説明

監視制御装置および制御方法

【課題】タイムスケジュール作成の手間の軽減を図った監視制御装置を提供すること。
【解決手段】実施形態によれば、監視制御装置は、少なくとも1つの共用機器と、個別のタイムスケジュールで稼動する複数の個別機器とを含む複数の機器を制御する。この監視制御装置は、作成部と、制御部とを具備する。作成部は、個別機器ごとのタイムスケジュールの時間に対する論理和である合成スケジュールを作成する。制御部は、共用機器を合成スケジュールで稼動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、ビルや工場などの各設備機器を監視制御するための監視制御装置と、運転のタイムスケジュールを設定可能な機器(空調や照明など)の動作スケジュールを制御する制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年のビルや建物などの施設には、テナントに設置された各種の機器の稼動状況や、電力、水道、ガスの使用量に関係する機器の使用状況を監視する監視制御装置が設けられている。この種の装置は各テナントの空調や照明といった機器を集約的に稼動、制御するためにも使用される。監視制御装置は、予め設定したタイムスケジュールに従って各施設の設備機器の運転/停止(オン/オフ)を制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−71405号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
普通、施設にはテナントごとに占有される占有部と、エレベータホールや廊下のような共用部とがある。設備機器は占有部と共用部の双方に設けられるので、占有部のタイムスケジュールと共用部のタイムスケジュールとを個別に用意する必要がある。しかしながら共用部の設備機器のスケジュールは占有部のスケジュールに基づいて、管理者が作成する必要があった。その作成にあたっては共用部以外の各施設のタイムスケジュールによる設備機器の稼働状況を考慮した設定を行う必要があり、管理者にとって負担が大きかった。
【0005】
目的は、タイムスケジュール作成の手間の軽減を図った監視制御装置および制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態によれば、監視制御装置は、少なくとも1つの共用機器と、個別のタイムスケジュールで稼動する複数の個別機器とを含む複数の機器を制御する。この監視制御装置は、作成部と、制御部とを具備する。作成部は、個別機器ごとのタイムスケジュールの時間に対する論理和である合成スケジュールを作成する。制御部は、共用機器を合成スケジュールで稼動させる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】実施形態に係わる監視システムの一例を示すシステム図。
【図2】図1に示される監視システムの要部を示すブロック図。
【図3】図2に示される監視用サーバ21の一例を示す機能ブロック図。
【図4】図3に示される監視用サーバ21の処理手順の一例を示すフローチャート。
【図5】個別機器のタイムスケジュールと合成スケジュールとの関係についての第1の実施形態を示す図。
【図6】個別機器のタイムスケジュールと合成スケジュールとの関係についての第2の実施形態を示す図。
【図7】個別機器のタイムスケジュールと合成スケジュールとの関係についての第3の実施形態を示す図。
【図8】個別機器のタイムスケジュールと合成スケジュールとの関係についての第4の実施形態を示す図。
【図9】個別機器のタイムスケジュールと合成スケジュールとの関係についての第5の実施形態を示す図。
【図10】個別機器のタイムスケジュールと合成スケジュールとの関係についての第6の実施形態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は、実施形態に係わる監視システムの一例を示すシステム図である。図1にされる監視システムは例えばビルなどの施設の内部に設置され、ローカルエリアネットワーク(LAN)20に接続された統合コントロール装置11と、複数のローカルコントローラ13a,13b,13cと、監視用サーバ21とを有する。実施形態では、施設としては通常のオフィスビルなどのビルを想定する。
