説明

皮膚パック用湯葉シートおよびその製造方法

【課題】 薄くて脆弱で破れやすいシート状の生湯葉を皮膚パック用として、湯葉のもつ特性を生かせるようにし、しかも個々の家庭で長期保存を可能にすると共に、使用時に破けたり形崩れしないようにして簡単に顔面に貼り付けることができるようにすること。
【解決手段】 本発明は、シート状の生湯葉を顔面に対応する円形状に形成すると共に、目、鼻、口に対応した切り込みと切り抜きとを形成した加工湯葉シートとし、該加工湯葉シートの形状維持と複数枚を積み重ねて冷凍保存するために少なくとも一方の面にフィルム状の支持部材を貼り付けた構成の皮膚パック用湯葉シートを提供するものであり、それにより、特に、支持部材の存在によって薄くて脆弱な破れやすい湯葉シートを型崩れさせることなく顔面のパック用として使用できるようにしたものであり、その取り扱いが容易であると共に、冷凍品して長期に保存でき、しかも、複数枚積み重ねた状態から一枚づつを分離して使用できるのである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、美容のために、例えば、シート状の生湯葉をそのまま顔面に当接させて使用できるように加工し、且つ長期に保存ができるようにした皮膚パック用湯葉シートおよびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
美容業界において、豆乳をスキンローションとして使用することが知られている。豆乳に含まれる大豆イソフラボンの化学構造が女性ホルモンのエストロゲンに類似していることから、体毛の発生・成長を抑制する働きがあると考えられ、むだ毛の脱毛効果やその脱毛による美白効果があると言われている。また、豆乳には、サポニン、大豆油脂、大豆レシチン、アミノ酸、マグネシウム等が含まれており、更に美肌効果や乾燥肌の湿潤効果が認められている。また、最近では、豆乳が高濃度に凝縮された状態になっており、且つ有効成分を高濃度で含有する湯葉がクリーム状に加工されて美肌用の化粧品として使用されるようになってきている。
【0003】
その1つとして、ベースシートの表側表面と裏側表面のうち少なくとも一方の表面をパック剤層により被覆されたヒート状体を構成しており、前記パック剤層は、湯葉を主剤とする湯葉クリームにより形成されたゲル状の層により構成されて成る皮膚パック用シートが公知になっている(特許文献1)。
【0004】
この皮膚パック用シートは、湯葉皮膜が薄く脆弱であり破れやすいため、これを直接に使用者の顔面その他の皮膚面に密着させることが極めて困難であり、そのままではパックのために使用することができないという問題点、および、湯葉を主剤とする湯葉クリームは、その性質上、極めて容易に腐敗するため、保存が困難であり、瓶詰や缶詰のように外気からシールされた容器に充填しても、容器開封後に一度に使い切らない限り、容器内に残存する湯葉クリームが短期間で腐敗してしまうという問題点があり、これらの問題点を解決するというものである。
【0005】
そのために、前記皮膚パック用シートは、生湯葉をミキサーなどの混練機に投入し、これにつなぎ剤と防腐剤を添加し、破砕・攪拌しながら練り、ドロドロの状態の湯葉クリームを形成し、この湯葉クリーム内に不織布からなるベースシートを浸漬して引き上げることにより、ベースシートの表裏両面に湯葉クリームを付着させ、空気中でゲル化することで皮膚パック用シートを形成するとしており、ベースシートに湯葉クリームを付着させることで湯葉皮膜が有する薄くて脆弱で破れやすさを解消させている。
【0006】
また、前記皮膚パック用シートは、1人1回の使用につき1枚の皮膚パック用シートを消費すればよいので、1枚宛をそれぞれ個別に真空包装等することにより、必要時に、1枚宛を取り出して使用することができ、長期間の保存を可能にして腐敗の問題点を解消させている。
【0007】
また、他の例として、湯葉を、目、鼻、口等の形状に合わせてくり抜いた顔面用皮膚パック材が公知になっている(特許文献2)。
【0008】
