説明

白血球計測装置、方法

【課題】白血球の認識ができる。それをもとに歯周病の確定を行うことを課題のひとつとする。また歯周ポケットを感染、炎症、免疫などの非侵襲実験場として使用する。
【解決手段】主に白血球群分析手段を使用することにより前記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯周病の確定診断、発病、発症、感染、活動期、休止期、治癒、増悪傾向、減少傾向、治癒傾向などを検出、計測、診断などする事に関する技術であり、さらに歯周ポケットを感染、炎症、免疫などの非侵襲実験場として使用するための技術でもある。
【背景技術】
【0002】
従来には、本システムのマクロモデル(特願2007−95946号)があった。このマクロモデル中の

【数1】




に着目し、このマクロモデルからさらにミクロモデルを導いた。すなわち、このミクロモデルは、δ関数に等価なバーストポイント(前述特願2007−95946号のwxに対応)を備え、その重畳によりミクロ的な炎症、免疫、感染の計測、検出、診断などを行う。本発明は、このバーストポイント付近でのミクロ的な白血球のベクトル場分布をミクロ的にとらえることができる装置、手段、方法である。そしてこのミクロベクトル場がポケット内へと広がり特願2007−95946号のマクロ的ベクトル場となるのである。(図2,図3,図4、図5、図6)

ここで、このバーストポイントからの新白血球(NewLeukocyte)を核とした新好中球のみまたは、新好中球と旧好中球(OldLeukocyte)の集まりであるLeukocyte Groupの定量により歯周病の発症、活動期、休止期、治癒、悪化傾向、減少傾向、治癒傾向、休止方向、活動方向などの定量、検出、計測、診断などを可能とする。このことは、歯周ポケットを感染、炎症、免疫などの非侵襲実験場として使用するための技術でもある。(図1,図7,図8、図9、図10、図11、図12)

そして、このような技術は、従来なかった。

【非特許文献1】古い白血球、古い好中球を表現する考えられる限りの英単語、日本語などのキーワードにてPubMed、医中誌などのフル検索を行ったが該当論文なしであった。
【特許文献1】特許文献においては、特願2002−137841号健康計測装置の拒絶理由通知書からもわかるように該当なしであった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の歯周病診断においては、確定診断が全くできなかった。さらに歯周ポケットを感染、炎症、免疫などの非侵襲実験場として使用することもできなかった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
1〔請求項1の手段〕
請求項1の白血球計測装置は、新好中球検索手段を備えることを特徴とする。

2〔請求項2の手段〕
請求項2の白血球計測装置は、Leukocyto Group分析手段を備えることを特徴とする。

3〔請求項3の手段〕

請求項3の白血球計測装置は、旧好中球検索手段を備えることを特徴とする。

4〔請求項4の手段〕
請求項4の白血球計測装置は、ベクトル場サンプリング手段を備えることを特徴とする。

5〔請求項5の手段〕
請求項5のベクトル場サンプリング手段は、パイプ手段を採用する事を特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
1〔請求項1の作用および効果〕
請求項1の白血球計測装置は、新好中球検索手段を備えることを特徴とするので、進行中級を見つける事ができる。それによりLeukocyto Groupを用意に見つけることができる。
2〔請求項2の作用および効果〕

請求項2の白血球計測装置は、Leukocyto Group分析手段を備えることを特徴とするので、歯周病の確定診断ができる。また歯周ポケットを感染、炎症、免疫などの非侵襲実験場として使用できる。
3〔請求項3の作用および効果〕
請求項3の白血球計測装置は、旧好中球検索手段を備えることを特徴とするので、休止期を観察、計測、診断などできる。Leukocyto Groupの中の旧好中球も観察、計測、診断できる。

4〔請求項4の作用および効果〕

請求項4の白血球計測装置は、ベクトル場サンプリング手段を備えることを特徴とするので、バーストポイント(BurstPoint)、FIFOもでる、sphere levelなどをはじめとするベクトル場を乱さずに観察、計測などができる。

5〔請求項5の作用および効果〕

請求項5のベクトル場サンプリング手段は、パイプ手段を採用する事を特徴とするので、ベクトル場を乱さずにサンプリングできる。

【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明の白血球計測装置を、図1から図12にて示す実施例または変形例に基づき説明する。そして図2,図3,図4、図5、図6に特願2007−95946号でのマクロモデルと本発明におけるミクロモデルとの関係を図示する。本モデルは、バーストポイントをδ関数様として扱い、さらに外乱であるバイアス成分{bias()}をキャンセルし、かつ同時刻に時系列的に炎症や免疫反応を定性的および定量的にて、観察、検出、計測、診断するなどの特徴を有する。これにより歯周病の確定診断はもとより、歯周ポケットを感染、炎症、免疫などの非侵襲実験場として使用できる事を意味する。
【0007】
〔実施例の構成〕
図1、図7、図8において白血球計測装置は、少なくとも新好中球検索手段を備える。

Leukocyto Groupは、以降LGと省略する場合もある。
【0008】

そして白血球計測装置は、好ましくは
新好中球検索手段
Leukocyto Group分析手段
を備える。

さらに好ましくは、

旧好中球検索手段を追加して備える。
【0009】

新好中球検索手段は、

一例として、(In−In+m)^2などを使用し検出する。

この段落において、

nはある時間、n+mは、ある時間nにm時間だけ足した時間。

Iは画像データ、Inは、ある時間nにおける画像データ。

In+mは、ある時間n+mにおける画像データ。

そしてさらに前記(In−In+m)^2画像の高域スペクトラム群を検出し新好中球としても良い。さらにここで、好中球の平均径をフィルターとして使用し1個づつ検出してもよい。(mを3秒にした結果を図10に示す。)

