説明

監視装置、自動機利用支援方法、及びプログラム

【課題】顧客に係わらず、オペレータが迅速、且つ適切な対応をより容易にとれるようにするための技術を提供する。
【解決手段】自動機10を利用する顧客からインターフォンによる問い合わせがあった場合、自動機10はインターフォンのフックオンにより、現在、表示中の画面を監視センター40のサーバ30に通知する。サーバ30は、顧客に対応するオペレータが使用する端末装置5に、通知された画面を送信して表示させる。そのようにして、顧客が見ている画面をベースにした情報伝達を可能とさせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作対象となる図柄が配置された画面を随時、切り換えて表示させることにより、所望の金融取引を顧客に行わせる自動機の利用を支援するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
各種金融取引に利用されるATM(Automatic Teller Machine)等の自動機は、大型の表示装置を備え、その表示装置に各種ボタン等の操作対象となる図柄を配置した画面を表示させる。表示する画面は、顧客の操作に応じて随時、切り換えることにより、所望の金融取引を行ううえで必要なデータを入力させるようになっている。
【0003】
近年、自動機では様々な取引が行えるようになっている。また、金融機関の間の提携も進んでいる。このようなことから、複雑な画面を表示させる、多数の画面のなかから操作すべき図柄を選択させる、といったことが多くなっている。その結果、自動機の利用に慣れていない顧客にとっては、どのような操作を行うべきか分かり難くなっている。
【0004】
自動機には普通、顧客に対応するオペレータと通話できるインターフォンが設置されている。このインターフォンは、自動機に発生したトラブルの連絡という用途の他に、利用の仕方が分からないような顧客に対応することも用途として想定している。このため、自動機を設置した側では、困った場合にはインターフォンの使用を求めている。
【0005】
自動機は、故障等に対応するために、監視センターにより状態を監視しているのが普通である。通常、各自動機は監視センター内に設置された監視用のサーバ(監視サーバ)と接続されている。顧客に対応するオペレータは、監視サーバにより自動機の状態を監視している人であるのが普通である。
【0006】
インターフォンでは、顧客はオペレータに自身が知りたいことを問い合わせることができる。しかし、自身が知りたいことをオペレータに説明させるには、オペレータが理解できるように問い合わせをしなければならない。つまり、自身が行いたいことを正確にオペレータに伝えなければならない。途中で操作方法が分からなくなったような場合には、そのときの状況等も正確に伝える必要がある。
【0007】
このような情報伝達は、自動機の利用で困っているような人にとっては困難なのが普通である。このため、インターフォンを用いた言葉による情報伝達では、オペレータは迅速、且つ適切な対応をとるのが困難なのが実情となっている。そのような対応に時間がかかるほど、自動機の利用効率は低下することになる。その利用効率の低下を抑制する意味からも、顧客に係わらず、オペレータが迅速、且つ適切な対応をより容易にとれるようにすることが重要と考えられる。
【特許文献1】特開平10−222725号公報
【特許文献2】特開2006−65596号公報
【特許文献3】特開平10−241010号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、顧客に係わらず、オペレータが迅速、且つ適切な対応をより容易にとれるようにするための技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明を適用した1システムでは、操作対象となる図柄が配置された画面を随時、切り換えて表示させることにより、所望の金融取引を行わせる自動機を利用する顧客から問い合わせがあった場合に、その自動機と通信ネットワークを介して接続された、その自動機の状態を監視するための監視装置に現在、表示中の画面をその自動機から通知し、通知された画面を監視装置が表示可能な表示装置上に表示させることにより、問い合わせに対応するオペレータに視認可能とさせる。
【0010】
