説明

白色系籾殻灰の製造方法

【課題】籾殻から白色系のもみ殻灰を製造する方法を提供する。
【解決手段】この発明に係る白色系籾殻灰の製造方法は、籾殻をリグニン分解剤で処理する前処理工程と、前記前処理工程を経た籾殻を250〜350℃で30分以上加熱する炭化工程と、前記炭化工程を経た籾殻を480℃以上の温度で30分以上焼成する焼成工程と、を包含することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、籾殻から白色系のもみ殻灰を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
稲等の脱穀の際に生じる籾殻は、農業廃棄物として毎年多量に排出され、その一部が燃料として用いられてはいるものの、その殆どが有効利用の途がなく、そのまま廃棄するか、或いは焼却して籾殻灰としてからこれを廃棄処分にしているのが現状である。近年の資源の有効活用、リサイクル利用の気運の高まりの中、このような籾殻灰についても有効利用の具体的方策をたてることが強く望まれていたところである。
【0003】
このような状況の中、籾殻を焼成して得られた籾殻灰をセメントの代替材料として利用することが提案されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平7−196312号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来の籾殻灰は、未燃の残存炭素分により黒色や濃灰色を呈する。上記特許文献1に記載の方法で得られた籾殻灰も、未燃の炭素は少なくなっているものの依然として炭素分が残存するため、黒色又は濃灰色を呈する。
【0005】
しかるに、籾殻灰が有効利用される用途によってはこのような黒色や濃灰色を呈することが大きな問題となることも少なくない。例えば、籾殻灰を化粧品パウダーとして利用することを考えると、当然に白色系の色であることが要求されるし、工業用途での利用を考えた場合にも白色系の色であることが要求されるケースは多い。
【0006】
この発明は、かかる技術的背景に鑑みてなされたものであって、籾殻から白色系のもみ殻灰を製造する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
【0008】
[1]籾殻をリグニン分解剤で処理する前処理工程と、
前記前処理工程を経た籾殻を250〜350℃で30分以上加熱する炭化工程と、
前記炭化工程を経た籾殻を480℃以上の温度で30分以上焼成する焼成工程と、を包含することを特徴とする白色系籾殻灰の製造方法。
【0009】
[2]前記リグニン分解剤として漂白剤または酸を用いる前項1に記載の白色系籾殻灰の製造方法。
【0010】
[3]籾殻を漂白剤で処理する前処理工程と、
籾殻を酸で処理する前処理工程と、
前記2つの前処理工程を経た籾殻を250〜350℃で30分以上加熱する炭化工程と、
前記炭化工程を経た籾殻を480℃以上の温度で30分以上焼成する焼成工程と、を包含することを特徴とする白色系籾殻灰の製造方法。
【0011】
[4]籾殻をリグニン分解剤で処理する前処理工程と、
前記前処理工程を経た籾殻を洗浄する洗浄工程と、
前記洗浄工程を経た籾殻を乾燥させる乾燥工程と、
前記乾燥工程を経た籾殻を250〜350℃で30分以上加熱する炭化工程と、
前記炭化工程を経た籾殻を480℃以上の温度で30分以上焼成する焼成工程と、を包含することを特徴とする白色系籾殻灰の製造方法。
【0012】
[5]前記リグニン分解剤として漂白剤または酸を用いる前項4に記載の白色系籾殻灰の製造方法。
【0013】
[6]前記漂白剤として次亜塩素酸ナトリウムを用いる前項2、3または5に記載の白色系籾殻灰の製造方法。
【0014】
[7]前記焼成工程における焼成温度を500〜795℃の範囲に設定する前項1〜6のいずれか1項に記載の白色系籾殻灰の製造方法。
【発明の効果】
【0015】
