皮内薬物注入のための摺動作動式傾斜挿入装置および片持ち梁支持式の衝撃挿入
【課題】より良好な薬物吸収を容易にすることができる注入セットを提供することである。
【解決手段】注入セットは、接着剤で固定されるメインハブと、摺動可能な上蓋と、ニードルハブと、傾斜した、即ち、片持ち梁状に突出した針とを有する。その針は、使用者に対してある快適度を維持しながら皮膚の皮内層内に注射するために、例えば、マントー挿入法に実質的に匹敵する、皮膚表面における上層3mmを正確に狙って皮内用針の挿入を行うために使用可能とされる。その上蓋を摺動させることにより、片持ち梁状に突出した針は、装着され、放出される。複数の可撓性アームおよび接着剤が、挿入部位において、皮膚表面を伸張させ、および/または、平らにし、さもなければ、皮膚の張りを作り出すために使用される間に、即ち、傾斜した針が、挿入部位内に摺動される。
【解決手段】注入セットは、接着剤で固定されるメインハブと、摺動可能な上蓋と、ニードルハブと、傾斜した、即ち、片持ち梁状に突出した針とを有する。その針は、使用者に対してある快適度を維持しながら皮膚の皮内層内に注射するために、例えば、マントー挿入法に実質的に匹敵する、皮膚表面における上層3mmを正確に狙って皮内用針の挿入を行うために使用可能とされる。その上蓋を摺動させることにより、片持ち梁状に突出した針は、装着され、放出される。複数の可撓性アームおよび接着剤が、挿入部位において、皮膚表面を伸張させ、および/または、平らにし、さもなければ、皮膚の張りを作り出すために使用される間に、即ち、傾斜した針が、挿入部位内に摺動される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2010年11月30日に出願した「Angled Inserter For Intradermal Drug Infusion」という名称の、Cole Constantineauらの米国特許仮出願第61/344,968号明細書および2010年11月30日に出願した「Integrated Ballistic Insertion Device For Intradermal Infusion」という名称の、Cole Constantineauらの米国特許仮出願第61/344,969号明細書における米国特許法119(e)条に基く利益を主張するものとし、前記出願両方の全内容は、参照により本明細書の一部を構成する。
【0002】
本発明は、一般に、皮膚の皮内層内に注射するために皮膚表面の上層3mmを正確に狙う皮内の針挿入の実施、たとえば、マントー挿入法を実質的に繰り返すために使用され得る接着剤固定されたメインハブと、摺動可能な上蓋と、ニードルハブおよび傾斜した、即ち、片持ち梁状に突出した針とを含む皮内注入セットに関する。
【背景技術】
【0003】
糖尿病などの病気を患う人を含む多くの人々は、毎日のインスリン注入などのなんらかの形態の注入治療を使用して自らの血糖値の厳密な制御を維持する。毎日のインスリン治療には、2つの主要な形態が、存在する。第1の形態は、注射器およびインスリンペンを含む。これらの装置は、使用が簡単で、比較的低コストであるが、通常は1日あたり3回から4回の各々の注射において針の突き刺しを必要する。第2の形態は、注入ポンプ治療であり、これは、約3年間持続するインスリンポンプの購入を伴う。ポンプの初期コストは、かなりのものになり得るが、使用者の観点から、ポンプを使用した圧倒的多数の患者は、残りの生涯においてポンプを使用し続けることを好む。これは、注入ポンプは、注射器およびペンよりも複雑であるにも関わらず、インスリンの連続注入、正確な投与およびプログラム可能な送出スケジュールという利点を提供するためである。この結果、血糖制御がより厳密になり、健康であるという感覚が向上する。
【0004】
注入ポンプの使用は、インスリンをポンプ内のリザーバから使用者の皮膚に運ぶ、代表的には、注入セットまたはポンプセットと称される使い捨て構成要素の使用を必要とする。注入セットは、通常、ポンプコネクターと、長いチュービング、および注入針またはカニューレがそこから延びるハブ、即ち、基部とからなる。ハブ、即ち、基部は、使用中、基部を皮膚表面上に保持する接着剤を有し、この接着剤は、手動で、または手動式または自動式の挿入装置の助けを借りて皮膚に塗布され得る。
【0005】
現在、ほとんどのインスリン注入セットは、固定された金属針または可撓性のプラスチックカニューレを使用して皮膚の皮下層にインスリンを送出する。そのような注入セットは、通常、インスリンを皮膚表面の4〜10mm下方に送出する。しかし、皮膚表面の上層3mm、すなわち、皮内空間が、より良好な薬物吸収を容易にする。残念なことに、皮内層は比較的薄いのでそのような深さに針を挿入し、注入部位を長時間にわたってこの狭い帯域内に維持することは、困難である。
【0006】
皮内注射を行うための1つの技法は、マントー法である。当業者に知られているように、マントー法は、通常、結核試験を施す際に使用される。熟練した看護師は、最初、親指と人さし指との間で皮膚の選択された領域をピンと張り、次いで、針をゆっくりと、ベベルを上向きにして、皮膚表面に対して5度から15度までの角度で挿入する。看護師は次いで、針を、上皮を通って約3mm前進させ、伸張された皮膚を解放し、薬剤を挿入する。しかし、皮内送出が標準的なマントー法を用いて達成可能である場合でもこの方法は、ばらつきが高く、使用者の手違いの影響を受ける。
【0007】
さらに、ほとんどのインスリン注入セットは、通常、挿入された針を、衝撃力または他の外力から切り離すためのフィーチャを提供していない。これらの注入セットは、通常、インスリンを皮膚表面の4〜10mm下方に送出するためこのセットに対する衝撃力または他の外力が、より深く挿入された針に及ぼす影響は小さい。しかし、皮膚表面の上層3mmを狙う試みがなされる場合、セットのいかなる衝撃または移動も、針の挿入および注入性能に悪影響を及ぼす恐れがある。
【0008】
さらに、ほとんどのインスリンセットは、針挿入中、皮膚表面の「テンティング(tenting)」をもたらし得る挿入装置を有しており、この場合、皮膚表面は、針挿入前またはその間に幾分、撓み、それによって皮膚表面の上層3mmを正確に狙うことが困難になる。
【0009】
したがって、内容物を皮膚表面の上層3mm、すなわち、皮内空間に送出して、使用者に対してある程度の快適性を維持しながら、より良好な薬物吸収を容易にすることができる注入セットに対する必要性が存在している。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の目的は、インスリンまたは他の薬剤を皮膚表面の上層3mm、すなわち皮内空間に送出して、使用者に対してある程度の快適性を維持しながら、より良好な薬物吸収を容易にすることができる注入セットを提供することである。
【0011】
本発明の他の目的は、使用者の動きを介して皮膚表面に対してある角度で針を挿入することができる注入セットであって、使用者の動きの角度は、インスリンまたは他の薬剤を皮膚表面の上層3mmを狙って送出するために挿入された針の角度とは異なる注入セットを提供することである。
【0012】
本発明の他の目的は、針を、ある角度で挿入してマントー挿入法を繰り返し、インスリンまたは他の薬剤を皮膚表面の上層3mmに送出することができる注入セットを提供することである。
【0013】
本発明の他の目的は、針を駆動する片持ち梁を用いて針を挿入し、インスリンまたは他の薬剤を皮膚表面の上層3mmに送出することができる注入セットを提供することである。
【0014】
本発明の他の目的は、皮膚表面のテンティングを大幅に低減しながら針を挿入し、および/または、皮内深さを正確に狙い、インスリンまたは他の薬剤を皮膚表面の上層3mmに送出することができる注入セットを提供することである。
【0015】
本発明の他の目的は、皮膚表面を挿入部位に固定するための皮膚固定接着剤層を有する注入セットであって、それによってセットが、皮膚表面のテンティングのリスクを低減しながら針を挿入し、および/または、皮内深さを正確に狙うことができるようになる注入セットを提供することである。
【0016】
本発明の他の目的は、皮膚固定、接着層、および挿入部位において皮膚表面を固定し、伸張させ、および/または、平らにし、または、セットが、皮膚表面のテンティングのリスクを低減しながら針を挿入し、および/または皮内深さを正確に狙うことができるように挿入部位で、皮膚の張力を作り出すための1つ以上の可撓性の要素を有する注入セットを提供することである。
【0017】
本発明の他の目的は、挿入された針を皮内深さに固定するための1つ以上の可撓性要素を有する注入セットを提供することである。
【0018】
本発明の他の目的は、取り外し式の上蓋を含む例示的な注入セットであって、取り外し式の上蓋は、第1の方向に引かれて針を皮内空間内に角度を付けて挿入して、マントー挿入法を繰り返し、かつインスリンまたは他の薬剤を皮膚表面の上層3mmに送出することができる例示的な注入セットを提供することである。
【0019】
本発明の他の目的は、取り外し式の上蓋を含む注入セットであって、取り外し式の上蓋は、第1の方向に引かれて針を駆動する片持ち梁に負荷をかけることができ、第2の方向に引かれて、次いで針を駆動する片持ち梁を解放し、針を皮内空間内に挿入し、インスリンまたは他の薬剤を皮膚表面の上層3mmに送出することができる注入セットを提供することである。
【0020】
本発明の他の目的は、正常使用中、インスリンまたは他の薬剤を皮膚表面の上層3mmに送出する深さに針を維持することができるように、挿入された針を外力から切り離すことができる注入セットを提供することである。
【0021】
本発明の他の目的は、挿入された針を外力から切り離すための遮断されたニードルハブを含む注入セットを提供することである。
【0022】
本発明の他の目的は、挿入された針を外力から切り離すための蛇行経路の接着部を含む注入セットを提供することである。
【0023】
本発明の他の目的は、挿入された針を外力から切り離すための可撓性のチューブ部を含む注入セットを提供することである。
【0024】
本発明の他の目的は、挿入された針を外力から切り離すための被覆要素を含む注入セットを提供することである。
【0025】
これらおよび他の目的は、インスリンまたは他の薬剤を皮膚の皮内層に注入するために、マントー挿入法を実質的に繰り返す皮内の針挿入を実施するために使用され得る接着固定されたメインハブ、摺動可能な上蓋と、ニードルハブおよび傾斜した針とを有する注入セットを提供することによって実質的に実現される。注入セットは、摺動するニードルハブおよび傾斜した針、ならびに注射部位において、皮膚表面を伸張させ、および/または、平坦化し、または他の形で皮膚の張力を作り出すための1つ以上の接着剤で被覆された可撓性のアームを設けて、マントー法の針挿入を繰り返すことができる。挿入された針の位置は、可撓性アームを後退させて、挿入された針を正しい位置に保持し、摺動可能なニードルハブおよび傾斜した針が正しい位置になった後に後退することを防止することによって維持され得る。メインハブは、蛇行経路の接着剤部、可撓性のチューブ部、および、カバーの1つ以上を用いて注入セットの少なくともバルブハブから分離されて、正常使用中、皮膚表面の上層3mmにインスリンまたは他の薬剤を送出する深さに針を、維持することができるように挿入された針を外力から切り離すことができる。
【0026】
また、これらおよび他の目的は針を駆動する片持ち梁に負荷をかけ次いで解放するための取り外し式の上蓋と、切り離されたニードルハブとを有し、適切に挿入し、挿入された針を皮膚表面の上層3mmにインスリンまたは他の薬剤を送出する深さに維持することを確実にする注入セットを提供することによって実質的に実現される。挿入された針の位置は、片持ち梁に予負荷を与え、正常使用中、皮膚表面の上層3mmにインスリンまたは他の薬剤を送出する深さに針を維持することができるように、蛇行経路の接着剤部、可撓性のチューブ部、およびカバーの1つ以上を用いて針を外力から切り離すことによって維持され得る。
【0027】
本発明の例示的な実施例のさまざまな目的、利点、および新規の特徴は、添付図面と一緒に読むとき、以下の詳細な説明からより容易に理解される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施例に従って、組み立てられた状態にある注入セットの上部の斜視図である。
【図2】本発明の実施例に従って、図1における注入セットの下部の斜視図である。
【図3】本発明の実施例に従って、上蓋の作動、および、分離後の図1における注入セットの上部の斜視図である。
【図4】本発明の実施例に従って図1における注入セットの断面図である。
【図5】本発明の実施例に従って、上蓋の作動、および、分離後の図1における注入セットと、ポンプ用インターフェースコネクターを備えたアッセンブリーとの上部の斜視図である。
【図6】本発明の他の実施例に従って1つ以上の例示的な要素を含むことができる注入セットの斜視図である。
【図7】本発明の実施例に従って図6における注入セットの断面図である。
【図8】本発明の実施例に従って、下カバーから取り外された上蓋および注入セットを示す図6における注入セットの断面図である。
【図9】本発明の実施例に従って、図8における上蓋および注入セットの下部の斜視図である。
【図10】本発明の実施例に従って、上蓋の作動および分離前の図8における上蓋および注入セットの断面図である。
【図11】本発明の実施例に従って、作動し、上蓋の分離後の図8の注入セットの上部斜視図である。
【図12】本発明の実施例に従って、作動し、上蓋の分離後の図11における注入セットの断面図である。
【図13】本発明の実施例に従って、バルブコネクターの取り付け後の図11における注入セットの上部の斜視図である。
【図14】本発明の実施例に従って、使用者の動きによって皮膚表面に対して挿入された針の角度とは異なる使用者の動きの角度で針を挿入することができる動作、および、例示的な注入セットを示す図である。
【0029】
その図面を通じて、同じ参照数字は、同じ部品、構成要素、および構造を意味するということである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下で説明する本発明の複数の例示的な実施例は、使用者の動きにより皮膚表面に対して挿入された針の角度とは異なる使用者の動きの角度で皮内の針挿入を行う新規の手段をもたらす。そのような挿入は、皮膚表面における上層3mmを正確に狙うことができ、マントー挿入法に実質的に匹敵することができ、インスリンを標準的なインスリンポンプにより皮膚の皮内層に送出することができる。たとえば、図14は、本発明の実施例に従って挿入された針の角度とは異なる皮膚表面に対する角度で、使用者の動きによって針を挿入するために使用可能とされる動き、および、例示的な注入セットの図である。図(a)は、使用前の自由状態で注入装置を示しており、図(b)は、皮膚表面に固定された時、その装置を示しており、図(c)は、本発明の実施例に従って、挿入された針の角度とは異なる皮膚表面に対する角度で行われる使用者の動きによって皮膚表面に対してある角度で皮膚表面内への挿入中のその装置を示している。
【0031】
図14(a)では、ハブ2は、針5の基部は、使用者の動きによって付勢されるとき、挿入中、移動するように構成される挿入通路4を含む。図(a)において、自由状態では、針5は、接着層6を介して皮膚表面8に固定されるように構成されたハブ2の基部に対して第1の角度にある。図(b)のように皮膚表面に貼り付けられた場合、針5は、最初、皮膚表面8との接触によってハブ2の基部の方へ向きを変え第2の角度に至る。その皮膚の表面は、程度の差があるが下向きのテント形になり得る。その後、使用者の動きが、矢印Iの方向に加えられ、針5が、通路4に沿って第3の角度で移動する場合、その皮膚が、針5に抵抗力を矢印IVの方向に作用し、その結果、目標の深さおよび最終の挿入角度を実現するように針5の軸方向および径方向両方の動きをもたらす。たとえば、使用者の動きが加えられた場合、針5における矢印IVの方向の皮膚力は、矢印IIの方向の軸方向の動きと、矢印IIIの方向の半径方向の動きとをもたらす。矢印Iにおける使用者の動きがいったん取り去られたならば、その力は実質的に減じ、その結果、図(a)に示すものにより近い最終の針挿入角度をもたらす。最終挿入角度は、たとえば、第1の角度と同じ、または、異なっていてもよく、第1の角度は、実際には、ハブ2の基部に対して10度で開始し、挿入後、ハブ2の基部に対して20度まで増大させてもよい。針がその最終位置に到達する前に行う針の振れおよび弛緩は、インスリンおよび他の薬剤の皮内への送出を向上させる皮膚の皮内層内に、ポケットを作るものと考えられる。図14に示され、以下で説明する本発明の例示的な実施例で実施されるように、その針は、使用者の動き(たとえば矢印I)によって皮膚表面に対して挿入された針の角度とは異なる使用者の動きの角度で挿入され得る。
