説明

皮膚治療方法

本発明は概して、老化した皮膚の美容的治療に関する。より具体的には、本発明は、光老化したおよび/または経時老化した皮膚の治療における、インゲノール化合物、特にインゲノールアンゲラートの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は概して、老化した皮膚の美容的治療に関する。より具体的には、本発明は、光老化したおよび/または経時老化した皮膚の治療における、インゲノール化合物、特にインゲノールアンゲラートの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
先行刊行物(またはそれに由来する情報)への、または公知である事項への、本明細書における参照は、先行刊行物(またはそれに由来する情報)または公知の事項が、本明細書が関連する試みの分野における一般知識の一部を形成するという承認もしくは容認または示唆のいずれの形態でもなく、そうとして受け取られるべきでもない。
【0003】
皮膚老化は、時間の経過にわたる内因性の細胞および細胞外変化によってだけでなく、不適切な栄養摂取、喫煙、過度のアルコール消費、および特にUV放射線への慢性曝露などの、環境的な、または外因性の、因子によってももたらされる動的なプロセスである。
【0004】
内因性の、または経時的な皮膚老化は、真皮の結合組織の固有の分解の結果である。皮膚老化のこの形態は避けられないが、遺伝的影響が、その開始および/または臨床的進行を遅らせ得る。内因的に(instrinsically)老化した皮膚は、表皮および真皮萎縮、表皮網突起の平坦化、ならびに線維芽細胞および肥満細胞の数の減少、およびコラーゲンレベルの減少によって現れる。これは、美容的には、全体として傷がないが小じわ、しわ、および弾性の喪失を伴う外観を特徴とする(Baumann, L, 2007;Helfrich, Y. R, 2008;およびそこに引用される参考文献)。
【0005】
外因性の老化における一般的な原因因子である光老化は、環境的または人工的UV放射線への皮膚の長期曝露の美容的および生理学的影響を示すために使用される用語である。光老化は、UV放射線へ曝露される身体の部分において生じ得る一方、それは、顔、腕、手、首および上胸部において最も一般的に生じる。光老化した皮膚は、表皮の厚みまたは表皮萎縮の増加によって、最も顕著には、真皮表皮接合部直下でのエラスチン含有物質の蓄積である日光弾力線維症によって、現れる。コラーゲンおよび弾性線維は、断片化し、無秩序化する。美容的レベルでは、これは、皮膚の発赤および/または肥厚(革のような外観が生じる)、皮膚脆弱性および不規則な色素沈着、張りおよび弾性の喪失(Baumann, L, 2007;Helfrich, Y. R, 2008;およびそこに引用される参考文献)、ならびにしわ、乾燥、そばかすおよび深い溝の形成として観察され得る。
【0006】
ヒアルロナン、またはヒアルロン酸(HA)は、グリコサミノグリカンファミリーの高分子量(1x104〜1x107 Da)非硫酸化多糖成分であり、多くの重要な構造的および生理学的機能を行う、皮膚細胞外基質(ECM)の重要な成分である。それは、糖類であるN-アセチルグルコサミンおよびD-グルクロン酸の繰り返し二糖単位からなり、HAシンターゼ酵素(HAS)によって合成され、これらのうち、3つの脊椎動物遺伝子が単離され、HAS1、HAS2、およびHAS3とキャラクタライズされた。ヒアルロナンは、水中でその重量の1000倍まで結合し得、他のグリコサミノグリカン(GAG)と共に、皮膚が水を保持および維持するのを助け、それによって滑らかでふっくらした外観を維持する。それは、真皮および表皮の両方において、特に表皮の細胞間空間において見られ、主に線維芽細胞およびケラチノサイトによって産生される。
【0007】
典型的な経時老化していない/光老化していない皮膚である、胚の/妊娠初期の胎児の皮膚は、上昇したヒアルロナンレベルを特徴とする。胎児の皮膚においては、それは、コラーゲン格子再編成を増強し、III型およびV型コラーゲンの合成を増強し、若い皮膚においては、ヒアルロナンは、コラーゲンおよびエラスチン繊維の周囲で見られ、ここで、これらは交差している。対照的に、老化した皮膚は、低下したヒアルロナンレベルを特徴とし、光老化した皮膚もまた、低下したヒアルロナンレベルを示すことが観察された(Baumann, L., 2007およびそこに引用される参考文献)。
【0008】
経時老化していない/光老化していない皮膚と関連する増加したヒアルロナンレベルは、増加したヒアルロナンシンターゼ(HAS)遺伝子発現に起因すると考えられた。3つのHAS遺伝子がヒアルロナンシンターゼ;HAS1、HAS2およびHAS3の調節を担っていることは、一般的に受け入れられている。HAS1遺伝子発現は、老化していない/光老化していない線維芽細胞には見られない。HAS2は、胚/胎児の発達に必須であると認識されており、HAS3は、経時老化した/光老化した皮膚に関連する。
【0009】
ヒアルロナン分子量もまた(濃度と共に)、皮膚構造への影響において重要であり、高分子量ヒアルロナンは、低分子量ヒアルロナンと比べてより有効な細胞周囲コートを形成する(Meran et al, 2007, 2008;Stern and Maibach, 2008)。実際に、ヒト皮膚における新たに合成されるヒアルロナンの分子量は、表皮および真皮の両方において、高分子量のものである。HAS1およびHAS3がより低分子量のヒアルロナンの合成に関連し、上述したように、老化した/光老化した皮膚に関連する一方、HAS2に由来するヒアルロナンは、高分子量のものである(典型的に少なくとも1.5x106Da)。
【0010】
光老化プロセスを予防するかまたは少なくとも最小限にする最善かつ最も有効な方法は、UV放射線への皮膚の曝露の回避、即ち、日光を避け、防護服および日焼け止めを身に着けることであることは広く認められているが、内因性の老化プロセスは避けられず、それにもかかわらず、小じわ、しわ、乾燥、溝、発赤、肥厚、そばかす、張りおよび弾性の喪失、脆弱性、ならびに不規則な色素沈着などの、経時老化および/また光老化プロセスの美容的症状発現のうちの1つまたは複数を逆転させるかまたは少なくとも改善するかもしくは向上させることによって「時間を戻す」ことができる治療について、今日の若さに取り付かれた社会において、強い需要が依然として存在する。実際に、経時老化したまたは光老化した皮膚、特に顔の皮膚に対して若い外観を回復させ得る美容剤についての消費者需要は、常に増加しており、アンチエイジング市場は、米国単独において2010年までに売り上げで165億ドル超に達すると予想されている(Helfrich, Y.R., et al, 2008)。
【0011】
この需要を考えると、皮膚の経時老化および光老化に関連する美容的症状発現のうちの1つまたは複数を逆転させる、改善するまたはそうでなければ向上させるのを助け得る新規の治療についての必要性が依然として存在する。
【発明の概要】
【0012】
本発明は、トウダイグサ(Euphorbia)種において発見されたインゲノール化合物、インゲノール-3-アンゲラートが、皮膚線維芽細胞における内因性高分子量ヒアルロナン(hyaluranon)合成を誘導するという知見に基づく。従って、皮膚、特に、経時または光老化した皮膚の、美容的外観を改善する方法を提供する。
【0013】
従って、第1の局面において、本発明は、被験体における経時老化したおよび/または光老化した皮膚の治療方法であって、該被験体の皮膚へインゲノール化合物またはその薬学的に許容される塩を投与する工程を含む方法を提供する。
【0014】
さらなる局面において、本発明はまた、インゲノール化合物またはそれらの薬学的に許容される塩、ならびに経時老化したおよび/または光老化した皮膚の治療における使用のための該化合物または塩および薬学的に許容される担体を含む組成物を提供する。経時老化したおよび/または光老化した皮膚の治療用の組成物または医薬の製造におけるインゲノール化合物またはそれらの薬学的に許容される塩の使用も提供する。
【0015】
別の局面において、被験体におけるヒアルロナンの内因性合成を誘導する方法であって、該被験体の皮膚へインゲノール化合物またはその薬学的に許容される塩を投与する工程を含む方法を提供する。
【0016】
本発明のさらなる局面は、被験体におけるヒアルロナンの内因性合成を誘導するためのインゲノール化合物またはその薬学的に許容される塩の使用を提供する。
【0017】
さらに別の局面は、被験体におけるヒアルロナンの内因性合成を誘導するための医薬の製造におけるインゲノール化合物またはその薬学的に許容される塩の使用を提供する。
【0018】
本発明のある態様において、インゲノール化合物を皮膚へ局所投与する。
【0019】
本発明のある態様において、化合物は、インゲノール-3-アンゲラート、20-O-アセチル-インゲノール-3-アンゲラートおよび20-デオキシ-インゲノール-3-アンゲラート、ならびにその薬学的に許容される塩およびプロドラッグより選択される。一例において、化合物は、インゲノール-3-アンゲラートまたはその薬学的に許容される塩である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】(A)24時間および(B)72時間での、TGF-β1(10 ng/ml)の非存在および存在下で、0μg/ml、0.01μg/ml、0.1μg/ml、1μg/ml、10μg/mlまたは100μg/ml PEP005において培養された、皮膚線維芽細胞による、平均ヒアルロナン合成を図示する(N=3、平均値±SE、*p<0.05、**p<0.01および***p<0.001、PEP005を含まない皮膚線維芽細胞コントロールと比較)。
【図2】24時間(x200)での、TGF-β1(10 ng/ml)の非存在下で、(A)0、(B)0.01μg/ml、(C)0.1μg/ml、(D)1μg/ml、(E)10μg/mlおよび(F)100μg/ml PEP005において培養された、皮膚線維芽細胞による、ヒアルロナン細胞周囲コート形成について得られた、代表的な(presentative)デジタル画像を示す。
【図3】72時間(x200)での、TGF-β1(10 ng/ml)の非存在下で、(A)0、(B)0.01μg/ml、(C)0.1μg/ml、(D)1μg/ml、(E)10μg/mlおよび(F)100μg/ml PEP005において培養された、皮膚線維芽細胞による、ヒアルロナン細胞周囲コート形成について得られた、代表的なデジタル画像を示す。
【図4】24時間(x200)での、TGF-β1(10 ng/ml)の存在下で、(A)0、(B)0.01μg/ml、(C)0.1μg/ml、(D)1μg/ml、(E)10μg/mlおよび(F)100μg/ml PEP005において培養された、皮膚線維芽細胞による、ヒアルロナン細胞周囲コート形成について得られた、代表的なデジタル画像を示す。
【図5】72時間(x200)での、TGF-β1(10 ng/ml)の存在下で、(A)0、(B)0.01μg/ml、(C)0.1μg/ml、(D)1μg/ml、(E)10μg/mlおよび(F)100μg/ml PEP005において培養された、皮膚線維芽細胞による、ヒアルロナン細胞周囲コート形成について得られた、代表的なデジタル画像を示す。
【図6】(A)24時間および(B)72時間についての、TGF-β1(10 ng/ml)の非存在および存在下で、0μg/ml、0.01μg/ml、0.1μg/ml、1μg/ml、10μg/mlまたは100μg/ml PEP005において培養された、皮膚線維芽細胞による、平均のHAS1遺伝子発現を示す(N=2、平均値±SE、*p<0.05、**p<0.01、PEP005を含まない皮膚線維芽細胞コントロールと比較)。
【図7】(A)24時間および(B)72時間についての、TGF-β1(10 ng/ml)の非存在および存在下で、0μg/ml、0.01μg/ml、0.1μg/ml、1μg/ml、10μg/mlまたは100μg/ml PEP005において培養された、皮膚線維芽細胞による、平均のHAS2遺伝子発現を示す(N=3、平均値±SE)。
【図8】(A)24時間および(B)72時間についての、TGF-β1(10 ng/ml)の非存在および存在下で、0μg/ml、0.01μg/ml、0.1μg/ml、1μg/ml、10μg/mlまたは100μg/ml PEP005において培養された、皮膚線維芽細胞による、平均のHAS3遺伝子発現を示す(N=3、平均値±SE)。
【図9】TGF-β1の非存在下において0、0.01、0.1、1.0および10μg/ml PEP005で処理された皮膚線維芽細胞の(第1日での)[3H]-グルコサミン組み込みを示す。
【図10】TGF-β1の非存在下において0、0.01、0.1、1.0および10μg/ml PEP005で処理された皮膚線維芽細胞の(第3日での)[3H]-グルコサミン組み込みを示す。
【図11】TGF-β1の存在下において0、0.01、0.1、1.0および10μg/ml PEP005で処理された皮膚線維芽細胞の(第1日での)[3H]-グルコサミン組み込みを示す。
【図12】TGF-β1の存在下において0、0.01、0.1、1.0および10μg/ml PEP005で処理された皮膚線維芽細胞の(第3日での)[3H]-グルコサミン組み込みを示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
発明の詳細な説明
単数形の「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」は、文脈上明らかにそうでない場合を除き、複数の局面を含む。従って、例えば「アンゲロイル置換されたインゲナン」または「インゲノールアンゲラート」は、単一の化合物、および適当な場合は2つまたはそれ以上の化合物を含む。
【0022】
本明細書および続く特許請求の範囲の全体にわたって、文脈上明らかにそうでない場合を除き、「含む(comprise)」ならびに「含む(comprises)」および「含む(comprising)」などの変化形は、記載される整数または工程または整数群を含むことを意味し、しかし他の整数または工程または整数群を排除することを意味しない。
【0023】
本明細書において使用される場合、「治療」は、皮膚の美的もしくは美容的外観および/または生理学的特性(例えば、増加したヒアルロナン(hyaluranon)存在)の、改善、完全または部分的な回復、または少なくともいくらかの逆転を指すように意図される。美容的には、これは、乾燥、小じわ、しわ、溝、赤み、そばかす、および不規則な色素沈着のうちの1つまたは複数の外観の減少、除去、向上またはそうでなければ改善を含み得る。
【0024】
