説明

盗難後に電子機器の再発見を支援するために自動車に組み込まれるための電子機器

本発明は、権限のある移動電話(2)に対する短距離無線コネクションを形成するための無線モジュール(18)を備えている自動車に組み込むための電子機器であって、該権限のある移動電話(2)は電子機器のメモリエレメント(28)にファイルされている、該権限のある移動電話(2)の識別コードに基づいて識別される形式のもの関する。電子機器の盗難後その発見を容易にするために、電子機器は更に、該電子機器の、自動車からの取り外しを検出するための手段と、取り外しが検出された後に電子機器を新たに始動した後に、別の移動電話の識別コードがメモリエレメント(28)に初めて記憶されるべきであるかまたは既に記憶されているとき、別の移動電話に対する短距離無線コネクションを自動的に形成しかつ該別の移動電話との移動無線コネクションを自動的に初期設定するための手段とを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
自動車に組み込まれるための電子機器
本発明は、権限のある移動電話に対して短距離無線コネクションを形成するための無線モジュールを備えている自動車に組み込むための電子機器であって、権限のある移動電話は電子機器のメモリエレメントにファイルされている、該権限のある移動電話の識別コードに基づいて識別される形式のものに関する。この形式の電子機器はカーラジオの形においてEP1052834A2から公知である。
【0002】
例えばカーラジオまたはナビゲーション機器のような自動車の電子的な組み込み機器は需要が多くかつ比較的頻繁に盗まれる。カーラジオに対する盗難防止として、カーラジオの給電の中断後にまずコードを入力することが公知である。従って泥棒はコードを所有するに至らなければならない。このことは例えば相応の試行によって行わなければならない。更に、カーラジオの操作部を取り外せるようにして、ドライバーが車両を離れる際に操作部を車両から持ち出すことが公知である。この場合にはドライバーの手間が必要である。それがために操作部は自動車に置かれたままのことが殆どである。それ故にこれらの公知の方法は制限された効果しか示していない。殊にこれらは盗難後のカーラジオの新たな使用を困難にするだけで、盗まれたカーラジオの再発見の手助けにはならない。
【0003】
それ故に本発明の課題は、盗難後の電子機器の再発見が支援されるようになっている電子機器および方法を提供することである。
【0004】
この課題はそれぞれの独立請求項の特徴を備えた電子機器もしくは方法によって解決される。
【0005】
自動車に組み込まれるようになっている電子機器は権限のある移動電話に対する短距離無線コネクションを形成するための無線モジュールを有しており、その際権限のある移動電話は電子機器のメモリエレメントにファイルされている、権限のある移動電話の識別コードに基づいて識別される。更に電子機器は、電子機器の、自動車からの取り外しを検出するための手段を有している。このために電子機器の、自動車の給電網に対する電気的な接続を監視することができ、その際給電の中断は電子機器が取り外されたものと見なされる。電子機器の取り外しの検出のための手段が付加的に、自動車の点火の遮断と給電の中断との間の時間間隔を評価する場合には、例えば自動車の点火の遮断後2分以内の、電子機器の、サービス目的のための取り外しは盗難に基づく取り外しとして検出されずかつ以下に説明する安全措置が働かないようにすることができる。択一的または付加的に、電子機器の取り外しを機械的に操作可能なスイッチを介しても検出することができる。例えば電子機器のケーシングに存在しておりかつ組み込まれた状態において自動車の保持エレメントによって閉成されるこの種のスイッチは機器の、自動車からの取り外しの際に開放されかつこうして取り外しに関する相応の情報を送出する。
【0006】
本発明の電子機器は更に、別の移動電話に対する短距離無線コネクションを自動的に形成しかつ別の移動電話との移動無線コネクションを自動的に初期設定するための手段を有しており、これらの措置はその場合、取り外しが検出された後で電子機器が新たに始動された後に別の移動電話の識別コードが初めてメモリエレメントに記憶されるべきであるかまたは記憶されているときにだけ講ぜられる。