【0032】
そのようにするために、例示的な実施例は、接着剤で固定されるメインハブと、摺動可能な上蓋と、ニードルハブと、たとえば、マントー挿入法に実質的に匹敵する皮膚表面の上層3mmを正確に狙う皮内の針挿入を行うために使用可能とされる傾斜した、即ち、片持ち梁状に突出した針とを含む。その装置は、皮膚表面に接着剤で取り付けることができ、摺動可能な上蓋は、傾斜した針を所望の挿入位置に摺動し、または片持ち梁状に突出した針を外すように使用可能とされる。挿入された針を所定位置に保持するように可撓性アームを設け、針が所定位置となったら摺動可能なニードルハブおよび傾斜した針が後退することを防止し、一つ以上の蛇行経路の接着部分、軟質チューブ部を使用する注入セットのバルブハブからメインハブを分離することにより、挿入された針の位置は維持され、その上蓋は、挿入された針を外力から切り離すことができる。
【0033】
例示的な複数の実施例は、効率よく、かつ、使用者にとって使いやすいものとなるように構成され、注入セットは、現行の入手可能な代表的な注入セットとは異なるように挿入される。たとえば、第1の例示的な実施例では、使用者は最初、接着剤の裏打を剥がし、注入セットの患者接触表面における皮膚接着剤を見せる。次に、その装置は、使用者による下向きの圧力、即ち、加圧力によって注入部位に接着される。この位置において、使用者は、このとき、上蓋を摺動させて現在は静止状態のメインハブおよび廃棄処分されるロアハブから外すことができる。上蓋の摺動操作は、さらに、以下でより詳細に説明するように、傾斜した針を皮膚表面の上層3mm、すなわち、より良好な薬物吸収を容易にするように皮内空間に挿入する。その上蓋が取り外された状態において、バルブハブの主弁が、現れる。使用者は、それから、インスリンポンプをバルブハブに接続し、注入セットの呼び水入れを開始することができる。そのような呼び水入れの後、注入セットへのインスリンの標準的な送出が、もたらされる。
【0034】
そのような例示的な注入セット内には、アウターハウジング内に収容された摺動可能な、傾斜した針を含むメインハブが設けられる。ひずみ、移動および振動を除去するためにメインハブは、軟質チューブ、および可撓性部分または接着剤の蛇行経路の少なくとも1つを介してバルブハブに接続される。メインハブは、バルブハブに至る軟質チューブとのフルイドインターフェース(fluid interface)と、針に対する固体の固着、およびアウターハウジングにおける可撓性アームを曲げるインターフェースとをもたらす。
【0035】
マントー法における皮膚の引っ張り、伸張、および/または、扁平に匹敵させるために、そのアウターハウジングは、粘着性パッドをそれぞれ、有し、注射部位に隣接する2本の可撓性アームを収容する。上蓋は、長穴を介してアウターハウジング内に到達するように構成されたドラッグアーム(drag arm)を含み得る。その装置が皮膚表面上に押さえつけられた場合、可撓性アームは、注入部位において皮膚に張り付く。使用者が上蓋を装置から取り外す場合、上蓋によって設けられた少なくとも1つのドラッグアームは、皮膚表面に対して平行な方向にニードルハブを引き、それによって移動するニードルハブによって接触されたとき、可撓性アームを外向きに移動させ、したがって、針挿入に備えて皮膚を引っ張り、伸張させ、および/または、扁平させる。これらの可撓性アームがその最大の変位に到達した場合、ニードルハブと共に移動する傾斜した針は、皮内層に入り込む。
【0036】
針およびニードルハブが、アウターハウジング内に収容された末端停止部まで引かれる場合、複数の可撓性アームは、針およびニードルハブの後方に後退し、挿入された針を所定位置に保持し、針およびニードルハブの動きを逆にすることを防止するパッシブスナップ(passive snap)を作り出す。同じ単一の動きで針が適切に挿入され、上蓋がこのとき取り外された状態において、それから、使用者は、ポンプインターフェースを、たとえば、可撓性のプラスチックスナップを用いてバルブハブに取り付ける。ポンプインターフェースバルブは、配管装着において役立つ回転を可能にするように構成される。
【0037】
図1〜図3に示される本発明の例示的な実施例では、装置10は、上蓋12と、メインハブ14と、バルブハブ16とを含む。軟質チューブ18が、メインハブ14とバルブハブ16の間の流体連通および防振双方のために設けられる。さらに、図2に示されるように、感圧接着剤層20が、メインハブ14およびバルブハブ16両方の下面に設けられる。メインハブ14とバルブハブ16との間のさらなる運動の切り離しや、以下でより詳細に説明するようにメインハブ14とバルブハブ16との間で動きが伝達されることを防止するために接着剤層20の蛇行経路部22が、メインハブ14とバルブハブ16の間の位置にさらに設けられる。以下で説明する本発明の例示的な実施例では、ハウジング、ハブ、および他の要素は、成型プラスチック材料、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート(PETおよびPTEG)または類似の材料から構成可能とされる。
【0038】
上蓋12は、使用者が握ることができる外面を含み、メインハブ14およびバルブハブ16の両方を摺動可能に覆うための内側開口部25を有する。その際、上蓋12は、装置を収容し、かつ装着およびその後の作動のための把持をもたらすための包装を実質的に含む。その包装は、接着剤層20の被覆によって完了する。
【0039】
接着剤層20は、図1に示されるように皮膚接触表面から上向きに延びるタブ要素24を備えている。タブ要素24は、使用前に上蓋12と、メインハブ14およびバルブハブ16とを一緒に固定するために使用され得る。装置10から離れているタブ要素24を引っ張ることにより、使用者は、上蓋12を固定せず、内側開口部25の端部の蓋をとり、上蓋が所定位置となったならば残部の構成要素から離れ、上蓋が摺動可能とされる。装置10から離れたタブ要素24をさらに引くことが、メインハブ14およびバルブハブ16の下面における感圧接着剤層20をむき出しにする。感圧接着剤層20は、接着繊維のような任意の適切な材料からなり得る。
【0040】
メインハブ14は、開口部44内に捕捉された傾斜したステンレス鋼またはプラスチック製の針26および摺動可能なニードルハブ28などの、その中に収容されるいくつかの要素を含む。傾斜した針26および摺動可能なニードルハブ28は、流体連通し、軟質チューブ18および接着剤層20の蛇行経路部22を介してバルブハブ16と物理的に結合される。また、図2に示されるように、メインハブ14は、ニードルハブ28の摺動可能な移動を案内する複数の可撓性アーム30を有し、傾斜した針26が皮膚表面内に挿入するために延在可能とされる開口をその下面に含んでいる。複数の可撓性アーム30は、その終点近くでニードルハブ28により撓まされるように構成され、ニードルハブ28の通過後、ニードルハブ25を最終位置に捕らえ保持するように構成される。
【0041】
例示的な実施例では、単一の傾斜した針26だけが示されているが、本発明の複数の実施例は、これに限定されない。これ、または、他の実施例では、複数の針が、設けられ、傾斜され、または他の方法で位置決めされ得る。傾斜した針26は、25ゲージ(gauge)から36ゲージまでの間であって、単一のベベル(bevel)、3つのベベル、または5つのベベルを備えたステンレス鋼またはプラスチック製の針/カニューレからなるものでもよいが、実施例は、これに限定されない。針26は、ロックタイト(Loctite)(紫外線硬化型接着剤)などの接着剤でニードルハブ28に接着可能とされる。または、針は、ニードルハブ28とオーバーモールド成形可能であり、あるいは、ニードルハブにねじ込み可能である。針26は、チューブ18を介してバルブハブ16と流体連通している摺動可能なニードルハブ28によって所望の角度で固定される。本発明の例示的な実施例では、針26は、目標を3mm以下の深さに設定するために、20度の角度で固定され、メインハブ12の下面に対して4mm延び、ハブ28に対して7mmの全長を有する。しかし、複数の実施例は、これに限定されない。本発明におけるこれ、または他の実施例では、針26は、5度から45度までの間の角度で固定可能であり、メインハブ12の下面に対して3mmから6mmまで延び、ハブ28に対して5mmから10mmまでの全長を有することができる。目標を皮下層の表皮内で注入の特有の深さを設定するように傾斜した針の位置の微調整をすることが可能になり得る。そのような傾斜挿入が、皮膚表面におけるテンティング(tenting)の危険性の低下を伴う皮内挿入についてより信頼性の高い結果を生み出す。
【0042】
ニードルハブ28は、以下でより詳細に説明するように、メインハブ14内で摺動可能であるように構成される。傾斜した針が移動する開口部の両側において、メインハブ142の下面の開口部は、可撓性アーム30を含み。ニードルハブ28を摺動可能に案内する可撓性アーム30は、その終点近くでは、ニードルハブ28によって撓ませられるように構成され、ニードルハブ28の通過後、ニードルハブ28を最終位置に捕らえ保持するように構成される。
【0043】
図4の断面図に示されるように、メインハブ14は、上蓋12が摺動するように構成されるアウターハウジング32をさらに含む。メインハブ14は、上蓋12の内面における類似の複数の突出部を摺動可能に捕捉することができる1つ以上の溝15を含むことができる。上蓋12は、第1の端部で閉じられているが、上述したタブ要素24によって覆われたとき、第2の端部で開口されている。装置10から離れたタブ要素24を引くことにより、使用者は、上蓋12を固定せず、内側開口部25の端部を見えるようにでき、注入部位に固定されているメインハブ14およびバルブハブ16から離れて上蓋12が摺動可能とされる。
【0044】
把持を容易にするための梨地模様の外面34を含むことができる上蓋12は、ニードルハブ28を所定位置に引くために1本以上のメインハブ14のアウターハウジング32内の開口部38を貫通するように構成されるドラッグアーム36をさらに含むことができる。詳細には、ドラッグアーム36は、摺動可能なニードルハブ28における1つ以上の移動止め42と係合するように構成された1つ以上の移動止め40を含むことができる。ニードルハブ28は、メインハブ14の開口部44内で摺動可能であるように構成される。上蓋12が矢印Aの方向に引かれ、メインハブ14が注入部位に固定されるとき、ドラッグアーム36は、メインハブ14の開口部44内で摺動可能なニードルハブ28を引くように構成される。メインハブ14の下面の開口部44の両側における可撓性アーム30は、注射部位において皮膚に張り付き、使用者が、上蓋12を引いて装置から外し、ニードルハブ28を皮膚表面に対して平行な方向に引くとき、可撓性アーム30は、ニードルハブ28を移動させることによって接触された場合、外向きに移動し、したがって、可撓性アーム30は、針挿入に備えて皮膚を引っ張り、伸張させ、および/または、扁平にする。可撓性アーム30がその最大の振れに到達した場合、ニードルハブ28と共に移動する傾斜した針26は、皮内層の中に入り込む。したがって、メインハブ14が皮膚表面(図示せず)に固定される場合、上蓋12を引くそのような動作だけが、使用者のばらつきを解消しながら、マントー法の傾斜挿入を実質的に繰り返すために必要とされるだけである。それによって、通常の使用中、皮膚表面の上層3mmに薬剤を送出するように針26を挿入し固定する。
【0045】
上述したように、メインハブ14の下面の開口部は、複数の可撓性アーム30を含み、可撓性アーム30は、それぞれ、各々の可撓性アーム30の一部分を挿入部位において皮膚表面に固定するための接着剤層、即ち、接着剤パッド46を含むことができる。その装置が皮膚表面上に押さえつけられた場合、可撓性アーム30は、挿入部位で皮膚表面に張り付く。使用者が上蓋12を装置から引き抜くとき、ドラッグアーム36は、メインハブ14のアウターハウジング32を貫通し、ニードルハブ28を開口部44内で皮膚表面に対して平行な方向に引き、ニードルハブ28を可撓性アーム30と接触させて、可撓性アーム30を外向きに移動させ、したがって、針26の挿入に備えて可撓性アーム30が固定される皮膚表面を、引っ張り、伸張させ、および/または、扁平させる。
【0046】
図2に示されるように、ニードルハブ28は、複数の可撓性アーム30相互間の空間48内で摺動するように構成される。さらに、各々の可撓性アーム30は、ニードルハブ28の移動端で、または、その近くでニードルハブ28における類似の高低のある端部52と係合するように構成される高低のある移動止め50を含む。したがって、各々の可撓性アーム30の接着剤パッド46は、挿入部位の近くで皮膚表面をしっかりと保持し、したがって、針26の挿入に備えて皮膚表面を引っ張り、伸張させ、および/または、平らにする間、ニードルハブ28が引かれるとき、ニードルハブ28の高低のある端部52は、高低のある移動止め50と係合し、移動止めを撓ませて可撓性アーム30を外向きに移動させる。さらに、この接触および振れのタイミングが、有益な効果を最大限にするように針26の挿入のタイミングと正確に一致するように構成される。
【0047】
可撓性アーム30がその最大の変位に到達したとき、傾斜した針26は、皮内層を貫通する。針26およびニードルハブ28が、メインハブ14のアウターハウジング32内に含まれた末端停止部まで引き出されるとき、ニードルハブ28は、高低のある移動止め50を乗り越えて可撓性アーム30がニードルハブ28の後方に後退することを可能にし、ニードルハブ28を最終位置に保持するパッシブスナップを作り出し、挿入された針26を所定位置に保持する。
【0048】
さらに、本発明の実施例における傾斜した針26の使用は、注入部位を維持する他の堅固な固定をもたらす。通常、小さい(すなわち1〜3mmの)針の位置を皮膚内に維持することは非常に困難である。しかし、針を傾斜させることにより、皮膚自体が垂直な保持力をもたらす。したがって、挿入された針は、垂直かつ水平の両方に固定される。さらに、傾斜挿入は、カニューレの開口部の垂直高さを低減することによって注入に対するより柔軟な針またはカニューレの選択を可能にする。また、針は角度を付けて挿入されるため角度を付けない挿入に設けられるものよりも長い針、および/または、針の開口部を使用して同じ皮内深さを狙うことができる。
【0049】
針26が適切に挿入され、上蓋12が取り外されて破棄された状態において、使用者は次いで、たとえば、可撓性のプラスチックスナップを用いてバルブハブ16上の溝60を捕捉することにより、ポンプインターフェースコネクター54およびチューブセット56を図5に示すようにニードルハブ16に取り付けることができる。ポンプインターフェースは、軟質チューブ18と流体連通するバルブハブ16の中央に配置された隔壁または他の弁部材58を穿孔するための穿孔部材(図示せず)を備えることができる。そのようにする際、ポンプインターフェースコネクター54およびチューブセット56は、チュービングの配置を助けるバルブハブ16周りの180〜270度までの回転を伴った回転を可能にするように構成される。ポンプインターフェースコネクター54は、1つ以上の押し付け可能な部分62を備えた可撓性本体をさらに備えることができ、この押し付け可能な部分62は、使用者によって圧迫されて可撓性プラスチックのスナップをバルブハブ16上の溝60から解放し、ポンプインターフェースコネクター54およびチューブセット56の取り外しを可能にすることができる。
