監視システム
【課題】たとえネットワークインフラがダウンした場合やマスタ装置のメンテナンスを行った場合でも、撮像装置が撮像した画像データの喪失を防止できる監視システムを提供する。
【解決手段】本発明に係る監視システム100は、複数の監視カメラ1と、画像データを管理するマスタ装置20と、監視カメラ1とマスタ装置20との間における通信状況をモニターすることができる中継装置10とを備えている。そして、中継装置10は、マスタ装置20との通信が不通であると判断した場合には、監視カメラ1の画像データを記憶する。
【解決手段】本発明に係る監視システム100は、複数の監視カメラ1と、画像データを管理するマスタ装置20と、監視カメラ1とマスタ装置20との間における通信状況をモニターすることができる中継装置10とを備えている。そして、中継装置10は、マスタ装置20との通信が不通であると判断した場合には、監視カメラ1の画像データを記憶する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、防犯や防災の目的で使用することができる監視システムに係る発明であり、特に、撮像装置で撮像した画像を記録・管理することができる監視システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
監視システムのデジタル化、ネットワーク化が進みつつあり、その利便性に対する市場の要望は日々大きくなっている。防犯や防災の目的で使用される当該ネットワーク化された監視システムは、複数の監視カメラ(撮像装置)と、当該監視カメラとネットワークを介して接続された1台のマスタ装置とから構成されている。
【0003】
当該監視システムでは、対象となる施設・場所の各々に監視カメラが設置されており、当該監視カメラから離れた場所にはマスタ装置が設置されている。上記の通り、マスタ装置と各監視カメラとはネットワーク経由で接続されており、当該マスタ装置には、監視カメラから送信された画像データを記録・管理することができる。なお、既知の監視システム技術として、たとえば特許文献1が存在する。
【0004】
【特許文献1】特開2004−128623号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
監視カメラとマスタ装置とから成る監視システムにおいて、たとえばネットワークインフラがダウンした場合には、各監視カメラが撮像した画像データがマスタ装置に送信・保存されなくなる。つまり、ネットワークのダウン期間中、上記画像データが喪失してしまう。
【0006】
また、マスタ装置のメンテナンスを行う場合にも、各監視カメラが撮像した画像データが当該マスタ装置に送信・保存されなくなる。つまり、当該メンテナンス期間中においても、上記画像データが喪失してしまう。
【0007】
また、ネットワークにおける帯域変動は、流動的に変動するため予測が困難である。また、監視システムの稼働率は、周囲環境の変化や自然災害の外因に大きく影響するので、当該稼働率の変化を予測することも困難である。また、監視カメラから送信される画像データはデータ量が膨大であるため、監視カメラの接続台数が増加すると、バックボーンがボトルネックになる。よって、上記予測が困難な帯域変動と稼働率の変化に起因して、当該監視システムのバックボーンにおいて輻輳が発生することが多々ある。このように輻輳が発生すると、バックボーンのダウンが起こる。この場合においても画像データの喪失が発生してしまう。
【0008】
そこで、たとえネットワークインフラがダウンした場合やマスタ装置のメンテナンスを行った場合でも、撮像装置が撮像した画像データの喪失を防止できる監視システムを提供することを目的とする。さらに、バックボーンのダウンを抑制することができる監視システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明に係る請求項1に記載の監視システムは、画像の撮像を行う複数の撮像装置と、前記撮像装置が撮像した画像データを受信し、前記画像データを管理するマスタ装置と、前記撮像装置と前記マスタ装置との間に配設されており、前記撮像装置と前記マスタ装置との間における通信状況をモニターすることができる中継装置とを、備えており、前記モニターの結果、前記中継装置が、前記マスタ装置との通信が不通であると判断した場合には、前記中継装置は、前記撮像装置の前記画像データを記憶する。
【0010】
また、本発明に係る請求項2に記載の監視システムは、請求項1に記載の監視システムであって、各前記撮像装置は、少なくとも2以上のグループにグループ分けされており、前記中継装置は、少なくとも所定の前記グループに配設されており、前記中継装置は、前記所定のグループに属する前記撮像装置の前記画像データを記憶する。
【0011】
また、本発明に係る請求項3に記載の監視システムは、請求項2に記載の監視システムであって、前記中継装置は、前記撮像装置から前記マスタ装置に送信される前記画像データのビットレートを、前記所定のグループに属する各前記撮像装置毎にモニターする、ビットレートのモニターを行っており、前記マスタ装置との通信が不通である場合には、前記中継装置は、前記ビットレートのモニター結果に基づいて、前記所定のグループに属する前記撮像装置から送信される前記画像データのビットレートの再設定を行う。
【0012】
また、本発明に係る請求項4に記載の監視システムは、請求項3に記載の監視システムであって、前記中継装置は、前記ビットレートのモニター結果に基づいて、前記所定のグループに属する前記撮像装置に対して重要度を決定し、所定のしきい値重要度より低い重要度である前記撮像装置から送信されてくる画像データのビットレートを低下させる方向に、前記ビットレートの再設定を行う。
【0013】
また、本発明に係る請求項5に記載の監視システムは、請求項3または請求項4に記載の監視システムであって、前記中継装置が有する前記画像データの記憶容量が、所定の基準値以下となった場合には、前記中継装置は、前記ビットレートの再設定処理を実施する。
【0014】
また、本発明に係る請求項6に記載の監視システムは、請求項2に記載の監視システムであって、前記画像データは、複数のフレームで構成されており、前記中継装置は、既に記憶されている各前記撮像装置毎の前記画像データのビットレートに基づいて、前記各撮像装置毎に重要度を決定し、前記重要度の低い前記撮像装置から送信された前記画像データから前記重要度の高い前記撮像装置から送信された前記画像データへと順に、既に記憶されている前記画像データのフレーム間引き処理を行う。
【0015】
また、本発明に係る請求項7に記載の監視システムは、請求項2に記載の監視システムであって、前記撮像装置は、異常を感知した場合に、当該異常を通知するアラーム情報を送信することができ、前記画像データは、複数のフレームで構成されており、前記中継装置は、前記アラーム情報の受信時刻を起点に最も時系列的に経過したときに記憶された前記フレームから、当該起点に近づく順に、前記起点後に記憶された各前記フレームを削除する。
【0016】
また、本発明に係る請求項8に記載の監視システムは、請求項2に記載の監視システムであって、前記中継装置は、前記撮像装置から前記マスタ装置に送信される前記画像データのビットレートを、前記所定のグループに属する各前記撮像装置毎にモニターする、ビットレートのモニターを行っており、前記画像データをキャッシュ記憶するキャッシュ記憶部を、さらに備えており、前記マスタ装置との通信が不通でない場合には、前記中継装置は、前記ビットレートのモニターの結果、所定のビットレート以上の前記画像データを前記マスタ装置に送信し、前記所定のビットレートより小さい前記画像データを前記キャッシュ記憶部にキャッシュ記憶する。
【0017】
また、本発明に係る請求項9に記載の監視システムは、請求項8に記載の監視システムであって、前記キャッシュ記憶部の空き容量が、所定の基準値以下となった場合には、前記中継装置は、前記所定のビットレート以上の前記画像データのビットレートを、ビットレートが低下する方向に変換させ、当該変換後の前記画像データを前記マスタ装置に送信すると共に、前記キャッシュ記憶していた前記画像データを前記マスタ装置に送信する。
【発明の効果】
【0018】
本発明の請求項1に記載の監視システムは、画像の撮像を行う複数の撮像装置と、撮像装置が撮像した画像データを受信し、画像データを管理するマスタ装置と、撮像装置とマスタ装置との間に配設されており、撮像装置とマスタ装置との間における通信状況をモニターすることができる中継装置とを、備えており、モニターの結果、中継装置が、マスタ装置との通信が不通であると判断した場合には、中継装置は、撮像装置の画像データを記憶する。
【0019】
したがって、たとえネットワークインフラがダウンしたとしても、撮像装置が撮像した画像データの喪失を防止することができる。また、非常回線(バックアップ回線)などを必要としない。つまり、簡易なシステム構成により、上記画像データ等の喪失を防止することができる。また、マスタ装置のメンテナンス作業によりマスタ装置との通信が不通になった場合でも、撮像装置が撮像した画像データの喪失を防止できる。
【0020】
また、本発明に係る請求項2に記載の監視システムでは、各撮像装置は、少なくとも2以上のグループにグループ分けされており、中継装置は、少なくとも所定の前記グループに配設されており、モニターの結果、中継装置が、マスタ装置との通信が不通であると判断した場合には、中継装置は、所定のグループに属する撮像装置の画像データを記憶する。
【0021】
したがって、大規模な監視システムに対しても請求項1に記載した効果を有する監視システムを適用することができる。
【0022】
また、本発明に係る請求項3に記載の監視システムでは、中継装置は、撮像装置からマスタ装置に送信される画像データのビットレートを、所定のグループに属する各撮像装置毎にモニターする、ビットレートのモニターを行っており、マスタ装置との通信が不通である場合には、中継装置は、ビットレートのモニター結果に基づいて、所定のグループに属する撮像装置から送信される画像データのビットレートの再設定を行う。
【0023】
したがって、当該再設定をたとえばビットレートが低下する方向で行えば、変更後のビットレートを有する各画像データを中継装置に記憶させたとしても、記憶容量の節約を図ることができる。
【0024】
また、本発明に係る請求項4に記載の監視システムでは、中継装置は、ビットレートのモニター結果に基づいて、所定のグループに属する撮像装置に対して重要度を決定し、所定のしきい値重要度より低い重要度である撮像装置から送信されてくる画像データのビットレートを低下させる方向に、ビットレートの再設定を行う。
【0025】
したがって、重要な画像データのビットレート変更させることなく、中継装置の記憶容量の節約を図ることができる。
【0026】
また、本発明に係る請求項5に記載の監視システムは、中継装置が有する画像データの記憶容量が、所定の基準値以下となった場合には、中継装置は、ビットレートの再設定処理を実施する。
【0027】
したがって、中継装置の記憶容量が多い時点では、画質の低下を行わず画像データを中継装置に記憶でき、記憶容量が残り少なくなった時点から、記憶容量の節約を実施できる。
【0028】
また、本発明に係る請求項6に記載の監視システムでは、画像データは、複数のフレームで構成されており、中継装置は、既に記憶されている各撮像装置毎の画像データのビットレートに基づいて、各撮像装置毎に重要度を決定し、重要度の低い撮像装置から送信された画像データから重要度の高い撮像装置から送信された画像データへと順に、既に記憶されている画像データのフレーム間引き処理を行う。
【0029】
したがって、動き・変化の多い映像の画像データを記憶部に極力残しつつ、中継装置内の記憶部の容量を確保することができる。換言すれば、動き・変化の少ない映像の画像データを構成するフレームからフレーム間引き処理を行うことにより、重要な画像データを極力記憶部に残しつつ当該記憶部の容量を確保することができる。
【0030】
また、本発明に係る請求項7に記載の監視システムでは、撮像装置は、異常を感知した場合に、当該異常を通知するアラーム情報を送信することができ、画像データは、複数のフレームで構成されており、アラーム情報の受信時刻を起点に最も時系列的に経過したときに記憶されたフレームから、当該起点に近づく順に、起点後に記憶された各フレームを削除する。
【0031】
したがって、比較的重要度が低い(アラーム情報記録時刻より離れた時刻に記憶された)フレームから削除することにより、重要な画像データを記憶部に極力残しつつ、中継装置内の記憶部の容量を確保することができる。
【0032】
また、本発明に係る請求項8に記載の監視システムでは、中継装置は、撮像装置からマスタ装置に送信される画像データのビットレートを、所定のグループに属する各撮像装置毎にビットレートのモニターをしており、画像データをキャッシュ記憶するキャッシュ記憶部を、さらに備えており、マスタ装置との通信が不通でない場合には、中継装置は、ビットレートのモニターの結果、所定のビットレート以上の画像データをマスタ装置に送信し、所定のビットレートより小さい画像データをキャッシュ記憶部にキャッシュ記憶する。
【0033】
したがって、キャッシュ記憶が開始される前後を比較すると、中継装置とマスタ装置との間(バックボーン)の帯域は、キャッシュ記憶開始後の方が削減させることができる。換言すると、バックボーンのトラフィックを最適化させることができる。よって、バックボーンにおいて輻輳が発生することを抑制でき、バックボーンのダウンが起こることを抑制できる。これにより、当該バックボーンのダウンに起因した画像データの喪失を未然に防ぐことが可能となる。
【0034】
また、本発明に係る請求項9に記載の監視システムでは、キャッシュ記憶部の空き容量が、所定の基準値以下となった場合には、中継装置は、所定のビットレート以上の画像データのビットレートを、ビットレートが低下する方向に変換させ、当該変換後の画像データをマスタ装置に送信すると共に、キャッシュ記憶していた画像データをマスタ装置に送信する。
【0035】
したがって、中継装置が画像データのキャッシュを行うキャッシュ記憶部を備えていたとしても、当該キャッシュ記憶部のオーバーフローを事前に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下、この発明をその実施の形態を示す図面に基づいて具体的に説明する。
【0037】
<実施の形態1>
図1は、本実施の形態に係る監視システム100の構成を示す図である。監視システム100は、複数の監視カメラ(撮像装置と把握できる)1と、中継装置10と、マスタ装置20とから構成されている。
【0038】
監視カメラ1は、静止画または動画の撮像を行うことができる。監視カメラ1は、撮像した画像情報をデジタル化し、MPEG(Moving Picture Experts Group)4やJPEG(Joint Photographic Cording Experts Group)等の規格に基づいて、当該デジタル化した情報を圧縮する。そして、監視カメラ1は、当該圧縮したデータを画像データとして、ネットワークを経由して、マスタ装置20に向けて送信する。
【0039】
また、監視カメラ1には、異常を感知した場合に、当該異常を通知するアラーム情報を送信することができる。当該アラーム情報には、異常を感知した時刻情報が含まれている。ここで言う「異常」とは、人の出入りが制限されている場所への人の侵入や、窓や扉なので開閉動作などである。たとえば、監視カメラ1に所定のセンサーが設置されており、当該センサーが異常を感知すると、監視カメラ1は上記アラーム情報をマスタ装置に向けて送信する。また、監視カメラ1が撮像した画像に動き・変化が生じた場合に、監視カメラ1自身が異常を感知、上記アラーム情報をマスタ装置に向けて送信する。
【0040】
また、各監視カメラ1は、少なくとも2以上のグループにグループ分けされている。図1に示す構成では、各監視カメラ1は、グループG1,G2,G3にグループ分けされている。
【0041】
マスタ装置20は、監視システム100の中枢部分であり、各監視カメラ1が送信される画像データおよびアラーム情報を受信し、これらを管理している。当該マスタ装置20において、当該画像データをライブで確認することもでき、また保存された画像データの再生を行うこともできる。また、マスタ装置20は、各監視カメラ1の設定情報も管理している。
【0042】
中継装置10は、監視カメラ1とマスタ装置20との間に配設されており、各監視カメラ1とマスタ装置20との間における通信状況をモニターすることができる。当該中継装置10は、各グループG1〜G3に、1台づつ配設されている。なお、図1の構成とは異なるが、全てのグループG1〜G3に中継装置10を配置する必要はなく、システムの設計に応じて、画像データの喪失を防止することが必須のグループにのみ配設されていれば良い。
【0043】
また、中継装置10がマスタ装置20との通信が不通であると判断した場合には、これまで、透過であった監視カメラ1−マスタ装置20間の通信を、各グループG1〜G3毎に中継装置10が管理する。つまり、中継装置10がマスタ装置20との通信が不通であると判断した場合には、各中継装置10は、自機が属するグループG1〜G3のサーバとして代替機能する。
【0044】
