説明

白金溶接構造および方法

【課題】 酸化物分散強化型貴金属からなる二片を互いに溶接してなる溶接物において、溶接接合部を強化する。
【解決手段】 第1の酸化物分散強化型白金または白金合金部分101および第2の酸化物分散強化型白金または白金合金部分103を提供する。溶接棒201として白金含有溶接材料を提供する。白金含有溶接材料により、第1の白金または白金合金部分101を第2の白金または白金合金部分103に溶接する。この溶接工程において、第1と第2の部分101,103よりも高いレベルで、Zr、ZrO2およびロジウムからなる群より選択される成分を少なくとも1種類含む白金または白金合金溶接ビード205を形成する。溶接ビード205が、第1と第2の部分101,103よりも高いレベルでZrO2を含むことが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶接構造および方法に関し、より詳しくは、酸化物分散強化型白金および/または白金合金溶接構造および方法を含む、酸化物分散強化型貴金属溶接構造および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
酸化物分散強化型貴金属からなる二片を互いに溶接することが知られている。例えば、Pt−10RhなどのPt−Rh族の合金が、白金溶接構造を形成するために互いに溶接されることが知られている。酸化物分散強化型材料の場合、そのような構造の溶接接合部は、基材よりも弱い傾向にある。そのような白金溶接構造は、高温用途に使用されることが知られている。例えば、そのような溶接構造は、フュージョン・ドロー・ガラス製造システムの構成部材などの、ガラス溶融、供給および成形システムにおいてガラス溶融物と接触する構成部材(例えば、接続管、撹拌機構など)から構成されるであろう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
以下は、発明を実施するための形態に記載されたいくつかの例示の態様を基本的に理解できるように、開示の簡単な概要を提示するものである。
【0004】
貴金属の溶接接合部は、形成された溶接接合部の組成を変えるために溶接材料中に1種類以上の添加剤を含ませることによって強化される。より詳しくは、増加したレベルのZrO2および/またはロジウムを含有する溶接接合部は、クリープ破断特性を含む増加した強度の溶接接合部を提供する。このZrO2レベルは、溶接接合部中のZrO2レベルを最初に増加させ、溶接接合部を酸化アニールなどにより処理して、ZrをZrO2に転化することによって、増加させてもよい。
【0005】
一例において、第1の酸化物分散強化型白金または白金合金部分および第1の白金または白金合金部分に溶接された、第2の酸化物分散強化型白金または白金合金部分を備えた白金溶接構造が提供される。第1と第2の部分の白金合金は、同じ組成のものであっても、異なる組成のものであってもよい。第2の部分は、白金または白金合金溶接ビードを含む溶接接合部により第1の部分に溶接されている。溶接ビードは、第1と第2の部分よりも高いレベルで、Zr、ZrO2およびロジウムからなる群より選択される成分を少なくとも1種類さらに含んでいる。
【0006】
白金溶接構造を製造する方法も提供される。上述したように、ZrO2および/またはロジウムの少なくとも一方を、接合すべき部分に含まれるそのような成分のレベルまたは量と比べて、増加したレベルで含有する溶接接合部または溶接ビードによって接合された酸化物分散強化型白金または白金合金部分の溶接物が提供されるであろう。ZrO2レベルは、溶接材料中に含まれるZrをZrO2に転化することによって、または溶接接合部中のZrレベルを最初に増加させ、溶接接合部を、酸化アニーリングなどにより処理して、ZrをZrO2に転化することによって、溶接プロセス自体の最中に増加させてもよい。先の方法において、クリープ破断強さを含む溶接の強さは、ZrO2および/またはロジウムの、接合すべき部分およびそのような部分の材料の溶接充填剤から形成される溶接接合部中のそのような成分のレベルまたは量と比べて増加したレベルによって増大させられる。
【0007】
本発明のいくつかの態様がここに開示される。これらの態様は、互いに重複してもしなくてもよいことが理解されよう。それゆえ、ある態様の部分が、別の態様の範囲内に含まれてもよく、その逆もまた同様である。文脈にそうではないと記載されていない限り、異なる態様は、範囲において互いに重複するものと考えてよい。
【0008】
各態様は、数多くの実施の形態により例証され、それらの実施の形態は、転じて、1つ以上の特別な実施の形態を含み得る。その実施の形態は、互いに重複してもしなくてもよいことが理解されよう。それゆえ、1つの実施の形態の一部、またはその特別な実施の形態は、別の実施の形態、またはその特定の実施の形態の範囲内に含まれても含まれなくてもよく、その逆も同様である。文脈にそうではないと記載されていない限り、異なる実施の形態は、範囲において互いに重複するものと考えてよい。