さらにこの画像において高域空間周波スペクトラム部分で、かつ10μから20μmの円形領域を走査すると新好中球が検出される。

またFFTを使用した検出などの新好中球認識手段を使用しても良い。

さらにまた既知の新好中球認識手段を使用しても良い。
さらにまた人間が画像を見ならが検索を行っても良い。
そして、
新好中球検索手段が、
新好中球を発見したとすると、後述の各手段のいづれかまたはその組み合わせにて分析が進行する。または表示手段に画像を表示する。(図1、図7、図8)
【0010】
Leukocyto Group分析手段は、
Leukocyto Group検出手段
Leukocyto Group新好中球数手段
Leukocyto Group密度手段
Leukocyto Groupクラスター手段
のいづれかまたは、その組み合わせを備える。
それぞれの手段は、PCなどの仮想空間で実現してもよいし、またハードウェアにて実現しても良い。 また人間が行っても良い。
【0011】
Leukocyto Group検出手段は、
Leukocyto Group(LG)を検出し、LGnである仮LG番号を付与する。(図1、図7、図8)
ここでnは、n≧1である正の整数
【0012】
Leukocyto Group新好中球数手段は、
新好中球の数Lmと数順に付与された番号mを付与する。(図1、図7、図8)
LGのm mは、数順の番号で、m≧1である正の整数
【0013】
Leukocyto Group密度手段は、
新好中球の密度Lmと密度順に付与された番号dnを付与する。(図1、図7、図8)
LGdn dnは、密度順の番号で、dn≧1である正の整数
【0014】
Leukocyto Groupクラスター手段は、
新好中球のクラスター化の有無を検出しフラグなどの情報を与える。(図1、図7、図8)
LGc cは、クラスター化有りの時TRUE、
クラスター化無しの時FALSEなどで表現する。
LGn LGnは、LeukocyteGroupの種別LG1,LG2,LG3,LG4の番号を有する。特別にLG0は、新好中球が存在しないという意味でOldLeukocyteのみを表す。
【0015】
以上を構造体で表現すると、一例として
struct LeukocyteGroup{
struct LeukocyteTime LT; // 後述の構造体変数 LT
int n; // 検索順に付与された番号n
int Lm; int m; // 新好中球の数Lmと数順に付与された番号m
double density; int dn; // 新好中球の密度Lmと密度順に付与された番号dn
BOOL c; // 新好中球のクラスター化の有無
int LG; // LGナンバー 0,1,2,3,4
};
などである。
もちろんClassとして、前記手段をメンバ関数として使用しても良い。
【0016】
ここで、
計測位置座標の付与には、特願2007−54950 定量化規格化位相差顕微鏡などを使用し、座標値とのリンクを行う。
座標値の一例として、
struct PMS { int x, y; }; として座標値を表現しても良い。



struct 2DOrigin{ int x, y; }; などとして、

struct PMS { int x,y; 2DOrigin origin; };
【0017】

ここで、struct LeukocyteGroupに組み込んでLGと座標を対応させても良い。すなわち
struct LeukocyteGroup{
struct LeukocyteTime LT; // 後述の構造体変数 LT
int n; // 検索順に付与された番号n
int Lm; int m; // 新好中球の数Lmと数順に付与された番号m
double density; int dn; // 新好中球の密度Lmと密度順に付与された番号dn
BOOL c; // 新好中球のクラスター化の有無
int LG; // LGナンバー 0,1,2,3,4
struct PMS MyPMS; // 顕微鏡観察座標値
};

などである。
【0018】
ごとくのいづれかまたはその組み合わせにて構成されている。
【0019】

Leukocyto group分析手段は、

前述のごとくLG番号を付与されたLeukocyto groupは、その内部解析手段であるLeukocyto group分析手段により新好中球と旧好中球の数の差、または/と比率を算出する。

さらに体積が既知の時は密度を算出しても良い。

ここで、旧好中球を複数段階に分類し、さらにタイムスケール精度を上げても良い。この場合、旧好中球は、個々のタイムスケールごとに数をカウントし記憶する。
【0020】

OldLeukocyteが1つのばあい。

struct LeukocyteTime{
int Nn;
int On;
};
【0021】

OldLeukocyteが複数のばあい。

struct LeukocyteTime{
int Nn;
int O1n;
int O2n;
int O3n;
};

などOxnは、OldLeukocyteがx個のばあいx列存在する。x≧1の正の整数。

そして、体積が既知の場合は、体積値vを加えても良い。

また密度値、比率、差などの値を格納したりしてもよい。

さらに、それらを演算するメンバを含めてClassとしても良い。
【0022】

旧好中球検索手段は、

一例として、核の大きさにて画像を処理して、得られた好中球群から細胞質の顆粒の運動がある物を新好中球とし、運動の無いものを旧好中球とする画像処理手段を使用する。

また既知の旧好中球検索手段を使用しても良い。
【0023】
[動作]
電源をONにすると、
新好中球検索手段は、
既知の好中球認識手段を使用し、新好中球を検索する。
そして、新好中球を発見すると、
Leukocyto Group検出手段が、
Leukocyto Group(LG)を検出し、LGnである仮LG番号を付与する。
Leukocyto Group新好中球数手段は、
新好中球の数Lmと数順に付与された番号mを付与する。
Leukocyto Group密度手段は、
新好中球の密度Lmと密度順に付与された番号dnを付与する。
Leukocyto Groupクラスター手段は、
新好中球のクラスター化の有無を検出しフラグなどの情報を与える。
【0024】
ここで、
新好中球検索手段が、
既知の好中球認識手段を使用し、新好中球を検索し、新好中球を発見できない場合、
ここで終了するか、または旧好中球検索手段が動作する。
旧好中球検索手段は、
一定の容量中に対する旧好中球数を算出する。
そして、以上の各手段の結果を表示手段などにて表示する。
【0025】
[効果]
いままで定量化ができなかった好中球に対して、定量化ができるようになる。これにより歯周病の確定診断が可能となるばかりか、歯周ポケットを感染、炎症、免疫などの非侵襲実験場として使用する事を可能とする。
【0026】
[変形例]
上記実施例に図8、図9のごとく診断(ナビゲーション)手段を付与して使用しても良い。
効果:診断(ナビゲーション)手段を備えるとさらに診断が精度よく、また迅速に行える。
【0027】
構成動作:
診断(ナビゲーション)手段は
少なくとも
活動期分析手段、
休止期分析手段を
を備える。
【0028】
活動期分析手段は、LG番号により4段階に分類されており、
LG1 歯周炎活動期Slightレベル1
LG2 歯周炎活動期Slightレベル2
LG3 歯周炎活動期重症期レベル1
LG4 歯周炎活動期重症期レベル2
を個々に判断し表示する。
さらにLG0を旧好中球のみの状態として5段階評価でも良い。
またLG有限ナンバーからLG0への移行状態と判断すれば、休止方向を表示し、その逆であれば、活動方向を表示する。
またLGナンバーが大きくなれば、悪化傾向を表示し、減少すれば、減少傾向を表示する。
さらに上記LG2からLG3の移行期を設けて分類し、
LG0 歯周炎休止期 旧好中球のみ
LG1 歯周炎活動期Slightレベル1
LG2 歯周炎活動期Slightレベル2
LG3 歯周炎活動期移行期
LG4 歯周炎活動期重症期レベル1
LG5 歯周炎活動期重症期レベル2
としても良い。
【0029】
さらに望ましくは、治癒分析手段を備える。
治癒手段は、新旧好中球が0であれば、治癒と表示する。
【実施例1】
【0030】
第1実施例の白血球計測装置は、