画面を随時、切り換える自動機の操作方法を問い合わせる顧客は、操作方法が途中で分からなくなって問い合わせる場合が多い。顧客が問い合わせを行った時点で自動機が表示させている画面を視認可能とさせる場合、オペレータは、その画面から、問い合わせを行った顧客の状況を容易に把握できるようになる。顧客との会話は、その状況をベースに行うことができる。オペレータにとっては、状況を理解したうえで顧客の話を伺うことから、顧客が伝えたい内容をより正確、且つ迅速に把握することができるようになる。現在、表示されている画面上で行うべき操作を具体的に伝えられることから、顧客にとって分かりやすい指示を行えるようになる。これらの結果、オペレータは顧客に係わらず、迅速、且つ適切な対応をより容易にとれることとなる。
【発明の効果】
【0011】
本発明を適用した場合には、顧客に係わらず、オペレータは迅速、且つ適切な対応をより容易にとることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本実施形態による監視装置が適用された金融システムの構成を示す図である。この金融システムは、たとえば複数の自動機10が設置された店舗に通信ネットワーク1を構築して、自動機10、及びホストコンピュータ(以降「ホスト」と略記)4をその通信ネットワーク1により接続し、自動機10を監視するための監視センター40に設置したサーバ30は通信ネットワーク1と接続した通信ネットワーク2に接続し、監視センター40の複数の端末装置5とサーバ30とは監視センター40に構築した通信ネットワーク3により接続した構成となっている。本実施形態による監視装置は、サーバ30として実現されている。
【0013】
上記通信ネットワーク1及び3は、例えばLANであり、通信ネットワーク2はWAN、或いはインターネットである。ホスト4は、金融取引を行う場合に自動機10が問い合わせや実施された取引の内容を通知するものである。監視センター40の端末装置5のオペレータは、自動機10を利用する顧客に対応する係員である。
【0014】
各自動機10には、オペレータと通話可能なインターフォンが設置されている。本実施形態では、このインターフォンは自動機10に接続された機器であり、インターフォンにより入力された音声は自動機10によりパケット化され、通信ネットワーク1、2、サーバ30、及び通信ネットワークを介して、対応するオペレータが使用する端末装置5に送信され再生されるものと想定する。その想定により、端末装置5により入力されたオペレータの音声は、端末装置5によりパケット化され、サーバ30を中継して自動機10に送信され、インターフォンにより再生されるものとする。
【0015】
図2は、自動機10の外観図である。この自動機10は、例えば各種金融取引を行うことが可能なATM(Automatic Teller Machine)である(このことから以降「ATM」と呼ぶ)。図2に示すようにATM10の正面側(利用者と対向する側)には、利用者がカードを挿入するカード出入口11、通帳を挿入する通帳出入口12、紙幣を対象とした入金、或いは出金用の紙幣出入口13、硬貨を対象とした入金、或いは出金用の硬貨出入口14、各種画面を表示可能な表示部15、表示部15の画面を覆うように設置されたタッチパネル部16、及び二つのスピーカ17が設けられている。
【0016】
図3は、上記ATM10の回路構成図である。図3に示すようにATM10は、ATM10全体の制御を行うATM制御部21と、ATM制御部21がワークに用いる内部メモリ22と、例えば不揮発性の記憶装置である記憶部23と、カード出入口11から挿入されたカードにアクセスするカード処理部24と、通帳出入口12から挿入された通帳への記帳を行う通帳処理部25と、紙幣出入口13を介した入金、或いは出金を行う紙幣処理部26と、貨幣出入口14を介した入金、或いは出金を行う硬貨処理部27と、上記表示部15と、上記タッチパネル部16と、二つのスピーカ17からなるスピーカ群28aを介して音声を出力させる音声出力部28と、ホストと通信ネットワーク1を介して通信を行う通信部29と、を備えた構成となっている。
【0017】
上記ATM制御部21は、例えばCPUが搭載されたプリント基板(PCB)である。内部メモリ22は、例えばプリント基板上に搭載されたRAMであり、記憶部23は、例えばプリント基板上に搭載されたフラッシュメモリ、或いはプリント基板と接続されたハードディスク装置等の外部記憶装置である。ATM制御部21は、記憶部23に格納されたプログラムを実行することにより、ATM10全体の制御を実行する。
【0018】