【0009】
統合コントロール装置11は、複数のローカルコントローラ13a,13b,13cを統合制御する中央コントロールステーションに相当する。監視用サーバ21は、各ローカルコントローラ13a,13b,13cから、ビル内に設置された機器15a,15b,15cの動作状態(稼動状況や使用状況)に応じた計測データを収集し、内部の記憶装置からなるデータベース(DB)16に蓄積するファイリング機能及び機器15a,15b、15cを制御するタイムスケジュールを合成するスケジュール合成機能を有する。また各ローカルコントローラ13a,13b,13cは、機器15a,15b、15cの動作を制御するための制御信号を出力し、機器15a,15b,15cの動作を通じてビル内の照明、空調、あるいはエレベータなどの環境を管理する管理機能を有する。
【0010】
インターフェース12は、いわゆるヒューマン・マシンインターフェース(HMI)であり、統合コントロール装置11に接続され、オペレータの入力操作を行なうための入力装置や、統合コントロール装置11のDB(データベース)情報を表示させる表示装置や、各ローカルコントローラから出力される情報を表示する出力装置を備える。各ローカルコントローラ13a,13b,13cはローカルコントロール・サーバ(LCS)とも称され、複数の機器15a,15b,15cをリモート入出力装置(RIO)14a,14b,14cを介して制御する。リモート入出力装置(RIO)14a,14b,14cはそれぞれ、対応する機器15a,15b,15cを制御するための制御信号を出力し、また機器15a,15b,15cからの計測信号を取得する。
【0011】
各ローカルコントローラ13a,13b,13cは、RIO14a,14b,14cを介して各機器15a,15b,15cの動作または状態を示す計測信号を収集し、その計測信号をディジタル値に変換した計測データをLAN20を通じて統合コントロール装置11および監視用サーバ21に伝送する。機器15a,15b,15cは、例えばビル内の各フロアに設置された照明機器や空調器である。
【0012】
実施形態では、各機器15a,15b,15cのオン/オフを含む動作のタイムスケジュールを、監視用サーバ11から各ローカルコントローラ13a,13b,13cに与え、各機器15a,15b,15cを制御するケースを想定する。
ここで、機器15a,15bは同じフロアの例えば異なるテナントに設置され、機器15cは当該フロアの共用部に設置されるとする。機器15a,15bは予め設定された個別のタイムスケジュールで稼動するが、機器15cを制御するためのタイムスケジュールは従来、人手によるマニュアルでの作成を要した。以下ではこの手間を軽減可能な実施の形態につき説明する。
【0013】
監視用サーバ21は、LAN20を介して統合コントロール装置11と接続される。また、監視用サーバ21は、広域のネットワーク(例えばインターネット)30を介してビル運営用サーバ32と接続される。
【0014】
ビル運営用サーバ32は、ネットワーク30を介してコンピュータ(PC)31に接続し、監視システムとコンピュータ(PC)31との間における表示・操作機能を実現する。PC31は、例えばビルのテナントであるユーザが操作するパーソナルコンピュータである。
【0015】
図2は、図1に示される監視システムの要部を示すブロック図である。図2において、統合コントロール装置11と監視用サーバ21とローカルコントローラ13はスケジュールデータを記憶するデータベースを備え、各装置間でデータベースは等値化され、その内容は同期して管理される。
先ず、統合コントロール装置11には、機器15a,15bの個別のタイムスケジュールが、インターフェース12又はコンピュータ31により入力され、設定される。統合コントロール装置11に設定されたスケジュールデータは監視用サーバ21に通知され、等値化されて管理される。
【0016】
監視用サーバ21が統合コントロール装置11からスケジュール合成要求を取得すると、スケジュール合成機能が動作する。つまり、監視用サーバ21がスケジュールの合成を行い、合成したスケジュールを各装置へ等値化する。ローカルコントローラ13はスケジュールに沿って各機器を運転させ、停止させる。
