説明

皮膚の光線治療用の装置

皮膚の光線治療用の装置は、光源(101)と、照射されるスポットの特に縁端部において放射線強度の急激な変化を防ぐために処置対象の皮膚(105)を照射する際の光強度プロファイル(104)を生成する光強度変調素子(103)とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚の光線治療用の装置に関し、特に皮膚の色素沈着を除去するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電磁放射線は、ヒトの皮膚を処置するための多数の治療および/または美容上の用途がある。電磁放射線を以降「光」と称し、この用語はヒトの目に見える領域外にある波長の放射線も含むものとする。このような処置の過程においては、通常、広い面積、すなわち平方ミリメートル大または平方センチメートル大の面積、が同時に照射される。
【0003】
現状技術においては、一度に照射される皮膚面積の広さが10μmから1000μmと小さい装置およびプロセスも周知である。WO2004/037068A2およびWO2004/037069A2の明細書を参照されたい。これらの装置およびプロセスにおいては、一度に複数の光源によって複数の光スポットが皮膚に照射され、複数の穴が高い放射線強度で皮膚に選択的に「焼き付けられる」。これらの穴の間隔は、30μmと2000μmの間に達する。皮膚の非照射区域への移行領域において放射線の作用を減らすために、照射区域の縁端部に位置するスポットのスポット密集度を下げるための措置も存在する。
【0004】
ただし、個々の放射線スポット自体に関しては、現状技術においてはスポットとその縁端部における光強度の分布に特化した制御は知られていない。それどころか、放射線スポットを通る対角部分に沿った放射線強度の推移が特に制御されていないため、放射線はスポット内で全強度となり、スポット外で無強度となる。この現状技術では、治療ポイント(スポット)の特に縁端部において、放射線強度を滑らかに連続的に移行させることは極めて困難である。さらにこの現状技術は、複数の人為的な小さな「傷」を皮膚に生成するとき、精巧な制御システムによって個々のスポットを皮膚上のさまざまなポイントに時間的に連続して配置するか、あるいは複数の「微小傷」を皮膚に同時に「焼き付ける」ために複数の光源および集光素子を含む極めて精巧な光学デバイスを設ける必要があるという短所がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の根底をなす目的は、改良された医学および/または美容上の成果が達成される、皮膚の光線治療用の装置を提供することである。特に、本発明によると、入れ墨の除去を色に関係なく、傷跡を残さずに行えるほか、いわゆる皮膚の若返りも可能である。
【0006】
本発明によると、この目的は、最大強度と最小強度とを有し、少なくとも最小強度領域において光の強度が連続的に変化する光強度プロファイルを皮膚の上および/または中に発生させる少なくとも1つの強度変調素子を、光源から出射される光のビーム路に配置した装置によって達成される。あるいは、本発明によると、放射線の少なくとも縁端部領域において強度を段階的に、具体的には、何れの場合も、最大強度に比べて段の高さが相対的に小さい複数の段階によって、変化させることもできる。
【0007】
本発明によると、最大強度の縁端部領域においては、強度が最小、例えば値「0」、に近づく際に、放射線強度のなだらかな移行、すなわち滑らかな、または段階的な、漸減が各スポットの縁端部において発生する。対応する説明は、放射線ラインの場合でもその縁端部において当てはまる。
【0008】
光強度変調素子は、従属クレームに記載のさまざまな実施形態を有しうる。したがって、光強度変調素子は、例えば光の吸収が変化する「中性フィルタ」(減光フィルタ)として構成されていることもある。例えば、ガラス板の形状では、その透過率は、光吸収物質の密度の違いに応じて場所によって異なり、例えば正弦関数または別の周期関数に対応して変化するため、透過する放射線の強度はこの関数に対応するように変調される。
【0009】
あるいは、ビーム路に配置された部分的に透過性の板の厚みを変化させることによって板の通過距離を変え、通過位置に応じて板による放射線の吸収度を変えることもできる(ベールの法則)。
【0010】
処置対象の皮膚に最終的に到達する透過放射線の上記の強度変調は、強度変調素子内での相対角度位置を違えて設定された複数の偏光フィルタによって実現することもできる。本発明のこの構成によると、これらの偏光フィルタの相対角度位置は、電気信号によって簡単に変えることができるので、発生する光強度プロファイルも簡単に調整可能である。
【0011】
光強度分布の最大値間の間隔は、5μmから1000μmの範囲内であることが好ましい。
【0012】