この顔面用皮膚パック材は、上記特許文献1で説明している湯葉の有する効果をそのまま丸写ししただけのものであり、湯葉自体が有する現実の問題点、即ち、湯葉皮膜は薄くて脆弱であり破れやすいため、これを直接に使用者の顔面その他の皮膚面に密着させることが極めて困難であり、そのままではパックのために使用することができないという問題点、および、仮に湯葉を密閉容器などに入れて保存しても、容器開封後に一挙に使い切らない限り、容器内に残存する湯葉は短期間で腐敗してしまうという問題点をそのまま有するものであり、解決すべき問題点として豆乳がパックとして使用できないことを記載しているだけである。
【0009】
【特許文献1】特開2005−187361号公報
【特許文献2】実用新案登録第3125755号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、前記特許文献1に記載の皮膚パック用シートは、生湯葉とつなぎ剤と防腐剤とを一緒にミキサーでドロドロの状態にすることによって、湯葉の成分だけしか存在しないようになり、湯葉皮膜のもつ機能特性、即ち弾力性および伸縮性が完全に失われた状態になっており、しかも、つなぎ剤と防腐剤が混入していることによって、一部ではあるが安全性も失われていることに問題点を有している。
【0011】
また、皮膚パック用シートを1枚宛をそれぞれ個別に袋体に入れて真空包装することによって腐食を防止するとしているが、そのために真空包装した後に加熱殺菌するとしており、加熱殺菌した場合に、つなぎ剤と防腐剤が混入している湯葉クリームが変質する虞があると共に、ドロドロの状態であると袋体に付着してしまうし、逆にゲル化が進んでしまうと水分(豆乳)が少なくなってパック用シートとしての貼り付き機能が失われるという問題点も有している。
【0012】
さらに、前記特許文献2に記載の皮膚パック材は、この種業界で、常識的に認識されているように、湯葉皮膜は薄くて脆弱であり破れやすいため、これをそのままの状態で直接に使用者の顔面その他の皮膚面に密着させるようなパックに形成して使用することができない、つまり、個々の家庭で実質的な取り扱いができないという問題点を有すると共に、腐食防止の対策もなされていないので、商品化できないという問題点を有している。
【0013】
従って、前記公知技術に係る皮膚パック用シートにおいては、他の材料を混入せず変質の虞がないようにして湯葉皮膜のもつ機能特性が失われないようにすると共に、適度の水分を保有しパック用シートとしての貼り付き機能が失われないようにし、しかも、安全性に優れた状態で且つ品質を低下させないで冷凍による長期保存が可能であり、個々の家庭で使用時に1枚宛取り出して使用ができるようにし、取り扱いが容易に行えるようにして商品化できるようにすることに解決課題を有している。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係る皮膚パック用湯葉シートは、シート状の生湯葉を顔面に対応する円形状に形成すると共に、目、鼻、口に対応した切り込みと切り抜きとを形成した加工湯葉シートとし、該加工湯葉シートの形状維持と複数枚を積み重ねて冷凍保存するために少なくとも一方の面にフィルム状の支持部材を貼り付けた構成にしたこと、並びに、シート状の生湯葉を顔面に対応する円形状に形成すると共に、目、鼻、口に対応した切り込みと切り抜きとを形成した加工湯葉シートとし、該加工湯葉シートの形状維持と複数枚を積み重ねて冷凍保存するために両方の面にフィルム状の支持部材を貼り付け、これら支持部材の内一方の面の支持部材は前記加工湯葉シートの形状に一致させた構成にしたことを特徴とするものである。
【0015】
また、本発明に係る皮膚パック用湯葉シートの製造方法は、シート状の生湯葉をフィルム状の防水加工紙上に拡げて載置し貼り付けた状態の合体シート形成工程と、該合体シートを複数枚積み重ねて打ち抜き型により使用部所の輪郭形状に対応する切り込みおよび切り抜きとを行う加工湯葉シート成形工程と、該加工湯葉シート成形工程後に、積み重なっている合体シート毎に分離し防水加工紙と対向する面にフィルム状の支持部材を貼り付ける工程とからなること、並びに、シート状の生湯葉を顔面形状に対応する円形状に切断した後にフィルム状の防水加工紙上に拡げて載置して貼り付ける合体シート形成工程と、該合体シートを複数枚積み重ねて打ち抜き型により目、鼻、口に対応する切り込みおよび切り抜きとを行う加工湯葉シート成形工程と、該加工湯葉シート成形工程後に、積み重なっている合体シート毎に分離し防水加工紙と対向する面にフィルム状の支持部材を貼り付ける工程とからなることを特徴とするものである。