ATM制御部21は、タッチパネル部16への操作、或いはカード処理部24によるカード検出等を契機に、取引内容を種類毎にボタンで示す画面を表示部15に表示させる。その後は、タッチパネル部16への操作に応じて、表示すべき画面を選択して表示部15に表示させる。そのようにして、表示させる画面を随時、切り換えることにより、顧客に必要なデータ入力を行わせる。表示部15に表示させる画面のデータは、例えば記憶部23に記憶されている。ATM制御部21は、記憶部23から表示させる画面のデータを読み出して表示部15に出力することにより、表示させるべき画面を表示部15に表示させる。
【0019】
インターフォンは、例えば音声出力部28と接続される。その音声出力部28は、受話器により入力した音声をデジタルデータに変換してATM制御部21に出力する。ATM制御部21は、そのデジタルデータに対し所定の符号化処理を行い、通信部29に出力して、サーバ30に送信する。サーバ30から送信された音声データは、通信部29からATM制御部21に送られて復号され、音声出力部28にデジタルデータとして出力される。それにより、受話器から音声が出力される。
【0020】
図4は、画面テーブルの構成を示す図であり、図5は、ボタンIDテーブルの構成を示す図である。
画面テーブルは、ATM10で表示させる画面を管理するためのデータベース(DB)である。図4に示すように、画面を表示させるための画面データは、画面を一意に表す画面番号が割り当てられて、画面テーブルに格納(登録)されている。
【0021】
各画面には、図7に示すように、操作対象となる図柄としてボタンが配置されている。図5に示す、ボタンIDテーブルは、画面毎に、その画面に配置された各ボタンの位置を示す座標データを格納したデータベースである。各ボタンは、一意に表すボタンIDが割り当てられており、X座標、Y座標の座標データは、ボタンID毎に2つ格納されている。左右のX座標は、ボタンが占めるX座標上の範囲を示し、上下のY座標は、そのボタンが占めるY座標上の範囲を示している。それにより、ボタンが存在する範囲は、左上の角と、右下の角とで表している。
【0022】
ATM制御部21は、タッチパネル部16から出力される信号を解析して、顧客がタッ
チした位置を特定する。その特定結果を用いてボタンIDテーブルを参照することにより、顧客がボタンを操作したか否か判定し、操作したと判定した場合には、顧客が操作したボタンのボタンIDを特定する。次に表示させる画面は、特定したボタンIDに応じて決定する。それにより、顧客のタッチパネル部16への操作に応じて、表示部15に表示させる画面の切り換えを行う。
【0023】
このように画面をATM10は随時、切り換える。操作方法を問い合わせる顧客は、操作方法が途中で分からなくなって問い合わせる場合が多い。このことから本実施形態では、顧客が問い合わせを行った時点でATM10が表示させている画面をオペレータに提示するようにしている。提示された画面からオペレータは、問い合わせを行った顧客の状況を容易に把握することができ、顧客との会話は、その状況をベースに行うことができる。オペレータにとっては、状況を理解したうえで顧客の話を伺うことから、顧客が伝えたい内容をより正確、且つ迅速に把握することができるようになる。現在、表示されている画面上で行うべき操作を具体的に伝えられることから、顧客にとっては分かりやすい指示を受けられるようになる。これらの結果、オペレータは顧客に係わらず、迅速、且つ適切な対応をより容易にとれることとなる。
【0024】
ATM10で現在、表示中の画面の提示は、サーバ30によって行われる。サーバ30は、図1に示すように、通信ネットワーク2を介した通信を行うための通信部31、通信ネットワーク3を介した通信を行うための通信部32,画面テーブル33a、及びボタンIDテーブル33bを格納した記憶部33、及び処理部34を備えた機能構成となっている。
【0025】
図7は、サーバ30が管理する画面テーブル33aによって表示される各種画面を示す図である。それら各種画面は、金融機関を指定して振り込みを行おうとする顧客からの問い合わせに対応する場合のものである。
【0026】
画面上で操作すべきボタンを言葉で伝えるのは困難である。このことからサーバ30が管理する画面テーブル33aは、顧客に行うべき操作を伝えられる画面を格納したものとしている。その画面には、ATM10で実際に表示される画面(イメージ)の他に、顧客に係わる処理を指示するためのボタンが配置されている。具体的には、図7(a)において、「A銀行」「B銀行」・・・「農協」の各ボタンが内部に配置された矩形の枠は、ATM10で実際に表示される画面(イメージ)の範囲を示しており、「表示画面取得」ボタンや「処理終了」ボタンはそれぞれ、ATM10から表示されている画面の番号を再度、取得するのを指示する、処理の終了を指示する、つまり顧客への対応の終了を指示するためのものである。そのような「表示画面取得」「処理終了」ボタンは図7(b)〜(e)に示す各画面に共通に配置されている。ATM10で実際に表示される画面分については以降「オリジナル画面」と呼ぶことにする。