[1]の発明では、前処理として籾殻をリグニン分解剤で処理するので、黒色系着色の主な原因であると考えられるリグニン成分を分解除去することができる。また、この前処理工程を経た籾殻を250〜350℃の低温で30分以上加熱・炭化するので、炭素が溶融塩(K2O等)に包含されることを防止できる。更に、籾殻を480℃以上の温度で30分以上焼成することによって炭化分を焼成除去することができ、これにより白色系の籾殻灰を得ることができる。本製造方法では、前処理として籾殻をリグニン分解剤で処理することでリグニン成分をこの段階で分解除去するので、後の焼成工程を経て得られる籾殻灰における残留炭素分を実質的に0%にすることが可能となる。
【0016】
[2]の発明では、リグニン分解剤として漂白剤または酸を用いるので、黒色系着色の主原因と考えられるリグニン成分を十分に分解除去することができ、一層純白に近い白色系籾殻灰を製造できる。なお、漂白剤と酸の比較では、漂白剤で前処理した方が、より白に近い白色系籾殻灰を製造できる。また、リグニン分解剤として酸を用いた場合には、重金属を十分に除去することができる。
【0017】
[3]の発明では、前処理として籾殻をリグニン分解剤で処理する(漂白剤による前処理及び酸による前処理を行う)ので、黒色系着色の主な原因であると考えられるリグニン成分を分解除去することができる。また、この前処理工程を経た籾殻を250〜350℃の低温で30分以上加熱・炭化するので、炭素が溶融塩(K2O等)に包含されることを防止できる。更に、籾殻を480℃以上の温度で30分以上焼成することによって炭化分を焼成除去することができ、これにより白色系の籾殻灰を得ることができる。本製造方法では、前処理として籾殻をリグニン分解剤で処理することでリグニン成分をこの段階で分解除去するので、後の焼成工程を経て得られる籾殻灰における残留炭素分を実質的に0%にすることが可能となる。また、籾殻を酸で処理する工程を有するので、重金属を十分に除去することができる。なお、この[3]の発明において、漂白剤で処理する前処理工程、酸で処理する前処理工程の実施順序は、特に限定されず、いずれを先に行っても良い。
【0018】
[4]の発明では、前処理として籾殻をリグニン分解剤で処理するので、黒色系着色の主な原因であると考えられるリグニン成分を分解除去することができる。また、この前処理工程を経た籾殻を250〜350℃の低温で30分以上加熱・炭化するので、炭素が溶融塩(K2O等)に包含されることを防止できる。更に、籾殻を480℃以上の温度で30分以上焼成することによって炭化分を焼成除去することができ、これにより白色系の籾殻灰を得ることができる。本製造方法では、前処理として籾殻をリグニン分解剤で処理することでリグニン成分をこの段階で分解除去するので、後の焼成工程を経て得られる籾殻灰における残留炭素分を実質的に0%にすることが可能となる。加えて、この製法では、前処理工程を経た籾殻を洗浄するので、前処理で用いたリグニン分解剤を十分に洗浄除去することができる。
【0019】
[5]の発明では、リグニン分解剤として漂白剤または酸を用いるので、黒色系着色の主原因と考えられるリグニン成分を十分に分解除去することができ、一層純白に近い白色系籾殻灰を製造できる。なお、漂白剤と酸の比較では、漂白剤で前処理した方が、より白に近い白色系籾殻灰を製造できる。また、リグニン分解剤として酸を用いた場合には、重金属を十分に除去することができる。
【0020】
[6]の発明では、上記漂白剤として次亜塩素酸ナトリウムを用いるので、より一層純白に近い白色系籾殻灰を製造できる。
【0021】
[7]の発明では、焼成工程における焼成温度を500〜795℃の範囲に設定するので、非晶質の白色系籾殻灰を製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
この発明に係る白色系籾殻灰の製造方法について説明する。まず、籾殻をリグニン分解剤で処理する(前処理工程)。
【0023】
製造原料である籾殻としては、特に限定されるものではないが、例えば精米脱穀等によって得られた籾殻などが挙げられる。
【0024】
前記リグニン分解剤としては、籾殻に含まれるリグニンを分解し得るものであれば特に限定されず、どのようなものでも使用できる。中でも、リグニン分解剤としては、漂白剤、酸が好適に用いられる。前記漂白剤としては、特に限定されるものではないが、例えば次亜塩素酸ナトリウム、次亜硫酸ナトリウム、過酸化水素、オゾン等が挙げられる。これらの中でも、次亜塩素酸ナトリウムが特に好適である。また、前記酸としては、特に限定されるものではないが、例えば塩酸、酢酸、硝酸、ギ酸等が挙げられる。