これは、当技術分野において一般的に使用される任意の手段によって評価または測定され得る。例示的な方法は、本明細書に記載されるようなTruVu(登録商標)フォトグラフィーを利用する。他の方法は、当技術分野で公知の方法に従ってのしわの測定または評価を含み得る。
【0025】
「高分子量ヒアルロナン」への言及は、少なくとも約1.5x106 Daの分子量値を指す。分子量値は、既知の標準に対してゲル濾過クロマトグラフィーなどの当技術分野で公知の方法に従って測定され得る;例えば、Simpson, R.M., et al. 2009を参照のこと。
【0026】
「インゲノール」への言及には、C3、C4、C5-トリオキシトランスビシクロ[4.4.1]-ウンデカンインゲナン骨格を持つ化合物が含まれる。このような化合物は、広く報告され、文献で知られており、トウダイグサ科(Euphorbiaceae)の種などの植物から単離するか、または完全もしくは部分的に化学合成することができる(例えば、Winkler et al, 2002、およびTanino et al, 2003を参照のこと)。合成によって作製されたインゲノール化合物は、天然に存在するインゲノールの立体異性体を含み得る。従って、ラセミ体および立体異性体の混合物も、本明細書において意図される。本明細書において意図される化合物は、一般的に、トウダイグサ科の植物の抽出物中に見られる。従って、抽出物は、葉、茎、花、種、樹皮、または樹皮と茎の間から染み出すか、またはこれらの中に存在する、液汁または液体または半液体物質を含み得る。最も好ましくは、抽出物は液汁由来である。さらに、抽出物には、トウダイグサ科の植物の液汁、葉、茎、花、樹皮、または他の植物材料から抽出される画分中に存在する液体または半液体物質が含まれ得る。例えば、植物材料は、植物繊維および細胞外基質物質を破壊するために物理的操作にかけられ、組織間および組織内物質が水性環境を含む溶媒中に抽出され得る。化学合成の経路によって得られた化合物を含む、化合物のこのような供給源はすべて、本発明によって包含される。本発明のある態様において、インゲノール化合物は、単離または精製された形態で使用され、このことは、それが、天然源由来または単離もしくは合成プロセス由来の他の化合物または汚染物質を実質的に含まないかもしくはこれらを欠いているかまたはそのようにされていることを意味する。しかし、精製された形態は、次いで、必要に応じて、天然源由来のものを含む、さらなる化合物と共に続いて混合または処方され得ることが認識される。ある態様において、実質的に精製されたインゲノール化合物は、少なくとも95%純粋である。他の態様において、実質的に精製された化合物は、少なくとも97または98%純粋である。さらに他の態様において、実質的に精製された化合物は、少なくとも99または99.5%純粋である。
【0027】
本明細書におけるトウダイグサ科のメンバーへの言及には、以下の属の種への言及が含まれる:エノキグサ(Acalypha)、アキドトン(Acidoton)、アクティノステモン(Actinostemon)、アデリア(Adelia)、アデノクリネ(Adenocline)、アデノクレピス(Adenocrepis)、アデノファエドラ(Adenophaedra)、アディスカ(Adisca)、アグロスティスタキス(Agrostistachys)、アミガサギリ(Alchornea)、アルコルネオプシス(Alchorneopsis)、アルキナエアンツス(Alcinaeanthus)、アルコケリア(Alcoceria)、アブラギリ(Aleurites)、アマノア(Amanoa)、アンドラクネ(Andrachne)、アンゴスティリス(Angostyles)、アニソフィルム(Anisophyllum)、ヤマヒハツ(Antidesma)、アフォラ(Aphora)、アポロサ(Aporosa)、アポロセラ(Aporosella)、アルギタムニア(Argythamnia)、アストロコックス(Astrococcus)、アストロギネ(Astrogyne)、バッカンレア(Baccanrea)、バリオスペルムム(Baliospermum)、ベルナルディア(Bernardia)、ベイエリオプシス(Beyeriopsis)、アカギ(Bischofia)、ブラキア(Blachia)、ブルメオドンドロン(Blumeodondron)、ボナニア(Bonania)、ブラドレイア(Bradleia)、タカサゴコバンノキ(Breynia)、ブレイニオプシス(Breyniopsis)、ブリエデリア(Briedelia)、ブラエアヴィア(Buraeavia)、カペロニア(Caperonia)、カリオデンドロン(Caryodendron)、ケリアネラ(Celianella)、ケファロクロトン(Cephalocroton)、カエノテカ(Chaenotheca)、カエトカルプス(Chaetocarpus)、ニシキソウ(Chamaesyce)、ケイロサ(Cheilosa)、キロペタルム(Chiropetalum)、コリオフィルム(Choriophyllum)、キッカ(Cicca)、セキモンノキ(Chaoxylon)、 クレイドン(Cleidon)、クレイスタンツス(Cleistanthus)、クルティア(Cluytia)、クネスモネ(Cnesmone)、クニドスコルス(Cnidoscolus)、コッコケラス(Coccoceras)、ヘンヨウボク(Codiaeum)、コエロディスクス(Coelodiscus)、コナミ(Conami)、コンケウェイバ(Conceveiba)、コンケウェイバストルム(Conceveibastrum)、コンセベイブム(Conceveibum)、コリテア(Corythea)、クロイザティア(Croizatia)、クロトン(Croton)、クロトノプシス(Crotonopsis)、クロゾフォラ(Crozophora)、クバンツス(Cubanthus)、クヌリア(Cunuria)、ダクティロステモン(Dactylostemon)、ダレカムピア(Dalechampia)、デンドロコウシンシア(Dendrocousinsia)、ディアスペルスス(Diaspersus)、ディディモキスツス(Didymocistus)、ディモルフォカリクス(Dimorphocalyx)、ディスコカルプス(Discocarpus)、ディタクシス(Ditaxis)、ドデカスチングマ(Dodecastingma)、ハツバキ(Drypetes)、ディソプシス(Dysopsis)、エラテリオスペルムム(Elateriospermum)、エンダデニウム(Endadenium)、エンドスペルムム(Endospermum)、エリスマンツス(Erismanthus)、エリスロカルプス(Erythrocarpus)、エリスロキルス(Erythrochilus)、エウメカンツス(Eumecanthus)、トウダイグサ(Euphorbia)、エウフォルビオデンドロン(Euphorbiodendron)、セイシボク(Excoecaria)、シマヒトツバハギ(Flueggea)、カレアリア(Calearia)、ガルキア(Garcia)、ガバレチア(Gavarretia)、ゲオニウム(Gelonium)、ギアラ(Giara)、ギボチア(Givotia)、カンコノキ(Glochidion)、クロキディオノプシス(Clochidionopsis)、グリシデンドロン(Glycydendron)、ギムナンテス(Gymnanthes)、ギムノスパリア(Gymnosparia)、ハエマトスペルムム(Haematospermum)、ヘンデカンドラ(Hendecandra)、ヘベア(Hevea)、ヒエロニマ(Hieronima)、ヒエロニマ(Hieronyma)、ヒポクレパンドラ(Hippocrepandra)、ホマランツス(Homalanthus)、ヒメノカルディア(Hymenocardia)、ヤニファ(Janipha)、ヤトロファ(Jatropha)、ユロクロトン(Julocroton)、ラシオクロトン(Lasiocroton)、レイオカルプス(Leiocarpus)、レオナルディア(Leonardia)、レピダンツス(Lepidanthus)、レウコクロトン(Leucocroton)、マベア(Mabea)、マカランガ(Macaranga)、アカメガシワ(Mallotus)、イモノキ(Manihot)、マッパ(Mappa)、マプロウネア(Maprounea)、メランテサ(Melanthesa)、ヤマアイ(Mercurialis)、メッテニア(Mettenia)、ミクランドラ(Micrandra)、ミクロデスミス(Microdesmis)、ミクロエルス(Microelus)、ミクロスタキ(Microstachy)、マオクロトン(Maocroton)、モナデニウム(Monadenium)、モジナ(Mozinna)、ネオスコルテキニア(Neoscortechinia)、オマランツス(Omalanthus)、オムファレア(Omphalea)、オフェランタ(Ophellantha)、オルビクラリア(Orbicularia)、オストデス(Ostodes)、オキシデクテス(Oxydectes)、パレンガ(Palenga)、パンタデニア(Pantadenia)、パラドリペプテス(Paradrypeptes)、パウサンドラ(Pausandra)、ペディランツス(Pedilanthus)、ペラ(Pera)、ペリディウム(Peridium)、ペタロスティグマ(Petalostigma)、コミカンソウ(Phyllanthus)、ピクロデンドロ(Picrodendro)、ピエラルディア(Pierardia)、ピリノフィツム(Pilinophytum)、ピメロデンドロン(Pimeleodendron)、ピランヘア(Piranhea)、プラティギナ(Platygyna)、プルケネティア(Plukenetia)、ポドカリクス(Podocalyx)、ショウジョウボク(Poinsettia)、ポラレシア(Poraresia)、プロサルテマ(Prosartema)、シューダンツス(Pseudanthus)、ピクノコマ(Pycnocoma)、クアドラシア(Quadrasia)、レベルコニア(Reverchonia)、リケリア(Richeria)、リケリエラ(Richeriella)、リキネラ(Ricinella)、リシノカルプス(Ricinocarpus)、ロットレラ(Rottlera)、サゴティア(Sagotia)、サンドウィティア(Sanwithia)、シラキ(Sapium)、サウィア(Savia)、スクレオクロトン(Sclerocroton)、セバスティアニア(Sebastiana)、セクリネガ(Securinega)、セネフェルデラ(Senefeldera)、セネフェルデロプシス(Senefilderopsis)、セロフィトン(Serophyton)、シフォニア(Siphonia)、スパティオステモン(Spathiostemon)、スピクシア(Spixia)、スティリンギア(Stillingia)、ストロフィオブラキア(Strophioblachia)、シナデニウム(Synadenium)、テトラコックス(Tetracoccus)、テトラプランドラ(Tetraplandra)、テトロルキディウム(Tetrorchidium)、ティルサンテラ(Thyrsanthera)、ティティマルス(Tithymalus)、トラギア(Trageia)、トレウィア(Trewia)、トリゴノステモン(Trigonostemon)、ティリア(Tyria)およびキシロフィラ(Xylophylla)。
【0028】
好ましい属および本発明の実施に特に適しているのはトウダイグサ属である。この属の中で特に有用な種には以下が含まれる:ユーフォルビア・アアロンロシイ(Euphorbia aaronrossii)、ユーフォルビア・アブレビアタ(Euphorbia abbreviata)、ユーフォルビア・アクタ(Euphorbia acuta)、ユーフォルビア・アラトカウリス(Euphorbia alatocaulis)、ユーフォルビア・アルビカウリス(Euphorbia albicaulis)、ユーフォルビア・アルゴマルギナタ(Euphorbia algomarginata)、ユーフォルビア・アリケアエ(Euphorbia aliceae)、ユーフォルビア・アルタ(Euphorbia alta)、ユーフォルビア・アナカムプセロス(Euphorbia anacampseros)、ユーフォルビア・アンドロメダエ(Euphorbia andromedae)、ユーフォルビア・アングスタ(Euphorbia angusta)、ユーフォルビア・アントニイ(Euphorbia anthonyi)、ユーフォルビア・アンティグエンシス(Euphorbia antiguensis)、ユーフォルビア・アポキニフォリア(Euphorbia apocynifolia)、ユーフォルビア・アラビカ(Euphorbia arabica)、ユーフォルビア・アリエンシス(Euphorbia ariensis)、ユーフォルビア・アリゾニカ(Euphorbia arizonica)、ユーフォルビア・アルカンサナ(Euphorbia arkansana)、ユーフォルビア・アルテアガエ(Euphorbia arteagae)、ユーフォルビア・アルンデラナ(Euphorbia arundelana)、ユーフォルビア・アストロイテス(Euphorbia astroites)、ユーフォルビア・アトロコッカ(Euphorbia atrococca)、ユーフォルビア・バセリキス(Euphorbia baselicis)、ユーフォルビア・バタバネンシス(Euphorbia batabanensis)、ユーフォルビア・ベルゲリ(Euphorbia bergeri)、ユーフォルビア・ベルムディアナ(Euphorbia bermudiana)、ユーフォルビア・ビコロル(Euphorbia bicolor)、ユーフォルビア・ビフォルミス(Euphorbia biformis)、ユーフォルビア・ビフルカタ(Euphorbia bifurcata)、ユーフォルビア・ビロバタ(Euphorbia bilobata)、ユーフォルビア・ビラメンシス(Euphorbia biramensis)、ユーフォルビア・ビウンキアリス(Euphorbia biuncialis)、ユーフォルビア・ブレファロスティプラ(Euphorbia blepharostipula)、ユーフォルビア・ブロドゲティ(Euphorbia blodgetti)、ユーフォルビア・ボエルハアウィオイデス(Euphorbia boerhaavioides)、ユーフォルビア・ボリビアナ(Euphorbia boliviana)、ユーフォルビア・ブラケイ(Euphorbia bracei)、ユーフォルビア・ブラキアタ(Euphorbia brachiata)、ユーフォルビア・ブラキケラ(Euphorbia brachycera)、ユーフォルビア・ブラデゲエ(Euphorbia brandegee)、ユーフォルビア・ブリットニイ(Euphorbia brittonii)、ユーフォルビア・カエシア(Euphorbia