【0027】
図7(b)では、「送信」ボタンが追加されている。「送信」ボタンの追加は、「農協」ボタンの選択によって行われており、その「送信」ボタンは、「農協」ボタンを強調表示させた画面の表示をATM10に行わせるためのものである。強調表示されたボタンを表示させることにより、その状況下で操作すべきボタンを顧客に視覚的に提示するようにして、オペレータが考える操作すべきボタンを顧客がより確実、且つ容易に操作できるようにさせている。
【0028】
このようにして本実施形態では、端末装置5上で表示させる、ATM10で表示中の画面は、その画面自体をオリジナル画面としてオペレータに視認させることの他に、顧客が操作すべきと通知するボタンの選択用としている。その選択用とすることにより、端末装置5に表示させる画面が複雑化するのを回避して、オペレータが容易に対応できる環境を
実現させている。
【0029】
図8は、顧客からの問い合わせがある場合に、ATM10、及び監視センター40側がそれぞれ実行する処理を示すフローチャートである。次に図8を参照して、その場合のATM10及び監視センター40側の動作について詳細に説明する。図8に示す処理では、顧客が問い合わせを行う場合に実行される処理を抜粋してその流れの例を示している。その処理は、ATM10ではATM制御部21が例えば記憶部23に格納されたプログラムを実行することにより、監視センター40側ではサーバ30は処理部34が例えば記憶部33に格納されたプログラム、端末装置5はCPUが例えばハードディスク装置に格納されたプログラムをそれぞれ実行することにより実現される。
【0030】
顧客への実際の対応は端末装置5のオペレータが行う。このことから、監視センター40側の処理は、サーバ30の他に、顧客に対応するオペレータが使用する端末装置5が実行する処理も流れに沿って示している。
【0031】
先ず、ステップSA1では、インターフォンはフックオンか否か判定する。顧客が受話器(普通、送話器と一体である)を外したような場合、ATM制御部21にはその旨が音声出力部28から通知される。このため、判定はYESとなってステップSA2に移行する。そうでない場合には、判定はNOとなり、再度ステップSA1を実行する。
【0032】
ステップSA2では、取引中か否か判定する。ATM制御部21は、例えば取引休止画面、或いは係員処理画面を表示部15に表示させていた場合、取引中ではないと見なすことにより、判定はNOとなって上記ステップSA1に戻る。それら以外の画面を表示させていた場合には、判定はYESとなってステップSA3に移行する。
【0033】
なお、本実施形態では、取引中であることをインターフォンの使用可能の条件としているが、そのような条件を設けなくとも良い。つまり、取引を開始する前の状況でもインターフォンによる問い合わせを行えるようにしても良い。
【0034】
ステップSA3では、表示中の画面の画面番号を電文に設定し、次のステップSA4でその電文をサーバ30(監視センター40)に送信する。その電文は、サーバ30等とのデータ送信を行うためのものであり、図6(a)に示すような構成となっている。店番は、ATM10が設置された店舗に割り当てられた番号、機番はATM10自身に割り当てられた番号、画面番号は現在、表示中の画面に割り当てられている画面番号、メッセージは送信先に伝えるべき内容をそれぞれ表している。図6(a)に構成を示す電文は、ATM10からサーバ30(監視センター40)に送信される電文の1例であり、送信するデータによって電文の構成(種類)が選択される。
【0035】
図8に示すセンター40側の処理は、その電文をサーバ30が受信するのを契機として実行されるものを示している。ステップSB1〜SB3はサーバ30によって実行される。
【0036】
先ず、ステップSB1では、ATM10から送信された電文を通信部31により受信する。次のステップSB2では、受信した電文より、画面番号を抽出し、その画面番号を用いて画面テーブル33aを検索して対応する画面データを取得する。その次のステップSB3では、取得した画面データを端末装置5に送信して表示させる。また、ボタンIDテーブル33bから画面データに対応する部分を抽出して端末装置5に送信する。ボタンIDテーブル33bから抽出する1画面分は以降「部分ボタンIDテーブル」と呼ぶことにする。
【0037】
