説明

白色光発光エレクトロルミネッセント装置

青色発光ホスト中に分散された緑色光発光化合物および赤色光発光化合物を含む発光層を有する、白色光発光エレクトロルミネッセントデバイス。発光デバイスであって、第一電極と第二電極との間に発光層を備え、該発光層は、約520nm〜約600nmの範囲の発光を有する第1化合物、約620nm〜約720nmの範囲の発光を有する第2化合物を、約420nm〜約480nmの範囲の発光を有する発光性ホスト材料中に含む、発光デバイス。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、青色光発光ホスト中に分散した緑色光発光化合物および赤色光発光化合物を含む発光層を有する、白色光発光エレクトロルミネッセントデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
有機発光ダイオード(OLED)は、それらの高い量子効率、軽い重量および費用対効果から、フラットパネルディスプレイのために非常に魅力的である。より良好な材料およびより効率的なデバイス構造体の開発によるこれらのOLEDの効率、発色する色および有効期間を改善することに相当な労力が費やされた。
【0003】
近年、白色の有機発光デバイス(WOLED)は、照明および液晶ディスプレイ用のバックプレーンライトの適用が考慮された。WOLEDに関する理想的なCommission Internationale d’Enclairage(CIE)色度座標は、x=0.33、y=0.33にあり、そして印加電圧に非感受性であるべきである。この目的を達成するために、多数の方法(例えば、色素が分散されたポリ(N−ビニルカルバゾール)、色素がドープされた複数層、中間層の連続的なエネルギー移動による色素がドープされた複数層構造体、励起子拡散の制御、電子リン光性材料中の三重エキシマーおよびポリマーのブレンド)が探索された。色素がドープされたシステムにおける1つの重大な問題は、カスケードエネルギー移動から生じる、下部エネルギードーパントによる単発光を妨げることである。理想的には、ホストおよびドーパントの両方からの複数の発光は、白色光に必要なスペクトルをカバーすべきである。これは、ドーパントの濃度および発光層または正孔ブロッキング層の厚さを制御することにより達成され得る。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
白色発光デバイスの開発の最近の進歩にもかかわらず、実質的に純粋な白色光発光を有する発光デバイスについての必要性が存在する。本発明は、この必要を満たすことを求めており、さらに関連した効果を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(発明の要旨)
本発明は発光デバイスを提供し、この発光デバイスは、第一電極と第二電極との間に発光層を備え、この発光層は、約520nm〜約600nmの範囲の発光を有する第1化合物、および約620nm〜約720nmの範囲の発光を有する第2化合物を、約420nm〜約480nmの範囲の発光を有する発光性ホスト材料中に含む。第1化合物、第2化合物およびホスト材料は、吸光スペクトルおよび発光スペクトルを各々有し、ここで、ホスト材料の発光スペクトルは、ホスト材料から第1化合物へのエネルギー移動をもたらすために十分に第1化合物の吸光スペクトルと重なり、そして第1化合物の発光スペクトルは、第1化合物から第2化合物へのエネルギー移動をもたらするために十分に第2化合物の吸光スペクトルと重なる。このデバイスによって生じる光は、実質的に純粋な白色光である。
【0006】
一実施形態において、このデバイスは、発光層と第二電極との間に電子輸送層をさらに備える。
【0007】
一実施形態において、このデバイスは、第一電極と発光層との間に正孔輸送層をさらに備える。
【0008】
一実施形態において、このデバイスは、発光層と第二電極との間に電子注入層をさらに備える。
【0009】
一実施形態において、このデバイスは、発光層と電子注入層との間に電子輸送層をさらに備える。
【0010】
一実施形態において、第1化合物は、1以上のフルオレニル部分を含む。一実施形態において、第1化合物は、1以上の9,9−ジアルキルフルオレニル部分を含む。一実施形態において、第1化合物は、FFBFFまたはその誘導体である。
【0011】
一実施形態において、第2化合物は、1以上のフルオレニル部分を含む。一実施形態において、第2化合物は、1以上の9,9−ジアルキルフルオレニル部分を含む。一実施形態において、第2化合物は、FTBTFまたはその誘導体である。
【0012】
一実施形態において、ホスト材料は、1以上のフルオレニル部分を含む。一実施形態において、ホスト材料は、1以上の9,9−ジアルキルフルオレニル部分を含む。一実施形態において、ホスト材料は、PF−TPA−OXDまたはその誘導体である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明は、添付の図面を参照しながら、以下の詳細な説明を参照することで、よりよく理解されるので、本発明の上記の局面および付随する利点は、より容易に認識される。
【0014】
(好ましい実施形態の詳細な説明)
一つの局面では、本発明は、実質的に純粋な白色光を生じる発光エレクトロルミネッセントデバイスを提供する。この発光デバイスは、第一電極と第二電極との間に発光層を備える。発光層は、約520nm〜約600nmの範囲の発光を有する第1発光性化合物(例えば、緑色光発光化合物)、約620nm〜約720nmの範囲の発光を有する第2発光性化合物(例えば、赤色光発光化合物)、および約420nm〜約480nmの範囲の発光を有する発光性ホスト(例えば、青色光発光ホスト)を備える。青色光発光ホスト、ならびに赤色光発光化合物および緑色光発光化合物からの発光が、発光波長最大および発光帯域幅を有する波長のバンドとして発生することが認識される。本明細書において言及される特定の波長は、最大吸光または最大発光(nm)に関する。
【0015】
本発明の発光デバイスは、実質的に白色光を生じる。一実施形態において、このデバイスは、ほぼ純粋な白色発光を有する光を生じる。
【0016】
デバイスの実施形態によって生じる光のCommission Internationale d’Enclairage (CIE)色度座標は、6V(x=0.36、y=0.37)から12V(x=0.34、y=0.34)までの比較的幅広いバイアス範囲において、純粋な白色光のCIE色度座標に近いままである。
【0017】
デバイスの発光層は、約520nm〜約600nmの範囲の発光を有する第1発光性化合物、約620nm〜約720nmの範囲の発光を有する第2発光性化合物、および約420nm〜約480nmの範囲の発光を有する発光性ホストを含む。第1発光性化合物および第2発光性化合物は、発光性ホスト中に分散している。
【0018】
第1発光性化合物は、約520nm〜約600nmの範囲の発光を有する。一実施形態において、第1化合物は、約540nm〜約560nmの範囲の発光を有する。他の実施形態では、第1化合物は、約550nmの発光を有する。一般に、第1発光性化合物は、緑色光発光化合物である。1つの代表的な第1発光性化合物は、4,7−ビス−(9,9,9’,9’−テトラヘキシル−9H,9H’−[2,2’]ビフルオレニル−7−イル)−ベンゾ[1,2,5]チアジアゾールである(本明細書において、「FFBFF」と称される)。FFBFFの合成は、実施例1に記載されている。代表的な第1発光性化合物の化学構造は、図1Aに図示される。図1Aを参照すると、R〜Rは、置換されたアルキル、シクロアルキルおよびヘテロアルキルを含め、C〜C12アルキル、ならびにヘテロアリールを含め、C〜C10アリールから独立して選択される。一実施形態において、R〜Rは、C〜C12アルキルから独立して選択される。一実施形態において、R〜Rは、C〜Cアルキルから独立して選択される。一実施形態において、R〜Rは、n−ヘキシルである(すなわち、FFBFF)。
【0019】
発光性化合物FFBFFは、4位および7位にフルオレニル置換基を含むように修飾されたベンゾ[1,2,5]チアジアゾール化合物である。FFBFF誘導体が、本明細書に記載されている発光層においても用いられ得る。適切なFFBFF誘導体としては、発光層中での化合物の溶解性適合性にも、発光層が本明細書に記載されるように白色光を発光するために必要な光学的性質(例えば、吸光度、発光、エネルギー移動効率)にも悪影響を与えない、他の置換基(例えば、さらなる置換基によってさらに置換されるフルオレニル置換基)を含むように修飾されたベンゾ[1,2,5]チアジアゾール化合物が挙げられる。代表的な置換基としては、フルオレニル基の9位における、またはフルオレニル基の芳香族位におけるアルキル置換基またはアリール置換基が挙げられる。他の置換基によるフルオレニル基の置換が、本発明の範囲内にあることが理解される。
【0020】
第2発光性化合物は、約620nm〜約720nmの範囲の発光を有する。一実施形態において、第2化合物は、約640nm〜約670nmの範囲の発光を有する。他の実施形態では、第2化合物は、約660nmの発光を有する。一般に、第2発光性化合物は、赤色光発光化合物である。1つの代表的な第1発光性化合物は、4,7−ビス−[5−(9,9−ジヘキシル−9H−フルオレン−2−イル)−チオフェン−2−イル]−ベンゾ[1,2,5]チアジアゾールである(本明細書において、「FTBTF」と称される)。FTBTFの合成は、実施例2に記載されている。代表的な第2発光性化合物の化学構造は、図1Bに図示される。図1Bを参照すると、R〜R12は、置換されたアルキル、シクロアルキルおよびヘテロアルキルを含め、C〜C12アルキル、ならびにヘテロアリールを含め、C〜C10アリールから独立して選択される。一実施形態において、R〜R12は、C〜C12アルキルから独立して選択される。一実施形態において、R〜R12は、C〜Cアルキルから独立して選択される。一実施形態において、R〜R12は、n−ヘキシルである(すなわち、FTBTF)。
