説明

目標検出装置

【課題】ワイブル分布に従ったクラッタ等が存在する環境において受信されたレーダ信号中から、検出確率を低下させることなく一定の誤警報確率のもと、高速に目標を検出する、小型かつ低コストな目標検出装置を得る。
【解決手段】ワイブル分布の確率密度関数における形状パラメータcを算出する際に、検波信号xの平均値<x>と検波信号xの自乗平均値の平方根√<x>を用いず、これらに替えて検波信号xの自乗値<x>と検波信号xの自乗平均値<x>を用いることによって、回路規模/演算コストの増大要因となる平方根算出演算を含まずに形状パラメータcを算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイブル分布に従ったクラッタ等が存在する環境において受信されたレーダ信号中から、一定の誤警報確率で目標を検出する目標検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
レーダ受信信号におけるクラッタを抑圧し、誤警報確率一定のもとに目標を検出する方式として、CA−CFAR(Cell Averaging Constant False Alarm Rate)が知られている(例えば、非特許文献1、及び特許文献1参照)。このCA−CFARは、平均値によってクラッタレベルを規格化し、誤警報確率を一定化するものである。CA−CFARは、レイリー分布に従うクラッタ及び雑音に対する誤警報確率を低くするが、レイリー分布に従わないクラッタが存在する場合には、誤警報確率が高くなる。
【0003】
一方、レイリー分布に従わず、ワイブル分布に従うクラッタが存在する環境において、誤警報確率を低くかつ一定に抑えるためにワイブルCFARが有効である(例えば、非特許文献1、及び特許文献2参照)。このワイブルCFARは、信号の平均及び分散(又は標準偏差)を用いて信号の規格化を行っている。ワイブルCFARは、振幅の確率密度関数がワイブル分布に従う信号に対してCFAR特性を有する。ワイブル分布の確率密度関数pdf(x)は、式(1)で表される。
【数1】

【0004】
ここで、bは尺度(scale)パラメータ、cは形状(shape)パラメータである。ワイブル分布は、形状パラメータc=2のときはレイリー分布、形状パラメータc=1のときは指数分布になるため、レイリー分布よりも多様な確率密度関数に適用できる。
【0005】
ワイブルCFARの実装方式については、非特許文献1にいくつかの事例が示されているが、ここでは対数変換を行わないワイブルCFARを用いた、従来の目標検出装置の一例を図12に示す。図12に例示した目標検出装置は、受信信号を検波する検波回路1は外部の装置に含まれるものとし、検波回路1からの検波後の信号を入力信号xとして、この入力信号xの自乗値を自乗検波信号xとして算出する自乗値算出回路2、この自乗検波信号の平均値を自乗平均値<x>として算出する自乗平均値算出回路3、この自乗平均値の平方根√<x>を算出する平方根算出回路4、入力信号xの平均値<x>を算出する平均値算出回路5、入力信号xをこの平均値算出回路5で算出した平均値<x>で除算しCFAR信号x/<x>として出力する除算回路6、平方根算出回路4で算出した入力信号xの自乗平均値の平方根√<x>と平均値算出回路5で算出した入力信号xの平均値<x>に基づきワイブル分布の形状パラメータcを算出する形状パラメータ算出回路7、この算出した形状パラメータcとあらかじめ設定された誤警報確率(Pfa)に基づき目標検出のしきい値Tを算出するしきい値算出回路8、及び除算回路6からのCFAR信号x/<x>とこのしきい値Tとを比較する比較回路9から構成されている。
【0006】
この図12に例示した目標検出装置における形状パラメータc、及びしきい値Tの決定方法について以下に説明する。
【0007】
まず、形状パラメータcの決定方法について説明する。自乗値算出回路2、自乗平均値算出回路3、及び平方根算出回路4は、入力信号xに対する自乗平均値の平方根√<x>を算出し、平均値算出回路5は、入力信号xの平均値<x>を算出する。入力信号xの理論的な平均値<x>と、入力信号xの自乗平均値<x>は、式(2)のように表される。
【数2】

【0008】
次に、形状パラメータ算出回路7は、平均値算出回路5からの入力信号xの平均値<x>と平方根算出回路4からの入力信号xの自乗平均値の平方根√<x>とを入力し、入力信号xの平均値<x>を入力信号xの自乗平均値の平方根√<x>で除算した除算出力を、形状パラメータcに変換する。入力信号xの平均値<x>を入力信号xの自乗平均値の平方根√<x>で除算した除算出力は、尺度パラメータbを含まず、式(3)に示すように、形状パラメータcのみの関数f(c)になる。
【数3】

【0009】
この結果、f(c)の逆関数f−1(<x>/√<x>)から入力信号xの形状パラメータcを決定できる。すなわち、形状パラメータcは、式(4)で表される。
【数4】

【0010】
図13に、従来の目標検出装置におけるワイブルCFARの、入力信号の平均値を入力信号の自乗平均値の平方根で除算した除算出力と形状パラメータcとの関係(理論値)を示す。また、実際には入力信号xの平均値<x>と入力信号xの自乗平均値<x>は、有限のサンプル数Nから算出するため、これらは式(5)に示すように表される。
【数5】

【0011】
次に、CFAR信号x/<x>に対するしきい値Tの決定方法について説明する。しきい値算出回路8は、形状パラメータ算出回路7からの形状パラメータcと誤警報確率Pfaとに基づいてしきい値Tを算出する。入力信号xに対するしきい値をTとおくと、ワイブル分布の誤警報確率Pfaは、式(6)のように表される。