【0007】
短距離無線コネクションを形成するための無線モジュールを有する電子機器が無線モジュールの到達距離内にあるどんな移動電話とも移動無線コネクションを確立できるのを妨げるために、権限のある移動電話は電子機器に登録されなければならない)いわゆる「ペアリング」)。このことは、電子機器に権限のある移動電話の識別コードをファイルしておくことによって行われる。電子機器に登録されていない移動電話は電子機器を一緒に利用することができない。そこで電子機器の窃盗後に、別の移動電話の識別コードを初めてメモリエレメントに記憶しようとしてこの別の移動電話を電子機器に登録しようとすれば、自動的に、この別の移動電話に対する短距離無線コネクションが形成されかつこの別の移動電話との移動無線コネクションが初期設定される。択一的にまたは付加的に、別の移動電話の識別コードがメモリエレメントに既に記憶されているが、この記憶が取り外しが検出された後の電子機器の新たな始動後に行われているときにも同じ過程が行われるようにすることができる。これにより、別の移動電話が無線モジュールの到達範囲内に入って来る都度、相応の移動無線コネクションが自動的に確立されるようになる。
【0008】
電子機器のメモリエレメントに、移動無線コネクションの自動的な初期設定の際にダイヤルされる電話番号が記憶されているならば、サービルセンターまたは電子機器の所有者に対しても電子機器の再始動に関して通報されるようにすることができる。このために例えばSMSを送出するまたは予め定めた音声テキストが伝送されるようにすることができる。この場合記憶された識別コードまたは別の移動電話のその他の識別コードが伝送されると、この識別コードに基づいて、今や電子機器を所有している別の移動電話の所有者を突き止めることができる。殊にこの場合別の移動電話の電話番号を伝送することができる。今や電子機器の所有者が分かっているので、機器を取り戻す手はずを整えることができる。
【0009】
電子機器のメモリエレメントが保護されるメモリエレメントであれば、例えば、記憶された電話番号またはメモリエレメントに記憶されている情報を電子機器の取り外しが検出された後で変化するために用いられるメモリエレメントでの不正操作を妨げることができる。例えばこのために、メモリエレメントにおけるこれらの情報の変更は、コードの入力、相応のSIMカードの読み出し後またはコードCDが挿入されている場合にだけ可能である。
【0010】
電子機器が位置決定モジュールを有しかつ自動的に初期設定された移動無線コネクションにより位置決定モジュールにより求められた、電子機器の位置が伝送されると、電子機器の発見を一層容易にすることができる。
【0011】
短距離無線コネクションが100m以上、有利には10m以上にはならない到達距離を有しているならば、送信電力を低く抑えかつ短距離無線コネクションの到達距離内にある、これらが当該電子機器に登録されているかどうかを検査しなければならない移動電話の数は見通しがきく程度でなければならない。
【0012】
短距離無線コネクションが双方向の短距離無線コネクションとして実現されているならば、移動電話からも信号を電子機器に伝送されるようにすることができ、その結果電子機器はハンドフリートーク装置としてまたはハンドフリートーク装置の構成部分として実現されていてもよい。
【0013】
短距離無線コネクションがBluetooth法に従って行われているとすれば、標準化された無線モジュールを使用することができる。Bluetooth法は典型的には10mの到達距離を有する短距離通信法として開発された。伝送電力は1mWと非常に僅かである。伝送のために2.4GHzの周波数帯が設定されている。Bluetoothモジュールは市販のカーラジオにハンドフリートーク装置の実現のために既に使用されているものである。
【0014】
電子機器は情報および/または娯楽機器、例えばカーラジオ、ナビゲーションシステムまたはマルチメディア機器、またはMaut機器(有料道路の通行料金徴収を自動化するシステムに採用されている装置)であってよい。
【0015】
自動車の電子機器の盗難防止装置を作動するための方法であって、なお電子機器は権限のある移動電話に対する短距離無線コネクションを形成するための無線モジュールを有し、該権限のある移動電話はメモリエレメントにファイルされている識別コードに基づいて識別され、方法は次のステップを有している:
