を用いて、爪甲真菌症、スポロトリクム症、爪白癬、足白癬(水虫)、股部白癬(いんきんたむし)、体部白癬(白癬)、頭部白癬、癜風、及びおむつかぶれ、口腔カンジダ(oral thrushm)、皮膚及び膣カンジダのようなカンジダ酵母感染関連疾患(例えば、カンジダ・アルビカンス)、生殖器の発疹、癜風のような癜風菌感染関連疾患、粃糠疹毛嚢炎(Pityriasis folliculitis)、脂漏性皮膚炎、及びふけが挙げられるが、これらに限定されない真菌感染(例えば、毛瘡白癬菌のような皮膚糸状菌)を治療及び予防する。
【0077】
別の実施形態では、他の抗細菌活性剤の有り無しで、ガルバーニ微粒子を用いて、にきび、蜂窩織炎、丹毒、膿痂疹、毛嚢炎、並びにフルンケル及び癰に加えて、急性創傷及び慢性創傷(静脈性潰瘍、糖尿病性潰瘍、及び褥瘡性潰瘍)が挙げられるが、これらに限定されない細菌感染を治療及び予防する。
【0078】
別の実施形態では、他の抗ウイルス活性剤の有り無しで、ガルバーニ微粒子を用いて、伝染性軟属腫、いぼ、ヘルペス、口内炎(kanker sore)及び陰部ヘルペスのような単純ヘルペスウイルス感染が挙げられるが、これらに限定されない皮膚及び粘膜のウイルス感染を治療及び予防する。
【0079】
別の実施形態では、他の抗寄生虫活性剤の有り無しで、ガルバーニ微粒子を用いて、鉤虫感染、シラミ、疥癬、海水浴発疹及び沼地皮膚症が挙げられるが、これらに限定されない寄生虫感染を治療及び予防する。
【0080】
1つの実施形態では、微粒子は、耳感染(肺炎球菌(streptococcus oneumoniae)により引き起こされるもののような)、鼻炎及び/又は副鼻腔炎(インフルエンザ菌、カタラリス菌、黄色ブドウ球菌、及び肺炎球菌により引き起こされるもののような)、及び連鎖球菌性咽頭炎(化膿連鎖球菌により引き起こされるもののような)の治療を補助するために投与される。
【0081】
1つの実施形態では、微粒子は、動物(例えば、動物飼料として)又はヒト(例えば、栄養補助食品として)により摂取されて、飲食に起因する健康被害(例えば、カンピロバクター・ジェジュニ、リステリア・モノサイトゲネス、及びサルモネラ・エンテリカのような食品媒介病原体に起因する)の大流行を予防するのを補助する。
【0082】
薬物耐性微生物
1つの実施形態では、本発明は、病原体薬物耐性微生物を殺す方法を特徴とし、この方法は、微生物を、第1導電材料及び第2導電材料を含むガルバーニ微粒子を含有する組成物と接触させることによるものであって、第1導電材料及び第2導電材料の両方が微粒子の表面上に露出されており、第1導電材料と第2導電材料との標準電位の差が少なくとも約0.2Vである。1つの実施形態では、前記微粒子の粒径は、約10ナノメートル〜約1000マイクロメートル、例えば、約1マイクロメートル〜約100マイクロメートルである。1つの実施形態では、第2導電材料は、微粒子の総重量の約0.01重量%〜約10重量%である。1つの実施形態では、薬物耐性微生物は、MRSA及びVREのような細菌である。1つの実施形態では、微粒子は、鼻スプレー、すすぎ溶液、又は軟膏を介して投与される。
【0083】
爪治療組成物
ガルバーニ微粒子を用いて、爪の成長を刺激し、爪の強度を高め、爪感染又は変色を低減することもできる。ガルバーニ微粒子を、ミコナゾール、エコナゾール、ケトコナゾール、セルタコナゾール、イトラコナゾール、フルコナゾール、ボリコナゾール、クリオキノール、ビフォコナゾール(bifoconazole)、テルコナゾール、ブトコナゾール、チオコナゾール、オキシコナゾール、スルコナゾール、サペルコナゾール、クロトリマゾール、ウンデシレン酸、ハロプロジン、ブテナフィン、トルナフテート、ナイスタチン、シクロピロクスオラミン、テルビナフィン、アモロルフィン、ナフチフィン、エルビオール、グリセオフルビン、並びに製薬上許容できる塩類及びプロドラッグ等であるが、これらに限定されない活性物質とともに、爪甲真菌症(onychomychosis)の治療用組成物に組み込むことができる。ガルバーニ微粒子を、ビオチン、パントテン酸カルシウム(calcium panthotenate)、酢酸トコフェリル、パンテノール、フィタントリオール、コレカルシフェロール、塩化カルシウム、アロエ・バルバデンシス(葉汁)、絹タンパク質、ダイズタンパク質、過酸化水素、過酸化カルバミド、緑茶抽出物、アセチルシステイン、及びシステイン等であるが、これらに限定されない成分とともに、爪の見た目及び感触を改善するための組成物に組み込むことができる。
【0084】
組織増大組成物
1つの実施形態では、ガルバーニ微粒子を用いて、皮膚の顔のしわの見えやすさを低減する、萎縮を低減する、又はコラーゲン刺激を増加させることができる。ガルバーニ微粒子は、単独で用いてもよく、又は皮下充填剤、インプラント、歯周インプラント、筋肉内注射、及び生体吸収性ポリマーのような皮下注射のような、当該技術分野において周知である他の成分と併用してもよい。例えば、ガルバーニ微粒子をコラーゲン及び/又はヒアルロン酸注射と併用してもよい。
【0085】
別の実施形態では、ガルバーニ微粒子を、当該技術分野において既知の技術を用いて、組織工学及び器官印刷(organ printing)のための生分解性スカフォールドに組み込むことができる。
【0086】
経皮的薬物送達パッチ
1つの実施形態では、ガルバーニ微粒子は、経皮的薬物送達パッチに組み込まれて、イオン導入により皮膚への活性剤の浸透を高め、電気刺激及び亜鉛イオンのような電気的に発生する有益なイオンにより皮膚の炎症を低減する。
【0087】
このような活性剤の例としては、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、及びDNAを含む核酸物質、及び栄養素が挙げられる。ポリペプチド及びタンパク質の活性剤の例としては、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH)、バソプレシン、性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH又はLHRH)、メラノトロピン刺激ホルモン(MSH)、カルシトニン、成長ホルモン放出因子(GRF)、インスリン、エリスロポエチン(EPO)、インターフェロンアルファ、インターフェロンベータ、オキシトシン、カプトプリル、ブラジキニン、アトリオペプチン、コレシストキニン、エンドルフィン、神経成長因子、メラノサイト抑制因子I、ガストリン拮抗物質、ソマトスタチン(somatotatin)、エンセファリン(encephalins)、メラトニン、ワクチン、ボトックス(ボツリヌス神経毒素)、シクロスポリン及びその誘導体(例えば、生物学的に活性である断片又は類似体)が挙げられる。他の活性剤としては、麻酔剤、鎮痛剤(例えば、フェンタニル、及びクエン酸フェンタニルのようなその塩類)、精神障害、てんかん、及び偏頭痛を治療するための薬物、薬物添加及び乱用を止めるための薬物、抗炎症剤、高血圧、心臓血管疾患、胃液酸度及び潰瘍を治療するための薬物、ホルモン補充療法のための薬物、並びにエストロゲン及びアンドロゲンのような避妊薬、抗生物質、抗真菌剤、抗ウイルス剤及び他の抗微生物剤、抗腫瘍剤、免疫抑制剤及び免疫刺激剤、並びに造血剤及び抗凝固薬を含む血液及び造血器官に作用する薬物、血栓溶解剤、及び抗血小板剤が挙げられる。このようなパッチを用いて体内に送達できる別の活性剤としては、インフルエンザ、エイズ、肝炎、麻疹、おたふくかぜ、風疹、狂犬病、アベルセラ(avercella)、破傷風、低ガンマグロブリン血症、Rh病、ジフテリア、ボツリヌス中毒、ヘビ咬傷、クロコゴケグモ(back widow)咬傷及び他の昆虫による咬傷/刺創、突発性血小板減少性紫斑病(ITP)、慢性リンパ性白血病、サイトメガロウイルス(CMV)感染、急性腎拒絶反応、経口ポリオ、結核、百日咳、ヘモフィルスb、肺炎球菌、並びに黄色ブドウ球菌のような、種々の疾患のためのワクチンが挙げられる。
【0088】
基材への組み込み
ガルバーニ微粒子を、繊維、不織布、ヒドロコロイド、接着剤、フィルム、ポリマー、及び他の基材上に組み込むことができる。製品としては、デンタルフロス、歯ブラシ、生理用ナプキン、タンポン、包帯、創傷包帯、ギプス包帯、ヘアブラシ、及び衣類が挙げられるが、これらに限定されない。1つの実施形態では、ガルバーニ微粒子は組織の界面に接触している。基材へのガルバーニ微粒子の適用方法としては、静電スプレーコーティング、機械的篩い分け、共押出成形、接着剤噴霧が挙げられる。
【0089】
微粒子はまた、医療用インプラント又は手術具(例えば、感染予防を補助するための)上にコーティングしてもよい。
【0090】
<実施例>
本発明は、以下の実施例を用いて更に例示されるが、本発明はそれに限定されない。
【0091】
実施例1−置換化学に基づくガルバーニ微粒子の調製
(a)純粋な水性媒質中で、亜鉛粉末上に銅を無電解めっきすることにより、0.1%の銅でコーティングされた亜鉛ガルバーニ微粒子を製造した。10gの≦45マイクロメートルの亜鉛粉末を、0.22マイクロメートルのフィルタを用いて真空フィルタブフナー漏斗上に均一に広げた。5gの酢酸銅溶液を、次いで、亜鉛粉末上に均一に注ぎ、およそ30秒間反応させた。次いで、濾液が完全に吸い上げられるまで、フィルタに吸引力を適用した。得られる粉末ケーキを次いで解き放ち、10gの脱イオン水を添加し、次いで吸い出した。次いで10gのエタノールを吸引力下で粉末に添加した。次いで、粉末を注意深くフィルタ系から取り除き、デシケータ内で乾燥させた。
【0092】
(b)エタノール含有媒質中で、亜鉛粉末上に銅を無電解めっきすることにより、0.1%の銅でコーティングされた亜鉛ガルバーニ微粒子を製造した。10gの≦45マイクロメートルの亜鉛粉末を、ガラスジャーに計り入れた。0.61%w/wの酢酸銅を200proofのエタノールに溶解した。得られた銅溶液は薄い青色である。5gの酢酸銅溶液を、次いで、亜鉛粉末上に均一に注ぎ、銅溶液が透明になるまで反応させた。この反応を室温でおよそ48時間続けたところ、そのとき溶液は透明になった。複合体を0.22マイクロメートルのフィルタを用いて真空フィルタブフナー漏斗上に均一に広げた。次いで、真空濾液が完全に吸い上げられるまで、フィルタに吸引力を適用した。得られる粉末ケーキを次いで解き放ち、10gの脱イオン水を添加し、次いで吸い出した。次いで10gのエタノールを吸引力下で粉末に添加した。次いで、粉末を注意深くフィルタ系から取り除き、デシケータ内で乾燥させた。
【0093】
(c)純粋な水性媒質中で、亜鉛粉末をマグネシウム粉末に置き換えたことを除き、実施例1(a)に記載したのと同じ方法を用いて、マグネシウム粉末上に銅を無電解めっきすることにより、およそ0.1%の銅でコーティングされたマグネシウムガルバーニ微粒子を製造した。
【0094】
(d)純粋な水性媒質中で、亜鉛粉末をマグネシウム粉末に置き換え、乳酸銅溶液を塩化第一鉄溶液に置き換えたことを除き、実施例1(a)に記載したのと同じ方法を用いて、マグネシウム粉末上に鉄を無電解めっきすることにより、およそ0.1%の鉄でコーティングされたマグネシウムガルバーニ微粒子を製造した。
【0095】
実施例2−ヒドロコロイド基材上へのガルバーニ微粒子のコーティング
(a)基材上への粉末篩い分け堆積(Sieving Deposition)によるコーティングプロセス:まず、自己接着ヒドロコロイドの表面積を測定し、必要なガルバーニ微粒子の量を1.2mg/cm表面コーティングに基づいて算出した。実施例1(a)のガルバーニ微粒子を、ヒドロコロイドシートを篩の下方に定置した状態で、篩#325(45マイクロメートル)に入れた。篩を穏やかに振盪させて、ヒドロコロイド表面上に粉末を均等にコーティングした。PET剥離ライナを、ガルバーニ微粒子でコーティングされたヒドロコロイド表面上に置いた。剥離ライナは使用前に取り除く。
【0096】
(b)基材上への静電粉末堆積によるコーティングプロセス:静電粉末堆積技術を用いる基材上へのガルバーニ微粒子のコーティングの実現可能性を、市販の高電圧粉末静電コーティングシステム(HVパウダー・コーティング・システム(HV Powder Coating System)、キャスウェル社(Caswell, Inc.)(ライオンズ(Lyons)、ニューヨーク)から購入)を用いて示した。ガルバーニ微粒子及びヒドロコロイド材料、並びにサンプル調製手順は実施例2aと同じであった。HV粉末コーティングシステムの電圧設定を45kVに設定し、圧縮空気を15psi(ポンド・パー・インチ)で制御した。簡易な高速のコーティングプロセスにより、ヒドロコロイドシート上のガルバーニ粉末の均一コーティングは均一であった。
【0097】
実施例3−MRSA、酵母、及び細菌に対するガルバーニ微粒子のインビトロでの有効性
実施例1(a)のガルバーニ微粒子を、8mLの融解した寒天と混合した47℃の滅菌蒸留水2mLに懸濁させることにより、ガルバーニ微粒子を含有する寒天ディスクを製造した。次いで、混合物を100×15mmのペトリ皿に注いだ。混合物をペトリ皿内で固化させ、ガルバーニ微粒子を固定化し、寒天中に均一に分布させた。滅菌コルクボーラー(内径=12.2mm)を用いて、ガルバーニ微粒子含有寒天からより小さな寒天ディスクを切り取り、ガルバーニ微粒子の更なる試験に用いた。
【0098】
0.5%又は1%のいずれかの濃度でガルバーニ微粒子を含有する、寒天ディスク(D=12.2mm、厚さ1.2mm)を、約6logCFUの指標微生物を接種した寒天平板表面上に置いた。平板を37℃で24時間インキュベートした。阻害ゾーン(ディスクの縁から明らかな非成長ゾーンの縁の距離(mm))を、デジタルキャリパーで測定した。この試験のために2つ組(Duplicate)のサンプルを用いた。結果を表1に示す。
【表1】