【数6】

【0012】
式(6)をしきい値Tについて解くと、式(7)が得られる。
【数7】

【0013】
この結果、CFAR信号x/<x>に対するしきい値Tは、誤警報確率Pfaと形状パラメータcを用いて、式(8)から求められる。
【数8】

【0014】
一方、除算回路6は、入力信号xをその平均値<x>で除算したCFAR信号x/<x>を比較回路9に出力する。比較回路9は、除算回路6からのCFAR信号出力をしきい値算出回路8からのしきい値Tと比較して、CFAR信号出力がしきい値Tを超えたとき目標として検出する。
【0015】
従来のワイブルCFARを用いた目標検出装置においては、上記したような構成で形状パラメータc、及びしきい値Tを決定し、目標を検出している。ところで、この種の信号処理を実装する上では、平方根算出、及び除算のための演算回路または演算処理の規模が増大することが知られている。特に、平方根算出は演算負荷が重いため、例えば、特許文献3や特許文献4等に開示されているように、演算量を減らして高速化・小型化を図るための種々の手法が開示されている。また、除算についても、例えば、特許文献5等にその手法が開示されている。
【0016】
図12に例示した従来の目標検出装置においても、平方根算出回路4、及び除算回路6を含み構成されているため、演算回路規模または演算処理負荷が増大して演算コストが上昇してしまい、処理の高速化及び装置の小型・低コスト化が困難であった。また、ワイブル分布に従うクラッタに対しては誤警報確率を一定化するが、レイリー分布中に存在する目標については、その検出確率がCA−CFARよりも低下するという課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】特開平10−148667号公報
【特許文献2】特開2005−83870号公報
【特許文献3】特開平6−35679号公報
【特許文献4】特開2000−260137号公報
【特許文献5】特開2002−223199号公報
【非特許文献】
【0018】
【非特許文献1】関根松夫著、レーダ信号処理技術、電子情報通信学会、1991年10月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
上述したように、ワイブルCFARを用いて目標検出を行う場合には、CA−CFARよりも回路規模/演算処理負荷が増大し、高速化が困難であるとともに、装置の小型化・低コスト化が難しいという課題があった。また、ワイブル分布に従うクラッタに対しては誤警報確率を一定化するが、レイリー分布中に存在する目標の検出確率が、CA−CFARよりも低下するという課題があった。
【0020】
本発明は、上述の事情を考慮してなされたものであり、ワイブル分布に従ったクラッタ等が存在する環境において受信されたレーダ信号中から、検出確率を低下させることなく一定の誤警報確率のもと、高速に目標を検出する、小型かつ低コストな目標検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記目的を達成するために、第1の発明の目標検出装置は、検波された受信信号を入力信号として入力し、この入力信号の平均値を算出する平均値算出手段と、前記平均値算出手段からの平均値の自乗値を算出する平均値の自乗値算出手段と、前記入力信号の自乗値を自乗検波信号として算出する平均値の自乗検波信号算出手段と、前記自乗検波信号算出手段からの自乗検波信号の平均値を自乗平均値として算出する自乗平均値算出手段と、前記平均値の自乗値算出手段からの平均値の自乗値と前記自乗平均値算出手段からの自乗平均値に基づいて、ワイブル分布の確率密度関数における形状パラメータを算出する形状パラメータ算出手段と、前記入力信号を前記平均値算出手段からの平均値で除算した信号をCFAR信号として算出する除算手段と、前記形状パラメータ算出手段からの形状パラメータとあらかじめ設定された誤警報確率の設定値に基づいて、しきい値を算出するしきい値算出手段と、前記除算手段からのCFAR信号と前記しきい値算出手段からのしきい値とを比較し目標を検出する比較手段とを備えたことを特徴とする。
【0022】
また、第2の発明の目標検出装置は、直交デジタル信号化された受信信号を入力信号として入力し、この入力信号の自乗和を自乗検波信号として算出する自乗検波信号算出手段と、前記自乗検波信号算出手段からの自乗検波信号の平方根を検波信号として算出する検波信号算出手段と、前記検波信号算出手段からの検波信号の平均値を算出する平均値算出手段と、前記平均値算出手段からの平均値の自乗値を算出する平均値の自乗値算出手段と、前記自乗検波信号算出手段からの自乗検波信号の平均値を自乗平均値として算出する自乗平均値算出手段と、前記平均値の自乗値算出手段からの平均値の自乗値と前記自乗平均値算出手段からの自乗平均値に基づいて、ワイブル分布の確率密度関数における形状パラメータを算出する形状パラメータ算出手段と、前記検波信号算出手段からの検波信号を前記平均値算出手段からの平均値で除算した信号をCFAR信号として算出する除算手段と、前記形状パラメータ算出手段からの形状パラメータとあらかじめ設定された誤警報確率の設定値に基づいて、しきい値を算出するしきい値算出手段と、前記除算手段からのCFAR信号と前記しきい値算出手段からのしきい値とを比較し目標を検出する比較手段とを備えたことを特徴とする。