スケジュールデータとは主に、制御対象機器、休日や特異日が設定されているカレンダー情報、カレンダー内でスケジュールを適用する期間、制御機器の運転及び停止時間、等の情報を含む。
【0017】
図3は、図2に示される監視用サーバ21の一例を示す機能ブロック図である。監視用サーバ21は実施形態に係わる機能ブロックとして、スケジュールデータ更新検知部100、変更通知部200、合成スケジュール作成部300、合成スケジュール上位書き込み部400、および、合成スケジュール下位書き込み部500を備える。いずれもCentral Processing Unit(CPU)の演算処理機能を用いたソフトウェアにより実現される機能ブロックである。
【0018】
実施形態において、合成スケジュール作成部300はスケジュールデータ更新検知部100により検知されたタイミングで、合成スケジュールを作成する。スケジュールデータ更新検知部100はスケジュールデータの更新タイミングを検知するにあたり、新規のスケジュールを合成するタイミングであるか、あるいは、既存の合成スケジュールを更新するタイミングであるかを判別する。新規のスケジュールを合成するタイミングを検知すると、スケジュールデータ更新検知部100は強制合成スケジュールフラグを立てた情報を変更通知部200に送る。
【0019】
スケジュールデータ更新検知部100は、スケジュール合成を行うタイミングを検知する。スケジュール合成を行うタイミングには、<日替わりしたタイミング>、<スケジュール合成元のスケジュールを変更したタイミング>、<スケジュール合成に対するスケジュール合成元の対応付けを変更したタイミング>、および、<監視用サーバ21を起動したタイミング>、の例えば4通りのタイミングがある。
【0020】
<日替わりしたタイミング>では、合成スケジュール作成部300は、全ての合成スケジュールに対して、当日を含めた1週間分のスケジュールを合成する。<スケジュール合成元のスケジュールを変更したタイミング>では、合成スケジュール作成部300は、合成スケジュールに紐付けられている合成元のスケジュールが変更されたタイミングにて、対象となる合成スケジュールを、当日を含めて1週間分合成する。
【0021】
<スケジュール合成に対するスケジュール合成元の対応付けを変更したタイミング>では、合成スケジュール作成部300は、合成スケジュールに対応付けられている、合成元の対応付けを変更したタイミングにて、対象となる合成スケジュールを、当日を含め1週間分合成する。
【0022】
<監視用サーバ21を起動したタイミング>では、合成スケジュール作成部300は、全ての合成スケジュールに対して当日を含めた1週間分のスケジュールを合成する。ここで、更新可能なスケジュールデータは、対象機器、対象機器の運転及び停止時間、祝日や特異日などの設定を行うカレンダー情報、合成スケジュール特有の設定項目が例として挙げられる。これらを統一的に変更可能な項目としては、補正時刻がある。補正時刻とは対象機器の稼働時間を一定時間早めたり、遅らせたりする際に利用するパラメータである。
【0023】
さて、スケジュールデータ更新検知部100はスケジュール合成のタイミングを検知すると、その旨を示す情報を変更通知部200に通知する。通知される情報は、スケジュールを新規で合成するか、あるいは、合成された既存スケジュールのグループを更新するかを示す上記フラグを含む。変更通知部200はこのフラグを参照して合成スケジュール作成部300に指示を与える。
【0024】
合成スケジュール作成部300は、変更通知部200から取得した情報に基づいてスケジュールの新規合成操作、または、合成済みスケジュールの更新操作を行う。合成スケジュール作成部300は、スケジュールデータ更新検知部100により検知されたタイミングで、合成スケジュールを作成する。すなわち合成スケジュール作成部300は、機器15a,15bを稼動させるタイムスケジュールの、時間に対する論理和である合成スケジュールを作成する。
【0025】
機器15a,15bのタイムスケジュールには、機器15a,15bをオンする時刻、およびオフする時刻がそれぞれ記載されている。つまりタイムスケジュールは、対応する機器のオン/オフのスケジュールを定めたスケジュールであり、合成スケジュール作成部300は機器ごとのオン期間の論理和を合成スケジュールとする。