結果は2つ組のサンプルの平均である。
【0099】
これらの結果は、ガルバーニ微粒子が、抗生物質耐性細菌(MRSA及びMRSE)、酵母(カンジダ・アルビカンス)、及び臭気生成種(コリネバクテリウム・アクアティカム、コリネバクテリウム・ジェイケイウム、スタフィロコッカス・ヘモリチカス、ミクロコッカス・リラエ、表皮ブドウ球菌)を含む広範な微生物に対して阻害性であることを示した。このインビトロでの有効性は、創傷感染用製品、膣の健康に関する製品、及び臭気低減製品にガルバーニ微粒子を用いる見込みを示す。
【0100】
実施例4−金属塩対照と比べた、MRSA及びコリネバクテリウム・アルビカンスに対するガルバーニ微粒子の有効性
0.1%、0.5%、若しくは1%の濃度で、実施例1(a)の銅−亜鉛ガルバーニ微粒子、又は酢酸亜鉛を含有する寒天ディスクを、マイクロウェルプレート内の生理食塩水中の約6logCFUのMRSA又はコリネバクテリウム・アルビカンスに曝露し、37℃及び200rpmで24時間インキュベートした。平板計数を実施し、インキュベート後の生存微生物を数えた。log減少は、試験物品のインキュベート前後の接種材料のlog差と定義した(例えば、6logの接種材料で6のlog減少は全ての接種材料が死んだことを意味し、6logの接種材料で3のlog減少は50%の接種材料が死んだことを意味する)。試験結果を表2に記載する。
【表2】

