説明

白色ポリエステルフィルム

【課題】十分な反射性能を備え、安定して製膜することができ、巻き癖が付き難い、液晶表示装置の反射板として好適に用いることのできる、白色ポリエステルフィルムを提供する。
【解決手段】ポリオレフィン5〜40重量部およびポリエステル60〜95重量部からなり、ポリエステルの重量平均分子量が45000〜65000であることを特徴とする、白色ポリエステルフィルム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、白色ポリエステルフィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイは、テレビ、パソコン携帯電話などのディスプレイに幅広く用いられているが、液晶自体は自発光しないため、裏側にバックライトと呼ばれる発光装置を設置しなければならない。バックライトには単に光を照射する機能の他に、画面全体を均一に明るくすることも求められ、エッジ型または直下型と呼ばれる構造をとることが一般的である。エッジ型、直下型どちらの場合でも、最下部には反射板が設けられており、これにより光のロスを少なくし、画面全体をより明るくする機能を付与している。この反射板には光の高い反射性および高い拡散性が要求される。
【0003】
無機粒子等ポリエステルと非相溶の物質を含有させ、延伸によってポリエステルとの界面でボイドを形成したポリエステルフィルムは、反射率が高く反射板用フィルムとして適している。
【0004】
【特許文献1】特開2006−124491号公報
【特許文献2】特開昭63−137927号公報
【特許文献3】特公平8−16175号公報
【特許文献4】特開平3−76727号公報
【特許文献5】特開平3−132331号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ポリエステルフィルムは、延伸後、ロール状に巻き取り、保管および輸送されるが、ボイドを多く含むポリエステルフィルムは、ロール状の巻き癖が残りやすい。巻き癖が残っていると、ポリエステルフィルムを裁断し、所定の形状に折り曲げる等の加工工程でのハンドリング性が劣り、反射板を組み込んだバックライトユニットの生産性が劣ることになる。
【0006】
本発明は、十分な反射性能を備え、安定して製膜することができ、巻き癖が付き難い、液晶表示装置の反射板として好適に用いることのできる、白色ポリエステルフィルムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち本発明は、ポリオレフィン5〜40重量部およびポリエステル60〜95重量部からなり、ポリエステルの重量平均分子量が45000〜65000であることを特徴とする、白色ポリエステルフィルムである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、十分な反射性能を備え、安定して製膜することができ、巻き癖が付き難い、液晶表示装置の反射板として好適に用いることのできる、白色ポリエステルフィルムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の白色ポリエステルフィルムは、ポリオレフィン5〜40重量部およびポリエステル60〜95重量部からなり、好ましくはポリオレフィン5〜30重量部およびポリエステル70〜95重量部からなる。ポリオレフィンが5重量部未満であると、得られる白色ポリエステルフィルムの光線反射率や白色度が十分でなく、40重量部を超えるとポリオレフィンの分散が不良となり、白色ポリエステルフィルムを得ることが困難になる。
【0010】
[ポリオレフィン]
本発明において、ポリオレフィンはポリエステルと非相溶であり、ポリエステル中で微細な粒状として分散している。このようなポリエステル組成物をシート化し、延伸することでポリエステル中に分散したポリオレフィンとポリエステルとの間に界面剥離が生じてボイドが発生する。ボイドはその界面で光を反射するので、白色のフィルムが得られる。
【0011】