中継装置10は、記憶部を備えている。中継装置10がマスタ装置20との通信が不通であると判断した場合には、当該中継装置10は、自機が属するグループG1〜G3に配設されている各監視カメラ1から送信される画像データを、上記記憶部に記憶する。また、中継装置10は、自機に属する各監視カメラ1毎に、監視カメラ1からマスタ装置20に向けて送信される各データ(たとえば、画像データのビットレート等)をモニターしている。そして、中継装置10は、当該モニター結果に応じた統計情報を作成し、これを保持している。
【0045】
次に、図2を用いて、中継装置10がマスタ装置20との通信が不通であることを検知する動作について説明する。
【0046】
図2に示すように、中継装置10は、マスタ装置20に向けて「Keep alive」信号を定期的に送信している。マスタ装置20が当該「Keep alive」信号を正常に受信した場合には、その旨を中継装置10に通知するため、マスタ装置20は、「ACK:Keep alive」信号を中継装置10に送信する。ここで、本明細書では、当該「Keep alive」信号および「ACK:Keep alive」信号の送受信が正常に実施されている状態を、システムの「正常状態」と称する。
【0047】
図3に示すように、監視システム100のバックボーンで通信ダウンが生じたとする。すると、中継装置10は、所定の時間内にマスタ装置20からの「ACK:Keep alive」信号を受信できなくなる(図2参照)。この場合、中継装置10は、サーバとしての機能を開始し始める。この時点において、図2に示すように、監視システム100は「通常状態」から「緊急状態」へと移行する。
【0048】
具体的に、図2に示すように、中継装置10は、自機が配設されているグループG1〜G3に属する各監視カメラ1に、「生存確認要求」信号を送信する。当該「生存確認要求」信号は、中継装置10下に存する各監視カメラ1の接続の有無または電源のオン・オフを確認すための信号である。監視カメラ1がネットワークに接続されており、電源ON状態で正常に起動している監視カメラ1においては、当該「生存確認要求」信号を受信したとする。すると、監視カメラ1は、当該「生存確認要求」信号の送信元である中継装置10に向けて、「生存通知」信号を送信する(図2参照)。
【0049】
中継装置10は、当該「生存通知」信号を受信し、自機に接続される監視カメラ1の生存状況を確認する。その後、図2に示すように、中継装置10は、「送信先変更要求」信号を、生存を確認した各監視カメラ1に向けて送信する。当該「送信先変更要求」信号は、監視システム100の「正常状態」時の設定の待避、画像データやアラーム情報の送信先の中継装置10への変更、画像データの圧縮パラメータの変更等を、各生存が確認された監視カメラ1に対して、指示する信号である。
【0050】
当該「送信先変更要求」信号を受信した監視カメラ1は、当該「送信先変更要求」信号に従って自機の設定を変更する。当該設定の変更後、監視カメラ1は、当該設定変更を通知する「ACK:送信先変更」信号を、「送信先変更要求」信号の送信先である中継装置10に向けて送信する(図2参照)。その後、中継装置10は、各監視カメラ1から送信される画像データおよびアラーム情報を、自機内で記憶する処理を開始する旨を知らせる「録画開始」信号を、監視カメラ1に対して通知する(図2参照)。
【0051】
その後、当該「録画開始信号」を受信した監視カメラ1は、撮像した画像データ等を中継装置10に対して送信する(図2の「画像データ等の送信」参照)。そして、当該画像データ等を受信した中継装置10では、当該画像データ等を自機内に配設された記憶部において記憶する。
【0052】
ここで、図2に示すように、中継装置10は、上記監視システム100の「緊急状態」の期間においても、マスタ装置20に対して「Keep alive」信号を送信し続けている。
【0053】
さて、バックボーンでの通信ダウンが解消したとする。当該場合には、マスタ装置20は、上記「Keep alive」信号を再度正常に受信することができる。したがって、マスタ装置20は、「ACK:Keep alive」信号の中継装置10への返送を再度開始する(図2参照)。中継装置10における当該「ACK:Keep alive」信号の再受信に伴い、図2に示すように、監視システム100は、「緊急状態」から「通常状態」へと戻る。
【0054】
中継装置10が上記「ACK:Keep alive」信号を再び受信すると、当該中継装置10は、各監視カメラ1に対して「送信先復帰要求」信号を送信する(図2参照)。当該「送信先復帰要求」信号は、上記において待避させておいた設定の復帰を指示する信号である。監視カメラ1は、「送信先復帰要求」信号を受信し、当該「送信先復帰要求」信号に従って、監視システム100の「正常状態」時の設定に戻す。その後、図2に示すように、監視カメラ1は、設定の変更が終了した旨を通知する「ACK:送信先復帰」信号を、中継装置10に向けて送信する。
【0055】
当該「ACK:送信先復帰」信号を中継装置10が受信すると、画像データおよびアラーム情報等の記憶を終了する。つまり、画像データおよびアラーム情報は、中継装置10を透過することになり、マスタ装置20において再び記憶される。また、監視システム100の「緊急状態」の期間に中継装置10において記憶された画像データ等は、当該監視システム100の「通常状態」の復帰後、中継装置10からマスタ装置20へ送信される。
【0056】
なお、監視システム100が「通常状態」である場合においても、中継装置10は、上記の通り、監視カメラ1とマスタ装置20との間におけるデータの送受信をモニターしている。そして、中継装置10は、当該モニター結果に基づいて、統計情報を作成している。
【0057】
以上のように、本実施の形態に係る監視システム100では、中継装置10がマスタ装置20との通信が不通であると判断した場合には、中継装置10は、サーバとして機能し始める。そして、当該中継装置10が配設されているグループG1〜G3に属する各監視カメラ1からの画像データおよびアラーム情報を、自機内の記憶部において記憶する。
【0058】
したがって、たとえネットワークインフラがダウンしたとしても、監視カメラ1が撮像した画像データの喪失を防止することができる。また、本実施の形態に係る監視システム100は、システムの「緊急状態」に備えた非常回線(バックアップ回線)などを必要としない。つまり、簡易なシステム構成により、上記画像データ等の喪失を防止することができる監視システム100を提供することができる。
【0059】
なお、マスタ装置20のメンテナンスの際にも、上記と同様な動作が可能となる(図2)。この場合、メンテナンス開始後に、中継装置10は「ACK:Keep alive」信号の受信ができなくなり、メンテナンス終了後に、中継装置10は「ACK:Keep alive」信号の再受信が可能となる。したがって、マスタ装置20のメンテナンスを行った場合でも、当該メンテナンス期間中に各監視カメラ1が撮像した画像データやアラーム情報が、喪失することを防止できる。
【0060】
<実施の形態2>
実施の形態1に係る監視システム100において、中継装置10がマスタ装置20との通信が不通であると判断する。すると、当該中継装置10は、監視カメラ1に対して設定の変更を指示した(たとえば、図2の「送信先変更要求」信号等)。本実施の形態では、特に、監視カメラ1から送信される画像データのビットレートの変更を指示する方法について説明する。
【0061】
実施の形態1でも説明したように、監視システム100の「通常状態」の期間、中継装置10は、監視カメラ1とマスタ装置20との間におけるデータの送受信をモニターしている。そして、中継装置10は、当該モニター結果に基づいて、統計情報を作成している。
【0062】
具体的に、図2で示した監視システム100の「通常状態」期間に、中継装置10は、自機が配設されているグループG1〜G3に属する各監視カメラ1に対して、監視カメラ1からマスタ装置20に向けて送信された画像データのビットレートをモニターする。当該モニターの結果に従い、中継装置10は、各監視カメラ1毎に、上記画像データのビットレートの統計情報を作成する。そして、図2で示した監視システム100の「緊急状態」の移行以後において、中継装置10は、当該中継装置10下に存する各監視カメラ1に対して、次の指示を行う。つまり、中継装置10は、当該統計情報に基づいて、当該中継装置10下に存する各監視カメラ1に対して、画像データのビットレートの再設定を指示する。
【0063】
本実施の形態に係る監視システム100の動作を、例示を踏まえて以下において詳細に説明する。なお、以下の説明では、グループG1に着目して話を進めるが、他のグループG2,G3においても同様である。
【0064】
中継装置10が、マスタ装置20との通信が不通であると判断する(つまり、図2で示した「緊急状態」を検出する)。すると、グループG1に配設されている中継装置10は「生存確認要求」信号を送信する。そして、中継装置10は、当該グループG1に配設されている各監視カメラ1から「生存通知」信号を受信する。当該「生存通知」信号により、中継装置10は、グループG1には3台の監視カメラA,B,Cが生存していると確認できたとする。
【0065】
この場合、中継装置10は、各監視カメラA,B,Cの統計情報を導出する。ここで、上記の通り、当該統計情報は、監視システム100の「通常状態」時のモニター結果に応じて作成されたものである。たとえば、統計情報として、当該「緊急状態」移行時直前のモニター結果を採用することができる。当該モニター結果を図4に示す。
【0066】
図4は、中継装置10が1時間毎にモニターした、各監視カメラA,B,Cから送信された画像データのビットレートを示している。たとえば、3:15分に、中継装置10が監視システム100の「緊急状態」を検出したとする。すると、中継装置10は、図4のモニター結果から、当該「緊急状態」移行時直前のモニター結果(図4では3:00のデータ)を、統計情報として採用する。次に、中継装置10は、当該統計情報に基づいて、各監視カメラ毎に重要度を決定する。
【0067】
実施の形態1でも説明したように、画像データがMPEGフレームである場合には、ビットレートが高い程、動き・変化の多い画像であり、重要度が高いと言える。よって、中継装置10は、上記統計情報(図4の3:00のデータ)に基づいて、監視カメラCの重要度が最も高い(重要度:1)と判断する。また、中継装置10は、上記統計情報(図4の3:00のデータ)に基づいて、監視カメラAの重要度が次に高い(重要度:2)と判断し、監視カメラBの重要度が最も低い(重要度:3)と判断する。
【0068】
次に、中継装置10は、上記重要度に応じて、監視カメラA,B,Cから送信される画像データのビットレートの変更を決定する。そして、中継装置10は、当該ビットレートの変更の指示を、各監視カメラA,B,Cに対して指示する。
【0069】
たとえば、中継装置10には、所定のしきい値重要度が予め設定されている。当該しきい値重要度以上の重要度である監視カメラ1に対しては、ビットレートの変更は行わない。これに対して、所定のしきい値重要度より小さい重要度である監視カメラ1に対しては、一律に所定の割合でビットレートを削減する(ビットレートを低下させる方向に、ビットレートを変更する)。つまり、比較的重要度の高い監視カメラ1に対しては、ビットレートの変更を指示せず、比較的重要度の低い監視カメラ1に対しては、所定の割合でビットレートの変更を指示する。
【0070】
図5にビットレートの変更値の一例を示す。図5に示されているように、中継装置10は、重要度1の監視カメラCに対しては、ビットレートの変更指示は行わない。他方、中継装置10は、重要度2以下の監視カメラA,Bに対して、一律に0.5Mbpsだけビットレートを削減する、変更指示を行う(図5)。つまり、図5に示すように、監視カメラAの変更後のビットレートは、1.5Mbpsであり、監視カメラBの変更後のビットレートは、1.0Mbpsである。なお、上記の通り、監視カメラCに対してはビットレートの変更は指示しない(図5)。
【0071】
また、図6に示されているように、中継装置10は、重要度1の監視カメラCに対しては、ビットレートの変更指示は行わず、重要度2以下の監視カメラA,Bに対して、各重要度に応じてビットレートを削減する(ビットレートを低下させる方向に変更する)、変更指示を行っても良い。
【0072】
たとえば、図6の例では、中継装置10は、重要度2の監視カメラAに対しては、0.5Mbpsだけビットレートを削減する指示を行う。他方、中継装置10は、重要度3の監視カメラBに対しては、前記0.5Mbpsより大きな1Mbpsだけビットレートを削減する指示を行う(図6)。つまり、図6に示すように、監視カメラAの変更後のビットレートは、1.5Mbpsであり、監視カメラBの変更後のビットレートは、0.5Mbpsである。なお、上記の通り、監視カメラCに対しては、ビットレートの変更指示は行わない。
【0073】
なお、上記では、統計情報として、監視システム100の「緊急状態」移行時直前のモニター結果を採用した。しかし、次のようなものを統計情報として採用しても良い。
【0074】
たとえば、上記統計情報として、過去のモニター結果から得られる各監視カメラA〜Cの平均ビットレートを採用しても良い。また、各監視カメラ毎に、日中と夜間中とでは撮像される画像の変化が異なる場合がある。当該場合において、夜間中(または日中)に中継装置10が上記「緊急状態」を検出したとする。この場合、中継装置10は、過去のモニター結果から夜間中(または日中)のビットレートデータを読み出し、当該読み出したビットレートの平均値を統計情報として採用することもできる。
【0075】
なお、実施の形態1で説明したように、各監視カメラA〜Cから送信される、ビットレート変更後の画像データは、上記「緊急状態」の期間中、中継装置10内の記憶部へと格納される。
【0076】
以上のように、マスタ装置20との通信が不通である場合には、本実施の形態に係る中継装置10は、ビットレートのモニター結果に基づいて、監視カメラ1から送信される画像データのビットレートの再設定(変更)を行っている。
【0077】
したがって、当該再設定をたとえばビットレートを削減する方向で行えば、変更後のビットレートを有する各画像データが、中継装置10の記憶部に格納される。つまり、当該ビットレートの再設定処理により、中継装置10の記憶部の記憶容量の節約を図ることができる。したがって、「緊急状態」が長期間発生したとしても、各監視カメラ1からの画像データを漏れなく、中継装置10内に記憶させることができる。
【0078】
また、本実施の形態に係る中継装置10は、ビットレートのモニター結果に基づいて、グループG1〜G3毎に、各監視カメラ1に対して重要度を決定している。そして、所定のしきい値重要度より低い重要度である監視カメラ1から送信されてくる画像データのビットレートを低下させる方向に、中継装置10は、ビットレートの再設定(変更)指示を行っている。
【0079】
ここで、画像データのビットレートが大きいほど、撮像された映像の動き・変化が多い。つまり、画像データのビットレートが大きいほど、監視の観点から当該画像データは重要である。よって、中継装置10は、比較的重要度の低い監視カメラ1から送信される画像データのビットレートを低下させる方向にビットレートの再設定を行っているので、重要な画像データの画質の低下を防止しつつ、中継装置10の上記記憶容量の削減を図ることができる。
【0080】
なお、中継装置10が有する画像データを記憶する記憶部の記憶容量が、所定の基準値以下となった場合、中継装置10が、上記ビットレートの再設定処理を実施するようにしても良い。これより、記憶容量が多い時点では、画質を低下させる事無く画像データを記憶部に記憶でき、記憶容量が残り少なくなった時点から、当該記憶部の記憶容量の節約を実施できる。
【0081】
<実施の形態3>
実施の形態1に係る監視システム100において、中継装置10がマスタ装置20との通信が不通であると判断する。すると、中継装置10は、監視カメラ1から送信されくる画像データを記憶する。本実施の形態では、当該記憶された画像データのフレーム間引き処理を行う方法について説明する。なお、以下の説明では、グループG1に着目して話を進めるが、他のグループG2,G3においても同様である。
【0082】
図2の「緊急状態」移行後、たとえばグループG1に配設されている中継装置10が、「生存確認要求」信号を送信する。そして、当該中継装置10が、グループG1に配設されている各監視カメラ1から「生存通知」信号を受信する。当該「生存通知」信号の受信により、中継装置10は、グループG1には4台の監視カメラA,B,C,Dが生存していると確認できたとする。当該場合には、中継装置10の記憶部には、当該4台の監視カメラA〜Dが送信されてきた画像データが記憶される。図7は、中継装置10内の記憶部に記憶された画像データの一部を示す概念図である。ここで、図7の横軸は時間の経過を示す。
【0083】
図7に示すように、中継装置10内の記憶部には、各監視カメラA〜Dに対応して、当該監視カメラA〜Dから送信されてきた各画像データが記憶されている。各画像データは、図7に示すように、複数のフレームFrから構成されている。
【0084】
ここで、時系列的に画像データが記憶部に記憶されているが、その内の一部期間である所定の期間(以下、所定の期間とは、当該一部期間のことである)内に記憶された画像データに着目する。
