説明

監視装置

【課題】既存の強電タイプの警報表示装置の各警報出力回路に対して、印加電圧の種類や電圧値の事前調査をすることなく、また、リレー回路を設けることなしで監視信号出力回路を接続できるとともに、既存の弱電タイプの警報表示装置の各警報接点回路に対して、監視信号出力回路を直接接続できる監視装置を提供する。
【解決手段】監視装置31は、強電タイプの警報表示装置の各警報出力回路32〜35毎に、直接監視信号出力回路1を接続するものであり、警報出力回路の印加電圧の極性や電圧値の事前調査をすることなく、また、リレー回路等の変換装置を設けることなしで、既設の監視信号回路に対して新たに監視装置を付設することができる。監視装置41は、弱電タイプ警報接点回路42〜44毎に、直接監視信号出力回路11を接続するものであり、既設の警報接点回路に対して新たに監視装置を付設することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
スーパー・百貨店等の商業施設等に設置される警報表示装置としては、(1)警報表示灯を点灯させたり、ブザー等を作動させる強電タイプ(12〜200V)のものと、(2)発光ダイオード(以下、LEDという)や液晶ディスプレイ等を点灯させる弱電タイプ(12V以下)のものがある。これら既設の警報表示装置に対して、新たに監視装置を接続する場合には、該監視装置の監視信号出力回路が全て接点の閉信号を監視信号として出力するように設計されているため、以下に述べる問題点がある。
【0003】
上記(1)の強電タイプの警報表示装置の警報表示回路は、多くの場合警報表示のみで警報出力接点を有していない。従って、警報表示装置の複数の警報表示回路毎に、リレー回路を接続してリレーの作動により監視信号出力回路の接点を閉成する必要がある。このためには、各警報表示回路に印加される電圧が交流か直流か或いは印加電圧値を計測する事前調査を行ない、適格のリレー回路を警報表示回路毎に接続する必要がある。これらの事前調査は、大規模事業所や施設のように多数の警報表示回路が設置されている場合には、非常に面倒な作業となってしまうという問題点がある。
【0004】
また、(2)の弱電タイプの警報表示装置の警報表示回路の場合は、監視装置の監視信号出力回路を接続して接点の閉信号を取り込むためには、各接点に弱電流を流す必要がある。さらに、警報表示回路はLEDや液晶ディスプレイの表示のために既に接点は使用されていて、この回路に監視信号出力回路を接続すれば警報表示装置そのものに影響を与えてしまう。そして、弱電タイプの警報表示装置のLEDや液晶ディスプレイ等の回路基板にリレー回路を追加することは不可能である。このため、弱電タイプの警報表示装置の警報表示回路から接点の閉信号を取り込むことは、実際上できなかったという問題点がある。
【特許文献1】なし
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記問題点を解決するためになされたもので、既存の強電タイプの警報表示装置の各警報出力回路に対して、印加電圧の種類や電圧値の事前調査をすることなく、また、リレー回路を設けることなしで監視信号出力回路を接続できるとともに、既存の弱電タイプの警報表示装置の各警報接点回路に対して、監視信号出力回路を直接接続できる監視装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題点を解決するための請求項1に記載の監視装置は、複数の警報出力回路の各出力電圧に共通的に対応できるように、双方向性フォトカプラの電圧入力回路に制限電流抵抗を介装し、前記警報出力回路が閉成されたときの出力電圧により、該双方向性フォトカプラの作動に必要な電流が流れて、監視信号を出力するようにした同一構成の監視信号出力回路を、前記複数の警報出力回路毎にそれぞれ接続したことを特徴とする。
【0007】
また、請求項2に記載の監視装置は、複数の警報接点回路の異なる接点電圧に共通的に対応できるように、双方向性フォトカプラの接点電圧入力回路に、絶対値で前記接点電圧より少ない値で極性が異なる電圧をそれぞれ印加するとともに、前記接点電圧に伴う作動電流が前記双方向性フォトカプラに流れないようにした電圧印加回路と、該電圧印加回路を接点電圧の極性に応じて予め切換える切換えスイッチとを設けて、前記警報接点回路が閉成されたとき、前記電圧印加回路の印加電圧により前記双方向性フォトカプラの作動に必要な電流が流れて、監視信号を出力するようにした同一構成の監視信号出力回路を、前記複数の警報接点回路毎にそれぞれ接続したことを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の監視装