【0101】
結果は、ガルバーニ微粒子が金属塩対照である酢酸亜鉛より著しく高い抗微生物能を有することを示す。
【0102】
実施例5−ガルバーニ微粒子と銅金属及び亜鉛金属粉末の、MRSA及びVREに対する抗微生物活性の比較
実施例1(a)のガルバーニ微粒子銅金属粉末、亜鉛金属粉末のいずれかを含む寒天ディスク、又は対照であるTSAのみの寒天ディスクに、10e3 VRE又は10e5 MRSAのいずれかを接種した。阻害ゾーンを評価した。表3に報告する結果は、1%の銅−亜鉛ガルバーニ微粒子が接種材料の成長を完全に阻害したことを示し、一方、対照である銅金属粉末、及び亜鉛金属粉末ディスクは阻害を示さなかった。
【表3】

【0103】
実施例6−ガルバーニ微粒子と酢酸銅及び酢酸亜鉛の、コリネバクテリウム・アルビカンス及びMRSAに対する抗微生物活性の比較
0.5%の実施例1(a)の銅−亜鉛ガルバーニ微粒子、0.5%の酢酸亜鉛、及び0.1%の酢酸銅を含有する寒天ディスク上で阻害ゾーン試験を実施した。約6logCFUのMRSA又はコリネバクテリウム・アルビカンスを接種した、TSA寒天表面上にディスクを置き、37℃で24時間インキュベートした。MRSA及びコリネバクテリウム・アルビカンスの両方で、0.5%のガルバーニ微粒子は著しい、明白な阻害ゾーンを示したことが見出された。0.5%の酢酸亜鉛は、より小さな阻害ゾーンを示し、これは0.5%のガルバーニ微粒子で生じたゾーンの半径のおよそ半分であった。0.1%酢酸銅は、MRSAでもコリネバクテリウム・アルビカンスでも明白な阻害ゾーンを全く示さなかった。
【0104】
実施例7−寒天ディスクマイクロウェルアッセイによる、ガルバーニ微粒子並びに酢酸亜鉛及び酢酸銅の比較
1%の、実施例1(a)の0.1%の銅でコーティングされた亜鉛ガルバーニ微粒子、又は0.1%の酢酸銅を含有する寒天ディスクを、マイクロウェルプレート内の生理食塩水中の約6logCFUのMRSA又はコリネバクテリウム・アルビカンスに曝露し、37℃、200rpmで24時間インキュベートした。平板計数を実施し、インキュベート後の生存微生物を数えた。log減少は、試験物品のインキュベート前後の接種材料のlog差と定義した。結果を以下の表4に示す。
【表4】

【0105】
実施例8−酢酸亜鉛と比べた、ガルバーニ微粒子の長期間持続する有効性の評価
1%の実施例1(a)に記載のガルバーニ微粒子又は酢酸亜鉛を含有する寒天ディスクを、約6logCFUのMRSA又はコリネバクテリウム・アルビカンスを接種したTSA寒天表面上に置き、37℃で24時間インキュベートした(1日目)。インキュベート後、寒天ディスクの阻害ゾーンを観察し、次いでプレートから取り出し、新たに同じ接種材料を接種したTSAプレート上に置き、24時間インキュベートした(2日目)。1日目には、ガルバーニ微粒子ディスク及び酢酸亜鉛ディスクの両方でコリネバクテリウム・アルビカンス及びMRSAに対する阻害ゾーンが生じ、ガルバーニ微粒子により生じたゾーンは酢酸亜鉛ディスクによるものより大きいことが見出された。しかしながら、2日目には、ガルバーニ微粒子を含有するディスクのみが明白な阻害ゾーンを示し、酢酸亜鉛を含有するディスクは全く阻害を示さなかった。これは、ガルバーニ微粒子が持続する期間にわたって抗微生物又は阻害効果を有することを示す。
【0106】
実施例9−PHAで刺激されたヒトT細胞のサイトカイン放出の免疫調節
実施例1(a)のガルバーニ微粒子の免疫反応を調節する能力は、以下のアッセイにおいて、実施例1(a)のガルバーニ微粒子がT細胞受容体(TCR)活性化剤フィトヘムアグルチニン(PHA)で刺激された活性化ヒトT細胞によるサイトカイン産生を低減する能力により示された。
【0107】
ヒトT細胞は白血球フェレーシスを介して健常成人男性から収集された。T細胞は、フィコール勾配(Ficol gradient)を介して末梢血から単離され、細胞は無血清リンパ球成長培地(ExVivo−15、バイオホイッタカー(Biowhittaker)、ウォーカーズビル(Walkersville)、メリーランド州)中、1×10細胞/mLの密度に調整された。ヒトT細胞を、公開されている方法(ハマモト(Hamamoto)Y.ら、Exp Dermatol、2巻231〜235ページ、1993年)に従って、試験化合物の存在又は非存在下で、10mg/mLのPHAで刺激した。5%のCOを用いて37℃で48時間インキュベートした後、上清を取り除き、市販のマルチプレックス・サイトカイン検出キットを用いてサイトカイン含量を評価した。結果を表7に記載する。
【表5】