caesia)、ユーフォルビア・カルキコラ(Euphorbia calcicola)、ユーフォルビア・カムペストリス(Euphorbia campestris)、ユーフォルビア・カンデラブルム(Euphorbia candelabrum)、ユーフォルビア・カピテラタ(Euphorbia capitellata)、ユーフォルビア・カルメネンシス(Euphorbia carmenensis)、ユーフォルビア・カルンクラタ(Euphorbia carunculata)、ユーフォルビア・カイエンシス(Euphorbia cayensis)、ユーフォルビア・ケラストロイデス(Euphorbia celastroides)、ユーフォルビア・カリコフィラ(Euphorbia chalicophila)、ユーフォルビア・カマエルロドス(Euphorbia chamaerrhodos)、ユーフォルビア・カマエスラ(Euphorbia chamaesula)、ユーフォルビア・キアペンシス(Euphorbia chiapensis)、ユーフォルビア・キオゲノイデス(Euphorbia chiogenoides)、ユーフォルビア・シネラスセンス(Euphorbia cinerascens)、ユーフォルビア・クラリオネンシス(Euphorbia clarionensis)、ユーフォルビア・コリマエ(Euphorbia colimae)、ユーフォルビア・コロラタ(Euphorbia colorata)、ユーフォルビア・コムムタタ(Euphorbia commutata)、ユーフォルビア・コンソクイトラエ(Euphorbia consoquitlae)、ユーフォルビア・コンボルブロイデス(Euphorbia convolvuloides)、ユーフォルビア・コラリフェラ(Euphorbia corallifera)、ユーフォルビア・クレベルリマ(Euphorbia creberrima)、ユーフォルビア・クレヌラタ(Euphorbia crenulata)、ユーフォルビア・クベンシス(Euphorbia cubensis)、ユーフォルビア・クスピダタ(Euphorbia cuspidata)、ユーフォルビア・シンビフォルミス(Euphorbia cymbiformis)、ユーフォルビア・ダルリングトニイ(Euphorbia darlingtonii)、ユーフォルビア・デフォリアタ(Euphorbia defoliata)、ユーフォルビア・デゲネリ(Euphorbia degeneri)、ユーフォルビア・デルトイデア(Euphorbia deltoidea)、ユーフォルビア・デンタタ(Euphorbia dentata)、ユーフォルビア・デプレスサ(Euphorbia depressa)、ユーフォルビア・ディクティオスペルマ(Euphorbia dictyosperma)、ユーフォルビア・ディオエカ(Euphorbia dioeca)、ユーフォルビア・ディスコイダリス(Euphorbia discoidalis)、ユーフォルビア・ドルシベントラリス(Euphorbia dorsiventralis)、ユーフォルビア・ドルモンディイ(Euphorbia 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gorgonis)、ユーフォルビア・グラシリオル(Euphorbia gracilior)、ユーフォルビア・グラシリマ(Euphorbia gracillima)、ユーフォルビア・グラディイ(Euphorbia gradyi)、ユーフォルビア・グラミネア(Euphorbia graminea)、ユーフォルビア・グラミニエア(Euphorbia graminiea)、ユーフォルビア・グリセア(Euphorbia grisea)、ユーフォルビア・グアダラヤラナ(Euphorbia guadalajarana)、ユーフォルビア・グアナレンシス(Euphorbia guanarensis)、ユーフォルビア・ギムナデニア(Euphorbia gymnadenia)、ユーフォルビア・ハエマタンタ(Euphorbia haematantha)、ユーフォルビア・ヘディオトイデス(Euphorbia hedyotoides)、ユーフォルビア・ヘルドリキイ(Euphorbia heldrichii)、ユーフォルビア・ヘレナエ(Euphorbia helenae)、ユーフォルビア・ヘルレリ(Euphorbia helleri)、ユーフォルビア・ヘルウィギイ(Euphorbia helwigii)、ユーフォルビア・ヘンリクソニイ(Euphorbia henricksonii)、ユーフォルビア・ヘテロフィラ(Euphorbia heterophylla)、ユーフォルビア・ヘキサゴナ(Euphorbia hexagona)、ユーフォルビア・ヘキサゴノイデス(Euphorbia hexagonoides)、ユーフォルビア・ヒンクレヨルム(Euphorbia hinkleyorum)、ユーフォルビア・ヒントニイ(Euphorbia hintonii)、ユーフォルビア・ヒルトゥラ(Euphorbia hirtula)、ユーフォルビア・ヒルタ(Euphorbia hirta)、ユーフォルビア・ホオベリ(Euphorbia hooveri)、ユーフォルビア・フミストラタ(Euphorbia humistrata)、ユーフォルビア・ヒペリシフォリア(Euphorbia hypericifolia)、ユーフォルビア・イヌンダタ(Euphorbia 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odontodenia)、ユーフォルビア・オリバケア(Euphorbia olivacea)、ユーフォルビア・オロワルアナ(Euphorbia olowaluana)、ユーフォルビア・オプサルミカ(Euphorbia opthalmica)、ユーフォルビア・オバタ(Euphorbia ovata)、ユーフォルビア・パキポダ(Euphorbia pachypoda)、ユーフォルビア・パキリザ(Euphorbia pachyrhiza)、ユーフォルビア・パディフォリア(Euphorbia padifolia)、ユーフォルビア・パルメリ(Euphorbia palmeri)、ユーフォルビア・パルディコラ(Euphorbia paludicola)、ユーフォルビア・パルシフロラ(Euphorbia parcifl
ora)、ユーフォルビア・パリシイ(Euphorbia parishii)、ユーフォルビア・パリイ(Euphorbia parryi)、ユーフォルビア・パクシアナ(Euphorbia paxiana)、ユーフォルビア・ペディクリフェラ(Euphorbia pediculifera)、ユーフォルビア・ペプリディオン(Euphorbia peplidion)、ユーフォルビア・ペプロイデス(Euphorbia peploides)、ユーフォルビア・ペプルス(Euphorbia peplus)、ユーフォルビア・ペルガメナ(Euphorbia pergamena)、ユーフォルビア・ペルリグネア(Euphorbia perlignea)、ユーフォルビア・ペタロイデア(Euphorbia petaloidea)、ユーフォルビア・ペトリナ(Euphorbia petrina)、ユーフォルビア・ピカケンシス(Euphorbia picachensis)、ユーフォルビア・ピロスラ(Euphorbia pilosula)、ユーフォルビア・ピルリフェラ(Euphorbia pilulifera)、ユーフォルビア・ピナリオナ(Euphorbia pinariona)、ユーフォルビア・ピネトルム(Euphorbia pinetorum)、ユーフォルビア・ピオノスペルマ(Euphorbia pionosperma)、ユーフォルビア・プラティスペルマ(Euphorbia platysperma)、ユーフォルビア・プリカタ(Euphorbia plicata)、ユーフォルビア・ポエッピギイ(Euphorbia poeppigii)、ユーフォルビア・ポリオスペルマ(Euphorbia poliosperma)、ユーフォルビア・ポリカルパ(Euphorbia polycarpa)、ユーフォルビア・ポリクネモイデス(Euphorbia polycnemoides)、ユーフォルビア・ポリフィラ(Euphorbia polyphylla)、ユーフォルビア・ポルトリセンシス(Euphorbia portoricensis)、ユーフォルビア・ポルツラコイデス(Euphorbia portulacoides)、ユーフォルビア・ポルツラナ(Euphorbia portulana)、ユーフォルビア・プレスリイ(Euphorbia preslii)、ユーフォルビア・プロストラタ(Euphorbia prostrata)、ユーフォルビア・プテロネウラ(Euphorbia pteroneura)、ユーフォルビア・ピクナンテマ(Euphorbia pycnanthema)、ユーフォルビア・ラモサ(Euphorbia ramosa)、ユーフォルビア・ラプルム(Euphorbia rapulum)、ユーフォルビア・レミイ(Euphorbia remyi)、ユーフォルビア・レストロスカブラ(Euphorbia retroscabra)、ユーフォルビア・レボルタ(Euphorbia revoluta)、ユーフォルビア・リブラリス(Euphorbia rivularis)、ユーフォルビア・ロブスタ(Euphorbia robusta)、ユーフォルビア・ロモサ(Euphorbia romosa)、ユーフォルビア・ルビダ(Euphorbia rubida)、ユーフォルビア・ルブロスペルマ(Euphorbia rubrosperma)、ユーフォルビア・ルピコラ(Euphorbia rupicola)、ユーフォルビア・サンマルテンシス(Euphorbia sanmartensis)、ユーフォルビア・サクサチリスM. ビエブ(Euphorbia saxatilis M. Bieb)、ユーフォルビア・スキゾロバ(Euphorbia schizoloba)、ユーフォルビア・スクレロシアティウム(Euphorbia sclerocyathium)、ユーフォルビア・スコプロルム(Euphorbia scopulorum)、ユーフォルビア・セニリス(Euphorbia senilis)、ユーフォルビア・セルピリフォリア(Euphorbia serpyllifolia)、ユーフォルビア・セルルラ(Euphorbia serrula)、ユーフォルビア・セティロバ・エンゲルム(Euphorbia setiloba Engelm)、ユーフォルビア・ソノラエ(Euphorbia sonorae)、ユーフォルビア・ソオビイ(Euphorbia soobyi)、ユーフォルビア・スパルシフロラ(Euphorbia sparsiflora)、ユーフォルビア・スファエロスペルマ(Euphorbia sphaerosperma)、ユーフォルビア・シフィリティカ(Euphorbia syphilitica)、ユーフォルビア・スプルセアナ(Euphorbia spruceana)、ユーフォルビア・スブコエルレア(Euphorbia subcoerulea)、ユーフォルビア・ステラタ(Euphorbia stellata)、ユーフォルビア・スブマムミラリス(Euphorbia submammilaris)、ユーフォルビア・スブペルタタ(Euphorbia subpeltata)、ユーフォルビア・スブプベンス(Euphorbia subpubens)、ユーフォルビア・スブレニフォルメ(Euphorbia subreniforme)、ユーフォルビア・スブトリフォリアタ(Euphorbia subtrifoliata)、ユーフォルビア・スクセダネア(Euphorbia succedanea)、ユーフォルビア・タマウリパサナ(Euphorbia tamaulipasana)、ユーフォルビア・テレフィオイデス(Euphorbia telephioides)、ユーフォルビア・テヌイスシマ(Euphorbia tenuissima)、ユーフォルビア・テトラポラ(Euphorbia tetrapora)、ユーフォルビア・ティルカルリ(Euphorbia tirucalli)、ユーフォルビア・トメンテルラ(Euphorbia tomentella)、ユーフォルビア・トメンテトサ(Euphorbia tomentosa)、ユーフォルビア・トルラルバシイ(Euphorbia torralbasii)、ユーフォルビア・トバリエンシス(Euphorbia tovariensis)、ユーフォルビア・トラキスペルマ(Euphorbia trachysperma)、ユーフォルビア・トリコロル(Euphorbia tricolor)、ユーフォルビア・トロヤナ(Euphorbia troyana)、ユーフォルビア・ツエルクヘイミイ(Euphorbia tuerckheimii)、ユーフォルビア・ツルクザニノウィイ(Euphorbia turczaninowii)、ユーフォルビア・ウムベルラタ(Euphorbia umbellulata)、ユーフォルビア・ウンドゥラタ(Euphorbia undulata)、ユーフォルビア・ベルミフォルミス(Euphorbia vermiformis)、ユーフォルビア・ベルシコロル(Euphorbia versicolor)、ユーフォルビア・ビリフェラ(Euphorbia villifera)、ユーフォルビア・ビオラセア(Euphorbia violacea)、ユーフォルビア・ホワイテイ(Euphorbia whitei)、ユーフォルビア・キサンチ・エンゲルム(Euphorbia xanti Engelm)、ユーフォルビア・キシロポダ・グレエンム(Euphorbia xylopoda Greenm.)、ユーフォルビア・ヤヤレシア・ウルブ(Euphorbia yayalesia Urb.)、ユーフォルビア・ユンガセンシス(Euphorbia yungasensis)、ユーフォルビア・ゼラブスチャニカ(Euphorbia zeravschanica)およびユーフォルビア・ジンニイフロラ(Euphorbia zinniiflora)。
【0029】
ある態様において、シナデニウム属の種には、シナデニウム・グランチイ(Synadenium grantii)およびシナデニウム・コンパクツム(Synadenium compactum)が含まれる。
【0030】
ある態様において、モナデニウム属の種には、モナデニウム・ルガルダエ(Monadenium lugardae)およびモナデニウム・グエンテリ(Monadenium guentheri)が含まれる。
【0031】
一態様において、エンダデニウム属の種は、エンダデニウム・ゴスウェイレニ(Endadenium gossweileni)である。
【0032】