【0085】
図7に図示されている所定の期間内では、監視カメラAから送信され記憶部に記憶されている画像データのビットレートは、8Mbpsであるとする(図7の最上段参照)。また、監視カメラBから送信され記憶部に記憶されている画像データのビットレートは、4Mbpsであるとする(図7の上から2段目参照)。また、監視カメラCから送信され記憶部に記憶されている画像データのビットレートは、2Mbpsであるとする(図7の上から3段目参照)。さらに、監視カメラDから送信され記憶部に記憶されている画像データのビットレートは、1Mbpsであるとする(図7の最下段参照)。
【0086】
中継装置10は、画像データの記憶がある程度進んだ時点で、次の処理(重要度の決定およびフレーム間引き処理)を実行する。
【0087】
まず、中継装置10は、所定の期間内に記憶された各画像データに着目する。そして、既に記憶されている各監視カメラA〜D毎の画像データのビットレート(所定の期間内におけるビットレート)に基づいて、各監視カメラA〜D毎に重要度を決定する。
【0088】
たとえば、図7に示されているケースでは、監視カメラAから送信された既記憶画像データのビットレートは、8Mbpsで最も高い。したがって、監視カメラAに対する重要度を、最も高く設定する。また、監視カメラBから送信された既記憶画像データのビットレートは、4Mbpsで2番目に高い。したがって、監視カメラBに対する重要度を、2番目に高く設定する。また、監視カメラCから送信された既記憶画像データのビットレートは、2Mbpsで3番目に高い。したがって、監視カメラCに対する重要度を、3番目に高く設定する。さらに、監視カメラDから送信された既記憶画像データのビットレートは、1Mbpsで最も低い。したがって、監視カメラDに対する重要度を、最も低く設定する。
【0089】
画像データがMPEGデータである場合には、撮像対象の動き・変化が大きいものほど画像データのビットレートが高くなる。したがって、当該重要度の設定方法から分かるように、本実施の形態では、動き・変化の多い被写体を撮像している監視カメラ1ほど、重要度が高く設定される。なお、上記の通り、当該重要度は、図7で示した所定の期間内だけを着目した結果である。
【0090】
さて、重要度の設定後、中継装置10は、決定された重要度の低い監視カメラ1から送信された画像データから重要度の高い監視カメラ1から送信された画像データへと順に、既に記憶されている画像データのフレーム間引き処理を行う。
【0091】
つまり、図7の所定期間に着目すると、監視カメラD、監視カメラC、監視カメラB、監視カメラAの順に重要度が上がる。よって、監視カメラDから送信され中継装置10に記憶されている画像データのフレーム間引き処理を実施した後、監視カメラCから送信され中継装置10に記憶されている画像データのフレーム間引き処理を実施する。その後、監視カメラBから送信され中継装置10に記憶されいてる画像データのフレーム間引き処理を実施し、その後、監視カメラAから送信され中継装置10に記憶されている画像データのフレーム間引き処理を実施する。以下、図を用いて詳細に説明する。
【0092】
ここで、当該フレーム間引き処理は、所定の期間内に中継装置10に記憶された画像データ(図7に示されている分)に対して実施される。当該フレーム間引き処理は、予め設定された量だけ間引く。以下の説明では、ビットレートが半分となるフレーム間引き処理が行われるとする。なお、当該間引きされるフレームFrは任意に選択されるが、たとえば画像データの種類等に応じて決定することもできる。
【0093】
さて、図7のケースで、上記重要度が決定されたとする。すると、図8に示すように、監視カメラDから送信された既記憶画像データに対して、フレーム間引き処理が実施される。上記の通り、監視カメラDの重要度は最も低い。図8の最下段に示すように、当該フレーム間引き処理により、中継装置10内の記憶部には、0.5Mbpsの画像データが残存する。次に、2番目に重要度が低いものは、監視カメラCである。したがって、図9に示すように、監視カメラCから送信された既記憶画像データに対して、フレーム間引き処理が実施される。図9の下から2段目に示すように、当該フレーム間引き処理により、中継装置10内の記憶部には、1Mbpsの画像データが残存する。
【0094】
次に、3番目に重要度が低いものは、監視カメラBである。したがって、図10に示すように、監視カメラBから送信された既記憶画像データに対して、フレーム間引き処理が実施される。図10の上から2段目に示すように、当該フレーム間引き処理により、中継装置10内の記憶部には、2Mbpsの画像データが残存する。次に、最も重要度が高いものは、監視カメラAである。したがって、図11に示すように、監視カメラAから送信された既記憶画像データに対して、フレーム間引き処理が実施される。図11の最上段に示すように、当該フレーム間引き処理により、中継装置10内の記憶部には、4Mbpsの画像データが残存する。
【0095】
ここで、所定の期間内に記憶された画像データに対するフレーム間引き処理をさらに続行する場合には、重要度が最も低い監視カメラDから送信された既記憶画像データに対して、当該フレーム間引き処理を再度行う。当該フレーム間引き後の様子を図12に示す。図12に示すように、所定の期間内に記憶された監視カメラDからの画像データは、完全に消去される(所定の期間以外の期間に記憶された監視カメラDからの画像データは、上記記憶部に記憶されている)。
【0096】
フレーム間引き処理をさらに続行する場合には、重要度が2番目に低い監視カメラCから送信された既記憶画像データに対して、当該フレーム間引き処理を再度行う。当該フレーム間引き後の様子を図13に示す。図13に示すように、所定の期間内に記憶された監視カメラCからの画像データは、完全に消去される(所定の期間以外の期間に記憶された監視カメラCからの画像データは、上記記憶部に記憶されている)。
【0097】
フレーム間引き処理をさらに続行する場合には、重要度が3番目に低い監視カメラBから送信された既記憶画像データに対して、当該フレーム間引き処理を再度行う。当該フレーム間引き後の様子を図14に示す。図14に示すように、所定の期間内に記憶された監視カメラBからの画像データは、完全に消去される(所定の期間以外の期間に記憶された監視カメラBからの画像データは、上記記憶部に記憶されている)。
【0098】
フレーム間引き処理をさらに続行する場合には、重要度が最も高い監視カメラAから送信された既記憶画像データに対して、当該フレーム間引き処理を再度行う。当該フレーム間引き後の様子を図15に示す。図15に示すように、所定の期間内に記憶された監視カメラAからの画像データは、完全に消去される(所定の期間以外の期間に記憶された監視カメラAからの画像データは、上記記憶部に記憶されている)。
【0099】
以上のように、本実施の形態では、中継装置10は、既に記憶されている画像データのビットレートに基づいて、重要度を決定している。そして、重要度の低い監視カメラ1から送信された画像データから重要度の高い監視カメラ1から送信された画像データへと順に、中継装置10内において既に記憶されている画像データのフレーム間引き処理を行っている。
【0100】
したがって、動き・変化の多い映像の画像データを中継装置10内に極力残しつつ、中継装置10内の記憶容量を確保することができる。換言すれば、動き・変化の少ない映像の画像データを構成するフレームFrからフレーム間引き処理を行うことにより、重要な画像データを中継装置10内の記憶部に極力残しつつ、当該記憶部の容量を確保することができる。
【0101】
なお、監視システム100の「緊急状態」の期間に、中継装置10において記憶された画像データ(フレーム間引き処理を経て残存している画像データ)は、当該監視システム100の「通常状態」の復帰以後に、マスタ装置20へ送信される。
【0102】
<実施の形態4>
実施の形態1に係る監視システム100において、中継装置10がマスタ装置20との通信が不通であると判断する。すると、中継装置10は、監視カメラ1から送信されくる画像データとアラーム情報を記憶する。本実施の形態では、当該アラーム情報に基づいて、当該記憶された画像データを構成するフレームを削除する処理を行う方法について説明する。
【0103】
なお、以下の説明では、グループG1に着目して話を進めるが、他のグループG2,G3においても同様である。また、実施の形態1でも説明したように、アラーム情報は、監視カメラ1設置側において異常を感知した場合に、当該異常を通知するための情報である。
【0104】
図2の監視システム100の「緊急状態」移行後、たとえばグループG1に配設されている中継装置10が、「生存確認要求」信号を送信する。そして、当該中継装置10が、グループG1に配設されている各監視カメラ1から「生存通知」信号を受信する。当該「生存通知」信号により、中継装置10は、グループG1には4台の監視カメラA,B,C,Dが生存していると確認できたとする。当該場合には、中継装置10の記憶部には、当該4台の監視カメラA〜Dが送信されてきた画像データが記憶される。
【0105】
図16は、ある時点で当該記憶部に記憶されたアラーム情報および、当該アラーム情報記憶以後に記憶された画像データを示す概念図である。ここで、図16の横軸は時間の経過を示す。
【0106】
図16に示すように、中継装置10内の記憶部には、各監視カメラA〜Dに対応して、当該監視カメラA〜Dから送信されてきた各画像データが記憶されている。各画像データは、図16に示すように、複数のフレームFrから構成されている。
【0107】
ここで、時系列的に画像データが記憶部に記憶されているが、図16は、その内のアラーム情報記憶以後に記憶された画像データに着目した図である。図16に示すように、各監視カメラA〜Dから送信された画像データは、夫々所定のビットレートで記憶部に記憶されている。図16の最上段は、監視カメラAから送信された画像データである。図16の上から2段目は、監視カメラBから送信された画像データである。図16の上から3段目は、監視カメラCから送信された画像データである。さらに、図16の最下段は、監視カメラDから送信された画像データである。
【0108】
中継装置10は、アラーム情報が記憶されてから所定の時間経過に、記憶部に記憶された画像データのフレーム削除処理を実行する。ここで、当該所定の時間は、中継装置10に予め設定されている。また、当該フレーム削除処理の対象は、アラーム情報記録以後、所定の時間経過までに中継装置10内の記憶部に記憶された各画像データである。
【0109】
まず、中継装置10は、アラーム情報の記憶を検出する。その後、当該アラーム情報記録以後、所定の時間内に記憶された各画像データに着目する。そして、当該着目した範囲内の各画像データに対して、フレーム削除処理(以下、フレーム間引き処理と称することもある)を開始する。当該フレーム間引き処理は、アラーム情報の受信時刻を起点に最も時系列的に経過されたときに記憶されたフレームFrから、当該起点に近づく順に、上記起点後に記憶された各前記フレームを削除する処理である。
【0110】
たとえば、図16に示すように、上記着目している各画像データにおいて、アラーム情報受信時刻を起点として最も時系列的経過されたときに記憶されたフレームFrは、監視カメラAから送信されたフレームFr1である。したがって、図17に示すように、中継装置10は、当該フレームFr1のフレーム間引き処理を実施する。
【0111】
次に、フレームFr1が間引かれた後の、アラーム情報受信以後の各画像データに着目する。すると、アラーム情報受信時刻を起点として最も(図16に示す状態からは二番目に)時系列的経過されたときに記憶されたフレームFrは、監視カメラA,Bから送信された二つのフレームFr2である(図18)。したがって、図18に示すように、中継装置10は、当該二つのフレームFr2のフレーム間引き処理を実施する。
【0112】
次に、各フレームFr2が間引かれた後の、アラーム情報受信以後の各画像データに着目する。すると、アラーム情報受信時刻を起点として最も(図16に示す状態からは三番目に)時系列的経過されたときに記憶されたフレームFrは、監視カメラAから送信されたフレームFr3である(図19)。したがって、図19に示すように、中継装置10は、当該フレームFr3のフレーム間引き処理を実施する。
【0113】
次に、各フレームFr3が間引かれた後の、アラーム情報受信以後の各画像データに着目する。すると、アラーム情報受信時刻を起点として最も(図16に示す状態からは四番目に)時系列的経過されたときに記憶されたフレームFrは、監視カメラA,B,Cから送信された三つのフレームFr4である(図20)。したがって、図20に示すように、中継装置10は、当該三つのフレームFr4のフレーム間引き処理を実施する。
【0114】
以後、同様の間引き処理をアラーム受信後に記録された各フレームに対して、繰り返して実施する。
【0115】
ここで、アラーム情報は、監視カメラA〜D側で何かしらの異常が発生したときに送信される。したがって、アラーム情報発信後、当該アラーム情報発信時刻に近い時刻に記憶された画像データ程、映像としての重要度が高くなる。
【0116】
そこで、本実施の形態に係る監視システム100では、中継装置10は、アラーム情報の受信時刻を起点に最も時系列的に経過されたときに記憶されたフレームFrから、当該起点に近づく順に、起点後に記憶された各前記フレームを削除する(フレーム間引きを行っている)。
【0117】
したがって、比較的重要度が低い(アラーム情報記録時刻より離れた時刻に記憶された)フレームから削除することにより、重要な画像データを中継装置10内に極力残しつつ、当該中継装置10内の記憶部の記憶容量を確保することができる。
【0118】
なお、監視システム100の「緊急状態」の期間に、中継装置10において記憶された画像データ(フレーム間引き処理を経て残存している画像データ)は、当該監視システム00の「通常状態」の復帰後にマスタ装置20へ送信される。
【0119】
<実施の形態5>
本実施の形態に係る監視システム100は、実施の形態1〜4に記載の監視システム100を土台としており、「通常状態」期間(図2参照)におけるバックボーンの回線ダウンを抑制することを目的とする。
【0120】
そこで、当該「通常状態」期間には、本実施の形態に係る中継装置10は、キャッシュアルゴリズムを実装したキャッシュサーバとしての機能も有する。つまり、当該中継装置10は、「通常状態」期間中に、自機が配設されたグループG1〜G3に属する各監視カメラ1から送信される画像データのキャッシュを行う。中継装置10はキャッシュ記憶部を備えており、当該キャッシュ記憶部に画像データがキャッシュ記憶される。
【0121】
図2で示した監視システム100の「通常状態」期間に、中継装置10は、自機が配設されているグループG1〜G3に属する各監視カメラ1に対して、監視カメラ1からマスタ装置20に向けて送信された画像データのビットレートをモニターする。当該モニターを行っている中、中継装置10−マスタ装置20間の回線帯域が、予め設定された所定の値を超えたとする(帯域オーバ検出時と称する)。すると、中継装置10は、当該モニター結果に従い、自機下に接続されている各監視カメラ1毎に、上記画像データのビットレートの統計情報を作成する。
【0122】
そして、中継装置10は、当該統計情報を参照し、所定のビットレート以上の画像データをマスタ装置20に送信する。つまり、所定のビットレート以上の画像データは、キャッシュ記憶せず、中継装置10を透過し、マスタ装置20へ送信される。これに対して、中継装置10は、当該所定のビットレートより小さい画像データを、自機のキャッシュ記憶部にキャッシュ記憶する。ここで、当該所定のビットレートは、予め中継装置10に設定される。
【0123】
上記から分かるように、上記帯域オーバ検出後には、本実施の形態に係る中継装置10では、監視カメラ1から送信される比較的ビットレートの高い画像データは、優先的にマスタ装置20へ送信される。そして、監視カメラ1から送信される比較的ビットレートの低い画像データは、中継装置10内に一時的にキャッシュ記憶される。
【0124】
本実施の形態に係る監視システムの動作を、例示を踏まえて詳細に説明する。なお、以下の説明では、グループG1に着目して話を進めるが、他のグループG2,G3においても同様である。
【0125】
グループG1に配設されている中継装置10は、中継装置10−マスタ装置20間の回線における帯域が、予め設定されている所定の値を超えたことを検出する(帯域オーバ検出)。すると、当該中継装置10は、当該帯域オーバ検出時において当該中継装置10に接続されている各監視カメラ1の確認を行う。中継装置10は、グループG1に属する監視カメラ1の内、当該中継装置10には3台の監視カメラA,B,Cが接続していると確認できたとする(図21)。
【0126】
ここで、図21において、中継装置10とマスタ装置20との間の回線帯域幅は、10Mbpsであり、各監視カメラ1と中継装置10との間の回線帯域幅は、20Mbpsであると仮定する。また、上記予め設定されている所定の値は、6Mbpsであると仮定する。
【0127】
この場合、中継装置10は、各監視カメラA,B,Cの統計情報を読み取る。ここで、上記の通り、当該統計情報は、監視システム100の「通常状態」時のモニター結果に応じて作成される。たとえば、統計情報として、当該帯域オーバ検出時直前のモニター結果を採用することができる。当該モニター結果を図22に例示する。