(IL−2=インターロイキン−2(サイトカイン))
【0108】
ガルバーニ微粒子は、T細胞刺激により誘発される炎症伝達物質の放出を調節できることが見出された。更に、抗炎症活性は、銅金属粉末、亜鉛金属粉末、銅イオン(酢酸銅(II))、又は亜鉛イオン(塩化亜鉛)のみよりも高かった。
【0109】
実施例10−NF−kB活性化の阻害
核因子カッパベータ(NF−kB)は、COX−2及び酸化窒素合成酵素(iNOS)のような、炎症促進性遺伝子のプロモータ領域上のNF−kB結合部位に結合する転写因子である(ベル(Bell)Sら(2003年)Cell Signal.、15(1)、1〜7ページ)。NF−kBは、シクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)のような炎症促進性タンパク質の合成を刺激することにより、ストレス、傷害、特に免疫反応の経路における、細胞活動の多くの曲面の調節に関与し、それにより炎症を導く(クーン(Chun)KSら(2004年)Carcinogenesis 25:445〜454ページ、フェントン(Fenton)MJ(1992年)Int J Immunopharmacol、14:401〜411ページ)。NF−kB自体は、炎症促進性サイトカイン(例えば、TNF−アルファ及びIL−1ベータ)、細菌毒素(例えば、LPS及び外毒素B)、多数のウイルス/ウイルス産物(例えば、HIV−1、HTLV−I、HBV、EBV、及び単純ヘルペス)、並びにアポトーシス促進及び壊死刺激(例えば、無酸素ラジカル、UV光、及びガンマ線照射)のような刺激により誘発される。NF−kB活性化を阻害すると、新規炎症促進性遺伝子の転写を生じさせる、その後のシグナル伝達を遮断することにより、炎症を低減させる可能性がある。
【0110】
太陽紫外線照射は、転写因子NF−kBを活性化し、これはエラスチン及びコラーゲンのようなマトリクスタンパク質の分解を導く恐れのあるマトリクスメタロプロテイナーゼの産生を誘発する。NF−kBの阻害剤は、皮膚マトリクス中でMMPの存在をもたらすその後のシグナル伝達を阻害する可能性があり、よってより多くの経路が阻害され、MMPが誘発されない可能性が高まる。近年、NF−kB経路の阻害により、その後コラーゲン合成が誘発されることが示された(シュライバー(Schreiber)Jら(2005年)Surgery.138:940〜946ページ)。したがって、NF−kB活性化の阻害はまた、コラーゲン合成を増加させることにより、皮膚に老化防止効果をもたらすこともできる。
【0111】
NF−kB活性化の遮断における実施例1(a)のガルバーニ微粒子の活性を評価するために、FB293細胞(NF−kBの遺伝子レポーターを含有する安定なトランスフェクトされたヒト上皮細胞株をパノミクス(Panomics)(フリーモント(Fremont)、カリフォルニア州)から得た)を用いた。FB293細胞を、10%のウシ胎児血清(インビトロゲン(Invitrogen)、サンディエゴ(San Diego)、カリフォルニア州)を添加した、ダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)中5×10細胞/mLの密度でプレーディングした。FB293細胞を、ガルバーニ微粒子の存在又は非存在下で、50ng/mLの12−O−テトラデカノイルホルボール13−アセテート(TPA)(シグマ(Sigma)、セントルイス(St Louis)、ミズーリ州)で刺激した。5%COを用いて37℃で24時間インキュベートした後、細胞を40μLのレポーター溶解緩衝剤(プロメガ(Promega)、マディソン(Madison)、ウィスコンシン州)で溶解した。溶解物の20μLのアリコートを、ルシフェラーゼアッセイキット(プロメガ)を用いてアッセイし、Lmax照度計(モレキュラー・デバイス(Molecular Devices)、サニーベール(Sunnyvale)、カリフォルニア州)で10秒間計算し、データを相対光単位/秒として表した。ガルバーニ微粒子は、表8に示すようにNF−kB活性化を阻害することが見出された。
【表6】

【0112】
よって、ガルバーニ微粒子は、実質的にNF−kB活性化を低減することが見出された。この実施例は、ガルバーニ微粒子が、皮膚の炎症の一因である炎症伝達物質の産生を調節できることを示す。この実施例はまた、ガルバーニ微粒子が、エラスチン及びコラーゲン繊維を、皮膚の老化を導く恐れのある損傷及び分解から保護することもできることを示す。
【0113】
実施例11−再構築された表皮上におけるUV誘発性炎症促進性伝達物質の放出に対する抗炎症活性
ガルバーニ微粒子の効果を、ヒト表皮等価物に対する局所的抗炎症活性について評価した。表皮等価物(EPI 200 HCF)(正常ヒト表皮ケラチノサイトからなる多層及び分化した表皮)は、マットテック(MatTek)(アシュランド(Ashland)、マサチューセッツ州)から購入した。これらの表皮等価物を、ヒドロコルチゾンを含まない維持培地中で37℃にて24時間インキュベートした。太陽紫外線に曝露する前に(1mmスコット(Schott)WG 320フィルタを備える1000W−オリエル(Oriel)人工光源、適用されるUV線量:360nmで測定したとき70kJ/m)、2時間、70%エタノール/30%プロピレングリコールビヒクル中の実施例1(a)のガルバーニ微粒子(1mg/mL)で等価物を局所的に処理した(2mg/cm)。維持培地を用いて37℃で24時間、等価物をインキュベートし、次いで市販のキット(アップステート・バイオテクノロジー(Upstate Biotechnology)、シャーロッツビル(Charlottesville)、バージニア州)を用いて、IL−8サイトカイン放出について上清を分析した。結果を表9に示す。
【表7】

