説明

発電機基礎台およびその磁気シールド

【課題】鋼板コンクリート構造を適用した発電機基礎台において、送電用母線に発電機からの電力を引出すブッシングから漏えいし支持構造体の鋼板へ向かう磁束による鋼板の影響を低減する。
【解決手段】発電機基礎台1は、周囲を鋼板2で囲んで内部にコンクリート3を打設した鋼板コンクリート構造が適用され、タービン建屋の基礎底部21から立設され発電機6を支持する支持構造体4と、発電機6の下方に配置された相分離母線接続端子に発電機6から電力を供給するブッシング11aと支持構造体4とが対向する領域において設けられ、前記鋼板より透磁率が高い高透磁率材料または電気導電率の高い金属材料を適用した磁気シールド5とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発電プラントにおいて発電機を支持する発電機基礎台およびその磁気シールドに関する。
【背景技術】
【0002】
原子力発電所や火力発電プラントでは、それぞれ原子炉や蒸気発生器、ボイラーで発生した蒸気をタービンへ送り仕事をさせ、タービンに接続された発電機を回転させて電力を発生させる。ここで、発電機は、タービン建屋の基礎底部から上方に離間した位置において基礎底部から立設した支持構造体によって支持される。これは、通常タービンの下方に復水器が設置されるためにタービンを基礎底部の上方に設置する必要があり、さらにタービンと発電機とが同軸に接続されるためである。
【0003】
従来は、発電機基礎台には鉄筋コンクリート構造が適用されることが一般的であったが、主に発電プラントの建設工期短縮のために発電機基礎台に鋼板コンクリート構造を適用する技術が公開されている(例えば、特許文献1参照。)。鋼板コンクリート構造とは、従来の鉄筋コンクリート構造の鉄筋を鋼板に置き換えた構造である。鋼板によってコンクリート打設のための型枠を兼用できるため型枠工事等が不要になり、また鋼板の製作時に電線管などの埋設品を組み込んだブロック化が可能なため、建設工期を大幅に削減できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特公平7−21208号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した特許文献1に記載の技術は、相分離母線に発電機の電力を引出すブッシングから漏えいした磁束が支持構造体の鋼板に吸収され、電磁誘導による渦電流を発生させ、鋼板が発熱するという新たな課題が生じる可能性があった。
【0006】
そこで本発明は、相分離母線に発電機の電力を引出すブッシングから漏えいし支持構造体の鋼板へ向かう磁束による鋼板の影響を低減する鋼板コンクリート構造を適用した発電機基礎台を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明の発電機基礎台は、周囲を鋼板で囲んで内部にコンクリートを打設した鋼板コンクリート構造が適用され、基礎底部から立設され発電機を支持する支持構造体と、
送電用母線に発電機発電機の電力を引出すブッシングと支持構造体とが対向する領域に設けられ、鋼板より透磁率が高い高透磁率材料または電気導電率の高い金属材料からなる高導電率材料を適用した磁気シールドとを備えることを特徴とする。
【0008】
さらに上記目的を達成するために本発明の磁気シールドは、周囲を鋼板で囲み内部にコンクリートを打設した鋼板コンクリート構造が適用されタービン建屋の基礎底部から立設され、発電機を支持する支持構造体を有する発電機基礎台において、送電用母線に発電機から電力を供給するブッシングと支持構造体とが対向する領域において設けられ、鋼板より透磁率が高い高透磁率材料または電気導電率の高い金属材料からなる高導電率材料が適用されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、鋼板コンクリート構造を適用した発電機基礎台において、送電用母線に発電機の電力を引出すブッシングから漏えいし支持構造体の鋼板へ向かう磁束による鋼板の影響を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る発電機基礎台の概略縦断面図。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る発電機基礎台の概略上面図。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る発電機基礎台の図1におけるA−A矢視図。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る発電機基礎台の磁気シールドを相分離母線接続端子箱の一部とした例を示す概略縦断面図。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る発電機基礎台の磁気シールドを発電機端子箱の一部とした例を示す概略縦断面図。