【0128】
図22は、中継装置10が1時間毎にモニターした、各監視カメラA,B,Cから送信された画像データのビットレートを示している。たとえば、19:20分に、中継装置10が、マスタ装置20と中継装置10との間の帯域が予め設定された6Mbpsを超えたことを検出(帯域オーバ検出)したとする(図22の19:20分時点における合計帯域は7Mbpsである)。
【0129】
すると、中継装置10は、図22のモニター結果から、当該帯域オーバ検出時直前のモニター結果(図22では19:00のデータ)を、統計情報として採用する。次に、中継装置10は、当該統計情報と、予め設定されている所定のビットレートとを比較する。ここで、当該所定のビットレートは、2.0Mbpsであると仮定する。当該比較の結果、所定のビットレート以上の画像データは、キャッシュ記憶せず、中継装置10を透過し、マスタ装置20へ優先的に送信される。これに対して、中継装置10は、当該所定のビットレートより小さい画像データを、自機のキャッシュ記憶部に一時的にキャッシュ記憶する。
【0130】
図22に示す統計情報の場合には、監視カメラAのビットレートは2.5Mbpsであり、監視カメラCのビットレートは3.0Mbpsである。前記両ビットレートは、所定のビットレート(2.0Mbps)より大きい。したがって、図23に示すように、帯域オーバ検出後においても、監視カメラA,Cから送信された画像データは、中継装置10を透過し、マスタ装置20へと送信される。
【0131】
これに対して、図22に示す統計情報の場合には、監視カメラBのビットレートは1.5Mbpsである。当該ビットレートは、所定のビットレート(2.0Mbps)より小さい。したがって、図23に示すように、帯域オーバ検出後には、監視カメラBから送信された画像データは、中継装置10が備えるキャッシュ記憶部10aに一時的に記憶される。
【0132】
ここで、実施の形態1でも説明したように、画像データがMPEGフレームである場合には、ビットレートが高い程、動き・変化の多い画像であり、監視の観点から重要度が高いと言える。したがって、本実施の形態に係る監視システム100では、帯域オーバ検出後、重要度の高い画像データを程、優先的にマスタ装置20へ送信され、重要度の低い画像データ程、キャッシュ記憶部10aに格納される。
【0133】
なお、上記では、統計情報として、帯域オーバ検出時直前のモニター結果を採用した。しかし、次のようなものを統計情報として採用しても良い。
【0134】
たとえば、上記統計情報として、過去のモニター結果から得られる各監視カメラA〜Cの平均ビットレートを採用しても良い。また、各監視カメラ毎に、日中と夜間中とでは撮像される画像の変化が異なる場合がある。当該場合において、夜間中(または日中)に中継装置10が上記帯域オーバを検出したとする。この場合、中継装置10は、過去のモニター結果から夜間中(または日中)のビットレートデータを読み出し、当該読み出したビットレートの平均値を統計情報として採用することもできる。
【0135】
なお、マスタ装置20−中継装置10間の帯域が、上記所定の値(6Mbps)を十分下回ったとする。この場合、中継装置10は、上記画像データのキャッシュ記憶を中止しする。そして、図21で示したように、各監視カメラA〜Cから送信されてくる画像データを、自機で透過させ、マスタ装置20へと送信する。さらに、中継装置10は、マスタ装置20−中継装置10間の帯域が十分確保されている期間に、キャッシュ記憶部10aに格納された画像データをマスタ装置20へ送信する。
【0136】
以上のように、本実施の形態に係る監視システム100では、中継装置10は、所定のビットレート以上の画像データをマスタ装置20に送信し、所定のビットレートより小さい画像データをキャッシュ記憶部10aにキャッシュ記憶している。
【0137】
したがって、キャッシュ記憶が開始される前後を比較すると、中継装置10とマスタ装置20との間(バックボーン)の帯域は、キャッシュ記憶開始後の方が削減させることができる。換言すると、本実施の形態に係る監視システム100を採用することにより、バックボーンのトラフィックを最適化させることができる。よって、バックボーンにおいて輻輳が発生することを良くでき、バックボーンのダウンが起こることを抑制できる。これにより、当該バックボーンのダウンに起因した画像データの喪失を未然に防ぐことが可能となる。
【0138】
なお、マスタ装置20と中継装置10との間において、画像データを正常に受信したか否か確認するためのACK/NACKパケット等の送受信が行われているとする。図23の構成の場合では、マスタ装置20と中継装置10との間においる、監視カメラBから送信される画像データの上記ACK/NACKパケット等の送受信が、不要となる。したがって、バックボーンにおける上記ACK/NACKパケット等の総送受信量の削減も図ることができる。
【0139】
また、上記のように本実施の形態では、画像データのビットレートが低い程、キャッシュ記憶を優先させている。したがって、ビットレートの高い画像データを優先的にキャッシュ記憶させる場合よりも、本実施の形態の方が、キャッシュ記憶部10aの容量を節約することができる。
【0140】
<実施の形態6>
本実施の形態に係る監視システム100は、実施の形態5に記載の監視システム100を土台としており、画像データが記憶されるキャッシュ記憶部10aの空き容量を確保することを目的とする。
【0141】
本実施の形態に係る監視システム100では、キャッシュ記憶部10aのオーバーフローを防止するために、中継装置10が有するキャッシュ記憶部10aの空き容量が、所定の基準値以下となった場合には、当該中継装置10は次の処理を行う。ここで、上記所定の基準値は、予め中継装置10に設定されている。
【0142】
実施の形態5で言及したように、所定のビットレート以上の画像データ(送信画像データと称する)は、キャッシュ記憶を行わず、中継装置10を透過し、マスタ装置20へ送信される。これに対して、所定のビットレートより小さい画像データ(キャッシュ画像データと称する)は、中継装置10内のキャッシュ記憶部10aに一時的にキャッシュ記憶される。
【0143】
キャッシュ記憶部10aの空き容量が所定の基準値以下となったとき、本実施の形態に係る中継装置10は、上記送信画像データのビットレートを低下させる方向に、ビットレートを変換する。そして、中継装置10は、当該ビットレート変換後の送信画像データをマスタ装置20に対して送信する。こここ、中継装置10がビットレートを変換することにより、中継装置10−マスタ装置20間において帯域の空きが生じる。中継装置10は、当該帯域の空きを利用して、キャッシュ記憶部10aに記憶していたキャッシュ画像データを、マスタ装置20に対して送信する。
【0144】
ここで、上記ビットレートの変換とは、送信画像データが映像データであることを活かした、ストリームデータの再圧縮処理のことである。
【0145】
上記中継装置10の動作を簡単な例を踏まえて説明する。図24は、送信画像データのビットレートの変換前の様子を示す図である。また、図25は、送信画像データのビットレート変換の様子およびキャッシュ記憶部10aからキャッシュ画像データが送信される様子を示す図である。なお、図24,25において、監視カメラ1−中継装置10間の回線帯域幅は、10Mbpsであるとする。また、中継装置10−マスタ装置20間の回線帯域幅は、5Mbpsであるとする。
【0146】
図24に示すように、監視カメラAから送信された送信画像データのビットレートは、4Mbpsである。当該送信画像データは、中継装置10を透過し、同じ4Mbpsのビットレートでマスタ装置20へ送信される。他方、監視カメラBから送信されたキャッシュ画像データのビットレートは、1Mbpsである。当該キャッシュ画像データは、中継装置10内に配設されているキャッシュ記憶部10aにおいて、一時的にキャッシュ記憶される。
【0147】
さて、中継装置10は、任意のタイミングで、キャッシュ記憶部10aの現在の空き容量と、当該中継装置10に予め設定されている所定の基準値とを比較する。当該中継装置10による比較処理は、たとえば予め設定された所定の周期で行っても良い。また、中継装置10が常に当該比較処理を行うように、当該中継装置10を構成しても良い。当該比較の結果、中継装置10が、キャッシュ記憶部10aの空き容量が所定の基準値以下となったことを検出したとする。
【0148】
当該場合には、図25に示すように、監視カメラAから送信された送信画像データに対して、中継装置10内に配設されたビットレート変換部10bは、ビットレート変換処理(データの再圧縮)を実施する。図25に示す例では、ビットレート変換部10bは、送信画像データのビットレートを、4Mbpsから2Mbpsに変換している。さらに、ビットレート変換部10bは、当該ビットレート変換後の送信画像データ(2Mbps)を、マスタ装置20に向けて送信する。
【0149】
ここで、ビットレート変換部10bにおけるビットレートの変換率は、予め中継装置10に設定されている。なお一般的に、ビットレートを低下させると、再生画像の画質は低下する。したがって、上記ビットレートの変換率は、変換後の再生画像の画質を考慮して決定することが望ましい。
【0150】
他方、上記ビットレートの変換により生じた、マスタ装置20と中継装置10との間における空き帯域を利用して、中継装置10は図25に示す動作を行う。つまり、中継装置10(キャッシュ記憶部10a)は、キャッシュ記憶部10aに記憶されていたキャッシュ画像データを、1Mpsのビットレートにてマスタ装置20へ送信する。
【0151】
上記ビットレートの変換処理およびキャッシュ記憶部10aからのキャッシュ画像データの送信処理は、キャッシュ記憶部10aの記憶容量が予め設定された所定の値まで回復するまで実施される。なお、図25に示すように、当該記憶容量が回復するまでの間、監視カメラBから送信される画像データ(1Mbps)は、中継装置10を透過し、マスタ装置20へ送信される。
【0152】
以上のように、本実施の形態に係る監視システム100では、キャッシュ記憶部10aの空き容量が所定の基準値以下となった場合には、中継装置10は、上記送信画像データのビットレートを低下させる方向で変換し、当該変換後の前記画像データをマスタ装置20に送信する。さらに、中継装置10は、キャッシュ記憶していたキャッシュ画像データをマスタ装置20に送信する。
【0153】
したがって、中継装置10が画像データのキャッシュを行うキャッシュ記憶部10aを備えていたとしても、当該キャッシュ記憶部10aのオーバーフローを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0154】
【図1】本発明に係る監視システムの構成を示す図である。
【図2】実施の形態1に係る監視システムの動作を説明するための図である。
【図3】バックボーンがダウンする様子を示す図である。
【図4】実施の形態2に係る中継装置のモニター結果の一部、および重要度を示す図である。
【図5】重要度に基づいて、画像データのビットレートを変更した一例を示す図である。
【図6】重要度に基づいて、画像データのビットレートを変更した他のを示す図である。
【図7】実施の形態3に係る中継装置が備える記憶部に記憶されるデータの様子を示す図である。
【図8】実施の形態3に係る中継装置におけるフレーム間引き処理を説明するための図である。
【図9】実施の形態3に係る中継装置におけるフレーム間引き処理を説明するための図である。
【図10】実施の形態3に係る中継装置におけるフレーム間引き処理を説明するための図である。
【図11】実施の形態3に係る中継装置におけるフレーム間引き処理を説明するための図である。
【図12】実施の形態3に係る中継装置におけるフレーム間引き処理を説明するための図である。
【図13】実施の形態3に係る中継装置におけるフレーム間引き処理を説明するための図である。
【図14】実施の形態3に係る中継装置におけるフレーム間引き処理を説明するための図である。
【図15】実施の形態3に係る中継装置におけるフレーム間引き処理を説明するための図である。
【図16】実施の形態4に係る中継装置が備える記憶部に記憶されるデータの様子を示す図である。
【図17】実施の形態4に係る中継装置におけるフレーム間引き処理を説明するための図である。
【図18】実施の形態4に係る中継装置におけるフレーム間引き処理を説明するための図である。
【図19】実施の形態4に係る中継装置におけるフレーム間引き処理を説明するための図である。
【図20】実施の形態4に係る中継装置におけるフレーム間引き処理を説明するための図である。
【図21】実施の形態5に係る中継装置がキャッシュ記憶を開始する前の様子を示す図である。
【図22】帯域オーバ検出を説明するための図である。
【図23】実施の形態5に係る中継装置がキャッシュ記憶を開始した後の様子を示す図である。
【図24】実施の形態6に係る中継装置がビットレート変換を開始する前の様子を示す図である。
【図25】実施の形態6に係る中継装置のビットレート変換の様子および、キャッシュ記憶部からの画像データの送信の様子を示す図である。
【符号の説明】
【0155】
1 画像データ
10 中継装置
10a キャッシュ記憶部
10b ビットレート変換部
20 マスタ装置
100 監視システム
G1,G2,G3 グループ
Fr フレーム
【技術分野】
【0001】
この発明は、防犯や防災の目的で使用することができる監視システムに係る発明であり、特に、撮像装置で撮像した画像を記録・管理することができる監視システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
監視システムのデジタル化、ネットワーク化が進みつつあり、その利便性に対する市場の要望は日々大きくなっている。防犯や防災の目的で使用される当該ネットワーク化された監視システムは、複数の監視カメラ(撮像装置)と、当該監視カメラとネットワークを介して接続された1台のマスタ装置とから構成されている。
【0003】
当該監視システムでは、対象となる施設・場所の各々に監視カメラが設置されており、当該監視カメラから離れた場所にはマスタ装置が設置されている。上記の通り、マスタ装置と各監視カメラとはネットワーク経由で接続されており、当該マスタ装置には、監視カメラから送信された画像データを記録・管理することができる。なお、既知の監視システム技術として、たとえば特許文献1が存在する。
【0004】
【特許文献1】特開2004−128623号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
監視カメラとマスタ装置とから成る監視システムにおいて、たとえばネットワークインフラがダウンした場合には、各監視カメラが撮像した画像データがマスタ装置に送信・保存されなくなる。つまり、ネットワークのダウン期間中、上記画像データが喪失してしまう。
【0006】
また、マスタ装置のメンテナンスを行う場合にも、各監視カメラが撮像した画像データが当該マスタ装置に送信・保存されなくなる。つまり、当該メンテナンス期間中においても、上記画像データが喪失してしまう。
【0007】
また、ネットワークにおける帯域変動は、流動的に変動するため予測が困難である。また、監視システムの稼働率は、周囲環境の変化や自然災害の外因に大きく影響するので、当該稼働率の変化を予測することも困難である。また、監視カメラから送信される画像データはデータ量が膨大であるため、監視カメラの接続台数が増加すると、バックボーンがボトルネックになる。よって、上記予測が困難な帯域変動と稼働率の変化に起因して、当該監視システムのバックボーンにおいて輻輳が発生することが多々ある。このように輻輳が発生すると、バックボーンのダウンが起こる。この場合においても画像データの喪失が発生してしまう。
【0008】
そこで、たとえネットワークインフラがダウンした場合やマスタ装置のメンテナンスを行った場合でも、撮像装置が撮像した画像データの喪失を防止できる監視システムを提供することを目的とする。さらに、バックボーンのダウンを抑制することができる監視システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明に係る請求項1に記載の監視システムは、画像の撮像を行う複数の撮像装置と、前記撮像装置が撮像した画像データを受信し、前記画像データを管理するマスタ装置と、前記撮像装置と前記マスタ装置との間に配設されており、前記撮像装置と前記マスタ装置との間における通信状況をモニターすることができる中継装置とを、備えており、前記モニターの結果、前記中継装置が、前記マスタ装置との通信が不通であると判断した場合には、前記中継装置は、前記撮像装置の前記画像データを記憶する。
【0010】
また、本発明に係る請求項2に記載の監視システムは、請求項1に記載の監視システムであって、各前記撮像装置は、少なくとも2以上のグループにグループ分けされており、前記中継装置は、少なくとも所定の前記グループに配設されており、前記中継装置は、前記所定のグループに属する前記撮像装置の前記画像データを記憶する。
【0011】
