説明

皮膚の反応性と過敏性の分析

本発明は、その領域の導電率特性を測定することにより、皮膚の反応性及び/又は過敏性の、非侵襲性で生体内での分析を行う方法に関する。本発明の方法は、2つの非侵襲性電極(1、1’)を配置する工程を含む。少なくとも1つの電極は、分析される皮膚の特定の測定点の上に配置され、この点の皮膚神経及び/又は皮下神経の電気的活性、又は脳の電気的活性が測定される。電極は、取り込まれた信号を評価する回路に接続され、回路は、増幅要素(2、2’、3)、処理要素(7)、信号を表示する要素(7)、および通知手段(8)を含む。この方法は、皮膚を刺激効果にさらす工程、電極(2、2’、3)により取り込まれた信号や刺激により活性化された信号の経時的変化を分析する工程を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面レベル、または選択的に皮膚の付加物、または選択的に頭皮において、その領域の反応性及び/又は過敏性についての、非侵襲性で生体内での特性と分析のための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚は、環境から生物体を保護する機能の、特に効果的な伝達と制御システムを備える。このシステムは、高度に分化された外向性の自律神経ブランチと、皮膚の全ての層の上に分配された球心性の感覚神経ブランチとの非常に密集したシステムを含む。このネットワークを通過する情報は、中央神経システムで処理され、刺激の逆行性伝搬を通って炎症性の反応を形成することができる。神経の応答能力は、放出されたニューロペプチドと、対応するターゲット構造のレセプターから決定される。皮膚の神経分布は、表皮の最上の層に達する。皮膚神経は、ミエリン鞘を供給できる自律神経又は感覚神経の繊維のみを含む。皮膚の感覚領域では、ミエリン鞘を備えた繊維は、直径と伝導速度により速い伝導グループAδとAβに分類され、一方、ミエリン鞘を備えないタイプCの繊維は他のグループを形成する。
【0003】
Metze, DとLuger, Tによる、Nervous System in the Skin in “The Biology of Skin”(“皮膚の生物学”の皮膚の中の神経システム)(Freinkel, R.K.編集、Woodley, D.T.編集、153-176頁)によれば、多くの神経生理学的テストにより、Aβ繊維は触覚を伝え、一方、AδとC繊維は、接触、温度、不快感、かゆみ、および多くの他の物理的、化学的刺激を伝えることが示されている。
【0004】
刺激の前に、神経は、少しマイナス電気極性を有する。活性電位は、神経細胞の周りのイオンの存在や濃度により制御され、神経細胞に沿って拡がる電気信号である。それらの電位は、以下のような多くの相を有する。
【0005】
膜組織の電位が静止している静止状態(神経活動の電位が開放される前)と、
膜組織の電位の強い反転の際に発生する復極状態と、
膜組織の電位が静止状態に戻る時に発生する再分極状態と、
膜組織の電位が静止状態に戻った時の緩和状態である。
【0006】
神経科学的な著作によれば、特に顔において、化粧品、洗顔用品の使用や化粧品の種類に対して望まぬ反応をする、過敏な皮膚を持つ人が増加している。William, S.M.、Shaw, S.、de la Charriere, O、Baverel, M.、Reiche, L.、Jourdain, R.、Bastien, P.、及びWilkinson, J.D.らの、Sensitive Skin: An Epidemiological Study(過敏な皮膚:疫学研究)(British Journal of Dermatology, 2001, NO.145, 258-263頁)によれば、皮膚の過敏性と化粧品に関連するその有害な影響を評価し、皮膚の過敏性に関連する要因を決定するために、英国の全住民の疫学的研究を、研究者が行っている。51.4%の女性と、38.2%の男性が、皮膚の過敏症に関連している。女性の中で、皮膚の敏感性の、化粧品に対する不愉快な主観的症状(焼け、ヒリヒリ、かゆみ)が、自らを過敏症と見なしていない人々に比べて(17%)、自らを過敏症と見なす人々の中でより頻繁に起こっている(53%)。
【0007】
de la Charriere, O.による、La peau-une realite clinique. Peau et systeme nerveux(2000年5月, St. Etienne, France)によれば、過敏症の2つの主なタイプの間で区別がなされている。環境因子に対する敏感性と、化粧品に対する敏感性である。これらの主なタイプは、特にカプサイシンに対して敏感である。この特有の特徴は、皮膚の神経分布が、皮膚の過敏性の生理学におけるキーファクターであることを示唆している。
【0008】
