説明

発電装置搭載車両用制御装置

【課題】停車時に車載のエンジンにより駆動される発電機からインバータを通して外部負荷に電力を供給する場合に、負荷が使用者の意に反していきなり動作するのを防止する。
【解決手段】ギアポジションが動力遮断位置にあることが検出されていること及び制御モードが発電モードであることを発電許可条件とし、この発電許可条件が成立しているときにインバータ13を動作させる。インバータの動作を開始する際には、発電許可条件が成立したと判定された状態で、制御モードが発電モードに切り替えられた後、一旦走行モードに切り替えられてから再度発電モードに切り替えられたときにのみインバータを動作を開始させるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部の負荷に電力を供給する発電装置を搭載したエンジン駆動車両の制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に示されているように、レクリエーション等の用途に使用されるエンジン駆動車両では、車両駆動用のエンジンにより駆動される発電機を電源として商用周波数を有する交流電力を出力する発電装置を搭載して、車両を停止させた状態で、この発電装置から各種の電動工具や家庭用電気器具等の外部負荷に電力を供給することが行われている。
【0003】
外部負荷に商用交流電力を供給する車両搭載型発電装置は、エンジンにより駆動される発電機内に設けられた外部負荷駆動用の発電コイルと、その交流出力を外部負荷駆動用の交流出力に変換する電力変換部とにより構成される。電力変換部は、発電コイルの交流出力を直流出力に変換するコンバータと、コンバータの直流出力を商用周波数の交流出力に変換するインバータと、インバータから商用周波数の交流出力を発生させるようにインバータを制御するインバータ制御手段とにより構成される。
【0004】
エンジンにより駆動される車両には、バッテリ、エンジンを点火する点火装置、エンジンに燃料を供給する燃料噴射装置等の各種の車載の電装品負荷に電力を供給するために、エンジンにより駆動される磁石式交流発電機が搭載されている。従って、この磁石式交流発電機内に外部負荷駆動用の発電コイルを設けるとともに、その出力を外部負荷駆動用の商用交流出力に変換するインバータを設けることにより、外部負荷を駆動する車載の発電装置を容易に構成することができる。
【0005】
この種の発電装置から外部負荷に電力を供給する際には、安全のために、発電機内の発電コイルから所要の出力を得るために必要な回転速度でエンジンを運転した際に、車両が発進することがないようにしておく必要がある。そのため、この種の装置では、車両が発進するおそれがない(エンジンから駆動輪に動力が伝達するおそれがない)状態にあることが確認されているときにのみ、発電装置の運転を許可するようにしている。
【0006】
特許文献1に示された発電装置では、エンジンから車両の駆動輪に動力を伝達する動力伝達装置のギアポジションが、駆動輪への動力の伝達を断つ位置である動力遮断位置(ニュートラル位置またはパーキング位置)にある状態で、モード切替スイッチによりエンジン及びインバータの制御モードが発電モードに切り替えられたときにエンジンの運転を許可するようにしている。発電モードでは、外部負荷に所要の電力を供給するために必要な回転速度で交流発電機を回転させるように、エンジンの回転速度を外部負荷の大きさに見合った速度に保つようにエンジンが制御される。
【特許文献1】特開2006−141145号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に示されているように、モード切替スイッチの状態と、動力伝達装置の状態とにより、エンジンの制御モードを車両走行モードとするか、発電モードとするかを切り替えるようにした場合には、動力伝達装置のギアポジションがニュートラル位置やパーキング位置にあれば、モード切替スイッチにより発電モードを選択するだけで、安易に発電装置を起動できるため、下記の(a)及び(b)に示すような問題が生じることが明らかになった。
【0008】
(a)車両の停止時に、電力を供給されれば直ちに動作可能な状態にある外部負荷が発電装置に接続されていて、動力伝達装置のギアポジションがニュートラル位置またはパーキング位置にある状態でエンジンが始動された後、モード切替スイッチが発電モード側に切り替えられると、外部負荷が使用者の意に反していきなり動作することがあり、使用者を驚かせるおそれがある。例えば、発電装置の出力端子間に電気ドリルなどの工具がその電源スイッチをオンにしたままで接続されている状態で発電モードに切り替えられると、工具がいきなり動き出すため、工具の使用者を驚かすことになり、好ましくない。
【0009】
(b)発電装置を運転して電動工具などの外部負荷を使用しているときに、第三者が誤ってエンジンの動力伝達装置のギアポジションをニュートラル位置及びパーキング位置以外の位置(動力伝達位置)に切り替えたときに、車両がいきなり走行を開始して外部負荷が車両に引きずられ、外部負荷の使用者を驚かせたり、外部負荷が損傷したりするおそれがある。
【0010】
本発明の目的は、外部負荷が使用者の意に反していきなり動作したり、車両を停止させて発電装置の出力で外部負荷を駆動している状態で誤って動力伝達装置のギアポジションがニュートラル位置及びパーキング位置以外の位置に切り替えられたときに、車両が走行を開始して外部負荷を引きずったり、破損させたりするおそれをなくした発電装置搭載車両用制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、車両駆動用エンジンにより駆動される交流発電機と交流発電機の出力を直流出力に変換するコンバータと直流出力を商用周波数の交流出力に変換するインバータとを備えて、インバータから外部の負荷に電力を供給する発電装置を搭載した車両のエンジンと発電装置とを制御する制御装置に適用される。