サーバ30は、特には図示していないが、電文中の店番、及び機番から、新たな問い合わせが発生したか否か判定し、新たな問い合わせが発生したと判定した場合、問い合わせに対応していないオペレータ(端末装置5)のなかから、今回の問い合わせに対応させるオペレータを自動的に選択するか、或いはインターフォンに応答したオペレータを選択する。そのようにして、問い合わせに対応するオペレータを選択した後は、次に同じ店番、機番の電文を受信した場合、その店番、及び機番からオペレータを特定し、そのオペレータに対応させる。通話による音声データの中継は、そのようにしてオペレータとATM10の対応関係に従って行う。ここでは説明上、便宜的に、その中継についての詳細は省略する。
【0038】
新たな問い合わせによりステップSB3で端末装置5に表示させる画面は、図7中では例えば図7(a)に示す画面が相当する。ステップSB3に続くステップSB4〜SB10は、顧客に対応するオペレータが使用する、図7(a)に示すような画面を表示させた端末装置5が実行する処理である。その画面は、端末装置5が備えた、或いは接続された表示装置上に表示される。その表示装置は図8中「モニター」と表記している。
【0039】
ステップSB4では、端末装置5は図7(a)に示すような画面を表示させた後、その画面上の何らかのボタンをオペレータが操作するのを待つ。何らかのボタンの操作を検出するとステップSB5に移行して、「表示画面取得」ボタンが操作(押下)されたか否か判定する。そのボタンをオペレータが操作した場合、判定はYESとなり、その旨を通知することによってサーバ30が実行するステップSB13に移行する。そのボタンをオペレータが操作していない場合には、判定はNOとなってステップSB6に移行する。
【0040】
ステップSB6では、「処理終了」ボタンが操作(押下)されたか否か判定する。オペレータがそのボタンを操作した場合、判定はYESとなって、その旨を通知することによってサーバ30が実行するステップSB12に移行する。そのボタンをオペレータが操作していない場合には、判定はNOとなってステップSB7に移行する。
【0041】
ステップSB7への移行は、オリジナル画面上の何れかのボタンをオペレータが操作したことを意味する。このことからステップSB7では、オペレータが操作した座標位置を用いて部分ボタンIDテーブルを検索することにより、その座標位置に存在するボタンのIDを取得する。次のステップSB8では、取得したIDをATM10に送信するデータとして設定する。ステップSB9にはその後に移行する。
【0042】
ステップSB9では、強調表示させるべきボタンをオペレータが選択したことから、図7(b)に示すように「送信」ボタンを表示させる。次のステップSB10では、その「送信」ボタンを操作(押下)するのを待つ。そのボタンをオペレータが操作すると、設定したボタンIDを通知することによってサーバ30が実行するステップSB11に移行する。
【0043】
ステップSB11では、サーバ30は端末装置5から通知されたボタンIDを持つボタンの強調表示をATM10に指示する電文を作成して送信する。その電文は、例えば図6(b)に示すような構成となっている。店番は、電文の送信先となるATM10が設置された店舗に割り当てられた番号、機番はそのATM10自身に割り当てられた番号、画面番号は強調表示を行う対象となる画面に割り当てられている画面番号、ボタンIDは強調表示すべきボタンに割り当てられたボタンIDである。このような電文の送信により、ATM10からの電文の受信に対応するための監視センター40側の処理が一旦、終了する。このため、ATM10からの電文を受信するのを待つ形となる。図6(b)に構成を示す電文は、サーバ30(監視センター40)からATM10に送信される電文の1例であり、送信するデータによって電文の構成が選択される。
【0044】
なお、ボタンIDの取得は、特には図示していないが、実際には「送信」ボタンが操作されるまでの間、オペレータがオリジナル画面上の何れかのボタンを操作する度に行われる。ATM10に強調表示させるボタンは、オペレータが最後に操作したボタン、つまり最後に取得したボタンIDを持つボタンとなる。
【0045】
ステップSB6の判定がYESとなることで移行するステップSB12では、サーバ30は処理終了を要求するメッセージを格納した電文を作成する。その作成後にステップSB11に移行して、作成した電文をATM10に送信する。同様にステップSB5の判定がYESとなることで移行するステップSB13では、表示中の画面の番号を取得要求(画面番号取得要求)するメッセージを格納した電文を作成し、その作成後にステップSB11に移行して、作成した電文をATM10に送信する。それにより本実施形態では、表示中の画面の番号を随時、取得できるようにしている。