【0009】
それゆえ、第1の態様によれば、白金溶接構造は、(i)第1の酸化物分散強化型白金または白金合金部分;および(ii)白金または白金合金溶接ビードを含む溶接接合部によって、第1の白金または白金合金部分に溶接された第2の酸化物分散強化型白金または白金合金部分を有してなり、その溶接ビードが、第1と第2の部分よりも高いレベルでZr、ZrO2およびロジウムからなる群より選択される成分を少なくとも1種類さらに含んでいる。
【0010】
第1の態様のある実施の形態において、溶接ビードは、第1と第2の部分よりも高いレベルでZrO2を含む。
【0011】
第1の態様のある実施の形態において、溶接ビードは、約0.1質量%から約1質量%のZrO2を含む。
【0012】
第1の態様のある実施の形態において、溶接ビードは、約0.2質量%から約1質量%のZrO2を含む。
【0013】
第1の態様のある実施の形態において、溶接ビードは、酸化物分散安定化白金合金を含む。
【0014】
第1の態様のある実施の形態において、溶接ビードの白金合金は、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、および金からなる群より選択される元素を少なくとも1種類含む。
【0015】
第1の態様のある実施の形態において、溶接ビードの白金合金は、第3の白金−ロジウム合金を含む。
【0016】
第1の態様のある実施の形態において、第3の白金−ロジウム合金は、少なくとも約1:1の白金対ロジウムの質量比を有する。
【0017】
第1の態様のある実施の形態において、第3の白金−ロジウム合金は、少なくとも約4:1の白金対ロジウムの質量比を有する。
【0018】
第1の態様のある実施の形態において、第3の白金−ロジウム合金は、少なくとも約9:1の白金対ロジウムの質量比を有する。
【0019】
第1の態様のある実施の形態において、第3の白金−ロジウム合金は、第1の酸化物分散強化型白金または白金合金部分および第2の酸化物分散強化型白金または白金合金部分よりも、高いパーセントでロジウムを含む。
【0020】
第1の態様のある実施の形態において、第1の白金または白金合金部分および第2の白金または白金合金部分の内の少なくとも一方は、白金−ロジウム合金を含む。
【0021】
本発明の第2の態様は、白金溶接構造を製造する方法において、(A)第1の酸化物分散強化型白金または白金合金部分および第2の酸化物分散強化型白金または白金合金部分を提供する工程、(B)白金含有溶接材料を提供する工程、および(C)この白金含有溶接材料により、第1の白金または白金合金部分を第2の白金または白金合金部分に溶接する工程であって、第1と第2の部分よりも高いレベルで、Zr、ZrO2およびロジウムからなる群より選択される成分を少なくとも1種類含む、白金または白金合金溶接ビードを形成する工程を含む工程を有してなる方法に関する。
【0022】
第2の態様のある実施の形態において、溶接ビードは、第1と第2の部分よりも高いレベルでZrO2を含む。
【0023】
第2の態様のある実施の形態において、溶接ビードは、約0.1質量%から約1質量%のZrO2を含む。
【0024】
第2の態様のある実施の形態において、溶接ビードは、約0.2質量%から約1質量%のZrO2を含む。
【0025】
第2の態様のある実施の形態において、溶接ビードは、酸化物分散安定化白金合金を含む。
【0026】
第2の態様のある実施の形態において、溶接ビードの第3の白金合金は、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、および金からなる群より選択される元素を少なくとも1種類含む。
【0027】
第2の態様のある実施の形態において、第3の白金−ロジウム合金は、少なくとも約1:1の白金対ロジウムの質量比を有する。
【0028】
第2の態様のある実施の形態において、少なくとも1種類の成分はZrであり、溶接ビード中のZrO2レベルが第1と第2の部分におけるよりも大きくなるようにこのZrの少なくとも一部をZrO2に転化させる工程をさらに含む。
【0029】
第2の態様のある実施の形態において、第3の白金−ロジウム合金は、第1の酸化物分散強化型白金または白金合金部分および第2の酸化物分散強化型白金または白金合金部分よりも、高いパーセントでロジウムを含む。
【0030】
第2の態様のある実施の形態において、溶接工程において、溶接材料は、ZrO2のZrへの還元を防ぐために、酸化雰囲気中に保持される。
【0031】