本発明は、1500nmと20,000nmの間の波長の光を直径が10μmと1000μmの間の1つ以上の光スポットの形態で発生させる複数のデバイスと、複数の微小傷を皮膚に生成するために、これらの微小傷を生成する光スポット間の距離が5μmと1000μmの間になるように光スポットを皮膚に照射する複数のデバイスと、これらの光スポットの縁端部において光の強度を連続的に徐々に変化させるための複数のデバイスとを有する、皮膚の自然および人為的な色素沈着を除去する装置をさらに含む。
【0013】
したがって、本発明は、皮膚の色素沈着を光によって除去するプロセスをさらに含む。
【0014】
本発明による上記の各装置および各プロセスは、一度に単一の放射波長を用いて実現することも、一度に複数の異なる放射波長を用いて実現することもできる。例えば、300nm(例えば乾癬および白斑の治療用)と20,000nm(COレーザ)の間の波長を用いることもできる。光源としては、例えば、あらゆる種類のレーザが考えられ、ファイバレーザ、LEDのほか、パルス式および他のランプが挙げられる。本発明の各装置および各プロセスは、パルス状の放射線および連続的な放射線によって実現することができる。
【0015】
本発明によると、単一の強度変調素子、例えば上記のような強度変調素子、と単一の光源(あるいは複数の光源)とによって、皮膚に照射する放射線の強度プロファイルを簡単に生成することが可能である。このプロファイルは、最大値と最小値とを有する「放射線強度の山並み」に相当する。
【0016】
単一または複数の光源から出射された放射線を光強度変調素子に伝達するための伝送システムとして、例えば光ファイバまたは他の光学手段など各種の伝送システムを用いることができる。
【0017】
本発明では、複数の光源を用いずに複数の光スポットを皮膚の上または中に導入することができるので、精巧に配置された複数の集光素子および関連の複数の光学デバイス(最初に引用した従来技術を参照のこと)も不要になる。
【0018】
本発明による強度変調素子は、複数の光源を実質的にシミュレートできる。この強度変調素子がない場合は、複数の光源が必要になる。
【0019】
本発明は、所望の医学または美容上の用途に合わせて広範囲にわたって強度プロファイルを適合化させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】皮膚の光線治療のための装置の第1の例示的実施形態を模式的に示す図である。
【図2】光強度変調素子の例示的実施形態と放射線に対するその作用とを示す図である。
【図3】複数の追加機能を有する別の例示的実施形態の、皮膚の光線治療のための装置を示す図である。
【図4A】入れ墨の除去を模式的に示す図である。
【図4B】図4Aによる入れ墨の除去のための照射の効果を模式的に示す図である。
【図4C】図4Aおよび図4Bによる入れ墨の除去の結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、本発明の例示的実施形態をより詳細に図面に基づき説明する。
【0022】
図1による光線治療装置は、光源101を含む。光源101として、上記の放射線発生装置が考えられる。光源101から出射された光は、伝送デバイス102によって、図1に模式的に表されている光強度変調素子103に伝達される。広い面積、例えば平方ミリメートル大または平方センチメートル大の領域、にわたって照射される電磁放射線は、その強度が光強度変調素子103によって空間的に変調される。すなわち、最大値と最小値とを有する三次元の「光強度の山並み」として光強度プロファイルが発生する。
【0023】
空間的に連続的または不連続的に変化する光強度プロファイルを有するこの放射線は、皮膚の上または中、例えば約4mmの深さ、に導入される。この光強度プロファイルの隣接する最小値と最大値の間隔は、5μmと1000μmの間の範囲内になる。
【0024】
図2は、一例示的実施形態の光強度変調素子203を示す。光強度変調素子203は、例えば図1の素子103の代わりに使用できる。
【0025】
図2による例示的実施形態の場合、光源(図2には図示せず)から出射された放射線201は、大きな直径を有する光強度変調素子203の表面全体に当たる。光強度変調素子203は、中性フィルタ(減光フィルタ)として、光を吸収する複数の粒子を有する。これらの粒子は、光強度変調素子203内に均一に分散している。この結果、光が光強度変調素子203を通過すると、光の通過位置における光強度変調素子の厚みに応じて放射線が吸収される。通過位置の素子203の厚みが厚いほど、より多くの光が吸収される。この吸収は、光の通過点における素子203の厚みに対応する指数関数に応じた第1近似の形で発生する。この結果、放射線204は、光強度変調素子203を出るときに、最大値と最小値とを有する光強度プロファイルを有する。図2には、光強度の最大値206、208が明るく(白色で)表されている。他方、強度変調された光204の低強度領域は暗色で(灰色から黒色で)表されている。光強度変調素子203の厚みが特に薄い個所において、光が最大強度206、208になる。