別の態様において、ユーフォルビア・ペプルスは、インゲノールアンゲラートなどのインゲノール化合物の供給源を提供するという意味で、本発明の実施に有用である。本明細書における「ユーフォルビア・ペプルス」またはその略語「E.ペプルス」への言及には、この植物の様々な品種、株、系統、雑種または誘導体、およびその植物学上または園芸学上の近縁体が含まれる。さらに、本発明はトウダイグサ科の植物全体を用いて実施することができ、または液汁または種子または他の繁殖材料を含むその一部を用いることもできる。一般に、種子または繁殖材料が使用されるためには、まず植物または苗木を繁殖させる必要がある。
【0033】
本明細書におけるトウダイグサ科の植物、トウダイグサ種、またはE.ペプルスへの言及には、遺伝子修飾を受けた植物がさらに含まれる。遺伝子修飾を受けた植物には、トランスジェニック植物、または、ある形質が除去された、または内在性遺伝子配列がダウンレギュレーションされた、変異した、もしくは特定の遺伝子に対する調節効果を示す遺伝材料の変化または導入を含む、その他のやり方で変化した植物が含まれる。従って、トウダイグサ科の植物、またはトウダイグサの種、またはE.ペプルスにおいて天然には存在しない特徴を示す植物であっても、本発明では意図され、上述の用語の範囲内に含まれる。
【0034】
本発明の一態様において、インゲノール化合物は、以下の式を有する:

式中
R1〜R3は、水素、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいアルキニル、置換されていてもよいアシル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいアリールアルキル、S(O)2R’、S(O)2OR’、P(O)(OR’)2(ここでR’は水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アシル、アリール、またはアリールアルキルである)およびグリコシルより独立して選択されるか、またはR1およびR2またはR2およびR3は、メチレンまたはエチレン鎖を形成し得;
R4は、水素、ヒドロキシ、置換されていてもよいアルコキシ、置換されていてもよいアルケノキシ、置換されていてもよいアルキノキシ、置換されていてもよいアシルオキシ、置換されていてもよいアリールアルコキシ、OS(O)2R’、OS(O)2OR’、OP(O)(OR’)2(ここでR’は水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アシル、アリール、またはアリールアルキルである)およびグリコキシより選択される。
【0035】
ある例において、R1〜R4の少なくとも1つは水素ではない。そのさらなる例において、R1は水素ではない。
【0036】
本発明のある例において、R1は、置換されていてもよいアシル基C(O)-Rである。そのさらなる例において、Rは、置換されていてもよいアルキル、アルケニルまたはアルキニルである。そのさらなる例において、Rは、直鎖または分岐鎖であり得、6個までまたは10個までの炭素原子を有し得る。そのなおさらなる例において、Rは分岐鎖である。
【0037】
本発明のある例において、R1〜R3の1つは、下記の式(i)によってあらわされるような、アンゲロイル基であり、またはR4はO-アンゲロイル基である。このような化合物は、本明細書においてインゲノールアンゲラートと呼ばれる。本発明の1つのこのような例において、R1は、式(i)のアンゲロイル基である。

【0038】
本発明のある例において、R2およびR3の一方または両方は水素である。R2およびR3はまた一緒にメチレンまたはエチレンジオキシ基を形成し得る。
【0039】
本発明のある例において、R4は、水素、ヒドロキシまたはアシルオキシ、例えば、式-OC(O)C1-6アルキルの基、例えばアセトキシである。
【0040】
本発明のある例において、記載される方法、使用および組成物における使用のための化合物は、インゲノール-3-アンゲラート、20-O-アセチル-インゲノール-3-アンゲラート、および20-デオキシ-インゲノール-3-アンゲラート(下記に示す)、ならびにその薬学的に許容される塩およびプロドラッグである。
【0041】

R4=OH、インゲノール-3-アンゲラート
R4=OAc、20-O-アセチル-インゲノール-3-アンゲラート
R4=H、20-デオキシ-インゲノール-3-アンゲラート
【0042】
本発明の一態様において、化合物は、インゲノール-3-アンゲラートである。本明細書における「インゲノール-3-アンゲラート」への言及は、天然および化学的合成形態を含む。
【0043】
化合物がトウダイグサ科(Euphorbiacae)由来の液汁または抽出物として使用され得ることが認識される一方、本明細書において意図されるインゲノール化合物は、有利には、少なくとも部分的に精製または単離された形態で、例えば、少なくとも95%精製された形態、典型的に少なくとも97、98または99%純粋で、使用される。
【0044】
アルキル化、アルケニル化、アルキニル化、アリール化、アリールアルキル化、またはアシル化は、遊離ヒドロキシ基のアルキル化、アルケニル化、アルキニル化、アリール化、アリールアルキル化、またはアシル化について合成化学の分野で公知の方法を使用して、インゲノール化合物に対して行うことができる(例えば、Greene and Wutz, Protective Groups in Organic Synthesis, 1999;March, Advanced Organic Chemistry, 5th Edition;Larock, Comprehensive Organic Transformations, 1999を参照のこと;それらの全内容が参照により本明細書に組み入れられる)。例えば、ヒドロキシ基は、ヨウ化メチル(もしくはベンジルブロミド)のようなハロゲン化アルキル(もしくはハロゲン化アリールアルキル)、または硫酸ジメチルもしくは硫酸ジエチルのような硫酸ジアルキルを用いて、アルキル化(またはアリールアルキル化)できる。アシル化は、塩基またはカップリング剤の存在下で、適当なカルボン酸、酸ハロゲン化物、および酸無水物を用いて処理することにより実施できる。グリコシドの形成は、例えば、ヒドロキシル基またはカルボキシル基とのカップリングのためにハロゲン化によりC-1が活性化され、糖のヒドロキシル基が保護基によりブロックされた状況で、インゲノール化合物を保護された糖化合物と反応させることによって化学的に実施できる。または、グリコシドの形成は、UDP-ガラクトース依存性ガラクトシルトランスフェラーゼおよびUDP-グルコース依存性グリコトランスフェラーゼのような、適当なグリコシルトランスフェラーゼを用いて酵素的に実施できる。好ましいC-1結合サッカリドは、サッカリドのC-1(慣習的番号付け)を介してインゲノールアンゲラート構造に連結されアセチル結合を形成する、フラノースまたはピラノースサッカリド(糖)置換基である。例示的なサッカリド基には、各々がインゲノール化合物の酸素原子に連結した、グルコース、リボース、アラビノース、キシロース、マンノース、およびガラクトースのような還元糖が含まれる。
【0045】
硫酸基、スルホン酸基、リン酸基は、当技術分野で公知の方法によって作製できる。R’の例には、水素、C1-6アルキル、フェニル、およびベンジルが含まれる。
【0046】
本明細書で使用される場合、用語「アルキル」は、直鎖または分岐鎖のアルキル、好ましくはC1-20アルキル、例えばC1-10またはC1-6を指す。直鎖および分岐鎖のアルキルの例には、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、t-ブチル、n-ペンチル、1,2-ジメチルプロピル、1,1-ジメチル-プロピル、ヘキシル、4-メチルペンチル、1-メチルペンチル、2-メチルペンチル、3-メチルペンチル、1,1-ジメチルブチル、2,2-ジメチルブチル、3,3-ジメチルブチル、1,2-ジメチルブチル、1,3-ジメチルブチル、1,2,2-トリメチルプロピル、1,1,2-トリメチルプロピル、ヘプチル、5-メチルヘキシル、1-メチルヘキシル、2,2-ジメチルペンチル、3,3-ジメチルペンチル、4,4-ジメチルペンチル、1,2-ジメチルペンチル、1,3-ジメチルペンチル、1,4-ジメチルペンチル、1,2,3-トリメチルブチル、1,1,2-トリメチルブチル、1,1,3-トリメチルブチル、オクチル、6-メチルヘプチル、1-メチルヘプチル、1,1,3,3-テトラメチルブチル、ノニル、1-、2-、3-、4-、5-、6-または7-メチル-オクチル、1-、2-、3-、4-または5-エチルヘプチル、1-、2-または3-プロピルヘキシル、デシル、1-、2-、3-、4-、5-、6-、7-および8-メチルノニル、1-、2-、3-、4-、5-または6-エチルオクチル、1-、2-、3-または4-プロピルヘプチル、ウンデシル、1-、2-、3-、4-、5-、6-、7-、8-または9-メチルデシル、1-、2-、3-、4-、5-、6-または7-エチルノニル、1-、2-、3-、4-または5-プロピルオクチル、1-、2-または3-ブチルヘプチル、1-ペンチルヘキシル、ドデシル、1-、2-、3-、4-、5-、6-、7-、8-、9-または10-メチルウンデシル、1-、2-、3-、4-、5-、6-、7-または8-エチルデシル、1-、2-、3-、4-、5-または6-プロピルノニル、1-、2-、3-または4-ブチルオクチル、1-2-ペンチルヘプチルなどが含まれる。アルキル基が「プロピル」、「ブチル」などと一般的に呼ばれる場合、これは、適切である場合、任意の直鎖、分岐鎖、および環状異性体を指し得ることが理解される。アルキル基は、本明細書で定義されるような、1つまたは複数の任意の置換基で置換されていてもよい。「シクロアルキル」基は、少なくとも3つの炭素原子の環状アルキル基、例えば、C3-C8、例えば、C3、C4、C5またはC6シクロアルキルである。「シクロアルキル」の例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシルなどのような、単環式または多環式アルキル基が含まれる。シクロアルキル基は、本明細書で定義されるような、1つまたは複数の任意の置換基で置換されていてもよい。
【0047】
用語「アルケニル」は、本明細書で使用される場合、エチレン系のモノ-、ジ-、またはポリ-不飽和の、前に定義されるようなアルキルまたはシクロアルキル基を含む、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を含む直鎖、分岐鎖、または環状炭化水素残基から形成される基、好ましくはC2-20アルケニル(例えば、C2-10またはC2-6)を指す。アルケニルの例には、ビニル、アリル、1-メチルビニル、ブテニル、イソ-ブテニル、3-メチル-2-ブテニル、1-ペンテニル、シクロペンテニル、1-メチル-シクロペンテニル、1-ヘキセニル、3-ヘキセニル、シクロヘキセニル、1-ヘプテニル、3-ヘプテニル、1-オクテニル、シクロオクテニル、1-ノネニル、2-ノネニル、3-ノネニル、1-デセニル、3-デセニル、1,3-ブタジエニル、1,4-ペンタジエニル、1,3-シクロペンタジエニル、1,3-ヘキサジエニル、1,4-ヘキサジエニル、1,3-シクロヘキサジエニル、1,4-シクロヘキサジエニル、1,3-シクロヘプタジエニル、1,3,5-シクロヘプタトリエニル、および1,3,5,7-シクロオクタテトラエニルが含まれる。アルケニル基は、本明細書に定義されているような1つまたは複数の任意の置換基で置換されていてもよい。
【0048】
本明細書で使用される場合、用語「アルキニル」は、エチニル系のモノ-、ジ-、またはポリ-不飽和の、前に定義されるようなアルキルまたはシクロアルキル基を含む、少なくとも1つの炭素-炭素三重結合を含む直鎖、分岐鎖、または環状炭化水素残基から形成される基を指す。炭素原子数が規定されていない限り、この用語は好ましくはC2-20アルキニル(例えば、C2-10またはC2-6)を指す。例には、エチニル、1-プロピニル、2-プロピニル、およびブチニル異性体、およびペンチニル異性体が含まれる。アルキニル基は、本明細書に定義されているような1つまたは複数の任意の置換基で置換されていてもよい。
【0049】
用語「アリール」は、芳香族炭化水素環系の単一の、多核の、結合した、および縮合した残基のうち任意のものを指す。アリールの例には、フェニル、ビフェニル、テルフェニル、クアテルフェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、アントラセニル、ジヒドロアントラセニル、ベンズアントラセニル、ジベンズアントラセニル、フェナントレニル、フルオレニル、ピレニル、イデニル、アズレニル、クリセニルが含まれる。好ましいアリールには、フェニルおよびナフチルが含まれる。アリール基は、本明細書に定義されているような1つまたは複数の任意の置換基で置換されていてもよい。
【0050】
用語「アシル」は、C(O)-Rという基を指し、ここでRは、水素、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、またはアリール残基であり得る。アシルの例には、ホルミル、直鎖または分岐鎖アルカノイル(例えば、C1-20)、例えば、アセチル、プロパノイル、ブタノイル、2-メチルプロパノイル、ペンタノイル、2,2-ジメチルプロパノイル、ヘキサノイル、ヘプタノイル、オクタノイル、ノナノイル、デカノイル、ウンデカノイル、ドデカノイル、トリデカノイル、テトラデカノイル、ペンタデカノイル、ヘキサデカノイル、ヘプタデカノイル、オクタデカノイル、ノナデカノイル、およびイコサノイル;シクロアルキルカルボニル、例えば、シクロプロピルカルボニル、シクロブチルカルボニル、シクロペンチルカルボニル、およびシクロヘキシルカルボニル;直鎖または分岐鎖アルケノイル(例えば、C2-20)、例えば、アンゲロイル;ならびにアロイル、例えば、ベンゾイル、トルオイル、およびナフトイルが含まれる。R残基は、本明細書に定義されているように置換されていてもよい。
【0051】
アリールアルキル基は、本明細書に定義されるようなアリール基によって置換された、本明細書に定義されるようなアルキル基である。一態様において、アルキル基はアリール基によって末端が置換されている。アリールアルキルの例には、ベンジル、フェニルエチル、フェニルプロピル、フェニルブチル、フェニルペンチル、およびフェニルヘキシルのようなフェニルC1-C20アルキルが含まれる。アルキル基とアリール基のどちらかまたは両方は、本明細書に定義されているような1つまたは複数の任意の置換基で独立して置換されていてもよい。
【0052】