【0021】
発光性化合物FTBTFは、フルオレニル基によってさらに置換される、4位および7位にチオフェン置換基を含むように修飾されたベンゾイル[1,2,5]チアジアゾール化合物である。FTBTF誘導体は、本明細書に記載されている発光層においても用いられ得る。適切なFTBTF誘導体としては、発光層中での化合物の溶解性適合性にも、発光層が本明細書に記載されるように白色光を発光するために必要な光学的性質(例えば、吸光度、発光、エネルギー移動効率)にも悪影響を与えない、他の置換基(例えば、さらなる置換基によってさらに置換される、チオフェン置換基および/またはフルオレニル置換基)を含むように修飾されたベンゾ[1,2,5]チアジアゾール化合物が挙げられる。代表的な置換基としては、フルオレニル基の9位における、またはチオフェン置換基および/もしくはフルオレニル基の芳香族位におけるアルキル置換基またはアリール置換基が挙げられる。他の置換基によるチオフェン基および/またはフルオレニル基の置換が、本発明の範囲内にあることが理解される。
【0022】
発光性ホストは、約420nm〜約480nmの範囲の発光を有する。一実施形態において、ホストは、約425nm〜約450nmの範囲の発光を有する。一般に、発光性ホストは、青色光発光化合物である。1つの代表的な発光性ホスト化合物は、ポリ[(9,9−ビス(4−ジ(4−n−ブチルフェニル)アミノフェニル)]−stat−(9,9−ビス(4−(5−(4−tert−ブチルフェニル)−2−オキサジアゾリル)−フェニル−stat−(9,9−ジ−n−オクチル)フルオレンである(「PF−TPA−OXD」と称される)。PF−TPA−OXDの合成は、実施例3に記載されている。
【0023】
代表的なホストの模式的な化学構造を図1Cに図示する。図1Cを参照すると、R13〜R22は、置換されたアルキル、シクロアルキルおよびヘテロアルキルを含め、C〜C12アルキル、ならびにヘテロアリールを含め、C〜C10アリールから独立して選択される。一実施形態において、R13〜R22は、C〜C12アルキルから独立して選択される。一実施形態において、R13〜R22は、C〜Cアルキルから独立して選択される。一実施形態において、R13〜R16はn−オクチルであり、R17〜R20はn−ブチルであり、そしてR21およびR22はt−ブチルである(すなわち、PF−TPA−OXD)。
【0024】
代表的なホストの模式的な化学構造を、図1Cに図示する。図1Cにおいて、n:mは、約1:1である。図1Cに示すように、ホストは、正孔輸送部分および電子輸送部分を側鎖として含む。この図において、ホストの化学構造は模式的に図示され、正孔輸送部分を側鎖として有する第2ジフルオレニル単位(m単位)に共有結合された、電子輸送部分を側鎖として有する第1ジフルオレニル単位(n単位)(これらの2つの単位は一緒に繰り返される(x単位))を示す。図1Cの表現は模式的であり、ポリマーを形成する繰り返し単位に関して、コポリマーの組成を一般的に表す。このコポリマーが、正孔輸送部分を側鎖として有するm単位の第2ジフルオレニル単位に共有結合された、電子輸送部分を側鎖として有するn単位の第1ジフルオレニル単位(これらの2つの単位は一緒にx回繰り返される)を必ずしも有するというわけではないことが理解される。
【0025】
発光性ホストPF−TPA−OXDは、2つのモノマーの共重合から得られるフルオレンから誘導されたコポリマーである。各モノマーは、第2フルオレン部分に共有結合された第1フルオレン部分(すなわち、9,9−ジ−n−オクチルフルオレニル基)を含む。1つのモノマーにおいて、第2のフルオレン部分は、正孔輸送部分(すなわち、オキサジアゾリル基)を含む。他のモノマーにおいて、第2フルオレン部分は、電子輸送部分(すなわち、トリフェニルアミン基)を含む。PF−TPA−OXD誘導体もまた、本明細書に記載されている発光層において用いられ得る。適切なPF−TPA−OXD誘導体としては、発光層中でのホストおよびその中に分散される発光性化合物の溶解性適合性にも、発光層が本明細書に記載されるように白色光を発光するために必要な光学的性質(例えば、吸光度、発光、エネルギー移動効率)にも悪影響を与えない、他の置換基(例えば、さらなる置換基によってさらに置換されるフルオレニル置換基および/またはフェニル置換基)を含むように修飾されたポリマーが挙げられる。代表的な置換基としては、フルオレニル基の9位における、またはフルオレニル基および/もしくはフェニル基の芳香族位におけるアルキル置換基またはアリール置換基が挙げられる。他の置換基によるフルオレニル基および/またはフェニル基の置換が、本発明の範囲内にあることが理解される。
【0026】
第1発光性化合物および第2発光性化合物は、発光性ホストと適合性である。適切なエネルギー移動を有することに加えて、相分離が最小化されるかまたは実質的に回避されるように、第1発光性化合物および第2発光性化合物はホスト材料中に適切に可溶性である。第1発光性化合物および第2発光性化合物ならびにホストの適合性、ならびにそれらの適切な溶解性は、置換基R〜R22の選択によって少なくとも部分的に達成される。例えば、第1発光性化合物がFFBFFであり、第2発光性化合物がFTBTFであり、そしてホストがPF−TPA−OXDである場合に、適合性および適切な溶解性が達成される。なぜなら、置換基R〜R22に加えて、第1発光性化合物および第2発光性化合物の各々が、フルオレンから誘導された化合物であり(すなわち、1以上のフルオレン部分を含む)、そしてホストが、ポリフルオレンから誘導されたコポリマーである(すなわち、フルオレンから誘導された繰り返し単位を含む)からである。
【0027】
一つの局面では、発光層は、緑色光発光化合物および赤色光発光化合物を含み、これらの各々は、青色光発光ホスト中に高度に可能性である。緑色光発光化合物および赤色光発光化合物ならびに青色光発光ホストの溶解性は、適合性であるように設計され得、そして化合物およびホストの各々を構成する構造成分(すなわち、原子団および/または官能基)の選択により制御され得る。化合物の構造成分およびホストの構造成分の溶解性特徴を一致させることによって、溶解性適合性が達成され得る。
【0028】
緑色光発光化合物および赤色光発光化合物は、ホストの1以上の構造成分と適合性の1以上の構造成分を含み得る。一実施形態において、化合物およびホストは、1以上の共通の構造成分を有する。一実施形態において、化合物およびホストは、共通の炭化水素構造成分を含む。一実施形態において、共通の構造成分は、フルオレニル基である。この実施形態については、緑色光発光化合物、赤色光発光化合物および青色光発光ホストは、1以上のフルオレニル基を各々含む。一実施形態において、フルオレニル基は、9,9−ジアルキルフルオレニル基(例えば、9,9−ジヘキシルフルオレニル基または9,9−ジオクチルフルオレニル基)である。発光性化合物FFBFFおよびFTBTFならびに発光性ホストPF−TPA−OXDは、共通の構造成分(すなわち、ジアルキルフルオレニル基)を有する化合物およびホストの例である。発光性化合物FFBFFは、4つの9,9−n−ジヘキシルフルオレニル基を含む;発光性化合物FTBTFは、2つの9,9−ジ−n−ヘキシルフルオレニル基を含む;そして、ホストPF−TPA−OXDは、2つの異なる繰り返し単位の各々が9,9−ジ−n−オクチルフルオレニル基を含むコポリマーである。
【0029】
適合性および適切な溶解性に加えて、第1発光性化合物および第2発光性化合物ならびにホストは、適切な加工性を有する。加工性とは、その成分(すなわち、第1発光性化合物および第2発光性化合物ならびにホスト)が発光デバイスの発光層を提供するように容易に加工され得ることを意味する。適切な加工性は、発光層を作製することに役立つ溶媒に可溶な成分を含む。発光層を提供するのに十分な様式で成分を溶解し、それらの成分を配置するために適切な溶媒。一実施形態において、成分は、溶媒中に溶解され、そしてスピンコーティングされて発光層が提供される。成分をスピンコーティングするために適切な溶媒としてはトルエンが挙げられる。
【0030】
一実施形態において、発光層は、発光層の総重量を基準として、約0.10重量パーセント〜約0.30重量パーセントの第1発光性化合物、および約0.05重量パーセント〜約0.15重量パーセントの第2発光性化合物を含む。他の実施形態では、発光層は、発光層の総重量を基準として、約0.15重量パーセント〜約0.20重量パーセントの第1発光性化合物、および約0.08パーセント〜約0.12重量パーセントの第2発光性化合物を含む。
【0031】
一実施形態において、発光層は、約25nm〜約100nmの厚さを有する。一実施形態において、発光層の厚さは、約50nmである。
【0032】
一連の効率的でかつ明るい白色光発光ダイオードは、効率的な青色光を発光する、ポリフルオレンから誘導されたコポリマー(ポリ[(9,9−ビス(4−ジ(4−n−ブチルフェニル)アミノフェニル)]−stat−(9,9−ビス(4−(5−(4−tert−ブチルフェニル)−2−オキサジアゾリル)−フェニル−stat−(9,9−ジ−n−オクチル)フルオレン(PF−TPA−OXD)中の、フルオレンから誘導された2つの蛍光色素(4,7−ビス−(9,9,9’,9’−テトラヘキシル−9H,9’H−[2,2’]ビフルオレニル−7−イル)−ベンゾ[1,2,5]チアジアゾール(FFBFF、緑色光発光化合物)および4,7−ビス−[5−(9,9−ジヘキシル−9H−フルオレン−2−イル)−チオフェン−2−イル]−ベンゾ[1,2,5]チアジアゾール(FTBTF、赤色光発光化合物))のブレンドを使用して製作された。白色光発光デバイス(ITO/PEDOT/PF−TPA−OXD:FFBFF(0.18重量パーセント):FTBTF(0.11重量パーセント)/Ca/Ag)は、12Vにおいて、0.82%という最大外部量子効率および12900cd/mの最大明るさに達する。デバイスのCommission Internationale d’Enclairage(CIE)色度座標は、6V(x=0.36、y=0.37)から12V(x=0.34、y=0.34)までの比較的幅広いバイアス範囲において純粋な白色発光のCIE)色度座標の非常に近くのままである。