【0025】
なお、リグニン分解剤として酸を用いて前処理した場合には、重金属成分の含有率を顕著に低減させることができるので、得られた白色系籾殻灰は、化粧品パウダーとして特に好適である。
【0026】
前記処理の方法としては、特に限定されるものではないが、例えば籾殻をリグニン分解剤の水溶液に浸漬する方法等が挙げられる。前記リグニン分解剤の水溶液の濃度としては0.1〜12質量%の範囲が好ましい。
【0027】
前記前処理工程を経た籾殻は、水等による洗浄処理を施した後、乾燥処理を行うのが好ましい。洗浄することで、前処理で用いたリグニン分解剤を十分に洗浄除去することができる。
【0028】
前記乾燥処理は、自然乾燥であっても良いし、加熱乾燥であっても良く、その方法は特に限定されない。
【0029】
次に、籾殻を250〜350℃で30分以上加熱する(炭化工程)。中でも、籾殻を260〜340℃で30分以上加熱するのが好ましく、特に好ましい温度範囲は280〜320℃である。
【0030】
このように籾殻を250〜350℃の低温で30分以上加熱することによって、炭素(炭化物)が溶融塩(K2O等)に包含されてしまうことを十分に防止できる。即ち、このような250〜350℃で30分以上加熱する炭化工程を経ることなく、焼成工程を行うと、炭素が溶融塩(K2O等)に包含されてしまって外に出られず、その結果、黒色や濃灰色の籾殻灰が得られるものとなる。従って、籾殻を250〜350℃で30分以上加熱する炭化工程を実施することは、白色系籾殻灰を得る上で重要である。
【0031】
前記炭化工程は、閉鎖系空気雰囲気中で行うのが好ましく、この場合には均一に炭化できる利点がある。また、前記炭化工程は、通常、燃焼炉内で行う。
【0032】
次に、前記炭化工程を経た籾殻を480℃以上の温度で30分以上焼成する(焼成工程)。中でも、500〜795℃で30分以上焼成するのが好ましく、この場合には非晶質の白色系籾殻灰が得られる。一方、800℃以上の温度で30分以上焼成した場合には結晶質の白色系籾殻灰が得られる。
【0033】
前記焼成工程は、開放系空気雰囲気中で行うのが好ましく、この場合には均一に白色化できる利点がある。また、前記焼成工程は、通常、燃焼炉内で行う。
【0034】
前記焼成工程を経て得られた籾殻灰は、そのまま使用することもできるし、必要に応じて粉砕処理を行って所望の粒径の粉末にしても良い。
【0035】
前記焼成工程を経て得られた籾殻灰は、炭素を含有しないものであり、白色系の色を呈するので、例えば、化粧品パウダー等として利用できる。また、得られた籾殻灰は、ナノサイズの超微細孔が多数形成されたものとなり(図3参照)、これにより水分や脂肪質等の吸着作用、保湿効果が得られるので、この観点からも化粧品パウダーとして特に好適に用いられる。また、得られた籾殻灰は、ナノサイズの超微細孔が多数形成されていることで、香料等の成分の徐放性向上効果も得られるので、様々な用途に利用できるものである。
【実施例】
【0036】
次に、この発明の具体的実施例について説明するが、本発明はこれら実施例のものに特に限定されるものではない。
【0037】
<実施例1>
容器内に籾殻(精米脱穀によって得られた籾殻)を入れた後、さらに次亜塩素酸ナトリウム水溶液(濃度2質量%)を籾殻の全体が浸漬されるように容器内に投入した。この浸漬状態を常温で2時間継続した後、籾殻を取り出し、この籾殻を水で3回洗浄した。しかる後、籾殻を通気乾燥させ、次いでこの乾燥した籾殻を燃焼炉内で閉鎖系空気雰囲気中で300℃で2時間加熱した後、そのまま1時間かけて昇温速度50℃/10分で600℃まで昇温し、燃焼炉内で開放系空気雰囲気中で600℃で2時間焼成することによって、白色系籾殻灰(粉体)を得た。この白色系籾殻灰は、純白に近い白色であった。
【0038】
この実施例1で得られた白色系籾殻灰の電子顕微鏡写真を図3に示す。これより、この白色系籾殻灰には、ナノサイズの超微細孔が多数形成されていることがわかる。
【0039】
また、得られた白色系籾殻灰のX線回折分析による組成分析結果を表1に示す。この表1から明らかなように、得られた白色系籾殻灰には残留炭素分が全く認められなかった。
【0040】
【表1】

【0041】
<実施例2>