置は、複数の警報出力回路が閉成されたときの各出力電圧に共通的に対応できるように、双方向性フォトカプラの電圧入力回路に制限電流抵抗を介装して、前記警報出力回路の出力により該双方向性フォトカプラの作動に必要な電流が流れるようにした同一構成の監視信号出力回路を複数用意し、前記複数の警報出力回路のそれぞれに接続するとともに、複数の警報接点回路の異なる接点電圧に共通的に対応できるように、双方向性フォトカプラの接点電圧入力回路に、絶対値で前記接点電圧より少ない値で極性が異なる電圧をそれぞれ印加するとともに、前記接点電圧に伴う作動電流が前記双方向性フォトカプラに流れないようにした電圧印加回路と、該電圧印加回路を接点電圧の極性に応じて予め切換える切換えスイッチとを設けて、前記警報接点回路が閉成されたとき、前記電圧印加回路の印加電圧により前記双方向性フォトカプラの作動に必要な電流が流れて、監視信号を出力するようにした同一構成の監視信号出力回路を、前記複数の警報接点回路毎にそれぞれ接続して、構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載の構成の監視装置によれば、既存の強電タイプの警報表示装置の各警報出力回路に対して、印加電圧の種類や電圧値の事前調査をすることなく、また、リレー回路等の変換装置を設けることなく監視信号出力回路を直接接続できる。
【0010】
請求項2に記載の構成の監視装置によれば、既存の弱電タイプの警報表示装置の各警報接点回路に対して、監視信号出力回路を直接接続できる。
【0011】
請求項3に記載の監視装置によれば、複数の強電タイプの警報出力回路と、複数の弱電タイプの警報接点回路が混在する警報表示装置に対して、それぞれのタイプに応じた監視信号出力回路を直接接続できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
強電タイプの警報表示装置の各警報出力回路に対して、印加電圧の極性や電圧値の事前調査をすることなく、また、リレー回路等の変換装置を設けることなしで監視信号出力回路を接続できる監視装置を提供するという目的を、複数の警報出力回路が閉成されたときの各出力電圧に共通的に対応できるように、双方向性フォトカプラの電圧入力回路に制限電流抵抗を介装して、警報出力回路が閉成されたときの出力電圧により、該双方向性フォトカプラの作動に必要な電流が流れて監視信号を出力する同一構成の監視信号出力回路を、各警報出力回路毎に接続することで実現した。
【0013】
また、弱電タイプの警報表示装置の各警報接点回路に対して、監視信号出力回路を直接接続できる監視装置を提供するという目的を、複数の警報接点回路の異なる接点電圧に共通的に対応できるように、双方向性フォトカプラの接点電圧入力回路に、絶対値で接点電圧より少ない値で極性が異なる電圧をそれぞれ印加するとともに、接点電圧に伴う作動電流が前記双方向性フォトカプラに流れないようにした電圧印加回路と、該電圧印加回路を接点電圧の極性に応じて予め切換える切換えスイッチとを設けて、警報接点回路が閉成されたとき双方向性フォトカプラの作動に必要な流れて監視信号を出力する同一構成の監視信号出力回路を、各警報接点回路毎に接続することにより実現した。
【実施例】
【0014】
本発明の実施例について、添付図面を参照して説明する。図1は、警報ランプや警報ブザー等の強電(12〜200V)タイプの警報出力回路に接続される監視信号出力回路1を示したものである。監視信号出力回路1は、両端に接続端子2a,2bを設けた電圧入力回路3に、双方向性フォトカプラ(以下、単にフォトカプラという)4の2個のフォトダイオード5a,5bが向きを互いに逆にして並列に接続されている。電圧入力回路3には、接続端子2aとフォトカプラ4間に制限電流抵抗R1(15kΩ)と、フォトカプラ4と接続端子2b間に制限電流抵抗R2(15kΩ)が接続され、フォトカプラ4と並列に保護抵抗R3(1kΩ)が接続されている。
【0015】
フォトカプラ4のフォトトランジスタ6のエミッタ端子は、抵抗R4を介して接地されるとともに、増幅用トランジスタ7のベースに接続されている。増幅用トランジスタ7のエミッタ端子は接地されている。フォトトランジスタ6と増幅用トランジスタ7のコレクタ端子にはプルアップ回路8が接続され、プルアップ抵抗R5を介して直流電圧Vcc(+12V)にプルアップされている。プルアップ回路8には、監視信号出力端子9が接続されている。
【0016】