用語「置換されていてもよい」は、1つまたは複数の、同一または異なる置換基によって基が置換されていても、置換されていなくてもよいことを意味する。アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アリール、および従ってアシルについての任意の置換基には、ハロ(クロロ、ブロモ、ヨード、およびフルオロ)、ヒドロキシ、C1-6アルコキシ、C1-6アルキル、C3-6シクロアルキル、フェニル、ニトロ、ハロメチル(例えば、トリブロモメチル、トリクロロメチル、トリフルオロメチル)、ハロメトキシ(例えば、トリフルオロメトキシ、トリブロモメトキシ)、C(O)C1-6アルキル、アミノ(NH2)、C1-6アルキルアミノ(例えば、メチルアミノ、エチルアミノ、およびプロピルアミノ)、ジC1-6アルキルアミノ(例えば、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、およびジプロピルアミノ)、CO2H、CO2C1-6アルキル、チオ(SH)、およびC1-6アルキルチオが含まれる。任意の置換基はまた、カルボニル(C=O)基によるCH2基の置換を含み、またはメチレンまたはエチレンジオキシ基であり得る。
【0053】
本発明によって意図されるインゲノール化合物の作製のための、合成または半合成プロセスの間、使用する反応条件または変換条件に反応性または感受性であり得る他の官能基を保護することが、必要または望ましい場合があることが、認識される。このような官能基に適した保護基は、当技術分野で公知であり、標準的な実施に従って使用され得る。本明細書で使用される場合、用語「保護基」は、化合物が供される条件下で特定の官能基を一時的に不活性にする、導入される官能性を指す。このような保護基、ならびに適切な段階におけるそれらの導入およびその後の除去の方法は、周知である(Greene and Wutz, 1999上記)。
【0054】
本発明は、本明細書に記載されるような使用のためのインゲノール化合物のプロドラッグにも関する。インゲノール化合物のプロドラッグであるいかなる化合物も、本発明の範囲および精神に含まれる。用語「プロドラッグ」は、その最も広い意味で使用され、インビボで酵素的にまたは加水分解によって本発明の化合物に変換される誘導体を含む。このような誘導体は、当業者は容易に着想され、例えば、遊離のチオールもしくはヒドロキシ基が酢酸エステルまたはチオエステルのようなエステルに変換される、または遊離アミノ基がアミドに変換される化合物を含む。例えばエステルおよびアミドプロドラッグを作製するために本発明の化合物をアシル化する手順は、当技術分野で周知であり、適当な触媒または塩基の存在下で、適当なカルボン酸、無水物、または塩化物で化合物を処理することを含み得る。カルボン酸(カルボキシ)基のエステルも意図される。適当なエステル、C1-6アルキルエステル;C1-6アルコキシメチルエステル、例えば、メトキシメチルまたはエトキシメチル;C1-6アルカノイルオキシメチルエステル、例えば、ピバロイルオキシメチル;フタリジルエステル;C3-8シクロアルコキシカルボニルC1-6アルキルエステル、例えば、1-シクロヘキシルカルボニルオキシエチル;1,3-ジオキソレン-2-オニルメチルエステル、例えば、5-メチル-1,3-ジオキソレン-2-オニルメチル;およびC1-6アルコキシカルボニルオキシエチルエステル、例えば、1-メトキシカルボニルオキシエチル。アミノ官能基のプロドラッグには、アミド(例えば、Adv. BioSci., 1979, 20, 369, Kyncl, J. et alを参照のこと)、エナミン(例えば、J. Pharm. Sci., 1971, 60, 1810, Caldwell, H. et alを参照のこと)、シッフ塩基(例えば、米国特許第2,923,661号およびAntimicrob. Agents Chemother., 1981, 19, 1004, Smyth, R. et alを参照のこと)、オキサゾリジン(例えば、J. Pharm. Sci, 1983, 72, 1294, Johansen, M. et alを参照のこと)、マンニッヒ塩基(例えば、J. Pharm. Sci. 1980, 69, 44, Bundgaard, H. et alおよびJ. Am. Chem. Soc., 1959, 81, 1198, Gottstein, W. et alを参照のこと)、ヒドロキシメチル誘導体(例えば、J. Pharm. Sci, 1981, 70, 855, Bansal, P. et alを参照のこと)、およびN-(アシルオキシ)アルキル誘導体およびカルバメート(例えば、J. Med. Chem., 1980, 23, 469, Bodor, N. et al、J. Med. Chem., 1984, 27, 1037, Firestone, R. et al、J. Med. Chem., 1967, 10, 960, Kreiger, M. et al、米国特許第5,684,018号およびJ. Med. Chem., 1988, 31, 318-322, Alexander, J. et alを参照のこと)が含まれる。適当なプロドラッグの選択および調製のための他の通常の手順は当技術分野で公知であり、例えば、WO 00/23419;Design of Prodrugs, H. Bundgaard, Ed., Elsevier Science Publishers, 1985;Methods in Enzymology, 42: 309-396, K. Widder, Ed, Academic Press, 1985;A Textbook of Drug Design and Development, Krogsgaard-Larsen and H. Bundgaard, Eds, Chapter 5, p113-191 (1991);Advanced Drug Delivery Reviews, 8; 1-38 (1992);Journal of Pharmaceutical Sciences, 77;285 (1988), H. Bundgaard, et al;Chem Pharm Bull, 32692 (1984), N. Kakeya et alおよびThe Organic Chemistry of Drug Desig and Drug Action, Chapter 8, pp352-401, Academic press, Inc., 1992に記述されている。
【0055】
意図されるプロドラッグのある例としては、アシルエステル、スルホナートおよびホスホナートが挙げられる。
【0056】
化合物の薬学的に許容される適当な塩には、塩酸、硫酸、リン酸、硝酸、炭酸、ホウ酸、スルファミン酸、および臭化水素酸のような薬学的に許容される無機酸の塩、または、酢酸、プロピオン酸、酪酸、酒石酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フマル酸、マレイン酸、クエン酸、乳酸、粘液酸、グルコン酸、安息香酸、コハク酸、シュウ酸、フェニル酢酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、サリチル酸、スルファニル酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、エデト酸、ステアリン酸、パルミチン酸、オレイン酸、ラウリン酸、パントテン酸、タンニン酸、アスコルビン酸、および吉草酸のような薬学的に許容される有機酸の塩が含まれるが、これらに限定されない。塩基の塩には、ナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム、およびアルキルアンモニウムのような薬学的に許容される陽イオンと形成されるものが含まれるが、これらに限定されない。塩基性の窒素含有基は、塩化、臭化、およびヨウ化メチル、エチル、プロピル、およびブチルのようなハロゲン化低級アルキル;硫酸ジメチルおよびジエチルのような硫酸ジアルキル;およびその他のような薬剤を用いて4級化してもよい。
【0057】
本発明の化合物は、遊離化合物として、または溶媒和物(例えば、水の溶媒和物、すなわち水和物、またはアルコールのような普通の有機溶媒の溶媒和物)としてのいずれかの結晶形態で存在してもよく、両方の形態が本発明の範囲内にあることが意図される。例えば特定の溶媒からの再結晶化のような、溶媒和の方法は、当技術分野で一般的に公知である。
【0058】
従って、本発明に従って治療され得る被験体には、哺乳類である被験体:ヒト、霊長類、家畜動物(ウシ、ウマ、ヒツジ、ブタ、およびヤギを含む)、コンパニオンアニマル(イヌ、ネコ、ウサギ、モルモット)、および捕獲された野生動物が含まれる。ウサギ、マウス、ラット、モルモット、およびハムスターのような実験動物も、便利な試験系を提供し得るので、意図される。鳥、両生類、および魚などの非哺乳類種も、本発明のある態様において意図され得る。被験体はまた、本明細書において、個体、患者、動物、またはレシピエントと呼ばれ得る。
【0059】
本発明に従う治療についての被験体は、該治療の必要または要求に基づいて好ましくは選択される。
【0060】
インゲノール化合物は、治療有効量で被験体に投与される。投与に適切な有効量(投与量)および投与計画は、担当医が決定でき、治療する皮膚の美容的外観、解剖学的位置および領域、ならびに被験体の年齢および全体的な健康状態に依存し得る。
【0061】
有利には、ある態様において、インゲノール化合物有効成分は、1つまたは複数の薬学的に許容されるアジュバントと共にインゲノール化合物を含む薬学的組成物として投与される。従って、本発明はまた、老化したまたは光老化した皮膚を治療するための医薬の製造におけるインゲノール化合物またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグの使用に関する。
【0062】
本発明で使用するために適した医薬または組成物は、約0.0001重量%〜100重量%の量でインゲノール化合物を含有し得る。ある態様において、組成物は、約0.0001重量%〜約10重量%、例えば約0.0005、0.001、0.0025、0.005、0.0075、0.01、0.0125、0.015、0.02、0.025、0.05、0.075、0.1、0.125、0.15、0.2または0.25%から約0.5、1.0、2.5または5.0%までの量でインゲノール化合物を含有する。本発明の一態様では、インゲノール化合物は、約0.001〜約1%の量で存在するインゲノール-3-アンゲラートである。さらなる態様では、インゲノール化合物、例えばインゲノール-3-アンゲラートは、約0.005〜約0.2%の量で存在する。そのさらなる態様では、インゲノール-3-アンゲラートのようなインゲノール化合物は、約0.01%のような、0.005〜0.1%の量で存在し得る。
【0063】
インゲノール化合物は、任意の適切な形態で、例えば局所的に、例えば、治療を必要とする領域への局所適用によって、および/または皮膚への注射によって、投与され得る。本発明の特定の例において、インゲノール化合物は、皮膚領域への局所適用によって投与される。
【0064】
適用時の投薬量は、当業者によって容易に決定され得る多数の因子に依存するが、1日1回または複数回の用量であり得、治療期間は、数日〜数ヶ月、または所望の結果がもたらされるまで連続的に、持続する。ある態様において、インゲノール化合物は1日1回または2回投与される。
【0065】
本発明の好ましい態様において、インゲノール化合物を、治療を必要とする領域へ局所的に、投与する、即ち、適用する。身体上の任意の皮膚領域が本発明に従って治療され得る。ある態様において、本発明は、インゲノール化合物を、顔、首、喉、眼の周囲の領域(例えば、眼の下、眼のたるみ、ならびにしわおよび目尻のしわ)、上胸部、手、背部、肩、頭皮、および前腕を含む腕のうちの1つまたは複数の治療に関する。本発明のある態様は、光老化した皮膚の治療を意図する。有利には、治療は、少なくとも10 cm2の経時および/または光老化した皮膚の領域へ適用される。さらなる態様において、本発明に従って治療される皮膚は、非病的な皮膚であり、即ち、現在のところ疾患に罹患していない。例示的な態様において、顔および/または首/喉の領域が、本発明に従って治療され得る。インゲノール化合物は、溶液、エマルジョン(水中油型、油中水型、エアゾル、またはフォーム)、軟膏、ペースト、ローション、粉末、ペイント、ゲル(例えば、PEP005(インゲノールメブタート(ingenol mebutate))ゲル、Peplin Inc.)、ヒドロゲル、ヒドロコロイド、およびクリームを含む任意の適当な形態で局所適用され得、リポソーム、ミセル、および/またはマイクロスフェアを含むように調製され得る。あるいは、インゲノール化合物は、活性な閉塞性の外傷用医薬材料の形態で提供され得、例えば、ここで、インゲノール化合物は、包帯、ガーゼ、テープ、ネット、フェイスマスク、粘着性プラスター、フィルム、メンブレン、またはパッチのような外傷用医薬材料に含浸またはコートされている。
【0066】
本明細書で意図される組成物および外傷用医薬材料の処方は、当業者に周知であり、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences, 18th Edition, Mack Publishing, 1990を参照のこと。組成物は、任意の好適な担体、希釈剤、または賦形剤を含有し得る。これらには、全ての通常の溶媒、分散媒、充填剤、固体担体、コーティング、抗真菌剤および抗細菌剤、増粘剤、フィルム形成剤、皮膚浸透剤、界面活性剤、等張剤および吸収剤などが含まれる。本発明によって意図される組成物の担体は、組成物の他の成分と適合性であり、被験体に有害ではないという意味で、薬学的に許容されなければならない。
【0067】
薬学的製剤の分野では周知のように、軟膏は、典型的にはワセリンまたは他の石油誘導体に基づく半固体調製物である。使用される特定の軟膏基剤は、当業者に認識されるように、最適な薬剤送達を提供し、かつ好ましくは、他の望ましい特性、例えば、軟化性なども提供するものである。他の担体またはビヒクルと同様に、軟膏基剤は、不活性、安定、非刺激性、および非感作性であるべきである。乳化作用のある軟膏基剤は、吸収性軟膏基剤としても知られ、水をほとんどまたは全く含有せず、これには例えば、硫酸ヒドロキシステアリン、無水ラノリン、および親水性ワセリンが含まれる。エマルジョン軟膏基剤は、油中水型(W/O)エマルジョンまたは水中油型(O/W)エマルジョンのいずれかであり、これには例えば、セチルアルコール、モノステアリン酸グリセリン、ラノリン、およびステアリン酸が含まれる。好ましい水溶性軟膏基剤は、様々な分子量のポリエチレングリコールから調製される。
【0068】
クリームも当技術分野で周知であり、水中油型または油中水型のいずれかの、粘性のある液体または半固体エマルジョンである。クリーム基剤は水洗性であり、油相、乳化剤、および水相を含んでいる。油相は「内部の」相とも呼ばれ、一般的にワセリンおよびセチルまたはステアリルアルコールのような脂肪アルコールを含む。水相は、通常、必ずしもではないが、体積で油相を超えており、一般的に湿潤剤を含んでいる。クリーム製剤中の乳化剤は、一般的に、非イオン性、陰イオン性、陽イオン性、または両性の界面活性剤である。