【0033】
PF−TPA−OXDのエレクトロルミネセンス(EL)スペクトルを図2Aに示す。図2Aを参照すると、ELスペクトルは、425nmおよび450nmに2つの強いピークを、そして480nmに小さいショルダーピークを有する、ポリフルオレンの代表的発光を示す。クロロホルム溶液のFFBFFの紫外−可視(UV−Vis)および光ルミネセンス(PL)スペクトルをそれぞれ、図2Dおよび図2Bに示す。図2Dは約415nmに吸光度最大を示し、そして、図2Bは約550nmで発光最大を示す。FFBFFの吸収および発光は両方とも、フルオレンから電子が不足したベンゾチアジアゾール部分への電荷移動の効果に起因して、レッドシフトされる。さらに、サイクリックボルタモグラムおよびUV−Viスペクトルの結果から見積もられるFFBFFのHOMOエネルギー準位およびLUMOエネルギー準位はそれぞれ、−5.73eVおよび−3.32eVである。クロロホルム溶液中のFTBTFのUV−ViおよびPLスペクトルを、それぞれ、図2Eおよび図2Cに示す。FFBFFと比較して、吸収のピークおよびFTBTFの発光スペクトルは、電子供与チオフェン環とこの化合物中のベンゾチアジアゾールとの間でのより強い電荷移動効果に起因して、さらによりレッドシフトされる(それぞれ、506nmおよび660nm)。FTBTFのHOMOエネルギー準位およびLUMOエネルギー準位はそれぞれ、−5.62eVおよび−3.53eVである。
【0034】
フェルスターエネルギー移動プロセスにおいて、効率は、供与体の発光スペクトルと受容体の吸収スペクトルとの間の重なり積分と比例している。原則として、ホスト(PF−TPA−OXD)からFFBFFへの、次いでFTBTFへの、カスケードエネルギー移動(フェルスター型エネルギー移動またはデクスター型エネルギー移動)が生じるはずである。なぜなら、PF−TPA−OXDのELスペクトルがFFBFFの吸収スペクトルとよく重なり(図2Aのホスト発光と図2DのFFBFF吸光とを比較する)、そしてFFBFFのPLスペクトルがFTBTFの吸収スペクトルとよく重なる(図2EのFFBFF発光と図2BのFTBTF吸光度とを比較する)からである。しかし、エネルギー移動効率もまた、供与体と受容体との間の距離に非常に高感度である(∝r−6)。従って、PF−TPA−OXD中のFFBFF濃度およびFTBTF濃度の慎重な制御によって、効率的なエネルギー移動を防止することが可能である。
【0035】
上記のように、発光層は、発光性ホスト中に分散された第1発光性成分および第2発光性成分(例えば、FFBFFおよびFTBTF)を含む。発光層のこれらの成分は協同して、エネルギー移動によって所望の白色光発光を提供する。エネルギー移動は、供与体発光スペクトルと受容体吸光スペクトルとの重なりによって生じる。一実施形態において、ホストは、第1発光性化合物の吸光スペクトル(図2Dを参照のこと)との充分な重なりを有する発光スペクトル(図2Aを参照のこと)を有してエネルギー移動を容易にしており、そして第1発光性化合物は、第2発光性化合物の吸光スペクトル(図2Eを参照のこと)との十分な重なりを有する発光スペクトル(図2Bを参照のこと)を有してエネルギー移動を容易にしている。発光層からの白色光発光は、青色光を発光し、さらに、エネルギー移動カスケードならびに第1発光性化合物および第2発光性化合物からのそれぞれ緑色光および赤色光の発光を始めるホスト化合物の励起により達成される。
【0036】
一つの局面では、発光層は、エレクトロルミネセントホスト材料ならびに第1発光性化合物および第2発光性化合物を含む。ホスト材料の発光スペクトルは、第1発光性化合物へのエネルギー移動および第1発光性化合物からの発光をもたらすに充分に第1発光性化合物の吸収スペクトルと重なり、そして第1発光性化合物の発光スペクトルは、第2発光性化合物へのエネルギー移動および第2発光性化合物からの発光をもたらすに十分に第2発光性化合物の吸収スペクトルと重なる。この結果は、ホスト材料からの発光(青色)、第1発光性化合物からの発光(緑色)および第2発光性化合物からの発光(赤色)であり、これらは集合的に発光層からの白色光発光をもたらす。
【0037】
本発明の代表的な発光デバイスのエレクトロルミネセンススペクトルを図3Aに示す:0.20重量パーセントのFFBFFおよび0.09重量パーセントのFTBTFをPF−TPA−OXD中に含んでいる発光層を有するデバイス(デバイス1)。図3Aを言及すると、デバイス1のELスペクトルは、可視領域全体(400nm〜750nm)で青色、緑色および橙色の複合発光帯を示す。データを2つの色素のPLスペクトル(図2Bおよび図2C)と比較すると、520nmの緑色光発光バンドおよび586nmの赤色光発光バンドは、それぞれ、FFBFFおよびFTBTFからの発光である。デバイス1のCIE座標は、6.0Vでの(x=0.30、y=0.34)から12.0Vでの(x−=0.32、y=0.38)へとわずかに変化する(図3Bの挿入図を参照のこと)。これは、印加電圧に全く非感受性であり、純粋な白色についての理想的なCIE色度座標(すなわち、x=0.33、y=0.33)のものに近い。図3Bは、バイアス電圧(J−V−B)の関数として、電流密度および明るさを示す。デバイス1は、5.0Vで比較的低いターンオン電圧を示す(1cd/mの輝度を与えるために必要とされる電圧として定義される)。デバイス1の最大外部量子効率は、10.0Vの電圧および0.41A/cmの電流密度において0.82%であると算出される。最大の明るさは、12.5Vの電圧および1.38A/cmの電流密度において15800cd/mである。この明るさで、効率は、それぞれ、0.54%、1.14cd/Aおよび0.321m/Wである。7.0Vのバイアスで、明るさ、電流密度および外部量子効率は、それぞれ、405cd/m、0.061A/cmおよび0.31%である。
【0038】
色純度は、PF−TPA−OXD中にわずかに調整された第1発光性化合物濃度および第2発光性化合物濃度(0.18重量パーセントのFFBFFおよび0.11重量パーセントのFTBTF)を有する発光層を有する第2デバイス(デバイス2)において改良された。デバイス2のELスペクトルを図4Aに示す。図4Aを参照すると、デバイス1のELスペクトルは、520nmでのFFBFFのEL強度が減少し、そして586nmでのFTBTFが増加することを示し、このことは、スペクトル変化が色素の濃度と比例していることを示す。図4Bの挿入図に示すように、デバイス2のCIE座標は、6.0Vでの(x=0.36、y−0.37)からために12.0Vでの(x=0.34、y=0.34)へと変化し、これもまた、印加電圧に極めて非感受性であり、純粋な白色のものに非常に近い。図4Bに示すように、デバイス2のターンオン電圧は、デバイス1のターンオン電圧と同様である。最大外部量子効率は、0.41A/cmの電流密度を有する10.0Vの電圧において0.89%である。図4Bに図示するように、白色光発光のための最大明るさは、12.5Vの電圧および1.23A/cmの電流密度において12900cd/mである。最大の明るさでの効率は、それぞれ、0.61%、1.05cd/Aおよび0.291m/Wである。7.0Vのバイアスで、明るさ、電流密度および外部量子効率は、それぞれ、263cd/m、0.056A/cmおよび0.27%である。両方のデバイスのCIE座標は、印加電圧を増加させた場合、青色発光領域へと僅かにシフトした。これは、大部分の低エネルギー状態はすでに満たされているので、より高い電圧では、ブレンド中の高エネルギ状態が占められ始めるということによる。このこともまた、青色光発光の相対強度を増加させる。FFBFFおよびFTBTFの最大ELは、固体状態溶媒和効果(SSSE)のため、クロロホルム中のそれらのPL最大と比較して青色にシフトされる。
【0039】
上記のデバイス1およびデバイス2は、実施例4にて説明した通りに調製された二層デバイスである。
【0040】
別の局面においては、本発明は、上記の発光層を含む発光デバイスを提供する。本発明の化合物を含んでいるデバイスは、公知のデバイスと比較して有利な特性を有する。高い外部量子効率および視感度効率が、本発明のデバイスにおいて達成され得る。デバイスの寿命もまた、報告されるいくつかの最も安定な蛍光デバイスよりも一般に良好であるか、または少なくとも同等である。
【0041】
正孔注入アノード層と電子注入カソード層との間に1以上の層が挟まれるように、代表的デバイスは構築される。挟まれた層は2つの側面を有し、一方の面はカソードに面しており、他方の面はアノードに面している。層は一般に、基板(例えば、ガラス)上に置かれ、ここでは、アノード層またはカソード層のいずれもが存在し得る。いくつかの実施形態では、アノード層は、基板と接触してある。いくつかの実施形態では、例えば、基板が導電性材料または半導性材料を含む場合、絶縁材が電極層と基板との間に挿入され得る。剛性、可撓性、透明または不透明であり得る、代表的な基板材料としては、ガラス、ポリマー、クォーツ、サファイヤなどが挙げられる。
【0042】