【0050】
図3に示すように、上蓋12が取り外された状態において、メインハブ14およびバルブハブ16の弁部材58の両方が、暴露されており、使用者は、インスリンポンプをバルブハブ16に接続し、注入セットの固定された呼び水を開始することができる。メインハブ14の傾斜した針26および摺動可能なニードルハブ28は、軟質チューブ18および接着剤層20の蛇行経路部22を介してバルブハブ16と流体連通し、これと物理的に結合されている。呼び水後、注入セットへのインスリンの標準的な送出が、もたらされる。例示的な注入セットの針挿入前の呼び水を可能にするために上蓋12の一部分を取り外して弁連結のアクセスを可能にすることができる。
【0051】
針26は、メインハブ14のアウターハウジング32によって、かつチューブコネクション18およびメインハブ14の接着剤とバルブハブ16の接着剤の間の接着剤のらせん切断された部分22によるバルブハブ16からのメインハブ14の切り離しによって、外力および動作から保護される。すなわち、メインハブ14の傾斜した針26および摺動可能なニードルハブ28は、軟質チューブ18および接着剤層20の蛇行経路部22だけを介してバルブハブ16と流体連通し、これと物理的に結合されて、傾斜した針26およびメインハブ14の摺動可能なニードルハブ28を望ましくない移動から切り離す。ニードルハブ28および針26を外力から注意深く切り離すことにより、皮内層内の針の位置が維持される。
【0052】
また、最初にメインハブを皮膚表面に接着することにより、針角度、皮膚の引っ張り、伸張、および/または、平坦化および挿入深さが一貫していることを確実にする正確な機械的土台が設けられる。さらに、そのようにする際、テンティングもまた低減または解消される。さらには、ポンプ接続のために針部位を切り離すことにより、振動および移動が低減される。加えて、針をいかなる外力からもさらに切り離す低いプロファイルが、提供される。
【0053】
現在、上述したところで指摘したようなそのような皮内インスリン注入装置はまだ存在しておらず、皮内送出は、標準的なマントー法によって達成可能である。しかし、この方法は、ばらつきが高く、使用者の手違いに対して影響を受ける。加えて、皮内空間内に送出するいくつかの「パッチ」注射システムが存在している。しかし、これらのシステムは、長期期間(すなわち3日)のインスリン注入に対する解決策を実現することは困難になり得る。マントー法を標準化されたプロセスに本質的に単純化し、使用者のばらつきを取り除くシステムおよび方法を提供することにより、本発明の例示的な実施例は、好ましくは正常使用中、皮膚表面の上層3mmに内容物を送出するように針を挿入および固定し、インスリンを皮内空間内に送出するための実用的な解決策を提供している。
【0054】
そのような方法でマントー法を真似る際、針挿入は、単一の使用者の動きで達成可能である。本発明の例示的な実施例は、現在望ましいものであるがばらつきが高い皮膚の皮内層に注射する手段であるマントー法を標準化する。正しく施されたとき、マントー法は、うまく薬剤を皮内空間に注射する。この好ましい技術においてばらつきを解消することにより、信頼性の高い証明された注入手段が、確立される。
【0055】
上述の例示的な実施例は、取り外し中の上蓋の使用者による制御された摺動操作を用いて針挿入を実施する。一部の他の注入セットは、圧縮または屈曲したプラスチックばねが針を強制的に駆動する皮膚内への衝撃挿入を必要とする。これらの挿入方法は、注入セットとは別個のものであることが多い、かさばる挿入装置を必要とし得る。上述の例示的な実施例では、使用者は、上蓋を引いて外し、それによって皮膚表面を伸張させ、および/または、平坦化するまたは他の形で皮膚張力を作り出し、そしてマントー法と同一のやり方で針を下向きに押し進めるだけである。挿入装置を解消することにより、使用者は、使用者が挿入できないセットを使用させられることはなく、マントー法を介して挿入することにより、全体的な装置プロファイルは、小さくかさばらないままである。
【0056】
皮膚の皮内層内に注入することにより、本発明の例示的な実施例は、皮下送出システムと比較したとき、インスリンをより良好に吸収するという可能性を提供する。そのようにする際、一般的な使用者は、より少ないインスリンを消費すると共により良好な薬剤管理体制を維持することが可能になり得る。所望であれば、単一の針またはマイクロ針の代わりに複数の針またはマイクロ針を使用できることが理解される。
【0057】
上述したところで指摘したように、他の皮内注入セットの概念は、皮膚が、挿入時または挿入中に撓まされて針挿入点における皮膚表面内にテントに関連付けられる形状を作り出す望ましくない影響である、テンティングを起こすというリスクがある。そのようにする際、皮膚表面は、皮膚内への針の貫通中ではなく針挿入中にテント形になる。しかし、本発明は、制御された角度で挿入される針を提供し、かつこの場合、皮膚表面は、挿入部位において固定され、引っ張られ、伸張され、および/または平坦化されているので、本発明の例示的な実施例は、このリスクを低減し、より正確な針挿入深さを確実にする。
【0058】
皮下層に送出する現在の鋼製カニューレの注入セットでは、針は、針まで伝えられたときに疼痛を生じさせ得る、あらゆる望ましくない外部の力から切り離しされておらず、針は皮膚内で移動する。また、他の皮内装置は、針が外部の力から切り離しされていない場合に装置に衝撃がかけられたとき、早期にまたは他の望ましくない形で針が取り外されるという問題に直面する。
【0059】
本発明の例示的な実施例では、皮内針は、いくつかの特徴によって外部の力から切り離しされる。第1に、メインハブ14のアウターハウジング32は、敏感な針26およびニードルハブ28を外力との直接接触から遮蔽する。第2に、メインハブ14とバルブハブ16の間の連結18および22は、バルブハブ16上に付与されたいかなる力も針26に持ちこさないように極めて可撓性のものである。たとえば、可撓性のチュービングコネクション18および接着剤層20の蛇行経路部22を設けることは、針26を外部の力および他の干渉から効果的に切り離すように働く。
【0060】
適切な位置合わせは、使用者がアウターハウジング12を摺動させ、傾斜した針26を挿入するための堅固な、固定された土台を設けることによって達成される。そのような堅固な固定された土台は、接着剤層20によってもたらされる。皮膚接着剤層は、セット10を所望の向きに固定し、それにより、ニードルハブ28および傾斜した針26ならびに上蓋12は所望の使用向きにあり、使用者は、装置を挿入部位に対して角度を付けて保持することが実質的に防止される。したがって、正確な反復可能な挿入が達成される。
【0061】
さらに、多くの市販セットは、別個の自動式挿入装置の使用を必要とする。本明細書で説明した本発明の例示的な実施例では、使用者は、別個の挿入装置を持ち運ぶ、または注入セットを挿入装置上に搭載する必要はない。一体化されたシステムにより、使用者は、別個の挿入装置を持ち歩き、搭載することからより自由になることが可能になり、その結果、利便性を向上させ、作動をより簡単にする。
【0062】
しかし、同様の利益が、皮膚内への針の衝撃挿入の適切な実施においても存在し得る。たとえば、本発明の以下の実施例では、テンティングのリスクを低減し、より正確な針挿入深さを確実にするために、摺動動作を衝撃挿入と共働させて使用することもできる。上蓋を利用して、針を駆動する片持ち梁および遮断されたニードルハブに負荷をかけ次いで解放することにより、適切な挿入および挿入された針の皮内空間内の維持が確実にされる。
【0063】
図6および図7は、以下の特徴を含む他の例示的な注入セット100を示している。図6および図7に示すように、例示的な注入セット100は、上蓋120と、下カバー140と、それらの間に捕捉された外側ハブ160とを備えることができる。上蓋120は、下カバー140に解放可能に固定されるように構成され、図7および8の矢印Aによって示したように上向きの引き動作によって下カバー140から取り外すことができる。上蓋120の取り外し中、いくつかの作動フィーチャが係合される。以下で説明する本発明の例示的な実施例では、カバー、ハブ、および他の要素は、成形プラスチック材料、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート(PETおよびPETG)などの熱可塑性ポリマー、または類似の材料から構成することができる。
【0064】
上蓋120が引かれて下カバー140から離れるとき、外側ハブ160は、下カバー140によって少しの間保持され、それにより、上蓋120は最初、上蓋120と下カバー140の間に捕捉された外側ハブ160に対していくらかの距離を摺動式に引かれる。上蓋120が引かれるとき、上蓋12内に配設された複数の偏向可能なスナップ180は、上蓋と共に摺動され、一方で外側ハブ160は、下カバー140によって保持されたままである。各々のスナップ180における勾配が、最終的に外側ハブ160の外面上のショルダ200と接触し、それによってスナップ180を外向きに偏向させ、図8に示すように、スナップ180がショルダ200を通り越し、チャネル220内に閉じ込められるようになることを可能にする。以下でより詳細に説明するように、スナップ180は、チャネル220内で矢印Aの方向に対して垂直な方向に摺動して、上蓋120の移動、詳細には上蓋120の外側ハブ160からの摺動可能な移動を可能にすることができる。
【0065】
図8に示すように、上蓋120のスナップ180が、外側ハブ160のチャネル220内に閉じ込められた後、上蓋120をさらに引いて下カバー140から離すことは、外側ハブ160を上蓋120と共に矢印Aの方向に引き、外側ハブ160を中に含む上蓋120を下カバー140から分離するような働きをする。下カバー140は、このとき破棄することができる。本発明のさらに他の実施例では、下カバー140は、安全な遮蔽された針の処分のために使用後にセットに再度取り付けるために保管される。下カバー140は、安全な処分のために同じまたは先に使用したセットの露出された針280を再度覆うために保管され得る。
【0066】
次に図9〜図12に示されるように、外側ハブ160は、軟質チューブを介してバルブコネクションセプタムと流通連通する片持ち梁状に突出した針およびニードルハブを含む内側ハブ400を覆い、その中に内側ハブを含む。詳細には、内側ハブ400は、軟質チューブ440を介してバルブコネクションセプタム360と流体連通する、少なくとも1つの片持ち梁240、針280およびニードルハブ260を含む。内側ハブ400は、可撓性部材420および軟質チューブ440だけによって外側ハブ160と連結される。内側ハブ400の針280は、3mm以下の深さを狙うために3mmから10mmまでの間の全長を有することができ、31ゲージから34ゲージの間の、単一のベベル、3つのベベル、または5つのベベルが設けられた、1.0mmから10mmまでの間の長さのステンレス鋼またはプラスチックの針を含むことができるが、実施例はこれに限定されない。針280は、ロックタイト(Loctite)(紫外線硬化型接着剤)などの接着剤でニードルハブ260に結合させることができ、または、ニードルハブ260とオーバーモールド成形可能であり、またはそれにねじ込み可能である。1本の片持ち梁240および針280だけが示されている。しかし、本発明の他の例示的な実施例では、複数の片持ち梁、および/または、針を設けることができる。外側ハブ160と針280との間の連結は、ニードルハブ260から延び、片持ち梁240によって偏向可能であり、内側ハブ400を通り、外側ハブ160のバルブコネクションセプタム360までの流体連通のための軟質チューブ440によってもたらされる。内側ハブと外側ハブとの間の空間内に軟質チューブ440のループを設けてさらなる柔軟性および遮断をもたらすことができる。
【0067】
上蓋120は、外側ハブ160の上面内の長穴開口部340を通って延びて内側ハブ400の片持ち梁240と係合する、1本以上のビームハンガーアーム300をさらに備える。上蓋120が矢印Aの方向に引かれて下カバー140から離れるとき、上蓋120の、移動止め、ショルダまたは他のフィーチャをその端部に有する少なくとも1本のビームハンガーアーム300は、外側ハブ160の上面内の長穴340を通って到達し、内側ハブ400の片持ち梁240を捕捉し、上蓋120が矢印Aの方向に取り外されたとき、片持ち梁240に予負荷をかけるように構成される。ビームハンガーアーム300の移動は、図10に示すように内側ハブ400の片持ち梁240を引き、偏向させ、および/または、負荷をかけるように働く。片持ち梁240をビームハンガーアーム300によって完全に偏向させ負荷をかける位置は、上述のように、スナップ180が、外側ハブ160のチャネル220内に閉じ込められるようになる地点において実質的に起こるように構成される。そのような位置では、上蓋120および外側ハブ160は、矢印Aの方向の前方または後方のすべてのさらなる移動が防止される。したがって、上蓋120および外側ハブ160は、針の放出または片持ち梁240の応力緩和のリスク無しに安全に取り扱うことができる。
【0068】
この時点で、使用者は、上蓋120およびその中の外側ハブ160を皮膚表面(図示せず)にあてることができる。接着剤層320は、外側ハブ160および内側ハブ400の下面上に設けられて、外側ハブ160および内側ハブ400を皮膚表面に固定することができる。正しい位置になった後、上蓋120を、図10の矢印Bによって示すように外側ハブ160および内側ハブ400に対して摺動させることができる。外側ハブ160のチャネル220内に閉じ込められたスナップ180は、図11に示すように外側ハブ160および内側ハブ400を所定位置に残して、外側ハブ160および内側ハブ400からの上蓋120の摺動式の取り外しを誘導する。さらに、上蓋120のビームハンガーアーム300は、図11に示すように、外側ハブ160の上面内の長穴340が許す範囲で、上蓋120と共に外側ハブ160および内側ハブ400に対して摺動式に引かれる。上蓋120のビームハンガーアーム300が、摺動式に引かれて内側ハブ400の片持ち梁240から外側ハブ160の長穴340を通って離れるとき、片持ち梁240は、解放され、それによって、針280を、テンティングを最小限にする高い速度で挿入部位内に所望の深さで挿入する。本発明の例示的な実施例は、針280を3.3ft/秒(1.0m/秒)から10ft/秒(3.0m/秒)までを含むそれ以下の制御された高い速度で挿入するように構成される。カニューレの鋭敏性によっては、そのような終端速度は、皮膚表面のテンティングのリスクの低減を伴って短い(すなわち1.5mmの)針またはカニューレの皮内挿入に対してより信頼性の高い結果を生み出す。外側ハブ160内の長穴340は、端部342において開いており、ビームハンガーアーム300を含む上蓋120を外側ハブ160から完全に摺動式に取り外すことを可能にする。
【0069】
図11に示すように外側ハブ160の現在露出されている上面は、円形のバルブコネクター380の穿孔部材(図示せず)を受け入れるためのバルブコネクションセプタム360へのアクセスを可能にする。チューブコネクター370およびチューブ390を備えたバルブコネクター380は、外側ハブ160を覆って置かれ、矢印Cの方向に摺動させてバルブコネクションセプタム360と係合することができ、バルブコネクションセプタム360は次いで、外側ハブ160を注入ポンプまたは他のインスリン供給装置(図示せず)に連結し、注入ポンプのリザーバと装置の間に流体連通をもたらす。
【0070】