**は、P<0.05である有意セット(significance set)で、スチューデントのt検定を用いて、UV、ビヒクル処理から有意差があることを示す。
【0114】
この実施例に基づいて、ガルバーニ微粒子を局所的に適用することにより、炎症伝達物質のUV刺激性放出を有意に低減できた。それ故、ガルバーニ微粒子は、皮膚に適用されたとき、有効な抗炎症効果をもたらすことが予想される。
【0115】
実施例12−ニコチン酸メチル誘発性皮膚紅斑の低減
ニコチン酸メチル(メチル3−ピリジンカルボキシレート)は、皮膚への適用時、皮膚の血流を増加させる既知の血管拡張剤である。ガイ(Guy)R.H.、Arch.Dermatol Res(1982年)273:91〜95ページを参照のこと。この実験では、ジュムベリック(Jumbelic)ら(Skin Pharmacol Physiol.(2006年)19:147〜152ページ)の方法に基づいて、ニコチン酸メチルの10mM溶液(アルドリッチ・ケミカル(Aldrich Chemical)、セントルイス(St. Louis)、ミズーリ州)を、ボランティアの掌側前腕上に、閉塞下で30秒間局所的に適用した(2.5cmのディスク、ヒルトップリサーチ社(Hill Top Research Inc)、シンシナティ(Cincinnati)、オハイオ州)。70%エタノール/30%プロピレングリコールビヒクル中の実施例1(a)のガルバーニ微粒子(10mg/mL)を、ニコチン酸メチル投与により紅斑を誘発した後、局所的に適用した。拡散反射分光法により発赤を評価した。コリアス(Kollias)Nら、Photochem Photobiol.(1992年)56巻、223〜227を参照のこと。USBポートを通してHPのノートパソコンに接続されたオーシャン・オプティクス(Ocean Optics)のダイオードアレイ分光光度計(ダニーディン(Dunedin)、フロリダ州)を用いて実験を制御し、スペクトルデータを収集及び分析した。
【0116】
光ファイバーバンドルを用いて、ランプから皮膚へ光を導き、皮膚から分光光度計へ反射率測定値を送った。結果を表10に示す。
【表8】

**は、P<0.05の有意なセットで、スチューデントのt検定を用いて処理されたプラシーボから有意差があることを示す。
【0117】
これらの結果は、ニコチン酸メチル誘導性ヒト発赤モデルにおいて、ガルバーニ微粒子の局所的適用が紅斑を低減したことを示す。
【0118】
実施例13−ガルバーニ微粒子による過酸化水素産生の刺激
過酸化水素(H)は、強い酸化特性を有し、それ故強力な漂白剤である。過酸化水素はまた、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)分離株に対して特に有効である、有効な抗細菌、抗真菌、及び抗ウイルス化合物でもある(フルールノア(Flournoy)DJ、ロビンソン(Robinson)MC(1990年)Methods Find Exp Clin Pharmacol.、12:541〜544ページ)。それに加えて、過酸化水素溶液で口腔をすすぐと、唾液中の好気性及び嫌気性細菌が著しく減少する(マチュラ(Matula)C、ヒルデブラント(Hildebrandt)M、ナーラー(Nahler)G、(1988年)J Int Med Res.、16巻:98〜106ページ)。口腔内の細菌の減少は、歯肉炎の発生の低下を補助することができる。
【0119】
過酸化物は、100年以上歯のホワイトニングに用いられており、過酸化水素は歯のホワイトニングで最も一般的に用いられる活性剤の1つである(リ(Li)Y、(1996)Food Chem Toxicol.34巻:887〜904ページ)。過酸化水素はまた、くまの出現を低減させ、皮膚にホワイトニング効果をもたらすことができる有効な血管収縮剤でもある(スタマタス(Stamatas)GN、コリアス(Kollias)N(2004年)、J Biomed Opt.9巻:315〜322ページ、ゲッテ(Goette)DK、オドム(Odom)RB(1977年)South Med J.70巻:620〜622ページ)。
【0120】
実施例1(a)のガルバーニ微粒子の過酸化水素産生を誘発する能力を、以下のアッセイで示す。ヒトケラチノサイト細胞を、同一の密度でアッセイプレートに播種し、5%COを用いて、37℃で48時間インキュベートした。過酸化水素の産生を検出するために、ケラチノサイトを、5μMの過酸化水素感受性蛍光プローブ5−(及び−6)−クロロメチル−2’,7’−ジクロロジヒドロフルオレセインジアセテート,アセチルエステル(CM−H2DCFDA、インビトロゲン(Invitrogen)、カールスバッド(Carlsbad)、カリフォルニア州)とともに、30分のインキュベート時間ロードした。更に長い時間にわたって、ガルバーニ微粒子、又は亜鉛若しくは銅金属粉末のみで細胞を処理した。0.03%の過酸化水素での対照ウェルの処理は、陽性対照として機能した。過酸化水素産生は、波長485励起/530放射に設定した蛍光プレートリーダーを用いて定量化した。この結果を図11及び12に示す。
【表9】

**は、スチューデントのt検定を用いて、P<0.05で、その時点においてベースラインの過酸化水素濃度から有意差があることを示す。
【表10】

【0121】
この実施例に基づいて、ガルバーニ微粒子は過酸化水素の産生を有意に誘発することができた。更に、ガルバーニ微粒子により生じる過酸化水素の産生は、銅金属粉末又は亜鉛金属粉末のみよりも有意に多かった。それ故、ガルバーニ微粒子は、皮膚に適用されたとき、有効な皮膚の美白、歯のホワイトニング、及び抗細菌活性をもたらすと予想される。
【0122】
実施例14−局所用製剤の例
(a)局所用ゲル:実施例1のガルバーニ微粒子を含有する表13の局所用ゲル製剤を以下のように製造することができる。
【表11】

【0123】
主な容器に、プロピレングリコール及びグリセリンを添加した。ヒドロキシエチルアクリレート/ナトリウムアクリロイルジメチルタウレートコポリマーを、次いで添加し、均一になるまで混合し、それに続いて組成物が透明になり、粒子が存在しなくなるまで40℃に加熱した。次いで、バッチを40℃に冷却し、それに続いて残りの成分を添加し、均一になるまで混合し、更に冷却した。
(b)局所用スティック:実施例1のガルバーニ微粒子を含有する表14(a)の局所用ゲル製剤は以下のように製造することができる。
【表12】

【0124】
主な容器内で、プロピレングリコール及びガルバーニ微粒子以外の成分を全て組み合わせ、完全に融解するまで85〜90℃に加熱した。別の容器内で、プロピレングリコール及びガルバーニ微粒子を、微粒子が均等に分散するまで混合した。いったん主な容器内の組成物が均一になると、プロピレングリコール&ガルバーニ微粒子混合物を、85℃で主なバッチに入れた。バッチ全体を均一になるまで混合し、次いで65〜70℃に冷却した。
【0125】
(c)複室又は二相局所用製品:長期間1つのチャンバに保存した場合、不安定になる恐れのある2種の別々の製剤を分配するために、複室パッケージに入れた局所用組成物を作製できる。第2のチャンバ内の水性又は導電組成物と離れた、1つのチャンバ内の1種の無水組成物を含む複室局所適用組成物は、以下のように作製することができる。チャンバ1は、実施例14(a)に記載の組成物を収容する。チャンバ2は、以下の表14(b)の製剤を収容する。
【表13】

