説明

盗難防止装置

【課題】顧客による磁石を用いた解除を困難にする盗難防止装置を提供する。
【解決手段】 ケースAの周壁一側の開口6からケース内の挿入路に挿入部材8を挿入しケースの開放を阻止するように設けた係合手段Bと、挿入部材に前記挿入部材の挿入にともない押し戻されないように設けた複数の係止爪21及び係止爪が係止関係になるように設けた係止部と、ケースの周囲面に存在させるショップ側の解除具の保持永久磁石により磁吸して係止爪と係止部との係止関係を解除するように前記各係止爪側に設けた鉄片26とからなる盗難防止装置において、挿入部材の上記係止爪の配置線上に補助係止爪31を設け、又ケースの内面に挿入部材の挿入終了状況下に補助係止爪に合致する補助係止部を設け、更に補助係止爪に顧客による永久磁石を用いた解除操作にともない磁吸して補助係止爪と補助係止部とが係止関係になる鉄片33を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えばケースに収納してある商品の顧客による抜き取りや陳列してあるブックの抜き取りを防止する盗難防止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
CD、DVDなどの記録媒体の商品を収納したケースをレンタルショップの棚に陳列すると、ケースに開放防止の盗難防止機能がないと、顧客によりケースを開放して商品が抜き取られて盗難にあう。
【0003】
上記の商品は、レンタルショップでの貸し出し記録媒体に限定されず、その他の各種商品であっても同様に盗難にあう。
【0004】
そこで、ケースに顧客による開放を阻止し、ショップ側にあってはショップ側に備えてある解除具により開放阻止を解除するようにした盗難防止装置がある(特許文献1及び特許文献2)。
【0005】
上記特許文献1の出荷されているケース及びケースの蓋の開放阻止用ロック板の構成の詳細は、図20、21に示すように、箱体101とこの箱体101の一辺にヒンジ102を介し開閉自在に設けた蓋体103とでケース104が形成されている。
【0006】
そして、ケース104の側面に設けてある開口105からロック板嵌入空間106にロック板107をスライド嵌入して箱体101に対し蓋体103が開かない構造としてある。
【0007】
上記開かない構造としては、箱体101と蓋体103との内と外とで重なる或いは、二重になる周壁108、109の上記開口105の開放にともなう切り離し端から内方に向け、かつ内と外とで重なり合U字状の切欠きにより設けた両フック110、111にロック板107の端末側から突出する突片112が嵌入して、突片112と両フック110、111との係合関係でケース104の開口105側の箱体101と蓋体103の解放を阻止し、又箱体101と蓋体103との両側壁113、114の内面(ロック板の嵌入空間106内で突出し、かつ直列状に並ぶ筒体115、116にロック板107の閂材117が貫通してケース104の開口105の反対側の箱体101と蓋体103との開放を阻止している。
【0008】
そして、さらに両周壁108、109のヒンジ102に対向する内面の突部118がロック板107の上面の溝119に嵌入している。
【0009】
なお、ロック板107の末端側突片112の後方には、ショップ側の解除具を用いてロック板107を引き抜く際の引っかかり爪120が設けてある。
【0010】
なお、ロック板107の引き抜き防止の係合関係は、側壁114の内面から突出する多段の係合部121にロック板107の係合爪112が係合し、この係合関係の解除は、ショップ側に備えてある解除具の磁石により係合爪122側の鉄片125を磁吸して、係合部121から係合爪122が外れて、係合関係がなくなるようにしてある。
【0011】
そして、解除具(又はケース側でもよい)を移動させることで、解除具にロック板が引っかかってロック板を引き抜く。