これらと他の態様は、添付の図面を参照して以下の発明を実施するための形態を読んだときに、よりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明にしたがって互いに溶接すべき第1と第2の酸化物分散強化型白金または白金合金部分の一例の平面図
【図2】溶接棒および溶接トーチにより部分的に溶接されている部分を示す、図1に似た平面図
【図3】溶接前の互いに接触して配置されている部分を示す、図2の線3−3に沿った断面図
【図4】2つの部分を接合するために溶接棒および溶接トーチによって形成されている溶接接合部を示す、図2の線4−4に沿った断面図
【図5】白金または白金合金溶接ビードを含む、本発明のある実施の形態による溶接接合部により互いに完全に溶接された部分を示す平面図
【図6】溶接されていないシート素材および異なる溶接充填剤により溶接されたシート素材のクリープ破断データを示すグラフ
【図7】異なる溶接充填剤により溶接されたシート素材の寿命予測を示すグラフ
【発明を実施するための形態】
【0033】
ここで、例示の実施の形態が示された添付の図面を参照して、実施例を以下により詳しく説明する。可能な限り、同じまたは同様の部品を称するために、図面に亘り同じ参照番号が使用されている。しかしながら、態様は、多くの異なる形態で実現してよく、ここに述べられた実施の形態に制限されるものと解釈すべきではない。
【0034】
白金溶接構造または溶接物は、様々な酸化物分散強化型白金または白金合金部分により形成されるであろう。そのような白金溶接構造は、ガラス溶融、供給、取扱い、状態調節および成形システムの構成部材などの様々な高温用途に使用してよい。そのような用途において、白金溶接構造としては、フュージョン・ドロー・ガラス成形プロセスにまたはそのために使用されるものなどの、撹拌機構、接続管、取付部品またはガラス溶融、供給、状態調節、取扱い成形システムの他の構成部材が挙げられる。
【0035】
第1と第2の酸化物分散強化型白金または白金合金部分101,103を有してなるそのような構造の例が図1に示されている。図のように、第1の部分101は第1の溶接エッジ105を備え、第2の部分103は第2の溶接エッジ107を備えている。第1と第2の部分101,103は、同じまたは異なる組成を有していてよい。例えば、酸化物分散強化型部分101,103は、各々が、白金、同じまたは異なる白金合金もしくはそれらの組合せから形成されていてよい。第1と第2の部分101,103の内の少なくとも一方は、酸化物分散強化型白金−ロジウムを含んでよい。例示の酸化物分散強化型白金−ロジウム合金としては、Pt−10RhおよびPt−20Rhが挙げられる。
【0036】
図1に示すように、第1と第2の部分101,103は、矢印の方向に互いに向かって動かされる。次いで、図3に示すように、第1の部分101の第1の溶接エッジ105が第2の部分103の第2の溶接エッジ107と接触させられる。第1の部分101を第2の部分103に効果的に溶接するために、第1と第2の溶接エッジ105,107は、互いに対して密接に配置され、例えば、互いに接触させられ、それらの間に溶接接合部を形成するための区域を提供してよい。図のように、第1の溶接エッジ105および第2の溶接エッジ107は、溶接接合部が形成される空間301を形成するために、テーパー状にすることもできる。
【0037】
本発明のある実施の形態によれば、溶接棒201は、第1と第2の部分より高いレベルで、Zr、ZrO2および/またはRhからなる群より選択される成分を少なくとも1種類含む添加剤を含む白金含有溶接材料から形成されている。溶接中、溶接材料中のZrは、利用できる酸素によりZrO2を形成する。これにより得られた溶接ビードまたは接合部は、第1と第2の部分よりも高いレベルでZrO2および/またはRhを含有する。また、上述したように、溶接ビードは高レベルのZrを含有していてよく、これは、酸化アニーリングなどのその後の加工処理によって、少なくとも一部はZrO2に転化される。したがって、溶接棒または充填剤は、増加したクリープ破断抵抗を含む増加した強さを有する溶接接合部を形成するのに十分な量でZr、ZrO2および/またはRhを含む。
【0038】
白金含有溶接材料の例としては、酸化物分散安定化白金合金が挙げられる。この酸化物分散安定化白金合金は、約0.2質量%から約2質量%のZrO2、または約0.4質量%から約2質量%のZrO2を含有してよい。ZrO2の上限は、溶接材料の製造適性および溶接構造の形状要件により決定される。白金含有溶接材料は白金合金溶接材料であってよい。白金合金溶接材料は、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、金などの他の金属を含んでもよい。一例において、白金合金溶接材料は白金−ロジウム合金である。白金−ロジウム合金溶接材料中のロジウムのパーセントは、40質量%より高くてよいが、約10質量%から約40質量%までの範囲内にあってもよい。