【0069】
薬学的製剤分野の当業者によって認識されるように、ゲルは半固体、懸濁タイプの系である。単相のゲルは、典型的には水性であるが好ましくはイソプロピルアルコールのようなアルコールおよび任意で油も含有する、担体の液体全体にわたり実質的に均一に分布した、ゲル化剤を含有する。
【0070】
化粧用剤の送達についての、ローションは、摩擦なしに皮膚表面に適用される調製物であり、典型的には、水またはアルコール基剤中に、活性薬剤を含む固体粒子が存在する、液体または半液体調製物である。ローションは通常、固体の懸濁液であり、好ましくは、本発明の目的について、水中油型の液体油状エマルジョンを含む。一般的に、ローション中の不溶性物質は、細かく分割されている。ローションは、分散をより改善するための懸濁剤、ならびに皮膚と接触した状態に活性薬剤を配置および保持するために有用な化合物を典型的に含有する。
【0071】
ペーストは、活性薬剤が適当な基剤中に懸濁されている半固体の投薬形態である。基剤の性質によって、ペーストは、脂肪性ペーストまたは単相水性ゲルから作製されたものに分けられる。脂肪性ペースト中の基剤は、一般的に、ワセリンまたは親水性ワセリンなどである。単相水性ゲルから作製されたペーストは、一般的に、基剤としてカルボキシメチルセルロースなどを含んでいる。
【0072】
本発明の一態様において、インゲノール化合物は、イソプロピルアルコールベースのゲルの形態で局所的に適用される。1つの適当な製剤は、イソプロピルアルコール、ベンジルアルコール、セルロースポリマー、例えばヒドロキシエチルセルロース、およびpH<3での緩衝剤(例えば、クエン酸塩)を含む。本発明の別の態様において、インゲノール化合物は、例えばセトマクロゲル乳化ワックス、白色軟パラフィン、および液体パラフィンを含有する、マクロセチルエーテルクリームの形態での局所適用について処方され得る。
【0073】
製剤はまた、リポソーム、ミセル、およびマイクロスフェアで作製され得る。リポソームは、脂質二重層を含む脂質の壁を持つ微小な小胞であり、本明細書において薬剤送達系としても使用できる。一般的に、リポソーム製剤は、溶解度の低い、または不溶性の薬学的薬剤について好ましい。本発明で使用されるリポソーム調製物には、陽イオン性(正に荷電)、陰イオン性(負に荷電)、および中性の調製物が含まれる。
【0074】
ミセルは、極性の頭部が球の外側のシェルを形成し、一方、疎水性の炭化水素鎖が球の中心へ向けられコアを形成するように配置された、界面活性剤分子を含むことが、当技術分野において公知である。ミセルは、ミセルが自然に生じるために充分に高い濃度で界面活性剤を含む水性溶液中で、形成する。ミセル製剤は、局所もしくは経皮送達系のリザーバへ、または体表面に適用される製剤へ組み入れることによって、本発明と共に、使用することができる。
【0075】
マイクロスフェアも同様に、本製剤および薬物送達系へ組み入れられ得る。リポソームおよびミセルと同様に、マイクロスフェアは、本質的に薬物または薬物含有製剤を封入する。マイクロスフェアは、一般的に、必ずしもではないが、合成または天然に存在する生体適合性ポリマーから形成され、しかしリン脂質のような荷電した脂質も含み得る。マイクロスフェアの作製は、当技術分野で周知であり、関連するテキストおよび文献に記述されている。
【0076】
本発明はまた、経時老化したまたは光老化した皮膚を治療するために使用されるレーザーリサーフェイシング、ケミカルピール、局所的レチノイド、メカニカルリサーフェイシング(例えば、皮膚擦傷法)および光線力学的治療(PDT)を含むがこれらに限定されない、抗老化または抗光老化療法の他の形態の使用と共に、実施され得ることが理解される。
【0077】
本発明と共に使用されるさらなる薬剤は、インゲノール化合物と一緒に組成物または外傷用医薬材料へ処方され得るか、またはそれらは、連続してまたは一緒に、別々に投与され得る。
【0078】
用語「経時老化」および「光老化」は、それぞれ、時間の経過およびUV放射線への曝露の結果としての皮膚に対する美容的および/または生理学的影響を指すために使用されるが、ある態様において、被験体は少なくとも20、30、40、50または60歳の成人であり得、本発明は成人の患者に限定されず、インゲノール化合物または該化合物を含む組成物は、適切である場合には、乳児、小児またはティーンエージャーへ適用され得ることが認識される。
【0079】
ヒトの老化した皮膚の治療における使用に有利には意図される一方、本明細書に記載のインゲノール化合物はまた、動物用組成物における使用に提示され得る。これらは、当技術分野において公知の任意の好適な手段によって調製され得る。このような組成物の例としては、局所適用に適しているもの、例えば、上述のようなクリーム、軟膏、ゲル、ローションなどが挙げられる。
【0080】
インゲノール化合物、例えば、インゲノール-3-アンゲラートまたはその薬学的に許容される塩は、被験体の皮膚における内因性ヒアルロナン合成を誘導し得る。有利には、高分子量ヒアルロナンの合成が誘導される。誘導された内因性ヒアルロナンの評価は、インゲノール化合物の効能についてのテストまたは評価手段を有利には提供し得る。
【0081】
典型的な例において、皮膚生検材料(4〜6 mmパンチ生検材料)を、10%緩衝ホルマリン中において固定し、パラフィン中に包埋する。パラフィンブロックから作製したスライドを脱パラフィンし、一連のキシロールおよび等級化アルコール(graded alcohol)によって再水和する。30分間メタノール中の過酸化水素中にスライドを含浸することによって、内因性ペルオキシダーゼをブロックする。HAの組織化学的検出のために、ウシ軟骨由来のビオチン化ヒアルロナン結合タンパク質(bHABP)(Seikagaku Ltd, Tokyo, Japan)を使用する。スライドを、リン酸緩衝食塩水(PBS)中のbHABPおよびウシ血清アルブミンと共に4℃で一晩インキュベートする。PBSで洗浄後、全てのサンプルをヤギ血清と共にインキュベートし、非特異的結合部位をブロックする。PBS中で洗浄後、切片を、アビジン-ビオチン-ペルオキシダーゼ複合体(Immunopure ABCペルオキシダーゼ染色キット、Pierce, Rockford, IL,USA)と共に室温でインキュベートする。室温でPBS中の過酸化水素および3,3'-ジアミノベンジジン(DAB, Sigma- Aldrich)を使用して、反応を視覚化する。スライドを30秒間Mayerのヘマトキシリンで対比染色し、洗浄し、乾燥させ、載せる。さらに、プロトコルは当技術分野において記載されている(例えば、Bertheim, U. and Hellstrom, S., 1994;Bertheim, U., et al., 2004;Asari, A., et al., 1992およびZanna G., et al., 2008を参照のこと)。
【0082】
カオトロピックバッファー(例えば、塩化グアニジウム)を使用して、皮膚細胞外基質(ECM)は皮膚生検材料から抽出され得る。次いで、ヒアルロナンがアニオン交換クロマトグラフィーによってECMから精製され得、分子量が、既知の標準に対してゲル濾過クロマトグラフィーを使用して測定され得る(例えば、Simpson et al., 2009を参照のこと)。
【0083】
本発明をここで以下の実施例を参照して説明し、これらは、本発明の特定の態様を示す目的で含まれ、上述の一般性を制限するとは考えられない。
【実施例】
【0084】
全体にわたって使用されるように、用語「PEP005」は、インゲノール-3-アンゲラートを指し、これと交換可能である。
【0085】
1.材料および方法
1.1 非臨床
1.1.1 皮膚線維芽細胞細胞培養物
Oral Surgery Clinic, School of Dentistry, Wales College of Medicine, Cardiffに通院する個人から、インフォームドコンセントを得た上で、正常成人皮膚生検材料(6 mm)を得た(n=1)。局所麻酔薬の適用後、皮膚生検材料を収集し、単個細胞浮遊技術、続いて試料の酵素分解によって、成人皮膚線維芽細胞培養物を樹立した。この技術は、信頼性をもって以前に使用されており、インビトロで口腔および皮膚線維芽細胞の両方の生存可能な初代培養物を樹立した(Cook et al, 2000;Stephens et al, 2001; 2003)。L-グルタミン(2 mM)、抗生物質(100 U/mlペニシリンGナトリウム、100 mg/ml硫酸ストレプトマイシンおよび0.25μg/mlアンホテリシンB)および10%ウシ胎仔血清が補充された、ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)を含有する、線維芽細胞−血清含有培地中において、皮膚線維芽細胞を培養した(全てInvitrogen Ltd., Paisley, U.K.から購入した)。皮膚線維芽細胞培養物を、5%CO2/95%空気雰囲気中において37℃で維持し、培養培地を2〜3日毎に交換した。皮膚線維芽細胞を、全ての実験について、第7〜17継代の間で使用した。
【0086】
1.1.2 PEP005の調製
20 mgバッチでPeplinから得たPEP005を、4℃で保存した。必要な場合には、PEP005を、10 mg/mlの濃度で、ジメチルスルホキシド(DMSO、>99.9%、Sigma Chemical Company, Dorset, U.K.)中に可溶化した。5分間または溶液が透明になるまで、溶液を混合し、PEP005/DMSOストック溶液を4℃で保存し、ここで、数ヶ月間安定であった。使用前に、PEP005/DMSOストック溶液を4℃保存から取り出しし、室温へ加温した。必要とされる体積のPEP005/DMSOをポリプロピレン容器へ等分し、PEP005/DMSOを、線維芽細胞−血清含有培地(セクション3.1の皮膚線維芽細胞培養物について)中において必要とされる濃度(典型的に0.01μg/ml、0.1μg/ml、1μg/ml、10μg/mlおよび100μg/ml)へ希釈し、溶液安定性のために、上記の種々の濃度で、新鮮なPEP005/培養培地溶液を毎日調製した。PEP005/培養培地溶液を捨てる前に、95%エタノール/5%メタノール(両方ともThermo Fisher Scientific, Leicestershire, U.K.製)中の、少なくとも2体積の0.1%水酸化ナトリウム(Sigma Chemical Company)を各溶液へ添加し、不活性化した。
【0087】
1.1.3 皮膚線維芽細胞によるヒアルロナン合成の評価
トリプシン処理に続いて、皮膚線維芽細胞を、2.5x104細胞/ウェルの細胞密度で、PEP005を含まない線維芽細胞−血清含有培地(1 ml)中、24-ウェル組織培養プレートに接種した。皮膚線維芽細胞を、48時間、5%CO2/95%空気雰囲気中において、37℃で維持し、その後、さらに48時間、血清を含まない線維芽細胞−血清含有培地(1 ml)中において維持した。この段階で、無血清培養培地を、0μg/ml、0.01μg/ml、0.1μg/ml、1μg/ml、10μg/mlまたは100μg/ml PEP005、+/- TGF-β1(10 ng/ml)(1つのPEP005濃度当たり3つの培養ウェル)を含有する線維芽細胞−血清含有培地(600μl)で置き換えた。1%DMSOを含有する、血清を含まない線維芽細胞−血清含有培地中の細胞からなるコントロールも樹立した。皮膚線維芽細胞を、24時間または72時間、5%CO2/95%空気雰囲気中において、37℃で維持し、その後、培養培地を取り出した。収集した培養培地中のヒアルロナン合成を、ヒアルロナンに対する天然のウシ結合タンパク質を利用するヒアルロン酸定量テストキット(Corgenix U.K. Ltd., Cambridgeshire, U.K.)を使用して定量した。上澄みを製造業者の指示通りにアッセイし、光学密度を450 nmで分光光度計を使用して測定した。試薬ブランクおよび標準から作製した参照曲線とサンプルの吸光度とを比較することによって、ヒアルロナン濃度を決定した。各実験を3つの別個の場合について行った。
【0088】
1.1.4 皮膚線維芽細胞によるヒアルロナン細胞周囲コート形成の評価
トリプシン処理に続いて、皮膚線維芽細胞を、7x104細胞/皿の密度で、PEP005を含まない線維芽細胞−血清含有培地(2 ml)中、53 mm細菌学的グレード培養皿(VWR International Ltd., Leicestershire, U.K.)に接種した。皮膚線維芽細胞を、一晩、5%CO2/95%空気雰囲気中において、37℃で維持し、その後、PBS(2x2 ml)中で洗浄し、0μg/ml、0.01μg/ml、0.1μg/ml、1μg/ml、10μg/mlまたは100μg/ml PEP005、+/- TGF-β1(10 ng/ml)(1つのPEP005濃度当たり3つの培養皿)を含有する、血清を含まない線維芽細胞−血清含有培地(2 ml)中において維持した。1%DMSOを含有する、血清を含まない線維芽細胞−血清含有培地中の細胞からなるコントロールも樹立した。皮膚線維芽細胞を、24時間または72時間、5%CO2/95%空気雰囲気中において、37℃で維持した。24時間および72時間で、培養皿を、形式化(formalized)ウマ赤血球(TCS Biosciences Ltd., Buckinghamshire, U.K.)で処理した。形式化ウマ赤血球をPBS中において洗浄し、アジ化ナトリウム(3x20 ml)を除去し、4℃にて100 g/7分で遠心分離した。得られた赤血球細胞ペレットを、1x108細胞/mlの密度まで、血清を含まない線維芽細胞−血清含有培地中に再懸濁した。赤血球細胞懸濁液のアリコート(500μl)を各培養皿へ補い、皿を撹拌し、その後、15分間、5%CO2/95%空気雰囲気中において、37℃で維持した。Hamamatsun C5985チルドCCDカメラ(Hamamatsu Photonics U.K. Ltd., Hertfordshire, U.K.)を備える、Zeiss Axiovery 135倒立顕微鏡(Carl Zeiss Ltd., Hertfordshire, U.K.)を使用し、Openlab Software 3.0.8(Improvision Ltd., Warwickshire, U.K.)を使用して、光学顕微鏡によって、赤血球排除領域を視覚化した。各実験を3つの別個の場合について行った。
【0089】
1.1.5 皮膚線維芽細胞によるヒアルロナンシンターゼ(HAS)遺伝子発現の評価