【図6】本発明の第1の実施形態に係る発電機基礎台を示し、(a)は発電機の回転軸を挟んだ両側に平行に支持構造体を設けた概略上面図、(b)はコの字形状の支持構造体に支持デッキを設けた概略断面図、(c)は支持デッキの4角に支持構造体を設けた概略断面図。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る発電機基礎台の概略縦断面図。
【図8】本発明の第2の実施形態に係る発電機基礎台の磁束の方向を示し、(a)は切欠部を設けない場合を示す概略斜視図、(b)は切欠部を設けた場合を示す概略斜視図。
【図9】本発明の第3の実施形態に係る発電機基礎台の鋼板を示し、(a)は切欠部をスリットとした例を示す概略斜視図、(b)はスリット内に絶縁体を設けた例を示す概略斜視図。
【図10】本発明の第4の実施形態に係る発電機基礎台の概略縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を説明する。
【0012】
(第1の実施形態)
(構成)
以下、本発明の第1の実施形態に係る発電機基礎台について図1乃至図6を参照して説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係る発電機基礎台の概略縦断面図である。
【0013】
発電機基礎台1は、支持構造体4と、磁気シールド5とから構成される。発電機基礎台1は、支持構造体4の上面4aに設けられた固定具7によって発電機6を支持する。発電機6の下方には発電機端子箱8が設けられ、さらに図3に示すように、ブッシング11は送電用ブッシング11aと接地用ブッシング11bとから構成され、発電機端子箱8の下方には送電用ブッシング11aおよび接地用ブッシング11bを介して相分離母線接続端子箱9と、中性点相間接続端子箱18とが設けられる。
【0014】
支持構造体4は、周囲を鋼板2で囲んでコンクリート容器を構成し、このコンクリート容器内部にコンクリート3を打設する鋼板コンクリート構造が適用され、タービン建屋の基礎底部21から立設される。図2は、本発明の第1の実施形態に係る発電機基礎台の概略上面図である。図2に示すように、支持構造体4は水平断面が発電機6を包囲するロの字形状である。発電機6の両側面に固定具7が設けられ、ボルト7aを上方から固定具7を貫通して支持構造体4の上面4aに打ち込み固定具7を支持構造体4に固定する。
【0015】
さらに図1に示すように、支持構造体4と発電機6を近接させて支持するために、支持構造体4は鉛直上方に向かって発電機6に近づく傾斜面を有する。なお支持構造体4は、基礎底部21から固定具7が設けられる上面4aまでが一体で形成されるだけでなく、複数の鋼板コンクリートからなる部材を組み合わせて形成してもよい。
【0016】
発電機6の下方には、発電機端子箱8が設けられる。発電機端子箱8には、発電機6で発生した電力を外部に引出す送電用発電機端子8a、ならびに発電機6の接地を行うための接地用発電機端子(図示せず)が収容される。
【0017】
図3は、本発明の第1の実施形態に係る発電機基礎台の図1におけるA−A矢視図である。図3に示すように、発電機端子箱8の下方に送電用ブッシング11aおよび接地用ブッシング11bを介してそれぞれ相分離母線接続端子箱9および中性点相間接続端子箱18が設けられる。相分離母線接続端子箱9は、通常3つの相分離母線接続端子10を収容する。
【0018】
3つの相分離母線接続端子10は3本の相分離母線22にそれぞれ接続される。相分離母線22は、発電機6の電力を外部へ送電する送電用母線である。また、中性点相間接続端子箱18は、三相の交流電力をそれぞれ中性点接地抵抗器(図示せず)によって接地するための3つの中性点相間接続端子19を収容する。