【0016】
前記皮膚パック用湯葉シートに係る発明においては、支持部材を貼り付けた加工湯葉シートを二つ折りにして袋体に収納したこと;および支持部材は、防水加工紙または合成樹脂フィルムの一方または双方を組み合わせて使用すること;を付加的な要件として含むものである。
【0017】
さらに、前記皮膚パック用湯葉シートの製造方法に係る発明においては、使用部所が顔面である場合に、加工湯葉シート成形工程は、顔面形状に対応する円形状と、目、鼻、口に対応する切り込みおよび切り抜き工程であること;および支持部材を貼り付けた後の加工湯葉シートを二つ折りにして袋体に収納する工程を有すること;を付加的な要件として含むものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る皮膚パック用湯葉シートにおいては、加工湯葉シートの形状維持と複数枚を積み重ねて冷凍保存するために少なくとも一方の面にフィルム状の支持部材を貼り付けた構成にしたことによって、特に、支持部材の存在によって薄くて脆弱な破れやすい湯葉シートを型崩れさせることなく顔面のパック用として使用できるようにしたものであり、その取り扱いが容易であると共に、冷凍品して長期に保存でき、しかも、複数枚積み重ねた状態から一枚づつを分離して使用できるという優れた効果を奏する。
【0019】
また、本発明に係る皮膚パック用湯葉シートの製造方法においては、シート状の生湯葉を拡げた状態で一枚毎にフィルム状の防水加工紙上に拡げて載置し貼り付けた状態の合体シート形成するものであり、これを複数枚積み重ねて打ち抜き型により顔面形状に沿う加工湯葉シートを成形し、その後に積み重なっている合体シート毎に分離し他方の面にフィルム状の支持部材を貼り付けるものであることから、破れやすい湯葉を取り扱いが容易なパック用の湯葉シートとして適正に製造できるのである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
次に、本発明を図示の具体的な実施の形態に基づいて詳しく説明する。図1と図2は、第1の実施の形態に係る皮膚パック用湯葉シートであり、図3と図4は、第2の実施の形態に係る皮膚パック用湯葉シートであり、図5は第3の実施の形態に係る皮膚パック用のシートである。
【0021】
まず、第1の実施の形態に係る皮膚パック用湯葉シート1は、図1および図2に示したように、シート状の生湯葉2の上面と下面とにフィルムまたはシート状の支持部材3、4を配設して、生湯葉2を上下面から支持させたものである。
【0022】
この場合に、上面に配設される支持部材3は、例えば、合成樹脂加工紙や硫酸紙またはパラフィン紙などからなる薄手で粘りの少ない防水加工紙が使用され、好ましくは、不透明または半透明の材料で形成したものを使用した方が良い。そして、生湯葉2と一緒に使用部所の形状または輪郭、つまり、使用部所が顔である場合には、顔の輪郭に沿って円形状に形成すると共に、目、鼻、口の輪郭に沿った切り込みと切り抜き穴5とを形成して、所謂加工湯葉シートとしたものである。
【0023】
また、加工湯葉シートの下面に配設される支持部材4は、例えば、透明または半透明な合成樹脂フィルムで形成され、強度的に粘りのあるフィルムが使用される。そして、この支持部材4には、切り抜き穴などは一切設けないで、原則として生湯葉2と上面の支持部材3よりも広く、全体が四角形状を呈しているものが使用される。
【0024】
次に、第2の実施の形態に係る皮膚パック用湯葉シート11は、図3および図4に示したように、前記第1の実施の形態と同様に、シート状の生湯葉12の上面と下面とにフィルムまたはシート状の支持部材13、14を配設して、生湯葉12を上下面から支持させたものである。
【0025】