いくつかの実施形態では、本発明のデバイスは、発光層に加えて層を含む。例えば、電極に加えて、デバイスは、任意の1以上の正孔ブロッキング層、電子ブロッキング層、励起子ブロッキング層、正孔輸送層、電子輸送層、正孔注入層または電子注入層を備え得る。アノードは、酸化材料(例えば、インジウムスズ酸化物(ITO)、Zn−In−SnO、SbOなどを含み得、そして、カソードは、Mg、Mg:AgまたはLiF:Alのような金属層を含み得る。他の材料の中でも、正孔輸送層(HTL)は、トリアリールアミンまたは金属錯体を含み得る。同様に、電子輸送層(ETL)は、例えば、アルミニウムトリス(8−ヒドロキシキノレート)(Alq)または他の適切な材料を含み得る。正孔注入層は、例えば、4,4’,4”−トリス(3−メチルフェニルフェニルアミノ)トリフェニルアミン(MTDATA)、ポリマー材料(例えば、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)または金属錯体(例えば、銅フタロシアニン(CuPc))または他の適切な材料を含み得る。正孔ブロッキング層、電子ブロッキング層および励起子ブロッキング層は、例えば、BCP、BAlqおよび他の適切な材料(例えば、FIrpicまたは他の金属錯体)を含み得る。
【0043】
本発明の発光デバイスは、当業者に周知の様々な技術により製造され得る。低分子層は、真空蒸着、有機気相蒸着(OVPD)または溶液処理(例えば、スピンコーティング)により調製され得る。ポリマーフィルムは、スピンコーティングおよび化学蒸着(CVD)によって配置され得る。帯電化合物(例えば、帯電金属錯体の塩)の層は、スピンコーティングのような溶液法によって、または米国特許第5,554,220号(その全体が明確に本明細書に参考として引用される)において開示されるようなOVPD法によって調製され得る。必ずしもそうではないが、層の配置は、一般に、カソードからアノードへの方向に進行し、そしてアノードは代表的に基板上にある。デバイスおよびそれらの製造技術は、文献に完全に記載されており、そして例えば、米国特許第5,703,436号、同第5,986,401号、同第6,013,982号、同第6,097,147号および同第6,166,489号(各々、その全体が明確に本明細書中に参考として援用される)に記載されている。発光がデバイスの底部から外側に(すなわち、基板側)実質的に導かれるデバイスに関しては、ITOのような透明なアノード材料が、底部電子として使用され得る。このようなデバイスの頂部電極は透明である必要はないので、このような頂部電極(これは代表的にはカソードである)は、高い導電率を有する厚くかつ反射性の金属層から構成されてもよい。対照的に、透明なデバイスまたは上部発光デバイスに関しては、例えば、米国特許第5,703,436号および同第5,707,745号(これらの各々は、その全体が明確に本明細書中に参考として援用される)に開示される透明なカソードを使用し得る。上部発光デバイスは、不透明なおよび/または反射性の基板を有し、その結果、光がデバイスの頂部の実質的に外側に取り出される。デバイスはまた、完全に透明であって、上部および底部の両方から発光してもよい。
【0044】
透明なカソード(例えば、上部発光デバイスにおいて使用されるもの)は好ましくは、デバイスが少なくとも約50%の光透過を有するような光透過特性を有するが、より低い光透過も使用され得る。いくつかの実施形態では、デバイスは、デバイスが少なくとも約70%、少なくとも85%またはより多くの光透過を有することを可能にする光学特性を有する透明なカソードを備える。透明なカソード(例えば、米国特許第5,703,436号および同第5,707,745号に記載されているもの)は代表的に、例えば、約100オングストローム未満の厚さの金属(例えば、Mg:Ag)の薄層を含む。Mg:Ag層は、透明な導電性の、スパッター蒸着されたITO層で被覆され得る。このようなカソードはしばしば、化合物カソードと呼ばれるか、または、TOLED(透明なOLED)カソードと呼ばれる。化合物カソード中のMg:Ag層およびITO層の厚さは、高い光透過および高い導電率(例えば、約30オーム〜100オームの総カソード抵抗によって反映されるような導電率)の両方の所望の組合せを生じるように各々調整され得る。しかし、このような比較的低い抵抗が特定のタイプの適用に許容され得るとはいえ、このような抵抗性は、各ピクセルに動力を供給する電流が化合物カソードの狭いストリップを通して配列全体に導かれることを必要とする受動的なマトリックスアレイOLEDピクセルには依然としていくらか高すぎ得る。
【0045】
本発明の発光デバイスは、電子ディスプレイ用のピクセルにおいて使用され得る。実質的にあらゆるタイプの電子ディスプレイは、本発明のデバイスを組み込み得る。ディスプレイとしては、コンピュータモニタ、テレビ、個人用デジタルアシスタント、プリンタ、計器パネル、ビルボードなどが挙げられ得る。特に、本発明のデバイスは、フラットパネルディスプレイおよびヘッドアップディスプレイにおいて使用され得る。
【0046】
一実施形態において、デバイスは、単層デバイスである。他の実施形態において、デバイスは、1より多くの層を含む(例えば、二層デバイスまたは三層デバイス)。本発明の代表的なデバイスを図5A〜図5Cに図示する。
【0047】
単層デバイス(エレクトロルミネセンスセル)を図5Aに図示する。図5Aを参照すると、代表的なデバイス100は、第1基板層110、インジウムスズ酸化物(ITO)アノード層120、発光層130、電子輸送および保護層140、第一電極101、および第二電極102を備える。このデバイスでは、第1基板層は、ガラス基板層であり得、そして電子輸送/保護層は、金を含む層であり得る。
【0048】
二層デバイスを図5Bに図示する。図5Bを参照すると、代表的なデバイス200は、第1基板層210、インジウムスズ酸化物(ITO)アノード層220、正孔輸送材料層225、発光層230、電子注入カソード層235、保護層240、第一電極201および第二電極202を備える。このデバイスにおいて、第1基板層はガラス基板層であり得、そして保護層はアルミニウム、金または銀を含み得る。電子注入カソード層は、カルシウムを含み得る。従って、1つの実施形態において、本発明は、正孔輸送層、上記の通りの発光層および電子注入カソード層を有する二層デバイスを提供する。
【0049】
三層デバイスを図5Cに図示する。図5Cを参照すると、代表的なデバイス300は、第1基板層310、インジウムスズ酸化物(ITO)アノード層320、正孔輸送材料層325、発光層330、電子輸送層335、電子注入カソード層336、保護層340、第一電極301および第二電極302を備える。このデバイスにおいて、第1基板層はガラス基板層であり得、そして保護層はアルミニウム、銀または金を含み得る。電子輸送層はアルミニウムトリス(8−ヒドロキシキノレート)(Alq)を含み得、そして電子注入カソード層はフッ化リチウムを含み得る。従って、1つの実施形態において、本発明は、正孔輸送層、上記の通りの発光層、電子輸送層および電子注入カソード層を有する三層デバイスを提供する。
【0050】
まとめると、本発明は、2つのフルオレンから誘導された化合物(すなわち、第1緑色光発光化合物および第2赤色光発光化合物)の分散物をポリフルオレンベースのコポリマー(すなわち、青色光発光ホスト化合物)中に含む発光層を有する、明るい白色光発光デバイスを提供する。ホストポリマーのバランスのとれた電荷注入および電荷輸送、ならびに慎重に制御された色素濃度によって、得られるデバイスは、それぞれ0.82%、15800cd/mおよび0.89%(12900cd/m)という、高い外部量子効率および明るさに達する。これらのデバイスはまた、低い印加電圧で比較的高い効率および明るさを示す。これらのデバイスの色度座標は、純粋な白色の色度座標に非常に近く、そして6.0V〜12.0Vという比較的広いバイアス範囲において非常に安定したままである。
【0051】
以下の実施例は、本発明を限定する目的ではなく、本発明を例示する目的で提供される。
【実施例】
【0052】
(実施例1:代表的な第1発光性化合物FFBFFの合成)
本実施例では、本発明のデバイスにおいて役立つ、代表的な第1発光性化合物である4,7−ビス−(9,9,9’,9’−テトラヘキシル−9H,9’H−[2,2’]ビフルオレニル−7−イル)−ベンゾ[1,2,5]チアジアゾール(FFBFF)(緑色光発光化合物)を記載する。
【0053】
9,9−ジヘキシルフルオレン。フルオレン(10g、60mmol)を無水THFに溶かし、窒素下に置いた。この溶液を0℃に冷やし、そしてnBuLi(26mL、65mmol)をこの温度で滴下した。この溶液をこの温度でさらに2時間保持した。ブロムヘキサン(9.3mL、65mmol)をこの温度で滴下し、そしてこの溶液は一晩解凍させた。橙色の溶液を水によりクエンチし、そして室温でさらに2時間撹拌した。THFをエバポレートし、そして残渣を水およびヘキサンに再溶解させた。層を分離させ、そして水層をヘキサンによってさらに抽出した。すべての有機物層を合わせ、硫酸ナトリウムで乾燥し、そして溶媒はエバポレートした。溶離剤としてヘキサンを用いて粗生成物をシリカゲルで濾過して透明なオイルを得て、これを一晩減圧して乾燥させた。透明なオイル(10g、60mmol)を無水THFに溶かし、窒素下に置いた。この溶液を0℃に冷やし、そしてnBuLi(26mL、65mmol)をこの温度で滴下した。この溶液をこの温度でさらに2時間保持した。ブロムヘキサン(9.3mL、65mmol)をこの温度で滴下し、そしてこの溶液を一晩解凍させた。橙色の溶液を水によりクエンチし、室温でさらに2時間撹拌した。THFをエバポレートし、そして残渣を水およびヘキサンに再溶解した。層を分離させ、そして水層をヘキサンによってさらに抽出した。すべての有機物層を合わせ、硫酸ナトリウムで乾燥し、そして溶媒をエバポレートした。溶離剤としてヘキサンを用いて粗生成物をシリカゲルで濾過して透明なオイル18g(89%)を得て、これは一週間後に結晶化した。
【0054】
【化1】