−電子機器の取り外しが検出された後この電子機器の始動が行われるかどうかを検査しかつ、イエスであれば、
−機器の取り外しが検出された後別の移動電話の識別コードがメモリエレメントに初めて記憶されるものであるのかまたは記憶済みのものであるかを検査し、かつイエスであれば、
−この種のものが既に存在していない場合には、別の移動電話に対する短距離無線コネクションを自動的に形成し、かつ別の移動電話との移動無線コネクションを自動的に初期設定する。
【0016】
本発明の方法のその他の形態は、その他の従属請求項に記載されている。
【0017】
次に、添付の図面を参照しながら実施例に基づき本発明について詳しく説明する。図面:
図1はカーラジオおよび移動電話に対するその結合を示し、
図2はカーラジオおよび移動電話の主要な構成要素を備えたブロック回路を示し、
図3は方法のシーケンスをフローチャートにおいて示している。
【0018】
図1はカーラジオとして実現されているラジオ機1と移動電話2とを備えている通信システムの実施例が示されている。移動電話はそれ自体公知の手法において複数の操作エレメント3および指示ユニット(ディスプレイ)4を有している。操作エレメント3を介して例えば電話番号の選択、入って来る通話の受信、電話帳の呼び出しなどが行われる。ディスプレイ4において例えば選択された電話番号および別の状態情報が指示される。移動無線信号の受信および送信は移動無線アンテナ5を介して行われる。
【0019】
ラジオ装置1は操作エレメント6,7,8の複数の群を有している。操作エレメント6を介して例えばラジオ装置1の音量を調節することができる。操作エレメント7を介して例えば記憶してある放送局の選択のような別の機能を実施することができる。操作エレメント8はテンキーとして実現されておりかつこの限りでは移動電話2の操作エレメント3aに対応している。従って操作エレメント8を介して電話番号を選択することができる。ラジオ受信機は更に、指示ユニット(ディスプレイ)9を有している。無線作動においてディスプレイ9に例えばセットされた放送局およびその他の状態情報が指示される。操作エレメント8を介して電話番号を選択する際に、選択された電話番号がディスプレイ9に指示されるようにすることができる。呼びが入って来るときもディスプレイ9に発呼加入者の電話番号が指示されるようにすることができる。電話番号の指示に代わって、ラジオ受信機または移動電話のメモリエレメントに氏名と電話番号とが対応してファイルされているときは、ディスプレイ9に発呼加入者の氏名が指示されるようにすることもできる。
【0020】
ラジオ装置1は更に、ラジオ信号を受信するためのラジオアンテナ10を有している。音響的な出力ユニットとして、ラジオ装置1はスピーカ11に接続されている。
【0021】
更にラジオ装置1にはマイクロホンが収容されている。短距離無線コネクションを介してラジオ装置1は移動電話2と接続されているので、ラジオ装置1はマイクロホン12とスピーカ11とともに移動電話2に対するハンドフリートーク装置として用いられる。
【0022】
ラジオ装置1が短距離無線コネクションを介してその到達距離内のどんな移動電話とも接続関係に入りかつこれらの移動電話のそれぞれを介して通話を行うことができないように、権限のある移動電話はラジオ装置1に登録される。この場合権限のある移動電話2の識別コードが識別コードがラジオ装置1のメモリエレメントに記憶される。識別コードがラジオ装置1に記憶されている移動電話だけがラジオ装置1と一緒に利用することができる。
【0023】
図2には、ラジオ装置1および移動電話2のブロック線図が示されている。ラジオ装置1は操作ユニット(MMI)13を含んでおり、これは例えば図1の操作エレメント6,7および8を有している。操作ユニット13はマイクロプロセッサユニット(CPU)14と接続されている。CPU14は操作ユニット13から到来する信号を制御命令に変換する。ラジオプログラムを受信するためにラジオ装置1はラジオアンテナ10を有しており、該ラジオアンテナはラジオ受信ユニット15に接続されている。ラジオ受信ユニット15は例えば所定の放送局のラジオ信号を選択するために、CPU14によってドライブされる。