顕微鏡画像の白血球から歯周病を検査する事を特徴とする。
【0031】
[第1実施例の形態]
第1実施例は、顕微鏡からの画像を処理して、歯周炎の観察、計測、検出、診断などを行う。これは、炎症、免疫の実験として実験動物などに適用もできる。
【0032】
[構成]

上記手段のうち

第1実施例の白血球計測装置は、

顕微鏡手段と(画像のみの入力でも良い。)

新好中球検索手段
Leukocyto group分析手段

旧好中球検索手段
診断(ナビゲーション)手段

とを採用する。
【0033】

[動作]
電源をONにすると、
【0034】

歯肉溝(歯周ポケット)から内容物を、連円探針、探針、歯周スポイト、パイプ手段などによりサンプリングする。

このサンプリングした内容物を位相差顕微鏡にて画像化する。

この画像を以下に開示する。ただ動画を添付できないので、新好中球と旧好中球の区別が困難ではある。
【0035】

症例1(図11 LG1 画像):

LG1に分類、NewLeukocyte1個のみ。

単発感染または、1バースト、または抗原への走化となる。

歯周炎活動期Slightレベル1
【0036】

症例2(図11 LG2 左画像):

中央のLGは、LG2に分類、NewLeukocyte1個 OldLeukocyte6個

OldLeukocyteを3段階に分類するとO1n が1個、O2nが2個、O3n が3個となる。

そして、炎症の進展は、減少傾向または休止傾向となる。

歯周炎活動期Slightレベル2の休止方向
【0037】

症例3(図11 LG2 右画像):

中央左のLGにおいて、NewLeukocyte3個 OldLeukocyte3個

炎症は、持続状態となる。

歯周炎活動期レベル2の持続方向

さらにNew>Oldの時は、歯周炎活動期レベル2の増悪方向となる。
【0038】

症例4(図11 LG3 画像):

右やや下のLGにおいて、NewLeukocyteクラスター化

NewLeukocyte5個 OldLeukocyte20個

クラスター化の場合、歯周炎活動期重症期となり、

LG3は、歯周炎活動期重症期レベル1となる。
【0039】

症例5(図11 LG4 画像):

NewLeukocyteクラスター化、一例としてOldLeukocyte0または10%未満がLG4とする。

NewLeukocyte 62個 OldLeukocyte 4個

LG4は、歯周炎活動期重症期レベル2となる。
【0040】
[効果]

好中球数の定量化ができる。外乱であるバイアス成分をキャンセルできる。

以上などより以下の効果がわかる。

歯周病の発症、治癒、活動期、休止期、治癒傾向、活動方向、休止方向、悪化、減少が判明する。

また、炎症、免疫の実験場としての活用ができる。
【0041】
[総合変形例]
【0042】
図12のごとく、ベクトル場サンプリングとしてパイプ手段を採用しても良い。
【0043】

[構成]

歯周ポケットに挿入するポケットプローブの先端がパイプ(手段)を採用しており、

このパイプ中に液体、ジェル、流動体、気体などの物質(吸引加圧媒体手段)で満たされている。
【0044】

この物質は、吸引手段または吸引加圧手段により吸引、加圧される。ここで、この吸引または加圧の程度は、この吸引加圧手段により調整される。

そして、この調整程度は、境界面調整手段により調整される。
【0045】

具体的な一例としてには、境界面調整手段が吸引加圧手段に調整信号を送り、吸引加圧手段が吸引加圧媒体手段を駆動するその結果ポケット開口部の歯肉溝滲出液面が、一例としてこの境界面となるように調整されている。そして、ポケットプローブ部分である。パイプ手段をポケット内へ挿入していっても、この境界面は、常に歯肉溝滲出液面になるように吸引手段が吸引を行っている。

この結果、パイプ手段の中には、ポケット滲出液の断面が攪乱されずに吸引される事になる。これは、ベクトル場を攪乱せずにサンプリングを行える事を意味している。
【0046】

そして、スライドグラスなどにこの断面、すなわちベクトル場を攪乱せずに付与するために、一定圧加圧により吸引加圧手段が駆動される。これは、吸引加圧手段の加圧信号を一定圧になるように調整された一定加圧信号手段を採用する。

この時、術者は、指定された一定の速度でスライドグラス上などの試料台をなぞればよい。さらに具体的には、界面の上部の吸引加圧媒体手段に色が付与されていたり、あるいは境界が可視である吸引加圧媒体手段が採用されていれば、その動きと同じ速度にてスライドグラス上をなぞり、採取したポケット内容物を付与すればよい。
【0047】

この境界面調整手段は、

一例として、CCDカメラの画素から画像処理により算出された境界情報により調整されてもよい。すなわち、図12のごとくの画像をなすようにフィードバック回路が設定去れていればよい。
【0048】