【0012】
本発明においては、車両のサイドブレーキの状態を検出するサイドブレーキセンサと、エンジンから車両の駆動輪に動力を伝達する動力伝達装置のギアポジションが駆動輪への動力の伝達を行なわせる位置である動力伝達位置にあるか、動力の伝達を断つ位置である動力遮断位置にあるかを検出するギアポジションセンサと、制御モードを発電モードと走行モードとに切り替えるモード切替スイッチと、少なくともギアポジションが動力遮断位置にあることが検出されていること及び制御モードが発電モードに切り替えられていることを発電許可条件として該発電許可条件の成立の有無を判定する発電許可条件判定手段と、発電許可条件判定手段により前記発電許可条件が成立していると判定されているときにインバータから商用周波数の交流出力を発生させ、発電許可条件が成立していないときにはインバータの動作を停止させるようにインバータを制御するインバータ制御手段と、制御モードが走行モードに切り替えられているときに車両の走行に適応するようにエンジンの回転速度を制御し、ギアポジションが動力遮断位置にあることが検出され、制御モードが発電モードに切り替えられているときにインバータから外部負荷に所要の電力を供給するのに適した回転速度で交流発電機を回転させるようにエンジンの回転速度を制御し、インバータを動作させている状態でギアポジションが動力伝達位置にあることが検出されたときにはエンジンを停止させるようにエンジンを制御するエンジン制御手段とが設けられる。
【0013】
そして、上記インバータ制御手段は、発電許可条件判定手段により発電許可条件が成立したと判定された状態で、制御モードが発電モードに切り替えられた後、一旦走行モードに切り替えられてから再度発電モードに切り替えられたときにのみインバータを動作させるように構成される。
【0014】
上記のように、発電許可条件判定手段により発電許可条件が成立したと判定された状態で、制御モードが発電モードに切り替えられた後、一旦走行モードに切り替えられてから再度発電モードに切り替えられたときにのみインバータを動作させるように構成しておくと、オペレータがギアポジションをニュートラル位置またはパーキング位置にした後、モード切替スイッチを操作して制御モードを発電モードに切り替えても発電装置は起動しないため、起動前の安全の確認についてオペレータの注意を喚起することができ、これにより、外部負荷の状態(電源スイッチの投入の有無等)の再確認等を行うことを促すことができる。
【0015】
本発明では、上記のようにして、オペレータの注意を喚起し、安全を確認することを促した後、モード切替スイッチを一旦走行モード側に切替えさせてから改めて発電モード側に切替えさせることにより、発電を開始するため、オペレータの不注意により発電装置が起動したときに、オペレータの意に反していきなり負荷が動くなどの異常事態が生じるおそれを少なくすることができる。
【0016】
また上記のように構成すると、発電許可条件が成立しているときにのみインバータが動作して外部負荷に電力を供給するため、発電許可条件が成立していない状態で発電出力が発生するの防ぐことができる。
【0017】
また上記のように構成すると、ギアポジションが動力伝達位置に切替えられて発電許可条件が成立しなくなったときにエンジンを停止させることができるため、発電装置を運転して外部負荷を使用しているときに、第三者が誤ってエンジンの動力伝達装置のギアポジションをニュートラル位置及びパーキング位置以外の位置に切り替えたときに、車両がいきなり走行を開始して外部負荷が車両に引きずられたり、損傷したりするのを防ぐことができる。
【0018】
本発明の好ましい態様では、車両のサイドブレーキの状態を検出するサイドブレーキセンサが更に設けられ、発電許可条件判定手段は、ギアポジションが動力遮断位置にあることが検出されていること及び制御モードが発電モードに切り替えられていることの他に、サイドブレーキセンサによりサイドブレーキがかけられていることが検出されていることをも発電許可条件として、該発電許可条件の成立の有無を判定するように構成される。
【0019】
上記のように構成しておくと、制御モードが発電モードに切り替えられて発電装置が運転されている状態で、サイドブレーキが外されて発電許可条件が成立しなくなったときにエンジンを停止させることができるため、サイドブレーキが外された不安定な状態で発電装置の運転が継続されるのを防ぐことができる。
【0020】
本発明の好ましい態様では、インバータの出力電流が制限値を超えたか否かを検出する過電流検出手段が更に設けられ、発電許可条件判定手段は、ギアポジションが動力遮断位置にあることが検出されていること及び制御モードが発電モードに切り替えられていることの他に、過電流検出手段によりインバータの出力電流が制限値を超えたことが検出されていないことをも発電許可条件として、該発電許可条件の成立の有無を判定するように構成される。
【0021】
上記のように発電許可条件判定手段を構成しておくと、発電装置の定格を超える外部負荷が接続された場合や、外部負荷側で地絡事故や短絡事故が生じたときに、インバータの半導体スイッチを流れる電流が過大になって半導体スイッチが破壊されるのを防止することができる。
【0022】
本発明の好ましい態様では、上記エンジン制御手段が、インバータを動作させている状態で、エンジンの回転速度が発電モード時の制限値を超えたときにもエンジンを停止させるように構成される。
【0023】
エンジン制御手段を上記のように構成しておくと、インバータから外部負荷に電力が供給されているときに、エンジンの回転速度が発電モード時の制限値を超えて、負荷に過電圧が印加された状態で運転されるのを防ぐことができるため、負荷が過電圧により破壊されるのを防ぐことができる。