Wallengreen, J.、Hakanson, R.らによる、Effects of capsaicin, bradykinin and prostaglandin E2 in the human skin(British Journal of Dermatology, 1992年, No.126, 111-117頁)によれば、カプサイシンは、唐辛子の刺激する活性要因であり、C繊維を興奮させ、P物質や特別なペプチド、最初の出願の、一時的な痛み、焼け、及びかゆみの原因であるCGRP(カリチトニン遺伝子関連ペプチド)のようなタキキニン(tackykinins)を放出させることができ、これにより物質Pの皮膚の感覚神経の負担を軽減する。
【0009】
かゆみは、皮膚の過敏性の最も一般的に示される症状の一つである。それは引っ掻きたくなる皮膚の不愉快な感覚として定義される。かゆみは所定の数の化学的化合物で形成されるが、また中位の温度的、電気的または機械的な刺激によっても形成される。それは、痛みを表す信号とみなされるかも知れない。
【0010】
Schmelz, M.、Schmidt, R.、Nickel, A.、Handwerker, H.O.、及びTorebjork, H.E.らによるSpecific C-receptors for itch in human skin(J. Neurosci., 1997年、17巻、8003-8頁)によれば、顕微鏡写真(侵襲性の微小電極)は、かゆみが、ミエリン鞘を持たないCタイプの侵害のポリモダルニューロンの部分集団により伝えられることを明らかに示している。それらのニューロンの端部は、皮膚および表皮レベルの双方に存在する自由な神経端部である。
【0011】
それゆえに、皮膚と神経システムとの間の関係は、現在、皮膚生物学の最も研究された領域の1つである。
【0012】
Misery, L.によるLes nerfs a fleur de peau(International Journal of Cosmetic Science、2002年、No. 24、111-116頁)によれば、新しい研究分野が現在開かれつつある。皮膚の神経免疫システムを調整するといわれる神経皮膚病学や神経化粧品である(NICS)。Lauria, G.、Holland, N.、Hauer, P.、Cornblath, D.R.、Griffin、J.W.、及びMcArthur, J.C.らによる、Epidermal innervation, changes with aging, topographic location and in sensory neuropathy(Journal of Neurological Sciences、1999年、No. 164、172-178頁)、表皮内神経繊維は、化学的、組織学的、免疫学的着色法により観察された。主なバイオプシーは、小さな神経繊維の終端領域を分析するために、特に、ミエリン鞘を有しないCタイプの神経繊維と、ミエリン鞘を有する小さなAδタイプの神経繊維の特徴を決定するために使用された。しかしながら、この方法は侵略的で大きく傷つけ、それゆえに美容の分野には適していない。
【0013】
顔は、皮膚の過敏症にとって最も重要な位置である。顔では、三叉神経のブランチにより、皮膚の神経分布が処理される。三叉神経は、3つの主なブランチである眼枝(V1、感覚)、上顎ブランチ(V2、感覚)、及び下顎ブランチ(V3、モーター及び感覚)からなる。
【0014】
我々の研究は、特に上顎ブランチに関するものであった。
【0015】
Hindy, A.M.とRaouf, F.A.によるA Study of infraorbital foramen, canal an nerve in adult egyptians(Egyptian Dental Journal、 1993年、No. 39, 573-580頁)では、三叉神経の上顎ブランチが、眼窩下孔を通って頭蓋に至る。その感覚ブランチが、顔、頬、下顎の歯に神経を分布させる。小孔の位置は、一の固体と他とでは相当異なり、小孔の位置は事前に決めなければならないため、三叉神経の導電率を記録する試みは困難になる。具体化された神経の電位は、脳の電位と同時に、関連して、都合良く調査することができる。
【0016】
Agostino, R.、Cruccu, G.、Iannetti, G.D.、Innocenti, P.、Romaniello, A.、Truini, A.、及びManfredi, M.によるTrigeminal small-fibre dysfunction in patients with diabetes mellitus: a study with laser evoked potentials and corneal reflex(Clinical Neurophysiology、2000年、No. 111、2264-2267頁)によれば、下顎の神経小さな繊維の機能は、糖尿病の特別な事例で、特に、下唇の縁の一部の皮膚にレーザ刺激を与えた後の、刺激された電位について研究された。この方法を用いて、レーザ刺激の後に形成された電位は、糖尿病でない場合に比較して、より長い平均潜伏時間とより低い大きさを糖尿病において有することを示した。