光強度変調素子203の厚みが相対的に厚い個所では、素子の厚みに応じて強度プロファイルの最小値がより目立ってまたはそれほど目立たずに表れる。何れの場所においても、特に縁端部領域において、すなわち、強度プロファイルの最大値206、208から強度プロファイルの最小値に移行する個所において、強度の変化は急激ではなく、連続的で緩やかである。このような移行領域は、図2に210で示されている。この領域において、光強度プロファイルは連続関数に従って変化し、具体的には、その勾配は80を超えず、好ましくは75を超えない。本発明によると、光強度プロファイルは、集光レンズによって得られる光強度プロファイルに比べ、より滑らかな連続的でなだらかな移行部を伴って生成される。すなわち、強度勾配は、特に最小強度への移行領域において、集光レンズの場合に比べ、勾配がより緩やかである。この点に関して、最大強度値を有する処置ゾーンの外側の放射線強度は、必ずしも「ゼロ」まで下がる必要はない。これらの移行領域においては、強度は、相対的に低い値、すなわち最大強度値の10%未満、あるいは最大強度値の5%または3%未満など、を有してもよい。
【0026】
図2は、関連の構造要素、すなわち、特に光強度変調素子203、の断面を示す。詳細は概略的であり、図示されている以上の最大値および最小値を実質的に提供しうる。図示されている部分、すなわち図2に対応する画像、以外の断面においては、すなわち紙面に対して例えば直角または斜めの断面においては、光強度分布の最小値および最大値部分は上面図において(すなわち放射線201の方向から見て)ほぼ円形になりうる。すなわち、最大値および最小値部分は「光スポット」の形態で、あるいは皮膚にほとんど光が到達しない領域として生じる。最大強度値206、208間の間隔は、光スポットの寸法より実質的に大きい。光スポット自体は、例えば10μmと1000μmの間の直径を有しうる。
【0027】
図2による光強度変調素子203は、その厚みにより、皮膚上に生じる強度分布を画定する。すなわち、素子203のそれぞれの局部的厚みは、何れの場合も、この位置に対応する皮膚上の放射線の強度に反比例する。
【0028】
図2に基づき上で説明した強度分布は、別の例示的実施形態によると、縁端部領域および最小強度値への移行領域において、数学的に考えられる連続的な移行ではなく、階段状の強度変化を生じさせるように変更することもできる。移行領域には複数の段階が設けられることが好ましい。両方の例示的実施形態(連続的および階段状)に共通する点は、照射が最小値に移行する縁端部領域において、強度の変化が100%から最小値(例えば、0%)に急激に移行せず、上記のように徐々にまたは段階状に移行することである。
【0029】
光強度変調素子203のさまざまな構成は、図2に基づき説明した例示的実施形態の変形例により可能である。例えば、いくつかの偏光フィルタを放射方向に連ねて配置することもできる。この場合、上記の光強度プロファイルが生じるように、各偏光フィルタの相対角度位置を変えることもできる。この目的のために、電圧によって調整可能な偏光フィルタも利用可能である。この場合、医学または美容のさまざまな用途に合わせて光強度プロファイルを電圧により簡単に適合化できる。
【0030】
支持体内に配置された極めて小さな複数の結晶体によって光強度変調素子203を実現することも可能である。これらの結晶体は空間配向の違いに応じて放射線をさまざまに反射させる。
【0031】
透過度が異なる複数の半透過ミラーを設けることもできる。同様に、上記のように最大値と最小値の間の間隔が5μmから1000μmの規模の光強度プロファイルを例えば密度または組成の不均一性により発生させる各種の光励起可能媒質、例えば染料、蛍光物質、気体、結晶体、光ファイバ、も考えられる。
【0032】
最後に、非照射領域への移行がなだらかな専ら不連続的な光強度プロファイルを光学格子により実現することも可能である。
【0033】
図3は、さらなる機能要素を備えた皮膚の光線治療用の装置を示す。これらの機能要素はこの図に単に模式的に示されており、これらの機能要素自体はそれぞれ当業者が入手可能であるが、本発明による装置との連係において特別な利点をもたらす。図3による装置は、同じく光源301と伝送システム302とを有する。光強度変調素子304への光の入口の上流にスキャナ303が配置されており、このスキャナ303によって処置ゾーン全体に光を導くことができる。
【0034】
光強度変調素子304の下流のビーム路には、集光素子305が配置されている。
【0035】
