説明

目標捕捉追跡装置及び赤外線撮像装置

【課題】温度分布を有する目標を継続して確実に捕捉・追跡できる目標捕捉追跡装置を提供すること。
【解決手段】本実施形態に係る目標捕捉追跡装置は、第1温度を検知する複数の第1赤外線検知素子と、第1温度より低い第2温度を検知する複数の第2赤外線検知素子とを市松状に配列し、第1及び第2赤外線検知素子の出力に基づいて画像情報を生成する赤外線カメラ11と、赤外線カメラ11により得られる画像情報をもとに、第1温度に対応する第1画像情報と、第2温度に対応する第2画像情報とを生成する赤外線カメラ用前処理回路21と、第1及び第2画像情報のそれぞれから目標候補を検出する目標検出回路22と、目標候補をもとに目標を判定する複合処理回路23とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、飛しょう体等の目標を捕捉・追跡するための目標捕捉追跡装置及び赤外線撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
目標捕捉追跡装置は、撮像した画像情報から自機に向かってくる飛しょう体を捕捉・追跡することを目的とした装置であり、所望の熱源目標を的確に捕捉・追跡する必要がある。そこで、従来では、飛しょう体の推進部から発する熱源(推進薬の燃焼)に赤外線カメラの感光時間などを併せて高温目標を撮像している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−133796号公報
【特許文献2】特開平10−243292号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述したような従来の目標捕捉追跡装置では、高温目標が消滅(推進薬の燃焼終了)すると、飛しょう体空力加熱部分である低温目標を撮像できなくなり、捕捉・追跡することが不可能になってしまう。
【0005】
本実施形態の目的は、温度分布を有する目標を継続して確実に捕捉・追跡可能にする目標捕捉追跡装置及び赤外線撮像装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態に係る目標捕捉追跡装置は、第1温度を検知する複数の第1赤外線検知素子と、前記第1温度より低い第2温度を検知する複数の第2赤外線検知素子とを市松状に配列し、前記第1及び第2赤外線検知素子の出力に基づいて画像情報を生成する赤外線撮像手段と、前記赤外線撮像手段により得られる原画像情報をもとに、前記第1温度に対応する第1画像情報と、前記第2温度に対応する第2画像情報とを生成する生成手段と、前記第1及び第2画像情報のそれぞれから目標候補を検出する目標検出手段と、前記目標候補をもとに目標を判定する判定手段とを具備する。
【0007】
本実施形態に係る赤外線撮像装置は、第1温度を検知する複数の第1赤外線検知素子と、前記第1温度より低い第2温度を検知する複数の第2赤外線検知素子とを市松状に配列し、前記第1及び第2赤外線検知素子の出力に基づいて画像情報を生成するものである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本実施形態に係る目標捕捉追跡装置を示す図。
【図2】赤外線カメラの構成を示す図。
【図3】目標検出処理を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら本実施形態に係る目標捕捉追跡装置及び赤外線撮像装置を説明する。
【0010】
図1は、本実施形態に係る目標捕捉追跡装置の構成図の例である。目標捕捉追跡装置は、赤外線カメラ11及び2軸ジンバル12を備える追跡装置1と、追跡装置1を制御する制御装置2とを備える。赤外線カメラ11は、高温を検知するように感度情報が設定された複数の高温用赤外線検知素子と、低温を検知するように感度情報が設定された複数の低温用赤外線検知素子とを市松状に配列し、高温用及び低温用赤外線検知素子の出力に基づいて画像情報を生成する。2軸ジンバル12は、赤外線カメラ11の視軸を水平方向及び高低方向に制御する。
【0011】
制御装置2は、赤外線カメラ11より得られる画像情報から高温を検知した画像情報と、低温を検知した画像情報とを生成する赤外線カメラ用前処理回路21と、赤外線カメラ用前処理回路21により得られた2つの画像情報から飛しょう体目標の候補を検出する目標検出回路22と、目標検出回路22により検出された目標候補から、最終的に捕捉・追跡する目標を判定する複合処理回路23と、目標に向けて2軸ジンバル12を制御するジンバル制御回路24とを有する。
【0012】
図2は、赤外線カメラ11の赤外線検知素子に設定される感度補正情報を示す。赤外線カメラ11は、例えば図2に示すように、1画素毎に感度補正情報が高温用、低温用に市松状に設定される。赤外線カメラ用前処理回路21は、赤外線カメラ11の各赤外線検知素子から出力される画素データを感度補正情報別に分離/配列することで、高温用、低温用の感度別の2つの画像情報を生成する。
【0013】
図3は、感度別の画像から目標を検出する処理を示す図である。目標検出回路22は、赤外線カメラ用前処理回路21により得られた感度別の2つの画像情報のそれぞれから、物体の大きさ及び温度情報などを有するセグメントを目標候補(高温目標、低温目標)として抽出する。複合処理回路23は、高温目標が存在する場合は、高温目標の位置情報をジンバル制御回路24へ出力する。一方、高温目標が消滅したら隣接している低温目標の位置情報をジンバル制御回路24へ出力する。ジンバル制御回路24は、複合処理回路23からの位置情報をもとに、赤外線カメラ11を飛しょう体方向へ指向するよう2軸ジンバル12を制御する。
【0014】
また、このとき、複合処理回路23は、目標検出回路22から目標候補の有する温度情報、物体の大きさなどの情報から、太陽光の反射による目標か飛しょう体目標かを判定することもできる
以上述べたように、本実施形態では、1つの赤外線カメラの赤外線検知素子の感度補正情報を高温用、低温用に市松状に設定し、高温の感度情報を有する画素群から得られる画像情報で飛しょう体を捕捉・追跡し、推進薬の燃焼終了時においては、低熱源の感度情報を有する画素群から得られる画像情報を用いることで、高温目標が消滅しても捕捉・追跡を継続することができる。
【0015】
なお、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0016】
1…追跡装置、2…制御装置、11…赤外線カメラ、12…2軸ジンバル、21…赤外線カメラ用前処理回路、22…目標検出回路、23…複合処理回路、24…ジンバル制御回路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1温度を検知する複数の第1赤外線検知素子と、前記第1温度より低い第2温度を検知する複数の第2赤外線検知素子とを市松状に配列し、前記第1及び第2赤外線検知素子の出力に基づいて画像情報を生成する赤外線撮像部と、
前記赤外線撮像部により得られる原画像情報をもとに、前記第1温度に対応する第1画像情報と、前記第2温度に対応する第2画像情報とを生成する生成手段と、
前記第1及び第2画像情報のそれぞれから目標候補を検出する目標検出手段と、
前記目標候補をもとに目標を判定する判定手段と
を具備することを特徴とする目標捕捉追跡装置。
【請求項2】
前記判定手段は、前記第1及び第2画像情報の両方から前記目標候補を検出した場合は、前記第1画像情報の目標候補を目標と判定することを特徴とする請求項1記載の目標捕捉追跡装置。
【請求項3】
第1温度を検知する複数の第1赤外線検知素子と、前記第1温度より低い第2温度を検知する複数の第2赤外線検知素子とを市松状に配列し、前記第1及び第2赤外線検知素子の出力に基づいて画像情報を生成する赤外線撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−21912(P2012−21912A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−160974(P2010−160974)
【出願日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】