本発明におけるポリオレフィンとして、例えばポリ−3−メチルブテン−1、ポリ−4−メチルペンテン−1、ポリビニル−t−ブタン、1,4−トランス−ポリ−2,3ジメチルブタジエン、ポリビニルシクロヘキサン、ポリスチレン、ポリメチルスチレン、ポリフルオロスチレン、ポリ−2−メチル−4−フルオロスチレン、ポリビニル−t−ブチルエーテル、セルローストリアセテート、セルローストリプロピオネート、ポリビニルフルオライド、ポリクロロトリフルオロエチレンを用いることができ、特にポリ−4−メチルペンテン−1が好ましい。
【0012】
[ポリエステル]
本発明において、ポリエステルとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートを挙げることができる。ポリエステルは、これらの共重合体であってもよい。これらポリエステルの中でもポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートがフィルムとしての特性が良好で好ましく、さらにポリエチレンテレフタレートが最も好ましい。ポリエチレンテレフタレートは共重合してもかまわないが、ポリエステル構成単位の85モル%以上がエチレンテレフタレート単位であることが好ましい。エチレンテレフタレート単位が85モル%未満である場合、白色フィルムの機械特性が不十分になりやすい。
【0013】
これらポリエステルの共重合成分としてジカルボン酸成分、グリコール成分、多官能成分を挙げることができ、例えばジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、スルホイソフタル酸ナトリウムおよびこれらのアルキルエステルなどの芳香族ジカルボン酸成分、アジピン酸、セバシン酸、およびこれらのアルキルエステルなどの脂肪族ジカルボン酸成分、1,4シクロヘキサンジカルボン酸およびこれアルキルエステルなどの脂環族ジカルボン酸成分を挙げることができる。グリコール成分としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、1,4シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール、スピログリコール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、イソソルベート等をあげることができる。
【0014】
ポリエステルの固有粘度は、好ましくは0.70dl/g以上、さらに好ましくは0.80〜1.00dl/gである。固有粘度が0.70dl/g未満ではポリエステルの重量平均分子量を45000〜65000の範囲に調整することが困難であり、またフィルムがデラミネーションを起こしやすく好ましくない。1.00dl/gより高いと溶融粘度が高いため溶融押出しが困難になり、また重合時間が長く不経済であり好ましくない。
【0015】
本発明において、ポリエステルの重量平均分子量が45000〜65000であることが肝要である。重量平均分子量が45000未満であると巻き癖が付きやすく、工程でのハンドリング性に劣る。65000を超える白色ポリエステルフィルムは作成が困難である。
【0016】
[分散剤]
上記のポリエステルとポリオレフィンの組成物には、ポリオレフィンの分散性を改善するために、ポリアルキレングリコールを添加することが好ましい。ポリアルキレングリコールとしては、例えばポリエチレングリコールを用いることができる。ポリオレフィンの良好な分散性を得るために、ポリアルキレングリコールの配合量は、ポリエステルとポリオレフィンの組成物100重量部に対して、例えば0.1〜5重量部、好ましくは0.5〜2重量部である。
なお、ポリエステルには必要に応じて、酸化防止剤、粒子などの滑剤、顔料、染料、熱安定剤、紫外線吸収剤、蛍光増白剤、帯電防止剤等、各種添加してもかまわない。
【0017】
[巻き癖指数]
本発明の白色ポリエステルフィルムは、以下に定義される巻き癖指数45mm以下を達成することができる。巻き癖指数が45mmを超えると、フィルムを裁断し、所定の形状に折り曲げる等の加工工程でのハンドリング性が劣り、反射板を組み込んだバックライトユニットの生産性が劣ることになる。巻き癖指数のより好ましい範囲は30mm以下である。巻き癖指数の定義、測定方法は実施例に後述する。
また、本発明の白色ポリエステルフィルムは、光線反射率が95%以上、さらには97%以上を達成することができる。