処置対象の皮膚に対して、冷却装置、および/または超音波機器、および/またはバキュームデバイス、および/または皮膚変形用の複数の機械的デバイス(例えば、複数のローラ)を設けることもできる。このような組み立て体は、図3に模式的にブロックで表されている。さらに、本装置は、処置ゾーンを見やすくするための複数の光学素子306を備えることもできる。これらの光学素子は、処置の画像を取得し記録するための手段、例えば、ビデオカメラ、拡大鏡、拡大器、カメラ、プロジェクタをさらに備えることもできる。さらに、反射された放射線を記録および分析するための手段307を設けることもできる。同様にRF機器308を使用できる。上記のように皮膚に導入される強度プロファイルが画定された放射線は、皮膚の吸収挙動をRF放射線に関して変化させるが、これは皮膚の温度変化によって皮膚のインピーダンスが変化するからである。このように、発生した光強度プロファイルに応じて皮膚の画定された領域を選択的に加熱、すなわち処置、することができる。
【0036】
執刀者が楽に扱える手持ち式機器に上記の各装置、特に図1および図2に対応する装置、を収容することもできる。この点に関して、ハンドピースの移動、特に皮膚上のハンドピースの移動速度、を検出するためのデバイスが設けられていることもある。
【0037】
図1から図3に基づき説明した各装置は、通常、焼灼および焼灼以外の用途に使用できる。これらの装置は、皮膚の病的または望ましくない色素斑を除去するために適している。特に、美容の分野においては、あらゆる色の入れ墨および皮膚の良性の色素性変化を傷跡を残さずに除去することができる。次に、この除去方法を説明する。
【0038】
上記の装置で十分な強さの光強度(フルエンス)を用いると、「穴」などのいわゆる低侵襲性の傷が皮膚に焼き付けられる。体の機能は、これに対する反応として、より深い真皮層からかさぶたを形成する。このかさぶたには、自然の健康な色素に加え、皮膚の色素性変化の色素または人為的に導入された入れ墨の色素も含まれている。短期間の治癒段階の後、このかさぶたは剥がれ落ちると、そこに含まれていた色素も除去される。
【0039】
上記の各装置では、適切な強度に調整することによって、上記の皮膚の若返りなど、他の用途も可能である。すなわち、具体的には、皺および皮膚の凹凸領域を滑らかにするため、毛穴のサイズを縮小するため、組織を引き締めるため(リフティング効果)、および皮膚の色素沈着を全体的に統一するためにも適用できる。この点に関して達成可能な効果は、何れも同じ治癒プロセスによる。
【0040】
いぼ、にきび、あらゆる種類の瘢痕(肥厚性、萎縮性、発育不全、挫創瘢痕)を治療することもできる。
【0041】
さらなる適用分野として、光過敏性皮膚疾患、例えば乾癬、白斑、アトピー性皮膚炎、円形脱毛症、菌状息肉腫、脱色素性瘢痕および線条、扁平緑色苔癬など、および血管病変、例えばクーペローズ、毛細血管拡張症、血管腫、ポートワイン母斑、酒さなど、さらにはセリュライトが挙げられる。同様に光を用いた除毛のための用途も考えられる。
【0042】
さらに考えられる用途として、材料の加工のほか、明確なラベリングを目的とした製品および部品の微細刻印、不正な偽造製品に対する保護を目的とした製品および部品の微細刻印、さらにはレーザによる材料の加熱または除去によるμm範囲内の1D、2D、3D構造および精密な機械部品および電子部品の製作が挙げられる。
【0043】
眼科においては、角膜または網膜に微細な穴構造を形成することもできるであろう。同様に、これらの構造内の組織を適切に加熱できることも言うまでもない。
【0044】
特に好適な形態において、本発明による上記の各装置および各プロセスは、色素沈着の除去に使用できる。これについて以下により詳細に説明する。
【0045】
この目的は、望ましくない副作用をほとんど伴わずに色素沈着を除去することである。このような望ましくない副作用とは、特に、瘢痕、炎症後の色素沈着過度または色素脱失である。感染の危険性がある開放創の発生も防止すべきである。長い治癒期間も回避すべきである。
【0046】
上記の各装置および各プロセスでは、この目的は次のように達成される。
【0047】
図4Aによると、光401は光強度変調素子402によって上記のように変調されて、上記のような光強度プロファイルを有する光403を発生させる。この光が皮膚404に照射される。皮膚404の中の色素は、図4Aに小さな円で示されている。例えば、波長が1500nmおよび20,000nmの間の放射線を発生させ、直径が10μmと1000μmの間の複数の小さなスポットに分割する。
【0048】
この点に関して、これらのスポットはスポット同士が重なり合うように配置することも、あるいはスポット間に照射されない組織または僅かに照射される組織があるようにスポットを互いに離して配置することもできる。
【0049】
この放射線により組織を焼灼した結果として、例えば直径が10μmから1000μmの範囲内の小さな溝または穴が表皮および真皮に形成される。これらの溝または穴は、例えば除去対象の入れ墨の、色素まで延在する。これらの溝または穴の外側の周囲組織は無傷のままである。
【0050】
この状態は、図4Bに模式的に表されている。色素の一部は、レーザビームにより直接蒸発し、一部はより小さな色素に分割され、一部はかさぶたの発生によって皮膚の表面に移送される。数日後、かさぶたが剥がれ落ちると、除去対象の色素も消えてなくなる。