この場合でも、上面に配設される支持部材13は、やはり、合成樹脂加工紙や硫酸紙またはパラフィン紙などからなる薄手で粘りの少ない防水加工紙が使用され、好ましくは、不透明または半透明の材料で形成した四角形状のものをそのまま使用した方が良い。そして、生湯葉12は予め使用部所の形状および輪郭、つまり、顔の輪郭に沿って円形状に形成したものが使用され、その円形状に形成した生湯葉12に目、鼻、口の輪郭に沿った切り込みと切り抜き穴15とを形成する際に、支持部材13にも一緒に切り込みと切り抜き穴とを形成して加工湯葉シートとしたものである。
【0026】
また、下面に配設される支持部材14についても、前記第1の実施の形態と同様に、透明または半透明な合成樹脂フィルムで形成され、強度的に粘りのあるフィルムが使用される。そして、この支持部材14には、やはり切り抜き穴などは一切設けないで、原則として生湯葉12よりも広く、上面の支持部材13と略同じ広さで全体が四角形状を呈しているものが使用される。
【0027】
さらに、第3の実施の形態に係る皮膚パック用湯葉シート21は、図5および図6に示したように、前記第1および第2の実施の形態と同様に、シート状の生湯葉22の上面と下面とにフィルムまたはシート状の支持部材23、24を配設して、生湯葉22を上下面から支持させたものである。
【0028】
この場合には、生湯葉22だけを予め顔の輪郭に沿って円形状に形成すると共に、目、鼻、口の輪郭に沿った切り込みと切り抜き穴25とを形成したものが使用され、その生湯葉22の上下面に配設される支持部材23、24には、切り抜き穴などの加工が一切施されていない四角形状のものが使用され、これら支持部材23、24を貼り付けた状態で、所謂加工湯葉シートということができる。
【0029】
なお、支持部材23、24の材質としては、例えば、前記第1および第2の実施の形態と同様に、合成樹脂加工紙や硫酸紙またはパラフィン紙などからなる薄手で粘りの少ない防水加工紙と、強度的に粘りのある合成樹脂フィルムとを組み合わせて使用しても良いし、また、その一方、例えば、合成樹脂フィルムのみを上下面の支持部材23、24として使用しても良いのである。
【0030】
いずれにしても、本願発明においては、顔の輪郭形状と目、鼻、口の切り抜き穴を形成したシート状の生湯葉に対して上下面をフィルムまたはシート状の支持部材で支持させることにより、薄くて脆弱で破れやすい湯葉皮膜をそのままの状態で維持し、パックとして使用時に一方の支持部材を剥がし、他方の支持部材を持って湯葉皮膜を直接に使用者の顔面に拡げて適正に密着させることができ、密着後に他方の支持部材を剥がすようにしたものであり、つまり、パック用としての使用時において、加工湯葉シートに型崩れを生じさせないで顔面への貼り付けを容易にしたのであり、取り扱いが容易であると言えるのである。
【0031】
次に、本発明に係る皮膚パック用湯葉シートの製造方法について説明する。まず最初に前記第1の実施の形態に係る皮膚パック用湯葉シート1の製造について、図7〜11に基づいて説明すると、図7に示したように、四角形状を呈するシート状の生湯葉2を四角形状を呈するフィルムまたはシート状の防水加工紙からなる支持部材3の上に位置合わせして1枚づつ載せ、これを合体シート7とする。この場合に、生湯葉2と支持部材3の大きさは同じでも良いが支持部材3の方を少し大き目にした方が取り扱いの作業上好ましい。
【0032】
このように支持部材3に生湯葉2を1枚づつ乗せた合体シート7を、図8に示したように、複数枚、例えば、10枚重ねて作業台上にセットし、適宜の打ち抜き型30により使用部所の形状および輪郭、つまり、使用部所が顔面である場合には、顔面の形状と輪郭に対応した打ち抜き型を使用し、顔面に合った円形状と目、鼻、口の輪郭に対応する切り込みと切り抜き穴5を打ち抜いて加工湯葉シートを成形する。この場合に、支持部材3として使用される材料は、例えば、合成樹脂加工紙や硫酸紙またはパラフィン紙などからなる薄手で粘りの少ない防水加工紙が使用され、好ましくは、不透明または半透明の材料で形成したものを使用した方が成形工程が容易に行える。
【0033】