【0017】
過敏な皮膚の電気的な刺激の感覚は、過敏でない皮膚に関連して増加することが、完全に新しい研究により示された(Yokota, T.、Matsumoto, M.、Sakamaki, T.、Hikima, R.、Hayashi, S.、Yanagisawa, M.、Kuwahara, H.、Agawa, T.、及びHayase, M.によるClassification of sensitive skin and development of a treatment system appropriate for each group(22nd IFSCC Congress、Edinburgh、2002年))。
【0018】
Johansson, R.S.、Trulsson, M.、Olsson, K.A.、及びWestberg, K.G.によりMechanoreceptor activity from the human face and oral mucosa(Experimental Brain Research、1988年、No. 72、204-208頁)の上述の論文によれば、微小神経記録法(マイクロニューログラフィ)の分野からの技術は、一般に顔の神経分布の調査に用いられていた。これらの技術は、タングステンの微小電極で研究される神経に、眼窩下の小孔からそれが現れる場所に孔をあける工程と、神経繊維のレベルにおいて信号を記録する工程とを含む。残念ながら、この技術は、侵襲性でありそれゆえに美容のような分野には適さないという欠点を有する。
【0019】
Rau, G.によるMeasuring sensor for the non-invasive detection of electro-physiological quantities(米国特許 US 4,685,466)では、部分的な導電率を検出するため、鋭い針状部分を有する電極を備える測定センサが、皮膚レベルでの神経生理学的な電気信号の非侵襲性の検出用に提案されている。出願の範囲にはそのような検出器は説明されていないが、所望の目的が、神経の導電率の記録で無いことは明らかである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
今日では、人間の神経の導電率は、前腕、腕、足のような人体の表面の、神経の殆どから始まる神経の電位を、表面電極を用いて記録することにより、非侵襲的に調査できる。しかしながら、これらの調査は、今のところ顔の皮膚には適用されていない。
【0021】
本発明により取り扱われる問題は、そのギャップを埋めることであった。
【0022】
本発明は、顔の皮膚領域、又は選択的に皮膚の付加物、又は選択的に頭皮の、その領域の神経の導電率の測定を用いた、反応性及び/又は過敏性の、非侵襲的な生体内の特性付け及び分析の方法に関する。
【0023】
本発明は、また、適用されるこの方法を可能にする装置、および美容領域でのその使用に関する。
【課題を解決するための手段】
【0024】
神経及び/又は脳の電気発生を用いる本発明にかかる方法は、
2つの非侵襲性の電極(1、1’)が適用され、この2つの電極の少なくとも1つが分析される皮膚の領域の特別な点、即ち測定点に適用され、その点における皮膚の神経及び/又は皮下の神経の電気的活性度、又は脳の電気的活性度が測定され、
それらの電極は、電極により検出された信号を評価する回路を有し、評価回路は、信号のための増幅要素(2、2’、3)、処理要素(7)、及び記録要素、更にはマイクロプロセッサ(8)を含み、
分析される皮膚の領域は刺激、特に電気的刺激にさらされ、この刺激により起こされる、電極(1、1’)で検出される、時間の関数としての電気信号の変化が分析されることを特徴とする。
【0025】
接続が、このように、分析と互いの関連を同時に可能にする。
【0026】
脳レベルでの応答は、例えば、形成された脳電位だけでなく、描写技術により、及び/又は生物物理学プロセスにより、及び/又は、感覚と神経の活性度を表す神経電位の描写による。
【0027】
測定電極で検出された信号は、通常、電気信号である。しかしながら、皮膚又は脳の電気的活性度は、また本発明の範囲から離れることなく、形成された磁場を用いて分析することも可能であることを指摘する。
【0028】