また、本発明に係る請求項3に記載の監視システムは、請求項2に記載の監視システムであって、前記中継装置は、前記撮像装置から前記マスタ装置に送信される前記画像データのビットレートを、前記所定のグループに属する各前記撮像装置毎にモニターする、ビットレートのモニターを行っており、前記マスタ装置との通信が不通である場合には、前記中継装置は、前記ビットレートのモニター結果に基づいて、前記所定のグループに属する前記撮像装置から送信される前記画像データのビットレートの再設定を行う。
【0012】
また、本発明に係る請求項4に記載の監視システムは、請求項3に記載の監視システムであって、前記中継装置は、前記ビットレートのモニター結果に基づいて、前記所定のグループに属する前記撮像装置に対して重要度を決定し、所定のしきい値重要度より低い重要度である前記撮像装置から送信されてくる画像データのビットレートを低下させる方向に、前記ビットレートの再設定を行う。
【0013】
また、本発明に係る請求項5に記載の監視システムは、請求項3または請求項4に記載の監視システムであって、前記中継装置が有する前記画像データの記憶容量が、所定の基準値以下となった場合には、前記中継装置は、前記ビットレートの再設定処理を実施する。
【0014】
また、本発明に係る請求項6に記載の監視システムは、請求項2に記載の監視システムであって、前記画像データは、複数のフレームで構成されており、前記中継装置は、既に記憶されている各前記撮像装置毎の前記画像データのビットレートに基づいて、前記各撮像装置毎に重要度を決定し、前記重要度の低い前記撮像装置から送信された前記画像データから前記重要度の高い前記撮像装置から送信された前記画像データへと順に、既に記憶されている前記画像データのフレーム間引き処理を行う。
【0015】
また、本発明に係る請求項7に記載の監視システムは、請求項2に記載の監視システムであって、前記撮像装置は、異常を感知した場合に、当該異常を通知するアラーム情報を送信することができ、前記画像データは、複数のフレームで構成されており、前記中継装置は、前記アラーム情報の受信時刻を起点に最も時系列的に経過したときに記憶された前記フレームから、当該起点に近づく順に、前記起点後に記憶された各前記フレームを削除する。
【0016】
また、本発明に係る請求項8に記載の監視システムは、請求項2に記載の監視システムであって、前記中継装置は、前記撮像装置から前記マスタ装置に送信される前記画像データのビットレートを、前記所定のグループに属する各前記撮像装置毎にモニターする、ビットレートのモニターを行っており、前記画像データをキャッシュ記憶するキャッシュ記憶部を、さらに備えており、前記マスタ装置との通信が不通でない場合には、前記中継装置は、前記ビットレートのモニターの結果、所定のビットレート以上の前記画像データを前記マスタ装置に送信し、前記所定のビットレートより小さい前記画像データを前記キャッシュ記憶部にキャッシュ記憶する。
【0017】
また、本発明に係る請求項9に記載の監視システムは、請求項8に記載の監視システムであって、前記キャッシュ記憶部の空き容量が、所定の基準値以下となった場合には、前記中継装置は、前記所定のビットレート以上の前記画像データのビットレートを、ビットレートが低下する方向に変換させ、当該変換後の前記画像データを前記マスタ装置に送信すると共に、前記キャッシュ記憶していた前記画像データを前記マスタ装置に送信する。
【発明の効果】
【0018】
本発明の請求項1に記載の監視システムは、画像の撮像を行う複数の撮像装置と、撮像装置が撮像した画像データを受信し、画像データを管理するマスタ装置と、撮像装置とマスタ装置との間に配設されており、撮像装置とマスタ装置との間における通信状況をモニターすることができる中継装置とを、備えており、モニターの結果、中継装置が、マスタ装置との通信が不通であると判断した場合には、中継装置は、撮像装置の画像データを記憶する。
【0019】
したがって、たとえネットワークインフラがダウンしたとしても、撮像装置が撮像した画像データの喪失を防止することができる。また、非常回線(バックアップ回線)などを必要としない。つまり、簡易なシステム構成により、上記画像データ等の喪失を防止することができる。また、マスタ装置のメンテナンス作業によりマスタ装置との通信が不通になった場合でも、撮像装置が撮像した画像データの喪失を防止できる。
【0020】
また、本発明に係る請求項2に記載の監視システムでは、各撮像装置は、少なくとも2以上のグループにグループ分けされており、中継装置は、少なくとも所定の前記グループに配設されており、モニターの結果、中継装置が、マスタ装置との通信が不通であると判断した場合には、中継装置は、所定のグループに属する撮像装置の画像データを記憶する。
【0021】
したがって、大規模な監視システムに対しても請求項1に記載した効果を有する監視システムを適用することができる。
【0022】
また、本発明に係る請求項3に記載の監視システムでは、中継装置は、撮像装置からマスタ装置に送信される画像データのビットレートを、所定のグループに属する各撮像装置毎にモニターする、ビットレートのモニターを行っており、マスタ装置との通信が不通である場合には、中継装置は、ビットレートのモニター結果に基づいて、所定のグループに属する撮像装置から送信される画像データのビットレートの再設定を行う。
【0023】
したがって、当該再設定をたとえばビットレートが低下する方向で行えば、変更後のビットレートを有する各画像データを中継装置に記憶させたとしても、記憶容量の節約を図ることができる。
【0024】
また、本発明に係る請求項4に記載の監視システムでは、中継装置は、ビットレートのモニター結果に基づいて、所定のグループに属する撮像装置に対して重要度を決定し、所定のしきい値重要度より低い重要度である撮像装置から送信されてくる画像データのビットレートを低下させる方向に、ビットレートの再設定を行う。
【0025】
したがって、重要な画像データのビットレート変更させることなく、中継装置の記憶容量の節約を図ることができる。
【0026】
また、本発明に係る請求項5に記載の監視システムは、中継装置が有する画像データの記憶容量が、所定の基準値以下となった場合には、中継装置は、ビットレートの再設定処理を実施する。
【0027】
したがって、中継装置の記憶容量が多い時点では、画質の低下を行わず画像データを中継装置に記憶でき、記憶容量が残り少なくなった時点から、記憶容量の節約を実施できる。
【0028】
また、本発明に係る請求項6に記載の監視システムでは、画像データは、複数のフレームで構成されており、中継装置は、既に記憶されている各撮像装置毎の画像データのビットレートに基づいて、各撮像装置毎に重要度を決定し、重要度の低い撮像装置から送信された画像データから重要度の高い撮像装置から送信された画像データへと順に、既に記憶されている画像データのフレーム間引き処理を行う。
【0029】
したがって、動き・変化の多い映像の画像データを記憶部に極力残しつつ、中継装置内の記憶部の容量を確保することができる。換言すれば、動き・変化の少ない映像の画像データを構成するフレームからフレーム間引き処理を行うことにより、重要な画像データを極力記憶部に残しつつ当該記憶部の容量を確保することができる。
【0030】
また、本発明に係る請求項7に記載の監視システムでは、撮像装置は、異常を感知した場合に、当該異常を通知するアラーム情報を送信することができ、画像データは、複数のフレームで構成されており、アラーム情報の受信時刻を起点に最も時系列的に経過したときに記憶されたフレームから、当該起点に近づく順に、起点後に記憶された各フレームを削除する。
【0031】
したがって、比較的重要度が低い(アラーム情報記録時刻より離れた時刻に記憶された)フレームから削除することにより、重要な画像データを記憶部に極力残しつつ、中継装置内の記憶部の容量を確保することができる。
【0032】
また、本発明に係る請求項8に記載の監視システムでは、中継装置は、撮像装置からマスタ装置に送信される画像データのビットレートを、所定のグループに属する各撮像装置毎にビットレートのモニターをしており、画像データをキャッシュ記憶するキャッシュ記憶部を、さらに備えており、マスタ装置との通信が不通でない場合には、中継装置は、ビットレートのモニターの結果、所定のビットレート以上の画像データをマスタ装置に送信し、所定のビットレートより小さい画像データをキャッシュ記憶部にキャッシュ記憶する。
【0033】
したがって、キャッシュ記憶が開始される前後を比較すると、中継装置とマスタ装置との間(バックボーン)の帯域は、キャッシュ記憶開始後の方が削減させることができる。換言すると、バックボーンのトラフィックを最適化させることができる。よって、バックボーンにおいて輻輳が発生することを抑制でき、バックボーンのダウンが起こることを抑制できる。これにより、当該バックボーンのダウンに起因した画像データの喪失を未然に防ぐことが可能となる。
【0034】
また、本発明に係る請求項9に記載の監視システムでは、キャッシュ記憶部の空き容量が、所定の基準値以下となった場合には、中継装置は、所定のビットレート以上の画像データのビットレートを、ビットレートが低下する方向に変換させ、当該変換後の画像データをマスタ装置に送信すると共に、キャッシュ記憶していた画像データをマスタ装置に送信する。
【0035】
したがって、中継装置が画像データのキャッシュを行うキャッシュ記憶部を備えていたとしても、当該キャッシュ記憶部のオーバーフローを事前に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下、この発明をその実施の形態を示す図面に基づいて具体的に説明する。
【0037】
<実施の形態1>
図1は、本実施の形態に係る監視システム100の構成を示す図である。監視システム100は、複数の監視カメラ(撮像装置と把握できる)1と、中継装置10と、マスタ装置20とから構成されている。
【0038】
監視カメラ1は、静止画または動画の撮像を行うことができる。監視カメラ1は、撮像した画像情報をデジタル化し、MPEG(Moving Picture Experts Group)4やJPEG(Joint Photographic Cording Experts Group)等の規格に基づいて、当該デジタル化した情報を圧縮する。そして、監視カメラ1は、当該圧縮したデータを画像データとして、ネットワークを経由して、マスタ装置20に向けて送信する。
【0039】
また、監視カメラ1には、異常を感知した場合に、当該異常を通知するアラーム情報を送信することができる。当該アラーム情報には、異常を感知した時刻情報が含まれている。ここで言う「異常」とは、人の出入りが制限されている場所への人の侵入や、窓や扉なので開閉動作などである。たとえば、監視カメラ1に所定のセンサーが設置されており、当該センサーが異常を感知すると、監視カメラ1は上記アラーム情報をマスタ装置に向けて送信する。また、監視カメラ1が撮像した画像に動き・変化が生じた場合に、監視カメラ1自身が異常を感知、上記アラーム情報をマスタ装置に向けて送信する。
【0040】
また、各監視カメラ1は、少なくとも2以上のグループにグループ分けされている。図1に示す構成では、各監視カメラ1は、グループG1,G2,G3にグループ分けされている。
【0041】
マスタ装置20は、監視システム100の中枢部分であり、各監視カメラ1が送信される画像データおよびアラーム情報を受信し、これらを管理している。当該マスタ装置20において、当該画像データをライブで確認することもでき、また保存された画像データの再生を行うこともできる。また、マスタ装置20は、各監視カメラ1の設定情報も管理している。
【0042】
中継装置10は、監視カメラ1とマスタ装置20との間に配設されており、各監視カメラ1とマスタ装置20との間における通信状況をモニターすることができる。当該中継装置10は、各グループG1〜G3に、1台づつ配設されている。なお、図1の構成とは異なるが、全てのグループG1〜G3に中継装置10を配置する必要はなく、システムの設計に応じて、画像データの喪失を防止することが必須のグループにのみ配設されていれば良い。
【0043】
また、中継装置10がマスタ装置20との通信が不通であると判断した場合には、これまで、透過であった監視カメラ1−マスタ装置20間の通信を、各グループG1〜G3毎に中継装置10が管理する。つまり、中継装置10がマスタ装置20との通信が不通であると判断した場合には、各中継装置10は、自機が属するグループG1〜G3のサーバとして代替機能する。
【0044】
中継装置10は、記憶部を備えている。中継装置10がマスタ装置20との通信が不通であると判断した場合には、当該中継装置10は、自機が属するグループG1〜G3に配設されている各監視カメラ1から送信される画像データを、上記記憶部に記憶する。また、中継装置10は、自機に属する各監視カメラ1毎に、監視カメラ1からマスタ装置20に向けて送信される各データ(たとえば、画像データのビットレート等)をモニターしている。そして、中継装置10は、当該モニター結果に応じた統計情報を作成し、これを保持している。
【0045】
次に、図2を用いて、中継装置10がマスタ装置20との通信が不通であることを検知する動作について説明する。
【0046】
図2に示すように、中継装置10は、マスタ装置20に向けて「Keep alive」信号を定期的に送信している。マスタ装置20が当該「Keep alive」信号を正常に受信した場合には、その旨を中継装置10に通知するため、マスタ装置20は、「ACK:Keep alive」信号を中継装置10に送信する。ここで、本明細書では、当該「Keep alive」信号および「ACK:Keep alive」信号の送受信が正常に実施されている状態を、システムの「正常状態」と称する。
【0047】
図3に示すように、監視システム100のバックボーンで通信ダウンが生じたとする。すると、中継装置10は、所定の時間内にマスタ装置20からの「ACK:Keep alive」信号を受信できなくなる(図2参照)。この場合、中継装置10は、サーバとしての機能を開始し始める。この時点において、図2に示すように、監視システム100は「通常状態」から「緊急状態」へと移行する。
【0048】
具体的に、図2に示すように、中継装置10は、自機が配設されているグループG1〜G3に属する各監視カメラ1に、「生存確認要求」信号を送信する。当該「生存確認要求」信号は、中継装置10下に存する各監視カメラ1の接続の有無または電源のオン・オフを確認すための信号である。監視カメラ1がネットワークに接続されており、電源ON状態で正常に起動している監視カメラ1においては、当該「生存確認要求」信号を受信したとする。すると、監視カメラ1は、当該「生存確認要求」信号の送信元である中継装置10に向けて、「生存通知」信号を送信する(図2参照)。
【0049】
中継装置10は、当該「生存通知」信号を受信し、自機に接続される監視カメラ1の生存状況を確認する。その後、図2に示すように、中継装置10は、「送信先変更要求」信号を、生存を確認した各監視カメラ1に向けて送信する。当該「送信先変更要求」信号は、監視システム100の「正常状態」時の設定の待避、画像データやアラーム情報の送信先の中継装置10への変更、画像データの圧縮パラメータの変更等を、各生存が確認された監視カメラ1に対して、指示する信号である。
【0050】
当該「送信先変更要求」信号を受信した監視カメラ1は、当該「送信先変更要求」信号に従って自機の設定を変更する。当該設定の変更後、監視カメラ1は、当該設定変更を通知する「ACK:送信先変更」信号を、「送信先変更要求」信号の送信先である中継装置10に向けて送信する(図2参照)。その後、中継装置10は、各監視カメラ1から送信される画像データおよびアラーム情報を、自機内で記憶する処理を開始する旨を知らせる「録画開始」信号を、監視カメラ1に対して通知する(図2参照)。
【0051】
その後、当該「録画開始信号」を受信した監視カメラ1は、撮像した画像データ等を中継装置10に対して送信する(図2の「画像データ等の送信」参照)。そして、当該画像データ等を受信した中継装置10では、当該画像データ等を自機内に配設された記憶部において記憶する。
【0052】
ここで、図2に示すように、中継装置10は、上記監視システム100の「緊急状態」の期間においても、マスタ装置20に対して「Keep alive」信号を送信し続けている。
【0053】
さて、バックボーンでの通信ダウンが解消したとする。当該場合には、マスタ装置20は、上記「Keep alive」信号を再度正常に受信することができる。したがって、マスタ装置20は、「ACK:Keep alive」信号の中継装置10への返送を再度開始する(図2参照)。中継装置10における当該「ACK:Keep alive」信号の再受信に伴い、図2に示すように、監視システム100は、「緊急状態」から「通常状態」へと戻る。
【0054】
中継装置10が上記「ACK:Keep alive」信号を再び受信すると、当該中継装置10は、各監視カメラ1に対して「送信先復帰要求」信号を送信する(図2参照)。当該「送信先復帰要求」信号は、上記において待避させておいた設定の復帰を指示する信号である。監視カメラ1は、「送信先復帰要求」信号を受信し、当該「送信先復帰要求」信号に従って、監視システム100の「正常状態」時の設定に戻す。その後、図2に示すように、監視カメラ1は、設定の変更が終了した旨を通知する「ACK:送信先復帰」信号を、中継装置10に向けて送信する。
【0055】