針の遮断は、いくつかの遮断機構を介して達成される。第1に、外側ハブ160および装置のバルブコネクター380は、保護カバーとしてかつ内側ハブ400を外力から切り離す要素として働く。第2に、内側ハブ400は、外側ハブ160内に設けられ、詳細には、敏感な針280および内側ハブ400の片持ち梁240は、内側ハブ400によって外力から遮蔽されてさらなる遮断ももたらす。第3に、内側ハブ400は、可撓性部材420およびチューブ440だけを介して外側ハブ160に連結される。振動および外力をさらに切り離すために、内側ハブ400下方の接着剤は、薄い応力緩和部420を介して、外側ハブ160下方の接着剤に連結され、内側ハブ400と外側ハブ160の間の流体連通が、軟質チューブ440を介して設けられ、そのために外側ハブ160およびバルブコネクター380上に付与されたいかなる力も内側ハブ400の針280に持ち越さず、または伝達しない。第4に、軟質チューブ440は、流体連通のためにニードルハブ260から内側ハブ400をループして外側ハブ16のバルブコネクションセプタム360まで設けられる。このループされたチュービングの相対的な柔軟性は、2つのハブを互いにさらに切り離すように働く。
【0071】
装置の例示的な使用では、使用者は最初、図示するように上蓋120および下カバー140を引き離す。下カバー140は、上蓋120が外側ハブ160の外側ハブ誘導通路220に嵌まり込み、片持ち梁240に負荷がかけられた後に装置から分離する。下カバー140が、上蓋120および外側ハブ160から分離するとき、皮膚接着剤320が、外側ハブ160の下面上で露出される。
【0072】
使用者は、ここで、装置を注入部位上に置くことができる。上蓋120を横向きに引いて外側ハブ160から外すことにより、片持ち梁240は解放され、針120は、皮膚表面内に放出される。本発明の例示的な実施例では、針280は、皮膚表面の上部3mm内に挿入され、保持されるが、本発明はこれに限定されない。上述したところで指摘したように、皮膚表面の上層3mm、すなわち、皮内空間内への針の挿入により、使用者に対してある程度の快適性を維持しながらより良好な薬物吸収が容易にされる。
【0073】
上蓋120が取り外された状態において、使用者は、次いで、注入ポンプとの連結のためにバルブコネクター380を取り付けることができる。固定プライムにより、装置は、このとき、インスリンを所望の深さおよび速度で注入できる状態である。本発明の他の例示的な実施例では、針挿入前のセットの呼び水を可能するために、変更された上蓋(図示せず)の一部分を取り外し、外側ハブ160のバルブコネクションセプタム360に対するアクセスを可能にすることができる。
【0074】
上述したところで指摘したように、装置内の片持ち梁は、最初負荷がかけられ、次いで、使用者によって放たれるが、その理由は、予め負荷がかけられた梁を格納することにより、装置は可塑性の応力緩和を受けるためである。そのようにするためには、使用者がカバーを引き離すとき、上蓋上のアーム(複数可)は、外側ハブの下に中央に装着された片持ち梁を引き戻す。片持ち梁の作動は、Euler−Bernoulliの梁理論、または技術者梁理論、古典梁理論または、梁構造の負荷運搬および偏向特性を算出する手段を提供する梁理論によって説明されている。
【0075】
外側ハブ160の外面には、片持ち梁240に適切に応力がかけられたとき、外側ハブ160と共に、垂直に上蓋120を停止させる誘導トラック220が位置している。この末端停止部では、上蓋120は、垂直に係止され、下カバー140は、装置から分離し、皮膚接着剤320が暴露される。
【0076】
正しい位置になった後、装置が注入部位に接着された状態において、上蓋120は、次いで、矢印Bによって記された方向に誘導通路220に沿って引かれ得る。上蓋120が引き離されるとき、片持ち梁240を保持するアーム300は、その側部のタブを乗り越え、それによって片持ち梁240を放出し、挿入針280を皮膚内に押し出すことを可能にする。単一の挿入針しか図示されていないが、本発明は、これに限定されない。
【0077】
片持ち梁240は、挿入後でも注入部位上に小さい圧縮力を維持する、小さい予負荷を含むように設計される。皮膚上のこの力は、針位置を長時間にわたって維持するように働く。そのような局所化された予負荷力は、皮膚内の針深さを維持する。この追加された圧力は、ニードルハブ260と皮膚の間の接触を維持する。したがって、針280は、皮膚の皮内層内に正確な深さで維持される。本発明の好ましい実施例では、そのような深さは、皮膚表面の上層3mm以内である。
【0078】
本発明のこのまたは他の例示的な実施例では、片持ち梁は、送出の均衡を保つために対向するアームによって応力がかけられ、保持され得る。さらに、ニードルハブの角度は、挿入角度および針の最終配置に影響を与えるように本発明のこのまたは他の例示的な実施例において変更することができる。本発明のこれらまたは他の実施例では、片持ち梁は、たとえば、成形プラスチック材料、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート(PETおよびPETG)などの熱可塑性ポリマー、または類似の材料を含む、プラスチック、金属、または他の弾性材料から構成することができる。
【0079】
円形のバルブコネクター380は、外側ハブ160を覆って垂直に置かれ、次いで、矢印Cの方向に水平に摺動される。バルブコネクター380の水平移動により、穿孔部材(図示せず)が隔壁弁360内に押し出され、スナップ460が、内側壁に沿って設けられて、外側ハブ160内の移動止めと係合し、バルブコネクター380を所定位置に嵌め込む。バルブコネクター380は、空間382が許す範囲で、隔壁弁360の反対側の側部を押し、これによってバルブコネクター380のスナップ460を撓ませ解放することによって片手で取り外され得る。バルブコネクター380のタイプは、回転、固定、容易な使用、および他の所望の特徴および機能を可能にするためのさまざまな実施例を有することができる。
【0080】
現在、皮内インスリン注入装置は市場に存在していないが、その理由は、挿入し、針位置を皮内層内に維持する頑強な手段は、極めて困難であるためである。しかし、簡易化された片持ち梁を利用して装置内にエネルギーを格納することにより、挿入および針の維持が、簡易化されたやり方で達成される。片持ち梁自体は、外側ハブによってあらゆる外力および振動から保護される。内側ハブおよび片持ち梁を外力から慎重に切り離すことにより、皮内層内の針位置が維持される。
【0081】
さらに、皮膚の皮内層内に注入することにより、本発明の例示的な実施例は、皮下送出システムと比較したとき、インスリンをより良好に吸収するという可能性を提供する。そのようにする際、一般的な使用者が、より少ないインスリンを消費すると共により良好な薬剤管理体制を維持することが可能になり得る。
【0082】
上述したところで指摘したように、他の皮内注入セットの設計は、皮膚が、挿入前または挿入中の針挿入において偏向されてテントに類似する形状を作り出す望ましくない影響である、「テンティング」を起こすというリスクがある。そのようにする際、皮膚表面は、皮膚内への針の貫通中ではなく針挿入中にテント形になる。しかし、接着剤層が設けられ、すばやい針挿入が、作動された片持ち梁を介してもたらされるため、テンティングまたは他の形で最終挿入深さに影響を与える皮膚偏向のリスクが、低減される。さらに、皮膚に垂直に置かれ、外部の力から切り離された小さい皮内針により、使用中、使用者に対して引き起こされる疼痛は、より小さくなる。
【0083】
さらに、現在市場にあるほとんどの注入セットは、挿入装置を必要とする。挿入装置は、通常、装置梱包品の使い捨てもしくは処分部品、またはセットの安価な第2の部分である。しかし上述の本発明の例示的な実施例では、挿入は、片持ち梁、上蓋および下カバーの使用によって単一の装置にすべて一体化され得る。本明細書で説明した本発明の例示的な実施例では、使用者は、別個の挿入装置を持ち運び、または注入セットを挿入装置上に搭載する必要はない。一体化されたシステムにより、使用者は、別個の挿入装置を持ち歩き、搭載することからより自由になることが可能になり、その結果、利便性を向上させ、作動をより簡単にする。市場の一般的な装置は、比較的大型の外部挿入装置を使用して針を皮膚内に放つ。対称的に、本発明の例示的な実施例は、屈曲された片持ち梁を利用するという利点を提供し、ここでは負荷、および、解放は、カバー取り外しステップに組み込まれ、次いでそのようなカバーを破棄することができる。そのようにする際、上蓋は、取り外し可能な挿入装置として機能することができる。そのようなシステムおよび方法は、経済的であり、簡単であり、かつ小型のものであり、装置と一体化された挿入のシステムを実現する。したがって、使用者は、追加の工具無しに装置を正しく挿入することができる。
【0084】
本発明のわずかだけの例示的な実施例を上述したところで詳細に説明してきたが、当業者は、多くの変更が、本発明の新規の教示および利点から著しく逸脱せずに、例示的な実施例において可能であることを容易に理解するであろう。したがって、すべてのそのような変更は、添付の特許請求の範囲で画定された本発明の範囲内およびその均等物に含まれるものであることが意図される。
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2010年11月30日に出願した「Angled Inserter For Intradermal Drug Infusion」という名称の、Cole Constantineauらの米国特許仮出願第61/344,968号明細書および2010年11月30日に出願した「Integrated Ballistic Insertion Device For Intradermal Infusion」という名称の、Cole Constantineauらの米国特許仮出願第61/344,969号明細書における米国特許法119(e)条に基く利益を主張するものとし、前記出願両方の全内容は、参照により本明細書の一部を構成する。
【0002】
本発明は、一般に、皮膚の皮内層内に注射するために皮膚表面の上層3mmを正確に狙う皮内の針挿入の実施、たとえば、マントー挿入法を実質的に繰り返すために使用され得る接着剤固定されたメインハブと、摺動可能な上蓋と、ニードルハブおよび傾斜した、即ち、片持ち梁状に突出した針とを含む皮内注入セットに関する。
【背景技術】
【0003】
糖尿病などの病気を患う人を含む多くの人々は、毎日のインスリン注入などのなんらかの形態の注入治療を使用して自らの血糖値の厳密な制御を維持する。毎日のインスリン治療には、2つの主要な形態が、存在する。第1の形態は、注射器およびインスリンペンを含む。これらの装置は、使用が簡単で、比較的低コストであるが、通常は1日あたり3回から4回の各々の注射において針の突き刺しを必要する。第2の形態は、注入ポンプ治療であり、これは、約3年間持続するインスリンポンプの購入を伴う。ポンプの初期コストは、かなりのものになり得るが、使用者の観点から、ポンプを使用した圧倒的多数の患者は、残りの生涯においてポンプを使用し続けることを好む。これは、注入ポンプは、注射器およびペンよりも複雑であるにも関わらず、インスリンの連続注入、正確な投与およびプログラム可能な送出スケジュールという利点を提供するためである。この結果、血糖制御がより厳密になり、健康であるという感覚が向上する。
【0004】
注入ポンプの使用は、インスリンをポンプ内のリザーバから使用者の皮膚に運ぶ、代表的には、注入セットまたはポンプセットと称される使い捨て構成要素の使用を必要とする。注入セットは、通常、ポンプコネクターと、長いチュービング、および注入針またはカニューレがそこから延びるハブ、即ち、基部とからなる。ハブ、即ち、基部は、使用中、基部を皮膚表面上に保持する接着剤を有し、この接着剤は、手動で、または手動式または自動式の挿入装置の助けを借りて皮膚に塗布され得る。
【0005】
現在、ほとんどのインスリン注入セットは、固定された金属針または可撓性のプラスチックカニューレを使用して皮膚の皮下層にインスリンを送出する。そのような注入セットは、通常、インスリンを皮膚表面の4〜10mm下方に送出する。しかし、皮膚表面の上層3mm、すなわち、皮内空間が、より良好な薬物吸収を容易にする。残念なことに、皮内層は比較的薄いのでそのような深さに針を挿入し、注入部位を長時間にわたってこの狭い帯域内に維持することは、困難である。
【0006】
皮内注射を行うための1つの技法は、マントー法である。当業者に知られているように、マントー法は、通常、結核試験を施す際に使用される。熟練した看護師は、最初、親指と人さし指との間で皮膚の選択された領域をピンと張り、次いで、針をゆっくりと、ベベルを上向きにして、皮膚表面に対して5度から15度までの角度で挿入する。看護師は次いで、針を、上皮を通って約3mm前進させ、伸張された皮膚を解放し、薬剤を挿入する。しかし、皮内送出が標準的なマントー法を用いて達成可能である場合でもこの方法は、ばらつきが高く、使用者の手違いの影響を受ける。
【0007】
さらに、ほとんどのインスリン注入セットは、通常、挿入された針を、衝撃力または他の外力から切り離すためのフィーチャを提供していない。これらの注入セットは、通常、インスリンを皮膚表面の4〜10mm下方に送出するためこのセットに対する衝撃力または他の外力が、より深く挿入された針に及ぼす影響は小さい。しかし、皮膚表面の上層3mmを狙う試みがなされる場合、セットのいかなる衝撃または移動も、針の挿入および注入性能に悪影響を及ぼす恐れがある。
【0008】
さらに、ほとんどのインスリンセットは、針挿入中、皮膚表面の「テンティング(tenting)」をもたらし得る挿入装置を有しており、この場合、皮膚表面は、針挿入前またはその間に幾分、撓み、それによって皮膚表面の上層3mmを正確に狙うことが困難になる。
【0009】
したがって、内容物を皮膚表面の上層3mm、すなわち、皮内空間に送出して、使用者に対してある程度の快適性を維持しながら、より良好な薬物吸収を容易にすることができる注入セットに対する必要性が存在している。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の目的は、インスリンまたは他の薬剤を皮膚表面の上層3mm、すなわち皮内空間に送出して、使用者に対してある程度の快適性を維持しながら、より良好な薬物吸収を容易にすることができる注入セットを提供することである。
【0011】
本発明の他の目的は、使用者の動きを介して皮膚表面に対してある角度で針を挿入することができる注入セットであって、使用者の動きの角度は、インスリンまたは他の薬剤を皮膚表面の上層3mmを狙って送出するために挿入された針の角度とは異なる注入セットを提供することである。
【0012】
本発明の他の目的は、針を、ある角度で挿入してマントー挿入法を繰り返し、インスリンまたは他の薬剤を皮膚表面の上層3mmに送出することができる注入セットを提供することである。
【0013】
本発明の他の目的は、針を駆動する片持ち梁を用いて針を挿入し、インスリンまたは他の薬剤を皮膚表面の上層3mmに送出することができる注入セットを提供することである。
【0014】
本発明の他の目的は、皮膚表面のテンティングを大幅に低減しながら針を挿入し、および/または、皮内深さを正確に狙い、インスリンまたは他の薬剤を皮膚表面の上層3mmに送出することができる注入セットを提供することである。
【0015】
本発明の他の目的は、皮膚表面を挿入部位に固定するための皮膚固定接着剤層を有する注入セットであって、それによってセットが、皮膚表面のテンティングのリスクを低減しながら針を挿入し、および/または、皮内深さを正確に狙うことができるようになる注入セットを提供することである。
【0016】
本発明の他の目的は、皮膚固定、接着層、および挿入部位において皮膚表面を固定し、伸張させ、および/または、平らにし、または、セットが、皮膚表面のテンティングのリスクを低減しながら針を挿入し、および/または皮内深さを正確に狙うことができるように挿入部位で、皮膚の張力を作り出すための1つ以上の可撓性の要素を有する注入セットを提供することである。
【0017】
本発明の他の目的は、挿入された針を皮内深さに固定するための1つ以上の可撓性要素を有する注入セットを提供することである。
【0018】
本発明の他の目的は、取り外し式の上蓋を含む例示的な注入セットであって、取り外し式の上蓋は、第1の方向に引かれて針を皮内空間内に角度を付けて挿入して、マントー挿入法を繰り返し、かつインスリンまたは他の薬剤を皮膚表面の上層3mmに送出することができる例示的な注入セットを提供することである。
【0019】