ラジオ受信ユニット15において、ラジオアンテナ10を介して受信されるラジオ信号は公知の手法で低周波(NF)信号に変換される。低周波信号はNFコントローラおよび増幅器16において増幅されかつ音響的な再生のためにスピーカ11に供給される。更にラジオ装置1はドライブ17を含んでいるので、例えばCDまたはミュージックカセットからの音楽を再生することができる。ドライブ17は同様にCPU14によってドライブされる。ドライブ17から出力される低周波信号はNFコントローラおよび増幅器16に供給され、それから同様にスピーカ11を介して出力される。CPU14に更にメモリエレメント28が接続されており、ここに殊に、権限のある移動電話2の識別コードが記憶されている。
【0024】
更にラジオ装置1は移動電話2に対する短距離無線コネクションを形成するためのアンテナ19を備えている送信および受信装置(トランシーバ)18を含んでいる。トランシーバ18は同様にCPU14によってドライブされる。トランシーバ18はNFコントローラおよび増幅器16に接続されている。これにより、移動電話2から短距離無線コネクションを介してアンテナ19に到来する音声信号をトランシーバ18を介してNFコントローラおよび増幅器16に転送しかつスピーカ11を介して出力することができる。ユーザの音声信号はマイクロホン12によって捕捉されかつこのNFコントローラおよび増幅器16を介してトランシーバ18およびアンテナ19に供給されかつ移動電話2に対する短距離無線コネクションを介して伝送される。
【0025】
ラジオ装置1の給電は自動車の給電網との電気的な接続29を介して行われ得る。
【0026】
移動電話2は移動無線アンテナ5を有しており、これは移動無線信号に対する送信/受信ユニット20に接続されている。送信/受信ユニット20はCPU21によってドライブされる。受信された移動無線信号は送信/受信ユニット20においてNF信号に変換され、これらはNFコントローラおよび増幅器22に供給される。移動無線作動においてNF信号は移動電話2に収容されているスピーカ23を介して出力することができる。電話ユーザの音声信号は移動電話2のマイクロホン27を介してNFコントローラおよび増幅器22に供給しかつそこから送信/受信ユニット20および移動無線アンテナ5を介して固定移動局および最終的に通話の相手に転送されるようにすることができる。移動電話は更に、電話番号および別の電話機能を選択するための操作ユニット24を有している。更に移動電話は第2の送信/受信ユニット(トランシーバ)25を有しており、これはアンテナ26に接続されている。トランシーバ25はNFコントローラおよび増幅器22に接続されておりかつCPU21によってドライブされる。
【0027】
図1および2に図示の通信システムはハンドフリートーク装置として作動することができる。このために移動無線アンテナ5を介して入って来る移動無線信号は送信/受信ユニット20を介してNF信号への変換後にNFコントローラおよび増幅器22に転送されかつそこからトランシーバ25に伝送される。トランシーバ25からNF信号がアンテナ26を介して例えば2.4GHzの周波数における短距離無線コネクションを介してラジオ装置1のアンテナ19に伝送されかつそこからさっき説明した手法でスピーカ11を介して出力される。逆にラジオ装置のアンテナ19から短距離無線コネクションを介して伝送される音声信号は移動電話のアンテナ26によって捕捉されかつトランシーバ25を介してNFコントローラに転送される。その際トランシーバにおいて無線信号の、NF信号への変換が行われる。それからNFコントローラ22からNF信号が第1の送信/受信ユニット20に転送される。到来するNF信号の、送信/受信ユニットでの無線信号への変換後に、更に、移動無線アンテナ5を介して固定無線局への伝送が行われる。
【0028】
トランシーバ18もしくは25は実施例においてそれ自体公知のBluetooth法に従って動作する。
【0029】
この場合は移動電話と組み合わされたラジオ装置の規定通りの使用であり、ここではラジオ装置はハンドフリートーク装置として用いられる。
【0030】