当該「ACK:送信先復帰」信号を中継装置10が受信すると、画像データおよびアラーム情報等の記憶を終了する。つまり、画像データおよびアラーム情報は、中継装置10を透過することになり、マスタ装置20において再び記憶される。また、監視システム100の「緊急状態」の期間に中継装置10において記憶された画像データ等は、当該監視システム100の「通常状態」の復帰後、中継装置10からマスタ装置20へ送信される。
【0056】
なお、監視システム100が「通常状態」である場合においても、中継装置10は、上記の通り、監視カメラ1とマスタ装置20との間におけるデータの送受信をモニターしている。そして、中継装置10は、当該モニター結果に基づいて、統計情報を作成している。
【0057】
以上のように、本実施の形態に係る監視システム100では、中継装置10がマスタ装置20との通信が不通であると判断した場合には、中継装置10は、サーバとして機能し始める。そして、当該中継装置10が配設されているグループG1〜G3に属する各監視カメラ1からの画像データおよびアラーム情報を、自機内の記憶部において記憶する。
【0058】
したがって、たとえネットワークインフラがダウンしたとしても、監視カメラ1が撮像した画像データの喪失を防止することができる。また、本実施の形態に係る監視システム100は、システムの「緊急状態」に備えた非常回線(バックアップ回線)などを必要としない。つまり、簡易なシステム構成により、上記画像データ等の喪失を防止することができる監視システム100を提供することができる。
【0059】
なお、マスタ装置20のメンテナンスの際にも、上記と同様な動作が可能となる(図2)。この場合、メンテナンス開始後に、中継装置10は「ACK:Keep alive」信号の受信ができなくなり、メンテナンス終了後に、中継装置10は「ACK:Keep alive」信号の再受信が可能となる。したがって、マスタ装置20のメンテナンスを行った場合でも、当該メンテナンス期間中に各監視カメラ1が撮像した画像データやアラーム情報が、喪失することを防止できる。
【0060】
<実施の形態2>
実施の形態1に係る監視システム100において、中継装置10がマスタ装置20との通信が不通であると判断する。すると、当該中継装置10は、監視カメラ1に対して設定の変更を指示した(たとえば、図2の「送信先変更要求」信号等)。本実施の形態では、特に、監視カメラ1から送信される画像データのビットレートの変更を指示する方法について説明する。
【0061】
実施の形態1でも説明したように、監視システム100の「通常状態」の期間、中継装置10は、監視カメラ1とマスタ装置20との間におけるデータの送受信をモニターしている。そして、中継装置10は、当該モニター結果に基づいて、統計情報を作成している。
【0062】
具体的に、図2で示した監視システム100の「通常状態」期間に、中継装置10は、自機が配設されているグループG1〜G3に属する各監視カメラ1に対して、監視カメラ1からマスタ装置20に向けて送信された画像データのビットレートをモニターする。当該モニターの結果に従い、中継装置10は、各監視カメラ1毎に、上記画像データのビットレートの統計情報を作成する。そして、図2で示した監視システム100の「緊急状態」の移行以後において、中継装置10は、当該中継装置10下に存する各監視カメラ1に対して、次の指示を行う。つまり、中継装置10は、当該統計情報に基づいて、当該中継装置10下に存する各監視カメラ1に対して、画像データのビットレートの再設定を指示する。
【0063】
本実施の形態に係る監視システム100の動作を、例示を踏まえて以下において詳細に説明する。なお、以下の説明では、グループG1に着目して話を進めるが、他のグループG2,G3においても同様である。
【0064】
中継装置10が、マスタ装置20との通信が不通であると判断する(つまり、図2で示した「緊急状態」を検出する)。すると、グループG1に配設されている中継装置10は「生存確認要求」信号を送信する。そして、中継装置10は、当該グループG1に配設されている各監視カメラ1から「生存通知」信号を受信する。当該「生存通知」信号により、中継装置10は、グループG1には3台の監視カメラA,B,Cが生存していると確認できたとする。
【0065】
この場合、中継装置10は、各監視カメラA,B,Cの統計情報を導出する。ここで、上記の通り、当該統計情報は、監視システム100の「通常状態」時のモニター結果に応じて作成されたものである。たとえば、統計情報として、当該「緊急状態」移行時直前のモニター結果を採用することができる。当該モニター結果を図4に示す。
【0066】
図4は、中継装置10が1時間毎にモニターした、各監視カメラA,B,Cから送信された画像データのビットレートを示している。たとえば、3:15分に、中継装置10が監視システム100の「緊急状態」を検出したとする。すると、中継装置10は、図4のモニター結果から、当該「緊急状態」移行時直前のモニター結果(図4では3:00のデータ)を、統計情報として採用する。次に、中継装置10は、当該統計情報に基づいて、各監視カメラ毎に重要度を決定する。
【0067】
実施の形態1でも説明したように、画像データがMPEGフレームである場合には、ビットレートが高い程、動き・変化の多い画像であり、重要度が高いと言える。よって、中継装置10は、上記統計情報(図4の3:00のデータ)に基づいて、監視カメラCの重要度が最も高い(重要度:1)と判断する。また、中継装置10は、上記統計情報(図4の3:00のデータ)に基づいて、監視カメラAの重要度が次に高い(重要度:2)と判断し、監視カメラBの重要度が最も低い(重要度:3)と判断する。
【0068】
次に、中継装置10は、上記重要度に応じて、監視カメラA,B,Cから送信される画像データのビットレートの変更を決定する。そして、中継装置10は、当該ビットレートの変更の指示を、各監視カメラA,B,Cに対して指示する。
【0069】
たとえば、中継装置10には、所定のしきい値重要度が予め設定されている。当該しきい値重要度以上の重要度である監視カメラ1に対しては、ビットレートの変更は行わない。これに対して、所定のしきい値重要度より小さい重要度である監視カメラ1に対しては、一律に所定の割合でビットレートを削減する(ビットレートを低下させる方向に、ビットレートを変更する)。つまり、比較的重要度の高い監視カメラ1に対しては、ビットレートの変更を指示せず、比較的重要度の低い監視カメラ1に対しては、所定の割合でビットレートの変更を指示する。
【0070】
図5にビットレートの変更値の一例を示す。図5に示されているように、中継装置10は、重要度1の監視カメラCに対しては、ビットレートの変更指示は行わない。他方、中継装置10は、重要度2以下の監視カメラA,Bに対して、一律に0.5Mbpsだけビットレートを削減する、変更指示を行う(図5)。つまり、図5に示すように、監視カメラAの変更後のビットレートは、1.5Mbpsであり、監視カメラBの変更後のビットレートは、1.0Mbpsである。なお、上記の通り、監視カメラCに対してはビットレートの変更は指示しない(図5)。
【0071】
また、図6に示されているように、中継装置10は、重要度1の監視カメラCに対しては、ビットレートの変更指示は行わず、重要度2以下の監視カメラA,Bに対して、各重要度に応じてビットレートを削減する(ビットレートを低下させる方向に変更する)、変更指示を行っても良い。
【0072】
たとえば、図6の例では、中継装置10は、重要度2の監視カメラAに対しては、0.5Mbpsだけビットレートを削減する指示を行う。他方、中継装置10は、重要度3の監視カメラBに対しては、前記0.5Mbpsより大きな1Mbpsだけビットレートを削減する指示を行う(図6)。つまり、図6に示すように、監視カメラAの変更後のビットレートは、1.5Mbpsであり、監視カメラBの変更後のビットレートは、0.5Mbpsである。なお、上記の通り、監視カメラCに対しては、ビットレートの変更指示は行わない。
【0073】
なお、上記では、統計情報として、監視システム100の「緊急状態」移行時直前のモニター結果を採用した。しかし、次のようなものを統計情報として採用しても良い。
【0074】
たとえば、上記統計情報として、過去のモニター結果から得られる各監視カメラA〜Cの平均ビットレートを採用しても良い。また、各監視カメラ毎に、日中と夜間中とでは撮像される画像の変化が異なる場合がある。当該場合において、夜間中(または日中)に中継装置10が上記「緊急状態」を検出したとする。この場合、中継装置10は、過去のモニター結果から夜間中(または日中)のビットレートデータを読み出し、当該読み出したビットレートの平均値を統計情報として採用することもできる。
【0075】
なお、実施の形態1で説明したように、各監視カメラA〜Cから送信される、ビットレート変更後の画像データは、上記「緊急状態」の期間中、中継装置10内の記憶部へと格納される。
【0076】
以上のように、マスタ装置20との通信が不通である場合には、本実施の形態に係る中継装置10は、ビットレートのモニター結果に基づいて、監視カメラ1から送信される画像データのビットレートの再設定(変更)を行っている。
【0077】
したがって、当該再設定をたとえばビットレートを削減する方向で行えば、変更後のビットレートを有する各画像データが、中継装置10の記憶部に格納される。つまり、当該ビットレートの再設定処理により、中継装置10の記憶部の記憶容量の節約を図ることができる。したがって、「緊急状態」が長期間発生したとしても、各監視カメラ1からの画像データを漏れなく、中継装置10内に記憶させることができる。
【0078】
また、本実施の形態に係る中継装置10は、ビットレートのモニター結果に基づいて、グループG1〜G3毎に、各監視カメラ1に対して重要度を決定している。そして、所定のしきい値重要度より低い重要度である監視カメラ1から送信されてくる画像データのビットレートを低下させる方向に、中継装置10は、ビットレートの再設定(変更)指示を行っている。
【0079】
ここで、画像データのビットレートが大きいほど、撮像された映像の動き・変化が多い。つまり、画像データのビットレートが大きいほど、監視の観点から当該画像データは重要である。よって、中継装置10は、比較的重要度の低い監視カメラ1から送信される画像データのビットレートを低下させる方向にビットレートの再設定を行っているので、重要な画像データの画質の低下を防止しつつ、中継装置10の上記記憶容量の削減を図ることができる。
【0080】
なお、中継装置10が有する画像データを記憶する記憶部の記憶容量が、所定の基準値以下となった場合、中継装置10が、上記ビットレートの再設定処理を実施するようにしても良い。これより、記憶容量が多い時点では、画質を低下させる事無く画像データを記憶部に記憶でき、記憶容量が残り少なくなった時点から、当該記憶部の記憶容量の節約を実施できる。
【0081】
<実施の形態3>
実施の形態1に係る監視システム100において、中継装置10がマスタ装置20との通信が不通であると判断する。すると、中継装置10は、監視カメラ1から送信されくる画像データを記憶する。本実施の形態では、当該記憶された画像データのフレーム間引き処理を行う方法について説明する。なお、以下の説明では、グループG1に着目して話を進めるが、他のグループG2,G3においても同様である。
【0082】
図2の「緊急状態」移行後、たとえばグループG1に配設されている中継装置10が、「生存確認要求」信号を送信する。そして、当該中継装置10が、グループG1に配設されている各監視カメラ1から「生存通知」信号を受信する。当該「生存通知」信号の受信により、中継装置10は、グループG1には4台の監視カメラA,B,C,Dが生存していると確認できたとする。当該場合には、中継装置10の記憶部には、当該4台の監視カメラA〜Dが送信されてきた画像データが記憶される。図7は、中継装置10内の記憶部に記憶された画像データの一部を示す概念図である。ここで、図7の横軸は時間の経過を示す。
【0083】
図7に示すように、中継装置10内の記憶部には、各監視カメラA〜Dに対応して、当該監視カメラA〜Dから送信されてきた各画像データが記憶されている。各画像データは、図7に示すように、複数のフレームFrから構成されている。
【0084】
ここで、時系列的に画像データが記憶部に記憶されているが、その内の一部期間である所定の期間(以下、所定の期間とは、当該一部期間のことである)内に記憶された画像データに着目する。
【0085】
図7に図示されている所定の期間内では、監視カメラAから送信され記憶部に記憶されている画像データのビットレートは、8Mbpsであるとする(図7の最上段参照)。また、監視カメラBから送信され記憶部に記憶されている画像データのビットレートは、4Mbpsであるとする(図7の上から2段目参照)。また、監視カメラCから送信され記憶部に記憶されている画像データのビットレートは、2Mbpsであるとする(図7の上から3段目参照)。さらに、監視カメラDから送信され記憶部に記憶されている画像データのビットレートは、1Mbpsであるとする(図7の最下段参照)。
【0086】
中継装置10は、画像データの記憶がある程度進んだ時点で、次の処理(重要度の決定およびフレーム間引き処理)を実行する。
【0087】
まず、中継装置10は、所定の期間内に記憶された各画像データに着目する。そして、既に記憶されている各監視カメラA〜D毎の画像データのビットレート(所定の期間内におけるビットレート)に基づいて、各監視カメラA〜D毎に重要度を決定する。
【0088】
たとえば、図7に示されているケースでは、監視カメラAから送信された既記憶画像データのビットレートは、8Mbpsで最も高い。したがって、監視カメラAに対する重要度を、最も高く設定する。また、監視カメラBから送信された既記憶画像データのビットレートは、4Mbpsで2番目に高い。したがって、監視カメラBに対する重要度を、2番目に高く設定する。また、監視カメラCから送信された既記憶画像データのビットレートは、2Mbpsで3番目に高い。したがって、監視カメラCに対する重要度を、3番目に高く設定する。さらに、監視カメラDから送信された既記憶画像データのビットレートは、1Mbpsで最も低い。したがって、監視カメラDに対する重要度を、最も低く設定する。
【0089】
画像データがMPEGデータである場合には、撮像対象の動き・変化が大きいものほど画像データのビットレートが高くなる。したがって、当該重要度の設定方法から分かるように、本実施の形態では、動き・変化の多い被写体を撮像している監視カメラ1ほど、重要度が高く設定される。なお、上記の通り、当該重要度は、図7で示した所定の期間内だけを着目した結果である。
【0090】
さて、重要度の設定後、中継装置10は、決定された重要度の低い監視カメラ1から送信された画像データから重要度の高い監視カメラ1から送信された画像データへと順に、既に記憶されている画像データのフレーム間引き処理を行う。
【0091】
つまり、図7の所定期間に着目すると、監視カメラD、監視カメラC、監視カメラB、監視カメラAの順に重要度が上がる。よって、監視カメラDから送信され中継装置10に記憶されている画像データのフレーム間引き処理を実施した後、監視カメラCから送信され中継装置10に記憶されている画像データのフレーム間引き処理を実施する。その後、監視カメラBから送信され中継装置10に記憶されいてる画像データのフレーム間引き処理を実施し、その後、監視カメラAから送信され中継装置10に記憶されている画像データのフレーム間引き処理を実施する。以下、図を用いて詳細に説明する。
【0092】
ここで、当該フレーム間引き処理は、所定の期間内に中継装置10に記憶された画像データ(図7に示されている分)に対して実施される。当該フレーム間引き処理は、予め設定された量だけ間引く。以下の説明では、ビットレートが半分となるフレーム間引き処理が行われるとする。なお、当該間引きされるフレームFrは任意に選択されるが、たとえば画像データの種類等に応じて決定することもできる。
【0093】
さて、図7のケースで、上記重要度が決定されたとする。すると、図8に示すように、監視カメラDから送信された既記憶画像データに対して、フレーム間引き処理が実施される。上記の通り、監視カメラDの重要度は最も低い。図8の最下段に示すように、当該フレーム間引き処理により、中継装置10内の記憶部には、0.5Mbpsの画像データが残存する。次に、2番目に重要度が低いものは、監視カメラCである。したがって、図9に示すように、監視カメラCから送信された既記憶画像データに対して、フレーム間引き処理が実施される。図9の下から2段目に示すように、当該フレーム間引き処理により、中継装置10内の記憶部には、1Mbpsの画像データが残存する。
【0094】
次に、3番目に重要度が低いものは、監視カメラBである。したがって、図10に示すように、監視カメラBから送信された既記憶画像データに対して、フレーム間引き処理が実施される。図10の上から2段目に示すように、当該フレーム間引き処理により、中継装置10内の記憶部には、2Mbpsの画像データが残存する。次に、最も重要度が高いものは、監視カメラAである。したがって、図11に示すように、監視カメラAから送信された既記憶画像データに対して、フレーム間引き処理が実施される。図11の最上段に示すように、当該フレーム間引き処理により、中継装置10内の記憶部には、4Mbpsの画像データが残存する。
【0095】