2,7−ジブロモ−9,9−ジヘキシルフルオレン。9,9−ジヘキシルフルオレン(7.5g、21mmol)を乾燥DMF(35mL)に溶かした。ヨウ素の結晶を添加し、続いて臭素(4.2mL、82mmol)をゆっくりと添加した。この溶液を、光のない状態で室温にて一晩撹拌した。次いで、この溶液を水浴中で10℃に冷やし、そして10%水酸化カリウム水溶液(20mL)をゆっくりと添加した。層を分離させ、そして水層をヘキサンにより抽出した。すべての有機物層を合わせ、中性になるまで水により洗浄し、そして硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を減圧下で除去した。溶離剤としてヘキサンを用いてシリカゲルにより粗生成物を濾過した。得られたオイルを結晶化するために置き、続いてヘキサン/エタノール(1:1)およびヘキサンから再結晶させて、10.5g(90%)の白色固体を得た。
【0055】
【化2】

(9,9−ジヘキシル−9H−2,7−フルオレン−イレン)ビス−1,3,2−ジオキソボロラン。2,7−ジブロモ−(9,9−ジヘキシルフルオレン)(14g、29mmol)を、乾燥THF(150mL)に溶解し、そして窒素下に置いた。この溶液を−78℃に冷やし、そしてtBuLi(76mL、130mmol)をこの温度で滴下した。この溶液をこの温度でさらに2時間撹拌した。ホウ酸トリメチル(7.5mL、66mmol)を−78℃でいっぺんに添加し、そしてこの溶液を一晩解凍させた。この溶液を2M塩酸(80mL)によってゆっくりクエンチした。この溶液を室温でさらに6時間撹拌した。次いで、THFを減圧下でエバポレートし、そして残渣をエーテルと混合した。有機物層を分離させ、そして水層をさらなるエーテルにより抽出した。すべての有機物層を合わせ、水で一度洗浄し、硫酸ナトリウムによって乾燥した。減圧してエーテルをエバポレートして、わずかに黄色の結晶を得た。溶離剤としてトルエン/メタノール(30:1)を用いるフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル)を使用して固体を精製した。得られる結晶を無水トルエンに溶かし、そして加熱還流した。エチレングリコール(3.4mL、61mmol)をいっぺんに添加し、そしてこの溶液を還流し続けた。Dean−Starkトラップを使用して水を蒸留した。この溶液を室温まで冷やし、水により洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、そして溶媒を減圧下でエバポレートした。溶離剤としてトルエン/メタノール(30:1)を用いたフラッシュカラムクロマトグラフィーにより粗製オイルを精製した。ヘキサンからの再結晶によってさらなる精製を行ない、9.2g(68%)白色粉末を得た。
【0056】
【化3】