そこでラジオ装置の本発明の形態において更に、ラジオ装置が自動車から取り外されたことを検出するための手段が存在している。この場合自動車の給電網に対する電子機器の電気的な接続が監視される。この接続が中断されると、例えば相応の情報がメモリエレメント29にファイルされる。給電電圧の中断後にこの情報の記憶を更に保証するために、CPU14の短時間の更なる作動のために例えば、図示されていないコンデンサが設けられていて、これが給電を短時間引き受けるようになっている。給電の中断の検出は、コードによってセキュリティが施されているカーラジオにおいて行われる場合と同じ手法で行うこともできる。
【0031】
本発明により更に設けられている、取り外しの検出後の電子機器の新たな始動後に、第2の移動電話の識別コードがメモリエレメント28に記憶されるべきであるかまたは記憶されているときに、別の移動電話に対する短距離無線コネクションを自動的に形成しかつ別の移動電話との移動無線コネクションを自動的に初期設定するための手段は、コンピュータプログラムとして実現されておりかつラジオ装置のファームウェアの構成部分である。
【0032】
それ故に本発明のラジオ装置1は、車両からのラジオ装置1の取り外し、例えば給電の切断を検出する形態を提供している。ラジオ装置1がこうして検出された取り外し後に新たに作動されるならば、機器はラジオ受信機として利用可能であるようにしてもよい。択一的にこの機能に対しても従来の手法でコードの入力が必要であるようにしてもよい。しかし本発明のラジオ装置1では更に盗難後の発見が容易になる。すなわちラジオ装置を別の移動電話と一緒にハンドフリートーク装置として使用しようとするならば、別の移動電話の識別コードをラジオ装置のメモリエレメント28に記憶することが必要である。ラジオ装置1に手動でまたは識別コードの伝送により短距離無線コネクションを介して行うことができるこの種の登録過程が行われると、ラジオ装置1から、まだ行われていない場合には、別の移動電話2に対する短距離無線コネクションが形成されかつ付加的に引き続いてこの別の移動電話2との移動無線コネクションの自動的な初期設定が実施される。この自動的に形成される移動無線コネクションを介して今や、中央局または機器の所有者にデータを伝送することができるので、これによりラジオ装置1の発見は容易になる。次にこの方法を図3のシーケンス図に基づいて詳細に説明する。
【0033】
ステップS1において、ラジオ装置は所有者の自動車に正当に組み込まれておりかつ利用されることから出発する。ラジオ装置は給電部に接続されており、メモリ28には、ラジオ装置をハンドフリートーク装置として利用することができる1つまたは複数の権限のある移動電話の識別コードがファイルされている。更にメモリエレメント28に非常呼び出し番号がファイルされている。それからステップS2において、ラジオ装置の給電部が中断されているかどうかが質問される。ノーであれば、ステップS1およびS2を有するループが連続的に繰り返し実行される。これに対してステップS2において給電部が中断されたことが判定されると、ステップS3において、自動車の点火が例えば2minより長く遮断されているかどうかが検査される。点火が2minより長くは遮断されていなければ、給電部の、ラジオ装置からの分離は権利のない取り外し、すなわち盗難とは見なされない。このような手法でラジオ装置は例えば上記の時間間隔内でサービス目的のために取り外すことができ、しかもその場合保護メカニズムが作用することはない。これに対してステップS3において、点火が既に2分以上長く遮断されていることも判定されると、このことはラジオ装置の権限のない取り外しと見なされかつ相応の情報がメモリエレメント28に記憶される。
【0034】
ステップS5におけるラジオ装置の新たな始動後に、ステップS6において、ラジオ装置の権限のない取り外しが検出されたかどうか、すなわちメモリエレメント28に相応の情報が記憶されているかどうかが検査される。ノーであれば、ラジオ装置は通常通り作動されるようにすることができる。
【0035】