【0018】
[積層構造]
本発明の白色ポリエステルフィルムは単層でもよいが、光学特性と機械特性を両立するために、他の層と積層してもしくは本発明のフィルム同士を積層して、積層構造とすることが好ましい。積層構造は、例えばA/Bの2層積層でもA/B/Aの3層積層でもよく、さらに多層であってもかわない。A/BまたはA/B/Aの積層フィルムとする場合、A層には無機粒子を1〜25重量%含有するポリエステル組成物を用いることが好ましい。無機粒子としては、例えば酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、二酸化珪素を用いることができる。このような無機粒子含有ポリエステル組成物は、無機粒子とポリエステルとを2軸混練押出機で溶融混練したり、ポリエステル重合中に粒子を添加することで得ることができる。
【0019】
積層フィルムを得るには、2台以上の押出機を準備し、それぞれに無機粒子含有ポリエステル、ポリオレフィンとポリエステルとの組成物を仕込む。それぞれの押出機で溶融した原料は、例えば積層ブロックや口金内で積層し、口金から吐出することで積層未延伸シートを得ることができる。未延伸シートの延伸などは単膜と同様の装置で行うことができる。
【0020】
[製造方法]
本発明における重量平均分子量45000〜65000のポリエステルは、通常の溶融重合で得られたポリマーに、例えば、さらに固相重合を施したポリマーを用いることにより得ることができる。固相重合に供給するポリエステルのチップには、予め固相重縮合を行なう温度より低い温度に加熱して予備結晶化を行なってもよい。このような予備乾燥(結晶化)は、例えば100〜180℃、好ましくは120〜160℃の温度に、例えば30分〜4時間加熱して行なうことができる。また、ポリエステルのチップを水蒸気または水蒸気含有不活性ガス雰囲気下で、例えば100〜180℃の温度に30秒間以上加熱して行なうこともできる。
【0021】
固相重合は、少なくとも1段の工程からなり、重合温度は例えば150〜220℃、好ましくは160〜210℃であり、圧力は通常1kg/cmG〜10トール、好ましくは常圧ないし100トールであり、例えば窒素、アルゴンといった不活性ガス雰囲気下で実施される。重合温度が高いほど短時間で固相重合が完了するが、この時間は通常1〜50時間、好ましくは5〜30時間、さらに好ましくは10〜25時間である。
【0022】
本発明の白色ポリエステルフィルムは、前記したポリエステルおよびポリオレフィンを用いて製造する。例えば、ポリエステルとポリオレフィンを押出機によって溶融押出し、必要に応じてフィルタによって溶融樹脂を濾過する。濾過された溶融樹脂は口金に導いてシート状に押出、これを静電印加法などによって鏡面ドラム上で急冷して非晶シートを得る。得られた非晶シートは少なくとも1軸方向、好ましくは2軸方向に延伸する。延伸は逐次2軸延伸でも同時2軸延伸でもかまわない。例えばポリエチレンテレフタレート組成物を逐次2軸延伸する場合、未延伸フィルムを70〜120℃程度に加熱したロールによって加熱し、回転速度の異なるロール間で延伸をおこなう。延伸倍率は2〜5倍程度が好ましい。このようにしてフィルム長手方向に延伸したフィルムは一旦冷却し、ついでフィルムの両端をクリップで把持しながらテンターに導き、90〜150℃に加熱した雰囲気中でフィルムを横方向に延伸する。延伸倍率は2〜5倍程度が好ましい。横延伸が終了したフィルムは寸法安定性を付与するためにさらに150〜230℃の範囲で熱固定し、室温まで冷却すれば得ることができる。
【0023】
2軸延伸後の白色ポリエステルフィルムの厚みは、好ましくは50〜350μm、さらに好ましくは70〜320μm、特に好ましくは100〜300μmである。50μm未満であると反射率が低下して好ましくなく、他方、350μmを超えるとこれ以上厚くしても反射率の上昇が望めないことから好ましくない。
【実施例】
【0024】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。
(1)フィルム厚み
フィルムサンプルをエレクトリックマイクロメーター(アンリツ製 K−402B)にて、10点厚みを測定し、平均値をフィルムの厚みとした。
【0025】