本発明の他の目的は、取り外し式の上蓋を含む注入セットであって、取り外し式の上蓋は、第1の方向に引かれて針を駆動する片持ち梁に負荷をかけることができ、第2の方向に引かれて、次いで針を駆動する片持ち梁を解放し、針を皮内空間内に挿入し、インスリンまたは他の薬剤を皮膚表面の上層3mmに送出することができる注入セットを提供することである。
【0020】
本発明の他の目的は、正常使用中、インスリンまたは他の薬剤を皮膚表面の上層3mmに送出する深さに針を維持することができるように、挿入された針を外力から切り離すことができる注入セットを提供することである。
【0021】
本発明の他の目的は、挿入された針を外力から切り離すための遮断されたニードルハブを含む注入セットを提供することである。
【0022】
本発明の他の目的は、挿入された針を外力から切り離すための蛇行経路の接着部を含む注入セットを提供することである。
【0023】
本発明の他の目的は、挿入された針を外力から切り離すための可撓性のチューブ部を含む注入セットを提供することである。
【0024】
本発明の他の目的は、挿入された針を外力から切り離すための被覆要素を含む注入セットを提供することである。
【0025】
これらおよび他の目的は、インスリンまたは他の薬剤を皮膚の皮内層に注入するために、マントー挿入法を実質的に繰り返す皮内の針挿入を実施するために使用され得る接着固定されたメインハブ、摺動可能な上蓋と、ニードルハブおよび傾斜した針とを有する注入セットを提供することによって実質的に実現される。注入セットは、摺動するニードルハブおよび傾斜した針、ならびに注射部位において、皮膚表面を伸張させ、および/または、平坦化し、または他の形で皮膚の張力を作り出すための1つ以上の接着剤で被覆された可撓性のアームを設けて、マントー法の針挿入を繰り返すことができる。挿入された針の位置は、可撓性アームを後退させて、挿入された針を正しい位置に保持し、摺動可能なニードルハブおよび傾斜した針が正しい位置になった後に後退することを防止することによって維持され得る。メインハブは、蛇行経路の接着剤部、可撓性のチューブ部、および、カバーの1つ以上を用いて注入セットの少なくともバルブハブから分離されて、正常使用中、皮膚表面の上層3mmにインスリンまたは他の薬剤を送出する深さに針を、維持することができるように挿入された針を外力から切り離すことができる。
【0026】
また、これらおよび他の目的は針を駆動する片持ち梁に負荷をかけ次いで解放するための取り外し式の上蓋と、切り離されたニードルハブとを有し、適切に挿入し、挿入された針を皮膚表面の上層3mmにインスリンまたは他の薬剤を送出する深さに維持することを確実にする注入セットを提供することによって実質的に実現される。挿入された針の位置は、片持ち梁に予負荷を与え、正常使用中、皮膚表面の上層3mmにインスリンまたは他の薬剤を送出する深さに針を維持することができるように、蛇行経路の接着剤部、可撓性のチューブ部、およびカバーの1つ以上を用いて針を外力から切り離すことによって維持され得る。
【0027】
本発明の例示的な実施例のさまざまな目的、利点、および新規の特徴は、添付図面と一緒に読むとき、以下の詳細な説明からより容易に理解される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施例に従って、組み立てられた状態にある注入セットの上部の斜視図である。
【図2】本発明の実施例に従って、図1における注入セットの下部の斜視図である。
【図3】本発明の実施例に従って、上蓋の作動、および、分離後の図1における注入セットの上部の斜視図である。
【図4】本発明の実施例に従って図1における注入セットの断面図である。
【図5】本発明の実施例に従って、上蓋の作動、および、分離後の図1における注入セットと、ポンプ用インターフェースコネクターを備えたアッセンブリーとの上部の斜視図である。
【図6】本発明の他の実施例に従って1つ以上の例示的な要素を含むことができる注入セットの斜視図である。
【図7】本発明の実施例に従って図6における注入セットの断面図である。
【図8】本発明の実施例に従って、下カバーから取り外された上蓋および注入セットを示す図6における注入セットの断面図である。
【図9】本発明の実施例に従って、図8における上蓋および注入セットの下部の斜視図である。
【図10】本発明の実施例に従って、上蓋の作動および分離前の図8における上蓋および注入セットの断面図である。
【図11】本発明の実施例に従って、作動し、上蓋の分離後の図8の注入セットの上部斜視図である。
【図12】本発明の実施例に従って、作動し、上蓋の分離後の図11における注入セットの断面図である。
【図13】本発明の実施例に従って、バルブコネクターの取り付け後の図11における注入セットの上部の斜視図である。
【図14】本発明の実施例に従って、使用者の動きによって皮膚表面に対して挿入された針の角度とは異なる使用者の動きの角度で針を挿入することができる動作、および、例示的な注入セットを示す図である。
【0029】
その図面を通じて、同じ参照数字は、同じ部品、構成要素、および構造を意味するということである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下で説明する本発明の複数の例示的な実施例は、使用者の動きにより皮膚表面に対して挿入された針の角度とは異なる使用者の動きの角度で皮内の針挿入を行う新規の手段をもたらす。そのような挿入は、皮膚表面における上層3mmを正確に狙うことができ、マントー挿入法に実質的に匹敵することができ、インスリンを標準的なインスリンポンプにより皮膚の皮内層に送出することができる。たとえば、図14は、本発明の実施例に従って挿入された針の角度とは異なる皮膚表面に対する角度で、使用者の動きによって針を挿入するために使用可能とされる動き、および、例示的な注入セットの図である。図(a)は、使用前の自由状態で注入装置を示しており、図(b)は、皮膚表面に固定された時、その装置を示しており、図(c)は、本発明の実施例に従って、挿入された針の角度とは異なる皮膚表面に対する角度で行われる使用者の動きによって皮膚表面に対してある角度で皮膚表面内への挿入中のその装置を示している。
【0031】
図14(a)では、ハブ2は、針5の基部は、使用者の動きによって付勢されるとき、挿入中、移動するように構成される挿入通路4を含む。図(a)において、自由状態では、針5は、接着層6を介して皮膚表面8に固定されるように構成されたハブ2の基部に対して第1の角度にある。図(b)のように皮膚表面に貼り付けられた場合、針5は、最初、皮膚表面8との接触によってハブ2の基部の方へ向きを変え第2の角度に至る。その皮膚の表面は、程度の差があるが下向きのテント形になり得る。その後、使用者の動きが、矢印Iの方向に加えられ、針5が、通路4に沿って第3の角度で移動する場合、その皮膚が、針5に抵抗力を矢印IVの方向に作用し、その結果、目標の深さおよび最終の挿入角度を実現するように針5の軸方向および径方向両方の動きをもたらす。たとえば、使用者の動きが加えられた場合、針5における矢印IVの方向の皮膚力は、矢印IIの方向の軸方向の動きと、矢印IIIの方向の半径方向の動きとをもたらす。矢印Iにおける使用者の動きがいったん取り去られたならば、その力は実質的に減じ、その結果、図(a)に示すものにより近い最終の針挿入角度をもたらす。最終挿入角度は、たとえば、第1の角度と同じ、または、異なっていてもよく、第1の角度は、実際には、ハブ2の基部に対して10度で開始し、挿入後、ハブ2の基部に対して20度まで増大させてもよい。針がその最終位置に到達する前に行う針の振れおよび弛緩は、インスリンおよび他の薬剤の皮内への送出を向上させる皮膚の皮内層内に、ポケットを作るものと考えられる。図14に示され、以下で説明する本発明の例示的な実施例で実施されるように、その針は、使用者の動き(たとえば矢印I)によって皮膚表面に対して挿入された針の角度とは異なる使用者の動きの角度で挿入され得る。
【0032】
そのようにするために、例示的な実施例は、接着剤で固定されるメインハブと、摺動可能な上蓋と、ニードルハブと、たとえば、マントー挿入法に実質的に匹敵する皮膚表面の上層3mmを正確に狙う皮内の針挿入を行うために使用可能とされる傾斜した、即ち、片持ち梁状に突出した針とを含む。その装置は、皮膚表面に接着剤で取り付けることができ、摺動可能な上蓋は、傾斜した針を所望の挿入位置に摺動し、または片持ち梁状に突出した針を外すように使用可能とされる。挿入された針を所定位置に保持するように可撓性アームを設け、針が所定位置となったら摺動可能なニードルハブおよび傾斜した針が後退することを防止し、一つ以上の蛇行経路の接着部分、軟質チューブ部を使用する注入セットのバルブハブからメインハブを分離することにより、挿入された針の位置は維持され、その上蓋は、挿入された針を外力から切り離すことができる。
【0033】
例示的な複数の実施例は、効率よく、かつ、使用者にとって使いやすいものとなるように構成され、注入セットは、現行の入手可能な代表的な注入セットとは異なるように挿入される。たとえば、第1の例示的な実施例では、使用者は最初、接着剤の裏打を剥がし、注入セットの患者接触表面における皮膚接着剤を見せる。次に、その装置は、使用者による下向きの圧力、即ち、加圧力によって注入部位に接着される。この位置において、使用者は、このとき、上蓋を摺動させて現在は静止状態のメインハブおよび廃棄処分されるロアハブから外すことができる。上蓋の摺動操作は、さらに、以下でより詳細に説明するように、傾斜した針を皮膚表面の上層3mm、すなわち、より良好な薬物吸収を容易にするように皮内空間に挿入する。その上蓋が取り外された状態において、バルブハブの主弁が、現れる。使用者は、それから、インスリンポンプをバルブハブに接続し、注入セットの呼び水入れを開始することができる。そのような呼び水入れの後、注入セットへのインスリンの標準的な送出が、もたらされる。
【0034】
そのような例示的な注入セット内には、アウターハウジング内に収容された摺動可能な、傾斜した針を含むメインハブが設けられる。ひずみ、移動および振動を除去するためにメインハブは、軟質チューブ、および可撓性部分または接着剤の蛇行経路の少なくとも1つを介してバルブハブに接続される。メインハブは、バルブハブに至る軟質チューブとのフルイドインターフェース(fluid interface)と、針に対する固体の固着、およびアウターハウジングにおける可撓性アームを曲げるインターフェースとをもたらす。
【0035】
マントー法における皮膚の引っ張り、伸張、および/または、扁平に匹敵させるために、そのアウターハウジングは、粘着性パッドをそれぞれ、有し、注射部位に隣接する2本の可撓性アームを収容する。上蓋は、長穴を介してアウターハウジング内に到達するように構成されたドラッグアーム(drag arm)を含み得る。その装置が皮膚表面上に押さえつけられた場合、可撓性アームは、注入部位において皮膚に張り付く。使用者が上蓋を装置から取り外す場合、上蓋によって設けられた少なくとも1つのドラッグアームは、皮膚表面に対して平行な方向にニードルハブを引き、それによって移動するニードルハブによって接触されたとき、可撓性アームを外向きに移動させ、したがって、針挿入に備えて皮膚を引っ張り、伸張させ、および/または、扁平させる。これらの可撓性アームがその最大の変位に到達した場合、ニードルハブと共に移動する傾斜した針は、皮内層に入り込む。
【0036】
針およびニードルハブが、アウターハウジング内に収容された末端停止部まで引かれる場合、複数の可撓性アームは、針およびニードルハブの後方に後退し、挿入された針を所定位置に保持し、針およびニードルハブの動きを逆にすることを防止するパッシブスナップ(passive snap)を作り出す。同じ単一の動きで針が適切に挿入され、上蓋がこのとき取り外された状態において、それから、使用者は、ポンプインターフェースを、たとえば、可撓性のプラスチックスナップを用いてバルブハブに取り付ける。ポンプインターフェースバルブは、配管装着において役立つ回転を可能にするように構成される。
【0037】
図1〜図3に示される本発明の例示的な実施例では、装置10は、上蓋12と、メインハブ14と、バルブハブ16とを含む。軟質チューブ18が、メインハブ14とバルブハブ16の間の流体連通および防振双方のために設けられる。さらに、図2に示されるように、感圧接着剤層20が、メインハブ14およびバルブハブ16両方の下面に設けられる。メインハブ14とバルブハブ16との間のさらなる運動の切り離しや、以下でより詳細に説明するようにメインハブ14とバルブハブ16との間で動きが伝達されることを防止するために接着剤層20の蛇行経路部22が、メインハブ14とバルブハブ16の間の位置にさらに設けられる。以下で説明する本発明の例示的な実施例では、ハウジング、ハブ、および他の要素は、成型プラスチック材料、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート(PETおよびPTEG)または類似の材料から構成可能とされる。
【0038】
上蓋12は、使用者が握ることができる外面を含み、メインハブ14およびバルブハブ16の両方を摺動可能に覆うための内側開口部25を有する。その際、上蓋12は、装置を収容し、かつ装着およびその後の作動のための把持をもたらすための包装を実質的に含む。その包装は、接着剤層20の被覆によって完了する。
【0039】
接着剤層20は、図1に示されるように皮膚接触表面から上向きに延びるタブ要素24を備えている。タブ要素24は、使用前に上蓋12と、メインハブ14およびバルブハブ16とを一緒に固定するために使用され得る。装置10から離れているタブ要素24を引っ張ることにより、使用者は、上蓋12を固定せず、内側開口部25の端部の蓋をとり、上蓋が所定位置となったならば残部の構成要素から離れ、上蓋が摺動可能とされる。装置10から離れたタブ要素24をさらに引くことが、メインハブ14およびバルブハブ16の下面における感圧接着剤層20をむき出しにする。感圧接着剤層20は、接着繊維のような任意の適切な材料からなり得る。
【0040】
メインハブ14は、開口部44内に捕捉された傾斜したステンレス鋼またはプラスチック製の針26および摺動可能なニードルハブ28などの、その中に収容されるいくつかの要素を含む。傾斜した針26および摺動可能なニードルハブ28は、流体連通し、軟質チューブ18および接着剤層20の蛇行経路部22を介してバルブハブ16と物理的に結合される。また、図2に示されるように、メインハブ14は、ニードルハブ28の摺動可能な移動を案内する複数の可撓性アーム30を有し、傾斜した針26が皮膚表面内に挿入するために延在可能とされる開口をその下面に含んでいる。複数の可撓性アーム30は、その終点近くでニードルハブ28により撓まされるように構成され、ニードルハブ28の通過後、ニードルハブ25を最終位置に捕らえ保持するように構成される。
【0041】
例示的な実施例では、単一の傾斜した針26だけが示されているが、本発明の複数の実施例は、これに限定されない。これ、または、他の実施例では、複数の針が、設けられ、傾斜され、または他の方法で位置決めされ得る。傾斜した針26は、25ゲージ(gauge)から36ゲージまでの間であって、単一のベベル(bevel)、3つのベベル、または5つのベベルを備えたステンレス鋼またはプラスチック製の針/カニューレからなるものでもよいが、実施例は、これに限定されない。針26は、ロックタイト(Loctite)(紫外線硬化型接着剤)などの接着剤でニードルハブ28に接着可能とされる。または、針は、ニードルハブ28とオーバーモールド成形可能であり、あるいは、ニードルハブにねじ込み可能である。針26は、チューブ18を介してバルブハブ16と流体連通している摺動可能なニードルハブ28によって所望の角度で固定される。本発明の例示的な実施例では、針26は、目標を3mm以下の深さに設定するために、20度の角度で固定され、メインハブ12の下面に対して4mm延び、ハブ28に対して7mmの全長を有する。しかし、複数の実施例は、これに限定されない。本発明におけるこれ、または他の実施例では、針26は、5度から45度までの間の角度で固定可能であり、メインハブ12の下面に対して3mmから6mmまで延び、ハブ28に対して5mmから10mmまでの全長を有することができる。目標を皮下層の表皮内で注入の特有の深さを設定するように傾斜した針の位置の微調整をすることが可能になり得る。そのような傾斜挿入が、皮膚表面におけるテンティング(tenting)の危険性の低下を伴う皮内挿入についてより信頼性の高い結果を生み出す。