【0026】
合成スケジュール作成部300により合成スケジュールが作成されると、この合成スケジュールは統合コントロール装置11、ローカルコントローラ13に書き込まれ、スケジュールデータが更新される。合成スケジュール上位書き込み部400は、新たな合成スケジュールを統合コントロール装置11に書き込む。合成スケジュール下位書き込み部500は、合成スケジュールをローカルコントローラ13に書き込む。これにより統合コントロール装置11、監視用サーバ21、ローカルコントローラ13のスケジュールデータが同期し、等値化される。
【0027】
図4は、図3に示される監視用サーバ21の処理手順の一例を示すフローチャートである。図4において監視用サーバ21は、強制合成スケジュール作成フラグの有無を判定する(ステップS11)。このフラグが立っていれば(ステップS11でYes)、合成スケジュールを新規に合成するタイミングであると判定し、監視用サーバ21はスケジュール合成定義ファイルから、全ての合成元スケジュールの情報を取得する。
【0028】
スケジュール合成定義ファイルとは、統合コントロール装置11でスケジュールを新規に合成する操作をした際、合成後のスケジュールグループ名と制御対象ポイントを記録するためのファイルである。監視用サーバ21はスケジュール合成定義ファイルからスケジュールグループ名および制御対象ポイントを取得し、以降の処理を行う。
【0029】
一方、強制合成スケジュールフラグが立っていなければ(ステップS11でNo)、個別に合成スケジュールの更新操作が実施される。この場合、監視用サーバ21は、スケジュールグループ設定ファイル、スケジュールカレンダー設定ファイル、スケジュール合成定義ファイルのうち変更のあったファイルを参照し、変更対象スケジュールのスケジュール番号を確定する(ステップS13)。これに基づいて監視用サーバ21は、更新するスケジュールグループの情報を取得する。
【0030】
ここで、スケジュールグループ設定ファイルとは、登録済みのスケジュールグループの情報が記録されているファイルである。スケジュールカレンダー設定ファイルは、スケジュールグループに対して、曜日毎の運転及び停止時刻、祝日や特異日の運転及び停止時刻、週間スケジュールを設定したカレンダー情報が記録されているファイルである。
【0031】
確定したスケジュール番号が監視用サーバ21により取得されると(ステップS14)、以降の処理に必要なループが実行される。まず監視用サーバ21は、確定したスケジュール番号に対応する合成元スケジュールごとに、スケジュール時間と値とを取得する(ステップS15)。ステップS15の手順が合成元スケジュール分だけ繰り返されると、監視用サーバ21は、ステップS15で取得したスケジュールの設定時間に対して補正時刻を反映させる(ステップS16)。
【0032】
次に監視用サーバ21は、ステップS16で作成した分刻みのスケジュールを元に週間スケジュールを作成し、スケジュール情報に反映する(ステップS17)。ステップS15〜S17の手順は、週間スケジュールの作成に際しては7日分繰り返される。このループから抜けると、監視用サーバ21は、更新したデータを統合コントロール装置11とローカルコントローラ13とに書き込む(ステップS18)。ステップS15〜S17にステップS18を加えた手順は、確定したスケジュール番号の分だけループされる。以上の手順により、スケジュール合成操作が行われる。次に、個別機器のスケジュールと合成スケジュールとの関係についての複数の実施形態を説明する。
【0033】
[第1の実施形態]
図5は、個別機器のタイムスケジュールと合成スケジュールとの関係についての第1の実施形態を示す図である。図5〜図10において符号Aを機器15aのタイムスケジュールとし、符合Bを機器15bのタイムスケジュールとする。機器15cの稼動タイムスケジュールである合成スケジュールを(合成)として示す。
【0034】
図5(1)において、スケジュールAは8:00にオン、12:00にオフのスケジュールである。スケジュールBは10:00にオン(ON)、18:00にオフ(OFF)のスケジュールである。スケジュールAおよびBが合成元として取り扱われる。これらのスケジュールの論理和は8:00にオン(ON)、18:00にオフ(OFF)となるスケジュールであり、これが合成スケジュールとなる。機器15cはこの稼動スケジュールに従って稼動される。