本発明によれば、皮膚、及び/又はその付加物、及び/又は頭皮の反応性、及び/又は過敏性は、中央、及び又は周辺の神経システム、及び/又は皮膚とその付加物の変化及び/又は病理学的作用より引き起こされる。例えば、免疫学的原因、及び/又は代謝の及び/又は血管が誘起する、超審美的な原因や炎症、乾燥皮膚又は何らかのいらいらである。この反応性、及び/又は過敏性は、かゆみ、ほてり、いらいら、熱、ひりひり、焼けのような、例えば神経学的、及び/又は皮膚関連の原因のような、神経繊維の活性化、及び/又は物質の放出により形成される症状に対応する。これらの多くの症状は、例えば物理的な攻撃(更に、電気的又は機械的又は温度的又は光誘起又は振動又は電磁気的な影響)のようなストレスの後や、化学的、生理学的、又は生物学的な攻撃の後に起きる。
【0029】
本発明の他の態様では、分析される皮膚領域が、例えば化学的又は物理的ストレス、特に電気的、機械的、電磁気的、又は温度的な性質の光波や振動、又は神経的又は精神的ストレス、のようなストレスにさらされ、電極で検出された、ストレスの有る場合と無い場合の、刺激により起こされた信号の、時間を関数とした変化が比較される。このような様々なストレスタイプが、容易にくりかえし形成できる。
【0030】
本発明の他の態様では、三叉神経の1つのブランチの活性度を表す信号を、評価回路に伝達するように、測定電極が配置される。
【0031】
本発明では、三叉神経の上顎ブランチの電気活性度を表す信号を、特別に有利な方法で分析できる。この神経の、眼の及び/又は下顎のブランチの電気活性度が、本発明の範囲から離れることなく分析することができる。
【0032】
本発明の他の態様では、少なくとも2つの測定電極が分析される皮膚の領域に適用され、それらの測定電極の少なくとも1つが、皮膚のインピーダンスが同時に測定できるように設計されている。弱い交流電流が少なくとも第1の電極に供給され、皮膚のインピーダンスが関連する測定点で測定される。この弱い交流電流は、例えば電気的交流電流場により、伝達できる。
【0033】
本発明にかかる方法を満足に行うようにするために、この弱い交流電流とその影響は、測定中には休止しなければならない。
【0034】
本発明の他の態様によれば、測定電極が皮膚のインピーダンスの値に応じて配置される。この配置は、本発明の範囲から離れることなく他の方法、特に、イメージング及び/又は生物物理学的な技術でも可能である。
【0035】
本発明の他の具体例では、電気システム(2、2’)が、同相信号を伝達することなく、電極1と電極1’の間の電位差を増加させることができる。
【0036】
このように、本発明は、生体内での眼窩下の小孔の位置の問題も解決する。
【0037】
本発明は、上述の方法を行うための装置に関する。本発明によれば、この装置は、
分析される皮膚の特定の領域のレベルにおける皮膚の神経及び/又は皮下の神経の電気的活性度、又は脳の電気的活性度を表す信号を測定するのに適した、少なくとも1つの非侵襲性の測定電極と、
電気的な刺激器を有する、少なくとも1つの刺激電極と、
非侵襲性の参照電極と、
増幅要素、処理要素、及びそれらの信号を記録する要素、更にはマイクロプロセッサを含む、電極により検出され又は伝達された信号を評価する回路であって、刺激後に測定電極で検出された信号の、時間を関数とした変化を表す曲線が形成され、表示される回路とを含む。
【0038】
本発明にかかる装置は、特に、刺激と記録との間の関係、特にそれらの信号の特別な付加された処理を可能にする計算方法を備えたコンピュータを含む。
【0039】
本発明にかかる装置は、人間の対象に対して用いることを意図するという事実から、本質的に、更には安全上の理由から、この対象に接触する全ての部分は、様々なシステム、特に光、機械、音響、容量、磁気、又はヘルツのシステムでなされているように、主電流から完全に絶縁されている。
【0040】
本発明によれば、測定電極、及び選択的に参照電極が、非分極性、又は実質的に非分極性であり、特にステンレス鋼、タングステン、又はAuやAg/AgClのような貴金属からなる。
【0041】
これらの電極と対象の皮膚との間の接触を改良し、神経電位の導電率を増進し、可能な限りスプリアル信号を避けるために、例えば塩化ナトリウムを含む水のような、適当な液体や電導性ゲルを、皮膚に塗布することが好ましい。
【0042】
本発明の他の具体例では、測定電極が、特にヘルメットのような適当なホルダーにより、対象の頭に保持される蝶番式アームの端部に載置される。そのようなホルダーは、皮膚の特別な測定点への配置を容易にし、対象の頭の動きにかかわりなくその位置に測定電極を保持するのに適している。
【0043】
本発明の他の具体例では、装置は、少なくとも1つが、皮膚のインピーダンスを同時に測定ができるように設計されている、少なくともとも2つの測定電極を含む。
【0044】