【0039】
図4に示すように、溶接棒201が、第1と第2の溶接エッジ105,107を一緒に配置することによって形成された空間301に隣接して配置されている。トーチ203および溶接棒201を使用して、部分101,103が互いにトーチ溶接されて、溶接ビード205が形成される。この溶接方法は、TIG溶接などの任意の標準的な溶接方法を含み、鍛接などの特別な溶接方法は必要ない。
【0040】
上述した溶接方法を使用することによって、図5に示すように、白金溶接構造501が形成される。この白金溶接構造501は、第1の酸化物分散強化型白金または白金合金部分101、第2の酸化物分散強化型白金または白金合金部分103、および溶接接合部503を有してなる。この溶接接合部503は溶接ビード205を含んでいる。
【0041】
溶接棒201およびその中の特定の添加剤の組成にしたがって、溶接ビード205は、第1と第2の部分101,103よりも高いレベルでZrO2および/またはRhを含有し、Rhについては約0.4質量%から50質量%までである。一例において、溶接ビード205は、第1と第2の部分101,103よりも高いレベルでZrO2を含む。別の例において、溶接ビード205は、約0.1質量%から約1質量%のZrO2、または約0.2質量%から約1質量%のZrO2を含む。溶接ビード中の増加したレベルのZrO2のために、溶接接合部の機械的性能が向上する。より高いレベルのZrおよび/またはZrO2を有する溶接材料は、溶接ビード205中のより高いZrO2の残留レベルを提供し、このことは、溶接ビード205の改善されたクリープ挙動に寄与する。あるいは、溶接ビード205は、第1と第2の部分よりも高いレベルで、約50質量%までロジウムを含んでよい。一例において、溶接ビードは、約10質量%から約50質量%まで、より好ましくは約30質量%から約50質量%までのレベルでRhを含有してもよい。溶接ビード205中のより高いロジウムレベルは、溶接ビード205の改善された機械的強さも提供する。一例において、溶接材料はPt−50Rhを含む。
【0042】
溶接ビード205は、酸化物分散安定化白金合金を含んでもよい。溶接ビード205の白金合金は、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、金などの他の金属を含んでもよい。一例において、溶接ビード205の白金合金は、白金−ロジウム合金である。溶接ビード205の白金−ロジウム合金中の白金対ロジウムの比は、少なくとも約1:1、または少なくとも約4:1、または少なくとも約9:1であってよい。
【0043】
図5に示された白金溶接構造501を、1700℃でのASTM E 139様式のクリープ破断試験を使用することによって、機械的強さについて試験する。このクリープ破断試験を使用は、白金溶接構造501上に一定の応力を印加し、白金溶接構造501の破断に必要な、時間で表された期間を測定することによって行われる。
【0044】
試験目的のために、第1と第2の部分101,103を、厚さが0.030インチ(約0.750mm)であり、90質量%の白金、10質量%のロジウムおよび0.16〜0.2質量%のZrO2を含有する組成を有する市販のシート素材から形成した。これらの部分を、表1に報告された以下の組成の溶接棒201を使用して、上述したように溶接した。
【表1】

【0045】
材料1は、製造された材料片として形成された、したがって、同じ組成を有する、溶接棒または充填剤を使用したやり方を示している。材料2は、本発明のある実施の形態によるものであり、溶接ビード205に、第1と第2の部分に含まれるよりも多いZrO2含有量を与える。材料3は、材料1とは異なるプロセスから製造されている。材料3は、溶接後に、材料1より高いレベルのZrO2をもたらすと考えられる。材料3は微量の希土類をさらに含む。
【0046】
材料1〜3を使用して得られた溶接構造にクリープ破断試験を行う。図6はクリープ破断試験の結果を示しており、ここで、x軸は時間で表された期間を示し、y軸はMPaで表された応力を示す。図6に示された三角形のデータ点601により表されるように、溶接されていないシート素材は破断せず、試験を中止した。他方で、図6によれば、材料3で溶接されたシート素材は線607により表され、これは最良の結果を示し、次に、線605により表される材料2、次いで、線603により表される材料1が続く。実際に、材料1と比較した材料2の増加したクリープ破断特徴は、方向609に沿った、線603に対する線605のシフトにより表される。同様に、材料1と比較した材料3の増加したクリープ破断特徴は、方向611に沿った、線603に対する線607のシフトにより表される。溶接材料中のZrO2の量が0.16〜0.2質量%から0.4質量%に増加したときに、クリープ破断特徴が、MPaで表された同じ応力下で劇的に改善することが図6から明らかである。