またこの境界面調整手段は、境界面の検出をポケット深さ計測装置を使用しても良い。

一例として、

特願11ー297520号 スーパー探針

特願11ー360056号 電磁波診査装置

特願2005ー354762号 歯周検査装置

などを使用するなどである。

すなわち、上記発明中におけるポケットプローブの先端(子)をパイプ手段とし、その内部空洞中の吸引加圧媒体手段を吸引(加圧)手段にて吸引(加圧)する。この吸引(加圧)の制御信号としてポケット深さ信号を使用する。具体的には、ポケット深さ信号を吸引(加圧)手段の制御信号に整合または変換するポケット深さ信号整合(変換)手段を使用して吸引(加圧)手段の入力信号として、ポケット深さの部分のみポケット内容物の吸引が行えるように調整される。
【0049】
[動作]
電源をONにすると境界面がパイプ手段先端に位置する。
そして、パイプ手段を歯肉溝に挿入する。
すると歯肉溝内容物(歯肉溝滲出液、ポケット内容物)が攪乱されずにパイプに入る。
これをスライドグラスなどに定速度にて付与する。
【0050】
[効果]
ベクトル場を攪乱せずに採取できる。
これにより、より精度の高い計測、観測、診断などが可能となる。
【0051】
[変形例]
顕微鏡用皮膜手段を採用し、吸引した試料を直接顕微鏡で観察してもよい。
顕微鏡用皮膜手段は、厚さ数μmから100μ程度の薄い空洞からなり、この空洞の一端がパイプ手段に接続され、他端が吸引手段に接続されており、試料を吸引するとこの薄い空洞に試料が満たされる。ここでこの手段は透明な樹脂やガラスなどで構成されており、この部分を直接顕微鏡で観察する事ができる。
これにより試料の場をさらに乱すことなく観察ができる。
【0052】
上記実施例または変形例は単独で実施しても良いし、また組み合わせて実施しても良い。また他の用途に使用しても良い。また上記手段に関しても、術者や製造者が取捨選択し使用、製造するなど単独あるいはどのような組み合わせの構成をなしてもよい。
一例として好中球の計測として特願2007−22525号ファイナルフレームワークを組み合わせてもよい。また特願2006−174670号歯科疾患確定装置を組み合わせても良い。
【0053】
前述のいづれかの手段は、PCなどの仮想空間で実現してもよいし、またハードウェアにて実現しても良い。

【産業上の利用可能性】
【0054】
白血球の認識ができる。それをもとに歯周病の確定を行うことができる。

また歯周ポケットを感染、炎症、免疫などの非侵襲実験場として使用することもできる。

これらの効果により以下の論文のごとく医学、生物学に大きく貢献する。
【0055】

ーーーーーーーーーー 論文挿入 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
歯周病の診断基準とそれを利用した炎症性細胞実験場の提案

The diagnosis of periodontal disease and
proposal of inflammation & immune response experimental field to use the diagnosis.

Author(s)
Yuusuke Nonomura

address
Nonomura Dental Office, in national yagata bldg 2F,
3-6, higasiyamadouri,chikusa-ku,nagoya-city, Aichi, Japan 464-0807(†)

Summary
歯周病の診断、特に歯周ポケット内内容物による診断は、指標細胞やサイトカインなどの指標物質などを計測する試みが多く存在するが、指標物質の定量化ができずに、現在のところうまくいっていない。しかし、感染と白血球浸潤が生じているPointであるBurst Pointの根拠のひとつであるLeukocyte group の発見により炎症の指標物質として非常に有用な白血球(特に好中球)の定量化が可能となった。さらにこの事は、Leukocyte groupに由来する化学物質などの指標物質も定量化が可能ということを強く示唆している。これにより歯周病学始まって以来の歯周病における確定診断が定量できる事を意味するばかりでなく、生体の炎症、免疫診断への応用が可能となる。そしてさらに従来、切開などの侵襲化でしか検討ができなかった白血球の応答、サイトカインネットの調査、それらの系への無侵襲薬物投与など、炎症や免疫の実験を無侵襲で入出力できる実験系として実施できる環境を、歯周ポケットが提供できうる事を示唆しているのである。
即ちこれらの診査反応系は、in vivoでありながらin vitroのシステマテックな実験系を提供する事を意味している。