【発明の効果】
【0024】
以上のように、本発明によれば、モード切替スイッチにより制御モードが発電モードに切り替えられた後、一旦走行モードに切り替えられてから再度発電モードに切り替えられたときに初めて発電許可条件が成立したと判定するようにして、発電開始時にオペレータの注意を喚起し、安全を確認することを促した後、モード切替スイッチを一旦走行モード側に切替えさせてから改めて発電モード側に切替えさせることにより、発電を開始するようにしたため、オペレータの不注意により外部負荷の電源スイッチが投入されたままの状態で発電装置が起動して、発電装置が起動したときに、オペレータの意に反していきなり負荷が動くなどの異常事態が生じるおそれを少なくすることができる。
【0025】
また本発明によれば、インバータを動作させている状態でギアポジションが動力伝達位置にあることが検出されたときにエンジンを停止させるようにしたので、発電装置を運転して外部負荷を駆動しているときに、第三者が誤ってエンジンの動力伝達装置のギアポジションをニュートラル位置及びパーキング位置以外の位置に切り替えたときに、車両がいきなり走行を開始して外部負荷が車両に引きずられたり、損傷したりするのを防ぐことができる。
【0026】
更に、請求項2に記載された発明によれば、制御モードが発電モードに切り替えられて発電装置が運転されている状態で、サイドブレーキが外されて発電許可条件が成立しなくなったときにエンジンを停止させることができるため、サイドブレーキが外された不安定な状態で発電装置の運転が継続されるのを防ぐことができる。
【0027】
また請求項3に記載された発明によれば、インバータの出力が過大になった状態で発電装置が運転されるのを防ぐことができるため、発電装置の定格を超える外部負荷が接続された場合や、外部負荷側で地絡事故や短絡事故が生じたときに、インバータの半導体スイッチを流れる電流が過大になって半導体スイッチが破壊されるのを防止することができる。
【0028】
更に請求項4に記載された発明によれば、インバータを動作させている状態で、エンジンの回転速度が発電モード時の制限値を超えたときにエンジンを停止させるようにエンジン制御手段を構成したので、インバータから外部負荷に電力が供給されているときに、エンジンの回転速度が発電モード時の制限値を超えて、負荷に過電圧が印加された状態で運転されるのを防ぐことができ、負荷が過電圧により破壊されるのを防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下図面を参照して、本発明の好ましい実施形態を詳細に説明する。
図1はエンジン及び発電機とこれらを制御する本発明の制御装置とからなるシステムの一構成例を示したブロック図である。同図において1は車両に搭載されて車両の駆動輪を駆動する車両駆動用エンジン、2はエンジン1の吸気管3に燃料を供給する燃料供給装置、4はエンジンの吸気管内に設けられたスロットルバルブ5を操作するスロットル操作手段、6はエンジン1を点火する点火装置である。
【0030】
本実施形態で用いている燃料供給装置2は燃料噴射装置からなっていて、後記するエンジン制御手段18から噴射指令信号Sjが与えられたときに、吸気管3内のスロットルバルブ5よりも下流側の空間に燃料を噴射する。燃料の噴射量は、噴射指令信号Sjの信号幅により管理される。
【0031】
スロットル操作手段4は、電気式のアクチュエータからなっていて、後記するエンジン制御手段から与えられる指令に応じてスロットルバルブ5を操作してその開度を調節する。
【0032】
7はエンジン1のクランク軸により駆動される交流発電機で、本実施形態では、この交流発電機7が磁石式交流発電機からなっている。磁石式交流発電機は、エンジンのクランク軸に取付けられた磁石回転子と、エンジンのケースなどに固定された固定子とからなっている。磁石回転子は、例えば、フライホイールを兼ねるカップ状のロータヨークと、該ロータヨークの周壁部の内周に固定された永久磁石とからなり、ロータヨークの中心部に設けられたボスがエンジンのクランク軸に嵌着されてエンジンに取付けられている。
【0033】
磁石式交流発電機の固定子は、磁石回転子の磁極にギャップを介して対向させられる磁極部が先端に形成された突極部を有する電機子鉄心と、この鉄心の突極部に巻回された電機子コイルとからなっている。本実施形態では、磁石式交流発電機の電機子鉄心に、燃料供給装置2、点火装置6、図示しないバッテリなどの電装品に電力を供給する電装品負荷駆動用の発電コイルと、外部負荷に電力を供給する外部負荷駆動用発電コイルとが巻かれている。
【0034】
点火装置6は、電流遮断式やコンデンサ放電式の点火回路を備えていて、エンジンの各気筒で点火を行なわせるタイミングである点火タイミングで後記するエンジン制御手段から点火信号Siが与えられたときに点火用高電圧を発生し、この点火用高電圧をエンジンの各気筒に設けられた点火プラグに印加する。
【0035】
エンジン1と図示しない車両の駆動輪との間には歯車減速機構と遠心クラッチ機構等のクラッチ機構とを有する動力伝達装置が設けられていて、この動力伝達機構のギアポジションを検出するためにギアポジションセンサ8が設けられている。ギアポジションセンサ8は、ギアポジションが動力遮断位置にあるときと動力伝達位置にあるときとで異なる状態をとる信号を発生する。ギアポジションセンサ8としては、例えば、ギアポジションが動力遮断位置にあるときと動力伝達位置にあるときとで異なる状態をとるように設けられたスイッチを用いることができる。ここで、「動力遮断位置」はニュートラル位置及びパーキング位置であり、「動力伝達位置」はニュートラル位置及びパーキング位置以外の位置である。