【0023】
また、第3の発明の目標検出装置は、検波された受信信号を入力信号として入力し、この入力信号の平均値を算出する平均値算出手段と、前記平均値算出手段からの平均値の自乗値を算出する平均値の自乗値算出手段と、前記入力信号の自乗値を自乗検波信号として算出する平均値の自乗検波信号算出手段と、前記自乗検波信号算出手段からの自乗検波信号の平均値を自乗平均値として算出する自乗平均値算出手段と、前記平均値の自乗値算出手段からの平均値の自乗値と前記自乗平均値算出手段からの自乗平均値に基づいて、ワイブル分布の確率密度関数における形状パラメータを算出する形状パラメータ算出手段と、前記平均値算出手段からの平均値、前記形状パラメータ算出手段からの形状パラメータ、及びあらかじめ設定された誤警報確率の設定値に基づいて、しきい値を算出するしきい値算出手段と、前記入力信号と前記しきい値算出手段からのしきい値とを比較し目標を検出する比較手段とを備えたことを特徴とする。
【0024】
また、第4の発明の目標検出装置は、直交デジタル信号化された受信信号を入力信号として入力し、この入力信号の自乗和を自乗検波信号として算出する自乗検波信号算出手段と、前記自乗検波信号算出手段からの自乗検波信号の平方根を検波信号として算出する検波信号算出手段と、前記検波信号算出手段からの検波信号の平均値を算出する平均値算出手段と、前記平均値算出手段からの平均値の自乗値を算出する平均値の自乗値算出手段と、前記自乗検波信号算出手段からの自乗検波信号の平均値を自乗平均値として算出する自乗平均値算出手段と、前記平均値の自乗値算出手段からの平均値の自乗値と前記自乗平均値算出手段からの自乗平均値に基づいて、ワイブル分布の確率密度関数における形状パラメータを算出する形状パラメータ算出手段と、前記平均値算出手段からの平均値、前記形状パラメータ算出手段からの形状パラメータ、及びあらかじめ設定された誤警報確率の設定値に基づいて、しきい値を算出するしきい値算出手段と、前記検波信号算出手段からの検波信号と前記しきい値算出手段からのしきい値とを比較し目標を検出する比較手段とを備えたことを特徴とする。
【0025】
また、第5の発明の目標検出装置は、前記形状パラメータ算出手段は、前記平均値算出手段からの平均値の自乗値を前記自乗平均値算出手段からの自乗平均値で除算した除算出力に対し、前記除算出力の範囲毎に、前記除算出力と形状パラメータとの複数のサンプリング点を近似法により結んで多項式による近似関数を求め、この近似関数により前記除算出力から前記形状パラメータを算出することを特徴とする。
【0026】
また、第6の発明の目標検出装置は、上記したいずれか1項に記載の処理を実施するようにプログラミングされたDSP(Digital Signal Processor)を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、ワイブル分布に従ったクラッタ等が存在する環境において受信されたレーダ信号中から、検出確率を低下させることなく一定の誤警報確率のもと、高速に目標を検出することのできる、小型かつ低コストな目標検出装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明に係る目標検出装置の第1の実施例の構成を示すブロック図。
【図2】形状パラメータ算出回路7aの特性の一例を示す図。
【図3】式(4)に対する多項式近似の一例を示す図。
【図4】式(10)に対する多項式近似の一例を示す図。
【図5】式(4)及び式(10)に対する多項式の次数の差異による近似誤差の比較の一例を示す図。
【図6】本発明に係る目標検出装置の第2の実施例の構成を示すブロック図。
【図7】本発明に係る目標検出装置の第3の実施例の構成を示すブロック図。
【図8】本発明に係る目標検出装置の第4の実施例の構成を示すブロック図。
【図9】本発明に係る目標検出装置の第5の実施例の構成を示すブロック図。
【図10】形状パラメータ算出回路7bの特性の一例を示す図。
【図11】本発明に係る目標検出装置の第6の実施例の構成を示すブロック図。
【図12】ワイブルCFARを用いた従来の目標検出装置の構成の一例を示すブロック図。
【図13】従来の目標検出装置における、入力信号の平均値を入力信号の自乗平均値の平方根で除算した除算出力とワイブル分布の形状パラメータcとの関係(理論値)を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下に、本発明に係る目標検出装置を実施するための最良の形態について、図1乃至図11を参照して説明する。なお、以下の説明においては、従来技術の欄で説明した構成部分に相当する部分には、従来の技術の欄で使用した符号と同じ符号を用いて説明する。
【実施例1】
【0030】
図1は、本発明に係る目標検出装置の第1の実施例の構成を示すブロック図である。図1に例示したように、この目標検出装置は、自乗値算出回路2、自乗平均値算出回路3、平均値算出回路5、平均値の自乗値算出回路10、除算回路6、形状パラメータ算出回路7a、しきい値算出回路8、及び比較回路9から構成されている。なお、受信信号を検波する検波回路1は、外部の装置に含まれるものとし、I及びQとして直交デジタル信号化された受信信号から検波信号x(x=√(I+Q)を算出して出力する。
【0031】