【0019】
3本の送電用ブッシング11aは、各々送電用発電機端子8aと相分離母線接続端子10を接続する。発電機6の電力は、送電用発電機端子8aによって取り出され、送電用ブッシング11aおよび相分離母線接続端子10を通って相分離母線22に三相交流電力として供給される。3本の接地用ブッシング11bは、各々接地用発電機端子と中性点相間接続端子19を接続する。中性点相間接続端子19はそれぞれ中性点接地抵抗器に接続され、発電機6の中性点を接地する。
【0020】
磁気シールド5は、支持構造体4の鋼板2のうちブッシング11と対向する部位に支持部材5aを介して鋼板2から離間して設けられる。支持構造体4の鋼板2のうちブッシング11と対向する部位は、例えば図1に示す鉛直上方に向かって発電機6に近づく傾斜面となる。さらに、磁気シールド5で発生した熱が鋼板2に伝わることを防ぐために、熱伝導率の低い材料を断熱材として鋼板2と磁気シールド5の間に設けてもよい。
【0021】
磁気シールド5は、高透磁率材料または高導電率材料が適用可能である。高透磁率材料としてフェライトやパーマロイ、珪素鋼板等の鋼板2より透磁率が高く、磁場閉じ込め効率の高い材料を適用することができる。また、高導電率材料としてアルミや銅等、電気導電率の高い金属材料を適用することができる。
【0022】
(作用)
以下、本発明の第1の実施形態の作用について説明する。発電機6の運転時において、発電機6で発生した電力は、発電機端子箱8内の発電機端子8aによって取り出され、ブッシング11によって相分離母線接続端子10に供給される。さらに、発電機6の接地に係る電流がブッシング11を介して中性点相間接続端子19に流れる。
【0023】
このとき、ブッシング11に流れる電流によってブッシング11の周囲に磁束31が漏えいする。磁気シールド5を設けない場合、磁束31は支持構造体4の鋼板2のうちブッシング11に対向する部位に吸収され、電磁誘導による渦電流を生じさせ、鋼板2に発熱が生じる可能性がある。
【0024】
まず、磁気シールド5として高透磁率材料を適用した場合の作用について説明する。この場合、ブッシング11から漏えいし鋼板2へ向かう磁束31を磁気シールド5に吸収し発熱させ、鋼板2に磁束31が吸収され発熱することを防ぐ。さらに、磁気シールド5の表面にフィンや凹凸形状を設け、磁気シールド5で発生した熱を効率よく放熱する構成としても良い。
【0025】
次に、磁気シールド5として高導電率材料を適用した場合の作用について説明する。ブッシング11から漏えいする磁束31が高周波であるとき、高導電率材料の磁気シールド5を貫く磁束31の強さが変化することによって磁気シールド5に渦電流が流れる。この渦電流によって磁気シールド5から発生する磁束は、ブッシング11から漏えいする磁束31を打ち消す方向であるため、磁束31のシールドとして作用する。
【0026】
本実施形態は、以下の変形が可能である。図4は、本発明の第1の実施形態に係る発電機基礎台の磁気シールドを相分離母線接続端子箱の一部とした例を示す概略縦断面図である。図4に示すように、相分離母線接続端子箱9の側面を延長してブッシング11の側周を包囲する形状とし、相分離母線接続端子箱9の側面に上述した強透磁率材料や電気抵抗率の低い材料を適用する。この場合、相分離母線接続端子箱9の側面に磁気シールド5の作用を持たせることができる。なお、磁気シールド5によって相分離母線接続端子箱9の筐体の側面を構成するだけでなく、磁気シールド5を相分離母線接続端子箱9の筐体の側面に貼り付けて設ける構成としてもよい。
【0027】
図5は、本発明の第1の実施形態に係る発電機基礎台の磁気シールドを発電機端子箱の一部とした例を示す概略縦断面図である。図5に示すように、発電機端子箱8によって発電機端子8aおよびブッシング11を包囲する形状とし、発電機端子箱8に強透磁率材料や電気抵抗率の低い材料を適応する。この場合、発電機端子箱8に磁気シールド5の作用を持たせることができる。なお、上述した変形例に限られず、支持構造体4の鋼板2とブッシング11とが対向する領域において磁気シールド5を介挿すれば、同様の作用を発揮することができる。
【0028】