【0046】
顧客は、問い合わせ中、ATM10に何らかの操作を行うことがある。オペレータの指示通りの操作を必ず行うとは限らない。このようなことから本実施形態では、ATM10の状況を必要に応じて確認できるように、オペレータの指示により表示中の画面の番号を取得できるようにさせている。それにより、顧客の操作によって画面が切り換わっても、顧客と同じ画面をベースにした情報伝達を行えるようにさせている。
【0047】
上述したようにしてサーバ30が作成・送信する電文は、ATM10側ではステップSA5で受信される。続くステップSA6では、受信した電文中のメッセージは表示中の画面番号取得要求か否か判定する。その画面番号取得要求がメッセージで示されていた場合、判定はYESとなって上記ステップSA3に戻り、画面番号をメッセージ中に持つ電文を作成する。その取得要求がメッセージに示されていない場合には、判定はNOとなってステップSA7に移行する。
【0048】
ステップSA7では、受信した電文中のメッセージは処理終了の要求か否か判定する。その処理終了の要求がメッセージで示されていた場合、判定はYESとなってステップSA16に移行し、インターフォンがフックオフするのを待って上記ステップSA1に戻る。その処理終了の要求がメッセージに示されていない場合には、判定はNOとなってステップSA8に移行する。
【0049】
ステップSA8への移行は、強調表示すべきボタンのID、及び画面番号を(メッセージとして)持つ電文を受信したことを意味する。このことからステップSA8では、表示中の画面の番号が受信した画面番号と一致するか否か判定する。それらの番号が一致した場合、判定はYESとなってステップSA10に移行する。それらの番号が一致しなかった場合には、判定はNOとなってステップSA9に移行する。
【0050】
ステップSA9では、監視センター40側で表示させている画面がATM10で表示中の画面とは異なる旨を通知するメッセージを格納した図6(a)に示す構成の電文を作成する。その作成後は上記ステップSA3に移行して、電文をサーバ30に送信する。
【0051】
その電文は、ステップSB1でサーバ30によって受信される。その電文を受信したサーバ30は、その電文から、顧客に対応しているオペレータが使用する端末装置5を特定し、その端末装置5に表示させている画面に、ATM10が表示中の画面とは異なることを通知するためのメッセージを挿入し、そのメッセージを挿入した画面を端末装置5に送信する。そのメッセージは、例えば図7(e)に示す「監視センターの画面と表示中の画面が異なります」というようなものである。監視センター40側で表示させている画面がATM10で表示中の画面とは異なる旨を通知するメッセージを格納した電文を受信した場合には、このようなことがステップSB2及びSB3として実行される。
【0052】
ステップSA10では、メッセージ中のボタンIDに対応するボタンを強調表示させる。次のステップSA11では、顧客がボタンを操作するのを待つ。何れかのボタンを顧客が操作すると、ステップSA12に移行して、顧客が操作(タッチ)した座標位置よりボタンIDテーブルのなかで表示中の画面に対応する部分を検索しボタンIDを取得する。その取得後に移行するステップSA13では、取得したボタンIDは受信したボタンIDと一致するか否か判定する。強調表示させたボタンを顧客が操作した場合、それらのボタンIDは一致するから、判定はYESとなってステップSA14に移行し、強調表示させたボタンを顧客が操作した旨を通知するメッセージを格納した図6(a)に示す構成の電文を作成する。強調表示させたボタンを顧客が操作しなかった場合には、それらのボタンIDは一致しないから、判定はNOとなってステップSA15に移行し、強調表示させたボタンを顧客が操作しなかった旨を通知するメッセージを格納した図6(a)に示す構成の電文を作成する。そのようにしてステップSA14或いはSA15で電文を作成した後は上記ステップSA3に移行して、作成した電文の送信を行う。
【0053】
ステップSA14或いはSA15で作成して送信された電文は、ステップSB1でサーバ30によって受信される。電文を受信したサーバ30は、その電文から、顧客に対応しているオペレータが使用する端末装置5を特定し、その端末装置5に表示させている画面に、電文中のメッセージに応じた文章を挿入し、その文章を挿入した画面を端末装置5に送信する。その文章とは、顧客が強調表示させたボタンを操作したことを通知するメッセージでは、例えば図7(c)に示す「強調表示のボタンが押下されました」というようなものであり、顧客が強調表示させたボタンを操作しなかったことを通知するメッセージでは、例えば図7(d)に示す「強調表示以外のボタンが押下されました」というようなものである。ステップSA14或いはSA15で作成された電文を受信した場合には、このようなことがステップSB2及びSB3として実行される。