【0126】
各製剤を別々のチャンバに入れた状態で、製剤を複室パッケージに入れた。使用時点で、製剤を分配し、適用部位上で混合する。製剤を分配する別の方法は、2段階プロセスであり、それにより第1の製剤を皮膚上に分配し、続いて第2の製剤を分配する。2種を一緒に混合し、所望の適用部位に適用する。
【0127】
実施例15−抗真菌効果
実施例1(a)のガルバーニ微粒子を、ヤン(Yang)ら、Mycopathologia、148巻、79〜82ページ、1999年に記載のものと同様に、インビトロの爪真菌症モデルで評価した。足の爪真菌症の模擬実験を行うために、ウシの蹄を用いた。蹄を直径1.3cmのプレートに打ち抜き、次いでオートクレーブで滅菌した。蹄プレートを、外面が抗真菌調製物の1種又は対照としての滅菌水に浸漬した滅菌濾紙上になるように、滅菌ペトリ皿に置いた。皮膚糸状菌培養物の寒天ブロックを内面に植え込んだ。乾燥を防ぐために、装置全体を、滅菌水を入れたより大きなペトリ皿に入れた。接種後、皮膚糸状菌を、毎日5マイクロリットルのサブローブロス(Sabouraud broth)で湿らせた。ブロスを、寒天ブロックの底部の蹄プレートの内面にマイクロピペットで付着させた。実験材料を0日目に蹄系上に置き、真菌の成長を毎日監視して、真菌が爪を通り抜けて成長した最初の日を決定した。出現日及び成長のブレークスルー量を記録した。3.6mg/cmのガルバーニ微粒子でコーティングされたヒドロコロイドを、未処理の対照と比較した。全てのサンプルを3回反復した。
【0128】
結果は、未処理対照の真菌成長の最初のブレークスルーは2日目であり、一方ガルバーニ微粒子の最初のブレークスルーは5日目であることを示した。これは、ガルバーニ微粒子が真菌の成長を阻害する、又は抗真菌活性を有することを示す。
【0129】
実施例16−ガルバーニ微粒子の老化防止効果
皮膚の老化は、いくつかの内因性及び外因性因子の相互作用に起因する複雑な現象である。内因性老化は不可避であり、遺伝的にプログラムされたプロセスである。外因性の影響(例えば、風、熱、タバコの煙、化学物質等)の中でも、紫外線は、皮膚の老化に関連する唯一の最も重要な因子であると思われる。皮膚の老化とともに、皮膚は老化につれて一般的に弾力性が失われる。これは、皮膚の菲薄化、並びに皮膚マトリクスに加えて、皮下組織(脂肪層及び筋層のような)中のエラスチン及びコラーゲンの喪失に起因し、それは皮膚のたるみとして現れる。皮膚の機械的特性は、特に、皮膚マトリクス中のコラーゲン及びエラスチンの微細構造配置により非常に影響を受ける。エラスチンは、細胞外マトリクスの重要な構成成分であり、特に皮膚のような物理的変形にさらされる組織において豊富である。ガルバーニ微粒子は、皮膚のエラスチンを分解する酵素を有効に阻害することが見出されており、それにより皮膚の弾力性を高めることが予想される。
【0130】
ヒト白血球エラスターゼ(HLE)は、シグマ(Sigma(セントルイス(St. Louis)、ミズーリ州)から購入し、リン酸緩衝生理食塩水(PBS、インビトロゲン・ライフ・テクノロジーズ(Invitrogen life Technologies)、カールスバッド(Carlsbad)、カリフォルニア州)中で1単位/mLに再構成した。コンジュゲート内で蛍光が消光し、エラスチン消化時に活性化され得るように、BODIPY FL染料で標識した可溶性ウシ頸部靱帯のエラスチンは、モレキュラー・プローブ社(Molecular Probes, Inc.)(ユージーン(Eugene)、オレゴン州)から購入した。ヒト白血球エラスターゼ(0.0625U/mL)、エラスチン基質(25μg/mL)、及び増加する濃度の試験材料を、37℃で2時間インキュベートした。モレキュラー・デバイス(サニーベール(Sunnyvale)、カリフォルニア州)製の蛍光プレートリーダージェミニ(Gemini)を用いて、490nm及び520nmで励起された蛍光を測定した。基質のみのバックグラウンド蛍光を、各測定値から減じた。
【0131】
実施例1(a)のガルバーニ微粒子は、表15に示すように線量依存的方式でHLE活性を阻害した。最低10μg/mLの「ガルバーニ微粒子」により、HLE活性がおよそ50%低下した。この実施例は、「ガルバーニ微粒子」がエラスチン繊維を損傷及び分解から保護できることを示す。
【表14】

【0132】
実施例17:ガルバーニ微粒子は色素沈着した表皮等価物の色素沈着を低減する
色素沈着の調節は、皮膚の平らさ(eveness)、皮膚の外観、及び皮膚の色合いを改善するのに重要な側面である。実施例1(a)のガルバーニ微粒子はまた、色素沈着した表皮等価物における色素沈着を低減する能力についても試験した。色素沈着した表皮等価物は、正常なヒト由来の表皮ケラチノサイトとともに、ヒト正常メラノサイトを含有し、このケラチノサイトは培養されて、ヒト表皮の多層で、高度に分化したモデルを形成している。用いた表皮等価物は、マットテック社(MatTek Corp.)(アシュランド(Ashland)、マサチューセッツ州)からのエピダーム(EpiDerm)(商標)再構築ヒト表皮であった。色素沈着した表皮等価物(MEL−A、種々の表現型の皮膚からプールした正常ヒトケラチノサイト及びアジア人ドナー由来の正常ヒトメラノサイトから成る)を、水中に懸濁した1%のガルバーニ微粒子で6日間処理し、研究の7日目にサンプルを回収した。回収した等価物を、フォンターナ−マッソン(Fontana-Mason)(F&M)(シェーナン(Sheenan)DC、フラップカック(Hrapckak)BB編:組織技術の理論と実用(Theory and practice of Histo-Thchnology)(セントルイス(St Louis):CVモスビー(CV Mosby)、1980年)223〜277ページ)で染色した。F&M染色により、皮膚のメラニンを同定する、硝酸銀還元活性を同定した。
【0133】
ガルバーニ微粒子を、1%(w/v)で水に懸濁させ、6日間毎日1回局所的に適用した。研究の7日目に、等価物を固定し、切片化し、F&Mで染色した。F&M染色した組織切片を、色素沈着の変化について評価した。全ての画像を得、イメージ・プロ・プラス4.0ソフトウェア(Image Pro Plus 4.0 software)(メディア・サイバーネティックス(Media Cybernetics)、シルバースプリング(Silver Spring)、メリーランド州)で分析した。測定したパラメータは、メラノサイト及びケラチノサイト内の染色された材料の表面積、並びに培養物中の細胞の総表面積であり、相対色素沈着面積を算出した。未処理の対照には100%の値が割り当てられ、処理群の値をこれらの該当する対照に正規化した。データを標準偏差(シグマプロット(SigmaPlot)(登録商標)5.0、SPSSサイエンス、シカゴ、イリノイ州)とともに提示する。等価物あたり少なくとも3つの切片、実験あたり少なくとも3つの等価物を処理した。各実験を3回繰り返した。
【0134】
表16は、相対対照(HO)で正規化した代表的なデータの結果を示し、これはガルバーニ微粒子処理が色素沈着を低減することを示す。この表は、色素沈着の低減における本発明の組成物の特異性(例えば、最大51%色素沈着を低減する)を示す。
【表15】