【0051】
図4Cは、この後の状態を示す。この状態では、皮膚40に存在する色素の数が明らかに減少している。さらなる処置サイクルにおいて、上記と同様に、これらの残留色素を除去することができる。
【0052】
上記装置を用いた上記プロセスは、入れ墨の除去に使用できるだけでなく、表皮および真皮の色素性変化、例えば太田母斑、伊藤母斑、および黒子など、の除去にも使用できる。
【0053】
上記の各手法を用いると、放射線を色素に吸収させる必要がないので、色および色の組み合わせに関係なく入れ墨を除去できる点が特に好都合である。
【0054】
上記の微小穴の導入は、目に見える瘢痕を作らず、逆に最も見えにくい微小瘢痕を作る。さらに治癒期間が相対的に短い。
【0055】
色素脱失および色素沈着過度の危険性は低い。「傷」の面積が最小であるため、感染に対する皮膚の自然のバリア機能が保たれるので、感染の危険性は相対的に低い。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの光源(101)を有する、皮膚の光線治療のための装置において、最大強度と最小強度とを有し、少なくとも前記最小強度の領域において前記光の強度が連続的または段階的に徐々に変化する光強度プロファイルを皮膚(105)の上および/または中に発生させる少なくとも1つの強度変調素子(103)が光源(101)から出射される光のビーム路に配置され、前記光強度変調素子(103)が少なくとも部分的に光吸収材料で構成されることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記光強度プロファイルの隣接最大値(206、208)間の間隔が5μmと1000μmの間であることを特徴とする請求項1または2に記載の装置。
【請求項3】
前記光源(101)から出射された前記光の前記ビーム路に単一の光強度変調素子(103)が配置されることを特徴とする請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記光強度変調素子は2つ以上の偏光フィルタを有し、標的領域において前記光強度プロファイルが最大値と最小値とを有し、前記最大値間の間隔が5μmから1000μmの範囲内になる範囲内で前記偏光フィルタの相対角度位置が異なることを特徴とする先行請求項の何れか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記光強度変調素子は2つ以上の偏光フィルタを有し、前記偏光フィルタの相対角度位置を電気信号によって変えることができることを特徴とする先行請求項の何れか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記光強度変調素子は、空間配向および/または寸法が異なる複数の結晶体を有することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の装置。
【請求項7】
前記光強度変調素子は、透過度が異なる複数の半透過ミラーを有することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記光強度変調素子は、密度および/または組成が異なるさまざまな光励起可能媒質を有することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の装置。
【請求項9】
前記光強度変調素子が光学格子であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の装置。
【請求項10】
皮膚の色素沈着を除去するための装置であって、波長が1500nmおよび20,000nmの間の光を直径が10μmと1000μmの間の1つ以上の光スポットとして発生させる複数のデバイスと、複数の微小傷を皮膚に発生させるために前記傷を発生させる前記光スポット間の間隔が5μmと1000μmの間になるように前記光スポットを前記皮膚に照射する複数のデバイスと、前記光スポットの縁端部において前記光の前記強度を連続的に徐々に変化させる複数のデバイス(103)とを有する装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【公表番号】特表2010−504107(P2010−504107A)
【公表日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−525925(P2009−525925)
【出願日】平成18年9月1日(2006.9.1)
【国際出願番号】PCT/EP2006/008570
【国際公開番号】WO2008/025371
【国際公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【出願人】(509058542)クアンテル デルマ ゲーエムベーハー (2)
【Fターム(参考)】