容器内に籾殻(精米脱穀によって得られた籾殻)を入れた後、さらに次亜塩素酸ナトリウム水溶液(濃度2質量%)を籾殻の全体が浸漬されるように容器内に投入した。この浸漬状態を常温で2時間継続した後、籾殻を取り出し、この籾殻を水で3回洗浄した。しかる後、籾殻を通気乾燥させ、次いでこの乾燥した籾殻を燃焼炉内で閉鎖系空気雰囲気中で300℃で2時間加熱した後、そのまま1時間かけて昇温速度50℃/10分で800℃まで昇温し、燃焼炉内で開放系空気雰囲気中で800℃で2時間焼成することによって、白色系籾殻灰(粉体)を得た。この白色系籾殻灰は、純白に近い白色であった。
【0042】
実施例2で得られた白色系籾殻灰のX線回折測定結果を図2に示す。この図2に示すX線回折測定グラフでは、回折角約22度の位置に結晶質シリカの回折ピークが強く出ていることから、実施例2で得られた白色系籾殻灰は結晶質であることがわかる。
【0043】
一方、実施例1で得られた白色系籾殻灰のX線回折測定結果を図1に示す。この図1に示すX線回折測定グラフでは、回折角約22度の位置の結晶質シリカに基づく回折ピークが殆ど認められない(縦軸の強度のスケールを大きく拡大しても回折ピークが殆ど認められない)ことから、実施例1で得られた白色系籾殻灰は非晶質であることがわかる。
【0044】
<実施例3>
リグニン分解剤として、次亜塩素酸ナトリウム水溶液(濃度2質量%)に代えて、塩酸水溶液(濃度3.2質量%)を用いた以外は、実施例1と同様にして、白色系籾殻灰(粉体)を得た。この白色系籾殻灰は、純白に近い白色であった。
【0045】
得られた白色系籾殻灰のX線回折分析による組成分析結果を表1に示す。この表1から明らかなように、得られた白色系籾殻灰には残留炭素分が全く認められなかった。また、得られた白色系籾殻灰は、Mn等の重金属成分の含有率が、実施例1と比較して格段に小さくなっていた。即ち、リグニン分解剤として酸を用いて前処理したので、重金属成分を十分に除去することができた。
【0046】
<実施例4>
容器内に籾殻(精米脱穀によって得られた籾殻)を入れた後、さらに次亜塩素酸ナトリウム水溶液(濃度2質量%)を籾殻の全体が浸漬されるように容器内に投入した。この浸漬状態を常温で2時間継続した後、籾殻を取り出し、この籾殻を水で3回洗浄した。次に、前記洗浄後の籾殻を容器内に入れた後、さらに塩酸水溶液(濃度3.2質量%)を籾殻の全体が浸漬されるように容器内に投入した。この浸漬状態を常温で2時間継続した後、籾殻を取り出し、この籾殻を水で3回洗浄した。しかる後、籾殻を通気乾燥させ、次いでこの乾燥した籾殻を燃焼炉内で閉鎖系空気雰囲気中で300℃で2時間加熱した後、そのまま1時間かけて昇温速度50℃/10分で600℃まで昇温し、燃焼炉内で開放系空気雰囲気中で600℃で2時間焼成することによって、白色系籾殻灰(粉体)を得た。この白色系籾殻灰は、純白に近い白色であった。
【0047】
得られた白色系籾殻灰のX線回折分析による組成分析結果を表1に示す。この表1から明らかなように、得られた白色系籾殻灰には残留炭素分が全く認められなかった。また、得られた白色系籾殻灰は、Mn等の重金属成分の含有率が、実施例1と比較して格段に小さくなっていた。即ち、酸を用いて前処理する工程を有しているので、重金属成分を十分に除去することができた。
【0048】
<実施例5>
リグニン分解剤として、次亜塩素酸ナトリウム水溶液(濃度2質量%)に代えて、酢酸水溶液(濃度4質量%)を用いた以外は、実施例1と同様にして、白色系籾殻灰(粉体)を得た。この白色系籾殻灰は、純白に近い白色であった。
【0049】
得られた白色系籾殻灰のX線回折分析による組成分析結果を表1に示す。この表1から明らかなように、得られた白色系籾殻灰には残留炭素分が全く認められなかった。また、得られた白色系籾殻灰は、Mn等の重金属成分の含有率が、実施例1と比較して格段に小さくなっていた。即ち、リグニン分解剤として酸を用いて前処理したので、重金属成分を十分に除去することができた。
【0050】
<実施例6>