自乗値算出回路2は、外部の装置にある検波回路1からの検波信号xを自乗して、自乗検波信号xを算出する。自乗平均値算出回路3は、自乗値算出回路2からの自乗検波信号xを平均して自乗平均値<x>として算出する。平均値算出回路5は、外部の装置にある検波回路1からの検波信号xを平均して平均値<x>を算出する。平均値の自乗値算出回路10は、平均値算出回路5からの平均値<x>を自乗して平均値の自乗値<x>を算出する。除算回路6は、検波回路1からの検波信号xを平均値算出回路5からの平均値<x>で除算してCFAR信号としてのx/<x>を算出する。
【0032】
形状パラメータ算出回路7aは、平均値の自乗値算出回路10からの平均値の自乗値<x>と自乗平均値算出回路3からの自乗平均値<x>に基づいて、ワイブル分布の形状パラメータcを算出する。ここに、本実施例におけるこの形状パラメータcの算出の手法について、以下に詳述する。
【0033】
形状パラメータ算出回路7aでは、平均値の自乗値算出回路10からの平均値の自乗値<x>を自乗平均値算出回路3からの自乗平均値<x>で除算した除算出力<x>/<x>を、形状パラメータcに変換する。この除算出力<x>/<x>は、式(3)と同様に尺度パラメータbを含まず、形状パラメータcのみの関数f(c)として、式(9)のように表される。
【数9】

【0034】
この結果、f(c)の逆関数f−1(<x>/<x>)から検波信号xの形状パラメータcを決定できる。即ち、形状パラメータcは式(10)で表される。
【数10】

【0035】
実際には、図2に例示したように、平均値の自乗値算出回路10からの平均値の自乗値<x>を自乗平均値算出回路3からの自乗平均値<x>で除算した除算出力<x>/<x>の範囲毎に、除算出力<x>/<x>と形状パラメータcのサンプル点を用いて逆関数f−1(<x>/<x>)の多項式による近似関数を求め、その近似関数から、形状パラメータcを算出する。なお、除算出力<x>/<x>の範囲や、範囲の分割数は、図2の例に限定されず、任意の値に設定することができる。
【0036】
また、形状パラメータcの従来の算出式である式(4)と本実施例の算出式である式(10)に示した関数の多項式近似の一例を図3及び図4に、多項式近似による近似誤差の一例を図5に示す。図3及び図4は、それぞれ多項式の次数が等しい場合の式(4)及び式(10)の近似関数の一例であり、また図5は、式(10)の近似誤差に対して式(4)の多項式の次数を増減させた場合の近似誤差を比較したものである。図3及び図4に例示したように、多項式の次数が等しい場合、本実施例の式(10)の近似関数は、従来の場合の式(4)の近似関数よりも近似誤差が低減されている。また、近似誤差をある範囲内に収めようとした場合、図5に例示したように、本実施例の式(10)の近似関数は、従来の場合の式(4)の近似関数よりも低い次数の多項式により実現されることがわかる。
【0037】
しきい値算出回路8は、形状パラメータ算出回路7aからの形状パラメータcとあらかじめ設定された誤警報確率Pfaの設定値とに基づいて、しきい値Tを算出する。比較回路9は、除算回路6からのCFAR信号x/<x>としきい値算出回路8からのしきい値Tとを比較し、CFAR信号x/<x>がしきい値Tを超えている場合、これを目標として検出する。
【0038】
次に、上述のように構成された本発明に係る目標検出装置の第1の実施例の動作について説明する。まず、時間経過に沿って検波回路1から検波信号xが送られてくると、自乗値算出回路2では自乗検波信号xが順次算出され、自乗平均値算出回路3に送出されてその平均値<x>が算出される。また、平均値算出回路5では、検波信号xの平均値<x>が算出される。これら<x>、及び<x>は、例えば式(5)に示すように、時間経過に沿って順次送られてくる検波信号xの有限個のサンプル数Nから算出される。そして、自乗平均値算出回路3からは、自乗検波信号xの平均値である自乗平均値<x>が形状パラメータ算出回路7aに送出されるとともに、平均値算出回路5からの平均値<x>は、平均値の自乗値算出回路10において自乗値が算出され、検波信号xの平均値の自乗値<x>が形状パラメータ算出回路7aに送出される。
【0039】
次いで、形状パラメータ算出回路7aでは、平均値の自乗値算出回路10からの平均値の自乗値<x>を自乗平均値算出回路3からの自乗平均値<x>で除算した除算出力<x>/<x>の範囲毎に、逆関数(式(10)に対応)を多項式により近似し、この近似関数から形状パラメータcを算出する。このときの近似関数は、例えば図2に例示したものであり、これが形状パラメータ算出回路7aの入出力特性を表している。
【0040】
次いで、しきい値算出回路8では、形状パラメータ算出回路7aで算出された形状パラメータcとあらかじめ設定された誤警報確率Pfaの設定値とに基づいて、CFAR信号から目標を検出するためのしきい値Tを算出する。算出にあたっては、例えば式(8)を適用することができる。算出されたしきい値Tは、ワイブル分布に従うクラッタ中から誤警報確率を一定化して目標を検出するためのしきい値として、比較回路9に送出される。
【0041】
一方、除算回路6では、検波信号xを平均値算出回路5からの検波信号xの平均値<x>で除算したx/<x>がCFAR信号として算出され、比較回路9に送出される。比較回路9では、この除算回路6からのCFAR信号x/<x>がしきい値算出回路8からのしきい値Tと比較される。そして、CFAR信号x/<x>がしきい値Tを超えたときに、これを目標として検出する。
【0042】