【0135】
実施例18−インビトロでの色素脱失
色素沈着の調節は、皮膚の平らさ(eveness)、皮膚の外観、及び皮膚の色合いを改善するのに重要な側面である。実施例1(a)に記載のようなガルバーニ微粒子を、色素沈着した表皮等価物を用いるインビトロ色素沈着モデルで試験した。色素沈着した表皮等価物は、正常なヒト由来の表皮ケラチノサイトとともに、ヒト正常メラノサイトを含有し、このケラチノサイトは培養されて、ヒト表皮の多層で、高度に分化したモデルを形成していた。0.01%のガルバーニ微粒子を水に懸濁させ、表皮等価物(4.2cm)上に置いた。研究は、水のみのプラシーボ対照を含んでいた。表皮等価物を7日間監視した。組織学的結果は、ガルバーニ微粒子処理により、プラシーボに比べて、7日目までに皮膚等価物におけるメラニン沈着が低下したことを示す。これは、ガルバーニ微粒子が皮膚の色素脱失効果を有する可能性があることを示す。
【0136】
本発明をその詳細な説明とともに記載してきたが、上記の説明は例示を意味しており、添付の特許請求の範囲で規定される本発明の範囲を制限することを意図していないことは理解されよう。他の態様、利点、及び修正も特許請求の範囲の範囲内である。
【0137】
実施例19−ガルバーニ微粒子による過酸化水素産生の刺激
過酸化水素(H)は、強い酸化特性を有し、それ故強力な漂白剤である。過酸化水素はまた、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)分離株に対して特に有効である、有効な抗細菌、抗真菌、及び抗ウイルス化合物でもある(フルールノア(Flournoy)DJ、ロビンソン(Robinson)MC(1990年)Methods Find Exp Clin Pharmacol.、12:541〜544ページ)。それに加えて、過酸化水素溶液で口腔をすすぐと、唾液中の好気性及び嫌気性細菌が著しく減少する(マチュラ(Matula)C、ヒルデブラント(Hildebrandt)M、ナーラー(Nahler)G、(1988年)J Int Med Res.、16巻:98〜106ページ)。口腔内の細菌の減少は、歯肉炎の発生の低下を補助することができる。
【0138】
過酸化物は、100年以上歯のホワイトニングに用いられており、過酸化水素は歯のホワイトニングで最も一般的に用いられる活性剤の1つである(リ(Li)Y、(1996年)Food Chem Toxicol.34巻:887〜904ページ)。過酸化水素はまた、くまの出現を低減させ、皮膚にホワイトニング効果をもたらすことができる有効な血管収縮剤でもある(スタマタス(Stamatas)GN、コリアス(Kollias)N(2004年)、J Biomed Opt.9巻:315〜322ページ、ゲッテ(Goette)DK、オドム(Odom)RB(1977年)South Med J.70巻:620〜622ページ)。
【0139】
実施例1(b)のガルバーニ微粒子の過酸化水素産生を誘発する能力を、以下のアッセイで示す。ヒトケラチノサイト細胞を、同一の密度でアッセイプレートに播種し、5%COを用いて、37℃で48時間インキュベートした。過酸化水素の産生を検出するために、ケラチノサイトを、5μMの過酸化水素感受性蛍光プローブ5−(及び−6)−クロロメチル−2’,7’−ジクロロジヒドロフルオレセインジアセテート,アセチルエステル(CM−H2DCFDA、インビトロゲン(Invitrogen)、カールスバッド(Carlsbad)、カリフォルニア州)とともに、30分のインキュベート時間ロードした。更に長い時間にわたって、ガルバーニ微粒子、又は亜鉛若しくは銅金属粉末のみで細胞を処理した。0.03%の過酸化水素での対照ウェルの処理は、陽性対照として機能した。過酸化水素産生は、波長485励起/530放射に設定した蛍光プレートリーダーを用いて定量化した。この結果を表17及び18に示す。
【表16】

**は、P<0.05である有意セットで、スチューデントのt検定を用いて、その時点においてベースラインの過酸化水素濃度から有意差があることを示す。
‡は、P<0.05である有意セットで、スチューデントのt検定を用いて、その時点において水プロセスで産生されたガルバーニ微粒子の過酸化水素濃度から有意差があることを示す。
【表17】

【0140】
この実施例に基づいて、ガルバーニ微粒子は過酸化水素の産生を有意に誘発することができた。ガルバーニ微粒子により生じる過酸化水素の産生は、銅金属粉末又は亜鉛金属粉末のみよりも実質的に多かった。更に、エタノールプロセスを用いて作製されたガルバーニ微粒子により生じた過酸化水素の産生は、水プロセスを用いて作製されたガルバーニ微粒子よりも実質的に多かった。それ故、エタノールプロセスを用いて作製されたガルバーニ微粒子は、皮膚への適用時、有効な皮膚の美白、歯のホワイトニング、及び抗微生物活性をもたらすことが予想される。
【0141】
実施例20−ガルバーニ微粒子の反応速度、質、及び活性の制御
ある金属を別の金属上に金属めっきする条件を変化させると、実施例19で、ガルバーニ微粒子の活性に影響を与えることが示された。それ故、反応媒質の極性、並びに錯化剤及びキレート化剤のような他の剤の存在を調整して、コーティングの厚さ、コーティングの密度、コーティングパターン、及び/又は反応速度が挙げられるが、これらに限定されないガルバーニ微粒子の種々の特性を作製することができる。亜鉛粉末上に銅をめっきする速度を制御する能力を、以下の実施例に示す。実施例1(b)に記載のプロセスを、表19に概略を示した種々の種類の0.61%w/wの酢酸銅溶液を用いて実施した。表19では、反応時間は、銅塩溶液が青から透明に変化することにより示される、銅が亜鉛粉末上に完全に堆積するのにかかる時間を指す。
【表18】