トリプシン処理に続いて、皮膚線維芽細胞を、2.5x104細胞/ウェルの細胞密度で、PEP005を含まない線維芽細胞−血清含有培地(1 ml)中、24-ウェル組織培養プレートに接種した。皮膚線維芽細胞を、一晩、5%CO2/95%空気雰囲気中において、37℃で維持した。この段階で、培養培地を、0μg/ml、0.01μg/ml、0.1μg/ml、1μg/ml、10μg/mlまたは100μg/ml PEP005、+/- TGF-β1(10 ng/ml)(1つのPEP005濃度当たり3つの培養ウェル)を含有する線維芽細胞−血清含有培地(600μl)と置き換えた。1%DMSOを含有する線維芽細胞−血清含有培地中の細胞からなるコントロールも樹立した。皮膚線維芽細胞を、24時間または72時間、5%CO2/95%空気雰囲気中において37℃で維持し、その後、PBS(3x1 ml)中で洗浄し、室温で5分間、Trizol(登録商標)試薬(250μl)を細胞へ添加し、細胞溶解を誘導した。RNAを、上述のように、フェノール-クロロホルム法によって抽出し、一方、cDNAライブラリーを、上述のように、ランダムヘキサマーRTによって作製した。RNA(1μg)を100 Mランダムヘキサマー(1μl)へ添加し、5x RTバッファー(4μl)、2.5 mMデオキシヌクレオシド三リン酸(dNTP、5μl)、2μl DTTおよびヌクレアーゼフリー水を、反応物(総体積、20μl)へ添加した。RNAを変性させるために、反応チューブをGeneAmp PCRシステム9700(Applied Biosystems, Cheshire, U.K.)中に置き、5分/95℃で加熱し、その後、4℃へ冷却した。Superscript(1μl)およびRNAsin(登録商標)リボヌクレアーゼ阻害剤(1μl、Promega, Hampshire, U.K.)を各チューブへ添加し、チューブを20℃で10分間、42℃で1時間および95℃で5分間の30サイクルを供し、その後、必要とされるまで、4℃で保存した。ネガティブコントロールとして、ヌクレアーゼフリー水でRNAサンプルを置き換えて、RTをまた行った。
【0090】
Applied Biosystemsによって設計および供給された、HAS1、HAS2およびHAS3(標的遺伝子)ならびに18sリボソームRNA(参照遺伝子)についてのプローブおよびプライマーを用いて、qPCRを上述のように行った。PCRを20μl/サンプルの最終体積において行い、各反応ミックスは、cDNA(1μl)、標的遺伝子プライマーおよびプローブ(1μl)、Taqman(登録商標)FAST Universal PCR Master Mix(10μl、Applied Biosystems)、ならびにヌクレアーゼフリー水(8μl)からなった。95℃で1秒間の最初のサイクル、続いて60℃で20秒間の40サイクルを使用して、PCR増幅を行った。cDNAを含まないコントロールも含めた。再び、比較CT法を遺伝子発現の相対的定量化のために使用した。各実験を3つの別個の場合について行った。
【0091】
1.1.6 デノボヒアルロナン分子量の評価
皮膚線維芽細胞合成に続いて、ヒアルロナン分子量サイズ決定を、以前に記載された通りに行った(Meran et al, 2008;Simpson et al, 2009)。皮膚線維芽細胞を、1.5x105細胞/ウェルで、PEP005を含まない線維芽細胞−血清含有培地(2 ml)中、6-ウェル組織培養プレート中に接種した。皮膚線維芽細胞を、48時間、5%CO2/95%空気雰囲気中において37℃で維持し、その後、リン酸緩衝食塩水(PBS、2x2 ml)中で洗浄し、さらに48時間、血清を含まない線維芽細胞−血清含有培地(2 ml)中において維持した。48時間で、血清を含まない線維芽細胞−血清含有培地に、[3H]-グルコサミン(20μCi/ml、G.E. Healthcare)に加えて、0μg/ml、0.01μg/ml、0.1μg/ml、1μg/ml、10μg/mlまたは100μg/ml PEP005、+/- TGF-β1(10 ng/ml)(1つのPEP005濃度当たり3つの培養ウェル)を含有する、血清を含まない線維芽細胞−血清含有培地(2 ml)を補充した。皮膚線維芽細胞を、24時間または72時間、5%CO2/95%空気雰囲気中において37℃で維持した。
【0092】
24時間および72時間で、培養培地を取り出し、各ウェルをPBS(1x 2ml)中において洗浄した。培養培地およびPBS洗浄物をプールし(馴化培地抽出物、8 ml)、必要とされるまで、-20℃で保存した。いったん必要になると、馴化培地抽出物を4℃で解凍し、その後、0.05%アジ化ナトリウムを含有する100 mM Tris-HClバッファー、pH 8.0中に可溶化された等体積のプロナーゼを添加した(全てSigma)。プロナーゼを含有する馴化培地抽出物を、24時間、37℃でインキュベートし、その後、0.2%Triton X-100を含有する、20 mM BisTrisバッファー、pH 6.0中の、8M尿素で平衡化された、DEAE Sephacel(登録商標)カラム(G.E. Healthcare)においてイオン交換クロマトグラフィーを行い(全てSigma)、低分子量ペプチドおよび組み込まれていない放射標識を除去した。各抽出物中の放射標識されたヒアルロナンを、0.2%Triton X-100および0.3M塩化ナトリウムを含有する、20 mM BisTrisバッファー、pH 6.0中の、8M尿素で、DEAE Sephacel(登録商標)イオン交換カラムによって溶出した(Sigma)。各分離された抽出物を、2つの等しい量に分割し、放射標識ヒアルロナンを、4℃/18時間で、共沈剤として、コンドロイチン4硫酸、ヘパリンおよび非放射標識ヒアルロナン(全てSigma)の存在下で、3体積の酢酸カリウム(95%エタノール中1%、両方ともSigma)で沈殿させた。
【0093】
沈殿後、各抽出物の第1の半分を、50 mM酢酸ナトリウム、0.5%Triton X-100および0.05%アジ化ナトリウムを含有する、4M塩化グアニジウムバッファー、pH 6.0中に再懸濁し(全てSigma)、その後、前もって較正されたSephacryl(登録商標)S-500カラム(G.E. Healthcare)によってヒアルロナン分子量評価を行った。カラムを、[3H]グルコサミン塩酸塩、Mr 215;[35S]コンドロイチン硫酸グリコサミノグリカン、Mr 25,000;デコリン、Mr 100,000、および[35S]バーシカン、Mr 1,300,000で較正した。50 mM酢酸ナトリウム、0.5%Triton X-100および0.05%アジ化ナトリウムを含有する、4 M塩化グアニジウムバッファー、pH 6.0で、溶出を行った。得られたクロマトグラフィープロフィールが放射標識ヒアルロナン単独の結果であることを確認するために、各抽出物の第2の半分を、37℃/18時間で、0.15 M塩化ナトリウムおよび0.05%アジ化ナトリウムを含有する、20 mM酢酸ナトリウムバッファー、pH 6.0中において、ヒアルロニダーゼ(200μl、ストレプトマイセス・ヒアルロリテイクス(Streptomyces hyalurolyticus)、ICN Pharmaceuticals)で消化した。これらの消化されたサンプルを、50 mM酢酸ナトリウム、0.5%Triton X-100および0.05%アジ化ナトリウムを含有する、等体積(200μl)の4 M塩化グアニジウムバッファー、pH 6.0と混合し、続いてSephacel(登録商標)S-500カラムで溶出した。
【0094】
アリコート(20μlx3)の各抽出物フラクションをシンチレーションバイアルへ移し、続いて、70%エタノール(600μl)および液体シンチラント(4 ml)を添加した。シンチレーションバイアルをボルテックスし、[3H]-組み込みを、Packard Tri-Carb 1900CA液体シンチレーションアナライザー(Perkin Elmer)を使用して定量し、得られた値は壊変毎分(dpm)として表された。各々のクロマトグラフィープロフィールを得るために、各抽出物の両半分の[3H]-活性を、希釈について標準化および修正し、その後、ヒアルロニダーゼ耐性カウントを引いた。従って、クロマトグラフィープロフィールは、各PEP005処理(0μg/ml、0.01μg/ml、0.1μg/ml、1μg/ml、10μg/ml、100μg/ml)、+/- TGF-β1(10 ng/ml)におけるヒアルロニダーゼ感受性活性を単に示し、データは、フラクション番号に対しての、1フラクション当たりの[3H]-活性として示された。各実験を2つの別個の場合について行った。
【0095】
1.2 臨床
1.2.1 ヒト皮膚上におけるPEP005ゲルの美容的可能性の事例研究
第1日(ベースライン)に、インフォームドコンセントに続いて、短時間の病歴および健康診断を行い、この研究に対する被験体適格性を確認した。病歴を記録し、短時間の健康診断を行った。50 cm2皮膚領域を、顔面の片側上にマークし、治療領域として指定した。TruVu(登録商標)を使用するベースライン写真およびベースライン測定を記録した。次いで、PEP005(インゲノールメブタート)ゲル、0.005%(Peplin Inc.)を、顔面へ塗布し、50 cm2治療をカバーした。
【0096】
翌日(第2日)、被験体は病院へ戻った。塗布領域の写真(TruVu(登録商標)を含む)を撮り、測定を行った。皮膚反応を、被験体報告および調査者観察に基づいて収集した。PEP005ゲル、0.005%の第2塗布を、治療領域に対して行った。
【0097】
被験体は、皮膚反応の写真(TruVu(登録商標)を含む)、測定および評価のために、第8、15および30日に、病院へ戻った。医師による全体的評価を、第15および30日の来院時に完了した。医師による全体的評価は、7ポイントスケール、-3〜+3を使用した;-3=著しく悪い、-2=中程度に悪い、-1=僅かに悪い、0=変化無し、+1 僅かに良い、+2=中程度に良い、および+3=著しく良い。被験体は、第30日の来院で研究を去った。
【0098】
1.2.2 TruVu(登録商標)フォトグラフィー
TruVu(登録商標)フォトグラフィーシステム(Johnson & Johnson Consumer Companies, Inc.)は、いくつかの異なる光タイプを使用して皮膚の画像を捕らえる。以下の異なる光タイプをこの研究のために使用した;可視光、平行偏光、直交偏光、およびUV光。これらの4つの異なる光タイプは、自然な皮膚外観、小じわおよびしわ、赤み、ならびにUV老化を明らかにすることが示された。結果は、「無し/低い」〜「中程度」〜「上昇した/高い」へ及ぶ任意の単位でコンピュータ処理され、小じわ、しわ、赤みおよびUV老化についての棒グラフとして最終的に示される。これらのデータは、医師によって「0」(無し/低い)〜「5」(中程度)〜「10」(上昇した/高い)の整数へ手動で書き換えられる。
【0099】
2.結果
2.1 皮膚線維芽細胞によるヒアルロナン合成の評価
ヒアルロン酸定量テストキットを使用して定量化されるように、24時間および72時間での、TGF-β1(10 ng/ml)の非存在および存在下での、PEP005(0.01〜100μg/ml)の存在下での、皮膚線維芽細胞によるヒアルロナン合成の定量化について得られた平均値を、それぞれ図1Aおよび1Bに示す。
【0100】
TGF-β1(10 ng/ml)の非存在下での、24時間での、皮膚線維芽細胞によって合成されたヒアルロナンの平均レベル(ng/ml)は、PEP005が、未処理皮膚線維芽細胞コントロールと比較して、0.01〜10μg/mlの濃度で、ヒアルロナン合成に対して顕著な刺激効果を有することを実証した(図1A)。PEP005の非存在下での、TGF-β1(10 ng/ml)の導入は、24時間で、ヒアルロナン合成の僅かな刺激を誘導し、一方、PEP005およびTGF-β1(10 ng/ml)の両方の存在は、ヒアルロナン合成に対して顕著な相乗効果を発揮するようであり、未処理皮膚線維芽細胞コントロールと比較しての、およびPEP005(0.01〜100μg/ml)の存在下であるがTGF-β1(10 ng/ml)の非存在下での皮膚線維芽細胞と比較しての、ヒアルロナン合成の増強によって示される通りである(図1A)。
【0101】
24時間と同様に、TGF-β1(10 ng/ml)の非存在下での、72時間での、皮膚線維芽細胞によって合成されたヒアルロナンの平均レベル(ng/ml)は、PEP005が、未処理皮膚線維芽細胞コントロールと比較して、0.01〜10μg/mlの濃度で、ヒアルロナン合成に対する顕著な刺激効果を発揮し続けることを実証した(図1B)。
【0102】
全ての濃度(0.01〜100μg/ml)で、ヒアルロナン合成に対するPEP005の効果は、PEP005可溶化のために使用されたDMSOに起因するのではなく、もっぱらPEP005のみに起因することが、1%DMSOの存在下での皮膚線維芽細胞培養物が未処理皮膚線維芽細胞コントロールと比較してヒアルロナン合成について有意差を示さなかったことから、さらに実証された。(p>0.05、データは示さず)。
【0103】
2.2 皮膚線維芽細胞によるヒアルロナン細胞周囲コート形成の評価
粒子排除アッセイを使用して測定されたように、24時間および72時間での、TGF-β1の非存在下での、PEP005(0.01〜100μg/ml)の存在下での、皮膚線維芽細胞によるヒアルロナン細胞周囲コート形成について得られた代表的なデジタル画像を、それぞれ図2および3に示す。24時間および72時間での、PEP005(0.01〜100μg/ml)およびTGF-β1(10 ng/ml)の存在下での、皮膚線維芽細胞によるヒアルロナン細胞周囲コート形成について得られた代表的なデジタル画像を、それぞれ、図4および5に示す。
【0104】
全体的にみて、TGF-β1(10 ng/ml)の非存在下での、24時間での、ヒアルロナン細胞周囲コート形成の分析は、PEP005フリーコントロールまたはPEP005処理培養物において、24時間までに、僅かな細胞周囲コート形成が存在したことを明らかにした(矢印、図2)。対照的に、72時間で、PEP005は、PEP005フリーコントロールと比較して、0.01〜10μg/mlの濃度で、PEP005処理サンプル中において細胞周囲コートサイズを増加させるようであった(矢印、図3)。さらに、PEP005処理(0.01〜10μg/ml)線維芽細胞の形態学的変化は、線維芽細胞分化に起因して、筋線維芽細胞の存在と一致した。
【0105】
PEP005の非存在下での、TGF-β1(10 ng/ml)の導入は、24時間で、ヒアルロナン細胞周囲コート形成の僅かな増加を誘導し、一方、PEP005およびTGF-β1(10 ng/ml)の両方の存在は、未処理皮膚線維芽細胞コントロールと比較して、ならびにPEP005(0.01〜10μg/ml)の存在下でのしかしTGF-β1(10 ng/ml)の非存在下での皮膚線維芽細胞と比較して、24時間で、細胞周囲コート形成の劇的な増強(ヒアルロナン蓄積に起因する)によって明らかな、ヒアルロナン細胞周囲コート形成に対して大きな相乗効果を発揮するようであった(矢印、図4)。