容器内に籾殻(精米脱穀によって得られた籾殻)を入れた後、さらに次亜塩素酸ナトリウム水溶液(濃度2質量%)を籾殻の全体が浸漬されるように容器内に投入した。この浸漬状態を常温で2時間継続した後、籾殻を取り出し、この籾殻を水で3回洗浄した。次に、前記洗浄後の籾殻を容器内に入れた後、さらに酢酸水溶液(濃度4質量%)を籾殻の全体が浸漬されるように容器内に投入した。この浸漬状態を常温で2時間継続した後、籾殻を取り出し、この籾殻を水で3回洗浄した。しかる後、籾殻を通気乾燥させ、次いでこの乾燥した籾殻を燃焼炉内で閉鎖系空気雰囲気中で300℃で2時間加熱した後、そのまま1時間かけて昇温速度50℃/10分で600℃まで昇温し、燃焼炉内で開放系空気雰囲気中で600℃で2時間焼成することによって、白色系籾殻灰(粉体)を得た。この白色系籾殻灰は、純白に近い白色であった。
【0051】
得られた白色系籾殻灰のX線回折分析による組成分析結果を表1に示す。この表1から明らかなように、得られた白色系籾殻灰には残留炭素分が全く認められなかった。また、得られた白色系籾殻灰は、Mn等の重金属成分の含有率が、実施例1と比較して格段に小さくなっていた。即ち、酸を用いて前処理する工程を有しているので、重金属成分を十分に除去することができた。
【0052】
<実施例7>
リグニン分解剤として、次亜塩素酸ナトリウム水溶液(濃度2質量%)に代えて、過酸化水素水(濃度20%)を用いた以外は、実施例1と同様にして、白色系籾殻灰(粉体)を得た。この白色系籾殻灰は、純白に近い白色であった。
【0053】
得られた白色系籾殻灰のX線回折分析による組成分析結果を表1に示す。この表1から明らかなように、得られた白色系籾殻灰には残留炭素分が全く認められなかった。
【産業上の利用可能性】
【0054】
この発明の製造方法で得られた白色系籾殻灰は、例えば、化粧品パウダー、廃ガス浄化用触媒担体、吸着材、消臭材、浄水材等として利用できるが、特にこれらの用途に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】実施例1で得られた白色系籾殻灰のX線回折測定結果を示すグラフである。
【図2】実施例2で得られた白色系籾殻灰のX線回折測定結果を示すグラフである。
【図3】実施例1で得られた白色系籾殻灰の走査電子顕微鏡写真(SEM写真)である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
籾殻をリグニン分解剤で処理する前処理工程と、
前記前処理工程を経た籾殻を250〜350℃で30分以上加熱する炭化工程と、
前記炭化工程を経た籾殻を480℃以上の温度で30分以上焼成する焼成工程と、を包含することを特徴とする白色系籾殻灰の製造方法。
【請求項2】
前記リグニン分解剤として漂白剤または酸を用いる請求項1に記載の白色系籾殻灰の製造方法。
【請求項3】
籾殻を漂白剤で処理する前処理工程と、
籾殻を酸で処理する前処理工程と、
前記2つの前処理工程を経た籾殻を250〜350℃で30分以上加熱する炭化工程と、
前記炭化工程を経た籾殻を480℃以上の温度で30分以上焼成する焼成工程と、を包含することを特徴とする白色系籾殻灰の製造方法。
【請求項4】
籾殻をリグニン分解剤で処理する前処理工程と、
前記前処理工程を経た籾殻を洗浄する洗浄工程と、
前記洗浄工程を経た籾殻を乾燥させる乾燥工程と、
前記乾燥工程を経た籾殻を250〜350℃で30分以上加熱する炭化工程と、
前記炭化工程を経た籾殻を480℃以上の温度で30分以上焼成する焼成工程と、を包含することを特徴とする白色系籾殻灰の製造方法。
【請求項5】
前記リグニン分解剤として漂白剤または酸を用いる請求項4に記載の白色系籾殻灰の製造方法。
【請求項6】
前記漂白剤として次亜塩素酸ナトリウムを用いる請求項2、3または5に記載の白色系籾殻灰の製造方法。
【請求項7】
前記焼成工程における焼成温度を500〜795℃の範囲に設定する請求項1〜6のいずれか1項に記載の白色系籾殻灰の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−207169(P2008−207169A)
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−279079(P2007−279079)
【出願日】平成19年10月26日(2007.10.26)
【出願人】(390014487)住江織物株式会社 (294)
【出願人】(504190087)
【出願人】(501458254)
【出願人】(507033200)
【Fターム(参考)】