さらに支持構造体4について以下の変形が可能である。図6は、本発明の第1の実施形態に係る発電機基礎台を示し、(a)は発電機の回転軸を挟んだ両側に平行に支持構造体を設けた概略上面図、(b)はコの字形状の支持構造体に支持デッキを設けた概略断面図、(b)は支持デッキの四隅に支持構造体を設けた概略断面図である。
【0029】
図6(a)に示すように、発電機6の回転軸6aを挟んだ両側に平行に支持構造体4を設け、固定具7によって発電機6の両側面を支持する構成とすることができる。また、図6(b)に示すように、水平断面がコの字形状の支持構造体4の上に平板形状の支持デッキ12を設け、支持デッキ12の上面に発電機6を配置し固定具7で固定する構成とすることができる。さらに、図6(c)に示すように、平板形状の支持デッキ12の四隅を4本の支持構造体4で支え、支持デッキ12の上面に発電機6を配置し固定具7で固定する構成とすることができる。この場合、4本の支持構造体4を相互に梁で接続し強度を高める構成としてもよい。図6(b)および図6(c)の場合、支持デッキ12の下方にブッシング11および相分離母線接続端子箱9が設けられる。
【0030】
図6(a)、図6(b)、図6(c)に示す支持構造体4においても、ブッシング11と鋼板2が対向する領域に磁気シールド5を設けることによって、ブッシング11から漏えいする磁束31の鋼板2への影響を低減することができる。さらに、図6(b)および図6(c)に示す支持デッキ12のうちブッシング11に対向する部位に磁気シールド5を設けてもよい。
【0031】
(効果)
本発明の第1の実施形態によれば、鋼板コンクリート構造を適用した発電機基礎台1の支持構造体4の鋼板2とブッシング11とが対向する領域において磁気シールド5を設けることによって、鋼板2に磁束31が吸収され鋼板2が発熱することを防ぐことができる。
【0032】
(第2の実施形態)
(構成)
以下、本発明の第2の実施形態に係る発電機基礎台について図7および図8を参照して説明する。第1の実施形態に係る発電機基礎台の各部と同一部分には同一符号を付し、同一の構成についての説明は省略する。
【0033】
図7は、本発明の第2の実施形態に係る発電機基礎台の概略縦断面図である。第2の実施形態が第1の実施形態と異なる点は、磁気シールド5に変えて鋼板2に切欠部13を設けた点である。切欠部13は、支持構造体4の鋼板2のうちブッシング11に対向する部位に設けられる。
【0034】
(作用)
以下、本発明の第2の実施形態の作用について説明する。図8は、本発明の第2の実施形態に係る発電機基礎台の磁束を示し、(a)は切欠部を設けない場合を示す概略斜視図、(b)は切欠部を設けた場合を示す概略斜視図である。図8(a)に示すように、ブッシング11で漏えいした磁束31は、ブッシング11に対向する部位の鋼板2に向かい、一箇所の発熱部2aで局部的に発熱する可能性がある。そこで、図8(b)に示すように、ブッシング11に対向する部位の鋼板2に切欠部13を設けることによって、磁束31が向かう鋼板2の発熱部2aを分散させ、一箇所で局部的に発熱することを防ぐことができる。さらに、切欠部13に鋼板2より透磁率の低い補強部材を設け、切欠部13の周囲に発熱部2aを分散させつつ、補強部材によって切欠部13の補強を行う構成とすることもできる。
【0035】
(効果)
本発明の第2の実施形態によれば、支持構造体4の鋼板2のうちブッシング11に対向する部位に切欠部13を設けることによって、ブッシング11で漏えいした磁束31が向かう鋼板2の発熱部2aを分散させ、一箇所で局部的に発熱することを防ぐことができる。
【0036】
(第3の実施形態)
(構成)
以下、本発明の第3の実施形態に係る発電機基礎台について図9を参照して説明する。第1の実施形態に係る発電機基礎台の各部と同一部分には同一符号を付し、同一の構成についての説明は省略する。図9は、本発明の第3の実施形態に係る発電機基礎台の鋼板を示し、(a)は切欠部をスリットとした例を示す概略斜視図、(b)はスリット内に絶縁体を設けた例を示す概略斜視図である。スリット14は、ブッシング11に対向する部位の鋼板2を複数の平行な溝形状に切り欠いて形成される。
【0037】
(作用)
以下、本発明の第3の実施形態の作用について説明する。図9(a)では、切欠部13を複数の平行な溝形状で切り欠いたスリット14とする。この構成によって、磁束31が鋼板2に吸収され発生する渦電流を分散させることによって発熱を抑える。
【0038】