【0106】
PEP005およびTGF-β1(10 ng/ml)の両方の存在下での、24時間での、増強されたヒアルロナン細胞周囲コート形成は、PEP005フリーコントロールと比較して、0.01〜10μg/mlのPEP005濃度で、72時間で、いっそうさらに増強された(矢印、図5)。明白な細胞形態の大きな変化は、筋線維芽細胞の存在と一致した。
【0107】
全ての濃度(0.01〜100μg/ml)で、ヒアルロナン細胞周囲コート形成に対するPEP005の効果は、PEP005可溶化のために使用されたDMSOに起因するのではなく、もっぱらPEP005のみに起因することが、1%DMSOの存在下での皮膚線維芽細胞培養物は、未処理皮膚線維芽細胞コントロールと比較してヒアルロナン細胞周囲コート形成において明白な差異を示さなかったことから、さらに実証された(データは示さず)。
【0108】
2.3 皮膚線維芽細胞によるヒアルロナンシンターゼ(HAS)遺伝子発現の評価
qPCRによって定量した、24時間および72時間での、TGF-β1(10 ng/ml)の非存在および存在下での、PEP005(0.01〜100μg/ml)の存在下での、皮膚線維芽細胞によるHAS1、HAS2およびHAS3の発現について得られた平均値を、それぞれ図6、7および8に示す。
【0109】
HAS1について得られたΔΔCT平均値は、TGF-β1(10 ng/ml)の非存在下での、24時間での、皮膚線維芽細胞によるHAS1発現が非常に低いことを実証した(ΔΔCT<0.5、図6)。従って、実質的にHAS1発現は明白ではなかったので、PEP005は、TGF-β1(10 ng/ml)の非存在下で、HAS1発現に対して明らかな効果を誘導しなかった。対照的に、PEP005の非存在下でのTGF-β1(10 ng/ml)の導入は、コントロール皮膚線維芽細胞と比較して、HAS1発現の大きなアップレギュレーションを誘導した(p<0.001、図6)。TGF-β1(10 ng/ml)およびPEP005(0.01〜100μg/ml)の両方の存在下で、HAS1発現の全体的なダウンレギュレーションが観察された(0.01μg/mlでp<0.05、100μg/mlでp<0.01)。
【0110】
HAS1について得られたΔΔCT平均値は、TGF-β1(10 ng/ml)の非存在下での、72時間での、皮膚線維芽細胞によるHAS1発現がやはり比較的低いことを実証し(ΔΔCT<1.0、図6)、従って、PEP005は、TGF-β1(10 ng/ml)の非存在下で、HAS2発現に対して明らかな効果を誘導しなかった。対照的に、PEP005の非存在下での、TGF-β1(10 ng/ml)の導入は、コントロール皮膚線維芽細胞と比較して、HAS1発現のアップレギュレーションを再び誘導した(図6)。TGF-β1(10 ng/ml)およびPEP005(0.01〜100μg/ml)の両方の存在下で、PEP005は、全てのPEP005濃度(0.01〜100μg/ml)で、HAS1発現の全体的なダウンレギュレーションを誘導した(図6)。しかし、72時間で、PEP005およびTGF-β1(10 ng/ml)で観察されたHAS1遺伝子ダウンレギュレーションは、有意でない(p>0.05)と考えられた。
【0111】
HAS2について得られたΔΔCT平均値は、TGF-β1(10 ng/ml)の非存在下での、24時間での、皮膚線維芽細胞によるHAS2発現もまた比較的低いことを実証した(ΔΔCT<1.0、図7)。PEP005は、未処理皮膚線維芽細胞コントロールと比較して、TGF-β1(10 ng/ml)の非存在下において、0.1〜10μg/mlの濃度で、皮膚線維芽細胞中におけるHAS2発現に対して刺激効果を有することがさらに実証されたが、24時間での、PEP005で観察されたHAS2遺伝子アップレギュレーションは有意でない(p>0.05)と考えられた。PEP005の非存在下での、TGF-β1(10 ng/ml)の導入は、以前に確立されたように(Meran et al, 2006, 2007)、24時間で、皮膚線維芽細胞中のHAS2発現に対してほとんど効果を有さなかった。PEP005はまた、未処理皮膚線維芽細胞コントロールと比較して、TGF-β1(10 ng/ml)の存在下で、0.1〜10μg/mlの濃度で、皮膚線維芽細胞中のHAS2発現のアップレギュレーションを誘導した。しかし、HAS2遺伝子アップレギュレーションはまた、有意でない(p>0.05)と考えられた。
【0112】
HAS2について得られたΔΔCT平均値は、TGF-β1(10 ng/ml)の非存在下での、72時間での、皮膚線維芽細胞によるHAS2発現もやはり比較的低いことを実証した(ΔΔCT<1.0、図8)。しかし、PEP005は、0.1〜10μg/ml濃度でHAS2遺伝子発現の大きなアップレギュレーションを刺激すると実証された(図8)。しかし、0.1〜10μg/ml濃度で観察されたHAS2遺伝子アップレギュレーションは、有意でない(p>0.05)と考えられた。PEP005の非存在下での、TGF-β1(10 ng/ml)の導入は、コントロール皮膚線維芽細胞と比較して、HAS2発現に対して最小の効果を驚くべきことに誘導した(p>0.05、図8)。しかし、TGF-β1(10 ng/ml)およびPEP005(0.01〜100μg/ml)の両方の存在下で、PEP005は、全てのPEP005濃度(0.01〜100μg/ml)で、HAS2遺伝子発現の全体的なダウンレギュレーションを誘導した(図8)。しかし、72時間で、PEP005およびTGF-β1(10 ng/ml)で観察されたHAS2遺伝子ダウンレギュレーションは、PEP005を含まない皮膚線維芽細胞コントロールと比較して、有意でない(p>0.05)と考えられた。
【0113】
HAS3について得られたΔΔCT平均値は、TGF-β1(10 ng/ml)の非存在下での、24時間での、皮膚線維芽細胞によるHAS3発現もまた比較的低いことを実証した(ΔΔCK<1.0、図8)。PEP005は、未処理皮膚線維芽細胞コントロールと比較して、全てのPEP005濃度(0.01〜100μg/ml)で、皮膚線維芽細胞中のHAS3発現を完全に無効にすることが、さらに実証され(図8)、しかし、一般的にHAS3発現の比較的低いレベルに起因して、観察されたHAS3遺伝子ダウンレギュレーションは有意でない(p>0.05)と考えられた。PEP005の非存在下でのTGF-β1(10 ng/ml)の導入はまた、PEP005(0.01〜100μg/ml)およびTGF-β1(10 ng/ml)の両方の非存在下での皮膚線維芽細胞と比較して、24時間で、皮膚線維芽細胞中のHAS3発現に対する阻害効果を有した(p<0.01、図8)。PEP005はまた、未処理皮膚線維芽細胞コントロールと比較して、TGF-β1(10 ng/ml)の存在下で、0.1〜10μg/mlの濃度で、かろうじて検出可能なレベルへの、皮膚線維芽細胞中のHAS3発現のダウンレギュレーションを誘導した。しかし、HAS3遺伝子ダウンレギュレーションはやはり、全てのPEP005濃度で有意でないと考えられた(0.01〜100μg/ml、p>0.05)。
【0114】
HAS3について得られたΔΔCT平均値は、TGF-β1(10 ng/ml)の非存在下での、72時間での、皮膚線維芽細胞によるHAS3発現はやはり比較的低いことを実証した(ΔΔCT<1.0、図8)。しかし、PEP005は、24時間で観察されたHAS3遺伝子発現(図8)よりも大きなレベルへ、1〜10μg/ml濃度で、TGF-β1(10 ng/ml)の非存在下で、HAS3遺伝子発現のアップレギュレーションを刺激すると実証された(図8)。しかし、HAS3遺伝子アップレギュレーションは、これらのPEP005濃度で有意でないと考えられた(p>0.05)。PEP005の非存在下での、TGF-β1(10 ng/ml)の導入は、コントロール皮膚線維芽細胞と比較して、72時間で、皮膚線維芽細胞中のHAS3発現に対する阻害効果を再び有した。TGF-β1(10 ng/ml)の存在下での、72時間でのHAS3発現の実質的に無視できるレベルを考えると、PEP005は、調べた全てのPEP005濃度(0.01〜100μg/ml)で、72時間で、TGF-β1(10 ng/ml)の存在下で、皮膚線維芽細胞中のHAS3発現に対して有意な効果を示さない(p>0.05)と実証された(図8)。
【0115】
2.5 ヒト皮膚に対するTruVu(登録商標)を使用しての小じわ、しわ、赤みおよびUV老化に対するPEP005ゲル、0.005%の効果の評価
顔面上の50 cm2皮膚領域へのPEP005ゲル0.005%の第1日および第2日の2回の毎日の塗布に続いて、小じわ、しわ、赤みおよびUV老化のレベルを、第30日に評価し、ある被験体についての塗布前に(ベースライン)評価したレベルと比較した。この被験体について、小じわのレベルは10から4へ低下し、しわは8から5へ低下し、赤みは影響されず、UV老化は2から1へ低下したことが実証された。この被験体についての医師による全体的評価は、+2、即ち、中程度に良くなったと評価され、このことは、全体的に、PEP005ゲル0.005%の2回の塗布が、ベースラインと比較して第30日でこの被験体(治療された皮膚領域中)の「中程度に良くなった」という全体的な美容的評価を生じさせたことを示している(表2.5-1)。
【0116】
(表2.5-1)

【0117】
2.6 デノボヒアルロナン分子量の評価
TGF-β1の存在または非存在下での、0、0.01、0.1、1.0および10μg/ml PEP005の存在下での、[3H]-グルコサミン組み込みについての平均値を、図9〜12に示す。
【0118】
PEP005の存在下で合成されたヒアルロナンは、主に、高い(>1.5x106 Da)および中間の(<1.5x106〜4x105 Da)分子量のものであり、第3日からのデータは、さらなるヒアルロナン合成を実証している。観察された中間および低分子量ヒアルロナンは、ヒアルロナン分解に起因すると仮定される。線維芽細胞をTGF-β1の存在下でインキュベートする場合、ヒアルロナン分解の全体的な程度は低下する。
【0119】
参考文献


【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験体における経時老化したおよび/または光老化した皮膚の治療方法であって、該被験体の皮膚へインゲノール化合物またはその薬学的に許容される塩を投与する工程を含む、方法。
【請求項2】
被験体におけるヒアルロナンの内因性合成を誘導する方法であって、該被験体の皮膚へインゲノール化合物またはその薬学的に許容される塩を投与する工程を含む、方法。
【請求項3】
インゲノール化合物が以下の式を有する、請求項1または2記載の方法:

式中、
R1〜R3は、水素、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいアルキニル、置換されていてもよいアシル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいアリールアルキル、S(O)2R’、S(O)2OR’、P(O)(OR’)2(ここでR’は水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アシル、アリール、またはアリールアルキルである)およびグリコシルより独立して選択されるか、またはR1およびR2またはR2およびR3は、メチレンまたはエチレン鎖を形成し得;かつ
R4は、水素、ヒドロキシ、置換されていてもよいアルコキシ、置換されていてもよいアルケノキシ、置換されていてもよいアルキノキシ、置換されていてもよいアシルオキシ、置換されていてもよいアリールアルコキシ、OS(O)2R’、OS(O)2OR’、OP(O)(OR’)2(ここでR’は水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アシル、アリール、またはアリールアルキルである)およびグリコキシより選択される。
【請求項4】
R1がアンゲロイル基である、請求項3記載の方法。
【請求項5】
インゲノール化合物が、インゲノール-3-アンゲラート、20-O-アセチル-インゲノール-3-アンゲラートおよび20-デオキシ-インゲノール-3-アンゲラートからなる群より選択される、請求項4記載の方法。
【請求項6】
インゲノール化合物がインゲノール-3-アンゲラートである、請求項5記載の方法。
【請求項7】
インゲノール化合物を、少なくとも10 cm2の皮膚領域へ投与する、請求項1〜63のいずれか一項記載の方法。
【請求項8】
インゲノール化合物を、顔および/または首および/または喉および/または眼の周囲の領域へ投与する、請求項1〜7のいずれか一項記載の方法。
【請求項9】
インゲノール化合物を皮膚へ局所投与する、請求項1〜8のいずれか一項記載の方法。
【請求項10】
インゲノール化合物を、イソプロピルアルコールベースのゲルまたはマクロセチルエーテルクリームの形態で投与する、請求項1〜9のいずれか一項記載の方法。
【請求項11】
被験体の皮膚が非病的である、請求項1〜10のいずれか一項記載の方法。
【請求項12】
治療が、小じわ、しわおよびUV老化のうちの1つまたは複数の外観の改善のためである、請求項1記載の方法。
【請求項13】
インゲノール化合物またはその薬学的に許容される塩を、薬学的に許容される担体と共に含む、経時および/または光老化した皮膚の治療における使用のための組成物。
【請求項14】
インゲノール化合物またはその薬学的に許容される塩を、薬学的に許容される担体と共に含む、被験体の皮膚における内因性ヒアルロナン合成の誘導における使用のための組成物。
【請求項15】
経時および/または光老化した皮膚の治療用の組成物の製造におけるインゲノール化合物またはその薬学的に許容される塩の使用。
【請求項16】
被験体の皮膚における内因性ヒアルロナン合成を誘導するための組成物の製造におけるインゲノール化合物またはその薬学的に許容される塩の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2012−517450(P2012−517450A)
【公表日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−549394(P2011−549394)
【出願日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際出願番号】PCT/AU2010/000152
【国際公開番号】WO2010/091472
【国際公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【出願人】(511198036)
【Fターム(参考)】