(2)各層の厚み
サンプルを三角形に切り出し、包埋カプセルに固定後、エポキシ樹脂にて包埋した。そして、包埋されたサンプルをミクロトーム(ULTRACUT−S)で縦方向に平行な断面を50nm厚の薄膜切片にした後、透過型電子顕微鏡を用いて、加速電圧100kvにて観察撮影し、写真から各層の厚みを測定し、平均厚みを求めた。
【0026】
(3)反射率
分光光度計(島津製作所製UV−3101PC)に積分球を取り付け、BaSO白板を100%とした時の反射率を波長400〜700nmにわたって測定した。得られたチャートより2nm間隔で反射率を読み取り、上記の範囲内で平均値を求めた。
【0027】
(4)ポリエステルの重量平均分子量
白色ポリエステルフィルム1mgにHFIP:クロロホルム(1:1)0.5mlを加えて溶解(一晩)させ、測定直前にクロロホルムを9.5mlを加えて、メンブレンフィルター0.45μmでろ過しGPC分析を行った。測定機器、条件は以下の通りである。
GPC:HLC−8020 東ソー製
検出器:UV−8010 東ソー製
カラム:TSK−gelGMHHR・M×2 東ソー製
移動相:HPLC用クロロホルム
流速:1.0ml/min
カラム温度:40℃
検出器:UV(254nm)
注入量:200μl
較正曲線用試料:ポリスチレン(Polymer Laboratories製EasiCal“PS−1”)
【0028】
(5)フィルムの巻き癖指数
白色ポリエステルフィルムを10mm幅×150mm長さの短冊状に切り出し、直径1インチの紙管に巻き付け、常温、相対湿度55%にて24時間保管した後解放し、上に凹になるように平板に置いた際に観察される浮き上りを測定した。紙管への巻きつけは、片層を内面側にして巻くもの3本、反対側にして巻くもの3本として合計6サンプルについて測定し、浮き上りの大きい方から3サンプルの平均をとった。その平均値をmmで表した数値をフィルムの巻き癖指数とした。
【0029】
(6)ポリエステルの固有粘度
オルトクロロフェノール溶媒に加熱溶解させ25℃で測定した。
【0030】
(7)延伸性
縦方向2.9〜3.4倍、横方向3.5〜3.7倍に延伸して製膜し、安定に製膜できるか観察した。下記基準で評価した。
○:1時間以上安定に製膜できる
△:10分間以上1時間未満の間に切断が生ずる。
×:10分間以内に切断が発生し、安定な製膜ができない。
【0031】
(8)微粒子の平均粒子径
HORIBA製LA−750パーティクルサイズアナライザー(Particle Size Analyzer)を用いて測定した。50マスパーセントに相当する粒子径を読み取り、この値を平均粒子径とした。なお、各粒子の粒子断面が円形でない場合には、粒子の長径と短径との平均をその粒子の粒子径とした。
【0032】
(参考例1)ポリエチレンテレフタレートの製造(PET−A)
エステル交換反応容器にジメチルテレフタレートを100重量部、エチレングリコールを61重量部、酢酸マグネシウム四水塩を0.06重量部仕込み、150℃に加熱して溶融し撹拌した。反応容器内温度をゆっくりと235℃まで昇温しながら反応を進め、生成するメタノールを反応容器外へ留出させた。メタノールの留出が終了したらトリメチルリン酸を0.02重量部添加した。トリメチルリン酸を添加した後、反応物を重合装置に移行した。ついで重合装置内の温度を235℃から290℃まで90分かけて昇温し、同時に装置内の圧力を大気圧から100Paまで90分かけて減圧した。重合装置内容物の撹拌トルクが所定の値に達したら装置内を窒素ガスで大気圧に戻して重合を終了した。重合装置下部のバルブを開いて重合装置内部を窒素ガスで加圧し、重合の完了したポリエチレンテレフタレートをストランド状にして水中に吐出した。ストランドはカッターによってチップ化した。このようにして固有粘度が0.65dl/gであるポリエチレンテレフタレートのポリマーを得た。これをPET−Aと称する。
【0033】
(参考例2)ポリエチレンテレフタレートの製造(PET−B)
参考例1で得られたポリマー(PET−A)を150〜160℃で3時間予備乾燥した後、210℃、100トール、窒素ガス雰囲気下で2時間固相重合を行った。固相重合後の固有粘度は0.70dl/gであった。これをPET−Bと称する。
【0034】