以上説明したように、本実施例においては、ワイブル分布の確率密度関数における形状パラメータcを算出する際に、検波信号xの平均値<x>と検波信号xの自乗平均値の平方根√<x>を用いず、これらに替えて検波信号xの自乗値<x>と検波信号xの自乗平均値<x>を用いることによって、回路規模/演算コストの増大要因となる平方根算出演算を含まずに形状パラメータcを算出している。また、形状パラメータcを式(10)に対する多項式による近似関数から算出する際にも、図4及び図5に例示したように、従来よりもより少ない近似誤差、あるいはより低い次数の多項式により算出することができる。
【0043】
これにより、演算回路規模や演算処理負荷を低減させて演算コストの増大を抑えるとともに、処理の高速化及び装置の小型・低コスト化が可能となるので、ワイブル分布に従ったクラッタ等が存在する環境において受信されたレーダ信号中から、検出確率を低下させることなく一定の誤警報確率のもと、高速に目標を検出することのできる、小型かつ低コストな目標検出装置を得ることができる。
【実施例2】
【0044】
図6は、本発明に係る目標検出装置の第2の実施例の構成を示すブロック図である。この第2の実施例について、図1に示した第1の実施例の各部と同一の部分は同一の符号で示し、その説明は省略する。この第2の実施例が第1の実施例と異なる点は、本装置への入力信号を、第1の実施例においては外部の装置に含まれる検波回路からの検波された受信信号としたのに対し、第2の実施例においては直交デジタル信号化された受信信号とした点である。以下、前出の図1乃至図5、ならびに図6のブロック図を参照してその相違点のみを説明する。
【0045】
図6に例示したように、この目標検出装置は、自乗和算出回路11、平方根算出回路12、自乗平均値算出回路3、平均値算出回路5、平均値の自乗値算出回路10、除算回路6、形状パラメータ算出回路7a、しきい値算出回路8、及び比較回路9から構成されている。この中で、自乗平均値算出回路3、平均値算出回路5、平均値の自乗値算出回路10、除算回路6、形状パラメータ算出回路7a、しきい値算出回路8、及び比較回路9は、第1の実施例と同様に構成される。
【0046】
自乗和算出回路11は、I及びQとして直交デジタル信号化されて入力される受信信号から、その自乗和である(I+Q)を自乗検波信号として算出する。なお、検波信号をxとすると、ここで算出された自乗和(I+Q)は、自乗検波信号xに相当する。すなわち、(I+Q)=xである。平方根算出回路12は、自乗和算出回路11からの自乗検波信号xの平方根を検波信号xとして算出する。
【0047】
次に、上述のように構成された目標検出装置の第2の実施例の動作について説明する。まず、時間経過に沿って直交デジタル信号I及びQが送られてくると、自乗和算出回路11では、I及びQの自乗和である(I+Q)、すなわち自乗検波信号xが順次算出され、平方根算出回路12、及び自乗平均値算出回路3に送出される。平方根算出回路12では、この自乗検波信号xの平方根が算出され、検波信号xとして平均値算出回路5に送出される。
【0048】
この後は、前出の第1の実施例と同様に動作する。すなわち、自乗平均値算出回路3からは、自乗検波信号xの平均値である自乗平均値<x>が形状パラメータ算出回路7aに送出されるとともに、平均値算出回路5の算出結果を用いて平均値の自乗値算出回路10からは、検波信号xの平均値の自乗値<x>が形状パラメータ算出回路7aに送出され、形状パラメータ算出回路7aにおいては、これらを用いてワイブル分布の形状パラメータcが算出される。さらに、しきい値算出回路8において、この形状パラメータcと誤警報確率の設定値に基づきしきい値Tが算出され、比較回路9に送出される。一方、除算回路6においては、検波信号xを検波信号xの平均値<x>で除算してCFAR信号x/<x>が算出され、比較回路9に送出される。そして、比較回路9において、しきい値Tを超えたCFAR信号が目標として検出される。
【0049】
以上説明したように、本実施例においても第1の実施例と同様に、ワイブル分布の確率密度関数における形状パラメータcを算出する際に、検波信号xの自乗値<x>と検波信号xの自乗平均値<x>を用いた演算により算出しており、第1の実施例と同様の効果を得ることができる。加えて、第1の実施例においては、外部の装置の検波回路1で実施されていた自乗和算出(x=I+Q)と平方根算出(x=√x)を、それぞれ自乗和算出回路11と平方根算出回路12で実施することにより、図1において検波信号xから自乗検波信号xを算出する自乗値算出回路2が不要となり、第1の実施例(外部の装置の検波回路1を含む)よりも更に小型・低コストな目標検出装置を得ることができる。
【実施例3】
【0050】
図7は、本発明に係る目標検出装置の第3の実施例の構成を示すブロック図である。この第3の実施例について、図1に示した第1の実施例の各部と同一の部分は同一の符号で示し、その説明は省略する。この第3の実施例が第1の実施例と異なる点は、比較回路において目標を検出する際に、第1の実施例では、除算回路により算出したCFAR信号x/<x>としきい値Tとを比較したのに対し、第3の実施例では、除算回路を用いず、検波信号xと、除算処理よりも回路規模/演算コストが小さい乗算処理によって算出されたしきい値T(=T・<x>)とを比較するようにした点である。以下、前出の図1乃至図5、ならびに図7のブロック図を参照してその相違点を中心に説明する。
【0051】