上記構成の監視信号出力回路1は、電圧入力回路3の接続端子2a,2bを強電(12〜200V)タイプの警報出力回路10に接続する。警報出力回路10が直流であろうと交流であろうと電圧値が12〜200Vの範囲であれば、該警報出力回路10が閉成して警報が表示されると、制限電流抵抗R1及びR2を介装した電圧入力回路3には、フォトダイオードタ5a,5bの何れかにフォトカプラ4の作動に必要な電流が流れる。これにより、フォトトランジスタ6に電流が流れ、増幅用トランジスタ7により増幅されて、プルアップ回路8に接続された監視信号出力端子9に監視信号が出力される。警報出力回路10の電源が交流である場合は、出力される監視信号が脈流となる。このため、コンデンサを用いた平滑回路やコンピュータのプログラムによりソフト的に信号処理して、所定電圧の監視信号を得ている。
【0017】
図2は、発光ダイオード(以下、LEDという)を点灯させる弱電タイプ(12V以下)の警報接点回路に接続される監視信号出力回路11を示したものである。監視信号出力回路11は、接続端子12aとアース接続端子12bを設けた接点電圧(Vx)の電圧入力回路13に、フォトカプラ14のフォトダイオード15a,15bが向きを互いに逆にして並列に接続されている。電圧入力回路13には、抵抗R6が介装されている。フォトカプラ14のフォトトランジスタ16のエミッタ端子は接地されている。フォトトランジスタ16のコレクタ端子にはプルアップ回路18が接続され、プルアップ抵抗R7を介して直流電圧Vcc(+12V)にプルアップされている。プルアップ回路18には、監視信号出力端子19が接続されている。
【0018】
また、上記電圧入力回路13にはジャンパースイッチ20が接続されている。該ジャンパースイッチ20には、その切換えにより電圧入力回路13に対して+Vb若しくは−Vbの極性の異なる正負の電圧(Vx>|Vb|)を印加する電圧印加回路21a,21bが接続されている。さらに、電圧印加回路21a,21bには、それぞれダイオード22a,22bが介装されている。ダイオード22a,22bは、電圧入力回路13を警報接点回路24に接続したとき、その接点電圧Vxにより、フォトカプラ14に作動電流が流れないようにするものである。
【0019】
上記構成の監視信号出力回路11は、電圧入力回路13の接続端子12aとアース端子12bを、弱電(12V以下)タイプのLED警報表示基板23の警報接点回路24に接続する。警報接点回路24の正負の極性が不詳であっても、電圧値が±12以下であれば、該警報接点回路24が閉成してLEDが点灯すると、フォトダイオード15a,15bの何れかに、以下に説明するようにフォトカプラ14の作動に必要な電流が流れる。
【0020】
接点電圧Vxの極性が正の場合、予めジャンパースイッチ20が+Vbの電圧印加回路21a側に切り替えられている。このように切り替えられていると、警報接点回路24が開いていてVx>+Vbであっても、電圧印加回路21aに介装したダイオード22aにより、フォトカプラ14のフォトダイオード15bに電流がながれることがない。警報接点回路24が閉成してLEDが点灯すると、電圧入力回路13の電位がアース電位に下がり、電圧印加回路21aの電圧Vbにより、フォトダイオードタ15aにフォトカプラ14の作動に必要な電流が流れ、プルアップ回路18に接続された監視信号出力端子19に監視信号が出力される。
【0021】
また、接点電圧Vxの極性が負の場合、予めジャンパースイッチ20が−Vbの電圧印加回路21b側に切り替えられている。このように切り替えられていると、警報接点回路24が開いていて−Vx<−Vbであっても、電圧印加回路21bに介装したダイオード22bにより、フォトカプラ14のフォトダイオード15aに電流がながれることがない。従って、警報接点回路24が閉成してLEDが点灯すると、電圧入力回路13の電位がアース電位に下がり、電圧印加回路21bに向かってフォトダイオード15bにフォトカプラ14の作動に必要な電流が流れ、プルアップ回路18に接続された監視信号出力端子19に監視信号が出力される。
【0022】
図3は、同一構成の監視信号出力回路1を複数備えた監視装置31と、同一構成の監視信号出力回路11を複数備えた監視装置41を組み合わせた遠隔監視システムの概略ブロック図である。この遠隔監視システムは、監視装置31と監視装置41とを、例えばスーパー・百貨店等の商業施設の既設の警報表示盤等に接続して構築した例を示したものである。監視装置31からの監視信号と、監視装置41からの監視信号は、アスキーコード変換器51で各監視信号毎にコード変換され、続くメール作成器52で監視情報メールが作成されて、メール送信機53により所定のアドレスの送付先54に送付されるようにして、遠隔監視を行なうものである。
【0023】