【0054】
なお、本実施形態では、複数のオペレータにより顧客に対応することを想定し、監視装置をサーバ30として実現させているが、端末装置5を監視装置として使用可能としても良い。また、操作の指示は、ボタンの強調表示により行うようにしているが、別の方法を採用しても良い。
【0055】
上記サーバ30、ATM10、或いはその変形例を実現させるプログラムは、それぞれ記憶部33、23に格納しているが、光ディスク、フラッシュメモリ等の記録媒体を介して配布しても良い。或いは通信ネットワークを介して配信するようにしても良い。自動機は、ATM以外の種類であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本実施形態による監視装置が適用された金融システムの構成を示す図である。
【図2】自動機(ATM)10の外観図である。
【図3】自動機(ATM)10の回路構成図である。
【図4】画面テーブルの構成を示す図である。
【図5】ボタンIDテーブルの構成を示す図である。
【図6】電文のデータ構成を示す図である。
【図7】サーバ30が管理する画面テーブル33aによって表示される各種画面を示す図である。
【図8】顧客からの問い合わせがある場合に、ATM10、及び監視センター40側がそれぞれ実行する処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0057】
1、2、3 通信ネットワーク
5 端末装置
10 ATM
15 表示部
16 タッチパネル部
21 ATM制御部
22 内部メモリ
23、33 記憶部
28 音声出力部
29、31、32 通信部
30 サーバ
33a 画面テーブル
33b ボタンIDテーブル
34 処理部
40 監視センター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作対象となる図柄が配置された画面を随時、切り換えて表示させることにより、所望の金融取引を顧客に行わせる自動機と通信ネットワークを介して接続された監視装置において、
前記自動機との前記通信ネットワークを介した通信により前記自動機が表示中の画面を特定する画面特定手段と、
前記画面特定手段が特定した画面を、顧客に対応するオペレータが使用している表示装置上に表示させる表示制御手段と、
を具備することを特徴とする監視装置。
【請求項2】
前記表示制御手段により表示された画面上で顧客が操作すべき図柄をオペレータが指定した場合に、該図柄の操作を顧客に促す表示を前記自動機に前記通信ネットワークを介して指示する表示指示手段、
を更に具備することを特徴とする請求項1記載の監視装置。
【請求項3】
前記表示中の画面の通知を前記自動機に前記通信ネットワークを介して要求し、前記画面特定手段に該画面特定を再度、行わせる要求手段、
を更に具備することを特徴とする請求項1、または2記載の監視装置。
【請求項4】
操作対象となる図柄が配置された画面を随時、切り換えて表示させることにより、所望の金融取引を顧客に行わせる自動機の利用を支援する方法であって、
前記自動機を利用する顧客から問い合わせがあった場合に、該自動機と通信ネットワークを介して接続された、該自動機の状態を監視するための監視装置に現在、表示中の画面を該自動機から通知し、
前記通知された画面を前記監視装置が表示可能な表示装置上に表示させることにより、該問い合わせに対応するオペレータに視認可能とさせる、
ことを特徴とする自動機利用支援方法。
【請求項5】
操作対象となる図柄が配置された画面を随時、切り換えて表示させることにより、所望の金融取引を顧客に行わせる自動機と通信ネットワークを介して接続された監視装置として用いられるコンピュータに、
前記自動機との前記通信ネットワークを介した通信により前記自動機が表示中の画面を特定する画面特定機能と、
前記画面特定機能により特定した画面を、顧客に対応するオペレータが使用している表示装置上に表示させる表示制御機能と、
を実現させるためのプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図8】
image rotate

【図7】
image rotate