豆乳液を加熱することにより表面に薄い膜ができるのが湯葉であって、その薄い膜の下の中央部に細い棒を差し込んで引き上げることにより厚みが0.2〜0.4mm程度の2枚合わせのシート状の生湯葉2が得られるのであり、この生湯葉2を厚さが0.1mm程度の、例えば、パラフィン紙からなる支持部材3上に載せた合体シート7は、生湯葉2と支持部材3とを合わせても全体の厚さが0.3〜0.5mmにしかならないのである。これを10枚重ねても最大で5mmにしかならないし、粘りの少ない防水加工紙を使用しているので、打ち抜き加工による成形工程が容易に行えるのである。
【0034】
打ち抜き成形された加工湯葉シートは、図9に示したように、合体シート7の10枚が積層状態になっているが、各生湯葉2の間にはパラフィン紙の支持部材3が仕切として介在している。この積層状態にある生湯葉2を上部の支持部材3と一緒に、つまり、合体シート7毎に上部から剥がし、図10に示したように、例えば、合成樹脂フィルムからなる支持部材4の上に裏返して、生湯葉2側に支持部材4を貼り付けるようにする。
【0035】
また逆に、合体シート7毎に剥がした加工湯葉シートにおいて、剥がした状態のまま、即ち支持部材3の上に生湯葉2が拡がっている状態のままで平坦な作業台上に載置し、その生湯葉2の上に合成樹脂フィルムからなる支持部材4を被せて貼り付け、全体の平面状態を維持させながら注意深く裏返しにして、支持部材4の上に加工湯葉シートが載置された状態になる。
【0036】
この場合に、支持部材4としては、透明または半透明な合成樹脂フィルムで形成され、好ましくは、強度的に粘りのあるフィルムが使用される。そして、この支持部材4には、切り抜き穴などは一切設けないで、原則として生湯葉2と上面の支持部材3とからなる加工湯葉シートよりも広く、全体が四角形状を呈しているものが使用される。
【0037】
このように、支持部材4に対して加工湯葉シートを一枚づつ載置または貼り付けることにより、図1に示したような第1の実施の形態に係る皮膚パック用湯葉シート1が製造できるのであり、この皮膚パック用湯葉シート1を、図11に示したように、例えば、10〜30枚程度重ねて適宜の包装材8により包装し、全体を急速冷凍して、要するに、冷凍品として各家庭の冷凍庫内で保管管理ができるのであり、冷凍品とすることによって腐敗を防止し長期に保存することができるのである。
【0038】
また、他の製造例として、第2の実施の形態に係る皮膚パック用湯葉シート11の製造方法について説明すると、図12に示したように、例えば、生湯葉12の製造段階で略四角形であったものを1枚づつ直ちに円形状に切り、その円形状に切った生湯葉12を上部の支持部材13となるパラフィン紙などの防水加工紙上に拡げて載置し、前記実施例と同様に合体シート17にする。
【0039】
この合体シート17を、図13に示したように、例えば、10枚程度重ねて作業台上にセットし、適宜の打ち抜き型(図示せず)により目、鼻、口の輪郭に対応する切り抜きと切り抜き穴15を打ち抜いて加工湯葉シートを成形するのである。この場合に、生湯葉12は既に円形状に形成されているので、その円形状の輪郭に目、鼻、口の位置が合うように設定して切り抜きと切り抜き穴15を形成するのである。従って、上部の支持部材13は円形の生湯葉12よりも大きな四角形状のままである。
【0040】
この実施例における目、鼻、口の輪郭に対応する切り抜きと切り抜き穴15を打ち抜いて加工湯葉シートの成形工程においても、全体の厚みが5mm程度であり、且つ上部の支持部材13が粘りの少ない防水加工紙であるので、簡単に打ち抜き形成することができるのである。
【0041】
そして、積層状態にある加工湯葉シートの上に下部の支持部材14となる合成樹脂フィルムを位置合わせして貼り付け、一番上方に位置する支持部材13と貼り付けた支持部材14とを一緒に摘んで積層状態から剥離し、表裏を裏返して支持部材14を下側にすることで図3に示した皮膚パック用湯葉シート11が得られるのである。以下、同様に下部の支持部材14となる合成樹脂フィルムを位置合わせして貼り付け、合体シート17毎に支持部材13と重ねて一緒に剥離することで生湯葉12を破ったり変形させたりすることなく効率よく皮膚パック用湯葉シート11を製造することができるのである。