Text
歯と歯周組織の間に存在する歯周ポケットは、結合組織内(歯肉内)での炎症と相関を有する炎症、免疫応答を有している。しかしながら従来は、この歯周ポケットにおけるポケット浸出液(GCF)の成分に関して定量計測を再現良くできなかったため歯周病の確定診断もできず、さらにこの無侵襲でモニターできる素晴らしい実験場を活用できずにいた。
ところが、劣化時定数を計測できる物質の2つ以上の劣化状態によるタイムスケールを使用することと、それらが意味する時系列ストリームの観察、計測によりこれが解決できた。これにより歯周病の確定診断は、もとより歯周ポケット内での免疫、炎症実験が可能となりつつある。
ここでGCF内には、歯周炎と正の相関のある物質、炎症性もしくは免疫系細胞などが炎症、免疫応答に比例して含まれている事が知られている。 しかしながらどの成分においても定量化が非常に困難または不可能であった。そのため臨床的な分類が提示されているにすぎない。
それらがうまく計測できなかったのは、
1 時系列誤差:生体での炎症、免疫応答は、ほとんどが容量性場で行われているので、異なる時間での応答が混在している。一例として新旧好中球の混在が位相差顕微鏡などにて観察できるが、これらを同じ時間での計測とすると生じる誤差が時系列誤差の一例である。特にペーパーポイントでの試料採取や、試料のプレパラートを作成してカウントする従来の計測では、指標物質の新旧などを混在させ大きな誤差を生み出す。すなわち時間軸に対して積分するために生じる誤差である。
さらに重要なのは、この時系列積分(誤差)は、単純に時間軸の分解能における精度上の誤差といった意味以上の重要な意味を有していたのである。すなわち時系列ストリーム(母集団)の観察により個々のタイムスケール要素(自身)が表現する絶対値、要素同士が表現する相対値を覆い隠してしまっていたという重大な誤差を含んでいたのである。
2 濃度誤差:主に溶媒の量が正確に計測できなかったりまたは一定にできなかった事による誤差。さらにサンプリングによる溶質の計測誤差も原因の一つである。すなわちこれらは、絶対値計測で生じる通常のシステマテックまたはランダマイズ誤差である。
3 空間誤差:
サンプリング空間分解能:主に破壊部位(BurstPoint)と非破壊部位とを分離して計測できないなどの誤差。
サンプリング位置誤差:採取毎における試料を得る場所の位置ズレによる誤差である。
など、「絶対計測による誤差のため正確な測定ができなかった。」または「ある独立した時刻のみの計測」という極めてシンプルな物理的問題であった。そこで本計測では相対計測または時系列同時計測を採用し、それらの諸問題をキャンセルする。
これは、見方を変えれば、Δtを含めて主に2つ(以上)の別の時間での計測が問題を提起している事を意味している。ここで、2つの別の時間でのある物理量の差ということは、過去の時間におけるある物理量を反映する物質と現在の物理量を反映する物質の2つ以上の物質を同時間に観測するのと同義である場合がある。すなわちそのような条件を満たす物質が同時間に観測できれば、上記問題は解決されることになる。
つまり、f(t)をある時間tにおける炎症や免疫を示す数量、容積などの物理量(一例としてf(t)>0:炎症あり、f(t)=0で炎症なしなどでこの時厳密にはt-Δtからtなどの時区間において、というべきであろう。)( スカラー量の場合は、任意の時区間tn-1からtnなどにおける積分値などをf(t)のパラメータとする。数学的に炎症を時刻tにおけるf(t)として定義するなら、速度ベクトルとして微分方程式を採用しても良い。そして前記微分方程式を解いた式の係数を実際に計測代入し、計算し炎症量や将来の炎症量を予測するなどをしても良いし、後述のLG法を使用して速度式を求めてf(t)としても良いなどf(t)に速度や加速度などのベクトル量を使用しても良い。実際に生じるΔt内での誤差は、まずは論じない。)、そして誤差成分をε(t)とする。(ε(t)のtも前記同様に時区間の場合もある。)( ここで、f(t)は溶質を、そしてε(t)は、溶媒を指している場合が多い。)
と、2つの時間t1、t2(t1<t2)において
f(t1)+ε(t1)
f(t2)+ε(t2)
であり、ここで炎症や免疫の変動成分(または速度、酷さ)であるf(t2)−f(t1)を求めるために、その誤差成分ε(t)をキャンセルする事が必要であり、その一つの答えが同一時刻に計測すればよいことがわかる。しかし同一時刻では、f(t)−f(t)=0となってしまう。
これを解決するには、
f(t2)−f(t1)と同じかまたは、それ以上の情報を有する関係を見つければ良いのである。
ここで、少なくとも知りたい物理量においてf(t1)およびf(t2)と同じ物理量を有するであろうf(t−τ2)およびf(t−τ1)を考える。 そしてf(t2)とf(t−τ1)との違いは、ここでは、ベクトル場における空間的な位置の違いがあるのみで、その大きさ、数、量といったすなわちスカラーに違いがない物理量である事である。それゆえ両者の存在する場所を特定し、両者の大きさ(スカラー)の違いを計算すれば良い事になる。もちろんベクトル情報を計測対象としてもよい。またこれは、時間に対しての区分、すなわち時間依存性集合体(時系列ストリーム)が必要であることを意味している。これは従来の計測が時定数(積分)エラーを生じている事をも意味している。さらに前記空間誤差も生じていない事が判る。
すなわち、これは(相対)速度が存在する物質間でのスカラー、すなわち数、質量、色などの差や比率の計測であり、この複数の群は、ベクトル場を形成しているのである。これが前記の計測と後記の計測の違いとなる。 前記の従来計測は、繰り返しにおける同じ位置(同じ位置で計測できる保証は無い。)でのスカラー変換量の差や比率などである。後者の本計測は、ベクトル場での空間的位置検索の後のスカラー量の差や比率などである。(もちろんベクトル情報も計測対象としてもよい。)
別の言い方をすれば、前記の計測は、同じ位置での時間を隔てての計測であるが、後記の計測は、同じ時間での違う位置での計測となる場合が多い。前記は、スカラー場でも良く、また実際にはスカラー場の場合が多い。
さらに具体的には、これを観測位置(x、y、z)や(Xθ、Yθ、Zθ)など、またはその組み合わせの座標系にて表現し、群(複数の固体)を検索し、そのスカラーの差や比率を求めれば良いのである。
具体的には、白血球の劣化時定数を使用し以下の関係を導き前述のごとく同一時間での観察におて2つの時間での計測と同等の計測を実現した。
すなわち、ある時間tに計測する事を考える。 まず使用する時系列を提示する。
時系列αと時系列β
ここでt2 = τ2、t1 = τ1である何らかのタイムスケールτ2とτ1を定義する。
すると観測時系列t2−t1に対してt2−t1 = τ2−τ1という時間関係が成立する。
ここで、この時間関係であるt2−t1 = τ2−τ1とすると
t2 + τ1 = t1 +τ2 という関係が成立し、
t2 + τ1 = t1 +τ2=t となる時間tを設定する。
ここから
t=t1 + τ2 ( t1 = t - τ2 )
t=t2 + τ1 ( t2 = t - τ1 )
という時間関係が得られ、
t1 = t −τ2 と t2 = t − τ1 の時系列α となる。
ここで、t2 − t1の相対的時間関係は、( t − τ1 )−( t − τ2 )で、
tには無関係なτ2 −τ1となる。
一方
t1 - τ1 = t2 - τ2 という関係も成立し、
t1 - τ1 = t2 - τ2 =t という時間tを設定する。 この式においてt=0である。
t=t1 - τ1 ( t1 = t + τ1 )
t=t2 - τ2 ( t2 = t + τ2 )
という時間関係が得られ、
t1 = t + τ1 と t2 = t + τ2 の時系列βとを導き出せる。
ここでも、t2 − t1の相対的時間関係は、( t +τ2 )−( t +τ1 )で、
tには無関係なτ2 −τ1となる。
そして、
時系列αと時系列βにおける2つの時系列は、数学的には等価であるが、生物学的には相違がある。すなわち、前記の時系列αは、観測時刻tが現在なら、過去のできごとを表現しており、βは、未来の出来事を表現しているからである。よって本研究においては、αの時系列を使用する。さらに時系列αは、マクロモデル2(||)の旧好中球数式との整合も良い。