2−ブロモ−9,9−ジヘキシルフルオレン。2−ブロモフルオレン(10.0g、41mmol)、n−ブロムヘキサン(13.3mL、94mmol)およびテトラペンチル臭化アンモニウム(0.15g、0.40mmol)をトルエン(90mL)に溶解した。水酸化ナトリウムの50重量パーセント水溶液(90mL)をいっぺんに添加し、そしてこの溶液を60℃で一晩撹拌した。この溶液を室温まで冷やし、酢酸エチルによって希釈し、そして層を分離させた。水層は、酢酸エチルによって3回抽出した。すべての有機物層を合わせ、中性になるまで水により洗浄し、そして硫酸ナトリウムで乾燥させた。この溶媒を減圧下でエバポレートし、そして溶離剤としてヘキサンを用いたシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーにより粗製オイルを精製して、11.8g(70%)の透明なオイルを得た。
【0057】
【化4】

(9’,9’−ジヘキシル−2’−フルオレン−イル)ボロン酸。2−ブロモ−9,9−ジヘキシルフルオレン(17g、41mmol)を窒素下に置き、そしてTHFに溶かした。この溶液を−78℃に冷やした。tBuLi(53ml、90mmol)をこの温度で滴下し、そしてこの溶液をこの温度で2時間撹拌した。ホウ酸トリメチル(5.2ml、45mmol)をいっぺんに添加し、そしてこの溶液は一晩解凍させた。この溶液を2M塩酸(160ミリリットル)によりクエンチし、そして再び一晩撹拌した。THFを減圧下で取除し、そして水層をジエチルエーテルにより抽出した。すべての有機物層を合わせ、中性になるまで水により洗浄し、そして硫酸ナトリウムで乾燥させた。エーテルを減圧下でエバポレートし、そして残留するオイルを減圧乾燥した。ヘキサン/塩化メチレン(70/30)を溶離剤として用いるシリカゲルフラッシュカラムによりこの化合物を精製してわずかに黄色のオイルを得て、このオイルを静置後結晶させた。この結晶をヘキサンから再結晶させて、11g(72%)の白色結晶を得た。
【0058】
【化5】

2,1,3−ベンゾチアジアゾール。1,2−フェニレンジアミン(20g、185mmol)を乾燥トルエン(400mL)およびピリジン(60mL、740mmol)に溶かした。この溶液を加熱還流し、そして塩化チオニル(32mL、440mmol)をこの温度で滴下した。ディーン−スタークトラップを使用して、水を一晩除去した。この溶液をRTに冷やし、そして氷(400mL)に注いだ。層を分離させ、そして有機物層が中性になるまで水により洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、そしてトルエンを減圧下でエバポレートした。溶離剤としてヘキサン/塩化メチレン(3:2)を用いたフラッシュカラムクロマトグラフィーによって粗生成物を精製して、8.8g(35%)の白色結晶を得た。
【0059】
【化6】

4,7−ジブロモ−2,1,3−ベンゾチアジアゾール。2,1,3−ベンゾチアジアゾール(1.5g、11mmol)を臭化水素酸(水中48%、20mL)に溶かし、そして混合物を加熱還流した。臭素(1.3mL、24mmol)をこれらの条件下で添加し、そして溶液を一晩還流し続けた。この溶液は熱濾過し、そして濾液を氷浴中で冷やした。形成された沈澱物を濾別し、中性になるまで水、飽和炭酸ナトリウム溶液および水により洗浄した。粗生成物をヘキサンから再結晶させて、1.4g(43%)の白色結晶を得た。
【0060】
【化7】

4,7−ビス(9’,9’−ジヘキシル−2’−フルオレン−イル)−1,3,2−ベンゾチアジアゾール(FBF)。4,7−ジブロモ−1,3,2−ベンゾチアジアゾール(0.92g、3.1mmol)、(9,9−ジヘキシル−2−フルオレン−イル)ボロン酸(3.0g、7.8mmol)、パラジウムテトラキストリフェニルホスフィン(0.035g、0.030mmol)およびALIQUAT336(0.57g、1.4mmol)は窒素下に置いた。トルエンを添加し、そしてこの溶液を80℃まで加熱した。2M炭酸カリウム溶液(12mL、26mmol)をいっぺんに添加し、そして混合物を一晩還流し、次いで室温まで冷やした。トルエン層を分離させ、そして水層を塩化メチレンにより抽出した。すべての有機物層を合わせ、中性になるまで水により洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を減圧下でエバポレートした。溶離剤ととしてヘキサン/塩化メチレン(5%)を用いたシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーにより黄色のオイルを精製して、2.1g(81%)の黄色固体を得た。
【0061】
【化8】

4,7−ビス(7’−ブロモ−9’,9’−ジヘキシル−2−フルオレン−イル)−1,3,2−ベンゾチアジアゾール(BrFBFBr)。FBF(2.0g、2.5mmol)をDMF(40mL)中に懸濁した。臭素(0.51mL、10mmol)をいっぺんに添加し、そして懸濁液を光のない状態で室温にて一晩撹拌した。次いで、橙色の懸濁液をチオ硫酸ナトリウムの10重量%溶液によりクエンチし、そしてさらに1時間撹拌した。明るい黄色の沈澱物が形成され、この沈澱を吸入により濾過し、次いでさらなるチオ硫酸ナトリウム液によって洗浄し、次いで水で洗浄した。この固体を減圧下で一晩乾燥した。溶離剤としてヘキサン/塩化メチレン(5%)を用いたシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーによってこの化合物を精製した。得られた粉末をヘキサンからさらに再結晶させ、濾過し、そして減圧下で乾燥して1.83g(76%)の明るい黄色の固体を得た。
【0062】
【化9】