【0042】
さらに、第3の実施の形態に係る皮膚パック用湯葉シート21の製造方法について説明すると、まず、生湯葉の製造段階の初期において、豆乳液の表面にできた薄い皮膜を引き上げたシート状の湯葉を一枚づつ円形状に切断すると共に、目、鼻、口の輪郭に対応する切り抜きと切り抜き穴25を打ち抜いて形成し、これを下部の支持部材24となる合成樹脂フィルム上に拡げて載置し、その上に上部の支持部材23となる防水加工紙を載置して貼り付けるのである。
【0043】
なお、引き上げたシート状の生湯葉をそのまま吊して水切りをし、表面が少し乾いた状態になったものを複数枚(10枚程度)重ねた状態にし、前記図8で示したような打ち抜き型30を使用して、円形状の輪郭と目、鼻、口の輪郭に対応する切り抜き穴25とを形成したパック用の加工湯葉シートとし、その後に加工湯葉シートを常温の豆乳液に漬けて一枚づつ破かないように丁寧に剥がし、合成樹脂フィルムからなる下部の支持部材24に拡げて載せ、パック用としての形を整えてからその上に上部の支持部材23となる防水加工紙を載せて貼り付けることで、皮膚パック用湯葉シート21が製造される。
【0044】
いずれの実施例においても、製造された皮膚パック用湯葉シート1、11、21は、図11に示したように、複数枚を重ねた状態で適宜の包装材8により包装し、冷凍するものであるが、打ち抜き切断加工などによって生湯葉2、12、22に含まれる豆乳が押し出されて少なくなっているので、包装して冷凍する前に生湯葉1枚毎に所要量の豆乳液を供給して余剰に含浸させるのである。
【0045】
また、皮膚パック用湯葉シート1、11、21を冷凍品として、各家庭で保管する場合に、一般的には冷蔵庫の冷凍室に入れて保管する場合が多い。そこで、冷凍室に余裕のある家庭では問題はないが、冷凍室にあまり余裕が無い場合には皮膚パック用湯葉シートを拡げた状態では収納し難いので、特に、包装の仕方として、例えば、二つ折りにしてコンパクトにした形で包装して管理するようにすることもできる。
【0046】
即ち、図14および図15に示したように、例えば、皮膚パック用湯葉シート1を二つ折りにし、個別に所要の透明な樹脂フィルムで形成した袋体9に入れ、開口部をシール9aして密封封止する。この場合に、皮膚パック用湯葉シート1は下部の支持部材4側を内側に折って二つ折りにした方が良いのである。そして、この袋体9に入れた状態で、複数個をまとめて前記と同様に、図11に示したように、適宜の包装材8により包装して冷凍するものである。なお、他の皮膚パック用湯葉シート11、21についても同様である。
【0047】
ところで、二つ折りにして袋体9に収納する場合には、特に前記第2の実施の形態および第3の実施の形態に係る皮膚パック用湯葉シート11、21については、上部または下部のいずれか一方の支持部材3、4が存在すれば足りるので、その支持部材が存在する側を内側に折って袋体9の中に入れて包装する。このようにすることで、一方の支持部材だけ使用することになるので、余分な材料を使用しなくて済みムダを省くことができる。いずれにしても複数枚を積み重ね纏めた状態で冷凍することによって長期保存が可能であり、また、上部または下部のいずれかの支持部材の存在によって薄くて脆い生湯葉が破けたり皺になったりせずに取り扱えるのである。
【0048】
そして、実際に使用する場合に第1の実施の形態に係る皮膚パック用湯葉シート1について説明すると、複数枚の皮膚パック用湯葉シート1が重ねた状態で冷凍されていても、下部の支持部材4と上部の支持部材3とで生湯葉2が他の生湯葉と完全に区分された状態になっており、フィルム状の支持部材同士は凍結しても結合する要因がないので、各皮膚パック用湯葉シート1は積み重ねの状態からでも無理なく一枚づつ簡単に分離させることができるのである。
【0049】
この分離した皮膚パック用湯葉シート1は、例えば、常温下の室内テーブル上に載置して自然解凍しても良いし、または急ぎの場合には、例えば、電子レンジに入れて、ワット数にもよるが皮膚パック用湯葉シート1の厚みが薄いので、せいぜい10±3秒前後で解凍できるのであり、生湯葉2の部分は製造時とほとんど同じように豆乳液を充分に含んだ状態になっている。