【0042】
ニードルハブ28は、以下でより詳細に説明するように、メインハブ14内で摺動可能であるように構成される。傾斜した針が移動する開口部の両側において、メインハブ142の下面の開口部は、可撓性アーム30を含み。ニードルハブ28を摺動可能に案内する可撓性アーム30は、その終点近くでは、ニードルハブ28によって撓ませられるように構成され、ニードルハブ28の通過後、ニードルハブ28を最終位置に捕らえ保持するように構成される。
【0043】
図4の断面図に示されるように、メインハブ14は、上蓋12が摺動するように構成されるアウターハウジング32をさらに含む。メインハブ14は、上蓋12の内面における類似の複数の突出部を摺動可能に捕捉することができる1つ以上の溝15を含むことができる。上蓋12は、第1の端部で閉じられているが、上述したタブ要素24によって覆われたとき、第2の端部で開口されている。装置10から離れたタブ要素24を引くことにより、使用者は、上蓋12を固定せず、内側開口部25の端部を見えるようにでき、注入部位に固定されているメインハブ14およびバルブハブ16から離れて上蓋12が摺動可能とされる。
【0044】
把持を容易にするための梨地模様の外面34を含むことができる上蓋12は、ニードルハブ28を所定位置に引くために1本以上のメインハブ14のアウターハウジング32内の開口部38を貫通するように構成されるドラッグアーム36をさらに含むことができる。詳細には、ドラッグアーム36は、摺動可能なニードルハブ28における1つ以上の移動止め42と係合するように構成された1つ以上の移動止め40を含むことができる。ニードルハブ28は、メインハブ14の開口部44内で摺動可能であるように構成される。上蓋12が矢印Aの方向に引かれ、メインハブ14が注入部位に固定されるとき、ドラッグアーム36は、メインハブ14の開口部44内で摺動可能なニードルハブ28を引くように構成される。メインハブ14の下面の開口部44の両側における可撓性アーム30は、注射部位において皮膚に張り付き、使用者が、上蓋12を引いて装置から外し、ニードルハブ28を皮膚表面に対して平行な方向に引くとき、可撓性アーム30は、ニードルハブ28を移動させることによって接触された場合、外向きに移動し、したがって、可撓性アーム30は、針挿入に備えて皮膚を引っ張り、伸張させ、および/または、扁平にする。可撓性アーム30がその最大の振れに到達した場合、ニードルハブ28と共に移動する傾斜した針26は、皮内層の中に入り込む。したがって、メインハブ14が皮膚表面(図示せず)に固定される場合、上蓋12を引くそのような動作だけが、使用者のばらつきを解消しながら、マントー法の傾斜挿入を実質的に繰り返すために必要とされるだけである。それによって、通常の使用中、皮膚表面の上層3mmに薬剤を送出するように針26を挿入し固定する。
【0045】
上述したように、メインハブ14の下面の開口部は、複数の可撓性アーム30を含み、可撓性アーム30は、それぞれ、各々の可撓性アーム30の一部分を挿入部位において皮膚表面に固定するための接着剤層、即ち、接着剤パッド46を含むことができる。その装置が皮膚表面上に押さえつけられた場合、可撓性アーム30は、挿入部位で皮膚表面に張り付く。使用者が上蓋12を装置から引き抜くとき、ドラッグアーム36は、メインハブ14のアウターハウジング32を貫通し、ニードルハブ28を開口部44内で皮膚表面に対して平行な方向に引き、ニードルハブ28を可撓性アーム30と接触させて、可撓性アーム30を外向きに移動させ、したがって、針26の挿入に備えて可撓性アーム30が固定される皮膚表面を、引っ張り、伸張させ、および/または、扁平させる。
【0046】
図2に示されるように、ニードルハブ28は、複数の可撓性アーム30相互間の空間48内で摺動するように構成される。さらに、各々の可撓性アーム30は、ニードルハブ28の移動端で、または、その近くでニードルハブ28における類似の高低のある端部52と係合するように構成される高低のある移動止め50を含む。したがって、各々の可撓性アーム30の接着剤パッド46は、挿入部位の近くで皮膚表面をしっかりと保持し、したがって、針26の挿入に備えて皮膚表面を引っ張り、伸張させ、および/または、平らにする間、ニードルハブ28が引かれるとき、ニードルハブ28の高低のある端部52は、高低のある移動止め50と係合し、移動止めを撓ませて可撓性アーム30を外向きに移動させる。さらに、この接触および振れのタイミングが、有益な効果を最大限にするように針26の挿入のタイミングと正確に一致するように構成される。
【0047】
可撓性アーム30がその最大の変位に到達したとき、傾斜した針26は、皮内層を貫通する。針26およびニードルハブ28が、メインハブ14のアウターハウジング32内に含まれた末端停止部まで引き出されるとき、ニードルハブ28は、高低のある移動止め50を乗り越えて可撓性アーム30がニードルハブ28の後方に後退することを可能にし、ニードルハブ28を最終位置に保持するパッシブスナップを作り出し、挿入された針26を所定位置に保持する。
【0048】
さらに、本発明の実施例における傾斜した針26の使用は、注入部位を維持する他の堅固な固定をもたらす。通常、小さい(すなわち1〜3mmの)針の位置を皮膚内に維持することは非常に困難である。しかし、針を傾斜させることにより、皮膚自体が垂直な保持力をもたらす。したがって、挿入された針は、垂直かつ水平の両方に固定される。さらに、傾斜挿入は、カニューレの開口部の垂直高さを低減することによって注入に対するより柔軟な針またはカニューレの選択を可能にする。また、針は角度を付けて挿入されるため角度を付けない挿入に設けられるものよりも長い針、および/または、針の開口部を使用して同じ皮内深さを狙うことができる。
【0049】
針26が適切に挿入され、上蓋12が取り外されて破棄された状態において、使用者は次いで、たとえば、可撓性のプラスチックスナップを用いてバルブハブ16上の溝60を捕捉することにより、ポンプインターフェースコネクター54およびチューブセット56を図5に示すようにニードルハブ16に取り付けることができる。ポンプインターフェースは、軟質チューブ18と流体連通するバルブハブ16の中央に配置された隔壁または他の弁部材58を穿孔するための穿孔部材(図示せず)を備えることができる。そのようにする際、ポンプインターフェースコネクター54およびチューブセット56は、チュービングの配置を助けるバルブハブ16周りの180〜270度までの回転を伴った回転を可能にするように構成される。ポンプインターフェースコネクター54は、1つ以上の押し付け可能な部分62を備えた可撓性本体をさらに備えることができ、この押し付け可能な部分62は、使用者によって圧迫されて可撓性プラスチックのスナップをバルブハブ16上の溝60から解放し、ポンプインターフェースコネクター54およびチューブセット56の取り外しを可能にすることができる。
【0050】
図3に示すように、上蓋12が取り外された状態において、メインハブ14およびバルブハブ16の弁部材58の両方が、暴露されており、使用者は、インスリンポンプをバルブハブ16に接続し、注入セットの固定された呼び水を開始することができる。メインハブ14の傾斜した針26および摺動可能なニードルハブ28は、軟質チューブ18および接着剤層20の蛇行経路部22を介してバルブハブ16と流体連通し、これと物理的に結合されている。呼び水後、注入セットへのインスリンの標準的な送出が、もたらされる。例示的な注入セットの針挿入前の呼び水を可能にするために上蓋12の一部分を取り外して弁連結のアクセスを可能にすることができる。
【0051】
針26は、メインハブ14のアウターハウジング32によって、かつチューブコネクション18およびメインハブ14の接着剤とバルブハブ16の接着剤の間の接着剤のらせん切断された部分22によるバルブハブ16からのメインハブ14の切り離しによって、外力および動作から保護される。すなわち、メインハブ14の傾斜した針26および摺動可能なニードルハブ28は、軟質チューブ18および接着剤層20の蛇行経路部22だけを介してバルブハブ16と流体連通し、これと物理的に結合されて、傾斜した針26およびメインハブ14の摺動可能なニードルハブ28を望ましくない移動から切り離す。ニードルハブ28および針26を外力から注意深く切り離すことにより、皮内層内の針の位置が維持される。
【0052】
また、最初にメインハブを皮膚表面に接着することにより、針角度、皮膚の引っ張り、伸張、および/または、平坦化および挿入深さが一貫していることを確実にする正確な機械的土台が設けられる。さらに、そのようにする際、テンティングもまた低減または解消される。さらには、ポンプ接続のために針部位を切り離すことにより、振動および移動が低減される。加えて、針をいかなる外力からもさらに切り離す低いプロファイルが、提供される。
【0053】
現在、上述したところで指摘したようなそのような皮内インスリン注入装置はまだ存在しておらず、皮内送出は、標準的なマントー法によって達成可能である。しかし、この方法は、ばらつきが高く、使用者の手違いに対して影響を受ける。加えて、皮内空間内に送出するいくつかの「パッチ」注射システムが存在している。しかし、これらのシステムは、長期期間(すなわち3日)のインスリン注入に対する解決策を実現することは困難になり得る。マントー法を標準化されたプロセスに本質的に単純化し、使用者のばらつきを取り除くシステムおよび方法を提供することにより、本発明の例示的な実施例は、好ましくは正常使用中、皮膚表面の上層3mmに内容物を送出するように針を挿入および固定し、インスリンを皮内空間内に送出するための実用的な解決策を提供している。
【0054】
そのような方法でマントー法を真似る際、針挿入は、単一の使用者の動きで達成可能である。本発明の例示的な実施例は、現在望ましいものであるがばらつきが高い皮膚の皮内層に注射する手段であるマントー法を標準化する。正しく施されたとき、マントー法は、うまく薬剤を皮内空間に注射する。この好ましい技術においてばらつきを解消することにより、信頼性の高い証明された注入手段が、確立される。
【0055】
上述の例示的な実施例は、取り外し中の上蓋の使用者による制御された摺動操作を用いて針挿入を実施する。一部の他の注入セットは、圧縮または屈曲したプラスチックばねが針を強制的に駆動する皮膚内への衝撃挿入を必要とする。これらの挿入方法は、注入セットとは別個のものであることが多い、かさばる挿入装置を必要とし得る。上述の例示的な実施例では、使用者は、上蓋を引いて外し、それによって皮膚表面を伸張させ、および/または、平坦化するまたは他の形で皮膚張力を作り出し、そしてマントー法と同一のやり方で針を下向きに押し進めるだけである。挿入装置を解消することにより、使用者は、使用者が挿入できないセットを使用させられることはなく、マントー法を介して挿入することにより、全体的な装置プロファイルは、小さくかさばらないままである。
【0056】
皮膚の皮内層内に注入することにより、本発明の例示的な実施例は、皮下送出システムと比較したとき、インスリンをより良好に吸収するという可能性を提供する。そのようにする際、一般的な使用者は、より少ないインスリンを消費すると共により良好な薬剤管理体制を維持することが可能になり得る。所望であれば、単一の針またはマイクロ針の代わりに複数の針またはマイクロ針を使用できることが理解される。
【0057】
上述したところで指摘したように、他の皮内注入セットの概念は、皮膚が、挿入時または挿入中に撓まされて針挿入点における皮膚表面内にテントに関連付けられる形状を作り出す望ましくない影響である、テンティングを起こすというリスクがある。そのようにする際、皮膚表面は、皮膚内への針の貫通中ではなく針挿入中にテント形になる。しかし、本発明は、制御された角度で挿入される針を提供し、かつこの場合、皮膚表面は、挿入部位において固定され、引っ張られ、伸張され、および/または平坦化されているので、本発明の例示的な実施例は、このリスクを低減し、より正確な針挿入深さを確実にする。
【0058】
皮下層に送出する現在の鋼製カニューレの注入セットでは、針は、針まで伝えられたときに疼痛を生じさせ得る、あらゆる望ましくない外部の力から切り離しされておらず、針は皮膚内で移動する。また、他の皮内装置は、針が外部の力から切り離しされていない場合に装置に衝撃がかけられたとき、早期にまたは他の望ましくない形で針が取り外されるという問題に直面する。
【0059】
本発明の例示的な実施例では、皮内針は、いくつかの特徴によって外部の力から切り離しされる。第1に、メインハブ14のアウターハウジング32は、敏感な針26およびニードルハブ28を外力との直接接触から遮蔽する。第2に、メインハブ14とバルブハブ16の間の連結18および22は、バルブハブ16上に付与されたいかなる力も針26に持ちこさないように極めて可撓性のものである。たとえば、可撓性のチュービングコネクション18および接着剤層20の蛇行経路部22を設けることは、針26を外部の力および他の干渉から効果的に切り離すように働く。
【0060】
適切な位置合わせは、使用者がアウターハウジング12を摺動させ、傾斜した針26を挿入するための堅固な、固定された土台を設けることによって達成される。そのような堅固な固定された土台は、接着剤層20によってもたらされる。皮膚接着剤層は、セット10を所望の向きに固定し、それにより、ニードルハブ28および傾斜した針26ならびに上蓋12は所望の使用向きにあり、使用者は、装置を挿入部位に対して角度を付けて保持することが実質的に防止される。したがって、正確な反復可能な挿入が達成される。
【0061】
さらに、多くの市販セットは、別個の自動式挿入装置の使用を必要とする。本明細書で説明した本発明の例示的な実施例では、使用者は、別個の挿入装置を持ち運ぶ、または注入セットを挿入装置上に搭載する必要はない。一体化されたシステムにより、使用者は、別個の挿入装置を持ち歩き、搭載することからより自由になることが可能になり、その結果、利便性を向上させ、作動をより簡単にする。
【0062】
しかし、同様の利益が、皮膚内への針の衝撃挿入の適切な実施においても存在し得る。たとえば、本発明の以下の実施例では、テンティングのリスクを低減し、より正確な針挿入深さを確実にするために、摺動動作を衝撃挿入と共働させて使用することもできる。上蓋を利用して、針を駆動する片持ち梁および遮断されたニードルハブに負荷をかけ次いで解放することにより、適切な挿入および挿入された針の皮内空間内の維持が確実にされる。
【0063】
図6および図7は、以下の特徴を含む他の例示的な注入セット100を示している。図6および図7に示すように、例示的な注入セット100は、上蓋120と、下カバー140と、それらの間に捕捉された外側ハブ160とを備えることができる。上蓋120は、下カバー140に解放可能に固定されるように構成され、図7および8の矢印Aによって示したように上向きの引き動作によって下カバー140から取り外すことができる。上蓋120の取り外し中、いくつかの作動フィーチャが係合される。以下で説明する本発明の例示的な実施例では、カバー、ハブ、および他の要素は、成形プラスチック材料、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート(PETおよびPETG)などの熱可塑性ポリマー、または類似の材料から構成することができる。
【0064】
上蓋120が引かれて下カバー140から離れるとき、外側ハブ160は、下カバー140によって少しの間保持され、それにより、上蓋120は最初、上蓋120と下カバー140の間に捕捉された外側ハブ160に対していくらかの距離を摺動式に引かれる。上蓋120が引かれるとき、上蓋12内に配設された複数の偏向可能なスナップ180は、上蓋と共に摺動され、一方で外側ハブ160は、下カバー140によって保持されたままである。各々のスナップ180における勾配が、最終的に外側ハブ160の外面上のショルダ200と接触し、それによってスナップ180を外向きに偏向させ、図8に示すように、スナップ180がショルダ200を通り越し、チャネル220内に閉じ込められるようになることを可能にする。以下でより詳細に説明するように、スナップ180は、チャネル220内で矢印Aの方向に対して垂直な方向に摺動して、上蓋120の移動、詳細には上蓋120の外側ハブ160からの摺動可能な移動を可能にすることができる。