【0036】
また車両の車輪をロックするために設けられているサイドブレーキの状態を検出するサイドブレーキセンサ9が設けられている。サイドブレーキセンサ9は、サイドブレーキがかけられているときと、外されているときとで異なる状態をとる信号を発生する。サイドブレーキセンサ9としては、サイドブレーキがかけられているときと、外されているときとで異なる状態をとるように設けられたスイッチを用いることができる。
【0037】
交流発電機内に設けられた外部負荷駆動用発電コイルの出力は、オンオフ制御が可能な発電出力供給制御用スイッチ10を通して電力変換回路11に入力されている。電力変換回路11は、ダイオードブリッジ全波整流回路等からなっていて交流発電機7の出力(外部負荷駆動用発電コイルの出力)を直流出力に変換するコンバータ12と、コンバータ12が出力する直流出力を交流出力に変換するインバータ13とからなっている。インバータ13は、ブリッジの上辺及び下辺をMOSFETなどのオンオフ制御が可能な半導体スイッチにより構成した周知のHブリッジ回路からなっていて、その直流入力端子間にコンバータ12の出力電圧が印加されている。インバータの交流出力端子間にはコンセント14が接続されていて、このコンセントに外部負荷15につながるコードに接続されたプラグが接続される。外部負荷14は各種の電動工具や、家電製品など、商用周波数の交流電力で駆動される任意のものである。
【0038】
本発明に係わる発電装置においては、制御モードを発電モードと走行モードとに切り替えるため、モード切替スイッチ16が設けられる。また本実施形態では、オプションで、インバータ13の出力電流を検出して検出した電流が制限値を超えたときに過電流検出信号を出力する過電流検出手段17が設けられ、エンジンの回転速度を検出するため、回転速度検出手段18が設けられている。
【0039】
本発明では、少なくともモード切替スイッチ16の状態と、ギアポジションセンサ8により検出された動力伝達装置のギアポジションの情報とから発電装置を運転すること(インバータ13から出力を発生させること)を許可するための条件である「発電許可条件」が成立しているか否かを判定するために発電許可条件判定手段19が設けられている。
【0040】
本発明においては、発電許可条件判定手段19が、ギアポジションセンサ8によりギアポジションが動力遮断位置にあることが検出されていること、及びモード切替スイッチ16により制御モードが発電モードに切り替えられていることを発電許可条件として、発電許可条件が成立しているか否かを判定することを基本とするが、本実施形態では、更にサイドブレーキセンサ9によりサイドブレーキがかけられていることをも発電許可条件が成立していることの条件として用いるようにしている。
【0041】
本実施形態では更に過電流検出手段17を設けて、この過電流検出手段17により過電流が流れたことが検出されていないことをも発電許可条件が成立していることを判定するための条件として用いる。
【0042】
発電許可条件が成立しているときにインバータ13から商用周波数の交流電力を発生させるため、インバータ13を構成する半導体スイッチをオンオフ制御するインバータ制御手段20が設けられている。また車両を走行させる際及び発電装置を運転する際にエンジン1を制御するエンジン制御手段21が設けられている。
【0043】
インバータ制御手段20は、発電許可条件判定手段19により、発電許可条件が成立していると判定されているときに、インバータ13のブリッジの対角位置にある2つの半導体スイッチを同時にオン状態にする対のスイッチとして、各対のスイッチに所定のタイミングで駆動信号を与えることにより、インバータ13から出力させる電圧の極性を交番させて、コンバータ12から与えられる直流出力を商用周波数を有する交流出力に変換する。インバータ制御手段20はまた、インバータ13のブリッジの下辺または上辺を構成する半導体スイッチに与える駆動信号をPWM変調された波形として、ブリッジの下辺または上辺を構成する半導体スイッチを所定のデューティ比でオンオフさせることにより、インバータ13の出力電流をPWM制御する。これにより、所定の商用周波数を有し、大きさが定格値に調整された電圧値(例えば実効値で100V)を有する交流出力をインバータ13から出力させる。
【0044】
インバータ制御手段20は、発電許可条件が成立しているときには上記のようにインバータ13から商用周波数の交流電力を出力させるための制御を行うが、発電許可条件が成立しなくなったときには、安全のためにインバータ13の半導体スイッチへの駆動信号の供給を停止させることにより、インバータ13の出力を停止させる制御を行なう。
【0045】
エンジン制御手段21は、車両の走行時及び発電装置の運転時にエンジン1を運転するために燃料供給装置2と点火装置6とスロットル操作手段4とを制御する手段である。エンジン制御手段21は、モード切替スイッチ16により、制御モードが走行モードに切り替えられているときに車両の走行に適応するようにスロットル操作手段4を制御してスロットルバルブ5の開度を調整する。エンジン制御手段21はまた、エンジンの回転速度やスロットルバルブ開度などに対して決定した最適の噴射開始タイミングで燃料供給装置2に燃料の噴射量に見合った信号幅を有する燃料噴射指令Sjを与えるとともに、エンジンの回転速度やスロットルバルブ開度などの各種の制御条件に対して決定したエンジンの最適の点火タイミングで点火装置6に点火信号Siを与えて点火動作を行なわせる。
【0046】