これに対してステップS6において、ラジオ装置の権限のない取り外しが検出されたのであれば、ステップS7において、機器の取り外しが検出されてから別の移動電話の新しい識別コードがメモリエレメント28に記憶されたかどうかが検査される。イエスであれば、ステップS9においてこの種のものが既に存在していない場合に、別の移動電話に対する短距離無線コネクションが確立される。ステップS10において、短距離無線コネクションの確立が成功したかどうかが検査される。ノーであれば、ステップS9およびS10を有するループが、コネクションの確立が成功裡に実施されるまで実行され、このためのこの別の移動電話は少なくとも、短距離無線コネクションの到達距離内になければならない。ステップS10において、識別コードが取り外しの検出後に初めて入力されたこの別の移動電話に対する短距離無線コネクションが確立されたことが判定されると、引き続いてステップS11において、この別の移動電話との移動無線コネクションが初期設定される。この場合メモリエレメント28に記憶されている非常呼び出し番号がダイヤルされる。ダイヤルされた非常呼び出し番号に今や、SMSでまたは音声メッセージとしてラジオ装置から、該ラジオ装置の窃盗犯とおぼしき人物の所有する結合された別の移動電話に関する情報が伝送される。この場合殊にそれは、この別の移動電話の識別コード、殊にその呼び出し番号であってよい。そこで伝達された呼び出し番号に基づいて、移動無線プロバイダーを介して所属の移動電話加入者を突き止めることができかつラジオ装置を取り戻す手だてを準備することができる。
【0036】
移動無線コネクションを用いて、ラジオ装置が位置決定モジュール、例えばGPSモジュールを装備しているとき、殊に位置データのような別の情報も伝送されるようにすることができる。これにより盗難されたラジオ装置に対するアクセスを容易にすることができる。
【0037】
こうして説明してきた方法において、取り外しが検出された後ラジオ装置が新たに始動される都度、取り外し後にラジオ装置に初めて登録される移動電話を介して、移動無線コネクションを確立しようという試みがなされる。
【0038】
ステップS7において、取り外しが検出されかつラジオ装置が新たに始動された後で、別の移動電話の新しい識別コードがまだ記憶されていないことが判定されると、ステップS8において、その時点で別の移動電話の新しい識別コードが入力されるかどうかが検査される。ステップS8における質問は持続的にもしくは、相応の命令を介して新しい移動電話の登録がスタートされると必ず行われる。ステップS8において、別の移動電話の新しい識別コードが入力されるべきであると判定されると、上に説明したように、ステップS9乃至S12において短距離無線コネクションおよび移動無線コネクションが確立されかつ情報が上述したように、伝送される。
【0039】
本発明はラジオ装置に基づいて説明されたが、殊にナビゲーションシステムまたは自動料金徴収装置(Maut)のような、自動車の別の電子機器に対しても使用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】カーラジオおよび移動電話に対するその結合を示す図
【図2】カーラジオおよび移動電話の主要な構成要素を備えたブロック回路
【図3】方法のシーケンスをフローチャート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
権限のある移動電話(2)に対する短距離無線コネクションを形成するための無線モジュール(18)を備えている自動車に組み込むための電子機器であって、該権限のある移動電話(2)は電子機器のメモリエレメント(28)にファイルされている、該権限のある移動電話(2)の識別コードに基づいて識別される形式のものにおいて、
電子機器は更に、
− 該電子機器の、自動車からの取り外しを検出するための手段と、
− 取り外しが検出された後電子機器を新たに始動した後に、別の移動電話の識別コードがメモリエレメント(28)に初めて記憶されるべきであるかまたは記憶されているときに、該別の移動電話に対する短距離無線コネクションを自動的に形成しかつ該別の移動電話との移動無線コネクションを自動的に初期設定するための手段と
を有している
ことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
電子機器のメモリエレメント(28)または別のメモリエレメントに、移動無線コネクションの自動的な初期設定の際にダイヤルされる電話番号が記憶されている
請求項1記載の電子機器。
【請求項3】
前記メモリは保護されるメモリエレメント(28)である
請求項2記載の電子機器。
【請求項4】
電子機器は自動的に初期設定される移動無線コネクションを介して別の移動電話の識別コードを伝送するように設定されている