【0012】
また、ショップにブックを陳列すると持ち出されて盗難にあうので、従来の盗難防止手段としては、図22、23に示すように筒状の保持部材201にブックBを挿入する。
【0013】
挿入するブックBは、末端に抜け止めストッパ202を有する保持部材201の両側壁203間にブックBを挿入する場合と、ブックBの少なくとも片方の表紙や表紙と綴じ込み紙の一部を側壁203の外側に露出するようにして保持部材201に挿入する。
【0014】
この挿入要因は、ブックBの厚みが保持部材201の両側壁203間の寸法よりも厚い場合のみに行なう。
【0015】
次に、保持部材201の頂壁204の上側の筒状の案内部205に備え部材206を挿入して、この備え部材206の挿入方向の反対側端のストッパ207をブックBの背表紙の表面に当接して保持部材201に対するブックBの抜き取りを阻止する。
【0016】
そして、備え部材206の顧客による抜き取り防止を、備え部材206の挿入にともない押し戻され、挿入終了にともない案内部205の貫孔208に合致して嵌り込む係止爪209を備え部材206に設けておく。
【0017】
係止爪209の係合関係の解除は、ショップ側の解除具の各突起をそれぞれの貫孔208に嵌入して、貫孔208から係止爪209が脱出するように係止爪209を押し戻す。
【0018】
すると、備え部材206の脱出方向のスライドが可能になる。
【0019】
【特許文献1】 特開2002−150444号公報
【0020】
【特許文献2】 アメリカ特許第6601415号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
ところで、特許文献1及び特許文献2のケースにあっては、ケースの周囲一面(添付詳細図の係合関係にある係合部と係合爪との部分)に顧客の把持した(鉄片の数に見合う二個の)永久磁石を重ねると共に、把持した永久磁石をスライドさせながら永久磁石により鉄片(各係合爪の)を磁吸することで、係合部と係合爪との係合関係を解除することができる。
【0022】
この状況下で把持した永久磁石をスライドさせる(このときロック板の爪に永久磁石の端面を引っかけて)ことで、ケースからロック板を引き抜くことができ(現上、偶然に)、ケースの開放が可能になって、収納してある商品が抜き取られることがある。
【0023】
このため、商品の盗難にあう問題が発生した。
【0024】
また、添付図面のブックの盗難防止手段によると、顧客により貫孔に細かい材料を嵌入して係止爪を押し戻すことができるので、貫孔と係止爪との係合関係を簡単に解除でき、解除にともない備え部材を抜き取って保持部材に対するブックを引き抜き、引き抜いたブックの持ち出しができる問題があった。
【0025】
そこで、この発明は、上述の問題を解決した盗難防止装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0026】
上記の課題を解決するために、この発明は、箱体と、この箱体の下辺にヒンジを介し開閉自在に設けた蓋体とで商品の収納ケースを形成し、このケースの周壁一側の開口から上記ケース内の挿入路に挿入部材を挿入し、この挿入部材と上記箱体及び蓋体とに上記挿入部材の挿入にともない係合関係になって上記ケースの開放を阻止するように設けた係合手段と、上記挿入部材に前記挿入部材の挿入にともない押し戻されないように設けた複数の係止爪及び上記箱体及び蓋体のいずれか片方の内面に上記挿入部材の挿入終了にともない合致した上記係止爪が係止関係になるように設けた係止部と、上記ケースの周囲面に存在させるショップ側の解除具の保持永久磁石により磁吸して上記係止爪と係止部との係止関係を解除するように前記各係止爪側に設けた鉄片とからなる盗難防止装置において、上記挿入部材の上記係止爪の配置線上に補助係止爪を設け、又ケースの内面に上記挿入部材の挿入終了状況下に上記補助係止爪に合致する補助係止部を設け、更に上記補助係止爪に顧客による永久磁石を用いた解除操作にともない磁吸して前記補助係止爪と補助係止部とが係止関係になる鉄片を設けた構成を採用する。