更にエンジン制御手段21は、ギアポジションセンサ8によりギアポジションが動力遮断位置にあることが検出され、制御モードが発電モードに切り替えられているときに、インバータ13から外部負荷に所要の電力を供給するのに適した回転速度で交流発電機を回転させるようにスロットル操作手段4を制御してスロットルバルブ5の開度を調整する。エンジン制御手段21はまた、エンジンの回転速度やスロットルバルブ開度などに対して決定した最適の噴射開始タイミングで燃料供給装置2に燃料の噴射量に見合った信号幅を有する燃料噴射指令Sjを与え、エンジン1の回転速度やスロットルバルブ開度などの各種の制御条件に対して決定したエンジンの最適の点火タイミングで点火装置6に点火信号Siを与えて点火動作を行なわせる。これにより、インバータ13から外部負荷に所要の電力を供給するのに適した回転速度で交流発電機7を回転させるようにエンジン1を制御する。
【0047】
エンジン制御手段21はまた、インバータ13を動作させている状態でギアポジション8によりギアポジションが動力伝達位置にあることが検出されたとき、及び回転速度検出手段18により、エンジンの回転速度が発電モード時の制限値を超えたことが検出されたときに燃料供給装置2及び点火装置6への噴射指令信号及び点火信号の供給を停止させてエンジン1を停止させるための処理を行なう。
【0048】
図1に示した制御装置は、図示しないキースイッチがオン状態にされたときにバッテリから各部に電源電圧が与えられて動作可能な状態にされる。
【0049】
ここで、図1に示した実施形態の全体的な動作を説明する。
車両を走行させる場合及び発電装置を運転する場合のいずれの場合も、先ず図示しないキースイッチをオン状態にする。車両を走行させる際には、更にモード切替スイッチ16により制御モードを走行モードに切替え、エンジンを始動させる。制御モードが走行モードに切替えられたときには、エンジン制御手段21が車両の走行に適応するように、スロットルバルブ5の開度を運転者のアクセルの操作量に対応する開度に一致させるようにスロットル操作手段(アクチュエータ)4を制御して、運転者のアクセルの操作量に応じてエンジン1の回転速度を制御する。
【0050】
また車両が停止しているときに発電装置を運転して外部負荷15に電力を供給する際には、車両の車輪をロックするサイドブレーキをかけるとともに、動力伝達装置のギアポジションを動力遮断位置(ニュートラル位置またはパーキング位置)とした後、モード切換スイッチ16により制御モードを発電モードに切替えて、エンジンを始動させる。
【0051】
制御モードを発電モードに切替え、エンジンを始動させると、エンジン制御手段21は、インバータ13から外部負荷15に所要の電力を供給するのに適した回転速度で交流発電機7を回転させるように、スロットル操作手段4を制御してスロットルバルブ5の開度を調整し、エンジン1の回転速度を制御する。エンジン制御手段21はまた、エンジン1の回転速度やスロットルバルブ開度などに対して決定した最適の噴射開始タイミングで燃料供給装置2に燃料の噴射量に見合った信号幅を有する燃料噴射指令Sjを与えるとともに、エンジンの回転速度やスロットルバルブ開度などの各種の制御条件に対して決定したエンジンの最適の点火タイミングで点火装置6に点火信号Siを与えて点火動作を行なわせる。またこのときインバータ制御手段20は、インバータ13から商用周波数の交流出力を発生させるようにインバータ13を制御する。
【0052】
発電許可条件が成立してインバータ13から外部負荷に電力を供給している状態で、誤ってギアポジションが動力伝達位置に切替えられると、エンジン制御手段21がエンジンを停止させるための処理を行なう。このときエンジン制御手段21は、スロットルバルブ5を全閉位置に戻すとともに、点火装置6への点火信号の供給を停止させ、燃料供給装置への噴射指令信号Sjの供給を停止させてエンジンを停止させる。従って、発電装置の運転中に誤ってギアポジションが動力伝達位置に切替えられたときに車両が発進するのが防止される。
【0053】
またインバータ13から外部負荷15に電力が供給されている状態で、何らかの原因でエンジン1の回転速度が発電モード時の制限値を超えたときには、エンジン制御手段21が、スロットルバルブ5を全閉位置に戻すとともに、点火装置6への点火信号の供給を停止させ、燃料供給装置への噴射指令信号Sjの供給を停止させてエンジンを停止させる。これにより、インバータから外部負荷に電力が供給されているときに、エンジンの回転速度が発電モード時の制限値を超えて、負荷に過電圧が印加された状態で運転されるのが防止される。
【0054】
インバータが駆動されている状態で、発電装置の定格を超える外部負荷が接続される等して、インバータの出力が過大になる異常が生じたときには、過電流検出手段17がインバータの出力電流が制限値を超えたことを検出する。このとき発電許可条件判定手段19により発電許可条件が成立しなくなったと判定されるため、エンジン制御手段21がエンジンを停止させるための処理を行ない、インバータの半導体スイッチを流れる電流が過大になって半導体スイッチが破壊されるのを防止する。
【0055】
またインバータから外部負荷に電力が供給されている状態で運転者がサイドブレーキを外した場合には、サイドブレーキセンサによりサイドブレーキが外されたことが検出されるため、発電許可条件判定手段19により発電許可条件が成立しなくなったと判定される。このときインバータ制御手段20はインバータの動作を停止させるため、サイドブレーキが外された不安定な状態で発電が行われて負荷が駆動されるのを防ぐことができ、安全性を向上させることができる。
【0056】
上記のように、種々の原因で発電許可条件が成立しなくなってインバータの動作が停止した後、発電を再開させる場合には、サイドブレーキをかけ、ギアポジションを動力遮断位置に位置させた状態で、モード切換スイッチ16を操作して制御モードを発電モードに切り替えた後、モード切換スイッチ16を操作して制御モードを一旦走行モードに切り替えてから再度発電モードに切り替える。これらの操作を行なったときにのみ、インバータ制御手段20がインバータを動作させ、発電を再開させる。