【0050】
皮膚パック用湯葉シート1を解凍した後に、例えば、下部の支持部材4を剥がして加工湯葉シート状、つまり合体シート7状にし、その剥がした面側の生湯葉2を顔面に当接させ、目、鼻、口の切欠部5を位置合わせしながら全体を顔面に軽く押し付けて貼り付けるようにし、その後に上部の支持部材3を生湯葉2から剥離させるのである。このようにすることで、薄くて脆弱で破れやすい生湯葉2を顔面全体に拡げて延ばすことができ、パック用として略均等に貼り付けることができるのである。
【0051】
顔面にパック用として貼り付けた生湯葉2は、5分から20分経つと、水分が蒸発すると共に豆乳が肌に浸透することにより、全体的に3〜10%程度縮む現象が生じる。この縮む現象によって、肌表面の汚れと肌表面および毛穴内の余分な皮脂を吸着し、穏やかなピーリング作用(効果)を発揮するという湯葉独特の特性を有している。
【0052】
一般的にピーリングは、肌を美しく保つために施術されるものであり、肌を削ったり叩いたりして余分な角質や汚れ、皮脂などを取り除くものであるが、肌に大きな刺激を与えるため頻繁に行うことができないのである。そこで、生湯葉によるパックは、キメの細かい湯葉がゆっくりと時間を掛けて徐々に縮む過程の中で、肌の余分な角質や汚れおよび皮脂を吸着して除去するため、肌への刺激がなく、毎日用いることができるので安全で有効なピーリング剤をいうことができるのである。
【0053】
なお、前記した実施の形態は顔面全体のパック用について説明したが、これに限定されず、例えば、目の下の部分とか、喉または首の部分、手の甲の部分、若しくは背中の部分などに貼り付けて使用する形状のものであっても良いのであり、この場合でも、薄くて脆弱で破れやすいシート状の生湯葉2を支持するために、少なくとも一方の面に支持部材3または支持部材4を貼着するのであり、それによって取り扱いが容易になり、しかも、積層状態で冷凍保存することができると共に、使用時に積層状態から1枚づづ剥がして使用することができるのである。
【産業上の利用可能性】
【0054】
いずれにしても本発明に係る皮膚パック用湯葉シートは、薄くて脆弱で破れやすい生湯葉を拡げた状態で切り込み加工しても、そのままフィルム状の上部の支持部材と下部の支持部材とで使用直前まで、パック用としての薄膜状態を維持または支持できるので、その取り扱いが容易であり、しかも、複数枚重ねた状態で包装し冷凍状態にして長期に保存できるので、誰でもが簡単に使用できるのであり、湯葉独特の特性であるピーリング効果も失われないので、化粧品として広い範囲で有用に利用することができるのである。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明に係る第1の実施の形態に係る皮膚パック用湯葉シートを略示的に示す斜視図である。
【図2】図1のA−A線に沿う拡大断面図である。
【図3】本発明に係る第2の実施の形態に係る皮膚パック用湯葉シートを略示的に示す斜視図である。
【図4】図3のB−B線に沿う拡大断面図である。
【図5】本発明に係る第3の実施の形態に係る皮膚パック用湯葉シートを略示的に示す斜視図である。
【図6】図5のC−C線に沿う拡大断面図である。
【図7】前記第1の実施の形態に係る皮膚パック用湯葉シートの製造方法を説明するための湯葉と防水加工紙との合体シートの形成工程を略示的に示した斜視図である。
【図8】同製造方法において、型抜き工程により加工湯葉シートの成形する状況を略示的に示した斜視図である。
【図9】同製造方法において、型抜き工程により成形された積層状態の加工湯葉シートを上部から合体シート毎に剥がす状況を説明するために略示的に示した斜視図である。
【図10】製造方法において、合体シート毎に剥がした加工湯葉シートを下部の支持部材に載置して1つの皮膚パック用湯葉シートにする状況を略示的に示した斜視図である。
【図11】製造方法において、複数枚の皮膚パック用湯葉シートを保存のために包装した一例を示す略示的断面図である。