第1の測定電極は、皮膚のインピーダンスを測定できるようにするために、その近傍に立ち上がるように設計された、少なくとも1つの伝達アンテナを備えた、少なくとも1つの調整可能な電圧発生器を含む。
【0045】
本発明によれば、処理要素は、通常、1又はそれ以上のアナログ/デジタル変換器からなる。
【0046】
本発明の他の好適な具体例では、増幅要素は、利得が1又はそれ以下の少なくとも1つの増幅器からなり、測定電極で検出された信号用のプリアンプモジュールを含む。プリアンプモジュールの入力インピーダンスは、少なくとも+3V又は−3Vの広い電圧範囲より高い。一方、測定電極で検出された、予備増幅(プリアンプ)された測定信号用の増幅モジュールは、好ましくは可変又は固定利得で、好ましくは100〜1000の値の利得を備えた測定アンプからなる。
【0047】
増幅要素は、測定される領域に配置された電極に直接接続される。
【0048】
電気的刺激の間、数ボルトの電圧が、測定電極のレベルで現れる。しかしながら、この電圧は、電極の分極の危険を冒す電流を形成してはいけない。この理由で、少なくとも1つの低利得プリアンプからなるプリアンプモジュールを備えた本発明にかかる装置を備え付けることが望まれる。
【0049】
本発明によれば、プリアンプモジュールは、スプリアス信号や、これにより測定電極に接続されるケーブルのインピーダンスから可能な限り独立して保たれなければならない。このため、プリアンプは、組み込まれた測定電極の非常に近傍に配置される。他の方法としては、測定電極を組み込まれたプリアンプの入力に接続するために、被覆(シールド)されたケーブルを用いることがある。本発明のこの変形では、被覆されたケーブルのシールドは、好適には、以下に示す、多くのタイプの何れかであるプリアンプの出力に接続される。即ち、
利得が1のサーボアンプ、
例えば、共通コレクタを有するバイポーラトランジスタ、又は共通ドレインの電界効果トランジスタを備えた、利得が1のノンサーボ制御アンプ、
比xの次に続くアッテネータを備えた、利得xのアンプ、
アンプの特別な点で分岐され、入力電圧に非常に近くなる値を有することができ、シールド張力17(17’)はワイヤ張力18(18’)に従い、この入力電圧が、選択的に続くアンプに供給され、又は、
2チャネルアンプの特別な点で分岐され、入力電圧の平均に非常に近くなる値を有することができ、この電圧が、選択的に続くアンプに供給される。
【0050】
本発明は、また、上述の方法と装置の、美容分野への適用に関する。加えて、例えば、筋肉の活性度を、電気的な刺激によって決定しても良い。この分野では、本発明は、皮膚又はその付加物又は頭皮の反応性及び/又は過敏性の分析だけでなく、それらの治療をも提供する。特に、本発明は、太陽やレーザにさらされた後又は脱毛の後の皮膚のケアのために、過敏な、敏感になった、過度に反応性のある、刺激された、ストレスのかかった皮膚や頭皮の特徴付けや処理を提供する。更には、深刻な脂漏症及び/又はふけ症及び/又は脱毛症が進行しようとしている頭皮の処置を提供する。この処置は、例えば、皮膚コルチコイドのような合成物、部分麻酔、鎮痛、炎症抑制、及び/又はUVプロテクト、及び/又は、沈静、及び/又は、鎮静、及び/又は湿潤性、及び/又は皮膚の敏感性に対する特性、及び/又は単独又は互いの組み合わせの、ニューロペプチドの作用薬又は拮抗薬で行われる。例えば、以下の物質や派生物が用いられても構わない。スチルベン(stilbene)、レスベラトロール(resveratrol)、ラポンチン(rhapontin)、パンテノール(panthenol)、アラントイン(allantoin)、ビサボロル(bisabolol)、カリテバター(Karite butter)、グリシルレチン酸(glycyrrhetic acid)、チコリ酸(chicory acid)、亜鉛塩(zinc salts)、コーヒーエステル(coffee esters)、石炭酸エステル(phenolic acid esters)、熱湯(thermal waters)、グリセリン(glycerin)、カラミン(calamine)、アズレン油(azulene oil)、ペプチド(peptides)、植物抽出物(plant extracts)、特に、Sapotaceae (argania, butyrospermum)、Linaceae (linum)、Asteraceae (cichorium, calendula, arctium)、Gramineae (avena)、Hamamelidaceae (hamamelis)、Rosaceae (prunus, filipendula)、Asphodelaceae (aloe)、passifloraceae (passiflora)、Nymphaceae (nymphea)、Araliaceae (hedera)、Clusiaceae (calophyllam)、Malvaceae (althea)、Leguminosae (eperua, vigna)、Anacardiaceae (spondias)、Caesalpiniaceae (cassia)、Bombaceae (adansonia)、Musaceae (musa)、Papaveraceae (papaver)、Solanaceae (solanum, capsicum)、Menispermaceae (curarea)、Loganiaceae (strychnos)、Apocynaceae (rauvoffla)、Rubiaceae (cinchona)、Cannabinaceae (cannabis)、Ericaceae (arctostaphylons, rhododendron)の植物からの抽出物。例えば、コグニスグループ(Cognis Group)製の以下の名前や構成の製品を用いることができる。Anasensyl LS 9322 (INCI: mannitol, ammonium glycyrrhizate, caffeine, zinc gluconate, Aesculus hippocastanum extract)、Biophytex LS 8740 (INCI: propylene glucol, Ruscus aculeatus root extract, Centella asiatica extract, panthenol, water, Calendula officinalis flower extract, hydrolyzed yeast proteins, Aesculus hippocastanum extract and ammonium glycyrrhizate)、Rhizodermin LS 6277 (INCI: water, propylene glycol, Symphytum officinale extract, Arctium majus root extract, ammonium glycyrrhizate and allantoin)、Cytokinol LS 9028 (INCI: hydrolyzed casein, hydrolyzed yeast proteins and lysine HCl)、Fructinase AS LS 9650、Fructiplex SR LS9651、Mellidyn LS 9657、Eperuline PW LS 962、generol R, S, oligochitosan。
【発明を実施するための最良の形態】
【0051】
図1、2、及び3に示すように、装置は2つの非侵襲性の、Ag/AgClの測定電極1、1’を含む。電極は、顔レベル6で対象の皮膚に緊密に接触される。これにより、測定電極1、1’は、皮膚の感覚神経、及び又はそのレベルの皮下の感覚神経の、電気的活性度を表す信号を検出できる。測定電極1の一つは、皮膚のインピーダンスを同時に記録できるように設計されている。
【0052】
図1を参照すると、測定電極1、1’は、非侵襲性の参照電極5と組み合わされ、参照電極5は、前腕レベル6’で対象の皮膚に密接に接触している。測定電極1、1’及び参照電極5は、伝達された信号を評価する回路に接続されている。回路については、以下に更に詳細に述べる。この評価回路は、本質的に、マイクロプロセッサ8を含み、電極1、1’及び5で検出された信号の、時間を関数とする変化を表す曲線を形成し表示することを可能にする。
【0053】
図3に示すように、装置はまた、2つの刺激電極13、13’を含み、これらは対象の上の顔レベル6に配置される。それらの刺激電極13、13’は、絶縁された接続要素15により、マイクロプロセッサ8に接続された電気的刺激器14に接続されている。
【0054】
図1に示すように、各電極1、1’は、低利得のプリアンプ2、2’に接続されている。これらのプリアンプ2、2’が可能な、接続できるインピーダンスは、例えばTL082タイプである。プリアンプ2、2’の出力は測定アンプ3に接続され、測定アンプ3のフレームは、直接的に又は間接的に参照電極5に接続されている。測定アンプ3は、都合良くは、AD620タイプ(米国、アナログデバイス社製)のアンプであり、可変利得が、組み合わされた抵抗11の値により予め設定できる。測定アンプ3の好ましい利得は、100と1000の間であり、これは、50Ωから500Ωの抵抗11に対応する。
【0055】
図1から分かるように、測定アンプ3と2つのプリアンプ2、2’は、電池4により給電され、対象の顔6又は前腕6’の完全な絶縁が保証される。
【0056】
評価回路は更に、電気的脳撮影法や電気的搏記録法で使用されるタイプの、絶縁された医療用アナログ/デジタル変換器7を含む。変換器7は、測定アンプ3から受けたアナログ信号を、デジタル情報に変換され、このデジタル情報は続いて取り付けられたケーブル22によりマイクロプロセッサ8に伝達される。