4,7−ビス[7’−(7’−(9”,9”−ジヘキシル−フルオレン−2”−イル)−9’,9’−ジヘキシル−2’−フルオレニレン]−1,3,2−ベンゾチアジアゾール(FFBFF)。4,7−ビス(7’−ブロモ−9’,9’−ジヘキシル−2−フルオレン−イル)−1,3,2−ベンゾチアジアゾール(0.30g、0.32mmol)、(9,9−ジヘキシル−2−フルオレン−イル)ボロン酸(0.36g、0.95mmol)、パラジウムテトラキス(トリフェニル)ホスフィン(0.011g、0.0096mmol)および炭酸カリウム(500mg、1.9mmol)を窒素下に置き、そしてDMF(30mL)中に溶解させた。この溶液を80℃まで加熱し、そして水(1mL)をいっぺんに添加した。この溶液を105℃まで加熱し、そしてこの温度で30時間保持した。次いで、この溶液を室温まで冷やし、そしてDMFを減圧下で除去した。残渣を塩化メチレン/水混合物中に入れた。層を分離させ、そして有機物層を水によって徹底的に洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、そして塩化メチレンをエバポレートさせた。粗生成物を一晩風乾し、そして溶離剤としてヘキサン/塩化メチレン(20%)を用いたシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製して、0.18g(38%)の黄色粉末を得た。
【0063】
【化10】

(実施例2)
(代表的な第2発光性化合物(FTBTF)の合成)
本実施例において、本発明のデバイスにおいて役立つ代表的な第2発光性化合物である4,7−ビス−[5−(9,9−ジヘキシル−9H−フルオレン−2−イル)−チオフェン−2−イル]−ベンゾ[1,2,5]チアジアゾール(FTBTF)(赤色光発光化合物)の合成を記載する。
【0064】
4,7−ビス(2’−チエニル)−1,3,2−ベンゾチアジアゾール(TBT)。チオフェンボロン酸(0.93g、7.0mmol)、2,7−ジブロモベンゾチアジアゾール(0.58g、2.0mmol)、パラジウムテトラキス(トリフェニルホスフィン)(0.020g、0.017mmol)およびALIQUAT336(0.081、0.20mmol)を窒素下に置き、次いで乾燥トルエン(15mL)に溶かした。この混合物を80℃まで加熱し、そして炭酸カリウムの2Mの溶液(8.2mL、16mmol)をいっぺんに添加した。この溶液を100℃にて3日間撹拌し、次いで室温まで冷やした。トルエンを減圧下でエバポレートした。残留するオイルを塩化メチレンに再溶解し、そして水でクエンチした。有機物層を分離させ、そして水層をさらなる塩化メチレンにより抽出した。全ての有機物層を合わせ、中性になるまで水により洗浄し、そして硫酸ナトリウムで乾燥させた。塩化メチレンを減圧下でエバポレートし、そして溶離剤としてヘキサン/塩化メチレン(10%)を用いたシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーにより暗赤色のオイルを精製して、0.11g(18%)の橙色固体を得た。
【0065】
【化11】

4,7−ビス(5’−ブロモ−2’−チエニル)−1,3,2−ベンゾチアジアゾール(BrTBTBr)。TBT(0.11g、0.36mmol)およびNBS(0.16g、0.92mmol)をDMF(20ml)に溶解し、そして85℃まで一晩加熱した。次いで、この混合物を室温まで冷やし、10%KOH溶液(10mL)によりクエンチした。形成された赤色の沈殿物を吸入により濾過し、そして塩化メチレンに再溶解した。この溶液を中性になるまで水により洗浄し、硫酸ナトリウムにより乾燥した。次いで溶媒をエバポレートした。固体をヘキサンから再結晶させ、減圧して乾燥することにより、0.10g(60%)の橙色粉末を得た。
【0066】
4.7−ビス[5’−(9”,9”−ジヘキシル−2”−フルオレン−イル)−2’−チエニレン]−1,3,2−ベンゾチアジアゾール(FTBTF)。(9,9−ジヘキシル−2−フルオレン−イル)−ボロン酸(0.10g、0.26mmol)、BrTBTBr(0.036g、0.079mmol)、パラジウムテトラキス(トリフェニルホスフィン)(0.0050g、0.0043mmol)およびALIQUAT336(0.033g、0.0081mmol)を窒素下に置き、次いで乾燥トルエン(10mL)に溶かした。この混合物を80℃まで加熱し、そして炭酸カリウムの2Mの溶液(0.40mL、0.75mmol)をいっぺんに添加した。この混合物を110℃にて一晩撹拌し、次いで室温まで冷やした。層を分離させ、そして水性層を塩化メチレンによって抽出した。すべての有機物層を合わせ、中性になるまで水により洗浄し、そして硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を減圧下でエバポレートし、そして溶離剤としてヘキサン/塩化メチレン(0〜5%)を用いたシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーにより赤色オイルを精製して、0.044g(58%)の紫色粉末を得た。
【0067】
【化12】

(実施例3)
(代表的な発光性ホスト化合物(PF−TPA−OXD)の合成)
本実施例において、本発明のデバイスにおいて役立つ、代表的な発光性ホスト化合物(PF−TPA−OXD)(青色光発光化合物)の合成を記載する。
【0068】
PF−TPA−OXDの合成およびいくつかの特性は、Jenら,「Highly Efficient Blue−Light−Emitting Diodes from Polyfluorene Containing Bipolar Pendant Groups」,Macromolecules 2003,36,6698−6703およびJenら,「Bright Red−Emitting Electrophosphorescent Device Using Osmium Complex as a Triplet Emitter」,Appl.Phys.Lett.2003,83,776−778によって記載された(各参考文献は、その全体が本明細書中に参考として援用される)。
【0069】
9,9−ビス(4−ジ(4−ブチルフェニル)アミノフェニル)−2,7−ジブロモフルオレン。2,7−ジブロモフルオレン(315mg、930μmol)(Macromolecules 1999、32、3306に記載される通りに調製)および4,4’−ジブチルトリフェニルアミン(1.0g、2.8mmol)(Chem.Mater.1997、9、3231に記載される通りに調製)の混合物に、メタンスルホン酸(60μL、0.93mmol)を添加した。次いで、この反応混合物を窒素下で140℃にて12時間加熱した。冷やされた混合物をジクロロメタンで希釈し、そして炭酸ナトリウム水溶液により洗浄した。有機相をMgSOにより乾燥し、そして溶媒をエバポレートした。ヘキサン/酢酸エチル(8:2)によって溶離するカラムクロマトグラフィーにより粗生成物を精製し、続いてアセトンからの再結晶により、白色結晶として3(0.50g、52%)を得た。
【0070】
【化13】

PF−TPA−OXD。トルエン(4.0mL)中の9,9−ビス(4−ジ(4−ブチルフェニル)アミノフェニル)−2,7−ジブロモフルオレン(161mg、156μmol)、オキサジアゾールモノマー(137mg、156μmol)(Chem.Mater.2003,15,269に記載される通りに調製)および2,7−ビス−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−9,9−ジオクチルフルオレン(200.0mg、312μmol)(Macromolecules 1997,30,7686に記載の通りに調製)の溶液に、炭酸カリウム水溶液(2.0M、4.0mL)およびALIQUATE336(20mg)を添加した。上記の溶液を脱気し、そしてテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(10mg、5.5mol%)を窒素雰囲気下でいっぺんに添加した。この溶液を窒素下で3日間還流させた。フェニルボロン酸(40mg、0.33mmol)およびブロモベンゼン(52mg、0.33mmol)とともにそれぞれ12時間還流することによって、末端基をキャップした。この期間の後、この混合物を冷やし、そしてメタノールと水との混合物(150mL、7:3 v/v)に注いだ。粗製ポリマーを濾過し、過剰なメタノールにより洗浄し、そして乾燥させた。このポリマーをCHCl(2.0mL)に溶かし、濾過し、そしてメタノール(150mL)中に沈澱させた。この沈澱物を集め、Soxhlet装置を使用して24時間にわたってアセトンにより洗浄し、そして減圧下で乾燥してPF−TPA−OXD(270mg、73%)を得た。
【0071】
【化14】