【図12】前記第2の実施の形態に係る皮膚パック用湯葉シートの製造方法を説明するための湯葉と防水加工紙との合体シートの形成工程を略示的に示した斜視図である。
【図13】同製造方法において、型抜き工程により成形された積層状態の加工湯葉シートを略示的に示した斜視図である。
【図14】前記第1の実施の形態に係る皮膚パック用湯葉シートにおける商品化のための他の例の包装過程を略示的に示した斜視図である。
【図15】同他の例の包装完了状況を略示的に示した斜視図である。
【符号の説明】
【0056】
1、11、21 皮膚パック用湯葉シート
2、12、22 生湯葉
3、13、23 上部の支持部材
4,14、24 下部の支持部材
5、15、25 切り抜きまたは切り抜き穴
7、17 合体シート
8 包装体
9 袋体
9a シール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状の生湯葉を顔面に対応する円形状に形成すると共に、目、鼻、口に対応した切り込みと切り抜きとを形成した加工湯葉シートとし、
該加工湯葉シートの形状維持と複数枚を積み重ねて冷凍保存するために少なくとも一方の面にフィルム状の支持部材を貼り付けたこと
を特徴とする皮膚パック用湯葉シート。
【請求項2】
シート状の生湯葉を顔面に対応する円形状に形成すると共に、目、鼻、口に対応した切り込みと切り抜きとを形成した加工湯葉シートとし、
該加工湯葉シートの形状維持と複数枚を積み重ねて冷凍保存するために両方の面にフィルム状の支持部材を貼り付け、
これら支持部材の内一方の面の支持部材は前記加工湯葉シートの形状に一致させたこと
を特徴とする皮膚パック用湯葉シート。
【請求項3】
支持部材を貼り付けた加工湯葉シートを二つ折りにして袋体に収納したこと
を特徴とする請求項1乃至2のいずれかに記載の皮膚パック用湯葉シート。
【請求項4】
支持部材は、防水加工紙または合成樹脂フィルムの一方または双方を組み合わせて使用すること
を特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の皮膚パック用湯葉シート。
【請求項5】
シート状の生湯葉をフィルム状の防水加工紙上に拡げて載置し貼り付けた状態の合体シート形成工程と、
該合体シートを複数枚積み重ねて打ち抜き型により使用部所の輪郭形状に対応する切り込みおよび切り抜きとを行う加工湯葉シート成形工程と、
該加工湯葉シート成形工程後に、積み重なっている合体シート毎に分離し防水加工紙と対向する面にフィルム状の支持部材を貼り付ける工程と
からなることを特徴とする皮膚パック用湯葉シートの製造方法。
【請求項6】
使用部所が顔面である場合に、加工湯葉シート成形工程は、顔面形状に対応する円形状と、目、鼻、口に対応する切り込みおよび切り抜き工程である
ことを特徴とする請求項5に記載の皮膚パック用湯葉シートの製造方法。
【請求項7】
シート状の生湯葉を顔面形状に対応する円形状に切断した後にフィルム状の防水加工紙上に拡げて載置して貼り付ける合体シート形成工程と、
該合体シートを複数枚積み重ねて打ち抜き型により目、鼻、口に対応する切り込みおよび切り抜きとを行う加工湯葉シート成形工程と、
該加工湯葉シート成形工程後に、積み重なっている合体シート毎に分離し防水加工紙と対向する面にフィルム状の支持部材を貼り付ける工程と
からなることを特徴とする皮膚パック用湯葉シートの製造方法。
【請求項8】
支持部材を貼り付けた後の加工湯葉シートを二つ折りにして袋体に収納する工程を有する
ことを特徴とする請求項5乃至7のいずれかに記載の皮膚パック用湯葉シートの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2008−266191(P2008−266191A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−110364(P2007−110364)
【出願日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【出願人】(307011521)株式会社i−on (1)
【出願人】(399133095)ウービィー株式会社 (2)
【Fターム(参考)】