(参考例3)ポリエチレンテレフタレートの製造(PET−C)
参考例1で得られたポリマー(PET−A)を150〜160℃で3時間予備乾燥した後、210℃、100トール、窒素ガス雰囲気下で15時間固相重合を行った。固相重合後の固有粘度は1.00dl/gであった。これをPET−Cと称する。
【0035】
[実施例1]
参考例2で得られたPET−Bを95重量部、ポリ−4−メチルペンテン−1(メルトフローレート25g/10分)5重量部をブレンドし、2軸混練機に供給して280℃で溶融した。これに、分散剤として分子量4000のポリエチレングリコールを1重量部添加し溶融混練した。溶融混練したポリエステル組成物はストランド状にして水中に吐出し、カッターによってチップ化した。これをPET−Dと称する。
【0036】
参考例2で得られたPET−Bに、蛍光増白剤(イーストマン社製OB−1)を0.01重量%混合し2軸混練機に供給して280℃で溶融した。これに平均粒子径が0.5μmの合成炭酸カルシウム粒子を添加して溶融混練した。溶融混練した合成炭酸カルシウム含有ポリエステル組成物は、ストランド状にして水中に吐出し、カッターによってチップ化した。溶融混練に際しては、混練原料の供給量を調整し、合成炭酸カルシウム粒子が12重量%含有されるように調整した。これをPET−Eと称する。
【0037】
PET−D、PET−Eをそれぞれ回転式真空乾燥機にて180℃で3時間乾燥した。乾燥の終了したPET−Dは押出し機1、PET−Eは押出し機2にそれぞれ供給し、それぞれ280℃で溶融押出しした。PET−Dが芯層、PET−Eが両表層となるように、3層フィードブロック装置を使用して合流させ、その積層状態を保持したままダイスよりシート状に成形した。さらにこのシートを表面温度25℃の冷却ドラムで冷却固化した未延伸フィルムを100℃にて長手方向(縦方向)に3.0倍延伸し、25℃のロール群で冷却した。続いて、縦延伸したフィルムの両端をクリップで保持しながらテンターに導き130℃に加熱された雰囲気中で長手に垂直な方向(横方向)に3.7倍延伸した。その後テンター内で220℃に加熱された雰囲気中で熱固定を行い、横方向に2%の幅入れを行い、縦方向に1.0%弛緩、室温まで冷やして白色ポリエステルフィルムを得た。得られた白色ポリエステルフィルムの層構成および物性は表1の通りであった。
【0038】
[実施例2、3および比較例1、2]
ポリ−4−メチルペンテン−1(メルトフローレート25g/10分)の添加量を表1に示すとおりに変更した以外は実施例1と同様にして白色ポリエステルフィルムを得た。
得られた白色ポリエステルフィルムの層構成および物性は表1の通りであった。
【0039】
[実施例4]
参考例3で得られたPET−Cを95重量部、ポリ−4−メチルペンテン−1(メルトフローレート25g/10分)5重量部をブレンドし、2軸混練機に供給して280℃で溶融した。これに、分散剤として分子量4000のポリエチレングリコールを1重量部割合で添加し溶融混練した。溶融混練したポリエステル組成物はストランド状にして水中に吐出し、カッターによってチップ化した。これをPET−Fと称する。
【0040】
参考例3で得られたPET−Cに、蛍光増白剤(イーストマン社製OB−1)を0.01重量%混合し2軸混練機に供給して280℃で溶融した。これに平均粒子径が0.5μmの合成炭酸カルシウム粒子を添加して溶融混練した。溶融混練した合成炭酸カルシウム含有ポリエステル組成物は、ストランド状にして水中に吐出し、カッターによってチップ化した。溶融混練に際しては、混練原料の供給量を調整し、合成炭酸カルシウム粒子が12重量%含有されるように調整した。これをPET−Gと称する。
【0041】
PET−F、PET−Gをそれぞれ回転式真空乾燥機にて180℃で3時間乾燥した。乾燥の終了したPET−Fは押出し機1、PET−Gは押出し機2にそれぞれ供給し、それぞれ280℃で溶融押出しした。PET−Fが芯層、PET−Gが両表層となるように、3層フィードブロック装置を使用して合流させ、その積層状態を保持したままダイスよりシート状に成形した。さらにこのシートを表面温度25℃の冷却ドラムで冷却固化した未延伸フィルムを100℃にて長手方向(縦方向)に3.0倍延伸し、25℃のロール群で冷却した。続いて、縦延伸したフィルムの両端をクリップで保持しながらテンターに導き130℃に加熱された雰囲気中で長手に垂直な方向(横方向)に3.7倍延伸した。その後テンター内で220℃に加熱された雰囲気中で熱固定を行い、横方向に2%の幅入れを行い、縦方向に1.0%弛緩、室温まで冷やして白色ポリエステルフィルムを得た。得られた白色ポリエステルフィルムの層構成および物性は表1の通りであった。