【0065】
図8に示すように、上蓋120のスナップ180が、外側ハブ160のチャネル220内に閉じ込められた後、上蓋120をさらに引いて下カバー140から離すことは、外側ハブ160を上蓋120と共に矢印Aの方向に引き、外側ハブ160を中に含む上蓋120を下カバー140から分離するような働きをする。下カバー140は、このとき破棄することができる。本発明のさらに他の実施例では、下カバー140は、安全な遮蔽された針の処分のために使用後にセットに再度取り付けるために保管される。下カバー140は、安全な処分のために同じまたは先に使用したセットの露出された針280を再度覆うために保管され得る。
【0066】
次に図9〜図12に示されるように、外側ハブ160は、軟質チューブを介してバルブコネクションセプタムと流通連通する片持ち梁状に突出した針およびニードルハブを含む内側ハブ400を覆い、その中に内側ハブを含む。詳細には、内側ハブ400は、軟質チューブ440を介してバルブコネクションセプタム360と流体連通する、少なくとも1つの片持ち梁240、針280およびニードルハブ260を含む。内側ハブ400は、可撓性部材420および軟質チューブ440だけによって外側ハブ160と連結される。内側ハブ400の針280は、3mm以下の深さを狙うために3mmから10mmまでの間の全長を有することができ、31ゲージから34ゲージの間の、単一のベベル、3つのベベル、または5つのベベルが設けられた、1.0mmから10mmまでの間の長さのステンレス鋼またはプラスチックの針を含むことができるが、実施例はこれに限定されない。針280は、ロックタイト(Loctite)(紫外線硬化型接着剤)などの接着剤でニードルハブ260に結合させることができ、または、ニードルハブ260とオーバーモールド成形可能であり、またはそれにねじ込み可能である。1本の片持ち梁240および針280だけが示されている。しかし、本発明の他の例示的な実施例では、複数の片持ち梁、および/または、針を設けることができる。外側ハブ160と針280との間の連結は、ニードルハブ260から延び、片持ち梁240によって偏向可能であり、内側ハブ400を通り、外側ハブ160のバルブコネクションセプタム360までの流体連通のための軟質チューブ440によってもたらされる。内側ハブと外側ハブとの間の空間内に軟質チューブ440のループを設けてさらなる柔軟性および遮断をもたらすことができる。
【0067】
上蓋120は、外側ハブ160の上面内の長穴開口部340を通って延びて内側ハブ400の片持ち梁240と係合する、1本以上のビームハンガーアーム300をさらに備える。上蓋120が矢印Aの方向に引かれて下カバー140から離れるとき、上蓋120の、移動止め、ショルダまたは他のフィーチャをその端部に有する少なくとも1本のビームハンガーアーム300は、外側ハブ160の上面内の長穴340を通って到達し、内側ハブ400の片持ち梁240を捕捉し、上蓋120が矢印Aの方向に取り外されたとき、片持ち梁240に予負荷をかけるように構成される。ビームハンガーアーム300の移動は、図10に示すように内側ハブ400の片持ち梁240を引き、偏向させ、および/または、負荷をかけるように働く。片持ち梁240をビームハンガーアーム300によって完全に偏向させ負荷をかける位置は、上述のように、スナップ180が、外側ハブ160のチャネル220内に閉じ込められるようになる地点において実質的に起こるように構成される。そのような位置では、上蓋120および外側ハブ160は、矢印Aの方向の前方または後方のすべてのさらなる移動が防止される。したがって、上蓋120および外側ハブ160は、針の放出または片持ち梁240の応力緩和のリスク無しに安全に取り扱うことができる。
【0068】
この時点で、使用者は、上蓋120およびその中の外側ハブ160を皮膚表面(図示せず)にあてることができる。接着剤層320は、外側ハブ160および内側ハブ400の下面上に設けられて、外側ハブ160および内側ハブ400を皮膚表面に固定することができる。正しい位置になった後、上蓋120を、図10の矢印Bによって示すように外側ハブ160および内側ハブ400に対して摺動させることができる。外側ハブ160のチャネル220内に閉じ込められたスナップ180は、図11に示すように外側ハブ160および内側ハブ400を所定位置に残して、外側ハブ160および内側ハブ400からの上蓋120の摺動式の取り外しを誘導する。さらに、上蓋120のビームハンガーアーム300は、図11に示すように、外側ハブ160の上面内の長穴340が許す範囲で、上蓋120と共に外側ハブ160および内側ハブ400に対して摺動式に引かれる。上蓋120のビームハンガーアーム300が、摺動式に引かれて内側ハブ400の片持ち梁240から外側ハブ160の長穴340を通って離れるとき、片持ち梁240は、解放され、それによって、針280を、テンティングを最小限にする高い速度で挿入部位内に所望の深さで挿入する。本発明の例示的な実施例は、針280を3.3ft/秒(1.0m/秒)から10ft/秒(3.0m/秒)までを含むそれ以下の制御された高い速度で挿入するように構成される。カニューレの鋭敏性によっては、そのような終端速度は、皮膚表面のテンティングのリスクの低減を伴って短い(すなわち1.5mmの)針またはカニューレの皮内挿入に対してより信頼性の高い結果を生み出す。外側ハブ160内の長穴340は、端部342において開いており、ビームハンガーアーム300を含む上蓋120を外側ハブ160から完全に摺動式に取り外すことを可能にする。
【0069】
図11に示すように外側ハブ160の現在露出されている上面は、円形のバルブコネクター380の穿孔部材(図示せず)を受け入れるためのバルブコネクションセプタム360へのアクセスを可能にする。チューブコネクター370およびチューブ390を備えたバルブコネクター380は、外側ハブ160を覆って置かれ、矢印Cの方向に摺動させてバルブコネクションセプタム360と係合することができ、バルブコネクションセプタム360は次いで、外側ハブ160を注入ポンプまたは他のインスリン供給装置(図示せず)に連結し、注入ポンプのリザーバと装置の間に流体連通をもたらす。
【0070】
針の遮断は、いくつかの遮断機構を介して達成される。第1に、外側ハブ160および装置のバルブコネクター380は、保護カバーとしてかつ内側ハブ400を外力から切り離す要素として働く。第2に、内側ハブ400は、外側ハブ160内に設けられ、詳細には、敏感な針280および内側ハブ400の片持ち梁240は、内側ハブ400によって外力から遮蔽されてさらなる遮断ももたらす。第3に、内側ハブ400は、可撓性部材420およびチューブ440だけを介して外側ハブ160に連結される。振動および外力をさらに切り離すために、内側ハブ400下方の接着剤は、薄い応力緩和部420を介して、外側ハブ160下方の接着剤に連結され、内側ハブ400と外側ハブ160の間の流体連通が、軟質チューブ440を介して設けられ、そのために外側ハブ160およびバルブコネクター380上に付与されたいかなる力も内側ハブ400の針280に持ち越さず、または伝達しない。第4に、軟質チューブ440は、流体連通のためにニードルハブ260から内側ハブ400をループして外側ハブ16のバルブコネクションセプタム360まで設けられる。このループされたチュービングの相対的な柔軟性は、2つのハブを互いにさらに切り離すように働く。
【0071】
装置の例示的な使用では、使用者は最初、図示するように上蓋120および下カバー140を引き離す。下カバー140は、上蓋120が外側ハブ160の外側ハブ誘導通路220に嵌まり込み、片持ち梁240に負荷がかけられた後に装置から分離する。下カバー140が、上蓋120および外側ハブ160から分離するとき、皮膚接着剤320が、外側ハブ160の下面上で露出される。
【0072】
使用者は、ここで、装置を注入部位上に置くことができる。上蓋120を横向きに引いて外側ハブ160から外すことにより、片持ち梁240は解放され、針120は、皮膚表面内に放出される。本発明の例示的な実施例では、針280は、皮膚表面の上部3mm内に挿入され、保持されるが、本発明はこれに限定されない。上述したところで指摘したように、皮膚表面の上層3mm、すなわち、皮内空間内への針の挿入により、使用者に対してある程度の快適性を維持しながらより良好な薬物吸収が容易にされる。
【0073】
上蓋120が取り外された状態において、使用者は、次いで、注入ポンプとの連結のためにバルブコネクター380を取り付けることができる。固定プライムにより、装置は、このとき、インスリンを所望の深さおよび速度で注入できる状態である。本発明の他の例示的な実施例では、針挿入前のセットの呼び水を可能するために、変更された上蓋(図示せず)の一部分を取り外し、外側ハブ160のバルブコネクションセプタム360に対するアクセスを可能にすることができる。
【0074】
上述したところで指摘したように、装置内の片持ち梁は、最初負荷がかけられ、次いで、使用者によって放たれるが、その理由は、予め負荷がかけられた梁を格納することにより、装置は可塑性の応力緩和を受けるためである。そのようにするためには、使用者がカバーを引き離すとき、上蓋上のアーム(複数可)は、外側ハブの下に中央に装着された片持ち梁を引き戻す。片持ち梁の作動は、Euler−Bernoulliの梁理論、または技術者梁理論、古典梁理論または、梁構造の負荷運搬および偏向特性を算出する手段を提供する梁理論によって説明されている。
【0075】
外側ハブ160の外面には、片持ち梁240に適切に応力がかけられたとき、外側ハブ160と共に、垂直に上蓋120を停止させる誘導トラック220が位置している。この末端停止部では、上蓋120は、垂直に係止され、下カバー140は、装置から分離し、皮膚接着剤320が暴露される。
【0076】
正しい位置になった後、装置が注入部位に接着された状態において、上蓋120は、次いで、矢印Bによって記された方向に誘導通路220に沿って引かれ得る。上蓋120が引き離されるとき、片持ち梁240を保持するアーム300は、その側部のタブを乗り越え、それによって片持ち梁240を放出し、挿入針280を皮膚内に押し出すことを可能にする。単一の挿入針しか図示されていないが、本発明は、これに限定されない。
【0077】
片持ち梁240は、挿入後でも注入部位上に小さい圧縮力を維持する、小さい予負荷を含むように設計される。皮膚上のこの力は、針位置を長時間にわたって維持するように働く。そのような局所化された予負荷力は、皮膚内の針深さを維持する。この追加された圧力は、ニードルハブ260と皮膚の間の接触を維持する。したがって、針280は、皮膚の皮内層内に正確な深さで維持される。本発明の好ましい実施例では、そのような深さは、皮膚表面の上層3mm以内である。
【0078】
本発明のこのまたは他の例示的な実施例では、片持ち梁は、送出の均衡を保つために対向するアームによって応力がかけられ、保持され得る。さらに、ニードルハブの角度は、挿入角度および針の最終配置に影響を与えるように本発明のこのまたは他の例示的な実施例において変更することができる。本発明のこれらまたは他の実施例では、片持ち梁は、たとえば、成形プラスチック材料、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート(PETおよびPETG)などの熱可塑性ポリマー、または類似の材料を含む、プラスチック、金属、または他の弾性材料から構成することができる。
【0079】
円形のバルブコネクター380は、外側ハブ160を覆って垂直に置かれ、次いで、矢印Cの方向に水平に摺動される。バルブコネクター380の水平移動により、穿孔部材(図示せず)が隔壁弁360内に押し出され、スナップ460が、内側壁に沿って設けられて、外側ハブ160内の移動止めと係合し、バルブコネクター380を所定位置に嵌め込む。バルブコネクター380は、空間382が許す範囲で、隔壁弁360の反対側の側部を押し、これによってバルブコネクター380のスナップ460を撓ませ解放することによって片手で取り外され得る。バルブコネクター380のタイプは、回転、固定、容易な使用、および他の所望の特徴および機能を可能にするためのさまざまな実施例を有することができる。
【0080】
現在、皮内インスリン注入装置は市場に存在していないが、その理由は、挿入し、針位置を皮内層内に維持する頑強な手段は、極めて困難であるためである。しかし、簡易化された片持ち梁を利用して装置内にエネルギーを格納することにより、挿入および針の維持が、簡易化されたやり方で達成される。片持ち梁自体は、外側ハブによってあらゆる外力および振動から保護される。内側ハブおよび片持ち梁を外力から慎重に切り離すことにより、皮内層内の針位置が維持される。
【0081】
さらに、皮膚の皮内層内に注入することにより、本発明の例示的な実施例は、皮下送出システムと比較したとき、インスリンをより良好に吸収するという可能性を提供する。そのようにする際、一般的な使用者が、より少ないインスリンを消費すると共により良好な薬剤管理体制を維持することが可能になり得る。
【0082】
上述したところで指摘したように、他の皮内注入セットの設計は、皮膚が、挿入前または挿入中の針挿入において偏向されてテントに類似する形状を作り出す望ましくない影響である、「テンティング」を起こすというリスクがある。そのようにする際、皮膚表面は、皮膚内への針の貫通中ではなく針挿入中にテント形になる。しかし、接着剤層が設けられ、すばやい針挿入が、作動された片持ち梁を介してもたらされるため、テンティングまたは他の形で最終挿入深さに影響を与える皮膚偏向のリスクが、低減される。さらに、皮膚に垂直に置かれ、外部の力から切り離された小さい皮内針により、使用中、使用者に対して引き起こされる疼痛は、より小さくなる。
【0083】
さらに、現在市場にあるほとんどの注入セットは、挿入装置を必要とする。挿入装置は、通常、装置梱包品の使い捨てもしくは処分部品、またはセットの安価な第2の部分である。しかし上述の本発明の例示的な実施例では、挿入は、片持ち梁、上蓋および下カバーの使用によって単一の装置にすべて一体化され得る。本明細書で説明した本発明の例示的な実施例では、使用者は、別個の挿入装置を持ち運び、または注入セットを挿入装置上に搭載する必要はない。一体化されたシステムにより、使用者は、別個の挿入装置を持ち歩き、搭載することからより自由になることが可能になり、その結果、利便性を向上させ、作動をより簡単にする。市場の一般的な装置は、比較的大型の外部挿入装置を使用して針を皮膚内に放つ。対称的に、本発明の例示的な実施例は、屈曲された片持ち梁を利用するという利点を提供し、ここでは負荷、および、解放は、カバー取り外しステップに組み込まれ、次いでそのようなカバーを破棄することができる。そのようにする際、上蓋は、取り外し可能な挿入装置として機能することができる。そのようなシステムおよび方法は、経済的であり、簡単であり、かつ小型のものであり、装置と一体化された挿入のシステムを実現する。したがって、使用者は、追加の工具無しに装置を正しく挿入することができる。
【0084】
本発明のわずかだけの例示的な実施例を上述したところで詳細に説明してきたが、当業者は、多くの変更が、本発明の新規の教示および利点から著しく逸脱せずに、例示的な実施例において可能であることを容易に理解するであろう。したがって、すべてのそのような変更は、添付の特許請求の範囲で画定された本発明の範囲内およびその均等物に含まれるものであることが意図される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮膚表面に固定されるように構成される注入セットであって、
針を含む移動可能な第1のハブと、
前記皮膚表面に対して平行な方向に摺動し前記第1のハブを移動させ、前記針を前記皮膚表面内に配するように構成される摺動可能なカバーと、
を含む注入セット。
【請求項2】