【0027】
また、周囲の一面に商品の出し入れ用の開口を有するケースと、このケースに上記開口を開放させて商品の出し入れ方向に沿わせて設けた挿入路と、この挿入路に挿入する挿入部材の挿入方向の反対側末端に上記開口の一部を閉鎖するように設けたストッパと、上記挿入部材に前記挿入部材の挿入にともない押し戻されるように設けた複数の係止爪と、上記挿入路内に上記挿入部材の挿入終了にともない合致した上記係止爪が係止関係になるように設けた係止部と、上記ケースの周囲面に存在させるショップ側の解除具の保持永久磁石により磁吸して上記係止爪と係止部との係止関係を解除するように前記係止爪側に設けた鉄片とからなる盗難防止装置において、上記挿入部材の上記係止爪の配列線上に補助係止爪を設け、又挿入路の内面に上記挿入部材の挿入終了状況下に上記補助係止爪に合致する補助係止部を設け、更に上記補助係止爪に顧客による永久磁石を用いた解除操作にともない磁吸して前記補助係止爪と補助係止部とが係止関係になる鉄片を設けた構成を採用する。
【0028】
さらに、ブックを挿入する筒状の保持部材と、この保持部材に挿入ブックの通過を阻止するように設けた抜け止め部と、上記保持部材にブックの挿入側面が開放して設けた挿入路と、この挿入路に挿入する挿入部材の挿入方向の反対側末端にブックの背表紙の表面に位置するよう設けたストッパと、上記挿入部材の挿入方向線上に前記挿入部材の挿入にともない押し戻されるように設けた複数の係止爪と、上記挿入路内に上記挿入部材の挿入終了にともない合致した上記係止爪が係止関係になるように設けた係止部と、上記挿入路の周面に存在させるショップ側の解除具の保持永久磁石により磁吸して上記係止爪と係止部との係止関係を解除するように前記各係止爪側に設けた鉄片と、上記挿入部材の上記係止爪の配置線上に設けた補助係止爪と、上記挿入路内に上記挿入部材の挿入終了状況下に上記補助係止爪に合致するように設けた補助係止部と、上記補助爪に顧客による永久磁石を用いた解除操作にともない磁吸して前記補助係止爪と補助係止部とが係止関係になるように設けた鉄片とからなる構成を採用する。
【0029】
すると、ショップでの陳列時に顧客の携行した永久磁石により解除しようとしたとき、補助係止爪の鉄片を磁吸して、補助係止爪と補助係止部とが係止関係になる。
【0030】
また、補助係止爪の鉄片が、ショップ側の解除具の永久磁石により磁吸されず、かつ顧客の永久磁石により係止爪と補助係止爪との両鉄片を磁吸されるように係止爪の鉄片に対し、接近した距離に配置して、係止爪と補助係止爪の鉄片を顧客の永久磁石により磁吸して、補助係止爪と補助係止部とが係止関係になる。
【発明の効果】
【0031】
以下のように、この発明の盗難防止装置によれば、ケースの開放を阻止する挿入部材やケースの周囲一面の開口から商品の抜き取りを阻止する挿入部材に鉄片を有する補助係止爪を、挿入路に挿入部材の挿入終了状況下に補助係止爪に合致する補助係止部を設けてあるので、顧客の携行した永久磁石を挿入路の表面に重ね、かつスライドさせて鉄片を磁吸しながら係止爪と係止部との係止関係を解除しようとしてもスライド途中に補助係止爪の鉄片を磁吸して、補助係止爪と補助係止部とが係止関係になる。
【0032】
この係止関係により挿入部材の脱出(引き抜き)方向のスライドが阻止されて盗難防止に効果を発揮する。
【0033】
勿論、ショップ側の永久磁石を保持した解除具を使用することで、補助係止爪の鉄片を磁吸しないため、ショップ側で解除に差しつかえがない。
【0034】
また、ブックの盗難防止装置にあっても上述と同様の効果がある。
【0035】