【0042】
[実施例5〜8、比較例3、4]
ポリ−4−メチルペンテン−1(メルトフローレート25g/10分)の添加量を表1に示すとおりに変更した以外は実施例4と同様にして白色ポリエステルフィルムを得た。得られた白色ポリエステルフィルムの層構成および物性は表1の通りであった。
【0043】
[比較例5]
参考例1で得られたPET−Aを95重量部、ポリ−4−メチルペンテン−1(メルトフローレート25g/10分)5重量部をブレンドし、2軸混練機に供給して280℃で溶融した。これに、分散剤として分子量4000のポリエチレングリコールを1重量部添加し溶融混練した。溶融混練したポリエステル組成物はストランド状にして水中に吐出し、カッターによってチップ化した。これをPET−Hと称する。
【0044】
参考例1で得られたPET−Aに、蛍光増白剤(イーストマン社製OB−1)を0.01重量%混合し2軸混練機に供給して280℃で溶融した。これに平均粒子径が0.5μmの合成炭酸カルシウム粒子を添加して溶融混練した。溶融混練した合成炭酸カルシウム含有ポリエステル組成物は、ストランド状にして水中に吐出し、カッターによってチップ化した。溶融混練に際しては、混練原料の供給量を調整し、合成炭酸カルシウム粒子が12重量%含有されるように調整した。これをPET−Iと称する。
【0045】
PET−H、PET−Iをそれぞれ回転式真空乾燥機にて180℃で3時間乾燥した。乾燥の終了したPET−Hは押出し機1、PET−Iは押出し機2にそれぞれ供給し、それぞれ280℃で溶融押出しした。PET−Hが芯層、PET−Iが両表層となるように、3層フィードブロック装置を使用して合流させ、その積層状態を保持したままダイスよりシート状に成形した。さらにこのシートを表面温度25℃の冷却ドラムで冷却固化した未延伸フィルムを100℃にて長手方向(縦方向)に3.0倍延伸し、25℃のロール群で冷却した。続いて、縦延伸したフィルムの両端をクリップで保持しながらテンターに導き130℃に加熱された雰囲気中で長手に垂直な方向(横方向)に3.7倍延伸した。その後テンター内で220℃に加熱された雰囲気中で熱固定を行い、横方向に2%の幅入れを行い、縦方向に1.0%弛緩、室温まで冷やして白色ポリエステルフィルムを得た。得られた白色ポリエステルフィルムの層構成および物性は表1の通りであった。
【0046】
[比較例6、7]
ポリ−4−メチルペンテン−1(メルトフローレート25g/10分)の添加量を表1に示すとおりに変更した以外は比較例5と同様にして白色ポリエステルフィルムを得た。
得られた白色ポリエステルフィルムの層構成および物性は表1の通りであった。
【0047】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明の白色ポリエステルフィルムは、液晶表示装置のバックライトユニットに用いられる反射板として最適に用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオレフィン5〜40重量部およびポリエステル60〜95重量部からなり、ポリエステルの重量平均分子量が45000〜65000であることを特徴とする、白色ポリエステルフィルム。
【請求項2】
巻き癖指数が45mm以下である、請求項1記載の白色ポリエステルフィルム。
【請求項3】
光線反射率が95%以上であり反射板として用いられる、請求項1または2に記載の白色ポリエステルフィルム。

【公開番号】特開2009−46630(P2009−46630A)
【公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−215924(P2007−215924)
【出願日】平成19年8月22日(2007.8.22)
【出願人】(301020226)帝人デュポンフィルム株式会社 (517)
【Fターム(参考)】