図7に例示したように、この目標検出装置は、自乗値算出回路2、自乗平均値算出回路3、平均値算出回路5、平均値の自乗値算出回路10、形状パラメータ算出回路7a、しきい値算出回路8a、及び比較回路9aから構成されている。この中で、自乗値算出回路2、自乗平均値算出回路3、平均値算出回路5、平均値の自乗値算出回路10、及び形状パラメータ算出回路7aは、第1の実施例と同様に構成される。なお、受信信号を検波する検波回路1は、外部の装置に含まれるものとしている。
【0052】
しきい値算出回路8aは、平均値算出回路5からの検波信号xの平均値<x>、形状パラメータ算出回路7aからのワイブル分布の形状パラメータc、及びあらかじめ設定された誤警報確率Pfaの設定値に基づいてしきい値Tを算出する。ここで算出されるしきい値Tは、前出の実施例1におけるしきい値算出回路8で算出されたしきい値Tに平均値算出回路5からの平均値<x>を乗じた値、すなわち、T=T・<x>としている。従って、しきい値算出回路8aは、例えば前出のしきい値算出回路8の後段に平均値<x>を乗ずるための乗算回路を付加することにより実現される。比較回路9aは、検波信号xとしきい値算出回路8aからのしきい値Tとを比較し、検波信号xがしきい値を超えている場合、これを目標として検出する。
【0053】
次に、上述のように構成された目標検出装置の第3の実施例の動作について説明する。時間経過に沿って順次送られてくる検波信号xからその自乗平均値<x>、及び平均値の自乗値<x>が形状パラメータ算出回路7aに送出され、これらから形状パラメータ算出回路7aにおいてワイブル分布の形状パラメータcが算出されるが、これらは第1の実施例と同様の動作による。しきい値算出回路8aでは、形状パラメータc、及び誤警報確率の設定値Pfaから前出のしきい値算出回路8と同様の動作によりしきい値Tを算出し、さらに、このしきい値Tに平均値算出回路5からの検波信号xの平均値<x>を乗じてこれをしきい値Tとし、比較回路9aに送出する。そして、比較回路9aでは、検波信号xとしきい値Tとの比較により目標が検出される。この比較回路9aでは、検波信号xに対してしきい値をT、すなわちT・<x>として比較動作を行っているが、これは、第1の実施例の比較回路9におけるCFAR信号x/<x>に対してしきい値をTとした場合と同等の動作である。
【0054】
以上説明したように、本実施例においても第1の実施例と同様に、ワイブル分布の確率密度関数における形状パラメータcを算出する際に、検波信号xの自乗値<x>と検波信号xの自乗平均値<x>を用いた演算により算出しており、第1の実施例と同様の効果を得ることができる。加えて、比較回路において目標を検出する際には、検波信号xと、しきい値T(=T・<x>)とを用いた比較を行っており、除算処理よりも回路規模/演算コストが小さい乗算処理を用いた回路構成・演算処理構成にすることができるので、第1の実施例よりも更に小型・低コストな目標検出装置を得ることができる。
【実施例4】
【0055】
図8は、本発明に係る目標検出装置の第4の実施例の構成を示すブロック図である。この第4の実施例について、図1、図6、及び図7に示した第1〜第3の実施例の各部と同一の部分は同一の符号で示し、その説明は省略する。この第4に実施例が第3の実施例と異なる点は、本装置への入力信号を、第3の実施例においては外部の装置に含まれる検波回路からの検波された受信信号としたのに対し、第4の実施例においては直交デジタル信号化された受信信号とした点である。すなわち、この相違点は、第2の実施例が第1の実施例と異なる点と同様である。以下、前出の図1乃至図7、ならびに図8のブロック図を参照し簡略化して説明する。
【0056】
図8に例示したように、この目標検出装置は、自乗和算出回路11、平方根算出回路12、自乗平均値算出回路3、平均値算出回路5、平均値の自乗値算出回路10、形状パラメータ算出回路7a、しきい値算出回路8a、及び比較回路9aから構成されている。この中で、自乗平均値算出回路3、平均値算出回路5、平均値の自乗値算出回路10、形状パラメータ算出回路7a、しきい値算出回路8a、及び比較回路9aは、第3の実施例と同様に構成される。また、自乗和算出回路11、及び平方根算出回路12は、第2の実施例と同様に構成される。
【0057】
次に、上述のように構成された目標検出装置の第4の実施例の動作について説明する。まず、時間経過に沿って直交デジタル信号I及びQが送られてくると、第2の実施例における動作と同様に、自乗検波信号x及び検波信号xが算出され、さらに自乗検波信号xの平均値である自乗平均値<x>、検波信号xの平均値<x>とその自乗値<x>が順次算出され、形状パラメータ算出回路7aにおいては、これら算出結果に基づきワイブル分布の形状パラメータcが算出される。この後は、前述の第3の実施例における動作と同様に、しきい値算出回路8aにおいて形状パラメータc、誤警報確率の設定値Pfa、及び検波信号xの平均値<x>に基づき、しきい値Tが算出されて比較回路9aに送出される。そして、比較回路9aでは、検波信号xとしきい値Tとの比較により目標が検出される。
【0058】
以上説明したように、本実施例においても第3の実施例と同様な効果を得ることができるとともに、検波信号xから自乗検波信号xを算出する自乗値算出回路2が不要になるので、第3の実施例(外部の装置の検波回路1を含む)よりも更に小型・低コストな目標検出装置を得ることができる。
【実施例5】
【0059】