ON時刻とOFF時刻とのセットが1つの稼動時間帯として判断される。スケジュールの時間に対する論理和とは、一方のスケジュールの稼働時間と、他方のスケジュールの稼働時間とのいわば重ね合わせである。
図5(2)においては、スケジュールAにおいて1日の中で2回のオン/オフのあることが示される。スケジュールBとの論理和を取ることで、同様にして合成スケジュールが生成される。
【0035】
以上のように第1の実施形態によれば、個別に運用される機器15aのタイムスケジュールと機器15bのタイムスケジュールとに基づいて、共用機器である機器15cのタイムスケジュールが自動的に生成される。これにより従来は人手によるマニュアルでの操作を要した部分がシステムにより肩代わりされるので、タイムスケジュール作成の手間の軽減を図った監視制御装置および制御方法を提供することが可能になる。
【0036】
[第2の実施形態]
図6は、個別機器のタイムスケジュールと合成スケジュールとの関係についての第2の 実施形態を示す図である。図6(1)は、合成スケジュールが一方の機器のスケジュール(ここではスケジュールA)を完全に包括する例を示す。図6(2)は、合成スケジュールにおいて双方の機器のスケジュールA,Bが完全に独立する例を示す。各機器15a,15bの時刻設定によっては、論理和条件を取ることで図6(1),(2)に示される状態も生じ得る。
【0037】
[第3の実施形態]
図7は、個別機器のタイムスケジュールと合成スケジュールとの関係についての第3の実施形態を示す図である。図7(1)は合成元スケジュールのON時刻が複数設定される状態を示す。例えばスケジュールAにおいては、機器が5:00と9:00とにオンされる。この場合第3の実施形態では、時間的に先行するON(5:00のオン)を優先して取り扱い、この時点とスケジュールBとの論理和を合成スケジュールとする。
【0038】
図7(2)においては、スケジュールAでは機器が13:00と20:00とにオフされる。この場合第3の実施形態では、時間的に先行するOFF(13:00のオフ)とスケジュールBとの論理和を合成スケジュールとする。すなわちスケジュールAとBとのいずれか一方がONになっていれば、合成スケジュールをONとする。つまり合成スケジュールにおいては20:00時のオフは無視され、スケジュールBに対応して18:00で機器15cがオフされることになる。このように第3の実施形態においては、時間的に先行するオン時点、あるいはオフ時点を合成スケジュールに組み込むこととする。
【0039】
合成元スケジュールにおいてON時刻、あるいはOFF時刻が複数設定される場合とは、例えば照明機器が自動的にオンされたのち人手によりオフされる場合を想定して、再度、自動的にオンする設定を組み込むケースがある。共用部の照明機器はテナントに人が出社する前から点灯させて起きたいニーズがある。また、テナントの人が全て帰ってしまった後も暫くは点けておきたいというニーズがある。第3の実施形態はこのようなケースに対応可能である。
【0040】
[第4の実施形態]
図8は、個別機器のタイムスケジュールと合成スケジュールとの関係についての第4の実施形態を示す図である。図8(1)では、スケジュールAにおいてオン時刻が設定されているのみである(10:00)。スケジュールBとの論理和を取れば5:00以降は機器がオンされた状態になる。このようなケースでは1日の最大期間、例えば23:59までをオン期間として設定すれば良い。図8(2)においても同様に、5:00のオン以降は最大期間までオン状態が継続する。
【0041】
[第5の実施形態]
図9は、個別機器のタイムスケジュールと合成スケジュールとの関係についての第5の実施形態を示す図である。図9においては合成元のスケジュールにOFFのみが設定されているケースを示す。このケースでは、日ごとの最初の時刻(00:00)を、前日の最終値からスタートするようにする。例えばスケジュールAに示すように[10:00 OFF]が設定されており、かつ前日の最後がONであれば、[00:00 ON][10:00 OFF]として、スケジュールを扱う。つまり日ごとの最終時刻を、稼動時間の終了時刻として採用する。図9(1)の合成スケジュールにはその旨が反映されている。