(実施例4)
(代表的な白色光発光デバイスの製造)
本実施例において、本発明の代表的な白色光発光デバイスの製造を記載する。この代表的なデバイスは、二層発光デバイスである:ITO/PEDOT/PF−TPA−OXD:FFBFF:FTBTF/Ca/Ag。代表的な二層デバイスの概略図を図5Bに示す。
【0072】
代表的なデバイスを、インジウムスズ酸化物(ITO)で被覆されたガラス基板上に製造した。この基板は、使用の前に予めクリーニングされ、そして酸素プラズマにより処理された。その水溶液(1.3重量%)からスピンコーティングすることによって最初に配置し、次いで窒素下で160℃にて10分間焼きなましすることにより、厚さ20nmのポリ(エチレンジオキシチオフェン):ポリスチレンスルホネート(PEDOT、Bayer Co.)の層を配置した。次いで、PF−TPA−OXD中に緑色光発光色素および赤色光発光色素(FFBFFおよびFTBTF)が分散された発光層を、PEDOT層の上部において、そのトルエン溶液(約15mg/mL)から2000rpmにてスピンコーティングした。発光層は、約0.18重量パーセントのFFBFFおよび約0.11重量パーセントのFTBTFを含んでいた。発光層の代表的な厚さは、約50nmであった。その後、カルシウム(Ca)の層(約30nm)を、カソードとして発光層の上部に真空蒸着し(約1×10−6torr)、そして最後に、銀(Ag)の層(約120nm)を保護層として蒸着させた。
【0073】
本発明の好ましい実施形態を例示して記載してきたが、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、その範囲内で様々な変更がなされ得ることが理解される。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1A】図1Aは、本発明のデバイスに役立つ代表的な緑色光発光化合物の化学構造である:4,7−ビス−(9,9,9’,9’−テトラヘキシル−9H,9’H−[2,2]ビフルオレニル−7−イル)−ベンゾ[1,2,5]チアジアゾール(FFBFF)(R〜RはC13である)。
【図1B】図1Bは、本発明のデバイスに役立つ代表的な赤色光発光化合物の化学構造である:4,7−ビス−[5−(9,9−ジヘキシル−9H−フルオレン−2−イル)−チオフェン−2−イル]−ベンゾ[1,2,5]チアジアゾール(FTBTF)(R〜R12はC13である)。
【図1C】図1Cは、本発明のデバイスに役立つ代表的な青色光発光ホスト化合物の化学構造である:ポリ[(9,9−ビス(4−ジ(4−n−ブチルフェニル)アミノフェニル)]−stat−(9,9−ビス(4−(5−(4−tert−ブチルフェニル)−2−オキサジアゾリル)−フェニル−stat−(9,9−ジ−n−オクチル)フルオレン(PF−TPA−OXD)(R13〜R16はC17であり、R17〜R20はn−ブチルであり、そしてR21およびR22はt−ブチルである)。
【図2A】図2Aは、PF−TPA−OXDのエレクトロルミネセンススペクトルである。
【図2B】図2Bは、FFBFFの光ルミネセンススペクトルである。
【図2C】図2Cは、FTBTFの光ルミネセンススペクトルである。
【図2D】図2Dは、FFBFFのUV−Vis吸光スペクトルである。
【図2E】図2Eは、FTBTFのUV−Vis吸光スペクトルである。
【図3A】図3Aは、本発明の第1の代表的なデバイス(デバイス1)からの発光のエレクトロルミネセンススペクトルである。
【図3B】図3Bは、本発明の第1の代表的なデバイス(デバイス1)のJ−V−B曲線であり、このデバイスのCIE座標は、挿入図において異なるバイアスにある。
【図4A】図4Aは、本発明の第2の代表的なデバイス(デバイス2)からの発光のエレクトロルミネセンススペクトルである。
【図4B】図4Bは、本発明の第2の代表的なデバイス(デバイス2)のJ−V−B曲線であり、このデバイスのCIE座標は、挿入図において異なるバイアスにある。
【図5A】図5Aは、本発明の代表的なデバイスの概略図である。
【図5B】図5Bは、本発明の代表的なデバイスの概略図である。
【図5C】図5Cは、本発明の代表的なデバイスの概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光デバイスであって、第一電極と第二電極との間に発光層を備え、該発光層は、約520nm〜約600nmの範囲の発光を有する第1化合物、約620nm〜約720nmの範囲の発光を有する第2化合物を、約420nm〜約480nmの範囲の発光を有する発光性ホスト材料中に含む、発光デバイス。
【請求項2】
前記発光層と前記第二電極との間に電子輸送層をさらに備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記第一電極と前記発光層との間に正孔輸送層をさらに備える、請求項2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記発光層と前記第二電極との間に電子注入層をさらに備える、請求項3に記載のデバイス。
【請求項5】
前記発光層と前記電子注入層との間に電子輸送層をさらに備える、請求項4に記載のデバイス。
【請求項6】
前記第1化合物が、FFBFFまたはその誘導体である、請求項1に記載のデバイス。
【請求項7】
前記第1化合物が、前記発光層の総重量を基準として約0.10重量パーセント〜約0.30重量パーセントの量で該発光層中に存在する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項8】
前記第2化合物が、FTBTFまたはその誘導体である、請求項1に記載のデバイス。
【請求項9】
前記第2化合物が、前記発光層の総重量を基準として約0.05重量パーセント〜約0.15重量パーセントの量で該発光層中に存在する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項10】
前記ホスト材料が、PF−TPA−OXDまたはその誘導体である、請求項13に記載のデバイス。
【請求項11】
前記第1化合物が、1以上のフルオレニル部分を含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項12】
前記第2化合物が、1以上のフルオレニル部分を含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項13】
前記ホスト材料が、1以上のフルオレニル部分を含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項14】
前記第1化合物、前記第2化合物および前記ホスト材料が、1以上のフルオレニル部分を各々含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項15】
前記第1化合物が、1以上の9,9−ジアルキルフルオレニル部分を含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項16】
前記第2化合物が、1以上の9,9−ジアルキルフルオレニル部分を含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項17】
前記ホスト材料が、1以上の9,9−ジアルキルフルオレニル部分を含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項18】
前記第1化合物、前記第2化合物および前記ホスト材料は、吸光スペクトルおよび発光スペクトルを各々有し、該ホスト材料の発光スペクトルは、該ホスト材料から該第1化合物へのエネルギー移動をもたらすために十分に該第1化合物の吸光スペクトルと重なり、そして該第1化合物の発光スペクトルは、該第1化合物から該第2化合物へのエネルギー移動をもたらすために十分に第2化合物の吸光スペクトルと重なる、請求項1に記載のデバイス。
【請求項19】
前記デバイスによって、生じる光が、実質的に純粋な白色光である、請求項1に記載のデバイス。
【請求項20】
前記デバイスによって、生じる光が、6Vのバイアスでx=0.30−0.36,y=0.34−0.37というCIE色度座標を有する請求項1に記載のデバイス。
【請求項21】
前記デバイスによって、生じる光が、12Vのバイアスでx=0.32−0.34,y=0.34−0.38というCIE色度座標を有する、請求項1に記載のデバイス。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図2E】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【公表番号】特表2008−508727(P2008−508727A)
【公表日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−523747(P2007−523747)
【出願日】平成17年7月27日(2005.7.27)
【国際出願番号】PCT/US2005/026566
【国際公開番号】WO2006/015004
【国際公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【出願人】(505006079)ユニバーシティ オブ ワシントン (3)
【Fターム(参考)】