図9は、本発明に係る目標検出装置の第5の実施例の構成を示すブロック図である。この第5の実施例について、図1に示した第1の実施例の各部と同一の部分は同一の符号で示し、その説明は省略する。この第5の実施例が第1の実施例と異なる点は、ワイブル分布の形状パラメータcを算出するにあたってその算出式である式(10)を多項式により近似する際に、第1の実施例では形状パラメータcの算出値が図2のような特性を有するような近似関数を設定したのに対し、第5の実施例においては、形状パラメータcの算出値が2を超えないように設定した点である。以下、前出の図1乃至図5、ならびに図9のブロック図を参照してその相違点のみを説明する。
【0060】
図9に例示したように、この目標検出装置は、自乗値算出回路2、自乗平均値算出回路3、平均値算出回路5、平均値の自乗値算出回路10、除算回路6、形状パラメータ算出回路7b、しきい値算出回路8、及び比較回路9から構成されている。なお、受信信号を検波する検波回路1は、外部の装置に含まれるものとしている。この中で、第1の実施例の構成と異なるのは、形状パラメータ算出回路7bであり、他は、第1の実施例と同様に構成される。
【0061】
形状パラメータ算出回路7bも、平均値の自乗値算出回路10からの平均値の自乗値<x>と自乗平均値算出回路3からの自乗平均値<x>に基づいて、第1の実施例と同様に多項式による近似の手法によりワイブル分布の形状パラメータcを算出する。ただし、本実施例においては、形状パラメータcが2以下に対応する除算出力<x>/<x>の範囲では、多項式による近似関数を用い、それ以外の範囲では、出力である形状パラメータcが2となる関数を用いる。すなわち、この形状パラメータ算出回路7bの入出力特性は、第1の実施例のパラメータ算出回路7aの場合の図2に対応させると、図10に例示したように、形状パラメータcが2を超えないように制限されていることが特徴である。これによって、レイリー分布に従うクラッタや雑音中の目標に対しては、形状パラメータcが2であることを前提にして検出を行うCA−CFAR並みの目標検出性能を得ることができる。
【0062】
この第5の実施例における目標検出の動作については、第1の実施例と概ね同様の流れであり、詳細な説明を省略するが、上記したように、パラメータ算出回路7bでの算出した形状パラメータcは2を超えないように制限されており、この形状パラメータcを用いてしきい値算出回路8でしきい値Tが算出され、さらにこのしきい値Tを用いて比較回路9で目標検出がなされるので、レイリー分布に従うクラッタや雑音中の目標に対しては、CA−CFAR並みに改善された目標検出性能を得ることができる。
【0063】
以上説明したように、本実施例においても第1の実施例と同様な効果を得られることに加え、レイリー分布に従うクラッタや雑音中の目標に対して形状パラメータcがほぼ2に固定されるので、形状パラメータcが2であることを前提として目標検出を行うCA−CFAR並みに目標検出性能を改善することができる。
【実施例6】
【0064】
図11は、本発明に係る目標検出装置の第6の実施例の構成を示すブロック図である。この第6の実施例の目標検出装置は、図8に示した第4の実施例に対応した処理を実行するようにプログラミングされたDSP(Digital Signal Processor)101から構成されている。そして、各処理ブロックは、図8に示した実施例4を構成する各ブロック(回路)に対応した処理をそれぞれに実行するようにプログラミングされている。この第6の実施例における目標検出の動作については、第4の実施例と同様の動作により対応する各処理ブロックにおいてデータ処理がなされるので、詳細な説明は省略する。
【0065】
本実施例においては、目標検出装置をDSPを用いて構成するとともに、その内部にプログラミングされた各処理ブロックにより第4の実施例と同様な目標検出を行うようにしたので、ワイブル分布に従ったクラッタ等が存在する環境において受信されたレーダ信号中から、検出確率を低下させることなく一定の誤警報確率のもと、高速に目標を検出することのできる、小型かつ低コストな目標検出装置を得ることができる。
【0066】
なお、本実施例では、図8に示した第4の実施例に対応した場合を説明したが、第1〜第3、ならびに第5の実施例の実施例に対しても同様に構成することができる。
【0067】
また、本発明は、上述した第1〜第6の実施例における実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【符号の説明】
【0068】
1 検波回路
2 自乗値算出回路
3 自乗平均値算出回路
4 平方根算出回路
5 平均値算出回路
6 除算回路
7、7a、7b 形状パラメータ算出回路
8、8a しきい値算出回路
9、9a 比較回路
10 平均値の自乗値算出回路
11 自乗和算出回路
12 平方根算出回路
101 DSP
103 自乗平均値算出処理
105 平均値算出処理
107a 形状パラメータ算出処理
108a しきい値算出処理
109a 比較処理
110 平均値の自乗値算出処理
111 自乗和算出処理
112 平方根算出処理

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検波された受信信号を入力信号として入力し、この入力信号の平均値を算出する平均値算出手段と、
前記平均値算出手段からの平均値の自乗値を算出する平均値の自乗値算出手段と、
前記入力信号の自乗値を自乗検波信号として算出する平均値の自乗検波信号算出手段と、
前記自乗検波信号算出手段からの自乗検波信号の平均値を自乗平均値として算出する自乗平均値算出手段と、
前記平均値の自乗値算出手段からの平均値の自乗値と前記自乗平均値算出手段からの自乗平均値に基づいて、ワイブル分布の確率密度関数における形状パラメータを算出する形状パラメータ算出手段と、