【0042】
また、図9(2)に示すように前日の最後がOFFであれば、[00:00 OFF][10:00 OFF]となるので、OFFの連続と同じ扱いとなる。また、元のスケジュールが、1日目=[ON]のみ、2日目=[OFF]のみ、のように複数日にわたってスケジュールが連続しているようなケースでは、1日目=[ON]のみスケジュールの合成、2日目=[OFF]のみスケジュールの合成として扱う。つまりこの実施形態では、機器ごとのタイムスケジュールに示されるオンタイミング、または、オフタイミングのいずれか一方の論理和を前記合成スケジュールとするようにする。
【0043】
[第6の実施形態]
図10は、個別機器のタイムスケジュールと合成スケジュールとの関係についての第6の実施形態を示す図である。第6の実施形態ではオン/オフの2つの状態だけでなく、複数の動作モード、いわゆるマルチステートでの稼動を考える。これは例えば空調機器における[停止]、[冷房]、[除湿]、[暖房]の4値を例として挙げることができる。
【0044】
図10は、これらのモード値をON、OFFの2値に置き換えて、“運転する期間”に読み替えることで、合成元として取り扱うことが可能なケースを示す。例えば、4値[停止]、[冷房]、[除湿]、[暖房]の場合、ON=[冷房]、[除湿]、[暖房]、OFF=[停止]としてとり扱うことができる。つまり[冷房]、[除湿]、[暖房]のいずれの動作モードもオンとして取り扱うようにする。
【0045】
図10(1)のスケジュールAにおいては、機器15aが08:00にオンされ[除湿]機能が稼動し、12:00に停止する。スケジュールBにおいては、機器15bが10:00にオンされ[冷房]機能が稼動し、18:00に停止する。合成スケジュールにおいては08:00にオン、18:00にオフが設定されることになる。
【0046】
図10(2)においては、機器15a,15bについては図10(1)と同様のスケジュール(A,B)が示されるが、合成スケジュールのオン時点において、[冷房]が設定される。このオン時の動作モードはデフォルトでの設定に基づくもので、このほか[除湿]または[暖房]を設定しておくこともできる。このように第6の実施形態ではマルチステートでの運用に対応するため、運転開始、停止状態の動作モードを設定するようにする。
【0047】
すなわちこの実施形態では、各機器のタイムスケジュールはオン期間における動作モードを複数の動作モードのうちから選択的に定めたスケジュールである。合成スケジュール作成部300は、合成スケジュールのオン期間における共用機器15cの動作モードを、を複数の動作モード[停止]、[冷房]、[除湿]、[暖房]のいずれかから選択して合成スケジュールに組み込む。
【0048】
以上、上記各実施形態で説明したように個別機器のタイムスケジュールの論理和を共用機器のタイムスケジュールとすることで、共用部の設備機器の稼働時刻を自動的に設定することができる。加えて、合成元のスケジュールを変更した場合でも合成先のスケジュールにその変更内容が反映されるようにしているので、設定の矛盾を防ぐことが可能になる。これらのことから、タイムスケジュール作成の手間の軽減を図った監視制御装置および制御方法を提供することが可能となる。
【0049】
本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば共用機器を合成スケジュールのとおりに稼動させるのではなく、合成スケジュールよりも一定期間だけ早くオンし、一定期間だけ早くオフするようにしても良い。逆に、共用機器を、合成スケジュールよりも既定期間だけ遅くオンし、一定期間だけ遅くオフするようにしても良い。つまり共用機器を、合成スケジュールよりも一定時間早い/遅いスケジュールで稼動させるようにしても良い。これは、合成スケジュールが生成されることで初めて可能になる制御態様であり、実施形態の装置によれば十分に実現可能である。
【0050】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示するものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0051】