さらに、補助係止爪の鉄片が、ショップ側の解除具の永久磁石により磁吸されず、かつ顧客の永久磁石により係止爪と補助係止爪との両鉄片を磁吸されるように係止爪の鉄片に対し、接近した距離に配置してあるので、顧客の把持した永久磁石で係止爪の鉄片を磁吸しようとしても補助係止爪の距離の近い鉄片を磁吸するので、この磁吸のより補助係止爪と補助係止部とが係止関係になって挿入部材の引き抜きや脱出方向のスライドが阻止されて盗難防止にすぐれた効果を発揮する。
【0036】
特に2個の永久磁石を係止爪と補助係止爪の鉄片を磁吸しようとした際、両永久磁石の磁吸により吸引されて永久磁石間に強い力で指などが挟まれて手に損傷を受け、その結果盗難の行為を中断させる利点もある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
以下、この発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0038】
この発明の第1の実施形態では、図1から図7に示すように、箱体1と、この箱体1の下辺にヒンジ2を介し開閉自在に設けた蓋体3とで商品aの収納ケースAを形成する。
【0039】
上記の箱体1及び蓋体3は、図示の場合側壁4と、この側壁4の各辺縁から連なって側壁4の裏面方向に突出する周壁5とで構成され、片方のケースAの閉鎖時片方の周壁5の外側にもう片方の周壁5が被さるようにしたが、両周壁5の開放縁を突き合わせる形式であってもよい。
【0040】
なお、ヒンジ2は、図示のピンヒンジに限定されず、ハーフカット方式のヒンジであってもよい。
【0041】
また、ケースAの周壁5の一側の上部に設けた開口6からケースA内の挿入路7に挿入部材8を挿入する。
【0042】
なお、挿入部材8の挿入方向の反対側末端の板状体9を開口6に嵌入して開口6を閉鎖すると共に、板状体9の突片10を開口6の縁の切欠き11に嵌入する(嵌入にともない挿入部材8と蓋体3とが係合関係になる)ようにしたが、限定されない。
【0043】
上記の挿入部材8は、図示の場合左右の側板12と、この両側板12を連結する連結板13とで断面H状に構成されているが、限定されず、その他の棒状であってもよい。
【0044】
さらに、挿入部材8と箱体1及び蓋体3とには、挿入部材8を挿入することにより係合関係になってケースAの開放を阻止する係合手段Bが設けてある。
【0045】
上記の係合手段Bとしては、図示の場合箱体1の上辺側周壁5から突出する係止片14の内側に挿入部材8の片方の側板12の上縁部が嵌り込んで係合し、箱体1及び蓋体3の側壁4の内面に設けてある筒状体15に挿入部材8の閂材16が貫通し、そして箱体1及び蓋体3の上辺側周壁5の開口6側切り離し端から内方に向く切欠き16’、16’に挿入部材8の末端部から上方に突出する突片17’が嵌り込んで係合関係になるようにしたが、限定されず、例えば図7に示すように箱体1及び蓋体3の上辺側(ヒンジ2に平行する辺)両周壁5の開放縁から下方に突出する7字状の係止片14、14の内側に挿入部材8の両側板12の上縁部を嵌入させて係合関係(ケースAの開放阻止の)にしてもよい。
【0046】
なお、各係止片14は全長にわたって設けたもの(長い)や点在的な短いものでもよい。
【0047】
そして、挿入部材8には、挿入部材8の挿入にともない押し戻される複数の係止爪21が、蓋体3及び箱体1のいずれか片方には、挿入部材8の挿入終了にともない合致した係止爪21が係止関係になる係止部22が設けてある。
【0048】
上記の係止爪21は、図示の場合、合成樹脂製の挿入部材8の成形の際薄肉のヒンジ23を介し傾動板24と、この傾動板24の自由端の下縁から下方に突出させて設け、上記の係止部22は、図示の場合挿入路7を形成する仕切壁25の上面に凹入部を設けて形成したが、凹入部にかえて突部を設けて、この突部の斜面上を乗りこえた係止爪21が突部に引っかかるようにしてもよい。
【0049】
そして、各係止爪21側に永久磁石により磁吸されて係止部22に対する係止爪21の係止関係を解除する鉄片26が設けてある。