【0057】
図1に示したように、装置は、測定電極1、1’が皮膚のインピーダンスの変化に応じて配置される要素を含む。それらの要素は、発電機(1kHzから1MHz)と、測定電極1の近傍に配置される伝達アンテナ12からなる。例えばスイッチ21の形態のコンタクトブレーカは、測定中に発電機20のスイッチをオフにできる。
【0058】
図2に示すように、測定電極1、1’は、蝶番式アーム9、9’の端部に載置され、これはヘルメット10により対象の頭の上に保持される。プリアンプ2、2’は、蝶番式アーム9、9’と測定電極1、1’の非常に近くに配置され、失敗の発生が低減される。
【0059】
図4に示す変形された具体例では、干渉効果の低減が可能となる。プリアンプ2、2’は、ワイヤ18、18’とシールド17、17’からなるケーブル19、19’により測定電極1、1’に接続される。シールド17、17’は、組み込まれたサーボアンプ2、2’の出力に接続される。
【0060】
図5、6に示すように、コンピュータ8は、そこの伝達されるデジタル信号の処理に適したソフトウエアを備え、時間の関数として、神経電位の大きさの変化に対応した曲線を形成し、表示することができる。
【0061】
図5は、正の電気的刺激後の、ミリ秒の時間の関数としての、マイクロボルトの繊維Aβの電位の大きさの変化を示す。図6は、負の電気的刺激後の、同様の変化を示す。それらの図において、ピークA及びBのそれぞれが、刺激により、および繊維Aβの神経活性度の電位により、形成された人工品である。
【0062】
図7は、カプサイシン適用の前後における、顔レベルでの電気的刺激に対応した上顎神経(V2、感覚)の活性電位の変化を比較する。
【0063】
図8は、キシロカイン(5%)の局所適用の前と直後における、顔レベルでの電気的刺激に対応した上顎神経(V2、感覚)の活性電位の変化を比較する。神経の電位は、感覚の回復中に観察された。0.75%のカプサイシンを含むクリームがこの目的のために使用され、上の唇の直上の2×4mmの皮膚領域に、2mg/cmの量で適用された。
【0064】
本発明にかかる非侵襲性の方法で、生体内で直接記録された神経の活性電位は、カプサイシンの適用後に変化した。適用後、神経電位の大きさは、75%増加し、これは神経の電気的活性が増加したことを意味する。
【図面の簡単な説明】
【0065】
本発明にかかる方法及び装置の特徴は、添付した図面を参照して、より詳細に述べられる。
【0066】
【図1】装置の模式図である。
【図2】図1の細部を示す。
【図3】図1の細部を示す。
【図4】装置の変形物を示す。
【図5】時間を関数とした正の電気刺激後のAβ繊維の電位の大きさの変化を示す曲線である。
【図6】負の電気刺激後における図5に対応する曲線である。
【図7】カプサイシンの使用後5分における、上顎神経の活性電位の発生を示す。
【図8】キシロカイン(5%)の局所適用の前と直後における上顎神経の活性電位の変化を示す。
【符号の説明】
【0067】
1、1’ 測定電極、2、2’ プリアンプ、3 アンプ、4 電池、5 参照電極、6 顔レベル、6’ 前腕レベル、7 変換器、8 マイクロプロセッサ、12 伝達アンテナ、20 発電機、21 スイッチ、22 ケーブル。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
顔の皮膚領域又は選択的に該皮膚の付加物又は選択的に頭皮の活性度及び/又は過敏性を、その領域の神経の導電率を測定することによって、非侵襲的に生体内で特徴付け及び分析する方法であって、
2つの非侵襲性の電極(1、1’)が適用され、この2つの電極の少なくとも1つが分析される皮膚の領域の特別な点、即ち測定点に適用され、その点における皮膚の神経及び/又は皮下の神経の電気的活性度、又は脳の電気的活性度が測定され、
それらの電極は、電極により検出された信号を評価する回路を有し、評価回路は、信号のための増幅要素(2、2’、3)、処理要素(7)、及び記録要素、更にはマイクロプロセッサ(8)を含み、
分析される皮膚の領域は刺激、特に電気的刺激にさらされ、この刺激により起こされる、電極(1、1’)で検出される、時間の関数としての電気信号の変化が分析されることを特徴とする方法。
【請求項2】
上記分析される皮膚の領域が、例えば化学的又は物理的ストレス、特に電気的、機械的、電気機械的、又は温度的ストレスのようなストレスにさらされ、電極(1、1’)で検出された、ストレスの有る場合と無い場合の、刺激により起こされた信号の、時間を関数とした変化を比較することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