【0057】
図1に示した制御装置において、発電許可条件判定手段19、インバータ制御手段20及びエンジン制御手段21は、マイクロプロセッサにより構成することができる。発電許可条件判定手段19、インバータ制御手段20及びエンジン制御手段21の要部を構成するためにマイクロプロセッサに実行させるタスクのアルゴリズムの一例を示すフローチャートを図2に示した。
【0058】
なお上記の説明では、過電流検出手段17により過電流が流れたことが検出されていないことを、発電許可条件が成立していることを判定するための条件として用いるとしたが、図2に示した例では、説明を簡単にするために、過電流検出手段17により過電流が流れたことが検出されていないことを、発電許可条件が成立していることを判定するための条件として用いないとしている。また上記の説明では、回転速度検出手段18によりエンジンの回転速度が発電モード時の制限値を超えたときにも前記エンジンを停止させるとしたが、図2の例では、エンジンの回転速度が発電モード時の制限値を超えたことをエンジンを停止させるための条件として用いないとしている。
【0059】
図2に示したタスク処理では、システムの状態が、IDLE状態(待機状態)と、READY状態(準備完了状態)と、OUTPUT状態(出力状態)と、STOP状態(停止状態)との4つの状態のいずれかをとるものとし、所定の条件が成立したときに図3に示すように、状態を遷移させる。IDLE状態(待機状態)、READY状態(準備完了状態)、OUTPUT状態(出力状態)及びSTOP状態(停止状態)はそれぞれ下記の状態である。
【0060】
IDLE状態(アイドル状態)は、下記のいずれかのIDLE条件が成立している状態である。
(i)ギアポジションが動力伝達位置(ニュートラル位置及びパーキング位置以外に位置)にある。
(ii)サイドブレーキがかけられていない点を除き、READY条件及びOUTPUT条件が満たされている。
(iii)キースイッチがオン状態にされてインバータに電源が投入され(発電出力供給制御用スイッチ10がオン状態にされ)、モード切替スイッチが発電モードである。
システムがIDLE状態にあるとき、インバータは発電出力を発生せず、後記するREADY条件が成立するのを待つ。キースイッチがオン状態にされた後のシステムの初期状態は、IDLE状態とされる。
【0061】
READY状態(準備完了状態)は下記のREADY条件がすべて満たされた状態ある。
(i)ギアポジションが動力遮断位置(ニュートラル位置及びパーキング位置)である。
(ii)モード切替スイッチが走行モードに切替えられている。
(iii)サイドブレーキがかけられている。
システムがこのREADY状態にあるとき、インバータは発電出力を発生せず、OUTPUT条件が成立するのを待つ。
【0062】
OUTPUT状態(出力状態)は下記のOUTPUT条件がすべて満たされた状態である。
(i)ギアポジションが動力遮断位置(ニュートラル位置及びパーキング位置)である。
(ii)モード切替スイッチが走行モードから発電モードに切替えられた。
(iii)サイドブレーキがかけられている。
システムがOUTPUT状態にあるときに、インバータが発電出力を発生する。
【0063】
STOP状態(停止状態)は、下記のSTOP条件がすべて満たされた状態である。
(i)ギアポジションが動力伝達位置(ニュートラル位置及びパーキング位置以外に位置)にある。
(ii)モード切替スイッチが発電モードに切替えられている。
システムがSTOP状態にあるときには、エンジンを停止させ、その状態をキースイッチ(車両を走行させる際及び発電装置を動作させる際にオン状態にされる電源スイッチ。)がオフ状態にされるまで保持する。
【0064】
図2に示したタスク処理は、一定の周期、例えば32msecの周期で繰り返し実行される。この処理を実行させる周期は、モード切換スイッチの応答性など、システムの特性に応じて適宜に設定する。
【0065】
図示のアルゴリズムによる場合には、先ずステップS1においてシステムの状態がSTOP状態であるか否かを判定する。その結果STOP状態であれば、ステップ2においてエンジンを停止するための処理を行なわせた後この処理を終了する。ステップS1でSTOP状態ではないと判定されたときには、ステップS3に進んでギアポジションがニュートラル位置またはパーキング位置であるか否かを判定する。その結果、ニュートラル位置でもパーキング位置でもないと判定されたときには、ステップS4に進んでシステムの状態がIDLE状態であることを示すフラグを立てるとともに、インバータの動作を停止させる。その後、ステップS5において制御モードが発電モードであるか否かを判定し、発電モードでない場合には以後何もしないでこの処理から脱ける。ステップS5において発電モードであると判定されたときには、ステップS6に進んでシステムの状態がSTOP状態であることを示すフラグを立てた後この処理を終了する。
【0066】
ステップS3において、ギアポジションがニュートラル位置またはパーキング位置にあると判定されたときには、ステップS7に進んでシステムの状態を示すフラグから現在の状態を判定する処理を行なわせる。
【0067】
ステップS7における判定処理の結果、システムの状態がIDLE状態であるあると判定されたときには、ステップS8に進んで現在の制御モードが走行モードであるか否かを判定する。その結果、走行モードである場合には、ステップS9に進んでシステムの状態がREADY状態であることを示すフラグを立ててこの処理を終了する。ステップS8において制御モードが発電モードであると判定されたときには、ステップS10に進んでシステムの状態がIDLE状態であることを示すフラグを立てた後、この処理を終了する。