【0050】
上記の鉄片26は、図示の場合、傾動板24の自由端の上面から金属製のビスをねじ込んで設けてある。
【0051】
上記のように構成すると、ケースAに例えばディスクの商品aを収納したのち、開口6から挿入路7に挿入部材8を挿入し、挿入終了にともない係止部22と係止爪21とが係止関係になって挿入部材8の引き抜きができなくなると共に、係合手段Bの係合によってケースAの開放が阻止されて収納商品aの抜き取りができない。
【0052】
ショップ側の解除方式は、図8に示すように、ケースAの上辺にショップ側の解除具27を載置する。
【0053】
すると、解除具27に保持してある永久磁石28が各係止爪21の鉄片26を磁吸するので、係止爪21の傾動板24の自由端を上昇させて係合部22から係止爪21が図8に示すように外れて係止関係が解除され、この状況下でケースAを把持して解除具27を図8右方向にスライドすると、挿入部材8の突出部29に解除具27の端面が引っかかって挿入路7から挿入部材8が引き抜かれ、ケースAの開放が可能になる。
【0054】
そこで、顧客の携行した永久磁石を用いた解除を困難にするため、図2、3、4、5、8に示すように爪尖端が上向きの補助係止爪31を挿入部材8に設ける。
【0055】
上記の補助係止爪31は、係止爪21間や係止爪21の前後などに適宜決定して、複数配置し、係止爪21を同様に挿入部材8の成形の際ヒンジ23を介し連なる傾動板24の自由端側に設ける。
【0056】
そして、挿入路7内(図示の場合、周壁5の内面に)に挿入部材8の挿入終了状況下に補助係止爪31に合致する補助係止部32を、また補助係止爪31側にも永久磁石により磁吸されて補助係止爪31が上昇方向に傾動する鉄片33が設けてある。
【0057】
上記の鉄片33は、鉄片26と同様の方法で設けておく。
【0058】
すると、図9に示すように、顧客の携行した永久磁石35をケースAの上辺側周壁5上に重ね、かつスライドさせて係止爪21側の鉄片26を磁吸して係止爪21と係止部22との係止関係を解除しようとして解除できても、永久磁石35が補助係止爪31の鉄片33を磁吸し、この磁吸にともない補助係止部32に補助係止爪31が係止(図9に示すように)するので、挿入部材8の引き抜きができなくなる。すなわち、盗難防止を維持する。
【0059】
勿論、補助係止爪31側のみの鉄片33を磁吸する場合もあるが、この場合も盗難防止になる。
【0060】
なお、顧客の把持した2個の永久磁石35が磁吸力により引きよせられると、永久磁石35の端面間に指などが強い磁吸力で挟まれて怪我をするので、商品を抜き取ろうとする意欲をなくさせることになる。
【0061】
また、係止爪21と補助係止爪31の配置(数など)も、図4に限定されず、図10に示すように、1つの係止爪21の前に(後でも可)配置することで、同様の作用効果がある。
【0062】
この発明の第2の実施形態では、図11、12に示すように、ケースA’の周囲一面には、商品aの出し入れ用の開口41が設けてある。
【0063】
上記のケースAは、対向する側壁42、42と、この両側壁42、42の一側を除く残る三辺の縁を連結する周壁43とで構成され、上記の商品aとしては、例えばディスクを収納した貸し出しや販売ケースを示したが、その他の商品であってもよい。
【0064】
また、ケースA’には、開口41側を開放させた挿入路44が設けてある。
【0065】
上記の挿入路44は、図示の場合ケースA’内の上部に上辺側周壁43に平行する仕切壁45を設けて形成したが、限定されない。
【0066】
さらに、挿入路44に挿入部材46を挿入すると共に、この挿入部材46の挿入方向の反対側末端には、開口41の一部を閉鎖して商品aの抜き取りを阻止するストッパ47が設けてある。
【0067】