そして時系列αにおいて、
f(t−τ1) + ε(t)において、時間項 t2 = t − τ1
f(t−τ2) + ε(t)において、時間項 t1 = t −τ2
となるタイムスケールτ2とτ1を計測できれば良いことになる。
これは、同じ時刻に違う時間での物理量を計測するのに等価であることがわかる。
そして、τ1とτ2という時間の変化すなわちタイムスケールがその物体に刻まれていれば良いことになる。この刻まれたタイムスケールを観測し、それをτ1とτ2に代入すればよいことになる。
f(t−τ1) + ε(t) − ( f(t−τ2) + ε(t) ) =
f(t−τ1) − f(t−τ2)=
f(t2)−f(t1)
ここで、2回の計測が1回にて終了するのと、溶媒などに起因する誤差ε(t)の影響を受けない事がわかる。すなわち前記計測誤差1、2をキャンセルする。
ちなみに時系列βでは、
f(t + τ2 ) + ε(t) − ( f(t + τ1 ) + ε(t) ) =
f(t2)−f(t1)
ここでt=0の時、時間が無い空間、時間に制約されない空間では、
f(τ2 ) − f( τ1 )=
f(t2)−f(t1)
となる。
これは、時系列βにおけるt=0の時、または、tをフリーズした、消去したともいえる。α時系列への同期には、前述の変換式を挿入し使用する。