監視装置31の各監視信号出力回路1のそれぞれには、商業施設の警報表示回路である、交流200Vの警報表示灯を点灯させる無極性の警報ランプ表示回路32、交流100Vの警報ブザーを鳴らす無極性の警報ブザー回路33、交流24Vのパイロットランプを点灯させる無極性のパイロットランプ点灯回路34、その他直流12Vの有極性の警報出力回路35等の何れか一つが接続されている。
【0024】
また、監視装置41の各監視信号出力回路11のそれぞれには、LED警報表示基板の正のバイアス電圧が印加された極性を有する警報接点回路42、負のバイアス電圧が印加された極性を有する警報接点回路43、無極性のメーク接点出力回路44等の何れか一つが接続されている。
【0025】
監視装置31の各監視信号出力回路1毎に、一つの警報出力回路に接続され、監視装置41の各監視信号出力回路11毎に、一つの警報接点回路に接続されている。従って、各監視信号が出力されると上記したように各監視信号毎にコード変換され監視情報メールが作成されて所定の送信先に送信される。
【0026】
以上説明で明らかなように、監視装置31は、強電タイプの警報表示装置の各警報出力回路32〜35毎に、直接監視信号出力回路1を接続するものであり、警報出力回路の印加電圧の極性や電圧値の事前調査をすることなく、また、リレー回路等の変換装置を設けることなしで、既設の警報出力回路に対して新たに監視装置を付設することができる。
【0027】
また、監視装置41は、弱電タイプの警報接点回路42〜44毎に、直接監視信号出力回路11を接続するものであり、既設の警報接点回路に対して新たに監視装置を付設することができる。
【0028】
そして、上記したように監視装置31と監視装置41を組み合わせた遠隔監視システムを既設の商業施設等に対して構築することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】監視信号出力回路1を示した回路図である。
【図2】監視信号出力回路11を示した回路図である。
【図3】監視装置31と監視装置41を組み合わせた遠隔監視システムの概略のブロック図である。
【符号の説明】
【0030】
1,11 監視信号出力回路
3 電圧入力回路
4,14 フォトカプラ
10 警報出力回路
13 接点電圧入力回路
20 ジャンパースイッチ
21a,21b 電圧印加回路
24 警報接点回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の警報出力回路の各出力電圧に共通的に対応できるように、双方向性フォトカプラの電圧入力回路に制限電流抵抗を介装し、前記警報出力回路が閉成されたときの出力電圧により、該双方向性フォトカプラの作動に必要な電流が流れて、監視信号を出力するようにした同一構成の監視信号出力回路を、前記複数の警報出力回路毎にそれぞれ接続したことを特徴とする監視装置。
【請求項2】
複数の警報接点回路の異なる接点電圧に共通的に対応できるように、双方向性フォトカプラの接点電圧入力回路に、絶対値で前記接点電圧より少ない値で極性が異なる電圧をそれぞれ印加するとともに、前記接点電圧に伴う作動電流が前記双方向性フォトカプラに流れないようにした電圧印加回路と、該電圧印加回路を接点電圧の極性に応じて予め切換える切換えスイッチとを設けて、前記警報接点回路が閉成されたとき、前記電圧印加回路の印加電圧により前記双方向性フォトカプラの作動に必要な電流が流れて、監視信号を出力するようにした同一構成の監視信号出力回路を、前記複数の警報接点回路毎にそれぞれ接続したことを特徴とする監視装置。
【請求項3】
複数の警報出力回路の各出力電圧に共通的に対応できるように、双方向性フォトカプラの電圧入力回路に制限電流抵抗を介装し、前記警報出力回路が閉成されたときの出力電圧により、該双方向性フォトカプラの作動に必要な電流が流れて、監視信号を出力するようにした同一構成の監視信号出力回路を、前記複数の警報出力回路毎にそれぞれ接続するとともに、
複数の警報接点回路の異なる接点電圧に共通的に対応できるように、双方向性フォトカプラの接点電圧入力回路に、絶対値で前記接点電圧より少ない値で極性が異なる電圧をそれぞれ印加するとともに、前記接点電圧に伴う作動電流が前記双方向性フォトカプラに流れないようにした電圧印加回路と、該電圧印加回路を接点電圧の極性に応じて予め切換える切換えスイッチとを設けて、前記警報接点回路が閉成されたとき、前記電圧印加回路の印加電圧により前記双方向性フォトカプラの作動に必要な電流が流れて、監視信号を出力するようにした同一構成の監視信号出力回路を、前記複数の警報接点回路毎にそれぞれ接続して、
構成したことを特徴とする監視装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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