なお、周知のように挿入部材46の末端の手前に中折れ関接部(図示省略)を設けておくと、挿入路44に中折れ関接部が挿入されることでストッパ47の上方への逃げの回動が阻止され、挿入路44から中折れ関接部を脱出させるように挿入部材46をスライドさせてストッパ47を上方に回動させながら逃がすとケースA’から商品aを取り出すことが可能になる。
【0068】
また、挿入部材46には、第1の実施形態と同様の所要数の係止爪21と、補助係止爪31とが(それぞれに鉄片26、33を有する)設けてあり、挿入路44には、第1の実施形態と同様の係止部22と補助係止部32とが設けてある。
【0069】
上記の係止爪21、補助係止爪31及び係止部22、補助係止部32の構成は、第1の実施形態と同様につき詳細な説明を省略する。
【0070】
すると、第1の実施形態と同様の作用効果がある。
【0071】
上記作用効果のショップ側の解除具27を用いた解除方式及び顧客の携行永久磁石35により解除しようとする行為の説明は、第1の実施形態と同様につき詳細な説明を省略する。
【0072】
なお、挿入部材46の構成も第1の実施形態と同様につき詳細な説明を省略する。
【0073】
この発明の第3の実施形態では、図13から図15に示すように、CはブックSを挿入する筒状の保持部材である。
【0074】
上記の保持部材Cは、上下で対向する頂壁51及び底壁52と、左右で対向する側壁53、53とで構成され、保持部材CにブックSを挿入する際、側壁53、53にブックSの表裏表紙54と綴じ込み紙55の全部を挿入する場合と、ブックSの厚みが両側壁53間の対向間隔よりも厚いと、図15に示すように表裏表紙54の少なくとも片方のみ、或いは表裏表紙54と綴じ込み紙55の一部を側壁53の外側に位置させて挿入する。
【0075】
その際、保持部材Cに挿入したブックSが通過しない抜け止め部56を設けておく。
【0076】
上記の抜け止め部56は、図示の場合、側壁53を連結する連結板によって構成したが、限定されず、頂壁51及び底壁52の少なくとも片方の内面で、ブックSの挿入側端に食い込み片(図示省略)を設けて、この食い込み片を綴じ込み紙間に食い込ませることで、食い込み片がブックSの綴じ代側に当接したブックSの抜ける方向のスライドを止めることができる。
【0077】
また、頂壁51の上側に筒状体57を設けて、この筒状体57内を挿入路58とし、この挿入路58に挿入した挿入部材59の挿入方向の反対側末端には、ブックSの背表紙60の表面に臨むストッパ61が設けてあり、このストッパ61によりブックSの抜き取りを防止する。
【0078】
なお、図14に示すようにストッパ61をピン62を介し回動自在に取付け、このピン62の中折れ関節部分を挿入路58に嵌入することでストッパ61の回動が止められ、ピン62の部分が挿入路58から脱出することでストッパ61を起きる方向に回動させてブックSを抜き取ることができるので、挿入部材59の全部を挿入路58から完全に抜かなくてもよい。勿論限定されない。
【0079】
また、挿入部材59には、第1の実施形態と同様の所要数の係止爪21と補助係止爪31とが(それぞれに鉄片26、33を有する)設けてあり、挿入路58には、第1の実施形態と同様の係止部22と補助係止部32とが設けてある。
【0080】
上記の係止爪21、補助係止爪31及び係止部22、補助係止部32の構成は、第1の実施形態と同様につき詳細な説明を省略する。
【0081】
すると、第1の実施形態と同様の作用効果がある。
【0082】
上記の作用効果のショップ側の解除具27を用いた解除方式及び顧客の携行永久磁石36により解除しようとする行為の説明は、第1の実施形態と同様につき説明を省略する。
【0083】
なお、挿入部材59の構成も、第1の実施形態と同様につき説明を省略する。
【0084】