前記入力信号を前記平均値算出手段からの平均値で除算した信号をCFAR信号として算出する除算手段と、
前記形状パラメータ算出手段からの形状パラメータとあらかじめ設定された誤警報確率の設定値に基づいて、しきい値を算出するしきい値算出手段と、
前記除算手段からのCFAR信号と前記しきい値算出手段からのしきい値とを比較し目標を検出する比較手段と
を備えたことを特徴とする目標検出装置。
【請求項2】
直交デジタル信号化された受信信号を入力信号として入力し、この入力信号の自乗和を自乗検波信号として算出する自乗検波信号算出手段と、
前記自乗検波信号算出手段からの自乗検波信号の平方根を検波信号として算出する検波信号算出手段と、
前記検波信号算出手段からの検波信号の平均値を算出する平均値算出手段と、
前記平均値算出手段からの平均値の自乗値を算出する平均値の自乗値算出手段と、
前記自乗検波信号算出手段からの自乗検波信号の平均値を自乗平均値として算出する自乗平均値算出手段と、
前記平均値の自乗値算出手段からの平均値の自乗値と前記自乗平均値算出手段からの自乗平均値に基づいて、ワイブル分布の確率密度関数における形状パラメータを算出する形状パラメータ算出手段と、
前記検波信号算出手段からの検波信号を前記平均値算出手段からの平均値で除算した信号をCFAR信号として算出する除算手段と、
前記形状パラメータ算出手段からの形状パラメータとあらかじめ設定された誤警報確率の設定値に基づいて、しきい値を算出するしきい値算出手段と、
前記除算手段からのCFAR信号と前記しきい値算出手段からのしきい値とを比較し目標を検出する比較手段と
を備えたことを特徴とする目標検出装置。
【請求項3】
検波された受信信号を入力信号として入力し、この入力信号の平均値を算出する平均値算出手段と、
前記平均値算出手段からの平均値の自乗値を算出する平均値の自乗値算出手段と、
前記入力信号の自乗値を自乗検波信号として算出する平均値の自乗検波信号算出手段と、
前記自乗検波信号算出手段からの自乗検波信号の平均値を自乗平均値として算出する自乗平均値算出手段と、
前記平均値の自乗値算出手段からの平均値の自乗値と前記自乗平均値算出手段からの自乗平均値に基づいて、ワイブル分布の確率密度関数における形状パラメータを算出する形状パラメータ算出手段と、
前記平均値算出手段からの平均値、前記形状パラメータ算出手段からの形状パラメータ、及びあらかじめ設定された誤警報確率の設定値に基づいて、しきい値を算出するしきい値算出手段と、
前記入力信号と前記しきい値算出手段からのしきい値とを比較し目標を検出する比較手段と
を備えたことを特徴とする目標検出装置。
【請求項4】
直交デジタル信号化された受信信号を入力信号として入力し、この入力信号の自乗和を自乗検波信号として算出する自乗検波信号算出手段と、
前記自乗検波信号算出手段からの自乗検波信号の平方根を検波信号として算出する検波信号算出手段と、
前記検波信号算出手段からの検波信号の平均値を算出する平均値算出手段と、
前記平均値算出手段からの平均値の自乗値を算出する平均値の自乗値算出手段と、
前記自乗検波信号算出手段からの自乗検波信号の平均値を自乗平均値として算出する自乗平均値算出手段と、
前記平均値の自乗値算出手段からの平均値の自乗値と前記自乗平均値算出手段からの自乗平均値に基づいて、ワイブル分布の確率密度関数における形状パラメータを算出する形状パラメータ算出手段と、
前記平均値算出手段からの平均値、前記形状パラメータ算出手段からの形状パラメータ、及びあらかじめ設定された誤警報確率の設定値に基づいて、しきい値を算出するしきい値算出手段と、
前記検波信号算出手段からの検波信号と前記しきい値算出手段からのしきい値とを比較し目標を検出する比較手段と
を備えたことを特徴とする目標検出装置。
【請求項5】
前記形状パラメータ算出手段は、前記平均値算出手段からの平均値の自乗値を前記自乗平均値算出手段からの自乗平均値で除算した除算出力に対し、前記除算出力の範囲毎に、前記除算出力と前記形状パラメータとの複数のサンプリング点を近似法により結んで多項式による近似関数を求め、この近似関数により前記除算出力から前記形状パラメータを算出することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の目標検出装置。
【請求項6】
前記形状パラメータ算出手段は、前記平均値算出手段からの平均値の自乗値を前記自乗平均値算出手段からの自乗平均値で除算した除算出力に対し、ワイブル分布の形状パラメータが所定値以下に対応する前記除算出力の範囲では、前記除算出力と形状パラメータとの複数のサンプリング点を近似法により結んで多項式による近似関数を求め、この近似関数により前記除算出力から前記形状パラメータを算出することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の目標検出装置。
【請求項7】
前記所定値は、2であることを特徴とする請求項6に記載の目標検出装置。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の処理を実施するようにプログラミングされたDSP(Digital Signal Processor)を備えたことを特徴とする目標検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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