図9(b)では、スリット14内に絶縁体15を設ける。この構成によって、磁束31が鋼板2に吸収され発生する渦電流を分散させつつ、絶縁体15がコンクリート容器の一部を構成し、支持構造体4の強度を高めることができる。
【0039】
さらに、鋼板2のスリット14内に絶縁体15を設けることによってコンクリート容器を構成し、このコンクリート容器内にコンクリート3の打設が可能となる。また、スリット14内に絶縁体15を設けるだけでなく、鋼板2と絶縁体15を互い違いに組み合わせてコンクリート3を打設するコンクリート容器を構成してもよい。
【0040】
(効果)
本発明の第3の実施形態によれば、ブッシング11に対向する部位の鋼板2にスリット14を形成することによって、磁束31が鋼板2に吸収され発生する渦電流を分散させることによって発熱を抑えることができる。
【0041】
(第4の実施形態)
(構成)
以下、本発明の第4の実施形態に係る発電機基礎台について図10を参照して説明する。第1の実施形態に係る発電機基礎台の各部と同一部分には同一符号を付し、同一の構成についての説明は省略する。図10は、本発明の第4の実施形態に係る発電機基礎台の概略縦断面図である。第3の実施形態が第1の実施形態と異なる点は、磁気シールド5に変えて冷却装置16および冷却部17を設けた点である。
【0042】
冷却部17は、支持構造体4の鋼板2のうちブッシング11に対向する部位に設けられ、銅やアルミ等の熱伝導率の高い材料が適用される。さらに冷却装置16によって冷媒を循環させて冷却部17を冷却することができるように、冷却装置16と冷却部17とがヒートパイプ等で接続される。
【0043】
(作用)
以下、本発明の第4の実施形態の作用について説明する。冷却装置16は、空気や水、パラフィン等の冷媒を冷却部17に供給して循環させ、鋼板2で発生した熱を冷却部17によって冷却する。
【0044】
また、冷却部17に上述した磁気シールド5を適用することによって冷却部17自体を発熱させつつ、冷却部17を冷却することができる。さらに、冷却装置16によって冷媒を冷却部16に循環させる構成とするだけでなく、冷却装置17を送風装置として冷却風を支持構造体4の鋼板2のうちブッシング11に対向する部位に噴き当てる構成としてもよい。また、鋼板2に冷却装置16からの冷媒を流通させることができる流路を形成する構成としてもよい。
【0045】
(効果)
本発明の第4の実施形態によれば、冷却装置16によってブッシング11から漏えいした磁束31が鋼板2に吸収されることによって発生した熱を冷却することができる。
【0046】
なお、本発明の実施形態は上述した実施形態に限られないことは言うまでもない。例えば、支持構造体4の高さや、ブッシング11ならびに相分離母線接続端子10の数、固定具7の発電機6の固定位置等は、タービンの電力や復水器の容量、タービン建屋の構造等によって適宜変更され得るものである。また、タービン建屋とボイラー建屋が独立した構成の発電プラントだけでなく、タービン建屋とボイラー建屋が一体化した建屋の発電プラントにも適用可能である。
【0047】
さらに、発電機端子箱8内に発電機端子8aを収容する構成とするだけでなく、発電機6の筐体内に発電機端子8aを収容する構成や、発電機端子8aを省いて直接ブッシング11によって発電機6の電力を引き出す構成としてもよい。また、相分離母線接続端子箱9内に収容した相分離母線接続端子10と相分離母線22を接続する構成だけでなく、相分離母線接続端子10を省いて相分離母線22の端部とブッシング11を直接接続する構成としてもよい。
【0048】
さらに、支持構造体4の鋼板2のうち、発電機端子箱8や相分離母線接続端子10に対向、近接する部位に上述した磁気シールド5や切欠部13を設けてもよい。このとき、発電機端子箱8や相分離母線接続端子10から漏えいする磁束31の支持構造体4の鋼板2への吸収や、磁束31の支持構造体4の鋼板2への吸収による発熱を抑えることができる。
【0049】
さらに、送電用ブッシング11aによって引出された発電機6の電力を外部へ送電する送電用母線として、交流電力の相毎に独立した金属外皮で密閉された相分離母線22を適用するだけでなく、相毎に分離されていない相非分離母線を適用することも可能である。
【0050】