【0047】
図7は、上述した材料1、2および3の各々を使用して調製したクリープ破断溶接物の寿命予測を示している。x軸はMPaで表された応力を示し、y軸は時間で表された期間を示す。材料1は関数703により表され、材料2は関数705により表され、材料3は関数707により表される。図7に示されるように、寿命クリープ破断性能も、溶接材料中のZrO2のレベルが0.16〜0.2質量%から0.4質量%に増加するにつれて、材料1から材料2へと劇的に改善される。
【0048】
本発明によれば、機械的強さが改善された溶接構造が提供される。改善された機械的強さは、溶接構造をより薄くできることによって、コスト削減の努力に寄与するであろう。例えば、溶接構造の厚さを0.040インチ(約1mm)から0.030インチ(約0.75mm)に減少させることが可能である。
【0049】
請求項に記載された本発明の精神および範囲から逸脱せずに、様々な改変および変更を行えることが当業者には明らかであろう。
【符号の説明】
【0050】
101,103 酸化物分散強化型白金または白金合金部分
105,107 溶接エッジ
201 溶接棒
203 溶接トーチ
205 溶接ビード
501 白金溶接構造
503 溶接接合部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
白金溶接構造において、
第1の酸化物分散強化型白金または白金合金部分、および
白金または白金合金溶接ビードを含む溶接接合部により前記第1の白金または白金合金部分に溶接された第2の酸化物分散強化型白金または白金合金部分であって、前記溶接ビードが、前記第1と第2の部分よりも高いレベルで、Zr、ZrO2およびロジウムからなる群より選択される成分を少なくとも1種類さらに含むものである第2の部分、
を有してなる白金溶接構造。
【請求項2】
前記溶接ビードが、前記第1と第2の部分よりも高いレベルでZrO2を含むことを特徴とする請求項1記載の白金溶接構造。
【請求項3】
前記溶接ビードが約0.1質量%から約1質量%のZrO2を含むことを特徴とする請求項2記載の白金溶接構造。
【請求項4】
前記溶接ビードが第3の酸化物分散安定化白金合金を含むことを特徴とする請求項1または2記載の白金溶接構造。
【請求項5】
白金溶接構造を製造する方法において、
第1の酸化物分散強化型白金または白金合金部分および第2の酸化物分散強化型白金または白金合金部分を提供する工程、
白金含有溶接材料を提供する工程、および
前記白金含有溶接材料により、前記第1の白金または白金合金部分を前記第2の白金または白金合金部分に溶接する工程であって、溶接工程が、前記第1と第2の部分よりも高いレベルで、Zr、ZrO2およびロジウムからなる群より選択される成分を少なくとも1種類含む白金または白金合金溶接ビードを形成する工程を含む工程、
を有してなる方法。
【請求項6】
前記溶接ビードが、前記第1と第2の部分よりも高いレベルでZrO2を含むことを特徴とする請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記溶接ビードが約0.1質量%から約1質量%のZrO2を含むことを特徴とする請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記溶接ビードが酸化物分散安定化白金合金を含むことを特徴とする請求項5または6記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも1種類の成分がZrであり、前記溶接ビード中のZrO2レベルが第1と第2の部分におけるよりも大きくなるように該Zrの少なくとも一部をZrO2に転化させる工程をさらに含むことを特徴とする請求項5または6記載の方法。
【請求項10】
前記溶接工程において、前記溶接材料が、ZrO2のZrへの還元を防ぐために、酸化雰囲気中に保持されることを特徴とする請求項5または6記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−115854(P2011−115854A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−271210(P2010−271210)
【出願日】平成22年12月6日(2010.12.6)
【出願人】(397068274)コーニング インコーポレイテッド (1,222)
【復代理人】
【識別番号】100116540
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 香
【復代理人】
【識別番号】100139723
【弁理士】
【氏名又は名称】樋口 洋
【Fターム(参考)】