【0068】
ステップS7における判定処理でシステムの状態がREADY状態であると判定されたときには、ステップS11に進んで現在の制御モードが発電モードであるか否かを判定する。その結果、発電モードでない場合には、以後何もしないでこの処理を脱ける。ステップS11において、現在の制御モードが発電モードであると判定されたときには、ステップS12に進んでサイドブレーキがかけられているか否かを判定する。その結果、サイドブレーキがかけられていると判定されたときには、ステップS13に進んでシステムの状態がOUTPUT状態であることを示すフラグを立てて、インバータの動作を開始させ、インバータ13から外部負荷15に電力を供給する。ステップS12においてサイドブレーキが外されていると判定されたときには、ステップS14に進んでシステムの状態がIDLE状態であることを示すフラグを立ててこの処理を終了する。
【0069】
ステップS7における判定処理でシステムの状態がOUTPUT状態であると判定されたときには、ステップS15に進んで現在の制御モードが走行モードであるか否かを判定する。その結果、制御モードが発電モードであると判定されたときには、ステップS16に進んでサイドブレーキがかけられているか否かを判定する。その結果サイドブレーキがかけられている場合には以後何もしないでこの処理を終了する。ステップS16においてサイドブレーキがかけられていないと判定されたときには、ステップS17に進んでシステムがIDLE状態であることを示すフラグを立ててこの処理を終了する。
【0070】
ステップS15において制御モードが走行モードであると判定されたときには、ステップS18に進んでシステムがREADY状態であることを示すフラグを立てるとともに、インバータの動作を停止させてインバータから外部負荷への電力の供給を停止させた後この処理を終了する。
【0071】
図2に示したアルゴリズムによる場合には、発電許可条件が成立しなくなってシステムがSTOP状態にされ、エンジンが停止すると、キースイッチが一旦オフ状態にされた後再度オン状態にされてシステムがリセットされるまでシステムはSTOP状態に保持される。キースイッチがオン状態にされた後システムの初期状態はIDLE状態であるため、ギアポジションがニュートラル位置またはパーキング位置であると、ステップS7でシステムがIDLE状態であると判定される。そのためステップS8が実行され、制御モードが走行モードであるか発電モードであるかが判定される。制御モードが走行モードである場合には、システムに状態がREADY状態にされ、インバータは停止状態に保持される。このときエンジン制御手段は車両の走行に適応するようにエンジン1を制御する。制御モードが発電モードに切替えられると、ステップS8に続いてステップS10が実行されてシステムの状態がIDLE状態にされるが、モード切換スイッチを発電モードの位置に保持したままの状態では、次にこの処理が実行されたときにもステップS10が実行されるため、OUTPUT状態への遷移は行なわれない。
【0072】
これに対し、モード切換スイッチを一旦走行モード側に切替えると、ステップS8に続いてステップS9が実行されるため、システムの状態がREADY状態とされ、次にこの処理が行なわれたときにステップS11へとが実行される。このときステップS11では制御モードが走行モードであると判定されるが、モード切替スイッチを一旦走行モード側に切替えた後、再度発電モード側に切替えると、ステップS11において制御モードが発電モードであると判定されるため、続いてステップS12が実行される。ここでサイドブレーキがかけられていれば、ステップS12に続いてステップS13が実行されてシステムの状態がOUTPUT状態とされるため、インバータの駆動が開始され、発電が開始される。
【0073】
上記のように、本発明においては、サイドブレーキがかけられていることが検出され、ギアポジションが動力遮断位置にあることが検出されている状態で、制御モードが発電モードに切り替えられた後、一旦走行モードに切り替えられてから再度発電モードに切り替えられたときにのみインバータ制御手段がインバータの動作を開始させる。このように構成しておくと、オペレータがギアポジションをニュートラル位置またはパーキング位置にした後、モード切替スイッチを操作して制御モードを発電モードに切り替えても発電装置は起動しないため、起動前の安全の確認についてオペレータの注意を喚起することができ、これにより、外部負荷の状態(電源スイッチの投入の有無等)の再確認等を行うことについての動機付けをすることができる。従って、発電装置が起動したときに、オペレータの意に反していきなり負荷が動くなどの異常事態が生じるおそれを少なくすることができる。
【0074】
システムがOUTPUT状態とされて、インバータから発電出力を発生させている状態で、サイドブレーキが外された場合には、ステップS17が実行されてシステムの状態がIDLE状態とされるため、インバータの動作が停止させられる。これにより、サイドブレーキが外された不安定な状態で発電が行なわれるのが防止される。
【0075】
図2に示したアルゴリズムによる場合には、ステップS1ないしS6,S7,S8,S9,S10,S11、S15及びS18と、燃料供給装置2、スロットル操作手段4及び点火装置6を制御するための処理を行なう図示しないタスクとにより、エンジン制御手段が構成される。またステップS1,S3,S7,S8,S9,S10,S11,S12,S13,S14,S15,S16,S17及びS18により発電許可条件判定手段が構成され、ステップS9,S10,S13,S14,S18,S17とインバータ13の半導体スイッチのスイッチパターンを決定するための処理を行なう図示しないタスクとにより、インバータ制御手段が構成される。
【0076】