20…ローカルエリアネットワーク(LAN)、11…統合コントロール装置、12…インターフェース、13a,13b,13c…ローカルコントローラ、21…監視用サーバ、15a,15b,15c…機器、16…データベース(DB)、14a,14b,14c…リモート入出力装置(RIO)、30…ネットワーク、32…ビル運営用サーバ、31…コンピュータ(PC)、100…スケジュールデータ更新検知部、200…変更通知部、300…合成スケジュール作成部、400…合成スケジュール上位書き込み部、500…合成スケジュール下位書き込み部500

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの共用機器と、個別のタイムスケジュールで稼動する複数の個別機器とを含む複数の機器を制御する監視制御装置において、
前記個別機器ごとのタイムスケジュールの時間に対する論理和である合成スケジュールを作成する作成部と、
前記共用機器を前記合成スケジュールで稼動させる制御部とを具備する、監視制御装置。
【請求項2】
前記タイムスケジュールは、対応する機器のオン/オフのスケジュールを定めたスケジュールであり、
前記作成部は、前記個別機器ごとのタイムスケジュールに示されるオン期間の論理和を前記合成スケジュールとする、請求項1に記載の監視制御装置。
【請求項3】
前記タイムスケジュールは、前記オン期間における動作モードを複数の動作モードのうちから選択的に定めたスケジュールであり、
前記作成部は、前記合成スケジュールのオン期間における前記共用機器の動作モードを前記複数の動作モードのいずれかから選択して前記合成スケジュールに組み込む、請求項2に記載の監視制御装置。
【請求項4】
さらに、前記合成スケジュールの更新タイミングを検知する検知部を備え、
前記作成部は、前記検知部により検知された更新タイミングで前記合成スケジュールを作成する、請求項1に記載の監視制御装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記合成スケジュールよりも一定時間早いスケジュールで、または、前記合成スケジュールよりも既定時間遅いスケジュールで前記共用機器を稼動させる、請求項1に記載の監視制御装置。
【請求項6】
前記作成部は、前記個別機器ごとのタイムスケジュールに示されるオンタイミング、または、オフタイミングのいずれか一方の論理和を前記合成スケジュールとする、請求項1に記載の監視制御装置。
【請求項7】
個別のタイムスケジュールで稼動する複数の個別機器を備える施設に設置される共用機器の動作スケジュールを制御する制御方法において、
前記個別機器ごとのタイムスケジュールの時間に対する論理和である合成スケジュールを作成し、
前記共用機器を前記合成スケジュールで稼動させる、制御方法。
【請求項8】
前記タイムスケジュールは、対応する機器のオン/オフのスケジュールを定めたスケジュールであり、
前記作成することは、前記個別機器ごとのタイムスケジュールに示されるオン期間の論理和を前記合成スケジュールとする、請求項7に記載の制御方法。
【請求項9】
前記タイムスケジュールは、前記オン期間における動作モードを複数の動作モードのうちから選択的に定めたスケジュールであり、
前記作成することは、前記合成スケジュールのオン期間における前記共用機器の動作モードを前記複数の動作モードのいずれかから選択して前記合成スケジュールに組み込む、請求項8に記載の制御方法。
【請求項10】
さらに、前記合成スケジュールの更新タイミングを検知し、
前記作成することは、前記検知された更新タイミングで前記合成スケジュールを作成する、請求項7に記載の制御方法。
【請求項11】
前記稼動させることは、前記合成スケジュールよりも一定時間早いスケジュールで、または、前記合成スケジュールよりも既定時間遅いスケジュールで前記共用機器を稼動させる、請求項7に記載の制御方法。
【請求項12】
前記作成することは、前記個別機器ごとのタイムスケジュールに示されるオンタイミング、または、オフタイミングのいずれか一方の論理和を前記合成スケジュールとする、請求項7に記載の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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