【0142】
この実施例に基づいて、コーティング反応速度は、金属塩溶液の極性により調節することができた。実施例19は、得られるガルバーニ微粒子の活性は製造条件により影響を受けることを示す。
【0143】
〔実施の態様〕
(1) 第1導電材料及び第2導電材料を含むガルバーニ微粒子において、前記第1導電材料及び前記第2導電材料の両方は前記微粒子の表面上に露出されており、前記微粒子の粒径は約10ナノメートル〜約100マイクロメートルであり、前記第2導電材料は前記微粒子の総重量の約0.01重量%〜約10重量%を構成し、前記第1導電材料と前記第2導電材料との標準電位の差は少なくとも約0.2Vである、ガルバーニ微粒子。
(2) 前記微粒子は前記第1導電材料を含み、前記微粒子の表面は前記第2導電材料で部分的にコーティングされる、実施態様1に記載のガルバーニ微粒子。
(3) 前記微粒子は、少なくとも95重量パーセントの前記第1導電材料及び前記第2導電材料を含む、実施態様1に記載のガルバーニ微粒子。
(4) 前記第1導電材料は亜鉛である、実施態様1に記載のガルバーニ微粒子。
(5) 前記第2導電材料は銅又は銀である、実施態様1に記載のガルバーニ微粒子。
(6) 前記第2導電材料は銅又は銀である、実施態様4に記載のガルバーニ微粒子。
(7) 前記微粒子は第3導電材料で部分的にコーティングされる、実施態様2に記載のガルバーニ微粒子。
(8) 前記微粒子は、少なくとも95重量パーセントの前記第1導電材料、前記第2導電材料、及び前記第3導電材料を含む、実施態様6に記載のガルバーニ微粒子。
(9) 前記第1導電材料は亜鉛であり、前記第2導電材料は銅であり、前記第3導電材料は銀である、実施態様6に記載のガルバーニ微粒子。
(10) 前記第2導電材料は銅であり、前記第3導電材料は銀である、実施態様8に記載のガルバーニ微粒子。
【0144】
(11) 実施態様2に記載の微粒子を製造する方法において、前記方法は、前記第1導電材料の微粒子を、前記第2導電材料の塩を含む溶液と接触させることを含む、方法。
(12) 前記方法は、前記溶液を前記微粒子上に流すことを含む、実施態様11に記載の方法。
(13) 前記溶液は有機溶媒を含む、実施態様11に記載の方法。
(14) 前記有機溶媒は、アルコール、グリコール、又はグリセリンからなる群から選択される、実施態様13に記載の方法。
(15) 実施態様1に記載の微粒子と、生体吸収性ポリマーとを含む、組成物。
(16) 前記生体吸収性ポリマーは、コラーゲン、ヒアルロン酸、又はこれらの混合物からなる群から選択される、実施態様21に記載の組成物。
(17) 実施態様1に記載の微粒子と、製薬上許容できる担体とを含む、経口剤形。
(18) 実施態様17に記載の経口剤形を経口投与することを含む、胃腸疾患を治療する方法。
(19) 前記胃腸疾患は、潰瘍、下痢、及び胃腸痛からなる群から選択される、実施態様18に記載の方法。
(20) 薬物耐性微生物を殺す方法において、前記方法は、前記微生物を、第1導電材料及び第2導電材料を含むガルバーニ微粒子を含む組成物と接触させることであって、前記第1導電材料及び前記第2導電材料の両方が前記微粒子の表面上に露出されており、前記第1導電材料と前記第2導電材料との標準電位の差が少なくとも約0.2Vである、接触させることを含む、方法。
【0145】
(21) 前記微粒子の粒径は、約10ナノメートル〜約1000マイクロメートルである、実施態様1に記載の方法。
(22) 前記微粒子の粒径は、約1マイクロメートル〜約100マイクロメートルである、実施態様1に記載の方法。
(23) 前記第2導電材料は、前記微粒子の総重量の約0.01重量パーセント〜約10重量パーセントを含む、実施態様1に記載の方法。
(24) 前記微生物は細菌である、実施態様20に記載の方法。
(25) 前記細菌はMRAA及びVREから選択される、実施態様1に記載の方法。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1導電材料及び第2導電材料を含むガルバーニ微粒子において、前記第1導電材料及び前記第2導電材料の両方は前記微粒子の表面上に露出されており、前記微粒子の粒径は約10ナノメートル〜約100マイクロメートルであり、前記第2導電材料は前記微粒子の総重量の約0.01重量%〜約10重量%を構成し、前記第1導電材料と前記第2導電材料との標準電位の差は少なくとも約0.2Vである、ガルバーニ微粒子。
【請求項2】
前記微粒子は前記第1導電材料を含み、前記微粒子の表面は前記第2導電材料で部分的にコーティングされる、請求項1に記載のガルバーニ微粒子。
【請求項3】
前記微粒子は、少なくとも95重量パーセントの前記第1導電材料及び前記第2導電材料を含む、請求項1に記載のガルバーニ微粒子。
【請求項4】
前記第1導電材料は亜鉛である、請求項1に記載のガルバーニ微粒子。
【請求項5】
前記第2導電材料は銅又は銀である、請求項1に記載のガルバーニ微粒子。
【請求項6】
前記第2導電材料は銅又は銀である、請求項4に記載のガルバーニ微粒子。
【請求項7】
前記微粒子は第3導電材料で部分的にコーティングされる、請求項2に記載のガルバーニ微粒子。
【請求項8】
前記微粒子は、少なくとも95重量パーセントの前記第1導電材料、前記第2導電材料、及び前記第3導電材料を含む、請求項6に記載のガルバーニ微粒子。
【請求項9】
前記第1導電材料は亜鉛であり、前記第2導電材料は銅であり、前記第3導電材料は銀である、請求項6に記載のガルバーニ微粒子。
【請求項10】
前記第2導電材料は銅であり、前記第3導電材料は銀である、請求項8に記載のガルバーニ微粒子。
【請求項11】
請求項2に記載の微粒子を製造する方法において、前記方法は、前記第1導電材料の微粒子を、前記第2導電材料の塩を含む溶液と接触させることを含む、方法。
【請求項12】
前記方法は、前記溶液を前記微粒子上に流すことを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記溶液は有機溶媒を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記有機溶媒は、アルコール、グリコール、又はグリセリンからなる群から選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
請求項1に記載の微粒子と、生体吸収性ポリマーとを含む、組成物。
【請求項16】
前記生体吸収性ポリマーは、コラーゲン、ヒアルロン酸、又はこれらの混合物からなる群から選択される、請求項21に記載の組成物。
【請求項17】
請求項1に記載の微粒子と、製薬上許容できる担体とを含む、経口剤形。
【請求項18】
請求項17に記載の経口剤形を経口投与することを含む、胃腸疾患を治療する方法。
【請求項19】
前記胃腸疾患は、潰瘍、下痢、及び胃腸痛からなる群から選択される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
薬物耐性微生物を殺す方法において、前記方法は、前記微生物を、第1導電材料及び第2導電材料を含むガルバーニ微粒子を含む組成物と接触させることであって、前記第1導電材料及び前記第2導電材料の両方が前記微粒子の表面上に露出されており、前記第1導電材料と前記第2導電材料との標準電位の差が少なくとも約0.2Vである、接触させることを含む、方法。
【請求項21】
前記微粒子の粒径は、約10ナノメートル〜約1000マイクロメートルである、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記微粒子の粒径は、約1マイクロメートル〜約100マイクロメートルである、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記第2導電材料は、前記微粒子の総重量の約0.01重量パーセント〜約10重量パーセントを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
前記微生物は細菌である、請求項20に記載の方法。
【請求項25】
前記細菌はMRAA及びVREから選択される、請求項1に記載の方法。

【公表番号】特表2010−540542(P2010−540542A)
【公表日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−527031(P2010−527031)
【出願日】平成20年9月17日(2008.9.17)
【国際出願番号】PCT/US2008/076623
【国際公開番号】WO2009/045720
【国際公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【出願人】(598039367)ジョンソン・アンド・ジョンソン・コンシューマー・カンパニーズ・インコーポレイテッド (79)
【氏名又は名称原語表記】Johnson & Johnson Consumer Companies,Inc.
【住所又は居所原語表記】Grandview Road,Skillman,New Jersey 08558,United States of America
【Fターム(参考)】