発電装置を運転する際の安全性を向上させるためには、上記の実施形態のように、サイドブレーキがかけられていることを発電許可条件が成立していることを判定するための条件の一つとしたが、サイドブレーキがかけられていることは、発電許可条件が成立していることを判定するための条件から除くこともできる。
【0077】
上記の実施形態では、インバータの出力電流が制限値を超えていないことを、発電許可条件が成立していることを判定するための条件の一つとしたが、インバータの出力電流が制限値を超えていないことは、発電許可条件が成立していることを判定するための条件から除くこともできる。
【0078】
上記の実施形態では、発電装置を運転している状態でエンジンの回転速度が制限値を超えたときにエンジンを停止させるようにしたが、発電装置を運転している状態でエンジンの回転速度が制限値を超えたときにエンジンを停止させるのではなく、エンジンの回転を低下させるための制御を行なうようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】エンジン及び発電機とこれらを制御する本発明の制御装置とからなるシステムの一構成例を示したブロック図である。
【図2】図1の制御装置の要部を構成するためにマイクロプロセッサに実行させるタスクのアルゴリズムの一例を示したフローチャートである。
【図3】図2に示したアルゴリズムによる場合のシステムの状態の遷移を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0080】
1 エンジン
2 燃料供給装置
4 スロットル操作手段
7 交流発電機
8 ギアポジションセンサ
9 サイドブレーキセンサ
12 コンバータ
13 インバータ
15 外部負荷
16 モード切替スイッチ
17 過電流検出手段
18 回転速度検出手段
19 発電許可条件判定手段
20 インバータ制御手段
21 エンジン制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両駆動用エンジンにより駆動される交流発電機と前記交流発電機の出力を直流出力に変換するコンバータと前記直流出力を商用周波数の交流出力に変換するインバータとを備えて、前記インバータから外部の負荷に電力を供給する発電装置を搭載した車両の前記エンジンと発電装置とを制御する制御装置であって、
前記エンジンから前記車両の駆動輪に動力を伝達する動力伝達装置のギアポジションが前記駆動輪への動力の伝達を行なわせる位置である動力伝達位置にあるか、動力の伝達を断つ位置である動力遮断位置にあるかを検出するギアポジションセンサと、
制御モードを発電モードと走行モードとに切り替えるモード切替スイッチと、
少なくとも前記ギアポジションが前記動力遮断位置にあることが検出されていること及び制御モードが発電モードに切り替えられていることを発電許可条件として該発電許可条件の成立の有無を判定する発電許可条件判定手段と、
前記発電許可条件判定手段により前記発電許可条件が成立していると判定されているときに前記インバータから商用周波数の交流出力を発生させ、前記発電許可条件が成立していないときには前記インバータの動作を停止させるように前記インバータを制御するインバータ制御手段と、
制御モードが前記走行モードに切り替えられているときに前記車両の走行に適応するように前記エンジンの回転速度を制御し、前記ギアポジションが前記動力遮断位置にあることが検出され、制御モードが発電モードに切り替えられているときに前記インバータから前記外部負荷に所要の電力を供給するのに適した回転速度で前記交流発電機を回転させるように前記エンジンの回転速度を制御し、前記インバータを動作させている状態で前記ギアポジションが前記動力伝達位置にあることが検出されたときには前記エンジンを停止させるように前記エンジンを制御するエンジン制御手段と、
を具備し、
前記インバータ制御手段は、前記発電許可条件判定手段により発電許可条件が成立したと判定された状態で、制御モードが発電モードに切り替えられた後、一旦走行モードに切り替えられてから再度発電モードに切り替えられたときにのみ前記インバータを動作させるように構成されていることを特徴とする発電装置搭載車両用制御装置。
【請求項2】
前記車両のサイドブレーキの状態を検出するサイドブレーキセンサが更に設けられ、
前記発電許可条件判定手段は、前記ギアポジションが前記動力遮断位置にあることが検出されていること及び制御モードが発電モードに切り替えられていることの他に、前記サイドブレーキセンサによりサイドブレーキがかけられていることが検出されていることをも発電許可条件として、該発電許可条件の成立の有無を判定するように構成されている請求項1に記載の発電装置搭載車両用制御装置。
【請求項3】
前記インバータの出力電流が制限値を超えたか否かを検出する過電流検出手段が更に設けられ、
前記発電許可条件判定手段は、前記ギアポジションが前記動力遮断位置にあることが検出されていること及び制御モードが発電モードに切り替えられていることの他に、前記過電流検出手段により前記インバータの出力電流が制限値を超えたことが検出されていないことをも発電許可条件として、該発電許可条件の成立の有無を判定するように構成されている請求項1または2に記載の発電装置搭載車両用制御装置。
【請求項4】
前記エンジン制御手段は、前記インバータを動作させている状態で、前記エンジンの回転速度が発電モード時の制限値を超えたときにも前記エンジンを停止させるように構成されている請求項1,2または3に記載の発電装置搭載車両用制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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