そして前述の時系列αにおける
f(t−τ1) + ε(t)において、時間項 t2 = t − τ1
f(t−τ2) + ε(t)において、時間項 t1 = t −τ2
について、ここで実際の現象に当てはめてみると
歯周炎への応用(歯周ポケット内での炎症、免疫応答の計測への応用)
歯周炎の程度、速度、開始、治癒、活動期、休止期などを好中球の数で定量する事を課題として取り上げる。そして歯周炎のバーストポイント直下における好中球の数を前記のf(0)とし、そしてこのf(t)を、あるBurstPointからの時間tにおける好中球の数を数える関数として定義する。(パラメータは、後述する。)(Fig1)(f(1)は、BP直上)
そしてτを好中球の劣化時定数として計測しておく。ここではτ1=0すなわちポケット内へ浸潤したての新好中球の劣化時定数、τ2が好中球の寿命の劣化時定数となど設定する。さらに細かに時定数を設定したり、他のタイムスケールを利用してもよい。
そしてBPから浸潤、分泌したての好中球を観測する。その最も新しい好中球数がf(t−τ1)となる。一方劣化した好中球を検索し、その数f(t−τ2)を計測する。この数の差が炎症の推移、速度、酷さといった量となる、またこの値が+なら炎症が上り調子であり、−なら下り調子といえる。さらに0なら持続的感染となる。そしてこれら新好中球を有している集団は、活動期を示唆している。ここでは、NewLeukocyte1個とOldLeukocyte0個を含む新好中球1つ以上の白血球集団をLeukocyto groupとして定義した。ここで炎症の程度でn数を増加させたLGx番号を付与して使用すると便利である。(x≧1正の整数)すなわち現在最も炎症のひどい状態を表現するLGxは、LG1となる。(Supplementary Fig1)
ここで本方法は、n回分の計測を一回で終了させている事に気がつく、これは、前記のごとく計測誤差1のキャンセルが可能という事である。言い換えるとフリーズした時での計測と言え、速度におけるΔtが実空間での観測系と数式上の理論とが完全に実現された事になる。さらに時系列ストリームは、母集団として捉えることが可能といる事も示唆している。これらは、解析学的、数学的および統計学的に完全なモデルを指ししめしていると考えられる。
そしてLG法では、溶媒の影響を受けないので前記計測誤差2をキャンセルする。
さらに溶媒の影響を受ける従来の計測法よりGainが非常に大きい事がわかる。
さらにまた本方法は、前記2回以上の計測問題における計測位置(サンプリング位置)における各計測毎の計測位置のズレを完全に消し去ることをも意味している。前記計測誤差3のキャンセルである。
そして重要な点は、LGの性質に属する好中球などのある時間(劣化時間τなど)における被計測物の量は、tnなど個々の時系列に対応する絶対値として採用できるという事である。さらにこの値f(τn)などは、f(tn)単体の絶対的な値の提供だけでなく、前記誤差に影響されない値を提供してくれるのである。すなわち一例として、LGにおける新好中球数(存在)は、現在の炎症(量)、免疫応答(量)を精度よく示しているのである。なぜならf(tn)は、個々に独立した計測行為で誤差ε(t)などが付随し誤差分離が非常に困難または不可能な計測を意味するが、f(τn)の場合は、母集団に相当する時系列ストリームの1要素として計測できるからそれら誤差の影響を殆ど受けないのである。ただ注意しないといけないのは、ベクトル場をなるべく保存した状態でのサンプリングを心がけなければならないと言うことである。(Fig1)(Supplementary Fig1 )(Supplementary NoteS1,S2&S3 and Supplementary Fig1,Fig2&Fig3 )
さらに新旧好中球数が0なら治癒であるし、またOld Leukocyteのみの観察では、休止期を示唆している。ここで、Old LeukocyteのみをLeukocyto group0としてもよい。
つまりベクトル場での観測では、τ1とτ2の時間の差分だけ、相対速度が0でないので、迷走してまた元の位置に戻る場もあるだろうが観測位置がずれるのである。
そしてこの前記Leukocytoの分布群の各群をLeukocyto groupと定義する。すなわち、浸潤、分泌された最も新しい好中球を顕微鏡下で検索する。そしてこれを中心(核)として座標系を与え、その周囲に分布する劣化した旧好中球を観察、計測することにより上記定量化計測が達成されるのである。これは、BurstPointの証拠でもある。ここで、程度の大きなLeukocyto groupは、核にクラスター化した白血球(主に好中球)を観察する。
話を元にもどし今、好中球に着目してみると、(ここではスカラーを取り出し説明する。)
ポケット内に浸潤した好中球は、時間とともに劣化してゆきついには、残骸化してゆく。
この劣化時定数τnによる好中球の時間スケールは、前述の
f(t−τ1) + ε(t)において、時間項 t2 = t − τ1
f(t−τ2) + ε(t)において、時間項 t1 = t −τ2
の一例となるのである。
さらに具体的には、
f(t)は、ある時間に浸潤、分泌したての好中球数。(Burst Point)
さらに具体的にはf(t)のパラメータは(τグループの時系列G1を使用して)(Supplementary TableS1)
f(t)=∫v dt 区間は、tn-1 から tn または、 f(t)=g( t )−g( t−Δt ) などである。
τnは、τn時間だけ劣化した好中球の劣化時定数を採用する。 ( n=1,2,3,...m mは、正の整数。)
t1は、t1時間にバーストポイントから浸潤、分泌したての好中球に対応。
t2は、t2時間にバーストポイントから浸潤、分泌したて好中球に対応。
f( t−τ1)は、ポケット内に浸潤し、τ1時間劣化した好中球(数)に対応。NewLeukocyte
f( t−τ2)は、ポケット内に浸潤し、τ2時間劣化した好中球(数)に対応。OldLeukocyte
そしてスカラー演算において、
f(t−τ1) + ε(t) − f(t−τ2) + ε(t) =
f(t−τ1) − f(t−τ2)=
f(t2)−f(t1)
となりt2 − t1時間における浸潤、分泌された好中球の数となる。そして誤差項ε(t)にも影響されないことがわかる。これは、従来法では未解決の濃度誤差の解消を含んでいる。(Supplementary NoteS1)
いっぽう、ベクトル場での空間的な数と位置とを予測してみると
f(t−τ1)は、ある時刻tにおける劣化度合いτ1の好中球数(τ1群,τ1group)である。そして
f(t−τ2)は、ある時刻tにおける劣化度合いτ2の好中球数(τ2群,τ2group)である。(Fig1 and Supplementary Fig3 )
そして各々(の群)の位置は、好中球の浸潤速度において計算予測するか、または、浸潤個数速さまたは浸潤体積速さと拘束条件であるポケット形態にて計算予測される位置だけ程度離れている。 (Fig1, Supplementary NoteS3 and Supplementary Fig2, Fig3 )τgroup、拘束条件へ
この2つ以上のグループの好中球の数(スカラー)の差が、t2 − t1 時間における浸潤、分泌された好中球の数となる。 さらに重要な事は、このようなτ時系列ストリームからなる性質の群における個々の要素f(τn)、τnなどは、その絶対値f(τn)にも有用な意味を持つと言うことである。すなわち母集団が明確な集団の1個とみなせるので、LGのLeukocyte数f(τn)などは、炎症の程度を精度良く表現できる絶対値をなすのである。
さらにこの結果は、顕微鏡を使用した観察手段を採用した場合、溶媒が0であるので試料の厚みの影響を受けないことがわかる。 すなわち毎回の顕微鏡検査において試料厚みを計測しなくても定量計測が可能という事をも示している。など数多くの利点を有している事が理解できる。
劣化時定数について
前述のごとく、この計測のシステムにおいては、必ず劣化時定数もしくはタイムスケールを計測する必要がある事が理解できる。このタイムスケールτは、
1 形態的特徴(1顆粒の運動、2核の変性やバースト、3細胞質のバーストなど)
2 活性酸素などの蛍光
3 ファゴサイト時定数(ジスロマックを始めとしたマクロライド系抗生剤の白血球内外における化学構造の変化による時定数 構造確認)
4 生物時計
5 DNA、RNA
6 タンパク質
7 糖
8 脂質、リン脂質
などやそれらの代謝、反応、劣化などから計測、算出できるであろう事が予測されるが、
ここでは、前述1の形態的特徴において、顆粒の運動が見られる好中球(新好中球)の劣化時定数をτ1、見られない物(寿命のつきた好中球、すなわち旧好中球)の劣化時定数をτ2とした。さらに細胞膜などの破壊程度などの別のタイムスケールにてτ3を挿入して、さらに精度を上げても良い。 一例として、計測例を開示すると、(α時系列) Material&Method(Supplementary Note S4 and Supplementary Data )
Fig2において、f(t-τ1)は、NewLeukocyte数、f(t-τ2)は、OldLeukocyte数で、
現在の炎症量 過去の炎症量 炎症の推移、速度、酷さ
f(τ2) f(τ1)
f(t-τ1) f(t-τ2) f(t2)−f(t1) = f(t-τ1) - f(t-τ2)
LG1 1 0 1 個
LG2左 1 6 −5 個
LG2右 3 3 0 個
LG3 5 20 −15 個
LG4 62 4 58 個
となり
現在t2における炎症の量をf(τ2)によりミクロ診断として定量計測でき、 t2とt1時間での差と等価なスカラー量であるf(τ2) − f(τ1)、すなわち炎症の推移、速度、リスクをミクロ診断として定量計測できる。この量だけでも歯周病という、その病態の多くがロングスパンの病気に対しての診断精度レベルには、到達していると思われる。もちろんさらに精度を上げて行く事は、炎症や免疫の実験場としての活用頻度を拡大するのに大きく寄与するのは言うまでもない。
ここで、LG2の左の画像では、劣化時定数を3段階にて評価できる。
Old1 1個 Old2 2個 Old3 3個となり劣化時定数大の好中球ほど数が多い。
さらに旧好中球の数が新好中球の数より非常に多いLG3においては、旧好中球をさらにもう一つ以上時分割しないといけないのがわかるなど、精度を上げるのには大きな価値があるが、臨床的には、Fig3 のLeukocyte Chartとして移行分類できる精度は有していると考えられる。これらのChartの各段階での対応症例がFig2である。
さしあたりこのChartにて歯周病の発症、治癒、休止期、活動期を確定診断できる。
さらに将来的にはτの精度化または、別のタイムスケールの発見により、より精度が上昇するとともに、歯周ポケットという無侵襲での免疫、炎症実験場が与えられた事に意義があると考えられる。 すなわちこの様に新好中球を基準核としたLeukocyto group内において、各劣化時定数τにより分類された好中球の分布から前記定量が行える。(ここで位相差顕微鏡は、SI記載の規格化顕微鏡を使用する事を強く推薦する。なぜなら全世界的に共通の値で論じたいからであり、何年もの臨床の積み重ねにおいて、Sビデオという広く世界に広まっているアナログ伝送系における最良の視野分解能比を確保していると考えるからである。)
また計測された最も密度の大きなLeukocyto group内のNew Leukocyte中心核をLocalなBPとして、これを基準として得られた座標系におけるLeukocyto group内分布において好中球の変動を読みとる。(この最も密度の大きなLeukocyto groupを代表値として取り扱うこの操作は、毎回の計測における測定位置のズレや、測定物の攪乱などのベクトル場のサンプリング時における場の乱れ、等に対しての誤差をキャンセルする効果がある。)
そしてこの計測は、最低2個の好中球があれば可能である。数多く存在すれば、同一時刻に、さらに多くの時間軸での変動を予測できるわけである。そして好中球に相関のある酵素、炎症程度、組織破壊などの量は、同様に予測したり、算出することができることを表現している。 すなわちタイムスケールを計測できる物質または、タイムスケールを有する物質であれば、どのような物質でもよい。これは見方を換えると、タイムスケールを計測しないか、またはできない物質(計測時定数より遅すぎる物質を含む。)の計測は、大きな誤差を含んだ計測になることを意味している。とくに歯周ポケットのような容量性場の場合は、顕著である。いったい我々は何を計測していたのだろうかと思えるほどである。
まとめ
以上の結果歯周ポケットは、歯周病の確定診断はもとよりinflammation & immune response experimental fieldを提供する事が可能である事を強く示唆するものである。これは、ある無菌動物の歯周ポケットを利用すれば、容易に実現できるであろう。一例をあげれば、好中球浸潤に及ぼすサイトカインの量を証明する手段として使用できると予測される。一般にin vivoにおける好中球の浸潤証明方法においては、注射や手術による侵襲を与えており、その侵襲により炎症を生じ好中球の分泌促進、サイトカインの分泌促進などを生じるなどの誤差を生じる。歯周ポケットでの実験は、この侵襲による誤差を伴うことがなくin vitro実験に匹敵する精度を発揮すると考えられる。またさらに浸潤の過度現象を連続的に見たいときは、歯周ポケットでの実験がうってつけである。そしてその定量方法の一つが、前記のLeukocyto groupの検索とLeukocyto group内での各劣化時定数τによる分布計測なのである。これは、一例としてCD4にたいするHIVウイルスの実験にも使用ができると思われる。また他の一例としてガンと炎症との関わり合いを調査するのにも使用できそうである。