この発明の第4の実施形態では、図16、17に示すように、第1、第2及び第3の実施形態の係止爪21側の鉄片26に対する補助係止爪31側の鉄片33の隣接距離を、ショップ側の解除具27に保持してある永久磁石28により鉄片26を磁吸した際鉄片33を磁吸しない位置になり、顧客の携行した永久磁石を近づけると両鉄片26、33を磁吸するような位置になるように配置しておく。すなわち、永久磁石28は、鉄片26を磁吸する範囲の長さにしてある。
【0085】
すると、ショップ側での解除の際、図17に示すように永久磁石28により係止爪21の鉄片26のみを磁吸して、係止爪21と係止部22との係止関係を解除し、挿入部材8(46、59も)の脱出方向のスライドが可能になる。
【0086】
しかしながら、顧客が携行した永久磁石35で解除しようとすると、図18に示すように永久磁石35の両端側が係止爪21と補助係止爪31との両鉄片26、33の配置範囲に及ぶと、鉄片26、36が磁吸されて、一方係止爪21と係止部22との係止関係が解除されるのに対し他方補助係止爪31と補助係止部32とが係止関係になる。
【0087】
このため、挿入部材8(46、59も)の脱出方向のスライドができない。
【0088】
なお、図19に示すように補助係止爪31と補助係止部32に互いに係合するフック91、92を設け、挿入部材8(46、59も)を脱出方向に若干スライドさせても、両フック91、92が係合するようにしておくと、顧客によるフック91、92の係合解除がわからないためなお一層盗難防止の効果を向上し、又図18に示すように挿入部材8、(46、及び59にも)の一端側に係止爪21及び補助係止爪31を集合させて、他端側に係止爪21及び補助係止爪31を配置しないようにしておくと、ショップ側の解除具の永久磁石が他端側に設けてある、盗難防止タグFに悪影響を及ぼすことがない。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】 この発明の第1の実施形態のケースの斜視図
【図2】 挿入部材の側面図
【図3】 使用状態を示す分解斜視図
【図4】 使用時の縦断側面図
【図5】 同縦断正面図
【図6】 他の部分の縦断正面図
【図7】 係合手段の他の例を示す縦断正面図
【図8】 ショップ側の解除を示す縦断側面図
【図9】 顧客の解除を示す縦断側面図
【図10】 係止爪と補助係止爪の他の配置を示す縦断側面図
【図11】 第2の実施形態を示す分解斜視図
【図12】 同縦断側面図
【図13】 第3の実施形態を示す分解斜視図
【図14】 同縦断側面図
【図15】 同上の縦断正面図
【図16】 係止爪と補助係止爪の他の配置を示す縦断側面図
【図17】 第4の実施形態を示す縦断側面図
【図18】 顧客による解除を示す縦断側面図
【図19】 補助係止爪係止部を示す縦断拡大側面図
【図20】 従来例を示す斜視図
【図21】 同縦断側面図
【図22】 他の従来例を示す縦断側面図
【図23】 同縦断正面図
【符号の説明】
【0090】
A、A’ ケース
a 商品
B 係合手段
1 箱体
2 ヒンジ
3 蓋体
4 側壁
5 周壁
6 開口
7 挿入路
8 挿入部材
9 板状体
10 突片
11 切欠き
12 側板
13 連結板
14 係止片
15 筒状体
16 閂材
21 係止爪
22 係止部
23 ヒンジ
24 傾動板
25 仕切壁
26 鉄片
27 解除具
28 永久磁石
29 突出部
31 補助係止爪
32 補助係合部
33 鉄片
35 永久磁石
41 開口
42 側壁
43 周壁
44 挿入路
45 仕切壁
46 挿入部材
47 ストッパ
S ブック
C 保持部材
51 頂壁
52 底壁
53 側壁
54 表裏表紙
55 綴じ込み紙
56 抜け止め部
57 筒状体
58 挿入路
59 挿入部材
60 背表紙
61 ストッパ
62 ピン
F タグ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