請求項1から3までのいずれか1項記載の電子機器。
【請求項5】
電子機器の取り外しを検出するための手段は、電子機器の、給電網に対する電気的な接続(29)を監視し、給電の中断が電子機器の取り外しと評価される
請求項1から4までのいずれか1項記載の電子機器。
【請求項6】
電子機器の取り外しを検出するための手段は付加的に、車両の点火の遮断と給電の中断との間の時間間隔を評価する
請求項5記載の電子機器。
【請求項7】
電子機器の取り外しを検出するための手段は機械的に操作可能なスイッチを有している
請求項1から6までのいずれか1項記載の電子機器。
【請求項8】
電子機器は位置決定モジュールを含んでおりかつ自動的に初期設定される移動無線コネクションにより位置決定モジュールにより突き止められた、電子機器の位置が伝送される
請求項1から7までのいずれか1項記載の電子機器。
【請求項9】
短距離無線コネクションは100mを超えない到達距離、有利には10mを超えない到達距離を有してる
請求項1から7までのいずれか1項記載の電子機器。
【請求項10】
短距離無線コネクションは双方向短距離無線コネクションである
請求項1記載の電子機器。
【請求項11】
短距離無線コネクションはBlutooth法に従って行われる
請求項1から10までのいずれか1項記載の電子機器。
【請求項12】
電子機器は情報および/または娯楽装置として、例えばカーラジオ(1)、ナビゲーションシステムまたはマルチメディア装置、または自動料金徴収装置(Maut)として構成されている
請求項1から11までのいずれか1項記載の電子機器。
【請求項13】
電子機器はハンドフリートーク装置として構成されているかまたはハンドフリートーク装置の構成部分である
請求項1から12までのいずれか1項記載の電子機器。
【請求項14】
自動車の電子機器の盗難に対するセキュリティを施した装置を作動するための方法であって、
なお電子機器は権限のある移動電話に対する短距離無線コネクションを形成するための無線モジュールを有し、該権限のある移動電話はメモリエレメントにファイルされている識別コードに基づいて識別され、方法は次のステップを有している:
−機器の取り外しが検出された後に電子機器の始動が行われるかどうかを検査しかつ、イエスであれば、
−機器の取り外しが検出された後に別の移動電話の識別コードがメモリエレメントに初めて記憶されようとしているのかまたは記憶されているかどうかを検査し、かつイエスであれば、
−短距離無線コネクションがまだ存在していない場合には、別の移動電話に対する短距離無線コネクションを自動的に形成し、かつ別の移動電話との無線コネクションを自動的に初期設定する
ことを特徴とする方法。
【請求項15】
予め定めた電話番号への、自動的に初期設定された移動無線コネクションが行われる
請求項13記載の方法。
【請求項16】
自動的に初期設定された移動無線コネクションにより別の移動電話の識別コードが伝送される
請求項13または14記載の方法。
【請求項17】
電子機器の位置が突き止められかつ該位置が自動的に初期設定された移動無線コネクションによって伝送される
請求項14から16までのいずれか1項記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2008−538198(P2008−538198A)
【公表日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−557525(P2007−557525)
【出願日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際出願番号】PCT/EP2006/068883
【国際公開番号】WO2007/068566
【国際公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(507229032)ジーメンス ヴィディーオー オートモーティヴ アクチエンゲゼルシャフト (46)
【氏名又は名称原語表記】Siemens VDO Automotive AG
【住所又は居所原語表記】Siemensstrasse 12, D−93055 Regensburg, Germany
【Fターム(参考)】