【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】白血球計測装置の一例。 必要に応じて表示手段などを採用する。 入力データとして主に顕微鏡画像を使用する。
【図2】歯周組織、歯周ポケットにおける炎症、免疫、感染などのモデル図。 白血球浸潤モデルの一例でもある。
【図3】図2モデルの簡略モデルにおけるバーストポイント(Burst Point)の説明一例。
【図4】ミクロモデルとマクロモデルの説明一例。 バーストポイント(Burst Point)の説明一例でもある。
【図5】ベクトル場サンプリングの一例。(連円探針による)
【図6】ベクトル場サンプリングの一例。(微小パイプ手段を一部に採用したサンプリング一例)、ミクロモデルとマクロモデルのさらなる説明一例でもある。
【図7】Leukocyto groupの分析一例。Supplementary Fig1にも対応
【図8】白血球計測装置の一例。 これにより歯周炎の発症、治癒、活動期、休止期、休止方向、活動方向、悪化傾向、減少傾向、治癒傾向などが計測できる。
【図9】Leukocyte Chartの一例。活動期、休止期、治癒、発症が判る。Fig3に対応白血球計測装置において使用する座標系の一例。LG1とその横の休止期におけるOldLeukocyteは、マクロモデルタイプ1に相当LG2とその横の休止期におけるOldLeukocyteは、マクロモデルタイプ1,2に相当LG3とその横の休止期におけるOldLeukocyteは、マクロモデルタイプ2,3、4に相当LG4とその横の休止期におけるOldLeukocyteは、マクロモデルタイプ5に相当タイプ1,2,3,4,5は、本来ローマ数字表記
【図10】新好中球検出画像一例。圧縮してあるのでみにくい。
【図11】白血球計測装置における観察画像の一例。Fig2にも対応LG1,LG2,LG3,LG4
【図12】ベクトル場サンプリング手段の一例。(微小)パイプ手段を使用した一例。
【図13】Fig1に対応
【図14】Supplementary Notes S1に対応
【図15】Supplementary Notes S2に対応
【図16】Supplementary Notes S3に対応
【図17】Supplementary Notes S4に対応
【図18】Supplementary Table S1に対応
【図19】Supplementary Table S2に対応
【図20】Supplementary Fig2に対応
【図21】Supplementary Fig3に対応
【図22】τグループの位置、範囲、ベクトル場
【図23】LG内での速度と将来の予測1
【図24】LG内での速度と将来の予測2
【図25】t=5の時の図
【図26】τグループ 離散表示
【図27】比率による評価
【図28】複合母集団と母集団と、時系列ストリームと時間依存性集合体

【特許請求の範囲】
【請求項1】

白血球計測装置は、新好中球検索手段を備えることを特徴とする白血球計測装置、方法。
【請求項2】

白血球計測装置は、Leukocyto Group分析手段を備えることを特徴とする白血球計測装置、方法。
【請求項3】

白血球計測装置は、旧好中球検索手段を備えることを特徴とする白血球計測装置、方法。
【請求項4】

白血球計測装置は、ベクトル場サンプリング手段を備えることを特徴とする白血球計測装置、方法。
【請求項5】

請求項4のベクトル場サンプリング手段は、パイプ手段を採用する事を特徴とする。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−69139(P2009−69139A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−8570(P2008−8570)
【出願日】平成20年1月18日(2008.1.18)
【出願人】(302008858)有限会社 ミクロデント (28)
【Fターム(参考)】