箱体と、この箱体の下辺にヒンジを介し開閉自在に設けた蓋体とで商品の収納ケースを形成し、このケースの周壁一側の開口から上記ケース内の挿入路に挿入部材を挿入し、この挿入部材と上記箱体及び蓋体とに上記挿入部材の挿入にともない係合関係になって上記ケースの開放を阻止するように設けた係合手段と、上記挿入部材に前記挿入部材の挿入にともない押し戻されないように設けた複数の係止爪及び上記箱体及び蓋体のいずれか片方の内面に上記挿入部材の挿入終了にともない合致した上記係止爪が係止関係になるように設けた係止部と、上記ケースの周囲面に存在させるショップ側の解除具の保持永久磁石により磁吸して上記係止爪と係止部との係止関係を解除するように前記各係止爪側に設けた鉄片とからなる盗難防止装置において、上記挿入部材の上記係止爪の配置線上に補助係止爪を設け、又ケースの内面に上記挿入部材の挿入終了状況下に上記補助係止爪に合致する補助係止部を設け、更に上記補助係止爪に顧客による永久磁石を用いた解除操作にともない磁吸して前記補助係止爪と補助係止部とが係止関係になる鉄片を設けたことを特徴とする盗難防止装置。
【請求項2】
周囲の一面に商品の出し入れ用の開口を有するケースと、このケースに上記開口を開放させて商品の出し入れ方向に沿わせて設けた挿入路と、この挿入路に挿入する挿入部材の挿入方向の反対側末端に上記開口の一部を閉鎖するように設けたストッパと、上記挿入部材に前記挿入部材の挿入にともない押し戻されるように設けた複数の係止爪と、上記挿入路内に上記挿入部材の挿入終了にともない合致した上記係止爪が係止関係になるように設けた係止部と、上記ケースの周囲面に存在させるショップ側の解除具の保持永久磁石により磁吸して上記係止爪と係止部との係止関係を解除するように前記係止爪側に設けた鉄片とからなる盗難防止装置において、上記挿入部材の上記係止爪の配列線上に補助係止爪を設け、又挿入路の内面に上記挿入部材の挿入終了状況下に上記補助係止爪に合致する補助係止部を設け、更に上記補助係止爪に顧客による永久磁石を用いた解除操作にともない磁吸して前記補助係止爪と補助係止部とが係止関係になる鉄片を設けたことを特徴とする盗難防止装置。
【請求項3】
ブックを挿入する筒状の保持部材と、この保持部材に挿入ブックの通過を阻止するように設けた抜け止め部と、上記保持部材にブックの挿入側面が開放して設けた挿入路と、この挿入路に挿入する挿入部材の挿入方向の反対側末端にブックの背表紙の表面に位置するよう設けたストッパと、上記挿入部材の挿入方向線上に前記挿入部材の挿入にともない押し戻されるように設けた複数の係止爪と、上記挿入路内に上記挿入部材の挿入終了にともない合致した上記係止爪が係止関係になるように設けた係止部と、上記挿入路の周面に存在させるショップ側の解除具の保持永久磁石により磁吸して上記係止爪と係止部との係止関係を解除するように前記各係止爪側に設けた鉄片と、上記挿入部材の上記係止爪の配置線上に設けた補助係止爪と、上記挿入路内に上記挿入部材の挿入終了状況下に上記補助係止爪に合致するように設けた補助係止部と、上記補助爪に顧客による永久磁石を用いた解除操作にともない磁吸して前記補助係止爪と補助係止部とが係止関係になるように設けた鉄片とからなる盗難防止装置。
【請求項4】
前記補助係止爪の鉄片が、ショップ側の解除具の永久磁石により磁吸されず、かつ顧客の永久磁石により係止爪と補助係止爪との両鉄片を磁吸されるように係止爪の鉄片に対し、接近した距離に配置したことを特徴とする請求項1、2又は3に記載の盗難防止装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2009−73558(P2009−73558A)
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−274401(P2007−274401)
【出願日】平成19年9月21日(2007.9.21)
【出願人】(507315081)
【Fターム(参考)】