さらに、相分離母線22または相非分離母線からなる送電用母線は発電機の下方に設置される場合に限られない。例えば、水力発電所では回転軸を該垂直にして発電機6が配置され、送電母線は発電機6の側周面から離間して配置される。このとき、鋼板コンクリート構造を適用した発電機基礎台1は、発電機6を周囲から支持する構造であり、ブッシング11は発電機6の電力を発電機6の側周面から離間して配置された送電母線に引出すように設けられる。なお、上述した第1から第4の実施形態は適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0051】
1・・・発電機基礎台
2・・・鋼板
2a・・・発熱部
3・・・コンクリート
4・・・支持構造体
4a・・・上面
5・・・磁気シールド
5a・・・支持部材
6・・・発電機
6a・・・回転軸
7・・・固定具
7a・・・ボルト
8・・・発電機端子箱
8a・・・送電用発電機端子
9・・・相分離母線接続端子箱
10・・・相分離母線接続端子
11・・・ブッシング
11a・・・送電用ブッシング
11b・・・接地用ブッシング
12・・・支持デッキ
13・・・切欠部
14・・・スリット
15・・・絶縁体
16・・・冷却装置
17・・・冷却部
18・・・中性点相間接続端子箱
19・・・中性点相間接続端子
21・・・基礎底部
22・・・相分離母線
31・・・磁束

【特許請求の範囲】
【請求項1】
周囲を鋼板で囲んで内部にコンクリートを打設した鋼板コンクリート構造が適用され、基礎底部から立設され発電機を支持する支持構造体と、
送電用母線に前記発電機の電力を引出すブッシングと前記支持構造体とが対向する領域に設けられ、前記鋼板より透磁率が高い高透磁率材料または電気導電率の高い金属材料からなる高導電率材料を適用した磁気シールドとを備えることを特徴とする発電機基礎台。
【請求項2】
前記磁気シールドは、中性点相間接続端子と前記発電機を接続する前記ブッシングと前記支持構造体とが対向する領域にさらに設けられることを特徴とする発電機基礎台。
【請求項3】
前記磁気シールドは、前記支持構造体の前記鋼板のうち前記ブッシングと対向する部位に設けられることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の発電機基礎台。
【請求項4】
前記磁気シールドは、前記発電機の発電機端子を収容する発電機端子箱の筐体の一部であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の発電機基礎台。
【請求項5】
前記磁気シールドは、前記相分離母線を収容する相分離母線接続端子箱の筐体の一部であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の発電機基礎台。
【請求項6】
周囲を鋼板で囲んで内部にコンクリートを打設した鋼板コンクリート構造が適用され、タービン建屋の基礎底部から立設され発電機を支持する支持構造体を備え、
前記支持構造体は、前記鋼板うち前記ブッシングと対向する部位を切り欠いた切欠部を有することを特徴とする発電機基礎台。
【請求項7】
前記切欠部に前記鋼板より透磁率の低い補強部材をさらに設けたことを特徴とする請求項6に記載の発電機基礎台。
【請求項8】
周囲を鋼板で囲んで内部にコンクリートを打設した鋼板コンクリート構造が適用され、タービン建屋の基礎底部から立設され発電機を支持する支持構造体を備え、
前記支持構造体は、前記鋼板うち前記ブッシングと対向する部位を複数溝形状に切り欠いたスリットを有することを特徴とする発電機基礎台。
【請求項9】
前記スリットに絶縁体をさらに設けたことを特徴とする請求項8に記載の発電機基礎台。
【請求項10】
周囲を鋼板で囲み内部にコンクリートを打設した鋼板コンクリート構造が適用されタービン建屋の基礎底部から立設され、発電機を支持する支持構造体を有する発電機基礎台において、
送電用母線に前記発電機から電力を供給するブッシングと前記支持構造体とが対向する領域において設けられ、前記鋼板より透磁率が高い高透磁率材料または電気導電率の高い金属材料からなる高導電率材料が適用されることを特徴とする発電機基礎台の磁気シールド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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