ここで、所定の期間内に記憶された画像データに対するフレーム間引き処理をさらに続行する場合には、重要度が最も低い監視カメラDから送信された既記憶画像データに対して、当該フレーム間引き処理を再度行う。当該フレーム間引き後の様子を図12に示す。図12に示すように、所定の期間内に記憶された監視カメラDからの画像データは、完全に消去される(所定の期間以外の期間に記憶された監視カメラDからの画像データは、上記記憶部に記憶されている)。
【0096】
フレーム間引き処理をさらに続行する場合には、重要度が2番目に低い監視カメラCから送信された既記憶画像データに対して、当該フレーム間引き処理を再度行う。当該フレーム間引き後の様子を図13に示す。図13に示すように、所定の期間内に記憶された監視カメラCからの画像データは、完全に消去される(所定の期間以外の期間に記憶された監視カメラCからの画像データは、上記記憶部に記憶されている)。
【0097】
フレーム間引き処理をさらに続行する場合には、重要度が3番目に低い監視カメラBから送信された既記憶画像データに対して、当該フレーム間引き処理を再度行う。当該フレーム間引き後の様子を図14に示す。図14に示すように、所定の期間内に記憶された監視カメラBからの画像データは、完全に消去される(所定の期間以外の期間に記憶された監視カメラBからの画像データは、上記記憶部に記憶されている)。
【0098】
フレーム間引き処理をさらに続行する場合には、重要度が最も高い監視カメラAから送信された既記憶画像データに対して、当該フレーム間引き処理を再度行う。当該フレーム間引き後の様子を図15に示す。図15に示すように、所定の期間内に記憶された監視カメラAからの画像データは、完全に消去される(所定の期間以外の期間に記憶された監視カメラAからの画像データは、上記記憶部に記憶されている)。
【0099】
以上のように、本実施の形態では、中継装置10は、既に記憶されている画像データのビットレートに基づいて、重要度を決定している。そして、重要度の低い監視カメラ1から送信された画像データから重要度の高い監視カメラ1から送信された画像データへと順に、中継装置10内において既に記憶されている画像データのフレーム間引き処理を行っている。
【0100】
したがって、動き・変化の多い映像の画像データを中継装置10内に極力残しつつ、中継装置10内の記憶容量を確保することができる。換言すれば、動き・変化の少ない映像の画像データを構成するフレームFrからフレーム間引き処理を行うことにより、重要な画像データを中継装置10内の記憶部に極力残しつつ、当該記憶部の容量を確保することができる。
【0101】
なお、監視システム100の「緊急状態」の期間に、中継装置10において記憶された画像データ(フレーム間引き処理を経て残存している画像データ)は、当該監視システム100の「通常状態」の復帰以後に、マスタ装置20へ送信される。
【0102】
<実施の形態4>
実施の形態1に係る監視システム100において、中継装置10がマスタ装置20との通信が不通であると判断する。すると、中継装置10は、監視カメラ1から送信されくる画像データとアラーム情報を記憶する。本実施の形態では、当該アラーム情報に基づいて、当該記憶された画像データを構成するフレームを削除する処理を行う方法について説明する。
【0103】
なお、以下の説明では、グループG1に着目して話を進めるが、他のグループG2,G3においても同様である。また、実施の形態1でも説明したように、アラーム情報は、監視カメラ1設置側において異常を感知した場合に、当該異常を通知するための情報である。
【0104】
図2の監視システム100の「緊急状態」移行後、たとえばグループG1に配設されている中継装置10が、「生存確認要求」信号を送信する。そして、当該中継装置10が、グループG1に配設されている各監視カメラ1から「生存通知」信号を受信する。当該「生存通知」信号により、中継装置10は、グループG1には4台の監視カメラA,B,C,Dが生存していると確認できたとする。当該場合には、中継装置10の記憶部には、当該4台の監視カメラA〜Dが送信されてきた画像データが記憶される。
【0105】
図16は、ある時点で当該記憶部に記憶されたアラーム情報および、当該アラーム情報記憶以後に記憶された画像データを示す概念図である。ここで、図16の横軸は時間の経過を示す。
【0106】
図16に示すように、中継装置10内の記憶部には、各監視カメラA〜Dに対応して、当該監視カメラA〜Dから送信されてきた各画像データが記憶されている。各画像データは、図16に示すように、複数のフレームFrから構成されている。
【0107】
ここで、時系列的に画像データが記憶部に記憶されているが、図16は、その内のアラーム情報記憶以後に記憶された画像データに着目した図である。図16に示すように、各監視カメラA〜Dから送信された画像データは、夫々所定のビットレートで記憶部に記憶されている。図16の最上段は、監視カメラAから送信された画像データである。図16の上から2段目は、監視カメラBから送信された画像データである。図16の上から3段目は、監視カメラCから送信された画像データである。さらに、図16の最下段は、監視カメラDから送信された画像データである。
【0108】
中継装置10は、アラーム情報が記憶されてから所定の時間経過に、記憶部に記憶された画像データのフレーム削除処理を実行する。ここで、当該所定の時間は、中継装置10に予め設定されている。また、当該フレーム削除処理の対象は、アラーム情報記録以後、所定の時間経過までに中継装置10内の記憶部に記憶された各画像データである。
【0109】
まず、中継装置10は、アラーム情報の記憶を検出する。その後、当該アラーム情報記録以後、所定の時間内に記憶された各画像データに着目する。そして、当該着目した範囲内の各画像データに対して、フレーム削除処理(以下、フレーム間引き処理と称することもある)を開始する。当該フレーム間引き処理は、アラーム情報の受信時刻を起点に最も時系列的に経過されたときに記憶されたフレームFrから、当該起点に近づく順に、上記起点後に記憶された各前記フレームを削除する処理である。
【0110】
たとえば、図16に示すように、上記着目している各画像データにおいて、アラーム情報受信時刻を起点として最も時系列的経過されたときに記憶されたフレームFrは、監視カメラAから送信されたフレームFr1である。したがって、図17に示すように、中継装置10は、当該フレームFr1のフレーム間引き処理を実施する。
【0111】
次に、フレームFr1が間引かれた後の、アラーム情報受信以後の各画像データに着目する。すると、アラーム情報受信時刻を起点として最も(図16に示す状態からは二番目に)時系列的経過されたときに記憶されたフレームFrは、監視カメラA,Bから送信された二つのフレームFr2である(図18)。したがって、図18に示すように、中継装置10は、当該二つのフレームFr2のフレーム間引き処理を実施する。
【0112】
次に、各フレームFr2が間引かれた後の、アラーム情報受信以後の各画像データに着目する。すると、アラーム情報受信時刻を起点として最も(図16に示す状態からは三番目に)時系列的経過されたときに記憶されたフレームFrは、監視カメラAから送信されたフレームFr3である(図19)。したがって、図19に示すように、中継装置10は、当該フレームFr3のフレーム間引き処理を実施する。
【0113】
次に、各フレームFr3が間引かれた後の、アラーム情報受信以後の各画像データに着目する。すると、アラーム情報受信時刻を起点として最も(図16に示す状態からは四番目に)時系列的経過されたときに記憶されたフレームFrは、監視カメラA,B,Cから送信された三つのフレームFr4である(図20)。したがって、図20に示すように、中継装置10は、当該三つのフレームFr4のフレーム間引き処理を実施する。
【0114】
以後、同様の間引き処理をアラーム受信後に記録された各フレームに対して、繰り返して実施する。
【0115】
ここで、アラーム情報は、監視カメラA〜D側で何かしらの異常が発生したときに送信される。したがって、アラーム情報発信後、当該アラーム情報発信時刻に近い時刻に記憶された画像データ程、映像としての重要度が高くなる。
【0116】
そこで、本実施の形態に係る監視システム100では、中継装置10は、アラーム情報の受信時刻を起点に最も時系列的に経過されたときに記憶されたフレームFrから、当該起点に近づく順に、起点後に記憶された各前記フレームを削除する(フレーム間引きを行っている)。
【0117】
したがって、比較的重要度が低い(アラーム情報記録時刻より離れた時刻に記憶された)フレームから削除することにより、重要な画像データを中継装置10内に極力残しつつ、当該中継装置10内の記憶部の記憶容量を確保することができる。
【0118】
なお、監視システム100の「緊急状態」の期間に、中継装置10において記憶された画像データ(フレーム間引き処理を経て残存している画像データ)は、当該監視システム00の「通常状態」の復帰後にマスタ装置20へ送信される。
【0119】
<実施の形態5>
本実施の形態に係る監視システム100は、実施の形態1〜4に記載の監視システム100を土台としており、「通常状態」期間(図2参照)におけるバックボーンの回線ダウンを抑制することを目的とする。
【0120】
そこで、当該「通常状態」期間には、本実施の形態に係る中継装置10は、キャッシュアルゴリズムを実装したキャッシュサーバとしての機能も有する。つまり、当該中継装置10は、「通常状態」期間中に、自機が配設されたグループG1〜G3に属する各監視カメラ1から送信される画像データのキャッシュを行う。中継装置10はキャッシュ記憶部を備えており、当該キャッシュ記憶部に画像データがキャッシュ記憶される。
【0121】
図2で示した監視システム100の「通常状態」期間に、中継装置10は、自機が配設されているグループG1〜G3に属する各監視カメラ1に対して、監視カメラ1からマスタ装置20に向けて送信された画像データのビットレートをモニターする。当該モニターを行っている中、中継装置10−マスタ装置20間の回線帯域が、予め設定された所定の値を超えたとする(帯域オーバ検出時と称する)。すると、中継装置10は、当該モニター結果に従い、自機下に接続されている各監視カメラ1毎に、上記画像データのビットレートの統計情報を作成する。
【0122】
そして、中継装置10は、当該統計情報を参照し、所定のビットレート以上の画像データをマスタ装置20に送信する。つまり、所定のビットレート以上の画像データは、キャッシュ記憶せず、中継装置10を透過し、マスタ装置20へ送信される。これに対して、中継装置10は、当該所定のビットレートより小さい画像データを、自機のキャッシュ記憶部にキャッシュ記憶する。ここで、当該所定のビットレートは、予め中継装置10に設定される。
【0123】
上記から分かるように、上記帯域オーバ検出後には、本実施の形態に係る中継装置10では、監視カメラ1から送信される比較的ビットレートの高い画像データは、優先的にマスタ装置20へ送信される。そして、監視カメラ1から送信される比較的ビットレートの低い画像データは、中継装置10内に一時的にキャッシュ記憶される。
【0124】
本実施の形態に係る監視システムの動作を、例示を踏まえて詳細に説明する。なお、以下の説明では、グループG1に着目して話を進めるが、他のグループG2,G3においても同様である。
【0125】
グループG1に配設されている中継装置10は、中継装置10−マスタ装置20間の回線における帯域が、予め設定されている所定の値を超えたことを検出する(帯域オーバ検出)。すると、当該中継装置10は、当該帯域オーバ検出時において当該中継装置10に接続されている各監視カメラ1の確認を行う。中継装置10は、グループG1に属する監視カメラ1の内、当該中継装置10には3台の監視カメラA,B,Cが接続していると確認できたとする(図21)。
【0126】
ここで、図21において、中継装置10とマスタ装置20との間の回線帯域幅は、10Mbpsであり、各監視カメラ1と中継装置10との間の回線帯域幅は、20Mbpsであると仮定する。また、上記予め設定されている所定の値は、6Mbpsであると仮定する。
【0127】
この場合、中継装置10は、各監視カメラA,B,Cの統計情報を読み取る。ここで、上記の通り、当該統計情報は、監視システム100の「通常状態」時のモニター結果に応じて作成される。たとえば、統計情報として、当該帯域オーバ検出時直前のモニター結果を採用することができる。当該モニター結果を図22に例示する。
【0128】
図22は、中継装置10が1時間毎にモニターした、各監視カメラA,B,Cから送信された画像データのビットレートを示している。たとえば、19:20分に、中継装置10が、マスタ装置20と中継装置10との間の帯域が予め設定された6Mbpsを超えたことを検出(帯域オーバ検出)したとする(図22の19:20分時点における合計帯域は7Mbpsである)。
【0129】
すると、中継装置10は、図22のモニター結果から、当該帯域オーバ検出時直前のモニター結果(図22では19:00のデータ)を、統計情報として採用する。次に、中継装置10は、当該統計情報と、予め設定されている所定のビットレートとを比較する。ここで、当該所定のビットレートは、2.0Mbpsであると仮定する。当該比較の結果、所定のビットレート以上の画像データは、キャッシュ記憶せず、中継装置10を透過し、マスタ装置20へ優先的に送信される。これに対して、中継装置10は、当該所定のビットレートより小さい画像データを、自機のキャッシュ記憶部に一時的にキャッシュ記憶する。
【0130】
図22に示す統計情報の場合には、監視カメラAのビットレートは2.5Mbpsであり、監視カメラCのビットレートは3.0Mbpsである。前記両ビットレートは、所定のビットレート(2.0Mbps)より大きい。したがって、図23に示すように、帯域オーバ検出後においても、監視カメラA,Cから送信された画像データは、中継装置10を透過し、マスタ装置20へと送信される。
【0131】
これに対して、図22に示す統計情報の場合には、監視カメラBのビットレートは1.5Mbpsである。当該ビットレートは、所定のビットレート(2.0Mbps)より小さい。したがって、図23に示すように、帯域オーバ検出後には、監視カメラBから送信された画像データは、中継装置10が備えるキャッシュ記憶部10aに一時的に記憶される。
【0132】
ここで、実施の形態1でも説明したように、画像データがMPEGフレームである場合には、ビットレートが高い程、動き・変化の多い画像であり、監視の観点から重要度が高いと言える。したがって、本実施の形態に係る監視システム100では、帯域オーバ検出後、重要度の高い画像データを程、優先的にマスタ装置20へ送信され、重要度の低い画像データ程、キャッシュ記憶部10aに格納される。
【0133】
なお、上記では、統計情報として、帯域オーバ検出時直前のモニター結果を採用した。しかし、次のようなものを統計情報として採用しても良い。
【0134】
たとえば、上記統計情報として、過去のモニター結果から得られる各監視カメラA〜Cの平均ビットレートを採用しても良い。また、各監視カメラ毎に、日中と夜間中とでは撮像される画像の変化が異なる場合がある。当該場合において、夜間中(または日中)に中継装置10が上記帯域オーバを検出したとする。この場合、中継装置10は、過去のモニター結果から夜間中(または日中)のビットレートデータを読み出し、当該読み出したビットレートの平均値を統計情報として採用することもできる。
【0135】
なお、マスタ装置20−中継装置10間の帯域が、上記所定の値(6Mbps)を十分下回ったとする。この場合、中継装置10は、上記画像データのキャッシュ記憶を中止しする。そして、図21で示したように、各監視カメラA〜Cから送信されてくる画像データを、自機で透過させ、マスタ装置20へと送信する。さらに、中継装置10は、マスタ装置20−中継装置10間の帯域が十分確保されている期間に、キャッシュ記憶部10aに格納された画像データをマスタ装置20へ送信する。
【0136】
以上のように、本実施の形態に係る監視システム100では、中継装置10は、所定のビットレート以上の画像データをマスタ装置20に送信し、所定のビットレートより小さい画像データをキャッシュ記憶部10aにキャッシュ記憶している。
【0137】
したがって、キャッシュ記憶が開始される前後を比較すると、中継装置10とマスタ装置20との間(バックボーン)の帯域は、キャッシュ記憶開始後の方が削減させることができる。換言すると、本実施の形態に係る監視システム100を採用することにより、バックボーンのトラフィックを最適化させることができる。よって、バックボーンにおいて輻輳が発生することを良くでき、バックボーンのダウンが起こることを抑制できる。これにより、当該バックボーンのダウンに起因した画像データの喪失を未然に防ぐことが可能となる。
【0138】
なお、マスタ装置20と中継装置10との間において、画像データを正常に受信したか否か確認するためのACK/NACKパケット等の送受信が行われているとする。図23の構成の場合では、マスタ装置20と中継装置10との間においる、監視カメラBから送信される画像データの上記ACK/NACKパケット等の送受信が、不要となる。したがって、バックボーンにおける上記ACK/NACKパケット等の総送受信量の削減も図ることができる。
【0139】