上記測定電極(1、1’)の少なくとも1つが、三叉神経の1つのブランチ、特に上顎ブランチの電気活性度を表す信号を、評価回路に伝達するように配置されることを特徴とする請求項1又は2の方法。
【請求項4】
少なくとも2つの測定電極(1、1’)が分析される皮膚の領域に適用され、それらの電極の少なくとも1つ(1)が、皮膚のインピーダンスが測定できるように設計され、
弱い交流電流が少なくとも第1測定電極(1)に供給され、関連する測定点での皮膚のインピーダンスを測定することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
測定電極(1、1’)が皮膚のインピーダンスの値に応じて配置されたことを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
電気システム(2、2’)が、同相信号を伝達することなく、電極(1)と電極(1’)の間の電位差を増加させることができる請求項5に記載の方法。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の方法に使用するための装置であって、
分析される皮膚の特定の領域のレベルにおける皮膚の神経及び/又は皮下の神経の電気的活性度、又は脳の電気的活性度を表す信号を測定するのに適した、少なくとも1つの非侵襲性の測定電極(1、1’)と、
電気的な刺激器(14)を有する、少なくとも1つの刺激電極(13、13’)と、
非侵襲性の参照電極(5)と、
増幅要素(2、2’、3)、処理要素(7)、及びそれらの信号を記録する要素、更にはマイクロプロセッサを含み、電極(1、1’、5、13、13’)により検出され又は伝達された信号を評価する回路であって、刺激後に測定電極(1、1’)で検出された信号の、時間を関数とした変化を表す曲線が形成され、表示される回路とを含むことを特徴とする装置。
【請求項8】
測定電極(1、1’)が、非侵襲性であり、弱く分極され、特にステンレス鋼、タングステン、又はAuやAg/AgClのような貴金属からなることを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項9】
測定電極(1、1’)が、蝶番式のアーム(9、9’)の端部に載置され、調整可能なホルダー(10)により対象の頭に保持されることを特徴とする請求項7又は8に記載の装置。
【請求項10】
少なくとも1つ(1)が皮膚のインピーダンスの測定ができる、少なくとも2つの測定電極(1、1’)を含むことを特徴とする請求項7〜9のいずれかに記載の装置。
【請求項11】
皮膚のインピーダンスを測定できるようにするために、少なくとも1つの測定電極(1)の近傍に立ち上がるように設計された、少なくとも1つの伝達アンテナ(12)を備えた、少なくとも1つの調整可能な電圧発生器(20)を含むことを特徴とする請求項10に記載の装置。
【請求項12】
プリアンプ要素が、測定電極で検出された信号用で、少なくとも1つのプリアンプからなり、入力インピーダンスが少なくとも+3V又は−3Vの広い電圧範囲より高い、少なくとも1つのプリアンプモジュール(2、2’)を含む請求項7〜11のいずれかに記載の装置。
【請求項13】
プリアンプが、測定される領域に配置された電極(5)に直接接続されたことを特徴とする請求項7〜12のいずれかに記載の装置。
【請求項14】
プリアンプ(2、2’)が、少なくとも測定電極(1、1’)又は組み込まれた測定電極の非常に近傍に配置されたことを特徴とする請求項12に記載の装置。
【請求項15】
測定電極(1、1’)が、組み込まれたプリアンプ(2、2’)の入力に、シールドされたケーブル(17、18、19、17’、18’、19’)で接続された請求項12に記載の装置。
【請求項16】
シールドされたケーブルのシールド(17、17’)が、アンプ(2、2’)の出力に接続された請求項15に記載の装置。
【請求項17】
処理要素が、少なくとも1つのアナログ/デジタル変換器(7)を含む請求項7〜16のいずれかに記載の装置。
【請求項18】
請求項7〜17のいずれかに記載の装置の、美容分野における使用。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2006−501910(P2006−501910A)
【公表日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−542378(P2004−542378)
【出願日】平成15年9月27日(2003.9.27)
【国際出願番号】PCT/EP2003/010766
【国際公開番号】WO2004/032739
【国際公開日】平成16年4月22日(2004.4.22)
【出願人】(502021660)コグニス・フランス・ソシエテ・アノニム (21)
【氏名又は名称原語表記】COGNIS FRANCE, S.A.
【Fターム(参考)】