前記第1のハブは、前記注入セットの下面に対してある角度で前記第1のハブによって固定された前記針を含む請求項1に記載の注入セット。
【請求項3】
第2のハブをさらに含み、前記第1のハブは、該第2のハブに移動可能に配され、該第2のハブは、皮膚表面に固定されるように構成され、上面に長穴開口部を含み、
前記摺動可能なカバーは、前記長穴開口部を貫通し、前記第1のハブと係合するように構成されるドラッグアームを含み、
前記係合が、前記摺動可能なカバーの摺動可能な移動を、前記第1のハブおよび前記針の前記摺動可能な移動に伝達する請求項1に記載の注入セット。
【請求項4】
前記第2のハブは、前記針が前記皮膚表面に対して前記平行な方向に摺動された場合、前記針が延びる下面に開口を含む請求項3に記載の注入セット。
【請求項5】
前記角度は、前記注入セットの前記下面に対して5度から45度までの間である請求項2に記載の注入セット。
【請求項6】
前記第2のハブは、前記針が延びる前記下面の前記開口内に配された第1の可撓性アームおよび第2の可撓性アームであって、前記開口の両側で皮膚表面を固定するように構成され、前記第1のハブが前記皮膚表面に対して前記平行な方向に摺動される場合、撓まされるようにさらに構成される第1の可撓性アームおよび第2の可撓性アームを含む請求項4に記載の注入セット。
【請求項7】
前記複数の可撓性アームが最大変位に到達した場合、前記針は、前記皮膚の皮内層に入り込み、使用者のばらつきを取り除きながらマントー法の傾斜挿入を実質的に繰り返すように構成される請求項6に記載の注入セット。
【請求項8】
注入チューブセットの接続を受け入れるための第3のハブをさらに含み、前記第1のハブおよび前記第2のハブは、チューブ部および蛇行経路の接着部を介して前記第3のハブと連通し、
前記チューブ部および前記蛇行経路の接着部は、前記第1のハブおよび前記第2のハブを、運動から切り離すように構成される請求項3に記載の注入セット。
【請求項9】
前記第1のハブは、片持ちアームと、その端部に固定された前記針とを含む請求項1に記載の注入セット。
【請求項10】
さらに第2のハブを含み、前記第1のハブは、該第2のハブ内に移動可能に配され、前記第2のハブは、皮膚表面に固定されるように構成され、上面内に長穴開口を含み、
前記摺動可能なカバーは、前記長穴開口部を貫通し、前記片持ち梁と係合するように構成されたビームハンガーアームを含み、前記摺動可能なカバーの前記摺動可能な移動が、第1の方向に移動された場合、前記片持ち梁を装着し、第2の方向に移動された場合、前記片持ち梁を解放するように構成される請求項9に記載の注入セット。
【請求項11】
前記第2のハブは、注入チューブセットの接続を受け入れるように構成され、前記第1のハブおよび前記第2のハブは、チューブ部および可撓性部を介して連通し、前記チューブ部および可撓性部は、前記第1のハブを運動から切り離すように構成される請求項10に記載の注入セット。
【請求項12】
内容物を上層皮膚表面に送出するように目標を所望の深さに設定するための方法であって、
針を含む移動可能な第1のハブを有する注入セットを注入部位に載置し、
前記第1のハブを移動させ、所望の注入深さに到達するまで前記針を前記皮膚表面内に配置するように前記注入セットのカバーを皮膚表面に対して平行に摺動させ、
前記カバーを前記注入セットから取り外し、注入ポンプチューブ取付具を取り付けることを含む方法。
【請求項13】
前記第1のハブは、前記注入セットの下面に対してある角度で前記第1のハブによって固定された前記針を含み、該針は、前記皮膚表面に対して平行に前記注入セットの前記カバーを摺動させることによって前記角度で前記皮膚表面内に配置される請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記皮膚表面に対して平行に前記注入セットの前記カバーを摺動させることによって、前記注入部位で皮膚表面を引っ張ることをさらに含む請求項12に記載の方法。
【請求項15】
使用者のばらつきを取り除きながらマントー法の傾斜挿入を実質的に繰り返すように、前記皮膚表面が引っ張られた場合、前記針が、前記皮膚の皮内層に入り込むように構成される請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記注入ポンプチューブ取付具をチューブ部および蛇行経路の接着部を介して前記第1のハブに取り付けることをさらに含み、
前記チューブ部および蛇行経路の接着部が、前記第1のハブを運動から切り離すように構成される請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記第1のハブは、片持ちアームと、その端部に固定された前記針とを含み、前記針は、所望の注入深さに到達するまで前記皮膚表面に対して平行に前記注入セットの前記カバーを摺動させることによって、従って前記片持ちアームの解放によって制御された速度で前記皮膚表面内に配置される請求項12に記載の方法。
【請求項18】
前記片持ち梁に装着するように前記摺動可能なカバーを第1の方向に摺動させることをさらに含む請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記片持ち梁を解放するように前記摺動可能なカバーを第2の方向に摺動させることをさらに含む請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記注入ポンプチューブ取付具を第2のハブに取り付けることをさらに含み、前記第1のハブは、前記第2のハブに移動可能に配され、前記第2のハブは、前記注入部位における前記皮膚表面に接着され、前記第1のハブは、チューブ部および可撓性部を介して前記第2のハブと連通し、該チューブ部および可撓性部は、前記第1のハブを運動から切り離すように構成される請求項12に記載の方法。
【請求項21】
内容物を上層皮膚表面に送出するように目標を所望の深さに設定するための方法であって、
前記皮膚表面に対して第1の角度で、針を含む注入セットを注入部位における皮膚表面に配置し、
前記針を挿入するための前記第1の角度とは異なる前記皮膚表面に対する第2の角度で、前記針に動きを加えることを含む方法。
【請求項22】
皮膚表面に固定されるように構成され上層皮膚表面に内容物を送出するように目標を所望の深さに設定するための注入セットであって、
動きにより付勢されるとき、挿入中、移動するように構成されるハブおよび針を含み、
前記針は、自由状態において前記皮膚表面に対して第1の角度をとるように構成され、
前記針は、前記動きの解放時、前記皮膚表面に対する前記第1の角度に向かって戻るように構成され、前記動きが、前記針の前記第1の角度とは異なる前記皮膚表面に対する角度である注入セット。
【請求項23】
前記ハブが前記動きを加える以前を除き、前記皮膚表面に、固定された場合、前記針は、前記皮膚表面に対して第2の角度をとるように構成され、
前記針は、前記動きが加えられている間、前記皮膚表面に対して第3の角度をとるように構成される請求項22に記載の注入セット。
【請求項1】
皮膚表面に固定されるように構成される注入セットであって、
針を含む移動可能な第1のハブと、
前記皮膚表面に対して平行な方向に摺動し前記第1のハブを移動させ、前記針を前記皮膚表面内に配するように構成される摺動可能なカバーと、
を含む注入セット。
【請求項2】
前記第1のハブは、前記注入セットの下面に対してある角度で前記第1のハブによって固定された前記針を含む請求項1に記載の注入セット。
【請求項3】
第2のハブをさらに含み、前記第1のハブは、該第2のハブに移動可能に配され、該第2のハブは、皮膚表面に固定されるように構成され、上面に長穴開口部を含み、
前記摺動可能なカバーは、前記長穴開口部を貫通し、前記第1のハブと係合するように構成されるドラッグアームを含み、
前記係合が、前記摺動可能なカバーの摺動可能な移動を、前記第1のハブおよび前記針の前記摺動可能な移動に伝達する請求項1に記載の注入セット。
【請求項4】
前記第2のハブは、前記針が前記皮膚表面に対して前記平行な方向に摺動された場合、前記針が延びる下面に開口を含む請求項3に記載の注入セット。
【請求項5】
前記角度は、前記注入セットの前記下面に対して5度から45度までの間である請求項2に記載の注入セット。
【請求項6】
前記第2のハブは、前記針が延びる前記下面の前記開口内に配された第1の可撓性アームおよび第2の可撓性アームであって、前記開口の両側で皮膚表面を固定するように構成され、前記第1のハブが前記皮膚表面に対して前記平行な方向に摺動される場合、撓まされるようにさらに構成される第1の可撓性アームおよび第2の可撓性アームを含む請求項4に記載の注入セット。
【請求項7】
前記複数の可撓性アームが最大変位に到達した場合、前記針は、前記皮膚の皮内層に入り込み、使用者のばらつきを取り除きながらマントー法の傾斜挿入を実質的に繰り返すように構成される請求項6に記載の注入セット。
【請求項8】
注入チューブセットの接続を受け入れるための第3のハブをさらに含み、前記第1のハブおよび前記第2のハブは、チューブ部および蛇行経路の接着部を介して前記第3のハブと連通し、
前記チューブ部および前記蛇行経路の接着部は、前記第1のハブおよび前記第2のハブを、運動から切り離すように構成される請求項3に記載の注入セット。
【請求項9】
前記第1のハブは、片持ちアームと、その端部に固定された前記針とを含む請求項1に記載の注入セット。
【請求項10】
さらに第2のハブを含み、前記第1のハブは、該第2のハブ内に移動可能に配され、前記第2のハブは、皮膚表面に固定されるように構成され、上面内に長穴開口を含み、
前記摺動可能なカバーは、前記長穴開口部を貫通し、前記片持ち梁と係合するように構成されたビームハンガーアームを含み、前記摺動可能なカバーの前記摺動可能な移動が、第1の方向に移動された場合、前記片持ち梁を装着し、第2の方向に移動された場合、前記片持ち梁を解放するように構成される請求項9に記載の注入セット。
【請求項11】
前記第2のハブは、注入チューブセットの接続を受け入れるように構成され、前記第1のハブおよび前記第2のハブは、チューブ部および可撓性部を介して連通し、前記チューブ部および可撓性部は、前記第1のハブを運動から切り離すように構成される請求項10に記載の注入セット。
【請求項12】
内容物を上層皮膚表面に送出するように目標を所望の深さに設定するための方法であって、
針を含む移動可能な第1のハブを有する注入セットを注入部位に載置し、
前記第1のハブを移動させ、所望の注入深さに到達するまで前記針を前記皮膚表面内に配置するように前記注入セットのカバーを皮膚表面に対して平行に摺動させ、
前記カバーを前記注入セットから取り外し、注入ポンプチューブ取付具を取り付けることを含む方法。
【請求項13】
前記第1のハブは、前記注入セットの下面に対してある角度で前記第1のハブによって固定された前記針を含み、該針は、前記皮膚表面に対して平行に前記注入セットの前記カバーを摺動させることによって前記角度で前記皮膚表面内に配置される請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記皮膚表面に対して平行に前記注入セットの前記カバーを摺動させることによって、前記注入部位で皮膚表面を引っ張ることをさらに含む請求項12に記載の方法。
【請求項15】
使用者のばらつきを取り除きながらマントー法の傾斜挿入を実質的に繰り返すように、前記皮膚表面が引っ張られた場合、前記針が、前記皮膚の皮内層に入り込むように構成される請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記注入ポンプチューブ取付具をチューブ部および蛇行経路の接着部を介して前記第1のハブに取り付けることをさらに含み、
前記チューブ部および蛇行経路の接着部が、前記第1のハブを運動から切り離すように構成される請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記第1のハブは、片持ちアームと、その端部に固定された前記針とを含み、前記針は、所望の注入深さに到達するまで前記皮膚表面に対して平行に前記注入セットの前記カバーを摺動させることによって、従って前記片持ちアームの解放によって制御された速度で前記皮膚表面内に配置される請求項12に記載の方法。
【請求項18】
前記片持ち梁に装着するように前記摺動可能なカバーを第1の方向に摺動させることをさらに含む請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記片持ち梁を解放するように前記摺動可能なカバーを第2の方向に摺動させることをさらに含む請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記注入ポンプチューブ取付具を第2のハブに取り付けることをさらに含み、前記第1のハブは、前記第2のハブに移動可能に配され、前記第2のハブは、前記注入部位における前記皮膚表面に接着され、前記第1のハブは、チューブ部および可撓性部を介して前記第2のハブと連通し、該チューブ部および可撓性部は、前記第1のハブを運動から切り離すように構成される請求項12に記載の方法。
【請求項21】
内容物を上層皮膚表面に送出するように目標を所望の深さに設定するための方法であって、
前記皮膚表面に対して第1の角度で、針を含む注入セットを注入部位における皮膚表面に配置し、
前記針を挿入するための前記第1の角度とは異なる前記皮膚表面に対する第2の角度で、前記針に動きを加えることを含む方法。
【請求項22】
皮膚表面に固定されるように構成され上層皮膚表面に内容物を送出するように目標を所望の深さに設定するための注入セットであって、
動きにより付勢されるとき、挿入中、移動するように構成されるハブおよび針を含み、
前記針は、自由状態において前記皮膚表面に対して第1の角度をとるように構成され、
前記針は、前記動きの解放時、前記皮膚表面に対する前記第1の角度に向かって戻るように構成され、前記動きが、前記針の前記第1の角度とは異なる前記皮膚表面に対する角度である注入セット。
【請求項23】
前記ハブが前記動きを加える以前を除き、前記皮膚表面に、固定された場合、前記針は、前記皮膚表面に対して第2の角度をとるように構成され、
前記針は、前記動きが加えられている間、前記皮膚表面に対して第3の角度をとるように構成される請求項22に記載の注入セット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−115671(P2012−115671A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−262074(P2011−262074)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(595117091)ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー (539)
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
【住所又は居所原語表記】1 BECTON DRIVE, FRANKLIN LAKES, NEW JERSEY 07417−1880, UNITED STATES OF AMERICA
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−262074(P2011−262074)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(595117091)ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー (539)
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
【住所又は居所原語表記】1 BECTON DRIVE, FRANKLIN LAKES, NEW JERSEY 07417−1880, UNITED STATES OF AMERICA
【Fターム(参考)】
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