また、上記のように本実施の形態では、画像データのビットレートが低い程、キャッシュ記憶を優先させている。したがって、ビットレートの高い画像データを優先的にキャッシュ記憶させる場合よりも、本実施の形態の方が、キャッシュ記憶部10aの容量を節約することができる。
【0140】
<実施の形態6>
本実施の形態に係る監視システム100は、実施の形態5に記載の監視システム100を土台としており、画像データが記憶されるキャッシュ記憶部10aの空き容量を確保することを目的とする。
【0141】
本実施の形態に係る監視システム100では、キャッシュ記憶部10aのオーバーフローを防止するために、中継装置10が有するキャッシュ記憶部10aの空き容量が、所定の基準値以下となった場合には、当該中継装置10は次の処理を行う。ここで、上記所定の基準値は、予め中継装置10に設定されている。
【0142】
実施の形態5で言及したように、所定のビットレート以上の画像データ(送信画像データと称する)は、キャッシュ記憶を行わず、中継装置10を透過し、マスタ装置20へ送信される。これに対して、所定のビットレートより小さい画像データ(キャッシュ画像データと称する)は、中継装置10内のキャッシュ記憶部10aに一時的にキャッシュ記憶される。
【0143】
キャッシュ記憶部10aの空き容量が所定の基準値以下となったとき、本実施の形態に係る中継装置10は、上記送信画像データのビットレートを低下させる方向に、ビットレートを変換する。そして、中継装置10は、当該ビットレート変換後の送信画像データをマスタ装置20に対して送信する。こここ、中継装置10がビットレートを変換することにより、中継装置10−マスタ装置20間において帯域の空きが生じる。中継装置10は、当該帯域の空きを利用して、キャッシュ記憶部10aに記憶していたキャッシュ画像データを、マスタ装置20に対して送信する。
【0144】
ここで、上記ビットレートの変換とは、送信画像データが映像データであることを活かした、ストリームデータの再圧縮処理のことである。
【0145】
上記中継装置10の動作を簡単な例を踏まえて説明する。図24は、送信画像データのビットレートの変換前の様子を示す図である。また、図25は、送信画像データのビットレート変換の様子およびキャッシュ記憶部10aからキャッシュ画像データが送信される様子を示す図である。なお、図24,25において、監視カメラ1−中継装置10間の回線帯域幅は、10Mbpsであるとする。また、中継装置10−マスタ装置20間の回線帯域幅は、5Mbpsであるとする。
【0146】
図24に示すように、監視カメラAから送信された送信画像データのビットレートは、4Mbpsである。当該送信画像データは、中継装置10を透過し、同じ4Mbpsのビットレートでマスタ装置20へ送信される。他方、監視カメラBから送信されたキャッシュ画像データのビットレートは、1Mbpsである。当該キャッシュ画像データは、中継装置10内に配設されているキャッシュ記憶部10aにおいて、一時的にキャッシュ記憶される。
【0147】
さて、中継装置10は、任意のタイミングで、キャッシュ記憶部10aの現在の空き容量と、当該中継装置10に予め設定されている所定の基準値とを比較する。当該中継装置10による比較処理は、たとえば予め設定された所定の周期で行っても良い。また、中継装置10が常に当該比較処理を行うように、当該中継装置10を構成しても良い。当該比較の結果、中継装置10が、キャッシュ記憶部10aの空き容量が所定の基準値以下となったことを検出したとする。
【0148】
当該場合には、図25に示すように、監視カメラAから送信された送信画像データに対して、中継装置10内に配設されたビットレート変換部10bは、ビットレート変換処理(データの再圧縮)を実施する。図25に示す例では、ビットレート変換部10bは、送信画像データのビットレートを、4Mbpsから2Mbpsに変換している。さらに、ビットレート変換部10bは、当該ビットレート変換後の送信画像データ(2Mbps)を、マスタ装置20に向けて送信する。
【0149】
ここで、ビットレート変換部10bにおけるビットレートの変換率は、予め中継装置10に設定されている。なお一般的に、ビットレートを低下させると、再生画像の画質は低下する。したがって、上記ビットレートの変換率は、変換後の再生画像の画質を考慮して決定することが望ましい。
【0150】
他方、上記ビットレートの変換により生じた、マスタ装置20と中継装置10との間における空き帯域を利用して、中継装置10は図25に示す動作を行う。つまり、中継装置10(キャッシュ記憶部10a)は、キャッシュ記憶部10aに記憶されていたキャッシュ画像データを、1Mpsのビットレートにてマスタ装置20へ送信する。
【0151】
上記ビットレートの変換処理およびキャッシュ記憶部10aからのキャッシュ画像データの送信処理は、キャッシュ記憶部10aの記憶容量が予め設定された所定の値まで回復するまで実施される。なお、図25に示すように、当該記憶容量が回復するまでの間、監視カメラBから送信される画像データ(1Mbps)は、中継装置10を透過し、マスタ装置20へ送信される。
【0152】
以上のように、本実施の形態に係る監視システム100では、キャッシュ記憶部10aの空き容量が所定の基準値以下となった場合には、中継装置10は、上記送信画像データのビットレートを低下させる方向で変換し、当該変換後の前記画像データをマスタ装置20に送信する。さらに、中継装置10は、キャッシュ記憶していたキャッシュ画像データをマスタ装置20に送信する。
【0153】
したがって、中継装置10が画像データのキャッシュを行うキャッシュ記憶部10aを備えていたとしても、当該キャッシュ記憶部10aのオーバーフローを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0154】
【図1】本発明に係る監視システムの構成を示す図である。
【図2】実施の形態1に係る監視システムの動作を説明するための図である。
【図3】バックボーンがダウンする様子を示す図である。
【図4】実施の形態2に係る中継装置のモニター結果の一部、および重要度を示す図である。
【図5】重要度に基づいて、画像データのビットレートを変更した一例を示す図である。
【図6】重要度に基づいて、画像データのビットレートを変更した他のを示す図である。
【図7】実施の形態3に係る中継装置が備える記憶部に記憶されるデータの様子を示す図である。
【図8】実施の形態3に係る中継装置におけるフレーム間引き処理を説明するための図である。
【図9】実施の形態3に係る中継装置におけるフレーム間引き処理を説明するための図である。
【図10】実施の形態3に係る中継装置におけるフレーム間引き処理を説明するための図である。
【図11】実施の形態3に係る中継装置におけるフレーム間引き処理を説明するための図である。
【図12】実施の形態3に係る中継装置におけるフレーム間引き処理を説明するための図である。
【図13】実施の形態3に係る中継装置におけるフレーム間引き処理を説明するための図である。
【図14】実施の形態3に係る中継装置におけるフレーム間引き処理を説明するための図である。
【図15】実施の形態3に係る中継装置におけるフレーム間引き処理を説明するための図である。
【図16】実施の形態4に係る中継装置が備える記憶部に記憶されるデータの様子を示す図である。
【図17】実施の形態4に係る中継装置におけるフレーム間引き処理を説明するための図である。
【図18】実施の形態4に係る中継装置におけるフレーム間引き処理を説明するための図である。
【図19】実施の形態4に係る中継装置におけるフレーム間引き処理を説明するための図である。
【図20】実施の形態4に係る中継装置におけるフレーム間引き処理を説明するための図である。
【図21】実施の形態5に係る中継装置がキャッシュ記憶を開始する前の様子を示す図である。
【図22】帯域オーバ検出を説明するための図である。
【図23】実施の形態5に係る中継装置がキャッシュ記憶を開始した後の様子を示す図である。
【図24】実施の形態6に係る中継装置がビットレート変換を開始する前の様子を示す図である。
【図25】実施の形態6に係る中継装置のビットレート変換の様子および、キャッシュ記憶部からの画像データの送信の様子を示す図である。
【符号の説明】
【0155】
1 画像データ
10 中継装置
10a キャッシュ記憶部
10b ビットレート変換部
20 マスタ装置
100 監視システム
G1,G2,G3 グループ
Fr フレーム
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像の撮像を行う複数の撮像装置と、
前記撮像装置が撮像した画像データを受信し、前記画像データを管理するマスタ装置と、
前記撮像装置と前記マスタ装置との間に配設されており、前記撮像装置と前記マスタ装置との間における通信状況をモニターすることができる中継装置とを、備えており、
前記モニターの結果、前記中継装置が、前記マスタ装置との通信が不通であると判断した場合には、前記中継装置は、
前記撮像装置の前記画像データを記憶する、
ことを特徴とする監視システム。
【請求項2】
各前記撮像装置は、
少なくとも2以上のグループにグループ分けされており、
前記中継装置は、
少なくとも所定の前記グループに配設されており、
前記中継装置は、
前記所定のグループに属する前記撮像装置の前記画像データを記憶する、
ことを特徴とする請求項1に記載の監視システム。
【請求項3】
前記中継装置は、
前記撮像装置から前記マスタ装置に送信される前記画像データのビットレートを、前記所定のグループに属する各前記撮像装置毎にモニターする、ビットレートのモニターを行っており、
前記マスタ装置との通信が不通である場合には、前記中継装置は、
前記ビットレートのモニター結果に基づいて、前記所定のグループに属する前記撮像装置から送信される前記画像データのビットレートの再設定を行う、
ことを特徴とする請求項2に記載の監視システム。
【請求項4】
前記中継装置は、
前記ビットレートのモニター結果に基づいて、前記所定のグループに属する前記撮像装置に対して重要度を決定し、所定のしきい値重要度より低い重要度である前記撮像装置から送信されてくる画像データのビットレートを低下させる方向に、前記ビットレートの再設定を行う、
ことを特徴とする請求項3に記載の監視システム。
【請求項5】
前記中継装置が有する前記画像データの記憶容量が、所定の基準値以下となった場合には、前記中継装置は、
前記ビットレートの再設定処理を実施する、
ことを特徴とする請求項3または請求項4に記載の監視システム。
【請求項6】
前記画像データは、
複数のフレームで構成されており、
前記中継装置は、
既に記憶されている各前記撮像装置毎の前記画像データのビットレートに基づいて、前記各撮像装置毎に重要度を決定し、前記重要度の低い前記撮像装置から送信された前記画像データから前記重要度の高い前記撮像装置から送信された前記画像データへと順に、既に記憶されている前記画像データのフレーム間引き処理を行う、
ことを特徴とする請求項2に記載の監視システム。
【請求項7】
前記撮像装置は、
異常を感知した場合に、当該異常を通知するアラーム情報を送信することができ、
前記画像データは、
複数のフレームで構成されており、
前記中継装置は、
前記アラーム情報の受信時刻を起点に最も時系列的に経過したときに記憶された前記フレームから、当該起点に近づく順に、前記起点後に記憶された各前記フレームを削除する、
ことを特徴とする請求項2に記載の監視システム。
【請求項8】
前記中継装置は、
前記撮像装置から前記マスタ装置に送信される前記画像データのビットレートを、前記所定のグループに属する各前記撮像装置毎にモニターする、ビットレートのモニターを行っており、
前記画像データをキャッシュ記憶するキャッシュ記憶部を、さらに備えており、
前記マスタ装置との通信が不通でない場合には、前記中継装置は、
前記ビットレートのモニターの結果、所定のビットレート以上の前記画像データを前記マスタ装置に送信し、前記所定のビットレートより小さい前記画像データを前記キャッシュ記憶部にキャッシュ記憶する、
ことを特徴とする請求項2に記載の監視システム。
【請求項9】
前記キャッシュ記憶部の空き容量が、所定の基準値以下となった場合には、前記中継装置は、
前記所定のビットレート以上の前記画像データのビットレートを、ビットレートが低下する方向に変換させ、当該変換後の前記画像データを前記マスタ装置に送信すると共に、前記キャッシュ記憶していた前記画像データを前記マスタ装置に送信する、
ことを特徴とする請求項8に記載の監視システム。
【請求項1】
画像の撮像を行う複数の撮像装置と、
前記撮像装置が撮像した画像データを受信し、前記画像データを管理するマスタ装置と、
前記撮像装置と前記マスタ装置との間に配設されており、前記撮像装置と前記マスタ装置との間における通信状況をモニターすることができる中継装置とを、備えており、
前記モニターの結果、前記中継装置が、前記マスタ装置との通信が不通であると判断した場合には、前記中継装置は、
前記撮像装置の前記画像データを記憶する、
ことを特徴とする監視システム。
【請求項2】
各前記撮像装置は、
少なくとも2以上のグループにグループ分けされており、
前記中継装置は、
少なくとも所定の前記グループに配設されており、
前記中継装置は、
前記所定のグループに属する前記撮像装置の前記画像データを記憶する、
ことを特徴とする請求項1に記載の監視システム。
【請求項3】
前記中継装置は、
前記撮像装置から前記マスタ装置に送信される前記画像データのビットレートを、前記所定のグループに属する各前記撮像装置毎にモニターする、ビットレートのモニターを行っており、
前記マスタ装置との通信が不通である場合には、前記中継装置は、
前記ビットレートのモニター結果に基づいて、前記所定のグループに属する前記撮像装置から送信される前記画像データのビットレートの再設定を行う、
ことを特徴とする請求項2に記載の監視システム。
【請求項4】
前記中継装置は、
前記ビットレートのモニター結果に基づいて、前記所定のグループに属する前記撮像装置に対して重要度を決定し、所定のしきい値重要度より低い重要度である前記撮像装置から送信されてくる画像データのビットレートを低下させる方向に、前記ビットレートの再設定を行う、
ことを特徴とする請求項3に記載の監視システム。
【請求項5】
前記中継装置が有する前記画像データの記憶容量が、所定の基準値以下となった場合には、前記中継装置は、
前記ビットレートの再設定処理を実施する、
ことを特徴とする請求項3または請求項4に記載の監視システム。
【請求項6】
前記画像データは、
複数のフレームで構成されており、
前記中継装置は、
既に記憶されている各前記撮像装置毎の前記画像データのビットレートに基づいて、前記各撮像装置毎に重要度を決定し、前記重要度の低い前記撮像装置から送信された前記画像データから前記重要度の高い前記撮像装置から送信された前記画像データへと順に、既に記憶されている前記画像データのフレーム間引き処理を行う、
ことを特徴とする請求項2に記載の監視システム。
【請求項7】
前記撮像装置は、
異常を感知した場合に、当該異常を通知するアラーム情報を送信することができ、
前記画像データは、
複数のフレームで構成されており、
前記中継装置は、
前記アラーム情報の受信時刻を起点に最も時系列的に経過したときに記憶された前記フレームから、当該起点に近づく順に、前記起点後に記憶された各前記フレームを削除する、
ことを特徴とする請求項2に記載の監視システム。
【請求項8】
前記中継装置は、
前記撮像装置から前記マスタ装置に送信される前記画像データのビットレートを、前記所定のグループに属する各前記撮像装置毎にモニターする、ビットレートのモニターを行っており、
前記画像データをキャッシュ記憶するキャッシュ記憶部を、さらに備えており、
前記マスタ装置との通信が不通でない場合には、前記中継装置は、
前記ビットレートのモニターの結果、所定のビットレート以上の前記画像データを前記マスタ装置に送信し、前記所定のビットレートより小さい前記画像データを前記キャッシュ記憶部にキャッシュ記憶する、
ことを特徴とする請求項2に記載の監視システム。
【請求項9】
前記キャッシュ記憶部の空き容量が、所定の基準値以下となった場合には、前記中継装置は、
前記所定のビットレート以上の前記画像データのビットレートを、ビットレートが低下する方向に変換させ、当該変換後の前記画像データを前記マスタ装置に送信すると共に、前記キャッシュ記憶していた前記画像データを前記マスタ装置に送信する、
ことを特徴とする請求項8に記載の監視システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【公開番号】特開2009−44386(P2009−44386A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−206382(P2007−206382)
【出願日】平成19年8月8日(2007.8.8)
【出願人】(591128453)株式会社メガチップス (322)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年8月8日(2007.8.8)
【出願人】(591128453)株式会社メガチップス (322)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]